JP2003014599A - 高硬度鋼製部材の評価方法 - Google Patents
高硬度鋼製部材の評価方法Info
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Abstract
壊が発生するか否かを評価する方法を提供する。 【解決手段】n本の試験片について、式(1)より求め
たXの最小値を破壊限界パラメータとし、使用条件にお
けるXの値が、破壊限界パラメータ未満であれば遅れ破
壊を発生しないと評価する。ただしσeff、V0、Vf、
m、Have.、γ、σh、V、RおよびTは、それぞれ最
大主応力、破壊の基本体積、破壊のプロセスゾーン、材
料定数、鋼中の拡散性水素濃度、破壊に対する水素と応
力の効果の比、静水圧応力、水素のモル体積、気体定数
および絶対温度である。
Description
部材の設計方法に関するものである。さらに詳しくは、
この出願の発明は、引張強さが1000MPaを超えて
いるにも関わらず、遅れ破壊が発生することのない鋼部
材を設計するための高硬度鋼部材の設計方法に関するも
のである。
られており、このため鋼部材の高硬度化は重大な課題と
いえる。しかしながら、遅れ破壊が発生する危険性が高
いことから、引張強さ1000MPaを超えるような高
硬度鋼は各種の部材として実用されていないのが現状で
ある。
か、または、材料の限界拡散性水素量を上昇させる考案
がなされてきた。また、試験片形状が変化すると、同じ
負荷荷重でも遅れ破壊発生状況が大きく変化するため、
ボルトのような複雑な形状を有する部材には、非常に大
きな安全率をとって設計が行なわれる必要があった。こ
れらを解決することを目的として、特願2000−26
4716の発明が提案されたが、この発明では鋼中水素
量が異なる条件において、限界拡散性水素量を実験によ
り求める必要があった。
る部材が遅れ破壊を発生する条件を知ることは困難であ
ると考えられており、高硬度からなる部材の設計には多
くの手間隙が掛かっていた。このため、高硬度鋼を部材
として実用することはほとんどなされておらず、部材が
遅れ破壊を発生するような使用条件を限定する手法の開
発が求められていた。
事情に鑑みてなされたものであり、引張強さが1000
MPaを超えるような高硬度鋼からなる部材が、利用さ
れる条件で遅れ破壊を発生するか否かを調べ、最適な使
用条件の設定を行なうための高硬度鋼製部材の評価方法
を提供することを課題としている。
の課題を解決するものとして、引張強さが1000MP
a以上の高硬度鋼からなる部材が使用条件下で遅れ破壊
を発生するか否かを評価するための高硬度鋼製部材の評
価方法であって、部材として使用する高硬度鋼からn本
の試験片を用意し、それぞれの試験片について、
の基本体積、Vfは破壊のプロセスゾーン、m(j)は
材料定数、Have.は鋼中の拡散性水素濃度、γ(j)は
破壊に対する水素と応力の効果の比、σhは静水圧応
力、Vは水素のモル体積、Rは気体定数、Tは絶対温
度)におけるmおよびγの初期値をそれぞれm(0)お
よびγ(0)と仮定し、前記式(V)よりパラメータX
を算出し、これらをXの値について昇順に整列しi番目
の大きさの値X(0,i)における累積破断確率Fを
γ(1)を求め、続いて帰納的にm(k)およびγ
(k)(k=2,3,…,n)を求めていき、m(i−
1)とm(i)およびγ(i−1)とγ(i)がともに
有為差がなくなった時点でのm(i)およびγ(i)を
用いて前記式(V)より各試験片についてパラメータX
を求め、Xの最小値X(min.)を破断限界パラメー
タとして決定し、評価対象である高硬度鋼からなる部材
の使用条件におけるパラメータXの値X(use)が破
断限界パラメータ未満であれば遅れ破壊を発生しないと
評価することを特徴とする高硬度鋼製部材の評価方法を
提供する。
00MPa以上の高硬度鋼からなる部材であって、部材
として使用する高硬度鋼からn本の試験片を用意し、そ
れぞれの試験片について、
の基本体積、Vfは破壊のプロセスゾーン、m(j)は
材料定数、Have.は鋼中の拡散性水素濃度、γ(j)は
破壊に対する水素と応力の効果の比、σhは静水圧応
力、Vは水素のモル体積、Rは気体定数、Tは絶対温
度)におけるmおよびγの初期値をそれぞれm(0)お
よびγ(0)と仮定し、前記式(VII)よりパラメータ
Xを算出し、これらをXの値について昇順に整列しi番
目の大きさの値X(0,i)における累積破断確率Fを
γ(1)を求め、続いて帰納的にm(k)およびγ
