JP2003013101A - 耐酸化性を備える導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 - Google Patents

耐酸化性を備える導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品

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JP2003013101A
JP2003013101A JP2001193008A JP2001193008A JP2003013101A JP 2003013101 A JP2003013101 A JP 2003013101A JP 2001193008 A JP2001193008 A JP 2001193008A JP 2001193008 A JP2001193008 A JP 2001193008A JP 2003013101 A JP2003013101 A JP 2003013101A
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conductive
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Hisamitsu Hongo
央光 本郷
Masayoshi Maeda
昌禎 前田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 積層セラミック電子部品の内部電極を導電ペ
ーストを用いて形成する際、有機物の分解ならびに除去
に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バインダー処理が可
能な耐酸化性を有する導電粉末からなる導電性ペースト
を用いて積層セラミック電子部品の歩留まりならびに生
産性を向上させる。 【解決手段】 耐酸化性を備える導電粉末の製造方法
は、Ni粉末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主
成分とする合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも
1種の卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径より
も小さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部
以下のCo−B合金粉末を、機械的な処理によって付着
させる付着工程を備えることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐酸化性を有する
導電粉末の製造方法、上述の製造方法によって得られる
導電粉末、上述の導電粉末を含有してなる導電性ペース
ト、および上述の導電性ペーストを用いて内部電極が形
成された積層セラミック電子部品に関するものであり、
特に、積層セラミックコンデンサの内部電極形成に好適
な導電性ペーストに用いられる耐酸化性を有する導電粉
末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セ
ラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミック電子部品、例えば
積層セラミックコンデンサのように、生のセラミック積
層体とペースト塗布膜を同時焼成して焼結させる場合に
用いられる、内部電極形成用の導電性ペーストとして
は、高温下でも酸化に対して安定で、かつ素体セラミッ
ク焼成温度より融点の高いPd,Ag−Pd,Pt等の
貴金属粉末と、有機バインダーと溶剤とからなる有機ビ
ヒクルと、を含有してなる導電性ペーストが用いられて
きた。しかし、これら貴金属粉末は高価であり、かつ価
格が安定しないことから、近年ではNi粉末,Cu粉
末,またはこれらを主成分として含有する粉末等の卑金
属粉末を含有してなる導電性ペーストを用いて内部電極
を形成した、低コストな積層セラミックコンデンサや多
層セラミック基板等の積層セラミック電子部品が生産さ
れている。
【0003】上述のような積層セラミック電子部品の製
造工程においては、Ni粉末やCu粉末の酸化を防止す
るため、脱バインダー工程および本焼成工程における雰
囲気制御が非常に重要となる。このうち、脱バインダー
工程においては、これら卑金属粉末の酸化を防止するた
め、窒素気流中等の中性雰囲気か、もしくはこれら卑金
属粉末が酸化しない程度のごく低温の酸化雰囲気によ
り、有機物の分解を目的とした熱処理が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の卑金属粉末を含
有してなる導電性ペーストを用いる場合には、上述した
ように、窒素気流中等の中性雰囲気か、もしくはこれら
