JP2003027395A - 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法 - Google Patents

香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003027395A
JP2003027395A JP2001215875A JP2001215875A JP2003027395A JP 2003027395 A JP2003027395 A JP 2003027395A JP 2001215875 A JP2001215875 A JP 2001215875A JP 2001215875 A JP2001215875 A JP 2001215875A JP 2003027395 A JP2003027395 A JP 2003027395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cigarette
water
coating
capsule
wrapping paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001215875A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Miyauchi
正人 宮内
Hideki Nagae
英樹 永江
Hiroshi Tanabe
浩志 田辺
Kaoru Inoue
馨 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc, Mishima Paper Manufacturing Co Ltd filed Critical Japan Tobacco Inc
Priority to JP2001215875A priority Critical patent/JP2003027395A/ja
Publication of JP2003027395A publication Critical patent/JP2003027395A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】香味成分封入カプセルをタバコ巻紙に均一に塗
工することができ、しかもその塗工がタバコ製品の燃焼
性に実質的に影響を及ぼさないようなタバコ巻紙の製造
方法を提供する。 【解決手段】香味成分を封入した水溶性カプセルと、エ
タノール、ベンジルアルコールおよびプロピレングリコ
ールからなる群の中から選ばれる少なくとも1種のカプ
セル分散媒とバインダーを含む塗工剤をタバコ巻紙にグ
ラビア塗工またはバー塗工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香味成分封入カプ
セルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】タバコ製品は、タバコ刻み、紙、フィル
ター、場合によりフィルターに充填する活性炭等様々な
素材で構成され、またタバコ製品には、多岐にわたる香
味成分が調合され、各タバコ製品の味や香りのイメージ
を創出している。近年、香味成分の有する臭気マスク効
果やタバコ増強効果により、タバコの味や香りを増強す
ることが注目されている。しかしながら、香味成分は、
そのほとんどが常温で揮発性であるため、タバコ製品
が、市場で流通している間に、香味成分の分布状態は、
タバコ製品に添加された香味成分と各素材の間の吸着平
衡に従って、添加直後から変化し始め、設計時のタバコ
製品の味・香りのイメージとは異なるものになり得る。
【0003】そこで、香味成分の低揮発化を図り、製造
および貯蔵条件下では安定で、非揮発性を示すが、喫煙
条件下では香味成分が放出されるように、香味成分を多
糖類を用いてカプセル化する技術が開発されている(例
えば、米国特許第3006347号等)。このようなカ
プセル化技術によれば、香味成分がカプセル材により物
理的に封入されるので、香味成分の揮発が抑制される
が、喫煙時にはカプセル材が熱分解され、香味成分が放
出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような香味成分封
入カプセルは、既述のように香味成分が低揮発化されて
いるため、これをタバコ巻紙に塗工する場合、タバコ巻
紙に均一に塗工しなければならないことがわかった。香
味成分は、タバコ製品の最終的な価値である味や香りの
イメージを決定するため、香味成分封入カプセルの塗工
の均一性はタバコ製品の味や香りに対して重要な要素と
なる。また、このような香味成分封入カプセルを塗工す
る場合、その塗工がタバコ製品の燃焼性に影響を及ぼさ
ないことが望ましい。
【0005】従って、本発明は、香味成分封入カプセル
をタバコ巻紙に均一に塗工することができ、しかもその
塗工がタバコ製品の燃焼性に実質的に影響を及ぼさない
ようなタバコ巻紙の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、香味成分を多糖類等の
水溶性カプセル材で封入した水溶性カプセルを特定のカ
プセル分散媒に分散させバインダーとともに巻紙に塗工
