JP2003033633A - 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール - Google Patents

中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール

Info

Publication number
JP2003033633A
JP2003033633A JP2002138867A JP2002138867A JP2003033633A JP 2003033633 A JP2003033633 A JP 2003033633A JP 2002138867 A JP2002138867 A JP 2002138867A JP 2002138867 A JP2002138867 A JP 2002138867A JP 2003033633 A JP2003033633 A JP 2003033633A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
glycerin
aqueous solution
immersed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002138867A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirobumi Mitsuishi
博文 三石
Noriyuki Tamamura
憲幸 玉村
Koyo Mabuchi
公洋 馬淵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2002138867A priority Critical patent/JP2003033633A/ja
Publication of JP2003033633A publication Critical patent/JP2003033633A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A20/00Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
    • Y02A20/124Water desalination
    • Y02A20/131Reverse-osmosis

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非対称構造の中空糸膜からなるモジュールで
ありながら、乾燥状態においてのリークテストによって
製品に欠陥があるか否かの良否判定ができる中空糸膜の
製造方法および中空糸膜モジュールを提供すること。 【解決手段】 グリセリン系水溶液に細孔を有する中空
糸を浸漬した後、中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液
を減圧処理し、ついで水分を乾燥することでグリセリン
類を中空糸膜に満遍なく付着させた細孔にグリセリン類
が封入された中空糸膜を製造し、該中空糸膜でモジュー
ルを作製することで、水没リークテストを行なわずにグ
リセリン類が付着した乾燥状態のリークテストで製品に
欠陥があるか否かの良否判定ができる中空糸膜モジュー
ルを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸膜、特に選
択分離機能を有する緻密(スキン)層と膜強度を保持し
透過を促すスポンジ構造あるいはボイドを含有した構造
の支持層からなる不均一な層状構造(非対称構造)を有
する中空糸膜の製造方法に関する。より詳細には、グリ
セリンを付着した乾燥状態の中空糸膜モジュールを用い
て製品の中空糸膜に欠陥が存在するか否かの良否判定が
できる中空糸膜の製造方法及び中空糸膜モジュールに関
する。
【0002】
【従来の技術】中空糸膜は、大きな膜面積をコンパクト
なモジュールに納めることができる容積効率に優れた構
造であり、海水淡水化、逆浸透、ガス分離、限外濾過、
精密濾過、血液透析、血漿分離、家庭用浄水器など幅広
い分野で用いられている。
【0003】特に医療分野においては血液中の老廃物を
