JP2003035699A - 超音速分子ジェット分光分析方法及び装置 - Google Patents
超音速分子ジェット分光分析方法及び装置Info
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- JP2003035699A JP2003035699A JP2001219178A JP2001219178A JP2003035699A JP 2003035699 A JP2003035699 A JP 2003035699A JP 2001219178 A JP2001219178 A JP 2001219178A JP 2001219178 A JP2001219178 A JP 2001219178A JP 2003035699 A JP2003035699 A JP 2003035699A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 極微量の試料で安全かつ高感度でダイオキシ
ン類の質量分析を行うことができる超音速分子ジェット
分光分析方法及び装置を提供すること。 【解決手段】 焼却炉等からのダイオキシンを含む飛
灰、活性炭微粒子に有機溶媒を加えて溶液試料とし、該
溶液試料を超音速分子ジェット分光分析装置における真
空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズルに臨ませて送
給して溶媒を蒸発せしめ、残留する固体試料に指向して
パルスレーザーを照射して気化させて前記キャリアガス
中に搬送し、その下流において波長可変レーザーを照射
して試料をイオン化しさらに、イオンを引き出し電極で
加速し、該イオンが検出器に到達する飛行時間を測定す
る質量分析を行う超音速分子ジェット分光分析方法及び
装置。
ン類の質量分析を行うことができる超音速分子ジェット
分光分析方法及び装置を提供すること。 【解決手段】 焼却炉等からのダイオキシンを含む飛
灰、活性炭微粒子に有機溶媒を加えて溶液試料とし、該
溶液試料を超音速分子ジェット分光分析装置における真
空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズルに臨ませて送
給して溶媒を蒸発せしめ、残留する固体試料に指向して
パルスレーザーを照射して気化させて前記キャリアガス
中に搬送し、その下流において波長可変レーザーを照射
して試料をイオン化しさらに、イオンを引き出し電極で
加速し、該イオンが検出器に到達する飛行時間を測定す
る質量分析を行う超音速分子ジェット分光分析方法及び
装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音速分子ジェッ
ト分光分析方法及び装置に関し、詳しくは、可及的に微
少量の試料で分光分析を行うことができる、質量分析を
行うための真空チャンバー内のキャリアガスジェットに
試料を導入する手段を備えた超音速分子ジェット分光分
析方法及び装置に関するものである。
ト分光分析方法及び装置に関し、詳しくは、可及的に微
少量の試料で分光分析を行うことができる、質量分析を
行うための真空チャンバー内のキャリアガスジェットに
試料を導入する手段を備えた超音速分子ジェット分光分
析方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉等から排出される、飛灰、活
性炭微粒子に随伴しているダイオキシン類は、蓄積性と
強い毒性を有する処からこれを無害化すべく、飛灰、活
性炭微粒子に含まれるダイオキシン類の迅速かつ高い感
度での濃度の測定手段が強く望まれている。
性炭微粒子に随伴しているダイオキシン類は、蓄積性と
強い毒性を有する処からこれを無害化すべく、飛灰、活
性炭微粒子に含まれるダイオキシン類の迅速かつ高い感
度での濃度の測定手段が強く望まれている。
【0003】この要請に応えるべく発明者は、特開平1
1−329345号公報に開示の超音速分子ジェット分
光分析方法及び装置を提案した。超音速分子ジェット分
光分析法によるときは、スペクトル線幅が狭いため、選
択性に優れた分析を行うことができる。また、感度も良
好であるため、最近では、多数の類似構造をもつダイオ
キシン類の微量分析への応用も期待されている。
1−329345号公報に開示の超音速分子ジェット分
光分析方法及び装置を提案した。超音速分子ジェット分
光分析法によるときは、スペクトル線幅が狭いため、選
択性に優れた分析を行うことができる。また、感度も良
好であるため、最近では、多数の類似構造をもつダイオ
キシン類の微量分析への応用も期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ
ー波長を掃引して吸収線の位置を調べるには数10分間
を要するため、多量の標準物質を試料として連続的に流
す必要がある。処で、たとえばダイオキシンの成人の1
日間摂取許容量は200pg程度であり、多量の有害な
試料を用いることは、測定者の安全確保の観点から許さ
れない。而して、極微量の試料で安全に測定することが
できる分析手段の開発が望まれていた。
ー波長を掃引して吸収線の位置を調べるには数10分間
を要するため、多量の標準物質を試料として連続的に流
す必要がある。処で、たとえばダイオキシンの成人の1
日間摂取許容量は200pg程度であり、多量の有害な
試料を用いることは、測定者の安全確保の観点から許さ
れない。而して、極微量の試料で安全に測定することが
できる分析手段の開発が望まれていた。
【0005】有機化合物等の質量分析装置におけるキャ
リアガス噴出ノズル部に固体試料を導入する方法が既知
である。この固体試料導入手段は操作が簡単であり、広
く利用されている。しかし、この試料導入方法によると
きは、固体試料を直接的に用いるのでダイオキシン類を
測定対象とするときには危険性が高い。
リアガス噴出ノズル部に固体試料を導入する方法が既知
である。この固体試料導入手段は操作が簡単であり、広
く利用されている。しかし、この試料導入方法によると
きは、固体試料を直接的に用いるのでダイオキシン類を
測定対象とするときには危険性が高い。
【0006】希釈試料溶液の液滴をキャリアガス噴出ノ
ズル内部に付着させて乾燥した後に用いる方法もある
が、残留した不要な試料を安全に回収することが困難で
あるという問題がある。また、ノズルの温度によって試
料の濃度が変化するから、一定の濃度で持続して試料を
流すことが困難である。
ズル内部に付着させて乾燥した後に用いる方法もある
が、残留した不要な試料を安全に回収することが困難で
あるという問題がある。また、ノズルの温度によって試
料の濃度が変化するから、一定の濃度で持続して試料を
流すことが困難である。
【0007】また、棒の先端或いは円柱・円盤の表面に
試料を塗布し、この試料に指向してレーザーを照射して
試料を瞬時に気化させ、超音速分子ジェット分光分析法
によって質量分析する方法が特開2000−11152
5号公報に開示されている。しかしながら、この先行技
術によるときも、試料を一定の濃度で持続して流すこと
ができない。
試料を塗布し、この試料に指向してレーザーを照射して
試料を瞬時に気化させ、超音速分子ジェット分光分析法
によって質量分析する方法が特開2000−11152
5号公報に開示されている。しかしながら、この先行技
術によるときも、試料を一定の濃度で持続して流すこと
ができない。
【0008】本発明は、試料を一定の濃度で持続して流
すことができるとともに、極微量の試料で安全にダイオ
キシン類の質量分析を行うことができる超音速分子ジェ
ット分光分析方法およびそのための装置を提供すること
を目的とする。
すことができるとともに、極微量の試料で安全にダイオ
キシン類の質量分析を行うことができる超音速分子ジェ
ット分光分析方法およびそのための装置を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、焼却炉等からの、ダイオキ
シンを含む飛灰、活性炭微粒子に有機溶媒を加えて溶液
試料とし、該溶液試料を、超音速分子ジェット分光分析
装置における真空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズ
ルに臨ませて送給、吐出せしめて溶媒を蒸発させ、残存
する固体試料に指向して試料蒸発用パルスレーザーを照
射して測定対象分子を気化させて前記キャリアガス中に
搬送し、その下流において試料イオン化用波長可変レー
ザーを照射してイオン化せしめさらに、イオンを引き出
し電極で加速し、該イオンがイオン検出器に到達する時
間を測定する質量分析を行うようにしたことを要旨とす
る。
の請求項1に記載の発明は、焼却炉等からの、ダイオキ
シンを含む飛灰、活性炭微粒子に有機溶媒を加えて溶液
試料とし、該溶液試料を、超音速分子ジェット分光分析
装置における真空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズ
ルに臨ませて送給、吐出せしめて溶媒を蒸発させ、残存
する固体試料に指向して試料蒸発用パルスレーザーを照
射して測定対象分子を気化させて前記キャリアガス中に
搬送し、その下流において試料イオン化用波長可変レー
ザーを照射してイオン化せしめさらに、イオンを引き出
し電極で加速し、該イオンがイオン検出器に到達する時
