JP2003018941A - レチノイン酸代謝酵素遺伝子欠損動物 - Google Patents

レチノイン酸代謝酵素遺伝子欠損動物

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JP2003018941A JP2001207872A JP2001207872A JP2003018941A JP 2003018941 A JP2003018941 A JP 2003018941A JP 2001207872 A JP2001207872 A JP 2001207872A JP 2001207872 A JP2001207872 A JP 2001207872A JP 2003018941 A JP2003018941 A JP 2003018941A
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cyp26
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retinoic acid
animal
mice
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Hiroshi Hamada
博司 濱田
Yasuo Sakai
靖夫 坂井
Chikara Meya
主税 目野
Hideta Fujii
秀太 藤井
Jinsuke Nishino
仁輔 西野
Hidetaka Shiratori
秀卓 白鳥
Yukio Saijo
幸男 西條
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 CYP26遺伝子の機能が欠損した非ヒ
ト動物又はその子孫。 【効果】 本発明の非ヒト動物は、発生過程或いは生体
においてレチノイン酸の果たす役割を解明するために有
用。また、本発明の動物はビタミンA過剰症、レチノイ
ン酸過剰症等のCYP26が関連すると考えられる疾患
の病態機序の解明及びこれらの疾患の治療方法を検討す
るためのモデルとなり、斯かる疾病の予防・治療薬のス
クリーニングに使用することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレチノイン酸代謝酵
CYP26遺伝子の機能を欠損させたトランスジェニッ
ク非ヒト動物に関する。
【0002】
【従来の技術】レチノイン酸は、ビタミンAの活性代謝
物であり、正常な胚発生において重要な役割を果たして
いる(Conlon, R.A. 1995.Trends Genet. 11: 314-31
9)。また、レチノイン酸は、紫外線角化症、ざ瘡、乾
癬、及び魚鱗癬のような皮膚疾患、急性前骨髄性白血病
(APL)、頭頸部腫瘍及び皮膚癌を含む癌の治療に有
用であることが知られ、一方で、妊娠期間中にレチノイ
ン酸を過剰摂取すると、多岐にわたる発生異常が起こる
ことも報告されている。従って、レチノイン酸を疾患の
治療薬として安全に用いるためには、発生過程或いは生
体レベルでレチノイン酸の果たす役割を十分に解明する
ことが重要である。
【0003】レチノイン酸は、RARs及びRXRsと
いう核レセプターのリガンドとして働くことによってそ
の作用を発現し、RAR−RXRホモダイマー又はヘテ
ロダイマーは、レチノイン酸の存在下において、一組の
遺伝子の発現を制御できると考えられている。従来、胚
形成におけるレチノイン酸の役割は、RAR又はRXR
が欠損した変異マウスを作製することによって検討され
てきたが、複数のレセプターの機能が重複しているため
に、レチノイン酸の役割については混乱が生じていた。
【0004】一方、レチノイン酸合成酵素であるRal
dh2の遺伝子欠損マウスも作製されているが、レチノ
イン酸を全く持たず重度の発生異常を呈して変異胚は早
期に死んでしまうため(Niederreither, K., et al., 1
999. Nature Genet. 21: 444-448.)、後のステージで
レチノイン酸が果たす役割は明らかにならなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、発