除去する目的でセルロース、酢酸セルロース、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの重合体
を用いた透析膜や限外濾過膜が用いられている。特にセ
ルロース膜は腎不全患者の延命・社会復帰の為の透析治
療において広く用いられてきた。
【0004】中空糸膜モジュールを製造する際、中空糸
膜に傷、ピンホール等の欠陥が存在した場合、これら欠
陥部分から供給液が濾液側に漏洩し大きな問題となる。
特に医療用分野において使用する際は、欠陥部分から血
液が漏洩し、場合によっては人命に関わる事故となる。
そのため製品の良否判断を行う最終検査工程は、製品の
安全を保障する上で重要な工程となる。
【0005】中空糸膜モジュールに欠陥があるか否かの
良否判定する方法としては様々な手法があるが、簡便で
迅速、正確な判定方法としてエアリークテストが広く採
用されている。すなわち、中空糸膜内に液体を充填し、
細孔が液体で塞がれた状態とし、中空糸膜内部もしくは
外部に空気や窒素などの気体を一定圧力で密閉し、数秒
間ないし数十秒間後の圧力降下を検出し、製品の良否判
定を行なう方法である。この時、欠陥のないモジュール
は、細孔が液体で塞がれているために、加圧した空気の
逃げ道がなく圧力降下値は少ないが、中空糸に傷やピン
ホールなどの欠陥が存在する場合や、モジュール接着不
良が存在する場合、欠陥部分から窒素ガスがリークし、
そのため圧力降下値は、欠陥のないモジュールより高く
なる。
【0006】当初の透析用中空糸膜は血液中の尿素、ク
レアチニンなどの低分子物質を除去することを主眼に開
発、臨床供与されてきた。そのため膜の細孔径は小さ
く、中空糸膜内側と外側の孔径がほぼ等しい均一構造を
有している。均一構造の中空糸膜モジュールを乾燥状態
で透析に用いる場合は、使用時の濡れ性を保つためグリ
セリンを付着させている。また、グリセリンを付着させ
た均一構造の中空糸膜モジュールは、グリセリンが細孔
を塞いでいるため、エアリークテストを行うと、欠陥の
ない中空糸膜モジュールは圧力降下が低く、不良品は圧
力降下が正常なモジュールと比較し高いため製品の良否
判定が容易である。
【0007】一方、長期透析患者の増加に伴い手根管症
候群などの長期透析合併症が注目されるようになり、近
年では透析による除去対象物質は尿素、クレアチニン等
の低分子のみではなく、中分子量から高分子量の物質
(低分子タンパク質)をも除去対象とすることが要求さ
れている。これらの治療に用いられる膜は膜抵抗を下げ
るために、選択分離機能を有する緻密層(スキン層)と
膜強度を保ちながら透過を促すスポンジ構造あるいはボ
イドを含有した構造の支持層からなる不均一な層状構造
(非対称構造膜)であるのが一般的である。
【0008】上記非対称構造の中空糸膜モジュールをグ
リセリン類を付着させた乾燥状態のリークテストを実施
した場合、欠陥の無い正常な中空糸膜モジュールの圧力
降下値も大きくなるものが混在し、製品の良否判定が困
難となる問題があった。
【0009】かかる問題に際し非対称構造の中空糸膜モ
ジュールのリークテストを行う場合、水などリークテス
ト用の液体をモジュールに充填し、中空糸膜細孔中に液
体を保持させ、中空糸膜内部もしくは外部から空気ある
いは窒素ガスなどの気体で加圧した後、圧力降下を測定
する、あるいは中空糸膜表面に気泡が発生するか否か観
察することで可能となる。しかし中空糸内部もしくは外
部に液体を充填したまま製品として出荷する場合、モジ
ュールの重量が乾燥状態と比較し重くなるため、運搬上
コスト高となる。もしくは寒冷地において細孔中の液体
の凍結し、膜やモジュールが破損したり、もしくは経時
的な性能変化発生の可能性等の問題がある。
【0010】また、液体充填によるリークテスト実施後
に中空糸の内部又は外部の液体を乾燥した後製品として
出荷する場合は、乾燥工程で生じた不良品は検査される
ことなく使用されるので、製品の安全上大きな問題とな
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は前記従
来技術の問題点、即ち中空糸膜(特に非対称構造を有す
る中空糸膜)から構成されている中空糸膜モジュール
で、グリセリン類を付着させた乾燥状態の中空糸モジュ
ールのリークテストによって製品に存在する傷やピンホ
