JP2003067567A - 不動産の証券化方法および証券化された不動産の分析システム - Google Patents

不動産の証券化方法および証券化された不動産の分析システム

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JP2003067567A
JP2003067567A JP2001254385A JP2001254385A JP2003067567A JP 2003067567 A JP2003067567 A JP 2003067567A JP 2001254385 A JP2001254385 A JP 2001254385A JP 2001254385 A JP2001254385 A JP 2001254385A JP 2003067567 A JP2003067567 A JP 2003067567A
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real estate
investment
risk
land
analysis
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JP2001254385A
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Masahito Suzuki
雅人 鈴木
Atsushi Miyamoto
篤 宮本
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City Science Kk
Original Assignee
City Science Kk
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不動産を証券化するに際して、ビルなどの従
来から投資対象となっていた不動産に関しては、データ
が揃っているため、その評価を行うことが可能であった
が、事業用定期借地権が設定されている土地などといっ
た、従来の市場にはない類型の不動産については、不動
産評価を行うことが非常に困難であった。 【解決手段】 証券化された不動産の価値を分析するシ
ステムを、入力手段11と算出手段12と出力手段13
とを有し、該算出手段12内において、対象不動産のリ
スク量と期待利回りとが所定の比例関係に関係付けら
れ、該リスク量がシナリオアプローチを用いて算出可能
であり、このリスク量と期待利回りとの関係及び算出さ
れたリスク量に基づいて、対象不動産の期待利回り及び
現在価格の算出を行うように構成し、証券化の対象不動
産を事業用定期借地権が設定されている底地1とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不動産の証券化方
法および証券化された不動産の分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、不動産の証券化事業が推進されは
じめており、不動産の所有者が、証券発行機能を有する
投資ビークルに該不動産を譲渡し、該投資ビークルが該
不動産のキャッシュフローを裏付けとした有価証券の発
行を行うことで不動産を証券化し、投資家の投資対象と
することが行われている。この場合の投資ビークルとし
ては、特定目的会社(Special Purpose Company)、会
社型不動産投資信託(日本版REIT)、組合等の形態
がある。このような不動産投資は、オフィスビルや賃貸
マンションなどの不動産が対象とされており、投資判断
は、「利回り法」や「DCF法」といった分析手法に基
づいて行われている。
【0003】ここで、「利回り法」とは、初年度の純営
業収益(NOI)を総投資額で割って還元利回り(キャ
ップレート)を求める、または還元利回りでNOIを還
元して投資額を求める等による分析手法であり、「DC
F法」とは、投資期間のキャッシュフローを予測・分析
し、初期投資額から割引率を求める、または割引率を与
えて投資額を求める分析手法であって、いずれの分析手
法も、対象不動産の利回りや割引率について市場データ
が豊富か又は少なくとも目安があって分析できるもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、オフィ
スビルや賃貸マンションなどの従来から投資対象となっ
ていた不動産に関しては、少ないとはいえ多少のデータ
が揃っているため、「利回り法」や「DCF法」といっ
た分析手法による分析が可能であった。しかし、事業用
定期借地権が設定されている土地などといった、従来の
市場にはない類型の不動産については、その期待利回り
が「未知」であるため、従来の「利回り法」や「DCF
法」などの不動産評価手法はそのまま適用できないか、
又は適用してもその有効性はごく低いものであった。そ
こで、本発明においては、投資対象不動産の未知なる将
来リスクや期待利回りを定量的に把握し、「投資対象と
しての不動産の価格査定」を可能にしつつ、「債券や事
務所ビル等の他の投資商品と比べてどのような特徴を有
するかの分析」を可能にする、「不動産投資における投
資判断の総合的な分析システム」を提案するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するため
の手段を説明する。即ち、請求項1に記載の如く、不動
産の所有者が、証券発行機能を有する投資ビークルに該
不動産を譲渡し、該投資ビークルが該不動産のキャッシ
ュフローを裏付けとした有価証券の発行を行う不動産の
証券化方法であって、証券化する対象不動産を、事業用
定期借地権が設定されている土地とする。
【0006】また、請求項2に記載の如く、不動産の所
有者が、証券発行機能を有する投資ビークルに該不動産
を譲渡し、該投資ビークルが該不動産のキャッシュフロ
ーを裏付けとした有価証券の発行を行うことにより証券
化された不動産の価値を分析するためのシステムであっ
て、該システムは、所定の入力値を入力する入力手段
と、分析内容を算出する算出手段と、分析結果を出力す
る出力手段とを有し、該算出手段内において、対象不動
産が有するリスク量と期待利回りとが所定の比例関係に
関係付けられるとともに、該リスク量がシナリオアプロ
ーチを用いて算出可能であり、リスク量と期待利回りと
の関係、及び算出されたリスク量に基づいて、対象不動
産の期待利回り及び現在価格の算出を行う。
【0007】また、請求項3に記載の如く、算出された
対象不動産の現在価格に基づいて、対象不動産の内部収
益率を求める。
【0008】また、請求項4に記載の如く、前記リスク
量と期待利回りとは、リスク量に対して、投資財のリス
クに対する投資家の行動の指標を表す係数を乗じた値
に、国債利回り等に基づいて判定される無リスク金利の
値を加えたものが期待利回りである、という関係を有
