JP2003048715A - セラミックス分散液およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス分散液およびその製造方法

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JP2003048715A
JP2003048715A JP2001348329A JP2001348329A JP2003048715A JP 2003048715 A JP2003048715 A JP 2003048715A JP 2001348329 A JP2001348329 A JP 2001348329A JP 2001348329 A JP2001348329 A JP 2001348329A JP 2003048715 A JP2003048715 A JP 2003048715A
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Yoshiaki Sakatani
能彰 酒谷
Hironobu Koike
宏信 小池
Hiroyuki Ando
博幸 安東
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光線の照射に対して高い光触媒活性を示
す塗布膜が形成可能なセラミックス分散液およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 波長800nmにおける透過率をT
1(%)とし、波長400nmにおける透過率をT
2(%)としたとき、下式(I) X=T2/T1 (I) で示される指数Xが0.175以下であることを特徴と
するセラミックス(例えば、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、
Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、C
u、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、G
e、Sn、Pb、Bi、La、Ceのような金属元素の
1種または2種以上の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化
物または酸硫化物)分散液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス分散
液およびその製造方法に関するものである。このセラミ
ックス分散液は、各種材料への光触媒膜、保護被膜、紫
外線カット膜、着色膜、誘電体膜、磁性体膜、膜型セン
サー、導電性膜等に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】これまでに種々のセラミックス分散液が
報告されている。特に近年、光触媒作用を示す塗布膜を
形成するために用いるセラミックス分散液が注目されて
いる。例えば、特開2000−302422号公報に
は、水溶性チタン化合物とリン酸化合物を水中で反応さ
せて得られる水和リン酸チタン化合物のゾルに酸化チタ
ン粒子を分散させることによって、光触媒となる酸化チ
タンが分散されたコーティング液を調製することが記載
されている。また、光触媒膜を形成するための酸化チタ
ンが水中に分散されたコーティング液も市販されてい
る。ところが、従来公知の光触媒用酸化チタンコーティ
ング液から得られる塗布膜は、可視光線を照射したとき
の光触媒活性が必ずしも高いとはいえなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
可視光線の照射に対して高い光触媒活性を示す塗布膜が
形成できるセラミックス分散液、例えば酸化チタン分散
液を開発すべく、研究を行った結果、セラミックス分散
液の透過率特性と、得られる塗布膜の光触媒活性との間
にある種の相関があること、そして、ある種の処理を施
して所定の透過率特性を有するようにしたセラミックス
分散液からは、可視光線の照射に対して高い光触媒活性
を示す塗布膜が形成できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、波長
800nmにおける透過率をT1(%)とし、波長40
0nmにおける透過率をT2(%)としたとき、下式
(I) X=T2/T1 (I) で示される指数Xが0.175以下であることを特徴と
するセラミックス分散液を提供するものである。
【0005】また本発明は、セラミックスと過酸化水素
を混合し、得られる混合物に、当該セラミックスの結晶
