JP2003063998A - 薬物溶解剤用ポリエチレングリコールおよびその製造方法 - Google Patents

薬物溶解剤用ポリエチレングリコールおよびその製造方法

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JP2003063998A JP2001257178A JP2001257178A JP2003063998A JP 2003063998 A JP2003063998 A JP 2003063998A JP 2001257178 A JP2001257178 A JP 2001257178A JP 2001257178 A JP2001257178 A JP 2001257178A JP 2003063998 A JP2003063998 A JP 2003063998A
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benzyl alcohol
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Kouzou Mitsuchika
幸三 三近
Kenji Sakagami
研二 坂上
Ron Hashizume
論 橋爪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬物を溶解させた際、薬物の安定性に優れた
薬物溶解剤用ポリエチレングリコールおよびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 ポリエチレングリコールを水と混合して
50重量%水溶液に調製し、その水溶液に1/100容
量のベンジルアルコールを加えて20日後、液体クロマ
トグラフィーで測定したベンジルアルコールの酸化生成
体の含有量が2重量%以下であり、分子量が200〜6
00である薬物溶解剤用ポリエチレングリコール、およ
び粗製ポリエチレングリコールを酸素濃度0.1%以下
の条件下で精製することを特徴とする薬物溶解剤用ポリ
エチレングリコールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、薬物を溶解させた際、
その薬物の安定化に優れた薬物溶解剤用ポリエチレング
リコールおよびその製造方法に関する。また、測定困難
であったポリエチレングリコールの薬物に対する安定性
を効率よく測定する安定性評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレングリコールは薬物に対する
溶解性が優れていることから、日本薬局方医薬品「マク
ロゴール」として種々の薬物の溶解剤として利用されて
いる。しかしながら、近年、医薬品の剤形の多様化に伴
い、ポリエチレングリコール中の不純物の影響により薬
物の一部が劣化し、医薬品として使用が困難になり、ポ
リエチレングリコールが溶解剤として使用できないケー
スがある。通常、高品質ポリアルキレングリコールの指
標として過酸化物価、アルデヒド含有量がよく利用され
ている(特開平11−60722号公報、Analys
is vol.103 400−402,1978)
が、過酸化物やアルデヒドが軟質ポリウレタンフォーム
製造時のスコーチの発生の原因になったり、イソシアネ
ートとの反応性が悪くなる(特開昭62−267326
号公報)ことも知られている。これまで溶解剤としてポ
リエチレングリコールを用いたとき、薬物を安定化させ
るための手段としては、嫌気性条件下で保存すること、
抗酸化剤であるトコフェロールを添加することが知られ
ている(特開2000−247883号公報)。しかし
ながら、製造直後のポリエチレングリコールの品質が悪
いと、これらの方法を用いても薬物の劣化を防ぐことは
できない。また、ポリエチレングリコール自体に抗酸化
剤を加えることは医薬品添加剤として認められていな
い。
【0003】ポリエチレングリコールはアルカリ金属化
合物である水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを触
媒として使用し、エチレングリコールやジエチレングリ
コールにエチレンオキシドを付加重合して工業的に製造
されている。一般的には水酸化ナトリウムまたは水酸化
カリウムを触媒として重合開始剤であるエチレングリコ
ールあるいはジエチレングリコールを仕込んだ反応容器
中にエチレンオキシドを連続的に圧入しながら、反応温
度105〜150℃、最大圧力0.490〜0.588
MPa)の条件で、所定の分子量が得られるまで反応さ
せ、粗製ポリエチレングリコールを生成する。次いで粗
製ポリエチレングリコール中のカリウムアルコラートあ
るいはナトリウムアルコラートを無機酸等の酸で中和
後、脱水、乾燥し、析出したカリウム塩を濾過により除
去して製造されている。しかしながら、このようにして
製造されたポリエチレングリコールは過酸化物(ペルオ
キシド化合物)、アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒドなど)などに代表される不純物が多く含ま
れ、薬物と混合した際に経時的に薬物の変性を招くこと
がある。ポリアルキレングリコールの高品質化への試み
はポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストラマー
