JP2003014130A

JP2003014130A - ブラシシール装置

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Publication number: JP2003014130A
Application number: JP2001198813A
Authority: JP
Inventors: Hideyuki Inoue; 秀行井上
Original assignee: Eagle Industry Co Ltd
Current assignee: Eagle Industry Co Ltd
Priority date: 2001-06-29
Filing date: 2001-06-29
Publication date: 2003-01-15
Anticipated expiration: 2021-06-29
Also published as: JP4944312B2; EP1271022A3; EP1271022A2; DE60214091T2; US6648334B2; DE60214091D1; US20030006559A1; EP1271022B1

Abstract

(57)【要約】【課題】ブラシシール装置のブラシシール２に回転軸
６０が振れて当接しても剛毛の座屈に対するばね常数を
低減して弾性的撓みを容易にすることにある。【解決手段】ブラシシール装置１において、ブラシシ
ール２を構成する剛毛４の中間に剛毛４の弾性的座屈変
形を容易にする曲げ部８を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、航空機、
ガスタービン等の回転軸と相対移動する相手部品との間
をシールするブラシシール装置に関する。特に、相対移
動する二部品間で一方部品が微少な変動をしてもブラシ
シールが一方部品の変動に追随して変形し、両部品間を
シールするようにしたブラシシール装置の技術分野に係
わるものである。

【０００２】

【従来技術】本発明に関する先行技術には、図９に示す
ブラシシール装置１００が存在する。図９は、回転軸１
２０が貫通するケーシング１１０との間に取り付けられ
たブラシシール装置１００の断面図である。そして、こ
のケーシング１１０は、蒸気タービンやガスタービンの
部品であって、ブラシシール装置１００がケーシング
１１０と回転軸１２０との間を仕切るようにして被密封
流体をシールしているものである。

【０００３】図９において、ブラシシール装置１００
は、リング状に形成されて、ケーシング１１０の溝部１
１２に取り付けられている。このブラシシール装置１０
０の主要な構成は、ブラシシール１０９と背板１０２と
支持板１０３である。このブラシシール１０９は、剛毛
１０１が円周に沿って壁状に配列され、一端部が結合さ
れて取付部１０４を形成している。そして、ブラシシー
ル１０９の自由端面１０５は回転軸１２０に対向する。
従来技術の剛毛１０１の線径は、この分野では一般に、
０．２０ｍｍ以上のものが用いられている。

【０００４】このブラシシール１０９の側面には、環状
をした背板１０２が側面１０８をブラシシール１０９と
接触状態にして配置され、被密封流体の圧力の作用に対
して剛毛１０１を支持している。又、ブラシシール１０
９の他方の面には、保持板１０３がリング板に形成され
て背板１０２との間でブラシシール１０９の取付部１０
４側を狭持するごとく一体に配置されている。この保持
板１０３は、被密封流体がブラシシール１０９の側面に
作用できるように径方向の幅が狭くされてブラシシール
１０９を露出させている。そして、背板１０２とブラシ
シール１０９の取付部１０４と保持板１０３とは、一端
が溶接されて結合部１０６に形成されている。

【０００５】図１０は、ブラシシール１０９の正面図で
ある。この図１０のブラシシール１０９は、ブラシシー
ル１０９と回転軸１２０とが揺動しない正常に嵌合した
状態であって、剛毛１０１は、直線状を成して回転軸１
２０の径方向に対して傾斜している。このブラシシール
１０９の正常状態は、図９の実線で示す回転軸１２０が
自由端面１０５に接触又は近接しているものである。

【０００６】更に、他の従来技術として特開２００１−
５０３９６号公報には図１１に示すものが開示されてい
る。この図１１には、ブラシシール１０９における結合
部１０６がブラシシールホルダー１３０の取付内部１３
１に径方向移動自在に配置されている。そして、結合部
１０６は回転軸１２０の径方向に対して板ばね１３２に
より弾発に支持されている。

