JP2003047090A - スピーカ用磁気回路 - Google Patents

スピーカ用磁気回路

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JP2003047090A JP2002135948A JP2002135948A JP2003047090A JP 2003047090 A JP2003047090 A JP 2003047090A JP 2002135948 A JP2002135948 A JP 2002135948A JP 2002135948 A JP2002135948 A JP 2002135948A JP 2003047090 A JP2003047090 A JP 2003047090A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ギャップの空隙部磁束密度を高めたスピ
ーカ用磁気回路を提供する。 【解決手段】 円板状の第1のヨーク111と、厚み方向
が磁化方向で第1のヨーク111の前面に配設したリング
状の第1の永久磁石112と、第1の永久磁石112の前面に
配設した第2のヨーク113と、厚み方向が磁化方向で第
1の永久磁石112とは反対極性の磁極を前面部及び後面
部に形成し、第2のヨークの前面に配設したリング状の
第2の永久磁石115と、第1のヨーク111の前面に配設
し、第1の永久磁石112及び第2のヨーク113の内周面と
磁気ギャップ117を介して対向する円柱状のセンターポ
ール114と、厚み方向が磁化方向で第2の永久磁石115と
は反対極性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、
センターポール114の前面に配設し、第2の永久磁石115
の内周面と磁気ギャップ119を介して対向する第3の永
久磁石122とを備えたスピーカ用磁気回路。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気信号を音響に変
換するスピーカ用磁気回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりスピーカの改良に関し多数の提
案がなされている。例えば特開平9−284888号公報に
は、最低共振周波数における共振鋭度が小さくなされ、
低域周波数帯域における音響再生が良好に行えるように
されたスピーカ(図8)が記載されている。図8のスピ
ーカは、磁気回路と、この磁気回路上に支持されたフレ
ーム208とを有して構成されている。この磁気回路は、
センターポール部201を有する円盤状のヨーク202aと、
ヨーク202aの前面に配置された円環状の第1のマグネッ
ト216と、第1のマグネット216上に配置された円盤状の
プレート202bと、プレート202b上に配置された円環状の
第2のマグネット203と、第2のマグネット203上に配置
された円盤状のプレート204とからなる。第1及び第2
のマグネット216、203はそれぞれ軸方向に磁化されてお
り、両者の前面部及び後面部に形成された磁極は軸方向
において逆極性になっている。プレート202b及び204と
センターポール部201とが磁気ギャップ214b、214aを介
して対向している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、スピーカの高性
能化の要求は益々過酷になり、大型化を極力抑えつつ大
出力を得られる高性能スピーカが求められている。即ち
大出力型のスピーカに適した新規構造のスピーカ用磁気
回路が求められている。本発明者の検討から、図8に代
表される従来のスピーカ用磁気回路ではボイスコイルの
鎖交する領域の磁気ギャップの有効磁束の密度(空隙部
磁束密度)がほぼ上限値に達しており、スピーカ用磁気
回路構造に新規な改良を加えないと磁気ギャップの空隙
部磁束密度を現状以上に高められないことがわかった。
【0004】したがって本発明が解決しようとする課題
は、スピーカの大型化、大重量化、及び高コスト化を招
来せずに、空隙部磁束密度を顕著に高めたスピーカ用磁
気回路を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明のスピーカ用磁気回路は、強磁性材料により円板状に
形成された第1のヨークと、厚み方向が磁化方向であ
り、第1のヨークの前面に配設されたリング状の第1の
永久磁石と、強磁性材料によりリング状に形成され、第