し、該係数は社債等の債権に関するデータを分析するこ
とにより求める。
【0009】また、請求項5に記載の如く、投資財のリ
スクに対する投資家の行動の指標を表す係数、対象不動
産が有するリスク量を算出するためのデータ、国債利回
り等に基づいて判定される無リスク金利、投資期間、及
び対象不動産のインカム部の収益とキャピタル部の収益
との相関係数が入力手段に入力されると、算出手段によ
り、対象不動産のリスク量、期待利回り、物件価格、及
び内部収益率等の投資判断分析の判断材料が算出され、
出力手段に出力される。
【0010】また、請求項6に記載の如く、前記不動産
が、事業用定期借地権が設定されている土地である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
する。図1は本発明の不動産の証券化方法の概念を示す
図、図2は本発明の証券化された不動産の分析システム
を示すブロック図、図3は分析システムの分析フローを
示す図、図4は分析システムにおける、表「リスク回避
度の分析」を示す図、図5は分析システムにおける、
「標準偏差簡易判定表・インカム」を示す図、図6は分
析システムにおける、「標準偏差簡易判定表・転売」を
示す図、図7は期待利回り判定のフローを示す図、図8
は分析システムにおける、表「投資利回り分析」を示す
図、図9は分析システムにおける表「投資判断分析」を
示す図、図10は「標準偏差簡易判定表・インカム」の
第二の例を示す図、図11は「標準偏差簡易判定表・転
売」の第二の例を示す図、図12は表「投資利回り分
析」の第二の例を示す図、図13は表「投資判断分析」
の第二の例を示す図、図14は「標準偏差簡易判定表・
インカム」の第三の例を示す図、図15は「標準偏差簡
易判定表・転売」の第三の例を示す図、図16は表「投
資利回り分析」の第三の例を示す図、図17は表「投資
判断分析」の第三の例を示す図、図18は「標準偏差簡
易判定表・インカム」の第四の例を示す図、図19は
「標準偏差簡易判定表・転売」の第四の例を示す図、図
20は表「投資利回り分析」の第四の例を示す図、図2
1は表「投資判断分析」の第四の例を示す図、図22は
分析対象不動産の種類とリスク量との関係を示す図、図
23は分析対象不動産の種類と総合リスク量及び内部収
益率との関係を示す図である。
【0012】本発明の不動産の証券化方法および証券化
された不動産の分析システムについて説明する。まず、
不動産の証券化方法について、図1により説明する。本
証券化方法により証券化される対象不動産は、事業用定
期借地権が設定されている土地(以下底地という)1で
あり、該底地1は、所有者から、証券発行機能を有す
る、特定目的会社(SPC)、会社型不動産投資信託
(日本版REIT)、組合等といった投資ビークル(Sp
ecial Purpose Vehicle)2に譲渡される。底地1を譲
渡された投資ビークル2は、地代や元本転売価格による
償還といった底地1から得られるキャッシュフローを裏
付けとした有価証券を発行し、複数の投資家3から資金
を調達する。また、投資ビークル2は、底地1の譲渡資
金を底地1の所有者に支払うとともに、底地1から得ら
れる収益を受け取り、投資家3は、投資ビークル2から
投資期間内の地代などによる配当や投資期間満了後の元
本転売価格による償還を受け取る。このように、事業用
定期借地権が設定されている底地1を、証券化の対象と
することで、現在有効に活用されていない土地であって
も、事業用定期借地権を設定して証券化することで、当
該底地1を有効活用することができるとともに、土地の
所有者にとっても資金調達が容易になるなどの利点があ
る。
【0013】本例においては、証券化される対象不動産
が、従来のようなオフィスビルや賃貸マンションなどと
異なり、「存続期間を10年以上20年以下として設定
され、借地上の建物の用途は居住用を除いた事業専用と
し、一定の要件の下で、更新がなく所定の契約期間で確
定的に借地関係が終了する定期借地権」である、事業用
定期借地権が設定された底地1であるため、対象不動産
の利回りや割引率についての市場データや目安がなく、
従来使用されていた「利回り法」や「DCF法」といっ
た分析手法をそのまま用いることによっては、投資判断
を適正に行うことが困難である。
【0014】そこで、本発明においては、以下の如くの
分析システムを用いて、利回り等についての市場データ
等が揃っていない、事業用定期借地権が設定された底地
1について、利回り等を理論的に算出することで、投資
対象としての価格の査定やリスクの分析などを容易且つ
適正に行うようにしている。本分析システムは、図2に
示すように、分析を行うにあたって所定の入力値を入力
するための入力手段である入力部11と、分析内容を算
出するための算出手段である算出部12と、分析結果を
出力するための出力手段である出力部13とを有してい
る。
【0015】まず、分析システムの概要構成について図
3に示すフローにより説明する。本分析システムにおい
ては、投資理論における代表的な理論モデルであるCA
PM理論を援用し、投資対象としての底地1が有するリ
スク量と期待利回りの関係が、算出部12内にて、次式
(1)のように定義されている(S1)。
【0016】
【数1】
【0017】ここで、rは底地1の「期待利回り」を示
し、r0は国債利回り等に基づいて判定される「無リス
ク金利」を示している。Kは定数であって、投資財のリ
スクをどこまで嫌うか・覚悟するか、及び財に対する期
待感・不安感といった投資家行動の指標を示す「リスク
回避度」であり、株式・債券等の他の投資財に対する投
資家の行動に基づいて求められる。σは、底地1の期待
利回り分布の標準偏差であり、本システムでは「リスク
量」を示している。
【0018】前記リスク回避度Kは、本例では社債のデ
ータを前記式(1)に適用して求められている(S
2)。尚、リスク回避度Kを求める際には、投資に関す
る専門家の意見が考慮される場合がある。また、底地1
が有するリスク量Sの判定を行う。この場合、底地1か
ら得られる収入を、インカム部分(地代)とキャピタル
部分(転売価格)に分解し、それぞれにおけるリスク量
1・S2を、統計的手法であるシナリオアプローチを活
用した簡易判定表を用いて判定する(S3)。
【0019】S3で求めた、インカム部分とキャピタル
部分のそれぞれのリスク量S1・S2について、ポートフ
ォリオ理論を適用し、底地1の総合的なリスク量σN
判定するとともに、前記式(1)に基づいて底地1のイ
ンカム部分の期待利回りr1及びキャピタル部分の期待
利回りr2を判定する(S4)。この場合、投資期間の
年数を表す投資期間n、インカム部分とキャピタル部分
の相関関係を勘案して求められる相関係数ρ、及び投資
期間に対応した国債利回りなどから判定される無リスク
