JP2003059838A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

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JP2003059838A
JP2003059838A JP2001246146A JP2001246146A JP2003059838A JP 2003059838 A JP2003059838 A JP 2003059838A JP 2001246146 A JP2001246146 A JP 2001246146A JP 2001246146 A JP2001246146 A JP 2001246146A JP 2003059838 A JP2003059838 A JP 2003059838A
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dielectric
plasma
plasma processing
high frequency
small electrodes
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JP2001246146A
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Takashi Inamasu
崇 稲増
Kenji Wada
健司 和田
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理面積の大型化、処理速度の向上、および
処理品質の向上が可能な、プラズマ処理装置を提供す
る。 【解決手段】 プラズマ処理装置は、反応容器4、その
中に設けられた高周波電極20、および高周波電極20
に組合わせられた誘電体6を有する。高周波電極20
は、互いに離された複数の小電極21〜24からなる。
小電極21〜24のうち少なくとも2つにそれぞれ印加
される高周波電圧は、位相が互いに異なる。誘電体6
は、昇降機構7により小電極21〜24に対して移動可
能である。誘電体6を移動させることにより、電極20
によって印加される電界の強度分布が調節できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ処理装置
およびプラズマ処理方法に関し、具体的には、被処理部
材に対し膜堆積、エッチングあるいは表面改質を行うの
に好適なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】今日、半導体装置の製造プロセスにおい
て、プラズマエネルギーを利用した薄膜堆積、エッチン
グ、表面改質等の処理が必要不可欠になっている。これ
らのプラズマ処理工程では、液晶ディスプレイや太陽電
池等の半導体装置の大型化、および処理能力向上の要求
に対応した被処理面積の大型化や処理速度の向上、そし
て処理品質の向上が重要な課題である。
【0003】このようなプラズマ処理の現状について説
明する。代表的なプラズマ処理を用いた膜堆積法である
プラズマCVD法を例にとると、堆積される膜として、
代表的には、シリコンの多結晶薄膜、微結晶薄膜、非晶
質薄膜、および酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、珪化
金属膜等のシリコン化合物膜などがある。プラズマCV
D法における量産性を向上させるために、高周波電力を
高める、または原料ガスの供給量を増加させることで、
製膜速度を増大させることが可能である。しかしなが
ら、高周波電力として13.56MHzのRF帯高周波
を用いた従来の方法において、そのような条件で膜堆積
を行うと、多量のパウダーが生成し得る。パウダーが被
処理部材へ付着すれば、膜質の低下、引いては歩留まり
の低下を引き起こすため、製膜速度を著しく向上させる
ことは実現困難である。
【0004】良好な膜品質と高い製膜速度の両立という
課題の解決策として、より高い周波数の高周波電力を使
用することが有望視されている。周波数を更に増加させ
たVHF帯高周波を用いることで、プラズマ温度の低減
と、プラズマ密度の向上が同時に成し得ることが知られ
ている。VHF帯高周波を用いることで、高品質な膜を
より高速で堆積できると期待される。
【0005】しかしながら、VHF帯高周波はRF帯高
周波よりも波長が短いため、プラズマ処理に使用する高
周波電極の表面最大寸法が大きくなるほど、電極上で発
生する定在波の影響が大きくなることが知られている。
その結果、プラズマの面内均一性が悪くなるため、膜堆
積の場合は膜厚や膜特性の面内均一性の悪化、エッチン
グの場合はエッチングレートの面内均一性の悪化を引き
起こしてしまう。また、周波数が高くなるほど浮遊容量
の影響が大きくなり、電極間以外での高周波電力の損失
が大きくなるため、安定なプラズマ生成が困難になる。
これらのことから、RF帯高周波に対応した従来の装置
において、VHF帯高周波を用いた大面積処理を行うこ
とは、実用上困難である。
【0006】このような課題に対し、VHF帯高周波を
用いて大面積処理を可能とする手法が特開2000−2
68994号公報に開示されている。図21は、特開2
000−268994号公報に開示されているプラズマ
CVD装置の一例を示す。当該装置は、高周波電極20
1と基板電極202を反応室203内に備える。高周波
電極201は、電気絶縁体302で複数の導体部301
に電気的に分割されている。導体部301の表面の最大
寸法は、c/4f(cは真空中の高速、fは高周波電圧
の周波数)よりも小さい。高周波電源204で発生させ
た高周波電圧は、マッチングボックス205および位相
調整器211を経て、それぞれの導体部301に印加さ
れる。シラン、水素等のガスを反応室203の中に導入
し、排気系209によって反応室203内の圧力を所定
の範囲に保つ。導体部301にそれぞれ印加された高周
波電圧によりプラズマ210が発生する。プラズマ21
0によってガスが分解され、基板電極202に配置され
た基板207上に非晶質シリコン薄膜が堆積される。こ
の装置において、各導体部301にそれぞれ印加される
高周波電圧の位相はずらされている。同公報は、このよ
うな装置により、放電を安定させ、膜厚の均一性を向上
できることを開示する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、後述するよう
に、上述した従来の装置においても、局所的に処理効果