構造を実質的に変えない条件で、分散処理を施すことを
特徴とするセラミックス分散液の製造方法を提供するも
のである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセラミックス分散液は、波長800nmにおけ
る透過率をT1(%)とし、波長400nmにおける透
過率をT2(%)としたとき、前記式(I)で示される指
数Xが0.175以下のものである。なお、透過率
1、T2は、紫外可視分光光度計を用いてセラミックス
分散液の透過スペクトルを測定し、このスペクトルの波
長400nm、800nmにおける透過率を読み取るこ
とにより求めることができる。
【0007】前記指数Xは、セラミックス分散液の透過
率特性を表す指標であり、指数Xが小さいことは、波長
400nmにおける透過率が小さく、800nmにおけ
る透過率が大きいことを意味する。従来公知のセラミッ
クス分散液の場合、同じセラミックス濃度では400n
mにおける透過率が大きい。セラミックス濃度を高くす
ると、400nmにおける透過率は小さくなるが、それ
とともに800nmの透過率も小さくなって、指数Xは
0.175より大きくなる。このように指数Xが大きい
セラミックス分散液では、可視光線を照射したとき、高
い光触媒活性を示す塗布膜を形成することができない。
なお、セラミックスの濃度によって、その分散液の各波
長における透過率自体は変化するが、濃度が変わって
も、2点の波長における透過率の比は概ね一定であり、
上記の指数Xも、コーティングに適用できる濃度の範囲
(通常0.1〜30重量%)であれば、その濃度変化に
よらず、概ね一定となる。そこで本発明では、前記指数
Xを0.175以下とする。この指数Xは小さいほど好
ましく、例えば0.16以下、さらには0.155以下
であるのが一層好ましい。
【0008】また本発明のセラミックス分散液は、透過
スペクトルを測定したときの、波長400nm〜420
nmでのスペクトルの透過率の積算値をAとし、波長7
80nm〜800nmでのスペクトルの透過率の積算値
をBとしたときに、下式(II) Y=A/B (II) で示される指数Yが0.4以下、さらには0.3以下、
とりわけ0.23以下であるものが好ましい。分散液の
前記指数Yが0.4を超えると、これを用いて得られる
塗布膜は、可視光線の吸収量が少なくなり、可視光線の
照射に対して十分な光触媒作用を示さない。透過率の積
算値とは、縦軸に透過率、横軸に波長をとった透過スペ
クトルにおいて、指定された波長の範囲内で横軸と透過
スペクトルとで囲まれた領域の面積を意味する。
【0009】さらに本発明のセラミックス分散液は、上
の透過スペクトルを波長について微分して得られる1次
微分スペクトル(以下、透過1次微分スペクトルとい
う。)のスペクトル強度が極大となる波長が400nm
以上、さらには450nm以上、とりわけ480nm以
上、また760nm以下、さらには720nm以下、と
りわけ670nm以下にあるものが好ましい。このよう
な極大となる波長が特定範囲にある分散液を用いること
により、可視光線の照射に対して優れた光触媒活性を示
す塗布膜を形成することができる。
【0010】本発明において、分散しているセラミック
スは平均粒子径500nm以下の粒子であることが好ま
しく、さらには400nm以下、とりわけ380nm以
下の粒子であることが好ましい。セラミックスが平均粒
子径500nmを超える粒子であると、長期間保管した
とき、セラミックスが沈降する不具合が生じることがあ
る。セラミックスとしては、例えば、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、R
e、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、I
n、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、La、Ceのよう
な金属元素の1種または2種以上の酸化物、窒化物、硫
化物、酸窒化物または酸硫化物等が挙げられる。中で
も、Ti,WまたはNbの酸化物の適用が推奨され、と
りわけ、結晶構造がアナタ-ゼ型である酸化チタン〔T
iO2〕が好ましい。
【0011】前記のアナターゼ型酸化チタンは、例え
ば、三塩化チタン〔TiCl3〕、四塩化チタン〔Ti
Cl4〕、硫酸チタン〔Ti(SO42・mH2O、0≦
m≦20〕、オキシ硫酸チタン〔TiOSO4・nH
2O、0≦n≦20〕、オキシ塩化チタン〔TiOC
2〕のようなチタン化合物と、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモ
ニア、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、モノエタノー
ルアミン、非環式アミン化合物、環式脂肪族アミン化合
物のような塩基をpH2〜7、好ましくはpH3〜5で
反応させ、得られる生成物にアンモニアのような塩基を
添加、混合し、熟成した後、この熟成物を洗浄し、乾燥
し、焼成する方法、または冷却したアンモニアのような
塩基に、撹拌しながら、オキシ硫酸チタン水溶液を95
℃以下のエバポレ−ターにてTiOSO4換算で50重
量%以上となるまで濃縮して得られる固体のオキシ硫酸
チタンを添加して、40℃以下で反応させた後、この生
成物を固液分離して得られる固形物を洗浄、乾燥し、3
00℃〜500℃で焼成する方法等で調製することがで
きる。この酸化チタンには、必要に応じて、タングステ
ン酸化物、ニオブ酸化物、鉄酸化物、ニッケル酸化物の
ような固体酸性を示す化合物またはランタン酸化物、セ
リウム酸化物のような固体塩基性を示す化合物、またイ
ンジウム酸化物やビスマス酸化物のような可視光線を吸
収する金属化合物を担持してもよい。
【0012】本発明において、前記セラミックスを分散
させる分散媒には、各種の水性媒体を適用することがで
きる。水性媒体としては、水、過酸化水素水等が挙げら
れ、水には夾雑イオンの少ないイオン交換水が好ましく
用いられる。
【0013】本発明のセラミックス分散液は、例えば、
セラミックスと過酸化水素を混合し、得られる混合物に
分散処理を施すことにより得ることができる。
【0014】ここで用いられるセラミックスは、X線回
折で求められる結晶構造をもつ、金属元素と酸素、窒素
またはイオウとの化合物であればよく、例えば、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、
Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、O
s、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、G
a、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、La、Ce
のような金属元素の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物
または酸硫化物等である。これらは1種または2種以上
組合せて用いることができる。
【0015】セラミックスと混合される過酸化水素は、
通常、濃度0.1重量%以上、30重量%以下の水溶液
である。過酸化水素の濃度が30重量%を超えると、分
散処理するとき、過酸化水素の分解が急激に起きること
がある。過酸化水素の濃度が0.1重量%未満である
と、得られるセラミックス分散液は安定性が低下して、
長期間保存したとき、分散液中のセラミックスの一部が
沈降することがある。過酸化水素の混合量は、セラミッ
クスに対して、通常0.01モル倍以上、好ましくは1
モル倍以上、また400モル倍以下、好ましくは50モ
ル倍以下である。
【0016】分散処理は前記セラミックス主成分の結晶
構造を実質的に変えることなく、すなわちセラミックス
主成分について、相転移させることなくX線回折スペク
トルから求められる結晶構造を保持することができる条
件で行う。そのため、分散処理は85℃未満の温度で行
うことが推奨される。セラミックスの結晶構造を保持す
る観点からは、低温で分散処理を行うことが好ましく、
80℃以下、さらには75℃以下で行うことが好まし
い。一方、分散処理の温度があまり低くなると、得られ
るセラミックス分散液の安定性が低下することがあるの
で、10℃以上、さらには20℃以上が適当である。分
散処理は、例えば、超音波照射による方法、湿式ミル等
による方法、または混合物を急激に減圧したり、高速回
転する羽根で攪拌して、液中に空洞(キャビティ)を発
生させ、その空洞が消滅するときに生じる圧力変化を利
用する方法で行うことができる。これらの方法は、単独
で行うこともできるし、2以上組合せて行うこともでき
る。本発明では、特に、超音波照射による方法が推奨さ
れる。この方法の場合、分散処理は、セラミックス1g
当り超音波出力として通常1Wh以上、好ましくは10
Wh以上、また10kWh以下、好ましくは3kWh以
下となる条件で行われる。
【0017】分散処理の時間は、分散処理の温度、使用
する装置の種類に応じて適宜選択すればよく、通常1分
以上、好ましくは1時間以上、また50時間以内、好ま
