JP2003072762A - 内面被覆ポリエステル樹脂製容器及びその製造方法 - Google Patents

内面被覆ポリエステル樹脂製容器及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】着色が抑制されていて、優れた内容物保存性を
備えるPET容器及びその製造方法を提供する。 【解決手段】内面側にアモルファス炭素を含む被膜を備
える。被膜の厚さが200〜800オングストロームで
あり、Δb*値が2〜7である。マイクロ波を用いるプ
ラズマCVD装置1にポリエステル樹脂製容器10を収
容し、装置1内を1〜50Paの真空度に保持する。容
器10内に、ガス状の炭化水素化合物を含む出発原料
を、容器表面積当たり0.1〜0.8sccm/cm2
の流量で供給する。装置1内に150〜600Wのマイ
クロ波を0.3〜2.0秒照射して、容器10内面にア
モルファス炭素を含む被膜を形成する。出発原料は、ア
セチレンを主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内面側にアモルフ
ァス炭素を含む被膜を備える内面被覆ポリエステル樹脂
製容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料、食品、エアゾール、化粧品
容器等の分野では、ポリエチレンテレフタレート樹脂製
容器(以下、PET容器と略記することがある)に代表
されるポリエステル樹脂製容器が一般に用いられてい
る。このようなPET容器は、金属容器やガラス容器に
比べて酸素や炭酸ガス等を透過しやすいため、緑茶飲料
等の内容物の色調、フレーバーが変化したり、炭酸飲
料、ビール等に含まれるガスボリュームが低減する等の
問題があり、保存できる内容物が限定される。
【0003】前記問題を解決するために、内面にアモル
ファス炭素等を含む被膜を形成したPET容器が提案さ
れている。前記被膜は、例えば、中空の処理室に前記P
ET容器を配置し、該PET容器口部から該PET容器
内部に原料ガス導入管を挿入して、該処理室及びPET
容器内部を真空に排気した後、原料ガスを供給すると共
に高周波またはマイクロ波電圧を印加することによって
プラズマを発生させる方法により形成することができ
る。前記PET容器は、内面に前記被膜を形成すること
により、酸素や炭酸ガス等に対するガスバリヤ性が高く
なり、内容物保存性に優れた容器とすることができる。
【0004】しかしながら、前記PET容器は前記アモ
ルファス炭素等を含む被膜により透明褐色に着色するの
で、内容物によっては消費者に不快感を与える虞がある
との不都合がある。また、前記被膜が形成されたPET
容器を使用後に回収し、再生ポリエステル樹脂としてリ
サイクルに供する際に、再生ポリエステル樹脂に前記着
色が残るため、再生されたポリエステル樹脂の用途が限
定されるとの不都合がある。
【0005】前記被膜の膜厚を低減すれば、前記着色は
淡くなるが、単純に前記被膜の膜厚を低減したのでは、
優れた内容物保存性が得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、着色が抑制されていると共に、優れた内
容物保存性を備えるポリエステル樹脂製容器を提供する
ことを目的とする。
【0007】また、本発明の目的は、前記ポリエステル
樹脂製容器の製造方法を提供することにもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】ポリエステル樹脂製容器
の内面にアモルファス炭素を含む被膜を形成したとき
に、前記被膜の着色の程度は、該容器側壁に対し色差計
により垂直に光を通過させたときのb*値を、前記被膜
を形成する前後で比較し、両者の差として算出されるΔ
*値により表すことができる。前記b*値とは、国際照
明委員会(CIE)で規格化されたL***表色系
(JIS Z 8729)で黄色方向の彩度を示す値で
あり、一般的には、前記Δb*値は前記アモルファス炭
素を含む被膜の厚さが厚くなるほど大になる。
【0009】本発明者らは、前記被膜の厚さと、前記Δ
*値との関係について検討したところ、前記Δb*値は
