JP2003007920A - セラミックス回路基板 - Google Patents

セラミックス回路基板

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JP2003007920A
JP2003007920A JP2001195412A JP2001195412A JP2003007920A JP 2003007920 A JP2003007920 A JP 2003007920A JP 2001195412 A JP2001195412 A JP 2001195412A JP 2001195412 A JP2001195412 A JP 2001195412A JP 2003007920 A JP2003007920 A JP 2003007920A
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ceramic
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brazing material
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JP2001195412A
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Takayuki Naba
隆之 那波
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】通電容量が大きい金属回路板を狭い基板表面に
高密度に配設することが可能であり、しかも金属回路板
の接合強度(ピール強度)が大きく熱サイクル特性に優
れた小型の半導体装置を実現することが可能なセラミッ
クス回路基板を提供する。 【解決手段】セラミックス基板2にろう材3を介して金
属回路板4aの断面の短辺部を接合したセラミックス回
路基板において、上記金属回路板4aの断面の高さをh
としパターン幅をwとしたとき、h/wが1より大き
く、上記金属回路板4aのピール強度が8kN/m以上
であることを特徴とするセラミックス回路基板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス回路基
板に係り、特に通電容量が大きい回路パターンとしての
金属回路板を狭い基板表面に高密度に配設することが可
能であり、しかも金属回路板の接合強度(ピール強度)
が大きく熱サイクル特性に優れた小型の半導体装置を実
現することが可能なセラミックス回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアルミナ(Al)焼結体
などのように絶縁性に優れたセラミックス基板の表面
に、導電性を有する金属回路板をろう材を用いたメタラ
イズ層や接着剤等で一体に接合したセラミックス回路基
板がパワートランジスターモジュールなどの半導体モジ
ュール用基板やスイッチング電源モジュール用基板とし
て広く普及している。
【0003】しかしながら上記セラミックス回路基板に
おいては、金属回路板とセラミックス基板との間に、ろ
う材等を用いたメタライズ層や接着剤等のような介在物
が存在するため、両者間の熱抵抗が大きくなり、金属回
路板上に設けられた半導体素子の発熱を系外に迅速に放
熱させることが困難であるという問題点があった。
【0004】このような問題点を解消するため、上記ろ
う材を用いたメタライズ層や接着剤等を使用せずに、所
定形状に打ち抜いた金属回路板をセラミックス基板上に
接触配置させて加熱するだけで直接接合する方法が検討
されている。すなわち、直接接合法は、セラミックス金
属とを、ろう材層や接着剤層などの接合層を介在させず
に直接的に接合する方法である。この直接接合法では金
属中あるいは金属表面に介在する結合剤(銅の場合は酸
素)と金属との共晶液相が生成されて両部材が直接的に
接合される。
【0005】図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ従
来のセラミックス回路基板の構成例を示す平面図、断面
図、および背面図である。セラミックス基板2の材質と
しては、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO
)、ムライト等の酸化物系セラミックス焼結体や窒化
けい素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)な
どの窒化物系焼結体が使用される。すなわち、Si
基板などのセラミックス基板2の表面側には、Cu回
路板などの金属回路板4が一体に接合される一方、裏面
側にはCu板などの裏金属板5が接合され、金属回路板
4の所定位置に半導体素子6が接合されてセラミックス
回路基板1が構成されている。
【0006】近年、半導体素子の高集積化、高出力化、
および演算速度のより高速化を実現するために、より電
