JP2003024429A - 生体適合性被覆材料 - Google Patents

生体適合性被覆材料

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JP2003024429A
JP2003024429A JP2001217581A JP2001217581A JP2003024429A JP 2003024429 A JP2003024429 A JP 2003024429A JP 2001217581 A JP2001217581 A JP 2001217581A JP 2001217581 A JP2001217581 A JP 2001217581A JP 2003024429 A JP2003024429 A JP 2003024429A
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Yasuhiko Tabata
泰彦 田畑
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Kansai Technology Licensing Organization Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生物活性材料の生体適合性を、生物活性材料の
機能を損なうことなく高める。 【解決手段】生体内に導入される生物活性材料表面を生
体適合性高分子により被覆してなる生体適合性被覆材料
であって、生物活性材料と生体適合性高分子がホウ素化
合物または金属イオンを介して結合される生体適合性被
覆材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体適合性被覆材
料に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】細胞を生体内に移植する場
合、従来、移植細胞への免疫拒絶反応を抑える目的で細
胞をポリビニルアルコール、アガロース、アルギン酸な
どで代表されるハイドロゲルで被覆する方法が採用され
ていた。
【0003】しかしながら、ハイドロゲルで被覆されて
いるため、移植細胞への栄養、酸素の供給が悪く、移植
細胞の働きが不十分あるいは死滅するなどの不具合があ
った。この原因の1つとしてハイドロゲルと血管との適
合性が低いため、血管からの細胞への栄養、酸素の供給
効率が低いことが考えられていた。
【0004】また、ドラッグデリバリーシステム(DD
S)用の薬物含有微粒子の様な水分散性微粒子を生体に
投与することがあるが、このような微粒子は生体内で不
必要な炎症や免疫反応を惹起するおそれがあった。
【0005】さらに、交通事故や病気、手術などにより
生体組織、臓器の一部が欠損した場合、組織が再生され
るまで欠損部位を生体分解吸収性高分子材料からなる不
織布等で埋めることが行われるが、このような高分子材
料の生体適合性が低い場合には、欠損組織の再生が円滑
に行われない場合があった。
【0006】生体内に導入される生物活性材料の生体適
合性ないし生体親和性を高めるためには、生体適合性材
料を、例えば化学結合剤あるいは化学架橋剤を用いて生
物活性材料に結合すればよい。しかしながら、生物活性
材料が移植細胞を含んでいるような場合、このような化
学反応により移植細胞自身が傷害されたり、栄養物質の
移植細胞への透過性が変わることにより、細胞の死滅あ
るいはその機能を低下することになる。同様にDDSを
目的とする薬物含有微粒子では薬物の徐放性を低下させ
るだけでなく、化学反応のできない場合もあった。ま
た、微粒子の場合によく問題となる操作に伴う微粒子の
凝集がある。特に、粒子サイズがマイクロ及びナノオー
ダーの場合には、コーティングすることにより粒子の分
散状態が変化してしまうことがしばしば起こる。例え
ば、コーティング物質の内に複数の粒子が取り込まれ、
コーティング後の粒子サイズが大きくなってしまう。粒
子サイズがその作用発現にkeyとなる場合には、これ
は問題となる。充填材の場合には、化学反応は生体活性
材料の性質を変化させ、時にはその力学特性を変化させ
欠損部への組織あるいは血管等の侵入を低下させる欠点
があった。
【0007】本発明は、生体内に導入される移植細胞、
免疫拒絶抑制のためにハイドロゲルなどでカプセル化さ
れた移植細胞、薬物含有微粒子、生体組織の欠損部の充
填材、細胞(幹細胞を含む)などの培養基材のような生
物活性材料の生体適合性を、生物活性材料の機能を損な
うことなく高めることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に鑑み検討を重ねた結果、生物活性材料の表面を金属イ