のような分野で行われており、特開平11−60722
号公報ではホスファゼン化合物のような触媒を用い、中
和後に抗酸化剤を添加している。しかしながら、医薬品
としての使用を考えるとホスファゼン化合物のような触
媒は触媒由来の塩の残存を考えると好ましくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薬物
を溶解させた際、薬物の安定性に優れた薬物溶解剤用ポ
リエチレングリコールおよびその製造方法を提供するこ
とにある。また過酸化物価、アルデヒド含有量では示さ
れない薬物の変性を引き起こすポリエチレングリコール
中の不純物含有量を測定することができる安定性評価方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1) ポリエチレングリコールを水と混合して50重
量%水溶液に調製し、その水溶液に1/100容量のベ
ンジルアルコールを加えて20日後、液体クロマトグラ
フィーで測定したベンジルアルコールの酸化生成体の含
有量が2重量%以下であり、分子量が200〜600で
ある薬物溶解剤用ポリエチレングリコール、(2) 粗
製ポリエチレングリコールを酸素濃度0.1%以下の条
件下で精製を行う前記の薬物溶解剤用ポリエチレングリ
コールの製造方法。(3) 精製が下記の工程からなる
前記の薬物溶解剤用ポリエチレングリコールの製造方法 (A)70〜140℃、6666Pa以下でエチレンオ
キシドを除去する工程、(B)不活性ガス雰囲気下、2
0〜50℃で中和する工程、および(C)不活性ガス雰
囲気下、20〜50℃で吸着剤処理を行い、ろ過を行う
工程(4) ポリエチレングリコールを水と混合して5
0重量%水溶液に調製し、その水溶液に1/100容量
のベンジルアルコールを加えて20日後、液体クロマト
グラフィーで測定したベンジルアルコールの酸化生成体
の含有量を定量することからなるポリエチレングリコー
ルの安定性評価方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の薬物溶解剤用ポリエチレ
ングリコールは分子量200〜600の任意なものでよ
いが、医薬品添加剤として認められているポリエチレン
グリコール(マクロゴール)200、300、400、
600など日本薬局方医薬品あるいは医薬品添加物規格
収載品が好ましい。
【0007】本発明の薬物溶解剤用ポリエチレングリコ
ールはポリエチレングリコールを水と混合してポリエチ
レングリコール50重量%水溶液を作製し、その水溶液
に1/100容量のベンジルアルコールを加えて20〜
60℃で20日間静置後、液体クロマトグラフィーで測
定したベンジルアルコールの酸化生成体の含有量が2重
量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは
0.5重量%以下である。ベンジルアルコールの酸化生
成体の割合が2重量%をこえると、医薬品に使用される
種々の薬物の一部を劣化させるため、薬物溶解剤として
の使用が困難になる。
【0008】ポリエチレングリコールは様々な薬物の溶
解剤として使用されており、その投与経路は経口投与、
一般外用剤、直腸膣尿道適用、歯科外用及び口中用、静
脈内注射、局所麻酔注射、筋肉内注射、皮下注射、耳鼻
科用剤など多岐にわたっている。通常薬物溶解剤とし
て、使用量は薬物に対して任意の量のポリエチレングリ
コールを用いることができる。また、その他エタノー
ル、プロパノールのようなアルコールやグリセリンのよ
うな多価アルコールなどの溶解剤と併用してもよい。ま
た、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート
80などの界面活性剤、ショ糖、果糖などの甘味剤、ク
エン酸、酒石酸などの酸味剤、ストロベリーフレーバ
ー、オレンジフレーバーなどの香料、安息香酸、パラベ
ン類などの防腐剤、その他可溶化剤、安定化剤など添加
剤を適宜加えてもよい。これら薬物溶解剤は、製剤に使
用する薬物の溶解性が優れたものでなければならない。
また、その溶解剤を使用したときの薬物の安定性が良く
なければならない。更にその溶解剤は毒性が低いもので
なければならない。
【0009】ベンジルアルコールの酸化生成体の測定は
以下のように行う。被検物質であるポリエチレングリコ
ールを水と混合して、ポリエチレングリコール50重量
%水溶液を蓋付きのガラス容器にいれ、次いで、その1
/100容量のベンジルアルコールを加える。密栓後、
1〜2分間攪拌し20〜60℃で20日間静置する。こ
の時、20℃未満だと反応が進まず、60℃を越えると
温度の影響でベンジルアルコールの酸化体生成体が生成
するので好ましくない。20日経過後、70%1/15
モル/Lリン酸緩衝液(pH7.4)、30%メタノー
ル混合溶液で20倍希釈し、液体クロマトグラフに10
μL注入する。液体クロマトグラフィーの条件はカラム
としてCAPCELPAC C18(SG120)を用
い、移動相として70%1/15モル/Lリン酸緩衝液
(pH7.4)、30%メタノール混合溶液を1mL/
分の流速で流す。カラムオーブンの温度は40℃、検出
は紫外線(UV、nm)で行う。ベンジルアルコールの
ピークは6.4分付近に検出され、その酸化体は10.