前記被膜の厚さや被膜構造、製造条件等によって変化す
ることを見出した。
【0010】本発明者らは、前記知見に基づいてさらに
検討を進めた結果、前記被膜の厚さが200〜800オ
ングストロームの範囲では、前記Δb*値を所定の範囲
とすることにより、前記ポリエステル樹脂製容器の着色
を抑制しつつ、酸素や炭酸ガス等に対するガスバリヤ性
の指標とされる酸素透過率が所定の値以下で、優れた内
容物保存性を備えるポリエステル樹脂製容器を得ること
ができることを見出し、本発明に到達した。
【0011】そこで、本発明のポリエステル樹脂製容器
は、前記目的を達成するために、内面側にアモルファス
炭素を含む被膜を備える内面被覆ポリエステル樹脂製容
器であって、該被膜の厚さが200〜800オングスト
ロームの範囲であり、該被膜を形成する前の容器側壁に
対し色差計により垂直に光を通過させたときのb*
と、該被膜を形成した後の容器側壁に対し色差計により
垂直に光を通過させたときのb*値との差として算出さ
れるΔb*値が2〜7の範囲であることを特徴とする。
【0012】本発明のポリエステル樹脂製容器は、前記
アモルファス炭素を含む被膜の厚さが200〜800オ
ングストロームの範囲であり、かつ、前記Δb*値が2
〜7の範囲であることにより、着色が抑制され、優れた
リサイクル性を得ることができる。更に、本発明のポリ
エステル樹脂製容器は、前記構成とすることにより、容
器の酸素透過率を0.002〜0.015cc/日の範
囲にすることができ、ガスバリヤ性が高く、優れた内容
物保存性を備えるものとすることができる。
【0013】前記被膜の厚さが200オングストローム
未満では、着色は抑制されるものの、ガスバリヤ性が低
く、十分な内容物保存性を得ることができない。また、
前記被膜の厚さが800オングストロームを超えると、
ガスバリヤ性は高いものの、着色が濃くなってリサイク
ル性が低減すると共に、PET容器に対する被膜の密着
性、加工性が低減する。
【0014】前記被膜の厚さが前記範囲内にあるとき
に、前記Δb*値が2未満では、着色は抑制されるもの
の、ガスバリヤ性が低くなり、十分な内容物保存性を得
ることができない。また、前記被膜の厚さが前記範囲内
にあるときに、前記Δb*値が7を超えると、着色が濃
くなってリサイクル性が低減すると共に、ガスバリヤ性
も低くなって十分な内容物保存性を得ることができない
ことがある。
【0015】前記物性を備える本発明のポリエステル樹
脂製容器は、マイクロ波を用いるプラズマCVD装置に
ポリエステル樹脂製容器を収容し、該プラズマCVD装
置内を1〜50Paの範囲の真空度に保持すると共に、
該ポリエステル樹脂製容器内に、ガス状の炭化水素化合
物を含む出発原料を、容器表面積当たり0.1〜0.8
sccm/cm2の範囲の流量で供給し、該プラズマC
VD装置内に150〜600Wの範囲のエネルギーのマ
イクロ波を0.3〜2.0秒の範囲の時間で照射するこ
とにより、該ポリエステル樹脂製容器内面にアモルファ
ス炭素を含む被膜を形成することを特徴とする製造方法
により有利に製造することができる。
【0016】本発明の製造方法によれば、マイクロ波を
用いるプラズマCVD装置にポリエステル樹脂製容器を
収容し、該プラズマCVD装置内を所定の真空度に保持
すると共に、該ポリエステル樹脂製容器内にガス状の炭
化水素化合物を含む出発原料を供給し、該プラズマCV
D装置内にマイクロ波を照射することにより、該ポリエ
ステル樹脂製容器内面にアモルファス炭素を含む被膜を
形成することができる。
【0017】前記プラズマCVD装置では、プラズマが
発生した状態で、前記出発原料のガスから前記被膜が形
成される過程で1〜50Paの範囲の真空度が必要とさ
れ、好ましくは2〜30Paの真空度とする。前記真空
度が1Pa未満では、前記被膜の形成に長時間を要す
る。また、前記真空度が50Paを超えると、形成され
た被膜のポリエステル樹脂製容器に対する密着性、加工
性が低くなる。
【0018】次に、前記出発原料の供給量は容器表面積
当たり0.1〜0.8sccm/cm2の範囲が適して
おり、0.1sccm/cm2未満ではプラズマの生成
が困難で膜厚が薄くなってガスバリヤ性が低下し、0.
