JP2002543805A - 核移植胚の非除核、および融合後除核 - Google Patents

核移植胚の非除核、および融合後除核

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JP2002543805A JP2000616617A JP2000616617A JP2002543805A JP 2002543805 A JP2002543805 A JP 2002543805A JP 2000616617 A JP2000616617 A JP 2000616617A JP 2000616617 A JP2000616617 A JP 2000616617A JP 2002543805 A JP2002543805 A JP 2002543805A
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マーク ブレントン ノットル,
ポール ジョン バーマ,
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リレグ ピーティーワイ リミテッド
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/87Introduction of foreign genetic material using processes not otherwise provided for, e.g. co-transformation
    • C12N15/873Techniques for producing new embryos, e.g. nuclear transfer, manipulation of totipotent cells or production of chimeric embryos

Abstract

(57)【要約】 本発明は、核移植のプロセスを記載する。このプロセスは、レシピエント細胞質体からの染色体の除去なしに、このレシピエント細胞質体を提供する工程、このレシピエントにドナー細胞または核質を移植してNT胚を形成する工程、必要に応じて細胞質体染色体を除去する工程、およびその後必要に応じてNT胚を培養し、1回以上の細胞分裂をさせる工程、を包含する。前述のプロセスにより産生される胚もまた記載される。

Description

【発明の詳細な説明】
(発明の分野) 本発明は、核移植またはクローニング技術を用いる、動物、特に有蹄類の産出
、およびそのように産出された動物に関する。より詳細には、本発明は、核移植
、核移植胚、およびそのように産出された動物に関する。
【0001】 (発明の背景) 核移植は、除核された卵母細胞(細胞質体)へのドナー細胞または核(核質体
)の挿入、およびレシピエント細胞質体によるドナー核の再プログラミングを含
む。全ての公表されたプロトコールにおいて、除核は、プロセスの開始時点で実
行される。一般に、核移植プロトコールは、以下を含む:1)レシピエント卵母
細胞の活性化 2)レシピエント卵母細胞からの染色体の摘出;および 3)除核卵母細胞へのドナー核の移植 レシピエント卵母細胞の除核は必要であり、そしてドナー核の挿入後の倍数性(
正しい染色体数)を維持すると一般に考えられている(米国特許第5,453,
366号;同第6,011,197号;同第5,945,577号;同第5,9
94,619号および同第5,843,754号)。
【0002】 除核卵母細胞を用いる胚クローニングは、ウシ(Kankaら(1991)M
ol Reprod Dev 29,110)、ヒツジ(Wilmutら(19
97)Nature 385,810)、ウサギ(CollasおよびRobl
(1991)Biol Reprod 45,455)、およびブタ(Prat
herら(1990)J Exptal Zool 255、355)のような
種々の動物において首尾よく実行されてきた。
【0003】 除核は物理的手段またはタンパク質の手段により達成され得る。ヒツジおよび
ウシについて記載されるもともとの手順は、2つの細胞質体(その一方は染色体
を含まない)を生成するために卵母細胞を二分割する工程を含んだ(Willa
dsen Nature(1986)320 63)。この手順は多数の不利な
点を有する。中でも主なものは、卵母細胞に行われる物理的傷害および細胞質体
の容積の減少であり、その両方は、それから産生される胚の発達を減弱する。
【0004】 より近年では、異なる手順が卵母細胞を除核するために用いられてきた。この
