JP2003088709A - スラリー濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人工ゼオライトスラリー等のスラリーをフィ
ルター部を通して液分と固形粒状物に濾過分離して回収
するにおいて、高品質にして高能率・高生産性で濾過処
理できるスラリー濾過装置を提供する。 【解決手段】 壁板で枠囲いして上下方向を開口し、か
つ、上下方向の横中心線２Ａを回転中心として回転自在
に軸支した横置バケット形態の濾過機主部２から成り、
濾過機主部２は横中心線２Ａに対して傾斜する壁板間の
底板８によって区画した左バケット室６と右バケット室
７を備え、その左バケット室６・右バケット室７は横中
心線２Ａと平行するフィルター部９によって、開口部５
側のスラリー受入室１０と底板８側の気液室１１に分割
区画されると共に、気液室１１は室内気体の給排気と室
内液体排出を可能にする流体流路手段を備え、さらに、
濾過機主部２の左バケット室６・右バケット室７を上下
方向にして順次交互に停止させる間欠駆動部Ｄを備えた
構造のスラリー濾過装置が特徴である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人工ゼオライトス
ラリー等のスラリーを濾過処理して、そのスラリーを構
成している人工ゼオライト等の固形微細粒子と液体を分
離して回収するのに使用するスラリー濾過装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】人工ゼオライトスラリーを人工ゼオライ
トと液体に分離して回収処理する場合は（図５参照）バ
ケット体３２に下半部分を入れたフィルター外周横置ド
ラム型の濾過ドラム３１を主要部に成すオリバー型濾過
機３０が用いられ、バケット体３２にスラリーＳを入れ
て濾過ドラム３１を回転駆動させて、濾過ドラム３１内
を真空状態にして、スラリーＳの液体をフィルター外周
を通して濾過ドラム３１内に分離回収すると共に、固形
粒子の人工ゼオライトＧを濾過ドラム３１の外周に付着
残置させ、バケット体３２の上縁に設けたスクレーパー
３３によって付着している人工ゼオライトＧを掻き落と
して回収する方法が採られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】以上の従来のオリバー
型濾過機３０によるスラリーの分離回収処理は、下記の
不具合がある。即ち、被濾過物のスラリーＳのフィルタ
ー濾過性能を支配するスラリー濃度は「ばらつき」が大
にして、その濃度コントロールが困難な定性がある。従
って、前記のオリバー型濾過機３０のドラム外周へのス
ラリー付着厚さがスラリー濃度に比例して薄厚変動する
と共に、重力に反する縦方向の付着吸い上げ形態のた
め、ドラムによる付着吸い上げ量が変動して濾過物生成
量が不安定であり、かつ、フィルター部のエアーリーク
や吸引エアー不足による液体分の濾過除去不充分の濾過
不良品を生ずる品質上の難点がある。

【０００４】そして、円筒ドラム型のフィルターに付着
堆積した固形分をスクレーパー３３で掻き落す固形分回
収手段であることから、スクレーパー３３で押え付けら
れた固形粒子による「フィルター目づまり」を生じ易い
ので、その目づまりを修復してフィルター機能を安定維
持させる為の「フィルタークリーニング作業」を短いイ
ンターバルで反復する必要があり、濾過生産性の低下を
もたらす。

【０００５】本発明は、以上の従来技術の難点を解消す
るスラリー濾過装置を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】以上の技術課題を解決す
る本発明のスラリー濾過装置は「壁板で枠囲いして上下
方向を開口し、かつ、上下方向の横中心線を回転中心と
して回転自在に軸支した横置バケット形態の濾過機主部
から成り、該濾過機主部は前記横中心線に対して傾斜す
る前記壁板間の底板によって区画した左バケット室と右
バケット室を備え、該左バケット室・右バケット室は前
記横中心線と平行するフィルター部によって、開口部側
のスラリー受入室と前記底板側の気液室に分割区画され
ると共に、該気液室は室内気体の給排気と室内液体排出
を可能にする流体流路手段を備え、さらに、前記濾過機
主部の前記左バケット室・右バケット室を上下方向にし
て順次交互に停止させる間欠駆動部を備えた構造」に成
っている。