1の永久磁石の前面に配設された第2のヨークと、厚み
方向が磁化方向であり、第1の永久磁石とは反対極性の
磁極を前面部及び後面部に形成してなり、第2のヨーク
の前面に配設されたリング状の第2の永久磁石と、強磁
性材料により円柱状に形成され、第1のヨークの前面に
配設され、第1の永久磁石及び第2のヨークの内周面と
ギャップを介して対向するセンターポールと、厚み方向
が磁化方向であり、第2の永久磁石とは反対極性の磁極
を前面部及び後面部に形成してなり、センターポールの
前面に配設され、第2の永久磁石の内周面とギャップを
介して対向する第3の永久磁石とを備えたことを特徴と
する。
【0006】又本発明のスピーカ用磁気回路は、強磁性
材料により円板状に形成された第1のヨークと、厚み方
向が磁化方向であり、第1のヨークの前面に配設された
リング状の第1の永久磁石と、強磁性材料によりリング
状に形成され、第1の永久磁石の前面に配設された第2
のヨークと、強磁性材料により円柱状に形成され、第1
のヨークの前面に配設され、第1の永久磁石及び第2の
ヨークの内周面とギャップを介して対向するセンターポ
ールと、厚み方向が磁化方向であり、第1の永久磁石と
同極性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、セン
ターポールの前面に突設された第3の永久磁石とを備え
たことを特徴とする。
【0007】又本発明のスピーカ用磁気回路は、強磁性
材料により円板状に形成された第1のヨークと、厚み方
向が磁化方向であり、第1のヨークの前面に配設された
リング状の第1の永久磁石と、強磁性材料によりリング
状に形成され、第1の永久磁石の前面に配設された第2
のヨークと、厚み方向が磁化方向であり、第1の永久磁
石とは反対極性の磁極を前面部及び後面部に形成してな
り、第2のヨークの前面に配設されたリング状の第2の
永久磁石と、強磁性材料によりリング状に形成され、第
2の永久磁石の前面に配設された第3のヨークと、強磁
性材料により円柱状に形成され、第1のヨークの前面に
配設され、第1の永久磁石及び第2のヨークの内周面と
ギャップを介して対向するセンターポールと、厚み方向
が磁化方向であり、第2の永久磁石とは反対極性の磁極
を前面部及び後面部に形成してなり、センターポールの
前面に配設され、第2の永久磁石の内周面とギャップを
介して対向する第3の永久磁石と、強磁性材料により円
板状に形成され、第3の永久磁石の前面に配設され、第
3のヨークの内周面とギャップを介して対向する第4の
ヨークとを備えたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明のスピーカ用磁気回
路の一例を示す縦断面図である。図1において、1は強
磁性材料からなる円板状の第1のヨークであり、第1の
ヨーク1の前面の中心部に強磁性材料からなる円柱状の
センターポール4が同軸に配設されている。第1のヨー
ク1とセンターポール4とは図示されない締結具(ボル
ト)により螺着されている。又第1のヨーク1の前面に
はヨーク1と同軸に厚み方向に磁化されたリング状の第
1の永久磁石2が配設され、その内周面がギャップ8を
介してセンターポール4と対向している。第1の永久磁
石2の前面には強磁性材料からなるリング状の第2のヨ
ーク3が第1の永久磁石2と同軸に配設され、第2のヨ
ーク3の内周面が磁気ギャップ7を介してセンターポー
ル4と対向している。センターポール4の前面には厚み
方向に磁化された円板状の第3の永久磁石12がセンター
ポール4と同軸に配設されている。第2のヨーク3の前
面には厚み方向に磁化されたリング状の第2の永久磁石
5が配設され、その内周面がギャップ9を介して第3の
永久磁石12の外周面と対向している。第1、2及び3の
永久磁石2、5、及び12にはそれぞれ図1中に示される
極性の磁極が形成されている。
【0009】このような磁気回路構成としたことによ
り、矢印13及び14で例示される閉磁路が形成され、磁気
ギャップ7の空隙部磁束密度が顕著に高められる。矢印
13は第1の永久磁石2から出て第2のヨーク3、磁気ギ
ャップ7、センターポール4、及びヨーク1を通る主磁
束13である。これに加え、第2の永久磁石5から出て第
2のヨーク3、磁気ギャップ7、センターポール4、第
3の永久磁石12を通る補磁束14を生じる。図8の従来の
スピーカ用磁気回路でも第2のマグネット203から出て
プレート204、磁気ギャップ214a、センターポール201、
磁気ギャップ214b、プレート202bを通る補磁束を生じる
