JP2003061958A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JP2003061958A
JP2003061958A JP2002173177A JP2002173177A JP2003061958A JP 2003061958 A JP2003061958 A JP 2003061958A JP 2002173177 A JP2002173177 A JP 2002173177A JP 2002173177 A JP2002173177 A JP 2002173177A JP 2003061958 A JP2003061958 A JP 2003061958A
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JP2002173177A
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English (en)
Inventor
Eiichi Shiki
栄一 志岐
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Toshiba Corp
Canon Medical Systems Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Medical Systems Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血管の拍動性を簡便に且つ効果的に表示する超
音波診断装置を提供する。 【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブ1、送
信部2(送信パルス発生器21、送信ビームフォーマ2
2)、受信部3(プリアンプ31、受信ビームフォーマ
32)、CFM処理部4(動き要素信号抽出器41、補
正速度演算器42)、断層像処理部5、及び表示部6を
備え、被検体内に超音波パルスを送受信しながら所定の
断面をスキャンし、このスキャンで得られる画像を表示
する。この際、補正速度演算器42は、受信信号から被
検体内の運動体の拍動の特徴を示す速度(運動体の速
度)を演算する演算器43と、代表的な速度(基準速
度)を演算する演算器44と、運動体の速度を基準速度
を用いて補正する補正器45とを備え、その補正された
速度データを表示部6上で表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体内の血流の
動態、特に血流の拍動性を効果的に表示する超音波診断
装置に関する。また、本発明は、被検体内の血流の拍動
性を3次元的に表示する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置には、通常、断層像を表
示するBモード等の断層像モードのほか、血流像を表示
するCFM(Color Flow Mapping)モード等の超音波診
断で用いる画像表示に関する種々のモードが知られてい
る。
【0003】こういったモードの内、CFMは、血流情
報を2次元的にリアルタイムに表示するものである。こ
の場合の血流情報は、一般的には超音波プローブ側に近
づく流れが赤色、その逆に超音波プローブ側から遠ざか
る流れが青色でそれぞれモニタ上で視認可能に表示され
る。
【0004】このようなCFMの表示を行うための原理
及び処理内容の概要を説明する。まず、超音波診断装置
において、従来広く知られているように、診断対象の被
検体内の同一場所(方向)を複数回(N回)、超音波走
査することにより時系列のエコー信号を得て、その時系
列のエコー信号からドプラ法に基いて所望の深さ位置で
の血流速度又は血流の散乱パワーを検出する。すなわ
ち、ドプラ信号は、被検体内の同一場所を所定時間間隔
で走査することにより得られる血球からの反射信号(血
流信号)の単位時間内での位相シフト量として得られ
る。こうして得られたドプラ信号が血流速度又は血流の
散乱パワーに換算される。
【0005】さらに詳細に説明すると、各回の超音波走
査に伴うエコー信号から、ミキサ及びLPF(Low Pass
Filter)にて直交位相検波を行うことにより、ドプラ
信号がI(In-Phase)信号およびQ(Quadrature-Phas
e)信号として抽出される。
【0006】ここで抽出されたドプラ信号には、血球の
ように移動している物体(運動体)からの反射波と、血
管壁や臓器実質のように殆ど移動していない固定物体か
らの反射波(クラッタ信号)とが混在して含まれる。こ
の内、運動体からの反射波では、ドプラシフトが生じる
のに対し、固定物体からの反射波では、その反射強度が
強く支配的であるものの、ドプラシフトが殆ど生じない
といった特徴をもつ。
【0007】従って、このようなドプラシフト量の差を
利用して、MTI(Moving TargetIndicator)フィルタ
により固定物体からの反射波を反映したクラッタ成分を
除去すれば、血流ドプラ信号を効率よく抽出できる。そ
して、この血流ドプラ信号、すなわち各深さ位置のN個
のドプラデータx(I信号)及びy(Q信号)(i
=1、2、…、N)を用いて周波数解析を行うことによ
り、そのスペクトルの平均値(ドプラ周波数)、分散
値、あるいは血球からの反射強度(パワー)が算出され
る。
【0008】ここで用いる周波数解析には、通常、自己
相関法が採用される。この自己相関法を用いた周波数解
析の例を説明する。上述したように、MTIフィルタに
よるクラッタ成分除去で得られる血流ドプラ信号は、N
個のドプラデータx及びy で構成される複素数zi
であり、これは、
【数1】 の式で表すことができる。この式において、aは振
幅、fはドプラ周波数、Trnは、超音波パルスの任
意走査線方向への送信間隔、φは初期位相をそれぞれ示
す。この内、ドプラ周波数fは、説明の都合上、N個
のドプラデータ間で一定値としているが、一般性を失う
ものではない。
【0009】上記(1)式において、複素数zの単位
時間当りの位相回転がドプラ周波数fとなる。そこ
で、N個のドプラデータの平均的な複素自己相関関数
を、
【数2】 Z=X+jY=A・exp[jη] ……(2) とすると、
【数3】 となる。このため、ドプラ周波数fは、
【数4】 の式で表される。
【0010】このドプラ周波数fを用いると、
【数5】 の式から、ドプラ速度Vを換算することができる。こ
の(5)式において、cは音速、fはミキサの基準信
号周波数、θは超音波ビームと血流との成す角度(以
下、「ドプラ角度」と呼ぶ)をそれぞれ示す。
【0011】ここで、CFMの場合には、その画像を構
成する空間上の各位置毎に異なるドプラ角度を各位置毎
に求めるのは困難であるため、上記(5)式中のドプラ
角度補正が省略される。すなわち、CFMでは、
【数6】 V=f・c/(2f) ……(6) の式で得られるドプラ速度Vの値がカラー表示され
る。このため、ドプラ角度の大きいところでは、本来の
流速値よりも小さくなり、遅い速度で表示される(この
ことを「角度依存性」があると言う)。
【0012】このようにして得られる血流速度は、モニ
タ上では、通常、Bモードで得られる断層像を背景にし
て2次元的に表示される。
【0013】また、近年では超音波診断装置の3次元画
像表示が盛んに研究・開発され、血流の3次元パワー画
像も表示可能となってきた。この場合、3次元データの
収集は、例えば振動子が1次元配列された電子スキャン
プローブを用いたハンドスキャンで行われる。このハン
ドスキャンは、振動子の配列方向に電子スキャンさせな
がら、プローブを把持する操作者の手を動かしてそのプ
ローブを振動子の配列方向と直交する方向に移動させる
ものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現状のCFM
モードの表示では、次のような問題があった。
【0015】まず、近年では各種診断法の進歩に伴い、
血管を動脈、門脈、静脈というように簡便で有効に見分
けることが可能な表示が求められている。特に、超音波
を用いて血管を上記のように見分けるには、血流の拍動
性を見るのがよいと考えられる。
【0016】従来、こういった血管の拍動性を調べる方
法としては、1つにパルサティリティー・インデックス
PI(Pulsatility Index)と呼ばれる表示法が知られ
ている。このPIは、一心拍中の血流速度の変化の程度
を定量化したインデックスで、血管の末梢循環抵抗を反
映するため、産科での胎児の発育不全の早期発見や、腹
部領域での腫瘍の鑑別診断に有効とされている(特開平
5−317311号公報)。
【0017】その他の方法としては、例えば血管の拍動
性を検査する際、血流の加速度の定量性をCFM法によ
る二次元カラーフローマップ情報又は三次元表示情報に
加えるため、フレームメモリに書き込まれた時系列に隣
接する2つのフレームの血流速度データから血流の加速
度を演算し表示する方法(特許第2768959号公
報)や、エコー源の移動速度の拍動強度を表す画像を撮
像する超音波撮像方法および装置を実現するため、受信
したエコーのドップラシフトに基づきエコー源の移動速
度を検出し、その移動速度の現在の時相における値およ
び過去の時相における値を用いた演算により移動速度の
拍動の強度を検出し、その検出した拍動の強度を表す画
像を生成する方法(特開2000−152935号公
報)等も既に提案されている。しかし、未だ実用的に使
用されるに至っていない。
【0018】また、現状のCFMモードでは、パワー表
示の場合には、血流の拍動性を明瞭に表すことが困難で
ある。また、速度表示の場合でも、速度値を示す色が時
間的に変化していれば拍動性、それが変化していなけれ
ば非拍動性というように見分けられると考えられるが、
実際には注視していても判別が難しい場合が多く、実用
的ではない。いずれの表示であっても、血流の拍動性を
もっと簡便に分かる表示が必要である。
【0019】特に、末梢では流速が遅いため、動脈であ
っても拍動の変化量が小さくなり、速度表示で動脈と静
脈を区別することは非常に困難である。また、速度表示
には、上述したように角度依存性の問題があるため、ド
プラ角度が大きいところでは本来の流速値に比べて検出
される流速値が小さくなり、末梢同様に、拍動性を検出
するのは非常に困難である。
【0020】一方、上述した3次元表示においても、単
なる血管の表示から更に進んで、動脈、門脈、静脈とい
うように血管の種別をつけた表示が求められている。こ
こでも、血流の拍動性を元に表示するのがよいと考えら
れるが、拍動性を3次元的に表示するのに適した超音波
診断装置が必要である。
【0021】本発明は、上述した従来技術の問題に着目
してなされたもので、血管の拍動性を簡便に且つ効果的
に表示する超音波診断装置を提供することを目的とす
る。
【0022】また、本発明は、血管の拍動性を3次元的
に表示するのに適した超音波診断装置を提供することを
目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る超音波診断装置は、被検体内に超音波
パルスを送受信しながら所定のスキャンを行なうスキャ
ン手段と、このスキャン手段によるスキャンで得られる
受信信号から前記被検体内の速度を順次求める手段と、
所定期間中に得られる複数の前記速度から基準速度を求
め、前記運動体の速度それぞれを前記基準速度を用いて
補正する処理手段と、この処理手段で求めたデータを、
前記所定期間中に複数回更新するように表示する表示手
段とを備えたことを基本的な特徴とする。
【0024】本発明において、前記処理手段は、前記受
信手段から動き要素の信号を抽出する抽出手段を備える
ことが可能である。
【0025】本発明において、被検体内の「運動体の速
度」(即ち、拍動の特徴を示す速度)には、例えば瞬時
速度が採用できる。また、「基準速度」(即ち、代表的
な速度)には、1)所定時間の速度における平均値又は
