JP2003080827A - インクジェット記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用シート及びその製造方法

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JP2003080827A
JP2003080827A JP2001274782A JP2001274782A JP2003080827A JP 2003080827 A JP2003080827 A JP 2003080827A JP 2001274782 A JP2001274782 A JP 2001274782A JP 2001274782 A JP2001274782 A JP 2001274782A JP 2003080827 A JP2003080827 A JP 2003080827A
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coating
receiving layer
recording sheet
layer
water
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JP2001274782A
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Katsuki Suzuki
勝喜 鈴木
Takashi Kobayashi
孝史 小林
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収性、インク保持性を良化してイン
ク滲み(画像ボケ、経時ニジミ)を防止でき(解像度の
向上)、かつビーディングの発生のない高鮮明な画像を
形成し得るインクジェット記録用シートを提供する。 【解決手段】 支持体上に、無機顔料微粒子及び水溶性
樹脂を含む色材受容層を有するインクジェット記録用シ
ートにおいて、前記色材受容層の含水分量が0.5〜
5.0g/cm2であることを特徴とするインクジェッ
ト記録用シートである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、油性
インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液
状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインク
ジェット記録に適した被記録材に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、多種の記録
材に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であ
ること、コンパクトであること、静粛性に優れること等
の点から、オフィスや、いわゆるホームユースとして広
く用いられてきている。近年では、インクジェットプリ
ンタの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質
記録物を得ることも可能になってきたが、ハード(装
置)の発展に伴って、更なる高画質化が要求される状況
にある。
【0003】インクジェット記録用の記録シートとして
要求される特性としては、一般に、(1)速乾性がある
こと(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インク
ドットの径が適正で均一であること(滲みのないこ
と)、(3)粒状性が良好なこと、(4)ドットの真円性
が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度(発色
性)が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の
耐光性、耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色
度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと
(長期保存で黄変着色のないこと)等のインク受容性
能、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であること
(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良
好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライ
クな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙
の用途としては、上記特性に加えて、光沢性(光沢
感)、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合
い等も要求される。
【0004】近年では、前記諸特性の全てを満足し得る
インクジェット記録用シートに関する検討、提案が種々
なされているが、インク吸収性の悪化に伴う解像度の低
下(インク滲みや経時による画像ボケ等)やビーディン
グ(印画後に、画像中に視覚的に認識されるビーズ玉程
度の大きさの色ムラ)については、必ずしも他の前記諸
性能を満たしつつ十分な性能を達成するまでには至って
いない。インクジェット記録用シートは、一般に支持体
上に色材受容層を有してなり、該色材受容層は、例え
ば、所定の組成からなる塗布液の塗布により多孔質構造
に形成され、前記諸性能を満足し得るようにインクを保
持する媒染剤や架橋剤等が含有される。しかし、媒染剤
等が多孔質構造の内部にまで均一に存在させ得ない場合
には、インク吸収容量の減少に伴いインクが溢れ、記録
面での滲みを伴うことなくインクを保持し、鮮鋭で鮮明
な高画質な画像を安定的に形成することは困難となる。
その結果、いわゆるビーディングが発生し、インクジェ
ット記録シートとしての品質上問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、上記従来における問題を解決し、下記目的を達成す
ることを課題とする。即ち、本発明は、色材受容層中に
おける媒染剤等の成分の不均一を解消し、インク吸収
性、インク保持性を良化してインク滲み(画像ボケ、経
時ニジミ)の発生がなく(解像度の向上)、かつビーデ
ィングの発生のない高鮮明な画像を形成し得るインクジ
ェット記録用シート、並びにその製造方法を提供するこ
とを目的とする。尚、前記インク滲み及びビーディング
の他、本発明においては、ひび割れ等の発生がなく強固
であると共に、形成画像が耐光性(耐オゾン性)、耐水
性、光沢性に優れ、彩色が鮮やかで高濃度のインクジェ
ット画像をそのままの状態で長期間より安定に保存可能
な画像保存性能をも備えるインクジェット記録用シート
を形成できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 支持体上に、無機顔料微粒子及び水溶性樹脂を
含む色材受容層を有するインクジェット記録用シートに
おいて、前記色材受容層の含水分量が0.5〜5.0g
/cm2であることを特徴とするインクジェット記録用
シートである。 <2> 無機顔料微粒子が、平均一次粒子径30nm以
下の、気相法によるシリカ微粒子である前記<1>に記
載のインクジェット記録用シートである。
【0007】<3> 色材受容層が、媒染剤としてカチ
オン性ポリマーを含む前記<1>又は<2>に記載のイ
ンクジェット記録用シートである。 <4> 色材受容層が、支持体上に無機顔料微粒子と水
溶性樹脂とを含有する塗布液を塗布し、該塗布と同時
に、又は形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層
が減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層に水溶
性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液
を付与した後、該溶液を付与した塗布層を架橋硬化させ
て得られる前記<1>〜<3>のいずれかに記載のイン
クジェット記録用シートである。
【0008】<5> 支持体上に無機顔料微粒子及び水
溶性樹脂を含む塗布液を塗布して色材受容層を形成する
インクジェット記録用シートの製造方法において、媒染
剤を付与して形成された色材受容層の表面に加湿処理を
施して、該層の含水分量が0.5〜5.0g/cm2
調整されることを特徴とするインクジェット記録用シー
トの製造方法である。 <6> 塗布後において、色材受容層が形成された支持
体を巻き取る巻取工程を有し、該巻取工程前に、前記色
材受容層の表面に加湿処理を施して含水分量を調整する
前記<5>に記載のインクジェット記録用シートの製造
方法である。 <7> 塗布後に塗布層表面を乾燥処理した後、巻取工
程前に加湿処理を施す前記<6>に記載のインクジェッ
ト記録用シートの製造方法である。
【0009】<8> 支持体上に無機顔料微粒子と水溶
性樹脂とを含有する塗布液を塗布し、該塗布と同時に、
又は形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減
率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層に水溶性樹
脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液を付
与し、架橋硬化して色材受容層を得た後、巻取工程前
に、前記色材受容層の表面に加湿処理を施す前記<6>
に記載のインクジェット記録用シートの製造方法であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用シ
ート及びその製造方法においては、その色材受容層の含
水分量が0.5〜5.0g/cm2となるように調整さ
れてなることを特徴とする。以下、本発明のインクジェ
ット記録用シート及びその製造方法について詳述する。
