JP2003082592A - ゴミゼロシステムによる非木材材パルプの製造方法 - Google Patents

ゴミゼロシステムによる非木材材パルプの製造方法

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JP2003082592A JP2001274866A JP2001274866A JP2003082592A JP 2003082592 A JP2003082592 A JP 2003082592A JP 2001274866 A JP2001274866 A JP 2001274866A JP 2001274866 A JP2001274866 A JP 2001274866A JP 2003082592 A JP2003082592 A JP 2003082592A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境に優しいパルプの製造システムを提供する 【解決手段】カリウムベースのアルカリ溶液で煙道ガス
を洗浄し、得られるカリウムの亜硫酸塩を含む混合液を
蒸解薬液としてパルプ化するか、非木材セルロース原料
と混合し、加熱することなく高濃度で強制攪拌して柔ら
かい結束繊維状にし、更に機械的に解繊して、固液分離
することによってパルプ廃液と極めて高収率で非木材パ
ルプを得る。パルプ廃液は所望により一部をセルロース
原料の保存剤として利用すると共に濃縮燃焼することに
より肥料として利用しうる硫酸カリウムとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地球環境容量の拡大
に役立つ非木材パルプの製造システムと其れに必要な要
素技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】木材を使わずに、毎年莫大量発生する農
産廃棄物等の非木材の繊維原料を利用し、良質の非木材
パルプが高収率かつ低公害で生産出来れば、現在の世界
の生産量約2,000万トンを、約10億トンに増やす
ことも可能で、世界の紙不足が解消し、教育、文化、産
業の発展に寄与し、かつ地球環境に優しいとあって、世
界中の人々の期待が集っている。
【0003】しかし現実は厳しく、木材パルプ工業が永
らくメジャーであり非木材パルプ工業はマイナーであっ
たため、技術開発能力において劣り、パルプの製造技術
の殆どが木材パルプの技術の借り物であり、原料の工場
への安定供給、及び環境対策等に必要な周辺技術は殆ど
開発されてなく、トータルシステムに至っては、それら
しいものすら構築がなされていなかった。そのためパル
プの品質、価格が需要家の期待に添えず、また深刻な公
害問題を起こしたため、1995年以降、中国はじめ世
界各国の非木材パルプ工場の閉鎖が相次ぎ、生産量も減
少を余儀なくされている。
【0004】NSP法(中性亜硫酸法)は亜硫酸ナトリウム
に所望により水酸化ナトリウムを添加した混合液を蒸解
薬液としてリグニン含有量の少ない長繊維原料を高温高
圧下で蒸解する方法で、得られるパルプはKP法で得られ
る暗褐色のパルプに比べて遥かに白色度と収率が高く、
強い悪臭の発生を見ないため、アバカパルプ等の特殊高
級パルプの少量生産技術として評価されてきた。
【0005】しかし、NSP法のパルプ廃液は環境負荷が
大きく生物処理等は容易でない。またパルプ廃液を濃縮
燃焼処理してエネルギーを回収し、硫酸ナトリウムと炭
酸ナトリウムを主成分とする灰から薬液を回収すること
は、工程がKP法に比べて遥かに複雑になるため経済的価
値に乏しく技術開発もされてない。ナトリウム塩からな
るアルカリ性が強い灰は捨てれば近辺の田畑の土質を損
ねるなど多くの障害に阻まれ、パルプの需要がありなが
ら生産を自粛せざるを得ない状況にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】麻類及び農産廃棄物等
広く非木材繊維原料をNSP法の蒸解薬液で省資源、省エネ
ルギーかつ低公害でパルプ化するとともに、パルプ化に
