JP2003001662A - 歯車成形用金型とそれを用いた射出成形方法 - Google Patents

歯車成形用金型とそれを用いた射出成形方法

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JP2003001662A
JP2003001662A JP2001186613A JP2001186613A JP2003001662A JP 2003001662 A JP2003001662 A JP 2003001662A JP 2001186613 A JP2001186613 A JP 2001186613A JP 2001186613 A JP2001186613 A JP 2001186613A JP 2003001662 A JP2003001662 A JP 2003001662A
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gear
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thermoplastic resin
resin
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JP2001186613A
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English (en)
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Norihiko Furuya
紀彦 古谷
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸
化炭素の混合物による射出成形歯車を得る際、より、金
型転写性、寸法精度、寸法安定性の高い射出成形歯車が
得られる金型を得ること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された
二酸化炭素の混合物を射出成形することが可能である歯
車成形用金型であって、金型キャビティおよび金型キャ
ビティ外を連通する隙間が金型の外部から密閉された構
造であり、かつ、金型外から供給される加圧ガスを金型
キャビティへ充填することが可能であるガス流路を少な
くともひとつ有し、かつ、金型キャビティ内へ充填され
た樹脂の流動末端部分から該加圧ガスを排出することを
可能とすることを特徴とする歯車成形用金型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂の射
出成形が可能である歯車成形用金型とそれを用いた射出
成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、熱可塑性樹脂に二酸化炭素を
吸収させることにより、熱可塑性樹脂の可塑剤として働
き、ガラス転移温度を低下させることが知られ、J.A
ppl.Polym.Sci.,Vol.30,263
3(1985)など、多くの文献に示されている。しか
し、現在まで、熱可塑性樹脂の成形加工に広く応用され
るには至っていない。
【0003】特開平5−318541号公報には、二酸
化炭素や窒素などのガスを熱可塑性樹脂中に含ませ、キ
ャビティ内のガスを除去しながら該樹脂をキャビティに
充填することで、熱可塑性樹脂の流動性を向上させた上
で、熱可塑性樹脂成形品を得る方法が示されている。し
かし、この方法は、ガスに二酸化炭素を使用した場合、
最大でも約0.18重量%と熱可塑性樹脂中に含まれる
ガスの量が少なく、十分な流動性向上の効果を得ること
は難しいため、高い寸法精度と寸法安定性を有する射出
成形歯車を得ることは難しいといえる。
【0004】また、上記公報による射出成形方法は、大
気圧、40℃でガス体となる化合物を含有する熱可塑性
樹脂を、大気に開放された状態、または、減圧された状
態にある金型キャビティへ射出する方法である。上記化
合物を含有する熱可塑性樹脂を、大気圧または減圧環境
下にある金型キャビティへ射出すると、ガス体が発泡す
るため、得られた成形品の表面には発泡模様が発生す
る。この発泡模様は、微細な凹凸形状であるため、光沢
のない外観であるほか、破壊の起点となりやすい。
【0005】また、WO98/52734号公報には、
熱可塑性樹脂の射出成形において、二酸化炭素を0.2
重量%以上溶解して粘度を低下させた溶融樹脂を、あら
かじめ溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力
以上に二酸化炭素などのガスにより加圧状態に保った金
型キャビティに充填する方法が示され、型表面の再現
性、光沢度の向上、ウエルドラインが目立たなくなる、
型表面のシャープエッジの再現性、微細な型表面の凹凸
の再現性などに対して効果的であることが記載されてい
る。
【0006】しかし、同技術を用いると、ウエルド部分
にガス溜まりが発生しやすい。このため、ウエルド部分
へ充填された熱可塑性樹脂は、金型キャビティ壁面に密
着しにくく、また、ヤケなどが発生することがある。こ
の結果、同部分とその周部分の寸法精度は低下する傾向
にある。このため、金型キャビティ内を加圧状態に保っ
たガスを、熱可塑性樹脂充填開始後、その流動を妨げな
いよう金型外へ排出できる金型構造が必要であった。
【0007】一方、従来から、熱可塑性樹脂による射出
成形歯車は、電機・電子機器、自動車、一般機械、精密
機械、などの各分野において、機構部品として幅広く利
用されている。最近の傾向としては、生産性に優れる、
軽量である、錆びない、リサイクルが容易という理由か
ら、その利用範囲は拡大している。さらに、各分野のハ
イテク化、高機能化、小型化などにより、熱可塑性樹脂
による射出成形歯車に対する寸法精度、剛性などの要求
が高度化してきており、これに応えることが技術的な課
題となっている。
【0008】熱可塑性樹脂による射出成形歯車の精度を
向上させるためには、ゲート点数を多くする、肉厚をで
きるだけ薄く、また、均一にすることなどにより、成形
後の変形を抑え、収縮が均一になるような製品設計、金
型設計が一般的に行われている。また、射出成形時にお
ける条件設定においても工夫が重ねられている。射出成
形歯車の歪みが少なく、寸法精度を向上させる射出成形
