JP2003079720A - 血液ポンプ - Google Patents

血液ポンプ

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JP2003079720A
JP2003079720A JP2001275196A JP2001275196A JP2003079720A JP 2003079720 A JP2003079720 A JP 2003079720A JP 2001275196 A JP2001275196 A JP 2001275196A JP 2001275196 A JP2001275196 A JP 2001275196A JP 2003079720 A JP2003079720 A JP 2003079720A
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JP
Japan
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impeller
pump chamber
blood
pump
bearing
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Application number
JP2001275196A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Ito
和之 伊藤
Shinya Fukahori
真也 深堀
Mutsumi Koujiya
睦 糀屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型化を図りつつインペラのポンプ室との接触
を防止して当該インペラの回転を常時良好にすることが
できる血液ポンプを提供する。 【解決手段】内部にポンプ室6が形成され、ポンプ室6
内に磁力を及ぼし得るステータ7を有するハウジング2
と、ポンプ室6内へ血液を導入するための入口ポート3
及びポンプ室6から血液を導出するための出口ポート4
と、ポンプ室内に配設され、ステータ7の通電により当
該ステータ7との間で磁力を生じさせるインペラ側マグ
ネット8を有するとともに、軸受け3cにより片面側か
らのみ回転自在に支持されたインペラ5とを有し、軸受
けの断面形状である台形の各頂点を通る円の中心を振れ
中心Cとした仮想球(A又はB)の表面に近似した曲面
となるよう、インペラ5の側面及び該側面と対向するポ
ンプ室の内周面を形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インペラの回転に
より血液を循環させるための血液ポンプに関し、特に、
小型で且つインペラの回転が常に良好な血液ポンプに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、体外循環回路用の血液ポンプとし
て、拍動流を供給するための拍動ポンプ型、平滑流を供
給するためのローラポンプ型の他、遠心ポンプ型の血液
ポンプが知られており、人工心肺装置や開心術後の心補
助循環装置等において広く用いられている。かかる遠心
ポンプ型の血液ポンプは、入口ポート及び出口ポートと
連通されたポンプ室を具備し、該ポンプ室内でインペラ
を回転させ、回転によって生じる遠心力とポンプ前後の
差圧とに応じて平滑流を供給するものである。
【0003】一方、上記遠心ポンプ型の血液ポンプに配
設されたインペラは、その回転中心がポンプ室内に形成
された軸受けに回転自在に支持された構造とされるた
め、インペラの回転により当該インペラの支持部位と軸
受けとの間の摺動面において発熱が生じ、この発熱部近
傍において血液が溶血(血球が破壊される現象)し易い
という問題があった。
【0004】また、上記血液ポンプは、体外に設置され
て血液を供給又は循環させることを目的としているた
め、その大きさについてはあまり問題にされなかった
が、将来的には血液ポンプを体内に埋め込んで、人工心
臓等として用いることが考えられており、その際には血
液ポンプをより小型化、特に薄型にする必要がある。
【0005】上記の如く、溶血の原因となる発熱を減少
させ、且つ、血液ポンプの小型化を達成するためには、
インペラをその片面側からのみ支持することが有効であ
り、そのような支持構造の血液ポンプは、例えば特開平
4−224760号公報で開示されている。該公報で開
示された血液ポンプによれば、インペラを両面で支持す
るものに比べて、摺動部位、即ち発熱部位を減少させて
溶血を抑制することができるとともに、軸受けが一方に