【０００７】しかし、ブラシシール１０９に対して回転
軸１２０が偏心して圧接したときに、剛毛の弾性変形に
対応するバネ常数と板ばね１３２の弾性変形に対応する
バネ常数との２つの要素と、その取付構造により生じる
複雑な摩擦等から決められる。この２つのバネ常数、そ
の他の摩擦が設計要素となるために回転軸１２０の変動
による圧接力に対する最適な設計や改善が極めて困難で
ある。このため、回転軸１２０の変動に対する剛毛１０
１の追随性も十分に発揮されずに、剛毛１０１の自由端
面１０５を早期に摩耗させる結果となっている。更に、
剛毛１０１の線径が太い場合には、この剛毛の回転軸と
の当接時の追随性から、剛毛の積層された壁の厚さを厚
くすると更に追随性が悪化するので厚さを厚くすること
ができない。このために被密封流体を遮断する能力が低
下する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述のごとく構成され
たブラシシール装置１００は、回転軸１２０が振動など
により、ブラシシール１０９に接触すると、ブラシシー
ル１０９は、図１２に示すように回転軸１２０と圧接さ
れた状態になりながら傾斜角度も増加させる。

【０００９】この状態で、被密封流体の圧力が高圧Ｐ１
の場合には、図９に示すように、低圧Ｐ２との差圧（Ｐ
１−Ｐ２）が大きくなるから、ブラシシール１０９の直
線状の剛毛１０１は、全体が背板６に押しつけられて撓
みにくくなり、回転軸１２０に対して追随性を悪化させ
る。同時に、直線状の剛毛１０１間に被密封流体が侵入
すると扇を開くように容易に押し分けられるので、傾斜
した状態の剛毛１０１の分けられた一方側は、傾斜角度
を小さくするように変位しようとすると共に、剛毛１０
１間に隙間が惹起する。そして、剛毛の変化状態に於い
て、径方向の長さが長い状態に移行すると、回転軸１２
０との圧接力を更に増加させて摩耗することになる。

【００１０】この様な経過を辿りながら、図１２に示す
ブラシシール１０１の回転軸１２０に圧接した位置に対
し軸心の径方向反対側は、図１３に示すように、剛毛１
０１の自由端面１０５と回転軸１２０との隙間Ｃが大き
くなとと共に、この間隙Ｃから被密封流体の漏れが惹起
する。

【００１１】本発明は、上述のような問題点に鑑み成さ
れたものであって、その技術的課題は、回転軸からの押
圧力に対するブラシシールの弾性発力を低減させ、ブラ
シシールが回転軸により摩耗させられるのを低減するこ
とにある。又、ブラシシールは、回転軸の変動に対応す
る追随性を良好にしてシール能力を向上させることにあ
る。更に、薄板を短冊状にしたブラシシールを可能にし
て追随性のある弾性変形を可能にすると共に、シール能
力を向上させることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上述のような課
題を解決するために成されたものであって、その課題を
解決するための技術的手段は以下のように構成されてい
る。

【００１３】請求項１に係わる本発明のブラシシール装
置は、間隙を有して相対回動する構成部品間の前記一方
の部品（５０）に取付けられて前記他方の部品（６０）
との間をシールするブラシシール装置であって、剛毛が
配列されて壁状に形成された一端部列を固着する取付部
を有すると共に、前記他方の部品（６０）の相対面と対
向する自由端部を有するブラシシール（２）と、前記ブ
ラシシール（２）の取付部（３）と結合して前記ブラシ
シール（２）の側面が支持される支持面を有する背板部
（６）と、前記ブラシシールの前記取付部を前記背板部
との間で保持する保持部（１０）とを具備し、前記ブラ
シシール（２）の前記剛毛（４）の中間に前記剛毛
（４）の弾性的座屈変形を容易にする曲げ部（８）を有
するものである。

