JP2003020034A - 保温保冷箱 - Google Patents

保温保冷箱

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JP2003020034A
JP2003020034A JP2001242952A JP2001242952A JP2003020034A JP 2003020034 A JP2003020034 A JP 2003020034A JP 2001242952 A JP2001242952 A JP 2001242952A JP 2001242952 A JP2001242952 A JP 2001242952A JP 2003020034 A JP2003020034 A JP 2003020034A
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low
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Shunsuke Shioi
俊介 塩井
Koji Iwasaki
廣司 岩崎
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Oji Packaging Systems Co Ltd
Original Assignee
Oji Packaging Systems Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最適温度に管理することが求められる物品の
輸送或いは貯蔵に適した性能を有し、製作が簡単で、再
資源化の際に基材の分離処理が容易な保温保冷箱を提供
する。 【解決手段】 肉厚の低密度成形体と紙基材を組合せて
保温保冷性を有する箱とする。すなわち、内壁と外壁の
二重壁からなる紙製箱の内壁と外壁の間の空隙に、微細
成分を堆積させて得られる低密度成形体を芯材として入
れて形成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最適温度に管理す
ることが求められる物品の輸送或いは貯蔵に適した性能
を有し、しかも製作が簡単で、再資源化の際に基材の分
離処理が容易な、安価で環境に優しい保温保冷箱に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鮮魚やアイスクリーム等の食材や加工食
品、等の最適温度に管理することが求められる物品の輸
送或いは貯蔵に適した保温保冷箱としては、発泡スチロ
ール製のものが一般的である。しかし、発泡スチロール
の場合、安価で、性能面も大変優れているが、近年、環
境問題への関心が高まるにつれて、他のプラスチック製
品と同様に、使用後の処理を問題視する声が高まってい
る。すなわち、使用した後に焼却処分した場合には、高
温の発生による炉の損傷、有毒ガスの発生が指摘されて
いる。また、埋立て処理を行った場合は、分解性がな
く、しかも嵩張るため、処分場の不足を招く一因とも考
えられている。
【0003】環境の面からすると、廃棄が容易で、回収
システムも確立している段ボール箱の使用が現時点では
最も好ましいものであるが、この段ボールは、平坦なラ
イナーに、段繰りを行って表裏ライナーを一定間隔で支
持するための波形の紙、すなわち中芯原紙を接着して造
られているために、中芯部分の空気の移動が極めて容易
で断熱性が低く、得られた箱は、食材、加工食品等の保
温保冷を必要とする物品を入れて輸送或いは貯蔵するこ
とに適さなかった。かかる問題を解決する手段として、
登録実用新案3026196号に段ボールに低密度紙を
貼り合わせもので箱を形成することが記載されている
が、低密度紙の厚みに限界があるために断熱性が不十分
で、性能的には発泡スチロールよりかなり劣り、より優
れた素材が求められていた。
【0004】更に最近では、パルプ等の微細成分を堆積
させて得られる低密度成形体、具体的には、湿式で高濾
水性繊維を成形型に充填して形成する肉厚の低密度成形
体(商品名グリーンパル:王子製袋製)、乾式でパルプ
を成形型に充填して形成する肉厚の低密度成形体(商品
名セルモールド:レンゴー製)、等が発泡スチロールの
代替として注目されており、本願発明者等は特開200
0−238853号において、グリーンパル製の箱の表
面に、フィルム、耐水紙、ラミ紙等のシート基材を貼る
ことによって耐水性の保温保冷箱が得られることを開示
している。しかし、この方法の場合、製造工程の中にグ
リーンパルとシート基材の張り合わせの工程があるため
にコスト高となる、また張り合わせているために再資源
化或いは廃棄の際に、グリーンパルとシート基材の分離
に手間がかかる等の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、最適
温度に管理することが求められる物品の輸送或いは貯蔵
に適した性能を有し、しかも製作が簡単で、再資源化の