卑金属粉末が酸化しない程度のごく低温の酸化雰囲気中
で脱バインダーを行なわなければならず、工程雰囲気の
バラツキによる有機物の分解や除去が不十分となると、
残留したカーボン成分が本焼成時にセラミックの焼結を
阻害し、セラミックが焼結不足となり、十分な静電容量
や絶縁抵抗が得られないという問題が発生する。
【0005】また、逆に、有機物の熱分解を確実に行な
うために、十分な酸素を与え高温で熱処理を行なうと、
脱バインダー時に卑金属粉末が酸化し、卑金属粉末の酸
化膨張による脱バインダー時の層剥がれといった構造不
良や、酸化による卑金属粉末の焼結不足による取得容量
の低下や、等価直列抵抗ならびにtanδの増加等の不
具合が発生する。したがって、脱バインダー時において
微妙な雰囲気管理が必要となり、工程管理が煩雑となり
工程不良原因となる問題がある。
【0006】このような問題を解決する方法として、特
開平1−258306号公報において、卑金属粉末の酸
化防止のため、Ni粉末にB粉末またはB化合物粉末の
1種もしくは1種以上を含ませるとともに、無機質フィ
ラーおよび有機ビヒクルを含有させた導電性ペーストが
開示されている。しかしながら、この方法では、ペース
ト混練が不十分である場合、B粉末またはB化合物の分
散状態が不均一になり、卑金属粉末の耐酸化性がばらつ
くという問題がある。
【0007】本発明の目的は、上述の問題点を解消すべ
くなされたもので、耐酸化性を有する導電粉末、および
このような導電粉末を用いた導電性ペーストを提供する
ことで、有機物の分解ならびに除去に十分な温度の酸化
雰囲気中での脱バインダー処理を可能とし、このような
導電性ペーストを用いて内部電極を形成する積層セラミ
ック電子部品の歩留まりならびに生産性を向上させるこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の耐酸化性を備える導電粉末の製造方法は、
Ni粉末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分
とする合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種
の卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも小
さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部以下
のCo−B合金粉末を、機械的な処理によって付着させ
る付着工程を備えることを特徴とする。
【0009】また、本発明の耐酸化性を備える導電粉末
の製造方法は、上述の付着工程の前段階に、Co塩を水
素化硼化物または/およびアミンボランを含む還元液で
液相還元してCo−B合金粉末を得る工程をさらに備え
ることが好ましい。
【0010】また、本発明の耐酸化性を備える導電粉末
の製造方法における、卑金属粉末の平均粒径は、1.0
μm以下であることが好ましい。
【0011】また、本発明の耐酸化性を備える導電粉末
の製造方法における、Co−B合金粉末の平均粒径は、
0.1μm以下であり、かつ卑金属粉末の平均粒径の1
/2以下であることが好ましい。
【0012】本発明の耐酸化性を備える導電粉末は、上
述の本発明の耐酸化性を備える導電粉末の製造方法によ
って得られたことを特徴とする。
【0013】本発明の導電性ペーストは、上述の本発明
の耐酸化性を備える導電粉末と、有機ビヒクルと、を含
有してなることを特徴とする。
【0014】本発明の積層セラミック電子部品は、複数
のセラミック層が積層されてなるセラミック積層体と、
セラミック層間に形成された複数の内部電極と、を備え
る積層セラミック電子部品であって、内部電極は、本発
明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴
とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明による一つの実施形態にお
ける導電粉末について、図1およびに基づいて詳細に説
明する。導電粉末1は、図1に示すように、卑金属粉末
2と、Co−B合金粉末3と、からなる。
【0016】卑金属粉末2は、例えば、Ni粉末,Cu
粉末,Ni−P合金粉末,Ni−Cr合金粉末,Cu−
Zn合金粉末,Pd粉末が付着したNi粉末,Agが付
着したNi粉末,Pd−Ag合金粉末が付着したNi粉
末、Pt粉末が付着したNi粉末、Pd粉末が付着した
Cu粉末,Agが付着したCu粉末,Pd−Ag合金粉
末が付着したCu粉末、Pt粉末が付着したCu粉末等
が挙げられ、積層セラミック電子部品のセラミック特性
に合わせ適宜選択される。
【0017】Co−B合金粉末3は、卑金属粉末2の表
面に付着している。Co−B合金粉末を卑金属粉末に付
着させる方法としては、例えばボールミル,サンドミ
ル,高速ホモジナイザー,ジェットミル,メカノフュー