この平均値の絶対値、2)所定時間の速度における絶対
値の平均値、3)所定時間の速度のRMS値(Root Mea
n Square Value)、4)所定時間の速度又はこの速度の
絶対値に対してFIR(Finite Impulse Response)フ
ィルタ、IIR(Infinite Impulse Response)フィル
タ、非線形フィルタを用いて演算した値又はその絶対
値、及び5)所定時間の速度におけるベクトル的な平均
値又はこの平均値の絶対値、の内の少なくとも1つを採
用できる。前記所定時間は、好ましくは、被検体の1心
拍、又は1心拍に相当する時間、或いは1心拍と同等の
効果が得られる時間である。
【0026】本発明において、前記処理手段による補正
は、1)前記運動体の速度を前記基準速度で除算する手
段、及び2)前記運動体の速度を前記基準速度に対する
相対的な値に変換する手段の内の少なくとも1つを備え
ることができる。
【0027】本発明において、前記処理手段は、より好
ましくは、前記速度の折り返りを補正する補正手段を備
える。本発明において、前記処理手段で求めたデータの
時間的変化を緩和する緩和手段をさらに備えることがで
きる。本発明において、前記スキャン手段は、1断面を
心拍動の駆出期に対応する時間の逆数で示される値以上
のフレーム数でスキャンする手段を備えることが望まし
い。
【0028】本発明において、前記表示手段は、前記処
理手段で求めたデータの2次元画像を表示することがで
きる。
【0029】本発明の別の側面に係る超音波診断装置
は、被検体内に超音波パルスを送受信しながら1断面を
1心拍分に相当する複数回スキャンしながら3次元的に
スキャンするスキャン手段と、前記スキャン手段による
3次元的なスキャンで得られる受信信号から前記被検体
内の運動体の速度を順次求める手段と、所定期間中に得
られる複数の前記速度から基準速度を求め、前記運動体
の速度それぞれを前記基準速度を用いて補正する処理手
段と、前記処理手段で求めたデータの少なくとも3次元
画像を、前記所定期間中に複数回更新するように表示す
る表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】本発明において3次元スキャンを行う場
合、前記スキャン手段には、2次元アレイ振動子を用い
た電子スキャンにより被検体を3次元的にスキャンする
手段が好適である。本発明において3次元スキャンを行
う場合、前記運動体の速度は、前記所定時間の最大速度
であることが好適である。本発明において被検体の拍動
性を得て、その情報の3次元画像を表示する場合、前記
運動体の拍動性を示す情報が心時相で変化しない情報で
あることが好適である。
【0031】本発明において、前記断面の断層像を得る
手段を備え、前記表示手段は、前断層像と前記処理手段
で求めたデータとを同一モニタ上に表示することが可能
である。この場合、前記表示手段は、前記断層像に前記
処理手段で求めたデータの画像を重畳表示するとより効
果的である。また、本発明で3次元表示を行う場合、前
記断層像が3次元画像であってもよい。本発明におい
て、前記処理手段で求めたデータの画像をカラーで表示
すると効果的である。
【0032】本発明において、前記処理手段で求めたデ
ータと前記運動体からの散乱エコーのパワーとを組み合
わせた情報を表示することも可能である。本発明におい
て、前記処理手段で求めたデータの大きさが前記代表的
な速度の近傍又はそれよりも小さい値に対してカラーバ
ーの色を低速を表す色とし、前記代表的な速度の近傍よ
りも大きくなるにつれて前記カラーバーの色を高速を表
す色とするように表示すれば、より効果的である。
【0033】本発明において、前記処理手段で求めたデ
ータの画像と前記被検体の運動体からの散乱エコーのパ
ワー情報の画像とを混在させて表示すると更に効果的で
ある。前記処理手段で求めたデータと前記パワー情報と
を組み合わせた情報の画像と前記パワー情報の画像とを
混在させて表示することも可能である。この場合のカラ
ーバーは、前記処理手段で求めたデータのカラーバーと
前記パワー情報のカラーバーを同時に表示することが望
まれる。前記処理手段で求めたデータと前記パワー情報
とを組み合わせて表すカラーバーと前記パワー情報のカ
ラーバーを同時に表示してもよい。また、前記処理手段
で求めたデータのカラーバーの上限値、下限値を設定手
段を用いて適宜設定したり、前記処理手段で求めたデー
タのカラーバーの上限値、下限値、折返り速度などを表
示するとより効果的である。
【0034】以上、本発明に係る超音波診断装置によれ
ば、スキャン手段により被検体内の同一方向に超音波パ
ルスを複数回送受信しながら画像化したい断面がスキャ
ンされる。そして、処理手段により、スキャン手段によ
るスキャンで得られる受信信号からその断面のサンプル
点毎に組織信号が除去され、これにより血流信号が得ら
れ、この血流信号から運動体の速度(即ち、拍動の特徴
を示す速度)と基準速度(即ち、代表的な速度)が求め
られ、運動体の速度が基準速度で補正される。そこで、
表示手段により、こうして得られたサンプル点毎のデー
タ、例えば2次元画像や3次元画像が表示される。
【0035】これによれば、運動体の速度が基準速度で
補正されるため、末梢血管の様な速度の遅い血流の拍動
性も明瞭に示される。また、ドプラの角度依存性も解消
され、ドプラ角度が大きくても血流の拍動性が明瞭に示
される。このように補正されたデータが表示されるた
め、従来のCFMのパワー画像や速度画像に比べ、拍動
性を簡便に且つ効果的に表示でき、動脈、門脈、静脈等
の視認性が向上し、診断能が向上する。
【0036】特に、運動体の速度に瞬時速度を用いれ
ば、特に優れた拍動性表示が可能であり、拍動性の変化
をリアルタイム且つダイナミックに表示でき、これによ
り、拍動性の視認性を高めることができる。また、基準
速度には、所定時間の瞬時速度の平均値又はこの平均値
の絶対値、所定時間の瞬時速度の絶対値の平均値、所定
時間の瞬時速度のRMS値、所定時間の瞬時速度又はこ
の瞬時速度の絶対値に対してFIRフィルタ、IIRフ
ィルタ、非線形フィルタを用いて演算した値又はその絶
対値、所定時間の瞬時速度のベクトル的な平均値又はこ
の平均値の絶対値等が好適である。
【0037】さらに、所定時間は、1心拍又はそれに相
当する時間が好適で、それと同等の効果を得られる時間
であってもよい。また、補正としては割算が最も簡便で
効果的である。即ち、この割算により、末梢血管の様な
速度の遅い血流の拍動性も明瞭に示され、ドプラの角度
依存性も解消される。さらに、速度の折り返りを補正す
ることにより、本発明をより速い速度まで適用可能とな
り、非常に効果的となる。
【0038】また、リアルタイム表示において、拍動性
の変化が早く見辛いと感じる場合は、時間的な変化を緩
和して表示することにより視認性を高めることができ
る。
【0039】また、ある1断面を心拍動の駆出期に対応
する時間の逆数で示される値以上のフレーム数でスキャ
ンすることにより、駆出期を取りこぼしなく確実に捉え
られるため、拍動性を確実に表示でき、診断能が大幅に
向上する。これは、拍動性は、心臓のポンプ作用によっ
て起こるものであり、1心周期のうち、駆出期に最もそ
の特徴が現れ、即ち、静脈や門脈では1心周期を通して
血流速度がほぼ平坦であるのに対して、動脈では駆出期
に速度が急速に増加して減少し、その後、次の駆出期ま
で漸減するため、従って拍動性を検出するには駆出期を
確実に捉えることが必須であるためである。
【0040】また、3次元の画像を得る場合には、スキ
ャン手段により、被検体内を3次元的にスキャンされ、
表示手段により、スキャンで得られたデータの3次元画
像が表示される。このとき、スキャン手段によるスキャ
ンが1断面を複数回スキャンしながら3次元スキャンが
行われることが必須である。これによれば、スキャンす
る各断面において運動体の速度や基準速度を得ることが
でき、補正されたデータを3次元的に得ることができ、
本発明における3次元画像を得ることができる。
【0041】ここで、被検体内をスキャン手段により3
次元的にスキャンして被検体の血流の拍動性を示す情報
を得て、その情報の3次元画像を表示する場合、1断面
を複数回スキャンしながら3次元スキャンを行うことに
より、精度の高い拍動性の3次元画像を表示することが
でき、診断能が大きく向上する。
【0042】本発明における3次元スキャンを有効に実
施するには、2次元アレイ振動子を用いた電子スキャン
により被検体を3次元的にスキャンする方法が最適であ
る。
【0043】また、運動体の速度として、所定時間の最
大速度を用いれば、動脈等の拍動性の高い血管は高拍動
性の色、門脈や静脈等の拍動性の低い血管は低拍動性の
色で常に表示されるので、拍動性の特徴を最もよく表し
た心時相の画像を常に得ることができる。従って、上記
の3次元表示と組み合わせて用いるのが好適であり、3
次元画像を構成する際の基になる拍動性を表す2次元画
像を心時相で変化しない画像として容易に得ることがで
き、3次元の拍動性画像を容易に構成できる。一般に
は、被検体の血流の拍動性を示す情報を心時相で変化し
ない情報として得れば、3次元の拍動性画像をより容易
に構成できる。
【0044】上記の2次元及び3次元の拍動性画像を表
示する場合には、断面の断層像を得る手段を同時に備
え、表示手段により断層像と処理手段で求めたデータの
画像とを同一モニタに表示すれば、血管の位置同定が容
易になり、視認性が更に向上した画像が得られ、診断能
が向上する。
【0045】特に、表示手段は、断層像に処理手段で求
めたデータの画像を重畳表示すると効果的である。ま
た、3次元表示の場合には、断層像は2次元画像のみな
らず3次元画像であっても効果的である。本発明におい
て、拍動性画像をカラーで表示すれば、視認性が更に良
くなり、効果的である。本発明において、処理手段で求
めたデータと被検体内の運動体からの散乱パワーとを組
み合わせた情報をカラー画像として表示すれば、視覚的
効果を更に高めることができる。
【0046】また、基準速度が種々の平均速度である場
合、処理手段で求めたデータの大きさが代表的な速度の
近傍であるときは、静脈や門脈では各心時相での値とほ
ぼ同じであり、動脈では駆出期以外の時相での値とほぼ
同じである。そこで、処理手段で求めたデータの大きさ
が基準速度の近傍及びそれより小さい値に対してはカラ
ーバーの色を低速を表す色とし、基準速度の近傍より大
きくなるにつれてカラーバーの色を高速を表す色にすれ
ば、非拍動性と拍動性の色を明瞭に使い分けることがで
き、拍動性の区別が容易になり、診断能が向上する。
【0047】また、呼吸・拍動等により臓器が動いた場
合や、血管が末梢血管やドプラ角度が大きい血管である
様な場合に、一時的にあるいは心時相によっては血流信
号が検出できないことがあり、その結果、基準速度が求
まらずに運動体の速度を補正できない場合がある。即
ち、速度の補正はできないけれども運動体の速度(従っ
てその瞬間の血流信号)は検出できる場合が起こる。
【0048】この様な場合は、処理手段で求めたデータ
の画像(拍動性を示す画像)は表示できないが、血流の
存在を示すパワー表示は可能である。従って、運動体の
速度を補正できた場合は、処理手段で求めたデータの画
像の表示を行ない、運動体の速度の補正はできないが血
流検出ができた場合は、パワー表示を行なう。即ち、処
理手段で求めたデータの画像とパワー画像を混在させて
表示する。
【0049】この様にすることにより、検出された血管
は全て表示できることになり、かつ運動体の速度の補正
ができた血管は拍動性が表示でき、血管検出能が高い拍
動性表示が可能で、診断能が大きく向上する。この際、
拍動性画像とパワー画像をカラーで表示すれば、視認性
が向上して効果的であり、また、運動体の速度の補正が
できた部分に対して、処理手段で求めたデータと被検体
内の運動体からの散乱パワーとを組み合わせた情報をカ
ラー画像として表示すれば、視覚的効果を更に高めるこ
