JP2003001733A - 微細空隙内蔵体とその製造方法 - Google Patents

微細空隙内蔵体とその製造方法

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JP2003001733A JP2001190596A JP2001190596A JP2003001733A JP 2003001733 A JP2003001733 A JP 2003001733A JP 2001190596 A JP2001190596 A JP 2001190596A JP 2001190596 A JP2001190596 A JP 2001190596A JP 2003001733 A JP2003001733 A JP 2003001733A
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Akira Narizumi
顕 成住
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貫通孔のある薄板を比較的低温で熱圧着でき
るようにして素材の選択や製作を容易にし、配管内摩擦
抵抗の少ない微細空隙を作る。 【解決手段】 微細空隙(A)を構成する貫通孔1a、
2a、3aのある極薄板状の複数の積層板1、2、3
と、積層板1、2、3の間に形成され、それらの積層板
1、2、3より低い融点を有する接合材層4,5とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極小の配管などの
微細空隙を内蔵する微細空隙内蔵体とその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、インクジェット印刷装置は、そ
の印刷密度を向上させるために、微小ノズルが微小間隔
で配置されたノズル部に、微量のインキを送り込む配管
を形成した配管部が必要である。しかし、このような極
小の配管部は、パイプにより作製したのでは極小化に限
度があり、また、他に適当な方法がなかった。したがっ
て、この配管部が装置全体の小型化の妨げとなるだけで
なく、印刷密度のさらなる向上を妨げていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の配管部
は、その小型化を一層押し進めるために適当な手法がな
いために、各種装置の性能向上を妨げているが、この問
題を打開するために、熱圧着の手法を採用することが考
えられる。例えば、前述したような微量インキ供給のた
めの配管構造を微小化するためには、インキ流路などを
構成する部分を除去した薄板を積層し、熱圧着により融
着してマニフォールド化することが効果的であると考え
られる。
【0004】しかし、この方法は、薄板を密着させるた
めに、金属の溶融温度まで加熱する必要がある。しか
も、接合すべき金属同士の溶融温度が異なっている場合
には、双方の金属の接合面が融ける前に、溶融温度の低
い方の薄板が変形してしまうので、接合すべき金属同士
は、同一の溶融温度のものでなければならない。また、
薄板の加工による孔の断面形状の粗さがそのまま配管内
面の粗さになり、インキなどの流路の摩擦抵抗を大きく
する可能性がある。
【0005】本発明の課題は、材料の選択や製作が容易
で、配管内摩擦抵抗などによる内蔵微細空隙の性能の劣
化がなく、従来の製品に比べ遙に小型化が可能な、微細
空隙内蔵体とその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、積層することにより各層の所定
部分に形成された微細空隙を連通して所定の三次元形状
の微細空隙を形成する複数の積層部材と、前記各積層部
材同士を接合する接合層と、を備える微細空隙内蔵体で
ある。
【0007】請求項2の発明は、請求項1に記載の微細
空隙内蔵体において、前記接合層は、前記積層部材の接
合面に形成され、前記積層部材よりも融点が低いことを
特徴とする微細空隙内蔵体である。
【0008】請求項3の発明は、複数枚の薄板状の積層
部材の所定部分に微細空隙を形成する微細空隙形成工程
と、前記各積層部材の接合面に接合材による層を形成す
る接合層形成工程と、前記各積層部材を積層することに
より前記微細空隙を連通させて所定の三次元形状の微細
空隙を形成する積層工程と、前記接合層を熱圧着する熱
圧着工程と、を備えた微細空隙内蔵体の製造方法であ
る。