(たとえば膜厚)が顕著に異なり得るという問題が見出
された。
【0008】本発明の目的は、従来技術の問題を解決す
ることができ、処理面積の大型化、処理速度の向上、お
よび処理品質の向上が可能な、プラズマ処理装置および
プラズマ処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特開20
00−268994号公報に開示されているような、高
周波電極を複数に分割する手法の効果について詳細な検
討を行った。本発明者らは、図2に示すような、50c
m角のステンレス鋼平板からなり、互いに20mm離間
されている4つの小電極21〜24からなる高周波電極
を仮定し、各々の小電極に100MHzの高周波電力を
同出力かつ同位相となるように印加した時の電界強度分
布を電磁界計算により求めた。ここで、図1に示すよう
に、小電極21〜24から被処理部材3へと向かう方向
をx方向とし、x方向と直交する小電極面と平行の2方
向をy方向、z方向とする。電磁界計算の結果得られた
x方向の電界Exの強度分布を図3に示す。A部に示す
ように、各々の小電極に印加される高周波の畳重によ
り、隣合う小電極においてそれらの間隙部に近づくにつ
れ電界が過大となる分布が生じる。しかし、B部に示す
ように、小電極と小電極の間では電界が過小となる。こ
のことは、隣合う小電極の間隙付近で発生するプラズマ
は他の部分で発生するプラズマと異なる(すなわち不均
一にプラズマが発生する)ことを意味する。このような
プラズマにより処理を行うと、処理の均一性や品質に問
題が生じることは明らかである。つまり、均一なプラズ
マを生成させるためには、高周波電極を複数に分割する
ほかにも、さらなる改良が必要である。
【0010】さらに、本発明者らは、各小電極に印加す
る高周波電圧の位相を調整した。その結果、隣合う小電
極の間隙に近いところでの電界を位相調整によって互い
に打ち消すことで、高周波電極全体でほぼ一様な電界強
度を得ることが可能であることを見出した。図4に本発
明者らが電磁界計算から求めた、各小電極に印加する高
周波電圧の位相をずらした時の、x方向の電界Exの強
度分布を示す。この計算を行う条件として、図2に示す
高周波電極を仮定し、4つの小電極から任意に第1の小
電極、例えば21を選択すると、この第1の小電極21
と隣接する第2の小電極22および23に印可される高
周波電圧の位相は、第1の小電極21に印可される高周
波電圧の位相に対して135度ずらされており、第1の
小電極21とは隣接せず、第2の小電極22および23
とは隣接する第3の小電極24に印可される高周波電圧
の位相は、第1の小電極21に印加される高周波電圧の
位相と同じにされている。図4では、図3のA部に示す
ような過大な電界が抑制されている。このように、各小
電極に印加する高周波電圧の位相を調整することで、よ
り均一なプラズマ処理を大きな面積の被処理部材に施す
ことが可能となることが分かった。さらに、位相のずれ
を種々変化させて同様の検討を行った結果、図3のA部
に示すような過大な電界を抑制するには、隣接する小電
極に印加する高周波電圧の位相をずらすことが好適であ
り、図4に示すような、各小電極面上において均一とな
る電界強度分布を得られることが分かった。
【0011】図4に示すような均一な電界分布と実際の
膜厚分布との相関を調べるため、製膜実験を行った。そ
の結果得られた膜厚分布を図5に示す。小電極面上に相
当する部分の膜厚は、図4の計算結果と同様の均一な分
布を示したが、隣合う小電極の間隙に相当するB部分で
は、図4の結果からは電界が小さいため膜厚が小さくな
ることが予測されたにもかかわらず、むしろ膜厚が大き
くなる傾向が見られた。
【0012】そこで、反応容器のポートより、高周波電
極と被処理部材の間にラングミュアプローブを挿入し、
プラズマ電子密度分布を測定したところ、図6に示すよ
うに、隣合う小電極の間隙に相当するB部分において、
電子密度が大きくなっていることが分かった。
【0013】そこで、図4と同じ条件で計算した結果と
して、x方向の電界Exのみならず、各小電極と平行の
y方向の電界Eyおよびz方向の電界Ezをも含めた電
界E=(Ex2+Ey2+Ez21/2を図7に示す。電界
Eは、隣合う小電極の間隙に相当するB部でむしろ強く
なることが分かった。隣接する小電極にそれぞれ印加さ
れる高周波電圧に位相差がある場合には、隣接する小電
極間に電位差が生じるため、間隙部において強い電界
(小電極面と平行のyもしくはz方向の電界)が生じて
いることが分かった。その結果、間隙部に対応する部分
での膜厚が大きくなったと考えられる。
【0014】上記問題を解決するため、本発明により、
反応容器内において高周波電圧の印加により発生させら
れたプラズマにより所定の部材に処理を行う装置が提供
される。このプラズマ処理装置は、反応容器内に設けら
れた、互いに離された複数の小電極からなる、高周波電
圧を印加するための電極と、複数の小電極の間に挿入さ
れ、プラズマが発生させられる雰囲気よりも高い誘電率
を有する誘電体とを備える。この装置において、複数の
小電極のうち少なくとも2つにそれぞれ印加される高周
波電圧は、位相が互いに異なるものであり、かつ誘電体
の前記雰囲気に対向する面と複数の小電極の前記雰囲気
に対向する面との距離を変えることができるよう、誘電
体の一部または全部が、複数の小電極に対して相対的に
移動可能に設けられる。それにより、複数の小電極によ
って印加される電界の強度分布が調節できる。
【0015】さらに、上記問題を解決するため、本発明
により、反応容器内において高周波電圧の印加により発
生させられたプラズマにより所定の部材に処理を行う方
法が提供される。このプラズマ処理方法は、(a)互い
に離された複数の小電極からなる電極が高周波電圧を印
加するために反応容器内に設けられ、かつプラズマが発
生させられる雰囲気よりも高い誘電率を有する誘電体が
複数の小電極の間に挿入された装置を使用することと、
(b)反応容器内にプラズマを発生させるための雰囲気
を形成することと、(c)複数の小電極にそれぞれ高周
波電圧を印加することにより前記雰囲気から発生させら
れるプラズマを介して所定の部材を処理することとを備
える。この方法において、複数の小電極のうち少なくと
も2つにそれぞれ印加される高周波電圧は、位相が互い
に異なるものであり、かつ誘電体の前記雰囲気に対向す
る面と複数の小電極の前記雰囲気に対向する面との距離
を変えることができるよう、誘電体の一部または全部
が、複数の小電極に対して相対的に移動可能に設けられ
