JP2003014622A - 表面プラズモン共鳴センサチップ及びそれを用いた試料の分析方法 - Google Patents

表面プラズモン共鳴センサチップ及びそれを用いた試料の分析方法

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JP2003014622A
JP2003014622A JP2001195504A JP2001195504A JP2003014622A JP 2003014622 A JP2003014622 A JP 2003014622A JP 2001195504 A JP2001195504 A JP 2001195504A JP 2001195504 A JP2001195504 A JP 2001195504A JP 2003014622 A JP2003014622 A JP 2003014622A
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resonance
sensor chip
surface plasmon
metal layer
sensor
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JP2001195504A
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English (en)
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Takaaki Munebayashi
孝明 宗林
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折格子型の表面プラズモン共鳴センサチッ
プに関し、測定点の面積を厳密に制御してばらつきのな
い均一なシグナルを得ることを可能にする。 【解決手段】 照射光を照射した時に表面プラズモン共
鳴現象が起きる共鳴領域6をセンサチップ1のセンサ面
1a内に部分的に形成しておき、この共鳴領域6を覆う
ように結合物質7をセンサ面1a上に塗布し、且つ、こ
の共鳴領域6の全体を照らすように照射光を照射するこ
とで、共鳴領域6の面積によって測定点の面積をコント
ロールする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモン共
鳴(SPR)を利用した試料分析のためのセンサチップ
(表面プラズモン共鳴センサチップ)の構造に関し、特
に、エバネッセント波を誘起する光学構造として回折格
子を備えたセンサチップの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におい
ては、化学種,生化学種又は生物種等の検出種を含む試
料流体の定量的及び/又は定性的な分析方法として、表
面プラズモン共鳴(SPR)を利用した分析方法が知ら
れている。表面プラズモン共鳴は、金属層に光が入射し
た場合に金属表面に誘起される表面プラズモン波が入射
光により生成されたエバネッセント波に共鳴して励起さ
れる現象である。表面プラズモン共鳴は入射光の波長及
び角度に依存しており、表面プラズモン共鳴が励起され
たときには、特定の入射角又は特定の波長を有する光成
分の光エネルギーが表面プラズモン波へ移行することに
より、対応する入射角又は波長を有する反射光が減少す
るという特徴がある。
【0003】表面プラズモン共鳴を起こすためには、特
定の表面プラズモン波を有する金属と、表面プラズモン
波と共鳴するエバネッセント波を誘起する光学構造とが
必要となる。エバネッセント波を誘起する光学構造とし
ては現在二つの構造が知られている。一つはプリズムの
全反射を利用した光学構造であり、もう一つは回折格子
を利用した光学構造である。なお、上記の金属にこれら
の光学構造を組み合わせた素子は一般に表面プラズモン
共鳴センサチップ(以下、単にセンサチップという)と
呼ばれている。
【0004】通常、センサチップは基体に金属層を積層
した構造を有し、金属層上には、特定の検出種と相互作
用して特異的に結合する結合物質(リガンド、分子認識
素子)が塗布されて固定化される。このリガンドが固定
化された金属層の表面に試料を接触させることにより、
リガンドに試料中の検出種が捕捉される。表面プラズモ
ン共鳴は金属層の表面における媒質の屈折率にも依存し
ており、媒質の屈折率が変化すれば波長一定の場合には
共鳴角が変化し、また、入射角度一定の場合には共鳴波
長が変化する。したがって、反射光の強度に基づき共鳴
角或いは共鳴波長を調べることで金属層の表面における
媒質の屈折率を分析することができる。この場合、金属
層の表面の媒質の屈折率の変化は、リガンドに捕捉され
る検出種の物質量、すなわち試料中の検出種の濃度の変
化に対応していることから、表面プラズモン共鳴が起き
る共鳴角或いは共鳴波長を調べることで、試料中の検出
種の濃度等を分析することができる。
【0005】このようなセンサチップのうち、プリズム
型のセンサチップは、一般にセンサチップ本体(透明基
体上に金属層が積層されたもの)とプリズムとから構成
されている。センサチップは基本的には使い捨てである
が、プリズムは高価であるため、センサチップ本体だけ
でなくプリズムまでも使い捨てにすると測定コストが非
常に高くなってしまう。このため、この型のセンサチッ
プでは、一般にセンサチップ本体とプリズムが別で、使
用時にプリズムをセンサチップ本体に密着させてプリズ
ムに光を入射し、反射光を検出し測定するようになって
いる。
【0006】このようにセンサチップ本体とプリズムと
が別の場合、使用時には、センサチップ本体とプリズム
との密着性を上げるためにマッチングオイルを間に挟ん
で密着させる場合が多い。しかし毎回同じ状態に密着さ
せるのは非常に困難で、測定の度に密着度合いのばらつ
きが大きく、したがって測定値のばらつきが大きいとい
う課題がある。この対策例として、特開2000-12
1551号公報に開示されているように補正用の標準液
を測定することでセンサチップ間の測定値のばらつきを
補正する方法が提案されている。しかしながら、この場
合、標準液を供給するための新たな送液系が必要にな
り、また、センサチップ本体も標準液の供給をうけるこ
とができるように特別な構造を必要とする。
【0007】一方、回折格子型のセンサチップは、通
常、図12に示すように表面に凹凸形状(グレーティン
グ)103を有する透明基体101上に金属層102を
積層された構造になっている。凹凸形状103上に金属
層102が積層されることで金属層102の表面にも凹