生過程及び生体におけるレチノイン酸の役割やレチノイ
ン酸が関与する疾患の発症機序等の解明に有用なモデル
動物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、斯かる実
情に鑑み、レチノイン酸代謝酵素として知られているC
YP26が、インビトロにおいてレチノイン酸を酸化型
レチノイン酸に代謝すること及び培養細胞においてCY
P26が過剰に発現すると細胞のレチノイン酸に対する
感受性が低下することに着目して検討したことろ、不活
性化したCYP26遺伝子を動物に導入することにより
レチノイン酸を過剰に生成する個体を得ることができ、
発生過程や生体におけるレチノイン酸の役割等を解明す
る上で有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、CYP26遺伝子の機
能が欠損した非ヒト動物又はその子孫を提供するもので
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明におけるCYP26とは、
P450RAとも呼ばれるレチノイン酸を代謝するP4
50酵素である(White,T.A., et al. 1996. Biol Che
m. 271: 29922-29927)。CYP26については、これ
まで、インビトロにおいてレチノイン酸を5,8−エポ
キシレチノイン酸、4−ヒドロキシレチノイン酸、18
−ヒドロキシレチノイン酸といった酸化型に代謝するこ
と(Fujii, H., et al. 1997. EMBO J. 16: 4163-417
3、White,J.A., et al. 1996. J. Biol Chem. 271: 29
922-29927)、培養細胞においては、CYP26が過剰
に発現すると細胞のレチノイン酸に対する感受性が低下
すること(Fujii, H., et al. 1997. EMBO J. 16: 4163
-4173)等が報告されている。従って、CYP26はイ
ンビトロにおけるレチノイン酸分解酵素であると考えら
れ、細胞内の活性型レチノイン酸濃度は、Raldh2
によるレチノイン酸の合成とCYP26によるレチノイ
ン酸分解とのバランスによって決定されているものと考
えられる。
【0009】本発明において、「CYP26遺伝子の機
能が欠損した」とは、該遺伝子の遺伝子産物であるCY
P26が正常に産生されないことをいい、CYP26自
体が産生されないこと及び一部を欠損するなどして機能
を発現し得ないCYP26様タンパク質を産生すること
が含まれる。
【0010】本発明のCYP26遺伝子の機能欠損動物
を得るためには、CYP26遺伝子をクローニングし、
インビトロで該遺伝子の機能を欠損させた後に、該欠損
遺伝子を動物に戻して染色体上のCYP26遺伝子との
間で相同組換えを起こさせ、染色体上のCYP26遺伝
子を破壊し、その動物自体又はその子孫の該遺伝子の機
能を欠損させるという方法が一般的に用いられる。
【0011】CYP26遺伝子としては、動物から単
離、抽出されたゲノム由来のCYP26遺伝子であって
もよく、或いは遺伝子工学的手法を用いてクローニング
されたCYP26cDNAであってもよい。例えばマウ
スCYP26遺伝子等が用いられる。
【0012】遺伝子の機能を欠損させる方法としては、
遺伝子に人為的に変異を加えて該遺伝子を破壊する方法
が挙げられ、例えばプロモーター領域及び/又はコード
領域の少なくとも一部の欠失や、他の遺伝子を挿入又は
置換することが挙げられる。
【0013】本発明でいう非ヒト動物は、CYP26遺
伝子の機能が欠損したもであればよく、CYP26遺伝
子がヘテロに欠損している動物及びホモに欠損している
動物のいずれもが含まれる。また、使用される動物は特
に限定されず、ヒトを除く全ての動物が挙げられ、好ま
しくはモルモット、ハムスター、マウス、ラット、ウサ
ギ、ブタ等の哺乳動物であり、病態モデルとしての扱い
が容易で且つ生物サイクルが比較的短い齧歯動物、特に
マウスが好ましい。