がこの補磁束発生量は、図1の補磁束14の発生量よりも
少ない。この差は図1の第3の永久磁石12の寄与分であ
り、具体的に後述の図5の実施例1に示されている。こ
のように図1のスピーカ用磁気回路の構造にすると磁気
ギャップ7における空隙部磁束密度を顕著に高められ、
ボイスコイル11に大きな駆動力が発生し、ボイスコイル
11に接続されたスピーカの振動板(図示省略)が振動
し、大出力の音を発生することができる。尚、図1で磁
気ギャップ7とはセンターポール4の外周面と第2のヨ
ーク3の内周面とが対向する領域のギャップをいい、ボ
イスコイル11が駆動されるストローク領域である。
【0010】図2は本発明のスピーカ用磁気回路の他の
例を示す縦断面図である。図2において、21は強磁性材
料からなる円板状の第1のヨークであり、第1のヨーク
21の前面の中心部に強磁性材料からなる円柱状のセンタ
ーポール24が同軸に配設されている。第1のヨーク21と
センターポール24とは図示されない締結具(ボルト)に
より螺着されている。第1のヨーク21の前面にはヨーク
21と同軸に厚み方向に磁化されたリング状の第1の永久
磁石22が配設され、ギャップ26を介してセンターポール
24と対向している。第1の永久磁石22の前面には強磁性
材料からなるリング状の第2のヨーク23が第1の永久磁
石22と同軸に配設され、第2のヨーク23の内周面が磁気
ギャップ27を介してセンターポール24の外周面と対向し
ている。センターポール24の前面には厚み方向に磁化さ
れた円板状の第2の永久磁石28がセンターポール24と同
軸に突設されている。第1、2の永久磁石22、28にはそ
れぞれ図2中に示される極性の磁極が形成されている。
【0011】このような磁気回路構成としたことによ
り、図2中の矢印で例示するように、第1の永久磁石22
から出て第2のヨーク23、磁気ギャップ27、センターポ
ール24、及び第1のヨーク21を通る主磁束18を生じる。
これに加えて、第2のヨーク23、磁気ギャップ27、セン
ターポール24、及び第2の永久磁石28を通る補磁束25を
生じる。図2のスピーカ用磁気回路では図8の従来のス
ピーカ用磁気回路における第2のマグネット203に相当
する永久磁石が無いがその無い分を第2の永久磁石28か
ら発生した磁束が補う。その結果、図8の従来のスピー
カ用磁気回路の磁気ギャップ214bの磁束密度に比べ、図
2のスピーカ用磁気回路の磁気ギャップ27における空隙
部磁束密度が大きくなる。図2のスピーカ用磁気回路は
小型、軽量の高性能スピーカに好適である。尚、図2で
磁気ギャップ27とはセンターポール24の外周面と第2の
ヨーク23の内周面とが対向する領域のギャップをいい、
図示省略のボイスコイルが駆動されるストローク領域で
ある。
【0012】図3は本発明のスピーカ用磁気回路の更に
他の例を示す断面図である。図3において、51は強磁性
材料からなる円板状の第1のヨークであり、第1のヨー
ク51の前面の中心部に強磁性材料からなる円柱状のセン
ターポール54が同軸に配設されている。第1のヨーク51
とセンターポール54とは図示されない締結具(ボルト)
により螺着されている。第1のヨーク51の前面にはヨー
ク51と同軸に厚み方向に磁化されたリング状の第1の永
久磁石52が配設され、その内周面がギャップ58を介して
センターポール54の外周面と対向している。第1の永久
磁石52の前面には強磁性材料からなるリング状の第2の
ヨーク53が第1の永久磁石52と同軸に配設され、第2の
ヨーク53の内周面が磁気ギャップ57を介してセンターポ
ール54の外周面と対向している。センターポール54の前
面には厚み方向に磁化された円板状の第3の永久磁石62
がセンターポール54と同軸に配設されている。第2のヨ
ーク53の前面には厚み方向に磁化されたリング状の第2
の永久磁石55が配設され、その内周面がギャップ59を介
して第3の永久磁石62の外周面と対向している。第3の
永久磁石62の前面には強磁性材料により円板状に形成さ
れた第4のヨーク67が第3の永久磁石62と同軸に配設さ
れている。第2の永久磁石55の前面には強磁性材料によ
りリング状に形成された第3のヨーク56が配設され、そ
の内周面がギャップ60を介して第4のヨーク67の外周面
と対向している。第1、2及び3の永久磁石52、55、及
び62にはそれぞれ図3中に示される極性の磁極が形成さ
れている。図3の磁気回路構成は、図1のスピーカ用磁
気回路に第3、4のヨークを付加した構造に相当する。