2分付近に検出される。それぞれのピーク面積より酸化
体生成体の割合を計算する。
【0010】本発明の製造方法に用いる粗製ポリエチレ
ングリコールは例えば、下記の方法で製造することがで
きる。エチレングリコールまたはジエチレングリコール
のような活性水素化合物に水酸化カリウム、水酸化ナト
リウムなどのようなアルカリ金属化合物を触媒として、
反応温度105〜150℃、最大圧力0.490〜0.
588MPaの条件で、所定の分子量が得られるまでエ
チレンオキシドの付加重合を行い粗製ポリエチレングリ
コールを得る。この粗製ポリエチレングリコールを用い
て薬物溶解剤として使用するためには、酸素濃度を0.
1%以下の条件下で精製を行う必要がある。粗製ポリエ
チレングリコールの精製は、上記の条件を満たせば公知
の精製方法を用いてもよい。例えば、まずエチレンオキ
シドの除去を行い、次に反応がアルカリ条件下で行われ
ているため、酸により中和を行う。その後、最後に酸を
加えて生成した塩を濾過により取り除くことにより行わ
れる。具体的には、精製として(A)残存エチレンオキ
シド除去工程、(B)中和工程および(C)吸着剤処理
工程を行うことが好ましい。
【0011】(A)工程としては、温度条件が70〜1
40℃、好ましくは85〜120℃で6666Pa以下
の真空下で未反応のエチレンオキシドの除去を行う。7
0℃未満だと十分にエチレンオキシドの除去が行えず、
140℃を越えるとポリエチレングリコールの分解がお
こる。また、製造する量にもよるが、エチレンオキシド
の除去工程に要する時間は好ましくは120〜240
分、より好ましくは180〜240分行う。120分未
満であると十分にエチレンオキシドの除去が行えない場
合もあり、240分を超えるとポリエチレングリコール
の分解がおこる場合もある。エチレンオキシドの除去が
不充分な場合は、医薬品添加剤としての毒性の観点から
も好ましくなく、薬物の安定化にも影響を及ぼす可能性
がある。
【0012】(B)工程としては、窒素、ヘリウム、ア
ルゴンなどの不活性ガスを系中の酸素濃度が0.1%以
下となるように導入し、20〜50℃、好ましくは30
〜40℃の温度条件下で酸を添加し攪拌することによる
中和工程である。酸素濃度が0.1%を超えると過酸化
物、アルデヒドなどの不純物が発生するため好ましくな
い。また、温度が50℃を超えると過酸化物、アルデヒ
ドなどの不純物が発生するため好ましくなく、20℃未
満だと分子量の大きなものでは、粘度が高いため攪拌効
率が悪くなり、均一に混和できない。また、製造する量
にもよるが、処理時間は好ましくは30〜120分、よ
り好ましくは30〜60分行う。処理時間、すなわち攪
拌時間が30分未満だと均一に混和しない場合もあり、
120分を超えると過酸化物、アルデヒドなどの不純物
が発生する場合もある。不活性ガスの導入は、化学工業
分野で用いられる常用の方法、例えば、導管を用いて液
相中に導入する方法(ガスバブリング法)が適用でき、
反応容器中の酸素量を下げるためには、不活性ガスを加
圧充填した後、容器内の圧力を下げる操作を繰り返して
もよいし、真空下の容器に不活性ガスを充填してもよ
い。中和に使用する酸は無機酸、無機酸酸性塩および有
機酸から選ばれる少なくとも一種の中和剤である。無機
酸としては例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピ
ロリン酸、塩酸、硫酸、亜硫酸およびそれらの水溶液が
挙げられる。無機酸酸性塩としては、例えばリン酸二リ
チウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウ
ム、リン酸一水素リチウム、リン酸一水素カリウム、リ
ン酸一水素ナトリウムなどが挙げられる。有機酸として
は、例えば、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、酢酸、マレイ
