JP2003072051A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法及び画像形成装置

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JP2003072051A
JP2003072051A JP2001265372A JP2001265372A JP2003072051A JP 2003072051 A JP2003072051 A JP 2003072051A JP 2001265372 A JP2001265372 A JP 2001265372A JP 2001265372 A JP2001265372 A JP 2001265372A JP 2003072051 A JP2003072051 A JP 2003072051A
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JP2001265372A
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English (en)
Inventor
Akio Miyamoto
昭男 宮本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット方式で表される色相のみなら
ず、インクジェットインクでは表せない特別色も表すこ
とが容易にできる画像形成方法及び画像形成装置を提供
する。 【解決手段】 受像シート11の受像面上に、インクジ
ェットインクよりなるインク像を形成するインク像形成
工程と、転写層を有する転写シート5の該転写層上に、
転写性促進材料又は粘着性材料を含む潜像形成液よりな
る潜像を形成する潜像形成工程と、前記インク像が形成
された受像シート11の受像面と、前記潜像が形成され
た転写シート5の転写層表面を接触させて加圧し、前記
潜像部の転写層を受像面上に転写して転写像を形成する
顕像化工程とを有する画像形成方法、及びこれに用いる
画像形成装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方法及び転写記録方法を用いた画像形成方法及び画像
形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】紙、フィルム等の転写体に画像を形成す
る方法の一つにインクを液滴として吐出させ、画像を形
成するインクジェット方式がある。インクジェット方式
についてはピエゾ型、サーマル型、ヘルツ型等種種存在
するがこれらについては「ジャーナルオブサイエンス
アンド テクノロジー」42巻 No.1(1996年
米国)に詳述されている。しかしながら、このインクジ
ェット方式では、ノズル詰まりを防ぐことが必要である
ために、使用する染料または特定の顔料を選択する必要
がある。即ち、高比重のセラミックス用無機顔料等の分
散不安定型素材や、高機能色材(高耐光性、高耐水性の
素材等)を使用することが困難であり、金属光沢像を形
成することができない等、画像における色相再現性に制
限があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
問題点に鑑みてなされたものであり、インクジェット方
式で表される色相のみならず、インクジェットインクで
は表せない特別色も表すことが容易にできる画像形成方
法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の前記課題は、以
下の画像形成方法および画像形成装置を提供することに
より解決される。 <1> 受像シートの受像面上に、インクジェットイン
クよりなるインク像を形成するインク像形成工程と、転
写層を有する転写シートの該転写層上に、転写性促進材
料又は粘着性材料を含む潜像形成液よりなる潜像を形成
する潜像形成工程と、前記インク像が形成された受像シ
ートの受像面と、前記潜像が形成された転写シートの転
写層表面を接触させて加圧し、前記潜像部の転写層を受
像面上に転写して転写像を形成する顕像化工程と、を有
する画像形成方法である。 <2> 顕像化工程前に、インク像及び潜像を乾燥する
乾燥工程を有する<1>に記載の画像形成方法。
【0005】<3> インクジェットインクを受像シー
トの受像面上に画像様に吐出するノズルを備えた第一ノ
ズルヘッドと、転写性促進材料又は粘着材料を含む潜像
形成液を転写層を有する転写シートの該転写層上に画像
様に吐出するノズルを備えた第二ノズルヘッドと、前記
第一ノズルヘッド及び第二ノズルヘッドの下流側にあっ
て、前記受像シートの受像面と転写層を有する転写シー
トの転写層表面を接触させて通過させる一対の加圧ロー
ラーと、を有する画像形成装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明に係る画像形成方法は、受像シートの受像面
上に、インクジェットインクよりなるインク像を形成す
るインク像形成工程と、転写層を有する転写シートの該
転写層上に、転写性促進材料又は粘着性材料を含む潜像
形成液よりなる潜像を形成する潜像形成工程と、前記イ
ンク像が形成された受像シートの受像面と、前記潜像が
形成された転写シートの転写層表面を接触させて加圧
し、前記潜像部の転写層を受像面上に転写して転写像を
形成する顕像化工程と、を有する。
【0007】本発明においては、顕像化工程前にインク
像及び潜像を乾燥する乾燥工程を設けることが好まし
い。潜像を乾燥することにより過剰な潜像形成液による
ドットの広がりを防止すると共に、インク像を乾燥する
ことにより転写時のかぶり(インクジェットインクによ
る転写)を防止して転写解像度を向上させることができ
る。更に、顕像化工程後に乾燥工程を設けてもよい。こ
れにより、潜像形成のための残存溶液が蒸発し、この受
像シートの上にさらに他の色の転写シートを重ねて転写
させて画像を形成する場合、二次色かぶりがなく高画質
の画像を作製することができる。
【0008】本発明の画像形成方法においては、通常の
色相(インクジェットインクにより再現できる色相)
は、従来と同様にインクジェットで記録し、インクジェ
ット法で再現することが困難な特別色(例えば、金属光
沢色)を表す部分や、分散不安定型素材や高機能素材等
の色材を使用して画像形成したい部分の印画は、潜像形
成液を用いた転写法で行う。即ち、本発明においては、
インクジェット方式で表される色相のみならず、インク
ジェットインクでは表せない特別色も表すことができ、
色相再現性において制限のない画像形成が可能となる。
さらに、本発明においては、インクジェットインクを受
像シートの受像面に吐出し、潜像形成液を転写シートの
転写層表面に吐出するので、吐出したインクジェットイ
ンクと潜像形成液が混じり合うことがなく、解像度の低
下等を抑制することができる。
【0009】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を
図面を参照して説明するとともに、本発明の一実施形態
に係る画像形成方法を工程毎に説明する。ここに、図1
は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す
概念図であり、図2(A)は本発明の一実施形態に係る
画像形成装置の第一ノズルヘッドの底面図であり、図2
(B)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の第二
ノズルヘッドの底面図である。
【0010】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1
は、受像シート11の受像面上に、インクジェットイン
クを吐出するノズルを備えた第一ノズルヘッド13と、
転写シートの転写層上に、潜像形成液を吐出するノズル
を備えた第二ノズルヘッド17と、第一及び第二ヘッド
ノズル13、17の下流側にあって、転写シート5と受
像シート11とを接触させて通過させる一対の加圧ロー
ラー9とを備える。また、第一及び第二ノズルヘッド1
3、17の下流側であって、加圧ローラ9の上流側に