することにより所期の目的が達成し得ることを見いだ
し、本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明によれば、香味成分を封
入した水溶性カプセルと、エタノール、ベンジルアルコ
ールおよびプロピレングリコールからなる群の中から選
ばれる少なくとも1種のカプセル分散媒とバインダーを
含む塗工剤をタバコ巻紙にグラビア塗工またはバー塗工
することを特徴とする香味成分封入カプセルを担持した
タバコ巻紙の製造方法が提供される。
【0008】本発明において、バインダーは、ヒドロキ
シプロピルセルロース、エチルセルロースまたはそれら
の混合物からなることが好ましい。
【0009】また、本発明において、水溶性カプセル
は、アラビアゴム、デキストリンまたはそれらの混合物
により構成されていることが好ましい。
【0010】さらに、本発明において、水溶性カプセル
/バインダー比は、質量で、40/60〜20/80で
あることが好ましい。
【0011】本発明のタバコ巻紙の製造方法により製造
されたタバコ巻紙は、標準喫煙状態で、塗工剤塗工前の
巻紙を用いたシガレットに対して、1本当たりのパフ回
数が1回までしか増加しないシガレットを提供し得る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳しく説明す
る。
【0013】本発明において、香味成分を封入した水溶
性カプセルと、所定のカプセル分散媒とバインダーを含
む塗工剤をタバコ巻紙にグラビア塗工またはバー塗工す
る。
【0014】香味成分を封入した水溶性カプセルは、水
溶性のカプセル材、好ましくは糖類を天然精油や調合香
料等の香味成分とともに乳化させ、スプレードライに供
することによって得ることができる。このカプセル化技
術はそれ自体既知のものである。カプセル材として好ま
しい糖類の具体例を挙げると、アラビアゴム、デキスト
リンまたはそれらの混合物である。このようなスプレー
ドライにより得られるカプセルは、28.2〜52.5
μmの平均粒径を有することが好ましい。
【0015】本発明の塗工剤に使用するカプセル分散媒
は、エタノール、ベンジルアルコールおよびプロピレン
グリコールからなる群の中から選ばれる少なくとも1種
からなる。カプセル分散媒としてエタノール、ベンジル
アルコールおよび/またはプロピレングリコールを用い
ることにより、香味成分封入カプセルから分散媒への香
料の溶出量が最小限に抑制され、塗工に最適なものとな
ることがわかった。
【0016】バインダーは、塗工剤をタバコ巻紙に塗工
したときに、香味成分封入カプセルをタバコ巻紙に固着
担持させるものであって、分散媒に溶解し得るものであ
る。このようなバインダーとしては、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、エチルセルロースまたはそれらの混合物
を好適に用いることができる。
【0017】本発明の塗工剤において、水溶性カプセル
/バインダー比は、質量で、40/60〜20/80で
あることが好ましい。バインダーに対する水溶性カプセ
ルの質量比が、40/60を超えると、水溶性カプセル
の接着強度が劣る傾向にあり、他方バインダーに対する
水溶性カプセルの質量比が20/80未満であると分散
媒の量が多すぎ乾燥負荷が大きすぎる傾向になる。
【0018】さて、上記塗工剤をタバコ巻紙にグラビア
塗工またはバー塗工する。
【0019】グラビア塗工またはバー塗工はそれ自体既
知のものであるが、グラビア塗工に使用するグラビア版
の凹部(セル)の深さ(版深)は実質的に全てが同じで
ある。グラビア塗工ロール版面構造は、図1に示す斜線
型のものを好適に使用することができる。図1に示すグ
ラビア版10は、円柱系のグラビアロール本体11の表
面に斜め方向に平行に多数の凹部12が形成され、各凹
部12の間は凸面13を構成している。いうまでもな
く、グラビア版の凹部12の幅および深さは、使用する
水溶性カプセルの粒径よりも大きなものであることが必
要である。一例を挙げると、凹部12の幅は140〜3
20μmであり、深さは、90〜180μmである。
【0020】図2に、本発明に好適に使用し得るダイレ
クトグラビア方式の塗工装置の概略を示す。図2に示す
グラビア塗工装置20は、タバコ巻紙原反CPを巻回し
た巻き出しボビン21からなる巻き出し部を有し、その
下流側には、塗工剤貯槽23中の水溶性カプセルの塗工
液(塗工剤)24に一部浸漬された版ロール22と、版
ロール22に対して巻紙CPを押圧する押さえロール2
5からなる塗工部が設けられている。巻き出し部21よ
り繰り出された巻紙原反CPは、ロールR1を介して塗
工部の版ロール22と押さえロール25との間を通さ
れ、版ロール22から塗工剤24が転移して巻紙原反C
Pに塗工が行われる。塗工部の版ロール22には、塗工
剤貯槽23で版ロール22に過剰に付着した塗工剤を掻
き落とし塗工量を一定に保つドクター26が備えられて
いる。塗工剤が転移した巻紙CPは、ロールR2を介し
て乾燥ドラム27を備える加熱乾燥部で乾燥される。そ
の際、巻紙CPは、その塗工面がフェルト(図示せず)
等により乾燥ドラム周面に押し付けられて密着させて乾
燥される。乾燥ドラム27の周囲には、赤外線または遠