金利r0を入力手段11から入力する。
【0020】求められた期待利回りr1及びキャピタル
部分の期待利回りr2用いて、対象物件の現在価格PZ
が査定される(S5)とともに、底地1の内部収益率
(IRR)が算出される(S6)。そして、算出された
これらのリスク量σN、内部収益率(IRR)、及び現
在価格PZなどが出力手段13から出力され、これらに
基づいて、投資判断分析を行うことを可能としている
(S7)。
【0021】次に、分析システムの詳細について説明す
る。〔リスク量と期待利回りの関係〕まず、図3のS1
にて示した、投資対象としての底地1が有するリスク量
と期待利回りの関係について説明する。
【0022】本システムにおいては、前述の如く、底地
1が有するリスク量と期待利回りの関係を、全ての投資
家に共通な期待リターンとリスク量との間のトレードオ
フ関係を示す資本市場線(CML:Capital Market Lin
e)から導出される資本資産評価モデル(CAPM:Cap
ital Asset Pricing Model)を援用することで定義付け
ているが、この資本資産評価モデルは以下の式(2)に
示すように表すことができる。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、riは個別資産の期待リターン
(期待利回り)であり、r0は無リスク金利であり、rM
は市場の平均期待リターンであり、βiはリスク量を示
すパラメータである。
【0025】また、この資本資産評価モデルを表す式
(2)については、分離定理を考案したトビン(J.Tobi
n)により、「個別資産の期待リターンは、リスク量を
示すβi値の代替として、収益分布の標準偏差σの線形
関数式で示すことができる」ことが提唱されている。従
って、本システムでは、資本資産評価モデルを援用する
とともに、期待リターンを収益分布の標準偏差σの線形
関数式で示し、前記式(1)の如く、収益分布の標準偏
差としての「底地1の期待利回り分布の標準偏差σ」を
「リスク量」とみなし、個別資産の期待リターンとして
の「底地1の期待利回りr」を、当該「標準偏差σ」の
線形関数にて表すものとしている。尚、本システムは、
以下に説明するように、前記式(1)を中心として構成
されている。
【0026】〔リスク回避度Kの推定〕次に、図3のS
2にて示した、「リスク回避度Kの推定」について説明
する。リスク回避度Kは、前述の如く、投資財のリスク
をどこまで嫌うか・覚悟するかという程度、及び財に対
する期待感・不安感を示す投資家の行動を表す指標であ
るが、本システムでは、前記式(1)を用いて、債券投
資からの分析によりリスク回避度Kを求めるようにして
いる。すなわち、対象社債の倒産確率(インプライド確
率。格付け会社が発表している)と市場での実態利回り
からリスク量である標準偏差σが求められるので、これ
によりリスク回避度Kを求めている。
【0027】例えば、図4に示す、表「リスク回避度の
分析」のように、日本格付研究所による格付が「BB
B」で投資期間が2年である社債を対象として分析を行
うと、「社債発行会社が倒産しない場合の収益率」r、
「社債発行会社が倒産した場合の収益率」f、「社債発
行会社の倒産確立」p、「無リスク金利」r0が判る。
これにより、当該社債の「平均収益率」mを求め、さら
に、当該「収益率」の「標準偏差」σを求める。そし
て、これらの「標準偏差」σ、「社債発行会社が倒産し
ない場合の収益率」r、及び「無リスク金利」r0を、
前記式(1)に代入すると、リスク回避度Kが算出され
る。
【0028】尚、図4における、表「リスク回避度の分
析」の下方には、各種社債についての分析例を示してあ
る。ここで、リスク回避度は、一般の投資市場全般でみ
ると、投資財の種類、銘柄、格付けによっての違いはな
く、理論的には一つの数値をとる(これを社会的リスク
回避度と呼ぶ)。ところが、債券や株式など、資産別、
銘柄・格付け別で分析すると、一つの数値とはならな
い。例えば、図4の分析例のように、格付けや投資期間
が異なる各種の社債を分析した結果得られたリスク回避
度Kは、個々に異なっている。これは市場では必ずしも
理論的・合理的に投資家が行勤していない・不完全であ
ることからくる「市場の不効率性」によるものである。
また、リスクが大きい格付け社債ほどK値が高くなって
いることが分かる。これはリスクが大きいほどより以上
にリスクを怖がる傾向が市場に見られると判断される。
【0029】〔リスク量の判定〕次に、図3のS3にて
示したリスク量である収益率分布の標準偏差Sの判定に
ついて説明する。本システムでは、分析対象を不動産と
しているが、いかなる類型の収益不動産でも、投資期間
内の地代・家賃などによる配当(インカム部分)と、投
資期間満了後の元本転売価格による償還(キャピタル部
分)とに区分できる。それぞれ別個に注目すると、地代
・家賃は元本に比べてその経時的な変化に遅行性の性格
が認められたり、空室・貸し倒れがあるなど、性格が異
なるため、インカム部分とキャピタル部分とを別々に区
分して標準偏差Sを判定することとしている。判定方法
としては、統計的手法であるシナリオアプローチを採用
する。シナリオアプローチは、予測されるいくつかのケ
ースを描き、その生起確率との関係から標準偏差を判定
する手法である。
【0030】インカム部分の標準偏差S1については、
図5の「標準偏差簡易判定表・インカム」に示すよう
に、投資期間内に得られるインカム(配当)の変動につ
いて中庸ペース、最善ペース、最悪ペースの3パターン
を描き、得られる配当合計の予測ブレ幅を勘案して標準
偏差を判定する。この場合、地代の上昇・下落を中心に
して、最悪ペースにおいては借地人の貸し倒れによる損
失を考慮して標準偏差を求めている。本例の場合、最善
ペースのブレ幅が12.7%、最悪ペースのブレ幅が−
27.3%となっているので、判定される標準偏差S1
は、これらの絶対値の平均をとって20%となってい
る。尚、各ペースは、生起する確率域を念頭において予
測するものとする。また、本例においては、対象不動産
が事業用定期借地権が設定された底地1であるので、イ
ンカムは当該底地1の地代となる。さらに、対象不動産
を事務所ビルなどに設定した場合は、本表により、キー
テナントの撤退や空室増加・低下、立退料コストの発生
なども考慮することも可能である。
【0031】キャピタル部分の標準偏差S2について
は、図6の「標準偏差簡易判定表・転売」に示すよう
に、n年間(本例では10年間)の時間経過による更地
価格の変動を予測する。更地価格については、現在の価
格を推定して代入し、中庸ペースによる収益率(n年
間)を中心として、最善ペース、最悪ペースの収益率と
のブレ幅を勘案して、標準偏差(n年を1期間とするも
の)S2を判定する。この場合、地価の上昇・下落を考
慮している。本例の場合、最善ペースのブレ幅が74.
