JP2003038141A - 粉体殺菌装置および方法 - Google Patents

粉体殺菌装置および方法

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JP2003038141A JP2001229623A JP2001229623A JP2003038141A JP 2003038141 A JP2003038141 A JP 2003038141A JP 2001229623 A JP2001229623 A JP 2001229623A JP 2001229623 A JP2001229623 A JP 2001229623A JP 2003038141 A JP2003038141 A JP 2003038141A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風味、香味などを損なうことなく良好に粉体
の殺菌を行うことのできる粉体殺菌装置および方法を提
供する。また、短時間で、連続的かつ繰り返し殺菌を行
うことのできる粉体殺菌装置および方法を提供する。 【解決手段】 チャンバ2において、衝撃波伝搬媒体を
空洞部9内に注入する。そして、空洞部9に配設されて
いるチューブ3の内部に、粉体15を充填した後、コン
デンサ13aから大電流を発生させ、棒状電極12a,
12b間で放電させる。この放電により発生した衝撃波
が、衝撃波伝搬媒体を介し、チューブ3内の粉体15に
与えられ、殺菌が行われる。この粉体殺菌方法によれ
ば、粉体粒子表面のみを加熱することができ、粉体の有
する香気成分を揮発させず、粉体としての風味、香味な
どを損なうことなく、瞬時に殺菌をすることが可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌が必要とされ
る粉体(例えば、香辛料および抹茶などの粉末状の食
品、ならびに粉末状の各種香料および薬品など)に対す
る殺菌処理を行うための粉体殺菌装置および方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】食品や医薬品などの物質は、その性質
上、殺菌処理を行うことが必要とされる。従来より、こ
のような物質に対して殺菌処理を施すための装置や方法
の開発がなされている。
【0003】従来、このような殺菌処理に関しては、特
に液状の物体についての殺菌処理を行うための装置また
は方法が良く知られている。例えば特開平7−1159
47号および特開平7−289218号公報などに記載
されたものが知られている。
【0004】特開平7−115947号公報には、流動
状または液状食品に対し、衝撃波を利用して殺菌を行う
ための装置の発明が記載されている。その装置の構成
は、流動食品を収容した弾性容器と、衝撃波発生源と、
それら弾性容器と衝撃波発生源との間に介在された衝撃
波伝搬媒体とを備えたものである。この公報記載の発明
によれば、衝撃波発生源によって発生させた衝撃波を衝
撃波伝搬媒体を通じて弾性容器に伝搬させ、衝撃波を弾
性容器内の流動食品に与えることで、各種ジュース類、
清涼飲料水、牛乳、ヨーグルト等の流動状または液状食
品に対し、それら食品中の蛋白質等を熱変性させること
なく殺菌がなされる。
【0005】また、特開平7−289218号公報に
は、密閉容器内でCO2ガスを充填し高圧に保ち、急減
圧することで殺菌処理を行う技術が記載されている。こ
の公報記載の技術では、耐圧容器と、CO2ガスと共に
被処理物を密封した袋体と、加圧用の水を注入する加圧
ポンプと、減圧弁と、で構成され、被処理物を高圧ガス
下に置き、微生物の細胞内水分に多量のガスを溶解させ
た後、急減圧して微生物の細胞内ガスを急膨張させ、細
胞膜を破砕することで殺菌処理がなされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
では、特に液状の食品を対象とした殺菌処理装置および
方法に関して、多くの技術開発がなされている。しかし
ながら、特に粉体の食品を対象とした殺菌処理に関する
技術に関しては、液状の食品に比べて、その開発が不十
分である。その理由の1つとして、これまでは、乾燥粉
末食品の菌については液状食品に比べ、あまり問題視さ
れてなかったことが挙げられる。
【0007】乾燥粉末食品、特に香辛料については、加
熱により風味や辛味が低下することや、香辛料単体中で
は香辛料自体が持っている抗菌効果のために、菌にとっ
て繁殖環境にないことから完全な殺菌は行われていなか
った。1グラム当たり数千個程度の菌数は容認されてい
たが、食品の再利用や他の食品との混合の過程において
菌数の増殖を誘発する危険性も指摘されていた。香辛料
においても、他の食品との混合によって胞子として生き
延びた菌が、新たに繁殖する危険性は否めない。
【0008】従来、粉末状の食品に対する殺菌処理方法
としては、外部加熱のほか、蒸気殺菌やマイクロ波殺
菌、超音波殺菌あるいはガス殺菌、パルス電解法などが
ある。しかしこれらの殺菌方法は、一部の香辛料または
抹茶あるいは香料などのように香りを消失しやすい食品
あるいは薬品や、熱により分解しやすい栄養素を含む健
康食品などには不向きである。
【0009】また、粉末の殺菌を完全に行うことの困難
さは、主に、粉末の表面積が大きいため熱量の流入速度
が大きく、変質させてしまいやすいので加熱調整が困難
であるという点や、加熱の不均一、あるいは攪拌による