際に基材の分離処理が容易な、安価で環境に優しい保温
保冷箱を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み検討した結果、肉厚の低密度成形体と紙基材を
組み合わせて保温保冷性を有する箱とする際に、その製
作方法を工夫することによって、安価で且つ再資源化の
容易な箱が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、内壁と外壁の二重壁から
なる紙製箱の内壁と外壁の間の空隙に、微細成分を堆積
させて得られる低密度成形体を芯材として入れて形成し
たことを特徴とする保温保冷箱である。また、本発明で
は、該低密度成形体が、箱の底面部材と側面部材のつな
がった展開形状の一体型成形物であることが好ましい。
また、本発明では、該低密度成形体の密度が0.25g
/cm以下であることが好ましい。また、該低密度成
形体の厚みが、5mm以上であることが好ましい。ま
た、該低密度成形体が、壁面に多数の小孔を有する成形
型内にスラリーを供給し、スラリーの媒体である水を該
小孔から除去して、スラリー中の小孔不通過微細成分を
成形型内に堆積させて湿潤状態の成形物を成形させ、そ
の後に乾燥して得られた成形体であることが好ましい。
中でも、該低密度成形体の製造に用いられるスラリーの
組成物が550ml以上のカナダ標準フリーネス(CS
F)を有することが好ましい。また、スラリー組成物の
主成分がセルロース系繊維であることが好ましい。ま
た、紙製箱が耐水性紙から造られていることが好まし
い。また、紙製箱と低密度成形体の一部がホットメルト
糊で糊付けされていることが好ましい。
【0007】本発明の成功の原因は、低密度成形体と紙
製の箱を組み合わせて保温保冷性の箱を製作する際に、
低密度成形体の表面に紙製基材を先ず張り合わせて複合
化した後に、これを箱に仕上げる方法ではなく、内壁と
外壁の二重壁からなる紙製箱を先ず製作し、その箱の内
壁と外壁の間の空隙に低密度成形体を芯材として入れる
という手段を採用することによって、貼り合わせが必須
ではなくなり、製作工程の簡略化によるコスト削減と同
時に、簡単に低密度成形体と紙基材が簡単に分離出来る
のでリサイクル及び廃棄処分が効率良く行えるという効
果を見出した点にある。
【0008】
【発明の実施の形態】低密度成形体としては、図1のよ
うに箱を底面部材12と四つの側面部材13に分割して
成形したもの、図3のように底面部材12と四つの側面
部材13がつながった一体型に成形されたもの、が通常
用いられるが、図3のように展開形状の一体型に成形さ
れたものは、接着による組立て工程が必要でなく、折り
曲げて二重箱の内壁と外壁の間に入れるだけで箱形状が
安定化するので、図1のように分割して成形されたもの
より製造効率及びコストの面で有利である。
【0009】本発明に用いられる低密度成形体として
は、乾式製法のセルモールド(レンゴー製)や湿式製法
のグリーンパル(王子製袋製)等を挙げることが出来る
が、強度等の品質面で優れている点や品質のバラツキが
少なく安定したものが得られる点で湿式製法による低密
度成形体がより好ましい。低密度成形体としては、通常
0.02〜0.50g/cmの範囲の密度のものが用
いられるが、特に優れた保温保冷性の箱を得るためには
0.25g/cm以下のものが好ましい。又、低密度
成形体の厚みとしては通常2〜50mmの範囲のものが
用いられるが、特に優れた保温保冷性の箱を得るために
は5mm以上のものが好ましい。
【0010】紙製箱に用いられる素材としては、白板
紙、黄板紙、色板紙、チップボール、アート紙、コート
紙、ワックス紙、耐水性ライナー(王子製紙製:SKラ
イナー)、超耐水性ライナー(王子製紙製:USP
C)、段ボール(マイクロフルートを含む)、耐水性段
ボール、合成樹脂ラミネート紙等、当業界公知のものを
挙げることが出来る。中でも、水分を有する製品を包む
ことが出来るワックス紙、耐水性ライナー、超耐水性ラ
イナー、耐水性段ボール、合成樹脂ラミネート紙等の耐
水性紙は素材として特に好ましい。紙の厚みとしては特
に限定されるものではないが、箱製造の作業性及び製品
強度の面で80g/m以上のものが好ましい。二重壁
からなる紙製箱の造り方としては特に限定されるもので
はないが、組み立てるだけで接着剤や粘着剤を使わず箱
形状を維持することが出来る構造のものが作業性の面で
優れており特に好ましい。
【0011】本発明においては、低密度成形体が二重箱
の内壁と外壁に挟まれ殆ど動かない状態となるよう、二
重箱の内壁と外壁によって形成される空隙を出来るだけ
完全に埋めるような形状・大きさに低密度成形体が造ら
れるので、該成形体と箱を互いに接着し固定する必要は
ないが、紙箱の変形を防止する程度に部分接着しても構
わない。特に、該保温保冷箱が嵌め込み部分を有する上
蓋と組み合わせて用いられる場合には、蓋と接触する箇
