JP2003080465A - ラッピングフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ラッピングフィルム及びその製造方法

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JP2003080465A
JP2003080465A JP2001274096A JP2001274096A JP2003080465A JP 2003080465 A JP2003080465 A JP 2003080465A JP 2001274096 A JP2001274096 A JP 2001274096A JP 2001274096 A JP2001274096 A JP 2001274096A JP 2003080465 A JP2003080465 A JP 2003080465A
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film
polishing
lapping film
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lapping
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JP2001274096A
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Takaaki Tottori
高明 鳥取
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REFURAITO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切屑を接触面間から排出するのに良好な深度
を有し、かつ任意に形成されたチップポケットを有する
ラッピングフィルムを提供する。 【解決手段】 柔軟性、熱安定性に優れ、かつ絞り加工
が可能である共重合ポリエステルフィルムからなる表面
に凹凸のない基材(2c)上に、砥粒と接着剤とからな
る研磨材層(a)を厚さが均一になるように塗布し、基
材(2c)と研磨材層(1)からなるラッピングフィル
ム(10)を形成した後、凹凸転写面を有する成形型
(20)を使用して加熱加圧し、深絞り加工することに
よって、研磨面に凹凸を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、研磨加工に用い
られるラッピングフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近のシリコンウエハやハードディスク
をはじめとする電子あるいは光学部品の研磨加工に要求
される精度は高く、そのためにラッピングフィルム10
が用いられるようになった。代表的なラッピングフィル
ム10としては、ポリエステルフィルムからなる基材2
上に各種砥粒1aを接着剤1bで塗布したものがある。
ラッピングフィルム10は、フレキシビリティに富み、
しかも曲面に対しても良くなじみ、かつガラスやプラス
ティックレンズの研磨加工や複雑な曲面研磨加工に対す
るフィット性が要求されている。また研磨加工で発生す
る切屑によって工作物の仕上り面を傷付けないようにす
るため、切屑を接触面間から排出するための適度なチッ
プポケットaを研磨面に形成したラッピングフィルムが
要求されている。
【0003】図9は従来技術によるラッピングフィルム
を示すものであって、研磨面にチップポケットaを形成
したものである。図9(a)は、研磨粒子凝集タイプ
(ベナードセル型、亀甲型)のラッピングフィルムであ
り、ポリエステルフィルムなどからなる平板状の(表面
に凹凸のない)基材2a上に、砥粒1aと接着剤1bか
らなる研磨材層1を塗布する際、前記研磨材層1に含有
される砥粒が1μm以下では表面積や表面エネルギーに
よって凝集しやすくなることを利用し、この凝集によっ
て基材2a上に塗布された研磨材層1に亀裂を発生させ
て研磨面にチップポケットaを形成するものである。図
8(b)は、不織布あるいはテトロンタフタなどの表面
に凹凸のある基材2b上に研磨材層1を塗布するもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、研磨粒
子凝集タイプ(ベナードセル型、亀甲型)のラッピング