方法としては、射出成形時の温度設定を高くして、金型
キャビティへ充填する際に、熱可塑性樹脂の溶融粘度を
低下させることが考えられる。
【0009】しかし、樹脂温度を高くする場合にはある
程度の範囲があり、限界がある。例えば、樹脂温度が高
すぎる場合には樹脂の分解を促すため、樹脂の劣化な
ど、不具合の発生が心配される。また、射出成形歯車の
表面にシルバー(または「銀条痕」)と呼ばれる外観不
良が発生するほか、熱可塑性樹脂から発生した分解ガス
により金型の汚れが発生しやすくなる。これらは、作業
環境の悪化、金型の分解掃除作業の発生など、作業性の
低下を招くため好ましくない。
【0010】また、樹脂温度設定を高くすることによ
り、冷却固化する際に樹脂自体の容積変化量が大きくな
るため、ヒケ、ボイドなどの発生原因になりやすいほ
か、樹脂の冷却に時間を要するため、生産性の低下が懸
念される。一方、金型温度を高くすることにより、金型
キャビティ内での樹脂温度の低下、粘度の上昇を抑える
ことができる。しかし、金型温度を高くした場合には、
金型内に充填された樹脂の冷却時間が長くなるため、必
然的に成形サイクル時間が長くなるほか、取り出し時の
成形品寸法が小さくなるといった問題が発生しやすい。
【0011】また、金型温度を高めた射出成形で、冷却
時間が十分でなく、樹脂の冷却が不十分である場合に
は、取り出し時の射出成形歯車の温度が高い状態にあ
る。このため、金型から射出成形歯車を取り出した後、
この射出成形歯車自体の温度が雰囲気温度まで徐々に下
がるまでの間に、体積収縮や、自重による変形を発生す
る恐れがある。これは寸法精度を悪化させる原因とな
り、好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性樹
脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物による
射出成形歯車を得る際、より、金型転写性、寸法精度、
寸法安定性の高い射出成形歯車を得るための歯車成形用
金型とそれを用いた射出成形方法を提供することを課題
とする。具体的には、用いられる熱可塑性樹脂の組成、
製品デザインを制限することなく、熱可塑性樹脂と大気
圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物による射出成形
歯車を得るための歯車成形用金型、とそれを用いた射出
成形方法を改良することによって、熱可塑性樹脂と大気
圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物による射出成形
歯車に求められている金型転写性、寸法精度、寸法安定
性を向上させることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱可塑性
樹脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物によ
る射出成形歯車を得る際、より、金型転写性、寸法精
度、寸法安定性の高い射出成形歯車を得るための歯車成
形用金型とそれを用いた射出成形方法を提供することを
可能とすべく、検討した。具体的には、用いられる熱可
塑性樹脂の組成、製品デザインを制限することなく、熱
可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合
物による射出成形歯車を得るための歯車成形用金型とそ
れを用いた射出成形方法を改良することによって、熱可
塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物
による射出成形歯車に求められている金型転写性、寸法
精度、寸法安定性を向上させることを見出し、本発明を
なすに至った。
【0014】即ち本発明は、1.熱可塑性樹脂と大気圧
以上に加圧された二酸化炭素の混合物を射出成形するこ
とが可能である歯車成形用金型であって、金型キャビテ
ィおよび金型キャビティ外を連通する隙間が金型の外部
から密閉された構造であり、かつ、金型外から供給され
る加圧ガスを金型キャビティへ充填することが可能であ
るガス流路を少なくともひとつ有し、かつ、金型キャビ
ティ内へ充填された樹脂の流動末端部分から該加圧ガス
を排出することを可能とすることを特徴とする歯車成形
用金型、
【0015】2.予め金型キャビティへ充填された加圧
ガスを、該金型キャビティ内へ充填された樹脂がその流
動過程においてウエルドを形成する部分から、排出する
ことを可能とすることを特徴とする上記1に記載の歯車
成形用金型、 3.金型キャビティへ大気圧以上に加圧されたガスを封
入した後、熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸
化炭素の混合物を充填し、さらに、金型を開く前に金型
キャビティへ封入した加圧ガスを開放することを特徴と
する上記1または2に記載の歯車成形用金型を用いた射
出成形方法、
【0016】4.金型キャビティへ熱可塑性樹脂と大気
圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物を充填した後、
一定時間、該混合物を加圧保持することを特徴とする上
記3に記載の歯車成形用金型を用いた射出成形方法、 5.熱可塑性樹脂が、少なくともポリアセタール成分を
主成分とするポリアセタール系樹脂であることを特徴と
する上記3または4に記載の歯車成形用金型を用いた射
出成形方法、
【0017】6.熱可塑性樹脂が、少なくともポリアミ
ド成分を主成分とするポリアミド系樹脂であることを特
徴とする上記3または4に記載の歯車成形用金型を用い
た射出成形方法、 7.ガスが二酸化炭素であることを特徴とする上記3〜
6のいずれかに記載の歯車成形用金型を用いた射出成形
方法、および 8.ガスが窒素であることを特徴とする上記3〜6のい
ずれかに記載の歯車成形用金型を用いた射出成形方法、
に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明について、以下具体的に説
明する。本発明において熱可塑性樹脂とは、加熱すると
軟化して可塑性を示し、冷却すると固化する特徴を有す
る熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂組成物を指すもので