凸形状104が現れ、この金属層102の表面の凹凸形
状104が回折格子として機能する。この型のセンサチ
ップは、プリズム型のように高価なプリズムを使用しな
いため安価であり、使い捨てが可能である。また、プリ
ズム型のようにプリズムとセンサチップ本体を密着させ
る作業が不要のため、密着度合いのばらつきといった不
具合もなく測定値の再現性が良いという利点もある。
【0008】また、プリズム型のセンサチップではプリ
ズムを入射光及び反射光の経路とするという構造上、ビ
ームの径やビームを照射できる領域に制約があるが、回
折格子型のセンサチップにはこのような制約はなく、大
径のビームを使用することができ、また任意の位置にビ
ームを照射することができる。したがって、回折格子型
によればプリズム型に比較して一度に大面積を検査する
ことができ、またセンサチップ上の任意の位置について
検査することができるという利点がある。
【0009】今日では、分析処理の高速化のため、一つ
のセンサチップ上において多数の測定点(スポット)につ
いて測定を行う多項目測定が行われ、さらに、全スポッ
トについて同時に測定を行う多点同時測定が要望されて
いるが、このような要望に鑑みても、一度に大面積の検
査が可能であり、また、金属表面上の任意の位置につい
て検査が可能な回折格子型のセンサチップに対する期待
は今日ますます高まっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な多項目測定においては各スポットからのシグナルに基
づき各成分の分析が行われるが、従来のセンサチップ
(回折格子型のセンサチップ)はチップ全面からシグナ
ルを生じることが可能な構造であり、本来のスポット以
外の位置でも入射光が照射されればシグナルが生じる。
このため、反射光にバックグラウンドシグナルが含ま
れ、これが感度を低下させる可能性がある。
【0011】バックグラウンドシグナルによる影響を防
止して、スポットからのシグナルだけを高感度に得られ
るようにする方法としては、スポットにだけ入射光を照
射する方法と、照射光は例えばチップ全面に当たるよう
な広い面積に照射して、反射光の検出時にソフトウェア
による処理によってスポットからのシグナルだけを抽出
する方法とが挙げられる。
【0012】前者の場合、スポット毎のシグナルの均一
性を高めるには、一定面積(この場合、固定化面積≧照
射面積)にのみ入射光を照射するようにすればよい。光
源からの照射面積を一定にすることは比較的容易であ
る。しかしながら、この場合、照射面積以上の面積にリ
ガンドを固定化する必要から、それだけリガンドの塗布
量が増えてしまい測定コストが増加してしまう。また、
一つのスポットにおけるリガンドの面積が大きくなるの
で、一つのチップ上に形成できるスポットの総数が減少
してしまうという欠点もある。さらに、この場合は、全
スポットを順次測定することになるが、このような測定
方法では測定に時間がかかってしまい分析処理の高速化
の要求に十分にこたえることができない。
【0013】一方、後者の方法は、いわゆる多点同時測
定による方法であるが、この方法によれば全スポットを
同時に測定できるので分析処理の高速化が可能であり、
また、例えばCCDを検出器とする場合にはスポット毎
に画素数を揃えるという操作によってスポット毎のシグ
ナルの均一性を確保することができる。スポット毎に画
素数を揃えるためには、スポットの形状(面積等)自体の
均一性を高めることが重要であるが、これには一定面積
(この場合、照射面積≧固定化面積)にのみリガンドを
固定化するようにすればよい。
【0014】しかしながら、回折格子型のセンサチップ
の検出原理を考慮すると金属層の表面(回折格子の表面
でもある)に傷をつけずにリガンドを固定化する必要が
あるが、このような制約のもとで既存の装置により一定
の面積でリガンドを固定化することは非常に難しい。こ
の場合には、いわゆるスポッターと呼ばれる分注機の中
でも非接触式の原理を有する装置が必要になり、このよ
うな装置としてはピエゾ素子などインクジェットプリン
ターの原理を応用した装置が知られているが、この装置
であっても高密度にリガンドを固定化する際には必要な
精度を得るには不十分であるか、或いは非常に高額な装
置でしか対応できない。つまり、通常、リガンドの固定
化面積にある程度のばらつきが生じることは避けられな
い。
【0015】また、スポットよりも小さい面積の画素数
を用いることによってもスポット毎に画素数を揃えるこ
とも可能であるが、この場合には全スポットのうち最小
のスポットに画素数を合わせることになるため、一スポ
ットあたりの画素数が少なくなって測定精度が低下して
しまう可能性がある。また、この場合には、スポットの
位置(特にスポットの中心位置)を正確に検出する操作
も必要となるが、CCDの画像から全スポットの位置を
正確に検出することは難しい。
【0016】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、測定点の面積を厳密に制御してばらつきのな
い均一なシグナルを得ることを可能にした、表面プラズ
モン共鳴センサチップ、及びそれを用いた試料の分析方
法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意検討した結果、発明者らは、照射光を照射した時に
表面プラズモン共鳴現象が起きる共鳴領域をセンサチッ
プのセンサ面内に部分的に形成しておき、この共鳴領域
を覆うように結合物質をセンサ面上に塗布し、且つ、こ
の共鳴領域の全体を照らすように照射光を照射すること
で、結合物質の塗布量によってではなく共鳴領域の面積
によって測定点の面積をコントロールすることができ、
ばらつきのない均一なシグナルを得ることができること
を見出し、本発明を完成した。
【0018】すなわち、本発明の表面プラズモン共鳴セ
ンサチップ(第1のセンサチップ)は、回折格子型の表
面プラズモン共鳴センサチップにおいて、照射光の照射
により表面プラズモン波とエバネッセント波との共鳴現
象が生じうる共鳴領域が試料と接するセンサ面内に部分
的に形成されるとともに、試料中の検出種(化学種,生
化学種又は生物種等)と特異的に結合する結合物質(抗
原抗体反応、相補的DNA結合、リセプター/リガンド
相互作用、酵素/基質相互作用等の相互作用によって検
出種を捕捉できる物質)が固定化された反応領域が共鳴
領域を覆うようにセンサ面上に設けられていることを特
徴としている。
【0019】なお、共鳴領域は、表面プラズモン波を誘
起しうる金属層の近傍に照射光の照射によりエバネッセ