【００１４】請求項１に係わる本発明のブラシシール装
置では、ブラシシール（２）の剛毛（４）の中間に弾性
的な座屈変形を容易にする曲げ部（８）が設けられてい
るから、剛毛（４）の自由端部（５）に回転軸からの作
用力が働いても曲げ部（８）の形状に対応して弾性変形
し、追随してシール能力を発揮することが期待できる。
又、ブラシシール（２）を線形だけでなく薄板を短冊状
に形成したものを可能にする。更に、ブラシシール
（２）の自由端部（５）及び回転軸（６０）の外周面の
接触摩耗を低減できる。又、剛毛（４）の回転軸（６
０）に対する追随性の設計は、他の要素を計算すること
なく剛毛（４）と、剛毛（４）に作用する力とからバネ
常数を算出することが容易になり、剛毛（４）に対する
最適設計が容易になる。

【００１５】請求項２に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシール（２）の前記剛毛（４）の曲げ
部（８）が湾曲に形成されているものである。

【００１６】請求項２に係わる本発明のブラシシール装
置では、湾曲状の形状によりブラシシール（２）を軸方
向へ層状に重ねて壁に形成することが容易になると共
に、湾曲状の形状同士が接合されて重ねられるので、被
密封流体が作用しても剛毛（４）が分けられて被密封流
体が漏れるようなこともなく、シール能力を発揮する。
更に、剛毛（４）の曲げ部（８）が湾曲状を成すこと
は、自由端部（５）に作用する荷重に対して座屈弾性変
形に優れ、回転軸（６０）に対する応答性が向上するの
で、層状の厚さを厚くしてシール能力を向上させること
が期待できる。又、剛毛（４）のバネ常数を容易に設計
することが可能になる。

【００１７】請求項３に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシール（２）の前記剛毛（４）の曲げ
部（８）がＳ字形に形成されているものである。

【００１８】請求項３に係わる本発明のブラシシール装
置では、曲げ部（８）がＳ形に形成されているので、座
屈的弾力性に優れて回転軸（６０）の作用力に対して追
随性に優れた作用を発揮する。又、剛毛（４）の長さが
長とれるので弾性的応答性に優れる。

【００１９】請求項４に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシールの前記剛毛（４）の曲げ部
（８）がＳ字形に形成されていると共に前記曲げ部
（４）より自由端部（５）側に直線部（９）を有するも
のである。

【００２０】請求項４に係わる本発明のブラシシール装
置では、曲げ部（８）より自由端部（５）側に直線部
（９）を有するので、ブラシシール（２）に対して回転
軸６０を正逆両方に回転することが可能になる。そし
て、前述と同様な座屈に対する弾性的応答性に優れる。

【００２１】請求項５に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシール（２）の前記剛毛（４）が薄板
を短冊状に形成されたものである。

【００２２】請求項５に係わる本発明のブラシシール装
置では、剛毛（４）は薄板を短冊状に形成するので、曲
げ部（８）の加工が容易になる。しかも、剛毛（４）は
薄板から加工するので、シール能力の向上と共に、座屈
応力に対する弾性的追随性を発揮させることが可能にな
る。このために、剛毛に対する回転軸の当接に対して
も、摩耗を低減し、且つ追随性を発揮することが可能に
なる。

【００２３】請求項６に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシール（２）は、積層中間に樹脂材製
の薄板の環状体又は樹脂材製の薄板の内周側を短冊状に
した剛毛（４）が配置されているものである。

【００２４】請求項６に係わる本発明のブラシシール装
置では、樹脂材製の薄板の環状体又は樹脂材製の薄板か
ら成る剛毛が介在されているので、剛毛がロータからの
作用を受けたときに摩擦抵抗を少なくして対応すること
ができる。又、剛毛の中間に配置されたスリットのない
薄板の環状体により被密封流体を遮断する効果が大きく
なる。

【００２５】請求項７に係わる本発明のブラシシール装
置は、前記ブラシシールは樹脂材製の線材から成る剛毛
又は金属材製の線材に低摩擦材をコーテングした剛毛が
混在されているものである。

