JP2003002846A - 腫瘍治療剤 - Google Patents

腫瘍治療剤

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JP2003002846A
JP2003002846A JP2001155650A JP2001155650A JP2003002846A JP 2003002846 A JP2003002846 A JP 2003002846A JP 2001155650 A JP2001155650 A JP 2001155650A JP 2001155650 A JP2001155650 A JP 2001155650A JP 2003002846 A JP2003002846 A JP 2003002846A
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galt
gene
tumor
dna
therapeutic agent
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JP2001155650A
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English (en)
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Kiyoshi Furukawa
清 古川
Takeshi Sato
武史 佐藤
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PRIMMUNE KK
Original Assignee
PRIMMUNE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たな腫瘍治療剤を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 β−1,4−ガラクトース転移酵素II
(β−1,4−GalTII)をコードする遺伝子を含
む発現ベクターおよびβ−1,4−GalTVのアンチ
センス遺伝子を含む発現ベクターは、腫瘍の形成および
転移を抑制し、腫瘍治療剤として極めて有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−1,4−ガラ
クトース転移酵素II(β−1,4−GalTII)遺
伝子またはβ−1,4−ガラクトース転移酵素V(β−
1,4−GalT V)アンチセンス遺伝子を有効成分
とする腫瘍治療剤に関する。更に詳細には、糖蛋白質の
複合型糖鎖にみられるGalβ1→4GlcNAcβ1
→構造の生合成に関与する酵素であるβ−1,4−Ga
lT IIをコードする遺伝子またはβ−1,4−Ga
lT Vのアンチセンス遺伝子を有効成分とするメラノ
ーマ等の腫瘍の遺伝子治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、腫瘍治療に関して外来遺伝子を細
胞に導入して腫瘍を治療する遺伝子治療が注目されてい
る。腫瘍に対する遺伝子治療としては、癌遺伝子の働き
を抑制するか、もしくは失活した癌抑制遺伝子を活性化
する、癌遺伝子もしくは癌抑制遺伝子を標的とした遺伝
子治療、サイトカイン遺伝子などを細胞に導入してヒト
が本来有する免疫機能を高めて腫瘍を治療する免疫遺伝
子治療などがある。癌遺伝子を標的とした遺伝子治療に
は、標的mRNAに相補的な塩基配列を持つアンチセン
ス遺伝子により標的遺伝子の発現を抑制する方法や、標
的mRNAに対して切断活性を有するリボザイムを用い
る方法がある。一方、最近になって糖蛋白質の糖鎖構造
解析技術の進歩に伴い、腫瘍細胞には正常細胞が産生す
る糖蛋白質には認められない糖鎖構造が検出されること
が明らかになってきた。腫瘍細胞では、Galβ1→4
GlcNAcβ1→構造を有する複合型糖鎖を持つ糖蛋
白質が発現されることが知られている。このGalβ1
→4GlcNAcβ1→構造は、N−アセチルグルコサ
ミン転移酵素(GlcNAcT)−I、II、IV、V
が順に働いて糖鎖の分岐側鎖が作られ、それにβ−1,
4−GalTによりガラクトースが転移されて作られ
る。また、β−1,4−GalTには、β−1,4−G
alT−I、II、III、IV、VおよびVIの6種
類のサブタイプが存在することが明らかにされている
(古川清:蛋白質 核酸 酵素、Vol.43, No.16, 45-5
3, 1998)。最近、マウスNIH3T3細胞とその悪性形
質転換細胞を用いたβ−1,4−ガラクトース転移酵素
(β−1,4−GalT)群の遺伝子解析により、細胞
の癌化に伴い、β−1,4−GalT II遺伝子の発
現は約1/5に減少し、β−1,4−GalT V遺伝
子の発現は約3倍に増大することが明らかになった(K.
Furukawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 26
5, 434-438, 1999)。また、種々のヒト癌細胞を用いた
解析により、β−1,4−GalT V遺伝子の発現量
は、癌化に関与しているGlcNAcT Vの遺伝子発
現と相関していることも判明した(K.Furukawa et al.,
Biochem. Biophys. Res. Commun. 276, 1019-1023, 20
00)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、細胞の
癌化でその発現量が減少するβ−1,4−GalT I
I遺伝子あるいは発現量が増大するβ−1,4−Gal
T V遺伝子を利用した腫瘍の遺伝子治療については従
来全く検討されていない。従って、本発明の目的は、β
−1,4−GalT II遺伝子あるいはβ−1,4−
GalT Vアンチセンス遺伝子を利用した腫瘍治療剤
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、β−1,4
−GalT IIをコードする遺伝子あるいはβ−1,
4−GalT Vのアンチセンス遺伝子をマウスメラノ
ーマに導入し、マウスに移植したところ、腫瘍塊形成が
著しく抑制されることを見出した。従って、β−1,4
−GalT II遺伝子またはβ−1,4−GalT
Vアンチセンス遺伝子が腫瘍の治療に有効であることを
明らかにし、本発明を完成させた。即ち、本発明は、β
−1,4−ガラクトース転移酵素II(β−1,4−G
alT II)遺伝子またはβ−1,4−ガラクトース
転移酵素V(β−1,4−GalT V)アンチセンス
遺伝子を有効成分とする腫瘍治療剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の腫瘍治療剤の有効成分と
して用いるβ−1,4−GalT II遺伝子とは、β
−1,4−GalT IIを発現可能な遺伝子を指す。
具体的には、β−1,4−GalT IIをコードする
遺伝子を含む発現ベクターの形態にある遺伝子が挙げら
れる。β−1,4−GalT IIをコードする遺伝子
は、既に公知であり、Sato, T., DDBJ/GenBank/EMBL da
tabase (accession number AB024434); Almedia, R. et
al., J. Biol. Chem., 272, 31979-31991, (1997);L
o, N-W. et al., Glycobiology, 8, 517-526 (1998)な
どに報告されている。具体的には、配列表の配列番号1
に示す1番目〜1,116番目までの塩基配列を有する
DNAである。このDNA以外にも、このDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであ
ってβ−1,4−GalT IIと同様の酵素活性を有
する蛋白質をコードするDNAや、配列番号1に示す1
番目〜1,116番目までの塩基配列を有するDNAに
よりコードされる蛋白質のアミノ酸配列に対して1若し
くは複数(好ましくは数個)のアミノ酸残基が置換、欠
失及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質を
コードするDNAであってβ−1,4−GalT II
と同様の酵素活性を有する蛋白質をコードする変異体で
あってもよい。これらのDNAは、前記文献に記載され
ている配列情報、GenBank等の配列情報等に基づき適当
なDNA部分をPCRのプライマーとして用い、β−
1,4−GalT IIのmRNAに対してRT−PC
R反応を行うことなどにより、クローニングすることが
できる。また、アミノ酸配列情報に基づき化学的に合成
することも可能である。また上記したDNAの変異体
は、例えば部位特異的突然変異誘発法、PCR法、又は
通常のハイブリダイゼーション法などにより容易に得る
ことができる。
【0006】本発明の腫瘍治療剤の有効成分として、β
−1,4−GalT II遺伝子を用いる場合には、具
体的には、通常、β−1,4−GalT IIをコード
する遺伝子を含む発現ベクターの形態で用いられる。発
現ベクターとしては、非ウイルスベクターを用いた場合
と、ウイルスベクターを用いた場合の二つに大別され
る。非ウイルスベクターとしては、生体内でβ−1,4
−GalT IIをコードする遺伝子を発現させ分泌さ
せることのできるベクターであれば如何なる発現ベクタ
ーであっても良く、例えばpCAGGS(Gene 108,193
-200(1991))や、pcDNA3.1、pBK−CMV、
pZeoSV(インビトロゲン社、ストラタジーン社)
などの発現ベクターが挙げられる。ウイルスベクターと
しては、組換えアデノウイルス、レトロウイルス等のウ
イルスベクターが代表的なものである。より具体的に
