JP2003086092A - ストロボ放電管の電極棒製造方法 - Google Patents

ストロボ放電管の電極棒製造方法

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JP2003086092A
JP2003086092A JP2002195728A JP2002195728A JP2003086092A JP 2003086092 A JP2003086092 A JP 2003086092A JP 2002195728 A JP2002195728 A JP 2002195728A JP 2002195728 A JP2002195728 A JP 2002195728A JP 2003086092 A JP2003086092 A JP 2003086092A
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rod
metal rod
electrode
discharge tube
metal
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Application number
JP2002195728A
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English (en)
Inventor
Kenichi Watanabe
健一 渡辺
Tsutomu Hida
勉 飛田
Nobuyuki Iwasaki
信行 岩崎
Masayoshi Muramatsu
正好 村松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストロボ放電管の電極棒を精度良く、ローコ
ストに製造する。 【解決手段】 大径のインデックステーブル24を備え
た溶接セクションにて、タングステン棒22とニッケル
棒23との端部を溶接し、電極棒6を形成する。完成し
た電極棒6は、第7ステージ31にて小径のインデック
ステーブル54を備えた溝形成ステーションに移送され
る。溝形成ステーションでは、第3ステージ57で電極
棒6にカソード部材を強固にカシメ止めするための溝を
形成する。第4ステージでは、各電極棒の検査が行なわ
れるので、不良品の混入を防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストロボ放電管の
電極棒製造方法に関し、更に詳しくは、電極棒の溶接方
法と、カソード部品の固着方法との改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】カメラのストロボ装置には、ガラス管内
にキセノン等の放電ガスを封入したストロボ放電管が用
いられている。このストロボ放電管は、ガラス管内の両
端に陰極と陽極となる電極棒が取り付けられており、こ
れらの電極棒の間でメインコンデンサに蓄えられた電荷
を瞬間的に放電させて閃光を発生させる。
【0003】電極棒は、ガラス管内に納められる電極部
が例えばタングステン(W)で形成され、ガラス管から
突出されるリード部がニッケル(Ni)やマンガンニッ
ケル(Mn−Ni)で形成されている。この電極棒は、
タングステン棒の端部とニッケル棒の端部とを溶接して
一体化することで形成される。具体的には、タングステ
ン棒の端部とニッケル棒の端部とを突き合わせた状態で
各金属棒間に電気を流し、融点の低いニッケル棒でタン
グステン棒の端部を包み込むようにして溶接している。
タングステン棒の端部を包み込んだニッケル棒の端部
は、玉形状に膨らんだ溶接玉となり、電極棒をガラス管
に取り付ける際に位置決めに使用される。
【0004】また、陰極側の電極棒の電極部には、電子
放出効率を高めるためにセシウム化合物等を含む焼結金
属で形成されたカソード部品が取り付けられている。こ
のカソード部品は、中央に穴が形成されたリング状であ
り、この穴に電極棒が挿通した後に外側から押圧して変
形させることで、電極棒の外周にカシメ止めされてい
る。このカソード部品が陰極側電極棒にしっかりとカシ
メ止めされるように、電極棒の電極部の表面には、微細