【００２６】請求項７に係わる本発明のブラシシール装
置では、樹脂材製の薄板環状体又は樹脂材製の剛毛が介
在されているので、剛毛がロータからの作用を受けて変
形しようとするときに摩擦抵抗が少なくして対応するこ
とが可能になる。

【００２７】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる実施の形態
についてのブラシシール装置を図面に基づいて詳述す
る。尚、以下の図面は不正確な概念図ではなく、形状が
正確な寸法の設計図である。

【００２８】図１は、ガスタービンのケーシング５０と
ロータ６０との間隙を高圧Ｐ１側と低圧Ｐ２側とに仕切
るブラシシール装置１の断面図である。又、図２、図
３，図４は、ブラシシール装置１に取り付けるブラシシ
ール２の平面図である。

【００２９】図１において、１はブラシシール装置であ
る。このブラシシール装置１の外周側の固定部２０は、
構成部品の一方の部品であるケーシング５０の内周面に
設けられた断部５１に取り付けられている。又、ブラシ
シール装置１の内周側の自由端部５は他方の部品である
ロータ６０の外周面と対向して接面又は近接した状態に
配置されている。そして、ブラシシール装置１により高
圧Ｐ１側の被密封流体をシールする。

【００３０】ブラシシール装置１は、ブラシシール２、
背板部６及び保持部１０が主要な構成である。このうち
のブラシシール２は、剛毛４の中間がロータ６０の回転
方向に対して凹形の湾曲状曲げ部８に形成されている。
この剛毛４は、図２に示すように、薄板を細かい短冊状
に形成したものである。そして、回転軸６０の軸方向へ
複数枚を積層状態に配置して壁を形成している。又、外
周端部が溶接により、又は背板部６と保持部１０を介し
てボルト等により一体化されて取付部３を形成してい
る。この剛毛４は、線材から同様に構成することもでき
る。剛毛４は、一実施例として、例えば、線径又は角形
（矩形にすることもできる）の断面寸法は、０．１辺の
長さ、又は直径が０．５〜０．００５ｍｍ、好ましくは
０．２０〜０．０２ｍｍである。又、長さは５〜５０ｍ
ｍの範囲である。更に、剛毛の壁の厚さは０．４〜５ｍ
ｍの範囲を利用した。更に、剛毛４の材質は、鋼、ニッ
ケル基の合金、セラミック材等が用いられる。

【００３１】背板部６は、ブラシシール２の取付部３を
保持する固着部６Ａとブラシシール２に被密封流体の圧
力が作用して極端に曲げられないように支持する支持面
７とを設けている。そして、ブラシシール２と支持面７
との間は、図１のように接合させても良いし、離間する
形に形成しても良い。

【００３２】ブラシシール２は、回転軸６０が大きく振
れると自由端部５が回転軸６０と接触するが、剛毛４は
全て中間に曲げ部８が湾曲状に形成されているから、剛
毛４は直線方向にばね常数が小さくなる。このために、
ブラシシール２は、ロータ６０が揺動して当接するよう
なことがあっても弾性的に曲げられて対応することがで
きる。つまり、ロータ６０に振れが生じて当接してもブ
ラシシール２に設定されたばね常数に応じて弾性的に和
らげられる。更に、ロータ６０がそれより少し触れ回り
が大きく揺動しても、曲げられた剛毛４は、接触圧力を
更に減少させるから摩耗するのが更に低減される。

【００３３】ブラシシール２は、背板部６と保持板部１
０とにより取付部３が電子ビーム等の溶接により一体に
結合され、この三部品の固着箇所は固定部２０を形成す
る。そして、保持部１０は、リング状に形成されて、背
板部６より径方向幅が小さい寸法に形成されている。
尚、図１では、保持部１０が固定部２０を形成する長さ
であるが、背板部６に近い径方向の長さに形成すること
も可能である。そして、この長さの長い保持部１０の場
合には、ブラシシール２と保持板部１０の側面との間に
被密封流体が流入できる空間部に形成される。