赤外線を用いた補助乾燥装置(図示せず)が設けられて
いてもよい。乾燥した水溶性カプセル塗工巻紙CPは、
ロールR3を介して巻取りボビン28に巻き取られる。
タバコ巻紙は、比較的紙力が低いため、版ロール22の
周速と乾燥ドラム27の回転速度が同調するようにして
巻紙に過剰な緊張を与えないようにすることが好まし
い。
【0021】本発明においては、グラビア塗工装置の代
わりにバー塗工装置を用いて香料封入カプセルをタバコ
巻紙に塗工することもできる。
【0022】本発明の方法により製造されたタバコ巻紙
は、標準喫煙状態で、塗工剤塗工前の巻紙を用いたシガ
レットに対して、1本当たりのパフ回数が1回までしか
増加しないシガレットを提供し得る。
【0023】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はそれらに限定されるものではない。
【0024】実施例1 エタノール、ベンジルアルコールおよびプロピレングリ
コール中への水溶性カプセルからの香料溶出量を測定し
た。それぞれの溶媒中へ濃度が10%(W/W)となる
ように香料を5成分以上含有した水溶性カプセルを添加
し、添加後の溶媒中への香料溶出量をGC−MSで分析
した。また、各溶媒へのバインダーHPC(ヒドロキシ
プロピルセルロース)およびEC(エチルセルロース)
の溶解性を確認した。水溶性カプセルからの香料溶出量
の経時変化の結果を表1に、各溶媒へのバインダーの溶
解性の結果を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表1より、各溶媒中への水溶性カプセルか
らの香料溶出量は経時的に増加するものも、3時間程度
であれば香料溶出量は少なく、これら溶媒が巻紙への水
溶性カプセル塗工に使用できることがわかった。また、
巻紙への水溶性カプセル塗工に用いるバインダーとして
HPCはエタノール、ベンジルアルコールおよびプロピ
レングリコールに、ECはエタノールおよびベンジルア
ルコールに使用できることがわかった。
【0028】さらに、エタノールとベンジルアルコール
によるバーコートを用いた試験を行い、塗工できること
を確認した。実験は、テストコーター(RK PRINT COAT
INSTRUMENT社製)を用い、バー塗工装置によりタバコ巻
紙へ香料を20成分以上含有した水溶性カプセルを塗工
することにより行った。塗工液として、35%の水溶性
カプセルとバインダーである6%のECを含むエタノー
ル溶液との混合液、または30%の水溶性カプセルとバ
インダーである6%のECを含むベンジルアルコール溶
液との混合液を調製した。次に、ウエット膜厚が50μ
mとなるようにタバコ巻紙上に塗工し、120℃で3分
間乾燥することにより水溶性カプセル塗工巻紙を作製し
た。巻紙中の香料含有量は、熱抽出法により測定した。
巻紙を300℃で1時間加熱し、抽出された香料を液体
窒素により捕集管にトラップする。その後、捕集された
香料をメタノールで抽出し、香料含有量をGC−MSで
分析した。得られた巻紙の香料含有量は、エタノールお
よびベンジルアルコールで、それぞれ、0.6および
0.5mg/m2 であった。
【0029】実施例2 実施例1で用いたテストコーターを用い、バー塗工装置
によりタバコ巻紙へ香料を20成分以上含有した水溶性
カプセルを塗工することにより行った。塗工液として、
12%の水溶性カプセルとバインダーとして6%のEC
を含むエタノール溶液との混合液、または12%の水溶
性カプセルとバインダーである8%のHPCを含むエタ
ノール溶液との混合液をウエット膜厚が50μmとなる
ようにタバコ巻紙上に塗工し、120℃で3分間乾燥す
ることにより水溶性カプセル塗工巻紙を作製した。得ら
れた塗工巻紙を27×59mmに細断した。シガレット
(マイルドセブンスーパーライト)のフィルター部分を
切除した後、その巻紙を取り除き、水溶性カプセル塗工
巻紙で再度巻き上げ、フィルターを取り付けて試料と
し、蔵置試験に供した。巻紙、刻みおよびフィルター中
の香料含有量は、熱抽出法により測定した。巻紙刻みお
よびフィルターを300℃で1時間加熱し、抽出された
香料を液体窒素により捕集管にトラップする。その後、
捕集された香料をメタノールで抽出し、香料含有量をG
C−MSで分析した。実施例1と同様の熱抽出法により
測定した。シガレット中での香料分配率の結果を表3に
示す。
【0030】
【表3】
【0031】表3より、バー塗工装置を用いて巻紙へ水
溶性カプセルを塗工した場合、フィルターへの香料の分
配は少なく、蔵置1ヶ月後でも約90%の香料が巻紙に
保持されていることがわかり、バー塗工が香料の担持方
法として有効であることが確認された。また、エタノー
ル中で使用するバインダーとしてECを用いた場合、H
PCを用いた場合でも、同様に約90%の香料が巻紙に
保持されており、バー塗工装置を用いて水溶性カプセル
を巻紙に塗工する際のバインダーとして、ECおよびH
PCが有効であることがわかった。
【0032】実施例3 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度6.5
〜12質量%、水溶性カプセル/HPC比=30/70
〜20/80、水溶性カプセル平均粒径28.2〜5
2.5μmの条件で、タバコ巻紙へ水溶性カプセルを塗