6%、最悪ペースのブレ幅が−27.3%となっている
ので、判定される標準偏差S2は、これらの絶対値のお
よその平均をとって60%となっている。
【0032】〔期待利回りの判定〕次に、図3のS4に
て示した期待利回りの判定について説明する。本システ
ムにおいては、本例における「事業用定期借地権の付着
した底地1」を含む、各種類型の対象不動産についての
総合的なリスク量及び期待利回り(投資利回り)を判定
することができるが、その判定は、図7に示すフローに
従って行われ、図8における表「投資利回り分析」に表
されている。
【0033】即ち、まず、前述の如く算出した、投資期
間内におけるインカム部分の標準偏差S1及びキャピタ
ル部分の標準偏差S2を、年換算する(S41)。キャ
ピタル部分の標準偏差S2は、n年を1期間とする場合
の標準偏差が判定されているため、「ルートt倍法」に
より、次式(3)に示すように、標準偏差S2をnの平
方根で除すことで年換算の標準偏差σ2を得るようにし
ている。
【0034】
【数3】
【0035】底地1におけるインカムは、投資期間中に
毎年発生するもの、すなわち投資期間中の1年目からn
年目まで、毎年配当されるものであり、そのトータルの
配当額に対するリスク量が前記標準偏差S1である。将
来得られる予測配当に対する初期投資額は、それぞれリ
スク量に見合った期待利回りで毎年(1年目〜n年目)
の予測配当を割り引いた額の合計に一致する。すなわち
この配当の収受のあり方は、全ての予測配当を投資期間
のほぼ中間時点において一度に得られる場合と等価であ
る。従って、前記標準偏差S1は、配当の総合計から判
定したものであるから、期間構造を考慮すると、判定し
たリスク量を年換算するには、はぼ投資期間中間点であ
るm(=n/2)年間のリスクと見るのが妥当である。
よって同じく「ルートt倍法」により、次式(4)に示
すように、標準偏差S 1をmの平方根で除すことで年換
算の標準偏差σ1を得ることが出来る。
【0036】
【数4】
【0037】標準偏差S1・S2を年換算して年換算の標
準偏差σ1・σ2を得た後は、投資比率の判定を行う(S
42)。前記標準偏差S1・S2の判定は、シナリオアプ
ローチの特性・性格により、インカム部分とキャピタル
部分に分解して行っている。ここで対象不動産である底
地1は、インカム部分とキャピタル部分とが不可分一体
のパッケージになった投資商品であるから、両部分のポ
ートフォリオ(組み合わせ)理論により、対象不動産の
総合的なリスク量を求めることができる。この総合的な
リスク量を求めるためには、インカム部分とキャピタル
部分との投資比率を求める必要がある。投資比率は、イ
ンカム部分とキャピタル部分との各部分に対する初期投
資額がそれぞれいくらかを求め、その比率をもって得ら
れるが、現段階ではまだ期待利回りrは不明である。
【0038】従って、まず暫定的に標準偏差σZを与
え、前記式(1)により暫定的な期待利回りrZを得る
ことで投資比率を求めることとしている。これは、イン
カム・キャピタル両部分のリスク量σ1・σ2が既に判定
されているので、対象不動産である底地1の総合的なリ
スク量(即ち標準偏差σZ)はほぼその中庸値と大きく
異ならないことから、総合的な暫定期待利回りrZもだ
いたいのオーダーを把握できるため、最終的に求められ
る投資比率とほぼ同程度の比率を得ることができるもの
による。従って、暫定的な総合標準偏差σZは、本シス
テムではインカム部分の標準偏差σ1とキャピタル部分
の標準偏差σ2の平均値(中間値)を採用する。
【0039】これにより暫定的な期待利回り(割引率)
Zを求める。これは前記式(1)を利用した、次式
(5)により得ることができる。
【0040】
【数5】
【0041】この場合、rZは暫定的な期待利回り(割
引率)であり、σZは暫定的な総合標準偏差(対象不動
産である底地1のリスク量)である。また、暫定的な期
待利回り(割引率)rZは、インカム部に対する期待利
回りrZ1と、キャピタル部に対する期待利回りrZ2とに
分けて求める。尚、リスク回避度Kの値は、前述の如
く、図4に示す表「リスク回避度の分析」では0.29
7と得られているが、内部収益率(IRR)などの多少
のデータが揃っている優良事務所ビル(内部収益率は
5.5%〜7.0程度)の例などについて行った分析結
果をも勘案し、本例ではリスク回避度Kを0.35に設
定している。
【0042】ここで、インカム部分とキャピタル部分で
は投資対象の期間構造が異なるため、投資期間をn年と
した場合、インカム部に対する期待利回り(割引率)r
Z1を求めるには、(n/2)年期間の無リスク金利r0
を採用し、キャピタル部に対する期待利回り(割引率)
Z2を求めるには、n年期間の無リスク金利r0を採用
している。これにより得られた期待利回り(割引率)r
Z1・rZ2で予測インカム(配当)・予測転売価格(償
還)を割引き、現在価値暫定値X・Yを求め、その比率
をもって投資比率とする。即ち、インカム部分の投資比
率w1及びキャピタル(転売)部分の投資比率w2は、次
式(6)・(7)により求められる。
【0043】
【数6】
【0044】
【数7】
【0045】次に、総合リスク量σNを判定する(S4
3)。前述のように、対象不動産である底地1はインカ
ム部分とキャピタル部分が不可分一体のパッケージにな
った投資商品であるから、両部分のポートフォリオ理論
により、前記標準偏差σ1・σ2から底地1の総合的なリ
スク量σNを求めることができる。総合的なリスク量
(標準偏差)は、次式(8)で求めることができる。
【0046】
【数8】
【0047】ここで、ρはインカム部分(配当)とキャ
ピタル部分(償還)との相関係数である。
【0048】相関係数ρは、片方の変数が変動した場合
に、もう片方の変数がどのように変動するのか(同様に
変動するか、逆の方向に変動するか、全く影響なく独立
か)の程度を示す指標であり、本件ではインカムとキャ
ピタル、例えば地代と地価の変動の影響程度を判断して
求める。地代と地価、家賃と貸家物件価格は、片方の価
額が上昇すればもう片方も上昇するであろうから相関は
プラスで且つ程度も相当高いと考えられる。地代と地価
では、相関はプラスであるのは明らかであるが、地価が
上昇してもすぐに地代は上がらない(遅行性の性質を有
する)ことも考慮して、本例では相関係数を0.7に設
定している。
【0049】次に、対象物件である底地1の期待利回り
(投資利回り)の判定を行い(S44)、前述の総合的
な標準偏差σNから、底地1に対して市場で形成される
であろう期待利回り(投資利回り)を求める。ここで、
インカム(配当)については1年目から投資期間のn年
目まで毎年発生するものであり、厳密には毎年につき利
回りが異なる(スポットレート)。しかし、その違い
は、CAPMや前記式(1)から考えると、無リスク金
利r 0の期間による違いにすぎず、微少であることか
ら、算出式・表が煩雑になることを避けるために、本件
ではインカム(配当)部分とキャピタル(転売)部分に