所が頻繁に力が加わるので、その部分に接着処理を施し
て補強しておくことが望ましい。
【0012】接着に用いられる接着剤及び粘着剤として
は、例えば、澱粉、加工澱粉、カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、カゼイ
ン、PVA、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着
剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、
酢酸ビニル樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着
剤、ポリウレタン系接着剤、αオレフィン−無水マレイ
ン酸樹脂系接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着
剤、反応性アクリル樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エ
マルジョン形接着剤、酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジ
ョン形接着剤、EVA樹脂系エマルジョン形接着剤、ア
クリル樹脂系エマルジョン形接着剤、反応形ホットメル
ト接着剤、EVA系ホットメルト接着剤、エラストマー
系ホットメルト形接着剤、ポリアミド系ホットメルト形
接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、合成ゴム系
溶剤形接着剤、合成ゴム系ラテックス形接着剤、アクリ
ル樹脂系エマルジョン形粘着剤等を挙げることができ、
これらは単独或いは組み合わせて用いることができる。
これらは、通常水或いは溶剤に溶解して、或いはエマル
ジョンとして、或いは液体の場合はそのままの状態で、
またホットメルトタイプの場合は熱溶融して接着面に塗
布される。中でもホットメルト系は作業性の面で優れて
おり特に好ましい。塗布量は通常乾燥重量で1〜30g
/mである。
【0013】以下、湿式製法による低密度成形体を用い
たケースを例に、本発明を更に詳しく説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。図5は、図3で示
される底面部材12と四つの側面部材13がつながった
一体型の低密度成形体11の製造に使われる凹型成形型
16の斜視図であり、A−A線での断面図が図6であ
る。また、図6〜図11は該成形型16を使った低密度
成形体製造の実施態様を示す断面図である。図6に示す
ように使用される凹型成形型16は、内壁17と外壁1
8からなる二重壁を有する上部開放系の凹形状のもの
で、内壁17は多数の脱水用小孔19を有し、内外二重
の壁で吸引室20が形成され、外壁底部には吸引口21
が取り付けられている。成形の工程は、図7に示すよう
に該成形型16の上に、スラリー溜め用の囲い枠である
ホッパー22を取り付けることから始まり、かかる状態
で上部のガイド23より濾水性良好なパルプスラリー2
4が供給されてホッパー上部まで満たされる。次に、図
8に示すように成形型16の下部にある吸引口21から
吸引脱水することにより、成形型内にパルプ堆積物25
が形成される。その際パルプの堆積は成形型16の開放
面上に盛り上がる状態に行われる。続いて、ホッパー2
2が取り除かれ、次に図9に示すようにパルプ堆積物2
5の成形型開放面からはみ出した不要部分の大部分が、
チップソー27で切除される。切除後、図10に示すよ
うに乾燥装置28を上にセットし、吸引口21から吸引
を行いながら熱風口29から熱風を送り込んで小孔30
から放出させ、パルプ堆積層を通過させて乾燥させる。
成形型から取り出すことによって図11に示す形状の低
密度成形体11(図3は、この斜視図)が得られる。続
いて、内壁と外壁を有する二重箱となる図12に示す形
状の板紙31を、図13に示すように折り曲げ、その内
壁と外壁の間に低密度成形体11を挟み込み組み立てる
ことによって、図14に示す保温保冷箱32が得られ
る。出来上がった保温保冷箱32は、その内壁と外壁の
間に図4に示す箱14を有している。
【0014】図15〜図17は別の実施態様を示すもの
で、本発明と同様の方法によって得られた図18に示す
上蓋33が嵌合するための段差構造34を設けたところ
が前実施態様と異なり、図15に示す形状の板紙31
を、図16に示すように折り曲げ、段差構造を有する低
密度成形体11を、その内壁と外壁の間に挟み込みなが
ら組み立てることによって、図17に示す保温保冷箱3
2が得られる。その際、段差構造部位は、ホットメルト
接着剤で箱と低密度成形体を接合しておくことが望まし
い。得られた箱32は、図19に示す上蓋33と組み合
わせて使われる。
【0015】湿式法による低密度成形体は、壁面に多数
の小孔を有する成形型内にスラリーを供給し、スラリー