【0013】図3中の矢印で示すように、第1の永久磁
石52から出て第2のヨーク53、磁気ギャップ57、センタ
ーポール54、第1のヨーク51を通る主磁束63を生じる。
これに加えて、第2の永久磁石55から出て第2のヨーク
53、磁気ギャップ57、センターポール54、第3の永久磁
石62、第4のヨーク67、ギャップ60、第3のヨーク56を
通る補磁束64を生じる。図3のスピーカ用磁気回路の有
効性を後述の図5の実施例2に具体的に示す。図3で磁
気ギャップ57とはセンターポール54の外周面と第2のヨ
ーク53の内周面とが対向する領域のギャップをいい、図
示省略のボイスコイルが駆動されるストローク領域であ
る。なお、ギャップ60の磁束密度は磁気ギャップ57より
小さいがギャップ58、59より大きいので、ギャップ60に
もボイスコイルを配置し、磁束を鎖交させるようにすれ
ばボイスコイルの駆動力をより高めることできる。
【0014】図4は本発明のスピーカ用磁気回路の更に
他の例を示す断面図である。図4において、111は強磁
性材料からなる円板状の第1のヨークであり、第1のヨ
ーク111の前面の中心部に強磁性材料からなる円柱状の
センターポール114が同軸に配設されている。センター
ポール114の第1のヨーク111との接合面には、テーパ部
114aが設けられている。第1のヨーク111とセンターポ
ール114とは図示されない締結具(ボルト)により螺着
されている。第1のヨーク111の前面にはヨーク111と同
軸に厚み方向に磁化されたリング状の第1の永久磁石11
2が配設され、その内周面がギャップ118を介してセンタ
ーポール114の外周面と対向している。第1の永久磁石1
12の前面には強磁性材料からなるリング状の第2のヨー
ク113が第1の永久磁石112と同軸に配設され、第2のヨ
ーク113の内周面が磁気ギャップ117を介してセンターポ
ール114の外周面と対向している。センターポール114の
前面には厚み方向に磁化された円板状の第3の永久磁石
122がセンターポール114と同軸に配設されている。第2
のヨーク113の前面には厚み方向に磁化されたリング状
の第2の永久磁石115が配設され、その内周面がギャッ
プ119を介して第3の永久磁石122の外周面と対向してい
る。第3の永久磁石122の前面には強磁性材料により円
板状に形成された第4のヨーク127が第3の永久磁石122
と同軸に配設されている。第2の永久磁石115の前面に
は強磁性材料によりリング状に形成された第3のヨーク
116が配設され、その内周面がギャップ120を介して第4
のヨーク127の外周面と対向している。第1、2及び3
の永久磁石112、115、及び122にはそれぞれ図4中に示
される極性の磁極が形成されている。図4の磁気回路構
成は、図3のスピーカ用磁気回路のセンターポール54の
第1のヨーク51との接合面に、テーパ部が設けられたも
のである。
【0015】図4中の矢印で示すように、第1の永久磁
石112から出て第2のヨーク113、磁気ギャップ117、セ
ンターポール114、第1のヨーク111を通る主磁束123を
生じる。これに加えて、第2の永久磁石115から出て第
2のヨーク113、磁気ギャップ117、センターポール11
4、第3の永久磁石122、第4のヨーク127、ギャップ12
0、第3のヨーク116を通る補磁束124を生じる。図4の
スピーカ用磁気回路の有効性を後述の図5の実施例3−
1に具体的に示す。図4で磁気ギャップ117とはセンタ
ーポール114の外周面と第2のヨーク113の内周面とが対
向する領域のギャップをいい、図示省略のボイスコイル
が駆動されるストローク領域である。なお、ギャップ12
0の磁束密度は磁気ギャップ117より小さいがギャップ11
8、119より大きいので、ギャップ120にもボイスコイル
を配置し、磁束を鎖交させるようにすればボイスコイル
の駆動力をより高めることできる。
【0016】本発明のスピーカ用磁気回路に配設される
永久磁石は一体ものでなくても良く、例えば分割した複
数個の永久磁石を接着して構成することができる。リン
グ状磁石、円柱状磁石、又は円板状磁石が分割した永久
磁石の集合体から構成される場合、集合体の永久磁石の
外周又は内周形状は円弧に限定されず、部分的に直線部
分を有しても良い。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、それら実施例により本発明が限定されるものではな
い。
【0018】(実施例1)図1に示す本発明のスピーカ
用磁気回路を、第1のヨーク1、第1の永久磁石2、第