工した。その結果、担持量が最大で0.308g/m2
の水溶性カプセル塗工巻紙を得た。表4に塗工条件と担
持量を、表5に得られた巻紙の物性および巻紙への水溶
性カプセル接着性試験結果を示す。接着性試験は、古河
電工2号クリーニングテープを塗工面に接着し、これを
剥離したときの水溶性カプセルの脱落具合を目視で観察
した。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】表4および5より、巻紙への水溶性カプセ
ルの塗工方法としてグラビア塗工が有効であることがわ
かった。また、表5から、グラビア塗工により得られた
巻紙の白色度、不透明度には無塗工品と差が見られず、
水溶性カプセル塗工面をシガレット外側に用いても外観
上問題とならないことが確認された。さらに、水溶性カ
プセルの巻紙への接着性も良好であることがわかった。
【0036】実施例4 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度5〜8
質量%、水溶性カプセル/HPC比=30/70、水溶
性カプセル平均粒径28.2μmの条件で、タバコ巻紙
へ水溶性カプセルを塗工した。得られた巻紙について、
水溶性カプセルの担持量と塗工液中固形分濃度との関係
を調べた。結果を図3に示す。
【0037】図3に示す通り、固形分濃度と担持量は、
良好な直線関係を示し、グラビア塗工により水溶性カプ
セルを巻紙に塗工する場合、塗工液中の固形分濃度を変
えることにより巻紙への担持量を制御できることがわか
った。
【0038】実施例5 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度5〜1
2質量%、水溶性カプセル/HPC比=30/70、水
溶性カプセル平均粒径45.8μmの条件で、タバコ巻
紙へ水溶性カプセルを塗工した。得られた巻紙につい
て、水溶性カプセルの担持量と塗工液中固形分濃度との
関係を調べた。結果を図4に示す。
【0039】図4に示す通り、固形分濃度と担持量は、
良好な直線関係を示し、グラビア塗工により水溶性カプ
セルを巻紙に塗工する場合、塗工液中の固形分濃度を変
えることにより巻紙への担持量を制御できることがわか
った。
【0040】実施例6 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度5〜1
2質量%、水溶性カプセル/HPC比=30/70、水
溶性カプセル平均粒径52.5μmの条件で、タバコ巻
紙へ水溶性カプセルを塗工した。得られた巻紙につい
て、水溶性カプセルの担持量と塗工液中固形分濃度との
関係を調べた。結果を図5に示す。
【0041】図5に示す通り、固形分濃度と担持量は、
良好な直線関係を示し、グラビア塗工により水溶性カプ
セルを巻紙に塗工する場合、塗工液中の固形分濃度を変
えることにより巻紙への担持量を制御できることがわか
った。
【0042】実施例7 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度6.5
質量%、水溶性カプセル/HPC比=20/80、水溶
性カプセル平均粒径28.2μmの条件で、タバコ巻紙
へ水溶性カプセルを塗工した。巻紙は幅27mmで、巻
き出しボビンから順次巻き出して500m長の塗工を行
った。こうして、巻紙への担持量が平均値±標準偏差=
0.113±0.011g/m2のカプセル塗工巻紙を
得た。この巻紙について、長さ方向の担持量のバラツキ
を調べた。結果を図6に示す。
【0043】図6に示す通り、グラビア塗工により水溶
性カプセルを巻紙に塗工する場合、その長さ方向で担持
量のばらつきは小さく、カプセルの均一な塗工にグラビ
ア塗工が有効であることが確認された。
【0044】実施例8 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用い、
グラビア版90線/インチ、塗工液中固形分濃度7.0
〜12質量%、水溶性カプセル/HPC比=30/7
0、水溶性カプセル平均粒径28.2〜52.5μmの
条件で、タバコ巻紙へ水溶性カプセルを塗工した。塗工
条件を下記表6に示す。
【0045】得られた巻紙を用いて、巻き上げ機により
シガレットを試作した。マイルドセブンスーパーライト
用刻みを用い、回転数4,000cpmで巻上げを行っ
たが、巻き上げ上の問題点はなかった。表7に、得られ
たシガレットの標準喫煙状態での主流煙中ニコチン量と
パフ回数を示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】表7に示す通り、本水溶性カプセル塗工巻
紙を用いて作製したシガレットのパフ回数は、無塗工品
のパフ回数と比較してほとんど差がなく、1回未満の増
加に過ぎないことがわかり、グラビア塗工による水溶性
カプセルの塗工は、シガレットの燃焼性に悪影響を与え
ないことが確認された。
【0049】実施例9 実施例8で作製したシガレットについて、蔵置試験を行
い、巻紙中の香料含有量を経時的に測定した。シガレッ
トは、温度22℃、相対湿度60%の条件で蔵置した。
巻紙中の香料含有量は、熱抽出法により測定した。すな
わち、巻紙を300℃で1時間加熱し、抽出された香料
