JP2003053516A - 球状黒鉛鋳鉄組織の制御方法及びこの制御方法に用いる鋳型 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄組織の制御方法及びこの制御方法に用いる鋳型

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JP2003053516A
JP2003053516A JP2001240087A JP2001240087A JP2003053516A JP 2003053516 A JP2003053516 A JP 2003053516A JP 2001240087 A JP2001240087 A JP 2001240087A JP 2001240087 A JP2001240087 A JP 2001240087A JP 2003053516 A JP2003053516 A JP 2003053516A
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slow cooling
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Yoshitaka Yotsuya
剛毅 四谷
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Suzuki Motor Corp
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  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層部は黒鉛粒数が多くフェライト率が大き
い組織とし、内部は黒鉛粒数が比較的少なくパーライト
率が大きい組織とする球状黒鉛鋳鉄組織の制御方法及び
該制御方法に用いる鋳型を提供する。 【解決手段】 鋳物製品の形状に形成された空隙5を有
する砂型9と、該砂型9に配設され、前記空隙5に溶湯
を供給する湯口13,3,15と、前記空隙5に充填し
た溶湯を冷却して鋳物製品を作製する場合に、前記空隙
5の徐冷部11の冷却速度を小さくする徐冷湯7とを備
えた鋳型において、前記徐冷湯7を、砂型9を介して前
記徐冷部11の近傍に配設した鋳型1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステアリングナッ
クル等の製品を鋳造する際に、徐冷湯を用いて高靱性の
球状黒鉛鋳鉄の組織を制御する方法とその方法に用いら
れる鋳型に関する。また、球状黒鉛鋳鉄のみならず、片
状黒鉛鋳鉄の組織制御としても用いることができる。前
記製品としては、球状黒鉛鋳鉄部品及び片状黒鉛鋳鉄部
品に広く適用することができる。例えば、前記球状黒鉛
鋳鉄部品としては、ステアリングナックルやロアアーム
等の自動車用足廻り強度部品、エンジンマウントブラケ
ットやクランクシャフト等であり、前記片状黒鉛鋳鉄部
品としては、ブレーキロータ、ドラム、及びカムシャフ
ト等に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】ステアリングナックルやロアアーム等の
自動車用足廻り強度部品は、形状が複雑なものが多いた
め、一般に、形状の自由度が大きい球状黒鉛鋳鉄が多く
用いられている。また、前記足廻り強度部品は、所定の
衝撃値及び強度を保持するため、肉厚を厚くして重量の
大きいものとしなければならなかった。
【0003】しかし、近年の環境問題の観点から、前記
足廻り強度部品の衝撃値及び強度を向上させると共に、
軽量化を図ることが望まれている。ここで、球状黒鉛鋳
鉄の衝撃値及び強度を向上させるには、組織を制御する
ことが必要である。この組織制御方法として、従来は、
熱処理を施すことによって、足廻り強度部品の内部をパ
ーライト組織にして強度を向上させ、表面近傍を伸びの
あるフェライト組織にする方法が、特開平6−2003