【0011】<インクジェット記録用シート>本発明の
インクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層
を有してなり、他の層を有していてもよく、前記色材受
容層が0.5〜5.0g/cm2の量の水分を含有して
なる。 (色材受容層)前記色材受容層は、無機顔料微粒子と水
溶性樹脂とを少なくとも含んで構成され、好ましくは媒
染剤、架橋剤が含有され、必要に応じて紫外線吸収剤、
酸化防止剤等の他の成分を含んで構成される。また、色
材受容層は、後述するように、WOW法により支持体上
に形成される態様が好ましい。
【0012】本発明に係る色材受容層においては、特に
その含水分量を0.5〜5.0g/cm2とする。前記
含水分量の調整は、後述するように、インクジェット記
録用シートの製造過程で行うことができ、塗布後の製造
過程で含水分量を0.5〜5.0g/cm 2に調整する
ことにより前記含水分量のインクジェット記録用シート
を得ることができる。例えば、色材受容層形成用の塗布
液を塗布した後、塗布層の表面を加湿することにより、
塗布後乾燥した後に塗布層(色材受容層)の表面を加湿
することにより、あるいは加湿せず上記含水分量となる
条件で乾燥させること等により、上記含水分量の層とす
ることができる。詳細については後述する。
【0013】前記含水分量の中でも、特に1.0〜3.
0g/cm2が好ましい。前記含水分量が、0.5g/
cm2未満であると、付与された媒染剤が均一に存在し
得ず、インク吸収性が不均一化、悪化してインク滲み等
を生じ解像度が低下することとなり、5.0g/cm2
を超えると、受像層全体の水分量が多くなりインク吸収
性を阻害し、インク滲み等を生じて解像度低下の要因と
なる。
【0014】前記含水分量は、含水状態で測定されたイ
ンクジェット記録用シートの重量から、該インクジェッ
ト記録用シートを乾燥した後に測定された重量を減算す
ること(重量法)により容易に測定することができる。
【0015】−無機顔料微粒子− 本発明に係る色材受容層は、無機顔料微粒子を含有して
なる。前記無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微
粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウ
ム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロ
イサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等
を挙げることができる。中でも、平均一次粒子径が30
nm以下の、気相法によるシリカ微粒子が特に好まし
い。
【0016】前記シリカ微粒子は、比表面積が特に大き
いので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈
折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行えば受容層
に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得ら
れるという特徴がある。受容層が透明であることは、O
HP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光
沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度
と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0017】前記無機顔料微粒子の平均一次粒子径とし
ては30nm以下とし、中でも、10nm以下が好まし
く、3〜10nmがより好ましい。
【0018】前記シリカ微粒子は、その表面にシノラー
ル基を有し、該シラノール基による水素結合により粒子
同士が付着しやすいため、上記のように平均一次粒子径
が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成する
ことができ、インク吸収特性を効果的に向上させること
ができる。
【0019】また、シリカ微粒子は、その製造法により
湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。前記湿式法で
は、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これ
を適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法
が主流である。一方、乾式法(気相法)は、ハロゲン化
珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解
法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークにより加
熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)
により無水シリカを得る方法が主流である。これらの方
法で得られる含水シリカ及び無水シリカは、表面のシラ
ノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、それぞれ
異なった性質を示すが、無水シリカ(無水珪酸)の場合
には、特に空隙率が高い三次元構造を形成しやすく特に
好ましい。この理由は明らかではないが、含水シリカの
場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5
〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグ
リゲート)し易く、一方、無水シリカの場合には、微粒
子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2
であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)と
なり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定さ
れる。従って、本発明においては、前記気相法により得
られるシリカ微粒子(微粒子表面におけるシラノール基
の密度が2〜3個/nm2であるシリカ)を用いること
が好ましい。
【0020】透明性の観点から、シリカ微粒子に組合わ
せる樹脂の種類が重要となり、無水シリカを用いる場合
には、前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール
(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜99%の
PVAがより好ましく、鹸化度70〜90%のPVAが
最も好ましい。
【0021】前記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基
が水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単
位とする三次元網目構造を形成しやすくする。該三次元
網目構造の形成により、空隙率の高い多孔質構造の色材
受容層を形成しうると考えられる。このようにして得た
多孔質の色材受容層は、インクジェット記録において、
毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲み
のない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0022】無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒
子;i)と水溶性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:
p)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質
量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな影響を与える。
即ち、PB比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面
積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、前記P
B比(i:p)としては、1.5:1〜10:1が好ま
しい。前記PB比が10:1を超える、即ち、PB比が
大きくなりすぎると、膜強度が低下し、乾燥時にひび割
れを生じやすくなることがあり、1.5:1未満、即ち
PB比が小さすぎると、空隙が樹脂により塞がれ易くな
る結果、空隙率が減少してインク吸収性が低下すること
がある。
【0023】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。更にシート状に裁断加工する場合、色材受容層の
割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分な
膜強度を有していることが必要である。この場合、前記
PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェット
プリンターで高速インク吸収性をも確保する観点から
は、2:1以上であることが好ましい。
【0024】例えば、平均一次粒子径が30nm以下の
無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:
1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布
し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子
を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径
が30nm以下、空隙率が50%以上、細孔比容積0.
