JP2003075051A - 冷蔵庫 - Google Patents

冷蔵庫

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JP2003075051A
JP2003075051A JP2002206337A JP2002206337A JP2003075051A JP 2003075051 A JP2003075051 A JP 2003075051A JP 2002206337 A JP2002206337 A JP 2002206337A JP 2002206337 A JP2002206337 A JP 2002206337A JP 2003075051 A JP2003075051 A JP 2003075051A
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  • Cold Air Circulating Systems And Constructional Details In Refrigerators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 −20℃前後の低温度域での使用性に優れ、
形状記憶合金コイルバネに巻かれるヒータの断線及び表
面被覆層の剥がれを抑制防止でき、且つ形状記憶合金コ
イルバネを均一に伸縮させることのできる冷蔵庫を提供
することを目的とする。 【構成】 冷気ダクト23への冷気流入を制御するダン
パー装置25を備え、このダンパー装置25は、冷気ダ
クト23に連通する開口41を有するケース42と、こ
のケー42スに回動自在に軸支され開口41を開閉する
開閉板43と、この開閉板43に開方向に付勢するバイ
アスバネ44と、加熱用のヒータ45が巻き付けられA
f点以上に加熱されたときに元の形状に回復しバイアス
バネ44の付勢力に抗して開閉板43を閉塞させる形状
記憶合金コイルバネ46とからなり、形状記憶合金コイ
ルバネ46に中間相を持たない3元合金(Ni,Ti,
Cu)を使用したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、冷蔵庫の貯蔵室への冷
気の流量を調整するダンパー装置を備え、このダンパー
装置の駆動源に形状記憶合金コイルバネを利用した冷蔵
庫に関するものである。
【0003】
【従来の技術】冷凍室と冷蔵室を備えた一般的な冷蔵庫
は、冷却器室内の冷却器にて冷却された冷気をダンパー
装置及び冷気ダクトを介して冷蔵室内に送り出し冷蔵室
を冷却するように構成されている。ここで、ダンパー装
置は、冷気ダクトの入口部分に取り付けられ冷蔵室内の
温度が上限温度以上に上昇すればダンパー装置の開口部
を開き冷気ダクトへの冷気流通を行い、冷蔵室の温度が
下限温度未満に下降すれば開口部を閉じて冷気ダクトへ
の冷気流通を停止する動作を行うように構成されてい
る。
【0004】このダンパー装置としては、ガス封入式の
ダンパーサーモスタットやモータ駆動式のモータダンパ
ー及び形状記憶合金コイルバネを駆動源に利用した形状
記憶ダンパー等がある。この形状記憶合金ダンパーの形
状記憶合金の材料としては、図12に示す如くヒステリ
シス幅の大きい冷却過程において中間相(ランドへドラ
ル相(R相))及びマルテンサイト相(M相)の2段階で変
態する特性を有する形状記憶合金が使用され、相変態と
してはB2→R→M→B2で使用する。
【0005】このような形状記憶合金ダンパーを示すも
のとして、例えば実開平3−7582公報及び特開平3
−113258号公報等がある。これらの公報に示され
るダンパー装置は、図11に示す如く冷却器室から冷蔵
室へ冷気を送る冷気ダクトに連通する開口部を開閉板
(バッフル板)101と、このバッフル板の開閉動作の
回転軸が固定され且つ冷気ダクト内にとりつけられるダ
ンパーベース102から構成される。そして、図14の
如く螺旋状をなす形状記憶合金コイルバネ103に巻回
され且つ表面に絶縁処理(単層の被覆層)を施したヒー
タ104に直流電源106から直流電圧Vcc(例えば
DC12V)を印加することにより、形状記憶合金コイ
ルバネ103を直接加熱するようにしている。
【0006】ここで、形状記憶合金コイルバネ103
は、オーステナイト相転移終了温度Af(以下単にAf
点という)以上に加熱されたときに、記憶された元の形
状に回復するという形状記憶効果によってその収縮力を
発生するものである。また、図14において、形状記憶
合金コイルバネ103は、一端がバッフル板101に、
残る一端がダンパーベース102にそれぞれ引っ掛けら
れており、また、バッフル板101及びダンパーベース
102には、この形状記憶合金コイルバネ103の収縮
力でバッフル板が回動する方向と逆方向(即ち対抗する
方向)にバッフル板を付勢するようにバイアスバネ10
5が引っ掛けてある。尚、形状記憶合金コイルバネのA
f点以上のときの収縮力をバイアスバネ105の付勢力
よりも大きく設定しておく必要がある。
【0007】このダンパー装置の動作を簡単に説明する
と、まず、冷蔵室を冷却する場合には、Af点以上のと
きの収縮力がバイアスバネ105の付勢力よりも大きく
設定してあるので、ヒータ104に通電して形状記憶合
金コイルバネ103をAf点以上に加熱することによ
り、形状記憶合金コイルバネを記憶した元の形状に収縮
させる。この収縮力によりダンパーバッフル板101が
持ち上げられて冷気ダクト(詳しくはダンパーベース)の