22号公報、特開平6−17186号公報及び特開平9
−296215号公報等に開示されている。しかし、こ
れらの方法は、高コストの熱処理が必要となるため、安
価な球状黒鉛鋳鉄の処理としては適さなかった。
【0004】一方、熱処理をすることなく鋳造時に組織
制御を行うために、鋳造時における冷却速度を速めたり
遅めたりして、冷却速度の制御をすることが必要であ
る。特開平10−263794号公報には、冷却速度を
速める方法として冷し金を用いる技術が開示され、特開
昭54−5820号公報には、冷却を遅くする方法とし
て徐冷湯を用いる技術が開示されている。
【0005】この徐冷湯を用いる方法には、図15に示
すように、徐冷湯101と製品用の空隙103の徐冷部
105を直接連結し、これらの徐冷湯101と徐冷部1
05との間隔を短くした鋳型107を用いている。この
鋳型107においては、溶湯を湯口109に注入する
と、該湯口109から湯道111と押湯113を介して
ゲート115に送給されたのち、製品用の空隙103内
に充填されるように構成されている。図16に示すよう
に、注湯の直後から溶湯を徐冷して共晶点までの冷却速
度を遅くすることによって、製品のチル化防止を図って
いる。ここで、鋳鉄の衝撃値を向上させるには、黒鉛粒
数や共晶セル数を増やし、組織をフェライト化すること
が有効であり、そのためには、共晶点までの溶湯の冷却
速度を大きくし、共析点までの冷却速度は小さくする制
御が必要になる。
【0006】従って、従来の徐冷湯を用いた方法では、
共晶点から共析点までの冷却における冷却速度は小さく
するが、注湯時点から共晶点までの冷却における冷却速
度まで小さくしてしまい、組織中の黒鉛粒数と共晶セル
数が減少してしまうため、衝撃値の向上が得られないと
いう問題があった。一方、冷し金を用い、共晶点までの
冷却を速くして黒鉛粒数を増やす方法が特開平10−2
63794号公報に開示されているが、この方法では、
共析点までの冷却を遅くすることができないという問題
があった。このように、組織制御を目的とした徐冷方法
はこれまで存在していなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を
解決するべく、鋳型への溶湯充填時から共晶点までの溶
湯の冷却速度を所定の値よりも小さくすることなく、共
晶点から共析点までの冷却速度のみを選択的に小さくす
ることによって、表層部は黒鉛粒数が多くフェライト率
が大きい組織とし、内部は黒鉛粒数が比較的少なくパー
ライト率が大きい組織とする球状黒鉛鋳鉄組織の制御方
法及び該制御方法に用いる鋳型を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、砂型中に形成された鋳物製品用空隙に溶湯
を充填するステップと、この充填した溶湯を共晶温度ま
で冷却して固相を析出させる第1の冷却を行うステップ
と、前記固相を共晶温度から共析温度まで冷却する第2
の冷却を行うステップとを含み、これらの第1及び第2
の冷却の少なくともいずれかの冷却速度を変えることに
より、鋳物製品中の組織を制御する球状黒鉛鋳鉄組織の
制御方法であって、前記鋳物製品の表層部における第2
の冷却の速度、内部における第1の冷却の速度を小さく
することにより、前記表層部の黒鉛粒数とフェライト率
を内部よりも大きくすると共に、前記内部のパーライト
率を表層部よりも大きくする方法である。
【0009】本発明によれば、表層部における第1の冷
却の冷却速度のみを大きく維持し、製品の表層部におけ
る第2の冷却、内部における第1の冷却の速度を選択的
に小さくすることができる。このため、表層部は、切欠
き感受性が低く衝撃値が大きい、フェライト主体で黒鉛
粒数が多い球状黒鉛鋳鉄組織となる。また、製品内部
は、黒鉛粒数が少なくパーライト率が大きい高強度の組
織となり、これらの表層部と内部とで異なる組織の二層
組織を形成した球状黒鉛鋳鉄を鋳放しで得ることができ
る。
【0010】また、本発明は、鋳物製品用空隙を有する