【0014】動物に遺伝子を導入してその動物の個体又
は子孫にその遺伝子を発現させる手法としては、従来か
らトランスジェニック動物の作成に常用されている公知
の手法を挙げることができ、例えば遺伝子DNAを受精
卵の前核期胚に注入する方法、組換えレトロウイルスを
初期胚に感染させる方法、相同組換えを起こさせた胚性
幹細胞(ES細胞)を胚盤胞又は8細胞期胚に注入する
方法等によって得られた宿主胚を動物に移植して産仔を
得、これを他の個体と交配し、F1ヘテロ変異動物、さ
らにはF2ホモ又はヘミ変異動物を作成する方法が挙げ
られる。このうち、ES細胞を用いる遺伝子導入の方法
は、相同組換えにより遺伝子を破壊(ノックアウト)す
るのに適しており、ES細胞に遺伝子を導入する工程と
キメラ動物を作出する工程とを分けて行えるという利点
を有しているので好ましい。ES細胞を用いる遺伝子導
入の方法は、公知の方法に準じて行えばよい。
【0015】以下、ES細胞を用いた遺伝子の導入の方
法について、マウスを例にして具体的に説明する。マウ
スのCYP26遺伝子は、図1に示す通りであり、斯か
る遺伝子機能の欠損には、プロモーター領域及び/又は
コード領域の少なくとも一部を欠失させるか、いずれか
の部位に他の遺伝子を挿入すればよい。また、CYP2
6遺伝子の機能を欠損させることができる限り、欠失又
は他の遺伝子を挿入する部位は、イントロンであっても
よい。そして、CYP26遺伝子との間で相同組換えを
行うにあたり、このように遺伝子を破壊するように構築
したDNA配列を有するDNA(ターゲティングベクタ
ー)を作製する。
【0016】挿入する遺伝子としては、CYP26遺伝
子の欠損を検出するためのマーカー遺伝子として機能す
る遺伝子を用いることが好ましく、そのような遺伝子と
しては、ポジティブ選別に用いるマーカー遺伝子とし
て、例えばネオマイシン(neo)耐性遺伝子が、ネガ
ティブ選別に用いるマーカー遺伝子として、例えばチミ
ジンキナーゼ(tk)遺伝子やジフテリアトキシンAフ
ラグメント(DT−A)遺伝子等が用いられる。尚、ネ
オマイシン耐性遺伝子は、ネオマイシン類似体であるG
418を用いることにより目的遺伝子の選別を可能にす
る。
【0017】好ましい遺伝子ターゲティングとしては、
5’−末端領域(7−kb SalI−ClaI断
片)、エキソン−イントロン領域(5.5kb Cla
I−XhoI断片)、及び3’−末端領域(4.5−k
b XhoI断片)を改変したpMC1−DTpAをタ
ーゲティングベクターとして用い、ClaI部位を含む
lox P断片を、5’−非翻訳領域に挿入し、lox
P−neoフラグメントを3’−末端領域のXhoI
部位に挿入すること等が挙げられる。尚、これらの遺伝
子の挿入は、インビトロで常用のDNA組換え技術によ
り行うことができる。
【0018】次に、こうして得られたターゲティングベ
クターと、ES細胞中のCYP26遺伝子との間で相同
組換えを行う。相同組換え用DNAのES細胞への導入
は、例えば常用のエレクトロポレーションにより行うこ
とができる。この相同組換えにおいては、ES細胞中の
CYP26遺伝子のDNAと相同組換え用DNAの対応
する領域との間で組換えが生じ、相同組換え用DNA中
に挿入されていたマーカー遺伝子がES細胞のゲノムの
CYP26遺伝子に挿入される。この結果、ES細胞
は、CYP26遺伝子の機能を欠損し、同時にマーカー
遺伝子を含むことになる。このマーカー遺伝子の選別機
能に基づいて、CYP26遺伝子の機能を欠損したES
細胞を選別することができる。
【0019】次に、このES細胞をマウスの胚盤胞等の
宿主胚に注入し、得られた胚を偽妊娠マウスの子宮角に
移植してキメラマウスを得る。このキメラマウスを適当
な系統のマウスと交配することによりF1へテロ型の産
仔を得る。キメラマウスの生殖細胞が相同組換え体、す
なわちCYP26遺伝子が破壊されているES細胞に由
来していれば、CYP26遺伝子の機能が欠損したマウ
スを得ることができる。また、得られたヘテロ欠損動物
同士を交配させ、その産仔の中からホモ欠損動物を得る
ことができる。
【0020】CYP26遺伝子の欠損や、該遺伝子がヘ