手順は低侵襲性であり最小限の細胞質体とともに染色体を取り出す。この方法に
おいて、第一の極体および少量の隣接細胞質が吸引され、分裂中期板母染色体を
取り出される。これは、DNA特異的フルオロクロム(flourochrom
e)(Hoechst 33342)と組み合わせて行われ、親染色体が卵母細
胞から取り出されることを確実にする(Tsunodaら(1988)J Re
prod Fert 82 173 および PCT公開 97/07668
97/07669)。あるいは、除核は、紫外線照射の適用または他の核不活化
方法のような機能的除核により達成され得る。除核直後またはすぐ後のドナー核
の移植は、現在、家畜の種について好ましい方法である(PCT公開 97/0
7668)。物理的傷害は減少されているが、そのように産出された胚が最後ま
で発生することが非常に乏しいという問題が厳しく残っている(胚細胞を用いて
構築されたヒツジ胚およびウシ胚について約1%)(PratherおよびFi
rst(1990)J Reprod Fertil suppl 41 12
5)。
【0005】 宿主動物における限界を発達させる能力が増加した胚を生じる核移植の方法が
明らかに必要である。
【0006】 (発明の要旨) 第一の局面において、本発明は、核移植法に関する。この方法は、レシピエン
ト細胞質体へのドナー細胞または核質体の移植後の非除核または除核を含む。こ
の方法は、最初に、三倍体の胚の生成を生じる。この三倍体の胚は、除核されな
い場合、最初の開裂またはその後のレシピエント前核の排除後、二倍体状態を回
復する能力を有する。あるいは、レシピエント前核(および任意の保持される極
体)は、核移植後、除核され、代表的にはその後、初回の開裂をする。
【0007】 従って、本発明の第一の局面において、核移植のプロセスが提供される。この
プロセスは、レシピエント細胞質体からの染色体の除去なしにこのレシピエント
細胞質体を提供する工程、ドナー細胞または核質をレシピエントに移植してNT
胚を形成する工程、必要に応じて細胞質体を取り出す工程、およびその後、必要
に応じて1回以上の細胞分裂を可能にするようにNT胚を培養する工程を包含す
る。
【0008】 本発明の第一局面の実施態様において、核移植のプロセスが提供される。この
プロセスには、レシピエント細胞質体からの染色体の除去なしにこのレシピエン
ト細胞質体を提供する工程、ドナー細胞または核質体をレシピエントに移植して
NT胚を形成する工程、およびその後、必要に応じて1回以上の細胞分裂を可能
にするようにNT胚を培養する工程を包含する。
【0009】 本発明の第一の局面の第二の実施態様において、核移植プロセスが提供される
。このプロセスは、レシピエント細胞質体からの染色体の除去なしにこのレシピ
エント細胞質体を提供する工程、ドナー細胞または核質体をレシピエントに移植
してNT胚を形成する工程、引き続き、NT胚から細胞質体染色体を取り出す工
程、およびその後、必要に応じてNT胚を培養し、1回以上の細胞分裂を可能に
する工程を包含する。従って、除核はこの実施態様に従い融合後生じる。
【0010】 レシピエント染色体を含むレシピエント細胞質体へのドナー細胞または核質体
の移植は、膜融合、またはレシピエント細胞質体への核質体の直接注射を含む多
数の異なる方法により達成され得る。核質体の挿入時点で、再構築された胚(「
NT胚」と呼ばれ得る)は、物理的手段または科学的手段により活性化され得る
。あるいは、活性化は、ドナー核の挿入の前かまたは後に生じ得る。
【0011】 開裂後、NT胚は、物理的手段または科学的手段を用いて任意の適切な段階(
例えば、2〜32の細胞段階で)で二分割され得る(胚分割)。胚の細胞または
卵割球は、それらから単離され得、そして核移植の第二回または引き続く回に用
いられ、最後まで発生し得る複数のNT胚を提供し、引き続く分割および発達を
可能にし得る多数のNT胚を生じ得る(連続クローニング)。
【0012】 本発明の別の局面では、核質体は、一回以上の分裂後NT胚から回収され得、
そして第二のレシピエント細胞質体への移植により核移植の第二の回に用いられ
核の再プログラミングを改善し得る。核移植の第二回は、マウスNT胚の発展性
コンピテンスを増大するために用いられてきた(KwonおよびKono(19
96)Proc Natl Acad Sci USA 93 13010)。
第二の細胞質体は、卵母細胞、接合体または任意の他の胚であってもよい。第二
の細胞質体は、核質体の挿入の前に除核され得るか、または本発明による融合の
後、除核されなくても、もしくは除核されてもよい。