フィルムでは、基材2a上に塗布した研磨材層1を亀裂
させてチップポケットaを形成するためには、研磨材層
1における接着剤濃度や砥粒密度、および研磨材層1の
乾燥速度などのコントロールが困難で、かつ前記チップ
ポケットaは所望の間隔で形成することができず、また
基材上に塗布される研磨材層1の接着強度も弱いものと
なっていた。
【0005】一方、不織布あるいはテトロンタフタから
なる凹凸のある基材2b上に研磨材層1を塗布したラッ
ピングフィルムでは、予め凹凸が形成されている基材2
bに対して研磨材層1を塗布するため、研磨材層1が基
材2bの凹部に流れ込み、研磨面には殆ど凹凸が形成さ
れず(研磨面に形成された凹凸は極めて浅くなり)、そ
のため研磨面に切屑を接触面間から排出するのに適した
チップポケットaを形成することができなかった。また
研磨材層1が均一でないため、長時間使用した場合に研
磨むらが発生するなどの虞があった。
【0006】そこで、この発明は、切屑を接触面間から
排出するのに良好なチップポケットaを研磨面に任意に
形成したラッピングフィルムを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、この発明は、柔軟性、熱安定性に優れ、かつ絞り加
工が可能である共重合ポリエステルフィルムからなる表
面に凹凸のない基材上に、砥粒と接着剤とからなる研磨
材層を厚さが均一になるように塗布し、基材と研磨材層
からなるラッピングフィルムを形成した後、転写凹凸転
写面を有する成形型を使用して加熱加圧し、深絞り加工
することによって、研磨面に凹凸を形成するものであっ
て、深絞り加工によって研磨面に任意の凹凸を形成した
ラッピングフィルムを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の好適な実施例を
図面を参照にして説明する。
【0009】図1は、柔軟性、強度、熱安定性、溶媒耐
性などの物理的特性の優れた基材2上に各種砥粒1aを
接着剤1bからなる研磨材層1を形成したラッピングフ
ィルムを示すものである。なお研磨材層1を均一の厚さ
に形成するため、表面に凹凸が形成されていない基材2
を使用している。
【0010】研磨材層1は各種砥粒1aと接着剤1bと
から構成され、基材2上に均一にコーティングして形成
される。砥粒1a材質としては、ダイヤモンド,酸化ク
ロム,酸化鉄,酸化アルミナ,炭化珪素などが用いら
れ、接着剤1bとしてはアクリル系,エポキシ系,ウレ
タン系などのものが用いられる。またダイヤモンド砥粒
(粒度#200 〜#10,000)を高強度・耐熱性樹脂である
ポリイミド樹脂からなる接着剤1bと混練したものをロ
ーラーコート法により基材上にコーティングした場合、
十分なフレキシビリティを有し、砥粒保持力がきわめて
高く、大きな研磨負荷にも十分に耐えることができる。
【0011】この実施例では、基材として、柔軟性、強
度、熱安定性、溶媒耐性など優れた物理的特性を有し、
かつ絞り加工が可能な共重合ポリエステルフィルムを使
用する。
【0012】従来技術で使用していたポリエステルフィ
ルムからなる基材2aは、柔軟性、強度、熱安定性、溶
媒耐性など優れた物理的特性を有するものの、原料であ
るポリエチレンテレフタレートポリマーをフィルム状の
基材2aとして成形する際、変形にともなう分子配向の
増大によりポリマーが結晶化を起こし、そのため、それ
以上の成形が困難となる。つまり、ポリエステルフィル
ムからなる基板2aは、深絞り加工などの成形加工がで
きない。一方、この発明では、柔軟性、熱安定性に優
れ、かつ絞り加工が可能である共重合ポリエステルフィ
ルムからなる基材2cを使用する。この共重合ポリエス
テルフィルムは、共重合などのポリマー変性によって、
成形の際の変形にともなうポリマー結晶化が抑制され、
そのため、優れた成形性を保ち、折り曲げ加工や絞り加
工が可能である。なお共重合ポリエステルとしては、共
重合ポリエチレンテレフタレートが代表例として挙げら
れ、この共重合成分は酸成分でもアルコール成分でも良
い。
【0013】この実施例では、上述の共重合ポリエステ
ルフィルムとして、帝人デュポンフィルム株式会社製の
テフレックス(商品名)を使用した。この共重合ポリエ
ステルフィルムは、平均粒径2.5μm以下の滑材を含
有し、融点が210〜245℃の共重合ポリエステルか