な凹凸部や傷がランダムに形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】タングステン棒とニッ
ケル棒との間に形成される溶接玉は、電極棒をガラス管
に取り付ける際の位置決めに利用されるため、その形状
やサイズを一定化する必要がある。しかしながら、溶接
玉の形状は様々な溶接条件によって変化するため、規定
の形状にすることが難しかった。
【0006】更に、従来の電極棒では、タングステン棒
の製造時に研削等によって、カソード部品をカシメ止め
するための凹凸部や傷を形成していた。しかしながら、
この方法によって凹部が形成されたタングステン棒は、
これらの溝や傷の付け方は加工工数が多いため、電極棒
のコストに悪影響を及ぼしている。
【0007】本発明は、上記各問題点を解決するための
もので、ストロボ放電管の電極棒をローコストに製造す
る方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明のストロボ放電管の電極製造方法は、第1
金属棒と第2金属棒とを導電性をもつそれぞれのチャッ
ク手段で保持し、それぞれのチャック手段間に電気を供
給して第1金属棒の一端を溶融させ、この溶融金属で第
2金属棒の一端を包み込むように溶接するようにしたも
のである。
【0009】また、溶接玉の形状やサイズを均一にする
には、第2金属棒のチャック手段からの突出量を一定に
すればよい。例えば、軸方向厚みがLb、外径がLbよ
りも大きい溶接玉を形成するには、第2金属棒の外径を
Dwとしたとき、チャック手段からの第2金属棒の突出
長を0.6Dw〜1.5Dwとすればよい。
【0010】更に、第1金属棒と第2金属棒とを挟持す
るチャック手段は、挟持方向が互いに直交するように配
置するとよい。これによれば、チャック手段の駆動機構
を互い違いに配置することができ、スペースを有効に利
用することができるようになる。また、2方向チャック
に挟持される金属棒は、挟持方向に直交する方向での位
置ずれが大きくなるが、両者のチャック方向が直交して
いれば、金属棒のズレ量を小さくすることができる。
【0011】更に、陰極側の電極棒にはカソード部品を
カシメ止めして取り付けるが、このカシメ止めが強固に
行われるように、電極棒の表明に傷や溝等の凹凸を形成
するとよい。この溝や傷の形成方法としては、レーザ光
によって電極棒の1本1本に加工を行う方法や、サンド
ブラスト加工によって、多数の電極棒に同時に加工を施
す方法も選択することができる。なお、サンドブラスト
加工は、電極棒の溶接の後に行うと、溶接時に付着した
金属屑等を取り除くことができるため、より効果的であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明方法を用
いて製造したストロボ放電管2の構成を示す要部断面図
及び分解斜視図である。ストロボ放電管2は、筒形状の
透明なガラス管3と、このガラス管3の両端に形成され
た開口部4,5に挿入される陰極側電極棒6及び陽極側
電極棒7と、陰極棒側電極棒6に取り付けられるカソー
ド部材8と、ガラス管3の開口部4,5を密封するガラ
スビーズ9,10と、ガラス管3内に封入される放電ガ
スであるキセノンガスとからなる。
【0013】陰極側電極棒6は、ガラス管3内に納めら
れる電極部12と、ガラス管3外に突出されてプリント
基板等への配線に使用されるリード部13とからなり、
電極部12とリード部13との間には、略ボール形状の
溶接玉14が設けられている。
【0014】電極部12は、例えばタングステン(W)
を用いて棒状に形成されており、表面にはカソード部材
8を取り付ける際に利用される溝20が形成されてい
る。リード部13は、例えばニッケル(Ni)を用いて
形成されており、電極部12と径が同等、もしくは若干
太くされている。溶接玉14は、電極部12とリード部
13とを溶接して接合する際に、リード部13が溶けて
電極部12の端部を包み込むことで形成される。
【0015】なお、電極部12には、タングステンの代
わりにニッケルコバルトと鉄の合金、またはニッケルと
鉄の合金、あるいは、モリブデン合金を使用することも