【0013】 本発明の別の局面において、動物のクローン作製のためのプロセスが提供され
る。この該プロセスは、レシピエント細胞質体から染色体を取り出すことなく該
レシピエント細胞質体を提供する工程、このレシピエントにドナー細胞または核
質体を移植し、NT胚を得る工程、必要に応じて細胞質体染色体を取り出す工程
、およびその後必要に応じてNT胚を培養し、一回以上の細胞分裂を可能にする
工程を包含する。必要に応じてNT胚由来の細胞または核は、核移植の第二回に
核質体として用いられ、核再プログラミングを改善し得る。その後、1つ以上の
NT胚は、発情期の周期が適切に同期化されたレシピエント雌に移植される。妊
娠を通じた発生は1つ以上のクローン化された子孫を生じる。
【0014】 (発明の詳細な説明) 核移植は、除核された卵母細胞(細胞質体)へのドナー細胞または核(核質体
)の挿入を含む。これはレシピエント細胞質によるドナー核の引き続く再プログ
ラミングを伴う。
【0015】 核移植またはクローニング技術のための使用は以下を含む:動物繁殖のための
、多数の遺伝的同一もしくは類似の動物または個々の動物由来のクローンの生成
;外来の遺伝情報が挿入されているかまたは遺伝子情報が欠失されている(遺伝
子ノックアウト)、遺伝的に操作された(すなわち、トランスジェニック動物)
の生成;および細胞治療、遺伝子治療、器官移植などの目的のための細胞、組織
、または器官に、次に分化され得る多能性細胞の生成のための体細胞の脱分化。
このような細胞は、それらが自己由来(すなわち、患者から最初に得られた)で
あり得、そのため患者の免疫系により破壊されないという点で利点を有する。
【0016】 本発明以前は、哺乳動物をクローニングする手順は、核移植の前にレシピエン
ト細胞の除核を必要とした。本発明の最初の局面に従って、核移植のプロセスが
提供される。このプロセスは、レシピエント細胞質体からの染色体の取り出しな
しにこのレシピエント細胞質体を提供する工程、ドナー細胞または核質体をレシ
ピエントに移植してNT胚を形成する工程、およびその後、必要に応じてNT胚
を培養し、1回以上の細胞分裂を可能にする工程を包含する。あるいは、このレ
シピエント前核(および任意の保持される極体)は、融合および/または活性化
の後に除核され、その後最初の開裂が生じ、そしてNT胚が培養されて一回以上
の細胞分裂が可能になる。
【0017】 両方のプロセスは、胚発生における増加を生じる。例えば、インビトロで胚盤
胞段階へ進行する核移植胚の数(表1を参照のこと)、およびそれらの細胞数(
その両方はNT胚の最後までの発生を確実にすることにおいて重要である)の両
方が増加する。
【0018】 本発明は、医学、研究、商業または他の経済的価値のような重要性を有する動
物を含む種々の動物に適用される。例えば、本発明は、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤ
ギ、スイギュウおよびラクダのような経済上重要な有蹄類、ならびに科学的研究
および医学的研究における用途の動物(例えば、サル、ウサギ、ラット、マウス
、ハムスターおよびモルモット)に適用可能である。さらに、げっ歯類、鳥類、
両生類および魚類のような他の動物種がまた、本発明の方法により産出され得る
。本発明は、社会的または環境上で価値のある他の動物種(例えば、ウシ、ラマ
および家庭内のペットのような)、ならびに他の動物(例えば、家畜化された動
物かまたは野生の動物)に適用可能であるということはまた留意されるべきであ
る。後者の場合、本発明は、所望の場合、絶滅危惧種の繁殖に、または絶滅動物
種の復活に適用可能である。
【0019】 本明細書において開示される全体的手順は、一般に、非除核ドナー細胞への、
またはドナー細胞の除核の前の核移植(NT)による動物の産出またはクローニ
ングである。一般に、以下の工程を含む核移植プロセスにより、動物が産出され
る: 1)ドナー細胞からの核の選択および単離; 2)レシピエント細胞(一般に(必須ではないが)、ドナー核の供給源と同じ種
の動物由来の卵母細胞)の選択および単離; 3)所望のドナー核のレシピエント細胞の細胞質への移植により「核移植」(N
T)単位を生成する; 4)レシピエント細胞(例えば、卵母細胞)の活性化; 5)2細胞発生性段階より大きいかまたは胚段階への活性化NT単位の培養;な
らびに 6)NT胚が胎児へ発生するようにか、またはNT胚のクローニングが同じ遺伝
子構成を有する多能性胚クローンを得ための、宿主動物へのNT胚の移植。
【0020】 本発明は、トランスジェニック動物および非トランスジェニック動物を産出す
