JP2003021907A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2003021907A
JP2003021907A JP2001208085A JP2001208085A JP2003021907A JP 2003021907 A JP2003021907 A JP 2003021907A JP 2001208085 A JP2001208085 A JP 2001208085A JP 2001208085 A JP2001208085 A JP 2001208085A JP 2003021907 A JP2003021907 A JP 2003021907A
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lithographic printing
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Application number
JP2001208085A
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English (en)
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Ikuo Kawachi
幾生 河内
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像液の濃度に対する感度の安定性、即ち現
像ラチチュードが良好な赤外線レーザ用ポジ型の平版印
刷版用原版を提供する。 【解決手段】 親水性支持体上に、水不溶性且つアルカ
リ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み赤外光によりアル
カリ性水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を
少なくとも2層設けてなり、該記録層に、分子中に炭素
数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有す
る(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体
を含有することを特徴とし、該重合体が、前記重合成分
と、OH基を有する(メタ)アクリレート単量体との共
重合体であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版用原版に
関するものであり、特にコンピュータ等のディジタル信
号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外
線レーザ用ポジ型の平版印刷版用原版に関し、更に詳細
には、現像ラチチュードの良好な平版印刷版用原版に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータのディジタルデータ
から直接製版するシステムが注目され、種々の技術が開
発されている。特に、近年におけるレーザの発展は目ざ
ましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レー
ザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手で
きる様になり、これらはディジタルデータから直接製版
する際の露光光源として、非常に有用である。従来公知
のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版
材料は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光
を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とし、I
R染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂
との相互作用によりバインダー樹脂の溶解性を実質的に
低下させる溶解阻止剤として働き、露光部(非画像部)
では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂と
の相互作用が弱まりアルカリ現像液に溶解して平版印刷
版を形成する。
【0003】しかしながら、このような赤外線レーザ用
ポジ型の平版印刷版用原版では、様々な使用条件におけ
る未露光部(画像部)の現像液に対する耐溶解性と、露
光部(非画像部)の溶解性との間の差が未だ十分とは言
えず、使用条件の変動による現像過剰や現像不良が起き
やすいという問題があった。
【0004】例えば、UV露光により製版するポジ型平
版印刷版材料、すなわち、アルカリ水溶液可溶性のバイ
ンダー樹脂と、オニウム塩やキノンジアジド化合物類と
を含み、このオニウム塩やキノンジアジド化合物類が、
未露光部(画像部)でバインダー樹脂との相互作用によ
り溶解阻止剤として働き、且つ、露光部(非画像部)で
は、光によって分解して酸を発生し、溶解促進剤として
働くという機能を有する従来の平版印刷版材料では殆ど
問題となってはいなかった。これに対して、赤外線レー
ザ用ポジ型平版印刷版材料においては、赤外線吸収剤等
は、未露光部(画像部)の溶解阻止剤として働くのみ
で、露光部(非画像部)の溶解を促進するものではな
い。このために、現像ラチチュードが極めて悪いという
欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の技術の欠点を克服し、現像液の濃度に対する感度
の安定性、即ち現像ラチチュードが良好な赤外線レーザ
用ポジ型の平版印刷版用原版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、版材の記録層を重層構造とし、該記録層の
少なくともいずれかに、特定の含フッ素重合体化合物を
含有させることにより、上記の目的を達成できることを
見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】即ち、本発明は、以下の通りである。 (1)親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性
樹脂及び赤外線吸収剤を含み赤外光によりアルカリ性水
溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を少なくと
も2層設けてなり、該記録層に、分子中に炭素数3〜2
0のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メ
タ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体(含フ
ッ素重合体)を含有することを特徴とする平版印刷版用
原版。 (2)前記重合体が、前記重合成分と、OH基を有する
(メタ)アクリレート単量体との共重合体であることを
特徴とする前記(1)の平版印刷版用版。
【0008】本発明の平版印刷版用原版は、重層構造の
記録層に、特定の含フッ素重合体を含有することによ
り、該含フッ素重合体がその界面活性作用により、記録
層表面に集中偏在し、かつ、該記録層表面がアルカリ性
水溶液(現像液)に溶け難くなる。この結果、重層構造
の記録層の下層側は比較的をその上層よりアルカリに対
する溶解性が高くなることにより、現像ラチチュードも
向上すると考えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の平版印刷版用原版
を詳細に説明する。 [含フッ素重合体]その中でも、最初に、本発明の平版
印刷版用原版の記録層に含有される「含フッ素重合体」
(以下、本発明の含フッ素重合体ともいう)について説
明する。
【0010】本発明の含フッ素重合体は、分子中に炭素
数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有す
る(メタ)アクリレート単量体(以下、「含フッ素単量
体」と称する)を重合成分としているが、該含フッ素単
量体は、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基2又
は3個が、アクリロイル基又はメタクリロイル基と4価
の連結基で結合された単量体であれば、特に制限される
ものではない。本発明においては、パーフルオロアルキ
ル基を1個だけしか含まないものや、パーフルオロアル
キル基の炭素数が3個未満のものは、画像のディスクリ
ミネーションが向上しなくなる場合があり、一方、該炭
素数が20を超えると感度が低下する場合がある。
【0011】前記含フッ素重合体は、下記一般式(I)
で表される含フッ素単量体を重合成分とすることが好ま
しい。一般式(I)
【0012】
【化1】
【0013】(一般式(I)中、R1は、炭素数3〜2
0のパーフルオロアルキル基を表す。また、R1は、炭
素数3〜20のパーフルオロアルケニル基を表してもよ
い。これらは、直鎖状、分岐状、環状、又はそれらを組
み合わせたもののいずれでもよく、更に主鎖中に酸素原
子が介入したもの、例えば(CF32CFOCF2CF2
−等でもよい。Z1は、−(CH2n−(但し、nは1
〜6の整数を表す。)又は下記式で表される基を表す
(但し、R2は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキ
ル基を表す。)。ここで、一般式(I)中、2又は3個
含まれているZ1は、それぞれ異なる2又は3種の連結
基であってもよい。
【0014】
【化2】
【0015】Z2は、−(CH2m−(但し、mは2〜
6の整数を表す。)又は下記式で表される基を表す。そ
の中でも特に−(CH2m−であることが好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】Rは、水素原子、メチル基、又はハロゲン
原子(Cl、Br等)を表す。Xは、下記式で表される
2価の連結基を表す(但し、Yは、炭素数が15以下で
あり、かつ、X基中に占める重量割合が35〜65%で
ある2価の連結基を表す。)。
【0018】
【化4】
【0019】ここで、Yで表される2価の連結基の代表
的なものとしては、以下のものが挙げられる。
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】p及びqは、p+q=4を満たす整数であ
る(但し、pは2又は3である)。Aは、下記式で表さ
れる4価の連結基を表す。
【0023】
【化7】
【0024】以下に、本発明の含フッ素単量体の具体例
を挙げるが、本発明は、これらに何ら限定されるもので
はない。
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】上記具体例の中でも特に、A−15〜A−
27が好ましい。また、前記含フッ素重合体は、分子中
に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3
個有する(メタ)アクリレート単量体と、炭化水素(メ
タ)アクリレート単量体との共重合体であってもよい。
該炭化水素(メタ)アクリレート単量体は、OH基を有
するものが好ましい。また、炭化水素系アクリレートと
併用してもよい。
【0036】前記炭化水素系アクリレートとしては、ア
クリロイル基を1個あるいは2個有するものであり、当
業界で公知のもの(例えば、加藤清視、中原正二著「U
V硬化技術入門」(高分子刊行会)の中の、34、35
頁の表10、46〜48頁の表16、57頁の表20、
170〜172頁の表60等に記載の化合物)から適宜
選択することができ、例えば、以下のもの(B−1〜B
−8)が挙げられる。これらのうち、B−2が特に好ま
しく挙げられる。
【0037】
【化18】
【0038】(但し、R3は−H又は−CH3である。)
【0039】 前記含フッ素重合体の分子量は、特に限
定されるものではないが、重量平均分子量が3,000
〜200,000のものが好ましく、4,000〜10
0,000のものがより好ましい。また、前記含フッ素
重合体の添加量は、記録層全固形分に対して、0. 01
〜10重量%が好ましく、0. 1〜5重量%がより好ま
しい。
【0040】なお、本発明の平版印刷版用原版は、親水
性支持体上に、赤外光によりアルカリ性水溶液に対する
溶解性が増大する記録層を少なくとも2層設けてなり、