用いる蒸解薬液は燃焼ガス中の二酸化硫黄等の汚染物質
を利用して調製し、パルプ廃液は加里肥料を生産して緑
化とバイオマスの拡大再生産を計るとともに、パルプ原
料の保存に循環利用を可能とする。しかして、地球の環
境容量の拡大を可能とする非木材パルプ製造のトータル
システムとそれを可能とする要素技術を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者はパルプの製造に
伴う公害の処理の研究、さらには廃棄物を活用すること
により製品以外は外部に出さないゴミゼロ方式で、地球
環境容量拡大を可能とするパルプの製造システムの研究
開発に鋭意努力を続けてきた。この度、高硫黄含有重油
を燃焼させることにより二酸化硫黄と二酸化炭素を含む
燃焼ガスを発生させ、(1)、(2)及び3)式に示す
ように、水酸化カリウム水溶液で脱硫無害化する際に生
ずるカリウムの亜硫酸塩と炭酸塩の混合液を収得した。
この混合液をもって蒸解薬液としてバナナの原麻(原料
麻)と混合し、地球釜を用いて蒸解し良質の長繊維化学
パルプを得た。 2KOH+CO =KCO+HO (1) KCO+2SO+HO=2KHSO+CO2 (2) KHSO+KOH = KSO +2HO (3)
【0008】更に發明者は研究を進め、従来NSP蒸解薬
液では高温高圧下で蒸解しても容易にパルプ化せず、更
に大量の機械的エネルギーを加えて解繊処理を行なわな
ければパルプ化しなかった、リグニン含有量が大きいバ
ガス、稲、麦等のわら類などの硬質の非木材繊維原料のパ
ルプ化に取り組み、バガスとNSP蒸解薬液をニーダータ
イプの高濃度攪拌機で処理することにより組織をほぐ
し、更にディスクリファイナーで処理することにより、
白色度71%の良質の半化学パルプを89%の高収率で
得ることに成功した。
【0009】NSP法のパルプ廃液の濃縮液を、バガスや
稲の生わら等、嵩張り、水分が多く腐敗し易い原料と混
合することにより、コンパクトに圧縮することも、長期
保存することも可能となった。そのため、長期貯蔵と長
距離大量輸送も容易となり、非木材パルプ工場の土場に
大量の原料を年間を通じ安く安定供給することが可能と
なった。なお、NSPパルプ廃液で処理したパルプ原料
は、繊維原料の蒸解及びパルプ化に何らの障害を及ぼさ
ないだけでなく、回収し循環利用できるので、通常の防
腐剤の使用と異なり環境に何らの影響を与えず、パルプ
廃液の濃度の向上に益し、濃縮燃焼処理の工程と装置の
簡素化に役立つ。
【0010】パルプ廃液を硫黄含有燃料と混焼すること
により、(4)、(5)及び(6)式に示すように、殆
ど炭酸カリウム等のアルカリ性の物質を含まずに、硫酸
カリウムが乾燥した粉末または固形の状態で収得可能と
なる。これは植物資源の持続ある生産を可能とする肥料
として利用可能である。過剰の二酸化硫黄を含む煙道ガ
スは熱交換後、水酸化カリウム水溶液で洗浄され蒸解薬
液となってパルプの製造に供される。 KCO+SO =KSO+CO (4) 2SO+O =2SO3 (5) KSO+SO=KSO+SO (6) 以上のように本発明は主に農産廃棄物を用い、重廃油等
低質燃料の燃焼ガス中の二酸化硫黄及び二酸化炭素を水
酸化カリウムで処理して無害化し取り込み、処理後の液
を蒸解薬液として取得し、良質の化学パルプの持続的製
造を可能とすると共に、高収率半化学パルプを高圧反応
装置も加熱装置も、加熱も要せずに低公害、省エネルギ
ー生産することに成功した。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】これまで、いずれも高温高圧下での蒸解を
必要としてきた麻類ようなリグニン含有量の少ないソフ
トな長繊維原料ばかりでなく、リグニン含有量が大きい
硬質の短繊維原料のバガス、稲わら、麦わら、ジュート及
びケナフの全幹など広く非木材繊維資源が本発明のパル
プ原料として適用できる。
【0013】保存処理に供するパルプ原料の形態は全く
の湿潤状態でも、半乾燥状態でも,風乾状態であっても
よい。例えばバガスは製糖工場から排出された、50%