オンを用いた配位結合、或いはホウ素化合物を用いた結
合により生体適合性高分子で被覆することにより、生物
活性材料の機能を十分に保持したままで、生体適合性を
高められることを見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明は、以下の項1〜項10の被覆材料
を提供するものである。 項1. 生体内に導入される生物活性材料表面を生体適
合性高分子により被覆してなる生体適合性被覆材料であ
って、生物活性材料と生体適合性高分子がホウ素化合物
または金属イオンを介して結合される生体適合性被覆材
料。 項2. 生物活性材料が、移植細胞のハイドロゲルカプ
セルである項1に記載の被覆材料。 項3. 生体適合性高分子がコラーゲンである項2に記
載の被覆材料。 項4. 生物活性材料が、水分散性微粒子である項1に
記載の被覆材料。 項5. 水分散性微粒子が薬物含有微粒子である項4に
記載の被覆材料。 項6. 生体適合性高分子がハイドロゲルである請求項
5に記載の生体適合性被覆材料。 項7. 生物活性材料が、生体組織・臓器の欠損部の充
填材である項1に記載の被覆材料。 項8. 生物活性材料が、細胞の培養基材である項7に
記載の被覆材料。 項9. 欠損部の充填材が生体分解吸収性高分子である
項7に記載の被覆材料。 項10. 生体適合性高分子がコラーゲンである項9に
記載の被覆材料。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、生体内に導入さ
れる生物活性材料としては、生体内で生物活性を有する
限り特に限定されないが、例えば、移植細胞、ハイドロ
ゲルでカプセル化された移植細胞、水分散性のナノおよ
びマイクロメータサイズの微粒子(パーティクル、カプ
セル、高分子ミセルなどが含まれる。)(例えばDDSな
どに用いられる徐放性の薬物含有微粒子、超音波或いは
MRI診断のための中空或いは金属含有微粒子、ワクチ
ン応用のためのタンパク質あるいはDNA抗原などを含
有した微粒子など)、欠損生体組織に充填し細胞の増殖
・分化のための足場材料、幹細胞などの細胞培養基材な
どが挙げられる。
【0011】生体適合性高分子としては、生物活性材料
の生体適合性を調節可能な材料であれば特に限定されな
いが、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、アルブミ
ン、ビトロネクチン、インターロイキン、細胞増殖因
子、細胞接着因子、インテグリンファミリー、ゼラチン
などのタンパク質及びその誘導体、あるいは、ヘパリ
ン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫
酸、デキストラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸な
どのグリコサミノグリカン、キチン、キトサンなどの多
糖類、ムコ多糖類および細胞増殖、接着活性をもつアミ
ノ酸配列を含んだタンパク質、合成高分子、多糖が挙げ
られ、これらの材料の動物種あるいはタイプ、サブタイ
プ、その抽出、精製法の違いについては、特にこだわら
ない。好ましくはコラーゲンが例示される。
【0012】ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等
が挙げられ、金属イオンとしては、Cu+,Cu2+,F
2+,Fe3+,Ni2+,Co2+,Co3+,Cr3+,Zn
2+,Gd3+などが挙げられ、好ましくはCu2+,N
2+,Zn2+などが挙げられる。これらの金属イオン
は、金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫酸
塩、硝酸塩、酢酸塩などの可溶性塩を使用することがで
きる。生体適合性高分子と生物活性材料は、いずれも水
酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、シアノ
基、チオール基、カルボニル基などの金属イオンと配位
結合可能な官能基を有しており、これらの官能基におい
て配位結合(金属イオン)またはそれに類似した結合
(ホウ素)により結合される。
【0013】移植細胞をカプセル化するためのハイドロ
ゲルを構成する高分子物質としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ハイドロキシプロピルメチルセルロース
(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CM
C-Na)、ハイドロキシエチルセルロース(HEC)などの
セルロース誘導体、アルギン酸、ヒアルロン酸、アガロ