(k)(k=2,3,…,n)を求めていき、m(i−
1)とm(i)およびγ(i−1)とγ(i)がともに
有為差がなくなった時点でのm(i)およびγ(i)を
用いて前記式(VII)より各試験片についてパラメータ
Xを求め、Xの最小値X(min.)を部材として使用
する高硬度鋼の破断限界パラメータとして決定し、使用
条件におけるパラメータXの値であるX(use)がX
(min.)未満となるように使用条件が限定されるこ
とを特徴とする高硬度鋼製部材をも提供する。
の特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態に
ついて説明する。
Pa以上の高硬度鋼からなる部材が使用条件下で遅れ破
壊を発生するか否かを評価するための高硬度鋼製部材の
評価方法である。
が、試験片形状、応力条件、環境、水素条件よらず、次
式
この出願の発明をなすに至った。ここで、σeffは最大
主応力、V0は破壊の基本体積、Vfは破壊のプロセスゾ
ーン、mは材料定数、Have.は鋼中の拡散性水素濃度、
γは破壊に対する水素と応力の効果の比、σhは静水圧
応力、Vは水素のモル体積、Rは気体定数、Tは絶対温
度である。mは、一般に10〜30の値をとる。
て異なるものであるから、この出願の発明である高硬度
鋼部材の評価方法においては、対象となる鋼材について
遅れ破壊試験を実施することによりmおよびλの決定を
行なう。この出願の発明においては、高硬度鋼からn本
の試験片を作成する。
きに350℃以下で放出される水素量を示す。水素量の
測定においては、試験片の温度を1時間に50℃以上8
00℃以下の範囲にある温度条件下で昇温させながら3
50℃までに試験片より放出された水素を四重極質量分
析計またはガスクロマトグラフィーを用いて定量され
る。
(0)およびγ(0)と仮定し、前記式(IX)よりパラ
メータXを算出し、これらをXの値について昇順に整列
しi番目の大きさの値X(0,i)における累積破断確
率Fを
(1)およびγ(1)を求め、続いて帰納的にm(k)
およびγ(k)(k=2,3,…,n)を求めていき、
m(i−1)とm(i)およびγ(i−1)とγ(i)
がともに有為差がなくなった時点でのm(i)およびγ
(i)を固有の値として決定する。そして、前記式(I
X)より各試験片についてパラメータXを求め、Xの最
小値X(min.)を破断限界パラメータとして決定す
る。
硬度鋼からなる部材の使用条件におけるパラメータXの
値X(use)が、破断限界パラメータ未満であれば、
遅れ破壊を発生しないことを見出した。この出願の発明
である高硬度鋼製部材の評価方法においては、X(us
e)≦X(min.)を高硬度鋼からなる部材の使用可
能条件と評価する。この使用可能条件は、試験片形状、
応力条件、環境、水素条件等に関わらず成立する。した
がって、この出願の発明である高硬度鋼製部材の評価方
法は、遅れ破壊試験によりX(min.)を求めるが、
一度X(min.)を求めさえすれば、遅れ破壊試験を
行なった試験片形状以外の形状を持つ部材についても評
価が可能である。
se)がX(min.)未満となるように部材を設計す
ることで、一定の使用条件下で遅れ破壊が発生しない部
材の作成が実現する。
下において材料固有のmおよびγを求めさえすれば、負
荷応力および鋼中水素量が変化しても、再度の実験を行
なうことなく、遅れ破壊が発生しない条件を予測し、遅
れ破壊の生じない鋼高度鋼からなる部材を効率よく設計
することが可能となる。
であるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
0.1mmの環状ノッチを有するTS1400MPa級
SCM440鋼(Fe−0.40%、C−0.24%、
Si−0.8%、Mn−0.02%、P−0.007
%、S−1.0%、Cr−0.15%Mo)を用いて、
図1に示す手順でステップワイズ遅れ破壊試験を実施し
た。
片の引張強さの0.33倍とし、12時間保持した後
に、破断しなかったサンプルについて荷重を遅れ破壊試
験片の引張強さの0.007倍に増加し、さらに2時間
の保持の間に、試験片が破断した場合には100℃/h
rで水素昇温分析を行い、また、試験片が破断しなかっ
た場合には2時間後に再度荷重を遅れ破壊試験片の引張
強さの0.007倍に増加した。以上の手順を試験片が
破断するまで行った。
示す。
に必要となるmおよびγをFEMコードABAQUS−
Standardを用いて算出した。具体的な手順を以
下に示す。
(0)およびγ(0)と仮定し、パラメータX(0,