でき、リード部13にはニッケルの代わりにマンガンニ
ッケル(Mn−Ni)、及びコバルトとニッケルと鉄の
合金,ニッケルと鉄の合金、あるいはモリブデン合金を
使用することもできる。また、陽極側電極棒7は陰極側
電極棒6と同様に、電極部16,リード部17,溶接玉
18からなり、電極部16の長さが異なる以外は、同じ
材質、同様の製造方法で製造される。
【0016】ガラスビーズ9,10は、ガラスで略リン
グ形状に形成されており、中央には電極棒6,7の電極
部12,16が挿通される穴9a,10aが形成されて
いる。このガラスビーズ9,10は、電極部12,16
に挿入された後にヒーターで加熱されて電極棒12,1
6に溶着される。その後に、ガラス管3の開口部4,5
に挿入されてヒーターで加熱されることで溶融し、ガラ
ス管3を密封する。
【0017】カソード部材8は、金属粉末を筒状に成
型,焼結したものにセシウム化合物等を添加処理したも
ので、放電時の電子放出効率を高めるために用いられて
いる。このカソード部材8は、電極部12の溝20に被
せられる位置において外側から押圧されて変形すること
で、電極部12に固着される。
【0018】図3は、陰極側電極棒6の製造ラインの構
成を示す概略図である。この製造ラインは、電極部12
を構成する第2金属棒であるタングステン棒22と、リ
ード部13を構成する第1金属棒であるニッケル棒23
とを溶接して電極棒6を形成する溶接セクションと、電
極棒6の電極部12の表面に溝20を形成する溝形成セ
クションとからなる。溶接セクションは、45°の角度
でステップ回転するインデックステーブル24と、この
インデックステーブル24の停止位置に合わせて設けら
れた第1〜第8ステーション25〜32と、これらのス
テーション25〜32に配置された各種装置とからな
る。
【0019】インデックステーブル24の上面には、タ
ングステン棒22を挟持するW用チャック34が放射状
に等間隔で8個取り付けられている。これらのW用チャ
ック34は、タングステン棒22を挟み込む一対のアー
ム35と、これらのアーム35をタングステン棒22を
掴む方向と放す方向とに移動させる駆動機構とからな
る。図4に示すように、一対のアーム35の挟持面に
は、タングステン棒22の外周面に合わせた溝が形成さ
れており、タングステン棒22を精度良く挟持すること
ができる。駆動機構は、例えばソレノイドやカム機構か
らなり、タングステン棒22が軸方向で移動できるよう
に保持する状態と、押圧されても軸方向で移動しないよ
うに保持する状態との間で切り換えられ、どちらの状態
であってもタングステン棒22に挟み痕がつくほど強く
挟持することはない。
【0020】上記インデックステーブル24のW用チャ
ック34に対面する位置には、ニッケル棒23を挟持す
るNi用チャック37が8個取り付けられている。これ
らのNi用チャック37は、ニッケル棒23を挟み込む
一対のアーム38と、これらのアーム38をニッケル棒
23を掴む方向と放す方向とに移動させる駆動機構とか
らなる。一対のアーム38の挟持面には、ニッケル棒2
3の外周面に合わせた溝が形成されており、ニッケル棒
23を精度良く挟持することができる。駆動機構は、例
えばソレノイドやカム機構からなり、ニッケル棒23が
軸方向で押圧されても移動しないように、また、ニッケ
ル棒23に挟み痕等がつかないような力で挟持する。
【0021】なお、図4に示すように、W用チャック3
4のアーム35とNi用チャック37のアーム38と
は、それぞれの挟持方向が直交するように組み合わされ
ている。そのため、各チャック34,37の駆動機構を
離れた位置に配置することができるため、インデックス
テーブル24を小型化することができ、タングステン棒
22とニッケル棒23との同芯度も向上する。更に、W
用チャック34とNi用チャック37は、タングステン
棒22とニッケル棒23を保持するチャックとしての機
能の他に、抵抗溶接機の電極としての機能も備えてい
る。そのため、導電性の良いクロム銅(Cu−Cr)、
またはCu−W,または超硬あるいはこれらの組み合わ
せを使用して形成されている。
【0022】インデックステーブル24の第1ステーシ