砂型と、該砂型に配設され、前記空隙に溶湯を供給する
湯口と、前記空隙に充填した溶湯を冷却して鋳物製品を
作製する場合に、鋳物製品用空隙の徐冷部における冷却
速度を小さくする徐冷湯とを備えた鋳型において、前記
徐冷湯を、砂型を介して前記徐冷部の近傍に配設した鋳
型である。
【0011】前記湯口とは、広義の湯口の意であり、湯
溜まり、縦湯口、湯道、及びせき(ゲート)を含んだ、
溶湯を注ぎ込むために設けた通路を総称するものであ
る。前記砂型の熱伝導度は、鋳鉄よりも大幅に小さいた
め、徐冷湯の熱が製品の徐冷部まで伝わるのに時間がか
かる。よって、徐冷部に充填された溶湯が冷却される過
程において、溶湯充填時から一定の時間を経てから遅れ
て、徐冷湯の効果が発揮し始める。従って、必要とする
遅延時間に合わせて、徐冷開始時点を調整することがで
き、製品の表層部と内部とで異なる組織を有する二層組
織を効率的に形成することができる。
【0012】また、本発明の一態様は、前記徐冷湯を湯
口とは別個に独立して配設した鋳型である。この鋳型に
よれば、徐冷湯に溶湯を充填させる時間を、製品用の空
隙に注湯する時間とは独立して別個に遅らせることがで
きる。よって、徐冷開始時点の遅延時間を自由にかつ簡
単に変えることができる。そして、本発明の別の態様
は、前記徐冷湯を、鋳物製品の厚肉部の空隙に連通させ
た鋳型である。
【0013】さらに、本発明の別の態様は、前記徐冷湯
を供給路を介して前記湯口に連通させると共に、この供
給路を前記空隙の周囲に形成した鋳型である。供給路を
鋳物製品用空隙の周囲に長く形成することによって、溶
湯が湯口から徐冷湯までに辿り着くまでに時間がかかる
ため、徐冷開始時点を遅らせることができる。この供給
路の長さを適宜調整することによって、所望の徐冷開始
時点の遅延時間を得ることができる。
【0014】そして、本発明の更に別の態様は、前記徐
冷湯の高さをゲートよりも高くすることにより、前記供
給路を徐冷湯に向かうにつれて斜め上方に傾斜させた鋳
型である。この鋳型によれば、溶湯が登り坂を登るよう
に供給路を流れるため、徐冷湯に辿り着くまでに時間が
かかるため、傾斜の大きさを調整することによって、所
望の徐冷開始時点の遅延時間を得ることができる。
【0015】さらに、本発明の更に別の態様は、前記徐
冷湯に当接して冷し金を配設し、これによって、前記徐
冷湯の温度を、溶湯の共析温度以上でかつ共晶温度以下
にした鋳型である。この鋳型によれば、冷し金によって
徐冷湯の温度を下げて、充填時から共晶点までの冷却速
度の低下を抑制することができる。
【0016】そして、本発明の更に別の態様は、前記冷
し金を、前記徐冷湯と前記徐冷部との間に配設した鋳型
である。この鋳型によれば、溶湯充填時から共晶点まで
の急冷と、共晶点から共析点までの徐冷を同時に達成す
ることができる。また、前記冷し金は、徐冷湯の温度が
共析点以上で共晶点以下になるように調整することがで
きるため、徐冷湯の温度を共晶点以下に下げ、共析点ま
での冷却速度のみを選択的に小さくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、球状黒鉛鋳鉄組織の制御
方法及び鋳型の実施の形態について、詳細に説明する。 [第1の実施の形態]図1は、第1の実施の形態に係る
鋳型1を示す平面図である。湯道3や製品用の空隙5
は、本来は砂型中に埋設されているが、鋳造方案を明確
にするため、全て実線で示している。
【0018】まず、第1の実施の形態においては、徐冷
湯7と前記空隙5とを直接に接続せず、砂型9を介して
互いに間隔を隔てて配設している。即ち、鋳型1中に
は、製品形状の空隙5が形成されているが、この空隙5
の徐冷部11の近傍に砂型9を介して徐冷湯7を配設し
ている。これによって、製品の表面付近(以下、表層部
ともいう)と内部とで組織に差異を有する二層組織を形
成している。
【0019】前記鋳型1には、溶湯を注入するために上
方に延設された縦湯口13と、製品の引け巣等の不良を
