JP2003062863A - 成形製品の破断分離方法及び成形製品を有する成形終了品 - Google Patents

成形製品の破断分離方法及び成形製品を有する成形終了品

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JP2003062863A
JP2003062863A JP2001254834A JP2001254834A JP2003062863A JP 2003062863 A JP2003062863 A JP 2003062863A JP 2001254834 A JP2001254834 A JP 2001254834A JP 2001254834 A JP2001254834 A JP 2001254834A JP 2003062863 A JP2003062863 A JP 2003062863A
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molded product
vibration
ultrasonic
breaking
separating
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Susumu Takatsuka
進 高塚
Toru Chiba
亨 千葉
Masami Shirai
雅実 白井
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Pentax Corp
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Pentax Corp
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃物やレーザ光を用いることなく、成形製品
を成形終了品から迅速に破断分離することができる破断
分離方法を得る。 【構成】 成形終了品に超音波振動を与えて成形製品を
分離(破断)するに当たり、成形終了品自体が持ってい
る固有振動数と超音波加振機の振動数とを近づける(最
も好ましくは一致させる)ため、成形終了品のゲート部
に、複数の成形製品からの略等距離位置に位置させて凹
部が形成されるように成形型形状を定め、この凹部によ
り成形終了品の固有振動数を調節する成形製品の破断分
離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、合成樹脂材料や金属材料の成形
製品をランナから分離する方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】成形製品、例えばプラスチ
ックレンズの成形方法として、中央のスプルー部から放
射方向に複数のランナを突出させ、このランナの先端部
にゲート部を介してそれぞれプラスチックレンズを成形
する方法が知られている。この成形方法では、成形終了
後、成形型から取り出した成形終了品は、スプルー、ラ
ンナ、ゲート部及びプラスチックレンズが繋がっている
状態にある。
【0003】従来、この成形終了品からプラスチックレ
ンズを分離するには、刃物(ニッパー、回転刃等)を用
いて、各プラスチックレンズのゲート部分を切断してい
た。また最近は特開平10‐123306号公報にある
ように、レーザ光でゲートカットする方法も提案されて
いる。しかし、これらの切断作業は、ゲート部に繋がっ
ている小さいプラスチックレンズ毎に行わなければなら
ず、極めて作業能率が悪かった。さらに、刃物での切断
作業は、レンズ形状や切断刃形状によっては、切断後に
別途バリ取り作業を要する場合もある。
【0004】
【発明の目的】本発明は、刃物やレーザ光を用いること
なく、成形製品を成形終了品から迅速に破断分離するこ
とができる破断分離方法を得ることを目的とする。
【0005】
【発明の概要】本発明は、成形終了品に超音波振動を与
えて成形製品を分離(破断)するに当たり、成形終了品
自体が持っている固有振動数と超音波加振機の振動数と
を近づける(最も好ましくは一致させる)ことにより共
振を意図的に発生させ、振幅を増大させることにより、
曲げ応力を増大させ、容易に破断を生じさせるという着
眼に基づいてなされたものである。さらに本発明は、成
形終了品が、ランナの先端部に複数のゲート部を介して
それぞれ接続された成形製品を備えているという条件下
で、より簡単に成形終了品の固有振動数を設定できる方
法及び該成形終了品を得ることを目的としている。
【0006】本発明は、ランナの先端部に複数のゲート
部を介してそれぞれ接続された成形製品を備えている成