気伝導度が高い回路パターンが要求されている。そのた
め、特に高出力化に対応して大電流を流す必要がある回
路基板の場合には、従来から導電率が高く通電容量が大
きな厚い金属回路板をパターン導体路としてセラミック
ス基板に接合してセラミックス回路基板を形成している
のが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パター
ン導体路として厚い金属回路板を有するセラミックス回
路基板を、従来の一般的なパターン形成方法であるエッ
チング法によって製造する場合、所定の精細パターンを
形成するために多大な処理時間が必要となる上に、高精
細なパターン形成が困難になるのに加えて、特に回路の
パターン幅が広くなってしまうため、小型化が困難であ
るという問題点があった。
【0008】特に従来の金属回路板は広い接合面積を有
しており、セラミックス基板表面に平板状に接合する構
造であるため、数多くの金属回路板を所定の基板表面領
域に高密度に配設することは困難であり、回路基板を実
装した半導体装置を小型化することは至難の技術が必要
とされる問題点もあった。
【0009】さらに、厚い金属回路板をセラミックス基
板に一体に接合したセラミックス回路基板では、繰り返
して熱作用を受けた場合に、両部材の熱膨張差が、薄い
金属板を使用した場合と比較して数倍も大きくなり、繰
り返しの熱応力によってセラミックス基板自体やろう材
層にクラックが生じ易く、さらには回路基板に反りが発
生して曲げ応力がさらに付加されるため、耐熱サイクル
性(TCT特性)が低下し易く、耐久性および動作信頼
性が高い半導体装置が得られにくいという問題点もあっ
た。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に通電容量が大きい回路パターンと
しての金属回路板を狭い基板表面に高密度に配設するこ
とが可能であり、しかも金属回路板の接合強度(ピール
度)が大きく熱サイクル特性に優れた小型の半導体装置
を実現することが可能なセラミックス回路基板を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
本発明に係るセラミックス回路基板は、セラミックス基
板にろう材を介して金属回路板断面の短辺部を接合した
セラミックス回路基板において、上記金属回路板の断面
の高さをhとしパターン幅をwとしたとき、h/wが1
より大きく、上記金属回路板のピール強度が8kN/m
以上であることを特徴とする。
【0012】すなわち、本発明においては、金属回路板
の断面形状で示した場合に、パターン幅wに対する金属
回路板の高さhとの比(h/w)を1以上にして断面が
細長い金属回路板を採用し、断面の高さ方向の下端面
(断面の短辺部)をセラミックス基板にろう材で接合し
ているため、金属回路板の厚さ(パターン幅)を厚くし
た場合においても、狭い基板表面に厚い金属回路板を密
に配設することが可能になり、回路基板の通電容量を効
果的に増大化でき、回路基板を大幅に小型化することも
可能になる。
【0013】また、従来のように板状の金属回路板をセ
ラミックス基板表面に平行に、いわゆるベタ状に接合し
た構造とは異なり、本発明では、金属回路板の接合端面
のみならず、高さ方向の両側面部までにろう材が這い上
がって、ろう材が金属回路板の接合端面と一部の両側面
をセラミックス基板に固着させる接合構造となるため、
金属回路板のピール強度で示す接合強度が8kN/m以
上に達し、優れた耐熱サイクル性を有する回路基板が得
られる。
【0014】さらに、従来のように板状の金属回路板を
広い接合面積でセラミックス基板表面に接合した構造と
は異なり、実質的にセラミックス基板に接合しているの
は金属回路板の狭い接合端面のみであるので、金属回路
板とセラミックス基板との熱膨張差に起因する熱応力や
そりの発生が極めて少なく、熱応力による疲労や変形を
効果的に防止できる。
【0015】本発明に係るセラミックス回路基板におい
て、図2に示すように、セラミックス基板2と金属回路
板4aとを接合するろう材3のセラミックス基板2表面
における塗布幅をLとする一方、上記金属回路板4aの
パターン幅をwとしたときに、関係式L/w≧1.5を
満足することが望ましい。
【0016】上記金属回路板のパターン幅wに対するセ
ラミックス基板表面におけるろう材の塗布幅Lの比(L
/w)が1.5未満となると、金属回路板のろう材によ
る濡れ面積が低下するため、充分なピール強度が得られ
なくなる。そのため上記L/w比は1.5以上と規定さ
れるが、実用上1.5〜3の範囲がより好ましい。な
お、上記L/w比はろう材の塗布量、粘度および接合温
度等により調整することが可能である。
【0017】また、本発明に係るセラミックス回路基板
において、図2に示すように、セラミックス基板2と金
属回路板4aとを接合するろう材3の金属回路板4aに
対する塗布高さをRとする一方、上記金属回路板の断面
の高さをhとしたときに、関係式0.1≦R/h<1.