風味の低下といった点にある。また、殺菌処理により、
粉末の色が変化してしまうおそれもある。これらの問題
点により、いまだ商品化されていない食品も存在する。
【0010】香料や香辛料などを香りを損なうことなく
殺菌するためには、香りの素となる揮発成分を逃さず、
菌に対してのみ熱を作用させる必要がある。一般的に菌
は、粉体を構成する各粒子の表面に存在することが多
く、表面温度のみを上げれば殺菌が達成される場合が多
い。しかしながら、外部からの加熱殺菌においては、外
側の粒子ほど熱を受けやすく、内側の粒子は熱を受けに
くいといったような加熱の不均一が起こり、また、マイ
クロ波殺菌においては、加湿する手間が必要となった
り、内側の粒子へのマイクロ波の進入が不確実であった
りと、実用上の問題があった。
【0011】ところで、粉体の殺菌処理に関しては、衝
撃波が利用した殺菌が有効であると考えられる。衝撃波
を利用した殺菌は、上述の特開平7−115947号公
報にも記載されている。しかしながら、この公報記載の
技術では、流動状または液状のものを処理対象としてお
り、流動性に劣る粉体の殺菌処理には直ちに応用できな
い。特に、粉体の供給および排出作業が円滑に行われな
いため、粉体の殺菌処理には不向きである。
【0012】また、上述の特開平7−289218号公
報記載の技術においては、粉体にも適用可能とあるが、
高圧保持時間が必要であり、また、連続処理できないな
ど、短時間での大量殺菌処理には不向きであるという実
用上の問題がある。
【0013】以上説明したように、従来では液状のもの
に比べて粉体の殺菌処理に関しては、技術開発が不十分
なところがあるため、粉体の殺菌処理に適した技術の開
発が望まれる。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、風味、香味などを損なうこと
なく良好に粉体の殺菌を行うことのできる粉体殺菌装置
および方法を提供することにある。また、その第2の目
的は、短時間で、連続的かつ繰り返し殺菌を行うことの
できる粉体殺菌装置および方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の粉体殺菌
装置は、衝撃波を伝搬可能な媒体が注入される空洞部を
有したチャンバと、空洞部内に配設され、内部に殺菌対
象となる粉体を収容する粉体収容手段と、媒体が注入さ
れた状態で空洞部内に衝撃波を発生させ、その衝撃波を
媒体を介して粉体収容手段内の粉体に与える衝撃波発生
手段とを備えたものである。
【0016】この請求項1記載の粉体殺菌装置では、チ
ャンバの空洞部内に、衝撃波を伝搬可能な媒体が注入さ
れると共に、粉体が収容された粉体収容手段が配設され
る。そして、媒体が注入された状態で空洞部内に衝撃波
が発生し、その衝撃波が媒体を介して粉体収容手段内の
粉体に与えられ、その衝撃波によって粉体の殺菌が行わ
れる。
【0017】請求項2記載の粉体殺菌装置は、衝撃波発
生手段が、断熱圧縮による温度上昇を粉体の表面に生じ
させると共に、粉体粒子間の表面摩擦による摩擦熱を生
じさせるような衝撃波を発生させるようにしたものであ
る。
【0018】この請求項2記載の粉体殺菌装置では、衝
撃波によって、粉体の表面に断熱圧縮による温度上昇が
発生すると共に、粉体粒子間の表面摩擦による摩擦熱が
発生し、これら断熱圧縮による温度上昇と粉体粒子間の
表面摩擦とによって粉体の殺菌が行われる。
【0019】請求項3記載の粉体殺菌装置は、粉体収容
手段を、空洞部の内壁に沿って螺旋状に配設されたチュ
ーブによって構成したものである。
【0020】この請求項3記載の粉体殺菌装置では、空
洞部の内壁に沿ってチューブを螺旋状に配設しているの
で、空洞部内の面積が有効利用され、大量の粉体の処理
が可能とされる。
【0021】請求項4記載の粉体殺菌装置は、さらに、
チャンバの上部に設けられ、チューブの一端に接続され
た粉体取入口と、チャンバの下部に設けられ、チューブ
の他端に接続された粉体排出口とを有し、粉体取入口を
介してチューブの一端から、粉体を連続的に送り込み、
粉体排出口を介してチューブの他端から殺菌後の粉体を
排出させるよう構成したものである。
【0022】この請求項4記載の粉体殺菌装置では、チ
ャンバの上部に設けられた粉体取入口を介して、チュー
ブの一端から粉体が殺菌処理に応じて連続的に送り込ま
れる。また、チャンバの下部に設けられた粉体排出口を
介してチューブの他端から殺菌後の粉体が殺菌処理に応
じて連続的に排出される。これにより、粉体の連続的な
取り込みと排出を行うことができ、連続的な殺菌処理が
可能とされる。
【0023】請求項5記載の粉体殺菌装置は、空洞部内
に注入される媒体を、電解質液とすると共に、衝撃波発
生手段を、一対の電極を有して構成し、電解質液中にお
いて、一対の電極間で放電を発生させることにより、衝
撃波を発生させるようにしたものである。
【0024】この請求項5記載の殺菌装置では、一対の
電極間の放電を利用して衝撃波が発生させられる。これ
により、連続的な衝撃波の発生を行うことが容易とな
り、例えば短時間で繰り返し殺菌処理を行うことが容易
とされる。
【0025】請求項6記載の粉体殺菌装置は、さらに、
チャンバ全体を振動させる振動部を備えたものである。
【0026】この請求項6記載の粉体殺菌装置では、振
動部によって、殺菌処理に応じてチャンバ全体が振動さ
せられるので、例えば、粉体収容手段をチューブによっ