は、例えば、無毒化したレトロウイルス、アデノウイル
ス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニ
アウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シン
ビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全
症ウイルス(HIV)等のDNAウイルスまたはRNA
ウイルスが挙げられる。これらのベクターに、β−1,
4−GalT IIをコードする遺伝子を発現可能なよ
うに導入にすることにより、発現ベクターが構築でき
る。
【0007】これらの発現ベクターは、生体内への導入
法にもよるが、通常、注射剤の形態としてヒトに投与さ
れる。なお、ウイルスベクターの場合にはそのままの形
態で投与することもできる。注射剤は常法により調製す
ることができ、例えば適切な溶剤(PBS等の緩衝液、
生理食塩水、滅菌水等)に溶解した後、必要に応じてフ
ィルター等で濾過滅菌し、次いで無菌的な容器に充填す
ることにより調製することができる。注射剤には必要に
応じて慣用の担体等を加えても良い。また、リポソーム
製剤の形態とすることもできる。
【0008】かくして得られる発現ベクターを有効成分
とする腫瘍治療剤は、通常の方法によって投与すること
ができる。このような投与方法としては、細胞への遺伝
子導入による方法がある。具体的には、リポフェクショ
ン法、リン酸−カルシウム共沈法、DEAE−デキスト
ラン法、エレクトロポレーション法、微小ガラス管を用
いたDNAの直接注入法などが挙げられる。また、組織
への遺伝子導入による方法もある。このような方法とし
ては、内包型リポソーム(internal type liposome)に
よる遺伝子導入法、静電気型リポソーム(electrostati
c type liposome)による遺伝子導入法、HVJ−リポ
ソーム法、改良型HVJ−リポソーム法(HVJ-AVEリポ
ソーム法)、レセプター介在性遺伝子導入法、パーティ
クル銃で担体(金属粒子)とともにDNA分子を細胞に
移入する方法、in vivoエレクトロポレーション
法などが挙げられる。また、非ウイルスベクターである
発現プラスミドを生理食塩水に溶解してそのまま投与す
る、いわゆるnaked−DNAの直接導入法、正電荷
ポリマーによる導入法等の方法を採用することもでき
る。本発明の腫瘍治療剤がウイルスベクターである場合
には、そのまま投与することもでき、また、上記した注
射剤の形態にして投与することもできる。
【0009】本発明の有効成分であるβ−1,4−Ga
lT IIをコードする遺伝子を含む発現ベクターは、
通常ヒトの皮膚、筋肉、腹腔等に投与される。投与量と
しては、発現ベクターの種類、投与形態、投与方法、対
象患者、疾患の種類などにより変動しうるが、通常、発
現ベクターとして、約0.1mg〜約1,000mg、
好ましくは約1mg〜約100mgであり、通常1日1
回、合計2〜3回投与するのが好ましい。
【0010】本発明の腫瘍治療剤の有効成分として、β
−1,4−GalT Vアンチセンス遺伝子を用いる場
合には、アンチセンス遺伝子としては、β−1,4−G
alT V遺伝子のmRNAと相補性を有しβ−1,4
−GalT Vの発現を阻害するRNAを転写し得るD
NA、またはβ−1,4−GalT V遺伝子のmRN
Aと相補性を有しβ−1,4−GalT Vの発現を阻
害するRNAもしくはその改変体が挙げられる。具体的
には、β−1,4−GalT V遺伝子のmRNAと相
補性を有しβ−1,4−GalT Vの発現を阻害する
RNAを転写し得るDNAとして、配列表の配列番号2
に示す1番目〜1,164番目までの塩基配列と逆向き
の塩基配列を有するDNAが挙げられる。このDNA
に、その機能を阻害しない範囲で他のDNA配列が付加
されていてもよい。また、このDNAの部分配列であっ
てもよい。部分配列としては、配列番号2に示す塩基配
列中の、少なくとも15塩基以上、好ましくは100塩
基以上、より好ましくは500塩基以上の連続した塩基
配列の逆向きの塩基配列からなるDNAが挙げられる。
更には、このDNAまたはその部分配列の変異体であっ
てβ−1,4−GalT Vの発現を阻害するRNAを
転写し得るDNAであってもよい。このような変異体と
しては、β−1,4−GalT V遺伝子のmRNAと
ハイブリダイズするDNAが挙げられる。
【0011】本発明の腫瘍治療剤の有効成分であるアン
チセンス遺伝子として、β−1,4−GalT V遺伝
子のmRNAと相補性を有しβ−1,4−GalT V
の発現を阻害するRNAもしくはその改変体を用いる場
合、具体的には、配列表の配列番号2に示す1番目〜
1,164番目までの塩基配列の逆向きの塩基配列を有
するDNAに対応するRNA、その部分配列、それらの
改変体が挙げられる。部分配列としては、少なくとも2