テロ又はホモに欠損したものであるかは、離乳に至った
後に尾からDNAを注出後、サザンブロット又はPCR
を行って、確認することができる。
【0021】尚、本発明の動物の飼育方法は、特別な方
法を用いる必要はなく、正常な動物と同様な方法により
飼育することができる。
【0022】本発明により得られたCYP26遺伝子の
機能が欠損したマウスは、後記実施例で示すように、レ
チノイン酸を過剰投与した場合と同様に尾部非形成等の
異常を呈し、また通常CYP26が発現する領域でレチ
ノイン酸の上昇が認められた。従って、CYP26がレ
チノイン酸分解酵素であることが裏付けられると共に、
本発明の動物はレチノイン酸を過剰生成する動物モデル
となり得る。
【0023】
【実施例】実施例1 CYP26変異マウスの作製 (1)CYP26遺伝子のクローニング CYP26クローンは、E14の胚性幹(ES)細胞か
ら構築されたゲノムライブラリから単離した。
【0024】(2)ターゲティングベクターの構築(図
1) (i)CYP26neo作製のためのターゲティングベク
ター CYP26の 5’−末端領域(7−kb SalI−
ClaI断片)、エキソン−イントロン領域(5.5k
b ClaI−XhoI断片)、及び3’−末端領域
(4.5−kb XhoI断片)を改変したpMC1−
DTpAベクターへサブクローニングすることによって
ターゲティングベクターを作製した(Taniguchi et al.
1997. Neuron 19: 519-530)。ClaI部位を含むlo
x P断片を、5’−非翻訳領域に挿入し、loxP−
neoカセットを3’−末端領域のXhoI部位に挿入
した。遺伝子ターゲティングは、既報の方法と同様に実
施した(Sawai, S., et al., 1991. New Biologist 9:
861−869)。ターゲティングベクターは、NsiIによ
って直線状にした後、エレクトロポレーションによりR
1 ES細胞に導入した。G418耐性のESクローン
133個のうち1個(R19)は相同的組換えを受けた
ことが示され、これは、5’プローブ、3’プローブ、
neoプローブなどの様々なプローブによるサザンブロ
ット分析によって確認された。
【0025】(ii)CYP26-作製のためのターゲ
ティングベクター ヌル対立遺伝子を作製するために、R19細胞にCre
発現ベクターによるエレクトロポレーションを実施した
後(pCre−Pac;Taniguchi,M., et al., 1997.Neuron 1
9: 519-530)、ピューロマイシン(1μg/ml;Sigma)
による選択を行なった。Cre介在した欠損は、PCR
及びサザンブロット分析によって証明した。 PCRは、プライマーP1(5'−GGTAACGTGGGCAGTAACCT
G(配列番号1))、 P2(5'−TCCATGAGCCGAGTTCTGTAG(配列番号2))、
及びP3(5'−TCCGTTCAGTCAGTCTCATAC(配列番号
3))を用いて実施した。CYP26エキソンを失った
ことが明らかな1つのクローン(R19−R93)を用
いた。
【0026】(3)キメラマウスの作製 R19又はR19−R93細胞を、C57BL/6Cr
マウスを(C57BL/6Cr×DBA)F1マウスと
交配させて得られた胚盤胞に注入し、キメラ動物を誕生
させた。各ES細胞株に由来する雄キメラをC57BL
/6Cr雌と交配させ、ヘテロ接合体F1子孫を出生さ
せた。F1ヘテロ接合体同士を交配し、CYP26
neo/neoマウス及びCYP26-/-マウスを取得した。
【0027】実施例2 CYP26変異マウスの性質 エキソンを全て欠失させたヌル対立遺伝子(CYP26
-)及びneo遺伝子を3’−末端領域に挿入した低次
形態対立遺伝子(CYP26neo)を有する変異マウス
の性質を以下に示す。 (1)CYP26±ヘテロ接合体は肉眼的には正常であ
るように思われ、多数取得された。これらのヘテロ接合
体の異種交配によりCYP26-/-マウスが誕生した
が、そのほとんどは1日以内に死亡した。CYP26
-/-マウスの表現型は、厳密に言えば多様であったが、
