JP2003059738A - 電圧変成器 - Google Patents

電圧変成器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁補強手当を要することなく、インパルス
電圧課電時の電位分布を改善する。 【解決手段】 母線に接続される高圧電極部11と、大
地に接続される接地電極部12と、両電極部11,12
を隔絶する絶縁筒13と、両電極部間に直列接続されて
少なくとも一部の抵抗器が絶縁筒13の外周面に配置さ
れる複数の抵抗器R1,R2と、両電極部間に互いに直
列接続されて絶縁筒13の内部に配置される複数のコン
デンサCと、抵抗器R1,R2の相互接続点に接続され
た出力端子としての中間端子uと、を備える。複数の抵
抗器R1を、絶縁筒13の内外を通り、かつコンデンサ
Cの直列接続体を包囲するように螺旋状に直列接続して
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高電圧を抵抗分圧
して得た低電圧により静止形リレーや電子式メータ等を
動作させるのに最適な電圧変成器(Voltage Transforme
r:以下、必要に応じてVTと略称する)に関し、特
に、GIS(ガス絶縁開閉装置)やC−GIS(キュー
ビクル形ガス絶縁開閉装置)に内蔵されて軽負担が接続
される抵抗分圧式の電圧変成器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特に欧州では、小電力(高入力抵
抗)の計器と組み合わせることを前提とした、電磁式C
T(Current Transformer)や電磁式VT(Voltage Tra
nsformer)と構造・原理が異なるタイプのCTやVTが
普及し始めている。すなわち、VTの場合を例にとる
と、コンデンサ分圧を利用したコンデンサ分圧式(C分
圧式)VT、直流電圧計測に用いられる抵抗分圧を利用
した抵抗分圧式(R分圧式)VT、R分圧式VTを交流
電圧計測に用いる際に、抵抗−大地間の漂遊キャパシタ
ンスによる分圧比への影響を低減するため、抵抗とコン
デンサを並列接続した抵抗・コンデンサ分圧式(RC分
圧式)VT等が知られている。
【0003】なお、本願発明に係るVTは、IEC(国
際電気学会)規格、各メーカでも呼称が統一されておら
ず、電磁コイルを有しない静止形リレー、電子式メータ
等の小電力の計器(軽負担)を対象とした「軽負担用V
T」とも呼ばれている。また、CTについても、同様に
「軽負担用CT」とも呼ばれている。これらの軽負担用
VT・CTは、従来型の電磁式VT・CTに代えて、G
ISやC−GISの小型化、ひいては変電所敷設面積の
低減を目的として積極的に採用されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、開閉サージ
電圧や雷サージ電圧等の急峻なインパルス電圧が母線側
から抵抗分圧式VTに侵入する際に、高圧電極と接地電
極間の電位分布は均一とならず、高圧電極側近傍に電界
が集中し、絶縁が脅かされることが知られている。この
ため、高圧電極側に配置される分圧用の抵抗器に対し、
電界集中緩和用付属部品を備えたり絶縁用の空間を設け
たりして絶縁補強手当を施すことが行われているが、こ
れによると部品点数の増加やVT本体の大型化を招くと
いう問題があった。また、VT本体の組立に要する作業
工数が増加するので製造上の手間や作業時間が増える等
の問題を生じていた。
【0005】そこで本発明は、特に絶縁補強手当を要す
ることなくインパルス電圧課電時の電位分布を改善した
電圧変成器を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、母線と大地との間に接続さ
れ、かつ、直列接続された複数の抵抗器により母線電圧
を分圧して出力する電圧変成器において、母線に接続さ
れる高圧電極部と、大地に接続される接地電極部と、高
圧電極部と接地電極部とを隔絶する絶縁筒と、高圧電極
部と接地電極部との間に互いに直列接続され、かつ、少
なくとも一部の抵抗器が絶縁筒の外周面に配置される複
数の抵抗器と、高圧電極部と接地電極部との間に互いに
直列接続され、かつ、絶縁筒の内部に配置される複数の
コンデンサと、抵抗器の相互接続点に接続された出力端
子としての中間端子と、を備えたものである。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の電
圧変成器において、前記絶縁筒としての中空角筒の内外
を通り、かつ前記コンデンサの直列接続体を包囲するよ
うに複数の抵抗器を螺旋状に直列接続したものである。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の電圧変成器において、複数の抵抗器のうちの1個
の抵抗器が低抵抗であり、この抵抗器の両端に設けられ
た中間端子及び接地端子に軽負担が接続されるものであ
り、いわゆる軽負担用VTとして用いるものである。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何
れか1項に記載した電圧変成器において、複数の抵抗器
の相互接続部に球状電極をかぶせたものである。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何