間を測定する質量分析を行うようにしたことを要旨とす
る。
【0010】請求項2に記載の発明は、ダイオキシンを
含む固体試料に有機溶媒を加えて得られる溶液試料の微
少量を圧送する溶液試料圧送手段と、超音速分子ジェッ
ト分光分析装置における真空チャンバー内のキャリアガ
ス噴出ノズル出口に臨む先端部を有し、前記キャリアガ
ス噴出ノズル下部に配設された、前記溶液試料圧送手段
からの溶液試料をキャリアガス噴出ノズル出口に臨んで
吐出するキャピラリーと、該キャピラリー先端における
溶液試料の溶媒が蒸発して残存する固体試料に指向して
パルスレーザー光を照射してダイオキシンを気化させる
蒸発用レーザーと、前記キャピラリー先端からキャリア
ガス中に搬送された試料を含む気流中にその下流におい
てレーザー光を照射して試料をイオン化させる波長可変
イオン化用レーザーと、該イオン化された試料を引き出
し電極で加速しイオンがイオン検出器に到達するまでの
飛行時間を測定して質量分析する手段とを有することを
特徴とする超音速分子ジェット分光分析装置である。
含む固体試料に有機溶媒を加えて得られる溶液試料の微
少量を圧送する溶液試料圧送手段と、超音速分子ジェッ
ト分光分析装置における真空チャンバー内のキャリアガ
ス噴出ノズル出口に臨む先端部を有し、前記キャリアガ
ス噴出ノズル下部に配設された、前記溶液試料圧送手段
からの溶液試料をキャリアガス噴出ノズル出口に臨んで
吐出するキャピラリーと、該キャピラリー先端における
溶液試料の溶媒が蒸発して残存する固体試料に指向して
パルスレーザー光を照射してダイオキシンを気化させる
蒸発用レーザーと、前記キャピラリー先端からキャリア
ガス中に搬送された試料を含む気流中にその下流におい
てレーザー光を照射して試料をイオン化させる波長可変
イオン化用レーザーと、該イオン化された試料を引き出
し電極で加速しイオンがイオン検出器に到達するまでの
飛行時間を測定して質量分析する手段とを有することを
特徴とする超音速分子ジェット分光分析装置である。
【0011】請求項3に記載の発明は、キャピラリー
が、キャリアガス噴出ノズル出口に臨む先端部にフリッ
トを装着してなるものである請求項2に記載の超音速分
子ジェット分光分析装置である。
が、キャリアガス噴出ノズル出口に臨む先端部にフリッ
トを装着してなるものである請求項2に記載の超音速分
子ジェット分光分析装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその好ましい実施
形態に則して説明する。
形態に則して説明する。
【0013】
【実施例】本発明の超音速分子ジェット分光分析方法を
実施するための装置の要部を、図1に示す。本発明の超
音速分子ジェット分光分析装置においては、図1に示す
ように、溶液状の希釈試料を質量分析装置の真空チャン
バー内におけるキャリアガスジェット中に送給するため
のキャピラリー1を、ジェットノズル5直下に配設して
いる。
実施するための装置の要部を、図1に示す。本発明の超
音速分子ジェット分光分析装置においては、図1に示す
ように、溶液状の希釈試料を質量分析装置の真空チャン
バー内におけるキャリアガスジェット中に送給するため
のキャピラリー1を、ジェットノズル5直下に配設して
いる。
【0014】そして、この実施例においては、図2拡大
図に示すように、キャリアガスジェットノズル出口15
に臨む、キャピラリー1の先端部にフリット2が装着さ
れている。フリット2は微細なフィルター状のもので、
溶液状希釈試料の通過に抵抗をもたらす。フリット2が
装着されているキャピラリー1の先端部は、図1および
図2拡大図に示すように、Arガスといったキャリアガ
ス6の、真空チャンバー4内における噴出ノズル5から
の噴出方向に垂直な方向から、噴出ノズル5の外周面か
ら1mmの間隔を置いてキャリアガス6のジェットに臨
んでいる。また、キャピラリー1は、この実施例におい
ては、テフロン(登録商標)チューブ11で被覆され、
取り扱いに便利なようにされている。
図に示すように、キャリアガスジェットノズル出口15
に臨む、キャピラリー1の先端部にフリット2が装着さ
れている。フリット2は微細なフィルター状のもので、
溶液状希釈試料の通過に抵抗をもたらす。フリット2が
装着されているキャピラリー1の先端部は、図1および
図2拡大図に示すように、Arガスといったキャリアガ
ス6の、真空チャンバー4内における噴出ノズル5から
の噴出方向に垂直な方向から、噴出ノズル5の外周面か
ら1mmの間隔を置いてキャリアガス6のジェットに臨
んでいる。また、キャピラリー1は、この実施例におい
ては、テフロン(登録商標)チューブ11で被覆され、
取り扱いに便利なようにされている。