るにおいて等しく有用である。トランスジェニック動物は遺伝的に改変されたド
ナー細胞から産出され得る。本明細書で用いる場合、用語「トランスジェニック
」は、そのDNAが組換え技術、遺伝子操作、または他の技術介入を受けている
任意の細胞、組織、胚、胎児または動物を意味することが意図される。例えば、
1つ以上の内因性遺伝子が任意の手段により、欠失、複製、改変または活性化さ
れた動物は、トランスジェニック動物である。動物はまた、トランスジェニック
動物であり得、その結果として1つ以上の「トランスジーン」を保有する。
【0021】 本明細書で用いる場合、用語「トランスジーン」は、遺伝子改変されることを
意図された動物の遺伝物質の一部を天然には形成しないか、またはその遺伝物質
から開始されない、任意の内因性DNA配列または遺伝物質をいうことを意図す
る。
【0022】 従って、トランスジェニック動物は、レシピエント卵母細胞またはレシピエン
ト細胞への移植の前に遺伝子操作に供されたドナー核の使用による本明細書のプ
ロセスによりクローニングされ得る。ドナー細胞核中で、所望の遺伝子が挿入、
取り出し、または改変され得る方法は、当該分野で公知であり、以下が挙げられ
る:例えば、米国特許5,763,240号およびCapecchi、Scie
nce、244:1288(1989)に記載されるような相同体配列標的化(
組換え);例えば、SenaおよびZarling Nature Genet
ics 3:365(1993)に記載されるインビトロ二重鎖標的化;ならび
に部位特異的変異誘発のような、より標準的な組換え方法(Carterら、N
ucl Acids Res 13:4331(1986);Zollerら.
Nucl Acids Res 10:6487(1987))、カセット変異
誘発(Wellsら、Gene 34:315(1985))、制限選択変異誘
発(WEllsら、Philos Trans R Soc London S
erA 317:415(1986)またはDNA配列改変のための他の公知の
技術のようなより標準的な組換え方法。
【0023】 このように、本発明に従って、特異性または所望の遺伝子型を有する哺乳動物
の再生または繁殖が可能である。さらに、本発明はまた、例えば、細胞、組織、
または器官の移植に用いられ得る動物を産出するために、または治療用分子、成
長因子、もしくは他の医学的に所望されるペプチドもしくはタンパク質のような
所望の化合物を発現する動物を産出するために用いられ得る。
【0024】 レシピエント染色体を含有するレシピエント細胞質体へのドナー細胞または核
質体の移植は、種々の技術により達成され得る。例えば、膜融合、レシピエント
細胞質体への核質体の直接注射、または他の手段によりNT胚が得られる。核質
体の挿入時点で、再構築された胚は、物理的手段または化学的手段により活性化
され得る。あるいは、活性化はドナー核の挿入の前または後に生じてもよい。
【0025】 開裂後、NT胚は、物理的手段または化学的手段を用いて任意の適切な段階(
例えば、2〜32の細胞段階で)で二分割され得る(胚分割)。胚の細胞または
卵割球は、それらから単離され得、そして核移植の第二回または引き続く回に用
いられ、最後まで発生させ得る複数のNT胚を産出する(連続クローニング)。
【0026】 本発明の別の局面では、核質体は、一回以上の分裂後NT胚から回収され得、
そして第二のレシピエント細胞質体への移植により核移植の第二の回に用いられ
、核の再プログラミングを改善し得る。核移植の第二回は、マウスNT胚の発展
性コンピテンスを増大するために用いられてきた(KwonおよびKono(1
996)Proc Natl Acad Sci USA 93 13010)
。第二の細胞質体は、卵母細胞、接合体または任意の他の胚であってもよい。第
二の細胞質体は、核質体の挿入の前に除核され得るか、または本発明による融合
の後、除核されなくても、もしくは除核されてもよい。
【0027】 ドナー細胞はまた、胚性細胞、胚性幹細胞、初代培養細胞、胚性細胞、胎児細
胞または体細胞由来の培養細胞株などであり得る。さらなる例としては、胚性細
胞は、卵割球(例えば、16〜32の細胞塊(桑実胚))または胚盤胞由来の多
能性細胞であってもよい。このドナー細胞は、従来の組換えDNA操作に供され
得る。例えば、遺伝子は、遺伝子付加、遺伝子標的化、遺伝子ノックアウト、外
因性構築物(選択マーカーを含んでもよいし、または含まなくてもよい)とのト
ランスジェネシスにより欠失、複製、活性化または改変され得、これは、マイク
