JP2003003248A - 金属溶射層被覆シート - Google Patents

金属溶射層被覆シート

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JP2003003248A
JP2003003248A JP2001191597A JP2001191597A JP2003003248A JP 2003003248 A JP2003003248 A JP 2003003248A JP 2001191597 A JP2001191597 A JP 2001191597A JP 2001191597 A JP2001191597 A JP 2001191597A JP 2003003248 A JP2003003248 A JP 2003003248A
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英和 須賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅微粒子と亜鉛微粒子が略均一に分散した銅
・亜鉛擬似合金層により、除菌、防臭および電磁波シー
ルドといった銅の属性と亜鉛の属性による夫々の効果を
相乗的に発揮することができる。 【解決手段】 金属溶射層被覆シート1を構成するシー
ト材2には、織布、不織布、合成樹脂材、レザークロ
ス、合板等を用いることができる。シート材2の一側面
2Aに減圧アーク溶射機により膜厚が約40〜60μm
の銅・亜鉛擬似合金層3を形成する。銅・亜鉛擬似合金
層3は銅微粒子と亜鉛微粒子が略均等に分散し、かつシ
ート材2の表層内部にまで恰も食い込んだ状態で被着す
ることにより、シート材2と一体化している。また、銅
・亜鉛擬似合金層3の上面を鉄溶射金属層で被覆する構
成にすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌材、防臭材と
して、或は磁気遮蔽材として用いて好適な金属溶射層被
覆シートに関する。
【0002】
【従来の技術】金属の溶射技術の発達に伴って金属の常
温溶射が可能になったことから、銅、アルミニュウム、
亜鉛、鉛、スズ等の低融点金属を種々の素材の表面に溶
射して素材に新たな機能を付与することが行われてい
る。例えば、特開昭60−18340号公報には、有機
無機繊維の織布又は不織布を素材とし、この素材上に金
属溶射層を形成した導電性シートを電磁シールド材に使
用する技術、特開昭62−244626号公報には、紙
筒の内周面および外周面のうち少なくとも一方に、溶射
金属層が形成されている紙製複合筒とし、金属層にピン
ホールやクラック等が発生しにくいと共に、金属層が剥
れにくく、また耐水湿性、気密性及び強度性を高めた技
術が開示されている。更に、特公平1−61041号公
報には、靴の中敷台の表面に亜鉛又はアルミニュウムを
常温溶射装置による金属溶射層が形成されており、その
上面にさらに常温溶射装置による銅の溶射層が形成さ
れ、該銅溶射層の上面に適宜のカバー布が重ねられて成
る銅イオン発生層を持つ靴の中敷、が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術は素
材の上に溶射金属層を形成することにより金属の属性を
発揮させるものであるが、いずれの技術における溶射金
属層も低融点金属又は低融点金属合金の1種を溶射して
形成したものであるため、溶射金属層から得られる効果
も限られたものであった。
【0004】本発明は上述した諸欠点に鑑みなされたも
ので、銅と亜鉛が略均一に分散した銅・亜鉛擬似合金層
を形成することにより、銅の属性と亜鉛の属性による夫
々の効果を発揮することができる金属溶射層被覆シー
ト、及び銅・亜鉛擬似合金層の上に鉄溶射層を形成する
ことにより従来技術と比較して格段に優れた電磁波シー
ルド効果を発揮することができる金属溶射層被覆シート
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために構成された本発明の手段は、シート材の一側面に
向けて銅と亜鉛を一体に溶射することにより、該シート
材に銅微粒子と亜鉛微粒子が略均一に分散した銅・亜鉛
擬似合金層を形成したことにある。
【0006】そして、前記銅・亜鉛擬似合金層は、銅を
46〜50重量%、亜鉛を54〜50重量%の割合で形
成するとよい。
【0007】また、前記銅・亜鉛擬似合金層の上に鉄を
溶射することにより鉄溶射金属層を形成し、該鉄溶射金
属層の外面を防錆膜で被覆した構成にするとよい。
【0008】そして、前記防錆膜は、銅と亜鉛を一体に
溶射することにより、銅微粒子と亜鉛微粒子が略均一に
分散した銅・亜鉛擬似合金層にするとよい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳述する。図において、1は金属溶射層被覆シ
ート、2は該金属溶射層被覆シート1を構成するシート
材で、該シート材2には織布、不織布或は皮革、合成樹
脂材、レザークロス、合板等を用いることができ、種々