ある。また、該熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂、非晶性樹
脂の区別なく、実施することが可能である。
【0019】上記、樹脂組成物とは、具体的には、ポリ
アセタールまたはポリオキシメチレン(以下「POM」
と略す)樹脂、ポリアミド(以下「PA」と略す)樹
脂、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略
す)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(以下「PB
T」と略す)樹脂、高密度ポリエチレン(以下「HDP
E」と略す)樹脂、低密度ポリエチレン(以下「LDP
E」と略す)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(以下
「LLDPE」と略す)樹脂、ポリエーテルエーテルケ
トン(以下「PEEK」と略す)樹脂、ポリプロピレン
(以下「PP」と略す)、ポリスチレン(以下「PS」
と略す)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(以下「PP
E」と略す)系樹脂、PPE系樹脂を他の樹脂とブレン
ド、または、グラフト重合させて変性させた変性PPE
系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体(以下「ABS系樹脂」と略す)、アクリロニトリ
ル・スチレン共重合体(以下「AS系樹脂」と略す)、
ポリカーボネート(以下「PC」と略す)系樹脂、メタ
クリル(以下「PMMA」と略す)系樹脂などを挙げる
ことができる。
【0020】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、機械的強度に優れ、耐熱温度の高い成形品を得られ
やすい点から、POM成分を含むPOM系樹脂、PA成
分を含むPA系樹脂が好ましいといえる。ここでPOM
とは、下記、化学式1に示したPOM・ホモポリマー、
化学式2に示したPOM・ランダムコポリマーが好適に
用いられ、また、これらの混合物であってもよい。ま
た、POM分子の末端基は、潤滑性ポリマー、シリコン
など、POM以外の成分や分子構造を化学的に結合させ
たPOM・ブロックコポリマーであってもよい。
【0021】
【化1】 ここで、nは任意の自然数である。
【0022】
【化2】 ここで、Xはモノマー成分、n1、n2、n3、n4はそれ
ぞれ任意の自然数である。
【0023】本発明に好適に用いられる上記POMの数
平均分子量の好ましい範囲は、10,000〜150,
000であり、さらに好ましくは15,000〜10
0,000の範囲であり、最も好ましくは20,000
〜80,000の範囲にあることである。また、本発明
に好適に用いられる上記POMが有するメルト・インデ
ックス値の好ましい範囲は0.1〜75(gr/10m
in)であり、さらに好ましくは1.0〜70(gr/
10min)の範囲であり、最も好ましくは1.0〜5
0(gr/10min)の範囲にあることである。ま
た、PAとは、下記、化学式3に示した酸アミド結合を
有するものであれば、いずれも使用することができる。
【0024】
【化3】
【0025】一般にPA系樹脂は、ラクタム類の開環重
合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン
酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定され
るものではない。本発明で好適に用いることのできるP
A系樹脂としては、PA6、PA6−6、PA4−6、
PA11、PA12、PA6−10、PA6−12、P
A6/6−6、PA6/6−12、PA6/MXD(m
−キシリレンジアミン)、PA6−T(テレフタル
酸)、PA6−I(イソフタル酸)、PA6/6−T、
PA6/6−I、PA6−6/6−T、PA6−6/6
−I、PA6/6−T/6−I、PA6−6/6−T/
6−I、PA6/12/6−T、PA6−6/12/6
−T、PA6/12/6−I、PA6−6/12/6−
Iなどが挙げられる。
【0026】また、複数のPAを押出機等で共重合化し
たPA類も使用することができる。好ましいPA樹脂
は、PA6、PA6−6、PA12およびそれらの混合
物である。複数の歯車により構成された歯車列において
回転動力を伝達する際、そのかみ合いの初期段階に歯車
のタタキ音が発生することがある。これを防止するた
め、歯車列の一部に消音歯車を組み込む手法は一般的に
行われている。この消音歯車は、用いられる歯車材料が
軟らかいほどその効果を発揮する。PA12は、曲げ弾
性率が1500(MPa)前後であり、一般的な加工方
法が射出成形である熱可塑性樹脂のなかでは、軟らかい
特性を有する部類にある。従って、PA12は消音歯車
に用いる熱可塑性樹脂として、好ましい樹脂材料である
といえる。
【0027】本発明に好適に用いられる上記PAの数平
均分子量の好ましい範囲は、5,000〜100,00
0であり、さらに好ましくは10,000〜30,00
0の範囲にあることである。また、これら熱可塑性樹脂
による組成物は、同一の分子構造を有する熱可塑性樹脂
成分であって、分子量、分子量分布が異なる熱可塑性樹
脂成分によって構成されていてもよい。
【0028】また、本発明における熱可塑性樹脂は、2
種類以上の樹脂成分が物理的、化学的に混合された複合
樹脂材料であるポリマー・アロイであってもよい。上記
主成分となる熱可塑性樹脂と混合して用いることのでき
る特性の異なった樹脂は、該主成分となる熱可塑性樹脂
と同一の分子構造をもつ樹脂成分であって、分子量、分
子量分布が異なる樹脂成分であってもよいし、分子構造
が異なる他の樹脂成分でもよい。
【0029】上記主成分となる熱可塑性樹脂と混合して
用いることのできる特性の異なった樹脂成分は、該主成
分となる熱可塑性樹脂と相溶可能であれば特に制限はな
く、例えば、POM、PP、PA、PET、PBT、P
EEK、ポリエチレン、PS、ABS樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、PC、変性PPE、ポリフェニレンスルフィド