ロインジエクション、エレクトロポレーション、ウイルス媒介性トランスフェク
ション、リポフェクチン、リン酸カルシウム沈降(Lovell−Badge、
「Introduction of DNA into embryonic
stem cells」:Teratocarcinomers and Em
bryonic Stem Cells:A Practical Appro
ach、IRL Press、Oxford、E.J.Robertson編1
53〜182頁、1987;Molecular Cloning:A Lab
oratory Manual、Volume 2&3、Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press、Cold Sprin
g Harbor、Sambrook、FritschおよびManiatis
編、15.3〜15.50頁、16.3〜16.68、1989)のような技術
により達成され得る。哺乳動物細胞形質転換のためのさらなる技術は、例えば、
Keownら(Methods in Enzymology 185:527
〜537、1990およびMansourら(Nature 336:348〜
352、1988)に記載されている。
【0028】 ドナー細胞は、以前に記載された任意の動物由来であり得る。これには、家畜
動物またはコンパニオン動物(例えば、ブタ、サル、ウマ、ヒツジ、ウシ、ヤギ
、イヌおよびネコ)が挙げられる。動物由来のドナー細胞は、ほぼどのような型
の組織または器官からも単離され得る。例えば、生検は、動物から採取され得る
。生検サンプル由来の細胞は、分離され得、そしてこの細胞は、当業者に周知の
培養技術を用いて単離され得る。適切な単離された細胞型としては、例えば、線
維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、造血細胞、神経細胞、ケラチノサイト、筋細胞
、胚性細胞および胎児細胞のような体細胞(分化したまたは未分化の)および胚
芽細胞が挙げられる。核質はドナー核、もしくは核を含む帯傷害(zona d
amageal)細胞、またはドナー細胞である。
【0029】 線維芽細胞が、好まれ得る。なぜなら線維芽細胞は(胎児組織供給源または成
体組織供給源のいずれかから)容易に獲得され得、大量に獲得され得、そして容
易に増殖され、遺伝子改変され、そしてインビトロで培養されるからである。
【0030】 レシピエント細胞質体は、卵母細胞、接合体または胚由来の任意の細胞であり
得る。卵母細胞の適切な動物供給源は、ドナー核の供給源について上記のようで
あり得る。好ましくは、卵母細胞は、脊椎動物から、そしてより好ましくは有蹄
類から得られる。卵または卵母細胞は、容易に、外科方法または非外科方法を用
いて排卵動物の生殖管から採集され得る。卵母細胞を単離するための方法は、当
該分野で周知である。排卵は、種々の種起源の性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピ
ン)の動物への投与により誘導され得る。卵母細胞は、成熟卵胞からの吸引によ
り収集され得るかまたは排卵後に収集され得る。あるいは、未成熟の卵母細胞は
、生存している動物または屠殺された動物の卵巣から収集され得、そしてWO
90/13627(「In vitro maturation of bov
ine oocytes in media containing reco
mbinant gonadotropins along with bov
ine oviductal cells」1989)に記載の標準的手順を用
いてインビトロで成熟され得る。卵母細胞は、インビボまたはインビトロで受精
され、接合体を産生し得る。卵母細胞の成熟の段階が重要であると考えられるか
、または首尾よい核移植に関与すると考えられる場合、選択された分裂中期II
卵母細胞(極体の存在により決定される)は、核移植のためのレシピエントとし
て用いられ得る。
【0031】 また、レシピエント細胞質体は、ドナー核について上記されたように任意の動
物からであり得る。この動物としては、家畜動物またはコンパニオン動物(例え
ば、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、イヌおよびネコ)が挙げられる。好まし
くは、ドナー細胞およびレシピエント細胞は、同じ種に由来する。
【0032】 本発明は、卵母細胞を除核する必要性を無くすか、または除核を融合および/
もしくは活性化後に行うことを可能にする。