の水分を含んだままでもよく、稲わらトウモロコシ及び
ジュート、ケナフ等は圃場で発生する水分含有量が20
〜50%も含んだ切わら状態のものでもよく、風乾状態
でもよい。麻類、バナナ,パイナップル等は原植物から
抽出したばかりで水分40〜70%含む湿潤状態でも、
本発明によれば保存処理が可能である。
【0014】保存剤として用いるパルプ廃液は、広くNS
P法で繊維原料を蒸解し,蒸解物をパルプと固液分離して
得られる固形分10〜70%の濃度の廃液で、洗浄液及
び濃縮液も含まれる。アルカリをパルプ廃液1トン当た
り1〜20kg,好ましくは3〜10kg添加することは保
存性を強化し、又輸送貯蔵時に緩慢な組織の軟化を促し
繊維を傷めずパルプ化を容易にする効果を期待できる。
用いるアルカリとしてはカリウムの水酸化物又は及び炭
酸塩が挙げられる。
【0015】保存処理方法としては、野積みと屋根がけ
での貯蔵がある。
【0016】野積みは,パルプ原料に対して固形分濃度
10〜35%好ましくは12〜18%パルプ廃液を表面
に散布し、流下したパルプ廃液を汲み上げ散布用に循環
利用する。この処でパルプ原料の保存は容易となり、長
期貯蔵と、遠距離大量輸送を可能となった。この際当
然、腐敗臭の発生は抑えられる。野積の際の乾燥により
パルプ廃液の粘度が上がり、風によるダストの飛散も防
止できる。
【0017】屋内又は覆いを掛けた貯蔵場所では、本発
明によって湿潤状態、半乾燥状態及び半乾燥状態のパル
プ原料はコンパクトな状態で1年以上の極めて長期の貯
蔵が可能となった。湿潤バガスや、バナナの古木、パイナ
ップルの古株等を短く切断し、バイオ処理して澱粉、ペク
チン及び過剰な水分等の非繊維分を除去し、繊維分を濃
縮して得られる水分35〜65%程度の湿潤状態の原麻
はパルプ蒸解に好適ではあるが、形状が天日乾燥には不
適で、腐敗し易く、強い防腐剤は労働衛生上及び環境対
策上使用が困難なため、従来技術では貯蔵に耐えられな
かったが、本発明により、原料の周年大量にかつ安定し
て使用することが可能となった。
【0018】また、パルプ化も容易になった。リグニン
含有量の多いバガス等の硬質の非木材パルプ原料も、加
熱することなしに2段処理でパルプ化が可能となった。
【0019】一方、リグニン含有量が低く軟質ではある
が、形状が長いために連続蒸解に不向きであった麻類な
ども、本発明によれば短く切っても腐らせずに貯蔵、輸
送ができるため、工場に安定して供給可能となり、連続
蒸解装置を用いた長繊維パルプの省力生産が可能となっ
た。すなわち、本発明によれば、長繊維原料でも短くカ
ットすれば、硬質の短繊維原料と同様NSP蒸解薬液を用
い、ニーダータイプの強制攪拌が可能な連続蒸解装置を
用いれば極めて低液比の気相蒸解が出来、攪拌に伴って
発生する熱がそのまま蒸解に利用されるので外部から熱
を加えずに、また高圧設備を一切要せずにパルプ化が可
能となった。さらにリファイナーによる精砕により白色
度がKP及びAPに比べてはるかに白色度の高い精選未晒パ
ルプを得ることが可能となった。本発明により得られる
化学パルプ及び半化学パルプはいずれも繊維は切れにく
く、引き裂き強度をはじめ諸強度が優れ、また白色度はK
P及びAPに比べて著しく高い。
【0020】蒸解薬液はカリウムの水酸化物又は炭酸塩
の水溶液で二酸化硫黄を含む煙道ガスを洗浄して得られ
るカリウムの亜硫酸塩又は及び炭酸塩を含む水溶液及び
所望により水酸化物を添加したものが使用できる。
【0021】薬品の使用量は化学パルプ製造において
は、原料の固形分重量に対して亜硫酸カリウムはKSO
として15〜30%、好ましくは10〜20%で、炭
酸カリウム又は水酸化カリウムは合計で0〜10%、好
ましくは2〜5%である。アントラキノン類の使用は蒸
解を容易にし、蒸解温度を下げ、繊維を傷めない効果が
得られ、また幾分かの収率向上が期待できる。その使用
量は0.01〜0.3%、好ましくは0.03〜0.1
%である。蒸解薬液にNMPを添加することは繊維原料中
の樹脂の除去に有効である。砂糖きび等の原料の表面に