ース、デンプン、デキストラン、プルランなどの多糖及
びその誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メ
タ)アクリル酸等のホモポリマー、或いはこれらと多糖
などとの共重合体、混合物及び他のモノマーの共重合
体、アルギン酸などのポリアニオンとポリ−L−リジン
などのポリカチオンとのポリイオンコンプレックス膜が
挙げられる。
【0014】移植細胞としては、インシュリン産生細
胞、B細胞あるいはハイブリドーマ等の抗体産生細胞、
ホルモン産生細胞、肥満細胞、化学伝達物質産生細胞
(免疫系細胞)、遺伝子を導入することにより有用タン
パク質、多糖、ホルモン、脂質あるいはそれらの混合物
を産生する細胞あるいは幹細胞(ES細胞、EG細胞、
および成体(組織)幹細胞など)、細胞凝集物、組織、
肝、神経、甲状腺、胸腺、副腎髄質、副腎皮質、腎臓あ
るいは消化管のホルモンなどの生体内の生理活性液性因
子を産生する細胞及びその凝集物、組織などが挙げられ
る。 ・水分散性微粒子 水分散性微粒子としては、表面に水酸基、アミノ基、ア
ミド基、カルボキシル基、シアノ基、チオール基、カル
ボニル基などの金属イオンと配位結合可能な官能基を有
しているか、或いは、これらの官能基を有する界面活性
剤及び有機化合物で覆われているナノおよびマイクロメ
ータサイズの微粒子(パーティクル)、カプセル、高分
子ミセルなどを意味し、具体的には、薬物(低分子薬物
およびタンパク質、脂質、遺伝子など)含有微粒子、超
音波或いはMRI診断のための中空或いは金属含有微粒
子、ワクチン応用のためのタンパク質及びDNA抗原な
どを含有した微粒子などが挙げられる。
【0015】本発明において、薬物含有微粒子には、薬
物を標的臓器や細胞に運ぶためのキャリヤーに担持した
微粒子が含まれ、その大きさ、形態及び機能などからマ
イクロカプセル、マイクロパーティクル及びナノパーテ
ィクル、高分子ミセルが具体的に例示される。また、キ
ャリヤーの材料としては、脂質、高分子、セラミックス
などが用いられる。
【0016】金属及びそれらの混合物、複合物、薬物を
マイクロあるいはナノパーティクル化し、経口投与剤形
として利用する場合、主な目的としては難吸収性薬物の
吸収改善、インシュリンなどのペプチド性医薬品の経口
投与化、経口ワクチン、消化器疾患治療または薬物の放
出制御などが挙げられる。
【0017】また、マイクロカプセルおよびマイクロパ
ーティクルと同様、薬物の消化管内での安定性確保また
は刺激性の強い薬物の消化管への刺激性の低減などの目
的で利用される場合もある。そのサイズは、通常、粒子
径1〜50μm程度のものを言う。
【0018】ナノパーティクルとは、天然あるいは合成
高分子をその構成成分とし、粒子径がナノメーターサイ
ズのものを意味する。
【0019】ナノパーティクル及びナノカプセルは、抗
癌剤などのターゲティング用キャリヤーとして研究され
はじめ、主に注射剤が対象とされていたが、経口投与剤
形として利用することもできる。この場合の使用材料に
は下記の生体分解吸収性高分子、生体非分解吸収性高分
子の全てが含まれる。
【0020】生体分解吸収性高分子としては、ポリ乳
酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリリン
ゴ酸、ポリジオキサノン、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸
などの重合体或いはこれらの共重合体などの合成高分子
及びケラチン、エラスチン、フィブロイン、コラーゲ
ン、ゼラチンなどのタンパク質、ヒアルロン酸、アガロ
ース、アルギン酸、デンプンなどの多糖などの天然高分
子及び前述の合成高分子との共重合体あるいは混合物な
どが例示される。生体非分解吸収性高分子としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、テフロン、シリコー
ン、ポリウレタン、ポリ尿素あるいはそれらの共重合
体、あるいは混合物等の合成高分子およびデキストラ
ン、プルランなどの天然高分子およびそれらの合成高分
子との共重合体あるいは混合物などが例示される。
【0021】好ましい使用材料としては、ポリ乳酸、セ
ルロース誘導体またはポリアクリル酸エステル誘導体が
例示される。
【0022】他の調製方法として、乳化重合法を用いて
ナノパーティクルを調製する方法が例示される。この場
合、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テルなどの疎水性のビニル化合物がナノパーティクルの
材料となりうる。 ・充填材 充填材としては、生体分解吸収性或いは生体非分解吸収