5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透
光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0025】−水溶性樹脂− 前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位とし
てヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアル
コール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコー
ル、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変
性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セル
ロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセル
ロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HE
C)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キ
チン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する
樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプ
ロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコー
ル(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド
基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミ
ド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が
挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有
する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸
塩、ゼラチン類を挙げることができる。上記の中でも、
特にポリビニルアルコール類が好ましい。
【0026】前記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好まし
く、16〜33質量%がより好ましい。前記含有量が、
9質量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時にひび
割れを生じやすくなることがあり、40質量%を超える
と、空隙が樹脂により塞がれ易くなる結果、空隙率が減
少してインク吸収性が低下することがある。
【0027】色材受容層を主として構成する、前記無機
顔料微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でもよ
いし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0028】−架橋剤− 本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、
無機顔料微粒子及び水溶性樹脂を含む塗布層(多孔質
層)に、更に架橋剤、及び好ましくは媒染剤を含む溶液
(架橋剤溶液)が付与され、該架橋剤により前記水溶性
樹脂が架橋反応により硬化された層である。
【0029】前記架橋剤溶液の付与は、上記多孔質性の
色材受容層を形成する塗布液(色材受容層塗布液)が塗
布されるのと同時に、あるいは色材受容層塗布液を塗布
して形成された塗布層が減率乾燥速度を示すようになる
前に、行われることが好ましい。この操作により、塗布
層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効果的に防
止することができる。即ち、上記塗布液が塗布されたと
同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に架橋剤溶液が塗布層内に浸透し、塗布層内の水溶
性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化(硬化)
させることにより、塗布層の膜強度を即時に大幅に向上
させる。
【0030】前記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤として
は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適
な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速
である点から、硼素化合物が好ましく、例えば、硼砂、
硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、S
cBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2 、Co
3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co22
5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(B
2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、N
247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58
・4H2 O、Ca2611・7H2O、CsB55)、
グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例え
ば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミ
ン)、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネ
ート、エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、
速やかに架橋反応を起こす点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が
好ましく、硼酸塩がより好ましく、水溶性樹脂としてポ
リビニルアルコールと組合わせて使用することが特に好
ましい。
【0031】前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化
合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホル
ムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド
等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタン
ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿
素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン
・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスル
ホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;
【0032】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。尚、前記架橋剤は、一種単独でも、2種以上を
組合わせてもよい。
【0033】前記架橋剤溶液は、架橋剤を水及び/又は
有機溶剤に溶解して調製される。架橋剤溶液中の架橋剤
の濃度としては、架橋剤溶液の質量に対して、0.05
〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%が特に好ま
しい。架橋剤溶液を構成する溶媒としては、一般に水が
使用され、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合溶媒
であってもよい。前記有機溶剤としては、架橋剤が溶解
するものであれば任意に使用することができ、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グ
リセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;
トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエー
テル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等
を挙げることができる。
【0034】−媒染剤− 本発明においては、形成画像のインク滲みの防止、耐水
性、耐経時ニジミの更なる向上を図る観点で、色材受容
層に媒染剤が含有されることが好ましい。そして、本発
明により、多孔質構造中に媒染剤を均一に存在させ得る
ので、インク滲み等を効果的に防止して高解像度で堅牢
な画像を得ることができる。前記媒染剤はカチオン性の
ポリマー(カチオン性媒染剤)であり、色材受容層中に
存在させることにより、アニオン性染料を色材として有
する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、解
像度、耐水性、経時ニジミを向上させることができる。
【0035】しかし、これを直接色材受容層を形成する
ための塗布液に添加すると、シリカ等の、アニオン電荷
を有する無機顔料微粒子との間で凝集を生ずる懸念を生
ずる場合があるが、独立の別の溶液として調製し塗布す
る方法を利用すれば、無機顔料微粒子の凝集を懸念する
必要はない。よって、本発明においては、後述の架橋剤
溶液に含有して用いることが好ましい。また、架橋剤溶
液として後述のWOW法により付与する場合でも、多孔
質層の表面に膜状となって、媒染剤を多孔質層内部に均
一に存在させることができないことがある。その結果、
インク吸収性は悪化しビーディング等を伴って画像解像
度の低下を招来する。したがって、本発明においては、
媒染剤が付与された層の表面に加湿処理を施すことによ
り、含水分量を既述の範囲に調節する。
【0036】前記カチオン性媒染剤としては、カチオン
性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アン
モニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられ
るが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することが
できる。前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級
アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有
する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モ
ノマーと他のモノマー(以下、「非媒染ポリマー」とい
う。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが
好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポ
リマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態
でも使用できる。
【0037】前記単量体(媒染モノマー)としては、例
えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモ
ニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルア
ンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル
−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジ
ルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n
−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p
−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジ
メチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモ
ニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−
N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,
N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−
ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメ
チル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニ
ウムクロライド、
【0038】トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアン
モニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジル
アンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベ
ンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビ
ニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m
−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N
−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチル
アンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N
−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロ
ライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4
−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニル
フェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0039】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、
エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイ
ド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドに
よる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホ
ン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキ
ルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0040】具体的には、例えば、トリメチル−2−
(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライ
ド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチル
アンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロ
イルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチ
ル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)
プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−
(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロラ
イド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチ
ルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタク
リロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリ
メチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミ
ノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−
(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロラ
イド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロ
ピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アク
リロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、ト
リエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモ
ニウムクロライド、
【0041】N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メ
タクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイル
オキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメ
チル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピ
ルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタク
リロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニ
ウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオ
キシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−
3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセ
テート等を挙げることができる。その他、共重合可能な
モノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル
−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0042】前記非媒染ポリマーとは、第1級〜第3級
アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の
塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェッ
トインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互
作用が実質的に小さいモノマーをいう。前記非媒染モノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メ
タ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アク
リル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステ
ル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステ
ル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等
の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリ
ル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル
等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等
のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィ
ン類、等が挙げられる。
【0043】前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)
アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソ
プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタ
アクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好
ましい。前記非媒染モノマーも、一種単独で、又は二種
以上組合せて使用できる。
【0044】更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリ
ルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイ
ルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミ
ン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン
樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリ
ン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニ
ウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好
ましいものとして挙げることができる。
【0045】前記ポリマー媒染剤の分子量としては、1
000〜200000が好ましい。前記分子量が、10
00未満であると、耐水性が不十分となる傾向にあり、
200000を超えると、粘度が高くなりすぎてハンド
リング適正が低下することがある。
【0046】前記カチオン性の非ポリマー媒染剤として
は、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポ
リ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の水溶性金属
塩が好ましい。
【0047】−他の成分− 色材受容層は、必要に応じて下記成分を含んでいてもよ
い。色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収
剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等を含んでい
てもよい。前記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、
ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール
誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル
桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o
−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベ
ンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノー
ル、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチ
ルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化
合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なく
とも2位又は6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で
置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0048】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号、同58−111942号、同58−212844
号、同59−19945号、同59−46646号、同
59−109055号、同63−53544号、特公昭
36−10466号、同42−26187号、同48−
30492号、同48−31255号、同48−415
72号、同48−54965号、同50−10726
号、米国特許第2,719,086号、同3,707,
375号、同3,754,919号、同4,220,7
11号等に記載されている。
【0049】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号、同54−5324
号等に記載されている。
【0050】前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0051】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号、同第4980275号公報等に記載のものが
挙げられる。
【0052】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0053】前記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルジョン化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。前記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ま
しい。
【0054】また、無機顔料微粒子の分散性を高める目
的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等
を含んでいてもよい。更に、塗布適性や表面品質を高め
る目的で各種の界面活性剤を、表面の摩擦帯電や剥離帯
電を抑制する目的で、イオン導電性を持つ界面活性剤や
電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性
を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0055】(支持体)前記支持体としては、プラスチ
ック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材
料よりなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材
受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢
性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0056】前記透明支持体に使用可能な材料として
は、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使
用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ま
しい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポ
リエステル類が好ましく、ポリエチレンテレフタレート
は特に好ましい。前記透明支持体の厚みとしては、特に
制限はないが、取り扱い性の点で、50〜200μmが
好ましい。
【0057】高光沢性の不透明支持体としては、色材受
容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有す
るものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−814
2(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の
方法に従って求められる値である。具体的には、下記支
持体が挙げられる。
【0058】例えば、アート紙、コート紙、キャストコ
ート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等
の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート
(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セ
ルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート
等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ
アミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有さ
せて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていて
もよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支
持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高
光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含
有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体が
挙げられる。更に、白色顔料含有発泡ポリエステルフィ
ルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸
により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げること
ができる。
【0059】前記不透明支持体の厚みについても特に制
限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好
ましい。
【0060】また、前記支持体には、コロナ放電処理、
グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施した
ものを使用してもよい。
【0061】次に、前記紙支持体に用いられる原紙につ
いて詳述する。前記原紙としては、木材パルプを主原料
とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン
などの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルな
どの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとし
ては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LD
P、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いること
ができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LB
SP、NDP、LDPをより多く用いることが好まし
い。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、
10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0062】前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、
漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用であ
る。
【0063】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことができる。
【0064】抄紙に使用するパルプの濾水度としては、
CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、
叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される
24メッシュ残分質量%と42メッシュ算分の質量%と
の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分
の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0065】原紙の坪量としては、30〜250gが好
ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さと
しては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段
階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えるこ
ともできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JI
S P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度と
しては、JIS P−8143に規定される条件で20
〜200gが好ましい。
【0066】原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよ
く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイ
ズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JI
S P−8113で規定された熱水抽出法により測定さ
れた場合、5〜9であることが好ましい。
【0067】原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレン
は、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/
又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他の
LLDPEやポリプロピレン等も一部使用することがで
きる。
【0068】特に、色材受容層を形成する側のポリエチ
レン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ル
チル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に
添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好まし
い。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレン
に対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質
量%がより好ましい。
【0069】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用い
ることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し
出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行
って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目
面を形成したものも使用できる。
【0070】<インクジェット記録用シートの製造方法
>本発明のインクジェット記録用シートの製造方法は、
色材受容層が支持体上に無機顔料微粒子及び水溶性樹脂
を含む塗布液(以下、「色材受容層塗布液」ということ
がある。)を塗布して形成され、前記色材受容層塗布液
の塗布後、媒染剤を付与して形成された色材受容層の表
面に加湿処理を施して、該層の含水分量を0.5〜5.
