JP2003014761A - 皮膚感作性検定方法 - Google Patents

皮膚感作性検定方法

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JP2003014761A JP2001198634A JP2001198634A JP2003014761A JP 2003014761 A JP2003014761 A JP 2003014761A JP 2001198634 A JP2001198634 A JP 2001198634A JP 2001198634 A JP2001198634 A JP 2001198634A JP 2003014761 A JP2003014761 A JP 2003014761A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被験物質の皮膚感作性を、煩雑な動物実験を行
うことなく、少量の被験物質で、簡便かつ迅速に検定す
る方法を提供すること。 【解決手段】モノマーとしての分子量が5万以下のシス
テイン含有ペプチドと被験物質とを混合した後、前記ペ
プチドと被験物質との結合物の有無を測定することを特
徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被験物質の皮膚感
作性の検定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化学物質が皮膚に接触するとアレルギー
反応が惹起されることがあることから、例えば医・農薬
や化粧品等の化学物質を含む製品を開発するに当って
は、その内容物質の皮膚感作性の検定が必要となる。従
来、被験物質の皮膚感作性を検定する方法としては、実
験動物に被験物質を経皮投与して、その投与部位の皮膚
反応を観察する方法(Maximization試験、Buehler試験
等)、実験動物に被験物質を経皮投与して、リンパ球の
増殖を調べる方法(Local Lymph Node Assay等)などが
知られている。そして、かかる検定方法は、実験動物の
飼育の他、被験物質の実験動物への投与や、皮膚観察、
血液検査といった煩雑な作業を必要とし、また、そのた
めの期間を要する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】医・農薬や化粧品等の
開発に際しては、厳格な毒性試験が要求されていること
から、最終的には上記のような動物実験による皮膚感作
性の有無についての検定も必要とされている。しかしな
がら、開発初期段階における開発候補化合物の全てにつ
いて、このような動物実験を実施すると、多数の実験動
物、多量の被験物質および多大な時間を要することか
ら、被験物質の皮膚感作性を、少量の被験物質で、より
簡便に、かつ迅速に検定する方法の開発が強く求められ
ていた。本発明の目的は、このような煩雑な動物実験を
行うことなく、被験物質の皮膚感作性を簡便かつ迅速に
検定する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況の下、鋭意検討した結果、モノマーとしての分子量が
約5万以下のシステイン含有ペプチドと被験物質とを混
合し反応させた際の該ペプチドと被験物質との結合の有
無を測定することにより、当該被験物質の皮膚感作性を
検定し得ることを見出し、本発明に至った。すなわち、
本発明は、モノマーとしての分子量が5万以下のシステ
イン含有ペプチドと被験物質とを混合した後、前記ペプ
チドと被験物質との結合物の有無を測定することを特徴
とする被験物質の皮膚感作性の検定方法を提供するもの
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の検定方法につき説
明する。本発明の検定方法において使用し得るペプチド
は、システイン残基を1個以上含み、かつ、モノマーと
しての分子量が約5万以下のペプチドであって、具体的
には例えばグルタチオン等が挙げられる。かかるペプチ
ドを、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の