【0033】 除核が行われない場合、胚は、母系一倍体核(N)および線維芽細胞核(2N
)を含む、即ち、三倍体の胚である。母系核は、この胚が分裂(サイトケネシス
(cytokenesis))をし始めた際またはその直後に二倍体状態(2N
)に復帰して排出される可能性が最も高い。
【0034】 重要なことには、本発明者らは、除核しないこと、または融合および/もしく
は活性化後に除核することによって、NT胚の発生が増大することを見出した。
関与する正確な機構は、未だ決定されていないが、発生におけるこの増大が、方
法論における有意な改善を表すことが容易に明らかである。胚の生存の増大は、
核移植技術によって動物を生成する技術全体を改善する。
【0035】 例えば、ブタ胎仔線維芽細胞を用いて構築された核移植胚の発生についての最
初の報告(Duら Theriogenology 1999 51:201要
約)では、本発明者らは、融合前に除核された卵母細胞を用いての、3%の胚盤
胞期までの発生を報告した。一方、本発明者らは本発明において除核しないかま
たは融合/活性化の4〜6時間後に除核することによって胚盤胞期までの発生が
5倍を超えて増大したことを見出した(表1)。
【0036】 細胞融合は、当該分野で公知の任意の手段によって実施され得る。細胞融合を
誘導するための確立された方法としては、融合促進性化学物質(例えば、ポリエ
チレングリコール)への細胞の曝露(例えば、Kankaら(1991)、Mo
l.Reprod.Dev.,29,110−116を参照のこと)、センダイ
(sendi)ウイルスのような不活化ウイルスの使用(例えば、Graham
ら(1969)、Wistar Inst.Symp.Monogr.,9,1
9を参照のこと)および電気パルスの使用(例えば、Willasden、(1
986)、Nature、320、(6)、63−36およびPratherら
、(1987)、Biol.Reprod.,37、857−866を参照のこ
と)が挙げられる。電気刺激または細胞融合の使用は好ましいが、本発明には決
して必須ではない。例証として、2〜6回の電気パルスは、1分間〜6分間の各
パルスの間の間隔で(例えば、30分間離れた2回のパルス)実体に対して送達
され得る。各パルスは、互いに1〜20秒間隔てられたパルスのセットの形態(
例えば、2〜4回のパルス)であり得る。DCパルスは一般に、150v/mm
のような電圧で、60μsのような持続時間で、そして一般にパルス前およびパ
ルス後の交流を伴って用いられる。
【0037】 あるいは、ドナー核(核質)は、細胞から単離され得、そしてレシピエント細
胞質体の細胞質に直接注射され得る。ドナー細胞への核質の直接的な微量注射は
、従来の方法によって、例えば、Wakayamaら(1998)Nature
394、369−374によって開示されるように、実施され得る。
【0038】 活性化は、電気的パルスのような物理的手段、カルシウムイオノホアの使用の
ような化学的手段または他の手段によることを含む標準的手順によって実施され
る。活性化は、融合と同時に(同時融合および活性化)または融合後に(融合、
次いで活性化)行われ得る。活性化の前に、レシピエント細胞質中で核に時間を
経過させることは、再プログラミング(reprogramming)およびそ
の後の発生に関して有益であり得る。
【0039】 NT胚は、1回以上の分裂のためにインビトロで培養され得る。切断後、NT
胚は、任意の適切な段階で(例えば、2細胞期〜32細胞期で)物理的手段また
は化学的手段を用いて二等分され得る(胚の分割)。胚の細胞または割球は、そ
れらから単離され得、そして2回目およびその後の回の核移植に用いられて、最
後まで発生し得る複数のNT胚を生成し得る(連続クローニング)。
【0040】 連続核移植もまた、行われ得る。核質は、1回以上の分裂後、NT胚から回収
され得、そして2番目のレシピエント細胞質体への移植による2回目の核移植に
用いられて、核再プログラミングを改善し得る。各NT胚は、例えば、桑実胚ま
たは32細胞期〜64細胞期でそれ自体が各ドナーとして用いられ得る。あるい
は、胚盤胞期由来の内部細胞塊細胞は、Zakhartchenkoら、Mol
ec Reprod and Develop 44:493(1996)に記
載される通りに核ドナーとして用いられ得る。さらに、核ドナー細胞の供給源と
して用いられる新たな細胞株は、本発明に従って生成されたNT胚から生成され
得る。
【0041】 2回目の核移植は、マウスNT胚の発生能力を増大させるために用いられた(