0g/cm2に調整する。前記色材受容層には、既述の
架橋剤溶液を付与する過程で媒染剤と架橋剤が導入され
ることが好適であり、前記色材受容層の形成方法として
は、無機顔料微粒子及び水溶性樹脂を含む色材受容層塗
布液を塗布し、該塗布と同時に、又は形成された塗布層
の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示すよう
になる前に、該塗布層に水溶性樹脂を架橋させうる架橋
剤と媒染剤とを含有する溶液を付与した後、該溶液を付
与した塗布層を架橋硬化させる方法(WOW法;Wet
On Wet法)が好ましい。
【0071】本発明に係る色材受容層は、無機顔料微粒
子及び水溶性樹脂を含む塗布液と、媒染剤及び架橋剤を
含む溶液(架橋剤溶液)とを、架橋剤と反応しない材料
からなるバリアー液(但し、架橋剤を含む溶液若しくは
バリアー液の少なくとも一方に媒染剤を含有させる。)
を挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、硬化させること
により得ることもできる。
【0072】上記のように、本発明においては、架橋剤
と共に媒染剤を同時塗布することにより、色材受容層の
耐水性を向上させている。即ち、前記媒染剤を色材受容
層塗布液に添加すると、該媒染剤はカチオン性であるの
で、シリカ等の、表面にアニオン電荷を持つ無機顔料微
粒子との共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤
を含む溶液と色材受容層用の塗布液とをそれぞれを独立
に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、無機顔料
微粒子の凝集を考慮する必要がなく、媒染剤の選択範囲
が広がる。
【0073】本発明において、無機顔料微粒子と水溶性
樹脂とを少なくとも含んでなる色材受容層塗布液は、例
えば、以下のようにして調製できる。即ち、平均一次粒
子径30nm以下の気相法によるシリカ微粒子を水中に
添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式
コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニ
ック(株)製))を用いて、例えば10000rpm
(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転
の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散さ
せた後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカ
の1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更
に上記と同じ回転条件で分散を行うことにより調製する
ことができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これ
を下記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、
三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成す
ることができる。前記色材受容層塗布液には、必要に応
じて、更に界面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤等を添
加することもできる。
【0074】色材受容層塗布液の塗布は、例えば、エク
ストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブ
レッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズ
コータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知の
塗布方法により行うことができる。
【0075】色材受容層塗布液を塗布した後、該塗布層
に架橋剤溶液が付与されるが、該架橋剤溶液は、塗布後
の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与して
もよい。即ち、色材受容層塗布液の塗布後、この塗布層
が恒率乾燥速度を示す間に架橋剤及び媒染剤を導入する
ことで好適に製造される。ここで、「塗布層が減率乾燥
速度を示すようになる前」とは、通常、色材受容層塗布
液の塗布直後から数分間を指し、この間においては、塗
布された塗布層中の溶剤の含有量が時間に比例して減少
する現象である恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を
示す時間については、化学工学便覧(p.707〜71
2、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載
されている。
【0076】上記の通り、色材受容層塗布液の塗布後、
その塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥さ
れるが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10
分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾
燥時間としては、当然塗布量により異なるが上記範囲が
適当である。
【0077】前記塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に付与する方法としては、架橋剤溶液を塗布層上
に更に塗布する方法、スプレー等の方法により噴霧す
る方法、架橋剤溶液中に、該塗布層が形成された支持
体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0078】前記方法において、架橋剤溶液を塗布す
る塗布方法としては、例えば、カーテンフローコータ、
エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ
ー、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、ス
クイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の
公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エク
ストリュージョンダイコータ、カーテンフローコータ、
バーコータ等のように、既に形成されている塗布層にコ
ータが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0079】色材受容層上に付与する、架橋剤と媒染剤
とを少なくとも含有する溶液(架橋剤溶液)の塗布量と
しては、架橋剤換算で0.01〜10g/m2が一般的
であり、0.05〜5g/m2が好ましい。
【0080】前記架橋剤溶液の付与後、架橋硬化された
色材受容層の表面に加湿処理を施して、該層の含水分量
が0.5〜5.0g/cm2に調整される。このとき、
好ましくは最終的に色材受容層が設けられた支持体を巻
き取る巻取工程が設けられ、該巻取工程前に、色材受容
層の含水分量が上記範囲となるように色材受容層の表面
に加湿処理を施して含水分量を調整する態様も好適であ
る。即ち、上記含水分量の状態で巻き取ることが好まし
い。巻取り前に含水分量を調整し、この含水状態で巻き
取ることによって最終的な含水分量が上記範囲にあるイ
ンクジェット記録用シートを得ることができる。上記の
ように、架橋剤溶液の付与後架橋硬化されるが、好まし