のみ形成されていればよいため血液ポンプ全体を小型化
することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の片
面側からのみ支持されたインペラを有する血液ポンプに
おいては、インペラの回転速度や大きさ等種々の条件に
よっては、当該インペラがその回転軸に対して振れてし
まう虞があり、良好なインペラの回転を常時得ることが
できないという問題があった。
【0007】即ち、図10に示すように、軸Lを中心に
回転するインペラIの場合、構造上振れ中心Cを中心と
してa方向に振れ易くなっており、かかる振れによって
インペラIの側面がポンプ室Pの内周面と接触し易くな
っているのに加え、血液ポンプを小型化するには、イン
ペラとポンプ室の内周面との間のクリアランスを小さく
する必要があるため、インペラが微少量振れただけでも
当該インペラの側面とポンプ室の内周面との接触が生じ
てしまうという不具合があった。
【0008】このように、インペラの側面がポンプ室の
内面に接触すると、インペラの回転数が低下し、振れが
更に大きくなってしまうので、回転が不安定になって、
血液の供給作用に悪影響を及ぼす虞がある他、インペラ
の損傷等により血液ポンプの寿命が短くなってしまうと
いう問題があった。更に、インペラのポンプ室と接触す
ると、熱が生じてしまうことも考えられ、その熱によっ
て溶血が促進されてしまう虞があるとともに、接触によ
りインペラ表面に傷が付いた場合、その傷によっても溶
血が生じてしまう虞があった。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、小型化を図りつつインペラのポンプ室との接
触を防止して当該インペラの回転を常時良好にすること
ができる血液ポンプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
内部にポンプ室が形成され、該ポンプ室内に磁力を及ぼ
し得る駆動用マグネットを有するハウジングと、前記ポ
ンプ室に連通され、当該ポンプ室内へ血液を導入するた
めの入口ポートと、前記ポンプ室に連通され、当該ポン
プ室から血液を導出するための出口ポートと、前記ポン
プ室内に配設され、前記駆動用マグネットとの間で磁力
を及ぼし合うインペラ側マグネットを有するとともに、
前記ポンプ室内に延設された軸受けにより片面側からの
み回転自在に支持されたインペラとを有し、前記駆動用
マグネットとインペラ側マグネットとの間の磁力で前記
インペラを回転させ、前記入口ポートからポンプ室に導
入された血液を前記出口ポートから導出する血液ポンプ
であって、前記軸受けに形成されたテーパ面にて前記イ
ンペラを支持するとともに、その軸受けの断面形状であ
る台形の各頂点を通る円の中心を振れ中心とした仮想球
の表面に近似した曲面となるよう、前記インペラの側面
及び該側面と対向する前記ポンプ室の内周面を形成した
ことを特徴とする。
【0011】かかる構成によれば、駆動用マグネットに
よりポンプ室内に磁力が及ぼされると当該駆動用マグネ
ットとインペラ内に配設されたインペラ側マグネットと
の間で磁力に基づく引力を生じ、インペラが軸受けを中
心としてポンプ室内で回転する。インペラの回転によ
り、入口ポートから導入された血液はポンプ室を経て出
口ポートから導出されることとなるが、インペラがその
回転軸から微小角度振れた場合であっても、インペラの
側面とポンプ室の内周面とのクリアランスは略同一寸法
に維持される。
【0012】即ち、インペラの振れは、その振れ中心を
傾きの中心として生ずるため、インペラの最外部の振れ
の軌跡は当該振れ中心を中心とした仮想球を描き、イン
ペラの側面をかかる仮想球の表面に近似させた曲面とす
るとともに、該側面と対向するポンプ室の内周面も仮想
球(インペラの表面決定時の仮想球と同一中心で径が大
きいもの)の表面に近似させた曲面とし、インペラが振
れ中心を中心として振れても、その側面がポンプ室の内
周面に接触するのを回避している。尚、駆動用マグネッ
トは、回転駆動される永久磁石であっても、電圧の印加
制御がなされる電磁石であってもよい。
【0013】請求項2記載の発明は、前記テーパ面に代
えて、球面にて前記インペラを支持するとともに、その
軸受けの断面形状である円の中心を振れ中心とした仮想
球の表面に近似した曲面となるよう、前記インペラの側
面及び該側面と対向する前記ポンプ室の内周面を形成し
たことを特徴とする。
【0014】請求項3記載の発明は、前記テーパ面に代
えて、1点にて前記インペラを支持するとともに、その