0塩基以上、好ましくは50塩基以上の連続した塩基配
列からなるRNAが挙げられる。改変体としては、これ
らのRNAの塩基配列を変えずに、その構成ヌクレオシ
ドをホスホロチオエステル、ホスホロジチオエステル、
ホスホトリエステル結合等により結合させたもの、ある
いは構成ヌクレオシドの糖部分をアミノエチルグリシン
などに置換したペプチド核酸などが挙げられる(米国特
許第6031086、6107094、6225293、6204326、6187586、B
rettP. Monia et al., Nature Medicine, Vol.2, No.6,
June 1996, 668-675; Peter J.O'Dwyer et al., Clini
cal Cancer Research,Vol.5, 3977-3982, December199
9)。
【0012】上記したアンチセンス遺伝子であるこれら
のDNA配列あるいはRNA配列は、Sato, T., et a
l., Pro. Natl. Acad. Sci. USA 95, 472-477 (1998);
Lo, N-W. et al., Glycobiology, 8, 517-526 (1998)な
どに報告されているβ−1,4−GalT V遺伝子の
配列情報、GenBank等の配列情報等に基づき、前記した
PCR法、化学的合成法、部位特異的突然変異誘発法、
PCR法、ハイブリダイゼーション法などにより容易に
得ることができる。
【0013】アンチセンス遺伝子として上記したDNA
を、本発明の腫瘍治療剤の有効成分として用いる場合に
は、通常、これらのDNAを含む発現ベクターの形態で
用いられる。発現ベクターとしては、前記したと同様の
ウイルスベクター、非ウイルスベクターを同様の方法で
用いることができる。また、同様の方法により投与する
ことができる。投与量としては、発現ベクターの種類、
投与形態、投与方法、対象患者、疾患の種類などにより
変動しうるが、通常、発現ベクターとして、約0.1m
g〜約1,000mg、好ましくは約1mg〜約100
mgであり、通常1日1回、合計2〜3回投与するのが
好ましい。アンチセンス遺伝子として上記したRNAま
たはその改変体を、本発明の腫瘍治療剤の有効成分とし
て用いる場合には、それらそのものを、通常の注射剤の
形態にして、静脈内、皮下、腫瘍組織内等に投与するこ
とができる。投与量としては、剤形の種類、投与形態、
投与方法、対象患者、疾患の種類などにより変動しうる
が、通常、約0.1mg〜約1,000mg、好ましく
は約1mg〜約500mgであり、通常1日1回、合計
2〜3回投与するのが好ましい。
【0014】本発明の腫瘍治療剤は、あらゆる種類の腫
瘍の治療に有効であり、特にメラノーマ、肺癌、大腸
癌、子宮癌、リンフォーマ、肝臓癌、胃癌などの腫瘍の
治療に適している。また、本発明の腫瘍治療剤の有効成
分として、β−1,4−GalT II遺伝子を用いた
場合には、特に腫瘍の転移抑制にも有効である。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定される
ものではない。 実施例1β−1,4−GalT IIをコードする遺伝子を含む
発現ベクターおよびβ−1,4−GalT Vアンチセ
ンス遺伝子を含む発現ベクターの構築 配列表の配列番号1に示す1〜1,116番目の塩基配
列を有するヒトβ−1,4−GalT IIをコードす
る全長DNA配列を、図1(左)に示すように、哺乳動
物用の非ウイルスベクターである発現ベクターpcDN
A3.1(インビトロゲン社)のマルチクローニングサ
イトのBamH I部位とEcoR I部位の間にサブ
クローニングして、β−1,4−GalT II発現ベ
クターpcDNA3.1/GTIIを構築した。配列表
の配列番号2に示す1〜500番目までの塩基配列に、
その5’−末端部分に更にGCAGCの配列が付加し
た、ヒトβ−1,4−GalT Vの一部分をコードす
るDNA配列を、対応するアンチセンス遺伝子が発現さ
れるようにするために、3’側と5’側が逆向きになる
ように、図1(右)に示すように、発現ベクターpcD
NA3.1のマルチクローニングサイトのBamH I
部位とHind III部位の間にサブクローニングし
て、β−1,4−GalTVアンチセンス遺伝子発現ベ
クターpcDNA3.1/GTVASを構築した。この
発現ベクターには、配列表の配列番号2に示す1〜1,
164番目の塩基配列を有するヒトβ−1,4−Gal
T Vをコードする全長DNA配列の内の1〜500番
目の塩基配列に、その5’−末端に更に−5〜−1番目
の配列に相当するGCAGCの配列が付加したDNA配
列が逆向きに挿入されている。
【0016】実施例2発現ベクターpcDNA3.1/GTIIおよびpcD
NA3.1/GTVASの抗腫瘍効果 発現ベクターpcDNA3.1/GTIIおよびpcD
NA3.1/GTVASのそれぞれの2μgを、FuG
