JP2003054999A - 光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品 - Google Patents

光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品

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JP2003054999A
JP2003054999A JP2001248231A JP2001248231A JP2003054999A JP 2003054999 A JP2003054999 A JP 2003054999A JP 2001248231 A JP2001248231 A JP 2001248231A JP 2001248231 A JP2001248231 A JP 2001248231A JP 2003054999 A JP2003054999 A JP 2003054999A
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Akiko Kawase
明子 川瀬
Mikito Nakajima
幹人 中島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】眼鏡レンズ・窓ガラスなどの光学物品に対し、
その表面硬度、反射防止などの光学特性を損なうことな
く、耐擦傷性、耐久性に優れた防曇効果をもたせる。 【解決手段】酸化物を主として含む光学物品の表面にチ
オール基を含むシランカップリング剤で処理した後、光
グラフト重合法、放射線グラフト重合法、水溶液中での
グラフト重合法等により、分子中に不飽和結合及び親水
性基を持つ化合物を、エン・チオール反応により表面に
固定することによって耐久性に優れた防曇性能を光学物
品に付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇性能を有する
メガネ・カメラ等のレンズ、または窓ガラス、車のフロ
ントガラス、ヘルメットのシールド、水中メガネ等の光
学物品、または浴室内で使用する鏡等の酸化物表面に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】物品表面が曇る現象は、表面に微小な水
滴が付着、結露し、この微少水滴が光を乱反射するため
に生じる。この曇りは眼鏡レンズや光学レンズなどの光
学部品ではその性能の著しい低下を引き起こし、自動車
をはじめとする車両用窓ガラスとしては、安全性の点で
大きな問題である。
【0003】物品に防曇性能を付与するには、1)基材
に吸水性を持たせる、2)基材表面を親水性にする、
3)基材表面を疎水性にする、4)光学物品の表面温度
を高くし、空気中の水分が表面で凝結しない様にする。
の4点の方法が過去から提案され、色々な試みがなされ
ている。
【0004】1)の基材に吸水性を持たせる方法につい
て、コーティング組成物または、合成樹脂基材自体に吸
水性材料を混合する、または、親水性、吸水性の単量体
を共重合して吸水性を付与する方法がある。これについ
ては、特開平10−311902,特開平05−156
202などに開示されている。また、吸水性の悪いガラ
スなどの無機質に吸水性を持たせる方法としては、無機
質を多孔性にして吸水性を持たせる方法が特開平10−
114543等で試みられている。
【0005】2)の基材表面を親水性にする方法につい
ては、もっとも簡便な手段として、界面活性剤を表面に
塗布することで基材表面を親水性とし、曇りを防ぐ方法
がある。また、連続的な効果を期待するために、前述同
様、合成樹脂基材自体に界面活性剤を混合し、または親
水性、吸水性の単量体を共重合して合成樹脂基材を形成
して防曇性能を付与する方法がある。これについては、
特開平10−114035、特開平10−13051
1、特開平10−158453、特開平10−1829
12、特開平10−202798などに開示されてい
る。また、光学樹脂物品の表面に防曇性能を有するコー
ティングを施す方法も良く知られ、特開平8−1764
6、特開平8−27291、特開平9−136374、
特開平9−151368、特開平9−155282など
に開示されている。
【0006】光触媒性金属酸化物被膜を形成し、超親水
性を発現させる方法については特開2000−3090
68、特開2000−86933、特開平9−7753
5、特開平10−68091、特開平10−8510
0、特開平10−167727、特開平10−2979
40等に開示されている。
【0007】表面改質の方法としてのグラフト重合は、
基材表面に親水性基を単分子的に導入する方法で、反射
防止特性を有する酸化物膜上に非常に有効な手段であ
る。特開平5−202216、特開平5−29513
9、特開平8−176328、特開平9−30174
2、特開平10−90503等に開示されている。その
他表面改質方法としては特開平10−114543、特
開平10−167768があげられる。
【0008】さらに、無機物質の細孔・凹凸と親水性物