0を満足することが望ましい。
【0018】上記金属回路板4aの断面の高さhに対す
る金属回路板断面の高さ方向へのろう材3の塗布高さR
の比(R/h)が0.1未満の場合には、金属回路板に
対するろう材の濡れ面積が少なくなり、金属回路板のピ
ール強度についての改善効果が不十分でる。一方、金属
回路板の高さの大小によっても異なるが、比(R/h)
を1に近づけること、すなわち金属回路板の全高にわた
って側面にろう材を這い上がらせることは困難であり、
特にhが高い場合にはピール強度の向上には寄与しな
い。そのため、上記R/h比は0.1以上1.0未満の
範囲と規定されるが、0.2〜0.7の範囲がより好ま
しい。
【0019】さらに、本発明のセラミックス回路基板に
おいて、金属回路板が、銅(Cu)、アルミニウム(A
l)およびそれらの合金の少なくとも1種から成ること
が好ましい。特に、低電気抵抗性、伝熱性、高通電容量
性の観点から銅回路板が好適である。
【0020】また、本発明のセラミックス回路基板にお
いて、セラミックス基板の種類については、特に限定さ
れるものではないが、窒化けい素(Si)、窒化
アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、ジ
ルコニア(ZrO)、及びAl−ZrOセラ
ミックスのいずれかで構成するとよい。特に、特開20
00−34172号公報に開示されているような高強度
で60w/m・k以上の熱伝導率を有する窒化けい素焼
結体で形成した基板が好ましい。
【0021】なお、本発明のセラミックス基板は上記セ
ラミックスを主成分とするものが望ましいが、必要に応
じ焼結助剤等を添加してよいことは言うまでもない。ま
た、Al−ZrOセラミックスとはAl
−ZrOの合計量に対しAlを20〜80質量
%含有させたセラミックス焼結体を示すものである。
【0022】本発明に係るセラミックス回路基板は、金
属回路板のパターン幅wに対する高さhの比(h/w)
が1より大きくなるようにパターニングされた金属回路
板を各種ろう材によってセラミックス基板の少なくとも
一方の面に接合して製造される。
【0023】上記金属回路板のパターニング方法として
は、平板状の金属板素材をプレス加工によってパターン
形成する方法、平板状の金属板素材をワイヤー放電加工
によってパターン形成する方法が採用できる。
【0024】また、ろう材としては、活性金属法、Mo
−Mn法、Mo−TiN法、Al系ろう材接合法で使用
される各種ろう材を使用することができるが、特に所定
量の活性金属を含有したAg−Cu共晶組成のろう材組
成物を有機溶媒中に分散して調製したろう材ペーストを
使用するとよい。上記ろう材組成物の具体例としては、
質量%でCuを15〜35%、Ti、Zr、Hfおよび
Nbから選択される少なくとも1種の活性金属を1〜1
0%、残部が実質的にAgから成る組成物が挙げられ
る。
【0025】そして、セラミックス基板表面上の接合位
置に上記ろう材ペーストをスクリーン印刷し、これらの
印刷位置に、パターニングされた金属回路板の端面を接
触させた状態で例えば真空中で温度800〜880℃で
5〜30分間保持することにより、セラミックス基板表
面に金属回路板が一体に接合されたセラミックス回路基
板が得られる。
【0026】本発明のセラミックス回路基板は、図3に
示すように、セラミックス基板2の両面に金属回路板4
aを接合して構成することも可能だが、図1に示すよう
に、セラミックス基板2の金属回路板非接合面側に、セ
ラミックス基板2の90%以下の面積を有する裏金属板
5aが接合されている構造を採用することも好ましい。
この場合、セラミックス基板の表面側に接合される金属
回路板の接合面積は、金属回路板の端面のみとなり微小
であるため、セラミックス基板の90%以下の面積を有
する裏金属板5aを接合するだけで、回路基板の反りを
効果的に防止することが可能である。
【0027】また、上記図1に示すようなセラミックス
回路基板1aにおいて、上記裏金属板の厚さを0.2m
m以下とすることによっても、セラミックス基板の表面
と裏面とにおける金属の熱膨張差を実質的に低減できる
ために、回路基板の反りを効果的に防止できる。
【0028】上記構成に係るセラミックス回路基板にお
いては、金属回路板断面のパターン幅wに対する金属回