性の高分子からなる多孔体、不織布、編物、織物
(布)、パンチングシート、綿状成形体などが挙げられ
る。これらの材料は、組織、臓器の欠損部への充填のた
めだけではなく、細胞の培養基材としても利用できる。
これらの基材とともに細胞を培養した後、それを生体内
の欠損部へ埋入する方法なども考えられる。
【0023】生体分解吸収性高分子および生体非分解吸
収性高分子としては、前述のものが使用できる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、生体内に導入される生
物活性材料の生体親和性ないし生体適合性を、該材料の
機能を十分に保持した状態で高めることができる。例え
ば移植細胞の場合では、ハイドロゲルへの栄養物質ある
いは酸素などの透過性が、ホウ素、金属イオン等による
結合の前後でほとんど変化しないため、移植細胞に悪影
響を及ぼさない。加えて、ハイドロゲルへの組織、血管
などに対する親和性、適合性を付与させることが可能と
なる。これにより、移植細胞への栄養、酸素の供給効率
を最大とすることができる。
【0025】同様に、水分散性微粒子においては、薬物
徐放化を目的とした場合には薬物徐放パターン、診断を
目的とした場合には診断効率、ワクチンを目的とした場
合にはそのワクチン効果を抑制あるいは変化させない。
【0026】あるいは、本技術を用いて表面を改変する
ことによって微粒子が積極的に特定組織、臓器に分布し
たり、特定組織により取り込まれるようになる。
【0027】さらに、充填材では、細胞、組織、血管等
に対する親和性が高まるため、充填材中に血管等の組織
が入り込み、欠損組織の再生を迅速且つ良好な状態で行
うことができる。あるいは、細胞との接着性が高まり、
細胞の増殖分化能が促進され、組織化が進むことにな
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づきよ
り詳細に説明する。 実施例1(方法1:In vitro) In vitroでの実験のためのサンプル作り:細胞培養用9
6穴ウェル内に3%濃度のポリビニルアルコール(PV
A;重合度=8800。ケン化度=99%)を入れ、−
20℃下に24時間、更に4℃下で24時間放置し、厚
さ3mm、直径15mmのPVAハイドロゲルを作製した。ハイド
ロゲルの含水率は96.7%であった。得られたPVAハイドロ
ゲルを0.5%,1%または5%濃度のホウ砂、0.0
1%Zn2+,0.01%Cu2+,0.01%Ca2+水溶
液及びリン酸緩衝溶液(PBS、pH7.4)の7種類の各溶液
中に10秒間浸けた後、さらに0.3%のコラーゲン
(新田ゼラチン、type I-P)水溶液中に1時間氷冷下で
浸漬した。この一連の操作でハイドロゲルに固定された
コラーゲンをバイオ・ラッド プロテインアッセイ法に
より定量した。次に、PBS中に2週間保存後のコラーゲ
ンコーティング処理ハイドロゲルサンプルに対して、同
様のタンパク質定量を行って、固定化コラーゲンの安定
性を評価した。
【0029】また、これらのコーティング処理ハイドロ
ゲル膜に対する物質透過性試験を常法の物質透過用セル
を用いて行った。物質としては、グルコースと牛血清ア
ルブミン(BSA)とを用いた。
【0030】結果:コラーゲンコーティング直後、5%
ホウ砂処理した群は、他の群より多いコラーゲン固定化
量を検出した。また、その固定化量は2週間、PBS中
での保存によってもほとんど変化せず、安定にコラーゲ
ンが固定化されていることがわかる(図1)。
【0031】図2には、グルコース、BSAの物質透過
性のin vitro結果を示す。PVAチューブを5%ホウ砂水
溶液浸漬処理後にコラーゲンコーティングしても、PVA
をPBSで処理後にコラーゲンと処理したコラーゲン非
コーティングPVAチューブと比較してデバイスの物質透
過性にはほとんど変化がなく、いずれもバイオ人工膵用
選択透過膜として有用であることがわかる。 実施例2 (a) バイオ人工膵埋入のための血管誘導バッグの作製:
凍結乾燥したゼラチンハイドロゲル微粒子(新田ゼラチ
ンから供与された等電点5.0のゼラチンをグルタルア
ルデヒド架橋によって作製された、含水率95%、平均
粒子径100μmの微粒子)2mgに50μgの塩基性
線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む水溶液(20μl)を滴
下、膨潤させて作製したbFGF含浸ゼラチン微粒子と血管
組織増殖のための足場としてのコラーゲンスポンジをポ
リエチレンテレフタレート(PET)メッシュで作製したバ
ッグ中に封入して血管誘導バッグを作製した。 (b) バイオ人工膵の作製方法 バイオ人工膵として、コントロールのPVAチューブ