【0009】請求項4の発明は、複数枚の薄板状の積層
部材の接合面に接合材による層を形成する接合層形成工
程と、前記各積層部材の所定部分に微細空隙を形成する
微細空隙形成工程と、前記各積層部材を積層することに
より前記微細空隙を連通させて所定の三次元形状の微細
空隙を形成する積層工程と、前記接合層を熱圧着する熱
圧着工程と、を備えた微細空隙内蔵体の製造方法であ
る。
【0010】請求項5の発明は、請求項3又は請求項4
に記載の微細空隙内蔵体の製造方法において、前記接合
層形成工程は、前記積層部材より低い融点の接合材を用
いること、を特徴とする微細空隙内蔵体の製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面などを参照しながら、
本発明の実施の形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による微細空隙内蔵体の実施形態を示す
斜視図である。この実施形態の微細空隙内蔵体は、微細
配管の集合体であるマニフォールドを例にしたものであ
り、図中左下の楕円形で囲んだ部分は、マニフォールド
の一部を拡大したもので、全体の斜視図の楕円形の点線
で囲んだ部分に相当する。
【0012】薄板1には、表裏に貫通する貫通孔1a、
1a・・・1aが開けられている。同様に、薄板2、3
にも、別の形状の貫通孔2a,3aが開けられている。
薄板1、2、3は、積層状態に熱圧着されるまえに、銀
鍍金やニッケル鍍金などの鍍金、又は、イミド前駆体な
どの樹脂でコーティングされる。この鍍金又はコーティ
ングされたものが熱圧着されることによって接合材層
4、5となる。各薄板の貫通孔1a、2a・・・3aな
どがつながって、インクなどを通す微細空隙Aを形成す
る。
【0013】図2は、図1とは別のマニフォールドを構
成する単位配管部品の一つを示した説明図(斜視図)で
ある。図2の微細空隙Bは、インクジェット機構の駆動
部にインクを供給するための配管部品の例である。他の
同種の部品又は他の類似部品とを組み合わせた集合体と
して使用するのが一般的である。図2では、配管となる
空隙を点線で示し、これに接続されるべき外部の配管の
位置を2点鎖線で示してある。
【0014】図2の例では、薄板11、12、13の3
枚を重ねて熱圧着してある。それぞれの素材となる薄板
11、12、13の厚みは、80μm〜0.2mm程度
で、微細空隙Bを構成すべき所定の箇所に、それぞれ表
裏に貫通する孔11b、12b、13bが設けてある。
薄板11は最上段に、薄板12は中段に、薄板13は最
下段になるよう積み重ねられている。
【0015】図3、図4、図5は、それぞれ薄板11、
薄板12、薄板13を示す斜視図である。薄板11、1
2、13は、互いに相対する面に、銅鍍金(又は、ニッ
ケル鍍金、金鍍金など)による表面処理を行った後に、
これらを積層し、加熱しながら圧着したときに、貫通孔
11b、12b、13bは相互につながって3次元形状
のインク供給のための配管部(微細空隙)Bを形成す
る。
【0016】次に、最も単純な微細空隙Cの場合を例と
して、貫通孔の製作方法と、微細空隙による流路の配管
内摩擦抵抗について述べる。図6は、このような微細空
隙Cを有する配管の一部を示す斜視図である。この場合
に、微細空隙Cは、薄板21、22、23によって構成
される層を真っ直ぐ上下に貫通している。微細空隙C
は、薄板21、22、23に設けられた貫通孔21c、
22c、23cがつながって形成される。
【0017】図7〜図10は、図6の配管を作る途中過
程の一部を示す説明図(図6の流路の中心線を含む面で
切断した断面図)である。ただし、図7、図8は、薄板
のうちの一枚のみを示し、薄板21、22、23は、イ
ンクジェット印刷装置の構造部材とする。各薄板21、
22、23の素材は、SUS304又はSUS430な
どが好適に用いられる。以下に、微細空隙内蔵体の製造
方法の手順を説明する。
【0018】先ず、希望するインク流路Cの3次元形状
の断面形状を設計する。ついで、その断面形状にしたが
って、非腐食箇所を保護する皮膜Pを、薄板21、2
2、23のそれぞれの表裏の所定の位置に印刷等によっ
て作製する。図7は、薄板21の表裏面に皮膜Pを設け
た状態である。
【0019】次に、図8に示すように、エッチングを行
う。ただし、図8では、エッチング途中の状態を示して
いるので、表裏を貫通させるための孔21cは、未貫通
であり、薄くなった部分21fが残っている。エッチン