れか1項に記載した電圧変成器において、前記コンデン
サがセラミックコンデンサであることを特徴とする。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項1〜4の何
れか1項に記載した電圧変成器において、前記コンデン
サが、円柱状のコンデンサ素子の両端面に電極を設ける
と共に絶縁樹脂により一体被覆されたセラミックコンデ
ンサであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1(a)は本発明の一実施形態を示す
正面要部断面図、同(b)は要部側面図、図2は図1の
等価回路図である。
【0013】図1において、11は母線側と接続される
金属製かつ平板状の高圧電極部、12はこのVTを固定
設置するためのベース板と一体に形成された接地電極部
であり、これらの高圧電極部11及び接地電極部12は
強化繊維基材からなる芯材としてのFRP製の絶縁筒1
3の軸方向両端に嵌合固定されている。なお、本実施形
態の絶縁筒13は中空の四角筒により形成されている
が、これ以外に円筒や多角筒など後述の抵抗器やコンデ
ンサの形状、個数等に応じて適宜選択することができ
る。また、絶縁筒13の材質も、機械的強度や絶縁性能
が十分であればFRPに何ら限定されるものではない。
【0014】ここで、絶縁筒13は、図4(a)に示す
軸方向断面図のごとく、絶縁平板13a〜13dを組み
合わせて構成しても良く、更に、軸方向両端部を高圧電
極部11及び接地電極部12に十分固定することで、図
4(b)に示すように軸方向の一端を開放したり、場合
によっては、図4(c)に示すごとく、2枚の絶縁平板
13a,13bのみを対向立設する構造として、絶縁部
品点数を削減すると共に、コンデンサや抵抗器の接続を
容易にして作業工数を一層減少させることも可能であ
る。
【0015】高圧電極部11と接地電極部12との間に
は、図2に示すように分圧用の複数の抵抗器R1,R2
が直列に接続されている。なお、図2では端子Uを高圧
電極部11、端子Eを接地電極部12として示してあ
る。ここで、高圧電極部11側の複数の第1の抵抗器R
1は抵抗値が大きくすべて同一の値であり、接地電極部
12側の単一の第2の抵抗器R2は抵抗値が小さい。何
れの抵抗器R1,R2も、高耐電圧かつ高精度であって
同一組成からなるメタルグレーズ形抵抗を採用してお
り、温度変化による変圧比への影響が微少となるように
考慮されている。
【0016】第2の抵抗器R2の両端には、出力端子と
しての中間端子u及び接地端子vがそれぞれ設けられて
いる。高圧電極部11と接地電極部12との間(端子U
−E間)の母線−大地間電圧は、端子U−u間の抵抗器
R1の直列合成抵抗値と端子u−v間の抵抗器R2の抵
抗値との比によって分圧され、端子u−vから、静止形
リレーや電子式メータ等の軽負担に供給する電圧が出力
される。
【0017】なお、抵抗器R1,R2と大地間の漂遊キ
ャパシタンスによる分圧比への影響を低減するため、抵
抗器R1,R2の直列回路の両端、すなわち端子U−v
間には、複数のコンデンサCの直列回路が接続されてい
る。これらのコンデンサCによる分圧作用は補助的なも
のであり、分圧比はもっぱら抵抗器R1,R2によって
決定される。すなわち、本実施形態のVTは厳密には抵
抗・コンデンサ分圧式VTであるが、実質的には抵抗分
圧式VTと言うことができる。
【0018】次に、図1を参照しつつ本実施形態におけ
る各素子の機械的な接続構造を説明する。図1に示すよ
うに、絶縁筒13の内部には、その中心軸に沿って前記
コンデンサCが複数、直列に接続されている。なお、1
5は絶縁筒13との間でコンデンサCを保持するための
保持板である。
【0019】上記コンデンサCとしては、絶縁樹脂注形
により被覆された円柱状の高圧セラミックコンデンサが
使用される。本実施形態の如くセラミックコンデンサを
採用することにより、静電容量を設定し易くし、容量特
性や温度特性、その他の安定した諸特性を得ることがで
きると共に、コンデンサ自体の形状として特に電極を形
成し易い形状にすることができ、全体の直列接続も容易
に行うことができる。特に、セラミックコンデンサは高
耐電圧で大きな静電容量を有するので、VT用の高圧電
極部11と接地電極部12との間の電位分布を均等にす
る効果が大きい。
【0020】また、水分や塵埃の含有量が十分に管理さ
れた設置条件の下では、両端面にそれぞれ電極を設けた
セラミックコンデンサ素子自体で使用してもよいが、エ
ポキシ樹脂等の絶縁樹脂にてコンデンサ素子及び電極を
一体被覆したセラミックコンデンサとして、その取り扱
いを容易にするなど各種条件によって適宜対応すればよ
い。
【0021】複数の第1の抵抗器R1は、複数のコンデ
ンサCの直列接続体(見方を変えれば絶縁筒13の中心
軸)を包囲するように螺旋状に直列接続されるが、一部
の抵抗器R1は絶縁筒13の対向する2側板の外側に配
置され、残りの抵抗器R1は絶縁筒13の内部において
コンデンサCの前方及び後方に配置されている。すなわ
ち、絶縁筒13の外側に配置された抵抗器R1の一端が
絶縁筒13の内側に配置された別の抵抗器R1の一端に
接続され、その他端が絶縁筒13の外側に配置された更