て構成し、粉体をチューブ内に連続的に送り込むような
構成にした場合に、チューブ内での粉体の流動性が増
し、チューブを介した粉体の取り込みと排出処理とが円
滑に行われる。
【0027】請求項7記載の粉体殺菌装置は、衝撃波を
伝搬可能な媒体が注入されると共に、殺菌対象となる粉
体が収容される空洞部を有したチャンバと、空洞部内に
おいて、粉体と媒体とを隔絶するシート状の隔絶部材
と、媒体が注入され、隔絶部材によって粉体と媒体とが
隔絶された状態で空洞部内に衝撃波を発生させ、その衝
撃波を媒体と隔絶部材とを介して粉体に伝搬させる衝撃
波発生手段とを備えたものである。
【0028】この請求項7記載の粉体殺菌装置では、チ
ャンバの空洞部内に、衝撃波を伝搬可能な媒体が注入さ
れると共に、殺菌対象となる粉体が収容される。そし
て、空洞部内において、媒体が注入され、隔絶部材によ
って粉体と媒体とが隔絶された状態で空洞部内に衝撃波
を発生させ、その衝撃波が媒体と隔絶部材を介して粉体
に伝達されることによって粉体の殺菌が行われる。
【0029】請求項8記載の粉体殺菌方法は、空洞部を
有したチャンバにおいて、衝撃波を伝搬可能な媒体を空
洞部に注入すると共に、内部に殺菌対象となる粉体が収
容された粉体収容手段を空洞部内に配設し、媒体が注入
された状態で、空洞部内に衝撃波を発生させ、その衝撃
波を媒体を介して粉体収容手段内の粉体に与えるように
したものである。
【0030】この請求項8記載の粉体殺菌方法によれ
ば、空洞部を有したチャンバにおいて、衝撃波を伝搬可
能な媒体が空洞部に注入されると共に、殺菌対象となる
粉体が収容された粉体収容手段が空洞部内に配設され
る。そして、媒体が注入された状態で、空洞部内に衝撃
波を発生し、その衝撃波が媒体を介して粉体収容手段内
の粉体に与えられることにより、殺菌が行われる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】[第1の実施の形態]図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る粉体殺菌装置の構成を表してい
る。また、図2は、図1におけるチャンバ本体内部の詳
細図である。本実施の形態に係る粉体殺菌装置は、例え
ば、香辛料や抹茶などの粉末状の食品、ならびに粉末状
の香料や医薬品などに対する殺菌処理を行うためのもの
である。
【0033】この粉体殺菌装置1は、衝撃波を伝搬可能
な媒体(以下、「衝撃波伝搬媒体」という。)が注入さ
れると共に、殺菌対象となる粉体15が収容される空洞
部9を有したチャンバ2と、内部に殺菌対象となる粉体
15を収容するためのチューブ3とを備えている。この
粉体殺菌装置1は、さらに、衝撃波伝搬媒体が注入され
た状態で空洞部9内に衝撃波を発生させ、その衝撃波を
衝撃波伝搬媒体を介してチューブ3内の粉体15に与え
る機能を有した衝撃波発生手段4と、チャンバ2全体を
振動させるための振動部5とを備えている。
【0034】チャンバ2は、蓋2aと、本体2bとを有
して構成されている。チャンバ2の材質は、耐衝撃性樹
脂、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMW)であ
る。蓋2aには液入口6と粉体取入口7とが設けられて
いる。さらに蓋2aには、貫通孔8が複数設けられてい
る。蓋2aには、空洞部9内の内圧を調整するための内
圧調整弁を設けても良い。一方、本体2bには、その中
央部に、チューブ3を収容するための空洞部9が形成さ
れている。空洞部9は、円筒形であることが望ましい。
また、本体2bの上面部における空洞部9の周囲には、
蓋2aを固定するためのボルト10が設けられている。
ボルト10は、蓋2aに設けられた貫通孔8に対応する
位置に配置され、貫通孔8と同数分設けられている。ボ
ルト10は、各々対応する位置の貫通孔8に通された状
態で、図示しないナットもしくは蝶ネジ等によって固定
される。これにより、殺菌時においては、蓋2aと本体
2bとが固定され、一体化される。本体2bの下方部に
は、粉体取出口11が設けられている。
【0035】チューブ3は、粉体15の流動性確保など
の観点や空洞部9内の面積を有効利用するような目的か
ら、図示したように、空洞部9の内壁に沿って螺旋状に
配設されていることが望ましい。ただし、チューブ3
は、必ずしも互いに隣接するように束ねられる必要はな
く、例えば、蛇行するなどして配置されていても良い。
このチューブ3の上端部は、チャンバ2の蓋2aに設け
られている粉体取入口7に接続されている。一方、チュ
ーブ3の下端部は、チャンバ2の本体2bの下方部にあ
る粉体取出口11に接続されている。なお、図示しない
が、チューブ3の両端部には、それぞれバルブが設けら
れていることが望ましい。また、チューブ3は、シリコ
ーン樹脂等の弾性体からなることが望ましい。
【0036】空洞部9内には、また、図2に示したよう
に、支持枠21が設けられている。チューブ3を互い
に、もしくは円筒部9内壁に接着するなどして強固に固
定してしまうと衝撃を受けた際に破れるおそれがあるた
め、チューブ3は支持枠21によって、緩やかに固定さ
れていることが望ましい。なお、図1では、図面の簡略
化のため支持枠21の図示を省略している。本体2bの
上部には、また、図2に示したように、パッキン22が
設けられている。このパッキン22によって、螺旋状に
巻かれた状態が崩れない程度にチューブ3が抑えられて
いる。