(以下「PPS」と略す)、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサル
フォン、ポリエーテルサルフォン、液晶ポリマー(以下
「LCP」と略す)、ポリテトラフルオロエチレン、熱
可塑性エラストマー、ポリ四フッ化エチレン、ポリビニ
ルアルコールなどを挙げることができる。
【0030】ポリマー・アロイの例としては、PA系樹
脂とPPE系樹脂による「PA/PPE系ポリマー・ア
ロイ」、PP系樹脂とPPE系樹脂による「PP/PP
E系ポリマー・アロイ」、PC系樹脂とABS系樹脂に
よる「PC/ABS系ポリマー・アロイ」、PA系樹脂
とABS系樹脂による「PA/ABS系ポリマー・アロ
イ」、PC系樹脂とPET系樹脂による「PC/PET
系ポリマー・アロイ」、LCP系樹脂とPPE系樹脂に
よる「LCP/PPE系ポリマー・アロイ」、PPS系
樹脂とPPE系樹脂による「PPS/PPE系ポリマー
・アロイ」などを挙げることができる。
【0031】本発明に用いられる熱可塑性樹脂には、比
重、強度を付与すること、寸法精度を確保することなど
を目的として、無機系または有機系の充填剤を添加する
ことができる。比重付与剤としては、硫酸バリウム、ベ
ンガラ、タングステン粉など、無機系である塩、酸化
物、金属粉などが考えられる。また、強度付与剤として
は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、
チタン酸カリウム、アスベスト、炭化ケイ素、セラミッ
ク、窒化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオ
リン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリ
サイト、ゼオライト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイ
ト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナイト、
スラグ繊維、フェライト、ケイ素、カルシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化亜鉛、
石膏、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルー
ン、石英、石英ガラス、アルミナなどが考えられる。
【0032】これら無機系または有機系の充填剤の形状
は限定されるものではなく、繊維状、板状、球状などが
任意に選択できる。また、上記の無機系または有機系の
充填剤は、2種類以上を併用することも可能である。ま
た、必要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリ
ング剤で、予備処理して使用することができる。本発明
の熱可塑性樹脂に添加される無機系または有機系の充填
剤の添加量は限定されるものではないが、該熱可塑性樹
脂の比重を調整する、剛性を向上させる、寸法精度を確
保する、反りなどの変形を抑制するなど、添加剤を添加
することによる効果を十分に得るためには、5重量%以
上の添加量が好ましく、10重量%以上の添加量である
ことがさらに好ましい。5重量%未満の添加量である場
合には、上記に示した充填剤を添加することによる効果
が少ない。
【0033】ここで、無機系または有機系充填剤の添加
量とは、添加される充填剤が1種類の場合にはその添加
量を指し、2種類以上の場合にはそれらの総添加量を指
す。また、無機系または有機系充填剤の添加量は、樹脂
成分、無機系または有機系充填剤、その他の添加剤の総
量を100重量%としたときの割合を指すものである。
本発明における熱可塑性樹脂には、通常使用する添加
剤、例えば、酸化防止剤、難燃化剤、離型剤、滑剤、耐
熱安定剤、耐候性安定剤、防錆剤、充填剤、着色剤、抗
菌剤、防カビ剤などを必要に応じて1種類以上添加する
ことができる。
【0034】また、その他の添加剤として、炭素繊維、
金属繊維、黒鉛のうちの1種類以上を選択することによ
り熱可塑性樹脂の電気抵抗値を下げることができる。こ
れは、埃などの小さな粉体が、熱可塑性樹脂による射出
成形歯車に静電気によって付着することを防止できるた
め、好適である。本発明において、熱可塑性樹脂と混合
される二酸化炭素は、大気圧以上に加圧されていること
を特徴とする。これは、二酸化炭素が大気圧以下である
場合、熱可塑性樹脂に二酸化炭素が均一に混合すること
が困難なためである。熱可塑性樹脂に二酸化炭素を均
一、かつ、短時間で混合させるためには、二酸化炭素が
大気圧以上に加圧されていることが必要である。
【0035】本発明において、熱可塑性樹脂と大気圧以
上に加圧された二酸化炭素を混合させる方法は限定され
るものではないが、二酸化炭素を溶融状態にある熱可塑
性樹脂に均一に混合させやすいこと、短時間で混合させ
やすいこと、混合量の調整が容易であること、成形前の
段取りが煩雑でないこと、混合物を金型キャビティへ充
填しやすいことが好ましい。また、成形機ホッパー部な
どの射出成形機を構成する部品や周辺機器を耐圧構造と
する必要がないことがさらに好ましい。
【0036】これらの点を考慮すると、溶融状態にある
該熱可塑性樹脂に二酸化炭素を混合させる方法が好まし
い。また、射出成形機の加熱筒内、成形機のノズル部、
成形機のノズル部と金型の間のいずれかの位置に二酸化
炭素供給のための設備を設けることによって、溶融状態
にある該熱可塑性樹脂に二酸化炭素を混合させる方法が
好ましい。ここで、射出成形機の加熱筒内において、溶
融状態にある熱可塑性樹脂と二酸化炭素を混合させる方
法としては、成形機のスクリューの中間部や先端部や、
加熱筒から溶融状態にある熱可塑性樹脂に二酸化炭素を
供給させる方法が考えられる。
【0037】成形機のスクリューや加熱筒の中間部から
二酸化炭素を供給する場合には、ベントタイプ・スクリ
ューのベント部のように、二酸化炭素供給部付近のスク
リュー溝の深さを深くして、加熱筒内の樹脂圧が低くな
るようにし、樹脂移送を飢餓状態にすることが好まし
い。また、二酸化炭素を供給後、熱可塑性樹脂に均一に
混合させるために、スクリューにダルメージや、混練ピ
ンなどミキシング機構を設けること、樹脂流路にスタテ
ィック・ミキサーを設けることなどが考えられる。
【0038】熱可塑性樹脂は、大気圧以上に加圧された