該記録層の少なくとも1層に、上記の特定の含フッ素重
合体を含有するものであれば特に限定されないが、該記
録層の上層側に含有することが好ましい。該含フッ素重
合体を記録層の上層側に含有することにより、アルカリ
水溶液に対して、上層側が比較的に溶解し難く、下層側
が比較的に溶解し易くなり、現像ラチチュードの向上に
寄与する。
【0041】次に、本発明の平版印刷版用原版のその他
の要件について説明する。本発明の平版印刷版用原版
は、少なくとも2層のポジ型記録層を設けてなるもので
あるが、この少なくとも2層の記録層のうち、表面(露
光面)に近い側に設けられているものを上部記録層、支
持体に近い側に設けられているものを下部記録層と称す
る。
【0042】(上部記録層)上部記録層の塗布量は、
0.05〜1.0g/m2の範囲であることが好まし
い。上部記録層の塗布量が0.05g/m2未満である
と、画像様露光により発生した熱が下部記録層に拡散、
吸熱され感度が低下し、また、画像形成領域(未露光
部)での膜強度不足が低下する傾向がある。また、上部
記録層塗布量が1.0g/m2を超えると、画像形成時
に、上部記録層全体を昇温して、画像を形成する必要が
あるため感度が低下し、また、画像部が表面に形成され
た傷の影響を受けやすくなり、印刷時の耐薬品性も低下
する傾向があり、いずれも好ましくない。
【0043】上部記録層は、水不溶性且つアルカリ可溶
性樹脂及び赤外線吸収剤を含有するものである。上部記
録層に含まれる赤外線吸収剤は、赤外線レーザなどの赤
外線を吸収し、熱を発生するものであれば、公知のもの
を任意に選択して使用することができるが、下部記録層
への露光を妨げないという観点から、カーボンブラック
のような光透過性を有しない顔料は好ましくなく、赤外
線透過性の高い染料を用いることが好ましい。好ましい
赤外線吸収剤としては、具体的には、インドアニリン色
素、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色
素、ポリフィリン誘導体、アントラキノン色素、メロス
チリル色素、ピリリウム化合物、ジフェニル及びトリフ
ェニルアゾ化合物、スクアリリウム誘導体等を挙げるこ
とができる。
【0044】これらの染料は、上部記録層を構成する全
固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.5
〜10重量%の割合で上部記録層中に添加することがで
きる。染料の添加量が0.01重量%未満であると感度
が低くなり、また50重量%を越えると記録層の均一性
が失われ、耐久性が低下すると共に、下部記録層への露
光光源の透過性が低下し、感度が低下する傾向がある。
【0045】本発明において、記録層に使用される水不
溶性且つアルカリ水溶性の高分子化合物(以下、適宜、
アルカリ可溶性高分子と称する)とは、高分子中の主鎖
および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、こ
れらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。従っ
て、本発明に係る高分子層は、アルカリ性現像液に接触
すると溶解する特性を有するものである。これらの中で
も、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖
および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像
液に対する溶解性の点で好ましい。
【0046】(1)フェノール性水酸基(−Ar−O
H) (2)スルホンアミド基(−SO2NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。)〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO
2R、−CONHSO2R〕 (4)カルボン酸基(−CO2H) (5)スルホン酸基(−SO3H) (6)リン酸基(−OPO32
【0047】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0048】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、膜強度を十分に確保する点から最も好
ましい。
【0049】次に、これらのアルカリ水可溶性高分子化
合物の重合成分の代表的な例について述べる。 (1)フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとし
ては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそ
れぞれ1つ以上有する低分子化合物とからなる重合性モ
ノマーが挙げられ、例えば、フェノール性水酸基を有す
るアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル又はヒドロキシスチレン等
が挙げられる。
【0050】具体的には、例えば、N−(2−ヒドロキ
シフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフ
ェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)
メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メ
タクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタ
クリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、
m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシ
フェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタク
リレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p
−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシ
スチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタク
リレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタ
クリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメ
タクリレート等が挙げられる。これらフェノール性水酸
基を有するモノマーは、2種類以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0051】(2)スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマーとしては、1分子中、窒素原子に少なくとも1つ
の水素原子が結合したスルホンアミド基(−NH−SO
2−)と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有
する低分子化合物とからなる重合性モノマーが挙げら
れ、例えば、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキ
シ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置
換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好まし
い。このような化合物としては、例えば、特開平8−1
23029号に記載の一般式(I)〜(V)で示される
化合物が挙げられる。
【0052】(2)スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマーとして具体的には、m−アミノスルホニルフェニ
ルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができ
る。
【0053】(3)活性イミド基を有する重合性モノマ
ーとしては、特開平11−84657号に記載の活性イ
ミド基を分子内に有するものが好ましく、1分子中に、
活性イミド基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ
以上有する低分子化合物とからなる重合性モノマーが挙
げられる。 (3)活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリ
ルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。
【0054】(4)カルボン酸基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基と、重合可
能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合
物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体
を挙げることができる。 (5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基
と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げること
ができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子として
は、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基とを分子
内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単
位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
【0055】本発明のポジ型平版印刷版用原版に用いる
アルカリ水可溶性高分子を構成する、前記(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特
に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する
最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する
最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いること
もできる。共重合の方法としては、従来知られている、
グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合
法等を用いることができる。
【0056】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。
【0057】本発明では、化合物を共重合して共重合体
を形成する場合、その化合物として、前記(1)〜
(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもで
きる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の
例としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物
を例示することができるが、これらに限定されるもので
はない。
【0058】(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族
水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル
酸エステル類。 (m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、
アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸
ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジル
アクリレート等のアルキルアクリレート。 (m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−
クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキル
メタクリレート。
【0059】(m4)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリ
ルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフ
ェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアク
リルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミ
ド。
【0060】(m5)エチルビニルエーテル、2−クロ
ロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエー
テル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル
等のビニルエーテル類。 (m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、
ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル
類。 (m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。 (m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プ
ロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニル
ケトン類。
【0061】(m9)エチレン、プロピレン、イソブチ
レン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。 (m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等。 (m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミ
ド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニル
メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタ
クリルアミド等の不飽和イミド。 (m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン
酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0062】アルカリ水可溶性高分子化合物としては、
赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点
で、フェノール性水酸基を有することが好ましく、例え
ば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール
ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒ
ド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹
脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/
p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂
等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ま
しく挙げられる。
【0063】また、フェノール性水酸基を有するアルカ
リ水可溶性高分子化合物としては、更に、米国特許第
4,123,279号明細書に記載されているように、
t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチル
フェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜
8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホル
ムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。アルカリ水可
溶性高分子化合物は、その重量平均分子量が500以上
であることが好ましく、1,000〜700,000で
あることがより好ましい。また、その数平均分子量が5
00以上であることが好ましく、750〜650,00
0であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量
/数平均分子量)は1.1〜10であることが好まし
い。
【0064】アルカリ水可溶性高分子化合物は、それぞ
れ1種類或いは2種類以上併用してもよく、その合計の
含有量が、上部記録層全固形分中、1〜90重量%が好
ましく、2〜70重量%がより好ましく、2〜50重量
%が特に好ましい。含有量が1重量%未満である場合に
は、耐久性が悪化する傾向にあり、また、90重量%を
超える場合には、感度、画像形成性が低下する傾向があ
るため好ましくない。
【0065】(下部記録層)次に、2層のポジ型記録層
のうち、支持体に近い側に設けられている下部記録層に
ついて説明する。下部記録層は、水不溶性且つアルカリ
可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する。下部記録層に
含まれる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂は先に上部記
録層において説明したものと同じものを使用することが
できる。なかでも、上部記録層と下部記録層とが隣接し
て設けられる場合に両者の界面部分で相溶し、界面が明
確でなくなることによる効果の低下を抑制するため、上
部記録層の塗布時に下部記録層が溶解されないように、
下部記録層に用いられるアルカリ可溶性高分子と上部記
録層に用いられるものとは、塗布溶剤に対する溶解性が
異なるものを選択して用いることが好ましい。アルカリ
水可溶性高分子化合物は、それぞれ1種類或いは2種類
以上併用してもよく、その合計の含有量も上部記録層に
おけるのと同様に、下部記録層全固形分中、1〜90重
量%が好ましく、2〜70重量%がより好ましく、2〜
50重量%が特に好ましい。
【0066】本発明において、下部記録層に用いられる
赤外線吸収剤は、赤外光を吸収し熱を発生する物質であ
れば特に制限はなく、上部記録層に適するものとして例
示した赤外線吸収染料のほか、赤外線吸収顔料として知
られる種々の顔料もしくは、例示した以外の赤外線吸収
染料を用いることができる。顔料としては、市販の顔料
及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷
インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されて
いる顔料が利用できる。
【0067】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、
アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍
光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0068】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0069】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の記録層塗布液中での安定性の点
で好ましくなく、また、10μmを越えると記録層の均
一性の点で好ましくない。顔料を分散する方法として
は、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散
技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サ
ンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、
ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コ
ロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニー
ダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」
(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0070】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)
に記載されている公知のものが利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料などの染料が挙げられる。本発明において、これら
の顔料、もしくは染料のうち赤外光、もしくは近赤外光
を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光する
レーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0071】そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸
収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられ
る。また、赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料と
しては、例えば特開昭58−125246号、特開昭5
9−84356号、特開昭59−202829号、特開
昭60−78787号等に記載されているシアニン染
料、特開昭58−173696号、特開昭58−181
690号、特開昭58−194595号等に記載されて
いるメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭
58−224793号、特開昭59−48187号、特
開昭59−73996号、特開昭60−52940号、
特開昭60−63744号等に記載されているナフトキ
ノン染料、特開昭58−112792号等に記載されて
いるスクワリリウム色素、英国特許434,875号記
載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0072】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号(米国特許第4,327,169号)記載
のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1810
51号、同58−220143号、同59−41363
号、同59−84248号、同59−84249号、同
59−146063号、同59−146061号に記載
されているピリリウム系化合物、特開昭59−2161
46号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,4
75号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公
平5−13514号、同5−19702号公報に開示さ
れているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポ
リン社製のEpolight III−178、Epoli
ght III−130、Epolight III−125等
が、特に好ましく用いられる。
【0073】また、染料として特に好ましい別の例とし
て、米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を
挙げることができる。これらの顔料もしくは染料は、下
部記録層の全固形分に対し0.01〜50重量%、好ま
しくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは
0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1
〜10重量%の割合で添加することができる。