ジョン等を用いて機械的な処理を施すことが挙げられ
る。なお、分散条件を調整することにより、平均粒径や
付着量を調整することができる。
【0018】また、Co−B合金粉末の平均粒径は、卑
金属粉末の平均粒径よりも小さいことを要する。卑金属
粉末の平均粒径よりも小さい場合に、上述したように酸
化硼素が卑金属粉末を被覆し、卑金属粉末の耐酸化性が
高まるという本発明の効果が得られる。他方、卑金属粉
末の平均粒径以上であると、このような導電粉末を含有
してなる導電性ペーストを用いて内部電極を形成した積
層セラミック電子部品は、卑金属粉末の酸化膨張による
脱バインダー時の層剥がれといった構造不良や、酸化に
よる卑金属粉末の焼結不足による取得容量の低下や、等
価直列抵抗ならびにtanδの増加等の不具合が発生す
る。
【0019】また、Co−B合金粉末の卑金属粉末表面
への付着量は、卑金属粉末100重量部に対して、50
重量部以下であることを要する。Co−B合金粉末の付
着量が50重量%を超えると、多量のCo−B合金粉末
が熔融し、内部電極が電極としての機能を損なう。な
お、Co−B合金粉末の付着量の下限値は特に限定はし
ないが、Co−B合金粉末の付着量が0.1重量%程度
あれば、導電粉末の酸化開始温度が上昇し、すなわち卑
金属粉末の耐酸化性を向上させる効果が得られ、このよ
うな導電粉末を粉末を含有してなる導電性ペーストを用
いて内部電極を形成した積層セラミック電子部品におい
て、導電粉末の酸化膨張による脱バインダー時の層剥が
れといった構造不良の発生、酸化による導電粉末の焼結
不足による取得容量の低下、等価直列抵抗ならびにta
nδの増加等の不具合の発生を抑制することができる。
【0020】また、卑金属粉末の平均粒径は、1.0μ
m以下であることが好ましい。一般的に、卑金属粉末は
平均粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活性にな
り、酸化が起こりやすくなる。特に、卑金属粉末の平均
粒径が1.0μm以下の場合に酸化が起こりやすくなる
傾向がある。そのため、本発明において、卑金属粉末の
平均粒径が1.0μm以下である場合に本発明の耐酸化
効果が十分に発揮される。卑金属粉末の平均粒径が1.
0μmを超える粉末を用いた場合も本発明の耐酸化効果
は得られるが、もともと比表面積が小さく酸化に対して
敏感でないため、その耐酸化効果は1.0μm以下の粉
末の場合ほど顕著ではない。
【0021】また、Co−B合金粉末の平均粒径は0.
10μm以下で、かつ卑金属粉末の平均粒径の1/2以
下であることが好ましい。上述の範囲内である場合、C
o−B合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆す
ることができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られ
る。
【0022】また、本発明のCo−B合金粉末の製造方
法は、特に限定はしないが、ニッケル塩の溶液を水素化
硼化物あるいはアミンボランの還元液にて液相還元して
作製したCo−B合金粉末は、粒子径の分布が狭いので
好ましい。この場合、Co−B合金粉末の粒径制御は、
液相還元反応の反応温度や濃度などを制御することによ
って行ない、0.10μm以下のCo−B合金粉末を作
製することができる。得られたCo−B合金粉末を分析
した結果、この粉末は非晶質であり、また粉末中に含ま
れているB成分の構成割合は約25モル%であった。な
お、Co−B合金粉末に含まれるB成分の構成割合につ
いては、特に限定はしない。
【0023】本発明の導電性ペーストは、上述の導電粉
末と、有機ビヒクルと、を含有してなる。有機ビヒクル
の材料は、特に限定はしないが、従来より積層セラミッ
ク電子部品の内部電極形成に好適な導電性ペーストに一
般的に用いられている有機ビヒクル、具体的には、例え
ばエチルセルロース樹脂等の有機バインダーをテルピネ
オール等の溶剤に溶解させたもの等を適宜用いることが
できる。
【0024】本発明の積層セラミック電子部品の一つの
実施形態について、図2に基づいて詳細に説明する。す
なわち、積層セラミック電子部品11は、セラミック積
層体12と、内部電極13,13と、端子電極14,1
4と、めっき膜15,15とから構成される。
【0025】セラミック積層体12は、BaTiO3
主成分とする誘電体材料からなるセラミック層12aが
複数積層された生のセラミック積層体が焼成されてな
る。
【0026】内部電極13,13は、セラミック積層体
12内のセラミック層12a間にあって、複数の生のセ
ラミック層12a上に本発明の導電性ペーストが印刷さ
れ、生のセラミック層とともに積層されてなる生のセラ
ミック積層体と同時焼成されてなり、内部電極13,1
3のそれぞれの端縁は、セラミック積層体12の何れか
の端面に露出するように形成されている。