8sccm/cm2を超えると膜厚が厚くなりすぎ、着
色が著しくなる。また、前記マイクロ波の照射時間は
0.3〜2.0秒の範囲が適しており、0.3秒未満で
はプラズマの生成が困難で膜厚が薄くなり、2.0秒を
超えると膜厚が厚くなりすぎ、着色が著しくなり好まし
くない。
【0019】そして、前記出発原料の供給量と前記マイ
クロ波の照射時間を前記範囲とすると共に、前記マイク
ロ波のエネルギーを150〜600Wの範囲で調整する
ことにより、前記被膜の厚さが200〜800オングス
トロームの範囲であり、かつ、Δb*値が2〜7の範囲
であって、酸素透過率が0.002〜0.015cc/
日の範囲であるポリエステル樹脂製容器を得ることがで
きる。前記マイクロ波のエネルギーは、被膜構造、着
色、ガスバリヤ性と密接に関係し、150W未満では、
前記アモルファス炭素を含む被膜中の炭素−炭素間にお
いて共役二重結合を形成ずるsp2結合の割合が多くな
り、着色が濃くなり、酸素透過率が大の被膜が形成され
る。また、前記マイクロ波のエネルギーが600Wを超
えると、被膜中の炭素−炭素間において正四面体配置の
単結合を形成するsp3結合の割合が多くなり、着色は
淡くなり、酸素透過率はやはり大となる。
【0020】本発明の製造方法では、前記出発原料は、
ポリマー性薄膜を形成するために、アセチレンを主成分
とすることが好ましい。
【0021】本発明のポリエステル樹脂製容器として
は、代表的なものとしてポリエチレンテレフタレート樹
脂からなる容器を挙げることができるが、テレフタル酸
に替えてナフタレンジカルボン酸等の他の芳香族ジカル
ボン酸を用いたポリエステル樹脂、例えばポリエチレン
ナフタレートからなる容器であってもよく、また脂肪族
ジカルボン酸を用いたポリエステル樹脂製容器であって
もよい。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は本実施形態のポリエステル樹脂製容器の製造方法を
示す説明的断面図である。
【0023】本実施形態のポリエステル樹脂製容器は、
図1示のプラズマCVD装置1により製造することがで
きる。
【0024】図1において、プラズマCVD装置1は、
パイレックス(登録商標)ガラスで形成された側壁2
と、昇降自在の底板3とにより画成された処理室4を備
え、側壁2に臨む位置にマイクロ波発生装置5を備え
る。処理室4の上方には、側壁6と上壁7とにより画成
された排気室8が備えられ、処理室4との間には隔壁9
が設けられている。
【0025】底板3は、ポリエステル樹脂製容器10を
配置して上昇移動することにより、ポリエステル樹脂製
容器10を処理室4内に収納する。このようにして収納
されたポリエステル樹脂製容器10は、口部保持具11
を介して容器内部が隔壁9に設けられた排気孔12と連
通するように配置される。口部保持具11は上部突出部
13が排気孔12に密に挿入され、口部保持部14がポ
リエステル樹脂製容器10の口部に所定の間隔を存して
挿入される。
【0026】処理室4と排気室8とは隔壁9に設けられ
た通気口15のバルブ16を介して連通しており、排気
室8の側壁6に形成された開口17は図示しない真空装
置に接続されている。排気室8の上壁7にはシール18
を介してガス導入管19が支持されており、ガス導入管
19は上壁7と口部保持具11とを貫通して、ポリエス
テル樹脂製容器10内に挿入される。
【0027】図1示のプラズマCVD装置1では、ま
ず、ポリエステル樹脂製容器10を載置した底板3を上
昇移動せしめ、処理室4内にポリエステル樹脂製容器1
0を収納する。次に、図示しない真空装置を作動して、
排気室7内を排気し、これにより排気孔12及び通気口
15を介して処理室4及びポリエステル樹脂製容器10
の内部を1〜50Paの真空度に減圧する。
【0028】次に、ガス導入管19からポリエステル樹
脂製容器10内に、ガス状の出発原料(以下、原料ガス
と略記する)を供給する。プラズマCVD装置1では、
前記原料ガスを連続的に供給すると共に、前記真空装置
により連続的に排気し、前記真空度を保持する。また、
前記原料ガスの供給量は、対象となるポリエステル樹脂
製容器10の表面積、形成される被膜の厚さに応じて適
正な量に設定されるが、内容積200ml〜2000m
lのサイズのポリエステル樹脂製容器10に、200〜
800オングストロームの厚さの前記被膜を形成するに
は、容器表面積当たり0.1〜0.8sccm/cm2
の範囲とすることが適している。
【0029】前記原料ガスとしては、メタン、エタン、
プロパン等の脂肪族飽和炭化水素、エチレン、アセチレ