形終了品に、超音波加振機により超音波振動を与えて各
成形製品を各ゲート部から破断分離する方法において、
成形終了品の固有振動数の設定(調整)は、成形終了品
のゲート部に、複数の成形製品からの略等距離位置に位
置させて凹部を形成すると容易にできる事実に着目して
なされたものである。すなわち、本発明は、成形終了品
のゲート部に、複数の成形製品からの略等距離位置に位
置させて凹部が形成されるように成形型形状を定め、か
つこの凹部の位置と大きさによって、該成形終了品の固
有振動数を超音波加振機の加振振動数にほぼ一致させる
振動数設定ステップ;及びこの振動数設定ステップで固
有振動数を設定した成形終了品に、超音波加振機によっ
て超音波振動を与える振動付与ステップ;を有すること
を特徴としている。
【0007】超音波加振機の加振振動数と成形終了品の
固有振動数(両振動数)とをほぼ一致させるとは、加振
振動値(振幅、速度、加速度等)を入力とし、実際に成
形終了品に生じる振動を出力振動値としたとき、(出力
値/入力値)の値がピークを示す振動数またはその近傍
の振動数に両振動数を設定することを意味する。このよ
うに振動数設定ステップで両振動数を設定し、振動付与
ステップで加振振動数で成形終了品を振動させると、極
めて効率的に短時間で、成形製品をゲート部から破断分
離することができる。
【0008】振動数設定ステップでは、成形終了品の固
有振動数を、該成形終了品が持つ複数の固有振動数のう
ちから、成形製品をゲート部から破断分離するのに適し
た振動モードを伴う固有振動数を選択することが好まし
い。すなわち、成形終了品は複数の固有振動数を持つこ
とが知られており、それぞれの固有振動数は、異なる振
動モード(異なる振動軸や振動方向)を持っている。そ
こで、成形終了品の形状を考慮して、成形製品をゲート
部から破断分離するのに適した固有振動数を選択して振
動を与えるのである。
【0009】振動数付与ステップでは、成形終了品が持
つ複数の固有振動数の2以上の固有振動数の振動を同時
に与えてもよい。
【0010】本発明方法に用いる超音波加振機は、例え
ば、成形終了品をそのランナを接触させて載置するテー
ブル; このテーブルに対して相対的に接離移動可能
で、中心部に上記成形終了品のスプルーを進入させる穴
部を有する、円筒形状の超音波振動ホーン;この超音波
振動ホーンとテーブルを相対的に接離移動させ、該超音
波振動ホーンの環状端面とテーブルとの間に上記複数の
ランナを挟着する進退機構;及びこの超音波振動ホーン
に超音波振動を与える超音波振動装置;を備えた超音波
加振機とすることができる。
【0011】本発明は、成形製品の種類、形状、材質
(合成樹脂、金属)等を問わずに適用できる。
【0012】
【発明の実施形態】図は、本発明を多数個取りプラスチ
ックレンズの分離装置に適用した実施形態を示してい
る。多数個取りプラスチックレンズの成形終了品10
は、図1に示すように、中心部の円錐棒状のスプルー1
1と、このスプルー11から、該スプルー11の軸線と
直交する同一平面内において放射方向に延びる複数のラ
ンナ12と、各ランナ12の先端部にそれぞれ、ゲート
部13を介して接続されている2つのプラスチックレン
ズ(以下単にレンズ)14とを有している。スプルー1
1は、ランナ12より図1の下方に延びる下方延長スプ
ルー11Uを有する。図示例では、ランナ12は90゜
間隔で4本形成され、ゲート部13とレンズ14は、各
ランナ12の先端に2つずつが形成されている。また、
全てのレンズ14は、スプルー11の中心から等距離位
置に形成されている。
【0013】ゲート部13は、平面形状は一定幅(図
2)であるのに対し、正面(側面)形状はランナ12側
からレンズ14側に単調に厚さを減じる形状(図2)を
している。つまり、ゲート部13の断面積は、ランナ1
2側からレンズ14側にかけて単調に減少している。さ
らに図示例のレンズ14は平面円形であって、その周縁
内部には、円形薄肉段部14aが形成されている。この
円形薄肉段部14aは、レンズ14の外径Dと使用径d
の間に位置する、ゲート部13の最小断面積部より断面
積の小さい断面積部を形成する。レンズ14の周縁部に
は、円形薄肉段部14aと相俟って、最小断面積部を作
る凹部14bが形成されている。図2に示す直線15
は、最小断面積部であり、この最小断面積部15は、レ
ンズ14の外径Dと使用径dとの間に位置している。
【0014】以上の成形終了品10には、ゲート部13
に、2つのレンズ14が接続されている。本実施形態で
は、図4、図5に明らかなように、2つのレンズ14か