【0027】端子電極14,14は、セラミック積層体
12の端面に露出した内部電極13,13の一端と電気
的かつ機械的に接合されるように、端子電極形成用の導
電性ペーストがセラミック積層体12の端面に塗布され
焼付けられてなる。
【0028】めっき膜15,15は、例えば、SnやN
i等の無電解めっきや、はんだめっき等からなり、端子
電極14,14上に少なくとも1層形成されてなる。
【0029】なお、本発明の積層セラミック電子部品の
セラミック積層体12の材料は、上述の実施形態に限定
されることなく、例えばPbZrO3等その他の誘電体
材料や、絶縁体、磁性体、半導体材料からなっても構わ
ない。また、本発明の積層セラミック電子部品の内部電
極13の枚数は、上述の実施形態に限定されることな
く、何層形成されていても構わない。また、端子電極の
形成位置ならびに個数は、上述の実施形態に限定されな
い。また、めっき膜5,5は、必ずしも備えている必要
はなく、また何層形成されていても構わない。
【0030】
【実施例】(実施例1)まず、ボールミルを用いて、N
i粉末の表面にCo−B合金粉末を機械的に付着させる
方法により、Co−B合金粉末が付着した試料1〜8の
耐酸化性を備える導電粉末を作製した。すなわち、表1
に示した平均粒径のNi粉末と、CoSO4・7H2Oを
水素化硼素ナトリウムを用いて液相還元させて作製した
表1に示した平均粒径のCo−B合金粉末と準備し、表
1に示したCo−B合金粉末付着量となるように添加比
を調整した後、これらをアルミナボールとともにに容器
に入れ、12時間ボールミル混合をおこなった後、アル
ミナボールを分離して、Co−B合金粉末が付着した試
料1〜8の導電粉末を得た。
【0031】次いで、ジェットミルを用いて、Ni粉末
の表面にCo−B合金粉末を機械的に付着させる方法に
より、Co−B合金粉末が付着した試料9〜16の耐酸
化性を備える導電粉末を作製した。すなわち、表1に示
した平均粒径のNi粉末と、CoSO4・7H2Oを水素
化硼素ナトリウムを用いて液相還元させて作製した表1
に示した平均粒径のCo−B合金粉末と準備し、表1に
示したCo−B合金粉末付着量となるように添加比を調
整して混合した後、これをジェットミルに投入して処理
を行ない、Co−B合金粉末が付着した試料9〜16の
導電粉末を得た。
【0032】次いで、従来の導電粉末として、表1に示
した平均粒径のNi粉末を準備し、これを試料17〜2
0の導電粉末とした。
【0033】そこで、Co−B合金粉末が付着したNi
粉末の耐酸化性の確認のため、試料1〜16,19,2
0の導電粉末の酸化開始温度を、示差熱天秤を用いて空
気気流中での室温より1000℃までの質量変化を測定
し、導電粉末の酸化による重量増加が始まる温度を酸化
開始温度と規定し、これを表1にまとめた。なお、試料
17,18の導電粉末については、導電性ペーストを作
成後にこれを乾燥させて再び粉末化させ、同じく示差熱
天秤を用いて上述の試料1〜16,19,20と同様に
測定を行ない、これを表1にまとめた。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかであるように、Ni粉末の
平均粒径が0.5μmであり、Co−B合金粉末が表面
に付着している試料1〜16の導電粉末は、Ni粉末の
平均粒径が同じく0.5μmであり、Co−B合金粉末
が付着していない試料19の導電粉末と比較して、酸化
開始温度が高温方向へ推移しており、その程度はCo−
B合金粉末の付着量に比例していることが分かる。
【0036】また、Ni粉末の平均粒径が1.0μmで
あり、Co−B合金粉末が表面に付着している試料8,
16の導電粉末についても、Ni粉末の平均粒径が同じ
く1.0μmであり、Co−B合金粉末が付着していな
い試料20の導電粉末と比較して、酸化開始温度が高温
方向へ推移していることが分かる。 (実施例2)次いで、試料1〜20の導電粉末を用い
て、導電性ペーストを作製した。すなわち、表2に示す
ように、導電粉末50重量%と、有機バインダーである
エチルセルロース樹脂20重量部と溶剤であるテルピネ
オール80重量部とを混合してなる有機ビヒクル50重
量%と、を混合した後に三本ロールにて分散処理を行な
い、試料1〜20の導電性ペーストを作製した。なお、
試料17,18の導電性ペーストについては、上述の混
合の際に、表1に示した割合のCo−B合金粉末をさら
に添加し同時に混合した後に三本ロールにて分散処理を
行ない、試料17,18の導電性ペーストとした。
【0037】
【表2】
【0038】次いで、試料1〜20の導電性ペーストを
ガラス板上にドクターブレードを用いて5μmの厚さに
塗布して、これを100℃で乾燥させた後、触針式膜厚
計で十点表面粗さ(Rz)を測定し、これを表4にまと
めた。
【0039】次いで、試料1〜20の導電性ペーストを
用いて内部電極を形成した、設計段階の静電容量が2.