ン等の脂肪族不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素、含酸素炭化水素類、含窒素
炭化水素類を用いることができるが、より短時間で本発
明の特性を有するポリマー性薄膜を形成するためにアセ
チレンを主体として使用することが好ましい。前記原料
ガスは、単独で用いても、必要に応じて2種以上混合し
て用いてもよく、被膜改質剤として少量の水素、酸素、
有機珪素化合物、その他の被膜形成性有機化合物を併用
してもよい。また、前記原料ガスは、アルゴン、ヘリウ
ム等の希ガスで希釈して用いるようにしてもよい。
【0030】そして、前記原料ガスが供給されている
間、マイクロ波発生装置5を作動して、例えば2.45
GHz、150〜600Wのマイクロ波を、0.3〜
2.0秒間、好ましくは0.4〜1.5秒間照射するこ
とにより、前記原料ガスを電磁励起してプラズマを発生
せしめ、ポリエステル樹脂製容器10の内面にアモルフ
ァス炭素被膜(図示せず)を形成する。このとき、前述
のように、前記原料ガスを連続的に供給すると共に、前
記真空装置により連続的に排気し、前記真空度を保持す
ることにより、安定な前記被膜を形成することができ
る。また、前記マイクロ波の照射時間が0.3秒未満の
ときには前記被膜において所望の膜厚が得られないこと
があり、2.0秒を超えると前記被膜の膜厚が大にな
り、着色が濃くなることがある。
【0031】次に、前記原料ガスの供給が終了したなら
ば、マイクロ波発生装置5を停止すると共に、処理室4
及びプラスチック容器10内を大気圧に戻し、底板3を
降下させてポリエステル樹脂製容器10を取り出すこと
により、処理を終了する。マイクロ波発生装置5は、前
記原料ガスの供給が終了と同時に停止してもよいが、短
時間延長して照射するようにしてもよい。このようにす
ることにより、容器中に残存している原料ガス成分を完
全に被膜化することができる。
【0032】本実施形態で得られるポリエステル樹脂製
容器10は、着色が少ないので、使用後に回収してリサ
イクルするときに、前記被膜が形成されていない従来の
回収PET容器と同様に扱うことができる。また、本実
施形態で形成される前記被膜は、酸素や炭酸ガス等に対
するガスバリヤ性に優れていると共に、ポリエステル樹
脂製容器10の内面に対する密着性に優れ、ポリエステ
ル樹脂製容器10が変形しても剥離しにくいので、内容
物保存性に優れたポリエステル樹脂製容器10を得るこ
とができる。
【0033】前述のように、本実施形態で得られるポリ
エステル樹脂製容器10は、前記被膜による着色が少な
く、ガスバリヤ性に優れているので、茶飲料、コーヒー
飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、発泡酒、ビール等の飲
料、ソース、醤油等の食品類の容器として好適に用いる
ことができる。
【0034】尚、本実施形態では、前記原料ガスを電磁
励起する手段としてマイクロ波発生装置5を用いている
が、処理室4に収容されたポリエステル樹脂製容器10
の内外面に電極を配置し、該電極に高周波を印加するよ
うにしてもよい。但し、ポリエステル樹脂製容器10に
対する密着性、加工性、ガスバリヤ性に優れた被膜を形
成するためには、マイクロ波発生装置5を用いるプラズ
マCVD装置1が適している。
【0035】次に、本実施形態の実施例と比較例とにつ
いて説明する。
【0036】
【実施例1】本実施例では、まず、内容積350mlの
ポリエステル樹脂製容器10を、図1示のプラズマCV
D装置1の処理室4内に収納した。次に、処理室4及び
ポリエステル樹脂製容器10の内部を減圧すると共に、
ポリエステル樹脂製容器10内に原料ガスとして容器表
面積当たり0.4sccm/cm2のアセチレンガスを
供給し、ポリエステル樹脂製容器10の内部を10Pa
の真空度に維持しつつ、2.45GHz、380Wのマ
イクロ波を、0.6秒間照射することにより、内面にア
モルファス炭素被膜が形成されたポリエステル樹脂製容
器10を製造した。前記被膜の厚さは400オングスト
ロームであった。
【0037】次に、前述の方法により、前記被膜が形成
されたポリエステル樹脂製容器10のΔb*値と酸素透
過率とを測定した。結果を表1に示す。
【0038】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10に、茶飲料、炭酸飲料、ビールを充填
し、室温で6か月間保存した後、内容物保存性について
評価した。結果を表1に示す。
【0039】また、参考例として前記被膜を形成してい