2のヨーク3、及び第2の永久磁石5の外径:D1=173m
mとし、第1の永久磁石2、第2のヨーク3、及び第2
の永久磁石5の内径:D2=93mmとし、センターポール4
及び第3の永久磁石12の外径:D12=75mmとし、第1の
ヨーク1の厚み:L1=30mmとし、センターポール4の厚
み:L4=52.5mmとし、第1の永久磁石2の厚み:L2=25
mmとし、第2のヨーク3の厚み:L3=27.5mmとし、第
2、3の永久磁石5、12の厚み:L5=25mmとし、構成し
た。なお、第1、2及び3の永久磁石2、5、及び12に
はいずれもR−Fe−B系異方性焼結磁石(RはNdを主体
とする希土類元素の少なくとも1種であり、日立金属社
製のHS-46CH)を用いた。又第1のヨーク1、センター
ポール4、及び第2のヨーク3はいずれもJISG3101一般
構造用圧延鋼材SS400製とした。以上のように構成した
図1のスピーカ用磁気回路において、磁気ギャップ7の
半径方向の中心位置O(磁気ギャップ7の下端位置)か
ら磁気ギャップ7の軸方向xに沿う空隙部磁束密度を測
定した。結果を図5の実施例1に示す。図5より1.20T
を超える高い空隙部磁束密度を得られたことがわかる。
【0019】(実施例2)図3に示す本発明のスピーカ
用磁気回路を、第1のヨーク51、第1の永久磁石52、第
2のヨーク53、第2の永久磁石55、及び第3のヨーク56
の外径:D51=173mmとし、第1の永久磁石52、第2のヨ
ーク53、第2の永久磁石55、及び第3のヨーク56の内
径:D52=93mmとし、センターポール54、第3の永久磁
石62、及び第4のヨーク67の外径:D62=75mmとし、第
1のヨーク51の厚み:L51=30mmとし、センターポール5
4の厚み:L54=52.5mmとし、第1の永久磁石52の厚み:
L52=25mmとし、第2のヨーク53の厚み:L53=27.5mmと
し、第2、3の永久磁石55、62の厚み:L55=25mmと
し、第3、4のヨーク56、67の厚み:L56=25mmとし、
構成した。なお、第1、2及び3の永久磁石52、55、及
び62にはいずれもR−Fe−B系異方性焼結磁石(RはNd
を主体とする希土類元素の少なくとも1種であり、日立
金属社製のHS-46CH)を用いた。又第1、2、3のヨー
ク51、53、56、及びセンターポール54はいずれもJISG31
01一般構造用圧延鋼材SS400製とした。以上のように構
成した図3のスピーカ用磁気回路において、磁気ギャッ
プ57の半径方向の中心位置O(磁気ギャップ57の下端位
置)から磁気ギャップ57の軸方向xに沿う空隙部磁束密
度を測定した。結果を図5の実施例2に示す。図5より
1.30T超の高い空隙部磁束密度を得られたことがわか
る。
【0020】(実施例3−1)図4に示す本発明のスピ
ーカ用磁気回路を、第1のヨーク111、第1の永久磁石1
12、第2の永久磁石115、及び第3のヨーク116の外径:
D111=173mmとし、第2のヨーク113の外径:D113=155m
mとし、第1の永久磁石112、第2のヨーク113、第2の
永久磁石115、及び第3のヨーク116の内径:D112=93mm
とし、センターポール114、第3の永久磁石122、及び第
4のヨーク127の外径:D122=75mmとし、第1のヨーク1
11の厚み:L111=60mmとし、センターポール114の厚
み:L114=105mmとし、第1の永久磁石112の厚み:L112
=50mmとし、第2のヨーク113の厚み:L113=55mmと
し、第2、3の永久磁石115、122の厚み:L115=25mmと
し、第3、4のヨーク116、127の厚み:L116=20mmと
し、テーパ部114aの外径:D114a=93mmとし、テーパ部1
14aの厚み:L114a=20mmとし、構成した。なお、第1、
2及び3の永久磁石112、115、及び122にはいずれもR
−Fe−B系異方性焼結磁石(RはNdを主体とする希土類
元素の少なくとも1種であり、日立金属社製のHS-46C
H)を用いた。又第1、2、3のヨーク111、113、116、
及びセンターポール114はいずれもJISG3101一般構造用
圧延鋼材SS400製とした。以上のように構成した図4の
スピーカ用磁気回路において、磁気ギャップ117の半径
方向の中心位置O(磁気ギャップ117の下端位置)から
磁気ギャップ117の軸方向xに沿う空隙部磁束密度を測
定した。結果を図5の実施例3-1に示す。図5より実施
例2よりも高い1.35T超の空隙部磁束密度を得られたこ