2μFである積層セラミックコンデンサを作製する。す
なわち、BaTiO3を主成分とするセラミック層を準
備し、所定枚数のセラミック層の表面上に一方の端縁が
セラミック層の何れかの端面側に露出するように、試料
1〜20の導電性ペーストを用いて内部電極となるべき
電極膜を印刷し、これら複数のセラミック層を所定枚数
積層し圧着して、試料1〜20の生のセラミック積層体
を複数準備した。
【0040】次いで、試料1〜20の生のセラミック積
層体を脱バインダーさせるにあたり、条件を表3のよう
に設定した。すなわち、耐酸化性の無い導電粉末を用い
た導電性ペーストの場合に導電粉末の酸化が生じ易い条
件として、トップ温度450℃,キープ1時間,Air
雰囲気と設定し、これを脱バインダー条件Aとした。他
方、導電粉末の酸化は生じにくいが、有機バインダーの
熱分解が不十分となり易い条件として、トップ温度30
0℃,キープ1時間,N2雰囲気と設定し、これを脱バ
インダー条件Bとした。
【0041】
【表3】
【0042】次いで、上述の脱バインダー処理後に焼成
し、さらにセラミック積層体の両端面にAgを導電成分
とする端子電極形成用の導電性ペーストを浸漬塗布し、
乾燥させた後これを焼付けて、内部電極に電気的かつ機
械的に接合された一対の端子電極を備える、試料1〜2
0の積層セラミックコンデンサを10000個ずつ得
た。
【0043】そこで、試料1〜20の積層セラミックコ
ンデンサを100個ずつ抜き取り、静電容量(100個
平均),ショート不良発生率,層剥がれ不良発生率を測
定し、先に表4にまとめた十点表面粗さ(Rz)を含む
4項目を総合して評価を付し、これらを表4にまとめ
た。
【0044】なお、評価は、静電容量が2.2±0.2
μF、ショート不良発生率が0%、層剥がれ不良発生率
が0%であり、Co−B合金粉末を付着させていない試
料19,20の導電粉末を用いた積層セラミックコンデ
ンサと比較して表面粗さが略同等である、本発明の範囲
内である試料について○を、本発明の範囲外の試料につ
いて×を付した。
【0045】
【表4】
【0046】表4から明らかであるように、Ni粉末の
平均粒径よりも小さく、Ni粉末100重量部に対して
50重量部以下のCo−B合金粉末を付着させた試料1
〜4,6,8〜12,14,16の導電粉末を用いた積
層セラミックコンデンサは、静電容量が2.0〜2.2
μFであり、ショート不良発生率,層剥がれ不良発生率
が何れも0%であり、Co−B合金粉末を付着させてい
ない試料19,20の導電粉末を用いた積層セラミック
コンデンサと比較して表面粗さも略同等であることか
ら、本発明の範囲内となった。
【0047】これに対して、Ni粉末の平均粒径よりも
小さいが、Ni粉末100重量部に対して70重量部の
Co−B合金粉末を付着させた試料5,13の導電粉末
を用いた積層セラミックコンデンサは、静電容量が1.