は、インクジェットインクにより形成したインク像及び
潜像形成液で形成した潜像を乾燥するための加熱手段
(ヒータ15)が設けられている。なお、本実施の形態
のように、一つのヒータでインク像及び潜像の乾燥を行
うことで装置をコンパクトにすることができるが、イン
ク像を乾燥するヒータと、潜像を乾燥するヒータを別々
に配置してもよい。
【0011】第一ノズルヘッド13は、公知の一般的な
インクジェット印刷装置に用いられるインクヘッドと同
様の構造を有するものが適用できる。例えば、図2
(A)に示すように、第一ノズルヘッド13は、インク
ジェットインク(黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ
(M)及びイエロー(Y))を吐出可能なノズルを有し
ており、各色のインクジェットインクに対して、それぞ
れ複数のノズルが一列に、受像シート11の搬送方向に
平行に配設されている。この第一ノズルヘッド13は、
図示しない移動レールなどを介して、受像シート11の
搬送方向に対して直角方向に移動可能となっており、各
ノズルからインクを吐出して画像形成が行われる。な
お、インクジェットインクは、公知の一般的なものを使
用することができる。また、第二ノズルヘッド17も公
知の一般的なものを使用できる。例えば、図2(B)に
示すように、第二ノズルヘッド17は、潜像形成液を吐
出可能なノズルを有しており、複数のノズルが一列に受
像シート11の搬送方向に平行に配設されている。この
第二ノズルヘッド17は、転写シート5の搬送方向に対
して直角方向に移動して潜像を形成する。
【0012】また、一対の加圧ローラ9は、支持ドラム
3と、支持ドラムに対向して設けられ、温度制御可能な
加熱手段を備えたピンチローラー7とからなっている。
支持ドラム3は、転写シート5を緊張して支持するもの
であって、転写シート5は支持体側が支持体ドラム3の
外周面に接するように支持されている。この支持ドラム
3に対向して設けられるピンチローラー7は、転写シー
ト5の転写層と受像シート11の受像面とが接触して通
過できる程度の間隔を有して設けられており、支持体ド
ラム3とピンチローラ7の回転により、転写シート5及
び受像シート11が搬送される。
【0013】上記説明した装置を用いて多色画像を形成
する方法を以下説明する。まず、画像情報に従って、第
一ノズルヘッド13からインクジェットインクを吐出し
フルカラーのインク像を受像シート5の受像面上に形成
する。一方、画像情報に従って、第二ノズルヘッド17
から潜像形成液を吐出し、特別色に対応する潜像を転写
シート5の転写層上に形成する(インク像形成工程・潜
像形成工程)。
【0014】次に、インク像が形成された受像シート1
1及び潜像が形成された転写シート5に対してヒータ1
5により、インク像及び潜像の乾燥を行う(乾燥工
程)。乾燥温度としては、受像面の温度が50〜130
℃であることが好ましく、60〜110℃であることが
より好ましい。乾燥時間としては、0.5〜100秒で
あることが好ましく、1〜60秒であることがより好ま
しい。これらの乾燥条件は、インク像及び潜像の書き込
み速度に合わせて決定される。
【0015】続いて、受像シート11の受像面と転写シ
ート5の転写層表面とを接触させて受像シート11及び
転写シート5の全面を加圧、加熱することにより(潜像
形成液として粘着性材料を用いる場合は必ずしも加熱す
る必要はない。)、転写シート5の転写層の潜像部分を
受像シート11の受像面上に転写し、受像面上に転写像
(特別色の画像)を形成する(顕像化工程)。なお、さ
らに他の特別色の画像を形成する場合には、潜像形成工
程及び顕像化工程を繰り返して、他の特別色の画像を形
成する。
【0016】潜像形成液として転写性促進材料を用いる
場合、転写性促進材料により潜像が形成された部分は、
周辺の転写層の部分に比較して転写温度が低下してい
る。従って、このときのピンチローラ7の加熱条件とし
ては、潜像形成部と受像層との接触部分の温度が、本来
の転写層の転写温度以下で、潜像部の転写温度以上とな
るように温度範囲を設定すれば、潜像形成部分と未形成
部分(転写性促進材料の付着しない部分)とのオン/オ
フがクリアな画像転写を行うことができる。加熱温度
は、転写層の転写温度未満で、且つ、潜像部の転写温度
を超える範囲であることが好ましい。
【0017】また、本発明の他の実施形態に係る画像形
成装置を以下説明するが、画像形成装置1と同様の構成
のものについては、同一符号を付して説明を省略する。
ここに、図3は、本発明の他の実施形態に係る画像形成
装置の構成を示す概念図である。本発明の他の実施形態
に係る画像形成装置50は、支持ドラム3の下流側に、
転写シート5を受像シート11側へ押圧するピールバー
(剥離バー)23を有している。剥離バー23を通過し
た後の転写シート5は、受像シート11に対して直角に
近い角度で剥離されるようになっており、支持体と転写
層との剥離が曲げ半径の違いにより促進されることとな
って、受像シート11の受像面への転写層の定着を良好
にすることができる。
【0018】また、本発明の他の実施形態に係る画像形
成装置50は、転写層を転写した受像シート5の受像面
を乾燥する加熱手段(ヒータ27)を備えている。ヒー
タ27による乾燥が行われることにより、潜像形成のた
めの残存溶液が蒸発し、この受像シートの上にさらに他
の色の転写シートを重ねて転写して画像を形成する場
合、二次色かぶりがなく高画質の画像を作製することが
できる。なお、符号25は、転写シート5を巻き取る巻
回手段を表す。
【0019】[潜像形成液]次に、本発明において用い
られる潜像形成液について詳細に説明する。潜像形成液
は、熱転写材料の転写温度を低下させ得る転写性促進材
料または粘着性材料を含有する。 (1)熱転写材料の転写温度を低下させ得る転写性促進
材料を含有する潜像形成液 本発明の画像形成方法において、前記転写性促進材料を
含有する潜像形成液としては、水或いはこれに常温常圧
下で沸点100℃以上であってかつ水と相溶性を有する
有機溶剤および/または各種界面活性剤等を溶解させた
ものが好ましく用いられる。
【0020】前記常温常圧下で沸点100℃以上であっ
てかつ水と相溶性を有する有機溶剤を用いることによ
り、溶液の吐出安定性が向上するため潜像形成時および
待機後再開始時の不吐出現象を防ぐことができ、また、
微細ドットの転写性が向上するので高解像度の転写体を
得ることができる。常温常圧下で沸点100℃以上であ
ってかつ水と相溶性を有する有機溶剤としては、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、グリセリン、等の1価または多価アルコール
類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、ジア
セトンアルコール等のケトアルコール類、N−メチル2
−ピロリドン、2−ピロリドン等含窒素系溶媒等が挙げ
られる。
【0021】また、本発明における転写温度を低下させ
る材料として、各種の水と混和しうる界面活性剤を用い
ることができる。水と混和しうる界面活性剤類として
は、アニオン、カチオン、ノニオン、両性の界面活性剤
類のいずれも、使用する熱転写材料の特性に応じて任意
に選択できる。具体的には脂肪酸塩、アルキル硫酸エス
テル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エス
テル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフ
タレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ア
ルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキル
リン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
アルキルアルカノールアミン、アルキルアミン塩、アル
キルベタイン等があげられる。これらは2種以上併用す
ることができる。
【0022】また、本発明の画像形成方法において、転