を液体窒素により捕集管にトラップした。その後、捕集
された香料をメタノールで抽出し、香料量をGC−MS
で分析した。下記表8に結果を示す。
【0050】
【表8】
【0051】表8に示す通り、得られたシガレットにお
いてその巻紙中の香料含有量は、2ヶ月間の蔵置後でも
約25μg/本であり、香料は長期にわたって安定に保
持されていることがわかった。
【0052】実施例10 図2に示すダイレクトグラビア方式の塗工装置を用いて
種々の条件で水溶性カプセルを巻紙に塗工した。巻紙は
幅27mmで、巻き出しボビンから順次巻き出して10
00m長の塗工を行った。これら巻紙について、接着性
(実施例3の方法に準じる)および水溶性カプセル担持
量を調べた。結果をそれぞれ表9および表10に示す。
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】実施例11 シガレットへの香料添加方法の違いによる副流煙臭気改
善効果を検討した。香料としてオレンジ精油を用い、香
料を刻みに直接添加する方法、シーム糊中に添加する方
法およびグラビア塗工により巻紙に塗工する方法により
香料を添加し、シガレットを作製した。副流煙臭気改善
効果の検討は、官能評価試験により行った。すなわち、
同じ広さの2つの部屋を用い、シガレットを所定量燃焼
させた部屋の臭いを、被験者60人に嗅ぎ比べさせた。
対照の部屋では香料を添加しないシガレットを燃焼させ
た。評価は副流煙を満たした部屋の臭いの強さ、臭いの
良さ、およびタバコの臭いの強さの3項目について、ど
ちらが強い(良い)かを選択する二者択一法により行っ
た。60人中50人以上の人が臭気改善されたと判断す
るために要した香料量を添加方法別に測定した。結果を
表11に示す。
【0056】
【表11】
【0057】表11に示すように、巻紙塗工による場
合、副流煙臭気改善に必要な香料の量は、刻み添加の場
合の約1/4、シーム糊添加の場合の約3/4で十分な
効果があることが確認された。これらのことから、巻紙
に水溶性カプセルを塗工することにより、副流煙臭気改
善に必要な香料量は他の方法に比べて少量でよく、喫味
に与える影響も最も少ないことがわかった。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、香
味成分封入カプセルをタバコ巻紙に均一に塗工すること
ができ、しかもその塗工がタバコ製品の燃焼性に実質的
に影響を及ぼさないようなタバコ巻紙が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用し得るグラビア塗工ロール版面構
造を説明するための図。
【図2】本発明に好適に使用し得るダイレクトグラビア
方式の塗工装置の概略図。
【図3】実施例4における水溶性カプセルの担持量と塗
工液中固形分濃度との関係を示すグラフ。
【図4】実施例5における水溶性カプセルの担持量と塗
工液中固形分濃度との関係を示すグラフ。
【図5】実施例6における水溶性カプセルの担持量と塗
工液中固形分濃度との関係を示すグラフ。
【図6】実施例7における巻紙の長さ方向の水溶性カプ
セルの担持量を示すグラフ。
【符号の説明】
11…グラビアロール本体 12…グラビアロール凹部 13…グラビアロール凸部 21…巻き出しボビン 22…版ロール 23…塗工剤貯槽 24…水溶性カプセルの塗工液(塗工剤) 25…押さえロール 26…ドクター 27…乾燥ドラム 28…巻取りボビン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永江 英樹 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6−2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者 田辺 浩志 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6−2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者 井上 馨 静岡県富士市江尾90番地2 三島製紙株式 会社開発研究所内 Fターム(参考) 4B044 CB25X CG01Y CM11 4L055 AG34 AG46 AG48 AG52 AH37 AH50 AJ04 AJ08 BE08 FA30 GA28 GA50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 香味成分を封入した水溶性カプセルと、
    エタノール、ベンジルアルコールおよびプロピレングリ
    コールからなる群の中から選ばれる少なくとも1種のカ
    プセル分散媒とバインダーを含む塗工剤をタバコ巻紙に
    グラビア塗工またはバー塗工することを特徴とする香味
    成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 バインダーが、ヒドロキシプロピルセル
    ロース、エチルセルロースまたはそれらの混合物からな
    る請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 水溶性カプセルが、アラビアゴム、デキ