ENE 6トランスフェクション試薬(ベーリンガーマ
ンハイム社)で製剤化して、プロピレンチューブ中に脂
質と共に発現ベクターを含む80%エタノール溶液を調
製した。同時に、対照として、ヒトβ−1,4−Gal
T IIのDNAおよびヒトβ−1,4−GalT V
のアンチセンスDNAのいずれも挿入されてない発現ベ
クターpcDNA3.1の2μgを用いて同様に製剤化
した。これらの製剤化された発現ベクターを、60%か
ら70%コンフルエント段階におけるB16−F10マ
ウスメラノーマ細胞に加えて、72時間培養した。発現
ベクターが組み込まれたメラノーマ細胞を700μgG
418/ml含む培地で10日間培養し、選択した。こ
の遺伝子導入メラノーマ細胞(2×105個)を、マウ
スの皮下に移植し、2週間後に腫瘍塊形成を調べた。そ
の結果を表1に示した。
【0017】
【表1】 表1:発現ベクター投与による抗腫瘍効果 発現ベクター 腫瘍形成マウス 腫瘍サイズ 抑制率 (頭数) (mm) (%) pcDNA3.1 12/12 12 ± 0.9 100 pcDNA3.1/GTII 7/10 5.3 ± 1.6 42.1 pcDNA3.1/GTVAS 10/10 5.9 ± 1.0 46.7
【0018】更に、移植後のマウスの写真を図2に示し
た。図2のA、BおよびCは、それぞれ発現ベクターp
cDNA3.1、pcDNA3.1/GTIIおよびp
cDNA3.1/GTVASで遺伝子導入されたメラノ
ーマ細胞を移植し、移植20日後のマウスを示す。これ
らの結果から、ヒトβ−1,4−GalT IIをコー
ドする全長DNA配列が挿入されたpcDNA3.1/
GTIIおよびヒトβ−1,4−GalTVアンチセン
スDNAが挿入されたpcDNA3.1/GTVASを
導入したメラノーマ細胞を移植した場合には、有意に腫
瘍形成が抑制されることが明らかになった。
【0019】実施例3発現ベクターpcDNA3.1/GTIIの腫瘍転移抑
制効果 ヒトβ−1,4−GalT IIをコードする全長DN
A配列が挿入されたpcDNA3.1/GTIIが導入
されたB16−F10マウスメラノーマ細胞1×105
を、マウスの尾静脈へ注入して移植し、移植20日後に
マウスを開腹し肺における結節の数を数えた。その結果
を、表2に示した。
【0020】
【表2】 表2:発現ベクター投与による腫瘍転移抑制効果 発現ベクター 結節数 pcDNA3.1 74 ± 13 pcDNA3.1/GTII 29 ± 15
【0021】この結果から、ヒトβ−1,4−GalT
IIをコードする全長DNA配列が挿入されたpcD
NA3.1/GTIIが腫瘍の転移を有意に抑制するこ
とが明らかになった。
【0022】実施例4遺伝子導入マウスメラノーマ細胞の膜糖蛋白質のレクチ
ンブロット分析 図2に示すマウスA、BおよびCで形成された腫瘍から
膜糖蛋白質のサンプルを調製し、レクチンブロット分析
を行った。ブロット分析は、CBB(Coomassie Brilli
ant Blue)、RCA−I(Ricinus communis agglutini
n-I:ヒママメから精製したレクチンで糖鎖のGalβ
1→4GlcNAcβ1→構造を認識し結合する)およ
びL−PHA(Leuko phytohaem agglutinin:インゲン
マメから精製したレクチンで高分岐化糖鎖を認識し結合
する)にパーオキシダーゼを結合させたものを用いてブ
ロットと反応させて可視化して行った。結果を図3に示
した。図3から明らかなように、pcDNA3.1/G
TIIおよびpcDNA3.1/GTVASを導入した
メラノーマ細胞では、腫瘍細胞で通常観察される糖鎖の
Galβ1→4GlcNAcβ−構造および高分岐化構
造が変化していることが明らかになった。
【0023】
【発明の効果】以上に詳細に記載した通り、β−1,4
−GalT IIをコードする遺伝子を含む発現ベクタ
ーおよびβ−1,4−GalT Vのアンチセンス遺伝
子を含む発現ベクターを投与した場合には、腫瘍の形成
が抑制され、また腫瘍の転移も抑制され、腫瘍の治療に
極めて有効である。
【0024】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Primmune Cooperation Inc. <120> Medicine for treatment of tumor <130> DA-03117 <160> 2 <210> 1 <211> 1119 <212> DNA <213> homosapiens <400>> atgagcagac tgctgggggg gacgctggag cgcgtctgca aggctgtgct ccttctctgc 60 ctgctgcact tcctcgtggc cgtcatcctc tactttgacg tctacgccca gcacctggcc 120 ttcttcagcc gcttcagtgc ccgaggccct gcccatgccc