防止するための押湯15と、空隙5の徐冷部11に充填
された溶湯の冷却速度を小さくするために、徐冷部11
の近傍に砂型9を介して配設された徐冷湯7と、製品形
状に形成された空隙5とを備えている。そして、前記縦
湯口13と押湯15とは湯道3を介して連通し、押湯1
5と徐冷湯7とは供給路17を介して連通し、更に押湯
15と空隙5とはゲート19を介して連通している。
【0020】ここで、砂型9の熱伝導率(約0.003
cal/cm・S・℃)は、鋳鉄(約0.05cal/
cm・S・℃)に較べて非常に低いため、徐冷湯7から
発生した熱が砂型9を介して前記徐冷部11に伝達する
のに長い時間がかかる。よって、徐冷部11に溶湯が充
填されてから、徐冷の効果が発揮し始めるまでに一定の
時間がかかり、溶湯の充填時から共晶点までの冷却速度
をそのまま維持しつつ、共晶点から共析点までの冷却速
度を選択的に遅くするという冷却速度の制御が可能であ
る。このため、製品の黒鉛粒数と共晶セル数を多く維持
しながら、フェライトを多く析出させることができる。
【0021】また、製品用の空隙中に充填された溶湯の
冷却速度は、図2(a)に示すように、表層部と内部と
では相違がある。表層部は、外部に熱が逃げやすいた
め、内部よりも速く冷却され、内部は熱が逃げにくいた
め、冷却速度が遅くなるからである。
【0022】なお、黒鉛粒数の増加によって、単に製品
の衝撃値を向上させるだけでなく、組織のフェライト化
を促進する効果も生じる。そして、共晶点から共析点ま
での徐冷によって、黒鉛粒数を変化させずに、フェライ
トの析出のみを導く。徐冷の開始時点を遅らせるには、
徐冷湯と徐冷部との距離、即ち砂型の厚さを適宜調整す
ることが望ましい。徐冷の開始時点の遅延時間は、徐冷
部の溶湯充填時から共晶点に達するまでの時間以上で、
かつ溶湯充填時から共析点に達するまでの時間未満にす
る必要がある。共晶点に達する時間よりも短いと、共晶
点までの冷却速度を遅くしてしまい、共析に達する時間
よりも長いと、共晶点から共析点までの冷却速度を遅く
することができないためである。
【0023】具体的には、製品の徐冷部11の肉厚が1
0〜20mmの場合、前記遅延時間は10〜600秒間
になる。徐冷部11と徐冷湯7との間に介在する砂型9
の厚さは、製品形状にもよるが、一般に10〜50mm
が望ましい。10mm未満では、徐冷開始時間の遅延が
十分に行えず、逆に50mmよりも大きいと、徐冷湯7
の熱が周囲の砂型9に拡散してしまい、徐冷の効果が十
分に得られないからである。なお、この砂型9の厚さで
も徐冷開始時間の遅延が不足する場合は、後述する遅延
方法を併せて用いることができる。
【0024】本案により、図2(a)(b)に示すよう
に、表面付近における溶湯充填時(A時点)から共晶点
(B時点)までの冷却速度を従来のまま維持することに
よって、表面付近の黒鉛粒数を多くすることができる。
また、内部は、共晶点よりも若干高温の時点(C時点)
から共晶点まで(D時点)の冷却速度も徐冷され、黒鉛
粒数が少なくなるため、表面付近と内部のパーライト量
に大きな差が生じて、内部のパーライト量が増えて強度
が向上する。また、共晶点から共析点までの冷却速度
は、表面付近と内部共に徐冷されるため、表面付近は非
常にフェライトの多い組織となり、内部も過度のパーラ
イト化が抑制され、図3と図4に示すような理想的な二
層組織が得られる。
【0025】[第2の実施の形態]次いで、第2の実施
の形態においては、徐冷湯までの溶湯の供給路を必要な
徐冷遅延時間に応じて長く形成している。前記第1の実
施の形態にて説明したように、徐冷湯7と徐冷部11と
を砂型9を介して間隔を隔てて配設しただけでは、徐冷
部11における徐冷開始の遅延時間が足りない場合は、
図5に示すように、徐冷湯7までの溶湯の供給路21を
必要な徐冷遅延時間に応じて長く形成することが望まし
いからである。また、第1の実施の形態においては、徐
冷湯7は押湯15に連結されていたが、第2の実施の形