ールなどの欠陥の有無を正確に検出でき、高い歩留まり
で製品の良否判断を可能にした中空糸膜の製造方法及び
中空糸膜モジュールの提供である。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、乾燥状態
におけるリークテストによって製品の良否判定が可能な
モジュールを得るための中空糸膜の製造方法及び中空糸
膜モジュールであり、下記(1)〜(7)の中空糸膜の製造方
法及び中空糸膜モジュールである。 (1)細孔にグリセリン類が封入された中空糸膜の製造
方法において、グリセリン系水溶液に細孔を有する中空
糸を浸漬した後、中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液
を減圧処理し、ついで水分を乾燥することを特徴とする
中空糸膜の製造方法。 (2)中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液をゲージ圧
-300mmHg以下で減圧処理することを特徴とする(1)記
載の中空糸膜の製造方法。 (3)中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を減圧処理
した後、常圧に戻し、ついで中空糸を浸漬したグリセリ
ン系水溶液を加熱することを特徴とする(1)、(2)
記載の中空糸膜の製造方法。 (4)中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を減圧処理
した後、常圧に戻し、ついで中空糸を浸漬したグリセリ
ン系水溶液を40℃以上に加熱することを特徴とする
(1)〜(3)記載の中空糸膜の製造方法。 (5)中空糸膜が、緻密な層及びスポンジ構造あるいは
直径0.5μm以上のボイドを含有した構造の層からなる不
均一な層状構造(非対称構造)をした中空糸膜である
(1)〜(4)記載の中空糸膜の製造方法。 (6)上記の製造方法で製造された中空糸膜の両端を樹
脂で固定化した中空糸束が充填された中空糸膜モジュー
ル。 (7) 細孔にグリセリン類が封入された緻密な層及び
スポンジ構造あるいは直径0.5μm以上のボイドを含有し
た構造の層からなる不均一な層状構造(非対称構造)を
した中空糸膜の両端を樹脂で固定化した中空糸束が充填
されたモジュールであって、グリセリン類が付着した乾
燥状態において中空糸内部を供給圧力1.5kgf/cm2の窒素
ガスで20秒間加圧し加圧を停止した後15秒後の圧力降下
値が200mmH 2O以上のモジュールの本数が水没リークテス
トで気泡が検知されないモジュールの本数の5%以下で
あることを特徴とする中空糸膜モジュール製品、であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明者らは、グリセリン類を付着した乾
燥状態の非対称構造の中空糸膜が組み込まれた中空糸膜
モジュールのリークテストにおいて製品の良否判定が困
難である原因を鋭意検討した結果、緻密な層及びスポン
ジ構造あるいは直径0.5μm以上のボイドを含有した構造
の層からなる不均一な層状構造(非対称構造)からなる
中空糸膜では緻密層の部分にグリセリン類が未充填であ
る部分が生じ、リークテスト時に空気圧力を保持できな
いことが分かった。そこで、中空糸膜中に満遍なくグリ
セリン類を充填するための方法を探索し、本発明に至っ
た。
【0015】中空糸膜にグリセリン類を付与する方法
は、一般的に濡れた状態の中空糸をグリセリン系水溶液
に浸漬し、中空糸膜に含まれる水をグリセリン系水溶液
に置換することで、中空糸膜にグリセリン系水溶液を含
ませた後、中空糸をグリセリン系水溶液から取り出し、
乾燥してグリセリン類を中空糸膜の細孔内に閉じ込め
る。ところが、中空糸の中空部や膜の内部、あるいはグ
リセリン系水溶液中に微細な気泡が含まれていると、気
泡の部分ではグリセリン系水溶液が中空糸に入り込むこ
とが出来ず、乾燥後もグリセリン類が未充填になってし
まう。均一構造の中空糸膜の場合は、中空糸膜の厚み方
向で一部分でもグリセリン類が完全に充填されていれ
ば、リークテスト加圧時に、圧力を保持することができ
るが、非対称構造の中空糸膜の場合、スキン層にグリセ
リン類が未充填の部分が発生しやすく、リークテスト時
に圧力を保持することが出来ない。