とがわかる。
【0021】このように高い空隙部磁束密度を得られた
理由として、図3に示す実施例2では主磁束63がセンタ
ーポール54から第1のヨーク51に流れる時にその接合
部、特に空隙58側において磁束が集中する。そのため、
この部分の部材が磁気飽和を起こし磁気抵抗が大きくな
っていた。これに対し本実施例では主磁束123がセンタ
ーポール114から第1のヨーク111に流れる時、テーパ部
114aを流れることができ、主磁束123が第1の永久磁石1
12へ近道を通って行けるので、磁気飽和現象が緩和さ
れ、磁気抵抗が低減されて磁気損失が減り、その結果と
して磁気ギャップ117の空隙部磁束密度が高くなったも
のと考えられる。尚、テーパ部の代わりに円弧で結んだ
アール部による接続でも良い。
【0022】(従来例)図7に示すスピーカ用磁気回路
は図8の従来のスピーカ用磁気回路と実質的に同じ構造
である。図7のスピーカ用磁気回路を、第1のヨーク9
1、第1の永久磁石92、第2のヨーク93、第2の永久磁
石95、及び第3のヨーク96の外径:D91=173mmとし、第
1の永久磁石92、第2のヨーク93、第2の永久磁石95、
及び第3のヨーク96の内径:D96=93mmとし、センター
ポール94の外径:D94=75mmとし、第1のヨーク91の厚
み:L91=30mmとし、センターポール94の厚み:L94=10
2.5mmとし、第1の永久磁石92の厚み:L92=25mmとし、
第2のヨーク93の厚み:L93=27.5mmとし、第2の永久
磁石95の厚み:L95=25mmとし、第3のヨーク96の厚
み:L96=25mmとし、構成した。なお、第1、2の永久
磁石92、95にはいずれもR−Fe−B系異方性焼結磁石
(RはNdを主体とする希土類元素の少なくとも1種であ
り、日立金属社製のHS-46CH)を用いた。又第1、2、
3のヨーク91、93、96、及びセンターポール94はいずれ
もJISG3101一般構造用圧延鋼材SS400製とした。以上の
ように構成した図7のスピーカ用磁気回路において、磁
気ギャップ97の半径方向の中心位置O(磁気ギャップ97
の下端位置)から磁気ギャップ97の軸方向xに沿う空隙
部磁束密度を測定した。結果を図5中の従来例に示す。
図5より実施例1、2に比べて空隙部磁束密度が低いこ
とがわかる。
【0023】(比較例)図6に示す比較例のスピーカ用
磁気回路を、第1のヨーク71、第1の永久磁石72、第2
のヨーク73、及び第3の永久磁石75の外径:D71=173mm
とし、第1の永久磁石72、第2のヨーク73、及び第3の
永久磁石75の内径:D75=93mmとし、第2の永久磁石8
9、第3のヨーク74、及び第4の永久磁石82の外径:D82
=75mmとし、第1のヨーク71の厚み:L71=30mmとし、
第1、2の永久磁石72、89の厚み:L72=25mmとし、第
2、3のヨーク73、74の厚み:L73=27.5mmとし、第
3、4の永久磁石75、82の厚み:L75=25mmとし、構成
した。なお、第1、2、3及び4の永久磁石72、89、75
及び82にはいずれもR−Fe−B系異方性焼結磁石(Rは
Ndを主体とする希土類元素の少なくとも1種であり、日
立金属社製のHS-46CH)を用いた。又第1、2、3のヨ
ーク71、73、74はいずれもJISG3101一般構造用圧延鋼材
SS400製とした。以上のように構成した図6のスピーカ
用磁気回路において、磁気ギャップ77の半径方向の中心
位置O(磁気ギャップ77の下端位置)から磁気ギャップ
77の軸方向xに沿う空隙部磁束密度を測定した。結果を
図5中の比較例に示す。図5より実施例1、2に比べて
比較例の空隙部磁束密度が低いことがわかる。
【0024】この理由を以下に説明する。両実施例と比
較例を比べてみて異なる点としては、両実施例ではセン
ターポール4、54全体がSS400で構成されているが、
比較例では前記センターポール4、54に相当する部分
(以下、「センターポール部」と記述する)が、その一
部が第2の永久磁石89で構成されていることである。従
って、この点について、磁気的な特性を比較すると、SS
400の飽和磁化は約2.0Tであるのに対し、第2の永久磁
石の磁束発生量、即ち、残留磁束密度は高々1.3T程度で
ある。ここで第1の永久磁石が発生した磁束量をΦ1、
第1の永久磁石の軸方向断面積をS1、センターポール
4、54あるいはセンターポール部を流れる磁束量をΦ
2、センターポール4、54あるいはセンターポール部