ン酸などが挙げられる。特に好ましくは医薬品添加剤と
しての使用実績があり、製品の安定性にも優れているリ
ン酸であり、水溶液の形態で用いることがよい。これら
の酸は粗製ポリエチレングリコール中に含まれるアルカ
リ触媒1モルに対して0.2〜2モル使用する。好まし
くは0.2〜1.5モルである。酸の量が0.2モルよ
り少なくても2モルより多くても、(C)工程において
吸着剤で十分に処理を行なうことができないため好まし
くない。酸の量が少ないときは(C)工程でアルカリ吸
着剤を使用するのが好ましく、多いときは酸吸着剤を使
用するのが好ましい。
【0013】(C)工程としては、(B)工程と同様に
窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを系中の酸
素濃度が0.1%以下になるまで導入し、20〜50
℃、好ましくは30〜40℃の温度条件下で吸着剤を添
加し攪拌する。酸素濃度が0.1%を超えると過酸化
物、アルデヒドなどの不純物が発生するため好ましくな
い。また、50℃より高いと過酸化物、アルデヒドなど
の不純物が発生するため好ましくなく、20℃未満だと
吸着剤の効果が不十分になり好ましくない。また、処理
時間は、処理を行うポリエチレングリコールの量にもよ
るが、好ましくは30〜120分、より好ましくは30
〜60分である。処理時間、すなわち攪拌時間が30分
未満だと不純物が吸着されない場合もあり、120分を
超えると過酸化物、アルデヒドなどの不純物が発生する
場合もある。また、吸着剤の処理を行わないと次のろ過
での中和塩の除去に時間がかかり、化合物の劣化を促進
する。吸着剤としては例えば合成ケイ酸マグネシウム、
合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マ
グネシウム、活性白土、ゼオライト、酸性白土等が用い
られる。具体的な吸着剤としては、例えば、トミックス
AD−100、トミックスAD−200、トミックスA
D−700、トミックスAD−900(富田製薬(株)
製)、キョーワード300、キョーワード600、キョ
ーワード700、キョーワード1000(協和化学工業
(株)製)等各種の商品名で市販されている。これらの
吸着剤は単独もしくは2種以上併用してもかまわない。
【0014】これら吸着剤の処理量は中和後のpHによ
るが、ポリエチレングリコールに対して0.05〜5重
量%使用する。好ましくは0.1〜2重量%である。
0.05重量%未満だと吸着処理が十分に行なえず、製
品がアルカリ性あるいは酸性になり好ましくない。5重
量%をこえると吸着剤の量が多すぎ、次の濾過に時間が
かかり、化合物の劣化を促進するため好ましくない。吸
着剤処理後、濾過操作によりポリエチレングリコールの
回収を行なう。その際に、けいそう土、セライトなどの
濾過助剤を用いてもよい。濾過操作は系中の酸素濃度が
0.1%未満になるように密閉系で不活性ガスにより加
圧濾過を行う。
【0015】これら(A)、(B)および(C)工程は
連続して行うことが好ましいが、これらの工程の間に、
例えば脱水工程などを行ってもよい。ただし、その際、
系中の酸素濃度は0.1%以下でなければならない。
【0016】
【発明の効果】本発明の薬物溶解剤用ポリエチレングリ
コールは、薬物の安定性に優れているため薬物溶解剤と
して最適である。また、本発明安定性評価方法は、従来
測定困難であったポリエチレングリコール中の不純物含
有量の測定を効率よく行うことができ有用である。
【0017】
【実施例】実施例1 5Lのオートクレーブに530g(5モル)のジエチレ
ングリコールを仕込み、水酸化カリウム2g(35ミリ
モル)を加えて溶解させた。窒素置換を行った後、13
5±5℃でエチレンオキシド、1470gを圧入し、付
加反応を行った。反応終了後、更に1時間熟成を行い、
粗製ポリエチレングリコールを得た。その後、110℃