ョン25には、タングステン棒供給装置40が配置され
ている。このタングステン棒供給装置40は、別の製造
ラインで製造されたタングステン棒22を整列するパー
ツフィーダーと、このパーツフィーダーから1本のタン
グステン棒22を取り出してW用チャック34のアーム
35の間に送り込むピックアンドプレースメント機構、
または切り出し機構とからなる。
【0023】第2ステージ26には、W用チャック34
の先端から突出するタングステン棒22の長さLsを調
節する突出量調節装置42が配置されている。この突出
量調節装置42は、例えば、突出量Lsが規定値となる
ようにタングステン棒をW用チャック34に押し込むよ
うな構成となっている。そのため、前述のタングステン
棒供給装置40では、規定値Lsよりも長く突出するよ
うにタングステン棒22をW用チャック34に挟持させ
る。
【0024】第3ステージ27には、ニッケル棒供給装
置44が配置されている。ニッケル棒23は、製造後に
切断されない長尺状のままリールに巻かれてニッケル棒
供給装置44にセットされる。ニッケル棒供給装置44
は、リールから長尺のニッケル棒を引き出し、ローラ等
に摺接させて巻き癖を矯正する。その後、溶剤が含まさ
れた不織布等に摺接させてゴミやホコリ油脂分等を取り
除き、定尺長さで切断してニッケル棒23を製造する。
完成したニッケル棒23は、ピックアンドプレースメン
ト機構によってNi用チャック37に供給され、アーム
38で挟み込まれる。これにより、図5(A)に示すよ
うに、タングステン棒22とニッケル棒23との端部同
士が対面する。
【0025】第4ステージ28には、突き当て装置46
が配置されている。突き当て装置46は、Ni用チャッ
ク37をW用チャック34に向けて移動させ、図5
(B)に示すように、ニッケル棒23の一端をタングス
テン棒22の一端に付き当てる。この突き当て装置46
は、バネの付勢による一定の押圧力でニッケル棒23を
タングステン棒22に押しつける。
【0026】第5ステージ29には、抵抗溶接装置49
が配置されている。抵抗溶接装置49は、W用チャック
34とNi用チャック37との間に電気を流す。これに
より、図6に示すように、タングステン棒22とニッケ
ル棒23とが加熱され、ニッケル棒23が溶融してタン
グステン棒22の一端を包み込むようにして溶接する。
なお、電流はペルチェ効果を発揮するためにW用チャッ
ク34からNi用チャック37に向けて流される。
【0027】第6ステージ30では、Ni用チャック3
7によるニッケル棒23の挟持が解除され、Ni用チャ
ック37はW用チャック34から離れた位置に退避され
る。第7ステージ31には、W用チャック34から陰極
側電極棒6を受け取り、隣接する溝形成セクションに供
給するピックアンドプレースメント装置51が配置され
ている。なお、溶接時に抵抗溶接装置49等で異常信号
が発生した場合には、その電極棒6は溝形成セクション
に供給されず、第8ステージ32まで搬送される。第8
ステージ32では、W用チャック34を開放して不良の
電極棒6を取り出し、集積する。
【0028】溝形成セクションは、溶接セクションのイ
ンデックステーブル24よりも小径で、60°の角度で
ステップ回転するインデックステーブル54と、このイ
ンデックステーブル54の停止位置に合わせて設けられ
た第1〜第6ステーション55〜60に配置された各種
装置とからなる。
【0029】インデックステーブル54の上面には、電
極棒6のリード部13、すなわちニッケル棒23の部分
を挟持する電極用チャック62が6個取り付けられてい
る。これらの電極用チャック62は、リード部13を挟
み込む一対のアームと、これらのアームをリード部を掴
む方向と放す方向とに移動させる駆動機構とからなる。
駆動機構は、例えばソレノイドやカム機構からなる。
【0030】インデックステーブル54の第1ステージ
55では、溶接セクションの第7ステージ31のピック
アンドプレースメント装置51から電極棒6が供給され
る。供給された電極棒6は、電極用チャック62に挟持
される。第2ステージ56には、電極用チャック62に
挟持される電極棒6の位置調節を行う電極棒位置決め装
置64が配置されている。