る。それにより、複数の小電極によって印加される電界
の強度分布が調節できる。
【0016】典型的に、本発明において、誘電体の前記
雰囲気に対向する面は、所定の部材にも対向している。
【0017】本発明において、複数の小電極から前記雰
囲気の側に誘電体の一部または全部を突出させることが
できることが好ましい。その突出させる長さは、10m
m以下であることが好ましく、たとえば1〜10mmで
あることが好ましい。
【0018】本発明において、誘電体は、部分的に前記
雰囲気に突出する形状を有することができる。
【0019】本発明において、誘電体は、複数の部分に
分割することができ、該複数の部分のうち少なくとも1
つを移動可能にすることができる。誘電体を複数に分割
する場合、複数の小電極の各々に隣接して、当該複数の
部分の各々を、互いに離して設けることができる。誘電
体の互いに隣接する複数の部分の間には、導電体、典型
的には金属板を配置することができる。
【0020】好ましい態様において、誘電体の比誘電率
は3以上50以下である。典型的に、誘電体の材質は、
アルミナ磁器、石英、ガラス、ベリリア磁器、および炭
化シリコン系磁器よりなる群から選ばれた少なくとも1
種である。
【0021】好ましい態様において、複数の小電極の最
大寸法は、高周波の波長の1/4以下である。
【0022】本発明において、高周波電圧の周波数は典
型的に20〜500MHzの範囲にある。本発明におい
て位相が互いに異なる高周波電圧間の位相のずれは、典
型的に120〜240度の範囲である。
【0023】本発明は、プラズマCVD、プラズマエッ
チング、あるいはプラズマによる表面改質等に適用され
る。特に、本発明による装置はプラズマCVD装置とし
て好適であり、本発明による方法はプラズマCVD法と
して好適であるが、これらに限定されるものではない。
【0024】本発明によれば、たとえば、プラズマCV
D法により、最大寸法が1m以上である基板上に10%
以内の厚み分布で薄膜を形成することができる。そし
て、そのような基板上に形成された薄膜は、光電変換装
置等の半導体装置を構成することができる。ここで「厚
み分布」は、基板上に形成された薄膜を所定の数、たと
えば81個に分割し、それらのフラグメントについて測
定された膜厚の最大値および最小値から、式{(最大値
−最小値)/(最大値+最小値)}×100%により求
めた値とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明によるプラズマ処理装置に
おいて、典型的に、誘電体のプラズマ発生雰囲気に対向
する面は、誘電体の小電極に対向しない側の面であり、
複数の小電極のプラズマ発生雰囲気に対向する面は、小
電極の誘電体に対向しない側の面である。たとえば、本
発明による電極は、図8に示す構造を有することができ
る。この電極は、小電極21、22、23および24か
ら構成され、これらの小電極の間に誘電体6が配置され
ている。この電極において、誘電体のプラズマ発生雰囲
気に対向する面はC面であり、小電極のプラズマ発生雰
囲気に対向する面はD面である。C面とD面との距離は
xで表される。
【0026】隣接する小電極にそれぞれ印加される高周
波電圧に位相差がある場合、隣接する小電極間で電位差
が生じる。このため、小電極同士の間隙部分、すなわち
図9に示すE領域のような部分では、より強い電界(小
電極面と平行のyもしくはz方向の電界)が生じる。そ
の強い電界のために、間隙部に相当する部分での膜厚が
大きくなり、膜厚の不均一が生じ得る。そこで、間隙部
に生じる電界を弱めるために、小電極間に誘電体を挿入
する。真空中(厳密にはプラズマが生成される雰囲気)
より誘電率が高い誘電体中に強い電界がかかるようにす
ることで、プラズマ生成部での過剰な電界を弱めること
が可能となった。
【0027】さらに、本発明では、誘電体のプラズマ生
成雰囲気に対向する面と複数の小電極のプラズマ生成雰
囲気に対向する面との距離を変えることができるよう、
誘電体の一部または全部が、複数の小電極に対して相対
的に移動可能に設けられる。そのような機構において、
複数の小電極の間および/またはプラズマを生成させる
ため電圧が印加される空間に存在する誘電体の体積を変
化させることができ、それにより、電極によって印加さ
れる電界の強度分布が調節できる。したがって、そのよ
うな機構は、プラズマ処理の条件に応じて、より適当な
位置に誘電体を配置することができ、より望ましい電界
強度の分布をもたらすことができる。
【0028】さらに本発明では、小電極から被処理部材
側(プラズマが生成される空間側)に誘電体を突出させ
ることができる。強い電界がかかる領域を突出した誘電
体で占めることにより、当該領域における過度のプラズ
マ生成を防ぐことができる。
【0029】したがって、本発明では、小電極間の領域
におけるプラズマ電子密度の増大を、より効果的に抑制
することができ、プラズマ生成の均一性をさらに向上さ
せることができる。特に、高周波プラズマにおける電離
や解離反応がおきる主な領域は、プラズマのバルク部と
シース部の境界付近にあるため、誘電体の突出長(小電
極からプラズマ生成空間側に突出した誘電体の長さ)を
シース長までの間で調節することで、プラズマの電離や
解離反応量を調節でき、電子密度の均一化、ひいては処
理速度の均一化を図ることができる。典型的に、プロセ
スプラズマにおけるシース長は10mm以下であるの
で、10mm以下の範囲、たとえば1〜10mmの範囲
で誘電体の突出長を調節することが好ましい。
【0030】かくして本発明では、種々のプロセス条件
に応じて、誘電体面と小電極面との相対的距離を容易に
調節でき、それにより、均一な膜厚を得るのに適した条
件を容易に得ることができる。さらに、電界が強くなる
箇所、および弱くなる箇所に応じて、誘電体の配置を変
え、プラズマ処理による効果(たとえば膜厚)を均一に
することができる。
【0031】また、本発明では、誘電体を複数の部分に
分割してもよい。誘電体の部分を適当な位置に配置する
ことで、電界を局所的に調整することができ、プラズマ
処理による効果(たとえば膜厚の均一性)をさらに高め
ることができる。また、誘電体の分割は、装置構造の自
由度を増加させることになり好ましい。
【0032】誘電体を複数の部分に分割する場合、各部
分を移動可能としてもよいし、複数の部分の1つまたは
いくつかを移動可能としてもよい。誘電体の部分のプラ
ズマ生成雰囲気に対向する面と小電極のプラズマ生成雰