開口部を開く。これにより冷気が冷却器室から冷蔵室に
流れ込み冷蔵室が冷却される。
【0008】次に、冷蔵室への冷気流通を止める場合に
は、直流電圧Vccの印加を停止してヒータ104への
通電を止め、ダンパー装置周囲の冷気にて形状記憶合金
コイルバネをマルテンサイト相転移温度Mf(以下単に
Mf点という)以下に冷却し、形状記憶合金コイルバネ
の収縮力を解除するもしくはバイアスバネの付勢力でダ
ンパーバッフル板を引き下げて冷気ダクト(詳しくはダ
ンパーベース)の開口部を閉じる。これにより冷却器室
から冷蔵室内への冷気流入が停止し冷蔵室の冷却が止ま
る。
【0009】このようなダンパー装置の設置場所は、冷
却器室からファンにて送風されてくる冷気は−20〜−
25℃にもなる。また、形状記憶合金はB2→M、M→
B2変態で動作するが、−20〜−25℃の冷気はMf
点より低い温度であるため、通電を停止すると加熱され
て70℃以上になった形状記憶合金コイルバネが急激に
冷やされてバイアスバネの力で形状変形を起こすことと
なり形状記憶コイルバネにとっては過酷な条件での使用
となる。また形状記憶合金コイルバネの歪みも多くな
る。このためダンパー装置としての耐久性の限界(耐久
回数20万回)を越えて開閉させることが要求される冷
蔵庫への適用には不向きである。
【0010】また、本方式は冷気に熱を奪われながら形
状記憶合金コイルバネを加熱する方式であるため、バイ
アスバネの付勢力に打ち勝ってバッフル板を開けるため
には冷気の送風のない状態で加熱する場合よりもヒータ
発熱量を増やす必要が有り、消費電力量の面から見ても
不経済である。
【0011】一方、本出願人が出願した特開平6−24
1640号公報に示されるダンパー装置は、従来と同じ
く冷却器室から冷蔵室へ冷気を送る冷気ダクトに連通す
る開口部を開閉板(バッフル板)と、このバッフル板の
開閉動作の回転軸が固定され且つ冷気ダクト内に取り付
けられるダンパーベースから構成されている。
【0012】しかしながら図12の如くこの出願のダン
パー装置と前述の従来装置とは2つのバネの取付方及び
ヒータへの通電動作方式が異なる。即ち、このダンパー
装置はバッフル板43を開方向に付勢するバイアスバネ
44と、加熱用のヒータ46が巻き付けられオーステナ
イト相転移終了温度以上に加熱されたときに元の形状に
回復し前記バイアスバネの付勢力に抗して前記開閉板を
閉塞させる形状記憶合金コイルバネ45とからなり、ヒ
ータへの通電を制御する制御装置は、前記開閉板を閉塞
させるために前記ヒータに通電し、開閉板を開いた状態
においては形状記憶合金コイルバネの温度をマルテンサ
イト相転移開始温度以上に維持するように前記ヒータに
微小電流を流すようになっていた。
【0013】特開平6−241640号公報のダンパー
装置では、従来の問題点であった耐久力及び歪みについ
ては飛躍的に改善されまた消費電力量も低減された。し
かしながら形状記憶合金コイルバネの温度をMf'点以
上の温度で且つAf点以下の温度に維持すべくヒータに
継続的に微小電流を流しているが、冷蔵庫の運転状態、
外気温度、冷蔵室や冷凍室の負荷量やヒータの抵抗値の
バラツキ、定電圧回路の電圧バラツキ等を考慮すると、
微小電流を流すだけでMf'点以上の温度で且つAf点
以下の温度に維持するのは困難であり、適切な制御を実
行するのは難しい。
【0014】また、冷蔵室の冷却時に、即ちダンパーバ
ッフル板が開状態の時に、微小通電を行うが、冷蔵庫を
設置した時にも同様に微小電流が流される。この冷蔵庫
を設置した時は箱体(特に冷蔵室)が常温となっている
ため、冷蔵室に冷気を送るべく冷気ダクトに風を流して
も風は急激に温度が低下せず、ダンパー周囲(特に形状
記憶合金コイルバネ)の温度もそれほど急激には低下し
ない。しかもヒータには微小電流が流れているため形状
記憶合金コイルバネの温度はMf'点以上の温度で且つ
Af点以下の温度に安定しやすい。その結果、最も冷気
量を必要とする設置時にあってはダンパー装置(詳しく
は開閉板)を全開状態に維持したいにもかかわらず、形
状記憶合金コイルバネの温度がなかなか所望の温度に低
下しないため、コイルバネとバイアスバネの力関係が平
衡するところ(全開と全閉の間の位置)で開閉板が停止
することとなり、開閉板を全開状態にすることができな
くなる。
【0015】即ち設置時にあっては冷蔵室の温度をなか
なか所望の温度に低下させることができず、冷却速度が
遅くなりやすい不具合があった。これは設置時に限らず
冷却運転に復帰した状態においても同様である。
【0016】また上述したように形状記憶合金コイルバ
ネは、両端側に位置しフックに取り付けられ伸び縮みさ
せない無効巻き部と、この無効巻き部に連続し伸び縮み
させる有効巻き部とから構成されている。形状記憶合金
コイルバネに巻回され且つ表面に絶縁処理が施されたヒ
ータは、形状記憶合金コイルバネの有効巻き部のみに巻
回されており、形状記憶合金コイルバネを開閉バッフル
板及びダンパーベースに固定するフックに取り付けられ
る無効巻き部には巻回されていない。このため、ヒータ
通電時の形状記憶合金コイルバネの温度分布は、両端に
ヒータが巻かれていない無効巻き部がある為この無効巻
き部の温度が一番低く、ヒータが巻き回されているため
形状記憶合金コイルバネの有効巻き部の中心部が最も温
度が高く、有効巻き部の両端部の温度は無効巻き部より
も高く中心部よりも低い。
【0017】加熱時(特にヒータ電流最大時)は、温度