グによる腐食は、時間経過とともに進み、最後には表裏
からの腐食が繋がって貫通孔となるが、その内側面は、
表裏面より離るほど内側に向かって突出する凹凸が残
る。さらに、薄板21、22、23の表面処理を行う。
表面処理は、銅鍍金やニッケル鍍金又は金鍍金などでも
よいが、本実施形態ではニッケル鍍金を行った。
【0020】図9は、薄板21、22、23の表面処理
状態を、上下に積層順に並べて示した説明図(断面図)
である。図9において、24a、24b、25a、25
bは、接合材層24、25を形成すべきニッケル鍍金皮
膜である。
【0021】次に、表面処理を行った薄板を図示しない
位置決めピンよって位置決めし、アーク溶接などによっ
て仮止めを行う。最後に、仮止めされた薄板を炉に入
れ、鍍金溶融温度に加熱し圧力を加えて積層された薄板
同士の溶着(接合)を行う。
【0022】図10は、薄板接合後の状態を示す図であ
る。図10の状態では、熱圧着時に融けて薄板と薄板の
間から内側にはみ出したニッケル鍍金皮膜が、貫通孔2
1c、22c、23cの同一内側面の凹凸を埋めて微細
空隙Cの内側面を平滑にする。図11図は、本発明の場
合と比較するため、仮にニッケル鍍金皮膜などの接合材
を使用しないで、薄板同士を直接熱圧着した場合の微細
空隙(流路)の内側面の状態を示す説明図(断面図)で
ある。その内側面には、凸部t、t・・・tがあり、配
管内の摩擦抵抗を大きくしている。
【0023】例えば、インクジェット印刷装置は、微細
配管を必要とする装置の小型化の場合、インキ供給用の
配管構造として、インキ流路の一部となる微細空隙を作
りこんだ積層板(薄板)を積み重ね、熱圧着により融着
したマニフォールドを使用することができる。しかし、
この方法では、前述したように、薄板同士の密着接合の
ために薄板の素材である金属の融点付近まで加熱する必
要がある。素材に与える影響を少なくするためと、加工
装置の簡単化、省エネルギー化を図るために、薄板接合
時の加熱温度はできるだけ低い方がよい。そこで、本実
施形態では、より低い温度で加工ができるように、各薄
板に融点の低い物性を持つ接合材をコーティングする方
法を採用した。
【0024】また、前記薄板のインキ流路の形成のた
め、流路となる所定部分をエッチングにより表裏から腐
食させると、できた貫通孔の内壁面に必ず凹凸を生じ
る。このようにしてできた薄板の個々の断面形状の粗さ
が、積層された場合に配管内面の粗さとなってインキ流
路などの摩擦抵抗を大きくする。しかし、各薄板を融点
の低い素材でコーティングする場合は、熱圧着時にコー
ティング材が微細配管内に染み出し、積層時の位置ずれ
やエッチングによる凹凸などを吸収して配管内面を滑ら
かにするので、配管内流路の摩擦抵抗を減らすことがで
きる。
【0025】(他の実施形態)本発明は、以上説明した
実施形態に限定するものではなく、種々の変形又は変更
が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内であ
る。例えば、薄板の表裏を貫通する貫通孔は、上述した
説明では、エッチング法により作製しているが、他の穿
孔方法によっても行なってもよい。その方法によって
は、薄板の表面処理を行った後に、貫通孔を作るための
加工を行ってもよい場合もある。
【0026】これらの貫通孔によって構成される空隙
は、上述した説明では、一つの入り口に対して、複数の
出口のあるマニホールドなどの配管類について述べた
が、外部に通じる開放口が一つだけもよく、さらに、熱
交換のヒートパイプに使用される部品のように、外部に
通じる場所がなく、微細空隙内蔵体の内部に空隙が密封
されているものであってもよい。なお、微細空隙の形状
が異なるものであっても、本発明の趣旨に沿うものであ
れば、そのいずれもが本発明に含まれる。
【0027】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、複数の積層部材を積層することにより、各層の所
定部分に形成された微細空隙を連通して所定の三次元形
状の微細空隙を形成することができるので、極細の配管
などを容易に作製することが可能となった。このとき、
各積層部材同士を接合する接合層を形成したので、例え
ば、接合層として、積層部材よりも融点の低い接合材を
用いれば、直接熱圧着する場合に比べ、加工時の加熱温
度を低く設定することができ、簡単な加工設備で信頼性
の高い製品が容易に得られる、という効果がある。