支持点を振れ中心とした仮想球の表面に近似した曲面と
なるよう、前記インペラの側面及び該側面と対向する前
記ポンプ室の内周面を形成したことを特徴とする。
【0015】請求項4記載の発明は、前記駆動用マグネ
ットが、前記インペラに対し回転力を付与するととも
に、当該インペラを前記軸受け側に引き付ける吸引力を
付与する状態にて配設されたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら具体的に説明する。本実施形態に係
る血液ポンプは、インペラの回転力により入口ポートか
ら導入した血液を出口ポートから導出させるものであ
り、図1に示すように、内部にポンプ室6が形成された
ハウジング2と、ポンプ室6に連通して形成された入口
ポート3及び出口ポート4と、ポンプ室6内に配設され
たインペラ5とから主に構成されている。
【0017】ハウジング2は、透明樹脂から成る略円筒
状の成形品であり、基台部2a、上蓋2b及び下蓋2c
から主に構成されたものである。基台部2aは、中央に
ポンプ室6を形成すべく下方に開口した第1の凹部P1
が形成されるとともに、該第1の凹部P1の周囲にステ
ータ7を配設すべく上方に開口した第2の凹部P2が円
環状に形成されており、第1の凹部P1の開口を下蓋2
cで塞ぐことによってポンプ室6を形成し、第2の凹部
P2の開口を上蓋2bで塞ぐことによってステータ7及
びその配線等をハウジング2内に内在させている。
【0018】尚、下蓋2cは、基台部2aとの当接面に
おいてOリング10を介在して、ネジ11にて基台部2
aの下面に結合されており、上蓋2bは、その外周縁部
に形成された雄ネジ部を基台部2aの外周縁部に形成さ
れた雌ネジに螺合させることにより基台部2aの上面に
結合されて構成されているが、他の結合手段及び方法に
よって上蓋2b及び下蓋2cを基台部2aに固定しても
よい。
【0019】第2の凹部P2内に配設されるステータ7
は、図2に示すように、円環状に形成されたヨーク12
の内側に向かって延設されたステータコア7aと、該ス
テータコア7aに導電線を巻いて形成されたコイル部7
bとから主に構成され、ポンプ室6内に磁力を及ぼし得
る駆動用マグネットを成している。ステータコア7aの
先端は、ポンプ室6の内周面に沿って拡幅して形成され
る一方、その基端側に巻かれたコイル部7bは外部に配
設される電源及び制御手段等(いずれも不図示)に連結
された配線13に接続されており、かかる電源によるコ
イル部7bに対する電圧の印加が行われると、当該コイ
ル部7bに電流が流れ、ステータコア7a先端からポン
プ室6内に対して磁力を及ぼし得るよう構成されてい
る。
【0020】入口ポート3は、ハウジング2の上面から
突出形成され、ポンプ室6に連通されて血液を当該ポン
プ室6内に導入するものであり、出口ポート4は、ハウ
ジング2の側面から突出形成され、ポンプ室6に連通さ
れてポンプ室6内の血液を外部に導出するものである。
これら入口ポート3及び出口ポート4の先端は、可撓性
チューブ等の先端を嵌合係止し得るよう複数の円環状凸
部が形成されている。
【0021】また、入口ポート3は、図3及び図4で示
すように、ハウジング2の上面に当接及びネジ固定され
る台座部3aが形成されており、その下部から下方に向
かって2本の柱部3bが延設され、更にその先端には軸
受け3cが形成されている。かかる軸受け3cは、その
頂部中央に上下を貫通する貫通孔が形成されるとともに
インペラ5を回転自在に支持するもので、下端面にテー
パ面3caが形成され、該テーパ面3caと対応したテ
ーパ面5aとの間でインペラの回転のための摺動面を成
している。
【0022】インペラ5は、ポンプ室6内に配設され、
ステータ7の通電により当該ステータ7との間で磁力を
及ぼし合うインペラ側マグネット8を有するとともに、
ポンプ室6内に延設された軸受け3cにより上面側から
のみ回転自在に支持されたものであり、図5に示すよう
に、中心から放射状に形成された羽根部5bの回転によ
り血液に対して流動作用を及ぼすものである。尚、図1
における符号9は、インペラ側マグネット8の内周面に
固定されたヨークを示している。
【0023】インペラ5内に配設されたインペラ側マグ
ネット8がステータコア7a先端との間で及ぼし合う磁
力を受けることにより、インペラ5が軸受け3cを中心
に所定方向に回転することとなるが、コイル部7bへの
電圧の印加タイミングを制御することにより、インペラ
5の回転速度を調整することができる。尚、インペラ5
が具備する羽根部5bの形状は、ポンプ室6内の血液に