    ストリンまたはそれらの混合物により構成されている請
    求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 水溶性カプセル/バインダー比が、質量
    で、40/60〜20/80である請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の製造方法により製造されたタバコ巻紙であって、標準
    喫煙状態で、該塗工剤塗工前の巻紙を用いたシガレット
    に対して、1本当たりのパフ回数が1回までしか増加し
    ないシガレットを提供するタバコ巻紙。
JP2001215875A 2001-07-16 2001-07-16 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法 Pending JP2003027395A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001215875A JP2003027395A (ja) 2001-07-16 2001-07-16 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001215875A JP2003027395A (ja) 2001-07-16 2001-07-16 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003027395A true JP2003027395A (ja) 2003-01-29

Family

ID=19050427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001215875A Pending JP2003027395A (ja) 2001-07-16 2001-07-16 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003027395A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054403A1 (ja) * 2004-11-19 2006-05-26 Japan Tobacco Inc. シガレット製造装置
WO2006092881A1 (ja) * 2005-03-02 2006-09-08 Japan Tobacco Inc. シガレット製造装置
WO2009154524A1 (en) * 2008-06-17 2009-12-23 Mahmood Valadi Cigarette tipping paper
CN103174064A (zh) * 2013-03-14 2013-06-26 牡丹江恒丰纸业股份有限公司 一种具有降co保润功能的阻燃卷烟纸的制备方法
US8936029B2 (en) 2008-01-24 2015-01-20 Kevin Blick Pack for tobacco industry products
CN109998156A (zh) * 2019-04-19 2019-07-12 云南中烟工业有限责任公司 一种纸基凝胶线和包含该纸基凝胶线的卷烟
CN113749289A (zh) * 2021-09-20 2021-12-07 河南中烟工业有限责任公司 一种卷烟、加热不燃烧卷烟的降温单元及其制备方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7677252B2 (en) 2004-11-19 2010-03-16 Japan Tobacco Inc. Cigarette manufacturing apparatus with an in-line flavoring device
JP4530369B2 (ja) * 2004-11-19 2010-08-25 日本たばこ産業株式会社 シガレット製造装置
JPWO2006054403A1 (ja) * 2004-11-19 2008-05-29 日本たばこ産業株式会社 シガレット製造装置
WO2006054403A1 (ja) * 2004-11-19 2006-05-26 Japan Tobacco Inc. シガレット製造装置
US7690383B2 (en) 2005-03-02 2010-04-06 Japan Tobacco Inc. Flavoring-material application device
JPWO2006092881A1 (ja) * 2005-03-02 2008-08-07 日本たばこ産業株式会社 シガレット製造装置
WO2006092881A1 (ja) * 2005-03-02 2006-09-08 Japan Tobacco Inc. シガレット製造装置
JP4588067B2 (ja) * 2005-03-02 2010-11-24 日本たばこ産業株式会社 シガレット製造装置
US8936029B2 (en) 2008-01-24 2015-01-20 Kevin Blick Pack for tobacco industry products
WO2009154524A1 (en) * 2008-06-17 2009-12-23 Mahmood Valadi Cigarette tipping paper