とができる。
【0050】この場合のカラーバーは、拍動性を示すカ
ラーバーとパワーを示すカラーバーとを同時に表示する
ことが必要である。拍動性を示すカラーバーは、上記し
た表示法によれば拍動性の区別が容易になる。また、運
動体の速度の補正ができた部分に対して、処理手段で求
めたデータと被検体内の運動体からの散乱パワーとを組
み合わせた情報をカラー画像として表示する場合は、1
つのカラーバーの例えば縦方向に拍動性を示すカラー、
その横方向にパワーを示すカラーを組み合わせて用い
る。このカラーバーと、パワーのカラーバーとを同時に
表示することも可能である。
【0051】また、これらのカラーバーと併せて、拍動
性を示すカラーバーの上限値と下限値を表示すれば、色
と拍動性の程度の関係が明示され拍動性の程度の認識が
より容易になり診断能が向上する。また、カラーバーの
上限値と下限値を設定する手段を用いて、これらの値を
適切な値に設定することにより、拍動性をより効果的に
表示でき、診断能が向上する。また、折返り速度を表示
すれば、速度レンジの設定を適切にでき、拍動性をより
効果的に検出でき、検出能が向上する。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る超音波診断装
置の実施の形態を添付図面を参照して具体的に説明す
る。
【0053】第1実施形態 最初に、本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置を
図1〜図14に基づいて説明する。
【0054】図1は、本例の超音波診断装置の機能ブロ
ック図を示す。図1に示すように、本例の超音波診断装
置は、被検体の体表に当接させる超音波プローブ(以
下、単に「プローブ」と呼ぶ)1のほか、このプローブ
1に電気的に接続された送信部2及び受信部3と、この
うちの受信部3に電気的に接続されたCFM処理部4及
び断層像(Bモード)処理部5と、この両処理部4、5
に電気的に接続された表示部6とを備える。
【0055】プローブ1は、超音波信号と電気信号との
間で双方向に信号変換する機能を有するもので、その一
例として、その先端部にリニア状に配置されたアレイ型
圧電振動子を有する。このアレイ型圧電振動子は、複数
の圧電素子を並列に配置し、その配置方向を走査方向と
するもので、複数の圧電振動子それぞれが送受信の各チ
ャンネル(送信チャンネル及び受信チャンネル)を成
す。
【0056】送信部2は、図1に示すように、送信パル
スを発生する送信パルス発生器21と、この送信パルス
発生器21からの送信パルスを遅延制御すると共に駆動
パルス信号に変換してプローブ1の送信チャンネル毎の
振動子を励振させる送信ビームフォーマ22とを備え、
これにより、プローブ1を駆動させてその各振動子を介
して被検体内に超音波パルスを送受信させる。
【0057】受信部3は、図1に示すように、受信チャ
ンネル毎に割り当てられるプリアンプ31と、このプリ
アンプ31で受信した信号に対し受信遅延加算及び直交
位相検波を行う受信ビームフォーマ32とを備え、これ
により、受信した信号を遅延加算することで送信時と同
一方向にビームフォーミングしたエコー信号を形成し、
そのエコー信号からI(In-Phase)信号およびQ(Quad
rature-Phase)信号を生成する。
【0058】ここで生成されるI信号およびQ信号によ
り、ドプラ信号の方向分離、すなわち血流などの移動物
体がプローブ1側に近づいているか、それともプローブ
1側から遠ざかっているかの分離が可能となる。このI
信号およびQ信号(以下、「ドプラ信号」と総称する)
は、CFM処理部4及び断層像処理部5にそれぞれ送ら
れる。
【0059】断層像処理部5は、超音波パルスの送受信
で得られる受信信号からBモード断層像としての被検体
の断層像データを生成し、その断層像データを表示部6
に送る。
【0060】CFM処理部4は、図1に示すように、そ
の信号入力側から順に、機能上、動き要素信号抽出器4
1と、補正速度演算器42とを備える。この内、補正速
度演算器42は、図1に示すように、基本的には、被検
体内の運動体の速度としての拍動の特徴を示す速度を演
算する演算器(以下、「拍動の特徴を示す速度演算
器」)43と、基準速度としての代表的な速度を演算す
る演算器(以下、「代表的な速度演算器」)44と、両
演算器43、44の演算結果を元に拍動の特徴を示す速
度を代表的な速度を用いて補正する補正器45とで構成
される。
【0061】この構成により、CFM処理部4は、動き
要素信号抽出器41の処理によりクラッタ成分を除去し
て血流ドプラ信号を得た後、補正速度演算器42の処理
により、その拍動の特徴を示す速度演算器43にて本発
明に基づく運動体の速度としての拍動の特徴を示す速度
を演算すると共に代表的な速度演算器44にて基準速度
としての代表的な速度とを演算し、補正器45にて拍動
の特徴を示す速度を代表的な速度で補正して補正速度デ
ータを生成し、この補正速度データを表示部6に送る。
【0062】表示部6は、例えば断層像処理部5からの
断層像データ上にCFM処理部4からのCFM血流補正
速度画像データを重畳すると共に補正速度の大きさを示
すカラーバー等を併記した状態の画像データを作成し、
その画像データをモニタ上に表示する。これにより、補
正速度データをマッピングして表示できるので、拍動性
を簡便に且つ効果的に表示することができ、動脈、門
脈、静脈等の血管を区別して表示でき、視認性が向上
し、診断能が向上するようになる。
【0063】次に、本発明に関係する補正速度演算器4
2の具体例を詳述する。
【0064】図2は、補正速度演算器42の詳細な構成
例(図中の符号では補正速度演算器42A)を示す機能
ブロック図である。図2に示す例では、補正速度演算器
42Aは、機能上、前述した拍動の特徴を示す速度演算
器43、代表的な速度演算器44、及び補正器45のほ
か、速度演算器46、バッファメモリ47、及び1心拍
時間設定器48を備える。
【0065】この構成によれば、動き要素信号抽出器4
1から出力される各ピクセル毎(以下、各ピクセル毎の
演算であるので、この記載は省略する)の血流ドプラ信
号は、補正速度演算器42Aに入力され、速度演算器4
6にてその血流ドプラ信号から速度データが演算され
る。ここで演算された速度データは、バッファメモリ4
7に一時格納される。
【0066】このバッファメモリ47には、速度データ
がそれぞれ1心拍またはそれに相当する時間(以下、
「1心拍時間」と略記する)分、格納される。そして、
速度演算器46から新たな速度データが入力される度
に、バッファメモリ47からは最も古いデータが棄却さ
れ、常に1心拍時間分の速度データを保持しながらリア
ルタイムでデータが更新されていく。
【0067】これと同時に、拍動の特徴を示す速度演算
器43により、バッファメモリ47の1心拍時間分のデ
ータから指定された拍動の特徴を示す速度値が抽出され
るか、又は、関係する速度群から抽出して指定された拍
動の特徴を示す速度Vchaが演算され、その速度V
chaが補正器45に送られる。
【0068】一方、代表的な速度演算器44により、バ
ッファメモリ47の1心拍時間分のデータから代表的な
速度Vrepが演算され、その速度Vrepが補正器4
5に送られる。
【0069】そして、補正器45により、拍動の特徴を
示す速度Vchaが代表的な速度V repで補正され、
その補正速度Vcmpが得られる。この補正速度V
cmpは、その補正の関数をGとすると、
【数7】Vcmp=G(Vcha、Vrep) の式で表現できる。ここで得られた補正速度Vcmp
表示部6に出力される。
【0070】このようにして、補正速度演算器42で
は、代表的な速度Vrepを1心拍時間で得るので、心
拍動の影響を受けにくい代表的な速度repが得られ、
従って、拍動の特徴を示す速度repの特性を的確に反
映した補正速度Vcmpを得ることができる。
【0071】なお、本例においては、バッファメモリ4
7が新たな速度データが入力される度に更新されるのに
対応して、拍動の特徴を示す速度Vchaと、代表的な
速度Vrepもそれぞれ新たな速度データが入力される
度に再計算されて更新され、従って補正速度Vcmp
新たな速度データが入力される度に再計算されて更新さ
れる。従って、補正速度Vcmpは、リアルタイムで補
正速度演算器42から出力され、これにより、リアルタ
イム性に優れた補正速度データが得られる。
【0072】本例における1心拍時間は、1心拍時間設
定器48により、バッファメモリ47及び代表的な速度
演算器44に対して設定される。具体的には、1心拍に
相当する時間THRを、速度データのサンプリング時間
FR(速度データが更新されていく時間間隔、すなわ
ちフレーム数の逆数)で除することで、前記1心拍時間
のサンプル数Lが設定される。すなわち、このサンプル
数Lの算出式は、
【数8】L=THR/TFR の式で示すことができる。
【0073】ここで、1心拍に相当する時間THRは、
図示しない心電同期回路で、被検体より得られた心電同
期信号に基づき1心拍の時間を測ることにより得られ、
この値が図示しないCPUを介して1心拍時間設定器4
8に送られる。また、心電同期を用いない場合は、1心
拍とほぼ同等の時間がCPUにより1心拍時間設定器4
8に設定される。このときの1心拍に相当する時間HR
は、例えば約1秒である。
【0074】なお、本例では、1心拍を用いて説明して
あるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例え
ば複数心拍を用いてもよい。この場合、複数心拍では基
本的には1心拍の値が繰り返されるだけであり、拍動の
特徴を示す速度や代表的な速度は基本的に同じ値で、バ
ッファメモリ47の容量が増大するだけであるので、で
きれば1心拍の方が好ましい。また、近似値として1心
周期よりも短い時間で平均を行うことも可能であり、こ
の場合にはバッファメモリ47の容量を減らすことがで
きる。一般的に、1心拍の平均と同等の効果が得られる
時間であればよい。
【0075】図3は、図2に示す補正速度演算器42A
の一例である補正速度演算器42Bを示すブロック図で
ある。図3において、補正速度演算器42Bには、前述
の拍動の特徴を示す速度演算器43の例として瞬時速度
抽出器43A、前述の代表的な速度演算器44の例とし
て平均速度演算器44A、及び前述の補正器45の例と
して除算器45Aが、それぞれ採用されている。
【0076】図4(a)及び(b)は、上記構成の内、
瞬時速度抽出器43Aの動作を説明するもので、画像を
構成する、ある1ピクセルを対象として時間tに対する
速度Vの変化を示すグラフである(以下、同様のグラフ
は全て1ピクセルについて説明するものである)。
【0077】図4(a)において、TFRは、速度デー
タのサンプリング時間(TFR=1/フレーム数)、T
HRは、1心拍に相当する時間、V、V、…、
、V L+1、VL+2、…、VL+nは、あるピク
セルにおいて時間TFR毎にサンプリングされる速度デ
ータ、データ群(0)は、ある時間において1心拍に相
当する時間THR分、バッファメモリ47に格納される
速度データ群(V、V、…、V)、データ群
(1)は、データ群(0)の時相よりも1フレーム後に
格納される速度データ群(V、…、V、VL+1
をそれぞれ示す(図中のデータ群(2)、…、(n)も
これと同様である)。
【0078】すなわち、データ群(1)では、データ群
(0)の中の最も古いデータ、すなわち速度Vが棄却
され、最新のデータ、すなわち速度VL+1が追加さ
れ、このようにしてバッファメモリ47内のデータが順
次更新されていく。
【0079】図4(a)では、瞬時速度として、データ
群の最新のデータが採用される。例えば、データ群
(0)では速度V、データ群(n)では速度L+n
それぞれ瞬時速度として採用される。従って、図3に示
す瞬時速度抽出器43Aでは、これらの速度V
L+n、…が逐次読み出される。この場合、バッファメ