囲気に対向する面との距離は、誘電体の部分を移動させ
ることにより変化する。誘電体の部分を移動させるか、
各部分の配置を異ならしめることによっても、プラズマ
処理効果の均一性を向上させることができる。
【0033】誘電体を複数の部分に分割する場合、各部
分を各小電極ごとに配置してもよい。各部分は、各小電
極に隣接して配置することができる。たとえば、各部分
は、各小電極を囲むよう配置することができる。各部分
は、互いに離されていることが好ましい。さらに、誘電
体の隣合う部分間に導電体、典型的には金属を配置して
もよい。各部分は、互いに独立して移動可能にすること
ができる。このような構造では、プロセス条件に応じ
て、各小電極ごとに誘電体の位置を調節することがで
き、その結果、必要以上に強い電界を各小電極ごとに抑
制することができる。そのような構造も、均一なプラズ
マ処理効果に寄与し得る。
【0034】本発明では、誘電体の一部または全部を複
数の小電極に対して相対的に移動させることができる。
この場合、小電極を固定して、誘電体の一部または全部
を移動させてもよいし、誘電体を固定して複数の小電極
を移動させてもよい。移動は、手動でおこなってもよい
し、自動的な機構を介して行なってもよい。典型的に、
誘電体の一部または全部をスライドさせる機構により、
誘電体と小電極との位置関係を調節することができる。
【0035】好ましい態様において、誘電体は、プラズ
マを生成させる雰囲気の誘電率より高い誘電率、耐プラ
ズマ性、および耐熱性を有する。誘電体の比誘電率は3
〜50が好ましい。典型的に、誘電体の材質には、アル
ミナ磁器、石英、ガラス、ベリリア磁器、および炭化シ
リコン系磁器がある。
【0036】また、本発明において、各小電極の最大寸
法を、印加する高周波の波長の1/4以下とすることが
好ましい。そのような寸法により、各小電極面上で定在
波が発生することを防止でき、大きな面積の被処理部材
に対して、より均一なプラズマ処理を施すことが可能と
なる。なお、被処理部材の最大寸法とは、被処理部材表
面上の任意の2点間で最も長い距離をいう。たとえば、
矩形平板状の部材の場合、対角線の長さが最大寸法とな
り、円盤状の部材の場合、直径が最大寸法に相当する。
【0037】さらに、位相のずれを種々変化させた結果
より、図3のA部に示すような過大な電界を抑制するに
は、隣接する小電極に印加する高周波電圧の位相を12
0〜240度の範囲内でずらすことが、プラズマ処理
(たとえば膜厚)の均一性に好適であることが見出され
た。また、各小電極に印加される高周波電圧の周波数を
20〜500MHzの範囲とすることで、プラズマ中の
電子密度を増大させ、かつ、プラズマポテンシャルを低
く抑えることができるので、処理の高速化と処理品質の
向上が同時に可能となる。
【0038】本発明によるプラズマ処理装置ならびにプ
ラズマ処理方法は、典型的に、半導体装置の製造工程に
おける膜堆積、エッチング、および表面改質等のプラズ
マ処理に適用される。本発明によれば、被処理面積の大
型化、処理速度の向上および処理品質の向上をなし得
る。本発明によれば、高性能の半導体装置を安価に製造
できる。
【0039】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。実施例では、複数の角型小電極に分割され、それら
が平行に配置された、平板状の高周波電極を有するプラ
ズマCVD装置を開示するが、本発明はそのような実施
例に限定されるものではない。たとえば、小電極の形状
は角型に限定されるものではなく、棒型、円板型、球状
等でもよく、複数の小電極の配置も平行平板状に限定さ
れるものではなく、格子状、同心円状などでもよい。ま
た、プラズマ処理は、CVDに限定されるものではな
く、本発明をエッチングに適用しても、同様に処理品質
を向上せしめることができる。
【0040】
【実施例】実施例1 本実施例に使用したプラズマCVD装置の略断面図を図
1に示す。ガス導入手段51と真空排気手段52が接続
されたステンレス鋼製の反応容器4内部に、複数の小電
極21〜24に分割されてなる平板状の高周波電極20
と、被処理部材3を載置するステンレス鋼製の被処理部
材配設部31とが互いに平行となるように対向して配置
されている。高周波電極20と被処理部材配設部31は
一対の電極をなす。反応容器4と被処理部材配設部31
は電気的に接地されている。一方、小電極21〜24か
らなる高周波電極20は反応容器4から電気的に絶縁さ
れている。
【0041】図2は高周波電極20を構成する小電極2
1〜24の斜視図である。各々の小電極は50cm角の
ステンレス鋼平板である。4つの小電極は、正方形状と
なるように配置され、平板状の高周波電極20が形成さ
れる。隣接する小電極同士は20mm離されている。図
1に示すように、その間隙部に比誘電率9.7のアルミ
ナ磁器からなる誘電体6が配置される。小電極21〜2
4は互いに電気的に分離されている。
【0042】図1に示すように、誘電体6は昇降機構7
により、上下に昇降可能である。昇降機構7は高真空直
線導入端子により真空を破らずに手動で昇降可能な機構
とした。昇降機構7は、誘電体6を小電極21〜24に
対して相対的に移動させるための手段である。昇降機構
7により、誘電体6のプラズマ生成雰囲気に対向する面
と小電極21〜24のプラズマ生成雰囲気に対向する面
との距離を変化させ、電界強度の分布を調節することが
できる。
【0043】本実施例における高周波電極と誘電体の斜
視構造を図8に示す。誘電体6の表面(図8のC面)と
小電極21〜24の表面(図8のD面)の相対距離をx
mmで表わす。本実施例において、誘電体6の表面と小
電極21〜24の表面の相対距離は0mmとした。本実
施例において誘電体6は、高周波電極20の間隙を完全
に埋めている。誘電体6は、高周波電極20と接してお
り、かつ、アース電位である反応容器4の壁とも昇降機
構7を通じて接している。しかし、誘電体が高周波電極
および装置壁と接していることは、本発明にとって必須
ではない。誘電体が高周波電極に接していない場合にお
いても、あるいは装置壁に接していない場合において
も、本発明の効果は得られる。
【0044】高周波電源1から発振された高周波電圧
は、分配器8によって4本の高周波伝送線路に分配さ
れ、各々の高周波伝送線路ごとに設けられた電力モニタ
91〜94、整合器101〜104および位相調整器1
11〜114を経て、各々の小電極21〜24に印加さ
れる。各小電極21〜24に印加する高周波電圧の位相
を可変とする位相調整器111〜114はインダクタン