【0016】そこで、中空糸をグリセリン系水溶液に浸
漬した後、中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を減圧
処理することで、中空糸膜の中空部や膜の内部に存在す
る微細な気泡、あるいはグリセリン系水溶液中に存在す
る微細な気泡を除去でき、中空糸膜にグリセリン類を満
遍なく付与できることを見出した。本発明のグリセリン
類とは、グリセリン、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコールなどの親水性高沸点有機溶剤であり、
グリセリン系水溶液とは、それらと水との混合溶液であ
る。
【0017】すなわち、本発明は、細孔にグリセリン類
が封入された中空糸膜の製造方法において、グリセリン
系水溶液に中空糸を浸漬した後、中空糸を浸漬したグリ
セリン系水溶液を減圧処理することを特徴とする中空糸
膜の製造方法である。前述のように中空糸を浸漬したグ
リセリン系水溶液を減圧することで、中空糸の中空部や
中空糸膜の内部、あるいはグリセリン系水溶液中に存在
する微細な気泡を除去でき、中空糸にグリセリンを満遍
なく付与できる。この時、減圧度が低いと、脱泡の効果
が低くなるので、減圧度はゲージ圧で-300mmHg以下とす
ることが好ましく、-500mmHg以下がより好ましく、-700
mmHg以下が特に好ましい。このとき減圧しすぎてグリセ
リン系水溶液が沸騰してしまうと、脱泡の効果が得られ
ないので注意が必要である。
【0018】上記の中空糸を浸漬したグリセリン系水溶
液の減圧処理時間は、用いるグリセリン系水溶液の量や
処理する中空糸の本数によって異なるので一概には決定
できないが、15分から30分が適当で中空糸の中空部や中
空糸膜の内部やグリセリン系水溶液中に存在する気泡が
完全に抜け切ることが必要である。
【0019】また、使用するグリセリン系水溶液の温度
については、温度が低すぎるとグリセリン系水溶液の粘
度が高くなって気泡が抜けにくくなり、高すぎると減圧
処理時に含まれる水が沸騰しやすくなるので室温から40
℃が好ましい。また、使用するグリセリン系水溶液の濃
度に関しては、濃度が低すぎると中空糸膜にグリセリン
類を十分に付与することができず、高すぎるとグリセリ
ン系水溶液の粘度が高く気泡が抜けにくくなるので、30
〜70重量%が好ましい。
【0020】また、使用するグリセリン系水溶液は、中
空糸を浸漬する前に、予め真空処理や超音波処理などの
脱気処理を施しておくと、減圧処理時にグリセリン系水
溶液からの気泡の発生がなく、中空糸へのグリセリンの
接触が促進されるため好ましい。
【0021】このように、中空糸をグリセリン系水溶液
に浸漬後、中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を減圧
処理することで、中空糸膜の中空部や中空糸の膜内やグ
リセリン系水溶液中に存在する微細な気泡が除かれ、中
空糸膜へグリセリン類を満遍なく接触させることができ
る。更に中空糸膜の内部まで十分にグリセリンを染み渡
らせるために、減圧処理した後常圧に戻した中空糸を浸
漬したグリセリン系水溶液を加熱することが好ましい。
グリセリン系水溶液を加熱することで、グリセリン系水
溶液の粘度が低下し、グリセリン類の膜内部への拡散が
促進される。
【0022】加熱する温度は高いほうがグリセリン系水
溶液の粘度低下、グリセリンの拡散促進の点から好まし
く、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好まし
い。このとき、加熱処理する時間は、用いるグリセリン
系水溶液の量や処理する中空糸の本数によって異なるの
で一概には決定できないが、1時間から5時間が適当であ
る。
【0023】本発明の製造方法はどのような構造の中空
糸膜にも適用することができるが、非対称構造の中空糸
膜の場合、グリセリン類を付着させた乾燥状態における
リークテストで製品の良否判定が困難である点で、特に
有効である。本発明の非対称構造とは、膜の断面を1000
倍のSEM 写真で観察した場合、膜の内側と外側のどちら
か、あるいは両方に緻密層(スキン層)が確認でき、か
つ緻密層以外の膜の断面にスポンジ構造あるいは直径0.