リン酸アルカリ金属塩などの無機酸塩や、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩などの
有機酸塩等を含む水性緩衝液、もしくは水、またはこれ
らと有機溶媒との混合溶媒に、例えば約0.01μM〜
約1M程度の濃度、通常約10μM〜約100mM程度の
濃度となるよう溶解する。被験物質は、例えば、メタノ
ール、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの有
機溶媒またはこれらの混合溶媒に、例えば約0.01μ
M〜約1M程度の濃度、通常約1mM〜約500mM程度の
濃度となるよう溶解する。次いで、上記のペプチド溶液
と被験物質溶液とを、ペプチドと被験物質のモル濃度比
が例えば1:100〜20:1となるように混合し反応
させる。該反応には、ペプチド溶液と被験物質溶液との
混合液を、例えば約4℃から約60℃程度の温度範囲に
て保温しながら、通常約10分間〜約2日間程度静置す
る。
【0006】かかる反応により生成した被験物質とペプ
チドとの結合物の有無は、ペプチド溶液と被験物質溶液
との混合液を次のようにして分析することにより測定さ
れる。混合液の分析方法としては、例えば、高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー
(GC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、質量分析(M
S)等をあげることができる。また、HPLC、GC、またはT
LCのいずれかとMSとを組み合わせた分析方法(LC-MS,G
C-MS,TLC-MS)等を用いることもできる。該方法によれ
ば、試料に複数成分が含まれていてもそれらを個々に分
離し、それぞれについて質量分析することができる。上
記のHPLC、GC、またはTLCに用いることのできるクロマ
トグラフ手法としては、逆相、正相、イオン交換などを
挙げることができる。このようなクロマトグラフ手法に
使用可能な市販のカラムやTLCとしては、例えば、LCカ
ラムとしてはSUMIPAX ODS A-212(住化分析センター
製)、L-column ODS(化学品検査協会製)、コスモシー
ル5C18-AR-II(ナカライテスク社製)等をあげることが
でき、TLCプレートではシリカゲル60F254(メルク社
製)、Silica Gel 60 Plate(ナカライテスク社製)な
どを挙げることができる。また、質量分析で利用するこ
とのできるイオン化法としては、例えば、マトリクス支
援レーザーイオン化(MALDI)法、エレクトロスプレー
イオン化(ESI)法、大気圧イオン化(API)法、電子衝
撃イオン化(EI)法、高速原子衝撃イオン化(FAB)法
などを挙げることができる。このようなイオン化法に使
用可能な市販のイオン源としては、MALDI法の場合、島
津/KRATOS社製、PE バイオシステムズ社製、マイクロ
マス社製、Bruker社製等のイオン源が挙げられる。また
ESI法の場合、Finnigan Mat社製、マイクロマス社製、
サイエックス社製、Hewlett-Packard社製、PE バイオシ
ステムズ社製等のイオン源が挙げられる。質量分析計と
しては、磁場型、四重極型、イオントラップ型、フーリ
エ変換−イオンサイクロトン共鳴型、飛行時間型の質量
分析計をあげることができる。上記のようにして得られ
た混合液の分析結果を、例えば、混合前のペプチド溶液
および被験物質溶液各々の分析結果と比較し、混合前の
ペプチド溶液および被験物質溶液からは検出されず、か
つ保温後の混合液からのみ検出される成分の有無を調べ
ることにより、ペプチドと被験物質との結合物の有無を
測定することができる。かかる分析に、MS、LC-MS、GC-
MS、TLC-MS等の質量分析法を用いると、各成分につい
て、質量スペクトルから得られる情報に基づいて質量、
構造等を解析してその組成や構造を確認することによ
り、ペプチドと被験物質との結合物を特定することもで
きる。