モリ47を経由せずに速度演算器46から直接、速度V
L+n、…を得ることも可能である。
【0080】一方、平均速度演算器44Aでは、1心拍
時間の速度データの平均値<V>が演算される。ここで
の平均値<V>としては、各時相の速度V、V
…、V の平均値、各時相の速度V、V、…、V
の平均値の絶対値、各時相の速度V、V、…、V
の絶対値の平均値、及び各時相の速度V、V、…、
のRMS値(Root Mean Square Value)のいずれで
もよい。すなわち、平均値<V>の演算式は、
【数9】 のいずれの式でも構わない。上記の式において、Lは、
1心拍時間で得られる各ピクセルの速度データのサンプ
ル数である。
【0081】その他、平均値<V>としては、各時相の
速度V、V、…、V、又はその絶対値│V│、
│V│、…、│V│に対して、FIRフィルタ、又
はIIRフィルタ、又は非線形フィルタを用いて演算し
た値又はその絶対値を採用することもできる。この場合
のフィルタリングする演算の関数をFILとすれば、平
均値<V>の演算式は、
【数10】 等の式で表すことができる。
【0082】また、平均値<V>としては、各時相の速
度V、V、…、Vのベクトル的な平均値又はその
絶対値を用いることも可能である。この例を図5
(a)、(b)、及び(c)を用いて説明する。
【0083】図5(a)〜(c)は、ドプラ速度のサン
プリング定理による折り返りを説明するものである。一
般に、超音波は、超音波パルスを一定時間Trnで送信
しているため、ある走査線方向で考えると、得られる血
流ドプラ信号も一定間隔T のN個の離散的な信号と
なる。このため、ドプラ速度は、図5(a)に示すよう
に、折り返り速度±Val=±1/(2Trn)・c/
2fのところで折り返る。例えば、速度をプラス
(+)方向に大きくしていくと、+Valを超えたとこ
ろで−Valに折り返り、マイナス(−)方向から0に
近づいていく。
【0084】図5(b)は、これと同様のことを前述の
従来技術の項で説明した(2)式で示されるN個のドプ
ラデータの平均的な複素自己相関関数Zを用いて説明す
るものである。この複素自己相関関数Zは、ベクトルと
考えることができる。すなわち、図5(b)において、
速度が増減するということは、複素自己相関関数Zに相
当するベクトルが複素平面上でその原点を中心に回転す
ることを意味する。
【0085】従って、この場合には、+X軸からの複素
自己相関関数Zの回転角が速度Vに相当し(厳密には速
度Vに比例した位相角2πfrn)、+X軸上に速
度V=0、−X軸上に前記折り返り速度V=±Val
それぞれ位置することになる。そして、速度Vが(+)
方向に増加し、−X軸を越えると、V=±Valを境に
プラス(+)の値からマイナス(−)の値に転じる。
【0086】そこで、図5(c)に示すように、同様の
複素平面上で各時相の自己相関関数Z、Z、…、Z
の加算、又は平均を行えば、各時相の速度V
、…、Vの平均を行うことができる。これは、ベ
クトル的な平均とも言える。この方法の特徴は、速度が
極端に変化しない限り、折り返りの影響を受けないとい
った点にある。
【0087】ここでの自己相関関数の平均を求める方法
としては、自己相関関数の大きさを正規化して平均する
方法も考えられる。すなわち、平均値<Z>は、
【数11】 等の式で示すように算出可能である(図5(c)の場
合、速度V1、速度V2の平均速度<V>は、例えば<
Z>=(Z+Z)/2となる)。
【0088】このようにして求めた自己相関関数の平均
値<Z>は、<Z>=<X>+j<Y>であるから、前
述の従来技術の項で説明した(2)式、(4)式を用い
ると、速度Vの平均値<V>は、
【数12】 等の式で示すように演算できる。
【0089】上記の演算は、図3に示す例では、速度演
算器46から出力される自己相関関数Z、Z、…を
バッファメモリ47に格納しておき、そのバッファメモ
リ47に格納された自己相関関数Z、Z、…を平均
速度演算器44Aに逐次読み出すことで行われる。これ
により、平均速度演算器44Aでは、データ群(0)、
(1)、…の速度データの平均値<V>、<V>
…が逐次演算される。そして、除算器45Aでは、補正
速度Vcmp0、Vcmp1、…が、
【数13】 …の式で示すように逐次演算される。
【0090】この場合、分母である速度データの平均値
<V>、<V>、…として、絶対値を採用すると、
補正速度Vcmp0、Vcmp1、…は、
【数14】 …の式で示すように演算される。これにより、分子であ
る瞬時速度の正負の符号で方向分離された方向付き補正
速度データが得られる。
【0091】また、補正速度Vcmp0、Vcmp1
…として絶対値を採用すると、
【数15】 …の式で示すように演算され、大きさのみを示す補正デ
ータが得られる。
【0092】また、抽出する速度の瞬時値は、前述のよ
うに最新の速度に限定されるものではなく、バッファメ
モリ47に格納されるデータの何れであってもよい。
【0093】図4(b)は、抽出する速度の瞬時値とし
て、格納されたデータ群(0)、(1)、…、(n)の
中で時間的に中央のデータ(例えば、データ群(0)の
場合では、1心拍に相当する時間THRの中央時間T
HR/2に対するデータV)を選んだ場合の例であ
る。この場合には、平均速度演算器44Aで得られる平
均速度と、瞬時速度抽出器43Aで得られる瞬時速度と
の時間的なずれが最小となり、補正速度の信頼性がより
向上するといった利点もある。
【0094】なお、前述した図4(a)の場合では、抽
出する速度の瞬時値として、格納されたデータ群の中で
最新のデータを選んでいるため、プローブ1で収集され
たデータが表示されるまでの処理による遅延時間を最も
小さくでき、最もリアルタイム性に優れた画像を得るこ
とができる。
【0095】なお、図3に示す補正速度演算器42Bの
例では、補正器45として除算器45Aを用いている
が、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図
6に示す補正速度演算器42Cのように図3中の除算器
45Aの代わりに平均速度基準速度変換器45Bを採用
することも可能である。なお、図6中の平均速度基準速
度変換器45Bを除く構成(速度演算器46、バッファ
メモリ47、1心拍時間設定器、瞬時速度抽出器43
A、平均速度演算器44A)は、前述の補正速度演算器
42Bと同様である。この場合の平均速度基準速度変換
器45Bによる補正原理は、平均速度<V>に一定値ζ
を乗じた値(=ζ×<V>)で瞬時速度Vを割る演算を
採用するもので、各ピクセル毎に表示速度レンジを変え
る様な場合に相当する。
【0096】すなわち、図6の例による演算法では、平
均速度<V>に一定値ζを乗じた値ζ<V>が表示レン
ジに相当し(ζはピクセルに依存しない一定値)、ピク
セル毎に異なる平均値<V>に一定値ζを乗じてピクセ
ル毎に異なる速度レンジζ<V>を得て、そのピクセル
毎の速度レンジζ<V>でピクセル毎の瞬時値Vを除す
るが、一般的には平均速度基準速度変換器45Bにて瞬
時値Vを速度レンジζ<V>基準の値に変換することに
より補正する。この例では、上記除算を用いた例の場合
とは一定値ζ倍だけの値の違いが発生するが、後述する
カラーバーの階調に割り振る際に同じとなる。
【0097】また、補正速度は、速度を用いているの
で、拍動の特徴を支援する速度演算や代表的な速度演算
において、折り返りの影響を受ける。この折り返りは、
サンプリング定理に基づいて原理的に起きるので、その
影響を完全になくすことはできないが、補正による改善
は可能である。この場合の補正法として、上記ベクトル
的な演算を行う方法が考えられるが、その他の例を以下
説明する。
【0098】図7は、折り返り補正機能を追加した補正
速度演算器42Dの機能ブロック図を示す。図7に示す
補正速度演算器42Dには、前述した図2に示す補正速
度演算器42Aの内、速度演算器46とバッファメモリ
47との間に折返り補正器49が挿入されている。その
他の構成(拍動の特徴を示す速度演算器43、代表的な
速度演算器44、補正器45)は、図2に示す例と同様
である。この例で追加される折返り補正器49は、速度
変化の物理的連続性を利用して処理を行うものである。
【0099】図8は、この折返り補正器49による処理
例を前述した図5(b)、(c)と同様の複素自己相関
関数を用いて説明するものである。ここでは、各時相の
速度V、V、…、Vを演算する時間間隔が速度変
化に対してある程度短ければ、隣り合う時相の速度は複
素平面上で大きく離れることはないため、折返りの補正
が可能となることを前提にしている。図8に示す例は、
隣り合う時相の速度V 、Vのうち、Vは折り返し
がなく、Vに折り返しが生じて−V’と検出されて
いる場合である。この場合には、両者V、Vの差の
絶対値をとると、│−V’−V│>Vaとなる。こ
のような場合には、−V’+2Va=Vとなる演算
を行えば、│V−V│<Vaとなり、速度の物理的
連続性から考えると、−V’よりもVの方が確から
しい値であるため、Vが採用される。
【0100】このようにして、折返り補正器49にて折
り返しが補正される。これにより、検出できる速度の範
囲を広げることができ、速度精度が向上するため、拍動
性の検出能がより向上し、診断能もより向上するように
なる。
【0101】上記のようにして得られた補正速度は、表
示部6の画面上で表示される。この表示例を図9(a)
に示す。図9(a)は、補正速度が断層像上に重畳表示
され、方向分離がされていない場合の表示例である。図
9(a)中のカラーバーは、補正速度の大きさを示し、
例えば補正速度が小さければ赤色、大きければ黄色で表
される。
【0102】図9(b)には、補正速度の時間的な変化
を示す。この例は、前述した図3に示す補正速度演算器
42Bで与えられる補正速度に対応したものである。図
9(b)中の補正速度の大きさ1は、その補正速度の定
義式(例えば、Vcmp=V/<V>等)から容易に分
かるように、平均速度に対応している。
【0103】図9(b)に示すように、補正速度は、静
脈や門脈の場合にはほぼ1付近で変動しているが、動脈
の場合には1心周期の間で見るとその駆出期に1を超え
て急速に増加・減少し、その後は1付近で漸減してい
る。すなわち、1心周期が約1秒であるのに対し、その
駆出期は200ms〜300msであるため、1心周期
の平均速度は、速度が漸減している時相の速度に近いこ
とが分かる。
【0104】従って、補正速度が1近傍よりも小さけれ
ば赤色様、1近傍よりも大きくなるにつれて黄色様にし
ていけば、図9(a)に示すように、動脈のように拍動
性の強い血管は、1心周期の駆出期に黄色様、その他の
期間には赤色様になるのに対し、静脈や門脈のように拍
動性の弱い血管は、1心周期を通して赤色様になるた
め、動静脈を明瞭に区別して表示することが可能とな
る。これにより、血管の拍動性を明瞭に区別できる。
【0105】また、カラーバーの表示に用いる色は、補
正速度の大きさが1近傍及びそれよりも小さい値に対し
ては低速を表す色とし、1近傍よりも大きくなるにつれ
て高速を表す色とすれば、非拍動性と拍動性の色を明瞭
に使い分けることができ、拍動性の区別が容易になり、
診断能が向上する。
【0106】図10(a)〜(e)は、カラーバーの表
示例を示す。
【0107】図10(a)は、前述した図9(a)の場
合と同様に、補正速度が小さい場合は例えば赤色にし、
大きくなるにつれて例えば黄色にしたカラーバーの表示
例である。本例では、補正速度の大小を色相で区別して
いるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】図10(b)は、図10(a)に示す補正
速度にパワー表示を組み合わせたカラーバーの表示例で
ある。本例では、血流からの散乱パワーが大きければ明
るくし、小さければ暗くしている。これにより、血管に
立体感を持たせることができ、より効果的な表示が可能