【0031】第3ステージ57には、レーザ加工装置6
6と、ガス噴射装置67とが配置されている。レーザ加
工装置66は、YAGレーザ等を使用するもので、図7
(A)に示すように、電極棒6の電極部12に向けてレ
ーザ光を照射し、同図(B)に示すように、溝20を形
成する。ガス噴射装置67は、レーザ光で電極棒6に溝
20を形成する際に電極棒6に向けて窒素ガスを噴射
し、溶融したタングステンが電極棒6に付着しないよう
に吹き飛ばす。
【0032】第4ステージ58には、加工形状検査装置
69が配置されている。この加工形状検査装置69は、
電極棒6を撮像する撮像部と、この撮像部で撮像した画
像データと、予め記憶している基準データとを比較して
溝20の大きさや形状の正否を判定する判定部とを備え
ている。
【0033】第5ステージ59では、電極用チャック6
2が開放されて電極棒6が取り出される。取り出された
電極棒6は、製品コンテナ71に収納されて次のストロ
ボ放電管製造ラインに搬送される。第4ステージ58の
加工形状検査装置69にてNG品と判定された電極棒6
は、第5ステージ59では電極用チャック62から取り
出されず、次の第6ステージ60で電極用チャック62
から取り出されてNG品コンテナ72に集積される。な
お、陽極側電極棒7の製造ラインは、陰極側電極棒6の
製造ラインの溶接セクションから第7ステージ31を省
き、溝形成セクションを省略したものと同等であるため
詳しい説明は省略する。
【0034】完成した陰極側電極棒6と陽極側電極棒7
とは、ストロボ放電管製造ラインに搬送される。ストロ
ボ放電管製造ラインは、図8に示すフローチャートにし
たがってストロボ放電管を製造する。図9(A)に示す
ように、ストロボ放電管製造ラインに供給された陰極側
電極棒6は、ヒーター治具75に形成された保持穴76
にリード部13側から挿入される。ヒーター治具75
は、カーボンを用いて板状に形成されており、複数、例
えば数百個の保持穴76が整列して形成されている。数
百個の陰極側電極棒6は、ヒーター治具75の各保持穴
76に挿入されて同時に処理される。
【0035】ヒーター治具75に保持された陰極側電極
6の電極部12には、ガラスビーズ9が挿入される。そ
の後、ヒーター治具75ごとヒーターによって加熱され
ることにより、ガラスビーズ9が溶けて陰極側電極棒6
に溶着される。
【0036】次に、同図(B)に示すように、陰極側電
極棒6の電極部12には、カソード部材8が挿入され、
カソード部材8の外側が押圧されて変形することによ
り、電極棒6に固着される。なお、カソード部材8の電
極棒6へのカシメ止めをする方法及び装置としては、特
開平6−230456号公報に記載されている方法を用
いるため、詳しい説明は省略する。
【0037】詳しくは図示しないが、陽極側電極棒7も
同様にしてヒーター治具75の保持穴にセットされ、ガ
ラスビーズ10が溶着される。そのあとに、陽極側電極
棒7にガラス管3が被せられ、ヒーターによって再度加
熱される。これにより、ガラス管3とガラスビーズ10
とが溶融して一体化し、陽極側電極棒7がガラス管3に
固定される。
【0038】その後、陰極側電極棒6をヒーター治具7
5に保持されているガラス管3に挿入し、図10に示す
ように、陰極側電極棒6側をヒーター治具75で保持し
て、ヒーターで加熱する。この加熱は、キセノンガス雰
囲気中で行われるため、ガラス管3の封止と同時に、ス
トロボ放電管2内にキセノンガスが密封される。完成し
たストロボ放電管は、電極棒6,7のリード部13,1
7が所定長さにカットされ、発光検査が行われる。発光
検査にパスしたストロボ放電管2は、ガラス管3の表面
にITO製膜が施され、外観検査の後に出荷される。
【0039】
【実施例】図11に示すように、陰極側電極棒6の電極
部12は、直径Dw=0.6mm、長さLw=4.5m
mとなっている。また、リード部13は、直径Dn=
0.8mmであり、電極棒6全体の長さLdは、19.
5mmとなっている。溶接玉14は、直径Db=0.9
5〜1.13mm、軸方向の長さLbは、0.8mm程
度が好ましい。なお、陽極側電極7は、電極部16の長
さが3.5mm,全体の長さが18.5mmである以外