の高い中心部がすばやく記憶された元の形状に回復し
(縮み)、保温時(即ち微小通電時)は、有効巻き部の
両端からすばやく冷やされマルテンサイト状態(縮む力
が解除された状態)となる。このため加熱保温サイクル
において、有効巻き部の両端部分の伸び縮み量が大き
く、中心部が最も伸び縮み量が少ない状態となり、結果
的に有効巻き部の両端部分のみに応力が頻繁に加わり有
効巻き部の両端部分に歪みが生じる原因となり問題であ
る。
【0018】その他、図14の如く形状記憶合金コイル
バネは積層板等の絶縁された固定具65(前述のフッ
ク)にて開閉バッフル板及びダンパーベースに取り付け
られる。一般的に形状記憶合金コイルバネの両端はその
固定具にあけられた孔に通して保持される。積層板の材
料強度及び金型精度に制約を受ける関係で、積層板(固
定具)の端面から1〜2mm程度の位置に固定用の孔加
工が施される。
【0019】一方、形状記憶合金コイルバネは有効巻き
部の全体を密着した状態で形状を記憶させるのが一般的
である。実際、この形状記憶合金コイルバネをダンパー
として組み込んだ場合、開閉毎に(詳しくはオーステナ
イト状態になって縮んだ時に)形状記憶合金コイルバネ
の有効巻き部の端が固定部である積層板に当たり、結果
的に形状記憶合金コイルバネの有効巻き部に巻回された
ヒータにも当たる。
【0020】これにより、絶縁処理されたヒータの被覆
層が剥がれてヒータ線が形状記憶合金コイルバネに触れ
て形状記憶合金そのものが導体となって両端の直流電圧
を短絡させることとなり、リード線や積層板の焼け焦げ
を引き起こす問題があった。またひどいときにはヒータ
が断線して形状記憶合金コイルバネを加熱できなくな
り、バッフル板が閉じれなくなる不具合があった。
【0021】さらに図14のヒータ104の前記形状記
憶合金コイルバネに巻回終端から電極までのヒータリー
ド部107は組立加工時にねじれ、キンクとなり使用期
間中に断線の原因となる問題がある。
【0022】そこで本発明では、冷蔵庫のように−20
℃前後の低温度域での使用性及び耐久性に優れ、形状記
憶合金コイルバネに巻かれるヒータの断線及び表面被覆
層の剥がれを抑制防止でき、且つ形状記憶合金コイルバ
ネを均一に伸縮させることのできる冷蔵庫を提供するこ
とを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の冷蔵庫は、−2
0℃前後の低温度域での使用性及び耐久性を向上させる
べく、冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導く冷気ダク
トと、この冷気ダクトへの冷気流入を制御するダンパー
装置を備え、このダンパー装置は、前記冷気ダクトに連
通する開口を有するケースと、このケースに回動自在に
軸支され前記開口を開閉する開閉板と、この開閉板に開
方向に付勢するバイアスバネと、加熱用のヒータが巻き
付けられオーステナイト相転移終了温度以上に加熱され
たときに元の形状に回復し前記バイアスバネの付勢力に
抗して前記開閉板を閉塞させる形状記憶合金コイルバネ
とからなりさらに、前記形状記憶合金コイルバネに中間
相を持たない3元合金を使用したものである。
【0024】形状記憶合金コイルバネに巻かれるヒータ
が断線したり及び表面被覆層が剥がれたりしないように
すべく、本発明の形状記憶合金コイルバネは、伸び縮み
させる有効巻き部と伸び縮みさせない無効巻き部とから
なり、前記有効巻き部の回復する元の形状を中央部分と
両端部分とで異なる形状にした冷蔵庫を提供するもので
ある。
【0025】また同様の目的で、有効巻き部の回復する
元の形状は、中央部分が互いに密着する状態であり、両
端の1ターン部分が中央部分と離間する状態である冷蔵
庫を提供するものである。
【0026】さらに同様の目的で、本発明の冷蔵庫は、
冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導く冷気ダクトと、
この冷気ダクトへの冷気流入を制御するダンパー装置を
備え、このダンパー装置は、前記冷気ダクトに連通する
開口を有するケースと、このケースに回動自在に軸支さ
れ前記開口を開閉する開閉板と、この開閉板に開方向に
付勢するバイアスバネと、絶縁処理された加熱用のヒー
タが巻き付けられオーステナイト相転移終了温度以上に
加熱されたときに元の形状に回復し前記バイアスバネの
付勢力に抗して前記開閉板を閉塞させる形状記憶合金コ
イルバネとからなり、前記ヒータは絶縁処理層の外側に
フッ素樹脂層が設けられている冷蔵庫を提供するもので
ある。
【0027】一方、形状記憶合金コイルバネを均一に伸
縮させるべく、前記形状記憶合金コイルバネの有効巻き
部の巻き径は、中央部分が最大で両端部分に向けて徐々
に小さくなっている冷蔵庫を提供するものである。
【0028】また同様の目的で本発明は、ヒータは中央
部部分が互いに隙間をもった疎巻きに巻かれ、形状記憶
合金コイルバネの両端に対応する部分に近づくに従い互
いに密接する密着巻き巻かれている冷蔵庫を提供するも
のである。
【0029】同様の目的で本発明は、ヒータの巻き径
が、前記形状記憶合金コイルバネの中央部に対応する中
央部分が形状記憶合金コイルバネの径より十分大きく、
形状記憶合金コイルバネの両端部に対応する両端部分に
近づくに従い形状記憶合金コイルバネの径と略同じ大き
さになっている冷蔵庫を提供するものである。
【0030】
【作用】請求項1の発明によれば、形状記憶合金コイル