スおよびキャパシタンスから構成される電気回路であ
る。また、各小電極21〜24ごとに設けられた電力モ
ニタ91〜94の値を読み取り、整合器101〜104
によって調整することで、各小電極21〜24に印加さ
れる高周波電力が調整される。
【0045】本実施例では、原料ガスにモノシランと水
素を用いて非晶質シリコン薄膜を製膜した。主な製膜条
件は次の通りである。 被処理部材:ガラス基板(1m角) 総ガス流量:SiH4 1300sccm H2 1800sccm 基板温度:200℃ 高周波電力:0.2Wcm-2 周波数:100MHz 製膜圧力:50Pa 小電極と被処理部材との距離:30mm 図10に各小電極21〜24に印可する高周波電圧の波
形を示す。小電極21および24にそれぞれ印可する高
周波電圧は同位相である。また、小電極22および23
にそれぞれ印加する高周波電圧は同位相である。一方、
小電極21および24に印可する高周波電圧と、小電極
22と小電極23に印可する電圧とは互いに位相を13
5度ずらしている。このとき、各小電極21〜24へ印
可される高周波電力は同じとなるように調整した。
【0046】1時間の製膜処理の後、非晶質シリコン薄
膜が堆積されたガラス基板を反応容器4から取出した。
ガラス基板を縦および横方向にそれぞれ9等分するよう
に切断して、膜厚測定用サンプルを81個作製し、それ
ぞれの中心部の膜厚を段差計を用いて測定することで、
小電極面に対向する部分の膜厚と、隣合う小電極の間隙
部に対向する部分の膜厚との比較評価を行った。81個
すべてのサンプルに対する平均膜厚と膜厚分布を評価し
た結果、平均膜厚は1000nm、膜厚分布は9.5%
となった。膜厚分布は、81個のサンプルについて式
{(膜厚最大値−膜厚最小値)/(膜厚最大値+膜厚最
小値)}×100%により求めた。
【0047】比較例1 図1において誘電体6を取り除いた構造で、他の条件は
実施例1と全く同じとし、製膜したサンプルの膜厚を評
価した。小電極面に対向する部分のサンプル64個だけ
での膜厚分布は5.0%と良好だった。しかし、隣合う
小電極の間隙部に対向する部分のサンプル17個につい
て膜厚分布は14%であった。上記17個のサンプルの
膜厚は、上記64個のサンプルの膜厚より大きかった。
【0048】実施例2〜7 実施例1と同様の条件で、誘電体6を昇降させ、誘電体
6の面と小電極21〜24の面との相対距離を変化させ
たときの膜厚分布を図11に示す。誘電体面の位置につ
いて、小電極面を原点の0とし、被処理部材3に近づく
向き(x方向)を正の方向として表わす。x=−0.
5、0.5、1、2、3、4mmの6点でサンプルを作
製した。その結果を図11に示す。図11には、誘電体
面の位置0mmの実施例1、および誘電体の挿入されて
いない比較例1も含めて表示しており、比較例1は便宜
上誘電体面の位置−1mmにプロットした。
【0049】図11より、誘電体が挿入されていない比
較例1と比べると、誘電体が挿入されることで、その膜
厚分布は低減されることが分かった。図11より、電極
面に対して誘電体が被処理部材方向に突出していること
が望ましく、とりわけ、本実施例においては突出長が3
mm以下である場合に、膜厚分布は10%未満と良好で
あり、突出長2mmのとき膜厚分布は最小で5%となっ
た。誘電体の突出長と隣合う小電極の間隙に対向する部
分の膜厚との関係は、突出長が大きくなるにしたがっ
て、膜厚が小さくなる結果が得られた。本実施例におい
ては、誘電体の突出長が3mmを越えると、間隙部での
膜厚が小電極面部での膜厚よりも小さくなった。誘電体
の突出長を大きくすることで、隣接する小電極間にかか
る電界(y、z方向の電界)を抑制する効果が大きくな
っているためだと考えられる。
【0050】実施例1〜7のプロセス条件下での、ラン
グミュアプローブによる小電極面上の電子密度を測定し
た結果、どの実施例においてもそのシース厚はおよそ3
mmであった。高周波プラズマにおいて、電離や解離反
応がおきる主な領域は、プラズマのバルク部とシース部
の境界付近にあるため、誘電体の突出長をシース長まで
の間で調節することで、プラズマの電離や解離反応量を
調節できると考えられる。したがって、本実施例におい
ては、シース厚に相当する3mmまでの間で、特に顕著
な膜厚分布の均一化ができたものと考えられる。
【0051】実施例8〜12 製膜圧力を20Paとし、それ以外は実施例1と同様の
条件で、誘電体6を昇降させ、誘電体6の面(図8にお
けるC面)と小電極21〜24の面(図8におけるD
面)との相対距離を変化させた。誘電体面の位置は、小
電極面を原点の0とし、被処理部材に近づく向き(x方
向)を正の方向として表わし、x=0、5、8、10,
12mmの5点でサンプルを作製した。
【0052】比較例2 比較例2として、誘電体6を取り除いた構造で、他の条
件は実施例8〜12と全く同じとし、製膜したサンプル
の膜厚を評価した。その結果、膜厚分布は15%であっ
た。
【0053】図12に、実施例8〜12および誘電体の
挿入されていない比較例2も含めた膜厚分布を表示す
る。比較例2は便宜上誘電体面の位置−1mmにプロッ
トした。
【0054】図12より、実施例8〜12においては突
出長が8mmである場合に、膜厚分布が最小の5%とな
り、突出長が10mm以下の場合に膜厚分布は10%未
満と良好な数値を示した。実施例8〜12のプロセス条
件下での、ラングミュアプローブによる小電極面上の電
子密度を測定した結果、どの実施例においてもそのシー
ス厚はおよそ10mmであった。
【0055】実施例1〜12の結果より、膜厚分布が最
小となる誘電体面と小電極面との相対距離は、プロセス
条件に依存することが分かった。例えば、製膜圧力を下
げると、シース厚が大きくなるために、膜厚分布が最小
となる誘電体面と小電極面との相対距離は大きくなり得
る。したがって、誘電体面と小電極面との相対距離を調
節する機構を備えることで、プロセス条件に応じて、膜
厚の均一化のために最適な相対距離を得ることができ
る。
【0056】実施例13 実施例1で用いた50cm角のステンレス鋼平板小電極
21〜24の代わりに、図13に示すようにステンレス
鋼製の角型棒状材を溶接し、梯子型に加工した小電極2
5〜28を用いた。梯子型小電極のサイズは50cm角
であり、角型の棒状材の太さは19mm、隣接する棒状
材間のギャップは18mmであった。実施例1と同様の
条件で、誘電体6の突出長を膜厚分布が最小になるよう
調節し、製膜した結果、膜厚分布は6%となった。棒状