【0074】顔料もしくは染料の添加量が0.01重量
%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越え
ると記録層の均一性が失われ、記録層の耐久性が悪くな
る。これらの染料もしくは顔料は他の成分と同一の層に
添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよ
い。別の層とする場合、下部記録層に隣接する層へ添加
するのが望ましい。また、染料もしくは顔料と前記アル
カリ可溶性樹脂とは同一の層に含まれるのが好ましい
が、別の層でも構わない。
【0075】下部記録層の塗布量には、特に制限はな
く、用途、望ましい感度、記録特性などに応じて選択で
きるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
2層の記録層を有する平版印刷版用原版の上部、下部の
各記録層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な
支持体上に、まず、下部記録層塗布液を、次いで、上部
記録層塗布液を塗布することにより製造することができ
る。また、所定の装置を用いて2つの記録層を重層塗布
することも可能である。
【0076】〔その他の成分〕前記のポジ型記録層を形
成するにあたっては、前記の成分の他、本発明の効果を
損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添
加剤を添加することができる。例えばオニウム塩、o−
キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族
スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解し
ない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を
実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現
像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。オ
ニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホ
スホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレ
ノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。
【0077】本発明において用いられるオニウム塩とし
て、好適なものとしては、例えば S. I. Schlesinger,
Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S. Bal et a
l, Polymer, 21, 423(1980) 、特開平5−158230
号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055
号、同4,069,056 号、特開平3-140140号の明細書に記載
のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecul
es, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Co
nf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)、米国
特許第4,069,055 号、同4,069,056 号に記載のホスホニ
ウム塩、J. V.Crivello et al, Macromorecules, 10
(6), 1307 (1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31
(1988)、欧州特許第104,143 号、米国特許第339,049
号、同第410,201 号、特開平2-150848号、特開平2-2965
14号に記載のヨードニウム塩、J. V.Crivello et al, P
olymer J. 17, 73 (1985)、J. V. Crivello et al. J.
Org.Chem., 43, 3055 (1978)、W. R. Watt et al, J. P
olymer Sci., Polymer Chem.Ed., 22, 1789 (1984) 、
J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279 (198
5)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5) ,
1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci.,
Polymer Chem. Ed., 17, 2877 (1979) 、欧州特許第37
0,693 号、同233,567 号、同297,443 号、同297,442
号、米国特許第4,933,377 号、同3,902,114 号、同410,
201 号、同339,049 号、同4,760,013 号、同4,734,444
号、同2,833,827 号、独国特許第2,904,626 号、同3,60
4,580 号、同3,604,581 号に記載のスルホニウム塩、J.
V. Crivello et al, Macromorecules,10(6), 1307 (19
77)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polyme
r Chem.Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレノニウム
塩、C. S. Wen et al, Teh,Proc.Conf. Rad. Curing AS
IA, p478 Tokyo, Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等
があげられる。オニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩
が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩とし
ては特開平5−158230号公報記載のものが挙げら
れる。
【0078】オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化
ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5
−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホ
ン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2
−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスル
ホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロ
カプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスル
ホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキ
シ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホ
ン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることがで
きる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼ
ンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適
である。
【0079】好適なキノンジアジド類としてはo−キノ
ンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用い
られるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個の
o−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解により
アルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物
を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは
熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キ
ノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化するこ
との両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明
に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例え
ば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システム
ズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に
記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒ
ドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させ
たo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホ
ン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公
報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジ
アジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,
2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロ
ール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,12
0号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン
−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフ
トキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロ
ライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステ
ルも好適に使用される。
【0080】さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジ
ド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアル
デヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂
とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−
4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹
脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有
用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許
に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特
開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−9657
5号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭4
1−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、