らなり、ポリエチレンフィルムと同様に柔軟性、強度、
熱安定性、溶媒耐性などの優れた物理的特性を有し、か
つ折り曲げ加工や絞り加工が可能である。
【0014】そして、上述の共重合ポリエステルフィル
ムからなる表面に凹凸のない基材2c上に研磨材層1を
均一に塗布して形成されたラッピングフィルム10を深
絞り加工することによって、ラッピングフィルムの研磨
面に凹凸を形成する。なお深絞り加工するためには、基
材2c上に塗布される研磨材層1を構成する接着剤1b
として、熱可塑性の接着剤1bが好適である。
【0015】図2に示すように、この実施例では、絞り
加工が可能である共重合ポリエステルフィルムからなる
表面に凹凸のない基材2c上に、砥粒1aと接着剤1b
からなる研磨材層1を均一の厚さで塗布し、基材2cと
研磨材層1とからなるラッピングフィルム10を形成し
た後、このラッピングフィルム10を、成形型20を使
用して加熱加圧することによって深絞り加工して研磨面
に凹凸を形成したラッピングフィルムを製造する。ま
ず、共重合ポリエステルフィルムからなる表面に凹凸の
ない基材2c上に、厚さ10〜40μmの研磨材層1を
均一に形成し、研磨面に凹凸のないラッピングフィルム
10を形成する。共重合ポリエステルフィルムからなる
基材2cに予め凹凸を形成しておくと、凹部に研磨剤層
1が流れ込んで、均一の厚さの研磨材層1が形成できな
い。次に、表面に凹凸のない基材2cと、この基材上に
形成した均一の厚さの研磨材層1とからなるラッピング
フィルムを深絞り加工して、研磨面に凹凸を形成する。
この深絞り加工において、凹凸転写面21aを有する成
形上型(ドラム型)20Aと、この凹凸転写面21aと
対応するように設けた凹凸転写面21bを有する成形下
型(ドラム型)20Bとからなる成形型20を使用し、
研磨面に凹凸のないラッピングフィルム10を成形上型
20Aと成形下型20Bで挟み込み、加熱温度120〜
130℃、加圧力20kg/cmにて、1秒間加熱加圧
することで、研磨面に深度5〜20μmの凹部を形成し
た。なおこの実施例ではドラム型の成形上型20Aと成
形下型Bを使用したが、その限りではなく、平板型のプ
レス型のものを使用してもよい。なお図2に示す成形型
20は、反時計回りに回転する成形上型20Aと時計回
りに回転する成形下型20Bでラッピングフィルム10
を挟み込んで加熱加圧して、研磨面に凹凸を形成したラ
ッピングフィルム10を製造する。
【0016】図3は、表面に凹凸のないラッピングフィ
ルムと、深絞り加工によって研磨面に凹凸が形成された
ラッピングフィルムの断面及び研磨面表面を示すもので
ある。図3(a)は、共重合ポリエステルフィルムから
なる表面に凹凸のない基材2c上に、砥粒1aと接着剤
1bとからなる研磨材層1を均一に塗布したラッピング
フィルム10を示すものである。このラッピングフィル
ムの研磨面には凹凸がなく、チップポケットとなる凹部
が形成されていない。図3(b)及び(c)は、図3
(a)に示す表面に凹凸のないラッピングフィルムを深
絞り加工することによって研磨面に凹凸を形成するもの
である。図3(b)は、深絞り加工によって研磨面に凹
凸を形成し、ランダムな凹部aを形成したラッピングフ
ィルム10を示すものである。なお図3(b)に示す研
磨面に凹凸のあるラッピングフィルムは、図2に示す成
形型20のように、凹凸転写面21aを有する成形上型
20Aと凹凸転写面21bを有する成形下型20Bを使
用し、成形上型20Aにランダムに形成した凹凸転写面
21aと、それに対応して成形下型20Bに形成した凹
凸転写面21bによって、図3(a)のラッピングフィ
ルムを型押しし(断面形状で湾曲させ)、研磨面にラン
ダムな凹凸(凹部a)を形成するものである。従って図
3(b)に示すラッピングフィルムは、基材2c上の研
磨材層1が均一の厚さであり、しかも凹凸のある研磨面
を有する。図3(c)は、深絞り加工によって研磨面に
凹凸を形成し、クロスパターン状の凹部aが形成された
ラッピングフィルム10を示すものである。なおこの実
施例は、クロスパターン状の凹凸転写面21aを有する
成形上型21と、凹凸を有さない平坦な転写面の成形下
型20Bとからなる成形型20を使用して型押し(図示
せず)、研磨面にクロスパターン状の凹部aが形成され
たラッピングフィルムを形成するものである。従って図
3(c)に示すラッピングフィルムは、基材2c上の研