質を組み合わせた特許及び表面の凹凸を利用した特許と
して、特開平9−202651、特開平9−29583
5、特開平11−77876が挙げられる。
【0009】3)は基材表面の接触角を高くして、水滴
をその自重によって落脱させる方法である。これは、特
開2000−103007、特開平10−26703、
特開平10−45429、特開平11−320743に
開示されている。
【0010】4)光学物品の表面温度を高くし、空気中
の水分が表面で凝結しない様にする。方法については、
特開平7−241932、特開2000−86299に
開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでの方
法はさまざまな欠点を有している。特に、反射防止特性
を有する光学物品の場合、その反射防止特性を変化させ
ずに最表面に防曇特性を持たせることは困難である。
【0012】1)の基材に吸水性を持たせる方法につい
ては、防曇性能としては十分な性能が得られるが、吸水
した場合、非常に柔らかくなってしまい、傷の付きやす
いものであった。また、これを改善するために、架橋点
を増加させると、吸水率が低下してしまうという。加え
て、飽和吸水量以上になると、曇ってしまうという欠点
がある。さらに、空気中の汚れ、例えばタバコの煙など
も吸着し易く、光学物品が着色してしまうなどの欠点も
ある。また、このような吸水性の膜の場合、ある程度の
膜厚を持たせなければならず、反射防止特性を持つ基材
の上には処方不可能である。
【0013】無機物質を多孔性にして吸水性を持たせる
方法は、その膜厚に制限があるため、吸水量も少なく、
多孔質にすることで表面はもろくなり、耐擦傷性に問題
がある。
【0014】2)の基材表面を親水性にする方法につい
ては、水の付着等により殆どの種類の界面活性剤は流れ
落ちてしまい、連続的な効果は期待できず、都度塗布し
なければならないなどの手間がかかる。しかし、反射防
止特性を有する膜上の防曇性付与には、反射防止特性の
阻害をしない点で非常に有効な手段である。
【0015】光触媒性金属酸化物被膜を形成し、超親水
性を発現させる方法については、その機構上、紫外線に
暴露される状況になければ、超親水性の発現は困難であ
り、また、曇りの様な極微小な水滴の場合、光触媒性物
質の結晶構造に対して、充分な大きさを持たないため、
水滴の広がりは充分ではなく、曇りが認識される。ま
た、特に反射防止特性を有する光学材料については、最
表面に一般的に屈折率の高い光触媒線物質が存在するこ
とにより、反射がかえって大きくなってしまう。
【0016】グラフト重合について様々な方法が提案さ
れているが、これは最表面に親水性、疎水性の薄膜を成
膜するものである。従来技術に従うと反応が煩雑であ
り、基材表面に密に防曇成分が反応せずに充分な防曇性
が得られない。
【0017】3)の基材表面の接触角を高くして、水滴
をその自重によって落脱させる方法では、ある程度の大
きさの水滴になってはじめて、水滴は落下する。よっ
て、曇りの様な極微小な水滴の場合、自重が不十分なた
め、自然に落下しない。
【0018】4)の方法では、ヒーター部、エネルギー
源は不可欠であり、装置が煩雑になりすぎてしまう。
【0019】そこで、本発明は以上の様な問題点を解決
し、光学物品の光学特性を低下させることなく、酸化物
表面上に持続性に優れた防曇性能を有する光学物品を得
ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の光学物品に防曇
性能を付与する方法は、酸化物を主として表面に含む光
学物品において、該光学物品の表面を、チオール基を有
するシランカップリング剤で処理した後、分子中に不飽
和結合及び親水性基を有する化合物を、エン・チオール
反応により表面に固定することを特徴とする。
【0021】また、前記酸化物を主として表面に含む光
学物品が、反射防止無機コート膜を有する合成樹脂レン
ズ、またはハードコート層及び反射防止無機コート膜を
有する合成樹脂レンズ上であることを特徴とする。
【0022】また、前記酸化物を主として表面に含む光
学物品がガラスであることを特徴とする。
【0023】本発明の防曇性光学物品は、上記いずれか
の防曇性膜を付与する方法で処理されていることを特徴
とする。
【0024】酸化ケイ素を主成分とするガラスの光学物
品の場合、耐擦傷性に大きな問題はないが、合成樹脂か
らなる光学物品は傷がつき易く、耐擦傷性を向上させな
ければならない。合成樹脂の耐擦傷性を向上させる為に
は、ハードコート処理がよく行われる。特に、コロイダ
ルシリカを含むハードコートが有効で広く用いられてい
る。眼鏡レンズなどの場合、その光学特性を向上させる
ために無機物質から構成される反射防止膜が表面に形成
される。反射防止膜の最上層には、低屈折率層が形成さ
れるが、耐久性、取扱い易さの点で二酸化ケイ素が広く
用いられている。この様に、耐擦傷性の向上や反射防止
膜には、酸化ケイ素が多く用いられており、無機ガラス
に限らず合成樹脂製の光学物品についても酸化ケイ素が
表面に存在している場合が多い。反射防止膜として有機