tccacccagc tgctagcagc 180 agcagcagca gcagcaactg ctcccggccc aacgccaccg cctctagctc cgggctccct 240 gaggtcccca gtgccctgcc cggtcccacg gctcccacgc tgccaccctg tcctgactcg 300 ccacctggtc ttgtgggcag actgctgatc gagttcacct cacccatgcc cctggagcgg 360 gtgcagaggg agaacccagg cgtgctcatg ggcggccgat acacaccgcc cgactgcacc 420 ccagcccaga cggtggcggt catcatcccc tttagacacc gggaacacca cctgcgctac 480 tggctccact atctacaccc catcttgagg cggcagcggc tgcgctacgg cgtctatgtc 540 atcaaccagc atggtgagga caccttcaac cgggccaagc tgcttaacgt gggcttccta 600 gaggcgctga aggaggatgc cgcctatgac tgcttcatct tcagcgatgt ggacctggtc 660 cccatggatg accgcaacct ataccgctgc ggcgaccaac cccgccactt tgccattgcc 720 atggacaagt ttggcttccg gcttccctat gctggctact ttggaggtgt gtcaggcctg 780 agtaaggctc agtttctgag aatcaatggc ttccccaatg agtactgggg ctggggtggc 840 gaggatgatg acatcttcaa ccggatctcc ctgactggga tgaagatctc acgcccagac 900 atccgaattg gccgctaccg catgatcaag cacgaccgcg acaagcataa cgaacctaac 960 cctcagaggt ttaccaagat tcaaaacacg aagctgacca tgaagcggga cggcattggg 1020 tcagtgcggt accaggtctt ggaggtgtct cggcaaccac tcttcaccaa tatcacagtg 1080 gacattgggc ggcctccgtc gtggccccct cggggctga 1119 <210> 2 <211> 1167 <212> DNA <213> homosapiens <400> atgcgcgccc gccgggggct gctgcggctg ccgcgccgct cgctgctcgc cgcgctcttc 60 ttcttttctc tctcgtcctc gctgctgtac ttcgtctatg tggcgcccgg catagtgaac 120 acctacctct tcatgatgca agcccaaggc attctgatcc gggacaacgt gagaacaatc 180 ggtgctcagg tttatgagca ggtgcttcgg agtgcttatg ccaagaggaa cagcagtgta 240 aatgactcag attatcctct tgacttgaac cacagtgaaa ccttcctgca aactacaaca 300 tttcttcctg aagacttcac ctactttgca aaccatacct gccctgaaag actcccttcc 360 atgaagggcc caatagacat aaacatgagt gaaattggaa tggattacat tcatgaactc 420 ttctccaaag acccaaccat caagctcgga ggtcactgga agccttctga ttgcatgcct 480 cggtggaagg tggcgatcct tatccccttc cggaaccgcc acgagcacct cccagtcctg 540 ttcagacacc tgcttcccat gctccagcgc cagcgcctgc agtttgcatt ttatgtggtt 600 gaacaagttg gtacccaacc ctttaatcga gccatgcttt tcaacgttgg ctttcaagaa 660 gcaatgaaag acttggattg ggactgtttg atttttcatg atgtagatca cataccggaa 720 agtgatcgca actattatgg atgtggacag atgccgaggc attttgcaac caaattggat 780 aagtatatgt atctgcttcc ttataccgag ttctttggcg gagtgagtgg cttaacagtg 840 gaacaatttc ggaaaatcaa