対しての2区分のみのレートを算定することとする。
(なお、無リスク金利r0として採用できる国債のスポ
ットレート・ゼロクーポンレートは公的に発表されてい
るので、細かく求めること自体は困難ではない。)
【0050】よって、式(1)を利用することにより、
インカム(配当)部分の投資利回りr1及びキャピタル
(転売)部分投資利回りr2は、次式(9)・(10)
により、以下の通り求められる。
【0051】
【数9】
【0052】
【数10】
【0053】この場合、r01は期間がn/2年(=m
年)の無リスク金利であり、r02は期間がn年の無リス
ク金利である。
【0054】以上のように、算出部2により判定・算出
された、年換算された標準偏差σ1・σ2、投資比率w1
・w2、総合標準偏差σN、及び投資利回りr1・r2など
は、出力部3により、図8における表「投資利回り分
析」のように出力表示される。
【0055】出力部13にて出力される表「投資利回り
分析」においては、判定した標準偏差S1、S2及び投資
期間nを入力部11に入力することで、年換算の標準偏
差σ 1・σ2が算出部にて自動計算され表示される。本例
では、インカム部分に対する年換算リスク量σ1は8.
9%、キャピタル部分(転売価格)に対する年換算リス
ク量σ2は19.0%と算出されている。このように、
インカム部分に対する年換算リスク量σ1が小さいこと
から、底地1においては、インカムが安定していること
が分かる。国債の利回り、国債のスポットレートなどか
ら与えられる無リスク金利は、インカム部分の無リスク
金利r01が5年期間無リスク金利で0.405%と、キ
ャピタル部分の無リスク金利r02が10年期間無リスク
金利で1.245%と入力されている。これにより、総
合標準偏差σNは標準偏差σ1・σ2の平均とされ、リス
ク回避度Kが0.35と判定されているので、投資比率
1・w2が自動的に算出され、インカム部分とキャピタ
ル部分の投資比率が0.297:0.703と求められ
ている。
【0056】さらに、相関係数ρの値を0.7と入力す
ることで、総合標準偏差σNが15.3%と、及び投資
利回りr1・r2が、インカム部分については5.765
%、キャピタル部分については6.605%と、自動的
に算出され表示されている。
【0057】〔物件価格の査定〕次に、図3のS5にて
示した物件価格の査定について説明する。前述の如く求
められた、対象不動産である底地1のリスク量(総合標
準偏差)σN、及び投資利回りr1・r2に基づき、物件
価格の査定を行う。底地1の現在価格をPZとおくと、
現在価格PZは、次式(11)で表される。
【0058】
【数11】
【0059】ここで、nは投資期間を示し、Ciは投資
期間内のi年目の年間純収益(予測値)を示し、ri
i年目の純収益に対する投資家の期待利回り(スポット
レート)を示し、Pnは投資期間満了時(n年後)の底
地1の転売価格(予測値)を示している。また、式(1
1)における右辺の前段はインカム部の現在価格を表
し、後段はキャピタル部分の現在価格を表している。
【0060】前記式(11)は、n年間内の地代・家賃
収入を式簡素化のために標準化し、且つそれに対する投
資家の利回りもスポットレートを考慮せず1値とする
と、以下の式(12)に変形することができる。
【0061】
【数12】
【0062】ここで、Cは標準化した投資期間内の年間
純収益を示している
【0063】この式(12)によると、前述の投資利回
り(期待利回り)分析で得られた利回りr1・r2の値を
式に代入すると、証券の販売価格の基礎となる物件の現
在価格PZを求めることができる。尚、インカム部分に
ついては、投資期間内の標準化した家賃・地代収入及び
標準化した経費を年間ベースで入力すると、収入から経
費を控除した年間純収益Cが求まる。一方、償還部分に
ついては、投資期間満了後の物件転売予測価格Pnを入
力するが、これは前述の「標準偏差簡易判定表・転売」
の中庸ペース値から転載すればよい。
【0064】〔内部収益率(IRR)の算出〕次に、図
3のS6にて示した内部収益率(IRR)の算出につい
て説明する。前述のように、対象不動産の総合リスク量
(標準偏差)σN、投資利回りr1・r2、及び対象不動
産の現在価格(証券化の基礎となる元本価格)PZが得
られたが、不動産の投資判断においては、内部収益率
(IRR)も指標となっている。この内部収益率とは、
不動産投資額と、毎年の予測純収入及び売却予定時の予
測売却価格の現在価値合計とが等しくなるような割引率
をいう。すなわち、次式(13)が成り立つ割引率であ
る。
【0065】
【数13】
【0066】ここで、rRRは内部収益率を示している。
この式(13)により、内部収益率rRRを算出する。
【0067】〔投資判断分析〕次に、図3のS7にて示
した投資判断分析について説明する。以上の如く判定・
算出した、底地1の物件価格(物件購入妥当価格)PZ
や、内部収益率rRR、総合リスク量(標準偏差)σN
及び投資利回りr1・r2などといった投資判断分析のた
めの指標について、一つの表形式に簡易にまとめた表
「投資判断分析」が出力部13から出力される(図9図
示)。出力された、この表「投資判断分析」の各指標に
より、対象物件(本例では底地1)が、オフィスビルや
賃貸マンション等の他の不動産に比べて安全資産か危険
資産かを、把握することができる。また、他の投資商品
である債券や株式などとの比較をすることも可能であ
る。
【0068】尚、内部収益率は、現在では、都心の需要
旺盛なエリアのオフィスビルの場合、5.5%〜7.0
%程度、郊外の賃貸マンション等の場合で、6.5%〜
8.0%程度となっており、表「投資判断分析」に表示
されている本例の底地1の内部収益率とほぼ同等であ
る。
【0069】また、物件の現在価格PZを算出する前記
式(11)や式(12)は、インカム部分とキャピタル
部分とで構成されているため、最終結論としてのインカ
ム部分とキャピタル部分との投資比率をも求めることが
できる。従って、最終結論として算定した投資比率と、
暫定的に求めた投資比率との誤差を検証することもでき
る。検討の結果、誤差が大きければ、暫定的に与えた標
準偏差σZを、誤差が小さくなるように変動させること
で、最終的に得られる現在価格PZなどの値の正確性を
高めることが可能となる。更に、他の投資商品である社
債・株式などとの比較においては、リスク量σN、投資
利回りr1・r2が参考になるが、リスク回避度Kをいく
らで代入しているかも検証のひとつとなるため、リスク
回避度Kも表「投資判断分析」に表示している。
【0070】前述の例では、地代水準を地価の4%とし
ており、リスク量は15.3%、内部収益率が6.45
8%と算出されている。これに対し、対象不動産を底地
1とし、地代水準を地価の6%と設定した場合は、図1
0に示す「標準偏差簡易判定表・インカム」、図11に
示す「標準偏差簡易判定表・転売」、図12に示す表
「投資利回り分析」、及び図13に示す表「投資判断分
析」に基づいて算出され表示される、リスク量が14.