態では、徐冷湯7が供給路21を介して縦湯口13に接
続されている。この供給路21は、製品用の空隙5の周
囲を大きく取り囲むように配設されているが、その経路
の取り方は鋳型23の大きさや必要な徐冷遅延時間の長
さに応じて適宜変更可能である。
【0026】これにより、縦湯口13に溶湯を注湯した
ときに、徐冷湯7まで溶湯が供給されるまでに時間がか
かる結果、徐冷部11における徐冷効果が発揮され始め
る時間を遅らせることができる。また、溶湯が徐冷湯7
に供給されるまでに、その供給路21の途中で熱が奪わ
れ、徐冷湯7の温度が共晶点付近まで低下するため、共
晶点以上での徐冷効果を弱めることができる。
【0027】[第3の実施の形態]第3の実施の形態に
おいては、徐冷湯の高さをゲートよりも高くすることに
よって、湯口から徐冷湯に至る供給路に登り勾配を付け
ている。
【0028】図6に示すように、徐冷湯7は縦湯口13
と供給路31を介して連通されているため、縦湯口13
から注入された溶湯は、供給路31を介して徐冷湯7に
送給される。ここで、図7に示すように、ゲート19よ
りも徐冷湯7の下端部7aの方が高さHだけ上方に位置
しているため、前記供給路31は徐冷湯7に向かうにつ
れて登り勾配になるように傾斜している。これにより、
徐冷湯7に溶湯が充填する時間を遅らせ、前記第2の実
施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、図7
において、一点鎖線は砂型の上面33を示しており、湯
口の上端部のみが上方に突き出ている以外は、押湯15
や徐冷湯7は砂型9の内部に、埋設された状態で空隙と
して形成されている。
【0029】[第4の実施の形態]第4の実施の形態に
おいては、徐冷湯を湯口や押湯とは連通させずに、独立
した別系統とする。図8に示すように、徐冷湯41へ溶
湯を供給する徐冷湯用の縦湯口43を別個に設け、製品
5とは別鋳込みとする。これにより、徐冷湯41への溶
湯の供給時間を任意に調節することにより、必要となる
遅延時間を達成することができる。
【0030】以上の構成により、表面付近においては、
共晶点までの冷却速度を必要以上に小さくすることな
く、共析点までの冷却速度のみを選択的に小さくするこ
とができ、一方、内部においては、注湯時から共晶点を
経て共析点までの冷却速度を小さくすることができる。
これにより、表面付近においては、黒鉛粒数や共晶セル
数を多く維持してフェライト率を向上させ、衝撃値と靱
性を向上させて切欠き感受性を低下させたり、加工性の
向上を図ることができる。一方、内部においては、黒鉛
粒数を少なくしてパーライト率を大きくすることによっ
て、強度を向上させることができる。
【0031】[第5の実施の形態]第5の実施の形態に
おいては、徐冷湯に当接した状態で、製品の反対側に冷
し金を配設する。これは、図9に示すように、徐冷湯7
に冷し金51を当接させて配設することにより、徐冷湯
7の温度を下げて、注湯時から共晶点までにおける冷却
速度の低下を防止するものである。この冷し金51は、
徐冷湯7の側面のうち、製品に対向しない側の側面に当
接している。即ち、徐冷湯7に当接させて冷し金51を
配設することで、約1140℃の共晶点以下まで製品の
溶湯を急冷し、その後、共析点付近(720℃)までの
冷却速度は小さくして、徐冷効果を十分に発揮させる。
【0032】冷し金51は、共晶点以下まで徐冷湯7の
熱量を奪い、その後は、冷し金51の自身の温度が上昇
して熱を放出するような、適切な熱容量のものを設置す
る。具体的には、徐冷湯7が初期温度から共晶点以下に
なるまでに放出する熱量が、冷し金51が設置温度から
共析点以上になるのに必要な熱量以上でかつ冷し金51
が共晶点になるのに必要な熱量以下になるように調節す
る。
【0033】[第6の実施の形態]第6の実施の形態に
おいては、冷し金を徐冷湯に当接させ、かつ、徐冷湯と
製品との間に配設している。図10に示すように、冷し
金53を徐冷湯7に当接させ、製品には冷し金53が接