バネとして中間相のない3元合金を採用したので、中間
相のある2元合金のものと比較してオーステナイト相転
移終了温度とマルテンサイト相転移終了温度との差が縮
小され、低温雰囲気中での応答性を向上させるべくコイ
ルバネを中間相の温度に維持するために常時微小電流を
流す必要がなくなりヒータの消費電力を低減でき、設置
時や冷却運転復帰時等の冷蔵室に冷気供給が必要で開閉
板を開放させるときの応答性及び耐久性が向上する。こ
のため低温度域でのダンパー装置としての使用性及び耐
久性が向上する。
【0031】請求項2の発明によれば、形状記憶合金コ
イルバネの有効巻き部の記憶形状(回復させる元の形
状)を中央部分と両端部分とで異ならせたことにより、
有効巻き部の両端部分がこの有効巻き部に巻かれるヒー
タが形状記憶合金コイルバネの縮んだ時に形状記憶合金
コイルバネを固定する固定具に接触しにくい位置に設定
しやすく、ヒータの断線及び表面被覆層の剥離を抑制防
止できる。
【0032】請求項3の発明によれば、有効巻き部の回
復する元の形状は、中央部分が互いに密着する状態であ
り、両端の1ターン部分が中央部分と離間する状態であ
ることから、中央部分だけにヒータを巻くようにすれば
形状記憶合金コイルバネの有効巻き部が縮んだ場合でも
形状記憶合金コイルバネを固定する固定具に最も近い有
効巻き部の両端部分がこの固定具に接触してもヒータの
両端部分が固定具に接触しにくくなり、ヒータの被覆層
の剥がれや断線が抑制防止される。
【0033】請求項4の発明によれば、ヒータの絶縁処
理層の外側にフッ素樹脂層があることから形状記憶合金
コイルバネの収縮時にヒータが固定具に接触しても絶縁
処理層がフッ素樹脂層で保護され、ヒータ線が露出しに
くくなったり断線しにくくなる。
【0034】請求項5の発明によれば、有効巻き部の巻
き径は中央部分が最大であり両端部分に向けて徐々に小
さくなることから、有効巻き部を伸縮させるに要する力
は中央部が小さく両端部分が大きくなり、且つ、コイル
の線の長さは中央部分が長く両端部分が短くなり、中央
部分の温度上昇を抑制し両端部分の歪みあるいはへたり
を抑制できる。このため有効巻き部の温度分布を見かけ
上均一にでき、有効巻き部の伸縮特性の均一化が図れ
る。
【0035】
【実施例】以下本発明の実施例を図1乃至図10に基づ
き説明する。図1は冷蔵庫の縦断側面図であり、図2は
ダンパー装置を冷蔵室の冷気ダクトの入口部に配置した
状態のダンパー装置周囲の拡大断面図であり、図3はダ
ンパー装置の分解斜視図であり、図4は本発明で使用す
る形状記憶3元合金(Cu、Ti、Ni)コイルバネの応
力−温度特性図であり、図5は本発明のダンパー装置の
形状記憶合金コイルバネの形状を有効巻き部の両端の1
ターン部に隙間をつけて記憶した状態(オーステナイト
形状)の図であり、図6は本発明のダンパー装置の形状
記憶合金コイルバネの巻き径を中央部分と両端部分とで
異なる形状で記憶させた状態(オーステナイト形状)の図
であり、図7は本発明の形状記憶合金コイルバネに巻回
する以前の絶縁被覆が施されたヒータの疎密巻加工図で
あり、図8は本発明のダンパー装置に取り付ける以前の
絶縁被覆が施されたヒータの巻き径が異なり疎密巻した
状態の加工図であり、図9は絶縁被覆を施したヒータを
巻き径を異ならせた形状記憶合金コイルバネに巻回した
状態の図であり、図10はヒータを形状記憶合金コイル
バネに巻回し固定部材に取り付けヒータの両端をターミ
ナルに接続させた状態の斜視図である。図1において、
1は家庭用冷蔵庫であり、この冷蔵庫1はその本体を構
成する前面開口の断面の断熱箱体2と、この箱体の開口
を閉塞する扉3、4、5とで構成される。扉3は後述の
冷蔵室13に対応する回動式の扉であり、扉4及び5は
引出式の扉であり、扉4は冷凍室14に対応し、扉5は
野菜室15に対応している。11及び12は断熱箱体2
の内部を上中下3段に仕切る横仕切壁であり、本実施例
では仕切壁11の上方を食品が凍結しない温度(例えば
約3℃程度)に冷却される冷蔵室13、仕切壁12の上
方を凍結温度(例えばー20℃前後)に冷却される冷凍室
14、仕切壁12の下方を冷蔵室13の温度より若干高
めの野菜の収納に適した温度(例えば約7℃程度)に冷却
される野菜室15としている。また、扉4には冷凍食品
を収納する容器16が、扉5には野菜を収納する容器1
7がそれぞれ取り付けられている。冷凍室14の背部に
は仕切板18が配置され、この仕切板18の後方に冷却
器としてのプレートフィン式の蒸発器19及びプロペラ
ファン等の送風機20が配置される冷却器室21が形成
されている。22は蒸発器19で冷却された冷気を吹出
口22Aから冷凍室14に供給するための冷凍用冷気ダ
クトであり、23は横仕切壁11を貫通し蒸発器19で
冷却された冷気を冷蔵室13へ供給するための冷蔵用冷
気ダクトであり、24はこの冷蔵室用冷気ダクト23に
連通し吹出口24A及び24Bから冷蔵室に分配して冷
気を供給する分配用冷気ダクトである。25は冷蔵用冷
気ダクト23と分配用冷気ダクト24の接続部分に配置
されたいわゆる形状記憶合金ダンパーなるダンパー装置
である。断熱箱体2の下部でかつ後部には、圧縮機31
及び蒸発皿32を配置する機械室33が形成されてい
る。35は蒸発器19の下方に配置された露受皿であ
り、36はこの露受皿35と蒸発器19との間に配置さ
れた石英ガラス管ヒータ或るいはバイコール管ヒータ等
の除霜用ヒータであり、この除霜用ヒータ36のガラス
管の表面には白金系セラミック脱臭触媒を積層塗布して