0%、内部収益率が5.925%と求められる。これに
より、より安定している地代収入の比率が高いほど、
「事業用定期借地権の付着した底地」という投資商品
は、リスクが小さくなり、利回りは小さくなることが分
かる。
【0071】〔対象不動産をビルなどの建物とした場合
の例〕本システムは、対象不動産を事務所ビル・賃貸マ
ンションなどの建物として用いることも可能であり、こ
の場合、収益率分布の標準偏差(リスク量)S1・S2
判定は、図14に示す「標準偏差簡易判定表・インカ
ム」、及び図15に示す「標準偏差簡易判定表・転売」
に基づいて行われ、前述の場合と同様にシナリオアプロ
ーチにより、n年間の時間経過による物件価格の変動を
予測する。「標準偏差簡易判定表・転売」における事務
所ビル等の貸家価格については、「標準偏差簡易判定表
・インカム」における家賃変動の予測をそのまま活用す
る。そして、本例では、今後機能的に老朽化がさほど激
しくない「優良ビル」を対象としており、投資期間は1
0年としている。
【0072】即ち、物件の現在価格は、当初家賃収入を
キャップレート(本例では10%に設定している)で還
元した価格を推定価格として与え、また投資期間満了後
(n年後)の価格は、n年後の家賃収入をターミナルキ
ャップレート(本例では11%)で還元した価格をもっ
て与える。それを前提とした中庸ペースによる収益率
(n年間)を中心として、最善ペース、最悪ペースの収
益率とのブレ幅を勘案して、標準偏差(n年を1期間と
するもの)を判定する。この場合、インカムについて
は、家賃の上昇・下落を中心にし、最悪ペースにおいて
はキーテナントの撤退による損失をも考慮して、標準偏
差を求めている。また、キャピタル(転売)について
は、家賃収入の推移に基づいて10年後の物件の上昇・
下落を考慮している。このとき物件の現在価格はキャッ
プレート10%、10年後の物件価格はターミナルキャ
ップレート11%として設定している。その結果、S1
=35%、S2=55%と判定されている。
【0073】また、対象物件を、機能的に老朽化する可
能性が高いか、物件が差押えにあうなどの可能性が高い
などの危険度の高い「不良ビル」とした場合には、「標
準偏差簡易判定表・インカム」及び「標準偏差簡易判定
表・転売」は、図18及び図19のようになる。この場
合の「標準偏差簡易判定表・インカム」における最悪ペ
ースでは、ビルの差押え、修繕費、立退料等の経費を想
定し、配当がマイナスの年度をも考慮することとなり、
結果的に、S1=45%、S2=90%と判定されてい
る。
【0074】このように、対象不動産を「優良ビル」及
び「不良ビル」とした場合に得られたS1・S2を、前述
の底地1を対象とした場合と比較すると、図22に示す
ように、底地1におけるS1、即ち地代収入が最も安定
しており、最小値となっている。次いで対象不動産をビ
ルとした場合のS1、即ち家賃収入が安定しているが、
「優良ビル」と「不良ビル」では、その値は大きく異な
っている。底地1の更地価格の場合の標準偏差S2と、
ビル価格の場合の標準偏差S2といった元本価格同士の
比較を行うと、「優良ビル」では更地(底地1)に比べ
て元本価格の変動リスクは小さいが、「不良ビル」では
大きなリスクを示す。これは、ビルの物件価格の如何
が、ビルの築年数や機能的要因によって異なり、収受で
きる家賃の安定性に強く影響を受けていることによるも
のである。
【0075】尚、本件システムの「標準偏差簡易判定
表」においては、個別の不動産について、空室や貸し倒
れ、将来の大修繕等の個別的要因や、需要動向といった
地域要因を反映することができ、汎用性が広く、また理
解しやすいものとなっている。ゆえに、更地と貸ビルと
の物件価格変動・リスク量の比較なども比較的容易であ
り、シナリオアプローチを用いた「標準偏差簡易判定表
・インカム」、及び「標準偏差簡易判定表・転売」は有
効な手法であるといえる。
【0076】このように判定された、「優良ビル」及び
「不良ビル」の場合の標準偏差(リスク量)S1・S2
基づいて、総合リスク量σN及び投資利回りr1・r
2が、図16の表「投資利回り分析」(「優良ビル」の
場合)、及び図20の表「投資利回り分析」(「不良ビ
ル」の場合)、にて算出され、最終的に図17の表「投
資判断分析」(「優良ビル」の場合)、及び図21の表
「投資判断分析」(「不良ビル」の場合)に、内部収益
率などとともに掲載される。
【0077】図23に示すように、対象不動産が「優良
ビル」である場合、リスク量は15.2%、内部収益率
6.24%と求められており、対象を地代水準を地価の
4%と設定した底地1の場合と比べると、わずかにリス
ク量も利回りも小さく、やや安全資産ということがいえ
る。しかし、対象を地代水準を地価の6%と設定した底
地1の場合と比べると、リスクも利回りもやや高く、危
険資産ということが分かる。このように「事業用定期借
地権の付着した底地1」は「優良ビル」に比べると、イ
ンカムの比率や将来リスクの違いによって微妙に危険・
安全の優劣が左右されることが分かる。
【0078】なお、本システムにて、対象不動産が「優
良ビル」である場合の内部収益率は6.24と求められ
たが、概ね現在の優良ビルに対する内部収益率データの
数値(5.5%〜7.0程度)の範囲内にあり、本シス
テムの実務対応性、及び判定した予測の妥当性が実証さ
れている。
【0079】ちなみに、他の投資商品との比較として例
をあげると、1年間ベースで株式全体の期待リターンは
10.0%、リスクは21.5%、国内債券全体では期
待リターンは1.5%、リスクは4.2%というデータ
が市場から得られている。対象不動産が「不良ビル」の
場合は、リスク量が21.8%、内部収益率が8.54
%とかなり高い値となっている。これは、株式に匹敵す
るリスク量であり、底地1や「優良ビル」の場合といっ
た他のケースに比べてリスクが高い資産であることが一
目して分かる。
【0080】本システムは、以上の如く構成され、底地
1などの対象不動産が有するリスク量σと期待利回りr
とが、前記式(1)の如く、所定の比例関係に関係付け
られるとともに、該リスク量σがシナリオアプローチを