らの略等距離位置に位置させて凹部16が形成されてい
る。この凹部16は、成形終了品10を成形する際に同
時に成形されるもので、成形型にこの凹部16に対応す
る突起が形成されている。この凹部16の位置と大きさ
(従って成形型の凹部16に対応する突起の位置と大き
さ)は、成形終了品10全体の固有振動数を図6に示す
超音波加振機(破断分離装置)20の加振周波数とほぼ
一致させるように定められている。
【0015】超音波加振機20は、成形終了品10を載
置する固定テーブル21を有する。固定テーブル21
は、その上端面にゴム等の弾性材料からなる載置板22
を有し、この載置板22と固定テーブル21には、その
中心部に、成形終了品10の下方延長スプルー11Uを
挿入する逃げ穴23が形成されている。成形終了品10
の下方延長スプルー11Uをこの逃げ穴23に挿入する
と、ランナ12が載置板22上に接触して載置され、ス
プルー11は上下方向に延びる。
【0016】固定テーブル21上には、有底円筒形状の
超音波振動ホーン25が位置している。この超音波振動
ホーン25は、中心部に成形終了品10のスプルー11
を進入させるスプルー進入穴部24を有する。この超音
波振動ホーン25は、昇降機構26及び超音波振動装置
27に接続されていて、昇降機構26により固定テーブ
ル21上で昇降し、超音波振動装置27により超音波振
動が与えられる。超音波振動装置27による超音波振動
の振幅等は超音波振動制御装置28によって制御され
る。超音波振動ホーン25のスプルー進入穴部24の中
心と、固定テーブル21の逃げ穴23の中心は一致して
いる。超音波振動ホーン25の下端面は、該超音波振動
ホーン25の軸線に直交する平面からなる環状の当接面
25tを構成している。
【0017】上記構成の超音波加振機20でレンズ14
を超音波振動で破断分離するには、昇降機構26によっ
て超音波振動ホーン25を上昇させた状態で、固定テー
ブル21上に成形終了品10を載置する。このとき、下
方延長スプルー11Uを逃げ穴23の中心に位置させ、
ランナ12を載置板22に接触させる。このセット状態
において、昇降機構26により超音波振動ホーン25を
下降させ、当接面25tと載置板22との間に、ランナ
12を挟着する。すると、当接面25tは、スプルー1
1の中心からの等距離位置において複数のランナ12に
接触することになる。
【0018】次に、超音波振動装置27を介して超音波
振動ホーン25に超音波振動を与える。すると、ランナ
12が当接面25tに接触している成形終了品10全体
が振動し、この振動によって、レンズ14がゲート部1
3から破断分離される。
【0019】本実施形態は、このときに超音波振動ホー
ン25に与える加振振動数と成形終了品10の固有振動
数との関係に着目し、振動数設定ステップで、成形終了
品10に成形時に形成する凹部16の位置と大きさを設
定することで、成形終了品10の固有振動数を、超音波
加振機20の加振振動数にほぼ一致させる。そして、こ
の振動数設定ステップで固有振動数を設定した成形終了
品に、超音波加振機20によって超音波振動を与える。
【0020】図7は、本実施形態の凹部16を形成する
前の成形終了品10の伝達関数を示している。この実施
形態の超音波加振機20の加振振動数は19.15KH
zである。伝達関数Zは、各周波数でのZ=出力片振幅
(レンズ14の振幅)/入力片振幅(当接面25tの片
振幅)を示している。振動出力値と振動入力値は、振動
に関連する値であれば、振幅、速度、加速度等任意の値
を用いることができる。この図7の例では、凹部16を
持たない成形終了品10は、A、B、C、Dの4つの固
有振動数を持っており、その固有振動数Dは、加振振動
数19.15KHzより高い25KHz付近にあって、
19.15KHz付近ではZ≒1である。このように、
加振振動数と、成形終了品10の固有振動数とが大きく
異なる状況で加振しても、レンズ14をゲート部13か
ら破断分離することは困難である。
【0021】しかし、成形終了品10の固有振動数Dを
超音波加振機20の加振振動数に近づける(図7矢印
X)ことは可能であり、両振動数を近づける(共振状態
にする)ことにより、超音波振動ホーン25の振動を十
分にゲート部13からレンズ14に伝達し、効率的にレ
ンズ14をゲート部13から破断することができる。
【0022】本実施形態では、成形終了品10の固有振
動数Dを変化させるために、ゲート部13に凹部16を
形成している。ゲート部13に凹部16を形成すると、
成形終了品10(ゲート部13)の剛性を低くして固有
振動数をDに近づけることが比較的容易にできる。凹部