路板の高さhとの比(h/w)を1以上にしているた
め、金属回路板の厚さ(パターン幅)を厚くした場合に
おいても、狭い基板表面に厚い金属回路板を密に配設す
ることが可能になり、回路基板の通電容量を効果的に増
大化でき、回路基板を大幅に小型化することも可能にな
る。
【0029】また、金属回路板の接合端面のみならず、
高さ方向の両側面部までにろう材が這い上がって、ろう
材が金属回路板の接合端面と一部の両側面をセラミック
ス基板に固着させる接合構造となるため、金属回路板の
ピール強度が8kN/m以上に達し、優れた耐熱サイク
ル性を有する回路基板が得られる。
【0030】さらに、従来のように板状の金属回路板を
広い接合面積でセラミックス基板表面に接合した構造と
は異なり、実質的にセラミックス基板に接合しているの
は金属回路板の狭い接合端面のみであるので、金属回路
板とセラミックス基板との熱膨張差に起因する熱応力や
反りの発生が極めて少なく、熱応力による疲労や変形を
効果的に防止できる。
【0031】なお、本発明のh/wが1より大きい金属
回路板は、セラミックス基板上に設けられた全ての金属
回路板がh/w>1を満たす形態であることが好ましい
が、少なくとも1つの金属回路板がh/w>1を満たし
ていれば本発明のセラミックス回路基板に含まれるもの
とする。
【0032】
【発明の実施の形態】実施例1〜11 表1に示すように、セラミックス基板として縦50mm
×横50mm×厚さ0.8mmのAlN基板、Si
基板、Al基板及びAl−ZrO基板
をそれぞれ多数用意した。
【0033】一方、断面の幅wが0.3mmであり、こ
の幅wに対する高さhの比が(h/w)が表1に示す値
となるように加工された長さ10mmのCu回路板およ
びAl回路板を金属回路板として多数調製した。また裏
金属板として縦40mm×横40mm×厚さ0.15m
mの裏銅板を多数調製した。
【0034】一方、ろう材ペーストとして、30%Ag
−65%Cu−5%Tiなる組成を有するろう材組成物
を有機溶媒中に分散してろう材ペーストを調製した。
【0035】次に、各セラミックス基板の表面および裏
面の所定位置に上記ろう材ペーストをスクリーン印刷
し、セラミックス基板の表面側に5枚の金属回路板を接
触配置させる一方、裏面側に1枚の裏金属板を接触配置
した状態で真空炉中に挿入し、温度800〜880℃で
8〜15分間保持して金属回路板とセラミックス基板と
裏金属板とを一体に接合して各実施例に係るセラミック
ス回路基板を製造した。
【0036】各実施例に係るセラミックス回路基板1a
は、図1に示すように、セラミックス基板2の表面側に
は、複数(図1では7本だが各実施例では5本であ
る。)の金属回路板4aがろう材3介して一体に接合さ
れている一方、裏面側には裏金属板5aがろう材を介し
て一体に接合されている構造を有する。
【0037】また各実施例の回路基板について、図2に
示すろう材層3の形状を測定したところ、全ての実施例
について前記のろう材ペーストを使用したため、金属回
路板4aのパターン幅(厚さ)wに対するろう材の塗布
幅Lの比(L/w)は1.8であり、また金属回路板の
高さhに対するろう材3の塗布高さRの比(R/h)は
0.5に統一した。
【0038】比較例1 一方、厚さ0.2mm×縦10mm×横10mmのCu
回路板を図4に示すようにセラミックス基板2の表面側
に5枚平行に接合した点以外は実施例1と同様に接合処
理して各実施例と同一の基板寸法を有する比較例1に係
るセラミックス回路基板を製造した。この金属回路板の
断面の高さhは0.2mmであり、パターン幅wは10
mmであるから、両者の比の値(h/w)は0.02で
ある。
【0039】そして上記のように調製した各実施例及び
比較例に係るセラミックス回路基板の耐久性及び信頼性
を評価するために下記のような熱衝撃試験(ヒートサイ
クル試験:TCT)を実施し、TCT試験前と100サ
イクル後における金属回路板のピール強度を測定すると
ともに、半田層(ろう材層)におけるクラック発生状況
を調査した。
【0040】なお、上記半田層とは、ろう材を介してセ
ラミックス基板と金属回路板を接合した後に形成された
接合層のことであり、実質的にろう材成分で形成される
ものである。また、窒化物系セラミックス基板に対し活