となる。ここで用いるパワーは、前述した図1中のCF
M処理部4内の図示しないパワー演算器で演算される。
【0109】図10(c)は、図10(a)に示す補正
速度表示で方向分離を行ったカラーバーの表示例であ
る。本例では、プローブ1に近づく流れを例えば暖色
系、遠ざかる流れを例えば寒色系で示している。このよ
うに方向分離することにより、血管の区別をより容易に
行える場合がある。
【0110】図10(d)は、図10(c)に示す方向
分離した補正速度にパワーを組み合わせたカラーバーの
表示例である。本例では、前述の図10(b)、(c)
の両方の効果を併せ持つ。
【0111】図10(e)は、図10(a)〜(d)と
同様の補正速度表示でその黄系色と赤系色との境界部に
閾値を表すマーカを追加した表示例である。
【0112】また、前記のように速度の折り返り補正を
行っているが、これでも折り返りは完全に補正できない
ため、操作者が表示部6のモニタを見ながら容易に対応
できるように、サンプリング定理で規定される速度範囲
である折り返り速度をモニタ上に表示させることも可能
である。
【0113】この場合には、前述した図5(a)〜
(c)を参照すれば、折り返り速度は+Val、−V
alであるため、この値をモニタ上に表示する。また、
速度範囲を(+)方向又は(−)方向にΔV分、広げる
こともでき、例えば(+)方向に広げたときは、速度範
囲は+Val+ΔVから−Val+ΔVとなるので、こ
の値をモニタ上に表示する。
【0114】このようにすれば、検出可能な速度範囲が
おおよそ分かるので、操作者が図示しない操作パネル上
のボタンを押すことで、折り返り速度を調整し、折り返
りを防ぐことが可能となる。これにより、より的確な画
像が得られ、より一層、的確な診断ができるようにな
る。
【0115】また、拍動性は心臓のポンプ作用によって
起こるもので、1心周期のうち、駆出期に最もその特徴
が現れる。すなわち、前述したように、静脈や門脈では
1心周期を通して血流速度がほぼ平坦であるのに対し、
動脈では駆出期に速度が急速に増加して減少し、その
後、次の駆出期まで漸減する。従って、拍動性を検出す
るには、駆出期を確実に捉えることが必須である。この
ためには、例えば1断面を心拍動の駆出期に対応する時
間の逆数で示される値以上のフレーム数でスキャンさせ
ることが望ましい。このようにすれば、駆出期を取りこ
ぼしなく確実に捉えられるため、拍動性をより確実に表
示できる。
【0116】次に、本例の補正速度表示の効果を従来の
場合と比較して説明する。
【0117】図11(a)及び(b)は、従来の速度モ
ードの表示で動脈を捉えた場合を説明するものである。
図11(a)は、モニタの表示例である。図11(a)
において、矢印はモニタ上に表示される動脈中の位置の
異なる各点α、β、γでの血流速度(向きと大きさ)を
示し、その血流速度の大きさは各々Va、Vb、Va
で、各点α、β、γにおける超音波走査線と血流の成す
角度(ドプラ角度)は各々θa、θa、θbである。ま
た、本例では、Va>Vb、θa<θbの関係となって
いる。
【0118】図11(b)は、図11(a)中の各点
α、β、γでの血流ドプラ速度、すなわち各点α、β、
γにおける血流速度の超音波線方向成分Va・cos
(θa)、Vb・cos(θb)、Vc・cos(θ
c)の時間変化を示す。図11(b)では、図11
(a)で示す同じ血管(動脈)であるため、ドプラ速度
の時間変化は各点でほぼ同じであるが、その大きさが比
例算で各点毎に異なっているのが分かる。従って、従来
の速度モード表示では、拍動性は本来同じであるにもか
かわらず、実際には異なったものとして表示されること
になる。このことは前述した通りである。
【0119】具体的には、図11(a)及び(b)に示
すように、流速が遅い細い血管(点β)や、ドプラ角度
の大きい血管(点γ)では、拍動性が小さく表示されて
しまい、実際に拍動性が弱い血管との区別がつきにくく
なる。また、カラーバーは、速度0から正負の折り返り
速度までを色相を変える等して表示され、例えば点αの
ところでは速い速度の色、点βや点γのところでは遅い
速度の色というように異なった色で表示されるため、更
に判別しにくい。この上、カラーバーの表示範囲や表示
方法が必ずしも拍動性を表示するのに適しておらず、表
示自体も分かりにくい。こういった事情により、従来の
速度モードで拍動性の判別をするのは容易ではなかっ
た。
【0120】これに対し、図12(a)及び(b)は、
本発明に基づく例の補正速度の表示で前述した従来例
(図11(a)及び(b))と同様の動脈を捉えた場合
を説明するものである。図12(a)は、モニタの表示
例で、図中のカラーバーは、前述した図9(a)や図1
0(a)の例と同様に、方向分離していない場合の補正
速度の例を示す。図12(b)は、各点α、β、γにお
いて前述した速度補正により補正された血流ドプラ速度
Va・cos(θa)、Vb・cos(θb)、Vc・
cos(θc)の時間変化を示す。
【0121】本例の場合は、図12(a)及び(b)に
示すように、同じ血管であれば、太くてドプラ角度の小
さい部分(点α)も、細い部分(点β)も、或いはドプ
ラ角度の大きい部分(点γ)も、全て同じように補正速
度は、速度の漸減部分の値はほぼ1で、拍動の強い部分
は1より大きい同様の値になる。
【0122】すなわち、本例の速度モードの表示では、
流速やドプラ角度に依存せずに、同様の補正速度が得ら
れ、従って同様の拍動性が得られる。これを前述したカ
ラーバーを用いて表示すれば、流速やドプラ角度に依存
せずに、拍動性を明瞭に表示でき、これにより、視認性
も大幅に向上するようになる。特に、本例の速度モード
では、場合によって非拍動性血管との区別が困難となる
遅い流速や大きいドプラ角度の血流に対しても拍動性の
検出ができるので、非常に効果的で、診断能もより大幅
に向上する。
【0123】なお、前述した通り、拍動性の変化は駆出
期に大きく現れるが、駆出期の時間範囲は200ms〜
300msなので、そのままを目視で確認すると短く感
じる場合も考えられる。この場合には、図13(a)〜
(c)に例示するように補正速度の変化を緩和する処理
を行えば、目視しやすくなり、有効である。
【0124】図13(a)は、緩和処理をしない場合の
補正速度の時間変化の例、図13(b)は、緩和処理を
した場合の補正速度の時間変化の例をそれぞれ示す。本
例では、図13(a)に示す補正速度に対し、拍動性を
的確に捉えるため、図13(b)に示すように、その立
ち上がり部分ではその立ち上がりに追従させ、その立ち
下がり部分では急速に小さくなるのではなく緩やかに小
さくなるように緩和処理が施される。このようにすれ
ば、残像感を出して拍動性の視認性をより向上させるこ
とが可能となる。
【0125】このような緩和処理は、例えば前述した表
示部6で行うことができる。この場合の表示部6の構成
例を図13(c)に示す。図13(c)において、表示
部6Aは、既知の構成、すなわちカラーイメージメモリ
61、断層像イメージメモリ62、DSC(デジタル・
スキャン・コンバータ)63、及びモニタ64のほか、
カラーイメージメモリ61とDSC63との間に補正速
度変化緩和器60が挿入されている。
【0126】この構成によれば、前述のCFM処理部4
から送られてくる補正速度データがカラーイメージメモ
リ61に一時格納される。このカラーイメージメモリ6
1には、複数フレーム分のデータが格納される。そこ
で、補正速度変化緩和器60は、カラーイメージメモリ
61のデータを読み出して前述の緩和処理を行い、その
値をDSC63に出力する。これとは別に、前述の断層
像処理部5から送られてくる断層像データは、断層像イ
メージメモリ62に格納された後、DSC63に出力さ
れる。
【0127】そして、DSC63では、所定の画像処
理、走査線変換のほか、補正速度変化緩和器60からの
緩和処理が施された補正速度画像と断層像イメージメモ
リ62からの断層像画像との合成等が行われ、その出力
がモニタ64上で画像として表示される。
【0128】なお、本例では、血流ドプラ信号の補正速
度を求める機能をCFM処理部4内に設けている構成と
しているが、これに限らず、例えば表示部6内に設ける
ことも可能である。この場合の構成例を図14に示す。
【0129】図14に示す例では、CFM処理部4B
は、従来と同様の構成(動き要素信号抽出器41、速度
演算器42)で構成され、速度演算器42から速度デー
タを出力する。また、表示部6Bは、前述した既知の構
成、すなわちカラーイメージメモリ61、断層像イメー
ジメモリ62、DSC63、及びモニタ64のほか、カ
ラーイメージメモリ61の入力側に前述のCFM処理部
4内に設けられた速度補正演算器42Aと同様の補正速
度演算器65(拍動の特徴を示す速度演算器66、代表
的な速度演算器67、補正器68、バッファメモリ6
9、及び1心拍時間設定器70)が付加されている。こ
の構成により、本例でも上記と同様の拍動性表示が可能
となり、同様の効果が得られる。
【0130】第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置を図
15〜図22に基づいて説明する。本例は、前述した血
流ドプラ信号の速度補正を3次元表示の場合に適用した
ものである。
【0131】図15は、本例の超音波診断装置の機能ブ
ロック図を示す。図15に示すように、本例の超音波診
断装置は、被検体の体表部分に当接させるプローブとし
て2次元アレイプローブ7を採用したものである。
【0132】その他、本例の超音波診断装置は、図15
に示すように、2次元アレイプローブ7に電気的に接続
された送信部2A(図1と同様の送信パルス発生器2
1、送信ビームフォーマ22のほか、スキャン制御器2
Cが付加)及び受信部3A(図1と同様のプリアンプ3
1、受信ビームフォーマ32)と、このうちの受信部3
Aに電気的に接続されたCFM処理部4(図1と同様の
動き要素信号抽出器41、補正速度演算器42)及び断
層像処理部5と、この両処理部4、5に電気的に接続さ
れた表示部8(図13(c)と同様のDSC83、モニ
タ84のほか、3次元カラーイメージメモリ81、3次
元断層像イメージメモリ82を採用)とを備える(前記
と同様の構成についてはその説明を簡略又は省略す
る)。
【0133】2次元アレイプローブ7は、超音波信号と
電気信号との間で双方向に信号変換する機能を有するも
ので、その一例として、その先端部に2次元に配置され
た2次元アレイ型圧電振動子を有する。この2次元アレ
イ型圧電振動子は、複数の圧電素子を縦横に2次元的に
配置し、超音波信号を縦横斜めの方向等、3次元的に走
査可能にしたもので、複数の圧電振動子それぞれが、送
受信の各チャンネルを成す。
【0134】この2次元アレイプローブ7を用いれば、
スキャンする断面を変えながら複数断面をスキャン(ボ
リュームスキャン)して、3次元データ(ボリュームデ
ータ)を収集することができる。このボリュームスキャ
ンの例を図16(a)〜(c)及び図17(a)〜
(c)に示す。
【0135】図16(a)は、断面をスキャンしなが
ら、その断面をその垂直方向に移動させる方法、図17
(a)は、断面をスキャンしながら、その断面をその中
心軸周りに回転させながら移動させる方法をそれぞれ説
明するものである。何れの方法においても、1つの断面
を複数回、好適には1心拍時間分、スキャンさせること
が共通し、これが本発明の特徴の1つとなっている。
【0136】その例として、図16(b)及び図17
(b)は、断面を一致させて1つの断面を1心拍時間、
スキャンした後、例えば超音波ビームの厚さ分だけ断面
をずらせて同様のスキャンを行う方法、また、図16
(c)及び図17(c)は、1断面を1フレームだけス
キャンした後、超音波ビームの厚みより小さい幅僅かに
ずらしながら1フレームずつスキャンを行う方法をそれ
ぞれ示す。何れの方法も、スキャンされた空間上の任意
の1点は1心拍時間スキャンされたことになる。このよ