に別の抵抗器R1の一端に接続されるようにして、すべ
ての抵抗器R1が順次、直列に接続される。
【0022】このように第1の抵抗器R1を螺旋状に組
み上げて直列接続することにより、単に複数の抵抗器を
直線状に直列接続する場合に比べて抵抗器相互間の静電
容量を大きくし、直列抵抗器全体での直列静電容量を大
きくすることができる。これにより、急峻なインパルス
電圧が母線側の高圧電極部12からVTに侵入した場合
にも、抵抗器相互間の静電容量によってインパルス電圧
を分担するので、前述したセラミックコンデンサの使用
と相まって、電位分布を従来よりも均等化することがで
きる。なお、抵抗器を螺旋状に直列接続する構造は、V
T全体の機械的安定性を向上させるためにも有効であ
る。
【0023】また、最上段の抵抗器R1はリード線を介
して高圧電極部11に接続され、最下段の抵抗器R1
は、図1(b)に示すように第2の抵抗器R2の一端に
接続され、その他端は接地電極部12に接続されてい
る。なお、図2に示した出力側の端子u,vについて
は、便宜上、図1における図示を省略してある。
【0024】第1の抵抗器R1の相互接続部分には、球
状電極14をかぶせてある。この球状電極14は、絶縁
筒13の外部に配置される第1の抵抗器R1の相互接続
点の電界集中緩和用として設けられると共に、抵抗器R
1を相互に任意の方向、角度で接続可能にすることによ
り、複数の抵抗器R1を螺旋状に形成しやすくしてい
る。その結果、急峻なインパルス電圧が高圧電極部12
からVTに侵入しても絶縁が脅かされるおそれはなく、
特に、製造上の手間や多くの作業時間をかけることなく
VT全体の構造的安定性を保持することができる。
【0025】なお、図3は、GISに内蔵される本実施
形態の抵抗分圧式VTの定格・仕様を例示したものであ
る。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、急峻なイ
ンパルス電圧が母線側から電圧変成器に侵入した場合に
も、抵抗器に対して特に絶縁補強手当を施すことなく電
位分布を改善できると共に、電圧変成器の全体をコンパ
クトかつ安定した構造とし、更に組み立ても容易な電圧
変成器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面要部断面図(図
1(a))及び要部側面図(同(b))である。
【図2】図1の等価回路図である。
【図3】本実施形態による抵抗分圧式VTの定格・仕様
の一例を示す図である。
【図4】絶縁筒の他の構成例を示す軸方向断面図であ
る。
【符号の説明】
11 高圧電極部(端子U) 12 接地電極部(端子E) 13 絶縁筒 13a〜13d 絶縁平板 14 球状電極 15 保持板 R1 第1の抵抗器 R2 第2の抵抗器 C コンデンサ u 中間端子 v 接地端子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母線と大地との間に接続され、かつ、直列
    接続された複数の抵抗器により母線電圧を分圧して出力
    する電圧変成器において、 母線に接続される高圧電極部と、 大地に接続される接地電極部と、 高圧電極部と接地電極部とを隔絶する絶縁筒と、 高圧電極部と接地電極部との間に互いに直列接続され、
    かつ、少なくとも一部の抵抗器が絶縁筒の外周面に配置
    される複数の抵抗器と、 高圧電極部と接地電極部との間に互いに直列接続され、
    かつ、絶縁筒の内部に配置される複数のコンデンサと、 抵抗器の相互接続点に接続された出力端子としての中間
    端子と、 を備えたことを特徴とする電圧変成器。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電圧変成器において、 前記絶縁筒としての中空角筒の内外を通り、かつ前記コ
    ンデンサの直列接続体を包囲するように複数の抵抗器を
    螺旋状に直列接続したことを特徴とする電圧変成器。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の電圧変成器におい
    て、 複数の抵抗器のうちの1個の抵抗器が低抵抗であり、こ
    の抵抗器の両端に設けられた中間端子及び接地端子に軽
    負担が接続されることを特徴とする電圧変成器。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れか1項に記載した電圧
    変成器において、 複数の抵抗器の相互接続部に球状電極をかぶせたことを
    特徴とする電圧変成器。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れか1項に記載した電圧
    変成器において、 前記コンデンサがセラミックコンデンサであることを特
    徴とする電圧変成器。
  6. 【請求項6】請求項1〜4の何れか1項に記載した電圧
    変成器において、 前記コンデンサが、円柱状のコンデンサ素子の両端面に
    電極を設けると共に絶縁樹脂により一体被覆されたセラ
    ミックコンデンサであることを特徴とする電圧変成器。
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