しくは24時間以内である。
【0018】分散処理された混合物には、必要に応じ
て、遠心分離による粗大粒子を除去する操作、希釈によ
るセラミックス含有量を調整する操作、または酸もしく
は塩基を添加することによるpHを調整する操作が施さ
れる。このとき用いる酸としては、例えば、塩酸、硝
酸、リン酸、硫酸等が挙げられ、塩基としては、例え
ば、アンモニア、尿素、ヒドラジン、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、
水酸化ルビジウム等が挙げられる。
【0019】分散処理された混合物または任意の前記操
作を施された混合物は、セラミックス分散液として使用
することができる。分散液のセラミックス含有量は、塗
布対象である基材の種類、所望とする塗布膜の厚み等に
応じて適宜選択すればよいが、通常0.1〜30重量%
である。このセラミックス分散液を硝子、プラスチッ
ク、金属、陶磁器のような基材に塗布し、乾燥すること
により、基材上にセラミックス塗布膜を形成することが
できる。
【0020】本発明のセラミックス分散液は、可視光線
が当たらない条件で保管することが好ましく、例えば暗
室で保管したり、または遮光性容器に入れて保管するこ
とが好ましい。本発明のセラミックス分散液を透明ガラ
ス製容器に入れて、照明装置がある屋内に長期間保管し
た場合には、セラミックス粒子の高い分散性を維持する
のが困難になることがある。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。本実施例では、光触媒用酸化チタン分散液について
述べるが、本発明は本実施例に限定されるものではな
い。なお、酸化チタン分散液の透過率、その積算値およ
び透過1次微分スペクトルのスペクトル強度が極大とな
る波長ならびに酸化チタンの平均粒子径および結晶構造
は以下の方法で求めた。
【0022】透過率(%)、透過率の積算値:横1c
m、縦1cm、高さ4.5cmの石英製セルの1つに、
固形分濃度0.2重量%に調節した試料(酸化チタン分
散液)を入れ、同型石英セルの他の1つに水を入れ、積
分球を備えた紫外可視分光光度計(商品名“UV−25
00PC”、島津製作所製)を用いて、後者のセルを参
照セルとし、硫酸バリウムを標準白板として、酸化チタ
ン分散液の透過スペクトルを測定した。このスペクトル
から、波長800nmにおける透過率T1(%)および
400nmにおける透過率T2(%)を求めた。また、
波長400nm〜420nmでのスペクトルの透過率を
積算して積算値Aを求め、波長780nm〜800nm
でのスペクトルの透過率を積算して積算値Bを求めた。
【0023】透過1次微分スペクトルのスペクトル強度
が極大となる波長(nm):紫外可視分光光度計(商品
名“UV−2500PC”、島津製作所製)付属のソフ
トウェアを用いて、上で得た透過スペクトルのうち、波
長400〜760nmのスペクトルを波長λについてΔ
λ=40nmの条件で微分して、透過1次微分スペクト
ルを求めた。さらに、このソフトウェアを使って、透過
1次微分スペクトルのスペクトル強度が極大となる波長
を求めた。
【0024】平均粒子径(nm):サブミクロン粒度分
布測定装置(商品名“N4Plus”、コールター製)
を用いて、試料の粒度分布を測定し、累積50重量%径
を求め、これを平均粒子径とした。
【0025】結晶構造:X線回折装置(商品名“RAD
−IIA”、理学電機製)を用いて、試料のX線回折ス
ペクトルを測定し、そのスペクトルから主成分の結晶構
造を求めた。
【0026】実施例1 〔光触媒用酸化チタンの調製〕オキシ硫酸チタン(テイ
カ製)3388gを水2258gに溶解させ、オキシ硫
酸チタン水溶液を得た。pH電極と、このpH電極に接
続され、25重量%アンモニア水(試薬特級、和光純薬
工業製)を供給してpHを一定に調節する機構を有する
pHコントローラとを備えた反応容器に水4702gを
入れた。pHコントローラーのpH設定値を4とし、水
のpHを設定値に調節した。この反応容器内に、117
rpmで攪拌しながら、上で得られたオキシ硫酸チタン
水溶液5646gを13ml/minで添加し、pHコ
ントローラにより反応容器内に供給されるアンモニア水
と反応させた。オキシ硫酸チタン水溶液の添加終了後、
更にアンモニア水を添加して、スラリーを得た。ここま
でに添加した25重量%アンモニア水の量は3746g
であった。このスラリーを濾過して得られた固形物をイ
オン交換水で洗浄し、乾燥して、粉末を得た。この粉末
を450℃の空気中で1時間焼成して、粒子状アナター
ゼ型酸化チタンを調製した。ついで、パラタングステン