焼成してある。この除霜用ヒータ36により、圧縮機3
1の運転時(即ち冷却運転時)には蒸発器19の下方に
戻ってくる臭気成分を含んだ冷気の臭気成分を吸着し、
クリーンな冷気として蒸発器と熱交換させることがで
き、また、除霜用ヒータの運転時(即ち除霜運転時)に
は吸着した臭気成分を白金系の触媒にて酸化分解して触
媒層の活性化及びクリーンな空気を生成することができ
る。37は横仕切壁12の下面前部に形成した冷気吸込
口37Aから仕切壁12の後部でかつ蒸発器の下方に位
置する部分に形成した戻り口37Bに至るように横仕切
壁12内部に前後方向に延在する冷気戻り通路である。
38は露受皿35から蒸発皿まで除霜水を案内する配水
管である。図2及び図3に示すようにダンパー装置25
は、分配用冷気ダクト24に連通する開口41を有する
透明樹脂製のケース42と、このケース42に回動自在
に軸支され開口41を開閉する開閉板43と、この開閉
板43を開方向に付勢するバイアスバネ44と、表面に
絶縁被覆層が施された加熱用のカンタルヒータ等のヒー
タ45が巻き付けられオーステナイト相転移終了温度
(Af点)以上に加熱されたときに記憶させた元の形状に
回復しバイアスバネ44の付勢力に抗して開閉板43を
閉塞させる形状記憶合金コイルバネ46とからなる。ケ
ース42は、基板51と、カバー52とからなる。この
基板51は、開口41と、開閉板43の一部を臨ませる
透孔53と、開閉板43を軸支するために透孔周縁部に
形成したリブ54と、カバー52に形成された2つの爪
部58を挿入させる挿入孔55と、形状記憶合金コイル
バネ46の一端を固定する固定部56と、バイアスバネ
44の一端を固定する57とを備える。前記カバー52
は、一面を開口した容器状をなし開口周縁に2つの爪部
が形成され開口に対向する他面には空気取り入れ用の孔
59が形成してある。開閉板43は、基板51のリブ5
4に軸支される2つの軸61と、形状記憶合金コイルバ
ネ46の他端を固定する固定部62と、バイアスバネ4
4の他端を固定する固定部63と、開口41と閉じたと
きに開口41と開閉板43とをシールする発泡スチロー
ル等のシール部材64とを備える。形状記憶合金コイル
バネ46の両端は、固定部材65を介して固定部56及
び62にビス等の器具60で固定される。各固定部材6
5には、ヒータ45の一端を接続するとともにリード線
を接続するための固定端子(ターミナル)67が取付け
られており、ヒータ45はこの固定端子67に対して圧
着溶接により電気的に接続される。次に、本発明に使用
する3元合金(本実施例ではCu、Ti、Ni)を原材料
とした形状記憶コイルバネ46について説明する。本発
明で使用する3元合金はCu、Ti及びNiの3つを原
材料としており、その応力−温度特性は図4に示す如く
従来の2元合金(Ti、Ni)を使用した形状記憶合金コ
イルバネの特性とは異なり、合金の冷却過程において中
間相(R相)が存在しない。本発明ではその具体例とし
て、オーステナイト相転移終了温度Af点60℃、オー
ステナイト相転移開始温度As点(以下単にAs点とい
う)40.1℃、マルテンサイト相転移開始温度Ms点
(以下単にMs点という)38.8℃、マルテンサイト
相転移終了温度Mf点(以下単にMf点という)17.
6℃の温度特性を示す形状記憶合金を使用している。特
に、全体に占めるNiの含有量(以下単にNiという)
が47.5〜47.8重量%、Cuが7.0〜9.0重量%、Ti(即
ち残りの成分)が43.1〜45.5重量%のCuNiTi3元
合金である。このコイルバネ46によれば、応力−温度
特性として中間相のない3元合金を採用したので、中間
相のある従来の2元合金のコイルバネと比較してオース
テナイト相転移終了温度Afとマルテンサイト相転移終
了温度Mfとの差が縮小され、低温雰囲気中での応答性
を向上させるべく、即ち加熱時の開始と終了との温度差
を小さくすべくコイルバネを中間相の温度に維持するた
めに、従来のように常時微小電流を流す必要がなくなり
ヒータ45の消費電力を低減することができた。しか
も、冷蔵庫の設置時や冷却運転復帰時等冷蔵室に大量の
冷気供給が必要で開閉板43を全開状態に開放させると
きの応答性が良くなった。このため低温度域でのダンパ
ー装置25としての使用性及び耐久性が従来の2元合金
のものよりも飛躍的に良くなった。また、ダンパー装置
25の形状記憶合金コイルバネ46は、固定部材65に
取り付けられて伸び縮みさせない無効巻き部46Aと、
この無効巻き部46Aの間に位置し伸び縮みさせる有効
巻き部46Bとからなる。この有効巻き部46Bの回復
する元の形状(即ちオーステナイト形状)を中央部分4
6Bbと両端部分46Baとで異なる形状にすることに
より、有効巻き部46Bの両端部分46Ba(実際には
この有効巻き部46Bにはヒータ45が巻かれることか
らヒータ45の両端部分45B)を形状記憶合金コイル
バネ46の縮んだ時に形状記憶合金コイルバネ46の無
効巻き部46Aを固定する固定部材65に接触しにくい
位置に選定しやすくなる。有効巻き部46Bと無効巻き
部46Aを異なる形状にする一例として、例えば図7に
示す如く、有効巻き部46Bの両端部分(特に端の1タ
ーン部分)46Baのみに隙間が空くように形状を記憶
させ、その両端以外の部分(即ち有効巻き部の中央部
分)46Bbを互いに密着する形状に記憶させる。ここ
でいう隙間としては、固定部材65の取り付け穴から端
面までの距離(即ち取付代)に相当する距離、例えば約