【００３４】背板部６と保持部１０は、ケーシング５０
の線膨張係数に合わせて材質を選定することが好まし
い。例えば、ニッケル基の合金、鉄、鋼、その他非鉄金
属で製作される。更には、被密封流体の種類、温度、又
は、その他の適用分野の条件によって種々の材質が選定
されている。

【００３５】図２は、ブラシシール２の平面図であっ
て、このブラシシール２は、本発明に係わる実施例１で
ある。ブラシシール２は、リング状の薄板をレーザ加
工、化学エッチング加工、放電加工等の精密加工により
外周の１部を残して内周側を短冊状に形成する。又、線
材から成る剛毛４の場合には、プレスにより湾曲状に形
成する。そして、ブラシシール２の中間部を周方向に湾
曲状の曲げ部８に形成したものである。尚、この曲げ方
向はブラシシール２の軸方向に曲げたものもある。つま
り曲げ部８は、ブラシシール２の周方向、又は軸方向、
更には斜め方向を成す３次元に曲げることもできる。そ
して、それらを束又は積層してブラシシールに形成する
ものである。この加工方法は、最初にプレス成形し、そ
の後にイッチング等で短冊状に精密加工をする。又、こ
の逆の工程により製作する場合がある。この湾曲状の曲
げ部８により回転軸６０の回転方向へ方向づけに形成す
ることができる。

【００３６】図５は、図２のブラシシールの剛毛４の形
状を示すものである。この剛毛４の形状は、図５に示す
ように曲げ部８が湾曲に形成される。この曲げ部８の湾
曲の半径は、Ｒ１であり、荷重Ｆが径方向に対してＡの
角度から作用するように構成されている。この曲げ部８
の構成によりばね常数を低減することが可能になる。こ
のために、回転軸６０から押圧力を受けても、曲げ部８
のばね常数により、押圧力に対応して接触しながら追随
し、シール機能を発揮する。

【００３７】図３は、図２のブラシシール２の曲げ部８
を平面から見てＳ字状形に形成したものである。このＳ
形のブラシシール２は、本発明に係わる実施例２であ
る。図３のブラシシール装置１は、図２と同様にリング
状の薄板の内周側をＳ字形短冊状に精密加工する。これ
を更にプレス加工して仕上げる場合もある。又は、この
逆の加工工程方法にすることもできる。この加工工程は
必要に応じて上述の方法に基づき種々の方法が選択され
る。

【００３８】図６は、図３のブラシシール２の剛毛４の
形状を示すものである。剛毛４の曲げ部８は、Ｒ２とＲ
３の曲率半径を合わせたＳ字状形に形成されている。そ
して、自由端部５に対し、径方向がＡ角度の回転軸６０
からの荷重Ｆが作用するように構成されている。Ｓ字状
形の曲げ部８を設けた剛毛４は、回転軸６０との圧接に
対して座屈方向のばね常数を更に小さくすることができ
る。

【００３９】図４は、図２のブラシシール２の曲げ部８
を平面から見てＳ字状形に形成すると共に、自由端部５
を直線部９に形成したものである。このブラシシール２
は、本発明に係わる実施例３である。この図４のブラシ
シール２は内周側に直線部９が設けてあるので、回転軸
６０に対して回転方向の方向性がなく、正逆両方の回転
が可能になる。この外、図４のブラシシール２は、図３
に示すブラシシール２と同様な効果を奏する。

【００４０】図７は、図４のブラシシール２の剛毛４の
形状を示すものである。剛毛４は、曲率半径Ｒ４とＲ５
を合わせたＳ字形に形成されていると共に、自由端部５
側に直線部９が形成されている。この直線部９に対して
荷重Ｆは直線に作用するから、回転軸６０は、正、逆ど
ちらにでも回動することが可能になる。更に、Ｓ字状形
の曲げ部８は図６（図３）の剛毛４と同様な作用効果を
奏する。