16の位置と大きさを変化させることで固有振動数がど
う変化するかは、有限要素法等の周知の計算によって求
めることができる。
【0023】超音波加振機20の加振振動数は、主に超
音波振動ホーン24の形状によって定まる。勿論、成形
終了品10に凹部16を形成することによる固有振動数
の設定と、超音波加振機20の加振周波数の設定とを同
時に行って、両周波数を一致させてもよい。
【0024】図示実施形態では、複数のランナ12は、
スプルー11から等距離において当接面25tに接触し
ているので、レンズ14はその全てが殆ど同時に成形終
了品10から分離されることになる。超音波振動装置2
7による超音波振動の諸条件は、以上の作用が得られる
ように、超音波振動制御装置28によって設定される。
超音波振動装置27による振動は、成形終了品10の性
質に応じてレンズ14が破断分離されるに足る振動特性
を、タイマーにより一定時間与える態様が好ましい。成
形終了品10からのレンズ14の分離が終了したら、超
音波振動装置27による振動を止め、昇降機構26によ
り超音波振動ホーン25を上昇させて次の作業に備え
る。
【0025】次に、成形終了品10の持つ複数の固有振
動数と、それぞれの固有振動数の持つ振動モードについ
て説明する。
【0026】最近のプラスチックレンズは、高い光学性
能(精度)と小型化の両者が要求されている。高精度を
満足するには、成形条件(圧力や素材の流動性等)の関
係で、レンズの大きさに比較してゲート径は比較的大き
な寸法が必要となる。また市販されている超音波加振機
(例えば精電社の超音波ウェルダー)は、その片振幅が
20μm程度である。この超音波加振機をプラスチック
レンズのゲートカットとして使用した場合、成形終了品
10に単純に上記片振幅が加わる。成形終了品10のゲ
ート部13は、レンズ14の破断分離を容易にするため
に、断面積がレンズ14に向けて単調に減少し、レンズ
14との境界部に最小断面積部が生じるように設けるの
が普通である。
【0027】ここで、 プラスチックレンズ自体の質量;m(kg)(具体例と
して3.7×10-7kg) 加振周波数;f(KHz)(同19.15KHz) 超音波片振幅;a(m)(同20μm) プラスチックレンズの中心からゲート部との接続平面ま
での距離;r(mm)(同3mm) 接続平面でのゲート断面形状;b×h(mm2)の四角
形(同1.5×0.8mm) として、発生する最大応力は次のように計算される。
【0028】ゲート部とレンズ外周部にかかる最大曲げ
モーメントMは、M=rma(2πf)2(kgfm
m)であり、ゲート部の断面係数(=I)は、I=bh
3/12(mm4)である。よって最大応力(=σma
x)は、 σmax=(M/I)×(h/2)(kgf/mm2) となり、具体例では、約2(kgf/mm2)となる。
【0029】プラスチックレンズ材料として最近よく用
いられるアベル材(三井化学株式会社製)を使用した場
合、曲げ強度は10.2(kgf/mm2)であり、上
記応力では破断しない。しかし、超音波振動での繰返応
力が加わる場合には、疲労破壊的な現象が発生し破断に
至る。疲労破壊とは、図8に例示するS‐N曲線のよう
に、曲げ強度より低い応力でも、その応力が繰り返され
ることで破断に至る現象をいう。図8から分かるよう
に、応力が低い場合には、指数関数的に繰り返し回数を
増やさなければ破断に至らない。プラスチックは融点が
非常に低い(アベル材では約140℃)ため、この繰り
返し回数によっては、疲労破壊する前に温度上昇によっ
て融解が発生し、融けた部分が凸状になって残ってしま
うという問題が発生する。
【0030】先の図7の例では、凹部16を持たない成
形終了品10は、A、B、C、Dの4つの固有振動数を
持っており、その固有振動数Dは、加振振動数19.1
5KHzより高い25KHz付近にあって、19.15
KHz付近ではZ≒1であった。加振振動の結果発生す
る曲げ応力も材料の持つ曲げ強度よりかなり低い値であ
る。このように、加振振動数と、成形終了品10の固有
振動数とが大きく異なる状況で加振すると、破断が生じ
る前に、加振によって温度上昇が生じ、融解(溶融)が
発生する可能性がある。
【0031】一方、成形終了品10の各固有振動数はそ
れぞれ固有の振動モードを持っている。図7に示した伝
達関数の4つの固有振動数A、B、C、Dの振動モード
は次の通りである。振動モードA、B、C、Dを図9に
模式的に示した。
【0032】図7の例で、超音波加振機20の加振周波
数に最も近い固有振動数の振動モードDは、ランナ軸1
2aを回転中心とした縦振動である。よって、レンズ1