【0028】また、熱圧着加工時に薄板と薄板の間の接
合材が空隙内部に押し出されて、空隙の内壁の凹凸を埋
めて滑らかにするので、配管類の場合に、流路の内面を
平滑化し、配管内摩擦を減少させる、という効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態のマニフォールドの一例
を示す斜視図である。
【図2】図1とは別の実施形態の単位部品の一つを示し
た説明図(斜視図)である。
【図3】図2の実施形態の最上層の薄板を示す斜視図で
ある。
【図4】図2の実施形態の中間層の薄板を示す斜視図で
ある。
【図5】図2の実施形態の最下層の薄板を示す斜視図で
ある。
【図6】他の実施形態の(空隙は配管状で上下に貫通)
の一部を示す斜視図である。
【図7】図6の空隙を作る途中経過の一部(皮膜Pを設
ける)を示す説明図(断面図)である。
【図8】図7につづくエッチング途中の状態を示す説明
図(断面図)である。
【図9】薄板の表面処理状態を示す説明図(断面図)で
ある。
【図10】薄板の接合後の状態を示す説明図(断面図)
である。
【図11】図10と比較するための接合材を不使用の場
合の微細空隙(貫通孔)の内側面の状態を示す説明図
(断面図)である。
【符号の説明】
1、2、3、11、12、13、21、22、23 薄
板 1a、2a、3a、11b、12b、13b、21c、
22c、23c 薄板 4、5、14、15、24、25 接合材層 24a、24b、25a、25b 接合材 A、B、C 微細空隙(配管)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB16A AB16B AB16C AB24A AB24B AB24C AK01A AK49A AK49B AK49C BA02 BA03 BA06 BA08 BA10B BA10C BA14 CC00A CC00B CC00C DC11A DD22 EH71A EH71B EH71C JM02A JM02B JM02C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層することにより各層の所定部分に形
    成された微細空隙を連通して所定の三次元形状の微細空
    隙を形成する複数の積層部材と、 前記各積層部材同士を接合する接合層と、を備える微細
    空隙内蔵体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の微細空隙内蔵体におい
    て、 前記接合層は、前記積層部材の接合面に形成され、前記
    積層部材よりも融点が低いことを特徴とする微細空隙内
    蔵体。
  3. 【請求項3】 複数枚の薄板状の積層部材の所定部分に
    微細空隙を形成する微細空隙形成工程と、 前記各積層部材の接合面に接合材による層を形成する接
    合層形成工程と、 前記各積層部材を積層することにより前記微細空隙を連
    通させて所定の三次元形状の微細空隙を形成する積層工
    程と、 前記接合層を熱圧着する熱圧着工程と、を備えた微細空
    隙内蔵体の製造方法。
  4. 【請求項4】 複数枚の薄板状の積層部材の接合面に接
    合材による層を形成する接合層形成工程と、 前記各積層部材の所定部分に微細空隙を形成する微細空
    隙形成工程と、 前記各積層部材を積層することにより前記微細空隙を連
    通させて所定の三次元形状の微細空隙を形成する積層工
    程と、 前記接合層を熱圧着する熱圧着工程と、を備えた微細空
    隙内蔵体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4に記載の微細空隙
    内蔵体の製造方法において、 前記接合層形成工程は、前記積層部材より低い融点の接
    合材を用いること、を特徴とする微細空隙内蔵体の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009262440A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Furukawa-Sky Aluminum Corp 独立した流路を有する金属多孔体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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