ント波を生じさせる回折格子を形成することで実現する
ことができ、特に、金属層が設けられた領域内に回折格
子を部分的に形成したり、逆に、回折格子が形成された
領域内に金属層を部分的に設けたりすることによって、
センサ面に対して部分的に形成することができる。ま
た、回折格子と金属層とが設けられた領域上にシール膜
を積層し、一部をシール膜から露出させることによって
その露出部分を共鳴領域としてもよい。好ましくはこの
ような共鳴領域をセンサ面内に複数個所設けるようにす
る。この場合、各共鳴領域の大きさ(形状)は均一に形
成するのがより好ましい。
【0020】そして、この第1のセンサチップを用いて
試料の定量的及び/又は定性的な分析を行うには、セン
サ面に試料を接触させるステップ、共鳴領域の全体を照
らすように照射光を照射するステップ、センサチップか
らの反射光を検出するステップ、検出した反射光の強度
に基づき試料の定量的及び/又は定性的な分析を行うス
テップを実行すればよい。これにより、結合物質の塗布
量によってではなく共鳴領域の面積によって測定点の面
積をコントロールすることが可能になり、ばらつきのな
い均一なシグナルを得ることが可能になる。なお、これ
らの各ステップは記載順に実行してもよく、同時に実行
してもよい。特に、各ステップを同時に実行する場合に
は、試料中の検出種が結合物質に結合していく様子をリ
アルタイムでモニタすることができる。
【0021】特に、共鳴領域をセンサ面に沿って複数個
所設けたセンサチップを用いて試料の定量的及び/又は
定性的な分析を行う場合には、センサ面に試料を接触さ
せるステップ、複数の共鳴領域の全体を照らすように照
射光を照射するステップ、センサチップからの反射光を
検出するステップ、検出した反射光から各共鳴領域から
の反射光を抽出するステップ、抽出した各共鳴領域から
の反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は定性的
な分析を行うステップを実行することにより、多点同時
測定が可能になる。なお、この場合も各ステップは記載
順に実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0022】また、特に、基体に形成された凹凸形状に
沿って表面プラズモン波を誘起しうる金属層が積層され
ることにより、照射光の照射によりエバネッセント波を
生じさせる回折格子が金属層の表面に現されるととも
に、金属層が積層された側の表面が試料と接するセンサ
面として機能しうるような構造の表面プラズモン共鳴セ
ンサチップについては、以下に示す第2〜第4のセンサ
チップのように構成することによって、多点同時測定用
のセンサチップとして使用することが可能になる。
【0023】まず、第2のセンサチップは、凹凸形状が
基体の表面に複数個所部分的に形成されるとともに、こ
れら複数の凹凸形状を覆うように金属層が基体の表面に
積層されることにより、表面プラズモン波とエバネッセ
ント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域がセンサ面内に
複数個所形成されていることを特徴としたものである。
凹凸形状を部分的に形成することは現在の微細加工技術
によれば容易であり、金属層は少なくとも凹凸形状を覆
うように積層すればよくスパッタリングや蒸着により基
体の表面全面に積層してもよいので、このような構成の
センサチップであれば、極めて容易に製作することがで
きる。また、凹凸形状の形成領域に金属層の積層領域を
一致させれば、共鳴領域以外の領域からの反射光を抑制
してノイズを低減することもできる。
【0024】第3のセンサチップは、凹凸形状が基体の
表面全面或いは基体の一部表面に形成されるとともに、
この凹凸形状が形成された領域内に金属層が複数個所部
分的に積層されることにより、表面プラズモン波とエバ
ネッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域がセンサ
面内に複数個所形成されていることを特徴としたもので
ある。金属層が形成されていない領域からは光が反射さ
れないので、このような構成のセンサチップであれば、
共鳴領域からのみシグナルを得ることができノイズを容
易に低減することができる。なお、この場合、マスク等
を用いて部分的に金属層を積層するようにしてもよく、
基体の表面全面にスパッタリングや蒸着によって金属を
積層した後に共鳴領域以外の場所の金属層を剥離するよ
うにしてもよい。
【0025】そして、第4のセンサチップは、金属層上
にシール膜が積層されるとともに、金属膜の表面がシー
ル膜から露出する露出部分が複数個所形成され、少なく
とも露出部分に対応する基体の表面に凹凸形状が形成さ
れることにより、表面プラズモン波とエバネッセント波
との共鳴現象が生じうる共鳴領域がセンサ面内に複数個
所形成されていることを特徴としたものである。このよ
うな構成のセンサチップであれば、金属層上にシール膜
を貼り付けるだけで従来の一般的な回折格子型のセンサ
チップをそのまま流用することができ、極めて容易に且
つ低コストで実現することができる。
【0026】これらのセンサチップを用いて試料の定量
的及び/又は定性的な分析を行う場合には、複数の共鳴
領域のそれぞれを覆うように試料中の検出種と特異的に
結合する結合物質をセンサ面に固定化しておき、センサ
面に試料を接触させるステップ、複数の共鳴領域の全体
を照らすように照射光を照射するステップ、センサチッ
プからの反射光を検出するステップ、検出した反射光か
ら各共鳴領域からの反射光を抽出するステップ、及び抽
出した各共鳴領域からの反射光の強度に基づき試料の定
量的及び/又は定性的な分析を行うステップを実行すれ
ばよい。これにより、高精度での多点同時測定が可能に
なる。この場合も、各ステップは記載順に実行してもよ
く、同時に実行してもよい。
【0027】なお、回折格子型とは異なるプリズム型の
センサチップにおいて、以前、LEDランプの像よりも
金属層の形成領域を小さくすることで、コヒーレントで
ない光での測定精度を上げようとする試みがあった(特
開平9−257697号公報)。これに対して本発明
は、回折格子型のセンサチップにおいて試料中の検出種
と特異的に結合する結合物質を固定化する反応領域より
表面プラズモン共鳴が起きる共鳴領域を小さくすること
で、測定精度を向上させるとともに、多点同時測定も可
能にするという全く新しい効果を得るものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (A)第1実施形態 まず、図1〜図5を用いて本発明の第1実施形態につい