5 μm 以上のボイドを含有した構造の層が確認できる不
均一層状構造をいう。
【0024】本発明が対象とする中空糸膜は、モジュー
ルに充填されて各種分野で液体及び気体の分離に広く利
用されている膜であれば特に制限されない。特に血液浄
化膜モジュールへの適用が好適である。
【0025】本発明が対象とする中空糸膜の素材は特に
限定されないが、膜が非対称構造を発現するための素材
として好ましくはセルロース、セルロースアセテート、
セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリスチレン、フッ素系樹脂、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、ポリアラミド、ポリアクリロ
ニトリル等が挙げられ、水溶液を中空形成剤として使用
する事で、非対称構造を持つ中空糸膜を容易に得る事が
できるセルロースアセテート、セルローストリアセテー
ト、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンが特に好まし
い。
【0026】非対称構造中空糸膜の製造には乾湿式法が
広く採用されており、具体的には例えば次の製膜工程で
製造される。紡糸原液を紡糸口金(例えばチューブイン
オリフィス型の紡糸口金) から気体雰囲気中に吐出し
て、0 〜1000mm走行させながら同時に口金中心部から凝
固性の中空形成剤を吐出して、中空部を形成した後凝固
浴に導いて凝固させる。凝固浴で凝固した分離膜は、水
洗浴に導かれて各種溶媒が洗浄除去されたかせに巻き取
る。
【0027】かせに巻き取られた中空糸膜は一定長さの
束状に切断された後、前述のようにグリセリン類を含浸
し、必要により遠心脱水などで過剰に付着したグリセリ
ン系水溶液を取り除いた後に乾燥する。本発明で言うと
ころの乾燥状態とは膜の水分率が15重量%以下の状態を
示す。水分率の測定方法には例えば以下の方法が挙げら
れる。洗浄乾燥した秤量瓶の重量を測定する( a) 。中
空糸膜を秤量瓶に約2 g採取し、化学天秤で0.1mg まで
秤量する(b) 。105 ℃の乾燥機に2.5hr 放置する。乾燥
終了後シリカゲル入りデジケーター内に秤量瓶を移し、
室温まで冷却、化学天秤で秤量する(c) 。このとき中空
糸膜の水分率は((b-c)/(b-a)) ×100 で定義される。
【0028】乾燥した中空糸束は、端部を接着し容器に
充填してモジュールとするが、乾燥時に膜表面に移動し
たグリセリン類を膜内部に再充填したり、付与したグリ
セリン類を膜内部に完全に固定したりするため、接着後
のモジュールに熱を与えてエージング処理することが好
ましい。エージング処理は、膜の素材やスキン層部分の
細孔の大きさにより条件が異なるが、温度は60℃から90
℃、時間は10時間以上48時間以内が一般的である。ま
た、リークテストは、モジュール温度や外部湿度の影響
を受けやすいため、エージング処理したモジュールをリ
ークテストの環境下に一日程度放置した後に実施するこ
とが好ましい。
【0029】グリセリン類を付着させた乾燥状態のモジ
ュールのリークテストは、一般にゲージ圧で1.0 〜1.5k
gf/cm2で行う。1.5kgf/cm2以上であると膜の破裂圧力を
超えてしまう場合もあり、1.0kgf/cm2以下であると小さ
なピンホールからの圧力降下が検出されない可能性があ
る。またリークテストの測定時間は5 〜15秒が好まし
い。これ以上だと製品の滞留時間が長くなりコスト上問
題を生じ、これ以下だと正確な圧力降下値が測定できな
い可能性がある。
【0030】本発明におけるグリセリンを付着させた乾
燥状態のモジュールのリークテストは、ゲージ圧1.5kgf
/cm2の空気で20秒間加圧密閉してから15秒後の圧力降下
値を測定を行なう。この時、本発明の製造方法で得られ
た中空糸膜から作製したモジュールであれば傷やピンホ
ールなどの欠陥が存在しない良品の圧力降下値は、200m
mH2O以下である。本発明の中空糸膜モジュールでは、圧
力降下値が200mmH2Oより大きい場合、全てのモジュール
が傷やピンホールなどの欠陥が存在する不良品と判断す
ることできる。一方、従来の中空糸膜をグリセリン水溶
液に浸漬しただけでは、傷やピンホールなどの欠陥が存
在しない良品であるにもかかわらず上記圧力降下値が20
0mmH2Oより大きいモジュールが全体の5%より多く存在
する。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれによって何ら限定されない。
【0032】(グリセリンを付着した乾燥状態のリーク
テスト)リークテストには(株)コスモ計器製リークテ
スタを使用した。本リークテスタでは最大999mmH2O、最
小1mmH2O、精度±1mmH2Oで測定可能であった。供給気体
には窒素を使用した。リークテスタと製品とをつなぐ回
路には、加圧時においても体積変化しない耐圧性フッ素
系樹脂チューブを使用し、耐圧チューブ径は外径6mm、
内径4mm、肉厚は1mm とした。回路の長さは50cmとし
た。
【0033】リークテストの方法は以下の通りである。
まずリークテストを行う前に機器の校正を行いゼロ点調
整を行った。また機器と回路との漏れがないことを確認
した。その後回路とモジュールを繋ぎ測定に入った。窒