二酸化炭素と混合することにより、溶融状態における粘
度が低下する。これは、二酸化炭素が熱可塑性樹脂中に
可塑剤として、効率よく分散するためと推測される。一
方、溶融状態にある熱可塑性樹脂の粘度が低下するとい
うことは、流動性が向上することを意味する。この結
果、金型キャビティ内に充填される際の充填圧が低下す
る。このため、金型キャビティ内に充填された熱可塑性
樹脂は、その流動末端部まで圧力が伝達しやすく、金型
転写性が向上する。また、熱可塑性樹脂による射出成形
歯車の金型転写性、寸法精度、寸法安定性を向上させる
ために樹脂温度、金型温度を必要以上に高くする必要が
なく、また、製品デザインを制限することなく、より高
分子量である熱可塑性樹脂による射出成形歯車を得るこ
とが可能となる。
【0039】本発明において、歯車の形状は限定される
ものではない。通常用いられる円盤形状、扇形状を基本
とした歯車のほか、ラックギア、ピニオンギアなどへの
応用も可能である。また、平歯、はす歯の区別なく応用
することが可能である。また、異なるピッチ円直径を有
する複数の歯車が一体化した多段歯車は、小さいスペー
スで回転速度を変えることができる特徴を持つ。また、
同一の歯車を、半ピッチ位相をずらした状態で一体化し
た歯車は、かみ合い率が高く、静音性に優れる特徴を持
つ。
【0040】上記に挙げた一体化歯車は、機能を向上さ
せた形状であるため、好ましい射出成形歯車の形状であ
るといえる。本発明による歯車成形用金型を用いた射出
成形方法は、熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二
酸化炭素の混合物を金型キャビティへ充填することを特
徴とするが、熱可塑性樹脂に混合された二酸化炭素の圧
力が一定値以上である場合、該混合物が金型キャビティ
へ充填された際、熱可塑性樹脂に混合された二酸化炭素
の圧力が開放されることによって、発泡することが考え
られる。この発泡現象が発生することにより、得られた
射出成形歯車の表面に発泡模様が発生する恐れがある。
【0041】この金型キャビティ内における発泡現象を
抑制するため、本発明による歯車成形用金型が、金型キ
ャビティ外を連通する隙間が金型の外部から密閉された
構造であることが必要である。金型キャビティが金型の
外部から密閉された構造を有することによって、金型キ
ャビティへ充填された熱可塑性樹脂の流動先端部で該熱
可塑性樹脂に混合された二酸化炭素による発泡現象が発
生しないように、該金型キャビティ内へ加圧されたガス
を封入しておくことが可能となる。この結果、得られた
成形品表面に発泡模様が発生することが抑えられる。
【0042】このとき、金型キャビティ内に封入される
加圧されたガスの圧力は、成形品表面に発泡模様が発生
することを抑制するために必要な圧力であればよく、必
要以上に高くする必要はない。成形サイクル中に使用す
るガスの量を最小限に抑え、金型キャビティの密閉構造
や、ガス供給装置の構造を簡略化するためにもガス圧は
なるべく低い方が好ましい。ガス圧が15MPaを超え
ると、金型キャビティ内に封入されたガス圧により金型
が開く恐れがあるほか、金型キャビティから金型外へ加
圧されたガスが流出するといった問題が生じやすい。従
って、金型キャビティを加圧するガスの圧力は、大気圧
以上、15MPa以下であることが好ましいといえる。
【0043】この際、金型キャビティ内に封入される加
圧されたガスは、熱可塑性樹脂に対して不活性な各種ガ
スの単体あるいは混合物が使用できる。熱可塑性樹脂へ
の溶解度が高い二酸化炭素、炭化水素およびその一部水
素をフッ素で置換したガスなどが好ましい。用いられる
加圧されたガスの純度は、溶融状態にある熱可塑性樹脂
を変質させないことを満足できる純度、もしくは、それ
より高い純度であれば良い。必要以上に高い純度でなく
とも実施することが可能である。また、熱可塑性樹脂へ
の溶解度は低いものの、比較的安価に純度の高いガスが
得られやすい点を考慮すると、窒素ガスによる実施も可
能である。
【0044】本発明における金型外部へ連通する隙間と
は、具体的には、型板、エジェクター・ピン、各種の小
個片(「入れ駒」「入れ子」とも呼ばれる)、スプルー
・ブッシュなどの金型を構成するために必要な部品の間
に存在する隙間である。これらの部品間には、組み立て
時、動作時に必要なクリアランスが設けられている。ま
た、金型を閉じた状態におけるパーティング面などにも
隙間が存在することが考えられる。
【0045】本発明による歯車成形用金型は、金型キャ
ビティ外を連通する隙間が金型の外部から密閉された構
造であることを特徴とし、その方法は限定されるもので
はないが、通常の射出成形における温度環境下において
熱劣化しないシール材によって密閉されていることが好
ましい。上記シール材とは具体的には、ゴムなど柔軟性
を有する素材により製造されたOリング、Uパッキンな
どが考えられる。例えば、型板とエジェクター・ピンの
境界部など摺動部分にはUパッキンを、その他の部分に
はOリングを用いることにより、密閉状態を確保するこ
とができるため好適である。
【0046】これらOリング、Uパッキンなどは、シリ
コンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、スーパー・ラバ
ーなどにより製造されていることが、耐熱性、耐候性の
点で好ましい。本発明による歯車成形用金型は、金型キ
ャビティおよび金型キャビティ外を連通する隙間が金型
の外部から密閉された構造であることを特徴とするが、
金型キャビティ内を加圧されたガスにより封入するた
め、加圧ガスを該金型外から供給、また金型外へ排気す
る必要がある。
【0047】この金型外から加圧ガスを供給するための
ガス供給路は、金型キャビティへ加圧ガスを供給するこ
とが可能であればよく、その断面形状、金型キャビティ
内への供給位置などは限定されるものではない。しか
し、供給路の容積が大きい場合には、成形工程中に消費
する加圧ガスの消費量が大きくなる。経済的な面を考慮
した場合、ガスの消費量は少ないことが好ましいため、
該ガス供給路は、ガスの供給に支障のない範囲で、でき
るだけ小さい断面積であり、できるだけ短い流動距離と
することが好ましい。
【0048】一方、金型外へ排気するためのガス排出路
は、金型キャビティ内に充填された熱可塑性樹脂の流動