【0007】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0008】実施例1 1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(以下、DNCBと
記す。皮膚感作性陽性。質量202)を2mg/ml(10mM)
となるようアセトンに溶解した溶液0.1mlと、以下に記
載のグルタチオン溶液1〜3のいずれか1mlとを混合し、
37℃で1時間保温した後、その20μlを以下に記載の
条件にてHPLCに供した。得られたクロマトグラムを、上
記のDNCB溶液およびグルタチオン溶液のそれぞれを
同様に分析して得られたクロマトグラムと比較した。そ
の結果、1〜3のいずれのグルタチオン溶液を用いた場
合にも、DNCB溶液およびグルタチオン溶液それぞれ
のクロマトグラムには認められないピーク(以下、ピー
ク1と記す。)が検出された。
【0009】[グルタチオン溶液] 1;グルタチオンを3.0mg/ml(9.8mM)となるよう0.2M
NaH2PO4-Na2HPO4 pH 6に溶解 2;グルタチオンを3.0mg/ml(9.8mM)となるよう0.2M
NaH2PO4-Na2HPO4 pH 8に溶解 3;グルタチオンを3.0mg/ml(9.8mM)となるよう0.2M
Na2CO3-NaHCO3 pH 10に溶解
【0010】[HPLC測定条件] 島津製作所製LC-10AD カラム:SUMIPAX ODS A−212(6mm
×150mm) カラム温度:25℃ 流速:1ml/min. 検出波長:220nm 溶出液A:蒸留水にTFAを0.1%添加した溶液 溶出液B:アセトニトリルにTFAを0.08%添加した溶
液 溶出条件:溶出液Aが95%、溶出液Bが5%の割合で混合
された溶出液で平衡化 されたカラムにサンプルを注入した後、30分間かけて溶
出液Bの割合を5%から80%にまで上げながら溶出液Aと
溶出液Bの混合液を流した。
【0011】DNCBを20mg/ml(100mM)となるようアセトン
に溶解した溶液0.4mlと、グルタチオンを6.5mMとなるよ
う0.2M酢酸アンモニウムに溶解した溶液2mlとを混合
し、37℃で1時間保温した後、凍結乾燥した。凍結乾
燥物をメタノールに溶解し、MSに供した。その結果、
上記のピーク1に相当する化合物の質量数は473と測
定された。該質量数は、DNCBから塩素が脱離してグルタ
チオン(質量307)と結合してなる化合物の質量と一
致する。
【0012】[MS測定条件] PEバイオシステムズ製Voyager DE-STR型質量分析計 イオン化;MALDI法
【0013】実施例2 トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、TNBS
と記す。皮膚感作性陽性。質量315)を3.5mg/ml(10
mM)となるようアセトンに溶解した溶液0.1mlと、実施
例1に記載のグルタチオン溶液2の1mlとを混合し、3
7℃で1時間保温した後、その20μlを実施例1に記載
の条件にてHPLCに供した。得られたクロマトグラム
(図3)を、上記のグルタチオン溶液およびTNBS溶液を
それぞれ同様に分析して得られたクロマトグラム(図1
および図2)と比較した。その結果、TNBS溶液およびグ
ルタチオン溶液それぞれのクロマトグラムには認められ
ないピーク(図3;ピーク、)が検出された。上記
のTNBSとグルタチオンとの混合液を、以下に記載の条件
にてLC−MSに供した。上記のピークおよびにそ
れぞれ相当するピークのMSスペクトル(図4、図5)
から、これらのピークに相当する化合物の質量数は、
が518、が518と測定された。該質量数は、TNBS
から−SO3Na基が脱離してグルタチオンと結合してなる
化合物の質量と一致する。また、グルタチオン溶液2に
替えて、グルタチオン溶液1を用いて同様に分析した。
グルタチオン溶液2を用いた上記結果と同様の結果が得
られた。
【0014】[LC−MS測定条件] LC;日立製L-6200(UVはL-4000) カラム:SUMIPAX ODS A−212(6mm
×150mm) カラム温度:25℃ 流速:1ml/min. 検出波長:254nm 溶出液A:蒸留水にTFAを0.1%添加した溶液 溶出液B:アセトニトリルにTFAを0.08%添加した溶