【0015】キャピラリー1の他端は、溶液試料圧送手
段3に接続されている。この実施例においては、溶液試
料圧送手段3として、2.5μl/min程度の送給能
力をもつマイクロシリンジポンプを用いている。ダイオ
キシン類を吸着している飛灰等の固体試料に、メタノー
ルといった揮発性有機溶媒を加えて希釈溶液試料とし、
溶液試料圧送手段3(マイクロシリンジポンプ)によっ
て、キャピラリー1を介して真空チャンバー4内のキャ
リアガス6のジェット中に搬送する。固体試料を溶解す
る溶媒としては、メタノールのような揮発性のものであ
ればよい。しかし、レーザー光を吸収しないものである
必要がある。
段3に接続されている。この実施例においては、溶液試
料圧送手段3として、2.5μl/min程度の送給能
力をもつマイクロシリンジポンプを用いている。ダイオ
キシン類を吸着している飛灰等の固体試料に、メタノー
ルといった揮発性有機溶媒を加えて希釈溶液試料とし、
溶液試料圧送手段3(マイクロシリンジポンプ)によっ
て、キャピラリー1を介して真空チャンバー4内のキャ
リアガス6のジェット中に搬送する。固体試料を溶解す
る溶媒としては、メタノールのような揮発性のものであ
ればよい。しかし、レーザー光を吸収しないものである
必要がある。
【0016】キャピラリー1先端のフリット2から吐出
された溶液試料は、フリット2上で溶媒が蒸発せしめら
れる。残留する固体試料に、たとえばYAGレーザーの
第二高調波といったパルスレーザーを、試料蒸発用レー
ザー7として照射して試料を瞬時に蒸発させ、キャリア
ガスジェット中に搬送する。試料ガスジェットは、スキ
マー状の反射電極8を通過してイオン化部に到達する。
イオン化部では、超音速分子ジェット(キャリアガス)
中に送り込まれた試料分子に、波長可変レーザー、この
実施例においては、光パラメトリック発振器(試料イオ
ン化レーザー9)の光を照射して試料分子をイオン化す
る。
された溶液試料は、フリット2上で溶媒が蒸発せしめら
れる。残留する固体試料に、たとえばYAGレーザーの
第二高調波といったパルスレーザーを、試料蒸発用レー
ザー7として照射して試料を瞬時に蒸発させ、キャリア
ガスジェット中に搬送する。試料ガスジェットは、スキ
マー状の反射電極8を通過してイオン化部に到達する。
イオン化部では、超音速分子ジェット(キャリアガス)
中に送り込まれた試料分子に、波長可変レーザー、この
実施例においては、光パラメトリック発振器(試料イオ
ン化レーザー9)の光を照射して試料分子をイオン化す
る。
【0017】イオン化された試料を引き出し電極10
(グリッド)によって加速してフライトチューブ中に飛
行させ、マイクロチャンネルプレートイオン検出器で質
量(飛行時間)を測定する。
(グリッド)によって加速してフライトチューブ中に飛
行させ、マイクロチャンネルプレートイオン検出器で質
量(飛行時間)を測定する。
【0018】図3に、試料蒸発用レーザー7と試料イオ
ン化用レーザー9の照射タイミングの間隔を変化させ
て、信号の強度変化を測定した結果を示す。図3から明
らかなように、信号強度は40μs程度で最大となって
いる。これは、試料が蒸発(気化)してイオン化部まで
到達する時間と一致している。信号強度のピーク部の幅
は5μs程度である。これは、パルスレーザー(蒸発用
レーザー7)の照射によって蒸発(気化)した試料が分
子ジェットの中で局在化していることを示している。ガ
スジェットのパルス幅は500μs程度であるから、試
料は100分の1程度に局在化していることになる。即
ち、100分の1の試料量で、同一の感度で分析できる
ことを示している。これが、本発明の超音速分子ジェッ
ト分光分析方法及び装置において、極微量の試料で高感
度に質量分析できる理由である。
ン化用レーザー9の照射タイミングの間隔を変化させ
て、信号の強度変化を測定した結果を示す。図3から明
らかなように、信号強度は40μs程度で最大となって
いる。これは、試料が蒸発(気化)してイオン化部まで
到達する時間と一致している。信号強度のピーク部の幅
は5μs程度である。これは、パルスレーザー(蒸発用
レーザー7)の照射によって蒸発(気化)した試料が分
子ジェットの中で局在化していることを示している。ガ
スジェットのパルス幅は500μs程度であるから、試
料は100分の1程度に局在化していることになる。即
ち、100分の1の試料量で、同一の感度で分析できる
ことを示している。これが、本発明の超音速分子ジェッ
ト分光分析方法及び装置において、極微量の試料で高感
度に質量分析できる理由である。
【0019】図4に、試料イオン化レーザー9の波長を
変化させて、フェノールを試料として多光子イオン化ス