活用した「標準偏差簡易判定表」用いて算出可能とさ
れ、これらに基づいて対象不動産の期待利回り及び現在
価格の算出を行うようにしているので、従来難解であっ
た、個別不動産のリスク量の定量的な把握が、「事務所
ビル」や「賃貸マンション」などの建物のみならず、
「事業用定期借地権の付着した底地」などを含めた、殆
どの類型の不動産、しかも個別の不動産について、その
リスク量、期待利回り、及び現在価格を把握することが
可能となる。
【0081】また、リスク量、期待利回り、及び現在価
格に加えて、内部収益率をも算出するようにしているの
で、この内部収益率を、前記リスク量σなどと併せて検
討することで、対象不動産を他の不動産と比較し、他の
不動産に対して安全資産か危険資産かを把握することが
できる。また、対象不動産と、他の投資商品である債券
や株式などとを比較することも可能となる。
【0082】前記リスク量と期待利回りとは、式(1)
の如く、リスク量に対して、投資財のリスクに対する投
資家の行動の指標を表す係数を乗じた値に、国債利回り
等に基づいて判定される無リスク金利の値を加えたもの
が期待利回りである、という関係を有しており、この係
数(K)は社債等の債権に関するデータを分析すること
により求めることが可能となっているので、係数Kを比
較的容易に求めることが可能となり、「事業用定期借地
権の付着した底地」の期待利回りなどの評価項目につい
ても、容易に把握することができる。
【0083】また、前記係数K、リスク量S算出用のデ
ータ、無リスク金利r0、投資期間n、及び対象不動産
のインカム部の収益とキャピタル部の収益との相関係数
ρが入力手段11に入力されると、算出手段12によ
り、対象不動産の総合リスク量σN、期待利回りr1・r
2、物件価格PZ、及び内部収益率rRR等の投資判断分
析の判断材料が算出され、出力手段13に出力されるの
で、少ない入力項目で、簡単容易に対象不動産について
の、投資判断分析の判断材料が算出されることとなり、
簡単容易に種々の判断材料を把握することが可能となっ
て、一般の者でも容易に投資判断を行うことが可能とな
る。
【0084】また、本システムは、対象不動産を事業用
定期借地権が設定されている土地とすることができるの
で、従来は困難であった当該土地の価値やリスク等の分
析を容易に行うことができ、当該土地を証券化の対象と
することが容易にできることとなる。
【0085】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次の
ような効果を奏するのである。即ち、請求項1記載の如
く、不動産の所有者が、証券発行機能を有する投資ビー
クルに該不動産を譲渡し、該投資ビークルが該不動産の
キャッシュフローを裏付けとした有価証券の発行を行う
不動産の証券化方法であって、証券化する対象不動産
を、事業用定期借地権が設定されている土地とするの
で、現在有効に活用されていない土地であっても、事業
用定期借地権を設定して証券化することで、当該土地を
有効活用することができるとともに、土地の所有者にと
っても資金調達が容易になる。
【0086】さらに、請求項2記載の如く、不動産の所
有者が、証券発行機能を有する投資ビークルに該不動産
を譲渡し、該投資ビークルが該不動産のキャッシュフロ
ーを裏付けとした有価証券の発行を行うことにより証券
化された不動産の価値を分析するためのシステムであっ
て、該システムは、所定の入力値を入力する入力手段
と、分析内容を算出する算出手段と、分析結果を出力す
る出力手段とを有し、該算出手段内において、対象不動
産が有するリスク量と期待利回りとが所定の比例関係に
関係付けられるとともに、該リスク量がシナリオアプロ
ーチを用いて算出可能であり、リスク量と期待利回りと
の関係、及び算出されたリスク量に基づいて、対象不動
産の期待利回り及び現在価格の算出を行うので、従来難
解であった、個別不動産のリスク量の定量的な把握が、
「事務所ビル」や「賃貸マンション」などの建物のみな
らず、「事業用定期借地権の付着した底地」などを含め
た、殆どの類型の不動産、しかも個別の不動産につい
て、そのリスク量、期待利回り、及び現在価格を把握す
ることが可能となる。
【0087】さらに、請求項3記載の如く、算出された
対象不動産の現在価格に基づいて、対象不動産の内部収
益率を求めるので、この内部収益率を、前記リスク量な
どと併せて検討することで、対象不動産を他の不動産と
比較し、他の不動産に対して安全資産か危険資産かを把
握することができる。また、対象不動産と、他の投資商
品である債券や株式などとを比較することも可能とな
る。
【0088】さらに、請求項4記載の如く、前記リスク
量と期待利回りとは、リスク量に対して、投資財のリス
クに対する投資家の行動の指標を表す係数を乗じた値
に、国債利回り等に基づいて判定される無リスク金利の
値を加えたものが期待利回りである、という関係を有
し、該係数は社債等の債権に関するデータを分析するこ
とにより求めるので、この係数を比較的容易に求めるこ
とが可能となり、「事業用定期借地権の付着した底地」
の期待利回りなどの評価項目についても、容易に把握す
ることができる。
【0089】さらに、請求項5記載の如く、投資財のリ
スクに対する投資家の行動の指標を表す係数、対象不動
産が有するリスク量を算出するためのデータ、国債利回
り等に基づいて判定される無リスク金利、投資期間、及
び対象不動産のインカム部の収益とキャピタル部の収益
との相関係数が入力手段に入力されると、算出手段によ
り、対象不動産のリスク量、期待利回り、物件価格、及
び内部収益率等の投資判断分析の判断材料が算出され、
出力手段に出力されるので、少ない入力項目で、簡単容
易に対象不動産についての、投資判断分析の判断材料が
算出されることとなり、簡単容易に種々の判断材料を把
握することが可能となって、一般の者でも容易に投資判
断を行うことが可能となる。
【0090】さらに、請求項6記載の如く、前記不動産
が、事業用定期借地権が設定されている土地であるの
で、従来は困難であった当該土地の価値やリスク等の分
析を容易に行うことができ、当該土地を証券化の対象と