は、陰極側電極6と同寸法である。
【0040】上記電極棒6において溶接玉14の長さL
bは、ストロボ放電管2の品質を維持する上で重要な要
素となる。溶接玉14は、電極棒6をガラス管3に取り
付ける際の位置決めに使用されるため、Lbが長いと電
極部12の長さLwが短くなり、逆にLbが短いとLw
が長くなってしまう。これによれば、陰極側の電極部1
2と陽極側の電極部16との間の距離が不均一になり、
放電のアーク長も変化してしまう。そのため、溶接玉1
4の形状としては、Lb>Dbとなるラグビーボール形
状よりも、Lb<Dbとなるカボチャ形状が好ましい。
【0041】溶接玉14を上記寸法にて均一に製造する
ことのできる条件を得るために、溶接条件を様々に組み
合わせて、タングステン棒22とニッケル棒23とから
なる電極棒6を多数本製造した。その結果、W用チャッ
ク34の先端からのタングステン棒22の突出量Ls
と、タングステン棒22とニッケル棒23とを突き合わ
せる押圧力と、溶接時の電圧や通電時間によって溶接玉
14の形状が左右されることが分かった。
【0042】上記検討結果から、タングステン棒22の
突出量Lsと印加電圧とを変化させて溶接玉径Dbが約
1mmになるような条件でタングステン棒22とニッケ
ル棒23とを溶接し、電極部長さLw,溶接玉径Db,
溶接玉長Lbを測定して、図12のグラフに記載した。
なお、各資料は10本ずつ製作して測定しており、図1
2のグラフの値はその平均値となっている。また、印加
電圧のパターンとしては、図13に示すように、電圧を
徐々に上昇させてタングステン棒22とニッケル棒23
とを加熱する予備電圧P3を40msec,ニッケル棒
23を溶融して溶接を行う本溶接用の電圧P4を55m
sec印加した。
【0043】図12に示す実験結果から、電圧を変化さ
せれば突出量Lsを変化させても溶接玉径Dbを一定に
することができることが分かった。また、突出量Lsが
長くなると溶接玉長Lbも長くなり、電極部長さLwは
これに反比例して短くなることが分かった。この実験結
果の原因としては、タングステン棒22の突出部分に電
流が流れることにより、タングステン棒22とニッケル
棒23との突き当て部分以外も加熱されてしまうためと
考えられる。このことから、タングステン棒22の突出
量Lsは、0.8Dw〜1.5Dw、好ましくは0.7
mm程度であることが分かった。
【0044】次に、溶接玉14の形状と溶接時間との関
係を調べるために、タングステン棒22の突出量Lsを
0.7mmに固定し、溶接時間を10msecと75m
secとした場合の電極部長さLw,溶接玉径Db,溶
接玉長Lbを測定した。なお、この実験においても各資
料を10本ずつ製造し、その平均値を図14のグラフに
記している。また、印加電圧のパターンとしては、図1
5に示すように、本溶接のための電圧P4をT4mse
c印加した。
【0045】上記実験の結果、溶接時間が10msec
の時には、電圧P3を1.5V程度にしないとニッケル
棒23が溶融せず、75msecの時には0.7V程度
でもニッケル棒23を溶融させることができた。このこ
とから、短い溶接時間で溶接を行うには印加電圧を高く
する必要があり、その結果タングステン棒22とニッケ
ル棒23との突き当て部分以外も加熱されて溶接玉14
の形状がラグビーボール状になることが分かった。ま
た、溶接時間を長くすると溶接玉14はかぼちゃ状にな
るが、酸化と押しつけ方向での偏芯とが発生しやすくな
る。この実験結果から、溶接時間は50msec程度が
好ましいことが分かった。なお、詳しくは説明しない
が、好ましい溶接条件は陽極側電極棒7においても同一
である。
【0046】図16に示すように、カソード部材8を固
定するための溝20は、幅Lm,深さDmとなる。この
溝20は、レーザ加工装置66とガス噴射装置67とを
以下の条件で稼働させることで、Lm=0.4mm,D
m=0.05mmのサイズのものを形成することができ
る。 レーザ出力:6J パルス幅:3msec ビーム直径:0.6mm ガス流量:20l/min
【0047】また、レーザ加工装置66とガス噴射装置
67とを以下の条件で稼働させた場合には、Lm=0.