写性促進材料としてノニオン性界面活性剤を用いると、
転写温度を低下させる効果が大きく、また微細点の転写
性が良いので解像度の高い転写画像を得ることができ
る。この理由はかならずしも明確でないが、転写層また
は受像層に対する濡れ性、浸透性が良いため、微細ドッ
トの潜像をシャープに形成すること、また、転写層また
は受像層に浸透した場合、その層中に使用されている樹
脂類に対する可塑剤としての効果が高く、その結果熱に
よる潜像形成部の接着性が発現され、転写効果がでると
考えられる。更に、浸透したノニオン型界面活性剤は転
写層の支持体と塗布層との界面に配向し剥離転写を促す
効果も考えられる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、中でも親水基として、エチレンオキシド基を付加し
たノニオン化合物の使用にて、潜像形成部の転写温度低
下効果が大で、また、高解像度が得られることを見出し
た。ノニオン系化合物として次の一般式1ないし一般式
4で表す化合物等があげられる。
【0023】
【化1】
【0024】上記一般式1において、Rはアルキル基ま
たはアルキレン基を示し、nは2〜30、好ましくは2
〜20整数を示し、一般式2においてRはアルキル基を
示し、nは2〜30、好ましくは2〜20整数を示し、
一般式3においてRはアルキル基または水素を示し、n
およびlは2〜30、好ましくは2〜20整数を示し、
また、一般式4においてR1およびR2は水素またはア
ルキル基を示し、mおよびnは2〜30好ましくは2〜
20整数を示す。また、上記一般式1−4において、エ
チレンオキシドの付加数は2ないし30が好ましく、特
に好ましくは2ないし20である。上記一般式1−4の
化合物の具体例として、ポリオキシエチレン(4)ラウ
リルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテ
ル、ポリオキシエチレン(13)ステアリルエーテル、
ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル、ポリオキ
シエチレン(10)ノニルフェニールエーテル、エチレ
ンオキシドープロピレンオキシド共重合体(n=10,
l=7),アセチレングリコールのエチレンオキシド付
加体(n+m=10)等が挙げられるがこれらに限定さ
れるものではない。
【0025】また、転写性促進材料は、経時安定性やノ
ズルの詰まりの懸念がないなどの観点から、固形の顔料
や経時的に析出する化合物などを含有せず、さらに、転
写層に色材を使用する場合には、色調に影響を与えない
という観点から、その色材に対して化学的に作用せず、
過熱などのエネルギー付与によっても発色反応などを起
こさない材料であり、それ自体無色、或いは淡色のもの
が望ましい。また、前記のごとき転写性促進材料(常温
常圧下で沸点100℃以上であってかつ水と相溶性を有
する有機溶剤および/または各種界面活性剤等)は、2
種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0026】前記のごとき転写性促進材料を含有する潜
像形成液は、前記のごとく転写性促進材料の濃度調整を
行って、2以上の異なる濃度を有する潜像形成液とす
る。
【0027】さらに、転写性促進材料を含有する潜像形
成液には、以下のような水と自由に混和しうる有機溶剤
を加えることができる。水と自由に混和する有機溶剤類
としては、具体的には、メチルアルコール、エチルアル
コール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−へキ
サントリオール、へキシレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、グリセリン、等の1価または多価アルコ
ール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチル
エーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル
類、ジアセトンアルコール等のケトアルコール類、N−
メチル2−ピロリドン、2−ピロリドン等含窒素系溶媒
等がある。これらは2種以上併用してもよい。
【0028】前記水溶性有機溶剤の含有量は溶液中0〜
90質量%程度が適切である。特に、沸点100℃以上
の溶媒含有量が多いと潜像形成時の吐出安定性が高くな
るが、転写像の乾燥性が低下する。最適溶媒種及びその
使用量は転写体の乾燥の必要性、及び装置の乾燥能力に
より決定される。
【0029】転写性促進材料を含む潜像形成液には、吐
出適性の調整、液の保存安定性向上、噴射された液滴の
拡散防止等の目的で、表面張力調整材、防黴材、ポリマ
ー等の粘度調整材、pH調整材、消泡材等を本発明の効
果を損なわない範囲で併用することができる。
【0030】次に、本発明において、潜像形成のための
粘着材料を含有する液について説明する。ここでいう粘
着性材料とは、常温または加熱時に粘着性を有する物質
を指し、主として有機重合体を挙げることができる。具
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの
単独重合体およびその共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ
スチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のような
ビニル系モノマーの単独重合体およびエチレン−酢酸ビ
ニル等それらの共重合体、ポリエステル、ポリアミド等
のような縮合系ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のようなゴ
ム系ポリマーを挙げることができる。これらの中でも、
ガラス転移点(Tg)が90℃よりも低いポリマーであ
ることが好ましい。また、これらは水への乳化分散体、
所謂ラテックス状態で存在するものであっても良い。
【0031】また、粘着性材料を含有する潜像形成液と
は、上記粘着性材料を、水または有機溶剤類の溶媒に溶
解または分散(固体分散および乳化分散を含む)した液
をいう。ここにいう有機溶剤類とは、具体的には、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、i−プロピルアルコールのアルキルアルコール
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等
のアミド類、エチレングリコール、1,2,6ヘキサン
トリオール、チオジグリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
グリセリン等の1価または多価アルコール類、ジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエー
テル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、
ジアセトンアルコール等のケトン類またはケトアルコー
ル類等を挙げることができる。
【0032】これら水または有機溶剤類は、粘着性材料
を溶解または分散させるために、各々単独に使用しても
よく、複数種類の溶剤を混合して使用してもよい。ま
た、上記溶液には、吐出適性、液の保存安定性、接着特
性を改善するために、表面張力調整材、防黴材、粘度調
整材、pH調整材、消泡材、可塑剤等を併用することが
できる。
【0033】また、本発明の潜像形成液が粘着性材料を
分散形態(固体分散、乳化分散)で含む場合には、一般
式(I)R−(S−P)nで表される化合物を添加する
ことが好ましい。この化合物を添加することにより、分
散形態にある粘着性材料が凝集を起こすことがなく潜像
形成液が安定に保持され、また、ノズル詰まりが発生す
ることも防がれる。一般式(I)で示される化合物は、
潜像形成液の固形分に対し3〜20質量%、好ましくは
3〜10質量%添加される。
【0034】一般式(I)中、Rは疎水性基または疎水
性重合体を表し、Pは下記構造単位A、B及びCのうち