くは加熱乾燥処理が施され、一般には40〜180℃で
0.5〜30分間(好ましくは、40〜150℃で1〜
20分間)加熱され、乾燥及び硬化が行われる。例え
ば、前記架橋剤溶液中に含有する架橋剤として硼砂や硼
酸を使用する場合には、60〜100℃での加熱を5〜
20分間行うことが好ましい。乾燥処理から巻き取るま
での間に加湿処理を施して前記含水分量の範囲に調整し
巻き取ることによって、上記同様に最終的な含水分量が
上記範囲のインクジェット記録用シートを得ることがで
きる。その結果、多孔質構造の表面に膜状に存在する媒
染剤が多孔質内に侵入して均一化される。
【0081】前記加湿処理の方法としては、特に制限は
なく、例えば、低圧蒸気や高圧蒸気等により色材受容層
の表面を蒸気加湿する方法、色材受容層が設けられた支
持体を高湿雰囲気内を通過させる方法、等により好適に
行うことができる。このとき、色材受容層表面にあてる
蒸気や高湿雰囲気の水分含量(湿度)としては、層の含
水分量を上記範囲に調整し得るように適宜選択すればよ
い。
【0082】また、架橋剤と媒染剤とを含む前記架橋剤
塗布液は、色材受容層塗布液を塗布すると同時に付与し
てもよい。この場合、色材受容層塗布液及び架橋剤溶液
を、該色材受容層塗布液が支持体と接触するようにして
支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化さ
せることにより色材受容層を形成することができる。上
記同様に、色材受容層塗布液の塗布及び架橋剤溶液の付
与の後は、形成された色材受容層の表面、即ち架橋剤溶
液が付与された側の色材受容層の表面に加湿処理を施し
て、該層の含水分量を0.5〜5.0g/cm2に調整
する。このとき、既述の場合と同様に、好ましくは巻取
工程が設けられ、該巻取工程前に色材受容層の含水分率
が上記範囲となるように加湿処理を施す態様も好適であ
る。巻取り前に調整された含水分量で巻き取ることによ
り、最終的に含水分量が上記範囲にあるインクジェット
記録用シートを得ることができる。また、好ましくは塗
布及び/又は付与後に乾燥処理が施されて架橋硬化さ
れ、乾燥処理から巻き取るまでの間に加湿処理を施して
前記含水分量に調整し巻き取ることによって、上記同様
に最終的な含水分量が上記範囲のインクジェット記録用
シートを得ることができる。この場合の乾燥条件は下記
の通りである。
【0083】上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを
用いた塗布方法により行うことができる。同時塗布の
後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥
は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間
加熱することにより行われ、好ましくは、40〜100
℃で0.5〜5分間加熱することにより行われる。例え
ば、架橋剤溶液に含有する架橋剤として硼砂や硼酸を使
用する場合は、60〜100℃で5〜20分間加熱する
ことが好ましい。
【0084】上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エ
クストルージョンダイコータにより行った場合、同時に
吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコ
ータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形
成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前
に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二
液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルー
ジョンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が
混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合が
ある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受
容層塗布液及び架橋剤と媒染剤とを含有する架橋剤溶液
の塗布と共に、更に架橋剤と反応しない材料からなるバ
リアー層液(中間層液)を前記二液間に介在させて同時
三重層塗布することが好ましい。
【0085】前記バリアー層液は、架橋剤と反応せず液
膜を形成できるものであれば、特に制限なく選択でき
る。例えば、架橋剤と反応しない水溶性樹脂を微量含む
水溶液や、水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂
は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるも
ので、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、
メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−
ス、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙
げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有さ
せることもできる。
【0086】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレ
ンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透
明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しか
しながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要
因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下す
ることがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定
して行う必要がある。
【0087】カレンダー処理を行う場合のロール温度と
しては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃が
より好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線
圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、10
0〜200kg/cmがより好ましい。
【0088】前記色材受容層の層厚としては、インクジ
ェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収
容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決
定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2
で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm
以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジ
ェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、1
0〜50μmが好ましい。