58mm,Dm=0.13mmのサイズのものを形成す
ることができた。この溝20を資料No.1とする。 レーザ出力:14.7J パルス幅:1msec ビーム直径:0.6mm ピーク出力:3.8Kw 焦点距離:55mm ガス流量:30l/min
【0048】更に、図17に示すように、位置をずらし
て2度のレーザ照射を行うことにより、Lm=1.10
mm,Dm=0.13mmの溝80を形成した。この溝
80を資料No.2とする。上記資料No.1と資料N
o.2と、現行品である資料No.3とにカソード部材
8をカシメ止めし、引き抜き力の測定を行った。この実
験結果を以下の表1に記す。
【0049】
【表1】
【0050】カソード部材8の引き抜き力は、設計値と
して平均1Kgf以上、最小0.5Kgf以上が想定さ
れている。これに対して、レーザ加工により溝を形成し
た電極棒も、平均では1Kgf以上、最小でも0.5K
gf以上の引き抜き力を発揮することができる。この実
験結果から、溝を下記に記す範囲内の大きさで形成する
ことにより、平均1Kgf以上、最小0.5Kgf以上
の引き抜き力を得られることが分かった。なお、Lc
は、図18に示すように、カソード部材8の軸方向長さ
である。 Lm=0.1Lc〜0.8Lc Dm=0.03Dw〜0.4Dw
【0051】また、溝の形状としては、楕円,長円,矩
形等の形状でも効果を得ることができ、その数も1〜6
の範囲で電極棒の外周に形成すると引き抜き力を強める
ことができる。
【0052】また、上記実施形態では、電極棒6に溝2
0を形成してカソード部材8のカシメ止めの引き抜き力
を高めたが、電極棒6にサンドブラスト加工を施して表
面を粗すことで、カソード部材8の引き抜き力を高める
こともできる。以下の表2に、ショット径#46と#6
0のショット粒を使用してタングステン棒22をサンド
ブラスト加工した際の表面粗さを記載する。なお、サン
ドブラスト方法としては、複数本のタングステン棒22
をザルに入れて低速で回転させ、ショット粒を規定の気
圧で吹き付けることにより行う。また、ブラスト時間以
外のブラスト条件は、以下に記す通りである。 エアー吹き付け圧:2Kgf/cm2 かご回転数:40rpm 投入量:30,000本 タングステン棒の長さ:5.1mm ショット粒材質:アルミナ
【0053】
【表2】
【0054】上記実験結果から、ブラスト時間10mi
n〜15minで、Ra=0.9以上,Rmax10以
上と現行品と同等以上となるため、平均1Kgf以上の
引き抜き力を得ることができると推定できる。また、タ
ングステン棒22にサンドブラスト加工を施すと、タン
グステン棒22の端面も荒らされるため、溶接がしやす
くなるという効果を得ることができる。また、サンドブ
ラスト加工は、タングステン棒22とニッケル棒23と
が溶接された後に、電極棒6に施してもよく、この場合
には、溶接時に表面に付着したニッケルの玉を除去する
ことができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のストロボ
放電管の電極棒製造方法によれば、溶接玉の形状を均一
にすることができる。
【0056】また、電極棒の製造ライン中において、各
電極棒にレーザ光で溝を形成することができるので、溝
形状を均一化することができ、溝形状の検査も行うこと
ができ、不良品の混入を防ぐことができる。
【0057】更に、電極棒の表面をサンドブラストによ
って粗す場合には、大量の電極棒を同時に処理すること
ができる。また、溶接後の電極棒に実施した場合には、
溶接時に電極棒の表面に発生し付着した金属の飛散物を
除去することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストロボ放電管の構成を示す要部断面図であ
る。
【図2】ストロボ放電管の構成を示す分解斜視図であ
る。
【図3】陰極側電極棒の製造ラインの概略図である。
【図4】溶接時に電極棒を挟持するチャックの外観斜視
図である。
【図5】タングステン棒とニッケル棒の圧接状態を示す
説明図である。
【図6】タングステン棒とニッケル棒の溶接状態を示す
説明図である。
【図7】レーザ光による溝形成を示す説明図である。
【図8】ストロボ放電管の製造順序を示すフローチャー
トである。
【図9】電極棒にガラスビーズとカソード部材とを取り
付けた状態を示す説明図である。
【図10】ガラス管を封止している状態を示す説明図で
ある。
【図11】電極棒の寸法を示す側面図である。
【図12】タングステン棒の突出量と溶接玉形状との関
係を示すグラフである。
【図13】溶接電圧の印加パターンの一例である。
【図14】溶接時間と溶接玉形状との関係を示すグラフ
である。
【図15】溶接電圧の印加パターンの別の例である。
【図16】溝の寸法を示す側面図である。
【図17】2度のレーザ加工により形成した溝の寸法を
示す側面図である。
【図18】カソード部材の寸法を示す要部断面図であ
る。
【符号の説明】