うなボリュームスキャンによって、各断面における補正
速度の演算が初めて可能になり、3次元の拍動性表示が
初めて可能になる。
【0137】なお、図16(b)及び図17(b)の場
合は、スキャン断面が1心拍時間静止しているので、補
正速度の演算精度の面でより優れている。また、図16
(c)及び図17(c)の場合は、スキャン断面が連続
しているので、補正速度を空間的に細かく求めることが
でき、優れている。
【0138】これらのスキャンは、送信部2Aのスキャ
ン制御部23(図15参照)を用いてスキャン断面を制
御することで行うことができる。このスキャン制御シー
ケンスの一例を図18(a)〜(c)に示す。
【0139】図18(a)は、従来の1次元アレイプロ
ーブによる走査シーケンス例を説明するものである。こ
の場合は、図18(a)に示すように、同一のスキャン
断面で、その断面を構成する同一の複数走査線(図中の
走査線1、走査線、…、走査線J)を、画像の1フレー
ム毎(図中の1フレーム、2フレーム、…)に繰り返し
スキャンするようになっている。
【0140】これに対し、図18(b)及び(c)は、
本例の2次元アレイプローブによるボリュームスキャン
の制御シーケンス例を説明するものである。
【0141】この内、図18(b)は、前述した図16
(b)及び図17(b)の場合に相当するものである。
この場合は、図18(b)に示すように、ボリュームス
キャン領域内のある1つの断面(図中の断面1)で、そ
の断面を構成する複数走査線(図中の走査線1−1(断
面1の走査線1を意味する)、走査線1−2、…、走査
線1−J)を走査して1フレームとし、同一断面で同一
走査をI回(Iフレーム)、即ち、1心拍時間分、繰り
返しスキャンした後、例えば超音波ビームの厚み分だけ
断面の位置をステップ状にずらし、その断面(図中の断
面2)で同様に1心拍時間分スキャンし、以後、ボリュ
ームスキャン領域内の全ての断面に対し1心拍時間分ス
キャンするようになっている。
【0142】また、図18(c)は、前述した図16
(c)及び図17(c)の場合にそれぞれ相当するもの
である。この場合は、図18(c)に示すように、ボリ
ュームスキャン領域内のある1つの断面(図中の断面
1)で、その断面を構成する複数走査線(図中の走査線
1−1、走査線1−2、…、走査線1−J)を、画像の
1フレーム分スキャンし後、超音波ビームの厚みよりも
小さい幅(例えば、超音波ビームの厚みの1/Iの厚み
幅)だけ断面の位置を少しずらし、その断面(図中の断
面2)で同様に1フレーム分スキャンし、以後、断面の
位置を少しずつずらしながら断面3、…、断面I、断面
I+1、…と連続的に順次スキャンしていく。I個の断
面をスキャンするのに1心拍時間要することになる。そ
して、断面1から断面Iまでのデータで補正速度を演算
し、1つの補正速度データの断面が得られる。次に1フ
レーム分の時間遅れで、断面2から断面I+1までのデ
ータで補正速度を演算し、となりの補正速度データの断
面が得られる。以下、同様に1フレーずつ遅れて、順
次、となりあった断面の補正速度が得られる。
【0143】なお、上記のボリュームスキャンの場合、
断面をスキャンする際に1回の送信に対して複数方向か
ら受信する並列同時受信を用いれば、例えば複数の断面
を同時にスキャンすることができ、ボリュームスキャン
の時間を短縮できる等、1つの断面を1心拍時間スキャ
ンしながら種々のスキャン法を工夫できることは勿論で
ある。
【0144】なお、本例では、2次元アレイプローブ7
を用いた電子スキャンを例示してあるが、その利点を他
の方法(1次元アレイプローブを用いた場合)と比較し
て説明する。
【0145】図19(a)は、従来の1次元配列の振動
子を有する電子スキャンプローブ(1次元アレイプロー
ブ)を手に持って、通常の1断面スキャンを行いなが
ら、そのスキャン断面と垂直方向に断面の位置をずら
す、いわゆるハンドスキャンによる方法を説明するもの
である。この方法では、前述のように1つの断面を1心
拍時間スキャンしながら断面の位置をずらすことは大き
な困難を伴い、実用的ではない。
【0146】図19(b)は、従来の1次元配列の振動
子を有する電子スキャンプローブ(1次元アレイプロー
ブ)を既知のガイド棒を用いたスライド機構及び回転機
構を有するプローブ移動用の機械に装着し、この機械を
用いてプローブをゆっくり動かしながら1つの断面を1
心拍時間スキャンしながらボリュームデータを収集する
方法を説明するものである。この方法は、1つの断面を
1心拍時間スキャンすることが可能であるが、機械が大
掛かりになり、スキャンとプローブ移動との同期をとる
必要もあって煩雑となり、図19(a)の場合と同様に
実用的ではない。
【0147】これに対し、図19(c)は、本例の2次
元アレイプローブ7で電子スキャンを行う方法を説明す
るものである。この方法によれば、操作者は被検体の検
査部位にプローブを固定していればよく、これにより、
自動的に精度よくボリュームデータが収集・表示され、
簡便で精度良い3次元の拍動性表示が可能となる。
【0148】上記の2次元アレイプローブ7で収集され
たデータから、補正速度が演算される。このときの補正
速度としては、例えば最大速度を用いると3次元の再構
成が容易になる。この最大速度を用いた補正を行うため
の補正速度演算器42の構成例を図20に示す。
【0149】図20に示す補正速度演算器42Eは、前
述した図3の場合と同様に、速度演算器46、バッファ
メモリ47、平均速度演算器44A、除算器45A、及
び1心拍時間設定器48のほか、拍動の特徴を示す速度
演算器として最大速度検出器43Bを有する。ここでの
最大速度検出器43Bの動作例を図21に示す。
【0150】図21は、前述した図4(a)及び(b)
の場合と同様に、ある1ピクセルを対象として時間tに
対する速度Vの変化を示すグラフである。図21におい
て、TFRは、速度データのサンプリング時間(TFR
=1/フレーム数)、THRは、1心拍時間、V
…、V、…、V、VL+1、…、VII、…は、あ
るピクセルにおいて時間TFR毎にサンプリングされる
速度データ、データ群(0)は、ある時間において1心
拍時間THR分、バッファメモリ47に格納される速度
データ群(V、V、…、V)、データ群(1)
は、データ群(0)の時相よりも1フレーム後に格納さ
れる速度データ群(V、…、VL+1)をそれぞれ示
す(図中のデータ群(2)、(3)、(4)…もこれと
同様である)。
【0151】ここで、バッファメモリ47には、データ
群の中の最も古いデータ、すなわち速度Vが棄却さ
れ、最新のデータ、すなわち速度VL+1が追加され、
このようにしてデータが順次更新されていく。
【0152】これと同時に、最大速度検出器43Bに
て、データ群毎に速度データの最大速度、すなわち図2
1の例ではデータ群(0)〜(2)では速度V、デー
タ群(3)、(4)では速度VIIが読み出され、除算
器45Aに送られる。このデータ群は、1心拍時間T
HR分のデータなので、どのデータ群にも常に1心拍中
の最大速度データが含まれている。しかも、格納される
データ群は常に最新値に更新されているので、最大速度
も常に最新値となる。
【0153】一方、平均速度演算器44Aでは、前述と
同様に、データ群の速度データの平均値<V>、<V
、<V>、<V>、…が逐次演算され、除算器
45Aに送られる。
【0154】これにより、除算器45Aでは、最大速度
検出器43Bからの最大速度(V、VII等)と、平
均速度演算器44Aからの平均速度<V>、<V
、<V>、<V>、…とを元に、補正速度V
cmp0、Vcmp1、Vcmp2、Vcmp3、…
が、
【数16】 …の式で示すように逐次演算される。
【0155】この場合、分母である速度データの平均値
として、絶対値を採用すると、補正速度は、
【数17】 …の式で演算でき、これにより、分子である瞬時速度の
正負の符号で方向分離された方向付き補正速度データが
得られる。
【0156】また、補正速度として絶対値を採用する
と、
【数18】 …の式で示すように、大きさのみを示す補正速度データ
が得られる。この演算は、前述した図3の場合と同様で
ある。
【0157】このようにすれば、常に補正された最大速
度を表示でき、例えば前述した図5の表示例の場合、動
脈は常に速い速度を示す黄色で示され、静脈や門脈は常
に遅い速度を示す赤色で示され、静止画状態の画像が表
示される。一般的には、拍動性を示す情報として心時相
で変化しない情報を用いれば、静止画状態の画像が表示
される。この画像は、静止画を見たい場合、静止画をデ
ータとして保存する場合、3次元画像を構成する場合等
に特に効果的である。
【0158】また、補正された最大速度データは、ホー
ルドせずにリアルタイムで常に更新されるので、仮にゆ
るやかな呼吸を行って血管が多少移動したとしても、血
管の表示もそれに応じて移動して表示でき、有効であ
る。従って、こういった補正された最大速度データを用
いれば、視認性、保存性、及びリアルタイム性に優れ且
つ3次元画像構成に適した拍動性画像が得られ、診断能
がより一層向上するといった利点がある。
【0159】上記のように補正速度演算器42Eで演算
された補正速度データは、表示部8に送られる(図2
0、図15参照)。この表示部8は、前述した通り、イ
メージメモリとして3次元データが格納可能な3次元カ
ラーイメージメモリ81及び3次元断層像イメージメモ
リ82を備え、上記の補正速度データを3次元カラーイ
メージメモリ81に格納すると共に、これと同時に2次
元的又は3次元的に収集・演算された断層像データを3
次元断層像イメージメモリ82に格納する。
【0160】そこで、前述したボリュームスキャンが終
了し、ボリュームデータの収集が終了すると、3次元カ
ラーイメージメモリ81に格納された3次元の補正速度
データと、3次元断層像イメージメモリ82に格納され
た2次元または3次元の断層像データとが読み出され、
操作者が図示しない操作パネルから入力及び指定された
フォーマットに従って、DSC83を介してモニタ84
上に3次元画像が表示される。この3次元画像の表示例
を図22(a)及び(b)に示す。
【0161】図22(a)は、3次元の拍動性血管像に
2次元の断層像を組み合わせた画像であり、図22
(b)は、3次元の拍動性血管像に3次元の断層像を組
み合わせた画像である。
【0162】従って、これらの画像表示法の特徴を生か
し、必要に応じて使い分けることにより、断層像で位置
同定したり患部を観察したりしながら、拍動性血管を3
次元で表示できるので、動静脈を血管の繋がりよく、視
認性よく、簡便に、区別しながら認識でき、検査の効率
と精度が大幅に向上するようになる。
【0163】以上のように、上記第1及び第2実施形態
によれば、血管の拍動性を捉えることにより、血管を動
脈・静脈と描き分けることが基本的に可能となる。しか
し、動静脈と拍動性とは厳密には1対1で対応しないこ
とが明らかであり、その例外が発生する場合も考えられ
る。
【0164】例えば、下大静脈では拍動性が見られ、こ
の様な場合には静脈であってもある程度拍動性画像とし
て表示される可能性がある。また、図23に示すドプラ
画像のように、腫瘍血流において拍動性を示しながらも
1心拍の平均速度に対して速度の変化が小さい場合があ
り、この様な場合は、拍動しているにも拘わらず拍動性
画像として明瞭に表示されない場合も考えられる。
【0165】そこで、上記のような場合の改善策とし
て、より好適な例を図24及び図25に基づいて説明す
る。
【0166】本例の方法では、まず、CFM処理部にお
いて従来行われているように、ピクセル毎に速度演算を
行い、各ピクセルの速度を求める。そして、図24に示
すように、マーカを用いて拍動性画像上で任意のピクセ
ルが指定されると、その指定されたピクセルの速度の時
間変化(速度−時間のグラフ)を拍動性画像と同時に表
示する。
【0167】これによれば、従来のCFM及びスペクト
ラムドプラの同時表示では、スペクトラムドプラがCF