材としては、角型に限ったものではなく、丸型でも薄板
型でも可能である。また本実施例では梯子型電極の片側
のみでプラズマが生成する構成としたが、梯子型電極の
両側にプラズマが生成する構成の場合には、両側におい
て誘電体が梯子型電極よりも被処理部材側に突出可能と
することで本発明の効果が得られる。
【0057】実施例14 図14に示すように、小電極21〜24からなる高周波
電極20の隙間に誘電体56を挿入した。誘電体56
は、中心部から50mmずつ4方に伸びた誘電体61と
それ以外の誘電体62に分割されている。誘電体61に
のみ昇降機構を設置し、誘電体62は小電極の側面に固
定し、小電極面より2mm突出させた。実施例1と同様
の条件において、誘電体61の小電極面からの突出長を
調節した。この条件では、図14に示すように誘電体6
1を3mm小電極面より突出させたときに、実施例1〜
7よりもさらに膜厚の均一化が可能となり、膜厚分布は
4%となった。誘電体61のみを移動可能とするかわり
に、誘電体61および誘電体62の両方に、被処理部材
との距離を調節するための昇降機構を設置してもよい。
【0058】実施例15 図15に示すように、高周波電極に配置する誘電体を4
つに分割した。誘電体63〜66は、4つの小電極21
〜24の側面をそれぞれ囲むように設置される。さら
に、誘電体63〜66の側面をステンレス鋼製の平板1
21〜124でそれぞれ囲んだ。ステンレス鋼製の平板
121〜124は、反応容器4の壁と同電位とした。本
実施例において誘電体63〜66は、高周波電極21〜
24と接しており、またステンレス鋼製の平板121〜
124とも接している。誘電体63〜66には、それぞ
れに昇降機構が設置される。したがって、誘電体63〜
66はそれぞれ独立して移動可能である。昇降機構を調
節することで、小電極面より2mmの長さで誘電体63
〜66を突出させた。実施例1と同様の条件で、サンプ
ルを作製したところ、サンプルの膜厚分布は5%となっ
た。この構造では、小電極ごとに、隣接する小電極間に
かかる電界を抑制することができる。このような機構
は、プロセス条件に応じて最適な電極−誘電体配置を得
ることを容易にする。ここで、平板121〜124を装
置壁と同電位とすることは必須ではなく、隣接する小電
極間にかかる強い電界を抑制することが可能であれば他
の態様でもよい。たとえば、平板121〜124に、あ
る一定の電圧を印加してもよいし、平板121〜124
を浮遊電位にしてもよい。また、誘電体63〜66が高
周波電極21〜24および、ステンレス鋼製の平板12
1〜124と接していることも、必須ではなく、高周波
電極21〜24に接していない場合も、ステンレス鋼製
の平板121〜124と接していない場合においても、
本発明の効果は得られる。
【0059】実施例16〜21 実施例1と同様の条件で、誘電体6を、比誘電率3のガ
ラス、比誘電率3.8の石英、比誘電率6.5のベリリ
ア磁器、比誘電率50の炭化シリコン系磁器、比誘電率
90の酸化チタン磁器に変更し、それぞれの材料におい
て、誘電体6面と小電極21〜24面との相対距離を膜
厚分布が最も小さくなるように調節した時の、サンプル
の膜厚分布を図16に示す。図16には、実施例1の比
誘電率9.7のアルミナ磁器および、比較例2の誘電体
が挿入されていない比誘電率1の結果も合わせて図示し
た。
【0060】真空(プラズマ生成雰囲気)より比誘電率
が大きい誘電体を使用することによって、誘電体に強い
電界がかかり、プラズマ発生領域において極端に強い電
界がかかるのを防ぐことができる。図16に示すよう
に、誘電体が挿入されていない比誘電率1の場合より
も、各誘電体を挿入した場合に良好な膜厚分布を得るこ
とができた。誘電体の好ましい比誘電率は3〜50の範
囲であり、その範囲では膜厚分布は10%未満と良好で
あった。
【0061】実施例22〜27 実施例1と同様の条件で、印加する高周波電圧の位相の
ずれを90、120、180、225、240、270
度に変化させ、誘電体6面と小電極21〜24面との相
対距離を膜厚分布が最も小さくなるように調節した時の
膜厚分布を図17に示す。特に位相のずれが120〜2
40度の範囲では、膜厚分布は10%未満と良好であっ
た。したがって、各小電極ごとに印加する高周波電圧の
位相をずらす、特に望ましくは、位相のずれを120〜
240度の範囲とすることで、大面積にわたり均一な製
膜を行うことが可能である。
【0062】上述の各実施例においては、1枚の大きさ
が50cm角である正方形状の小電極もしくは梯子型の
小電極を4枚並べたものを使用したが、小電極の形状
は、長方形、多角形、円形等種々の形状であってもよ
い。また、各小電極の最大寸法が印加する高周波電圧の
波長の1/4以下である場合に、特に顕著な効果が得ら
れる。
【0063】実施例28 本実施例では、図1に示すプラズマCVD装置を用い
て、非晶質シリコン薄膜からなる光電変換層を形成する
ことで、薄膜太陽電池を作製した。本実施例において作
製した薄膜太陽電池の概略断面図を図18に示す。基板
131として80cm角で厚さ1.1mmのガラス基板
を用い、この上に透明電極132として、スパッタリン
グ法によりZnOを約1μmの膜厚となるように形成し
た。その後、透明電極132が形成された側が複数の小
電極からなる高周波電極に対向するように、基板131
を図1に示すプラズマCVD装置の反応容器4内部に装
入する。透明電極132の上に、膜厚30nmのp型非
晶質シリコン薄膜133、膜厚300nmのi型非晶質
シリコン薄膜134、膜厚30nmのn型非晶質シリコ
ン薄膜135の順に製膜することで光電変換層を形成し
た。p、i、n型各々の非晶質シリコン薄膜の製膜条件
を以下に示す。なお、印可した高周波の周波数は、いず
れの場合も100MHzであり、各小電極21〜24に
印加する高周波電圧に対して図10に示した位相のずれ
を生じさせている。
【0064】p型非晶質シリコン薄膜の製膜条件 高周波電力:0.05W/cm2 変調高周波:無 原料ガス:SiH4 150sccm H2 1500sccm B26(2.0%/H2) 300sccm 製膜圧力:133Pa 基板温度:200℃ 小電極と被処理部材との距離:15mm i型非晶質シリコン薄膜の製膜条件 高周波電力:0.2W/cm2 原料ガス:SiH4 600sccm H2 900sccm 製膜圧力:50Pa 基板温度:200℃ 小電極と被処理部材との距離:30mm 誘電体の小電極からの突出長:2mm n型非晶質シリコン薄膜の製膜条件 高周波電力:0.04W/cm2 変調高周波:無 原料ガス:SiH4 100sccm H2 1200sccm PH3(2.0%/H2) 100sccm 製膜圧力:133Pa 基板温度:200℃ 小電極と被処理部材との距離:15mm 反応容器から基板131を取り出した後、裏面電極13