2 ストロボ放電管 3 ガラス管 6 陰極側電極棒 7 陽極側電極棒 8 カソード部材 9,10 ガラスビーズ 12,16 電極部 13,17 リード部 14,18 溶接玉 20 溝 24,54 インデックステーブル 34 W用チャック 37 Ni用チャック 49 抵抗溶接装置 66 レーザ加工装置 67 ガス噴射装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 信行 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 村松 正好 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1金属棒と第2金属棒とがそれぞれの
    一端で互いに溶接され、この溶接によって形成された溶
    接玉を境界にして第2金属棒が放電ガスを封入したスト
    ロボ放電管の内部に位置するように固定されるストロボ
    放電管の電極棒を製造する方法において、 第1金属棒と第2金属棒とを導電性をもつそれぞれのチ
    ャック手段で保持し、第2金属棒の一端に第1金属棒の
    一端を押しつけながらチャック手段間に電気を供給して
    第1金属棒の一端を溶融させ、この溶融金属で第2金属
    棒の一端を包み込むように溶接することを特徴とするス
    トロボ放電管の電極棒製造方法。
  2. 【請求項2】 第1金属棒と第2金属棒とがそれぞれの
    一端で互いに溶接され、この溶接によって形成された溶
    接玉を境界にして第2金属棒が放電ガスを封入したスト
    ロボ放電管の内部に位置するように固定されるストロボ
    放電管の電極棒を製造する方法において、 第1金属棒と第2金属棒とを導電性をもつそれぞれのチ
    ャック手段で保持し、それぞれの金属棒の一端を互いに
    押しつけながらチャック手段間に電気を供給することに
    よって第1金属棒の一端を溶融させ、この溶融金属で第
    2金属棒の一端を包み込ませることによって軸方向厚み
    がLb、外径がLbよりも大きい前記溶接玉を形成する
    に際し、第2金属棒の外径をDwとしたとき、チャック
    手段からの第2金属棒の突出長を0.6Dw〜1.5D
    wの範囲に設定したことを特徴とするストロボ放電管の
    電極棒製造方法。
  3. 【請求項3】 それぞれのチャック手段は金属棒の外周
    面を両側から挟持する2方向チャックで構成され、これ
    らの2方向チャックによる挟持方向が互いに直交してい
    ることを特徴とする請求項1または2記載のストロボ放
    電管の電極棒製造方法。
  4. 【請求項4】 第1金属棒と第2金属棒とがそれぞれの
    一端で互いに溶接され、第2金属棒が放電ガスを封入し
    たストロボ放電管の内部に位置するように固定され、か
    つ第2金属棒にリング状のカソード部品が固着されたス
    トロボ放電管の電極棒を製造する方法において、 第2金属棒の外周面に、第2金属棒と交差する方向から
    レーザ光を照射して溝を刻みつけ、この溝位置に合わせ
    て前記カソード部品をその外周面から押圧して変形させ
    ることによって第2金属棒に固着することを特徴とする
    ストロボ放電管の電極棒製造方法。
  5. 【請求項5】 レーザ光の照射とともに、第2金属棒の
    外周面にガス流を吹きつけることを特徴とする請求項4
    記載のストロボ放電管の電極棒製造方法。
  6. 【請求項6】 カソード部品の軸方向長さをLc、第2
    金属棒の外径をDwとしたとき、前記溝は幅が0.1L
    c〜1.5Lc、深さが0.03Dw〜0.4Dwであ
    ることを特徴とする請求項4または5記載のストロボ放
    電管の電極棒製造方法。
  7. 【請求項7】 第1金属棒と第2金属棒とがそれぞれの
    一端で互いに溶接され、前記第2金属棒が放電ガスを封
    入したストロボ放電管の内部に位置するように固定さ
    れ、かつ第2金属棒にリング状のカソード部品が固着さ
    れたストロボ放電管の電極棒を製造する方法において、 第2金属棒の外周面にサンドブラストによるランダムな
    凹凸を刻みつけた後、前記カソード部品を第2金属棒に
    嵌め込み、カソード部品をその外周面から押圧して変形
    させることによって第2金属棒に固着することを特徴と
    するストロボ放電管の電極棒製造方法。
  8. 【請求項8】 前記サンドブラストは、第1金属棒と第
    2金属棒とを溶接した後に行われることを特徴とする請
    求項7記載のストロボ放電管の電極棒製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104972402A (zh) * 2014-04-04 2015-10-14 上海亚尔光源有限公司 一种钨杆表面处理工艺
KR102362481B1 (ko) * 2020-10-05 2022-02-15 주식회사 화승알앤에이 이중관용 자동 용접 시스템

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