【0037】衝撃波発生手段4は、一対の棒状電極12
a,12bと、電源供給部13とを有して構成されてい
る。棒状電極12a,12bは、導電性に優れる、例え
ば銅(Cu)などの材質で構成されている。棒状電極1
2a,12bは、両電極共に先端が円錐状に尖った形状
を有していることが望ましい。棒状電極12a,12b
は、本体2bの側面から水平方向に挿入され、チューブ
3の間隙をぬって、先端が空洞部9に露出する位置で、
互いの先端を対向させるように、かつ、互いに接触しな
いようにして配置されている。
【0038】空洞部9に注入される衝撃波伝搬媒体とし
ては、一対の棒状電極12a,12b間に放電を発生さ
せるために、例えば水などの電解質液が適用される。
【0039】電源供給部13は、コンデンサ13aと、
コンデンサ13aに供給される電圧を制御するコントロ
ーラ13bと、コントローラ13bを介してコンデンサ
13aに電流、電圧を供給する電源13cとを有してい
る。コンデンサ13aの両端は、図示したように導線1
4によって棒状電極12a,12bに電気的に接続され
ている。
【0040】振動部5は、チャンバ2の底部に配置され
ている。振動部5は、チューブ3への粉体供給時、およ
び排出時にチャンバ2全体を振動させることで、チュー
ブ3内の粉体15の流動性の向上を図る目的で設けられ
ている。
【0041】本実施の形態において、チューブ3が、本
発明における「粉体収容手段」の一具体例に対応する。
【0042】次に、以上のように構成された粉体殺菌装
置1の作用、動作について説明する。
【0043】粉体殺菌装置1によって粉体15の殺菌を
行う場合、予め、蓋2aに設けられた液入口6から、空
洞部9内に水などの衝撃波伝搬媒体を注入しておく。こ
の際、棒状電極12a,12bを、完全に浸漬させる。
【0044】次に、粉体取入口7から、殺菌対象となる
粉体15を供給する。この際、高所からの重力による自
然な落下を利用するほか、空気等のガス圧を利用し、貯
蔵タンクから圧送しても良い。また、スクリューを使用
し加圧しても良い。さらに、粉体取出口11から、吸引
しても良い。
【0045】空洞部9に配設されているチューブ3の内
部に、粉体15を充填した後、充電したコンデンサ13
aから大電流を発生させ、棒状電極12a,12b間に
放電させる。この放電により発生した衝撃波を、空洞部
9に注入され棒状電極12a,12bを浸漬している水
などの衝撃波伝搬媒体を介し、チューブ3に作用させ
る。チューブ3はシリコーン樹脂等の弾性体であるた
め、外力を受けると変形する。従ってチューブ3内部に
充填された粉体15にも衝撃波を与えることが可能にな
る。また、チューブ3は、接着等は施されず支持枠21
によって緩やかに固定されているため、変形の自由度が
保たれており、衝撃による破損が避けられる。
【0046】コンデンサ13aは一度放電した後、自動
的に再充電される。また、衝撃波の大きさは、コントロ
ーラ13bにより電圧を制御したり、コンデンサ13a
の容量を選択することで、任意に設定することが可能で
ある。また、再充電が完了次第、再度、棒状電極12
a,12b間に放電をさせることができるため、衝撃波
を与える回数も任意に設定可能である。以上のようにし
て粉体15の殺菌が行われる。
【0047】殺菌が終了したチューブ3内部の粉体15
は、粉体取出口11から排出される。排出時には、供給
時と同様、粉体取入口7側から空気等で加圧しても良い
し、粉体取出口11側から吸引しても良い。また、粉体
15の供給および排出の際、粉体15の流動性を向上さ
せるため、振動部5によってチャンバ2全体を振動させ
ても良い。また、チューブ3は弾性体であり、衝撃波と
いう外力から開放された時点で、元の形状に復元するこ
とから、粉体15の流動性を維持することができる。
【0048】粉体殺菌装置1による粉体殺菌処理の方法
としては、以上説明したように、ある一定量毎に粉体1
5を供給し、殺菌し、そして排出するというバッチ処理
のほか、次のような連続処理も可能である。つまり、粉
体15の供給および排出を連続して同時に行い、これに
連動して衝撃波を断続的に作用させ、殺菌をするという
処理方法である。この場合、殺菌に必要な回数の衝撃波
が与えられるように、粉体15の移動速度と放電頻度を
調整すれば良い。
【0049】次に、図3を参照して、本粉体殺菌装置1
において、衝撃波によって粉体15の殺菌が行われるこ
との原理について説明する。
【0050】衝撃波とは圧縮波であり、その後方の温度
は瞬間的に上昇する。しかし圧縮波の後方から追ってく
る膨張波によって圧縮は緩和され、すぐに冷却される。
なお、圧縮波が到達してから膨張波が到達するまでの時
間、すなわち圧縮時間は数マイクロ秒程度で、非常に短
時間である。
【0051】図3に示したように、粉体15に衝撃波3
2が与えられると、粉体15を構成する粉体粒子31お
よび粉体粒子同士の隙間が圧縮される。図3において、
衝撃波32が到達した位置を衝撃波面33として示す。
衝撃波面33の右側では、衝撃波が到達しておらず、粉
体粒子31間の隙間が大きい。一方、衝撃波面33の左
側では粉体粒子31が押しつぶされ、粉体粒子間に隙間
がほとんど無い。粉体15に衝撃波32が与えられる
と、特に粉体粒子31の隙間に存在する空隙部分の圧縮
(断熱圧縮)が顕著であり、温度上昇が生じる。また、
圧縮される際、粉体粒子31が高速で移動することによ
り互いに衝突し擦れ合うため、表面摩擦により発熱が起