末端部から、該金型キャビティへ封入された加圧ガスを
排気できることが必要である。これは、熱可塑性樹脂と
二酸化炭素の混合物の金型キャビティ内における流動を
妨げないこと、該金型キャビティ内のガスを効率よく排
出できることによる。具体的には、金型キャビティから
パーティング面に設けられた隙間を通じてガスを排出す
る方法、また、金型キャビティを構成する小個片と、型
板、または型板を構成する型枠、小個片の境界部分に設
けられた隙間を通じ、該隙間が金型外へ連通しているこ
とにより、金型キャビティ内に封入された加圧ガスを金
型外へ排出することが可能となる。
【0049】該ガス排出路は、ガス体の流動の妨げにな
らない形状、寸法であることが必要である一方、金型キ
ャビティへ充填された熱可塑性樹脂が流入しないことが
必要である。具体的には、該隙間の寸法は0.20mm
以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.15
mm以下であることであり、最も好ましくは0.10m
m以下であることである。また、金型外へ排気するため
のガス排出路は、金型キャビティ内に充填された熱可塑
性樹脂の流動末端部に設けることがガスの排気効率の上
で効果的であるが、金型キャビティへ充填された熱可塑
性樹脂と二酸化炭素の混合物が、その流動過程におい
て、ウエルド部を形成する場合には、そのウエルドを形
成する部分から、金型キャビティ内に封入されたガスを
排気できるよう、ガス排出路を設けることがさらに好ま
しい。
【0050】これは、熱可塑性樹脂と二酸化炭素の混合
物の流動を妨げずに加圧されたガスを排気できるほか、
金型キャビティ充填時に熱可塑性樹脂から発生するガス
成分を、金型キャビティ内に給給された加圧ガスの排気
と同時に排出されやすいためである。ウエルド部、流動
末端部は、金型キャビティ内において、熱可塑性樹脂か
ら発生したガス成分が圧縮されて存在する箇所であるた
め、状況によっては熱可塑性樹脂の流動を妨げる恐れが
ある。このため、未充填部分を発生させる、金型転写性
を低下させるなど成形不良を発生させる原因となる。
【0051】また、上記、ガス供給路と、ガス排気路
は、同じガス流路を共有することによっても実施するこ
とが可能である。一方、本発明における射出成形方法に
おいては、金型外から供給された加圧されたガスによっ
て金型キャビティ内を封入した後、該金型キャビティへ
熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混
合物を金型キャビティへ充填するが、該混合物の充填開
始時から、金型内から得られた成形品を取り出すために
金型を開くまでの間の任意のタイミングにおいて、金型
キャビティ内に封入された加圧ガスを排気する必要があ
る。
【0052】これは、金型キャビティ内に加圧されたガ
スを封入した状態のまま金型を開けた場合、加圧された
ガスの圧力が短時間で開放されるため、得られた成形品
や金型自体を破損する恐れがあるためである。金型キャ
ビティ内に封入された加圧ガスを排気する工程は、射出
成形の1工程中において、金型内から得られた成形品を
取り出すために金型を開くまでの間である必要がある
が、好ましくは冷却工程開始までの間、さらに好ましく
は、充填完了から2秒経過するまでの間、最も好ましく
は充填完了までの間に行われることである。
【0053】また、通常の射出成形法では、樹脂を金型
キャビティへ充填した後、さらにキャビティ内の樹脂を
加圧保持する工程を有する。この工程を「保圧工程」、
その圧力の程度を「保圧力」というが、本発明による歯
車の射出成形方法においては、熱可塑性樹脂と二酸化炭
素の混合物を金型キャビティへ充填した後、充填圧の3
0〜150%に相当する圧力により、金型キャビティ内
の混合物を加圧保持することが好ましい。
【0054】本発明において、保圧力が充填圧の30%
未満であると、成形品表層に形成される非発泡層の厚さ
が薄くなり、任意断面において発泡部分の占める割合が
大きくなるため、機械的強度の低下が懸念される。ま
た、保圧力が充填圧の150%を超えると、バリが発生
する恐れがあるほか、成形品内部に発泡部分が形成され
にくく、成形後にヒケ、反りが発生しやすいため好まし
くない。
【0055】熱可塑性樹脂と二酸化炭素の混合物による
射出成形歯車が、表層部分に適度の厚さである非発泡層
を形成しつつ、成形品内部に適度な発泡部分を有するた
めには、その射出成形工程における保圧力の好ましい範
囲は、充填圧に対して30〜150%の範囲であること
であり、さらに好ましくは30〜100%の範囲である
ことであり、最も好ましくは、30〜90%の範囲にあ
ることである。ここで充填圧とは、溶融状態の樹脂を金
型キャビティへ充填する際に生じる樹脂圧を指す。具体
的には、インライン・スクリュー式射出成形機ではスク
リュー位置、プリプラ式射出成形機ではプランジャー位
置が、計量位置からV−P(保圧)切り替え位置まで移
動した際に生じる樹脂圧の最大値を指す。
【0056】また、保圧時間は限定されるものではない
が、極端に保圧時間が短い場合には、金型キャビティへ
充填する以前に熱可塑性樹脂に混合させた、加圧された
二酸化炭素が膨張することにより、成形品に膨れ現象が
発生する恐れがあるため好ましくない。具体的には、保
圧時間は3秒以上であることが好ましく、5秒以上であ
ることがさらに好ましく、7秒以上であることが最も好
ましい。
【0057】本発明において射出成形方法とは、通常行
われている熱可塑性樹脂の成形加工方法であって、最も
一般的な射出成形法のほか、中空射出成形法、ガスアシ
スト成形法、ブロー成形法、射出・圧縮成形法などが含
まれる。以下、実施例によって本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下に限定されるものではない。射出成
形に使用した樹脂は、POM系樹脂・ホモポリマー(旭
化成(株)社製「テナック 2010」)、PA6−6
系樹脂(旭化成(株)社製「レオナ 1300S」)で
あり、射出成形前はペレット形状である。
【0058】成形機は、住友重機械工業(株)社製「S
G125−HP」射出成形機を使用した。射出成形機の
加熱筒の温度はPOM成形時には195℃に、PA成形
時には185℃にそれぞれ設定した。また、金型温度は