性金属を含むろう材を用いた場合、接合後に活性金属の
窒化物層が形成されるが、この活性金属の窒化物層も半
田層(接合層)に含むものとする。したがって、本発明
において接合後にろう材とセラミックス基板または金属
回路板が反応して形成された化合物は接合層として取り
扱うものとする。
【0041】ヒートサイクル試験は、回路基板を−40
℃で30分間保持し、次に室温(RT)まで昇温して1
0分間保持し、さらに125℃まで昇温して30分間保
持し、引き続き室温まで冷却して10分間保持するまで
を1サイクルとする昇温−降温サイクルを100サイク
ル繰り返して実施した。そして、100サイクル終了後
に、金属回路板とセラミックス基板とを接合する半田層
(接合層)におけるクラックの発生の有無を超音波深傷
法により調査し、クラックが発生した回路基板におい
て、発生した全てのクラックの大きさの合計値を接合層
に対する面積率で示すことにより半田クラックの発生率
(%)として調査した。測定評価結果を下記表1に示
す。
【0042】
【表1】
【0043】上記表1に示す結果から明らかなように、
金属回路板の断面のパターン幅wと高さhが関係式h/
w>1を満たす各実施例に係るセラミックス回路基板に
よれば、金属回路板のセラミックス基板表面への接合面
積が小さいため、TCTなどの熱サイクルによる影響が
少なく、TCT試験後においてもピール強度の低下が少
なく優れた熱サイクル特性が得られることが判明した。
さらに、TCT後における半田クラックの発生は皆無で
あり、高い信頼性が得られている。
【0044】これに対して、比較例1に係る回路基板に
おいては、金属回路板への接合直後には良好なピール強
度を有しているが、TCT後においてピール強度の低下
が大きくなった。これは、比較例1では、金属回路板の
接合面積が大きいため、TCT試験時にセラミックス基
板と金属回路板との熱膨張差により発生する応力が大き
くなり、その影響で間に位置する接合層にクラックが入
り易くなり、ピール強度が低下し易くなるものと考えら
れる。
【0045】また、金属回路板断面のパターン幅wに対
する高さhの比(h/w)が大きくなるにしたがって、
ピール強度が増加する傾向があるが、これは、L/w比
を1.8とする一方、R/h比を0.5と統一している
ため、hが大きくなるにつれてRが大きくなったためと
考えられる。
【0046】また、各実施例について、TCT試験後に
おける回路基板の反り量は基板の長手方向寸法に対して
いずれも1%以下であり、優れた耐変形性も有している
ことが判明した。
【0047】実施例12〜20 セラミックス基板として縦50mm×横50mm×厚さ
0.8mmのAlN基板と縦50mm×横50mm×厚
さ0.3mmのSi基板とを用意した。
【0048】一方、表2に示すような高さh、パターン
幅wを満たし、長さが10mmの銅回路板を調製した。
また、裏金属板として、縦40mm×横40mm×厚さ
0.15mmの裏銅板を調製した。さらに、表2に示す
ろう材の塗布幅Lと塗布高さRとを満たすようにろう材
ペースト(Ag−Cu−Ti系ろう材)を塗布した点以
外は実施例1と同一条件で接合操作(温度800〜88
0℃)を実施することにより、セラミックス基板の表面
側に5本の銅回路板を接合する一方、裏面側に上記裏銅
板を一体に接合した各実施例12〜20に係るセラミッ
クス回路基板を製造した。
【0049】上記のように製造したセラミックス回路基
板の耐久性および信頼性を評価するために、実施例1と
同一条件でヒートサイクル試験(TCT)を実施し、T
CT前後における金属回路板のピール強度を測定すると
ともに、TCT後における半田クラックの発生率を測定
して下記表2に示す結果を得た。
【0050】
【表2】
【0051】上記表2に示す結果から明らかなように、
パターン幅wに対する高さhが関係式h/w>1を満た
す金属回路板を設けた場合においても、ろう材塗布幅L
とパターン幅wとの関係式であるL/w≧1.5および
ろう材塗布高さRと金属回路板の高さhとの関係式であ
る0.1≦R/h≦1.0を満たす場合に、特にTCT
前後におけるピール強度の低下が少なく、優れた熱サイ
クル特性(TCT特性)を示すことが確認できた。
【0052】上記のような関係式L/w≧1.5および