素ガスの供給圧力は1.5kgf/cm2で20秒間加圧した。加圧
を停止した後15秒後に圧力降下値の測定を行った。
【0034】(水没リークテスト)モジュールに水を充
填し水槽内に浸漬、中空糸内側より1.5kgf/cm2の窒素ガ
スを供給し、気泡が検知された場合不良品とした。傷や
ピンホールなどの欠陥による不良品を正確に判断できる
テストである。
【0035】(実施例1)セルローストリアセテート1
8 重量%、N−メチル−2−ピロリドン57.75 重量%、
トリエチレングリコール24.75 重量%を170 ℃で溶解し
紡糸原液を得た。紡糸原液を環状スリット口金から空気
中に吐出し同時に内液として水を吐出して中空部を形成
( 中空部内径 200 μm)。吐出された紡糸原液を空気中
に30mm走行させ52℃の凝固浴(NMP:TEG:H2O=21:9:70 か
らなる凝固浴) に導いて凝固、水洗、糸本数11640 本と
なるようかせに巻き取った。
【0036】巻き取られた中空糸膜の束は長さ35cmに切
断した。その後脱気されたグリセリン水溶液(グリセリ
ン濃度53重量%)に浸漬後、浸漬した容器と共に減圧装
置内に入れゲージ圧-760mmHg(マノメータ測定の絶対圧
は3mmHg)の減圧下に30min置いた。その後装置を常圧
に復帰し、グリセリン水溶液を65℃まで昇温、2.5hr処
理を施した。中空糸膜の束を取り出し60℃で12時間乾燥
機にて乾燥させた。乾燥された中空糸膜は両端をウレタ
ン樹脂で固定しポリカーボネート製のケースに充填し、
充填率60体積%のモジュールとした。
【0037】モジュールは80℃×24時間のエージング処
理を施した後、温度27℃、相対湿度65%の室内で1日以
上放置しリークテストを行った。このようにして得られ
たモジュールを100 本作製しグリセリンを付着した乾燥
状態のリークテストを実施した。
【0038】その後100 本のモジュールを水没リークテ
ストにて良品の合否判定を行った。すなわち、モジュー
ルに水を充填し水槽内に浸漬、中空糸内側よりゲージ圧
1.5kgf/cm2の窒素ガスを供給し、気泡が検知された場合
不良品とした。表1に示すとおり乾燥状態におけるリー
クテストによって圧力降下値が200mmH2O以下の製品に関
して不良品はなく、200mmH2Oより大きいものは全て不良
品であり、製品の合否判定が可能である。
【0039】(比較例1)実施例1と同様に紡糸し、巻
き取られた中空糸膜の束を、脱気された濃度53重量%、
温度65℃のグリセリン水溶液中に2時間30分浸漬後、
中空糸膜の束を取出し、60℃で12時間乾燥機にて乾燥さ
せた。乾燥された中空糸膜は両端をウレタン樹脂で固定
しポリカーボネート製のケースに充填し、充填率60体積
%のモジュールとした。このようにして得られたモジュ
ールを100 本作製し、グリセリンを付着した乾燥状態の
リークテストを実施した。
【0040】その後100 本のモジュールを水没リークテ
ストにて良品の合否判定を行った。すなわち、モジュー
ルに水を充填し水槽内に浸漬、中空糸内側より1.5kgf/c
m2の窒素ガスを供給し、気泡が検知された場合不良品と
した。表1に示すとおり、グリセリンを付着した乾燥状
態におけるリークテストにおいて、水没リークテストで
判定した良品モジュール93本のうち21本が圧力降下値20
0mmH2O以上であった。また、7本のモジュールがグリセ
リンを付着した乾燥状態におけるリークテストにおいて
圧力降下値200mmH2O以上であったので、乾燥状態におけ
るリークテストで製品の良否判定した場合には、21本の
良品モジュールを無駄に不良品として廃棄しなければな
らないことが分かった。
【0041】すなわち、実施例1においては、水没リー
クテストで良品のモジュールで且つ乾燥状態におけるリ
ークテストで圧力降下値が200mmH2O以上のモジュールの
本数は0%だったのに対して、比較例1では水没リーク
テストで良品のモジュールで且つ乾燥状態におけるリー
クテストで圧力降下値が200mmH2O以上のモジュールの本
数は22%も存在した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、非対称構造
の中空糸膜のモジュールであっても、グリセリン類を付
着した乾燥状態のモジュールのリークテストによって製
品の良否判定が可能となる。従来の非対称構造の中空糸
膜モジュールの欠陥検出方法である液体を充填したリー
クテストに比べて、モジュールの重量が軽く運搬コスト
が低減でき、また寒冷地における中空糸膜の細孔中の液
体の凍結による膜やモジュールが破損や性能変化の問題
も解消できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA05 BB01 BB02 LL05 NN02 NN03 PP02 PP15 4D006 GA03 GA06 GA07 GA13 GA41 HA01 LA03 LA06 MA01 MA22 MA25 MA40 MC11 MC15X MC22 MC23 MC24 MC28 MC37 MC39 MC48 MC54 MC61 MC62 NA04 NA10 NA54 NA61 NA63 NA64 PA01 PA02 PB02 PB03 PB06 PB09 PB42 PB52 PC41 PC47 PC52 4L045 AA03 BA01 BA24 CB08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔にグリセリン類が封入された中空糸