尾部欠損、脊椎のトランスフォーメーション、及び菱脳
のパターン形成異常という特徴は大きく共通していた
(表1)。CYP26-/-マウスの外見は人魚様の奇形
(合脚体)を呈し、体の尾部は重度に欠損し、それ以外
の前方部分は比較的正常な状態を維持していた(図2
A、B)。後肢は総じて正中線で融合しており、尻尾は
欠失していた。二分脊椎(図2D)も著明であった。C
YP26-/-マウスの腹部器官の剖検により、腎などの
泌尿生殖器系の無形成や形成不全が明らかになった。後
腸の後端は虫垂で終了しているものが多かった(図2
E)。胚の組織学的分析により、泌尿生殖器系の無形成
又は形成不全が確認された(図2F、G)。腎はしばし
ば融合しており、馬蹄腎の発生を呈した(図2F)。C
YP26neo/neoマウスは正常であるように思われた
が、CYP26neo/-マウスは短い尾又はよじれた尾を
特徴とする微かな表現型を示したことから(図2G)、
CYP26neoは形質発現作用の弱い対立遺伝子である
ことが示された。
【0028】
【表1】
【0029】出生時点におけるCYP26-/-マウスの
発現頻度は予想より低く(表2)、これらの動物の2/
3以上が子宮内で死亡することが示された。
【0030】
【表2】
【0031】(2)ヌル対立遺伝子のホモ接合体におけ
る胎仔の致死性 ヘテロ接合体の異種交配から生まれた同腹仔を分析した
ことろ、ホモ接合変異胚は、胎生9.5日目(E9.
5)に予想された頻度で検出され、E8.5までは形態
学的に正常であった。形態学的異常が最初に明らかにな
ったのはE9.5であり、その時点で、CYP26-/-
胚は全て(25/25)が後部欠損を呈しており、その
中には、前方神経管閉鎖不全がある胚(18/25)も
あれば、前方神経管不全がない胚(7/25)もあっ
た。さらに重度に冒された胚(10/25)は、神経管
の不規則な折れ曲がり、不規則な体節、不完全な軸の回
転、心臓異常といった別の欠陥をきたしていた。E1
2.5〜E18.5の変異胚は、尾部欠損を発現したほ
か(重症例を図2Cに示す)、一部(3/13)には脳
脱が見られた。
【0032】(3)レチノイン酸応答性トランスジーン
(RARE−hsplacZ)の発現 RARE−hsplacZは、hsp68プロモーター
及びlacZ遺伝子と関連した3つのレチノイン酸応答
配列から構成されており、これにより内因性レチノイン
酸のトランスアクティベーション活性を明らかにするこ
とができるが(Rossant,J.,et al., 1991.Genesa & D
ev.5:1333-1344)、野生型胚におけるCYP26発現
レベルは、RARE−hsplacZの発現レベルと逆
相関するように思われた。E7.75に、CYP26の
発現は前部領域に制限されていたが(図3A)、lac
Zトランスジーンの発現は後部領域で顕著であった(図
3E)。E8.25に尾芽でCYP26発現が開始する
ときに(図3B、C)、尾芽のlacZ発現は低下を始
める(図3F、G)。E8.5〜E9.0に、尾芽にお
けるCYP26の発現が最大のとき(図3D)、トラン
スジーンの発現は尾芽全体から消失している(図3
H)。一方、CYP26-/-胚では、E8.25及びE
9.0に、尾芽におけるRARE−hsplacZトラ
ンスジーンの発現は続いており(図3J−L)、このこ
とは、CYP26の欠如によりレチノイン酸濃度が上昇
することを示している。
【0033】
【発明の効果】本発明のCYP26遺伝子の機能が欠損
した非ヒト動物は、発生過程或いは生体においてレチノ
イン酸の果たす役割を解明するために有用である。ま
た、本発明の動物はビタミンA過剰症、レチノイン酸過
剰症或いはビタミンA欠乏症等のCYP26が関連する
と考えられる疾患の病態機序の解明及びこれらの疾患の
治療方法を検討するためのモデルとなり、更にCYP2
6遺伝子欠損に起因する疾病の予防・治療薬のスクリー