ペクトルを測定した結果を示す。この実施例において
は、レーザーの波長を1nm掃引した。SN比が3の状
態(検出限界)で1nm掃引するのに必要な試料量は、
60pgであった。一方、未知のダイオキシンの吸収線
の位置は、理論的に3nmの精度で予測可能なことが分
かっている。従って、未知のダイオキシン化合物の吸収
線の位置を決定するには、180pgの試料量があれば
よいことになる。これは、成人の1日当たり摂取許容量
の200pgよりも少ない量である。
変化させて、フェノールを試料として多光子イオン化ス
ペクトルを測定した結果を示す。この実施例において
は、レーザーの波長を1nm掃引した。SN比が3の状
態(検出限界)で1nm掃引するのに必要な試料量は、
60pgであった。一方、未知のダイオキシンの吸収線
の位置は、理論的に3nmの精度で予測可能なことが分
かっている。従って、未知のダイオキシン化合物の吸収
線の位置を決定するには、180pgの試料量があれば
よいことになる。これは、成人の1日当たり摂取許容量
の200pgよりも少ない量である。
【0020】なお、ダイオキシンのような塩素を多数含
む化合物は、イオン化効率が低いとされている。しか
し、短パルスレーザーを試料イオン化用レーザーとして
用いる本発明によってこのような問題を解決できる。本
発明の超音速分子ジェット分光分析方法及び装置によっ
て、危険なダイオキシンの標準試料の測定が可能とな
る。なお、本発明の超音速分子ジェット分光分析方法及
び装置によって、一旦、吸収線の位置が決定されれば、
その位置に試料イオン化レーザー9の波長を固定して、
有害なダイオキシンの短時間かつ高感度で検出ができ
る。
む化合物は、イオン化効率が低いとされている。しか
し、短パルスレーザーを試料イオン化用レーザーとして
用いる本発明によってこのような問題を解決できる。本
発明の超音速分子ジェット分光分析方法及び装置によっ
て、危険なダイオキシンの標準試料の測定が可能とな
る。なお、本発明の超音速分子ジェット分光分析方法及
び装置によって、一旦、吸収線の位置が決定されれば、
その位置に試料イオン化レーザー9の波長を固定して、
有害なダイオキシンの短時間かつ高感度で検出ができ
る。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、ダイオキシンといった
毒性の強い分子を、1nm掃引するのに60pgといっ
た微量試料で超音速分子ジェット分光分析を行えるか
ら、許容量(4pg/体重・kg)よりも格段に少ない
量の試料で安全かつ高精度下に質量分析できる。また、
DNAや蛋白質など微量しか得られない貴重な試料の測
定にも応用できる。また、希釈試料溶液を超音速分子ジ
ェット中に送給するようにしているので、取り扱いを安
全にできる。
毒性の強い分子を、1nm掃引するのに60pgといっ
た微量試料で超音速分子ジェット分光分析を行えるか
ら、許容量(4pg/体重・kg)よりも格段に少ない
量の試料で安全かつ高精度下に質量分析できる。また、
DNAや蛋白質など微量しか得られない貴重な試料の測
定にも応用できる。また、希釈試料溶液を超音速分子ジ
ェット中に送給するようにしているので、取り扱いを安
全にできる。
【0022】請求項2および請求項3に記載の発明によ
れば、簡潔な装置構成にして、極微量の試料で安全かつ
高感度でダイオイキシン等の質量分析を行うことができ
る。また、希釈試料溶液を超音速分子ジェット中に送給
するのに、容積および表面積がきわめて小さなキャピラ
リーを用いるようにしたから、真空チャンバー内に試料
を導入するに際し、器具などに残留する試料を最小限に
することができる。
れば、簡潔な装置構成にして、極微量の試料で安全かつ
高感度でダイオイキシン等の質量分析を行うことができ
る。また、希釈試料溶液を超音速分子ジェット中に送給
するのに、容積および表面積がきわめて小さなキャピラ
リーを用いるようにしたから、真空チャンバー内に試料
を導入するに際し、器具などに残留する試料を最小限に
することができる。
【図1】本発明の超音速分子ジェット分光分析装置の要
部を示す縦断面図
部を示す縦断面図
【図2】本発明の超音速分子ジェット分光分析装置の全
体を示す斜視図およびキャピラリー先端部とノズル出口
の位置関係を示す拡大図
体を示す斜視図およびキャピラリー先端部とノズル出口
の位置関係を示す拡大図
【図3】試料蒸発用レーザーと試料イオン化用レーザー
の照射タイミング間隔を変化させて信号強度の変化を調
べた結果を示すグラフ
の照射タイミング間隔を変化させて信号強度の変化を調
べた結果を示すグラフ
【図4】試料イオン化用レーザーの波長を変化させて、
フェノールを試料として多光子イオン化スペクトルを測