1mm程度、に選定している。この例によれば、有効巻
き部46Bの中央部分46Bbだけにヒータ45を巻く
ようにすれば、有効巻き部46Bが縮んだ場合には、有
効巻き部の両端部分46Baは中央部分46Bbと接触
しない。このため、形状記憶合金コイルバネ46の伸び
縮み動作によってヒータ45同士が接触することやヒー
タとコイルバネとが接触することで、コイルバネ46に
巻かれるヒータ45の被覆層が剥がれたり、ヒータ線そ
のものが断線したりする不具合はなくなった。しかもコ
イルバネ全体の隣り合う部分同士の隙間を空ける場合に
比して、コイルの有効巻き部の寸法を小さくできる。
尚、コイルバネのオーステナイト形状によらずヒータ4
5の絶縁層剥離や断線を防止するために、絶縁被覆層の
あるヒータを形状記憶合金コイルバネ46に巻き付けた
状態において(図9参照)、コイルバネを液体状のフッ
素樹脂、例えば4沸化エチレンの溶液が入れてある槽に
浸積させてコイルバネ及びヒータの両表面にフッ素樹脂
層を設ける。両表面がフッ素樹脂でコーティングされる
ことから、コイルバネとヒータとの摩擦や擦れ等に対す
るヒータの強度が増し、ヒータの絶縁被覆層が剥がれに
くくなり、コイルバネの伸び縮みによるヒータの絶縁層
剥離や断線が防止でき、コイルバネの表面にも絶縁被覆
層が形成できるので、ヒータとコイルバネの電気的絶縁
が確実になった。一方、コイルバネの加熱冷却時におけ
る局部的な力の集中を抑制するための方策について以下
にいくつかの実施例を紹介する。ただし、局部的な力の
集中を抑制するといっても、加熱時は有効巻き部の中央
部分に力が集中しやすく、冷却時は両端部分に力が集中
しやすくなり、加熱と冷却の繰り返し全体を通じて考え
れば有効巻き部に対して見かけ上で均一に力が加わるよ
うにすることをいう。形状記憶合金コイルバネ146
は、図8に示す形状の如く有効巻き部146Bの回復す
る元の形状(即ちオーステナイト形状)を中央部分14
6Bbと両端部分146Baとで異なる形状にしたもの
であり、特に両端部分と中央部分との巻き径を異ならせ
てある。即ち、中央部分146Bbの巻き径を大きくし
両端部分146Baの巻き径を小さくすることにより、
中央部分が最も大きく両端部分に近づくに従い巻き径が
徐々に小さくなるようにそれぞれ巻き径を変えてある。
この例によれば、有効巻き部146Bの巻き径は中央部
分146Bbが最大であり両端部分146Baに向かう
につれて徐々に小さくなることから、有効巻き部146
Bを伸縮させるに要する力は中央部分146Bbが小さ
く両端部分146Baが大きくなり、且つ、コイルの線
の長さは中央部分146Bbが長く両端部分146Ba
が短くなる。有効巻き部146Bの中央部分の温度が先
に高くなり縮みやすい加熱時においては、中央部分の長
さが長くなるので中央部分の熱容量が大きくなってその
温度上昇を抑制し全体的に均一に縮ませることができ、
有効巻き部146Bの両端部分の温度が先に低くなり伸
びやすい冷却時においては、その両端の力が中央部に比
べて強くなるので両端部分における伸縮によるへたりを
抑制できる。このため有効巻き部の加熱冷却時の伸縮特
性及び温度分布を見かけ上均一化しやすくなった。他の
実施例を示すものとして、形状記憶合金コイルバネ46
に巻回される前の状態のカンタルヒータ45を疎密巻き
加工した図を図5に示す。カンタルヒータ45の巻き径
は、形状記憶合金コイルバネの線径より若干大きい寸法
とする。このヒータ45は、両端のリード部45Aと、
リード部45Aに連続し巻き始め及び巻き終わりとなる
両端部分45Bと、その間の中央部分45Cとからな
る。尚、リード部45Aの終端は固定部材65に取り付
けられた固定端子(ターミナル)67に接続される。そ
して、両端部分45Bを線と線との間隔が狭い密巻き、
中央部分45Cを線と線との間隔が広い疎巻きになるよ
うに加工する。図5ではヒータの中心が最も疎巻きで両
端が最も密巻きになるように順次間隔を変えて巻いてあ
る。この例によれば、ヒータ45は中央部分45Cが疎
巻きで両端部分45Bが密巻きになっているので、形状
記憶合金コイルバネ46の有効巻き部46Bの中央部分
46Bbほどヒータの長さが短くなりヒータ45からの
熱伝達量が小さくなりコイルバネの温度上昇が遅く且つ
温度が低く抑えられる。また、有効巻き部46Bの両端
部46Baに近いほどヒータの長さが長くなりヒータか
らの熱伝達量が多くなりこの両端部分の温度上昇が早く
その温度が高くなる。このため、従来のように加熱開始
時点から両端部分46Baと中央部分46Bbとの間で
温度差が生じ加熱中徐々にその差が開いてゆくようなこ
とがなくなり、コイルバネ46の収縮動作におけるコイ
ルバネの有効巻き部46Bの温度分布が均一化され(即
ち加熱中の有効巻き部46Bの温度上昇を均一にで
き)、加熱終了時点では両端部分46Baの温度が中央
部分46Bbの温度よりも高い温度になる。
【0036】一方、冷却時は両端部分46Baの温度が
高いため、両端の温度が低い状態から冷却されて従来の
ように両端部分が先に伸びはじめることはなく、均一に
冷却させることができる。従って、加熱と冷却の繰り返
し全体を通じて考えれば有効巻き部46Bに対しては見
かけ上で均一に力が加わることとなり、有効巻き部46
Bの一部(特に両端部分46Ba)における力集中によ
る歪みの発生が抑制され、コイルバネ46の耐久性が向
上する。その他の例を示すものとして、図6に示す如
く、カンタルヒータ145の巻き径は、両端部分145