米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,
323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,78
5,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、
同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932
号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載さ
れているものを挙げることができる。
【0081】o−キノンジアジド化合物の添加量は、好
ましくは記録層全固形分に対し、1〜50重量%、更に
好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜30
重量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用でき
るが、数種の混合物として使用してもよい。o−キノン
ジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは1
〜50重量%、更に好ましくは5〜30重量%、特に好
ましくは10〜30重量%である。該添加剤と結着剤
は、同一層へ含有させることが好ましい。
【0082】また、更に感度を向上させる目的で、環状
酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することも
できる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号
明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無
水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エン
ドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラク
ロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイ
ン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無
水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類とし
ては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−
エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェ
ノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″
−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,
3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−
テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更
に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2
−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、
スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン
酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的に
は、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニ
ルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニ
ル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジ
ピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香
酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウ
ンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の
環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の記録層中に
占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、より
好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1
〜10重量%である。
【0083】また、本発明に係る記録層塗布液中には、
現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭6
2−251740号公報や特開平3−208514号公
報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭
59−121044号公報、特開平4−13149号公
報に記載されているような両性界面活性剤、EP950
517公報に記載されているようなシロキサン系化合
物、特開平11−288093号公報に記載されている
ようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することが
できる。非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビ
タントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、
ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリ
ド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙
げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ
(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチル
グリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN
−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名
「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0084】シロキサン系化合物としては、ジメチルシ
ロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体
が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE
−224,DBE−621,DBE−712,DBP−
732,DBP−534、独Tego社製、Tego
Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリ
コーンを挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤
及び両性界面活性剤の記録層中に占める割合は、0.0
5〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5
重量%である。
【0085】本発明における記録層中には、露光による
加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着
色剤としての染料や顔料を加えることができる。焼き出
し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化
合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せ
を代表として挙げることができる。具体的には、特開昭
50−36209号、同53−8128号の各公報に記
載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン
酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭5
3−36223号、同54−74728号、同60−3
626号、同61−143748号、同61−1516
44号及び同63−58440号の各公報に記載されて
いるトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せ
を挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物と
しては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物と
があり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画
像を与える。
【0086】画像の着色剤としては、前述の塩形成性有
機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性
有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基
性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロ
ー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#
312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラ
ックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント
化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリス
タルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレ
ット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダ
ミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン
(CI42000)、メチレンブルー(CI5201
5)などを挙げることができる。また、特開昭62−2
93247号公報に記載されている染料は特に好まし
い。これらの染料は、記録層全固形分に対し、0.01
〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で記
録層中に添加することができる。更に本発明の平版印刷
版用原版の記録層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を
付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフ
タリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ
ヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、
リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テ
トラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸の
オリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0087】本発明の平版印刷版用原版の記録層は、通
常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に、記
録層塗布液を塗布することにより製造することができ
る。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライ
ド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、
2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳
酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチル
ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−
ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、
これに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あ
るいは混合して使用される。塗布溶剤の選択にあたって
は、上部記録層、下部記録層の互いの層の界面における
相溶を防止するため、上部記録層の塗布溶媒は、下部記
録層を実質的に溶解しないものを選択することが好まし
い。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度
は、好ましくは1〜50重量%である。
【0088】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げるこ
とができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感
度は大になるが、記録層膜の皮膜特性は低下する。本発
明における記録層中には、塗布性を良化するための界面
活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載
されているようなフッ素系界面活性剤を添加することが
できる。好ましい添加量は、記録層全固形分中0.01
〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%
である。
【0089】〔支持体〕本発明に使用される支持体とし
ては、親水性を有し、必要な強度と耐久性を備えた寸度
的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチッ
ク(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アル
ミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属が
ラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチ
ックフィルム等が含まれる。
【0090】本発明の支持体としては、ポリエステルフ
ィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法
安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に
好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板
及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合
金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸
着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム
合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケ
ル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々
10重量%以下である。本発明において特に好適なアル
ミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なア
ルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに
異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適
用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるもの
ではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を
適宜に利用することができる。本発明で用いられるアル
ミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程
度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好まし
くは0.2mm〜0.3mmである。
【0091】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処
理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、
種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化
する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び
化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラ
スト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いること
ができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又
は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。
また、特開昭54−63902号公報に開示されている
ように両者を組み合わせた方法も利用することができ
る。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応
じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用
いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種
々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、
蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。そ
れらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決めら
れる。
【0092】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解
質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電
流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時
間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮
膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分で
あったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなっ
て、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷
汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、ア
ルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本
発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,
714,066号、同第3,181,461号、第3,
280,734号及び第3,902,734号に開示さ
れているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸
ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支
持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は
電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に
開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許
第3,276,868号、同第4,153,461号、
同第4,689,272号に開示されているようなポリ
ビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0093】本発明の平版印刷版用原版においては、支
持体上にポジ型の記録層を2層積層して設けたものであ
るが、必要に応じて支持体と記録層(2層構造の下部記
録層)との間に下塗層を設けることができる。下塗層成
分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガ
ム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有す
るホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホ
ン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリ
セロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジ
ホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよ
いフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及
びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有しても
よいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、ア
ルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有
機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ
酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロ
キシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種
以上混合して用いてもよい。
【0094】この有機下塗層は次のような方法で設ける
ことができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、
メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混
合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニ
ウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノ
ール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤
もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解さ
せた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸
着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗
層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化
合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方
法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は
0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%
であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜5
0℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは
2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、
トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質
や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の
範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調
子再現性改良のために黄色染料を添加することもでき
る。有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適
当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上
記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性
能が得られない。また、200mg/m2より大きくて
も同様である。
【0095】上記のようにして作成されたポジ型の平版
印刷版用原版は、通常、像露光、現像処理が施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外か
ら赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レー
ザ、半導体レーザが好ましい。発光波長としては、76
0〜850nmが好ましい。
【0096】本発明の平版印刷版用原版の現像に用いら
れる現像液及び補充液としては、従来より知られている
アルカリ水溶液を、それぞれの記録層に適する電導度に
調整して使用すればよい。本発明の方法に適用可能な公
知のアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物として
は、例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン
酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン
酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナト
リウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリ
ウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウ
ム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、
同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機
アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジ
メチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、
ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミ
ン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパ
ノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイ
ミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ
剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2
種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤
の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ
酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ
酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化
物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能とな
るためであり、例えば、特開昭54−62004号公
報、特公昭57−7427号に記載されているようなア
ルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0097】更に、自動現像機を用いて現像する場合に
は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)
を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の
現像液を交換する事なく、多量の平版印刷版を処理でき
ることが知られている。本発明においてもこの補充方式
が好ましく適用される。現像液および補充液には、現像
性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の
親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活
性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤とし
ては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性
界面活性剤が挙げられる。更に現像液および補充液には
必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、
亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩
等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤
を加えることもできる。
【0098】上記現像液及び補充液を用いて現像処理さ
れた印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス
液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処
理される。本発明の画像記録材料を印刷版として使用す
る場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わ
せて用いることができる。
【0099】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用い
られている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理
部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びス
プレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送し
ながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズル
から吹き付けて現像処理するものである。また、最近は
処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなど
によって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られ
ている。このような自動処理においては、各処理液に処
理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理す
ることができる。また、実質的に未使用の処理液で処理
するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0100】本発明の平版印刷版用原版においては、画
像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガ
ム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例え
ば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合に
は、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このよう
な消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載さ
れているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのま
ま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう
方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に
記載されているようなオプティカルファイバーで導かれ
た活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法
も利用できる。
【0101】以上のようにして得られた平版印刷版は所
望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供す
ることができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版と
したい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版
をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61
−2518号、同55−28062号、特開昭62−3
1859号、同61−159655号の各公報に記載さ
れているような整面液で処理することが好ましい。その
方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂
綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たした
バット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コー
ターによる塗布などが適用される。また、塗布した後で
スキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量
を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0102】整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8
g/m2(乾燥重量)が適当である。整面液が塗布され
た平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニング
プロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販
売されているバーニングプロセッサー:「BP−130
0」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及
び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、
180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好まし
い。
【0103】バーニング処理された平版印刷版は、必要
に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれ
ている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合
物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引き
などのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット
印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明するが、
本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。 <含フッ素重合体1の合成>攪拌装置、コンデンサー、
温度計を備えたガラスフラスコに、前記含フッ素単量体
(A−31)30重量部、メチルメタクリレート20重
量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、i
−ブチルメタクリレート15重量部、及びメチルイソブ
チルケトン150重量部を仕込み、窒素ガス導入下、還
流下に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル
0.4重量部と連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン
0.3重量部とを添加した後、7時間還流し重合を完結
させ、含フッ素重合体1を合成した。ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフ(GPC)によるポリスチレン換算
分子量は、Mn=10,000であった。
【0105】<含フッ素重合体2〜5の合成>単量体の
種類を変え、共重合比を下記表に示す通りになるように
した以外は、上記含フッ素重合体1の合成と同様に行っ
た。
【0106】
【表1】
【0107】〔基板の作製〕厚み0.3mmのアルミニ
ウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄し
て脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミ
ス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗
浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶
液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに
20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目
立て表面のエッチング量は約3g/m 2であった。次に
この板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm
2で3g/m2の直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗し、
乾燥し、さらに、珪酸ナトリウム2.5重量%水溶液で
30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を
80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被
覆量は15mg/m2であった。
【0108】 〔下塗り液〕 ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0109】
【化19】
【0110】(実施例1〜5、比較例1)〔記録層の形
成〕得られた基板に、下記組成の下部記録層用塗布液を
塗布量が0.75g/m2になるよう塗布したのち、T
ABAI社製、PERFECT OVEN PH200
にてWind Controlを7に設定して140℃
で50秒間乾燥させた。その後、下記組成の上部記録層
用塗布液を塗布量が0.75g/m2になるよう塗布し
た後、120℃で1分間乾燥し、平版印刷版版原版を得
た。
【0111】 〔下部記録層用塗布液〕 N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/ アクリロニトリル/メタクリル酸メチル (モノマー比=36/34/30、 重量平均分子量50,000) 1.896g クレゾールノボラック(m/p比=6/4、 重量平均分子量4,500、 残存モノマー0.8wt%) 0.237g シアニン染料A(下記構造) 0.109g 4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063g 無水テトラヒドロフタル酸 0.190g p−トルエンスルホン酸 0.008g 3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロホスフェート 0.030g エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ ナフタレンスルホンに変えたもの 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、 大日本インキ工業(株)社製) 0.035g メチルエチルケトン 26.6g 1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g γ−ブチロラクトン 13.8g
【0112】
【化20】
【0113】 〔上部記録層用塗布液〕 m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、 重量平均分子量4,500、 未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.237g シアニン染料A(上記構造) 0.047g ステアリン酸ドデシル 0.060g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.110g 含フッ素重合体(下記表2) 0.040g メチルエチルケトン 10.0 g
【0114】(実施例6〜10、比較例2)実施例1同
じ基板に以下の下部記録層用塗布液を塗布量0.90g
/m2になるよう塗布したのち、140℃で50秒間乾
燥し、その後、以下の上部記録層用塗布液を塗布量が
0.1g/m2になるよう塗布したのち、120℃で1
分間乾燥し、平版印刷版用原版を得た。
【0115】 〔下部記録層用塗布液〕 N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/ アクリロニトリル/メタクリル酸メチル (モノマー比=35/35/30、 重量平均分子量50,000) 1.896g クレゾールノボラック(m/p比=6/4、 重量平均分子量4,500、 残存モノマー0.8wt%) 0.237g シアニン染料A(上記構造) 0.109g 4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063g ビス(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル) ペンタフルオロフェニルメタン 0.142g 無水テトラヒドロフタル酸 0.190g p−トルエンスルホン酸 0.008g エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ ナフタレンスルホンに変えたもの 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、 大日本インキ工業(株)社製) 0.035g メチルエチルケトン 26.6g 1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g γ−ブチロラクトン 13.8g
【0116】 〔上部記録層用塗布液〕 m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、 重量平均分子量4,500、 未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.165g シアニン染料A(上記構造) 0.047g ステアリン酸ドデシル 0.060g (1−エチル−2−((4−メチルチオ)−フェニル) −2−オキソエチル−ジメチル−フェニルメチル アンモニウム)ブロマイド 0.069g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.110g 含フッ素重合体(下記表2) 0.060g メチルエチルケトン 15.1 g 1−メトキシ−2−プロパノール 7.7 g
【0117】〔現像ラチチュードの評価〕得られた平版
印刷版用原版をCreo社製Trendsetterに
てビーム強度9w、ドラム回転速度150rpmでテス
トパターンを画像状に描き込みを行った。まず、上記の
条件で露光した平版印刷版原版を、富士写真フイルム
(株)製現像液DT−1の希釈率を変えたものを仕込ん
だ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー900H
を用い、液温を30℃に保ち、現像時間12秒で現像し
た。この時、現像不良の記録層残膜に起因する汚れや着
色がないかを確認し、良好に現像が行なえた現像液の電
導度を測定した。結果を下記表2に示す。上限値と下限
値との差が大きいものを現像ラチチュードに優れると評
価する。
【0118】
【表2】
【0119】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用原版は、記録層を
重層構造とし、該記録層の少なくともいずれかに、特定
の含フッ素重合体化合物を含有させることにより、分子
中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は
3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とす
る重合体を含有することにより、現像ラチチュードが良
好にすることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA04 AB03 AC08 AD03 CB14 CB41 CB42 CB45 CB52 CC11 DA11 FA10 FA17 2H096 AA06 BA09 CA03 CA20 EA04 EA23 GA08 2H114 AA04 AA22 AA24 AA30 BA01 BA10 DA52 EA01 EA02 FA15 FA16 FA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、水不溶性且つアルカ
    リ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み赤外光によりアル
    カリ性水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を
    少なくとも2層設けてなり、該記録層に、分子中に炭素
    数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有す
    る(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体
    を含有することを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 前記重合体が、前記重合成分と、OH基
    を有する(メタ)アクリレート単量体との共重合体であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用原
    版。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008035542A1 (en) * 2006-09-19 2008-03-27 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Positive photosensitive lithographic printing plate material

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WO2008035542A1 (en) * 2006-09-19 2008-03-27 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Positive photosensitive lithographic printing plate material

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