【００４１】図８は、本発明に係わる第２の実施の形態
を示すブラシシール装置１の断面図である。この図８の
ブラシシール装置１は、図１とほぼ同様な構成である
が、両者の相違する点は、第１の実施の形態では、曲げ
部８の曲げられた方向の形状がほぼ４５度の範囲内で周
方向に向かって形成されているのに対し、第２の実施の
形態では、剛毛４の曲げ部８が、曲げられた方向がほぼ
軸方向に向かってＳ字状形に形成されたものである。

【００４２】更に、背板部６のブラシシール２と対向す
る支持面７はブラシシール２の対向面より寸法Ｄだけ間
隔を設けた位置に形成されている。つまり、曲げ部８の
曲げられた距離だけ段部状に形成されている。この支持
面７は必要に応じて周面に沿って環状凹部に形成しても
良い。

【００４３】剛毛４は、線材により形成できることはも
ちろんであるが、ステンレス板、銅板、アルミニウム
板、セラミック板等から短冊状に形成することもでき
る。この短冊状剛毛４は、断面が矩形状、平方形状、楕
円形状、等必要に応じて形成することができる。そし
て、被密封流体の圧力に応じて軸方向に層状にして壁の
厚さを設定することが可能になる。この層状にして形成
する壁の厚さは、薄板を短冊状にして重ね合わせればよ
いので、このブラシシール２の組立加工が極めて容易に
なる。

【００４４】表１は、剛毛４の曲げ部８の形によるばね
常数をＦＥＭ構造解析により算出した結果である。尚、
表１は、比較例を１とした場合の対比した値である。比
較例１は、図１４に示す直線の剛毛４である。実施例１
は、図５に示す円弧状の曲げ部８を有する剛毛４であ
る。これをＦＥＭ構造解析により解析した。解析条件
は、図２に示すような、薄板を短冊状に形成した剛毛４
である。そして、各剛毛４の材料と断面形状は同一のも
のを使用した。又、荷重Ｆとその作用方向Ａも全て同一
条件である。この様な同一条件の下に荷重Ｆを負荷して
その変位量を算出し、その変位量からばね常数を算出し
た。

【００４５】

【表１】

【００４６】以上の解析結果から、曲げ部８を有する剛
毛４は、直線形の剛毛４に比較してばね常数を小さくす
ることが可能になる。その結果、剛毛４は、弾発力の追
随性に優れて同変位量に対しての弾発力に優れながら、
ばね常数を小さな値にすることがきる。このために。従
来技術のように固定部２０を板ばね１３２等で弾発支持
する必要もないので、固定部２０の構造及びばねの設計
が容易になると共に、計算通りの正確な設計が可能にな
る。ブラシシール２は、更に、剛毛４の配列された中に
周方向に列をなす樹脂材製の剛毛４を配列した実施例を
採用している。更に、剛毛４を金属線と樹脂材線を混在
したものもある。又、図２，図３，図４のブラシシール
２の単板に、同形状の樹脂材製のブラシシール単板を交
互に積層配列する実施例も採用している。更に又、図
２，図３，図４のブラシシールの中に、樹脂材製のスリ
ットのないブラシシール単板を必要枚数を積層に配列す
る実施例も採用している。この場合は、スリットのない
薄板状のブラシシール単板により被密封流体をせき止め
ると同時に、剛毛４間の摺動抵抗を低減するものであ
る。以上のブラシシール２は、金属材製の剛毛４に樹脂
材製の剛毛４を混合又は配列することにより、互いの摺
動抵抗を低減することが可能になる。

【００４７】

【発明の効果】本発明に係わるブラシシール装置によれ
ば、ブラシシールの剛毛の中間に弾性的な変形を容易に
する曲げ部が設けられているから、剛毛の自由端部に回
転軸の振れによる作用力が働いても曲げ部の機能に対応
して弾性変形し、回転軸に追随してシール能力を発揮す
る効果が期待できる。

【００４８】又、ブラシシールを線形だけでなく薄板を
短冊状に形成したものを可能にするのでシール能力を向
上させることができると共に、ブラシシール装置の製作
を容易にする効果が期待できる。更に、ブラシシールの
自由端部及び回転軸の外周面の接触摩耗を防止する効果
を奏する。