の媒体である水を該小孔から除去することによってスラ
リー中の小孔不通過微細成分を成形型内に堆積させて湿
潤状態の成形物を成形し、その後に乾燥処理を施して得
られるものであり、成形型としては、通常一面が開放状
態の凹型成形型が用いられる。成形型には、パルプモー
ルド業界で公知のものを使うことが出来、小孔を有する
金型の表面に15〜200メッシュの金網を張りつけた
型が通常用いられる。成形型の小孔としては、通常直径
1〜10mmの範囲の円形のものが用いられる。
【0016】スラリー組成物の主原料には、環境に優し
い天然有機高分子からなる繊維・粗粉・微粒子が通常用
いられるが、中でも性能の良い成形体が得られる天然有
機高分子繊維が特に好ましい。これらは単独使用或いは
併用される。天然有機高分子繊維としては、例えば、1
針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパル
プ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学
パルプ、或いはGP、TMP(サ−モメカニカルパル
プ)等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、リンター
パルプ、撥水化、耐水化、硬化の何れかの処理の少なく
とも一つを施したパルプ、同処理を施した古紙パルプ
(特願平10−032920号明細書)液体アンモニア
処理パルプ、マーセル化パルプ、カールドファイバー
(米国ウェアハウザー社製、商品名:HBA−FF、N
HB405、NHB416)、特願平10−37792
3号明細書に記載の麻繊維、等のセルロース系繊維、2
ウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋白系繊維、3キチ
ン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維
等が挙げられる。中でも、セルロース系繊維は性能的に
優れている上に調達が容易であり特に好ましい。
【0017】スラリー組成物には、成形体の要求特性に
合わせて適宜素材が選択され配合される。成形体の層間
強度を高めたい場合には、パルプ等の天然繊維をサンド
グラインダー等で機械的処理しフィブリル化して得られ
る数平均繊維長が0.01〜0.80mmの範囲の天然
系微細繊維、或いはポリエチレン繊維、ポリプロピレン
繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン鞘芯繊維、共重合
ポリエステル−ポリエチレンテレフタレート鞘芯繊維、
生分解性の脂肪族ポリエステル繊維等の熱可塑性合成繊
維の配合が有効である。中でも、パルプ系微細繊維と熱
可塑性合成繊維を併用したものは、変形が少なく表面平
滑性に優れた成形体が得られるので特に好ましい。尚、
該熱可塑性合成繊維としては、スラリー調製の際に媒体
への分散が容易な数平均繊維長が2〜20mmの範囲の
短繊維が特に好ましい。該パルプ系微細繊維、熱可塑性
合成繊維は単独使用或いは複数種併用され、通常組成物
に対して乾燥重量で2〜40%の範囲で配合される。
【0018】また、特願2000−105555号に記
載の短冊状古紙は性能的に優れており、上記の如きセル
ロース系繊維と併用する素材として好ましいものであ
る。また、籾殻及びその粉砕物も併用する素材として好
ましいものである。これらは、通常組成物に対して乾燥
重量で5〜80%の範囲で配合される。
【0019】スラリー組成物には、必要に応じて他に適
宜、接着剤、耐水化剤、撥水剤、染料、顔料、濾水性向
上剤、PH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、
防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、殺鼠剤、防虫剤、保
湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、発泡剤、界面活性剤、電
磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤、
熱可塑性樹脂粉末、発泡性熱可塑性樹脂粉末、発泡性や
芳香性等の各種マイクロカプセル等を選択し配合するこ
とができる。これらは複数種併用することも出来る。
【0020】本発明のスラリー組成物としては、断熱性
に優れた低密度成形体が効率良く造れるカナダ標準フリ
ーネス(CSF)が550ml以上の濾過性の良好なも
のが好ましい。因みに、本発明ではスラリー組成物のカ
ナダ標準フリーネス(CSF)はJIS−P−8121
に基づく方法で測定している。
【0021】スラリー形成に用いられる媒体としては通
常水が使用されるが、他に水とアルコール(メタノール
あるいはエタノール等)の混和液を使用することができ
る。スラリーの濃度は、通常乾燥固形分量が0.05〜