0.1≦R/h≦0.7のような本発明の好ましい形態
を満たす回路基板は、実質的に“金属回路板/(金属回
路板+ろう材)/ろう材”という傾斜組成を形成するこ
とが可能となる。その結果、熱サイクルが作用したとき
に発生する熱応力が効果的に緩和されて優れた耐久性を
実現しているものと考えられる。
【0053】一方、パターン幅wに対するろう材塗布幅
Lの比(L/w)が1である実施例20では、100サ
イクルのTCT後のピール強度の低下が比較的に大きく
なった。これは上記L/wが1であると、比較例1にお
けるろう材塗布形態と同一になってしまうためである。
【0054】また、金属回路板の高さhに対するろう材
塗布高さRの比(R/h)が1である実施例13では、
TCT試験後に半田クラックを発生したものが出現し
た。これはろう材ペーストの塗布量が必要以上に多かっ
たことに起因すると考えられる。なお、TCT試験後に
おける各回路基板の反り量は、セラミックス基板の長辺
の長さに対して、全て1%以下であった。
【0055】実施例21〜27 前記実施例14および実施例19のセラミックス回路基
板において、裏金属板(裏銅板)のサイズおよびセラミ
ックス基板に対する面積比を表3に示すように変えた点
以外は、実施例14、19と同一条件で処理することに
より実施例21〜27に係るセラミックス回路基板を製
造した。各実施例の回路基板について、実施例14およ
び19と同一条件で100サイクルのTCT試験を実施
した後における回路基板の反り量を測定し、下記表3に
示す結果を得た。
【0056】
【表3】
【0057】上記表3に示す結果から明らかなように、
セラミックス基板に対する面積比が58〜88%の裏金
属板を接合した実施例の回路基板においては、反りの発
生量が、基板長さ50mmにおいて0.5mm以下であ
り、反り量が1%以下となることが確認された。また裏
金属板の厚さが0.1〜0.2mmと薄い場合において
も、充分な反り防止効果が得られることも判明した。
【0058】一方、面積比が小さい裏金属板を接合した
実施例23では、反り量が増大した。また、裏金属板が
厚い実施例24の回路基板および面積比が96%と大き
い裏金属板を接合した実施例27においても反り量が増
加した。これは実施例23は裏金属板が小さ過ぎ、実施
例27は裏金属板が大き過ぎるため、表金属回路板との
熱膨張差によるバランスが悪化したためである。なお、
実施例23と実施例27の反り量の違いは実施例27は
セラミックス基板の材質の違いによるものである。
【0059】上記の結果から、本実施例においては、セ
ラミックス基板の58〜88%の面積を有する裏金属板
を接合した場合には、たとえ裏金属板の板厚が0.2m
m以下であっても、優れた反り防止効果が得られること
が確認できた。
【0060】以上の各実施例では、図1に示すようにセ
ラミックス基板2の表面側に所定のh/w比を有する金
属回路板4aを接合する一方、裏面側に裏金属板5aを
接合した態様を有するが、本発明は、この態様に限定さ
れるものではない。例えば、図3に示すように、セラミ
ックス基板2の表面側と裏面側との両面に所定形状の金
属回路板4aを接合することによって、回路パターンの
配設数を増加させることも可能になる。
【0061】
【発明の効果】以上説明のとおり、本発明に係るセラミ
ックス回路基板においては、金属回路板断面のパターン
幅wに対する金属回路板断面の高さhとの比(h/w)
を1以上にしているため、金属回路板の厚さ(パターン
幅)を厚くした場合においても、狭い基板表面に厚い金
属回路板を密に配設することが可能になり、回路基板の
通電容量を効果的に増大化でき、回路基板を大幅に小型
化することも可能になる。
【0062】また、金属回路板の接合端面のみならず、
高さ方向の両側面部までにろう材が這い上がって、ろう
材が金属回路板の接合端面と一部の両側面をセラミック
ス基板に固着させる接合構造となるため、金属回路板の
ピール強度が8kN/m以上に達し、優れた耐熱サイク
ル性を有する回路基板が得られる。
【0063】さらに、従来のように板状の金属回路板を
広い接合面積でセラミックス基板表面に接合した構造と
は異なり、実質的にセラミックス基板に接合しているの
は金属回路板の狭い接合端面のみであるので、金属回路
