JP2003009744A

JP2003009744A - 照明用昆虫係留システム

Info

Publication number: JP2003009744A
Application number: JP2001202831A
Authority: JP
Inventors: Shinji Tazawa; 信二田澤
Original assignee: Iwasaki Denki KK
Current assignee: Iwasaki Denki KK
Priority date: 2001-07-04
Filing date: 2001-07-04
Publication date: 2003-01-14

Abstract

(57)【要約】【課題】スポーツ照明施設や各種の食品工場等にお
いて有用であり、照明光に起因する施設及びその周辺の
民家等に誘引される昆虫類による周辺住民等への直接的
な被害を小さくし、かつ自然生態系への負荷を低減する
ことができる。また、身近なゴルフ練習場等の照明シス
テムとして最適であり、昆虫類に対する顧客の不快感を
小さくすることができる照明用昆虫係留システムを提供
することを目的とする。【解決手段】球技用練習場の照明システムにおいて、利
用者が位置する側の照明用光源として低誘虫形放電ラン
プを使用し、利用者の打球が飛翔する側の周囲の照明用
光源として青色光メタルハライドランプを使用すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ施設、店
舗、食品工場、薬品工場、製紙工場などの照明システム
において、昆虫類の誘引による不快感あるいは昆虫類の
商品や生産過程の商品への混入を防止するための照明用
昆虫係留システムに関し、特に殺虫剤などの化学的防除
を行なうことなく、光源の光放射を利用した自然生態系
にやさしい物理的な昆虫制御システムの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフ練習場や打撃練習場などのスポー
ツ施設、または野球場やサッカー競技場などのスポーツ
施設においては、照明施設の周辺にガ類、アブ、ハエ、
カ等の昆虫類が集まり、施設周辺の民家に対して直接的
な被害あるいは二次的な被害をもたらしていた。また、
郊外型の大型店舗あるいは食品工場等においては、商品
等への昆虫類の混入を防止するために、昆虫類の忌避あ
るいは誘引後の殺戮等により、照明施設の改善を行なっ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般に光に誘引される
昆虫類の対処方法として、電撃殺虫器等で殺戮している
が、むやみに昆虫自体を殺戮することと、殺戮された昆
虫の死骸の処理等も問題となっている。これは、昆虫類
の数を低減するために紫外放射用蛍光ランプを利用した
電撃殺虫器で昆虫を誘引し殺戮している。しかし、近年
自然生態系の保全という見地から昆虫類をむやみに殺戮
するのではなく、適切に管理して保全するという考え方
が浸透してきている。

【０００４】そこで、前記した施設、工場等の夜間照明
施設において、昆虫類の誘引を低減するため、昆虫の誘
引効果が高い光源として、波長３６５ｎｍ前後をカット
した低誘虫形のメタルハライドランプや低誘虫形の蛍光
ランプが使用されている。また、２４時間営業のコンビ
ニエンスストアでは店舗の窓ガラスなどに紫外放射カッ
トフィルムなどが利用されている。しかし、このように
当該施設のみ紫外放射をカットする方法では、照明施設
周辺の光源を同様に紫外放射をカットすることとで、当
然、昆虫類の誘引低減効果は低下する。

【０００５】そこで、本発明者は、昆虫類の誘引効果が
低い紫外放射カット形の光源を使用する照明システムに
おいて、施設の周辺に誘引光源がない場合や施設全体に
紫外放射をカットする方法を実施している光環境下で、
目的とするエリア内での昆虫類の誘引を低減する方法を
見出した。これは、昆虫類の誘引効果が高い昆虫の視感
度曲線に近似した光源を使用することにより、昆虫類を
誘引し、殺戮することなく係留しようとする思想に基づ
いている。そして、施設内において、低誘虫形光源との
組み合わせて使用することにより、昆虫を積極的に誘引
し、殺戮せず係留しようとするものである。

【０００６】本発明は、前記に鑑みてなされたものであ
り、スポーツ照明施設や各種の食品工場等において有用
であり、照明光に起因する施設及びその周辺の民家等に
誘引される昆虫類による周辺住民等への直接的な被害を
小さくし、かつ自然生態系への負荷を低減することがで
きる照明用昆虫係留システムを提供するものである。ま
た、身近なゴルフ練習場等の照明システムとして最適で
あり、昆虫類に対する顧客の不快感を小さくすることが
できる照明用昆虫係留システムを提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、照明に誘引される昆虫を誘引効果の高い
紫外放射用光源や青色光を含む青色光光源を使用して、
誘引し、殺戮することなく留め置く（係留する）ことを
特徴とする。また、球技用練習場の照明システムにおい
て、利用者が位置する側の照明用光源として低誘虫形放
電ランプを使用し、利用者の打球が飛翔する側の周囲の
照明用光源として前記青色光光源を使用することを特徴
とする。さらに、各種の照明施設において、主要な施設
照明用光源として低誘虫形高圧放電ランプを用い、補助
的な施設照明用光源として青色光用高圧放電ランプを用
いることを特徴とする。そして、前記青色光光源はブラ
ックライト水銀ランプ、蛍光ランプなどの紫外放射用光
源、青色光メタルハライドランプ等の高圧放電ランプあ
るいは紫外または青色光発光ダイオードであることを特
徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づき説明する。図１は本発明に係る実施例のゴルフ練習
場における夜間照明用昆虫係留システムの概念図であ
る。利用者が位置する打席側には、複数の低誘虫形メタ
ルハライドランプを用いた投光器が設置されており、飛
翔するボールやフェアウェイ等を照明するようにしてあ
る。このランプは、波長３８０ｎｍから７８０ｎｍの可
視放射領域での透過率は９０％以上であり、かつ波長４
００ｎｍ以下の紫外放射領域では２５％以下であり、紫
外放射を低減することにより、昆虫類の光の走行性に基
づく誘虫性を抑制することができる。