    膜の製造方法において、グリセリン系水溶液に細孔を有
    する中空糸を浸漬した後、中空糸を浸漬したグリセリン
    系水溶液を減圧処理し、ついで水分を乾燥することを特
    徴とする中空糸膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を
    ゲージ圧-300mmHg以下で減圧処理することを特徴とする
    請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を
    減圧処理した後、常圧に戻し、ついで中空糸を浸漬した
    グリセリン系水溶液を加熱することを特徴とする請求項
    1、2記載の中空糸膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 中空糸を浸漬したグリセリン系水溶液を
    減圧処理した後、常圧に戻し、ついで中空糸を浸漬した
    グリセリン系水溶液を40℃以上に加熱することを特徴
    とする請求項1〜3記載の中空糸膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 中空糸膜が、緻密な層及びスポンジ構造
    あるいは直径0.5μm以上のボイドを含有した構造の層か
    らなる不均一な層状構造(非対称構造)をした中空糸膜
    である請求項1〜4記載の中空糸膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の製造方法で製造された中
    空糸膜の両端を樹脂で固定化した中空糸束が充填された
    中空糸膜モジュール。
  7. 【請求項7】 細孔にグリセリン類が封入された緻密な
    層及びスポンジ構造あるいは直径0.5μm以上のボイドを
    含有した構造の層からなる不均一な層状構造(非対称構
    造)をした中空糸膜の両端を樹脂で固定化した中空糸束
    が充填されたモジュールであって、グリセリン類が付着
    した乾燥状態において中空糸内部を供給圧力1.5kgf/cm2
    の窒素ガスで20秒間加圧し加圧を停止した後15秒後の圧
    力降下値が200mmH2O以上のモジュールの本数が水没リー
    クテストで気泡が検知されないモジュールの本数の5%
    以下であることを特徴とする中空糸膜モジュール製品。
JP2002138867A 2001-05-16 2002-05-14 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール Pending JP2003033633A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002138867A JP2003033633A (ja) 2001-05-16 2002-05-14 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001146584 2001-05-16
JP2001-146584 2001-05-16
JP2002138867A JP2003033633A (ja) 2001-05-16 2002-05-14 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003033633A true JP2003033633A (ja) 2003-02-04

Family

ID=26615191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002138867A Pending JP2003033633A (ja) 2001-05-16 2002-05-14 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003033633A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004290670A (ja) * 2003-03-12 2004-10-21 Toray Ind Inc 中空糸型液体処理装置およびその製造方法
JP2008073134A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Toyobo Co Ltd 血液浄化用中空糸膜およびその製造方法
JP2009125650A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Toyobo Co Ltd 多孔質中空糸膜およびその製造方法、および中空糸膜モジュール
JP2012005845A (ja) * 2011-07-27 2012-01-12 Toyobo Co Ltd 血液浄化用中空糸膜の製造方法
CN102633394A (zh) * 2012-04-09 2012-08-15 上海复科健康科技有限公司 一体化的混凝超滤-浸没膜组联合水净化系统
JP2012205980A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Kubota Corp 膜エレメントの浸漬方法、及び膜エレメントのろ過運転方法