て説明する。図1に示すように本実施形態にかかるセン
サチップ(表面プラズモン共鳴センサチップ)1は、そ
の表面(センサ面)1aを金属層3により被覆され、金
属層3上の複数箇所に回折格子5が部分的に形成されて
いる。本実施形態では、この回折格子5が部分的に形成
されている各領域が多点同時測定による分析時の測定点
(スポット)6となる。
【0029】この構造によれば、照射光がセンサチップ
1のセンサ面1aに照射されると、照射光はセンサ面1
a上の回折格子5が形成された各個所において回折し、
この回折現象によりエバネッセント波が生じる。また、
照射光が金属層3に作用することにより金属層3の表面
に表面プラズモン波が発生し、特定の波長及び入射角の
励起光が照射されたときにエバネッセント波と表面プラ
ズモン波とが共鳴し、表面プラズモン共鳴(SPR)が
起きる。すなわち、このセンサチップ1では、金属層3
上に回折格子5が部分的に形成されている各領域、すな
わち各スポット6がそれぞれ共鳴領域となっている。
【0030】このセンサチップ1は、図2(a)に示す
基体2の表面に、まず、図2(b)に示すようにレーザ
加工等により複数箇所に部分的に凹凸形状4を形成し、
次いで、図2(c)に示すように基体2の表面全面にス
パッタリングや蒸着により金属層3を積層することで製
造することができる。凹凸形状4上に金属層3が積層さ
れることで金属層3の表面にも凹凸形状が現れ、この金
属層3の表面の凹凸形状が回折格子5として機能する。
なお、金属層3の厚みが小さい場合には、照射光が金属
層3を透過して基体2の表面に達し、照射光が基体2表
面の凹凸形状4により回折する場合もある。この場合は
凹凸形状4も回折格子として機能することになる。
【0031】基体2の材質は、表面に凹凸形状4を形成
することができ、金属層3を保持できる機械的強度が十
分であるならばその材質に限定はない。凹凸形状4の形
成しやすさからは樹脂が好ましく、アクリル樹脂(ポリ
メタクリル酸メチルなど)、ポリエステル樹脂(ポリカー
ボネートなど)などが好適な材質として挙げられる。基
体2に形成する凹凸形状4は、金属層3を積層したとき
にその表面に所望の回折格子5が得られるように金属層
3の厚み等を考慮して形成する。形成方法としては、上
述のレーザ加工等の他、射出成型によって基体2ととも
に成型してもよい。凹凸形状4としては、矩形波形状,
正弦波形状,鋸歯状形状などがあり得るが、好ましくは
回折格子5の溝深さ(頂から谷底まで)が10〜200n
m(より好ましくは30〜120nm)、ピッチ(周
期:凹凸の凸から隣接する凸までの距離)が400〜1
200nm(照射光の波長と関係する)となるような周期
的な凹凸形状とする。
【0032】金属層3は、表面プラズモン波を誘起しう
るものであればその材質に限定はない。例えば、金,
銀,銅,アルミニウムやこれらを含む合金等、或いは
銀,銅,アルミニウムの酸化物等を用いることができ
る。感度や安価な点では銀が好ましいが、安定性の面で
は金が好ましい。なお、金属層3の厚みは、好ましくは
20〜300nmとし、より好ましくは30〜160n
mとする。
【0033】凹凸形状4が形成された各領域の形状、す
なわちスポット6の形状は、図1,図2に示すような矩
形の他、円形,多角形,楕円形等、種々の形状を選択す
ることができるが、スポット6間には形状及び大きさに
差がなく、均一なものであることが好ましい。面積に換
算した場合には、ばらつきが±10%、好ましくは±2
%以内に収まるようにするのが好ましい。また、スポッ
ト6が大きすぎると後述するリガンドが均一に塗布しに
くく、且つ1チップ上に多くのスポットが形成できず集
積化ができないので、円形なら直径を5mm以下とする
のが好ましく、より好ましくは3mm以下とする。矩形
なら短辺を5mm以下とするのが好ましく、より好まし
くは3mm以下とする。逆にスポット6をあまり小さく
すると、リガンドを正確に微量塗布するのが技術的に難
しいので、直径または短辺は0.5μm以上とするのが
好ましく、より好ましくは2μm以上とする。スポット
6が多角形や楕円形等である場合の大きさも上記に準ず
るのが好ましい。また、スポット6の形成密度として
は、0.1〜1,000,000個/cm2が好ましく、
1〜100,000個/cm2がより好ましい。これによ
り、1チップあたり、100万個或いは1千万個のスポ
ット6が形成可能になる。
【0034】次に、本実施形態にかかるセンサチップ1
の使用方法について説明する。センサチップ1を試料の
分析に用いる際には、まず、図3に示すように各スポッ
ト6上にリガンド7を固定化する。このリガンド7が固
定化された領域が試料中の検出種(化学種,生化学種又
は生物種等)と反応する反応領域となる。リガンド7
は、抗原抗体反応、相補的DNA結合、リセプター/リ
ガンド相互作用、酵素/基質相互作用等の相互作用によ
って特定の物質と特異的に結合しうる性質を備えた結合
物質であり、検出すべき検出種に応じたリガンド7が選
択される。試料中に複数の検出種が含まれる場合には、
各検出種に応じたリガンド7がそれぞれ選択されて、そ
れぞれ別々のスポット6に固定化される。ここで留意す
るのは、反応領域がスポット6全体を完全に覆うよう
に、すなわち、反応領域の面積がスポット6の面積以上
になるようにリガンド7を固定することである。リガン
ド7の固定は公知の一般的な装置を用いて行うことがで
きる。
【0035】そして、このようにリガンド7が固定化さ
れたセンサチップ1を図4に示す構成の分析装置10に
セットして分析を行う。この分析装置10はセンサチッ
プ1を固定するためのホルダ11,光源12,光検出器
13及び分析部14から主に構成されている。ホルダ1
1には検出種を含む試料流体が通過する流路11aが形
成されている。センサチップ1はそのセンサ面1aが流
路11aを流れる試料に接するように配置されて固定さ
れる。
【0036】光源12はセンサチップ1のセンサ面1a
に向けて照射光を照射するようにセンサチップ1に対し
て流路11aを挟んで配置されている。光源12は分析
の方法に応じて選択され、共鳴角の変位に基づき分析を
行う場合には単色光を光源として用い、最大吸収波長
(共鳴波長)の変位に基づき分析を行う場合には白色光
を光源として用いる。単色光の光源としては、レーザ光
源、特に価格,大きさの点で半導体レーザが好ましく、
波長は350〜1300nm程度とするのが好ましい。
また、ハロゲン・タングステンランプなどの白色光を干
渉フィルターや分光器等で分光して得た単色光を光源と