磨材層1が均一の厚さであり、しかも凹凸のある研磨面
を有する。
【0017】つまりこの発明では、絞り加工が可能であ
る共重合ポリエステルフィルムからなる表面に凹凸のな
い基材2cを使用し、この基材2c上に均一の厚みの研
磨材層1を設けたラッピグフィルム10について、成形
型20を使用して加熱加圧し、深絞り加工することによ
って、ラッピングフィルムの研磨面に任意の凹凸を形成
するものである。
【0018】次に、深絞り加工によって研磨面に凹凸を
形成したラッピングフィルムによる研磨特性について、
図4乃至図8に説明する。
【0019】図4は、ラッピングフィルムによる研磨特
性を検査するための平面研磨装置の概略図を示すもので
ある。図4に示す装置では、工作物30を研磨するラッ
ピングフィルム10が、供給スプール11からプラテン
13を経て巻取スプール12によって回収され、さらに
これらを構成するフレーム自体がスピンドル15によっ
て回転するように構成されている。なおプラテン13上
のラッピングフィルム10の研磨面に工作物30を一定
の圧力で押し付けるとともに、振動を付与し、さらに上
部から加工液を供給しながら研磨加工を行うように構成
されている。つまり超仕上げの原理を応用した研磨方法
である。なお上部から加工液14を供給しながら研磨加
工することによって、研磨における潤滑性の向上、研磨
時の研磨熱の発生の低減、切屑の洗浄性の向上を図って
いる。
【0020】まず第1研磨実験において、共重合ポリエ
ステルフィルムからなる表面に凹凸のない基材2c上
に、均一の厚さの研磨材層1を設けた、研磨面に凹凸の
ないラッピングフィルム(図3(a))と、深絞り加工
によって溝状の凹部aがランダムに形成されたラッピン
グフィルム(図3(b))と、深絞り加工によって溝状
の凹部aがクロスパターン状に形成されたラッピングフ
ィルム(図3(c))とによって、それぞれ工作物30
を研磨加工し、それぞれのラッピングフィルムが仕上面
粗さに及ぼす影響を検討した。なお研磨条件は表1に示
すとおりである。硬脆材料であるガラスBK7からなる
工作物30を、砥粒1bとしてGC♯1000を用いた
研磨材層1をコーティングしたラッピングフィルム10
で研磨した。
【0021】
【表1】
【0022】図5は、3種のラッピングフィルム(図3
(a)(b)(c))おける、工作物30の仕上面粗さ
Ryの時間推移(研磨時間0秒から60秒)を、それぞ
れ比較したものである。工作物30の仕上面粗さRy
は、表面粗さ測定器((株)ミツトヨSURFTEST
−701)を用いて測定を行った。なお図5において仕
上面粗さRyの値が低いほど、研磨効果が高いことを表
す。図5に示すグラフの結果から、研磨面に凹凸のない
ラッピングフィルム使用する場合よりも、研磨面にラン
ダムに凹凸を設けたラッピングフィルムや、クロスパタ
ーン状に凹凸を設けたラッピングフィルムを使用した場
合の方が、短時間に研磨効果が向上しており、また60
秒後の仕上面粗さRyの値も小さく、高い研磨効果が認
められる。つまり、凹凸のないラッピングフィルムに比
べて、研磨面にランダムに凹凸を設けたラッピングフィ
ルムや、クロスパターン状に凹凸を設けたラッピングフ
ィルムでは、研磨面の凹凸(つまり溝状の凹部a)がチ
ップポケットとして作用し、削屑の排出効果を高め、さ
らに加工液の滞留によって研磨点における加工液の作用
が発揮され、研磨効果が向上する。
【0023】次に、凹凸の大きさ(溝状の凹部aの長
さ)の異なるラッピングフィルムによる研磨特性につい
て検討した。(第2研磨実験)
【0024】図6(a)は、共重合ポリエステルフィル
ムからなる表面に凹凸のない基材2c上に、均一の厚さ
の研磨材層1を設けたラッピングフィルムの研磨面表面
を示すものである。つまり図6(a)に示すラッピング
フィルムの研磨面には凹凸が形成されておらず、チップ
ポケットとなる凹部aがない。図6(b)及び(c)
は、図6(a)に示すラッピングフィルムを深絞り加工
することによって、研磨面に凹凸を形成したものであ
る。なお、深絞り加工については、上述したものと同様
に成形型20を使用して加熱加圧によって行った。従っ
て図6(b)及び(c)に示すラッピングフィルムは、
基材2c上の研磨材層1が均一の厚さであり、しかも凹
凸のある研磨面を有する。図6(b)は、深絞り加工に
よって研磨面に小さな凹凸を形成したラッピングフィル