80℃に設定した。単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差を
測定する際には、かみ合い試験機(大阪精密機械(株)
社製)を用いて実施した。同一条件で5個の歯車を射出
成形、測定した。単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差と
も、5個の平均値を測定値とした。
【0059】歯形誤差、歯筋誤差を測定する際には、歯
車測定機(大阪精密機械(株)社製「GC−1HP
型」)を用いて、測定プログラムに従って測定した。同
一条件で5個の歯車を射出成形、測定した。歯型誤差、
歯筋誤差とも、60枚の歯のうち、ゲート付近、ウエル
ド付近に相当する6枚の歯について測定を行った。歯車
の精度測定方法、格付けは、(社)精密工学会 成形プ
ラスチック歯車研究専門委員会、2000年刊の「射出
成形プラスチック歯車 規格集」中に記載されている
「射出成形プラスチック歯車の精度標準(JSPE−M
PG 0201−1997)」に従って、実施した。
【0060】表面粗さは、「表面粗さ形状測定機
((株)東京精密社製「サーフコム570A」)」を用
いてそれぞれ測定した。歯車のウェブ部のゲートとゲー
トの間に発生するウエルド部において、ウエルド・ライ
ンに直行するように表面粗さを測定し、その測定距離は
6mmとした。今回の測定においてはRmax値を表面
粗さ値とし、同一条件で5個の歯車を射出成形、測定し
た平均値を測定値とした。
【0061】
【実施例1〜4】図1に示した断面であって、図2に示
した形状である射出成形歯車が射出成形可能であり、シ
ール材により、金型の外部に対して密閉構造を有してい
る金型を用意し、さらに、金型外に設けたガス供給装置
とガス供給路により接続した。このガス供給路は、さら
に、射出成形歯車の外周部分に相当する箇所、つまり、
金型キャビティ内において流動末端部分となる箇所に設
けられた0.05mmの厚さであるガス流路に連通され
ていることにより、金型外から供給された加圧ガスを金
型キャビティ内へ供給、封入することが可能である。
【0062】2.2〜12.8MPaの範囲における任
意の圧力に調節した二酸化炭素を射出成形機の加熱筒中
央部に設けられたガス供給路から加熱筒内の溶融状態に
あるPOMに供給し、混合させた後、予め2.2〜5.
2MPaに加圧された二酸化炭素を封入した金型キャビ
ティへ充填することによって、図2に示した射出成形歯
車を得た。得られた射出成形歯車の単一ピッチ誤差、累
積ピッチ誤差、歯型誤差、歯筋誤差、表面粗さを測定し
た。測定結果を表1に示した。
【0063】
【実施例5】実施例1〜4と同様に、図1に示した密閉
構造を有している金型を用意し、さらに、金型外に設け
たガス供給装置とガス供給路により接続した。8.2M
Paに調節した二酸化炭素を射出成形機の加熱筒中央部
に設けられたガス供給路から加熱筒内の溶融状態にある
PAに供給し、混合させた後、予め5.4MPaに加圧
された二酸化炭素を封入した金型キャビティへ充填する
ことによって、図2に示した射出成形歯車を得た。実施
例1〜4と同様に、得られた射出成形歯車の単一ピッチ
誤差、累積ピッチ誤差、歯型誤差、歯筋誤差、表面粗さ
を測定した。測定結果を表1に示した。
【0064】
【比較例1】図3に示した断面であって、図2に示した
形状である射出成形歯車が射出成形可能であり、シール
材による密閉構造を有している金型を用意し、さらに、
金型外に設けたガス供給装置とガス供給路により接続し
た。このガス供給路は、さらに、射出成形歯車の外周部
分に相当する箇所、つまり、金型キャビティ内において
キャビティ中央部分に設けられた0.05mmの厚さで
あるガス流路に連通されていることにより、金型外から
供給された加圧ガスを金型キャビティ内へ供給、封入す
ることが可能である。
【0065】8.6MPaに調節した二酸化炭素を射出
成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給路から加熱
筒内の溶融状態にあるPOMに供給し、混合させた後、
予め5.2MPaに加圧された二酸化炭素を封入した金
型キャビティへ充填することによって、図2に示した射
出成形歯車を得た。実施例1〜5と同様、得られた射出
成形歯車の単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、歯型誤
差、歯筋誤差、表面粗さを測定した。測定結果を表1に
示した。
【0066】
【比較例2】図4に 図1に示した断面であって、図2
に示した形状である射出成形歯車が射出成形可能であ
り、シール材による密閉構造を有さない金型を用意し、
さらに、金型外に設けたガス供給装置とガス供給路によ
り接続した。このガス供給路は、さらに、射出成形歯車
の外周部分に相当する箇所、つまり、金型キャビティ内
において流動末端部分となる箇所に設けられた0.05
mmの厚さであるガス流路に連通されていることによ
り、金型外から供給された加圧ガスを金型キャビティ内
へ供給、封入することが可能である。
【0067】8.6MPaに調節した二酸化炭素を射出
成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給路から加熱
筒内の溶融状態にあるPOMに供給し、混合させた後、
予め5.2MPaに加圧された二酸化炭素を封入した金
型キャビティへ充填することによって、図2に示した射
出成形歯車を得た。金型が密閉構造を有していないた
め、加圧された二酸化炭素は満足には封入できず、樹脂
充填時における金型キャビティ内の二酸化炭素の圧力は
0.8MPaまで低下した。実施例1〜5と同様、得ら
れた射出成形歯車の単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、
歯型誤差、歯筋誤差、表面粗さを測定した。測定結果を
表1に示した。
【0068】
【比較例3】図5に示した断面であって、図2に示した
形状である射出成形歯車が射出成形可能であり、シール
材による密閉構造、ガス流路などを有さない、通常の射
出成形に用いられる金型と同様の構造である金型を用意
した。8.2MPaに調節した二酸化炭素を射出成形機
の加熱筒中央部に設けられたガス供給路から加熱筒内の