物からなる膜を利用する場合でも最上層にコロイダルシ
リカが含まれれば、表面に酸化ケイ素が存在することに
なる。
【0025】本発明は、酸化物を主成分とするガラスの
光学物品、コロイダルシリカを含むハードコートを表面
に塗布した合成樹脂製光学物品、最上層に酸化物を用い
た反射防止膜を有する光学物品、いずれの場合でも表面
に酸化物が存在する物品に対して適用できる。
【0026】本発明では、チオール基を有するシランカ
ップリング剤で酸化物を主として表面に含む光学物品の
表面を処理する。チオール基はシランカップリング剤の
有機鎖のどの位置に存在しても良いが、次工程で分子中
に不飽和結合及び親水性基を有する化合物を反応させる
ことから、末端にあることが望ましい。最表層に存在す
る酸化ケイ素との反応は、クロルシランやアルコキシシ
ラン、シラザンの様なシラノールと反応する基を持つシ
ランカップリング剤を用いることにより表面の酸化ケイ
素の持つシラノールとの反応が実現できる。これは一般
的に用いられている方法である。
【0027】チオールを有するシランカップリングとし
て、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプ
ロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、2−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン、2−メルカプトプロピルジメチルメトキシシ
ラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−
メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプト
エチルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチル
ジメチルメトキシシランなどがあげられる。
【0028】この様にシランカップリング剤で酸化物を
含む表面を処理した場合、チオール基が表面に存在する
ことになる。
【0029】シランカップリング剤と酸化物の反応性を
高める為に、プラズマ処理、アルカリ処理を、予め表面
に存在する酸化ケイ素に施すと効果があり、防曇効果も
向上する。
【0030】次に本発明では上記のように処理した表面
のチオール基に、分子中に不飽和結合及び親水性基を有
する化合物を反応させる。このような不飽和結合として
は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基な
どを選択することができる。親水性基としてはスルホン
酸基、水酸基、アミン基、カルボキシル基、硫酸エステ
ル、及びその塩、エーテル結合、酸アミド基、カルボン
酸エステル基、ハロゲン等が挙げられる。不飽和結合
基、親水性基とも、分子中に存在する位置に限定は無い
が、不飽和基はチオール基との反応から、また、親水性
基は表面密度が高い方が良いことから、それぞれ末端に
存在することが望ましい。
【0031】分子中に不飽和結合及び親水性基を有する
化合物として、下記(化1)、(化2)に示すものがあ
げられるが、この限りではない。
【0032】
【化1】
【化2】 (R1は炭素数1ないし8の直鎖状アルキル基又は炭素
数3ないし9の分岐状アルキル基又は炭素数6ないし1
0の芳香族アルキル基、Aはビニル基、アクリル基、メ
タクリル基、アリル基等の不飽和結合基、Yは一個以上
の親水性基を有する置換基) シランカップリング剤のチオール基を不飽和結合と反応
させるには、光グラフト重合法、レドックス重合法、熱
重合法、放射線グラフト重合法などを用いることができ
る。形成された処理層は、反射防止層の反射率特性に悪
影響を与えない程度の薄膜であることが大切で、300
オングストローム以下が望ましいが、薄膜の屈折率を考
慮して膜厚を決め、反射防止として薄膜を組み込むこと
も可能である。反応後、水洗、あるいは有機溶剤で洗浄
することにより、光学物品表面と結合していない余分な
物質を除去する。
【0033】以上の操作により酸化ケイ素が表面に存在
する光学物品の最表面には、分子中に親水性基を持つ化
合物がシランカップリング剤を介して表面と結合して存
在する状態になる。防曇性能を得る為には、水に対する
静止接触角が10゜以下であることが望ましいが、十分
な性能を得るためには5゜以下が必要となる。これは表
面の活性点を増やし、親水性化合物のグラフト率を高め
ることで達成できる。また、用いる親水性化合物の構造
によって親水性基の充填率を上げるなどの方法も可能で
ある。
【0034】本発明によって得られる防曇性能を有する
光学物品は、耐擦傷性に優れ、反射防止などの光学特性
にも優れており、眼鏡レンズ、カメラレンズ、浴室内の
鏡、水中眼鏡、窓ガラス、電子レンジの窓、車の窓ガラ
ス、望遠鏡のレンズ、スキーのゴーグル、湿気の多い所
で使用する光学機器のレンズ、ミラーなどに適用するこ
とが可能である。
【0035】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0036】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕 1.基材の準備:予め水酸化ナトリウム溶液(0.1