板とセラミックス基板との熱膨張差に起因する熱応力や
反りの発生が極めて少なく、熱応力による疲労や変形を
効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B),(C)はそれぞれ本発明の一
実施例に係るセラミックス回路基板の構成を示す平面
図、断面図および背面図。
【図2】図1(B)および図3(B)に示すセラミック
ス回路基板のII部の部分拡大断面図。
【図3】(A),(B),(C)はそれぞれ本発明の他
の実施例に係るセラミックス回路基板の構成を示す平面
図、断面図および背面図。
【図4】(A),(B),(C)はそれぞれ従来のセラ
ミックス回路基板の構成を示す平面図、断面図および背
面図。
【符号の説明】
1,1a,1b セラミックス回路基板 2 セラミックス基板 3 ろう材、ろう材層 4,4a 金属回路板 5,5a 裏金属板 6 半導体素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E338 AA01 AA18 BB71 BB75 CC01 CC04 CD01 CD11 EE01 EE02 EE28 5E343 AA02 AA24 BB13 BB14 BB15 BB24 BB25 BB53 BB61 BB67 DD52 DD62 GG01 GG16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基板にろう材を介して金属
    回路板断面の短辺部を接合したセラミックス回路基板に
    おいて、上記金属回路板の断面の高さをhとしパターン
    幅をwとしたとき、h/wが1より大きく、上記金属回
    路板のピール強度が8kN/m以上であることを特徴と
    するセラミックス回路基板。
  2. 【請求項2】 前記セラミックス基板と金属回路板とを
    接合するろう材のセラミックス基板表面における塗布幅
    をLとする一方、上記金属回路板のパターン幅をwとし
    たときに、関係式L/w≧1.5を満足することを特徴
    とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
  3. 【請求項3】 前記セラミックス基板と金属回路板とを
    接合するろう材の金属回路板に対する塗布高さをRとす
    る一方、上記金属回路板断面の高さをhとしたときに、
    関係式0.1≦R/h<1.0を満足することを特徴と
    する請求項1記載のセラミックス回路基板。
  4. 【請求項4】 前記金属回路板が、銅、アルミニウムお
    よびそれらの合金の少なくとも1種から成ることを特徴
    とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
  5. 【請求項5】 前記セラミックス基板が、窒化けい素、
    窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、及びAl
    −ZrOセラミックスのいずれかから成ることを
    特徴とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
  6. 【請求項6】 前記ろう材が、活性金属と含有するろう
    材であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス
    回路基板。
  7. 【請求項7】 前記セラミックス基板の金属回路板非接
    合面側に、セラミックス基板の90%以下の面積を有す
    る裏金属板が接合されていることを特徴とする請求項1
    記載のセラミックス回路基板。
  8. 【請求項8】 前記裏金属板の厚さが0.2mm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路
    基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015019602A1 (ja) * 2013-08-08 2017-03-02 株式会社東芝 回路基板および半導体装置

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