して用いることも可能である。一方、白色光の光源とし
ては、ハロゲン・タングステンランプ、キセノンランプ
等が好ましい。
【0037】光検出器13はセンサチップ1からの反射
光を検出する検出器であり、光源12同様にセンサチッ
プ1に対して流路11aを挟んで配置され照射光が回折
して生じる0次の回折光の方向に向けられている。した
がって、光源12の入射角度が変わる場合には光検出器
13のセンサチップ1に対する角度もそれに合わせて変
化するようになっている。光検出器13としては、例え
ばCCD素子を集積したもの、シリコンフォトダイオー
ドアレイ等が好ましい。なお、図中では省略している
が、P偏光のみが表面プラズモン波を共鳴させることが
できるため、光源12とセンサチップ1との間、または
センサチップ1と光検出器13との間には、光源12か
らの照射光、或いはセンサチップ1からの反射光を偏光
するための偏光子を設置する。
【0038】分析部14は光検出器13からの検出情報
に基づき分析処理を行う装置である。分析部14は、少
なくとも、光検出器13で検出された反射光から各スポ
ット6からのシグナルを抽出する機能と、各スポット6
において表面プラズモン共鳴による吸収が最大になる、
すなわち各スポット6からのシグナルの強度が最小にな
る照射光の入射角度或いは波長を算出する機能を有して
いる。
【0039】また、分析部14には検出種の濃度が既知
の試料流体を測定して作成した検量線が記憶されてい
る。この検量線は各検出種の濃度と共鳴波長及び共鳴角
度との関係を記したものであり、表面プラズモン共鳴が
起きた時の共鳴波長及び共鳴角度をこの検量線に照らし
合わせることで試料流体中の各検出種の濃度を測定でき
る。
【0040】上記構成の分析装置10を用いて試料中の
各検出種の濃度分析を行う場合、まず、センサチップ1
をホルダ11にセットしてセンサチップ1のセンサ面1
aを試料に接触させる(ステップA1)。これによりセ
ンサ面1aの各スポット6に固定されたリガンド7に試
料流体中の検出種が特異的に結合する。そして、リガン
ド7に結合した検出種の物質量に応じて各スポット6の
金属層3表面近傍の媒質の屈折率が変化し、各スポット
6における表面プラズモン波の共鳴条件が変化する。
【0041】次に、光源12からセンサ面1aに向けて
照射光を照射する(ステップA2)。このとき、図5に
示すように照射光が全てのスポット6を照らすように、
すなわち全スポット6が一本の照射光の照射範囲16内
に含まれるように照射光の太さを調整する。センサ面1
aに照射された照射光は各スポット6に形成された回折
格子5において回折光を生じさせる。このうち0次の回
折光(反射光)を光検出器13によって検出する(ステ
ップA3)。
【0042】光源12から照射する照射光が単色光、す
なわち単一波長の光の場合、光源12を移動させて励起
光のセンサチップ1に対する入射角度を変化させてい
く。同時に、光検出器13により検出された反射光の情
報を分析部14においてソフトウェアにより処理し、各
スポット6からのシグナルを抽出する。各スポット6か
らのシグナルの強度は照射光の入射角度に応じて変化
し、それぞれある入射角度において最小になる。このシ
グナルの強度が最小となる入射角度をスポット6毎に分
析部14において測定し、測定した角度と照射光の波長
とを検量線に対応させて、各スポット6に対応する検出
種の濃度を算出する(ステップA4−1)。
【0043】一方、光源12から照射する照射光が白色
光の場合は励起光のセンサチップ1に対する入射角度は
一定にする。この場合、センサチップ1からの反射光に
は多成分の光が含まれる。この反射光を分光器(図示
略)で波長毎に分光し、これを光検出器13で検出す
る。そして、分光された各成分の光の情報を分析部14
においてソフトウェアにより処理し、各スポット6から
のシグナルを成分毎に抽出する。各スポット6からのシ
グナルの強度は波長毎に異なる。このうち強度が最小で
あるシグナルの波長をスポット6毎に分析部14におい
て測定し、測定した波長と入射角度とを検量線に対応さ
せて、各スポット6に対応する検出種の濃度を算出する
(ステップA4−2)。
【0044】なお、これらの各ステップA1〜A3,及
びA4−1或いはA4−2は、上述のように順に実行す
る他に同時に実行することも可能である。各ステップを
同時実行する場合には、試料中の検出種がリガンド7に
結合していく様子をリアルタイムでモニタすることがで
きる。以上のように、本実施形態のセンサチップ1によ
れば、あらかじめ回折格子5と金属層3とが設けられた
一定面積のスポット6、すなわち共鳴領域でしかシグナ
ルを生じないため、リガンド7の固定化面積と照射光の
照射範囲とをスポット6の面積よりも大きいものを与え
るだけで均一なシグナルを得ることができ、これにより
検出精度が上がり定量性が増すという利点がある。ま
た、リガンド7の固定化面積はスポット6を覆る以上で
あればよく、入射光の照射面積より小さくてよいので、
リガンド7の塗布量を減らすことができるという利点も
ある。
【0045】さらに、本実施形態ではスポット6の形状
精度は、基体2への凹凸形状4の加工精度により決まる
が、現在の微細加工技術を応用することでリガンド7の
固定化等と比較して桁違いに高精度な加工が可能であ
る。また、各スポット6からのシグナルを抽出する際の
スポット位置の検出に関しても、チップ製造時に高精度
にスポット6の形成位置を制御できるため、簡便な探索
で反射光から各スポット6からのシグナルを抽出するこ
とができる。
【0046】(B)第2実施形態 次に、図6〜図9を用いて本発明の第2実施形態につい
て説明する。図6に示すように本実施形態にかかるセン
サチップ(表面プラズモン共鳴センサチップ)21は、
その表面(センサ面)21aの複数箇所を金属層23に
より部分的に被覆されている。センサチップ21の基体
22の表面全面には凹凸形状24が形成されており、こ
の凹凸形状24上に金属層23が積層されることで金属
層23の表面にも凹凸形状が現れて回折格子25を形成
している。本実施形態では、この金属層23が部分的に
形成されている各領域が多点同時測定による分析時の測
定点(スポット)26となる。
【0047】この構造によれば、照射光がセンサチップ
21のセンサ面21aに照射されると、照射光はセンサ
面21a上の回折格子25が形成された各個所、すなわ
ち各金属層23の表面において回折する。この回折現象
によりエバネッセント波が生じるとともに、照射光が金
属層23に作用することにより金属層23の表面に表面
プラズモン波が発生し、特定の波長及び入射角の励起光