の少なくとも1つを含み、重合度が10以上3500以
下の重合体を表す。nは1又は2を表す。
【0035】
【化2】
【0036】ここで、R1は−H又は炭素数1〜6のア
ルキル基を表わし、R2は−H又は炭素数1〜10のア
ルキル基を表わし、R3は−H又は−CH3を表わし、R
4はH、−CH3、−CH2COOH(アンモニウム塩又
は金属塩を含む)又は−CNを表わし、Xは−H、−C
OOH(アンモニウム塩又は金属塩を含む)又は−CO
NH2を表わし、Yは−COOH(アンモニウム塩又は
金属塩を含む)、−SO3H(アンモニウム塩又は金属
塩を含む)、−OSO3H(アンモニウム塩又は金属塩
を含む)、−CH2SO3H(アンモニウム塩又は金属塩
を含む)、−CONHC(CH32CH2SO3H(アン
モニウム塩又は金属塩を含む)又は−CONHCH2
2CH2+(CH33Cl-を表わす。
【0037】前記一般式(I)において、R1は−Hが
好ましく、R2は−CH3が好ましい。また、上記一般式
(I)で表わされる化合物の代表的な例として、ビニル
アルコールとビニルエステルのランダム又はブロック共
重合体あるいは更にカルボキシル基等のアニオン性基を
有する第3モノマー成分を含むビニルアルコールとビニ
ルエステルのランダム又はブロック共重合体の末端をア
ルキル基又は疎水性重合体で変性したものが挙げられ
る。
【0038】前記一般式(I)におけるRの疎水性基と
しては、脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、
アルキニル基など)、芳香族基(例えばフェニル基、ナ
フチル基など)及び脂環基があり、これらは置換されて
いるものも含む。置換基としては、脂肪族基、芳香族
基、脂環基、複素環基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ
基、ニトロ基、N−置換スルファモイル基、カルバモイ
ル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、
アリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アラルキル基、アシル基などが挙げられる。
【0039】一般式(I)におけるRの疎水性基がアル
キル基の場合には、炭素数3〜70、好ましくは4〜5
0、特に8〜24が好ましい。Rが疎水性基の場合の具
体例は、特開平10−95942号公報の段落0034
ないし0042に開示されている(S−1)から(S−
50)までの基が好ましく挙げられる。
【0040】また、一般式(I)におけるRが疎水性重
合体の場合、ポリスチレン及びその誘導体、ポリメタク
リル酸エステル(例えばポリメタクリル酸メチル)及び
その誘導体、ポリアリクル酸エステル及びその誘導体、
ポリブテン、ポリ酢酸ビニル、ポリバーサチック酸ビニ
ル等に代表される水に不溶性のビニル重合体やビニル共
重合体、ポリオキシプロピレンやポリオキシテトラメチ
レンの如き水に不溶性のポリオキシアルキレン類、更に
はポリアミド及びポリエステル等の水不溶性重合体等が
挙げられる。特にポリスチレン及びその誘導体、ポリメ
タクリル酸エステル及びその誘導体、ポリアクリル酸エ
ステル及びその誘導体並びにポリ塩化ビニルが好ましく
用いられる。また、疎水性重合体の重合度は2以上50
0以下、好ましくは2以上200以下、更に好ましくは
2以上100以下である。
【0041】前記一般式(I)で表される化合物におけ
る重合体Pは、上記構造単位A、B及びCのうちの少な
くとも1つを含む重合体である。重合体Aを構成する構
造単位Aとしては具体的には、ビニルアルコール、α−
メチルビニルアルコール、α−プロピルビニルアルコー
ル等が挙げられる。重合体Pを構成する構造単位Bとし
ては酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び
これらのα置換体が挙げられる。更に重合体Pを構成す
る構造単位Cとしてはアクリル酸、メタクリル酸又はク
ロトン酸(それぞれアンモニウム塩、又はNa、K等の
金属塩を含む)、マレイン酸又はイタコン酸(それぞれ
モノアルキルエステル、アンモニウム塩、又はNa、K
等の金属塩を含む)、ビニルホスホン酸、ビニル硫酸、
アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、2−アク
リルアミド−3−メチルプロパンスルホン酸又は2−メ
タクリルアミド−3−メチルプロパンスルホン酸(それ
ぞれアンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含
む)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロリド又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアン
モニウムクロリド等の水中でイオン解離する単量体単位
が挙げられる。特にイタコン酸、マレイン酸が好まし
い。
【0042】これらの中で構造単位Aとしては、ビニル
アルコール単位が、構造単位Bとしては酢酸ビニル単位
が、また構造単位Cとしてはカルボン酸(アンモニウム
塩、又はNa、K等の金属塩を含む)を含むビニルモノ
マー単位又はスルホン酸(アンモニウム塩、又はNa、
K等の金属塩を含む)を含むビニルモノマー単位がより
好ましい単位である。
【0043】重合体Pを構成する上記構造単位A、B及
びCの含量については特に制限はないが、A、B、Cの
含率をそれぞれx、y、zモル%とすると、x+y+z
=100、0≦x≦100、0≦y≦75、0≦z≦1
00が好ましく、x+y+z=100、0≦x≦10
0、0≦y≦50、0≦z≦50が特に好ましい。ま
た、構造単位Cの含量が1モル%以下の場合、一般式
(P)で表される重合体が水溶性又は水分散性であるた
めには、構造単位Aの含量は50モル%〜100モル%
であるのが好ましい。
【0044】本発明の一般式(I)で表される化合物は
水溶性から水分散性まで広い範囲のものを含む。本発明
の一般式(I)で表される化合物が水溶性又は水分散性
である限りにおいては、重合体Pが上記構造単位A、B
及びC以外の構造単位を含むことも何ら差し支えなく、
これらの構造単位として、例えばエチレン、プロピレ
ン、イソプテン、アクリロニトリル、アクリルアミド、
メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル
又はフッ化ビニル単位が挙げられる。該重合体Pの重合
度は10〜3500、好ましくは10〜2000、更に
好ましくは10〜1000、特に好ましくは10〜50
0である。
【0045】該重合体Pの構造単位A及びBにおけるR
1およびR2のアルキル基としては、特にメチル基が好ま
しい。また、該アルキル基はヒドロキシル基、アミド
基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、
スルホンアミド基等により置換されていてもよい。
【0046】本発明の一般式(I)で表される化合物
は、本発明の目的により、これを構成するP及びRの最
適化学組成、分子量等は異なるが、どの目的において
も、PとRの重量比が0.001≦R/P≦2、より好
ましくは0.01≦R/P≦1の組成を有するものが特
に効果が優れている。
【0047】前記のごとき潜像形成液を液滴状に噴射す
るにあたっては、上記の各材料を使用する熱転写材料の
特性に応じて選択して用いることができるが、1種を用
いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】転写性促進材料は、熱転写材料からなる転
写層の任意の部分の転写性を向上させ、より低い転写温
度で容易に、完全に転写させることができるようにする
目的で用いられるものである。転写性促進材料は、転写
層または受像層に少なくとも一部が浸透して、支持体か
らの転写層の剥離を容易にするもので、転写性促進材料
は好ましくは、表面張力20〜60mN/m、粘度50
mPa.s以下の物性を有する液である。転写性促進材