こる。これら2つのことにより、粉体粒子31の周囲に
高温部34が生じ、表面の加熱がなされる。
【0052】ところで、高温部34が生じ、粉体粒子3
1の表面が加熱されると、各粉体粒子31の表面から内
部への熱伝導が起こるはずである。しかし、各粉体粒子
31の表面から内部への熱伝導に要する時間よりも、衝
撃波の後方から来る膨張波が短時間で粉体15に伝搬す
るため、各粉体粒子31はすぐに冷却され、よって、粉
体粒子31内部の温度上昇は避けられる。
【0053】このように、衝撃波を粉体15に与える
と、断熱圧縮による瞬間加熱と、粉体粒子31の高速移
動による摩擦によって起こる摩擦熱とによって菌の存在
する粉体粒子31の表面のみが加熱され、粉体15の殺
菌が行われる。
【0054】以上説明したように、本実施の形態に係る
粉体殺菌装置1によれば、衝撃波を粉体15に与え、断
熱圧縮による瞬間加熱と、粉体粒子31の高速移動によ
る摩擦によって起こる摩擦熱とによって、菌の存在する
粉体粒子31の表面のみを間接的に加熱するようにした
ので、粉体15の有する香気成分を揮発させず、粉体1
5としての風味、香味を損なうことなく、瞬時に殺菌を
行うことができる。また、色の変化が生じないようにし
て殺菌を行うことができる。
【0055】また、本実施の形態によれば、チューブ3
の内部への粉体供給およびチューブ3の内部からの粉体
排出を連続して行うことを可能にしたので、連続的に複
数回、殺菌すべき粉体15に衝撃波を与えることがで
き、その結果、繰り返し、かつ、連続的に殺菌を行うこ
とができる。
【0056】また、チューブ3を螺旋状に配設すること
で、滞り無く粉体輸送ができることに加え、粉体15が
充填されたチューブ3をより長く空洞部9内に収めるこ
とができ、効率よく殺菌を行うことができる。
【0057】さらに、殺菌すべき粉体15を、チューブ
3内に隔離した状態で殺菌し、隔離した状態のまま排出
可能にしたので、殺菌後の無菌状態を維持することがで
きる。
【0058】このように、本実施の形態に係る粉体殺菌
装置1によれば、粉体15の風味、香味および色を損な
うことなく、短時間で連続的かつ繰り返し殺菌を行うこ
とができる。
【0059】[実施例]次に、本実施の形態に係る粉体
殺菌装置1の殺菌性能を実施例1として示す。さらに、
本実施の形態に係る粉体殺菌装置1に類似した粉体殺菌
装置において、殺菌処理による香り等への影響評価を実
施例2として示す。
【0060】<実施例1>図4は、粉体殺菌装置1によ
る大豆粉の殺菌効果を示した説明図である。図4の縦軸
は大豆粉中に含まれる1グラム当たりの菌数であり、一
般性菌数、大腸菌群数および耐熱性菌数について、衝撃
波を1回作用させた際の前後の菌数を比較したものであ
る。
【0061】なお、本実施例においては、チャンバ2
は、縦500mm×横500mm×高さ400mmの大
きさの直方体である。また、円筒状の空洞部9の内径は
300mmφであり、チャンバ2の空洞部9は約3Lの
容量である。この空洞部9の内壁に沿って内径15mm
φのチューブ3が17回巻かれている。また、コンデン
サ13aの容量は40μFで、20kVに荷電した。
【0062】図4に示したように、一般性菌数および耐
熱性菌数については、約10%の殺菌率が得られた。ま
た、変質度合の指標となる水溶性窒素指数については、
2ないし3%程度しか変化せず、蛋白質の変成も非常に
小さいといえる。
【0063】また、粉体粒子の径が約1mm以下で、水
分含有量が20%未満である乾燥粉末食品に対して、粉
体殺菌装置1による殺菌効果を調査したところ、1回の
衝撃波を作用させることで50%から90%の殺菌率を
得た。また、何回も衝撃波を繰り返し作用させること
で、さらなる菌数削減が可能であった。
【0064】<実施例2>図5(A),(B)は、粉体
殺菌装置1に類似した粉体殺菌装置を用いて殺菌を行っ
た場合の、香りの主成分分析結果を示している。また、
図6(A),(B)は、本実施例において使用した粉体
殺菌装置の構成を示している。本実施例では、爆薬を爆
発させて衝撃波を発生させる銅管封入型衝撃波殺菌装置
60a(図6(A))と、水中での放電を利用した水中
放電型衝撃波殺菌装置60b(図6(B))との2種類
の装置を使用した。まず、これらの装置の構成および作
用について、それぞれ説明する。
【0065】銅管封入型衝撃波殺菌装置60aは、本体
61と、銅管62と、コア(銅棒)63と、電源供給部
64とを備えて構成されている。本体61は、架台61
1、外円筒612、およびスペーサ613を有して構成
されている。外円筒612は、架台611に固定されて
いる。外円筒612の内側には、銅管62が配設されて
いる。外円筒612と銅管62との隙間には、衝撃波の
エネルギー源としての爆薬65が充填され、両端部はス
ペーサ613で栓がなされるようになっている。銅管6
2の中央部にコア63が配設され、その隙間に殺菌対象
である粉体66が充填され、両端部はスペーサ611で
栓がされる。また、図示しないコンデンサに接続された
電極641が、爆薬65に導線642で接続されてい
る。
【0066】殺菌方法については、爆薬65を、銅管6
2の一方の端部より爆発させることで衝撃波を発生さ
せ、粉体66の充填された銅管62を内側に潰す。この
時、衝撃波が銅管62の中心で反射し、さらに銅管62
の内壁で反射する。これらの反射は、何度か繰り返さ
れ、銅管62内部に高い圧力を発生させるが、加熱時間