が照射されたときにエバネッセント波と表面プラズモン
波とが共鳴し、表面プラズモン共鳴が起きる。すなわ
ち、このセンサチップ21では、基体22の凹凸形状2
4上に金属層23が部分的に積層されている各領域、す
なわち各スポット26がそれぞれ共鳴領域となってい
る。
【0048】このセンサチップ21は、図7(a)に示
すようにレーザ加工や射出成型により基体22の表面全
面に凹凸形状24を形成しておき、図7(b)に示すよ
うに適宜の位置に開口28aを形成したマスク28を基
体22に載置した状態でスパッタリングや蒸着により金
属層23を積層し、その後、図7(c)に示すようにマ
スク28を除去することで製造することができる。この
場合、マスク28の開口部28aを通して積層された金
属層23によりスポット6が形成される。
【0049】また、図8(a)に示すようにレーザ加工
や射出成型により基体22の表面全面に凹凸形状24を
形成しておき、図8(b)に示すように基体22の表面
全面にスパッタリングや蒸着により金属層23を積層し
た後、図8(c)に示すようにエッチング等によりスポ
ット6以外の金属層23を剥離することによっても、上
記のセンサチップ21を製造することができる。
【0050】なお、基体22や金属層23の材質は、第
1実施形態にかかる基体2や金属層3と同様の材質のも
のを用いることができる。回折格子25の形状やスポッ
ト26の形状及び面積等についても、第1実施形態と同
様の形状等とすることができる。本実施形態にかかるセ
ンサチップ21の使用方法は、第1実施形態と同様であ
り、センサチップ21を試料の分析に用いる際には、図
9に示すように各スポット26上にリガンド27を固定
化する。本実施形態でも試料中に複数の検出種が含まれ
る場合には、各検出種に応じたリガンド27をそれぞれ
選択し、それぞれ別々のスポット26に固定化する。ま
た、ここでも反応領域(リガンド27が固定化される領
域)がスポット26全体を完全に覆うように、すなわ
ち、反応領域の面積がスポット26の面積以上になるよ
うにリガンド27を固定することに留意する。
【0051】そして、本実施形態でも、上記のようにリ
ガンド27が各スポット26に固定化されたセンサチッ
プ21を第1実施形態と同構成の分析装置(図4参照)
にセットして分析を行う。この分析装置による分析方法
については第1実施形態と同様なので説明は省略する
が、ここでも多点同時測定を行う際には全てのスポット
26を照らすように、すなわち全スポット26が一本の
照射光の照射範囲内に含まれるように照射光の太さを調
整することに留意する。
【0052】本実施形態のセンサチップ21によれば、
あらかじめ回折格子25と金属層23とが設けられた一
定面積のスポット26、すなわち共鳴領域でしかシグナ
ルを生じないため、リガンド27の固定化面積と照射光
の照射範囲とをスポット26の面積よりも大きいものを
与えるだけで均一なシグナルを得ることができる等、第
1実施形態と同様の利点がある。特に、本実施形態で
は、センサ面21aのスポット26以外の面には金属層
23が積層されていないので、スポット26以外の部位
からの反射光を抑制してノイズを低減することができる
という利点がある。
【0053】(C)第3実施形態 次に、図10,図11を用いて本発明の第3実施形態に
ついて説明する。図10に示すように本実施形態にかか
るセンサチップ(表面プラズモン共鳴センサチップ)3
1は、その表面(センサ面)31aをシール膜38によ
り覆われ、シール膜38に形成された複数の開口部38
aから金属層33の表面が部分的に露出している。金属
層33は基体32の表面全面に積層され、金属層33の
表面全面には回折格子35が形成されている。本実施形
態では、このシール膜38の開口部38aから部分的に
露出している各領域が多点同時測定による分析時の測定
点(スポット)36となる。
【0054】この構造によれば、照射光がセンサチップ
31のセンサ面31aに照射されると、照射光はシール
膜38の開口部38aに露出している金属層33の表面
において回折格子35の作用によって回折する。この回
折現象によりエバネッセント波が生じるとともに、照射
光が金属層33に作用することにより金属層33の表面
に表面プラズモン波が発生し、特定の波長及び入射角の
励起光が照射されたときにエバネッセント波と表面プラ
ズモン波とが共鳴し、表面プラズモン共鳴が起きる。す
なわち、このセンサチップ31では、シール膜38の開
口部38aから部分的に露出している各領域、すなわち
各スポット36がそれぞれ共鳴領域となっている。
【0055】このセンサチップ31は、シール膜38以
外の構成は従来の回折格子型センサチップ(図12参
照)と同一構成であるので、従来の回折格子型センサチ
ップの表面に、適宜の位置に開口部38aを形成したシ
ール膜38を貼り付けるだけで簡単に製造することがで
きる。開口部38aの形状や面積は、形成したいスポッ
ト36の形状や面積に合わせて設定すればよい。なお、
シール膜38としては、スポット36以外の場所からの
反射を抑制してノイズを低減できるように、照射光に対
して透過性が低く、且つそれ自体における反射を抑制す
るための表面処理が施されているものが好ましい。
【0056】本実施形態にかかるセンサチップ31の使
用方法も第1,第2実施形態と同様であり、センサチッ
プ31を試料の分析に用いる際には、図11に示すよう
に各スポット36上にリガンド37を固定化する。本実
施形態でも試料中に複数の検出種が含まれる場合には、
各検出種に応じたリガンド37をそれぞれ選択し、それ
ぞれ別々のスポット36に固定化する。また、ここでも
反応領域(リガンド37が固定化される領域)がスポッ
ト36全体を完全に覆うようにリガンド37を固定する
ことに留意する。
【0057】そして、本実施形態でも、上記のようにリ
ガンド37が各スポット36に固定化されたセンサチッ
プ31を第1実施形態と同構成の分析装置(図4参照)
にセットして分析を行う。この分析装置による分析方法
については第1実施形態と同様なので説明は省略する
が、ここでも多点同時測定を行う際には全てのスポット
36を照らすように、すなわち全スポット36が一本の
照射光の照射範囲内に含まれるように照射光の太さを調
整することに留意する。
【0058】本実施形態のセンサチップ31によれば、
シール膜38から露出した一定面積のスポット36、す
なわち共鳴領域でしかシグナルを生じないため、リガン
ド37の固定化面積と照射光の照射範囲とをスポット3
6の面積よりも大きいものを与えるだけで均一なシグナ
ルを得ることができる等、第1,第2実施形態と同様の