(長さ25mm×直径9mm、壁厚さ1.5mm)及び実施例1に記
載の方法でコラーゲン処理したPVAチューブ内に25
00〜3000個の膵島(8〜10週齢のwister系雄性
ラットから分離したもの)をコラーゲン(I型、III型
及びIV型)ゲルと混合して封入し、各々コントロールの
バイオ人工膵、及びコラーゲン処理バイオ人工膵を作製
した。
【0032】コラーゲン処理したPVAチューブは、P
VAチューブを5%ホウ砂に10秒間浸漬し、次に3%
コラーゲンtype I-P内に1時間氷冷下で浸漬してコーテ
ィングを行うことにより得た。また、5%ホウ砂に代え
て0.01%Zn,0.01%Cu,0.01%Caを
用いる他は同様にして、PVAチューブをコラーゲンで
コーティングし、バイオ人工膵の製造に供した。
【0033】コントロールのPVAチューブは、PVA
チューブをPBSに10秒間浸漬し、次に3%コラーゲ
ンtype I-P内に1時間氷冷下で浸漬して得たものを用い
た。 (c)血管誘導法 上記(a)で得られた血管誘導バッグをバイオ人工膵移植
の2週間前に正常ラット(wister 系雄性ラット、8〜
10週齢)及び糖尿病ラット(STZ静注により作製したw
ister 系雄性ラット、8〜10週齢)の背部皮下に埋入
した。 (d) バイオ人工膵の移植 正常ラット及び糖尿病ラットの背部皮下に埋入された血
管誘導バッグ内には、埋入2週間後に移植に十分な血管
が誘導されている。その部位にバイオ人工膵(コントロ
ール、または、コラーゲンコーティング処理)を移植し
た。2週間後にバイオ人工膵近傍の観察を行った。チュ
ーブ周囲の血管新生の肉眼観察、実体顕微鏡観察および
組織学(H.E.染色)評価を行った。さらに、チューブ内
の膵島の生着と機能評価を正常ラット及び糖尿病ラット
(移植後1週、2週、8週間及び長期生着群)について
行った。
【0034】結果:コントロールのPVAチューブを用い
たバイオ人工膵を移植した場合にはデバイス周囲に細胞
付着はほとんど観察されないが(図3)、5%ホウ砂
(図4)、0.01%Zn2+(図5)、0.01%Cu
2+(図6)または0.01%Ca2+(図7)を用いてコ
ラーゲンコーティングしたPVAチューブを用いたバイオ
人工膵は、バイオ人工膵のハイドロゲル表面に生体組織
が付着しているだけでなく、ハイドロゲル近傍での血管
新生が確認できた。これらの結果は、ホウ素、及び各種
金属は、in vivoにおける毒性を示すことなく、コラー
ゲンを付着でき、それによってハイドロゲルの生体親和
性を向上させたことがわかる。これらの結果は、正常お
よび糖尿病のいずれの動物においても認められた。
【0035】さらに、チューブ内の膵島は、正常ラット
及び糖尿病ラットともに、コラーゲン処理したPVAチュ
ーブを用いたバイオ人工膵では移植後1週〜8週までほ
ぼ完全に生着しており、膵島内に栄養物質、酸素が十分
に供給されていることが確認された。一方、コントロー
ルのPVAチューブを用いたバイオ人工膵では移植後1週
時点での生着率が低く、移植8週後では膵島はほぼ消滅
していた。また、糖尿病ラットでは、コラーゲン処理し
たPVAチューブを用いたバイオ人工膵の移植により尿中
の糖濃度が低下し、膵島が十分に機能していることが確
認された。
【0036】これらの結果は、コラーゲン処理すること
で、本来、組織が付着することはないハイドロゲル表面
に生体親和性を付与し、生体組織のハイドロゲル表面へ
のきっちりとした付着と血管系のハイドロゲル近傍への
接近を高めることが実現された。これにより、ハイドロ
ゲル内に存在する移植膵島への栄養、酸素の供給が改善
され、膵島の生存、その機能維持が延長した。 実施例3 常法の液中乾燥法によって乳酸グリコール酸共重合体
(PLGA)微粒子(平均粒径5μm)を作製した。そ
れらの微粒子を乾燥させて保存した。乾燥微粒子に2回
蒸留水(DDW,5ml)を加え、ミキサーで分散し
た。2500rpm、10分間4℃で遠沈し、上澄み液
を除去後、DDWを加え全量を5mlとし、粒子をカウ
ントした。この粒子には、作製時に安定化剤として加え
たPVAが表面に吸着している。
【0037】次に該粒子懸濁液5mlに濃度を0.05%、
0.1%、0.5%、1%、2.5%、5%と変化させたホウ砂溶液を2
ml加え37℃で30分間放置した。放置後、2500
rpm、10分間4℃で遠沈し、上澄み液を除去後、1
%アルギン酸水溶液を2ml加え、37℃で60分間放
置した。放置後、2500rpm、10分間4℃で遠沈
し、洗浄操作後、全量を5mlとし、その後、粒子を分
散させ、微粒子をカウント、回収率を求めた。
【0038】その後、分散粒子を室温で12時間トルイ
ジンブルー溶液に浸漬、粒子の染色率を求めた。トルイ