【０００７】即ち、前記構成の本発明のスラリー濾過装
置は、前記の濾過機主部の２個の開口部を上下位置にし
て停止させて、その上方の開口部のスラリー受入室の水
平姿勢のフィルター部上に被処理スラリーを定量投入し
て層状に成し、しかるのち、フィルター部下方の気液室
を負圧にすることによって、被処理スラリーの液分をフ
ィルター部を通して気液室に分離落下させ、前記流体流
路手段によって機体外へ抽出回収する。そして、そのフ
ィルター部上に残置した被処理スラリーの固形粒状物
を、濾過機主部の１８０°回転停止によって落下させて
機体外への分離回収を可能にした構造が特徴である。

【０００８】そして、前記の流体流路手段は、例えば
「前記気液室に連通する第１中空部を有する回転支承軸
と、該第１中空部と連通する第２中空部と給排気排液管
を接続して該回転支承軸に嵌装セットした固定外套部材
によって構成する」態様にする。

【０００９】

【作用】以上の本発明のスラリー濾過装置は、水平姿勢
のフィルター部上へ定量投入された被処理スラリーが、
スラリー濃度に関係なく自己流動性によって平板層状を
呈し、その状態の被処理スラリーから液体分を負圧吸引
してフィルター部を通過させる濾過プロセスと成るの
で、被処理スラリーの定量チャージに対する濾過物生成
量が安定する。そして、その一様層の被処理スラリーは
気液室負圧による一様な吸引力を享受するので、フィル
ター部のエアーリークや吸引エアー不足による液分分離
濾過不備の不良発生のおそれが少く、濾過品質が良好に
なる。

【００１０】そして、濾過機主部の１８０°間欠回転に
よって上方に開口部を臨ませる左バケット室・右バケッ
ト室のいずれかへの被処理スラリーの定量供給と液分分
離回収と、下方に開口部を臨ませる左バケット室・右バ
ケット室のいずれかのフィルター部上の「被処理スラリ
ーの固形粒状物」の分離回収が順次連続的にできる。さ
らに、その左右バケット室のフィルター部は、フィルタ
ー部上の固形物の落下回収の濾過処理のワンサイクル毎
に該固形物がフィルター部から落下するのを支援するた
めの「前記気液室を加圧状態にするフィルター部のエア
ー逆噴射」によってフィルター目づまりが防止できるの
で、装置を休止させる特別の目づまり修復作業は無用に
なる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明１実施例スラリー濾過装置
１を図１・図２を参照して説明する。即ち、この実施例
のものは人工ゼオライトスラリーＳ（以下、単にスラリ
ーＳという）を液体分と固形微細粒子の人工ゼオライト
Ｇに濾過分離して回収する装置にして、平行一対の方形
板の両側壁板３Ａ・３Ｂと長方形一対の前後壁板４Ａ・
４Ｂで枠囲して、上方と下方に開口部５を有する横長横
置バケット形態の濾過機主部２が主要部にして、この濾
過機主部２は上下方向の横中心線２Ａ（使用状態で水平
にする）を回転中心として回転自在に軸支されている。

【００１２】詳しくは、濾過機主部２は横中心線２Ａと
傾斜角θで傾斜する底板８によって内部空間を左右対称
・気密状に区画した左バケット室６と右バケット室７に
区画されると共に、それぞれの開口部５と底板８の間に
「横中心線２Ａと平行するフィルター部９」によって区
画されて「開口部５側のスラリー受入室１０と底板８側
の気液室１１」に分割されており、この左・右バケット
室６・７のスラリー受入室１０と気液室１１は同一サイ
ズ・同一容量の対称形を成している。なお、フィルター
部９は約１５０メッシュサイズの金属製または樹脂製で
ある。

【００１３】そして（図２参照）この濾過機主部２は側
壁板３Ａ・３Ｂに突設した支承軸１２によって軸受部１
３に回転自在に支承されると共に、この支承軸１２と後
述する固定外套部材１４によって形成した流体流路手段
を有し、気液室１１の室内空気の給排気と気液室１１に
生じた液体の機外排出が可能に構成されている。