N) に浸漬し、よく水洗、乾燥したプラスチックレン
ズ(セイコーエプソン(株)製、セイコースーパーソブリ
ン用レンズ生地、屈折率1.67)に以下に示すコーテ
ィング液をディッピング法で、膜厚が2.5μm になる
様塗布し、135℃で2.5時間加熱硬化した。このよ
うにして得られたレンズの表面に、プラズマ処理(アル
ゴンプラズマ400W×60秒)を行った後、無機物質の
酸化ケイ素、酸化ジルコニウムからなる反射防止膜を真
空蒸着法で多層被覆し、ハードコート、反射防止付プラ
スチックレンズ、基材Aを作成した。この基材Aの水に
対する静的接触角は20°であった。
【0037】(コーティング液の調整)撹拌装置を備え
た、反応容器中に、イソプロピルアルコール118.8
g,蒸留水300.0g、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン139.4g、0.05規定塩酸水溶
液38.2gを投入し、60分攪拌した。次に酸化チタ
ン・酸化ジルコニウム・酸化珪素の複合ゾル(触媒化成
工業(株)製“オプトレイク1120Z(U25A
8)”)403.3gシリコーン系界面活性剤(日本ユ
ニカー(株)製“L−7604”)0.3g 添加し、
十分攪拌した後コーティング液とした。
【0038】2.シランカップリング剤処理:次にこの
基材Aを3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン溶
液(0.5w%、イソプロピルアルコール溶媒)中に室
温にて30分間浸漬し、80℃で120分間処理した。
その後、アセトンにより洗浄した。
【0039】洗浄前にはレンズに白化現象が見られた
が、アセトン洗浄により透明に戻り、レンズの外観・反
射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、こ
の時の水に対する接触角は56°であり、3−メルカプ
トプロピルトリメトキシシランが表面に固定化されてい
る事が確認された。
【0040】3.親水処理:次にメタノール250gに
メタクリルスルフォン酸ナトリウム(日本乳化剤
(株):antoxMS2N)25gを溶解し、光開始
剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル
ケトン(Irgacure184;チバスペシャリティ
ケミカルズ(株)製)を0.8g添加し、光を遮断した
状態で、30分間撹拌した。この溶液にシランカップリ
ング処理したレンズを浸漬し、この状態で高圧水銀灯
(3.2kW)の紫外線光源直下15cmで、レンズの
両面に10秒ずつ紫外線照射を行い、メタクリル基とチ
オール基との反応を行った。高圧水銀灯下より取り出し
たレンズは純水にて洗浄した。洗浄後のレンズの外観、
反射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、
この時の水に対する静的接触角は8°であり、親水性チ
オールが表面に固定化されていることが確認された。
【0041】得られた光学物品の防曇性評価方法は、水
に対する静的接触角、“JIS−S4030 眼鏡用く
もり止め剤試験方法”の低温部くもり止め性に従って1
〜4級で評価した(1級が一番防曇性能が良く、4級が
一番悪い)。また、耐擦傷性についてはボンスター#0
000スチールウール(日本スチールウール(株)製)
で1kg荷重、10往復表面を摩擦したときの傷の付き
方によって評価した。(A:1cm*3cmの範囲内に
全く傷が付かない。B:上記範囲内に1〜10本傷が付
く。C:上記範囲内に11〜100本傷が付く。 D:
上記範囲内に無数の傷が付く。)評価結果は表1にまと
めて示した。
【0042】〔実施例2〕 1.基材の準備:実施例−1で用意した基材Aを用意し
た。
【0043】2.シランカップリング剤処理:この基材
Aを2−メルカプトエチルトリメトキシシラン溶液
(0.5w%、イソプロピルアルコール溶媒)中に室温
にて30分間浸漬し、80℃で120分間処理した。そ
の後、アセトンにより洗浄した。洗浄前、洗浄後のレン
ズの外観、反射特性に大きな変化は見られなかった。ま
た、水に対する静的接触角は55°で、2−メルカプト
エチルトリメトキシシランの表面への固定化が確認され
た。
【0044】3.親水処理:次にメタノール125gに
酸性リン酸メタクリルエステル(第一工業製薬(株)
製:ニューフロンティアS−510)12.5gを溶解
し、光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル
−フェニルケトン(Irgacure184;チバスペ
シャリティケミカルズ(株)製)を0.4g添加し、光
を遮断した状態で、30分間撹拌した。この溶液にシラ
ンカップリング処理したレンズを浸漬し、この状態で高
圧水銀灯(3.2kW)の紫外線光源直下15cmで、
レンズの両面に10秒ずつ紫外線照射を行い、メタクリ
ル基とチオール基との反応を行った。高圧水銀灯下より