の軸方向断面積をS2とすると、Φ1は第1のヨークを通
過しセンターポール4、54あるいはセンターポール部
に集中し、Φ2=Φ1×S1÷S2となり(但し漏洩および磁
気飽和は無いものと仮定して)、且つ第1のヨークはセ
ンターポール4、54あるいはセンターポール部より外
側に配置されていることから、S1はS2に比べはるかに
大きいので、Φ2の値も大きなものとなり、大型スピー
カになると第2の永久磁石の残留磁束密度以上となっ
て、磁気抵抗を増やすことになる。このため比較例のよ
うにセンターポール部の一部が第2の永久磁石で構成さ
れていると磁気抵抗が増え、空隙部磁束密度が低下す
る。逆に両実施例のように第2の永久磁石の残留磁束密
度より高い飽和磁化を持つSS400で構成されたセンター
ポールを配設した場合はセンターポール内での磁気抵抗
が減少するため高い空隙部磁束密度を得られる。
【0025】実施例1、2(図1、3のスピーカ用磁気
回路)の検討結果と比較例(図6のスピーカ用磁気回
路)の検討結果から、センターポールの少なくとも一部
を強磁性材料から前記強磁性材料よりも低い残留磁束密
度を有する永久磁石に替えると、磁気抵抗が増大し空隙
部磁束密度が低下することがわかった。実施例2(図3
のスピーカ用磁気回路)の検討結果と、実施例3−1
(図4のスピーカ用磁気回路)の検討結果から、図3の
スピーカ用磁気回路のセンターポール54の第1のヨーク
51との接合面に、テーパ部が設けられた図4のスピーカ
用磁気回路では、磁気抵抗が低減し空隙部磁束密度が高
くなることがわかった。
【0026】上記各実施例ではセンターポール及び各ヨ
ークを構成する強磁性材料として、JISG3101一般構造用
圧延鋼材SS400を使用した場合を記載したが特に限定さ
れるものではなく、例えば前記SS400より飽和磁化の高
い電磁材料を使用すると多くの磁束量を流すことができ
るので好ましい。前記電磁材料の例として日立金属社製
の鉄―コバルト系軟磁性材料YEP27COを使用して図4の
スピーカ用磁気回路のセンターポール及び各ヨークを構
成したものを実施例3−2とし、日立金属社製の鉄―コ
バルト―バナジウム系軟磁性材料YEP-2Vを使用して図4
のスピーカ用磁気回路のセンターポール及び各ヨークを
構成したものを実施例3−3とした。それらの磁気ギャ
ップ117の半径方向の中心位置O(磁気ギャップ117の下
端位置)から磁気ギャップ117の軸方向xに沿う空隙部
磁束密度を測定した結果を図5に示す。図より実施例3
−1に対し実施例3−2は約2%、実施例3−3は約3
%空隙部磁束密度を増やすことができた。
【0027】上記実施例では、永久磁石としてR−Fe−
B系異方性焼結磁石を用いた場合を記載したが特に限定
されず、公知の永久磁石を使用することができる。又上
記実施例1、2ではいずれも各リング状永久磁石と各リ
ング状ヨークの外径、内径、及び厚みが同一であり、か
つセンターポール及び円板状永久磁石の外径が同一の場
合を記載したがこれらに限定されるものではない。例え
ば、図1で第1のヨーク1の外径を第1の永久磁石2の
外径より大きくしたり、あるいは小さくすることは任意
に行うことができる。又図1の第2のヨーク3の外径を
第1の永久磁石2の外径より大きくしたり、あるいは小
さくすることも任意である。
【0028】上記実施の形態では第1のヨークとセンタ
ーポールとが別体の場合を記載したが、第1のヨークと
センターポールとが一体もので形成された場合も本発明
に包含される。
【0029】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、スピ
ーカの大型化、大重量化、及び高コスト化を招来せず
に、磁気ギャップの磁束密度を顕著に高めたスピーカ用
磁気回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピーカ用磁気回路の一態様を示す縦
断面図である。
【図2】本発明のスピーカ用磁気回路の他の態様を示す
縦断面図である。
【図3】本発明のスピーカ用磁気回路の更に他の態様を
示す縦断面図である。
【図4】本発明のスピーカ用磁気回路の更に他の態様を
示す縦断面図である。
【図5】磁気ギャップにおける測定位置xと空隙部磁束
密度との相関の一例を示す図である。
【図6】比較例のスピーカ用磁気回路の態様を示す断面
図である。
【図7】従来例のスピーカ用磁気回路の態様を示す断面
図である。