酸アンモニウム5水和物((NH4)101241・5H
2O、和光純薬工業製)64gを1571gのイオン交
換水に溶解させて、パラタングステン酸アンモニウム水
溶液を調製した。このパラタングステン酸アンモニウム
水溶液に、上で得られた粒子状アナターゼ型酸化チタン
450gを添加し、常温常圧下で20分間攪拌した。つ
いで、この混合物を、攪拌しながら、減圧下、55℃〜
60℃の条件で水分を蒸発させた後、390℃の空気中
で1時間焼成して、光触媒用酸化チタンを得た。この光
触媒用酸化チタンは、酸化チタンの上に該酸化チタンの
チタンに対してタングステン換算で5mol%の酸化タ
ングステンを有するものである。
【0027】〔光触媒用酸化チタン分散液の調製〕上で
得られた光触媒用酸化チタン300gをイオン交換水に
懸濁し、得られた酸化チタンスラリー3010gを媒体
攪拌式粉砕機(商品名“ダイノーミル KDL−PIL
OT型”、シンマルエンタープライズ製)を用いて、媒
体:外径0.65mmのジルコニア製ビーズ、攪拌羽根
の周速:10m/min、処理時間:30minの条件
で、分散処理した。0.5Lのフラスコに、この分散処
理後の酸化チタンスラリー16g、30重量%過酸化水
素水11gおよびイオン交換水141gを入れて混合ス
ラリーとした後、このフラスコを、水を入れた超音波照
射槽(商品名“UE−400F28S−1E”、周波
数:28kHz、発振方式:自振発振、占有周波数帯幅
または周波数変動幅:±1.5kHz、高周波出力:4
00W、負荷と電極との結合方式:誘導結合、超音波工
業製)の中に置いた。フラスコ内の混合スラリーに、7
00rpmで攪拌し、かつスラリー温度を55〜70℃
の範囲に保持しながら、超音波を8時間照射して、分散
処理した。ここで用いた過酸化水素の量は、光触媒用酸
化チタンに対して、5.3モル倍であった。また、この
ときの超音波照射の出力は、光触媒用酸化チタン1g当
り2kWhであった。超音波照射後の混合スラリーを遠
心分離し、上澄みを分取して、均質な光触媒用酸化チタ
ン分散液を得た。この分散液は、固形分濃度が0.28
重量%であり、固形分の平均粒子径が375nmであ
り、また固形分は、結晶構造がアナターゼ型である酸化
チタンが主成分であった。分散液に水を加えて、固形分
濃度を0.2重量%に調整した後、分散液の透過スペク
トルを測定した。この透過スペクトルを図1に、波長8
00nmにおける透過率T1、波長400nmにおける
透過率T2、波長400nm〜420nmでのスペクト
ルの透過率の積算値A、波長780nm〜800nmで
のスペクトルの透過率の積算値B、指数X(=T2
1)および指数Y(=A/B)を表1に示す。また透
過1次微分スペクトルを図2に、そのスペクトル強度が
極大となる波長を表1に示す。
【0028】〔酸化チタン塗布膜の形成〕上で得られた
固形分濃度0.28重量%の光触媒用酸化チタン分散液
を、縦76mm、横26mm、厚さ1mmのスライド硝
子に塗布した後、スピンコーター(商品名“1H−D
3”、ミカサ製)を用いて、300rpmで3秒間、つ
いで500rpmで20秒間回転させて、過剰の分散液
を取り除いた後、スライド硝子を150℃で乾燥した。
スライド硝子に分散液を塗布、乾燥する操作を合計3回
行って、スライド硝子の片面全体に酸化チタン塗布膜を
形成した。
【0029】〔酸化チタン塗布膜の活性評価〕直径8c
m、高さ10cm、容量約0.5Lの密閉式ガラス製反
応容器内に、上で形成した、酸化チタン塗布膜を有する
スライド硝子を置いた。反応容器内を酸素と窒素との体
積比が1:4である混合ガスで満たし、アセトアルデヒ
ドを13.4μmol封入し、反応容器の外から可視光
線を照射した。可視光線の照射には、500Wキセノン
ランプ(商品名“ランプUXL−500SX”、ウシオ
電機製)を取り付けた光源装置(商品名“オプティカル
モジュレックスSX−UI500XQ”、ウシオ電機
製)に、波長約430nm以下の紫外線をカットするフ
ィルター(商品名“Y−45”、旭テクノガラス製)と
波長約830nm以上の赤外線をカットするフィルター
(商品名“スーパーコールドフィルター”、ウシオ電機
製)とを装着したものを光源として用いた。可視光線の
照射によりアセトアルデヒドが分解すると、二酸化炭素
が発生するので、二酸化炭素の濃度を光音響マルチガス
モニタ(1312型、INNOVA製)で経時的に測定
し、濃度変化より算出した二酸化炭素の生成速度によ
り、酸化チタン塗布膜のアセトアルデヒドに対する光触
媒作用を評価した。このときの二酸化炭素の生成速度は
0.32μmol/hであった。