取り出したレンズは純水にて洗浄した。洗浄後のレンズ
の外観、反射防止の特性に大きな変化は見られなかっ
た。また、この時の水に対する静的接触角は9°であ
り、親水性物質が表面に固定化されていることが確認さ
れた。
【0045】〔実施例3〕 1.基材の準備:通常のソーダガラス板を基材として用
いた。
【0046】2.シランカップリング剤処理:基材を、
出力400WのArプラズマで処理した後、3−メルカ
プトプロピルメチルジメトキシシラン溶液(0.5w
%、イソプロピルアルコール溶媒)をスピンナーで(2
000回転、5秒)塗布し、150℃1時間加熱乾燥し
た。両面について同様に処理を行った。
【0047】3.親水処理:10wt%の2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートのメタノール溶液100gに、
光開始剤として、1−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オン(Darocure117
3;チバスペシャリティケミカルズ(株)製)を0.3
g添加し、光を遮断した状態で、30分間撹拌した。こ
の溶液にシランカップリング処理したガラスを浸漬し、
この状態で高圧水銀灯(3.2kW)の紫外線光源直下
15cmで、レンズの両面に10秒ずつ紫外線照射を行
い、メタクリル基とチオール基との反応を行った。高圧
水銀灯下より取り出したレンズは純水にて洗浄した。洗
浄後のレンズの外観、反射防止の特性に大きな変化は見
られなかった。また、この時の水に対する静的接触角は
7°であり、親水性物質が表面に固定化されていること
が確認された。
【0048】〔比較例1〕実施例1でシランカップリン
グ処理を行わない以外、同様に処理を行ったものを比較
例1とした。
【0049】〔比較例2〕実施例2の親水処理で酸性リ
ン酸メタクリルエステルの替わりに、メタクリル酸メチ
ルエステルを用いた以外、同様に処理を行ったものを比
較例2とした。
【0050】〔比較例3〕実施例3の基材Aの替わりに
プラスチックレンズ(セイコーエプソン(株)製、セイコ
ースーパーソブリン用レンズ生地、屈折率1.67)を
用いたほかは同様に処理を行い、これを比較例3とし
た。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物が存在する硬度
の十分ある表面に親水性物質を反応・固定させ、耐擦傷
性をもたせることが可能となり、かつ防曇処理層が薄い
為、表面硬度、防曇の耐久性にも優れ、表面の反射防止
膜に光学的影響を与えない防曇性能を有する光学物品が
製造可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02C 7/02 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2K009 AA02 AA15 BB02 BB11 CC03 CC42 DD02 DD03 DD05 DD06 DD08 DD17 EE02 4F100 AA01B AA17D AG00D AH04A AH06A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10D CC00C EH46B GB90 JB20 JN01B JN06B 4G059 AA01 AA11 AC04 AC21 EA01 EA04 EB03 FA05 FA13 FA15 FA30 FB03 FB05 FB06 GA01 GA02 GA04 GA11 GA16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物を主として表面に含む光学物品にお
    いて、該光学物品の表面を、チオール基を有するシラン
    カップリング剤で処理した後、分子中に不飽和結合及び
    親水性基を有する化合物を、エン・チオール反応により
    表面に固定することを特徴とする光学物品に防曇性能を
    付与する方法。
  2. 【請求項2】前記酸化物を主として表面に含む光学物品
    が、反射防止無機コート膜を有する透明部材、またはハ
    ードコート層及び反射防止無機コート膜を有する透明部
    材上であることを特徴とする請求項1記載の光学物品に
    防曇性能を付与する方法。
  3. 【請求項3】前記酸化物を主として表面に含む光学物品
    がガラスであることを特徴とする請求項1記載の光学物
    品に防曇性能を付与する方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の防曇性
    膜を付与する方法で処理した防曇性光学物品。
JP2001248231A 2001-08-17 2001-08-17 光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品 Withdrawn JP2003054999A (ja)

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