Mと別に専用のスキャンを必要としているため、CFM
画像のフレーム数が1/2に低下するのに対し、本例に
よる方法では、拍動性表示と同じスキャンデータから速
度が求められるので、フレーム数が低下するといった事
態は発生しない。このことは、拍動性表示を行う際に駆
出期を確実に捉えるためには非常に重要である。また、
従来のCFM、スペクトラムドプラ同時表示が、1点の
スペクトラムしか表示できないのに対し、本例による方
法では、複数点の速度の時間変化が表示可能であり、使
い勝手が格段によい。もちろん、拍動性画像と同期して
リアルタイム表示が可能であり、速度−時間のグラフの
み、又は、拍動性画像のみをフリーズさせることも可能
である。
【0168】なお、本例で用いるマーカは、その大きさ
を変えることができ、マーカの範囲内で空間的な平均処
理を行えば、速度データを安定させることができる。ま
た、速度−時間のグラフは、実際はフレーム毎の速度を
プロットすることになるが、これは図25(a)〜
(b)に示すように、各フレームの値を点でプロットし
てもよく、或いは各点を折線や曲線で結んでもよい。ま
た、心電同期で時相をずらしながら速度を求めて数心拍
の速度を重ね書きすれば、時間間隔がより密なグラフが
得られる。また、速度演算では、通常は平均速度を求め
て表示するが、その平均速度と速度の分散とを組み合わ
せることで擬似的な最高速度を求めて表示してもよい。
さらに、本例の方法ではリアルタイム表示が最適である
が、これに限定されず、例えば拍動性表示をフリーズし
た後、指定したピクセルの速度−時間表示を行ってもよ
い。この場合、速度データをメモリに記憶させておく必
要がある。
【0169】上記の例によれば、拍動流の表示画像を補
い、より確実な拍動性検出を行なうことができ、診断能
がより一層向上する。
【0170】なお、上記の拍動流表示については、例え
ば、次のような第1〜第3の適用例が可能である。
【0171】1)第1の適用例は、上記の拍動流表示と
既知の広帯域送信(例えば、特開2000−34258
6号公報、特開2001−269344号公報等参照)
の方式とを組み合わせるものである。ここでの「広帯域
送信」とは、パワードプラモード時に、通常の4波〜8
波の超音波パルスによる送信駆動を行なうのではなく、
Bモード時と同等の1波又は2波の超音波パルス、即ち
広帯域の超音波パルスによる送信駆動するもので、これ
により、Bモードと本質的に同等の距離分解能を得るこ
とができる(例えば特開2000−342586号公報
参照)。
【0172】この広帯域の超音波パルスの例としては、
例えばバースト波数が3未満の超音波パルスを例示でき
る。これにより、ブルーミングが無い又は殆どない空間
分解能の良い血流画像を表示でき、診断能をより向上さ
せることが可能となる。(例えば、特開2000−34
2586号公報参照)。ここで、超音波パルスの送信周
波数の逆数が送信パルスの1周期であり、1周期の時間
長さを持つ超音波パルスをバースト1数のパルス、2周
期の時間長さ持つ超音波パルスをバースト2波のパル
ス、M周期の時間長さを持つ超音波パルスをバーストM
波のパルスとそれぞれ呼び、このときの1波、2波、
…、M波をバースト波数と呼ぶ。
【0173】従って、本適用例によれば、上記の拍動流
表示による効果に加え、より一層の高分解能化が可能と
なる。
【0174】2)第2の適用例は、前述した基準速度を
算出する方法を工夫したものである。
【0175】図26は、血流画像を成すカラーマップ上
のある1つのピクセルでの速度の時間変化(フレーム方
向変化)を例に挙げて、前述した補正速度を求める演算
式を説明するものである。一般性を失うことなく、ここ
では例として、基準速度として、1心拍時間の速度の絶
対値の平均値をとり、補正速度=瞬時速度の絶対値/1
心拍時間の速度の絶対値の平均値とする。この補正速度
は、前述した通り、速度データを同じピクセルの速度で
割って求めているため、ドプラ角度依存性の問題が解消
され、血管の拍動性をより明瞭に検出することができ
る。この場合の平均値の算出法は、1心拍時間の全ての
瞬時速度を対象として、その範囲での平均演算を1回行
なって平均値を求めるのが通常である。
【0176】この1回平均の方式に対し、本適用例にお
ける平均値の算出法として2回平均方式を採用した場合
を図27(動脈の場合)及び図28(静脈の場合)に示
す。本例における2回平均方式は、1心拍中の全ての瞬
時速度を対象としてその範囲での平均演算により平均値
M1を演算後、さらに、その平均値M1の所定値(Th
値、例えばTh値=1+α)倍の値(M1*Th値)以
下の瞬時速度のみを対象として(言い換えると、M1*
Th値を超える瞬時速度を除外として)、2回目の平均
演算を行なってその平均値M2を求め、これを平均値M
1の代わりに上記補正速度の演算式中の分母側に採用す
るものを言う。
【0177】この2回平均方式によれば、1)図27に
示す動脈の場合では、1回平均演算による平均値M1と
比べると、2回目の平均値M2が低くなる分、拍動性が
より強調されるのに対し、図28に示す静脈の場合では
両者の差は殆どなく非拍動性に表示される、2)2回目
の平均値M2の方が図27から手動でトレースして出す
平均値に感覚的に近く理解しやすい、3)駆出期しか検
出されていない場合でも、拍動性が表示され易い等の特
徴が得られ、静脈と動脈とをより一層明瞭に見分けるこ
とができるようになり、診断能をより向上させることが
可能となる。
【0178】3)第3の適用例は、上述の拍動流表示と
既知のパワー表示とを混在させて表示するものである。
【0179】呼吸・拍動等により臓器が動いた場合や、
血管が末梢血管やドプラ角度が大きい血管である様な場
合に、一時的にあるいは心時相によっては血流信号が検
出できないことがあり、その結果、基準速度が求まらず
に運動体の速度を補正できない場合がある。
【0180】即ち、臓器が動いた場合には、ある1つの
ピクセルに着目した場合、1心拍時間内で血管が存在し
なくなり、1心拍時間内の運動体の速度が全ては得られ
ず欠落が生じる。
【0181】また、末梢血管では、血流速度が遅くなり
検出されるドプラ信号周波数は低くなり、ドプラ角度が
大きい血管でも角度依存性により検出されるドプラ信号
周波数はやはり低くなる。この様な場合には、MTIフ
ィルタによってドプラ周波数が低い信号はカットされる
ので、例えば動脈の駆出期のドプラ信号は検出できるが
拡張期のドプラ信号は検出できないようなことが生じ、
その結果、1心拍時間内の運動体の速度が全ては得られ
ず欠落が生じる。
【0182】本適用例は、この様な事態に対処するため
のものである。そのために、ある程度、運動体の速度の
欠落が生じても、基準速度を求められる様にする。以
下、1つのピクセルに着目して説明する。
【0183】図29に示すように、例えば1心拍時間に
20フレームあったとすると、その内の例えば70%以
上のフレームで運動体の速度が検出できれば、即ち14
フレーム以上で運動体の速度が検出できれば、これらの
値を用いて計算する基準速度は信頼性があると判断し、
基準速度を計算する。この14フレームは連続したフレ
ームであってもよいし(図29中の(1)、(2)参
照)、とびとびのフレームであってもよい(図29中の
(3)参照)。そして、検出された運動体の速度をここ
で計算した基準速度で補正して補正速度を求める。そし
て、そのフレームのそのピクセルでは拍動性表示を行な
う様にする。
【0184】一方、20フレーム中で14フレーム未満
の運動体の速度しか検出できなければ、この場合に計算
する基準速度は信頼性がないと判断し、基準速度を計算
せず補正速度を求めない(図29中の(4)参照)。し
かし、血流信号は検出されているので、血流の存在を示
すため、そのフレームのそのピクセルでは通常のパワー
表示で表示する様にする。もちろん、運動体の速度が検
出されていないピクセルでは拍動性表示もパワー表示も
しない。
【0185】この結果、図30(a)に示すように、拍
動性表示とパワー表示とが混在して表示されることにな
る(以下、この表示を「拍動流・パワー混在表示」と称
する)。このように拍動流・パワー混在表示にすること
により、検出された血管は全て表示できることになり、
かつ運動体の速度の補正ができた血管は拍動性が表示で
き、血管検出能が高くかつより高い検出確率で拍動性表
示が可能で、診断能が大きく向上する。
【0186】この拍動流・パワー混在表示においては、
拍動性画像とパワー画像をカラーで表示すれば視認性が
向上して効果的である。この場合のカラーバーの例を図
30(b)、(c)に示す。カラーバーは、補正速度
(拍動流)のカラーバーと、パワーのカラーバーとを同
時に表示する。
【0187】図30(b)は、図10(a)の補正速度
のカラーバーと通常のパワーのカラーバーとを組み合わ
せた例であり、図30(c)は、図10(b)の補正速
度のカラーバーと通常のパワーのカラーバーとを組み合
わせた例である。いずれの場合も、補正速度とパワーと
が別の色で表示されるので、拍動流とパワーの区別が明
瞭にできてかつ拍動流については拍動の程度が明瞭に示
され、検出能と診断能が大きく向上する。
【0188】さらに、前述した図30(a)に示す補正
速度のカラーバーには、上限値と下限値が表示されてい
る。この様にすることにより、補正速度のカラーから拍
動の程度を更に読み取り易くすることができる。
【0189】さらに、図30(d)に示すように、図示
しない操作パネル上に設定スイッチを設けることによ
り、図30(a)の画像を見ながら、補正速度の上限
値、下限値を適切に設定することができ、拍動の視認性
を向上することができる。また、図30(a)の画面上
に折返り速度を表示し、さらに図30(d)に示すよう
に、図示しない操作パネル上に設定スイッチを設けるこ
とにより、図30(a)の画像を見ながら、折返り速度
を適切に設定して、拍動の表示性能を向上させることが
できる。
【0190】以上により、本適用例によれば、血流と拍
動性の検出能を高くし、かつ拍動の視認性を向上させる
ことにより、診断能をより大きく向上させることが可能
になる。
【0191】なお、本発明は、代表的に例示した上記実
施例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許
請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない
範囲内で種々の態様に変形、変更して実施でき、これら
の変更、変形例も本発明の権利範囲に属する。
【0192】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
血流の補正速度を2次元的または3次元的に表示するこ
とにより、血流の拍動性を効果的に表示することがで
き、動脈、静脈、門脈等を識別することができる。従っ
て、血管の視認性が向上し、検査効率と精度が向上し、
診断能が大幅に向上する。
【0193】また、本発明において3次元スキャンを行
って血流の拍動性を捉えて3次元的に表示する場合、1
断面を複数回スキャンしながら3次元スキャンを行うこ
とにより、精度の高い拍動性データを3次元的に得るこ
とができ、診断能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の
全体構成を示す概略ブロック図。
【図2】補正速度演算器の全体構成を示す概略ブロック
図。
【図3】瞬時速度を平均速度で除算する場合の補正速度
演算器の具体例を示す概略ブロック図。
【図4】(a)及び(b)は瞬時速度抽出器の動作を説
明する時間ー速度のグラフで、(a)は瞬時速度として
データ群の最新のデータを採用する場合のグラフ、
(b)は瞬時速度としてデータ群の中央のデータを採用
する場合のグラフ。
【図5】(a)〜(c)は、1心拍時間の速度データの
平均値としてベクトル的な平均値又はその絶対値を用い
る場合の説明図。
【図6】拍動の特徴を示す速度を代表的な速度基準の値