Bをコイルバネ46の線径より同じか僅かに大きい寸法
(略同じ寸法)とし、中央部分145Cをコイルバネ4
6の線径より十分大きい寸法としてある。ただし図6に
おいては両端から中央に向かうに従い徐々に巻き径が大
きくなるように加工している。この例によれば、ヒータ
145の巻き径が、形状記憶合金コイルバネ46の中央
部に対応する中央部分145Cがコイルバネの径より十
分大きく、形状記憶合金コイルバネの両端部に対応する
両端部分145Bに近づくに従いコイルバネの径と略同
じ大きさになっているので、ヒータ145とコイルバネ
46との距離は中央部分で最も大きく両端部分で最も小
さくなる。このため、形状記憶合金コイルバネの有効巻
き部46Bの中央部分46Bbほどヒータからの熱伝達
が悪くなりコイルバネの温度上昇が遅く且つ温度が低く
抑えられる一方、有効巻き部の両端部46Baに近いほ
どヒータ145からの熱伝達が良くなりこの両端部分4
6Baの温度上昇が早くその温度が高くなる。このた
め、加熱時は従来に比べて中央部分の温度上昇を抑制で
き両端部分の温度上昇を促進でき、冷却時は両端部の温
度低下を抑制し中央部分の温度低下を促進できる。結果
として、加熱と冷却の繰り返し全体を通じて考えれば有
効巻き部に対しては見かけ上で均一に温度変化し、且つ
均一に力が加わることとなり、有効巻き部の一部(特に
両端部分)における力集中による歪みの発生が抑制さ
れ、コイルバネの耐久性が向上する。尚、図10に示す
ように3元合金のコイルバネの記憶形状及び巻き方を異
ならせ且つヒータの巻き方を異ならせるようにすれば、
それぞれの効果の相乗作用により、ヒータ線が切れにく
くなり、コイルバネの温度分布がより均一化されてコイ
ルバネの局部的な歪みが抑制防止できその耐久性も飛躍
的に向上し、低温特性が向上するので、冷蔵庫のダンパ
ー装置への適用に好適である。
【0037】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、形状記憶合金
コイルバネとして中間相のない3元合金を採用したの
で、中間相のある2元合金のものと比較してオーステナ
イト相転移終了温度とマルテンサイト相転移終了温度と
の差が縮小され、低温雰囲気中での応答性を向上させる
べくコイルバネを中間相の温度に維持するために常時微
小電流を流す必要がなくなりヒータの消費電力を低減で
き、設置時や冷却運転復帰時等の冷蔵室に冷気供給が必
要で開閉板を開放させるときの応答性を向上することが
できる。このため低温度域でのダンパー装置としての使
用性及び耐久性を向上できる。請求項2の発明によれ
ば、形状記憶合金コイルバネの有効巻き部の記憶形状
(回復させる元の形状)を中央部分と両端部分とで異な
らせたことにより、有効巻き部の両端部分がこの有効巻
き部に巻かれるヒータが形状記憶合金コイルバネの縮ん
だ時に形状記憶合金コイルバネを固定する固定具に接触
しにくい位置に選定しやすく、ヒータの断線及び表面被
覆層の剥離を抑制防止できる。請求項3の発明によれ
ば、有効巻き部の回復する元の形状は、中央部分が互い
に密着する状態であり、両端の1ターン部分が中央部分
と離間する状態であることから、中央部分だけにヒータ
を巻くようにすれば形状記憶合金コイルバネの有効巻き
部が縮んだ場合でも形状記憶合金コイルバネを固定する
固定具に最も近い有効巻き部の両端部分がこの固定具に
接触してもヒータの両端部分は固定具に接触しにくくな
り、ヒータの被覆層の剥がれや断線が抑制防止され、従
来のようにコイルバネや周辺部品が焼け焦げる不具合を
解消できる。請求項4の発明によれば、ヒータの絶縁処
理層の外側にフッ素樹脂層があることから形状記憶合金
コイルバネの収縮時にヒータが固定具に接触しても絶縁
処理層がフッ素樹脂層で保護され、ヒータ線が露出しに
くくなり結果的に断線しにくいヒータができる。請求項
5の発明によれば、有効巻き部の巻き径は中央部分が最
大であり両端部分に向けて徐々に小さくなることから、
有効巻き部を伸縮させるに要する力は中央部が小さく両
端部分が大きくなり、且つ、コイルの線の長さは中央部
分が長く両端部分が短くなり、中央部分の温度上昇を抑
制し両端部分の歪みあるいはへたりを抑制できる。この
ため有効巻き部の温度分布を見かけ上均一にでき、有効
巻き部の伸縮特性の均一化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷蔵庫の縦断側面図である。
【図2】本発明のダンパー装置を冷蔵室の冷気ダクトの
入口部分に配置した状態のダンパー装置及び周囲構造を
示す拡大断面図である。
【図3】ダンパー装置の分解斜視図である。
【図4】本発明に使用する3元合金(Ni、Ti、Cu)
の形状記憶合金コイルバネの応力−温度特性図である。
【図5】本発明の形状記憶合金コイルバネの有効巻き部
の両端の1ターン部に隙間をつけその他の部分を密着さ
せてオーステナイト形状を記憶させた場合の図である。
【図6】本発明の形状記憶合金コイルバネの有効巻き部
の巻き径を異ならせた場合の図である。
【図7】本発明のカンタルヒータを疎密巻きした場合の
図である。
【図8】本発明のカンタルヒータを巻き径を異ならせた
場合の図である。
【図9】本発明の疎密巻きしたカンタルヒータを巻き径
を変えた形状記憶合金コイルバネに巻回した状態の図で
ある。
【図10】本発明の疎密巻きしたカンタルヒータを有効
巻き部の記憶形状及び巻き径が異なる形状記憶合金コイ
ルバネに巻回して固定部材に取付け、ヒータの両端をタ