は樹脂分が多く、従来蒸解の際に樹脂障害を起こし、ま
た樹脂を取り切れない製品パルプが起こしていた製紙工
程での樹脂障害の解決に役立つ。その使用量は0.03
〜0.5%で好ましくは0.05〜0.2%である。
【0022】液比は1.5〜10 L/kgと広範囲で取れ
るが、気相蒸解では2.0〜3.0L/kgが好ましく、液
相蒸解では4.0〜6.0 L/kgが好ましい。蒸解にお
いて必要な温度及び時間は原料及び求めるパルプ及び液
相蒸解か気相蒸解かによって異なる。液相蒸解では、通
常150〜185oC、1〜8時間で、好ましくは、13
5〜160oC、2〜4時間である。気相蒸解では、11
5〜170oC、1〜8時間で、好ましくは、120〜1
40oC、2〜4時間である。
【0023】半化学パルプの製造に当たって、薬品の使
用量は原料の固形分に対して、亜硫酸カリウムはKSO
として3〜15%、好ましくは5〜10%で、炭酸カ
リウム又は水酸化カリウムは0〜10%、好ましくは1
〜3%である。アントラキノン類の使用量は0.01〜
0.3%、好ましくは0.03〜0.1%である。NMP
の使用量は0.03〜0.5%で好ましくは0.05〜
0.2%である。蒸解は液相蒸解も可能であるが、気相
蒸解が廃液の減量容化、公害対策及び省エネルギーの見
地から望ましい。液比は1.5〜3.5 L/kg、好まし
くは1.8〜2.5 L/kgである。ニーダ-タイプの強
制攪拌装置を用い、低液比での気相蒸解おいては発生す
る熱が利用できるので加熱の必要が無く、特に多段式緩
圧ニーダーの使用は化学反応と機械的処理効果が相乗的
に働き、繊維を傷めずに原料の組織をほぐし、次のリフ
ァイナーによる精度の高い解繊を行う上で好ましい。本
発明によれば高圧反応釜がパルプ工業で要らなくなる。
しかして従来装置産業であった同工業の軽量化を一気に
進めることが可能となる。処理に必要な時間は原料及び
求めるパルプによって異なるが、通常ニーダ-タイプの
強制攪拌装置の滞留時間は5〜30分で、好ましくは、
10〜20分である。また、リファイナーによる解繊も
各種解繊装置が利用できるが、高濃度ディスクリファイ
ナーの使用は製品の質と、生産性の向上にも顕著な効果
がある。
【0024】パルプ廃液の濃縮燃焼は、通常の濃縮装
置、及び燃焼炉が使用可能である。
【0025】濃縮に際しては簡便な多重効用缶やチャン
ネルスウィッチングタイプの濃縮缶等があり、多重効用
缶によりパルプ廃液は固形分濃度35〜70%に好まし
くは50〜65%に濃縮される。多段効用缶の使用によ
る濃縮は、エネルギーの節約上好ましい。濃縮液に所望
により水酸化カリウム又は炭酸カリウム等のアルカリの
添加は繊維原料の保存性を更に上げることが出来、同時
にパルプ廃液の濃縮時のスケールトラブルの抑制に効果
がある。
【0026】濃縮パルプ廃液の燃焼に用いる燃焼炉は、
酸化雰囲気で燃焼させて灰を硫酸塩の形で取り出せばよ
いので構造的にも単純で簡便な装置の中から選ぶことが
出来る。これは還元雰囲気での燃焼と、酸化雰囲気での
燃焼が必要で、複雑な構造が要求されるKP法等の複雑な
炉に比べて極めて有利である。燃焼炉は酸化雰囲気で燃
焼させて灰を硫酸塩の形で取り出せばよいので構造的に
も単純で簡便な装置の中から選ぶことが出来る。これは
還元雰囲気での燃焼と、酸化雰囲気での燃焼が要求され
る複雑な構造が要求されるKP法等の複雑な炉に比べて極
めて有利である。燃焼は高温で行なわれるため、
(4)、(5)及び(6)式のように廃液の成分は二酸
化炭素と二酸化硫黄及び無水硫酸となり、更に酸化カリ
ウムと反応して乾燥状態の固形の硫酸カリウムとなって
分離回収集が可能であり、残りの二酸化炭素と二酸化硫
黄を含む燃焼ガスは熱回収された後、既に述べた(1)、
(2)及び(3)式のように水酸化カリウム水溶液で処
理されカリウムの亜硫酸塩及び炭酸塩の混合溶液として
収得が可能である。このように水酸化カリウムは効果的
な脱硫剤として高硫黄含有重廃油の燃料として利用を可
能とし、脱硫処理液はNSP蒸解薬液としてパルプの製造
を可能とし、パルプ製造の際副生する廃液中のカリウム