利点がある。また、スポット36以外の面はシール膜3
8により覆われているので、第2実施形態と同様にスポ
ット36以外の部位からの反射光を抑制してノイズを低
減することができるという利点もある。
【0059】(D)その他 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明
は上述の実施の形態に限定されるものではなく本発明の
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することがで
きる。例えば、第1実施形態では、金属層3を基体2の
表面全面に積層しているが、凹凸形状4が形成された領
域にのみ限定して金属層3を積層するようにしてもよ
い。金属層3を部分的に積層する方法は、第2実施形態
で説明したような方法を用いることができる。これによ
りスポット6以外の領域からの反射をさらに抑制してノ
イズを極めて小さくすることが可能になる。
【0060】また、各実施形態では、多点同時測定によ
る試料の分析方法について説明したが、勿論、スポット
毎に照射光を照射してスポット毎に順に測定するような
分析方法であってもよい。ただし、その場合もスポット
全体を照らすように照射光を照射する。また、各実施形
態では、センサチップに複数のスポットを設けている
が、単一のスポットのみを設けてもよい。この場合もス
ポットの全体を覆うようにリガンドを固定化し、また、
分析時にはスポット全体を照らすように照射光を照射す
る。
【0061】さらに、各実施形態では、図12に示すよ
うな従来の一般的な構造の回折格子型センサチップに本
発明を適用した場合について説明したが、本発明は他の
様々な構造の回折格子型センサチップにも適用しうるも
のである。すなわち、試料と接するセンサ面と、センサ
面の近傍に設けられ表面プラズモン波を誘起しうる金属
層と、センサ面の近傍に設けられ照射光の照射によりエ
バネッセント波を生じさせる回折格子とを備えたセンサ
チップであれば、照射光の照射により表面プラズモン波
とエバネッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域を
センサ面の近傍に部分的に形成するとともに、試料中の
検出種と特異的に結合する結合物質が固定化された反応
領域を上記の共鳴領域を覆うようにセンサ面上に設けれ
ばよい。そして、分析時には、上記の共鳴領域の全体を
照らすように照射光を照射すればよい。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
表面プラズモン共鳴センサチップのセンサ面内に部分的
に形成された共鳴領域に限定して表面プラズモン共鳴現
象が起きるので、この共鳴領域を覆うように結合物質を
センサ面上に塗布して共鳴領域の全体を照らすように照
射光を照射することで、共鳴領域を測定点とすることが
できる。したがって、結合物質の塗布量によってではな
く共鳴領域の面積によって測定点の面積をコントロール
することが可能であり、測定点の面積を厳密に制御して
ばらつきのない均一なシグナルを得ることができるとい
う利点がある。そして、この共鳴領域を複数箇所設けて
測定点とすることで、各測定点からのシグナルの測定精
度が向上し、精度の高い多点同時測定も可能になるとい
う利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるセンサチップの
構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】図1のセンサチップの製造方法の一例を示す模
式的な斜視図であり、(a)〜(c)の順に製造手順を
示している。
【図3】図1のセンサチップにリガンドを固定化した状
態を示す模式的な斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる分析装置の構成
を示す模式的な模式図である。
【図5】多点同時測定における図3のセンサチップへの
照射光の照射方法を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかるセンサチップの
構成を示す模式的な斜視図である。
【図7】図6のセンサチップの製造方法の一例を示す模
式的な斜視図であり、(a)〜(c)の順に製造手順を
示している。
【図8】図6のセンサチップの製造方法の一例を示す模
式的な斜視図であり、(a)〜(c)の順に製造手順を
示している。
【図9】図6のセンサチップにリガンドを固定化した状
態を示す模式的な斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態にかかるセンサチップ
の構成を示す模式的な斜視図である。
【図11】図10のセンサチップにリガンドを固定化し
た状態を示す模式的な斜視図である。
【図12】従来のセンサチップの構成を示す模式的な斜
視図である。
【符号の説明】
1,21,31 センサチップ(表面プラズモン共鳴セ
ンサチップ) 1a,21a,31a センサ面 2,22,32 基体 3,23,33 金属層 4,24,34 凹凸形状 5,25,35 回折格子 6,26,36 スポット(共鳴領域) 7,27,37 リガンド(結合物質) 10 分析装置 11 ホルダ 11a 流路 12 光源 13 光検出器 14 分析部 16 照射範囲 28 マスク 38 シール膜 38a 開口部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料と接するセンサ面と、上記センサ面
    の近傍に設けられ表面プラズモン波を誘起しうる金属層
    と、上記センサ面の近傍に設けられ照射光の照射により
    エバネッセント波を生じさせる回折格子とを備えた表面
    プラズモン共鳴センサチップにおいて、 照射光の照射により上記表面プラズモン波と上記エバネ
    ッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域が上記セン
    サ面内に部分的に形成されるとともに、試料中の検出種
    と特異的に結合する結合物質が固定化された反応領域が
    上記共鳴領域を覆うように上記センサ面内に設けられて
    いることを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサチッ
    プ。
  2. 【請求項2】 上記金属層が設けられた領域内に上記回
    折格子が部分的に形成されることによって上記共鳴領域