料の転写層または受像層に対する付与量は、転写像の解
像度を低下させない範囲に抑えることが望ましい。付与
量が多すぎると、画像部と非画像部との界面で転写性促
進材料の浸透、転写層の溶解・流動が生じ、画像界面の
鮮鋭度が低下するおそれがある。ここで、転写温度を低
下させる目安としては、本来の転写層の転写温度に対し
て、この転写性促進材料を付与することで転写温度が3
℃以上、下がるものが好ましい。なお、転写性促進材料
の機能は、転写層または受像層に含まれるバインダー樹
脂の可塑化ないし膨潤が起こっていると考えられる。こ
の転写温度については、以下の方法で測定することがで
きる。
【0049】図1に示す如き、温度可変の加熱ローラを
備える一対の加熱ニップローラを備える装置で、転写材
料と受像シートとの間に熱電対をはさみ、加熱ニップロ
ーラを通過させながら熱電対で温度を測定する。加熱温
度を変えながら測定を行い、転写が発生する最も低い温
度を転写温度とする。
【0050】ここで、本発明の方法に用いられる転写シ
ートと受像シートについて説明する。 [転写シート]本発明の方法に用いられる転写シート
は、支持体上に転写層を有してなることが好ましい。以
下、転写シートを構成している支持体及び転写層、さら
に所望により設けられるその他の層について詳述する。
【0051】(支持体)転写シートの支持体の材料には
特に限定はなく、各種の支持体材料を目的に応じて用い
ることができる。支持体材料の好ましい例としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体等の合成樹脂材料を挙げ
ることができる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考慮
すると好ましい。
【0052】支持体には、その上に設けられる転写層と
の密着性を向上させるために、表面の粗面化処理及び/
または一層または二層以上の下塗層の付設を行なうこと
が好ましい。表面の粗面化処理の例としては、グロー放
電処理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下塗
層の材料としては、支持体と転写層の両表面に高い接着
性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に優れた
ものであることが好ましい。そのような下塗層の材料の
例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体の厚
さは、通常0.01〜2μmである。また、転写シート
の転写層付設側とは反対側の表面には、必要に応じて、
離型層等の各種の機能層の付設、あるいは表面処理を行
なうこともできる。
【0053】(転写層)転写層は、有色画像を形成する
場合には、受像シートに転写されて着色画像を形成する
ための顔料を少なくとも含有し、さらに、層を形成する
ためのバインダ樹脂、および所望により、その他の成分
を含有する。顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別
され、前者は特に塗膜の透明性に優れ、後者は一般に隠
蔽性に優れる等の特性を有しているので、用途に応じ
て、適宜選択すればよい。また、蛍光顔料等も用いる場
合がある。好適に使用される顔料の例としては、アゾ系
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインド
リノン系顔料、ニトロ系顔料が挙げられ、具体的には、
以下のものが挙げられる。
【0054】(1)黄色顔料としては、ハンザイエロー
G、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー10G、ハン
ザイエローA、ピグメントイエローL、パーマネントイ
エローNCG、パーマネントイエローFGL、パーマネ
ントイエローHR等が挙げられる。 (2)赤色顔料としては、パーマネントレッド4R、パ
ーマネントレッドF2R、パーマネントレッドFRL、
レーキレッドC、レーキレッドD、ピグメントスカーレ
ット3B、ボルドー5B、アリザリンレーキ、ローダミ
ンレーキB等が挙げられる。 (3)青色顔料としては、フタロシアニンブルー、ビク
トリアブルーレーキ、ファストスカイブルーが挙げられ
る。 (4)黒色顔料としては、カーボンブラック等が挙げら
れる。
【0055】転写層は、顔料やバインダ樹脂等を溶解、
分散した塗布液を支持体上に塗布、乾燥することにより
設ける方法等により形成できる。塗布液の調製に用いる
溶媒としては、n−プロピルアルコール、メチルエチル
ケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(M
FG)、メタノール等が挙げられる。塗布、乾燥は、公
知の塗布方法、乾燥方法を利用して行うことができる。
上記顔料の含有量としては、転写層の全固形分に対して
30〜70質量%であることが好ましく、30〜50質
量%であることがより好ましい。また、転写層の層厚
(乾燥層厚)としては、0.1〜3.0μmであること
が好ましく、0.3〜1.5μmであることがより好ま
しい。
【0056】また、転写層の色材としては、上記顔料の
他に光沢顔料を用いることができる。光沢顔料とは無機
若しくは金属顔料を指す。中でも、前記光沢顔料として
は、金属粉末、無機化合物粉末が好ましい。
【0057】前記金属粉末としては、例えば、アルミニ
ウム、金、銀、銅、錫、クロム、亜鉛等の微粉末顔料が
挙げられ、中でも、光沢、価格等の点で、アルミニウム
が特に好ましい。前記無機化合物粉末としては、パール
顔料等のメタリック光沢を示す顔料や、酸化物や炭酸塩
等の無機白色顔料が挙げられ、適宜目的に応じて選択で
きる。
【0058】前記パール顔料としては、例えば、天然パ
ールエッセンス、塩化水銀、塩基性炭酸鉛、酸塩化ビス
マス、雲母等が挙げられ、中でも、安全性、価格の点か
ら、雲母が特に好ましい。
【0059】上記雲母及び無機白色顔料を除く、金属粉
末及び無機化合物粉末の粒度としては、0.5〜50μ
mが好ましく、1〜30μmがより好ましい。前記粒度
は、顔料粒子の平均粒径を指し、例えば、光学顕微鏡や
電子顕微鏡により測定できる。
【0060】上記雲母及び無機白色顔料を除く、金属粉
末及び無機化合物粉末の形態としてはそれぞれ種々の形
態をとることができ、目的に応じて適宜選択できるが、
少ない充填量で高い光沢度を得る観点からは、さらにそ
の形態が平板状の粒子であるものがより好ましい。上記
顔料のうち、平板状の形態を持つ顔料である観点からも
特に雲母顔料が好ましく、その中でも、雲母粒子に二酸
化チタン膜を積層した構造の二酸化チタン被覆雲母が最
も好ましい。
【0061】その雲母顔料の具体的な形態としては、厚
み0.05〜0.7μm、粒度1〜50μmのものが好
ましい。中でも、前記粒度は5〜30μmがより好まし
い。前記厚みが0.7μmを越えると、雲母と二酸化チ
タンとの境界面における光反射による光の干渉効果が低
下し、光沢度が低下することがある。また、前記粒度が
1μm未満であると、光沢度が低下することがあり、5
0μmを越えると、色材層の表面平滑性が損なわれ、均
一光沢が得られないことがある。該雲母顔料の粒度は平
板状粒子の長径を指し、上記同様、例えば、光学顕微鏡
や電子顕微鏡により測定できる。
【0062】前記無機白色顔料としては、金属酸化物、
金属炭酸塩等の無機化合物が挙げられる。前記金属酸化
物としては、例えば、二酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等が好適
であり、前記金属炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシ
ウム等が好適である。前記無機白色顔料の粒径として
は、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmが
より好ましい。
【0063】転写層中における光沢顔料の含有量として
は、形成する画像の色相や光沢度等の目的に応じて適宜
選択しうるが、0.1〜10g/m2が好ましく、0.