液 溶出条件:溶出液Aが95%、溶出液Bが5%の割合で混合
された溶出液で平衡化 されたカラムにサンプルを注入した後、30分間かけて溶
出液Bの割合を5%から80%にまで上げながら溶出液Aと
溶出液Bの混合液を流した。
【0015】MS;Finnigan Mat製 TSQ700型質量分
析計 イオン化:ESI法 スプレー電圧:4.5kV キャピラリー温度:285℃ シースガス:80psi オグジュラリーガス:10Unit
【0016】実施例3 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、DCC
と記す。皮膚感作性陽性。質量206)を21mg/ml(100
mM)となるようメタノールに溶解した溶液0.1mlと、実
施例1に記載のグルタチオン溶液1〜3のいずれか1mlと
を混合し、37℃で1時間保温した後、その20μlを実
施例2に記載の条件にてLC−MSに供した。LCにて
得られたクロマトグラムを、上記のグルタチオン溶液お
よびDCC溶液のそれぞれを同様に分析して得られたクロ
マトグラムと比較した。その結果、1〜3のいずれのグ
ルタチオン溶液を用いた場合にも、DCC溶液およびグル
タチオン溶液それぞれのクロマトグラムには認められな
いピークが検出された。このピークのMSスペクトルか
ら、当該ピークに含まれる化合物の質量数は、513と
測定された。該質量数は、DCC(質量206)とグルタチオ
ン(質量307)との結合物の質量と一致する。
【0017】実施例4 1,2−エポキシオクタン(以下、1,2EOと記す。皮
膚感作性陽性。質量128)を12mg/ml(100mM)となる
ようメタノールに溶解した溶液0.1mlと、実施例1に記
載のグルタチオン溶液1〜3のいずれか1mlとを混合し、
37℃で1時間保温した後、その20μlを実施例2に記
載の条件にてLC−MSに供した。LCにて得られたク
ロマトグラムを、上記のグルタチオン溶液および1,2EO
溶液のそれぞれを同様に分析して得られたクロマトグラ
ムと比較した。その結果、1〜3のいずれのグルタチオ
ン溶液を用いた場合にも、1,2EO溶液およびグルタチオ
ン溶液それぞれのクロマトグラムには認められないピー
クが検出された。このピークのMSスペクトルから、当
該ピークに含まれる化合物の質量数は、435と測定さ
れた。該質量数は、1,2EO(質量128)とグルタチオン
(質量307)との結合物の質量と一致する。
【0018】実施例5 1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(以
下、MNNGと記す。皮膚感作性陽性。質量147)を14mg
/ml(100mM)となるようメタノールに溶解した溶液0.1m
lと、実施例1に記載のグルタチオン溶液1または2の
いずれか1mlとを混合し、37℃で1時間保温した後、
その20μlを実施例2に記載の条件にてLC−MSに供
した。LCにて得られたクロマトグラムを、上記のグル
タチオン溶液およびMNNG溶液のそれぞれを同様に分析し
て得られたクロマトグラムと比較した。その結果、1ま
たは2のいずれのグルタチオン溶液を用いた場合にも、
MNNG溶液およびグルタチオン溶液それぞれのクロマトグ
ラムには認められないピークが検出された。このピーク
のMSスペクトルから、当該ピークに含まれる化合物の
質量数は、394と測定された。該質量数は、MNNGから
−N(NO)CH3基が脱離してグルタチオンと結合し
てなる化合物の質量と一致する。
【0019】実施例6 ホルムアルデヒド(37%水溶液)(以下、FAと記す。
皮膚感作性陽性。質量30)を3mg/ml(37mM)となるよ
うメタノールに溶解した溶液0.1mlと、実施例1に記載
のグルタチオン溶液1または2のいずれか1mlとを混合
し、37℃で1時間保温した後、その20μlを実施例2
に記載の条件にてLC−MSに供した。LCにて得られ
たクロマトグラムを、上記のグルタチオン溶液およびFA
溶液のそれぞれを同様に分析して得られたクロマトグラ
ムと比較した。その結果、1または2のいずれのグルタ
チオン溶液を用いた場合にも、FA溶液およびグルタチオ