は燃焼の際に煙道ガス中の無水硫酸を除去利用して、得
られる灰は肥料としてバイオマスの拡大再生産に有効
で、かつ需要の大きい硫酸カリウムとして数次にわたっ
て有効利用できる。
【0027】なお、パルプ廃液は直接燃焼させないで、
繊維原料の保存剤として利用し、パルプ化後再び回収し
て燃料として利用することも、保存剤として用いること
も可能であり、系内で循環利用でき、外部に漏らさない
で使えるため高度のクローズドシステムが組めゴミゼロ
システムによるパルプの生産と副生肥料の収得が可能と
なる。更に、需要が少なく経済性の低い、硫黄含有量の
大きい重廃油を利用し、パルプ廃液と混焼することで、
安い蒸気、電力等のエネルギーを極めて低公害で安定し
て自給でき、余剰電力を外部に供給できるので極めて有
意義である。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例によって限定されない。なお、
以下に記す%は重量%である。
【0029】
【実施例1】水分14.5%を含むバナナの原麻の風乾物
100kg(絶対物として84.6kg)を用いた。蒸解
薬液としてカリウムベースの排煙脱硫液(K2SO170
g/L、KCO 28 g/L)を用い対固形分K2SO
17.0%、KCO2.8%、他にアントラキノ
ン0.03%を加え、液比4.5 L/kgになるように水
を加え、地球釜に入れ、150oCで3時間液相蒸解蒸解
し、白色度70.2%のバナナの未晒NSPを67.1%
の収率で得た。同パルプは過酸化水素を用い常法で漂白
(HOとして3%添加し90℃1時間処理し)し白色
度80.1%のパルプを得た。パルプ廃液は固形分濃度
60.2%まで濃縮し、硫黄含有量4.5%の廃油と8
50 oCで混焼し、硫酸カリウムを主成分とする灰(
KSO4含有量98.9%)を排煙中から集塵し肥料に用
いた。さらに排気は水酸化カリウムの水溶液で脱硫し、
硫酸カリウムと炭酸カリウムを主成分とする排煙脱硫廃
液を得、カリウムベースのNSP蒸解薬液として再利用し
た。
【0030】
【実施例2】水分25%を含む稲の生わら10kgに、
水酸化カリウム5gを添加した固形分濃度45%のNSP
の濃縮廃液1kgを混和し、倉庫の中(3〜40 oC)
で12ケ月放置したが、全く腐敗することなく貯蔵でき
た。貯蔵後の稲わらは、実施例1と同様の排煙脱硫液を
NSP蒸解薬液として用い、稲わらの固形分に対してK2SO
を5.1%、KCOを0.84%になるように加
え、液比2.2L/kgとなるように水を加えて調整し、緩
圧式強制攪拌装置に入れて加温することなく強制攪拌を
行い、発生する熱で気相蒸解を進め組織を柔らかくし、
ふわふわの状態にし、更にディスクリファイナーを用い
て解繊し白色度55%の未晒のNSPを85%の収率で得
た。得られたパルプは83:17になるように少量のNB
KPを加えて手漉きし、裂断長5.6km、比破裂強度
4.8、比引き裂き強度98、の良質な紙が得られた。
【0031】
【実施例3】水分50%を含むバガス20kgに、水酸
化カリウム5g、アントラキノン0.4gを添加した固
形分濃度55%のNSPの濃縮廃液1kgを混和し、倉庫
の中(25〜43oC)で15ケ月放置したが、全く腐敗
することなく貯蔵できた。貯蔵後排煙脱硫液をNSP蒸解
薬液として、バガスの固形分に対して水分50.1%を
含むバガス20kgに、水酸化カリウム5gを添加した
固形分濃度45%のNSPの濃縮廃液1kgを混和し、倉
庫の中(3〜40oC)で12ケ月放置したが、全く腐敗す
ることなく貯蔵できた。貯蔵後排煙脱硫液をNSP蒸解薬
液として、バガスの固形分に対してアントラキノン4
g、NMPを10gを加えた蒸解薬液(K2SO を5%、K
2COを1%)を液比2.2 L/kgとなるように加
え緩圧式強制攪拌装置に入れて加温することなく強制攪
拌を行い、さらにディスクリファイナーを用いて解繊し
白色度58%の未晒のNSPを88%の収率で得た。選ら
れたパルプに85:15となるようにNBKPの少量を
配合して手漉きし、裂断長6.2km、比破裂強度4.