5重量%の範囲に調製されるが、分散状態の点で0.0
5〜3重量%の範囲のものが好ましい。
【0022】スラリーの成形型への注入は公知の方法に
よって行われる。スラリーの媒体を小孔から除去する方
法としては、例えば、吸引脱水法、ガス加圧脱水法、機
械加圧脱水法、電気浸透脱水法等があり、これらを組合
せることもできる。注入に用いられるスラリーの種類は
通常は一種類であるが、スラリーの注入を二段階以上に
分け、その際に用いるスラリーの組成を変えることによ
って、異なる組成の堆積層が順次積層した状態の成形物
を得ることもできる。
【0023】脱水後の乾燥は成形型内或いは型外で行う
ことが出来るが、品質面では型内乾燥の方が優れたもの
が得られる。乾燥方法としては、熱風乾燥、赤外線乾
燥、マイクロウェーブ乾燥等製紙業界公知の方法を用い
ることが出来るが、本発明の緩衝材は通気性に優れてい
るので、乾燥には湿潤状態の堆積層に加熱エアーを効率
良く通過させる方法が望ましい。
【0024】かくして得られた低密度成形体には、繊維
脱落防止や強度アップのために、噴霧、含浸、塗工等の
手段で接着剤や上記の天然系微細繊維を含有せしめるこ
とが出来る。該接着剤には、例えば、澱粉、加工澱粉、
植物ガム、ゼラチン、カゼイン、PVA、CMC、ヒド
ロキシエチルセルロース、尿素ホルムアルデヒド樹脂、
メラミンホルムアルデヒド樹脂、酢酸ビニル樹脂系エマ
ルジョン、アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン、スチレン−ブ
タジエン共重合エマルジョン等、当業界公知のものを挙
げることが出来る。また、接着剤の他に必要に応じて、
耐水化剤、撥水剤、染料、顔料、防腐剤、防黴剤、抗菌
剤、難燃剤、殺鼠剤、防虫剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、
電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤
等を同様の手段によって含有せしめることが出来る。
【0025】尚、本発明に用いられるスラリー組成物の
主原料には、環境に優しい天然有機高分子が用いられる
が、他に、合成有機高分子、半合成有機高分子、無機物
質からなる繊維・粗粉・微粒子等を主原料とする場合に
も環境以外の部分では本発明の効果が期待できる。
【0026】かくして得られた低密度成形体は、内壁と
外壁の二重壁からなる紙製箱の内壁と外壁の間の空隙に
嵌め込まれて本発明の保温保冷箱が形成されるが、必要
に応じて更に、表面にフィルムの貼り合わせ、或いは耐
水化剤の塗布を行うことが出来る。尚、実施態様として
例示した保温保冷箱は四角形状のものであるが、本発明
の箱の形状は特に限定されるものではない。以下に実施
例を挙げてより具体的に説明するが、勿論本発明はこれ
らに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例に
おいて「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り
「重量部」及び「重量%」を示す。
【0027】<実施例1>ジュート麻袋を断裁機で20
cm角に切断した後に、粉砕機(ホーライ製、V−36
0)で粉砕して数平均繊維長7mmの麻繊維を得た。こ
の繊維のカナダ標準フリーネスを測定したところ733
mlであった。また、固形分濃度1%の新聞古紙パルプ
の水スラリーを、平均粒径2mmΦのガラスビーズを8
0%充填した1.5リットル用のサンドグラインダー
(シンマル・エンタープライゼス製、ダイノミルKDL
−PILOT)に350ml/分で導入、通過させるこ
とにより数平均繊維長0.27mmのパルプ系微細繊維
を得た。以上のようにして得られた麻繊維85部(乾燥
重量)とパルプ系微細繊維5部(乾燥重量)に、更に共
重合ポリエステル−ポリエチレンテレフタレート鞘芯繊
維(帝人製、TSF.TJ04CN2.2×5)10部
(乾燥重量)を混合したものに水を加えて固形分濃度を
1.5%に調整し、十分攪拌してスラリーを得た。尚、
このスラリー組成物のカナダ標準フリーネスを測定した
ところ695mlであった。別に、外寸法が200mm
×300mm×100mmHの箱の展開形状を有する、
厚み20mmの成形物を得るための図6に示すような凹
型成形型を用意した。次に、図7に示すように該成形型
の上にスラリー溜め用囲い枠を取り付け、成形型とスラ
リー溜め用の囲いによって形成されたキャビティー内
に、ガイドより上記スラリーを供給した。続いて、図8
に示すように下部の吸引口から吸引脱水して、成形型の
開放面上に、繊維が盛り上がるように堆積させた。次
に、図9に示すようにチップソーを水平に移動させて堆
積物の不要部分を切除して平滑面を形成し、続いて図1
0に示すように底面が平らで該底面に多数の小孔を有す
るプレス機上型を、該平滑面に密着させた後に、上型の