ーミナル(端子)に接続させた状態の斜視図である。
【図11】従来の形状記憶合金ダンパー装置(その1)
を示す図2対応図である。
【図12】従来の形状記憶合金ダンパー装置(その2)
を示す図2対応図である。
【図13】従来の2元合金(Ti,Ni)の形状記憶コ
イルバネの応力−温度特性図である。
【図14】従来の同間隔同径巻きのカンタルヒータを形
状記憶合金コイルバネに巻回し固定部材に取付けヒータ
の両端をターミナルに接続させた状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 冷蔵庫 24 分配用冷気ダクト(冷気ダクト) 25 ダンパー装置 41 開口 42 ケース 43 開閉板 44 バイアスバネ 45 ヒータ 46 形状記憶合金コイルバネ 46B 有効巻き部 46A 無効巻き部 46Ba 有効巻き部の両端部分 46Bb 有効巻き部の中央部分 46B ヒータの両端部 46C ヒータの中央部 S 制御装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導く
    冷気ダクトと、この冷気ダクトへの冷気流入を制御する
    ダンパー装置を備え、このダンパー装置は、前記冷気ダ
    クトに連通する開口を有するケースと、このケースに回
    動自在に軸支され前記開口を開閉する開閉板と、この開
    閉板に開方向に付勢するバイアスバネと、加熱用のヒー
    タが巻き付けられオーステナイト相転移終了温度以上に
    加熱されたときに元の形状に回復し前記バイアスバネの
    付勢力に抗して前記開閉板を閉塞させる形状記憶合金コ
    イルバネとからなる冷蔵庫において、前記形状記憶合金
    コイルバネに中間相を持たない3元合金を使用したこと
    を特徴とする冷蔵庫。
  2. 【請求項2】 冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導く
    冷気ダクトと、この冷気ダクトへの冷気流入を制御する
    ダンパー装置を備え、このダンパー装置は、前記冷気ダ
    クトに連通する開口を有するケースと、このケースに回
    動自在に軸支され前記開口を開閉する開閉板と、この開
    閉板に開方向に付勢するバイアスバネと、加熱用のヒー
    タが巻き付けられオーステナイト相転移終了温度以上に
    加熱されたときに元の形状に回復し前記バイアスバネの
    付勢力に抗して前記開閉板を閉塞させる形状記憶合金コ
    イルバネとからなる冷蔵庫において、前記形状記憶合金
    コイルバネは伸び縮みさせる有効巻き部と伸び縮みさせ
    ない無効巻き部とからなり、前記有効巻き部の回復する
    元の形状を中央部分と両端部分とで異なる形状にしたこ
    とを特徴とする冷蔵庫。
  3. 【請求項3】 前記有効巻き部の回復する元の形状は、
    中央部分が互いに密着する状態であり、両端の1ターン
    部分が中央部分と離間する状態であることを特徴とする
    請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 【請求項4】 冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導
    く冷気ダクトと、この冷気ダクトへの冷気流入を制御す
    るダンパー装置を備え、このダンパー装置は、前記冷気
    ダクトに連通する開口を有するケースと、このケースに
    回動自在に軸支され前記開口を開閉する開閉板と、この
    開閉板に開方向に付勢するバイアスバネと、絶縁処理さ
    れた加熱用のヒータが巻き付けられオーステナイト相転
    移終了温度以上に加熱されたときに元の形状に回復し前
    記バイアスバネの付勢力に抗して前記開閉板を閉塞させ
    る形状記憶合金コイルバネとからなる冷蔵庫において、
    前記ヒータは絶縁処理層の外側にフッ素樹脂層を設けた
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  5. 【請求項5】 冷却器で冷却された冷気を貯蔵室へ導く
    冷気ダクトと、この冷気ダクトへの冷気流入を制御する
    ダンパー装置を備え、このダンパー装置は、前記冷気ダ
    クトに連通する開口を有するケースと、このケースに回
    動自在に軸支され前記開口を開閉する開閉板と、この開
    閉板に開方向に付勢するバイアスバネと、絶縁処理され
    た加熱用のヒータが巻き付けられオーステナイト相転移
    終了温度以上に加熱されたときに元の形状に回復し前記
    バイアスバネの付勢力に抗して前記開閉板を閉塞させる
    形状記憶合金コイルバネとからなる冷蔵庫において、前
    記形状記憶合金コイルバネは伸び縮みさせる有効巻き部
    と伸び縮みさせない無効巻き部とからなり、前記有効巻
    き部の巻き径は中央部分が最大で両端部分に向けて徐々
    に小さくなることを特徴とする冷蔵庫。
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CN108931098A (zh) * 2017-05-26 2018-12-04 日本电产三协株式会社 风门装置

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