0〜1.1μFで低く許容範囲外であったため、本発明
の範囲外となった。
【0048】また、Ni粉末100重量部に対して50
重量部以下のCo−B合金粉末を付着させているが、C
o−B合金粉末の平均粒径がNi粉末の平均粒径と同等
である試料7,15の導電粉末を用いた積層セラミック
コンデンサは、静電容量が0.5〜0.6で低く許容範
囲外であり、層剥がれ不良発生率が33〜35%で高く
劣ったため、本発明の範囲外となった。
【0049】また、ペースト中にCo−B合金粉末を添
加した試料17,18の積層セラミックコンデンサは、
静電容量が1.4μFで低く許容範囲外であり、層剥が
れ不良発生率が20%で高く劣った。
【0050】また、従来のNi粉末である試料19,2
0の導電粉末を用いた試料19A,19B,20A,2
0Bの積層セラミックコンデンサは、脱バインダー条件
がAir雰囲気中でトップ温度が高い場合には、静電容
量が極端に低くなって層剥がれ不良発生率が高くなり、
2雰囲気中でトップ温度が低い場合には、ショート不
良発生率が高くなることが分かる。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Ni粉
末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする
合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金
属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、
卑金属粉末100重量部に対して50重量部以下のCo
−B合金粉末を、機械的な処理によって付着させる付着
工程を備えることを特徴とすることで、耐酸化性を有す
る導電粉末およびこのような導電粉末を用いた導電性ペ
ーストを提供することができ、有機物の分解ならびに除
去に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バインダー処理を
可能とし、このような導電性ペーストを用いて内部電極
を形成する積層セラミック電子部品の歩留まりならびに
生産性を向上させることができる。
【0052】また、上述の卑金属粉末の平均粒径は、
1.0μm以下であることを特徴とすることで、一般に
卑金属粉末は粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活
性になり、酸化が起こりやすくなるが、卑金属粉末の耐
酸化性を向上させるという本発明の効果が顕著となり、
また積層セラミック電子部品のさらなる薄層化や多層化
に貢献できる効果がある。
【0053】また、上述のCo−B合金粉末の平均粒径
は、0.1μm以下であり、かつ卑金属粉末の平均粒径
の1/2以下であることを特徴とすることで、Co−B
合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆すること
ができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一つの実施形態の導電粉末の断面
図であり、卑金属粉末の表面にCo−B合金粉末が付着
した状態の説明図である。
【図2】本発明に係る一つの実施形態の積層セラミック
電子部品の断面図である。
【符号の説明】
1 導電粉末 2 卑金属粉末 3 Co−B合金粉末 11 積層セラミック電子部品 12a セラミック層 12 セラミック積層体 13 内部電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月23日(2001.7.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 9/24 B22F 9/24 Z C22C 9/00 C22C 9/00 9/06 9/06 19/00 19/00 Q H01G 4/12 361 H01G 4/12 361 Fターム(参考) 4K017 AA04 BB06 BB13 DA08 DA09 EJ01 FB07 4K018 AA03 AA07 BA02 BA04 BA20 BB04 BC16 BD04 JA16 KA33 KA39 5E001 AB03 AC09 AH01 AJ01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni粉末,Cu粉末,Niまたは/およ
    びCuを主成分とする合金粉末からなる群より選ばれる
    少なくとも1種の卑金属粉末の表面に、 前記卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、前記卑金属粉
    末100重量部に対して50重量部以下のCo−B合金
    粉末を、機械的な処理によって付着させる付着工程を備
    えることを特徴とする、耐酸化性を備える導電粉末の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記付着工程の前段階に、Co塩を水素
    化硼化物または/およびアミンボランを含む還元液で液
    相還元して前記Co−B合金粉末を得る工程をさらに備
    えることを特徴とする、請求項2に記載の耐酸化性を備
    える導電性粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記卑金属粉末の平均粒径は、1.0μ
    m以下であることを特徴とする、請求項1または2に記
    載の耐酸化性を備える導電粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記Co−B合金粉末の平均粒径は、
    0.1μm以下であり、かつ前記卑金属粉末の平均粒径
    の1/2以下であることを特徴とする、請求項1〜3の
    何れかに記載の耐酸化性を備える導電粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の製造方法
    によって得られたことを特徴とする、耐酸化性を備える
    導電粉末。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の耐酸化性を備える導電
    粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなることを特徴と
    する、導電性ペースト。
  7. 【請求項7】 複数のセラミック層が積層されてなるセ
    ラミック積層体と、前記セラミック層間に形成された複
    数の内部電極と、を備える積層セラミック電子部品であ
    って、 前記内部電極は、請求項6に記載の導電性ペーストを用
    いて形成されていることを特徴とする、積層セラミック
    電子部品。
JP2001193008A 2001-06-26 2001-06-26 耐酸化性を備える導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 Pending JP2003013101A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016076627A (ja) * 2014-10-07 2016-05-12 住友金属鉱山株式会社 積層セラミックコンデンサ用内部電極材料

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