3〜3g/m2がより好ましい。
【0064】転写層の態様としては、前記金属粉末を真
空蒸着して得られる金属蒸着層や、金属粉末や雲母等の
光沢顔料がバインダに分散され塗布形成された層などが
挙げられる。転写層の層厚としては、前者の金属蒸着層
では約800μm程度であり、後者の塗布による層で
は、0.1〜10μm(乾燥層厚)が好ましい。
【0065】なお、受像シートに形成した画像を陶体
(セラミックス体)上に配置して最終的に陶体上に画像
を形成する場合等には、無機顔料として、通常、陶芸に
用いられる上絵具、下絵具を用いることができ、例え
ば、酸化銅、酸化コバルト等の結晶構造がスピネル、ス
フェイン、パイクロア、ルチール、プライディライト、
フフォスフェイト、フェナサイト、ペリークレイス、オ
リビン、バデライト、ボレート、コランダム、ジルコン
等の金属酸化物;カドミウムイエロー等の硫化物;セレ
ン赤等のセレン化カドミウム化合物等が好ましい。ま
た、蛍光顔料や蓄光体顔料である無機顔料を使用しても
よい。
【0066】また、この場合、転写層には、無機顔料と
ともにガラス成分を含有させてもよい。ガラス成分を併
用すると、陶体を焼結する際、無機顔料の陶体表面への
融着性を向上させることができるので好ましい。前記ガ
ラス成分としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、酸化鉛、酸化ビスマス等のアルカリ金属化
合物;炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等のアルカリ土類金
属化合物;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の
中性成分;酸化ケイ素、ホウ酸、酸化ジルコニウム、酸
化チタン等の酸性成分;等が挙げられる。また、硼砂、
長石、カオリン等の複合成分を使用することもできる。
前記ガラス成分は、1種の単独をまたは2種以上を混合
したものを溶解させ、いわゆるフリットとして用いるこ
とができる。
【0067】−バインダ樹脂− 前記バインダ樹脂としては、軟化点が40℃〜150℃
の非晶質有機高分子重合体が好ましい。前記非晶質有機
高分子重合体としては、例えば、ブチラール樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スルホンアミド
樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、2−メチル
スチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベ
ンゼンスルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン
及びその誘導体、置換体の単独重合体や共重合体、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタ
クリル酸エステル類及びメタクリル酸、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、α−
エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル及
びアクリル酸、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、
アクリロニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸及び
マレイン酸エステル類、無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩
化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独若しく
は他の単量体等との共重合体を用いることができる。こ
れらの樹脂は2種以上混合して用いることもできる。
【0068】−可塑剤− 同一の受像材料上に、多数の転写画像(画像様に形成さ
れた転写層)を繰返し重ね合せて多色画像を形成する場
合には、各画像間の密着性を高めるために各転写記録層
は可塑剤を含むことが好ましい。前記可塑剤としては、
例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル、フタル酸ジノニ
ル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フ
タル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピ
ン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エ
チルヘキシル)等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸ト
リクレジル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリ
ン酸トリエステル類、ポリエチレングリコールエステル
等のポリオールポリエステル類、エポキシ脂肪酸エステ
ル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0069】また、用いるバインダーの種類によって
は、上記の一般的な可塑剤以外にも、例えば、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、1,2,4−ブタン
トリオールトリメタクリレート、トリメチロールエタン
トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトール−ポリアクリレート等のアクリル酸
エステル類も好適に併用できる。尚、可塑剤は2以上組
合せて用いてもよい。
【0070】前記可塑剤の含有量としては、転写層(転
写記録層)において、顔料とバインダ樹脂との総量と、
可塑剤との重量比が、一般に100:1〜100:3で
あることが好ましく、100:1.5〜100:2であ
ることがより好ましい。更に、転写層には、必要に応じ
て、界面活性剤、増粘度剤等が添加される。
【0071】(接着層)接着層(表面層)は、熱接着性
の樹脂を有してなり、転写シートの走行性の良化、地汚
れの防止、あるいは巻き取り後のブロッキングの防止な
どの目的で、他の樹脂や微細粒子等を添加することもで
きる。前記熱接着性の樹脂としては、比較的低融点の熱
可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体、ポリブテン、石油樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
【0072】更に、熱接着性の樹脂として、ワックス、
前記熱可塑性樹脂とワックスとの混合物、ワックスと乾
性油、鉱油又はセルロースやゴムの誘導体等との混合物
も使用できる。前記ワックスとしては、例えば、マイク
ロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィ
ンワックス等が挙げられる。更に、フィッシャートロプ
スワックス、各種低分子量ポリエチレン、木蝋、蜜蝋、
鯨蝋、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャ
ンデリラワックス、オペトロラクタム、ポリエステルワ
ックス、部分変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸ア
ミドなどの各種ワックスも挙げることができる。熱可塑
性樹脂とワックスとの混合物の場合、比較的低融点の熱
可塑性樹脂を用いると、耐摩擦性や被転写体に対する接
着性を向上させることができる。
【0073】接着層に含有させる微細粒子としては、例
えば、ベンゾグアナミン樹脂粉;尿素樹脂粉等の熱可塑
性樹脂の微細粒子;シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、クレー、アルミナホワイト、カオリン、ゼオ
ライト等の無機質の微細粒子等が挙げられる。該微細粒
子を含有させることにより、接着層表面に凹凸を形成
し、転写シートをロール状に巻き取った時の、接着層と
該接着層の設けられていない側の表面とのブロッキング
を防止できる。また、微細画像のつながりを防止するこ
ともできる。
【0074】上記のほか、接着層(表面層)には、必要
に応じて、帯電防止剤等の他の添加剤を添加することも
できる。前記接着層(表面層)の層厚としては、0.1
〜20μm程度が好ましい。
【0075】(剥離層)剥離層は、例えば、支持体/剥
離層/中間層/転写層/接着層などのように、支持体と
被転写体へ転写される最下層との間に設けられ、熱転写
時に加熱された領域の熱溶融する転写層や接着層を、受
像材料等の被転写体に転写を容易にするための層であ
る。該層は、支持体に対して被転写体へ転写される最下
層の剥離性が十分な場合には設ける必要はなく、剥離性
の不十分な場合や不安定な場合に設けられる。
【0076】前記剥離層は、例えば、ワックス類、シリ
コーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリ
ル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の離型性を有
する樹脂類により構成される。該層は、上記樹脂類を、
必要に応じて添加剤を加えて適当な溶剤に溶解、分散し
て調製した塗布液状の溶液を支持体上に、グラビアコー
ト等の公知の塗布方法により塗布、乾燥して形成でき
る。前記剥離層の層厚としては、0.1〜10μmが好
ましく、0.1〜5μmがより好ましい。
【0077】(中間層)中間層は、無色若しくは着色さ
れたポリマー層として構成され、最終的に形成される画
像色調に調整を加えたり、層間における水分や界面活性
剤等の浸透を防止する機能を担う。無色の場合には、転
写画像は転写層の色相そのものの色調で画像形成され、
有色の場合には、金属光沢感にその色相が加えられた色
調の画像が形成される。
【0078】また、画像の解像度を向上させる目的で、
熱可塑性樹脂やワックス等を併用することもできる。具