ニングに使用することもできる。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110>JAPAN SCIENCE AND TECHNOLOGY CORPORATION <120> Animal deficient in retinoic acid-inactivating enzyme gene <130>P02971307 <160> 3 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210>1 <211>21 <212>DNA <213>Artificial Sequence <400>1 ggtaacgtgg gcagtaacct g 21 <210>2 <211>21 <212>DNA <213>Artificial Sequence <400>2 tccatgagcc gagttctgta g 21 <210>3 <211>21 <212>DNA <213>Artificial Sequence <400>3 tccgttcagt cagtctcata c 21
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ターゲティングベクターの構築図であ
る。挿入対立遺伝子(CYP26neo)は、野生型CY
P26対立遺伝子(エキソンを黒い四角形で示す)とタ
ーゲティングベクターの間の相同的組換えにより作製
し、ヌル対立遺伝子(CYP26-)は、その後のlo
x P部位間に位置する指定領域のCre介在欠失によ
り作製した。
【図2】図2は、CYP26突然変異マウスにおける尾
部欠損を示す図である。 A:生後1日目(P1)の野生型(+/+)マウス及び
CYP26-/-マウス。 B:P1の野生型マウス及びCYP26-/-マウスを腹
部側から見たもの。 C:後肢及び尻尾が完全に欠損したE16.5のCYP
26-/-胚を側方から見たもの。 D:P1における二分脊椎を呈するホモ接合突然変異胚
を背部から見たもの。 E:P1におけるCYP26-/-胚の腸の閉鎖。 F、G:P1におけるCYP26-/-マウス腹部の組織
学的所見。 vb:脊椎体。 H:生後8−10週のCYP26neo/neoマウス及びC
YP26neo/-マウス。C−Gの縮尺表示は1mmであ
る。
【図3】図3は、尾芽におけるCYP26発現と内因性
RA濃度との相関を示した図である。 A−D:E7.75、E8.25、E9.0の野生型胚
におけるCYP26の発現。 E−H:野生型胚におけるRARE−hsplacZト
ランスジーンの発現。 I−J:CYP26-/-胚におけるRARE−hspl
acZトランスジーンの発現。 A:前部、P:後部、n:節、矢印先端部(C、G、
K):尾部先端の位置、*印(D、H、L):尿膜底
部。縮尺表示は300μmである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 目野 主税 大阪府吹田市山田丘1−3 大阪大学 細 胞生体工学センター内 (72)発明者 藤井 秀太 大阪府吹田市山田丘1−3 大阪大学 細 胞生体工学センター内 (72)発明者 西野 仁輔 大阪府吹田市山田丘1−3 大阪大学 細 胞生体工学センター内 (72)発明者 白鳥 秀卓 大阪府吹田市山田丘1−3 大阪大学 細 胞生体工学センター内 (72)発明者 西條 幸男 大阪府吹田市山田丘1−3 大阪大学 細 胞生体工学センター内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA10 BA07 CA02 DA02 GA14 GA18 HA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CYP26遺伝子の機能が欠損した非ヒ
    ト動物又はその子孫。
  2. 【請求項2】 CYP26遺伝子のいずれかの部位が欠
    失しているか、又はいずれかの部位に他の遺伝子が挿入
    されることにより該遺伝子の機能が欠損したものである
    請求項1記載の動物。
  3. 【請求項3】 他の遺伝子がネオマイシン耐性遺伝子で
    ある請求項2記載の動物。
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