【０００９】また、練習場の周囲には青色光メタルハラ
イドランプを用いた、昆虫係留用の投光器が複数設置さ
れている。このランプは石英製発光管の両端に電極を封
着し、水銀および始動用のアルゴンガスとともにハロゲ
ン化インジウムが封入されている。また、このような発
光管は一端に口金を固定した外球内に保持されている。
図２にこのランプの分光エネルギー分布を実線で示す。
図示するように、波長４５０ｎｍ付近に放射のピーク値
を有する。なお、点線は昆虫の視感度曲線を示し、紫外
放射を含み４５０ｎｍから６００ｎｍのエネルギー分布
はほぼ一致しており、多くの昆虫類を誘引することとな
る。

【００１０】次に、実験結果について説明する。本発明
に係る係留システムで用いる低誘虫形メタルハライドラ
ンプ（波長３８０ｎｍ以下の紫外放射をカットしたラン
プ）と、一般照明用メタルハライドランプとの昆虫誘引
試験結果を表１に示す。表１から明らかなように紫外放
射をカットすることにより、７０％以上の昆虫類の誘引
低減率が認められる。 (以下、余白)

【００１１】

【表１】

【００１２】次に、ゴルフ練習場において行なった実験
結果について説明する。低誘虫形メタルハライドランプ
と昆虫誘引用の青色光メタルハライドランプとの昆虫誘
引試験結果を表２に示す。表２に示すように、青色光ラ
ンプは低誘虫形ランプに比較して１６５％の誘引率が得
られ、誘引効果が高いことがり立証された。 (以下、余白)

【００１３】

【表２】

【００１４】本発明に係る係留システムでは、青色光光
源で誘引された昆虫類は電撃殺虫器による殺戮やトラッ
プ等による収穫は行なわず、自然放置することで再生す
るようにする。従って、ゴルフ練習場等のスポーツ施設
における夜間照明システムのほか、夜間営業を行うレス
トラン、ガソリンスタンド等の低誘虫対策として有用で
ある。また、本システムを昆虫類の製造物への混入問題
に苦慮している食品工場や薬品工場等の外周照明に黄色
の防虫ランプを使用し、かつ離れた場所の数カ所に青色
光光源を設置することにより、生態系にやさしい昆虫
（害虫）制御が容易に行なえる。

【００１５】前記実施例では、青色光光源としてハロゲ
ン化インジウム系のメタルハライドランプについて説明
したが、他の金属ハロゲン化物を封入した青色光ランプ
についてもほぼ同様な結果が得られた。また、波長４０
０ｎｍ以下の紫外光を多く放射するブラックライト形高
圧水銀ランプあるいは蛍光ランプでもよい。さらに、紫
外光または青色光放射用の発光ダイオード（青色ＬＥ
Ｄ）でもよい。

【００１６】また、低誘虫形メタルハライドランプとし
て、波長３８０ｎｍから７８０ｎｍの可視放射領域での
透過率は９０％以上で、かつ波長４００ｎｍ以下の紫外
放射領域では２５％以下であるランプについて説明した
が、その他の低誘虫形メタルハライドランプあるいは黄
色の防虫形高圧ナトリウムランプでもよい。また、防虫
形蛍光ランプあるいは低誘引形蛍光ランプでもよい。

【００１７】このように、昆虫類の係留システムとし
て、低誘虫形、低誘引形あるいは防虫形ランプと、昆虫
類の誘引効果が高い青色光ランプと照明器具とを組み合
わせて照明設計することにより、物理的に昆虫類の制御
を行なうものである。

【００１８】

【発明の効果】本発明に係る照明用昆虫係留システム
は、青色光光源を用いて積極的に昆虫類を誘引して殺戮
することなく留め置くことができるという制御方法が得
られる。また、低誘虫形ランプ等と青色光ランプとの組
み合わせによる係留システムにより、各種のスポーツ施
設照明、夜間営業商業施設照明、防虫ランプと青色光ラ
ンプとの組み合わせでは厳密な商品管理が要求される工
場照明における、生態系への負荷が小さく、環境保全に
適した照明システムが得られる。さらに、スポーツ施設
の利用者の心理的な嫌悪感をなくすことができ、昆虫類
の虫害対策用の照明システムとして最適であるとの利点
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例のゴルフ練習場における
夜間照明用昆虫係留システムの概念図である。

【図２】本発明に係る青色光メタルハライドランプの分
光エネルギー分布と昆虫視感度曲線を示す特性図であ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】照明に誘引される昆虫を誘引効果の高い紫
外放射用光源や青色光を含む青色光光源を使用して、誘
引し、殺戮することなく留め置くことを特徴とする照明
用昆虫係留システム。
【請求項２】球技用練習場の照明システムにおいて、
利用者が位置する側の照明用光源として低誘虫形放電ラ
ンプを使用し、利用者の打球が飛翔する側の周囲の照明
用光源として前記青色光光源を使用することを特徴とす
る請求項１項記載の照明用昆虫係留システム。
【請求項３】各種の照明施設において、主要な施設照
明用光源として低誘虫形高圧放電ランプを用い、補助的
な施設照明用光源として青色光用高圧放電ランプを用い
ることを特徴とする請求項１項記載の照明用昆虫係留シ
ステム。
【請求項４】前記青色光光源は、ブラックライト水銀
ランプ、蛍光ランプなどの紫外放射用光源、青色光メタ
ルハライドランプ等の高圧放電ランプあるいは紫外また
は青色光発光ダイオードであることを特徴とする請求項
１ないし３項記載の照明用昆虫係留システム。