触しないようにすることにより、表面付近における共晶
点までの急冷と共析点までの徐冷とを同時に行うことが
できる。また、製品の内部においても、共晶点までの徐
冷と共析点までの徐冷を行うことができる。この場合
も、前記第5の実施の形態と同様に、冷し金53の熱容
量を徐冷湯7の熱量に応じて調節することができる。
【0034】[第7の実施の形態]第7の実施の形態に
おいては、図11に示すように、徐冷湯61を製品の厚
肉部63に直接に連結することによって、縦湯口13か
ら注入した溶湯が製品用の空隙5を介して、厚肉部用6
3から徐冷湯61まで流れ込むように構成されている。
【0035】
【実施例】次に、本発明を自動車の足廻り強度部品であ
るステアリング・ナックルに適用した実施例を示す。徐
冷湯7の溶湯を製品以外から供給した本発明例(図12
参照)と、徐冷湯を設置しない比較例1(図13参照)
と、徐冷湯101の溶湯を製品103の徐冷部105か
ら直接供給した従来法の比較例2(図14参照)とに分
けて、製品の表面付近と内部における冷却速度や組織を
比較検討した。図12〜図14において、破線65で囲
った部位が冷却速度と組織の比較を行った部位である。
それぞれの実施例に用いた溶湯中の成分値を表1に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】図12〜図14に示すように、比較例2が
製品103から直接に徐冷湯101に溶湯を供給してい
るのに対して、本発明例では、徐冷湯7の溶湯を製品以
外の押湯15から供給し、徐冷湯7と製品5の徐冷部1
1とを厚さ30mmの砂型9を介して配設した。この方
案で鋳造したときの製品5の徐冷部11における冷却速
度及び組織を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】この表2に示すように、徐冷湯を設置して
いない比較例1に対して、比較例2では、共析点までの
冷却速度だけでなく共晶点までの冷却速度も小さくなっ
た。これに対して、本発明例では、表面付近における共
晶点までの冷却速度は比較例1と大きく変わらずに、表
面付近における共析点までの冷却速度と内部における共
晶点までと共析点までの冷却速度が小さくなった。そし
て、比較例1では、パーライト面積率が高くなっている
のに対して、本発明例では、表面付近のパーライト面積
率が減少すると共に、黒鉛粒数の多い組織になり、理想
的な二層組織が得られた。一方で、比較例2では、パー
ライト面積率が減っているものの、その効果は小さく、
かつ、黒鉛粒数が少なくなった。また、二層組織は得ら
れなかった。
【0040】次いで、それぞれのステアリング・ナック
ルに落錘試験を施し、得られた衝撃吸収エネルギーの結
果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】この表3は、比較例1の衝撃吸収エネルギ
ーを100とした相対的な数値を示すものであり、本発
明例によれば、比較例1,2よりも高い衝撃吸収エネル
ギーが得られた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、表層部を、切欠き感受
性が低く衝撃値が大きいフェライト主体で黒鉛粒数が多
い球状黒鉛鋳鉄組織とし、また、製品内部を、黒鉛粒数
が少なくパーライト率が大きい高強度の球状黒鉛鋳鉄を
鋳放しで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の組織制御方法に適用する鋳
型を示す平面図である。
【図2】本図のうち、(a)は従来の組織制御方法によ
る溶湯の冷却曲線であり、(b)は第1の実施の形態の
組織制御方法を適用した溶湯の冷却曲線を示すグラフで
ある。
【図3】第1の実施の形態の組織制御方法を適用した製
品の表面付近における球状黒鉛組織を示す、倍率が10
0倍の写真である。
【図4】第1の実施の形態の組織制御方法を適用した製
品の内部における球状黒鉛組織を示す、倍率が100倍