ムの研磨面表面を示すものである。なお図6(b)に示
す、研磨面に小さな凹凸のあるラッピングフィルムで
は、溝状の凹部aの長さが0.3〜0.8程度で1.0
mm/divを超えないものである。図6(c)は、深
絞り加工によって研磨面に大きな凹凸を形成したラッピ
ングフィルムの研磨面表面を示すものである。なお図6
(c)に示す、研磨面に大きな凹凸のあるラッピングフ
ィルムでは、溝状の凹部aの長さが0.3〜0.8程度
で1.0mm/divを超えるものである。
【0025】第2研磨実験は、研磨面に凹凸のないラッ
ピングフィルム(図6(a))と、研磨面に小さな凹凸
を形成したラッピングフィルム(図6(b))と、研磨
面に大きな凹凸を形成したラッピングフィルム(図6
(c))とによって、それぞれ工作物30を研磨加工
し、それぞれのラッピングフィルムが仕上面粗さに及ぼ
す影響を検討するものである。なお研磨条件は表2に示
すとおりである。耐食性、耐久性、意匠性、耐熱性、低
温特性などで炭素鋼材より優れた特性を備えるステンレ
ス鋼SUS304からなる工作物30を、砥粒1bとし
てGC♯1000を用いた研磨材層1をコーティングし
たラッピングフィルム10で研磨した。
【0026】
【表2】
【0027】図7は、凹部aの大きさの異なる3種のラ
ッピングフィルムについて、工作物30の仕上面粗さR
yの時間推移を比較したものである。工作物30の仕上
面粗さRyは、表面粗さ測定器((株)ミツトヨSUR
FTEST−701)を用いて測定を行った。なお図7
は、仕上面粗さRyの値が低いほど、研磨効果が高いこ
とを表す。図7に示すグラフの結果から、研磨面に凹凸
のないラッピングフィルム使用する場合よりも、研磨面
に小さな凹凸を設けたラッピングフィルムや、大きな凹
凸を設けたラッピングフィルムを使用した場合のほう
が、短時間に研磨効果が向上しており、高い研磨効果が
認められる。
【0028】図8は、工作物30の表面プロフィールを
示すものである。図8(a)は研磨作業前の工作物の表
面プロフィールであり、図8(b)は研磨面に凹凸のな
いラッピングフィルム(図6(a))で30秒研磨した
後の表面プロフィールであり、図8(c)は研磨面に小
さな凹凸を形成したラッピングフィルム(図6(b))
で30秒研磨した後の表面プロフィールであり、図8
(d)は研磨面に大きな凹凸を形成したラッピングフィ
ルム(図6(c))で30秒研磨した後の表面プロフィ
ールである。
【0029】ラッピングフィルムで工作物30を研磨す
ることによって、工作物の表面プロフィールのバラツキ
が小さくなり、何れのラッピングフィルムにおいても研
磨による効果が認められる。しかしながら図8(b)に
示すように、研磨面に凹凸のないラッピングフィルムで
は、残留した切屑によって工作物の表面に傷付けてしま
う。これに対して図8(c)及び(d)に示す、深絞り
加工によって研磨面に凹凸を形成したラッピングフィル
ムでは、残留屑によって工作物の表面を傷付けることな
く、精度の高い仕上げ面を形成することができる。
【0030】つまり、凹凸のないラッピングフィルムで
は研磨面に削屑が残留し、この残留屑によって工作物の
表面を傷付けてしまうのに対して、研磨面に小さな凹凸
を設けたラッピングフィルムや、大きな凹凸を設けたラ
ッピングフィルムでは、研磨面の凹凸形状がチップポケ
ットaを形成し、削屑の排出効果を高め、さらに加工液
の滞留によって研磨点における加工液の作用が発揮さ
れ、研磨効果が向上する。
【0031】なお深絞り加工で、研磨面に凹凸を形成し
たラッピングフィルムにおいては、研磨面積を狭くしな
いように、溝幅の狭い凹部aを形成することが好まし
い。また深絞り加工で、研磨面に凹凸を形成したラッピ
ングフィルムにおいては、縦進行(走行)方向に対して
斜め方向に溝状の凹部aを形成することが好ましく、加
工液による切屑の排出の効果及び凹部aへの加工液の滞
留が期待できる。
【0032】すなわち、基板2上に均一の厚で研磨材層
1が形成され、かつ深絞り加工によって研磨面に任意の
凹凸が形成されたラッピングフィルムでは、凹部aがチ
ップポケットとして作用する。そして上記チップポケッ
ト(凹部a)によって、切屑を効果的に集積し排出する
ことができ、精密な研磨が可能となる。また加工液を滞
留させ、加工液の作用による研磨効果の向上を図ること
ができる。一方、基材に研磨材層が均一に形成されたラ