は非常に短い。また、コア63は温度が過度に上昇する
のを防いでいる。このように、銅管62の外側から内側
に伝搬する衝撃波によって、瞬間的に加熱されることで
粉体が殺菌処理される。
【0067】一方、図6(B)に示す水中放電型衝撃波
殺菌装置60bは、衝撃波のエネルギー源として放電エ
ネルギーを利用した装置である。粉体66は、架台61
1に固定された外円筒612と、その内側に配設される
ビニルチューブ67との間に充填される。ビニルチュー
ブ67の内側には、衝撃波伝搬媒体としての水68が充
填される。電極69a,69bの先端は水68の中で対
向している。水中放電型衝撃波殺菌装置60bにおいて
は、電極69a,69b間の放電により衝撃波を発生さ
せ、水68を介して粉体66に衝撃波を伝搬させ、瞬間
的に粉体66を加熱することで殺菌処理がなされる。
【0068】次に、図5(A),(B)に示した分析結
果について説明する。本実施例においては、試料粉末と
して白胡椒(図5(A))と抹茶(図5(B))とを用
いて分析を行った。それらの試料粉末の処理条件は、銅
管封入型衝撃波殺菌装置60aによって殺菌を行ったも
の、水中放電型衝撃波殺菌装置60bによって殺菌を行
ったもの、および400W電子レンジによって焦げる直
前まで加熱(抹茶は1分間、白胡椒は30秒間それぞれ
加熱)したものの3条件とし、比較対象とするため無処
理のもの(コントロール)を加えた。また、評価につい
ては、香りセンサーを用いて各処理を施した試料粉末の
香り測定を行い、コントロールに対する変化の大きさを
比較した。加えて、各処理前後の試料粉末における色の
変化も観察した。
【0069】図5(A),(B)は、18個の香りセン
サーを使用して香りの18次元分析を行い、その標準化
値を使用して主成分なる量を2つ定義し、その定義した
2つの主成分を2次元平面的にプロットして示したもの
である。縦軸は、第1の主成分を示し、横軸は、第2の
主成分を示す。図5(A),(B)においては、値その
ものの大きさにはあまり意味がなく、各分析結果間の相
対的な距離の違いによって香りの比較を行うことができ
る。すなわち、各分析結果間での相対的な距離が近けれ
ば、それらは似たような香りを有するものであると判断
できる。
【0070】図5(A),(B)に示したように、銅管
封入型衝撃波殺菌装置60aによって殺菌処理をしたも
のは爆薬の影響が大きく、白胡椒、抹茶共に香りの変化
が顕著であった。さらに、香りだけでなく変色も目立っ
た。また、電子レンジによって加熱処理したものは、白
胡椒では処理時間が短かったこともあり、香りの変化は
若干小さかったものの、色の変化は大きく、また、抹茶
においては香り、色ともに変化は大きかった。
【0071】これらに対し、図1に示した粉体殺菌装置
1と実質的に同様の殺菌原理を有する水中放電型衝撃波
殺菌装置60bによって殺菌を行ったものにおいては、
上記他の処理条件に比べ、香り、色に対する影響が小さ
かった。胡椒、抹茶双方に対して、香りや色の変化につ
いては、嗅覚や色覚ではほとんど認識できない程度であ
り、良好な結果が得られた。
【0072】[第2の実施の形態]次に、本発明の第2
の実施の形態について説明する。なお、以下の説明で
は、上記第1の実施の形態における構成要素と実質的に
同一の部分については、同一の符号を付し、適宜説明を
省略する。
【0073】上記第1の実施の形態では、チューブ3を
用い、粉体を連続的に処理するようにした例について説
明したが、本実施の形態では、チューブ3を用いずに殺
菌処理を行う例について説明する。
【0074】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る
粉体殺菌装置の構成を示している。本実施の形態に係る
粉体殺菌装置70が、上記第1の実施の形態の粉体殺菌
装置1(図1)と異なるのは、主として、チューブ3の
かわりに、空洞部9の底部に置いた粉体もしくは粉体を
収容した容器等を覆うシート71を設けた部分である。
粉体殺菌装置70において処理される粉体は、例えば製
品化段階でのパック済みされた状態であっても良い。本
実施の形態においては、振動部5(図1)は必ずしも設
けられている必要はない。
【0075】本実施の形態に係る粉体殺菌装置70は、
チャンバ2と、電極72a,72bとを備えて構成され
ている。電極72a,72bは、導線14によって電流
供給部13に電気的に接続されている。電流供給部13
の構成は、図1と同様である。
【0076】チャンバ2は、上記第1の実施の形態と同
様、蓋2aと、本体2bとを有して構成されている。図
7では、図示しないが、図1に示した粉体殺菌装置1と
同様に、殺菌時には、ボルト10およびナット等によっ
て蓋2aと本体2bとが互いに固定されるようになって
いる。蓋2aには液入口6が設けられている。一方、本
体2bには、その中央部に空洞部9が設けられている。
【0077】本実施の形態においては、空洞部9の底部
に置いた粉体もしくは粉体を収容した容器等を覆い、衝
撃波伝搬媒体との隔絶をする目的でシート71が設けら
れている。シート71は、例えば、シリコーン樹脂等の
弾性体からなる。電極72a,72bはL字形状を有
し、蓋2aを貫通し、空洞部9内で互いの先端が対向す
るように配設されている。また、電極72a,72bの
先端部分は、容易に放電が行われるよう、円錐状に尖っ
た形状を有していることが望ましい。
【0078】次に、以上のように構成された粉体殺菌装