対して流動作用を及ぼすものであれば、他の形状として
もよい。
【0024】また、インペラ5の中央部には円環状の回
転中心部材5cが嵌合固定されており、該回転中心部材
5cの上側内周面には既述したテーパ面5aが形成され
ている。かかるテーパ面5aに軸受け3cのテーパ面3
caを当接させるとともに、図4に示すように、インペ
ラ側マグネット8の上方側にステータコア7aが配設さ
れて、ステータ7による上方への吸引力Fを付与するこ
とにより、インペラ5は軸受け3c側に引き付けられつ
つ片面(上面)側のみから支持されることとなる。
【0025】このように、インペラ5を片面側のみから
支持することにより、両面から支持するものに比べて小
型化することができるとともに、発熱部位となるインペ
ラ5の支持箇所を減らすことができるため、インペラ5
の回転に伴う発熱を抑制し、溶血を抑制することができ
る。また、軸受け3cのテーパ面3caと回転中心部材
5cのテーパ面5aとをインペラ5の回転時における摺
動面としているので、芯出しが容易で、且つ、安定した
インペラ5の回転を得ることができる。
【0026】然るに、上記の如きインペラ5の支持で
は、当該インペラ5の回転時に振れ中心Cを中心とした
振れ(図4における符号a)が生じることがあるため、
本実施形態に係るインペラにおいては、以下の構成とさ
れている。即ち、図6に示すように、インペラ5の振れ
中心Cを中心とした半径r1の仮想球Aを想定し、イン
ペラ5の側面5dを仮想球Aの表面に近似した曲面とす
る一方、振れ中心Cを中心とした半径r2の仮想球Bを
想定し、ポンプ室6の内周面6aを仮想球Bの表面に近
似した曲面としている。
【0027】ここで、仮想球とは、設計図面等に描かれ
るだけの仮想の球をいい、インペラの振れ中心とは、当
該インペラが振れを起こした場合の中心をいう。即ち、
仮想球Bの半径r2から仮想球Aの半径r1を減算して
求められるインペラ5の側面5dとポンプ室6の内周面
6aとの間のクリアランスhは、インペラ5が振れ中心
Cを中心に振れても維持され、当該インペラ5のポンプ
室6における内周面6aに対する接触を回避することが
できるのである。
【0028】本実施形態の場合、図11に示すように、
軸受け3cに形成されたテーパ面3caにてインペラ5
を支持しているので、その断面形状である台形の各頂点
を通る円Eの中心が振れ中心Cとなる。ここで、仮想球
Aの中心と仮想球Bの中心は、機械加工精度や組み立て
精度などにより若干ずれる可能性があり、特にテーパ面
による支持の場合は、インペラ5が振れた際にある程度
ずれるのであるが、そのずれ量がクリアランスhの範囲
内に収まっていれば、インペラ側面とポンプ室内周面と
は依然接触しないので、上記ずれ量をクリアランスhと
なるよう設計すれば足りる。例えば、クリアランスhと
して1〜2mm程度が好ましい。
【0029】その他、図12に示すように、軸受け3
c’に形成された球面3c’aにてインペラ5を支持す
るような形態の場合、その断面形状である円Fの中心が
振れ中心Cとなるが、この場合、インペラが振れた際に
は上記の如き仮想球Aの中心と仮想球Bの中心のずれが
生じないので、クリアランスhについて考慮する必要は
ない。
【0030】次に、上記血液ポンプ1の作用について説
明する。まず、入口ポート3及び出口ポート4の先端に
所定部位(例えば血液回路等)を構成する可撓性チュー
ブを接続した後、制御手段による印加制御を行いつつ電
源によるステータ7への電圧印加を行ってインペラ5を
回転させる。即ち、ポンプ室6を取り囲む複数のステー
タ7に印加している電圧の位相を回転させることにより
回転磁場が生じるので、インペラ5に対し回転力を付与
するのである。この時、インペラ5は、インペラ側マグ
ネット8とステータコア7aとの吸引力により上方へ引
き付けられつつ回転するので、安定したインペラ5の回
転を得ることができる。
【0031】然るに、インペラ5には回転力の他、イン
ペラ側マグネット8とステータコア7aとの吸引力によ
り上方へ引き付けられる力F(図4参照)が働く結果、
インペラ5の回転中心が軸受け3cに押しつけられるの
で、回転中心部材5cのテーパ面5aが軸受け3cのテ
ーパ面3caに押圧されつつ摺動し、テーパによる芯出
し効果が十分に発揮される。尚、この時、ヨーク9及び
12によってマグネット8及びステータ7の磁束漏れが
それぞれ防止され、互いに効率良く磁力を付与(相互作
用)することができる。
【0032】ところで、回転するインペラ5は片面側か
らのみ支持されているため、インペラ5の回転速度(特