ない従来のポリエステル樹脂製容器10について、本実
施例と全く同一にして内容物保存性を評価した。結果を
併せて表1に示す。
【0040】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10を粉砕し、押出機を用いてチップ状と
し、再生ポリエステル樹脂を製造した。前記再生ポリエ
ステル樹脂のチップは着色が極めて淡く、実用上問題な
くポリエステル繊維の製造に用いることができ、前記被
膜を形成していない従来の回収ポリエステル樹脂製容器
10を粉砕し、押出機を用いてチップ状とした再生ポリ
エステル樹脂と同等のリサイクル性を備えていることが
確認された。
【0041】
【実施例2】本実施例では、前記マイクロ波の照射時間
を0.5秒とした以外は、実施例1と全く同一にして、
内面に厚さ250オングストロームのアモルファス炭素
被膜を備えるポリエステル樹脂製容器10を製造した。
【0042】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10について、実施例1と全く同一にしてΔ
*値と酸素透過率とを測定すると共に、内容物保存性
を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【実施例3】本実施例では、前記マイクロ波の照射時間
を1.2秒とすると共に、原料ガスの供給量を容器表面
積当たり0.30sccm/cm2とした以外は、実施
例1と全く同一にして、内面に厚さ600オングストロ
ームのアモルファス炭素被膜を備えるポリエステル樹脂
製容器10を製造した。
【0044】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10について、実施例1と全く同一にしてΔ
*値と酸素透過率とを測定すると共に、内容物保存性
を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
【比較例1】本比較例では、前記マイクロ波の照射時間
を0.2秒間とすると共に、原料ガスの供給量を容器表
面積当たり0.3sccm/cm2とした以外は、実施
例1と全く同一にして、内面に厚さ180オングストロ
ームのアモルファス炭素被膜を備えるポリエステル樹脂
製容器10を製造した。
【0046】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10について、実施例1と全く同一にしてΔ
*値と酸素透過率とを測定すると共に、内容物保存性
を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
【比較例2】本比較例では、前記マイクロ波の照射時間
を2.5秒間とした以外は、実施例1と全く同一にし
て、内面に厚さ1500オングストロームのアモルファ
ス炭素被膜を備えるポリエステル樹脂製容器10を製造
した。
【0048】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10について、実施例1と全く同一にしてΔ
*値と酸素透過率とを測定すると共に、内容物保存性
を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
【比較例3】本比較例では、処理室4及びポリエステル
樹脂製容器10の内部の真空度を12Paとすると共
に、前記マイクロ波のエネルギー量を140Wとした以
外は、実施例1と全く同一にして、内面にアモルファス
炭素被膜を備えるポリエステル樹脂製容器10を製造し
た。前記アモルファス炭素被膜の厚さは、400オング
ストロームであって、実施例1と同一であった。
【0050】次に、前記被膜が形成されたポリエステル
樹脂製容器10について、実施例1と全く同一にしてΔ
*値と酸素透過率とを測定すると共に、内容物保存性
を評価した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1から、前記アモルファス炭素被膜の厚
さが300〜600オングストロームの範囲となるよう
にすると共に、2.45GHz、380Wのマイクロ波
を0.5〜1.2秒間照射することにより製造された実
施例1〜3のポリエステル樹脂製容器10では、Δb*
値が2.5〜6.5であって着色が少なく、優れたリサ
イクル性を備えていると共に、酸素や炭酸ガス等に対す
るガスバリヤ性の指標となる酸素透過率は0.002〜
0.008cc/日であって、前記被膜を形成していな
い従来のポリエステル樹脂製容器10(参考例)の0.