1、比引き裂き強度102の良質の紙が得られた。
【0032】
【発明の効果】本発明による効果は大きく、適用範囲は
大きく、実施は容易で、波及効果も極めて大きい。すなわ
ちパルプの主原料としては木材を使わずに農産廃棄物
等、多くの非木材繊維資源が広く年間を通じて使用する
ことが可能となり、良質の長繊維及び短繊維パルプを高
収率でかつ低公害で製造することが可能となった。パル
プの製造の際にカリウムベースに変換することにより、
ナトリウムによる周辺土壌の劣化を防ぐとともに、肥料
として有効で大量の需要がある硫酸カリウムを副製品と
して得ることを可能とするばかりでなく、経済的評価の
極めて低い、高硫黄含有量の重廃油を脱硫して無公害化
し、エネルギー源として利用するとともに、脱硫液を蒸
解薬液として活用することが可能となった。また、製造
設備も新設工場では、従来と異なり高圧反応釜が不要
で、パルプ工業の軽量化と簡便な操作を可能とした。ま
た、老朽化した木材パルプ工場でも簡単に改造して新鋭
の非木材パルプ工場として活用できるので、本発明の実
施は極めて容易である。農産廃棄物を利用するゴミゼロ
システムによる新しい非木材パルプ工業の出現は、森林
のない開発途上国の人々に紙とパルプを供給するばかり
でなく、多くの人々に身近にある各種工業を、地球環境
容量拡大型の工業に転換させる刺激となり、停滞する世
界の社会及び産業に変革と希望をもたらそう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で、非木材繊維を主原料とし、水酸化カ
リウムと高硫黄含有廃油とを副原料として、ゴミゼロシ
ステムによる硫酸カリウムを副製品とするパルプの製造
工程の説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カリウムの水酸化物又は及び炭酸塩を吸収
    剤とし、二酸化硫黄を含む燃焼ガスを脱硫して副生する
    カリウムの亜硫酸塩又は及び炭酸塩の水溶液を、NSP法
    (中性亜硫酸パルプ化法)の蒸解薬液とするのを第1工
    程とし、このNSP蒸解薬液を用いて非木材セルロース原
    料を蒸解し、化学パルプとしてパルプを得ると共に、NSP
    パルプ廃液を分離収得するのを第2工程とし、パルプ廃
    液は濃縮するのを第3工程とし、パルプ廃液又は濃縮液
    の一部又は全部に対して、所望によりカリウムの水酸化
    物又は及び炭酸塩を添加し、非木材繊維原料の保存剤と
    して用い、残りの濃縮液は硫黄を含む燃料と共に燃焼
    し、固気分離して硫酸カリウムを主成分とする灰として
    分離収得し、残りの燃焼ガスは第1工程の脱硫及び薬液
    の調製に供するのを第4工程とし、第1工程、第2工
    程、第3工程及び第4工程の組み合わせからなることを
    特徴とするゴミゼロシステムによる非木材パルプの製造
    方法。
  2. 【請求項2】第1工程で得られた蒸解薬液と非木材繊維
    原料をニーダータイプの反応容器に連続的に送り込み、
    強制攪拌し発生する熱で気相蒸解し、組織をほぐした
    後、リファイナーで解繊しパルプ化するとともに、固液
    分離し未晒のNSP法の半化学パルプとしてパルプを高収
    率で得るとともにNSPパルプ廃液を得るのを第2工程と
    することを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】アントラキノン、アルキルアントラキノ
    ン、及びそれらの還元物質であるヒドロキシルアントラ
    セン等のアントラキノン類を蒸解薬液に添加することを
    特徴とする請求項1及び2の方法。
  4. 【請求項4】NMP(ノルマルアミノピロリドン)を蒸解薬
    液に添加することを特徴とする請求項1、2及び3の方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011505505A (ja) * 2007-12-05 2011-02-24 シャンドング フユイン ペーパー アンド エンヴァイロンメンタル プロテクション テクノロジー カンパニー,リミテッド わら類原色紙製品とその製造方法
CN102839556A (zh) * 2011-06-23 2012-12-26 陈培豪 一种植物纤维素原料的预处理方法
JP2019510892A (ja) * 2016-04-05 2019-04-18 エスダブリュエム・ルクセンブルク・エスアーアールエル 植物の繊維を含む植物性紙

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