に、回転速度が低い場合)等の諸条件によっては、振れ
中心Cを中心に振れることがあるが、図7で示すように
右に所定角度振れても、図8で示すように左に所定角度
振れても、インペラ5の側面5dとポンプ室6の内周面
6aとの間のクリアランスhは維持され、これらの接触
が回避されつつインペラ5の回転が続けられることとな
る。
【0033】また、クリアランスhを極めて小さくして
も(溶血が生じ易くなるクリアランスよりは必要ではあ
る)、インペラ5とポンプ室6との接触を防止すること
ができるため、ステータコア7aの先端とインペラ側マ
グネット8との離間寸法を最大限短くすることができ、
ステータ7に印加する電圧に対するインペラ5の回転効
率を向上させることができる。
【0034】即ち、ステータコア7aの先端とインペラ
側マグネット8との離間寸法が大きい程、ステータコア
7aがインペラ側マグネット8に及ぼす磁力(吸引力)
が小さくなってしまうので、当該離間寸法をできるだけ
短くして磁力を大きくしたいところであるが、従来はイ
ンペラ5とポンプ室6との接触を避けるべく、インペラ
の回転効率を犠牲にして離間寸法を大きめに取っていた
のに対し、本発明によれば、かかる接触が回避されるた
め、限離間寸法を極めて小さくすることができ、インペ
ラの回転効率を向上させることができるのである。
【0035】そして、インペラ5の回転に伴って羽根部
5bが回転し、入口ポート3から血液を導入しつつ、そ
の血液を出口ポート4から導出するポンプ動作が行わ
れ、電源によるステータ7への電圧印加を停止すること
により、ステータコア7aからの磁力がなくなってイン
ペラ5の回転が止まり、血液ポンプ1の駆動が停止す
る。
【0036】以上、本実施形態について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸受けが
インペラの下面側から支持する構成のものに適用しても
よく、この場合、ポンプ室底面から突出した別の軸受け
によりインペラ下面が支持されるよう構成するのが好ま
しい。更に、軸受け先端を球状とし該球状に対応した形
状の凹部をインペラの回転中心に形成しておき、これら
をインペラ回転時の摺動面とすることもできる。
【0037】また、図9に示すように、インペラ5の回
転力を付与する駆動用マグネットとして永久磁石7’を
用いてもよく、この場合、各インペラ側マグネット8と
対向する面の極が交互に逆になるよう複数の永久磁石
7’を円環状に形成してモータMにより回転させ、イン
ペラ側マグネット8に対し回転方向の磁力を及ぼしてイ
ンペラ5を回転させるよう構成するのが好ましい。
【0038】かかるインペラの振れ中心Cは、当該イン
ペラの回転中心から下方に突出して先端が鋭角な軸部を
形成し、この軸部がポンプ室の底面に立設されるよう構
成したものであるため、インペラは軸受けによる支持が
不要とされ、インペラ回転に伴う摺動面からの発熱が回
避される。このように1点でインペラを支持する形態に
おいては、その支持点が振れ中心Cとされる。
【0039】
【発明の効果】請求項1〜3の発明によれば、インペラ
の側面及び該側面と対向する前記ポンプ室の内周面は、
インペラの振れ中心を中心とした仮想球の表面と略同一
形状とされ、インペラ側面がポンプ室の内周面に接触す
るのを回避しているので、小型化を図りつつインペラの
ポンプ室との接触を防止して当該インペラの回転を常時
良好にすることができる。
【0040】請求項4の発明によれば、駆動用マグネッ
トによりインペラを軸受け側に引き付ける吸引力を生じ
させているので、インペラが軸受けから振れてしまうの
を回避することができ、より安定した回転とすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る血液ポンプを示す縦断
面図
【図2】本発明の実施形態に係る血液ポンプを示す上面
【図3】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおける軸
受け及びインペラを示す模式図
【図4】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおける軸
受け及びインペラを示す模式図
【図5】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおけるイ
ンペラを示す底面図
【図6】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおけるイ
ンペラ及びポンプ室の形状を示す模式図