まで冷却し、6666Paに真空度が達した後180分
間、エチレンオキシド除去工程を行った。次いで、窒素
バブリングを行ないながら(系中の酸素濃度:0.07
%)、85%リン酸を1.2g加え、40±5℃で1時
間攪拌して中和を行った。更に40±5℃で窒素バブリ
ングを行ないながら(系中の酸素濃度:0.07%)、
キョーワード700(協和化学工業(株)製)、12g
を加え1時間攪拌した後、加圧濾過を行い、分子量40
0のポリエチレングリコールを得た(収量:1930
g)。得られたポリエチレングリコール25gを蓋付き
のガラス容器にいれ、水を加え50mLにして溶解させ
た。次いで、0.5mlのベンジルアルコールを加え密
栓し、2分間攪拌し40℃で20日間静置した。20日
経過後、70%1/15モル/Lリン酸緩衝液(pH
7.4)、30%メタノール混合溶液で20倍希釈し、
液体クロマトグラフに10μL注入した。液体クロマト
グラフィーの条件はカラムとしてCAPCELPAC
C18(SG120)を用い、移動相として70% 1
/15モル/Lリン酸緩衝液(pH7.4)、30%メ
タノール混合溶液を1ml/分の流速で行なった。カラ
ムオーブンの温度は40℃で検出はUVで行った。ベン
ジルアルコールのピークは6.4分付近に検出され、そ
の酸化生成体は10.2分付近に検出される。それぞれ
のピーク面積より得られた酸化生成体の割合は0.2%
だった。また、得られたポリエチレングリコールの過酸
化物価は0.3meq/kg、ホルムアルデヒドの量は
0.4ppmだった。過酸化物価の測定は、試料をクロ
ロホルムに溶解させた後、酢酸、ヨウ化カリウムのメタ
ノール飽和溶液を加え暗所で30分放置した後、イオン
交換水を加え、クロロホルム層に遊離ヨウ素を移行さ
せ、チオ硫酸ナトリウム標準液で滴定を行い算出した。
ホルムアルデヒド含量の測定は、試料を精製水、アセチ
ルアセトン試液、イソプロピルアルコールに溶解させ、
60℃で、1時間放置後、吸光度測定を行なった(41
0〜415nmにおける吸収最大波長)。別にホルムア
ルデヒド標準液の測定結果から得られた検量線を用いて
試料中のホルムアルデヒド量を算出した。
【0018】実施例2 実施例1と同様の方法で、粗製ポリエチレングリコール
を製造し、エチレンオキシド除去工程を行った。85%
リン酸を2.8g加え、窒素ガスを導入し、0.490
MPaまで加圧した後、0.049MPaまで窒素ブロ
ーする操作を3回繰り返した後(系中の酸素濃度:0.
08%)、40±5℃で1時間攪拌して中和した。更に
キョーワード700、6gおよびキョーワード300
(協和化学工業(株)製)、6gを加え、窒素ガスを導
入し、0.49MPaまで加圧した後、0.049MP
aまで窒素ブローする操作を3回繰り返した後(系中の
酸素濃度:0.08%)、40±5℃、1時間攪拌した
後、加圧濾過を行い、分子量400のポリエチレングリ
コールを得た(収量:1921g)。液体クロマトグラ
フィーによるベンジルアルコールの酸化生成体検出方法
は実施例1と同様に行なった。その結果、得られた酸化
生成体の割合は0.3%だった。また、得られたポリエ
チレングリコールの過酸化物価は0.2meq/kg、
ホルムアルデヒドの量は0.5ppmだった。過酸化物
価およびホルムアルデヒドの測定方法は実施例1と同様
に行なった。
【0019】実施例3 5Lのオートクレーブに530g(5モル)のジエチレ
ングリコールを仕込み、水酸化カリウム1g(18ミリ
モル)を加えて溶解させた。窒素置換を行った後、13
5±5℃でエチレンオキシド、470gを圧入し、付加
反応を行った。反応終了後、更に1時間熟成を行い粗製
ポリエチレングリコールを得た。その後、110℃まで
冷却し、6666Paに真空度が達した後180分間、
エチレンオキシド除去工程を行った。次いで、窒素バブ
リングを行ないながら(系中の酸素濃度:0.07
%)、85%リン酸を0.6g加え、40±5℃で0.