i)(iは1〜nの自然数)を求め、X(0,i)を昇
順に並べ、i番目のX(0,i)のときの累積破断確率
を、
びγ(1)を求める。m(0)≠m(1)またはγ
(0)≠γ(1)である場合、m(1)およびγ(1)
からそれぞれm(2)およびγ(2)を求める。m(i
−1)≒m(i)およびγ(i−1)≒γ(i)が成立
するまでこれを帰納的に繰り返し、それぞれについて有
為差がなくなった時点でのm(i)およびγ(i)を試
験片の固有の値として決定する。このm(i)およびγ
(i)を用いて、試験片を部材として利用する場合を想
定した条件についてパラメータXを算出し、Xの最小値
X(min.)を破断限界パラメータとして決定する。
この実施例の試験片について、m=20、γ=1/6、
X(min.)=23995である。
片とは形状の異なる試験片を用意し、これらに一定応力
を負荷し、12時間おきに食塩水を噴霧しながらの暴露
試験を実施した。表2および図2は暴露試験の結果を示
したものである。
した結果、パラメータXがX(min.)以下の場合に
は、遅れ破壊が全く発生しなかった。一方、X(mi
n.)を超えるような場合には、遅れ破壊が発生する確
率が急激に上昇した。
は形状が異なる試験片についても、パラメータXの値が
X(min.)未満の条件で設計を行なうことで、遅れ
破壊の発生しない部材が実現することが証明された。
れ破壊の起点として旧γ粒界破壊が観察された。しかし
ながら、最近開発されている鋼材には、遅れ破壊の起点
として旧γ粒界破壊ではなく、擬へき開が観察されるケ
ースが報告されている。破壊起点が旧γ粒界破壊から擬
へき開へと変化することで、材料の水素に対する抵抗が
向上しているといえる。すなわち、限界拡散性水素量が
大きくなっている。この出願の発明に係る高硬度鋼部材
の設計方法においては、鋼材の割れに対する応力および
水素の寄与を定量評価したものであることから、以上の
場合であっても割れ形態に関係なく種々の鋼材に適用可
能である。
明したとおり、引張強さが1000MPaを超えるよう
な高硬度鋼からなる部材が、利用される条件で遅れ破壊
を発生するか否かを調べ、最適な使用条件の設定を行な
うための高硬度鋼製部材の評価方法を提供される。
れていなかった高硬度鋼からなる部材が広く利用される
こととなり、様々な製品の高強度化および軽量化が実現
することから、その実用化が強く期待される。
ズ遅れ破壊試験の手順について示した流れ図である。
定応力を負荷した状態での食塩水暴露試験の結果につい
て示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 引張強さが1000MPa以上の高硬度
鋼からなる部材が使用条件下で遅れ破壊を発生するか否
かを評価するための高硬度鋼製部材の評価方法であっ
て、部材として使用する高硬度鋼からn本の試験片を用
意し、それぞれの試験片について、 【数1】 (ここで、σeffは最大主応力、V0は破壊の基本体積、
Vfは破壊のプロセスゾーン、m(j)は材料定数、H
ave.は鋼中の拡散性水素濃度、γ(j)は破壊に対する
水素と応力の効果の比、σhは静水圧応力、Vは水素の
モル体積、Rは気体定数、Tは絶対温度)におけるmお
よびγの初期値をそれぞれm(0)およびγ(0)と仮
定し、前記式(I)よりパラメータXを算出し、これら
をXの値について昇順に整列しi番目の大きさの値X
(0,i)における累積破断確率Fを 【数2】 とし、X(0)の分布からm(1)およびγ(1)を求
め、続いて帰納的にm(k)およびγ(k)(k=2,
3,…,n)を求めていき、m(i−1)とm(i)お
よびγ(i−1)とγ(i)がともに有為差がなくなっ
た時点でのm(i)およびγ(i)を用いて前記式
(I)より各試験片についてパラメータXを求め、Xの
最小値X(min.)を破断限界パラメータとして決定
し、評価対象である高硬度鋼からなる部材の使用条件に
おけるパラメータXの値X(use)が破断限界パラメ
ータ未満であれば遅れ破壊を発生しないと評価すること
を特徴とする高硬度鋼製部材の評価方法。 - 【請求項2】 引張強さが1000MPa以上の高硬度
鋼からなる部材であって、部材として使用する高硬度鋼
からn本の試験片を用意し、それぞれの試験片につい
て、 【数3】 (ここで、σeffは最大主応力、V0は破壊の基本体積、
Vfは破壊のプロセスゾーン、m(j)は材料定数、H
ave.は鋼中の拡散性水素濃度、γ(j)は破壊に対する
水素と応力の効果の比、σhは静水圧応力、Vは水素の