【0089】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがより好ましい。前記空隙率及び細孔メ
ジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザ
ー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測
定することができる。
【0090】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
より好ましい。前記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HG
M−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定すること
ができる。
【0091】以上より、含水分量0.5〜5.0g/c
2の色材受容層を形成することができ、該色材受容層
はインク吸収性に優れ、該色材受容層が設けられたイン
クジェット記録用シートは、インク滲み(画像ボケ、経
時ニジミ)がなく高解像度の画像を安定的に形成するこ
とができる。しかも、ビーディングの発生を伴うことも
なく、高鮮明な画像を得ることができる。
【0092】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「部」及び「%」は、全て「質量部」及び
「質量%」を表す。
【0093】−支持体の作製− 秤量186g/m2のアート紙(OK金藤、王子製紙
(株)製)にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を
用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるように
コーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した
(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側
の樹脂層にさらにコロナ放電処理を施し、その後、帯電
防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル10
0、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテ
ックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質
量比)で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/
2となるように塗布した。
【0094】更に、樹脂層の設けられていない側のフェ
ルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナタ
ーゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白
剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR
(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを
溶融押出機を用いて、厚み24μmとなるように溶融押
出してコーティングし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙
の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」
と称する。)、支持体とした。尚、下記色材受容層塗布
液を塗布する前に、前記オモテ面にコロナ放電処理を施
した。
【0095】(実施例1) −色材受容層用塗布液(A)の調製− 下記組成中のイオン交換水にシリカ微粒子を混合し、こ
れに更にモノメチルジアリルアンモニウムクロライドを
混合して、ナノマーザーLA31(ナノマーザー(株)
製)を用いて500kg/m2の圧力で2回処理を行っ
た。その後、更に60分間攪拌を行い、攪拌しながら下
記完全鹸化PVA7%水溶液を加え、更にノニオン系界
面活性剤及びジエチルグリコールモノブチルエーテルを
加えて、pH3.5の色材受容層塗布液を調製した。
【0096】 〔色材受容層塗布液(A)の組成〕 ・シリカ微粒子 … 9部 (QS−30、(株)トクヤマ製、BET法による比表面積300m2/g) ・イオン交換水 …62.0部 ・モノメチルジアリルアンモニウムクロライド … 0.45部 (PAS−M−1、日東紡(株)製;重量平均分子量20000、固形分濃度 60%) ・完全鹸化ポリビニルアルコール(PVA)7%水溶液(水溶性樹脂) (PVA−124、(株)クラレ製;鹸化度98.5%、重合度2400) …28部 ・エマルゲン109Pの10%水溶液 … 0.25部 (ノニオン系界面活性剤、花王(株)製) ・ジエチルグリコールモノブチルエーテル … 0.30部
【0097】−インクジェット記録用シートの作製− コロナ放電処理が施された前記支持体のオモテ面に、上
記より得た色材受容層塗布液(A)をエクストルージョ
ンダイコーターを用いて180g/m2の塗布量で塗布
し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m
/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾
燥させた。塗布層は、この期間恒率乾燥速度を示した。
その直後、下記組成の架橋剤溶液(a)(pH9.0)に
30秒浸漬して該塗布層上にその20g/m2(WET量)
を付着させ(架橋剤溶液を付与する工程)、更に80℃
下で10分間乾燥させて色材受容層を形成した(乾燥工
程)。その後、色材受容層の表面に、該層の含水分量が
2.5g/m2となるように高圧蒸気を吹き付けて蒸気
加湿を行い、本発明のインクジェット記録用シート
(1)を得た。
【0098】 〔架橋剤溶液(a)の組成〕 ・硼酸 … 2.25部 ・イオン交換水 …75.15部 ・ポリアリルアミン10%水溶液(カチオン性媒染剤) …20部 (PAA−10C、重量平均分子量15000、日東紡(株)製) ・塩化アンモニウム(表面pH調整剤) … 5部 ・エマルゲン109Pの10%水溶液 … 2部 (ノニオン系界面活性剤、花王(株)製)
【0099】(実施例2)実施例1で調製した、色材受
容層塗布液(A)に代えて下記組成の色材受容層塗布液
(B)を用い、架橋剤溶液(a)に代えて下記組成の架橋
剤溶液(b)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、
本発明のインクジェット記録用シート(2)を得た。 〔色材受容層塗布液(B)の組成〕 ・シリカ微粒子 … 9.9部 (アエロジル300、日本アエロジル(株)製、BET法による比表面積300 m2/g) ・イオン交換水 …72.6部 ・完全鹸化ポリビニルアルコール(PVA)9%水溶液(水溶性樹脂) (PVA−420、(株)クラレ製;鹸化度81.8%、重合度2000) …31.4部 ・1Nアンモニア水 … 5.3部 ・エマルゲン109Pの10%水溶液 … 7.2部 (ノニオン系界面活性剤、花王(株)製)
【0100】 〔架橋剤溶液(b)の組成〕 ・硼酸 … 1.5部 ・イオン交換水 …87.48部 ・ポリアリルアミン20%水溶液(カチオン性媒染剤) … 7.15部 (PAS−F5000、重量平均分子量5000、日東紡(株)製) ・エマルゲン109Pの10%水溶液 … 2.0部 (ノニオン系界面活性剤、花王(株)製) ・塩化アンモニウム(表面pH調整剤) … 0.2部 ・25%アンモニア水(pH調整剤) … 1.67部
【0101】(実施例3〜4)実施例1において、乾燥