置70の作用、動作について説明する。
【0079】本実施の形態に係る粉体殺菌装置70は、
ある一定量の粉体を空洞部9に収容し、殺菌が完了する
度に蓋2aを開放して粉体を取り出し、次の粉体を収容
する、という作業を繰り返すバッチ処理を行うものであ
る。
【0080】バッチ処理の手順としては、次のとおりで
ある。まず最初に蓋2aを開放し、殺菌対象となる粉体
を空洞部9の底部に置き、それを覆うようにシート71
を被せる。次いで、蓋2aと本体2bとを固定し、液入
口6から水などの電解質の衝撃波伝搬媒体を注入する。
この際、シート71によって、粉体15と衝撃波伝搬媒
体とを隔絶させておく。電極72a,72bの先端が十
分に浸漬した後、電流供給部13から電流を供給し、電
極72a,72b間に放電を発生させる。
【0081】この放電により発生した衝撃波は、衝撃波
伝搬媒体を介して、シート71に伝搬し、さらにシート
71によって隔絶されている粉体15に伝搬する。シー
ト71は弾性体であるため、外力を受けると変形するの
で、粉体15に衝撃波を作用させることができる。衝撃
波によって粉体15が殺菌される原理は、上記第1の実
施の形態と同様である。これによって粉体は殺菌され
る。
【0082】以上説明したように、本実施の形態に係る
粉体殺菌装置70によれば、粉体殺菌装置1に比べて簡
便な構成で粉体15の殺菌処理が可能である。
【0083】なお、本発明は、上記各実施の形態に限定
されず種々の変形実施が可能である。例えば、粉体殺菌
装置70(図7)においては、殺菌対象となる粉体15
を、予めシリコーン樹脂等の弾性体からなる容器に密封
しておき、この密封容器を直に空洞部9に投入し、電解
質液に浸漬させ、殺菌を行っても良い。
【0084】このようにすれば、電解質液を空洞部9に
溜めておいたまま、密封容器のみを取り出し、次いで、
未殺菌の粉体を収容した別の密封容器を投入し、バッチ
処理を連続して円滑に行うことが可能である。また、容
器に密封したまま粉体15を殺菌できるので、殺菌後に
菌が混入する要因が避けられ、容易に無菌状態を維持す
ることができる。さらに、粉体15を密封した容器の出
し入れを、自動化することにより、バッチ処理の連続化
を図ることが可能である。
【0085】ところで、本発明は、衝撃波を発生するた
めの一つの手段として放電を用いているにすぎず、直接
粉体に通電するものではない。この点で通電パルス電解
法とは異なる。また、本発明は、超音波による殺菌とも
異なる。すなわち、超音波による殺菌は、衝撃波に比べ
圧縮波の振幅が小さく、伝搬にともなう減衰が大きいこ
とから、その作用は粉体表面のみしか効かない。このこ
とから、超音波は、粉末食品の殺菌には不向きであると
考えられる。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項6のいずれか1項に記載の粉体殺菌装置または請求
項8記載の粉体殺菌方法によれば、衝撃波を伝搬可能な
媒体をチャンバの空洞部に注入すると共に、粉体を収容
するための粉体収容手段を空洞部内に配設し、媒体が注
入された状態で、空洞部内に衝撃波を発生させ、その衝
撃波を媒体を介して粉体収容手段内の粉体に与えるよう
にしたので、風味、香味などを損なうことなく良好に粉
体の殺菌を行うことができる。
【0087】特に、請求項3記載の粉体殺菌装置によれ
ば、空洞部の内壁に沿ってチューブを螺旋状に配設する
ようにしたので、空洞部内の面積が有効利用され、大量
の粉体の処理を容易に行うことができる。
【0088】また特に、請求項4記載の粉体殺菌装置に
よれば、請求項3記載の粉体殺菌装置において、チャン
バの上部に設けられた粉体取入口を介して、チューブの
一端から粉体を殺菌処理に応じて連続的に送り込むと共
に、チャンバの下部に設けられた粉体排出口を介してチ
ューブの他端から殺菌後の粉体を殺菌処理に応じて連続
的に排出するようにしたので、粉体の連続的な取り込み
と排出とを容易に行うことができ、連続的かつ大量な殺
菌処理が可能なる。
【0089】さらに、請求項6記載の粉体殺菌装置によ
れば、振動部によって、殺菌処理に応じてチャンバ全体
を振動させるようにしたので、例えば、粉体収容手段を
チューブによって構成し、粉体をチューブ内に連続的に
送り込むような構成にした場合に、チューブ内での粉体
の流動性が増すので、チューブを介した粉体の取り込み
と排出処理とを円滑に行うことができる。これにより、
さらに良好に連続的な殺菌処理が可能となる。
【0090】また、請求項7記載の粉体殺菌装置によれ
ば、チャンバの空洞部内に、衝撃波を伝搬可能な媒体を
注入すると共に、殺菌対象となる粉体を収容し、隔絶部
材によって粉体と媒体とが隔絶された状態で空洞部内に
衝撃波を発生させ、その衝撃波を媒体と隔絶部材とを介
して粉体に与えるようにしたので、簡易な構成で、風
味、香味などを損なうことなく良好に粉体の殺菌を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る粉体殺菌装置
の構成を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示した粉体殺菌装置におけるチャンバ本
体を上部から見た斜視図である。
【図3】衝撃波によって粉体の殺菌が行われることの原
理について示す説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係る粉体殺菌装置による大