ン溶液それぞれのクロマトグラムには認められないピー
クが検出された。このピークのMSスペクトルから、当
該ピークに含まれる化合物の質量数は、337と測定さ
れた。該質量数は、FAとグルタチオンとの結合物の質量
と一致する。
【0020】実施例7 グルタルアルデヒド(25%水溶液)(以下、GAと記
す。皮膚感作性陽性。質量100)を52mg/ml(130mM)
となるようメタノールに溶解した溶液0.1mlと、実施例
1に記載のグルタチオン溶液1または2のいずれか1mlと
を混合し、37℃で1時間保温した後、その20μlを実
施例2に記載の条件にてLC−MSに供した。LCにて
得られたクロマトグラムを、上記のグルタチオン溶液お
よびGA溶液のそれぞれを同様に分析して得られたクロマ
トグラムと比較した。その結果、1または2のいずれの
グルタチオン溶液を用いた場合にも、GA溶液およびグル
タチオン溶液それぞれのクロマトグラムには認められな
いピークが2本検出された。これらのピークのMSスペ
クトルから、これらのピークに含まれる化合物の質量数
はそれぞれ、407および489と測定された。質量数
407は、GAとグルタチオンとの結合物の質量と一致す
る。また、質量数489は、2原子の水素と1原子の酸
素の脱離を伴って2分子のGAと1分子のグルタチオンと
が結合してなる化合物の質量と一致する。
【0021】実施例8 サリチル酸メチル(以下、MSCと記す。皮膚感作性陰
性。質量152)を15mg/ml(100mM)となるようメタノ
ールに溶解した溶液0.1mlと、実施例1に記載のグルタ
チオン溶液1または2のいずれか1mlとを混合し、37℃
で1時間保温した後、その20μlを実施例2に記載の条
件にてLC−MSに供した。LCにて得られたクロマト
グラムを、上記のグルタチオン溶液およびMSC溶液のそ
れぞれを同様に分析して得られたクロマトグラムと比較
した。その結果、1または2のいずれのグルタチオン溶
液を用いた場合にも、MSC溶液およびグルタチオン溶液
それぞれのクロマトグラムに認められないピークは検出
されなかった。
【0022】実施例9 フェノール(以下、PHと記す。皮膚感作性陰性。質量9
4)を9mg/ml(100mM)となるようメタノールに溶解し
た溶液0.1mlと、実施例1に記載のグルタチオン溶液1ま
たは2のいずれか1mlとを混合し、37℃で1時間保温
した後、その20μlを実施例2に記載の条件にてLC−
MSに供した。LCにて得られたクロマトグラムを、上
記のグルタチオン溶液およびPH溶液のそれぞれを同様に
分析して得られたクロマトグラムと比較した。その結
果、1または2のいずれのグルタチオン溶液を用いた場
合にも、PH溶液およびグルタチオン溶液それぞれのクロ
マトグラムに認められないピークは検出されなかった。
【0023】実施例10 エチルスルホニルベンゼン(以下、PVSと記す。皮膚感
作性陽性。質量168)を16mg/ml(100mM)となるよう
アセトンに溶解した溶液0.4mlと、グルタチオンを2mg/m
l(6.5mM)となるよう0.2M酢酸アンモニウムに溶解した
溶液2mlとを混合し、37℃で1時間保温した後、凍結
乾燥した。凍結乾燥物をメタノールに溶解し、実施例1
に記載の条件にてMSに供した。その結果、試料中に
は、質量数475の化合物と質量数643の化合物が含
まれることが判明した。質量数475は、1分子のPVS
と1分子のグルタチオンが結合してなる化合物の質量と
一致する。また、質量数643は、2分子のPVSと1分子
のグルタチオンが結合してなる化合物の質量と一致す
る。
【0024】実施例11 無水マレイン酸(以下、MAと記す。皮膚感作性陽性。質
量98)を9.8mg/ml(100mM)となるようアセトンに溶
解した溶液0.4mlと、グルタチオンを2mg/ml(6.5mM)と
なるよう0.2M酢酸アンモニウムに溶解した溶液2mlとを
混合し、37℃で1時間保温した後、凍結乾燥した。凍
結乾燥物をメタノールに溶解し、実施例1に記載の条件
にてMSに供した。その結果、試料中には、質量数42
3の化合物と質量数521の化合物が含まれることが判
明した。質量数423は、1分子のMAと1分子のグルタ