熱風注入口から熱風を送り込んで乾燥して図11に示す
ような成形体を得た。続いて、超耐水性ライナー(王子
製紙製:USPC)を図12に示すように切り出し、折
り曲げて内壁と外壁を有する二重箱に組立てる工程の中
で、上記成形体を組立てながら、その内壁と外壁の間に
挟み込むことによって、図14に示すような保温保冷箱
を得た。かくして得られた保温保冷箱に冷凍食品を入
れ、同様の方法で得られた上蓋をしてその保冷性を評価
した結果、発泡スチロール製の箱と同レベルの性能を有
することが確認出来た。
【0028】
【発明の効果】上記のように、本発明は、内壁と外壁の
二重壁からなる紙製箱の内壁と外壁の間の空隙に、微細
成分を堆積させて得られる低密度成形体を入れて成形し
た保温保冷箱で、得られたもの優れた保温保冷性を有
し、しかも製作が簡単で、再資源化の際に基材の分離処
理が容易なので、安価で環境に優しいという特徴を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】分割型の低密度成形体の斜視図である。
【図2】図1の低密度成形体から得られる箱の斜視図で
ある。
【図3】一体型の低密度成形体の斜視図である。
【図4】図3の低密度成形体から得られる箱の斜視図で
ある。
【図5】図3の一体型の低密度成形体の湿式成形に用い
られる成形型の斜視図である。
【図6】図5の成形型のA−A面での断面図である。
【図7】図6の成形型の上にスラリー溜め用囲い枠をセ
ットした後、ガイドよりスラリーを供給して上部まで満
たした状態を示す断面図である。
【図8】図7の状態からスラリーを吸引脱水して、成形
型にパルプを堆積させた状態を示す断面図である。
【図9】成形型の開放面上に堆積した不要部分を、チッ
プソーで切除している状態を示す断面図である。
【図10】成形型内にある湿潤状態のパルプ成形物に、
熱風を注入して乾燥している状態を示す断面図である。
【図11】乾燥終了後に成形型から取り出して得られた
低密度成形体を示す断面図である。
【図12】折り曲げて組み立てることによって内壁と外
壁を有する二重箱となる板紙の平面図である。
【図13】図12の板紙を折り曲げ、その内壁と外壁の
間に低密度成形体を挟み込みながら組み立てている状態
を示す断面図である。
【図14】得られた保温保冷箱の断面図である。
【図15】別の実施態様に用いられる二重箱となる板紙
の平面図である。
【図16】図15の板紙を折り曲げ、その内壁と外壁の
間に低密度成形体を挟み込みながら組み立てている状態
を示す断面図である。
【図17】得られた保温保冷箱の断面図である。
【図18】本発明の方法で得られた上蓋の断面図であ
る。
【図19】図17の保温保冷箱と図18の上蓋を組み合
わせを示す斜視図である。
【符号の説明】
11:低密度成形体、12:底面部材、13:側面部
材、14:低密度成形体から得られる箱、15:V字の
溝、16:凹型成形型、17:内壁、18:外壁、1
9:小孔、20:吸引室、21:吸引口、22:スラリ
ー溜め用囲い枠、23:ガイド、24:パルプスラリ
ー、25:湿潤状態のパルプ堆積物、26:水滴、2
7:チップソー、28:プレス機上型、29:熱風注入
口、30:小孔、31:二重箱となる板紙、32:保温
保冷箱、33:上蓋。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E061 AA05 AB18 AD03 AD07 DA02 DB01 3E067 AB02 AB20 BA05A BB01A BB24A BB30A BC06A BC07A CA07 CA18 EA32 FA01 FC01 GA14 GD01 GD10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内壁と外壁の二重壁からなる紙製箱の内
    壁と外壁の間の空隙に、微細成分を堆積させて得られる
    低密度成形体を芯材として入れて形成したことを特徴と
    する保温保冷箱。
  2. 【請求項2】 該低密度成形体が、壁面に多数の小孔を
    有する成形型内にスラリーを供給し、スラリーの媒体で
    ある水を該小孔から除去して、スラリー中の小孔不通過
    微細成分を成形型内に堆積させて湿潤状態の成形物を成
    形させ、その後に乾燥して得られた成形体である請求項
    1に記載の保温保冷箱。
  3. 【請求項3】 該低密度成形体の製造に用いられるスラ
    リーの組成物が550ml以上のカナダ標準フリーネス
    (CSF)を有する請求項2に記載の保温保冷箱。
  4. 【請求項4】 スラリー組成物の主成分が、セルロース
    系繊維である請求項2又は3に記載の保温保冷箱。
  5. 【請求項5】 紙製箱が耐水性紙からなる請求項1乃至
    4に記載の保温保冷箱。
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