溶融状態にあるPOMに供給し、混合させた後、金型キ
ャビティへ充填することによって、図2に示した射出成
形歯車を得た。実施例1〜5と同様、得られた射出成形
歯車の単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、歯型誤差、歯
筋誤差、表面粗さを測定した。測定結果を表1に示し
た。
【0069】
【比較例4】比較例3と同様に、図5に示した構造であ
る金型を用意した。8.2MPaに調節した二酸化炭素
を射出成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給路か
ら加熱筒内の溶融状態にあるPAに供給し、混合させた
後、金型キャビティへ充填することによって、図2に示
した射出成形歯車を得た。実施例1〜5と同様、得られ
た射出成形歯車の単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、歯
型誤差、歯筋誤差、表面粗さを測定した。測定結果を表
1に示した。
【0070】
【比較例5】図6に示した断面であって、図2に示した
形状である射出成形歯車が射出成形可能であり、シール
材による密閉構造を有している金型を用意し、さらに、
金型外に設けたガス供給装置とガス供給路により接続し
た。このガス供給路は、金型キャビティを構成する小個
片に接続されているが、金型キャビティへのガス流路は
設けられていない。8.6MPaに調節した二酸化炭素
を射出成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給路か
ら加熱筒内の溶融状態にあるPOMに供給し、混合させ
た後、予め5.2MPaに加圧された二酸化炭素を封入
した金型キャビティへ充填することによって、図2に示
した射出成形歯車を得た。実施例1〜5と同様、得られ
た射出成形歯車の単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、歯
型誤差、歯筋誤差、表面粗さを測定した。測定結果を表
1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明の歯車成形用金型は、熱可塑性樹
脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物による
射出成形歯車を得る際、より、金型転写性、寸法精度、
寸法安定性の高い射出成形歯車を得ることを可能とす
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例を実施する際に用いた歯車成形用金型
の断面図を示す。
【図2】 射出成形歯車の正面図を示す。
【図3】 比較例1を実施する際に用いた歯車成形用金
型の断面図を示す。
【図4】 比較例2を実施する際に用いた歯車成形用金
型の断面図を示す。
【図5】 比較例3、4を実施する際に用いた歯車成形
用金型の断面図を示す。
【図6】 比較例5を実施する際に用いた歯車成形用金
型の断面図を示す。
【符号の説明】
1 キャビティ 2 ガス供給路 3 ガス流路 4 ガス排気路 5 シール材 6 射出成形歯車 7 ウエルド・ライン 8 表面粗さ測定位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 77:00 B29K 77:00 B29L 15:00 B29L 15:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された
    二酸化炭素の混合物を射出成形することが可能である歯
    車成形用金型であって、金型キャビティおよび金型キャ
    ビティ外を連通する隙間が金型の外部から密閉された構
    造であり、かつ、金型外から供給される加圧ガスを金型
    キャビティへ充填することが可能であるガス流路を少な
    くともひとつ有し、かつ、金型キャビティ内へ充填され
    た樹脂の流動末端部分から該加圧ガスを排出することを
    可能とすることを特徴とする歯車成形用金型。
  2. 【請求項2】 予め金型キャビティへ充填された加圧ガ
    スを、該金型キャビティ内へ充填された樹脂がその流動
    過程においてウエルドを形成する部分から、排出するこ
    とを可能とすることを特徴とする請求項1に記載の歯車
    成形用金型。
  3. 【請求項3】 金型キャビティへ大気圧以上に加圧され
    たガスを封入した後、熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧
    された二酸化炭素の混合物を充填し、さらに、金型を開
    く前に金型キャビティへ封入した加圧ガスを開放するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の歯車成形用金
    型を用いた射出成形方法。
  4. 【請求項4】 金型キャビティへ熱可塑性樹脂と大気圧
    以上に加圧された二酸化炭素の混合物を充填した後、一
    定時間、該混合物を加圧保持することを特徴とする請求
    項3に記載の歯車成形用金型を用いた射出成形方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂が、少なくともポリアセタ
    ール成分を主成分とするポリアセタール系樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項3または4に記載の歯車成形用金
    型を用いた射出成形方法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂が、少なくともポリアミド
    成分を主成分とするポリアミド系樹脂であることを特徴
    とする請求項3または4に記載の歯車成形用金型を用い
    た射出成形方法。
  7. 【請求項7】 ガスが二酸化炭素であることを特徴とす
    る請求項3〜6のいずれかに記載の歯車成形用金型を用
    いた射出成形方法。
  8. 【請求項8】 ガスが窒素であることを特徴とする請求
    項3〜6のいずれかに記載の歯車成形用金型を用いた射
    出成形方法。
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