【図8】従来のスピーカを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,21,31,51,111 第1のヨーク 2,22,32,52 ,112 第1の永久磁石 3,23,33,53,113 第2のヨーク 4,24,34,54,114 センターポール、 7,27,37,57,117 磁気ギャップ、 5,28,35,55,115 第2の永久磁石、 12,62,122 第3の永久磁石 56,116 第3のヨーク 67,127 第4のヨーク 114a テーパ部
フロントページの続き (72)発明者 萩原 和樹 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所内 Fターム(参考) 5D012 BB03 BB07 FA01 GA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性材料により円板状に形成された第
    1のヨークと、 厚み方向が磁化方向であり、第1のヨークの前面に配設
    されたリング状の第1の永久磁石と、 強磁性材料によりリング状に形成され、第1の永久磁石
    の前面に配設された第2のヨークと、 厚み方向が磁化方向であり、第1の永久磁石とは反対極
    性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、第2のヨ
    ークの前面に配設されたリング状の第2の永久磁石と、 強磁性材料により円柱状に形成され、第1のヨークの前
    面に配設され、第1の永久磁石及び第2のヨークの内周
    面とギャップを介して対向するセンターポールと、 厚み方向が磁化方向であり、第2の永久磁石とは反対極
    性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、センター
    ポールの前面に配設され、第2の永久磁石の内周面とギ
    ャップを介して対向する第3の永久磁石とを備えたこと
    を特徴とするスピーカ用磁気回路。
  2. 【請求項2】 強磁性材料により円板状に形成された第
    1のヨークと、 厚み方向が磁化方向であり、第1のヨークの前面に配設
    されたリング状の第1の永久磁石と、 強磁性材料によりリング状に形成され、第1の永久磁石
    の前面に配設された第2のヨークと、 強磁性材料により円柱状に形成され、第1のヨークの前
    面に配設され、第1の永久磁石及び第2のヨークの内周
    面とギャップを介して対向するセンターポールと、 厚み方向が磁化方向であり、第1の永久磁石と同極性の
    磁極を前面部及び後面部に形成してなり、センターポー
    ルの前面に突設された第3の永久磁石とを備えたことを
    特徴とするスピーカ用磁気回路。
  3. 【請求項3】 強磁性材料により円板状に形成された第
    1のヨークと、 厚み方向が磁化方向であり、第1のヨークの前面に配設
    されたリング状の第1の永久磁石と、 強磁性材料によりリング状に形成され、第1の永久磁石
    の前面に配設された第2のヨークと、 厚み方向が磁化方向であり、第1の永久磁石とは反対極
    性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、第2のヨ
    ークの前面に配設されたリング状の第2の永久磁石と、 強磁性材料によりリング状に形成され、第2の永久磁石
    の前面に配設された第3のヨークと、 強磁性材料により円柱状に形成され、第1のヨークの前
    面に配設され、第1の永久磁石及び第2のヨークの内周
    面とギャップを介して対向するセンターポールと、 厚み方向が磁化方向であり、第2の永久磁石とは反対極
    性の磁極を前面部及び後面部に形成してなり、センター
    ポールの前面に配設され、第2の永久磁石の内周面とギ
    ャップを介して対向する第3の永久磁石と、 強磁性材料により円板状に形成され、第3の永久磁石の
    前面に配設され、第3のヨークの内周面とギャップを介
    して対向する第4のヨークとを備えたことを特徴とする
    スピーカ用磁気回路。
  4. 【請求項4】 前記第1のヨークとセンターポールとの
    接続部をテーパ面あるいはアール面で接続したことを特
    徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスピーカ用磁気
    回路。
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