6として、スパッタリング法によりAgを300nmの
厚さとなるように形成した。裏面電極136は、光電変
換層を一旦透過した光を反射させることで、発電効率を
改善する役割をも有している。
【0065】1枚のガラス基板当たり、9個×9個の単
位セル(4cm角)を作製し、その光電変換効率の分布
を測定した。図19は、81個の単位セルにおける光電
変換効率の平均値を1とした時の、そのバラツキを示し
たものである。
【0066】比較例3 図21に示したプラズマCVD装置を用い、実施例28
と同様の製膜条件で作製した場合における、81個の単
位セルにおける光電変換効率のバラツキを、図20に示
す。
【0067】本発明のプラズマCVD装置を用いて作製
した薄膜太陽電池の光電変換効率のバラツキは小さく、
本発明のプラズマCVD装置およびプラズマCVD方法
により、歩留の向上をなし得ることが確認できた。
【0068】本実施例では、本発明のプラズマCVD装
置およびプラズマCVD方法を、非晶質シリコン薄膜を
光電変換層とする薄膜太陽電池の製造プロセスに適用し
たが、本発明の用途はこれに限らない。例えば、多結晶
シリコン薄膜の製膜、あるいは非晶質シリコン薄膜や多
結晶シリコン薄膜のエッチング等においても、本発明を
使用することにより、半導体装置の大型化や処理能力向
上に対応した被処理面積の大型化や処理速度の向上、お
よび処理品質の向上が可能である。このように本発明に
より、膜堆積やエッチング等のプラズマ処理工程におい
て、歩留まり、信頼性、量産性を向上させることができ
る。本発明は、薄膜太陽電池の製造プロセスのみなら
ず、薄膜トランジスタ等の製造プロセスにも適用でき
る。
【0069】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
プロセス条件に合わせて、誘電体面と小電極面との相対
距離を調節し、過剰な電界の印加を制御することができ
る。本発明によれば、局所的に過剰に生成されるプラズ
マを制御することで、プロセス条件に応じて、最適な処
理効果(たとえば膜厚均一性)を容易に得ることができ
る。
【0070】本発明により、半導体装置製造プロセスに
おける製膜工程およびエッチング工程等において、半導
体装置の大型化や処理能力向上に対応した被処理面積の
大型化や処理速度の向上、および処理品質の向上が可能
であり、その結果、歩留まり、信頼性、および量産性を
向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの態様であるプラズマCVD装
置の概略断面図である。
【図2】 プラズマCVD装置において高周波電圧を印
加する小電極を示す斜視図である。
【図3】 従来のプラズマCVD法における高周波電極
から被処理部材へと向かう電界の強度分布を示す図であ
る。
【図4】 プラズマCVD装置において各小電極に位相
をずらして高周波電圧を印加した場合の高周波電極から
被処理部材へと向かう電界の強度分布を示す図である。
【図5】 図4に示す場合の、堆積したサンプルの膜厚
分布を示す図である。
【図6】 図4に示す場合の、プラズマCVD装置にお
けるプラズマ電子密度分布を示す図である。
【図7】 図4に示す場合の、高周波電極面上の電界強
度分布を示す図である。
【図8】 本発明による高周波電極と誘電体の配置を示
す斜視図である。
【図9】 プラズマCVD装置の概略断面図である。
【図10】 実施例1において4つの小電極にそれぞれ
印可する高周波電圧の波形図である。
【図11】 実施例1〜7にかかる誘電体の小電極面よ
りの突出長と膜厚分布との関係を示す図である。
【図12】 実施例8〜12にかかる誘電体の小電極面
よりの突出長と膜厚分布との関係を示す図である。
【図13】 4つの梯子型小電極からなる高周波電極を
示す斜視図である。
【図14】 本発明によるもう一つの高周波電極−誘電
体構造を示す斜視図である。
【図15】 本発明による他の高周波電極−誘電体構造
を示す平面図である。
【図16】 高周波電極の間隙に挿入する誘電体の比誘
電率と膜厚分布との関係を示す図である。
【図17】 各小電極に印可する高周波電圧の位相のず
れと膜厚分布との関係を示す図である。
【図18】 実施例28で作製された薄膜太陽電池の概
略断面図である。
【図19】 実施例28で作製された薄膜太陽電池にお
ける光電変換効率のバラツキを示す図である。
【図20】 比較例3で作製された薄膜太陽電池におけ
る光電変換効率のバラツキを示す図である。
【図21】 従来のプラズマCVD装置の概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1 高周波電源、3 被処理部材、4 反応容器、6,
61〜66 誘電体、7 昇降機構、8 分配器、20
高周波電極、21〜24 小電極、25〜28 梯子
型の小電極、31 被処理部材配設部、51 ガス導入
手段、52 ガス排気手段、91〜94 電力モニタ、
100,101〜104 整合器、111〜114 位
相調整器、121〜124 ステンレス鋼製の平板、1
31 ガラス基板、132 透明電極、133 p型非
晶質シリコン薄膜、134 i型非晶質シリコン薄膜、
135 n型非晶質シリコン薄膜、136 裏面電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 FA03 JA01 JA18 KA14 KA30 KA46 5F004 AA01 BA06 BB11 BD04 CA03 5F045 AA08 AB04 AC01 AD06 AE19 AF07 BB02 CA13 DA65 EB02 EH04 EH14 EH20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内において高周波電圧の印加に
    より発生させられたプラズマにより所定の部材に処理を
    行う装置であって、 前記反応容器内に設けられた、互いに離された複数の小
    電極からなる、前記高周波電圧を印加するための電極
    と、 前記複数の小電極の間に挿入され、前記プラズマが発生
    させられる雰囲気よりも高い誘電率を有する誘電体とを
    備え、 前記複数の小電極のうち少なくとも2つにそれぞれ印加