豆粉の殺菌性能を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例2に係る香りの主成分分析結果
を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例2に係る粉体殺菌装置の構成を
示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る粉体殺菌装置
の構成を一部破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1,70…粉体殺菌装置、2…チャンバ、2a…蓋、2
b…本体、3…チューブ、4…衝撃波発生手段、5…振
動部、6…液入口、7…粉体取入口、8…貫通孔、9…
空洞部、10…ボルト、11…粉体取出口、12a,1
2b…棒状電極、13…電源供給部、13a…コンデン
サ、13b…コントローラ、13c…電源、14…導
線、15…粉体、21…支持枠、22…パッキン、31
…粉体粒子、32…衝撃波、33…衝撃波面、34…高
温部、71…シート、72a,72b…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 和人 熊本県熊本市黒髪2丁目39番1号 熊本大 学大学院自然科学研究科内 Fターム(参考) 4B021 LA44 LP10 LT03 LW07 LW10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 衝撃波を伝搬可能な媒体が注入される空
    洞部を有したチャンバと、 前記空洞部内に配設され、内部に殺菌対象となる粉体を
    収容する粉体収容手段と、 前記媒体が注入された状態で前記空洞部内に衝撃波を発
    生させ、その衝撃波を前記媒体を介して前記粉体収容手
    段内の粉体に与える衝撃波発生手段とを備えたことを特
    徴とする粉体殺菌装置。
  2. 【請求項2】 前記衝撃波発生手段は、断熱圧縮による
    温度上昇を前記粉体の表面に生じさせると共に、粉体粒
    子間の表面摩擦による摩擦熱を生じさせるような衝撃波
    を発生させることを特徴とする請求項1記載の粉体殺菌
    装置。
  3. 【請求項3】 前記粉体収容手段は、前記空洞部の内壁
    に沿って螺旋状に配設されたチューブによって構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の粉体殺菌装置。
  4. 【請求項4】 さらに、 前記チャンバの上部に設けられ、前記チューブの一端に
    接続された粉体取入口と、 前記チャンバの下部に設けられ、前記チューブの他端に
    接続された粉体排出口とを有し、 前記粉体取入口を介して前記チューブの一端から、前記
    粉体を連続的に送り込み、前記粉体排出口を介して前記
    チューブの他端から殺菌後の粉体を排出させるよう構成
    されていることを特徴とする請求項3記載の粉体殺菌装
    置。
  5. 【請求項5】 前記空洞部内に注入される媒体は、電解
    質液であり、 前記衝撃波発生手段は、一対の電極を有して構成され、
    前記電解質液中において、前記一対の電極間で放電を発
    生させることにより、前記衝撃波を発生させることを特
    徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載
    の粉体殺菌装置。
  6. 【請求項6】 さらに、前記チャンバ全体を振動させる
    振動部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項
    5のいずれか1項に記載の粉体殺菌装置。
  7. 【請求項7】 衝撃波を伝搬可能な媒体が注入されると
    共に、殺菌対象となる粉体が収容される空洞部を有した
    チャンバと、 前記空洞部内において、前記粉体と前記媒体とを隔絶す
    るシート状の隔絶部材と、 前記媒体が注入され、前記隔絶部材によって前記粉体と
    前記媒体とが隔絶された状態で前記空洞部内に衝撃波を
    発生させ、その衝撃波を前記媒体と前記隔絶部材とを介
    して前記粉体に与える衝撃波発生手段とを備えたことを
    特徴とする粉体殺菌装置。
  8. 【請求項8】 空洞部を有したチャンバにおいて、衝撃
    波を伝搬可能な媒体を前記空洞部に注入すると共に、内
    部に殺菌対象となる粉体が収容された粉体収容手段を前
    記空洞部内に配設し、 前記媒体が注入された状態で、前記空洞部内に衝撃波を
    発生させ、その衝撃波を前記媒体を介して前記粉体収容
    手段内の粉体に与えることを特徴とする粉体殺菌方法。
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JP2006158381A (ja) * 2004-11-09 2006-06-22 Kozo Fujita 殺菌装置及び殺菌方法

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JP2005095573A (ja) * 2003-08-21 2005-04-14 Kozo Fujita 殺菌装置及び粉砕殺菌装置
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