【図7】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおけるイ
ンペラがポンプ室内で右に所定角度振れた場合を示す模
式図
【図8】本発明の実施形態に係る血液ポンプにおけるイ
ンペラがポンプ室内で左に所定角度振れた場合を示す模
式図
【図9】本発明の他の実施形態に係る血液ポンプを示す
縦断面図
【図10】血液ポンプにおけるインペラを1点支持にし
た場合の振れを説明するための模式図
【図11】テーパ面でインペラを支持する血液ポンプに
おける振れ中心Cを求める説明の模式図
【図12】球面でインペラを支持する血液ポンプにおけ
る振れ中心Cを求める説明の模式図
【符号の説明】
1…血液ポンプ 2…ハウジング 2a…基台部 2b…上蓋 2c…下蓋 3…入口ポート 3a…台座部 3b…柱部 3c…軸受け 3ca…テーパ面 4…出口ポート 5…インペラ 5a…テーパ面 5b…羽根部 5c…回転中心部材 5d…側面 6…ポンプ室 6a…内周面 7…ステータ(駆動用マグネット) 7a…ステータコア 7b…コイル部 7’…駆動用マグネット 8…インペラ側マグネット 9…ヨーク 10…Oリング 11…ネジ 12…ヨーク 13…配線 A、B…仮想球 C…振れ中心 P1…第1の凹部 P2…第2の凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 糀屋 睦 静岡県榛原郡榛原町静谷498−1 日機装 株式会社静岡製作所内 Fターム(参考) 4C077 AA02 DD08 EE01 KK23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にポンプ室が形成され、該ポンプ室内
    に磁力を及ぼし得る駆動用マグネットを有するハウジン
    グと、 前記ポンプ室に連通され、当該ポンプ室内へ血液を導入
    するための入口ポートと、 前記ポンプ室に連通され、当該ポンプ室から血液を導出
    するための出口ポートと、 前記ポンプ室内に配設され、前記駆動用マグネットとの
    間で磁力を及ぼし合うインペラ側マグネットを有すると
    ともに、前記ポンプ室内に延設された軸受けにより片面
    側からのみ回転自在に支持されたインペラと、を有し、
    前記駆動用マグネットとインペラ側マグネットとの間の
    磁力で前記インペラを回転させ、前記入口ポートからポ
    ンプ室に導入された血液を前記出口ポートから導出する
    血液ポンプであって、 前記軸受けに形成されたテーパ面にて前記インペラを支
    持するとともに、その軸受けの断面形状である台形の各
    頂点を通る円の中心を振れ中心とした仮想球の表面に近
    似した曲面となるよう、前記インペラの側面及び該側面
    と対向する前記ポンプ室の内周面を形成したことを特徴
    とする血液ポンプ。
  2. 【請求項2】前記テーパ面に代えて、球面にて前記イン
    ペラを支持するとともに、その軸受けの断面形状である
    円の中心を振れ中心とした仮想球の表面に近似した曲面
    となるよう、前記インペラの側面及び該側面と対向する
    前記ポンプ室の内周面を形成したことを特徴とする請求
    項1記載の血液ポンプ。
  3. 【請求項3】前記テーパ面に代えて、1点にて前記イン
    ペラを支持するとともに、その支持点を振れ中心とした
    仮想球の表面に近似した曲面となるよう、前記インペラ
    の側面及び該側面と対向する前記ポンプ室の内周面を形
    成したことを特徴とする請求項1記載の血液ポンプ。
  4. 【請求項4】前記駆動用マグネットは、前記インペラに
    対し回転力を付与するとともに、当該インペラを前記軸
    受け側に引き付ける吸引力を付与する状態にて配設され
    たことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つ
    に記載の血液ポンプ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110701095A (zh) * 2019-11-13 2020-01-17 北京清科博动科技有限公司 一种基于线接触的轴承连接装置
JP7487200B2 (ja) 2019-02-28 2024-05-20 ハートウェア・インコーポレーテッド 不均一なスラストベアリング間隙を介したhvad洗浄

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