の写真である。
【図5】第2の実施の形態に適用する鋳型を示す平面図
である。
【図6】第3の実施の形態に適用する鋳型を示す平面図
である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】第4の実施の形態に適用する鋳型を示す平面図
である。
【図9】第5の実施の形態に適用する鋳型を示す平面図
である。
【図10】第6の実施の形態に適用する鋳型を示す平面
図である。
【図11】第7の実施の形態に適用する鋳型を示す平面
図である。
【図12】本発明例の鋳型の平面図である。
【図13】比較例1に適用した鋳型の平面図である。
【図14】比較例2に適用した鋳型の平面図である。
【図15】従来の組織制御方法に用いる鋳型を示す平面
図である。
【図16】従来の組織制御方法による溶湯の冷却曲線を
示すグラフである。
【符号の説明】
1,23 鋳型 3 湯道 5 空隙 7,41,61 徐冷湯 9 砂型 11 徐冷部 13,43 縦湯口 15 押湯 17,21,31 供給路 19 ゲート 33 上面 51,53 冷し金 63 厚肉部 65 破線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 15/00 B22D 15/00 B 27/04 27/04 G C21C 1/10 C21C 1/10 B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砂型中に形成された鋳物製品用空隙に溶
    湯を充填するステップと、この充填した溶湯を共晶温度
    まで冷却して固相を析出させる第1の冷却を行うステッ
    プと、前記固相を共晶温度から共析温度まで冷却する第
    2の冷却を行うステップとを含み、これらの第1及び第
    2の冷却の少なくともいずれかの冷却速度を変えること
    により、鋳物製品中の組織を制御する球状黒鉛鋳鉄組織
    の制御方法であって、 徐冷湯を用いて、前記鋳物製品の表層部における第2の
    冷却の速度、内部における第1の冷却の速度を小さくす
    ることにより、前記表層部の黒鉛粒数とフェライト率を
    内部よりも大きくすると共に、前記内部のパーライト率
    を表層部よりも大きくしたことを特徴とする球状黒鉛鋳
    鉄組織の制御方法。
  2. 【請求項2】 鋳物製品用空隙を有する砂型と、該砂型
    に配設され、前記空隙に溶湯を供給する湯口と、前記空
    隙に充填した溶湯を冷却して鋳物製品を作製する場合
    に、鋳物製品用空隙の徐冷部における冷却速度を小さく
    する徐冷湯とを備えた鋳型において、 前記徐冷湯を、砂型を介して前記徐冷部の近傍に配設し
    たことを特徴とする鋳型。
  3. 【請求項3】 前記徐冷湯を湯口とは別個に独立して配
    設したことを特徴とする請求項2に記載の鋳型。
  4. 【請求項4】 前記徐冷湯を、鋳物製品の厚肉部の空隙
    に連通させたことを特徴とする請求項2に記載の鋳型。
  5. 【請求項5】 前記徐冷湯を供給路を介して前記湯口に
    連通させると共に、この供給路を前記空隙の周囲に形成
    したことを特徴とする請求項2に記載の鋳型。
  6. 【請求項6】 前記徐冷湯の高さをゲートよりも高くす
    ることにより、前記供給路を、徐冷湯に近づくにつれて
    斜め上方に傾斜させたことを特徴とする請求項3に記載
    の鋳型。
  7. 【請求項7】 前記徐冷湯に当接して冷し金を配設し、
    これによって、前記徐冷湯の温度を、溶湯の共析温度以
    上でかつ共晶温度以下にしたことを特徴とする請求項2
    〜6のいずれかに記載の鋳型。
  8. 【請求項8】 前記冷し金を、前記徐冷湯と前記徐冷部
    との間に配設したことを特徴とする請求項7に記載の鋳
    型。
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