工程後、色材受容層の表面に対する蒸気加湿を、該層の
含水分量がそれぞれ0.6g/m2、4.8g/m2とな
るように行ったこと以外、実施例1と同様にして、本発
明のインクジェット記録用シート(3)〜(4)を得
た。
【0102】(比較例1)実施例1における蒸気加湿を
行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較例
のインクジェット記録用シート(5)を得た。
【0103】(比較例2〜4)実施例1において、乾燥
工程後、色材受容層の表面に対する蒸気加湿を、該層の
含水分量がそれぞれ8g/m2、0.4g/m2、5.2
g/m2となるように行ったこと以外、実施例1と同様
にして、比較例のインクジェット記録用シート(6)〜
(8)を得た。
【0104】(評価)上記より得た本発明のインクジェ
ット記録用シート(1)〜(4)、及び比較例のインク
ジェット記録用シート(5)〜(8)のそれぞれについ
て、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に示
す。 (光沢度)印画前の記録シートの色材受容層の表面にお
ける60°光沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−
50DP,スガ試験機(株)製)にて測定した。
【0105】(インク吸収速度)インクジェットプリン
ター(PM−770C、セイコーエプソン(株)製)を
用いて、インクジェット記録用シートに、Y(黄)、M
(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G
(緑)およびR(赤)のベタ画像を印字し、その直後
(約10秒後)、該画像上に紙を接触押圧し、インクの
紙への転写の有無を下記の基準に従って評価した。 〔基準〕 AA:紙上へのインクの転写は全く認められなかった。 インク吸収速度が良好なことを示す。 A :インクの転写が僅かに認められた。 BB:インクの転写が若干認められたが、実用上問題な
い程度であった。 CC:紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0106】(ビーディング)インクジェットプリンタ
(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)によ
り、インクジェット記録用シートに、Y(黄)、M(マ
ゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G
(緑)およびR(赤)のベタ画像を印字し、目視により
下記基準に従ってビーズ玉状の色ムラを評価した。 〔基準〕 ○:ビーディングの発生は認められなかった。 ○× :ビーディングの発生が僅かに認められた。 △:ビーディングの発生が若干認められたが、実用上問
題ない程度であった。 ×:ビーディングが発生した。
【0107】
【表1】
【0108】上記表1の結果から、色材受容層の含水分
量を本発明に規定する範囲としたインクジェット記録用
シート(1)〜(4)では、インク吸収性に優れ、イン
ク滲みやビーディングを効果的に抑制して高解像度の画
像を得ることができた。一方、本発明に係る含水分量に
調整しなかったインクジェット記録用シート(5)〜
(8)では、インク吸収性に劣っており、インク滲みや
ビーディングを生じて鮮鋭な画像を得ることはできなか
った。
【0109】
【発明の効果】本発明によれば、色材受容層中における
媒染剤等の成分の不均一を解消し、インク吸収性、イン
ク保持性を良化してインク滲み(画像ボケ、経時ニジ
ミ)を防止でき(解像度の向上)、かつビーディングの
発生のない高鮮明な画像を形成し得るインクジェット記
録用シート、並びにその製造方法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA05 EA13 FC06 2H086 BA15 BA31 BA33 BA35 BA37 BA41 BA45 BA46 4D075 AE13 BB24Y BB63Z BB79Z BB91Z CA32 CA35 CA38 CA48 CB04 DA04 DB18 DB33 DB48 DB53 DB55 DC27 EA06 EA07 EB07 EB14 EB15 EB19 EB20 EB22 EB32 EB33 EB37 EB38 EB45 EC01 EC03 EC53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、無機顔料微粒子及び水溶性
    樹脂を含む色材受容層を有するインクジェット記録用シ
    ートにおいて、 前記色材受容層の含水分量が0.5〜5.0g/cm2
    であることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 【請求項2】 無機顔料微粒子が、平均一次粒子径30
    nm以下の、気相法によるシリカ微粒子である請求項1
    に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 【請求項3】 色材受容層が、媒染剤としてカチオン性
    ポリマーを含む請求項1又は2に記載のインクジェット
    記録用シート。
  4. 【請求項4】 色材受容層が、支持体上に無機顔料微粒
    子と水溶性樹脂とを含有する塗布液を塗布し、該塗布と
    同時に、又は形成された塗布層の乾燥途中であって該塗
    布層が減率乾燥速度を示すようになる前に、該塗布層に
    水溶性樹脂を架橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する
    溶液を付与した後、該溶液を付与した塗布層を架橋硬化
    させて得られる請求項1から3のいずれかに記載のイン
    クジェット記録用シート。
  5. 【請求項5】 支持体上に無機顔料微粒子及び水溶性樹
    脂を含む塗布液を塗布して色材受容層を形成するインク
    ジェット記録用シートの製造方法において、媒染剤を付
    与して形成された色材受容層の表面に加湿処理を施し
    て、該層の含水分量が0.5〜5.0g/cm2に調整
    されることを特徴とするインクジェット記録用シートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 塗布後において、色材受容層が形成され
    た支持体を巻き取る巻取工程を有し、該巻取工程前に、
    前記色材受容層の表面に加湿処理を施して含水分量を調
    整する請求項5に記載のインクジェット記録用シートの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 塗布後に塗布層表面を乾燥処理した後、
    巻取工程前に加湿処理を施す請求項6に記載のインクジ
    ェット記録用シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 支持体上に無機顔料微粒子と水溶性樹脂
    とを含有する塗布液を塗布し、該塗布と同時に、又は形
    成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥
    速度を示すようになる前に、該塗布層に水溶性樹脂を架
    橋させうる架橋剤と媒染剤とを含有する溶液を付与し、
    架橋硬化して色材受容層を得た後、巻取工程前に、前記
    色材受容層の表面に加湿処理を施す請求項6に記載のイ
    ンクジェット記録用シートの製造方法。
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