【００１４】即ち、支承軸１２は側壁板３Ａ・３Ｂの中
心孔１５と連通する第１中空部１６を有する先端閉じの
中空軸にして、第２中空部１８を有して給排気排液管２
１を接続した固定外套部材１４に貫通セットされると共
に、支承軸１２の軸周に設けた通孔１７を通して第１中
空部１６と第２中空部１８が常に連通している。そし
て、中心孔１５を介して気液室１１と第１・第２中空部
１６・１８が連通して、左右バケット室６・７の気液室
１１が給排気排液管２１と連通する前記の液体流路手段
を構成している。

【００１５】そして、以上の構成の濾過機主部２は上下
一対の開口部５を真上・真下にして一時停止して１８０
°間欠回転（同一方向の１８０°間欠回転または正逆方
向の１８０°間欠回転）ができる回転駆動部Ｄを備えて
いる。

【００１６】なお、この実施例のものは、後述するスラ
リーの濾過作用時においてフィルター部９によって濾過
されて底板８上に落下した液分が底板８に残ることなく
第１中空部１６へ円滑に移行できるように第１中空部１
６の開口下端と底板８の終端が段差を生ずることなく連
結されている。そして、濾過機主部２の上方には被処理
スラリーＳを受け入れて９０°回転して定量計量してス
ラリー受入室１０へ注入する「スラリー定量フィーダー
２０」が付設されている。

【００１７】以上の実施例のスラリー濾過装置１は、必
要な付属機器と組合せセットされて「スラリー濾過プラ
ント」として構築されて使用される。

【００１８】即ち（図３参照）定位置セットした濾過機
主部２の下方に固形物タンク２９を設置すると共に、ス
ラリー定量フィーダー２０にスラリーバッファタンク２
８を連結する。そして、固定外套部材１４から伸長した
給排気排液管２１を中間分岐して「吸気吸液管２２と送
気管２３」に成し、その吸気吸液管２２を「真空ポンプ
（図示しない）への吸気管２６」と「送液ポンプ（図示
しない）への送液管２５」を引き出す気液セパレーター
２４に接続する。そして、一方の送気管２３をコンプレ
ッサー２７に接続して配管レイアウトを構成して「スラ
リー濾過プラント」が構築され、以下の工法によってス
ラリー濾過作動させる。

【００１９】即ち（図４参照）左・右バケット室６・７
が正確な上下関係と成る姿勢に停止セットし、被処理の
スラリーＳを上方開口のスラリー受入室１０に定量注入
し、注入されたスラリーＳが自己の流動性によってフィ
ルター部９上に一様に拡がって層状になるタイミングで
気液室１１を「吸気吸液管２２と前記流体流路手段」を
介して負圧状態になし、大気圧のスラリー受入室１０の
スラリーＳの液体分Ｌをフィルター部９を通して気液室
１１へ吸引落下させる。

【００２０】かくして、気液室１１へ吸引落下した液体
分Ｌは傾斜姿勢の底板８を流下して吸引空気流によって
前記の第１・第２中空部１６・１８と吸気吸液管２２を
通して気液セパレーター２４に至り、排液管２５から排
液回収すると共に、フィルター部９上にスラリーＳの固
形粒状物の人工ゼオライトＧを残置させる。

【００２１】続いて、以上の分離回収作用の中間タイミ
ングまたは完了タイミングで、濾過機主部２を正確に１
８０°回転させて一時停止させ、人工ゼオライトＧを載
せたスラリー受入室１０を下向き姿勢にして人工ゼオラ
イトＧを固形物タンク２９に重力等によって落下させて
回収すると同時に、その１８０°回転によって上方開口
姿勢に成った右バケット室７のスラリー受入室１０に次
のチャージのスラリーＳを定量注入し、以下順次以上の
プロセスを反復してスラリーＳの液体分Ｌと人工ゼオラ
イトＧの分離・回収操作を行う。