体的には、熱可塑性樹脂として、ポリメチルメタアクリ
レート樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、塩化
酢化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレンアクリロ
ニトリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、スチレン樹脂等の単独重合体若しくはこれらの
共重合体、アニオン、カチオン変性物が挙げられる。そ
の他、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ
酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリア
ミド樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等、又はこ
れらの混合物や共重合体も挙げられる。前記ワックスと
して、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナ
バワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。更
に、シリカ、クレイ等の多孔質材料を添加することもで
きる。
【0079】(プライマー層)プライマー層は、転写層
の保護など目的で必要に応じて設けられ、転写層と接着
層との間に設けることができる。該層の構成成分として
は、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重
合体等が好適に挙げられる。
【0080】(背面層)本発明の画像形成方法において
熱転写を行う場合には、転写シートをその転写層の設け
られていない側の表面より加熱して転写を行う。そのた
め、支持体の材質によっては、軟化や粘着性を生じたり
して転写シートの走行性が悪化することがある。このよ
うな場合には、耐熱性、走行性、離型性を向上させる目
的で、転写層の設けられていない側の支持体の表面に背
面層を設けてもよい。
【0081】背面層は、バインダ樹脂と、必要に応じて
他の添加剤とから構成される。前記バインダ樹脂として
は、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢
酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿等のセルロー
ス系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニ
ルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ア
クリロニトリル−質連共重合体等のビニル系樹脂;ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又は
フッ素変性ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0082】上記バインダ樹脂より構成される背面層の
中でも、若干の反応基(例えば、水酸基等)を有するバ
インダ樹脂を用い、これにポリイソシアネート等の架橋
剤を併用した架橋樹脂層であることが好ましい。また、
シリコーン樹脂塗布膜も使用できる。前記背面層は薄膜
でよく、その層厚としては、0.01〜2μm程度であ
れば有効である。上記のような背面層を設けることによ
り、熱に対して比較的弱い樹脂フィルムをも使用が可能
となる。一方、支持体自身が耐熱性、離型性、走行性等
に優れる場合には、必ずしも背面層を設ける必要はな
い。
【0083】[受像シート]本発明の方法に用い得る受
像シートとしては、通常、支持体と、その上に、1以上
のバインダー樹脂を含有する受像層が設けられ、所望に
より、支持体と受像層との間にクッション層、剥離層、
および中間層のいずれか1層または2層以上を設けた構
成をとるものが好ましいが、前記した転写層との親和性
が良好であれば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)等の樹脂シート、普通紙、コート紙、ガラスエポキ
シシート、金属板、セラミックス板などを用いることも
できる。支持体上に受像層を設けてなる受像シートの場
合、支持体の受像層とは反対側の面に、搬送性向上のた
めのバック層を設けることが好ましい。
【0084】前記支持体としては、プラスチックシー
ト、金属シート、ガラスシート、紙等のような通常のシ
ート状の基材が挙げられる。プラスチックシートの例と
しては、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリカー
ボネートシート、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニル
シート、ポリ塩化ビニリデンシート、ポリスチレンシー
ト、スチレン−アクリロニトリルシート、ポリエステル
シート等を挙げることができる。また、紙支持体として
は印刷本紙、コート紙等を用いることができる。
【0085】支持体が、微小な空隙(ボイド)を有する
と、カールを防止でき、画質を向上させることができる
ので好ましい。このような支持体は、例えば、熱可塑性
樹脂と、無機顔料や前記熱可塑性樹脂と非相溶性の高分
子等からなる填料とを混合した混合溶融物を、溶融押出
機によって単層または多層のフィルムとし、さらに1な
いし2軸に延伸することにより作製することができる。
この場合、樹脂および填料の選定、混合比率、延伸条件
などによって空隙率が決定される。
【0086】前記熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、およびポリエチレンテレフ
タレート樹脂が、結晶性が良く、延伸性が良く、ボイド
の形成も容易であるので好ましい。前記ポリオレフィン
樹脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分
とし、それに適宜少量の他の熱可塑性樹脂を併用するこ
とが好ましい。前記填料として用いられる無機顔料とし
ては、平均粒径が1μm以上20μm以下のものが好ま
しく、炭酸カルシウム、クレー、けいそう土、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、シリカ等を用いることができ
る。また、填料として用いられる非相溶性の樹脂として
は、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いる場合
は、ポリエチレンテレフタレートを填料として組み合わ
せるのが好ましい。なお、支持体における、無機顔料等
の填料の含有率は、体積で2〜30%程度が一般的であ
る。
【0087】受像シートの支持体の厚さは、通常10〜
400μmであり、25〜200μmであるのが好まし
い。また、支持体の表面は、受像層(あるいはクッショ
ン層)との密着性、または熱転写シートの画像形成層と
の密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロー放電
処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0088】受像シートの表面には、画像形成層を転写
し、これを固定するために、支持体上に、受像層を1以
上設けることが好ましい。受像層は有機重合体からなる
バインダー樹脂を主体として形成される層であるのが好
ましい。前記バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であるこ
とが好ましく、その例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
アクリル系モノマーの単独重合体およびその共重合体、
メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセ
テートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のようなビニル系モ
ノマーの単独重合体およびその共重合体、ポリエステ
ル、ポリアミド等のような縮合系ポリマー、ブタジエン
−スチレン共重合体のようなゴム系ポリマーを挙げるこ
とができる。受像層のバインダーは、画像形成層との間
の適度な接着力を得るために、ガラス転移温度(Tg)
が90℃より低いポリマーであることが好ましい。この
ために、受像層に可塑剤を添加することも可能である。
また、バインダーポリマーは、シート間のブロッキング
を防ぐために、そのTgが30℃以上であることが好ま
しい。受像層のバインダーポリマーとしては、転写時の
画像形成層との密着性を向上させ、感度や画像強度を向
上させる点で、画像形成層のバインダーポリマーと同
一、若しくは類似のポリマーを用いることが特に好まし
い。
【0089】また、受像層には、無機顔料を含んでいて
もよい。該無機顔料としては、カオリン、焼成カオリ
ン、タルク、ろう石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウム、酸化チタン、炭酸バリウム、非晶質シリカ等が挙
げられる。これらの無機顔料は、JIS K5101号
で規定する吸油量が60ml/100g以上で、平均粒
子径が5μm以下であることが好ましい。
【0090】無機顔料は、受像シートの受像層および/
またはクッション層に含ませることが適切であり、ま
た、一般に受像層よりクッション層の厚さの方が大きい
ので、クッション層に含ませる方が好ましい。受像層お
よび/またはクッション層への添加量は、前記層の固形
分の5〜50質量%が適切であり、好ましくは10〜4
0質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
【0091】受像層は、バインダー樹脂を含む有機溶剤
溶液または水性液(水溶液、水分散液)を支持体上に塗
布することにより形成される層であるので、プラスチッ
クシート等の支持体とは異なり、熱転写性促進材料に対
して受容性を有する。受容性とは、受像層が熱転写性促
進材料によってたとえば可塑化ないし膨潤することをさ