に変換する場合の補正速度演算器の具体例を示す概略ブ
ロック図。
【図7】折り返り補正機能を有する場合の補正速度演算
器の具体例を示す概略ブロック図。
【図8】折り返り補正法の例を説明する図。
【図9】(a)は、補正速度の表示例を示す図、(b)
は、(a)に対応した補正速度の時間的な変化を示すグ
ラフ。
【図10】(a)〜(e)は、カラーバーの表示例を説
明する図。
【図11】(a)及び(b)は、従来の速度モードの表
示で動脈を捉えた場合の説明図。
【図12】(a)及び(b)は、本発明の場合の補正速
度の表示で図11と同じ動脈を捉えた場合の説明図。
【図13】(a)は、補正速度の変化を緩和しない場合
の補正速度の時間変化を示すグラフ、(b)は、補正速
度の変化を緩和した場合の補正速度の時間変化を示すグ
ラフ、(c)は、補正速度の変化を緩和する機能を有す
る表示部の要部構成を示す概略ブロック図。
【図14】表示部内に補正速度演算器を有する構成例の
概略ブロック図。
【図15】本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置
の全体構成を示す概略ブロック図。
【図16】(a)〜(c)は、ボリュームスキャンの一
例を説明する図。
【図17】(a)〜(c)は、ボリュームスキャンのそ
の他の例を説明する図。
【図18】(a)〜(c)は、ボリュームスキャンの制
御シーケンスの一例を説明する図。
【図19】(a)〜(c)は、2次元アレイプローブを
用いた電子スキャンを他の方法と比較した場合の説明
図。
【図20】拍動の特徴を示す速度として最大速度を採用
した場合の補正速度演算器の具体例を示す概略ブロック
図。
【図21】図20に示す補正速度演算器の動作を説明す
る時間−速度のグラフ。
【図22】(a)及び(b)は、3次元画像の表示例を
説明する図。
【図23】拍動しているにも拘わらず拍動性画像が明瞭
に表示されない場合の例を説明する時間−ドプラ速度の
グラフ。
【図24】マーカで指定されたピクセルの速度の時間変
化を示すグラフを拍動性画像と同時に表示する場合を説
明する図。
【図25】(a)〜(c)は、マーカで指定されたピク
セルの速度の時間変化を示す各種グラフ。
【図26】補正速度として正規化速度を採用する場合の
演算方法の概要を説明する図。
【図27】2回平均方式による動脈の場合の平均値を説
明する図。
【図28】2回平均方式による静脈の場合の平均値を説
明する図。
【図29】1心拍中の速度データの有効フレーム率を用
いて拍動性演算の有効・無効を判定する場合を説明する
図。
【図30】(a)〜(d)は、拍動性とパワーの混在表
示を説明する図。
【符号の説明】
1 プローブ 2、2A 送信部 3、3A 受信部 4、4A、4B CFM処理部 5 断層像処理部 6、6A、6B 表示部 7 2次元アレイプローブ 8 表示部(3次元表示の場合) 21 送信パルス発生器 22 送信ビームフォーマ 23 スキャン制御器 31 プリアンプ 32 受信ビームフォーマ 41 動き要素信号抽出部 42、42A〜42E 補正速度演算器 43 拍動の特徴を示す速度(運動体の速度)演算器 43A 瞬時速度抽出器 43B 最大速度検出器 44 代表的な速度(基準速度)演算器 44A 平均速度演算器 45 補正器 45A 除算器 45B 平均速度基準速度変換器 46 速度演算器 47 バッファメモリ 48 1心拍時間設定器 49 折返り補正器 60 補正速度変化緩和器 61 カラーイメージメモリ 62 断層像イメージメモリ 63 DSC 64 モニタ 65 速度補正演算器(表示部側) 66 拍動の特徴を示す速度(運動体の速度)演算器 67 代表的な速度(基準速度)演算器 68 補正器 69 バッファメモリ 70 1心拍時間設定器 81 3次元カラーイメージメモリ 82 3次元断層像イメージメモリ 83 DSC 84 モニタ
フロントページの続き Fターム(参考) 4C301 DD04 DD10 EE20 JB17 JB21 KK16 KK21 4C601 DD07 DE01 DE03 EE30 JB34 JB51 JC25 KK18 KK21

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体内に超音波パルスを送受信しなが
    らスキャンを行なうスキャン手段と、 前記スキャン手段によるスキャンで得られる受信信号か
    ら前記被検体内の運動体の速度を順次求める手段と、 所定時間中に得られる複数の前記速度から基準速度を求
    め、前記運動体の速度それぞれを前記基準速度を用いて
    補正する処理手段と、 前記処理手段で求めたデータを、前記所定期間中に複数
    回更新するように表示する表示手段とを備えたことを特
    徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 前記基準速度は、 1)所定時間の速度の平均値又はこの平均値の絶対値、 2)所定時間の速度の絶対値の平均値、 3)所定時間の速度のRMS値(Root Mean Square Val
    ue)、 4)所定時間の速度又はこの速度の絶対値に対し、FI
    R(Finite Impulse Response)フィルタ、IIR(Inf
    inite Impulse Response)フィルタ、及び非線形フィル
    タのいずれかを用いて演算した値又はその絶対値、及び 5)所定時間の速度のベクトル的な平均値又はこの平均
    値の絶対値、の内の少なくとも1つであることを特徴と
    する請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 前記処理手段は、 1)前記運動体の速度を前記基準速度で除算する手段、
    及び 2)前記運動体の速度を前記基準速度に対する相対的な
    値に変換する手段の内の少なくとも1つを備えたことを
    特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 被検体内に超音波パルスを送受信しなが
    らスキャンを行なうスキャン手段と、 前記スキャン手段によるスキャンで得られる受信信号か
    ら前記被検体内の移動体に関する速度情報を求める手段
    と、 前記速度情報に基づいて、拍動の状態を表す表示画像を
    生成する表示画像生成手段と、 前記速度情報に基づいて、拍動表示のオン・オフ動作を
    切り替えるように前記表示画像生成手段を制御する手段
    とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 【請求項5】 前記処理手段は、前記速度のサンプリン
    グ定理に基づく折り返りを補正する手段と、前記処理手
    段で求めたデータの時間的変化を緩和する手段との少な
    くとも1つを備えたことを特徴とする請求項1記載の超
    音波診断装置。
  6. 【請求項6】 前記スキャン手段は、前記被検体内の1
    断面を心拍動の駆出期に対応する時間の逆数で示される
    値以上のフレーム数でスキャンすることを特徴とする請
    求項1記載の超音波診断装置。
  7. 【請求項7】 前記表示手段は、前記処理手段で求めた
    データの2次元画像を表示することを特徴とする請求項
    1記載の超音波診断装置。
  8. 【請求項8】 被検体内に超音波パルスを送受信しなが
    ら1断面を1心拍分に相当する複数回スキャンしながら
    3次元的にスキャンするスキャン手段と、 前記スキャン手段による3次元的なスキャンで得られる
    受信信号から前記被検体内の運動体の速度を順次求める
    手段と、 所定期間中に得られる複数の前記速度から基準速度を求
    め、前記運動体の速度それぞれを前記基準速度を用いて
    補正する処理手段と、 前記処理手段で求めたデータの少なくとも3次元画像
    を、前記所定期間中に複数回更新するように表示する表
    示手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 【請求項9】 前記スキャン手段は、2次元アレイ振動
    子を用いた電子スキャンにより前記被検体を3次元的に
    スキャンする手段であり、 前記運動体の速度は、所定時間の最大速度であり、 前記基準速度は、前記被検体の心時相で変化しない情報
    であることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装
    置。
  10. 【請求項10】 前記断面の断層像を得る手段を更に備
    え、 前記表示手段は、前記断層像と前記処理手段で求めたデ
    ータの画像とを同一モニタ上に表示する手段と、前記断
    層像に前記処理手段で求めたデータの画像を重畳表示す
    る手段との少なくとも1つを備え、 前記断層像は、2次元画像又は3次元画像であることを
    特徴とする請求項1または請求項8記載の超音波診断装
    置。
  11. 【請求項11】 前記処理手段で求めたデータの画像を
    カラーで表示する手段と、 前記処理手段で求めたデータと前記被検体の運動体から
    の散乱エコーのパワー情報とを組み合わせた情報を表示
    する手段と、 前記処理手段で求めたデータの大きさが前記基準速度の
    近傍及びそれよりも小さい値に対しては所定のカラーバ
    ーの色を低速を表す色とし、前記処理手段で求めたデー
    タの大きさが前記基準速度の近傍より大きくなるにつれ
    て前記カラーバーの色を高速を表す色とするように表示
    する手段と、 前記処理手段で求めたデータと折り返り速度とを同時に
    表示する手段との少なくとも1つを備えたことを特徴と
    する請求項1または請求項8記載の超音波診断装置。
  12. 【請求項12】 前記処理手段は、前記被検体内の運動
    体の速度をピクセル毎に求める手段を備え、この1つ以
    上のピクセルにおける速度の時間変化のグラフを、前記
    処理手段で求めたデータの画像と同時に表示する手段を
    備えたことを特徴とする請求項1または請求項8記載の
    超音波診断装置。
  13. 【請求項13】 前記処理手段は、パルサティリティー
    ・インデックス(PI)、レジスティビティ・インデッ
    クス(RI)等のインデックスを求める処理手段を備え
    たことを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
  14. 【請求項14】 前記処理手段で求めたデータの画像と
    前記被検体の運動体からの散乱エコーのパワー情報の画
    像とを混在させて表示する手段と、 前記処理手段で求めたデータと前記パワー情報とを組み
    合わせた情報の画像と前記パワー情報の画像とを混在さ
    せて表示する手段と、 前記処理手段で求めたデータのカラーバーと前記パワー
    情報のカラーバーを同時に表示する手段と、 前記処理手段で求めたデータと前記パワー情報とを組み
    合わせて表すカラーバーと前記パワー情報のカラーバー
    を同時に表示する手段と、 前記処理手段で求めたデータのカラーバーの上限値と下
    限値を設定する手段と、 前記処理手段で求めたデータのカラーバーの上限値、下
    限値、及び折返り速度の少なくとも1つを表示する手段
    と、の内の少なくとも1つを備えたことを特徴とする請
    求項1または請求項8記載の超音波診断装置。
  15. 【請求項15】 前記平均を行なった後、平均値の(1
    +α)倍(α≧0)以下の前記運動体の速度を用いて再
    度前記平均を行い、この2回目の平均値を前記基準速度
    とすることを特徴とする請求項2記載の超音波診断装
    置。
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