することが容易にできることとなり、土地の有効利用を
図ることができ、土地の所有者にとっても、資金調達が
容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の不動産の証券化方法の概念を示す図で
ある。
【図2】本発明の証券化された不動産の分析システムを
示すブロック図である。
【図3】分析システムの分析フローを示す図である。
【図4】分析システムにおける、表「リスク回避度の分
析」を示す図である。
【図5】分析システムにおける、「標準偏差簡易判定表
・インカム」を示す図である。
【図6】分析システムにおける、「標準偏差簡易判定表
・転売」を示す図である。
【図7】期待利回り判定のフローを示す図である。
【図8】分析システムにおける、表「投資利回り分析」
を示す図である。
【図9】分析システムにおける表「投資判断分析」を示
す図である。
【図10】「標準偏差簡易判定表・インカム」の第二の
例を示す図である。
【図11】「標準偏差簡易判定表・転売」の第二の例を
示す図である。
【図12】表「投資利回り分析」の第二の例を示す図で
ある。
【図13】表「投資判断分析」の第二の例を示す図であ
る。
【図14】「標準偏差簡易判定表・インカム」の第三の
例を示す図である。
【図15】「標準偏差簡易判定表・転売」の第三の例を
示す図である。
【図16】表「投資利回り分析」の第三の例を示す図で
ある。
【図17】表「投資判断分析」の第三の例を示す図であ
る。
【図18】「標準偏差簡易判定表・インカム」の第四の
例を示す図である。
【図19】「標準偏差簡易判定表・転売」の第四の例を
示す図である。
【図20】表「投資利回り分析」の第四の例を示す図で
ある。
【図21】表「投資判断分析」の第四の例を示す図であ
る。
【図22】分析対象不動産の種類とリスク量との関係を
示す図である。
【図23】分析対象不動産の種類と総合リスク量及び内
部収益率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 (事業用定期借地権が設定された)底地 2 投資ビークル 3 投資家 11 入力部 12 算出部 13 出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 篤 大阪市中央区南本町3丁目5番14号 大阪 有楽ビル シティサイエンス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不動産の所有者が、証券発行機能を有す
    る投資ビークルに該不動産を譲渡し、該投資ビークルが
    該不動産のキャッシュフローを裏付けとした有価証券の
    発行を行う不動産の証券化方法であって、 証券化する対象不動産を、事業用定期借地権が設定され
    ている土地とすることを特徴とする不動産の証券化方
    法。
  2. 【請求項2】 不動産の所有者が、証券発行機能を有す
    る投資ビークルに該不動産を譲渡し、該投資ビークルが
    該不動産のキャッシュフローを裏付けとした有価証券の
    発行を行うことにより証券化された不動産の価値を分析
    するためのシステムであって、 該システムは、所定の入力値を入力する入力手段と、分
    析内容を算出する算出手段と、分析結果を出力する出力
    手段とを有し、 該算出手段内において、対象不動産が有するリスク量と
    期待利回りとが所定の比例関係に関係付けられるととも
    に、該リスク量がシナリオアプローチを用いて算出可能
    であり、 リスク量と期待利回りとの関係、及び算出されたリスク
    量に基づいて、対象不動産の期待利回り及び現在価格の
    算出を行うことを特徴とする証券化された不動産の分析
    システム。
  3. 【請求項3】 算出された対象不動産の現在価格に基づ
    いて、対象不動産の内部収益率を求めることを特徴とす
    る請求項2に記載の証券化された不動産の分析システ
    ム。
  4. 【請求項4】 前記リスク量と期待利回りとは、リスク
    量に対して、投資財のリスクに対する投資家の行動の指
    標を表す係数を乗じた値に、国債利回り等に基づいて判
    定される無リスク金利の値を加えたものが期待利回りで
    ある、という関係を有し、該係数は社債等の債権に関す
    るデータを分析することにより求めることを特徴とする
    請求項2又は請求項3に記載の証券化された不動産の分
    析システム。
  5. 【請求項5】 投資財のリスクに対する投資家の行動の
    指標を表す係数、対象不動産が有するリスク量を算出す
    るためのデータ、国債利回り等に基づいて判定される無
    リスク金利、投資期間、及び対象不動産のインカム部の
    収益とキャピタル部の収益との相関係数が入力手段に入
    力されると、算出手段により、対象不動産のリスク量、
    期待利回り、物件価格、及び内部収益率等の投資判断分
    析の判断材料が算出され、出力手段に出力されることを
    特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の証券化された
    不動産の分析システム。
  6. 【請求項6】 前記不動産が、事業用定期借地権が設定
    されている土地であることを特徴とする請求項2乃至請
    求項5のいずれか一項に記載の証券化された不動産の分
    析システム。
JP2001254385A 2001-08-24 2001-08-24 不動産の証券化方法および証券化された不動産の分析システム Pending JP2003067567A (ja)

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JP2001254385A JP2003067567A (ja) 2001-08-24 2001-08-24 不動産の証券化方法および証券化された不動産の分析システム

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