EP2567748A1 (de) * 2011-09-07 2013-03-13 Krones AG Hygienischer Integritätstest bei Ultrafiltrationsanlagen
CN109663507A (zh) * 2018-12-21 2019-04-23 北京放射性核素实验室 基于富氮性能数据的膜组件中空纤维膜丝装填数确定方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004290670A (ja) * 2003-03-12 2004-10-21 Toray Ind Inc 中空糸型液体処理装置およびその製造方法
JP2008073134A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Toyobo Co Ltd 血液浄化用中空糸膜およびその製造方法
JP2009125650A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Toyobo Co Ltd 多孔質中空糸膜およびその製造方法、および中空糸膜モジュール
JP2012205980A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Kubota Corp 膜エレメントの浸漬方法、及び膜エレメントのろ過運転方法
JP2012005845A (ja) * 2011-07-27 2012-01-12 Toyobo Co Ltd 血液浄化用中空糸膜の製造方法
EP2567748A1 (de) * 2011-09-07 2013-03-13 Krones AG Hygienischer Integritätstest bei Ultrafiltrationsanlagen
CN102633394A (zh) * 2012-04-09 2012-08-15 上海复科健康科技有限公司 一体化的混凝超滤-浸没膜组联合水净化系统
CN109663507A (zh) * 2018-12-21 2019-04-23 北京放射性核素实验室 基于富氮性能数据的膜组件中空纤维膜丝装填数确定方法
CN109663507B (zh) * 2018-12-21 2021-02-12 北京放射性核素实验室 基于富氮性能数据的膜组件中空纤维膜丝装填数确定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7837042B2 (en) Polysulfone type selectively permeable hollow fiber membrane module and process for manufacturing the same
RU2389513C2 (ru) Устройство для очистки крови типа высоководопроницаемых мембран из полых волокон и способ его получения
EP1634610B2 (en) Polysulfone-based hollow-fiber membrane with selective permeability
JP3594032B1 (ja) 高透水性中空糸膜型血液浄化器
US10994248B2 (en) Hollow fiber membrane module and manufacturing method thereof
JP5720249B2 (ja) 中空糸膜およびその製造方法および血液浄化モジュール
CN107278169B (zh) 中空纤维膜的线上干燥
JP3580314B1 (ja) ポリスルホン系選択透過性中空糸膜束およびその製造方法
TW201302293A (zh) 血液處理用中空絲膜及中空絲膜型血液處理裝置
JP2003033633A (ja) 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュール
JP6202473B2 (ja) 多孔質膜用保存液
JP2012019891A (ja) 血液処理用の中空糸膜の製造方法
JP5176499B2 (ja) 多孔質中空糸膜およびその製造方法、および中空糸膜モジュール
US20210346849A1 (en) Porous hollow fiber membrane
JP6699750B2 (ja) セルロースアセテート系非対称中空糸膜
JP4843993B2 (ja) 血液浄化器
JP4381096B2 (ja) 血液浄化用中空糸膜およびその製造方法および血液浄化器
JP4257598B2 (ja) ポリスルホン系選択透過性中空糸膜
JP2011024708A (ja) モジュール組み立て性に優れた血液浄化用中空糸膜およびその製造方法
JP2012019890A (ja) 血液処理用中空糸膜、及び、中空糸膜型血液処理器
JP2005342139A (ja) ポリスルホン系選択透過性中空糸膜
JP2004167384A (ja) 中空糸膜のリークテスト法
JPH10174850A (ja) 中空繊維膜の処理方法
JP2010111965A (ja) 耐衝撃性に優れた血液浄化器
JP2005342415A (ja) 高透水性中空糸膜型血液浄化器