の用途例えばカーテン、靴の中敷、汗取りパット、建築
用材料等に応じて使用素材は選択することができる。
【0010】3は前記シート材2の一側面2Aに減圧ア
ーク溶射機イにより形成した銅・亜鉛擬似合金層を示
す。該銅・亜鉛擬似合金層3は膜厚を約40〜60μm
に形成したもので、図3及び図4のX線回析に示すよう
に銅微粒子4A、4A、・・と亜鉛微粒子5A、5A、
・・が略均等に分散した状態になっている。なお、図3
において、白く表われる点が銅微粒子4Aであり、図4
において白く表われる点が亜鉛微粒子5Aである。そし
て、銅微粒子4Aと亜鉛微粒子5Aはシート材2の表層
内部にまで恰も食い込んだ状態で被着することにより、
銅・亜鉛擬似合金層3はシート材2と一体化した状態に
形成されている。また、減圧アーク溶射機イは公知のも
のであるのでその詳細は省略するが、アーク放電により
銅線材4と亜鉛線材5を同時に溶融し、この溶融により
微粒化した銅と亜鉛を噴射エアーの気流により噴射する
ことから、溶射面の温度も40〜45℃と低いのでシー
ト材2を痛めることがない。
【0011】上述した銅・亜鉛擬似合金層3をシート材
2の一側面1Aに形成する場合を説明すると、シート材
2の一側面2Aに対して約30cmの間隔を置いて減圧
アーク溶射機イを配置し、該減圧アーク溶射機イにより
銅線材4及び亜鉛線材5を溶融してシート材2に向けて
一体に噴射する。本実施の形態においては純度が共に9
9,9%以上で、融点が1,083℃の銅線材4と、融
点が419℃の亜鉛線材5を用いている。
【0012】本実施の形態に係る金属溶射層被覆シート
1によれば、銅と亜鉛を一体に溶射した銅・亜鉛溶射金
属層3を形成したから、銅単体や亜鉛単体を溶射して形
成した抗菌シートと比較して、抗菌できる菌の範囲を拡
大することになり抗菌効果に優れている。また、銅微粒
子4Aに亜鉛微粒子5Aが渾然一体になっている銅・亜
鉛溶射金属層3は、銅単体を溶射して形成したシートに
比較して腐食しにくいという優れた効果を得ることがで
きる。これは、銅と亜鉛の電位に差があり、銅と亜鉛が
一体化することにより銅の電位が低下するためである
【0013】また、銅単体を溶射して形成したシートと
比較して、銅微粒子4Aに亜鉛微粒子5Aが渾然一体に
なっている本実施の形態の金属溶射層被覆シート1は抗
菌及び防臭効果に優れているばかりでなく柔軟性が付与
されるから、例えば靴の中敷に使用した場合にも履き心
地が損なわれることがないし、カーテン地として使用し
た場合にもカーテンとしての柔らかさを持つことができ
る。
【0014】なお、本実施の形態では、シート材2の一
側面2Aに銅と亜鉛が一体化した略均一な膜厚の銅・亜
鉛溶射金属層3を形成したが、シートの用途に応じてシ
ート材2の他側面2Bにも一側面2Aと同様に銅・亜鉛
溶射金属層3を形成してもよいものである。
【0015】次に、図5は第2の実施の形態に係る金属
溶射層被覆シートを示す。なお、前述した第1の実施の
形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し
て援用し、その説明を省略する。本実施の形態に係る金
属溶射層被覆シート11の特徴は、シート材2の一側面
2Aに形成した銅・亜鉛擬似合金層3の外面3Aに鉄溶
射金属層12を形成し、更に該鉄溶射金属層12の外面
12Aを銅・亜鉛擬似合金層13で被覆したことにあ
る。該鉄溶射金属層12は電磁波をシールドするための
ものであり、減圧アーク溶射機により約40〜60μm
の膜厚に形成してある。
【0016】また、鉄溶射金属層12の上面12Aに形
成されて被覆する銅・亜鉛擬似合金層13は鉄溶射金属
層12の発錆を防止するものであるが、電磁波シールド
作用を有していることから鉄溶射金属層12と相まって
電磁波をシールドするのに用いてより有効である。そし
て、銅・亜鉛擬似合金層13は第1の実施の形態におけ
るのと同様に減圧アーク溶射機イにより約40〜60μ
mの膜厚に形成してある。
【0017】本実施の形態に係る金属溶射層被覆シート
11は上述の構成からなっており、その使用方法は従来
の電磁波シールド用のカーテン、或は壁紙、壁材といっ
た建築材料等と特段異なるところはない。しかし、電磁
波に関して、2KHz〜400KHzの極低周波域、5
Hz〜2KHzの超低周波域といった低周波域は、従来
の亜鉛やアルミニュウムを溶射したシートではシールド
作用は殆ど働かないが、鉄溶射金属層12が確実にシー
ルドし、高周波域は銅・亜鉛擬似合金層13が夫々シル
ードすることから幅広い周波数域の電磁波をシールドす
るという優れた作用を発揮できる。
【0018】また、図6から理解できるように、厚さ約
3,2mmの鋼板による電磁波シールド効果(一点鎖線
ロで示す。)に対して、金属溶射層被覆シート11によ
る電磁波シールド効果(実線ハで示す。)は略同一の値
を示している。従って、鋼板を用いて電磁波をシールド
する方法と比較して、シールド効果は略同様でありなが
ら数段軽量で取り扱い性に優れ、また低価格なシートと
して用いることができる。