5時間攪拌して中和を行った。更に40±5℃で窒素バ
ブリングを行ないながら(系中の酸素濃度:0.07
%)、キョーワード700(協和化学工業(株)製)、
6gを加え0.5時間攪拌した後、加圧濾過を行い、分
子量200のポリエチレングリコールを得た(収量:9
31g)。液体クロマトグラフィーによるベンジルアル
コールの酸化生成体検出方法は実施例1と同様に行なっ
た。その結果、得られた酸化生成体の割合は0.3%だ
った。また、得られたポリエチレングリコールの過酸化
物価は0.2meq/kg、ホルムアルデヒドの量は
0.1ppmだった。過酸化物価およびホルムアルデヒ
ドの測定方法は実施例1と同様に行なった。
【0020】比較例1 実施例1と同様の方法で、粗製ポリエチレングリコール
を製造し、エチレンオキシド除去工程を行った。85%
リン酸を1.2g加え、窒素ガスを加え0.49MPa
まで加圧した後、0.049MPaまで窒素ブローし
(系中の酸素濃度:0.2%)、40±5℃で1時間攪
拌して中和を行った。次いでキョーワード700(協和
化学工業(株)製)、12gを加え、窒素ガスを加え
0.49MPaまで加圧した後、0.049MPaまで
窒素ブローし(系中の酸素濃度:0.2%)、40±5
℃で1時間攪拌した後、加圧濾過を行い、分子量400
のポリエチレングリコールを得た(収量:1914
g)。液体クロマトグラフィーによるベンジルアルコー
ルの酸化体検出方法は実施例1と同様に行なった。その
結果、得られた酸化生成体の割合は5%だった。また、
得られたポリエチレングリコールの過酸化物価は0.3
meq/kg、ホルムアルデヒドの量は0.3ppmだ
った。過酸化物価およびホルムアルデヒドの測定方法は
実施例1と同様に行なった。
【0021】比較例2 実施例1と同様の方法で、粗製ポリエチレングリコール
を製造し、エチレンオキシド除去工程を行った。85%
リン酸を1.2g加え、窒素ガスを加え0.49MPa
まで加圧した後、0.049MPaまで窒素ブローし
(系中の酸素濃度:0.2%)、80±5℃で1時間攪
拌して中和を行った。次いで窒素バブリングを行ないな
がら(系中の酸素濃度:0.07%)、キョーワード7
00(協和化学工業(株)製)、12gを加え、80±
5℃、1時間攪拌した後、加圧濾過を行い、分子量40
0のポリエチレングリコールを得た(収量:1939
g)。液体クロマトグラフィーによるベンジルアルコー
ルの酸化生成体検出方法は実施例1と同様に行なった。
その結果、得られた酸化生成体の割合は12%だった。
また、得られたポリエチレングリコールの過酸化物価は
0.4meq/kg、ホルムアルデヒドの量は0.5p
pmだった。過酸化物価およびホルムアルデヒドの測定
方法は実施例1と同様に行なった。
【0022】比較例3 5Lのオートクレーブに530g(5モル)のジエチレ
ングリコールを仕込み、水酸化カリウム3g(54ミリ
モル)を加えて溶解させた。窒素置換を行った後、13
5±5℃でエチレンオキシド、2470gを圧入し、付
加反応を行った。反応終了後、更に1時間熟成を行い粗
製ポリエチレングリコールを得た。その後、110℃ま
で冷却し、6666Paに真空度が達した後180分
間、エチレンオキシド除去工程を行った。次いで、窒素
バブリングを行ないながら(系中の酸素濃度:0.07
%)、85%リン酸を1.9g加え、80±5℃、1時
間、攪拌して中和を行った。次いでキョーワード700
(協和化学工業(株)製)、18gを加え、窒素ガスを
加え0.49MPaまで加圧した後、0.049MPa
まで窒素ブローし(系中の酸素濃度:0.2%)、40
±5℃、で1時間攪拌した後、加圧濾過を行い、分子量
600のポリエチレングリコールを得た(収量:290
4g)。液体クロマトグラフィーによるベンジルアルコ
ールの酸化生成体検出方法は実施例1と同様に行なっ
た。その結果、得られた酸化生成体の割合は9%だっ
た。また、得られたポリエチレングリコールの過酸化物
価は0.2meq/kg、ホルムアルデヒドの量は0.