モル体積、Rは気体定数、Tは絶対温度)におけるmお
よびγの初期値をそれぞれm(0)およびγ(0)と仮
定し、前記式(III)よりパラメータXを算出し、これ
らをXの値について昇順に整列しi番目の大きさの値X
(0,i)における累積破断確率Fを 【数4】 とし、X(0)の分布からm(1)およびγ(1)を求
め、続いて帰納的にm(k)およびγ(k)(k=2,
3,…,n)を求めていき、m(i−1)とm(i)お
よびγ(i−1)とγ(i)がともに有為差がなくなっ
た時点でのm(i)およびγ(i)を用いて前記式(II
I)より各試験片についてパラメータXを求め、Xの最
小値X(min.)を部材として使用する高硬度鋼の破
断限界パラメータとして決定し、使用条件におけるパラ
メータXの値であるX(use)がX(min.)未満
となるように使用条件が限定されることを特徴とする高
硬度鋼製部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001199209A JP4539806B2 (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 高硬度鋼製部材の評価方法 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001199209A JP4539806B2 (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 高硬度鋼製部材の評価方法 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003014599A true JP2003014599A (ja) | 2003-01-15 |
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001199209A Expired - Fee Related JP4539806B2 (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 高硬度鋼製部材の評価方法 |
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| JP (1) | JP4539806B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016057163A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼材の水素脆化の特性評価方法 |
| WO2022097205A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | 日本電信電話株式会社 | 破断確率推定方法 |
-
2001
- 2001-06-29 JP JP2001199209A patent/JP4539806B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
| Title |
|---|
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| JPN6009044659, 高木周作,井上忠信,津崎兼彰,南二三吉, "高強度鋼の遅れ破壊安全性評価−水素量を基準とした評価法の検討−", 材料と環境2001講演集, 20010518, pp.131−132, JP, 社団法人腐食防食協会 * |
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| WO2022097205A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | 日本電信電話株式会社 | 破断確率推定方法 |
| JPWO2022097314A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | ||
| WO2022097314A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | 日本電信電話株式会社 | 破断確率推定方法 |
| JP7464888B2 (ja) | 2020-11-04 | 2024-04-10 | 日本電信電話株式会社 | 破断確率推定方法 |
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