す。この可塑化ないし膨潤作用により、熱転写材料の転
写温度が低下し得る。本発明の方法により、受像層上に
一旦画像を形成した後、印刷本紙等へ再転写することも
できる。
【0092】受像層の厚みは0.3〜7μm、好ましく
は0.7〜4μmである。0.3μm以下の場合、印刷
本紙への再転写の際に膜強度が不足し破れ易い。厚すぎ
ると、本紙再転写後の画像の光沢が増し、印刷物への近
似性が低下する。
【0093】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに制限されるものではない。な
お、本実施例においては、特にことわりのない限り、
「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
【0094】<インクジェットインク> インクジェットインクとして以下に示すものを用いた。 ・黒色(IC1BK08:セイコーエプソン社製) ・シアン色、マゼンタ色、イエロー色(IC3CL0
8:セイコーエプソン社製)
【0095】<潜像形成液(転写性促進材料含有液)の
調製>下記組成の素材を均一に攪拌混合した後、0.4
5μmのミクロフィルタを通過させて潜像形成液を得
た。 [潜像形成液の組成] ・エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス(固形分50%) 35部 ・蒸留水 65部
【0096】<転写シートの作製>厚さ10μmのポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備し、
その一方の表面上に、下記組成の剥離層用塗布液をバー
コート法により塗布、乾燥して、層厚0.3μmの剥離
層を形成し、該層上に更に、下記組成の中間離層用塗布
液を同様にして塗布、乾燥して、層厚0.1μmの中間
層を積層した。
【0097】 [剥離層用塗布液の組成] ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 6部 ・トルエン溶液 94部 [中間層用塗布液の組成] ・PMMA 2部 ・ステアリン酸アミド 2部 ・黄色染料 0.1部 ・酢酸イソプロピル溶液 96部
【0098】上記中間層上に、蒸着により800Å厚の
アルミニウム膜(転写層)を形成した後、該層上に、そ
れぞれ下記組成より調製したプライマー層用塗布液、接
着層用塗布液をこの順にバーコート法により積層塗布
し、乾燥して、層厚0.2μmのプライマー層、層厚
0.5μmの接着層を形成した。
【0099】 [プライマー層用塗布液の組成] ・塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体 3部 ・メチルエチルケトン溶液 97部 [接着層用塗布液の組成] ・アクリル樹脂 1部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(熱接着性の樹脂) 1部 (EVA#150,三井デュポンポリケミカル(株)製) ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(熱接着性の樹脂) 1部 (EVA KA−10,住友化学工業(株)製) ・酸化チタン 4部 ・酢酸イソプロピル(溶剤) 93部
【0100】次いで、支持体の他方の表面(転写層等が
形成されてない側の支持体の表面)に下記組成よりなる
背面層用塗布液を塗布し、乾燥して層厚0.1μmの背
面層を形成した。 [背面層用塗布液の組成] ・アクリル樹脂(BR108,三菱レイヨン(株)製) 8部 ・シリコーン変性アクリル樹脂(久保孝ペイント(株)製) 2部 ・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(質量比)) 90部
【0101】以上より、支持体上の一方の表面に、剥離
層、中間層、転写層、プライマー層及び接着層がこの順
に積層して設けられ、他方の表面に背面層が設けられた
転写シートを作製した。
【0102】 <受像シートの作製> 「第一層(クッション層)用塗布液」 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 160部 (日信化学(株)製、ソルバインCL2) ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 61部 (三井デュポンケミカル(株)製、エルバロイ742) ・セバシン酸ポリエステル 28部 (日本曹達(株)製、FN−G25) ・パーフルオロアルキル基含有オリゴマー 4部 (大日本インキ化学工業(株)製、メガフアックF−178K) ・非晶質シリカ 150部 (水澤化学(株)製、ミズカシルP802、吸油量240ml/100g) ・メチエチルケトン 630部 ・トルエン 210部 ・ジメチルホルムアミド 30部
【0103】 「第二層(受像層)用塗布液」 ・ポリビニルブチラール樹脂 16部 (電気化学工業(株)製、デンカブチラール#2000−L) ・N,N−ジメチルアクリルアミド−ブチルアクリレート共重合体 4部 ・パーフルオロアルキル基含有オリゴマー 0.5部 (大日本インキ化学工業(株)製、メガフアックF−177) ・n−プロピルアルコール 200部 ・ミズカシルP802(水澤化学(株)製) 150部
【0104】厚さ130μmのPETフイルム支持体上
に回転塗布機を使用して上記第一層用塗布液を塗布し、
100℃で乾燥させ、乾燥時の膜厚が20μmの第1層
を形成した。上記第一層上に回転塗布機を使用して、上
記第二層用塗布液を塗布し、100℃で乾燥させ、乾燥
時の膜厚が2μmの第二層を形成して、受像シートを作
製した。
【0105】<画像形成>図1に示した装置を用いて画
像形成を行った。まず、上記作製した受像シートの受像
面上に、上記インクジェットインクを用いてインク像
(カラー像)を形成し、一方、上記作製した転写シート
の転写層上に、上記調製した潜像形成液を用いて潜像を
形成した。次に、受像面の温度が70℃になるように赤
外線ヒータ調整し、受像シート及び転写シートに対して
30秒間照射し、インク像及び潜像の乾燥を行った。そ
の後、支持ドラムと表面温度を75℃に設定したピンチ
ローラの間に受像シートを通過させることにより潜像部
の転写層を受像シートに転写した。以上のような方法に
より画像を形成することにより、インクジェットで形成
できるカラー画像のみならず、インクジェットでは表せ
ない金色光沢の文字像も容易に形成することができた。
また、形成された画像は解像度が高く、高画質なもので
あった。
【0106】なお、本装置(ピンチローラの表面温度を
75℃に設定)に、転写シートと受像シートを通した場
合、転写部の温度(転写シートと受像シートの間にセン
サーを挟んで測定)は61℃であった。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット方式で
表される色相のみならず、インクジェットインクでは表
せない特別色も表すことが容易にできる画像形成方法及
び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構
成を示す概念図である。
【図2】 (A)は本発明の一実施形態に係る画像形成
装置の第一ノズルヘッドの底面図であり、(B)は本発
明の一実施形態に係る画像形成装置の第二ノズルヘッド
の底面図である。
【図3】 本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の
構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1、50 画像形成装置 3 支持ドラム 5 転写シート 7 ピンチローラ 9 加圧ローラ 11 受像シート 13 第一ノズルヘッド 15、27 ヒータ 17 第二ノズルヘッド 23 剥離バー 25 巻回手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受像シートの受像面上に、インクジェッ
    トインクよりなるインク像を形成するインク像形成工程
    と、 転写層を有する転写シートの該転写層上に、転写性促進
    材料又は粘着性材料を含む潜像形成液よりなる潜像を形
    成する潜像形成工程と、 前記インク像が形成された受像シートの受像面と、前記
    潜像が形成された転写シートの転写層表面を接触させて
    加圧し、前記潜像部の転写層を受像面上に転写して転写
    像を形成する顕像化工程と、を有する画像形成方法。
  2. 【請求項2】 顕像化工程前に、インク像及び潜像を乾
    燥する乾燥工程を有する請求項1に記載の画像形成方
    法。
  3. 【請求項3】 インクジェットインクを受像シートの受
    像面上に画像様に吐出するノズルを備えた第一ノズルヘ
    ッドと、 転写性促進材料又は粘着材料を含む潜像形成液を転写層
    を有する転写シートの該転写層上に画像様に吐出するノ
    ズルを備えた第二ノズルヘッドと、 前記第一ノズルヘッド及び第二ノズルヘッドの下流側に
    あって、前記受像シートの受像面と転写層を有する転写
    シートの転写層表面を接触させて通過させる一対の加圧
    ローラーと、を有する画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013075408A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Seiko Epson Corp 光輝性画像の記録方法
US8506070B2 (en) 2008-07-29 2013-08-13 Seiko Epson Corporation Recording method, recorded matter, ink jet recording apparatus, and identification method
CN104903113A (zh) * 2012-10-12 2015-09-09 知识产权古里亚有限公司 生产在至少一个表面上具有图像的基体的方法

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