tggctttcct aatgctttct ggggttgggg tggagaagat 900 gacgacctct ggaacagagt acagaatgca ggctattctg tgagccggcc agagggtgac 960 acaggaaagt acaagtccat tcctcatcac catcgaggag aagtccagtt tcttggaagg 1020 tatgctctgc tgaggaagtc aaaagaacgg caagggctgg atggcctcaa caacctgaac 1080 tactttgcaa acatcacata cgacgccttg tataaaaaca taactgtcaa cctgacaccc 1140 gagctggctc aggtgaacga gtactga 1167
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で構築した、本発明の腫瘍治
療剤の有効成分として用いる発現ベクターの構成を示
す。
【図2】図2は、実施例1で構築した発現ベクターによ
る腫瘍治療効果を示すマウスの写真である。AはpcD
NA3.1のみ、BはpcDNA3.1/GTII、C
はpcDNA3.1/GTVASを導入した癌細胞が形
成した腫瘍を示す。写真中の矢印は、腫瘍塊の大きさを
示す。
【図3】図3は、実施例1で構築した発現ベクターを導
入した癌細胞が形成した腫瘍から調製した膜糖蛋白質サ
ンプルの、レクチンブロット分析結果を示す写真であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 35/04 35/04 43/00 105 43/00 105 C12N 15/00 ZNAA C12N 15/09 ZNA A61K 37/52 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA01 CA04 DA02 EA04 FA01 GA11 HA17 4C084 AA02 AA13 BA01 BA08 BA22 CA18 DC25 NA14 ZB261 ZC412 4C086 AA01 AA02 EA16 NA14 ZB26 ZC41 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZB26 ZC41

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−1,4−ガラクトース転移酵素II
    (β−1,4−GalT II)遺伝子またはβ−1,
    4−ガラクトース転移酵素V(β−1,4−GalT
    V)アンチセンス遺伝子を有効成分とする腫瘍治療剤。
  2. 【請求項2】 β−1,4−GalT II遺伝子が、
    配列表の配列番号1に示す塩基配列を有しβ−1,4−
    GalT IIをコードするDNA、またはこのDNA
    とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
    であってβ−1,4−GalT IIと同様の酵素活性
    を有する蛋白質をコードするDNAである請求項1の腫
    瘍治療剤。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のDNAを含むβ−1,
    4−GalT IIの発現ベクターを有効成分とする請
    求項1または2の腫瘍治療剤。
  4. 【請求項4】 β−1,4−GalT Vアンチセンス
    遺伝子が、β−1,4−GalT V遺伝子のmRNA
    と相補性を有しβ−1,4−GalT Vの発現を阻害
    するRNAを転写し得るDNA、またはβ−1,4−G
    alT V遺伝子のmRNAと相補性を有しβ−1,4
    −GalT Vの発現を阻害するRNAもしくはその改
    変体である請求項1の腫瘍治療剤。
  5. 【請求項5】 β−1,4−GalT Vアンチセンス
    遺伝子として、β−1,4−GalT V遺伝子のmR
    NAと相補性を有しβ−1,4−GalTVの発現を阻
    害するRNAを転写し得るDNAを含む発現ベクターを
    有効成分とする請求項1または4の腫瘍治療剤。
  6. 【請求項6】 β−1,4−GalT Vアンチセンス
    遺伝子が、配列表の配列番号2に示す塩基配列と逆向き
    の塩基配列を有するDNA、またはその部分配列である
    請求項1、4または5の腫瘍治療剤。
  7. 【請求項7】 β−1,4−GalT II遺伝子を有
    効成分とし腫瘍の転移を抑制する請求項1から3のいず
    れかの腫瘍治療剤。
  8. 【請求項8】 腫瘍がメラノーマである請求項1から7
    のいずれかの腫瘍治療剤。
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