4の重心には上下方向の負荷が発生し、ゲート部13と
レンズ14の上下面の接線上に最大応力が発生し、この
最大応力位置から亀裂が発生する。亀裂が発生しても最
大応力位置はゲート部13とレンズ14の接続平面14
c内を通るため、ゲート部13が外周面Dを超えて凸状
に残ることはない(図3参照)。
【0033】振動モードAは、レンズ14の横方向(光
軸と直交する方向)の振動であり、振動は垂直方向(光
軸方向)にかけているため、破断分離には効率が悪い。
【0034】振動モードBは、レンズ14とゲート部1
3の接線を節(不動点)とした上下方向の変形を示して
おり、最も破断に有利な振動モードである。
【0035】振動モードCは、ゲート部13の軸13a
を回転中心としたレンズ14のねじれ振動である。この
ねじれ振動によって発生する最大応力部分は、応力集中
等も影響することから、ゲート部13とレンズ14の断
面矩形の接続部の四隅に発生する。よって、破断時の亀
裂はこの四隅の点から発生するが、点から亀裂が発生す
るため、亀裂がどのように進むかは不安定であり、応力
の方向等も関係して、ゲート部13がレンズ14外周よ
り外側に凸状に残ってしまうという可能性がある。
【0036】本実施形態では、成形終了品10のゲート
部13に凹部16を形成することで、成形終了品10の
固有振動数を振動モードDに近づけている。振動モード
だけの議論であれば、上述のように振動モードBが好ま
しいので、振動モードBを併用する(両振動数で振動さ
せる)ことも可能である。振動モードBは、振動数が5
KHz程度と低いため、大きい振幅を与える必要がある
のに対し、振動モードDと併用することにより、振動モ
ードBの利点を確保しつつ、振動モードDの利点も同時
に得ることができる。2つの振動モード併用の具体的方
法としては、例えば、超音波振動ホーン25を第一の振
動モード(例えば振動モードD)で振動させ、超音波加
振機20全体を第二の振動モード(例えば振動モード
B)で振動させればよい。
【0037】また、図7の例では、固有振動数Dは固有
振動数Bのほぼ整数倍の関係にあり、図示実施形態で
は、超音波振動ホーン25は、超音波振動装置27で発
生する振動を、超音波振動ホーン25の上下方向の長さ
調整により共振させることで当接面25tの振動を拡大
している。このような関係では、超音波振動ホーン25
を振動させる超音波振動装置27を、2つの固有振動数
の両方の駆動パルスの合成信号で振動させたり、あるい
は、1つの超音波振動ホーン25を異なる加振周波数の
2つの超音波振動装置で駆動することにより、2つの振
動モードを与えることができる。
【0038】伝達関数Zの値によっては、発生応力が曲
げ強度を超えてしまうこともある。例えば、片側から一
気に亀裂が発生して破断した場合(衝撃破壊)、亀裂が
反対側へどのように進行するかは不安定である。このよ
うな場合には、例えば超音波加振機の振幅を制御するこ
とで、亀裂の進行方向を制御することが可能である。振
幅量を制御することで、温度上昇によるレンズの熱変形
による精度低下を防ぐこともできる。
【0039】以上の実施形態の成形終了品10は、一例
を示すものであり、図10のように、スプルー11から
放射方向に延びるランナ12の数、ランナ12の先端に
形成する成形製品30の数や形状等は問わない。ランナ
12の先端部にゲート部13を介して接続された成形製
品30を有する成形終了品であれば、ゲート部13に適
当な大きさの凹部16を形成することにより、成形終了
品10の剛性を低くして固有振動数を超音波加振機20
の加振振動数に近づけることができる。
【0040】また、以上の実施形態は、プラスチックレ
ンズ14の成形に本発明を適用したものであるが、他の
樹脂成形品あるいは金属成形品についても本発明は適用
できる。また、図7の伝達関数は、一例を示すものであ
り、伝達関数自体は、成形終了品の形状によって区々で
ある。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、刃物を用いることな
く、超音波振動で成形終了品から成形製品を破断分離す
るのに適した振動条件(固有振動数)を成形終了品に与
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)と(B)は、成形終了品として例示す
る、多数個取りプラスチックレンズを有する成形終了品
の平面図と右側面図である。
【図2】(A)と(B)は、図1の要部の拡大平面図と
正面図である。
【図3】ゲートカット後のプラスチックレンズの形状例
(良品)を示す平面図である。
【図4】成形終了品の斜視図である。