    される高周波電圧は、位相が互いに異なるものであり、 前記誘電体の前記雰囲気に対向する面と前記複数の小電
    極の前記雰囲気に対向する面との距離を変えることがで
    きるよう、前記誘電体の一部または全部が、前記複数の
    小電極に対して相対的に移動可能に設けられることを特
    徴とする、プラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】 前記誘電体の前記雰囲気に対向する面
    が、前記所定の部材に対向することを特徴とする、請求
    項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の小電極から前記雰囲気の側に
    前記誘電体の一部または全部を突出させることができる
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマ
    処理装置。
  4. 【請求項4】 前記複数の小電極から前記雰囲気の側に
    前記誘電体の一部または全部を10mm以下の長さで突
    出させることができることを特徴とする、請求項3に記
    載のプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】 前記誘電体は、部分的に前記雰囲気に突
    出する形状を有することを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】 前記誘電体は、複数の部分に分割されて
    おり、該複数の部分のうち少なくとも1つが移動可能で
    あることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載のプラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の小電極の各々に隣接して、前
    記複数の部分の各々が、互いに離れて設けられているこ
    とを特徴とする、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 前記誘電体の互いに隣接する複数の部分
    の間には、導電体が配置されていることを特徴とする、
    請求項7に記載のプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】 前記誘電体の比誘電率が3以上50以下
    であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項
    に記載のプラズマ処理装置。
  10. 【請求項10】 前記誘電体の材質が、アルミナ磁器、
    石英、ガラス、ベリリア磁器、および炭化シリコン系磁
    器よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを
    特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプラ
    ズマ処理装置。
  11. 【請求項11】 前記複数の小電極の最大寸法が、前記
    高周波の波長の1/4以下であることを特徴とする、請
    求項1〜10のいずれか1項に記載のプラズマ処理装
    置。
  12. 【請求項12】 前記高周波電圧の周波数が20〜50
    0MHzの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜1
    1のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  13. 【請求項13】 前記位相が互いに異なる高周波電圧間
    の位相のずれは、120〜240度の範囲であることを
    特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプ
    ラズマ処理装置。
  14. 【請求項14】 プラズマCVD装置であることを特徴
    とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプラズ
    マ処理装置。
  15. 【請求項15】 反応容器内において高周波電圧の印加
    により発生させられたプラズマにより所定の部材に処理
    を行う方法であって、 互いに離された複数の小電極からなる電極が前記高周波
    電圧を印加するために前記反応容器内に設けられ、かつ
    前記プラズマが発生させられる雰囲気よりも高い誘電率
    を有する誘電体が前記複数の小電極の間に挿入された装
    置を使用することと、 前記反応容器内に前記プラズマを発生させるための雰囲
    気を形成することと、 前記複数の小電極にそれぞれ高周波電圧を印加すること
    により前記雰囲気から発生させられるプラズマを介して
    所定の部材を処理することとを備え、 前記複数の小電極のうち少なくとも2つにそれぞれ印加
    される高周波電圧は、位相が互いに異なるものであり、 前記誘電体の前記雰囲気に対向する面と前記複数の小電
    極の前記雰囲気に対向する面との距離を変えることがで
    きるよう、前記誘電体の一部または全部が、前記複数の
    小電極に対して相対的に移動可能に設けられることを特
    徴とする、プラズマ処理方法。
  16. 【請求項16】 前記位相が互いに異なる高周波電圧間
    の位相のずれは、120〜240度の範囲であることを
    特徴とする、請求項15に記載のプラズマ処理方法。
  17. 【請求項17】 前記高周波電圧の周波数が20〜50
    0MHzの範囲にあることを特徴とする、請求項15ま
    たは16に記載のプラズマ処理方法。
  18. 【請求項18】 プラズマCVD法により、最大寸法が
    1m以上である基板上に10%以内の厚み分布で薄膜を
    形成することを特徴とする、請求項15〜17のいずれ
    か1項に記載のプラズマ処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013105750A (ja) * 2011-11-16 2013-05-30 Tokyo Electron Ltd 複数の高周波(rf)出力素子を利用してプラズマ特性を制御するrf出力結合システム

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