    が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の表
    面プラズモン共鳴センサチップ。
  3. 【請求項3】 上記回折格子が形成された領域内に上記
    金属層が部分的に設けられることによって上記共鳴領域
    が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の表
    面プラズモン共鳴センサチップ。
  4. 【請求項4】 上記回折格子と上記金属層とが設けられ
    た領域上にシール膜が積層され、上記シール膜から露出
    する露出部分によって上記共鳴領域が形成されているこ
    とを特徴とする、請求項1記載の表面プラズモン共鳴セ
    ンサチップ。
  5. 【請求項5】 上記共鳴領域が上記センサ面内に複数個
    所設けられていることを特徴とする、請求項1〜4の何
    れかの項に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかの項に記載の表面
    プラズモン共鳴センサチップを用いて試料の定量的及び
    /又は定性的な分析を行うための分析方法であって、 上記センサ面に上記試料を接触させるステップと、 上記共鳴領域の全体を照らすように照射光を照射するス
    テップと、 上記表面プラズモン共鳴センサチップからの反射光を検
    出するステップと、 検出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は
    定性的な分析を行うステップとを備えたことを特徴とす
    る、分析方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の表面プラズモン共鳴セン
    サチップを用いて試料の定量的及び/又は定性的な分析
    を行うための分析方法であって、 上記センサ面に上記試料を接触させるステップと、 上記複数の共鳴領域の全体を照らすように照射光を照射
    するステップと、 上記表面プラズモン共鳴センサチップからの反射光を検
    出するステップと、 検出した反射光から各共鳴領域からの反射光を抽出する
    ステップと、 抽出した各共鳴領域からの反射光の強度に基づき試料の
    定量的及び/又は定性的な分析を行うステップとを備え
    たことを特徴とする、分析方法。
  8. 【請求項8】 基体に形成された凹凸形状に沿って表面
    プラズモン波を誘起しうる金属層が積層されることによ
    り、照射光の照射によりエバネッセント波を生じさせる
    回折格子が上記金属層の表面に現されるとともに、上記
    金属層が積層された側の表面が試料と接するセンサ面と
    して機能しうる表面プラズモン共鳴センサチップにおい
    て、 上記凹凸形状が上記基体の表面に複数個所部分的に形成
    されるとともに、上記複数の凹凸形状を覆うように上記
    金属層が上記基体の表面に積層されることにより、上記
    表面プラズモン波と上記エバネッセント波との共鳴現象
    が生じうる共鳴領域が上記センサ面内に複数個所形成さ
    れていることを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサ
    チップ。
  9. 【請求項9】 基体に形成された凹凸形状に沿って表面
    プラズモン波を誘起しうる金属層が積層されることによ
    り、照射光の照射によりエバネッセント波を生じさせる
    回折格子が上記金属層の表面に現されるとともに、上記
    金属層が積層された側の表面が試料と接するセンサ面と
    して機能しうる表面プラズモン共鳴センサチップにおい
    て、 上記凹凸形状が上記基体の表面全面或いは上記基体の一
    部表面に形成されるとともに、上記凹凸形状が形成され
    た領域内に上記金属層が複数個所部分的に積層されるこ
    とにより、上記表面プラズモン波と上記エバネッセント
    波との共鳴現象が生じうる共鳴領域が上記センサ面内に
    複数個所形成されていることを特徴とする、表面プラズ
    モン共鳴センサチップ。
  10. 【請求項10】 基体に形成された凹凸形状に沿って表
    面プラズモン波を誘起しうる金属層が積層されることに
    より、照射光の照射によりエバネッセント波を生じさせ
    る回折格子が上記金属層の表面に現されるとともに、上
    記金属層が積層された側の表面が試料と接するセンサ面
    として機能しうる表面プラズモン共鳴センサチップにお
    いて、 上記金属層上にシール膜が積層されるとともに、上記金
    属層の表面が上記シール膜から露出する露出部分が複数
    個所形成され、少なくとも上記基体の上記露出部分に対
    応する表面に上記凹凸形状が形成されることにより、上
    記表面プラズモン波と上記エバネッセント波との共鳴現
    象が生じうる共鳴領域が上記センサ面内に複数個所形成
    されていることを特徴とする、表面プラズモン共鳴セン
    サチップ。
  11. 【請求項11】 請求項8〜10の何れかの項に記載の
    表面プラズモン共鳴センサチップを用いて試料の定量的
    及び/又は定性的な分析を行うための分析方法であっ
    て、 上記複数の共鳴領域のそれぞれを覆うように上記試料中
    の検出種と特異的に結合する結合物質を上記センサ面に
    固定化するステップと、 上記センサ面に上記試料を接触させるステップと、 上記複数の共鳴領域の全体を照らすように照射光を照射
    するステップと、 上記表面プラズモン共鳴センサチップからの反射光を検
    出するステップと、 検出した反射光から各共鳴領域からの反射光を抽出する
    ステップと、 抽出した各共鳴領域からの反射光の強度に基づき試料の
    定量的及び/又は定性的な分析を行うステップとを備え
    たことを特徴とする、分析方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005078415A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Omron Corporation 表面プラズモン共鳴センサー
WO2015025637A1 (ja) * 2013-08-23 2015-02-26 シャープ株式会社 光電変換装置およびその製造方法

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