【0030】比較例1 市販の光触媒用酸化チタンコーティング剤(商品名“T
KC−302”、固形分濃度:2.3重量%、分散液中
酸化チタンの平均粒子径:54nm、テイカ製)につい
て、その固形分濃度を0.2重量%に調整した後、この
コーティング剤の透過スペクトルを測定した。その結果
を図3および表1に示す。また透過1次微分スペクトル
を図4に示す。なお、この透過1次微分スペクトルは、
波長410〜760nmの範囲に極大値をもつことはな
かった。
【0031】さらに、上記市販の光触媒用酸化チタンコ
ーティング剤(商品名“TKC−302”)を用いた以
外は、実施例1の〔酸化チタン塗布膜の形成〕と同じ操
作を行い、スライド硝子の片面全体に酸化チタン塗布膜
を形成した。こうして酸化チタン塗布膜を形成したスラ
イド硝子について、実施例1の〔酸化チタン塗布膜の活
性評価〕と同じ方法で活性を評価した。このときの二酸
化炭素の生成速度は0.15μmol/hであった。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明のセラミックス分散液によれば、
硝子、プラスチック、金属、陶磁器のような基材に高い
光触媒活性を示す塗布膜を形成することができる。ま
た、本発明方法によれば、前記セラミックス分散液を容
易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で用いた光触媒用酸化チタン分散液
の透過スペクトル。
【図2】 実施例1で用いた光触媒用酸化チタン分散液
の透過1次微分スペクトル。
【図3】 比較例1で用いた光触媒用酸化チタンコーテ
ィング剤の透過スペクトル。
【図4】 比較例1で用いた光触媒用酸化チタンコーテ
ィング剤の透過1次微分スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 35/02 B01J 35/02 J (72)発明者 安東 博幸 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4G035 AB43 AE19 4G036 AB21 4G047 CA02 CB05 CC03 CD03 4G065 AA01 AA06 AA10 BB03 CA11 DA04 DA06 DA09 EA03 EA10 FA02 4G069 AA02 AA03 AA08 BA04A BA04B BA48A BB06B BC60B CA10 DA05 EE01 FB09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長800nmにおける透過率をT
    1(%)とし、波長400nmにおける透過率をT
    2(%)としたとき、下式(I) X=T2/T1 (I) で示される指数Xが0.175以下であることを特徴と
    するセラミックス分散液。
  2. 【請求項2】 透過スペクトルを測定したときの、波長
    400nm〜420nmでのスペクトルの透過率の積算
    値をAとし、波長780nm〜800nmでのスペクト
    ルの透過率の積算値をBとしたとき、下式(II) Y=A/B (II) で示される指数Yが0.4以下である請求項1記載のセ
    ラミックス分散液。
  3. 【請求項3】 透過スペクトルを微分して得られる1次
    微分スペクトルについて、そのスペクトル強度が極大と
    なる波長が400〜760nmにある請求項2記載の分
    散液。
  4. 【請求項4】 セラミックスが平均粒子径500nm以
    下の粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセ
    ラミックス分散液。
  5. 【請求項5】 セラミックスが酸化チタンである請求項
    1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス分散液。
  6. 【請求項6】 セラミックスと過酸化水素を混合し、得
    られる混合物に、当該セラミックスの結晶構造を実質的
    に変えない条件で、分散処理を施すことを特徴とするセ
    ラミックス分散液の製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックスが酸化チタンである請求項
    6記載の方法。
  8. 【請求項8】 分散処理が超音波照射により行われる請
    求項6または7記載の方法。
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