【図5】成形終了品のゲート部に形成した凹部の拡大斜
視図である。
【図6】図1の成形終了品からプラスチックレンズを分
離する装置(加振装置)の一例を示す、一部を断面とし
た正面図である。
【図7】成形終了品の伝達関数の具体例を示すグラフ図
である。
【図8】曲げ強度と破断に至る繰り返し振動回数の一例
を示すS‐N曲線図である。
【図9】(A)、(B)、(C)及び(D)は、図1、
図2に示す成形終了品の振動モードを示す図である。
【図10】本発明を適用可能な他の成形終了品の例を示
す平面図である。
【符号の説明】
10 成形終了品 11 スプルー 12 ランナ 13 ゲート部 14 プラスチックレンズ(プラスチック成形製品) 14c 接続平面 16 凹部 20 超音波加振機 21 固定テーブル 22 載置板 23 逃げ穴 24 スプルー進入穴部 25 超音波振動ホーン 25t 当接面 26 昇降機構 27 超音波振動装置 28 超音波振動制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白井 雅実 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AH74 AR20 CA11 CB01 CK03 CK06 CK11 4F206 AH74 AR20 JA07 JM06 JN41 JQ81 JW23 JW50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ランナの先端部に複数のゲート部を介し
    てそれぞれ接続された成形製品を備えている成形終了品
    に、超音波加振機により超音波振動を与えて各成形製品
    を各ゲート部から破断分離する方法であって、 上記成形終了品のゲート部に、複数の成形製品からの略
    等距離位置に位置させて凹部が形成されるように成形型
    形状を定め、かつこの凹部の位置と大きさによって、該
    成形終了品の固有振動数を超音波加振機の加振振動数に
    ほぼ一致させる振動数設定ステップ;及び上記振動数設
    定ステップで固有振動数を設定した成形終了品に、上記
    超音波加振機によって超音波振動を与える振動付与ステ
    ップ;を有することを特徴とする成形製品の破断分離方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成形製品の破断分離方法
    において、振動数設定ステップでは、成形終了品の固有
    振動数は、該成形終了品が持つ複数の固有振動数のうち
    から、成形製品をゲート部から破断分離するのに適した
    振動モードを伴う固有振動数が選択されている成形製品
    の破断分離方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の成形製品の破断
    分離方法において、振動数付与ステップでは、成形終了
    品が持つ複数の固有振動数の2以上の固有振動数の合成
    振動を付与する成形製品の破断分離方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    成形製品の破断分離方法において、超音波加振機は、 上記成形終了品をそのランナを接触させて載置するテー
    ブル;このテーブルに対して相対的に接離移動可能で、
    中心部に上記成形終了品のスプルーを進入させる穴部を
    有する、円筒形状の超音波振動ホーン;この超音波振動
    ホーンとテーブルを相対的に接離移動させ、該超音波振
    動ホーンの環状端面とテーブルとの間に上記複数のラン
    ナを挟着する進退機構;及びこの超音波振動ホーンに超
    音波振動を与える超音波振動装置;を備えている成形製
    品の破断分離方法。
  5. 【請求項5】 ランナの先端部に複数のゲート部を介し
    てそれぞれ接続された成形製品を有する成形終了品であ
    って、 上記ゲート部に、複数の成形製品からの略等距離位置に
    位置させて、該成形終了品の固有振動数を調節するため
    の凹部が形成されていることを特徴とする成形製品を有
    する成形終了品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109277548A (zh) * 2018-10-18 2019-01-29 浙江宏日自动化科技有限公司 一种铸件自动分离设备及方法

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