【００２２】なお、前記の回転作動中は気液室１１の負
圧状態を維持して、スラリーＳの液分吸引分離作用を持
続させると共に、フィルター部９上のスラリーＳ・人工
ゼオライトＧの落下を防止する。そして、開口部５が下
向きになったとき、前記の流体流路手段によって気液室
１１を加圧状態に成して、人口ゼオライトＧの重力落下
を支援させると同時に、その加圧によるフィルター部９
のエアー逆噴射によってフィルター部９の「目づまり」
を修復させて、スラリーＳの濾過処理のワンサイクル毎
にフィルター部９をクリーニングしてフィルター機能を
安定持続させる工法を採択する。

【００２３】以上の実施例のスラリー濾過装置１は前記
の作用があり、人工ゼオライトスラリーＳの液体分と人
工ゼオライトＧの分離回収が極めて高品質・能率的にで
きると共に、スラリーの濾過作用を休止して行う「フィ
ルター部９の目づまり修復」は無用にして、スラリーの
濾過処理の生産性が特段に向上する。

【００２４】なお、本発明は前記実施例に限定されず、
例えば前記の流体流路手段は貫通中空部を有する支承軸
１２の軸端に、支承軸１２と相対回転自在の給排気排液
管２１を直結する形態等にすることがある。

【００２５】そして、本発明のスラリー濾過装置は、前
記実施例の人工ゼオライトスラリーの処理のみではな
く、他のスラリーの「液体分と固形粒状物」の分離回収
処理にも応用するものである。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明のスラリー
濾過装置は、人工ゼオライトスラリー等のスラリーの液
体分と固形粒状物の分離回収処理が高品質かつ能率的に
できると共に、フィルター部の「目づまりメンテナン
ス」の必要が殆どなく、当該生産性が向上する。以上の
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明１実施例のスラリー濾過装置を示し、
（Ａ）は全体正面図、（Ｂ）は（Ａ）の中央断面側面図

【図２】図１実施例の回転支承部分と流体流路手段を示
す部分正面図

【図３】図１実施例のスラリー濾過装置を用いたスラリ
ー濾過プラントの形態図

【図４】図１実施例の作動説明図

【図５】従来のスラリー濾過装置の基本形態図

【符号の説明】

１ 本発明のスラリー濾過装置 ２ 濾過機主部 ３Ａ・３Ｂ 壁板 ４Ａ・４Ｂ 壁板 ５ 開口部 ６ 左バケット室 ７ 右バケット室 ８ 底板 ９ フィルター部 １０ スラリー受入室 １１ 気液室 １２ 支承軸 １４ 固定外套部材 １５ 中心孔 １６ 第１中空部 １８ 第２中空部 ２０ スラリー定量フィーダー ２１ 給排気排液管 ２２ 吸気吸液管 ２３ 送気管 ２４ 気液セパレーター Ｓ スラリー Ｇ 人工ゼオライト

フロントページの続き (72)発明者 栄前田 修 三重県四日市市河原田町1261 コトブキテ クレックス株式会社四日市工場内 Ｆターム(参考） 4G073 CZ00 FD18

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁板で枠囲いして上下方向を開口し、か
   つ、上下方向の横中心線を回転中心として回転自在に軸
   支した横置バケット形態の濾過機主部から成り、該濾過
   機主部は前記横中心線に対して傾斜する前記壁板間の底
   板によって区画した左バケット室と右バケット室を備
   え、該左バケット室・右バケット室は前記横中心線と平
   行するフィルター部によって、開口部側のスラリー受入
   室と前記底板側の気液室に分割区画されると共に、該気
   液室は室内気体の給排気と室内液体排出を可能にする流
   体流路手段を備え、さらに、前記濾過機主部の前記左バ
   ケット室・右バスット室を上下方向にして順次交互に停
   止させる間欠駆動部を備えた構造を特徴とするスラリー
   濾過装置。
2. 【請求項２】 流体流路手段が、濾過機主部の気液室に
   連通する第１中空部を有する該濾過機主部の回転支承軸
   と、該第１中空部と連通する第２中空部と給排気排液管
   を接続して前記回転支承軸に嵌装セットした固定外套部
   材によって構成された請求項１のスラリー濾過装置。
3. 【請求項３】 濾過機主部の開口部の上方に、スラリー
   の間欠定量フィーダーを付設した請求項１または請求項
   ２のスラリー濾過装置。