チオンが結合してなる化合物のNH4 +塩の質量と一致す
る。また、質量数521は、2分子のMAと1分子のグル
タチオンが結合してなる化合物のNH4 +塩の質量と一致
する。
【0025】実施例12 メチルメタンスルホネート(以下、MMSと記す。皮膚
感作性陽性。質量110)を10mg/ml(100mM)となるよ
うアセトンに溶解した溶液0.4mlと、グルタチオンを2mg
/ml(6.5mM)となるよう0.2M酢酸アンモニウムに溶解し
た溶液2mlとを混合し、37℃で1時間保温した後、凍
結乾燥した。凍結乾燥物をメタノールに溶解し、実施例
1に記載の条件にてMSに供した。その結果、試料中に
は、質量数497の化合物が含まれることが判明した。
該質量数は、2分子のMMSからそれぞれメチル基が脱離
し、1分子のグルタチオンに結合してなる化合物の質量
と一致する。
【0026】実施例13 フルオレセインイソチオシアネート(以下、FITCと記
す。皮膚感作性陽性。質量数389)を40mg/ml(100m
M)となるようアセトンに溶解した溶液0.4mlと、グルタ
チオンを2mg/ml(6.5mM)となるよう0.2M酢酸アンモニ
ウムに溶解した溶液2mlとを混合し、37℃で1時間保
温した後、凍結乾燥した。凍結乾燥物をメタノールに溶
解し、実施例1に記載の条件にてMSに供した。その結
果、試料中には、質量数696の化合物が含まれること
が判明した(図7)。該質量数は、FITCとグルタチオン
との結合物の質量と一致する。
【0027】
【発明の効果】医・農薬や化粧品等の開発初期段階にお
いて、多数の候補化合物のいずれが皮膚感作性を発現す
るかを、少量の被験化合物で、動物実験を実施すること
なく、迅速に、かつ簡便に検定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グルタチオン溶液2(pH8)の液体クロマト
グラムである。GSHはグルタチオンのピークを示す。
【図2】トリニトロベンセンスルホン酸ナトリウム溶液
の液体クロマトグラムである。TNBSはトリニトロベンセ
ンスルホン酸ナトリウムのピークを示す。
【図3】トリニトロベンセンスルホン酸ナトリウム溶液
とグルタチオン溶液2(pH8)を混合し反応させた溶
液の液体クロマトグラムである。GSHはグルタチオンの
ピークを示し、TNBSはトリニトロベンセンスルホン酸ナ
トリウムのピークを示す。TNBS・GSH反応物、TNBS・G
SH反応物は、グルタチオン溶液2(pH8)およびト
リニトロベンセンスルホン酸ナトリウム溶液それぞれの
液体クロマトグラムでは検出されなかったピークを示
す。
【図4】TNBS・GSH反応物のESI-MSスペクトルであ
る。
【図5】TNBS・GSH反応物のESI-MSスペクトルであ
る。
【図6】フルオレセインイソチオシアネート(FITC)の
MALDI-MSスペクトルである。
【図7】FITCとグルタチオンとの反応生成物のMALDI-MS
スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566 // G01N 33/50 33/50 Q (72)発明者 岡本 昌彦 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA40 CB09 DA77 FB02 FB03 4H045 AA30 BA12 EA50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モノマーとしての分子量が5万以下のシス
    テイン含有ペプチドと被験物質とを混合した後、前記ペ
    プチドと被験物質との結合物の有無を測定することを特
    徴とする被験物質の皮膚感作性の検定方法。
  2. 【請求項2】結合物の有無を質量分析計を用いて測定す
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ペプチドがグルタチオンである請求項1ま
    たは2に記載の方法。
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