2ppmだった。過酸化物価およびホルムアルデヒドの
測定方法は実施例1と同様に行なった。
【0023】
【表1】
【0024】(B)中和工程および(C)吸着剤処理工
程において系中の酸素濃度を0.1%以下で行った実施
例の結果は何れもベンジルアルコールを用いたテストで
酸化生成体の割合が2重量%以下であった。一方、比較
例においては、(B)中和工程および(C)吸着剤処理
工程のいずれかまたは両方の工程において系中の酸素濃
度が0.1%を越えていたため、ベンジルアルコールの
酸化生成体が2重量%を超えていた。また、この時のP
OV、ホルムアルデヒドの発生量は実施例とあまり変化
がなかったことから、ベンジルアルコールを用いた安定
性評価方法が有効であることが分かる。
【0025】試験例1 実施例1および比較例1で得られたポリエチレングリコ
ール2.5gをそれぞれバイアルに入れた後、鎮痛剤で
あるインドメタシンを10mg加え、攪拌後室温に放置
した。5日後に溶液50μLをサンプリングし、70%
1/15モル/Lリン酸緩衝液(pH7.4)、30
%メタノール混合溶液で20倍希釈し、液体クロマトグ
ラフに10μL注入した。液体クロマトグラフィーの条
件はカラムとしてCAPCELPAC C18(SG1
20)を用い、移動相として70% 1/15モル/L
リン酸緩衝液(pH7.4)、30%メタノール混合溶
液を1mL/分の流速で行なった。カラムオーブンの温
度は40℃で検出はUVで行った。インドメタシンのピ
ークは7.2分付近に検出され、新たに生じた不純物は
4.6分付近に検出された。実施例1のポリエチレング
リコールを使用したときの不純物の割合は0.02%、
比較例1のポリエチレングリコールを使用したときの不
純物の割合は0.13%だった。比較例1のポリエチレ
ングリコールは実施例1のポリエチレングリコールを使
用してよりも6.5倍の不純物が生成していた。
【0026】試験例2 実施例1および比較例1で得られたポリエチレングリコ
ール2.5gをそれぞれバイアルに入れた後、抗生物質
クロラムフェニコールを15mg加え、攪拌後室温に放
置した。5日後に溶液50μLをサンプリングし、70
% 1/15モル/Lリン酸緩衝液(pH7.4)、3
0%メタノール混合溶液で20倍希釈し、液体クロマト
グラフに10μL注入した。液体クロマトグラフィーの
条件はカラムとしてCAPCELPAC C18(SG
120)を用い、移動相として70% 1/15モル/
Lリン酸緩衝液(pH7.4)、30%メタノール混合
溶液を1mL/分の流速で行なった。カラムオーブンの
温度は40℃で検出はUVで行った。クロラムフェニコ
ールのピークは2.3分付近に検出され、新たに生じた
不純物は6.9分付近に検出された。実施例1のポリエ
チレングリコールを使用したときの不純物の割合は0.
45%、比較例1のポリエチレングリコールを使用した
ときの不純物の割合は4.75%だった。比較例1のポ
リエチレングリコールは実施例1のポリエチレングリコ
ールを使用してよりも10.6倍の不純物が生成してい
た。
【0027】
【表2】
【0028】以上の結果から、インドメタシンの場合、
実施例1で得られた薬物溶解剤用ポリエチレングリコー
ルを用いたほうが、比較例1で得られた薬物溶解剤用ポ
リエチレングリコールを用いたときより6.5倍安定性
に優れていた。クロラムフェニコールの場合、実施例1
で得られた薬物溶解剤用ポリエチレングリコールの方
が、比較例1で得られた薬物溶解剤用ポリエチレングリ
コールを用いたときより10.6倍安定性に優れてい
た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレングリコールを水と混合して5
    0重量%水溶液に調製し、その水溶液に1/100容量
    のベンジルアルコールを加えて20日後、液体クロマト
    グラフィーで測定したベンジルアルコールの酸化生成体
    の含有量が2重量%以下であり、分子量が200〜60
    0である薬物溶解剤用ポリエチレングリコール。
  2. 【請求項2】粗製ポリエチレングリコールを酸素濃度
    0.1%以下の条件下で精製することを特徴とする請求
    項1記載の薬物溶解剤用ポリエチレングリコールの製造
    方法。
  3. 【請求項3】精製が下記の工程からなる請求項2記載の
    薬物溶解剤用ポリエチレングリコールの製造方法 (A)70〜140℃、6666Pa以下でエチレンオ
    キシドの除去を行う工程、(B)不活性ガス雰囲気下、
    20〜50℃で中和する工程、および(C)不活性ガス
    雰囲気下、20〜50℃で吸着剤処理を行い、ろ過を行
    う工程
  4. 【請求項4】ポリエチレングリコールを水と混合して5
    0重量%水溶液に調製し、その水溶液に1/100容量
    のベンジルアルコールを加えて20日後、液体クロマト
    グラフィーで測定したベンジルアルコールの酸化生成体
    の含有量を定量することからなるポリエチレングリコー
    ルの安定性評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018507410A (ja) * 2015-03-02 2018-03-15 コロナリーコンセプツ エルエルシー Peg代謝物及びpeg分解生成物のアッセイのための化合物並びに方法

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