CN103174064A (zh) * 2013-03-14 2013-06-26 牡丹江恒丰纸业股份有限公司 一种具有降co保润功能的阻燃卷烟纸的制备方法
CN109998156A (zh) * 2019-04-19 2019-07-12 云南中烟工业有限责任公司 一种纸基凝胶线和包含该纸基凝胶线的卷烟
CN113749289A (zh) * 2021-09-20 2021-12-07 河南中烟工业有限责任公司 一种卷烟、加热不燃烧卷烟的降温单元及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0482587B1 (en) Flavor release material and method of manufacturing same
US4715390A (en) Matrix entrapment of flavorings for smoking articles
EP3041374B1 (en) Coated plug wrap for a smoking article
RU2358622C2 (ru) Способ ароматизации сигарет с использованием ароматизированной обертки фильтрующего тампона
US7600518B2 (en) Smoking articles and wrapping materials therefor
JP5449198B2 (ja) シガレット用フィルタ
WO2016184978A1 (en) Aerosol generating material and devices including the same
JP3184864B2 (ja) たばこ副流煙臭気を改善する香料を担持するたばこ巻紙、およびシガレット
US20070084475A1 (en) Smoking articles and wrapping materials therefor
US20080115794A1 (en) Smoking articles and wrapping materials therefor
JP6888004B2 (ja) 喫煙物品用の濾過媒体のプラズマ処理
US20220307200A1 (en) Tipping paper to which technology for reducing tobacco smell on fingers is applied and smoking article including the same, and method of producing the tipping paper
JP2022136146A (ja) 非燃焼加熱式たばこ及び電気加熱式たばこ製品
JP2003027395A (ja) 香味成分封入カプセルを担持したタバコ巻紙およびその製造方法
JPS5917974A (ja) 喫煙物品及び喫煙物品用フイルタ−
JP2005522208A (ja) フィルターシガレットのためのフィルターユニット及びフィルターシガレット
US20220240564A1 (en) Stable wrapper for aerosol generating article
RU2781595C1 (ru) Композиция покрытия для сигаретной бумаги с низкой способностью к воспламенению, курительное изделие с использованием этой композиции и способ изготовления сигаретной бумаги с низкой способностью к воспламенению
RU2789222C1 (ru) Нагреваемое без горения табачное изделие и табачное изделие с электрическим нагревом
WO2023163112A1 (ja) 香味吸引物品用シート
RU2787749C1 (ru) Нагреваемое без горения табачное изделие и система генерирования аэрозоля
EP4226778A1 (en) Cigar wrapper and heating-type smoking product including same
RU2774107C1 (ru) Табачное изделие с нагреванием без горения и электрически нагреваемое табачное изделие
RU2774111C2 (ru) Сигаретная бумага для нагреваемого курительного изделия негорящего типа, нагреваемое курительное изделие негорящего типа и курительная система электронагревательного типа
WO2012023178A1 (ja) シガレットフィルターおよびその製造方法