ッピングフィルムで、研磨面に凹凸がなく、チップポケ
ットaを有さないものは、切屑が接触面間から排出され
にくく、作業面上に目づまりを起こした。
【0033】この実施例は、絞り加工が可能である共重
合ポリエステルフィルムからなる基材2c上に研磨材層
1を均一に塗布した後、任意の凹凸面を有する成形型2
0を使用して加熱加圧(深絞り加工)することで、ラッ
ピングフィルムの研磨面に凹凸を形成し、ラッピングフ
ィルムの研磨面に任意のチップポケットaを形成するも
のである。従って、チップポケットaを容易に形成する
ことができ、さらにその形状の自由度が広がる。つまり
研磨粒子凝集タイプ(ベナードセル型、亀甲型)のラッ
ピングフィルムのように、研磨面にチップポケットaを
形成するために、基材2a上に塗布される研磨材層1に
おける接着剤濃度や砥粒密度、研磨材層1の乾燥速度な
どの厳密なコントロールを行なって研磨材層1を亀裂さ
せる必要はなく、また不織布あるいはテトロンタフタな
どの予め表面に凹凸のある基材2bに研磨材層1を塗布
したラッピングフィルムのように、研磨材層1を形成す
る際に凹部に研磨材層が流れ込んで研磨面には凹部が殆
ど形成されないといった不具合や、研磨材層1の厚さが
不均一になるといった不具合もない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるラ
ッピングフィルムは、柔軟性、熱安定性に優れ、かつ絞
り加工が可能である共重合ポリエステルフィルムからな
る表面に凹凸のない基材上に、砥粒と接着剤とからなる
研磨材層が均一の厚さで塗布されて形成されたラッピン
グフィルムが深絞り加工され、ラッピングフィルム研磨
面に凹凸を形成したものであり、研磨面の凹凸の配列を
利用して研磨による切屑を凹部に効果的に集積でき、精
密な研磨が可能となる。また基材として柔軟性、熱安定
性に優れ、絞り加工が可能である共重合ポリエステルフ
ィルムを使用し、この基材と研磨材層からなる平板状の
ラッピングフィルムを深絞り加工によって研磨面にチッ
プポケット(凹部)を形成するものであるので、研磨面
へのチップポケット(凹部)の形成が容易で、かつ切屑
を接触面間から排出するのに良好な深度を有し、かつ所
望の間隔で形成されたチップポケットを有するラッピン
グフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラッピングフィルムの構造を示す断面図。
【図2】この発明の実施例によるラッピングフィルムの
製造方法。
【図3】この発明によるラッピングフィルムの実施例。
【図4】研磨特性を測定するための研磨装置。
【図5】図3に示すラッピングフィルムによる仕上面粗
さRyの時間推移を示すグラフ
【図6】この発明によるラッピングフィルムの他の実施
例。
【図7】図6に示すラッピングフィルムによる仕上面粗
さRyの時間推移を示すグラフ
【図8】研磨加工による工作物の表面プロフィール。
【図9】従来技術によるラッピングフィルムを示す断面
図。
【符号の説明】
1 研磨材層 1a 砥粒 1b 接着剤 2 基材 a チップポケット、研磨面の凹部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に研磨材層を塗布したラッピング
    フィルムにおいて、 柔軟性、熱安定性に優れ、かつ絞り加工が可能である共
    重合ポリエステルフィルムからなる表面に凹凸のない基
    材(2c)上に、砥粒と接着剤とからなる研磨材層
    (1)を均一の厚さで塗布したラッピングフィルム(1
    0)を、深絞り加工して、研磨面に凹凸を形成したこと
    を特徴とするラッピングフィルム。
  2. 【請求項2】 柔軟性、熱安定性に優れ、かつ絞り加工
    が可能である共重合ポリエステルフィルムからなる表面
    に凹凸のない基材(2c)上に、砥粒と接着剤とからな
    る研磨材層(a)を厚さが均一になるように塗布し、基
    材(2c)と研磨材層(1)からなるラッピングフィル
    ム(10)を形成した後、 凹凸転写面を有する成形型(20)を使用して加熱加圧
    し、深絞り加工することによって、研磨面に凹凸を形成
    することを特徴とするラッピングフィルムの製造方法。
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