ジンブルーはアルギン酸と親和性のある物質であり、染
色されることは微粒子にアルギン酸がコーティングされ
たことを示している。
【0039】なお表1中で、ホウ砂溶液の濃度の欄が
「アルギン酸なし」とは、ホウ砂5%で、上記実験操作
中の1%アルギン酸水溶液をDDWで行った場合の結果
を示す。
【0040】
【表1】
【0041】図8に示されるように、ホウ砂を用いるこ
とにより粒子にアルギン酸が結合され、また、該粒子は
凝集しないことが明らかである。
【0042】0%ホウ砂溶液処理後、アルギン酸処理、
あるいはアルギン酸処理なしでの染色率に比べて、ホウ
砂−アルギン酸の両方の処理の場合には、その染色率が
有意に高くなっている。このことは、PLGA粒子がホ
ウ砂を介してアルギン酸ハイドロゲルにより被覆される
ことを示している。
【0043】回収率は、ホウ砂−アルギン酸処理によっ
て影響されていない。
【0044】なお、図8はコーティング操作条件を変え
て染色を行った結果を示し、図9は、ホウ砂処理時間が
PLGA粒子の回収率及び染色率に与える影響を示し、
図10はコーティング操作の前後における粒子の電気伝
導度の測定結果を示し、アルギン酸がコーティングされ
ていれば微粒子にカルボキシル基が固定化されることに
なり、電気伝導度は上昇する。図10からわかるよう
に、伝導度が上昇していることから微粒子表面にアルギ
ン酸の固定されていることがわかる。図11は、アルギ
ン酸濃度がPLGA粒子の回収率及び染色率に与える影
響を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたPVAチューブ表面にコーテ
ィングされたコラーゲン量を示す。横軸は、溶液の種
類、縦軸はコーティングされたコラーゲン量をμg/m
lとして示す。
【図2】コラーゲンコーティング処理することによって
物質透過の変化しないことを示す。(A)グルコース、
(B)BSA。
【図3】コラーゲンコーティングされていないバイオ人
工膵のPVAチューブ表面には、組織付着が起こらない
ことを示す。
【図4】5%ホウ砂によりコラーゲンコーティングされ
たバイオ人工膵のPVAチューブ表面には、組織付着及
び血管新生が起こることを示す。
【図5】0.01%Zn2+によりコラーゲンコーティン
グされたバイオ人工膵のPVAチューブ表面には、組織
付着及び血管新生が起こることを示す。
【図6】0.01%Cu2+によりコラーゲンコーティン
グされたバイオ人工膵のPVAチューブ表面には、組織
付着及び血管新生が起こることを示す。
【図7】0.01%Ca2+によりコラーゲンコーティン
グされたバイオ人工膵のPVAチューブ表面には、組織
付着及び血管新生が起こることを示す。
【図8】以下の(a)、(b)のコーティング操作条件
で粒子の染色を行った結果を示す。(a)粒子+トルイ
ジンブルー;(b)粒子+ホウ砂+アルギン酸+トルイ
ジンブルー。
【図9】ホウ砂処理時間がPLGA粒子の回収率及び染
色率に与える影響を示す。
【図10】コーティング操作の前後における粒子の電気
伝導度の測定結果を示す。
【図11】アルギン酸濃度がPLGA粒子の回収率及び
染色率に与える影響を示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体内に導入される生物活性材料表面を生
    体適合性高分子により被覆してなる生体適合性被覆材料
    であって、生物活性材料と生体適合性高分子がホウ素化
    合物または金属イオンを介して結合される生体適合性被
    覆材料。
  2. 【請求項2】生物活性材料が、移植細胞のハイドロゲル
    カプセルである請求項1に記載の被覆材料。
  3. 【請求項3】生体適合性高分子がコラーゲンである請求
    項2に記載の被覆材料。
  4. 【請求項4】生物活性材料が、水分散性微粒子である請
    求項1に記載の被覆材料。
  5. 【請求項5】水分散性微粒子が薬物含有微粒子である請
    求項4に記載の被覆材料。
  6. 【請求項6】生体適合性高分子がハイドロゲルである請
    求項5に記載の生体適合性被覆材料。
  7. 【請求項7】生物活性材料が、生体組織・臓器の欠損部
    の充填材である請求項1に記載の被覆材料。
  8. 【請求項8】生物活性材料が、細胞の培養基材である請
    求項7に記載の被覆材料。
  9. 【請求項9】欠損部の充填材が生体分解吸収性高分子で
    ある請求項7に記載の被覆材料。
  10. 【請求項10】生体適合性高分子がコラーゲンである請
    求項9に記載の被覆材料。
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