03cc/日に比較して格段に低くなっていることが明
らかである。この結果、実施例1〜3のポリエステル樹
脂製容器10は、緑茶飲料については色調、フレーバー
の変化が極めて少なく、炭酸飲料、ビールについてはガ
スボリュームの変化が極めて小であって、優れた内容物
保存性を備えていることが明らかである。
【0053】一方、比較例1のポリエステル樹脂製容器
10は、原料ガスの供給量が容器表面積当たり0.3s
ccm/cm2であると共に、前記マイクロ波の照射時
間が0.3秒未満の0.2秒間であるので、前記アモル
ファス炭素被膜の厚さが200オングストローム未満の
180オングストロームと薄くなっている。従って、Δ
*値は1.8であって着色が少なく、比較例1のポリ
エステル樹脂製容器10は、優れたリサイクル性を備え
ている。しかし、比較例1のポリエステル樹脂製容器1
0は、ガスバリヤ性の指標となる酸素透過率が0.02
cc/日であって、前記被膜を形成していない従来のポ
リエステル樹脂製容器10(参考例)の0.03cc/
日と同等である。この結果、比較例1のポリエステル樹
脂製容器10は、緑茶飲料については色調、フレーバー
の変化が極めて大であり、炭酸飲料、ビールについては
ガスボリュームの変化が極めて大であって、内容物保存
性が低いことが明らかである。
【0054】また、比較例2のポリエステル樹脂製容器
10は、前記マイクロ波の照射時間が2.0秒を超える
2.5秒間であるので、前記アモルファス炭素被膜の厚
さが800オングストロームを超える1500オングス
トロームと厚くなっている。従って、ガスバリヤ性の指
標となる酸素透過率は実施例1〜3より低い0.001
cc/日であって、比較例2のポリエステル樹脂製容器
10は、優れた内容物保存性を備えている。しかし、比
較例2のポリエステル樹脂製容器10は、Δb *値が1
5であって着色が大であり、リサイクル性が低いことが
明らかである。
【0055】さらに、比較例3のポリエステル樹脂製容
器10は、前記アモルファス炭素被膜の厚さは実施例1
と同一の400オングストロームであるが、マイクロ波
のエネルギー量が150W未満の140Wであるので、
Δb*値が8であって着色が大であり、同時に酸素透過
率も0.025と大きくガスバリア性が低い。従って、
比較例3のポリエステル樹脂製容器10は、リサイクル
性が低いばかりか、内容物保存性も低いことが明らかで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル樹脂製容器の製造方法を
示す説明的断面図。
【符号の説明】
1…プラズマCVD装置、 4…処理室、 5…マイク
ロ波発生装置、 8…排気室、 10…ポリエステル樹
脂製容器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 65/40 4K030 81/24 81/24 D C08J 7/06 CFD C08J 7/06 CFDZ C23C 16/26 C23C 16/26 // C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 鈴木 明久 埼玉県岩槻市上野4−5−15 北海製罐株 式会社技術本部内 (72)発明者 上野 路男 埼玉県岩槻市上野4−5−15 北海製罐株 式会社技術本部内 (72)発明者 仲根 宏幸 埼玉県岩槻市上野4−5−15 北海製罐株 式会社技術本部内 Fターム(参考) 3E062 AA09 AC02 JA01 JA07 JB24 JC01 JD01 3E067 BA03A BB14A CA04 FA01 FC01 GD02 3E086 AA22 AC22 AD04 BA04 BA15 BB03 BB05 CA11 DA08 4F006 AA35 AB63 AB64 AB65 BA05 CA07 DA01 4F100 AA37A AK41B BA02 BA25A DA01 EH662 GB16 GB23 JA12A JN01 YY00 YY00A 4K030 AA09 BA27 BB05 CA07 CA11 FA01 HA14 JA01 JA05 JA16 KA30 KA36 KA39 LA24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面側にアモルファス炭素を含む被膜を備
    える内面被覆ポリエステル樹脂製容器であって、 該被膜の厚さが200〜800オングストロームの範囲
    であり、該被膜を形成する前の容器側壁に対し色差計に
    より垂直に光を通過させたときのb*値と、該被膜を形
    成した後の容器側壁に対し色差計により垂直に光を通過
    させたときのb *値との差として算出されるΔb*値が2
    〜7の範囲であることを特徴とする内面被覆ポリエステ
    ル樹脂製容器。
  2. 【請求項2】マイクロ波を用いるプラズマCVD装置に
    ポリエステル樹脂製容器を収容し、該プラズマCVD装
    置内を1〜50Paの範囲の真空度に保持すると共に、 該ポリエステル樹脂製容器内に、ガス状の炭化水素化合
    物を含む出発原料を、容器表面積当たり0.1〜0.8
    sccm/cm2の範囲の流量で供給し、 該プラズマCVD装置内に150〜600Wの範囲のエ
    ネルギーのマイクロ波を0.3〜2.0秒の範囲の時間
    で照射することにより、該ポリエステル樹脂製容器内面
    にアモルファス炭素を含む被膜を形成することを特徴と
    する内面被覆ポリエステル樹脂製容器の製造方法。
  3. 【請求項3】前記出発原料は、アセチレンを主成分とす
    ることを特徴とする請求項2記載の内面被覆ポリエステ
    ル樹脂製容器の製造方法。
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