【００４９】又、剛毛の回転軸に対する追随性の設計
は、他のばねや摩擦機構の条件を計算することなく剛毛
の材質（特性）と、剛毛に作用する力とからバネ常数を
算出することが容易になり、剛毛の曲げ部に対する最適
設計が容易になる。

【００５０】剛毛が金属製の場合に、樹脂材製の剛毛を
混在させることにより、他方の部品が当接したときに互
いの摩擦抵抗を小さくして追随性のある弾性変形を可能
とする。そして、互いの摺動面の摩耗、摩擦を低減する
ことが出きる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる第１の実施の形態を示すブラシ
シール装置の半断面図である。

【図２】図１に示すブラシシール装置に於ける第１実施
例のブラシシールの平面図である。

【図３】図１に示すブラシシール装置に於ける第２実施
例のブラシシールの平面図である。

【図４】図１に示すブラシシール装置に於ける第３実施
例のブラシシールの平面図である。

【図５】図２の剛毛の側面図である。

【図６】図３の剛毛の側面図である。

【図７】図４の剛毛の側面図である。

【図８】本発明に係わる第２の実施の形態を示すブラシ
シール装置の半断面図である。

【図９】従来例のブラシシール装置の半断面図である。

【図１０】図１のブラシシール装置の１部正面図であ
る。

【図１１】従来例の他のブラシシール装置の斜視図であ
る。

【図１２】図１のブラシシール装置に於ける回転軸がブ
ラシシールに圧接した状態の１部正面図である。

【図１３】図１のブラシシール装置に於ける回転軸がブ
ラシシールから離間した状態の１部正面図である。

【図１４】図１０の剛毛の側面図である。

【符号の説明】

１ブラシシール装置２ブラシシール３取付部４剛毛５自由端部６背板部６Ａ固着部７支持面８曲げ部９直線部１０保持部２０固定部５０一方の部品（ケーシング）５１段部６０他方の部品（ロータ）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】間隙を有して相対回動する構成部品間の
前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間を
シールするブラシシール装置であって、剛毛が配列されて壁状に形成された一端部列を固着した
取付部を有すると共に前記他方の部品の相対面と対向す
る自由端部を有するブラシシールと、前記ブラシシールの取付部と結合して前記ブラシシール
の側面が支持される支持面を有する背板部と、前記ブラシシールの前記取付部を前記背板部との間で保
持する保持部とを具備し、前記ブラシシールの前記剛毛の中間に前記剛毛の弾性変
形が容易になる曲げ部を有することを特徴とするブラシ
シール装置。
【請求項２】前記ブラシシールの前記剛毛の曲げ部が
湾曲に形成されていることを特徴とする請求項１に記載
のブラシシール装置。
【請求項３】前記ブラシシールの前記剛毛の曲げ部が
Ｓ字形に形成されていることを特徴とする請求項１に記
載のブラシシール装置。
【請求項４】前記ブラシシールの前記剛毛の曲げ部が
Ｓ字形に形成されていると共に前記曲げ部より自由端部
側が直線状に形成されていることを特徴とする請求項１
に記載のブラシシール装置。
【請求項５】前記ブラシシールは環状体の薄板内周側
を短冊状にして剛毛に形成すると共に前記環状体の剛毛
が積層されていることを特徴とする請求項１又は請求項
２又は請求項３又は請求項４に記載のブラシシール装
置。
【請求項６】前記ブラシシールは、積層中間に樹脂材
製の薄板の環状体又は薄板の環状体の内周側を短冊状に
した剛毛が配置されていること特徴とする請求項１から
請求項５に記載のブラシシール装置
【請求項７】前記ブラシシールは樹脂材製の剛毛又は
金属材製の線材に低摩擦材をコーテングした剛毛が混在
されていることを特徴とする請求項１から請求項６に記
載のブラシシール装置。