定した結果を示すグラフ
フェノールを試料として多光子イオン化スペクトルを測
定した結果を示すグラフ
1 キャピラリー
11 テフロン(登録商標)チューブ
2 フリット
3 溶液試料圧送手段
4 真空チャンバー
5 ノズル
15 ノズル出口
6 キャリアガス
7 試料蒸発用レーザー
8 反射電極
9 試料イオン化用レーザー
10 引き出し電極(グリッド)
Claims (3)
- 【請求項1】 焼却炉等からの、ダイオキシンを含む飛
灰、活性炭微粒子に有機溶媒を加えて溶液試料とし、該
溶液試料を、超音速分子ジェット分光分析装置における
真空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズルに臨ませて
送給、吐出せしめて溶媒を蒸発させ、残存する固体試料
に指向して試料蒸発用パルスレーザーを照射して測定対
象分子を気化させて前記キャリアガス中に搬送し、その
下流において試料イオン化用波長可変レーザーを照射し
てイオン化せしめさらに、イオンを引き出し電極で加速
し、該イオンがイオン検出器に到達する時間を測定する
質量分析を行うようにしたことを特徴とする超音速分子
ジェット分光分析方法。 - 【請求項2】 ダイオキシンを含む固体試料に有機溶媒
を加えて得られる溶液試料の微少量を圧送する溶液試料
圧送手段と、超音速分子ジェット分光分析装置における
真空チャンバー内のキャリアガス噴出ノズル出口に臨む
先端部を有し、前記キャリアガス噴出ノズル下部に配設
された、前記溶液試料圧送手段からの溶液試料をキャリ
アガス噴出ノズル出口に臨んで吐出するキャピラリー
と、該キャピラリー先端における溶液試料の溶媒が蒸発
して残存する固体試料に指向してパルスレーザー光を照
射してダイオキシンを気化させる蒸発用レーザーと、前
記キャピラリー先端からキャリアガス中に搬送された試
料を含む気流中にその下流においてレーザー光を照射し
て試料をイオン化させる波長可変イオン化用レーザー
と、該イオン化された試料を引き出し電極で加速しイオ
ンがイオン検出器に到達するまでの飛行時間を測定して
質量分析する手段とを有することを特徴とする超音速分
子ジェット分光分析装置。 - 【請求項3】 キャピラリーが、キャリアガス噴出ノズ
ル出口に臨む先端部にフリットを装着してなるものであ
る請求項2に記載の超音速分子ジェット分光分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001219178A JP2003035699A (ja) | 2001-07-19 | 2001-07-19 | 超音速分子ジェット分光分析方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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JP2001219178A Withdrawn JP2003035699A (ja) | 2001-07-19 | 2001-07-19 | 超音速分子ジェット分光分析方法及び装置 |
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JP (1) | JP2003035699A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006267047A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Toshiba Corp | レーザー光を利用した物質検出装置及びその方法 |
JP2007071809A (ja) * | 2005-09-09 | 2007-03-22 | Shinshu Univ | 油水界面でのレーザーイオン化による電気的中性物質の高感度電気化学分析法 |
JP2013527443A (ja) * | 2010-04-29 | 2013-06-27 | バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | 液体蒸発器 |
JP2014222190A (ja) * | 2013-05-14 | 2014-11-27 | 国立大学法人福井大学 | 試料溶液の質量分析方法及びその装置 |
-
2001
- 2001-07-19 JP JP2001219178A patent/JP2003035699A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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