【0019】なお、本実施の形態では、シート材2の一
側面2Aに銅・亜鉛擬似合金層3、鉄溶射金属層12及
び銅・亜鉛擬似合金層13を形成したが、シート材2の
他側面2Bにも同様に形成してもよいことは勿論であ
る。
【0020】また、鉄溶射金属層12の被覆に銅・亜鉛
擬似合金層13を用いたのは、鉄溶射金属層12の発錆
防止を主たる目的とし、更に電磁波シールド作用を働か
すことを意図するものであるから、電磁波のシールドが
必要がない場合には、銅・亜鉛擬似合金層13に替えて
防錆塗料を用いてもよいものである。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上詳述した如く構成したか
ら、下記の諸効果を奏する。 (1)請求項1に係る本発明によれば、シート材の一側
面に銅と亜鉛を一体に溶射することにより銅微粒子と亜
鉛微粒子が略均一に分散した銅・亜鉛擬似合金層を形成
したから、銅単体又は亜鉛単体を溶射して形成した金属
溶射層被覆シートと比較して、抗菌及び防臭の適用範囲
を拡大できるし、電磁波シールドの効果を高めることが
でき、しかも銅の腐食を防止することができる。 (2)銅・亜鉛擬似合金層は、銅が46〜50重量%、
亜鉛が54〜50重量%の割合で形成することにより、
銅と亜鉛が夫々有する抗菌、防臭及び電磁波シールドの
作用を相乗的に発揮することができる。 (3)金属溶射層被覆シートは銅微粒子に亜鉛微粒子を
略均一に分散した組成にしたから、抗菌、防臭及び電磁
波シールドの効果を高めながら柔軟性を持たせることが
できる。従って、例えば靴の中敷やカーテン等を柔軟性
のあるものにすることができるのであって、使い勝手に
優れた品質にすることができる。 (4)請求項3に係る本発明によれば、銅・亜鉛擬似合
金層の上に鉄を溶射することにより鉄溶射金属層を形成
する構成にしたから、鋼板を用いてシールドする方法と
比較して遥かに軽量で、取り扱いが容易であり、しかも
略同様の電磁波シールド効果を得ることができる。 (5)防錆膜は、銅と亜鉛を一体に溶射して形成した銅
・亜鉛擬似合金層にすることにより、鉄溶射金属層の発
錆を確実に防止すると共に電磁波シールド効果を更に高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1乃至図4は本発明の第1の実施の形態に係
り、図1は金属溶射層被覆シートの部分断面図である。
【図2】金属溶射層被覆シートの成形方法を示す説明図
である。
【図3】金属溶射層被覆シートにおける銅微粒子の溶着
状態を示すX線回析拡大写真をプロットして表わした説
明図である。
【図4】金属溶射層被覆シートにおける亜鉛微粒子の溶
着状態を示すX線回析拡大写真をプロットして表わした
説明図である。
【図5】図5及び図6は第2の実施の形態に係り、図5
は金属溶射層被覆シートの部分断面図である。
【図6】金属溶射層被覆シートの電磁波シールド効果を
示す測定グラフである。
【符号の説明】
2 シート材 2A 一側面 3 銅・亜鉛擬似合金層 4 銅線材 4A 銅微粒子 5 亜鉛線材 5A 亜鉛微粒子 12 鉄溶射金属層 13 防錆膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 9/00 H05K 9/00 H W Fターム(参考) 4F100 AB02C AB17B AB17D AB18B AB18D AB31B AB31D AS00 AT00A BA02 BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D DG11 DG15 EH56B EH56C EH56D JB02D JC00 JD08 YY00B 4K031 AA06 AA08 AB02 AB03 AB11 CA02 CB07 CB08 CB12 CB21 CB31 CB35 FA05 5E321 BB23 BB25 BB44 GG05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート材の一側面に向けて銅と亜鉛を一
    体に溶射することにより、該シート材に銅微粒子と亜鉛
    微粒子が略均一に分散した銅・亜鉛擬似合金層を形成し
    たことを特徴とする金属溶射層被覆シート。
  2. 【請求項2】 前記銅・亜鉛擬似合金層は、銅を46〜
    50重量%、亜鉛を54〜50重量%の割合で形成して
    あることを特徴とする請求項1記載の金属溶射層被覆シ
    ート。
  3. 【請求項3】 前記銅・亜鉛擬似合金層の上に鉄溶射金
    属層を形成し、該鉄溶射金属層の外面を防錆膜で被覆し
    てあることを特徴とする請求項1記載の金属溶射層被覆
    シート。
  4. 【請求項4】 前記防錆膜は、銅と亜鉛を一体に溶射す
    ることにより、銅微粒子と亜鉛微粒子が略均一に分散し
    た銅・亜鉛擬似合金層である請求項3記載の金属溶射層
    被覆シート。
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