KwonおよびKono(1996)Proc Natl Acad Sci
USA 93 13010)。第2の細胞質体は、卵母細胞、接合体、または任
意の他の胚であり得る。第2の細胞質体は、本発明に従って、核質の挿入の前に
除核され得るか、または除核されないか、または融合後に除核され得る。
【0042】 NT胚は、1回以上の分裂のためにインビトロで培養されて、それらの生存度
が評価され得るか、またはレシピエントの雌の生殖管に移植され得るか、または
標準的手順によりその後の使用のために凍結保存され得る。
【0043】 核移植胚は、再構築の直後に、またはインビトロ培養の期間の後に、レシピエ
ントの雌の生殖管へと、標準的な外科的または非外科的な手順を用いて移植され
得る。同腹子を保有する種(例えば、ブタ)の場合、1以上の非NT胚(ヘルパ
ー胚)を移植して、妊娠の開始および維持を助け、そしてさらに分娩を支持する
ことが有利であり得る。あるいは、核移植胚は、寒天中にカプセル化されて、核
移植胚を免疫の攻撃から保護し得、そして一時的なレシピエントの連結された卵
管においてインビボで培養され得、回収され得、次いで第2のレシピエントに再
度移植され得る。移植されたNT胚(およびヘルパー胚)を、最後まで発生させ
得る。
【0044】 本発明の別の局面では、動物のクローン作製のためのプロセスが提供され、こ
のプロセスは、レシピエント細胞質体から染色体を除去することなく、レシピエ
ント細胞質体を提供する工程、ドナー細胞または核質を細胞質体へと移植してN
T胚を得る工程、および必要に応じてNT胚をインビトロで培養して1回以上の
細胞分裂を起こさせて1以上のNT胚を得る工程を含む。その後、1以上のNT
胚は、発情周期が適切に同期化されている、レシピエントの雌へと移植され、妊
娠期間は1以上のクローニングされた子孫を妊娠の最後で生じる。動物のクロー
ン作製は、一般に、レシピエントの雌動物に複数の胚(本明細書中に記載される
通りの非NT胚(ヘルパー)胚を有するかまたは有さないNT胚を含む)を導入
する工程を含む。例えば、ブタでは、5〜50個の胚が、標準的な手順を用いて
発情周期を適切に同調させたレシピエント雌動物の生殖管中に導入され得る。1
〜3個の胚は、同調させたヒツジまたはウシの生殖管中に導入され得る。この胚
は、外科的にまたは非外科的に移植され得る。例えば、胚は、適切なデバイス(
例えば、カテーテル)を用いて子宮に挿入され得るか、あるいは子宮への移動の
ために標準的な手順を用いてファローピウス管中に導入され得る。
【0045】 さらなる局面によれば、上記のプロセスに従って調製した場合、遺伝的に同一
の動物が提供される。
【0046】 別の局面では、本発明は、本発明に従って生成された核移植動物(NT動物)
の後代に関する。後代は、子孫を得るためのNT動物と別の動物との交配から得
られる。他の動物は、特定の形質について選択され得る。後代の動物は、始めの
ドナー核質の遺伝的相補物の一部を含む。始めのドナー核質は、例えば、DNA
マーカーによって簡便に検出され得る。
【0047】 本発明の別の局面によれば、核移植胚から生成されたクローン化動物が提供さ
れる。本明細書中に記載される通り、本発明は、クローン化動物を生じる、発生
能力のある核移植胚を提供する。このことについて、後代またがクローン化動物
は、本明細書中に記載される通りにそれらの生成において用いられる核質のDN
Aと同一であるDNAを含む。従って、所望の有益な形質(例えば、低脂肪肉、
迅速な成長)を発現する、重要な農業的適合性の動物が生成され得る。例えば、
生物医学的な適用(例えば、異種移植(xenotransplantatio
n))のための遺伝的に改変された動物もまた生成され得る。
【0048】 さらなる局面では、本発明は、農業における、器官生成のための、または卵母
細胞生成および胚生成のための、本明細書中に記載された通りのクローン化動物
の使用に関する。動物をクローン的に操作する能力とは、所望の特徴が直接利用
され得ることを意味する。例証として、農業において、動物は、遺伝子操作(例
えば、相同組換え)の結果として低脂肪肉の供給源として生成され得る。このよ
うなアプローチによって、クローン化動物は、(例えば、抗原が、遺伝的操作に
よって除去、マスク、または減弱されている場合)高度に効率的かつ望ましい農
業研究および動物農業研究のために(ヒト移植片のための器官の供給源として、
を含む)一般に用いられ得る。
【0049】 本発明のプロセスは、レシピエント細胞質体への移植の前のドナー細胞または
核質の遺伝子操作を含み得る。あるいは、または加えて、遺伝子操作は、NT胚
での遺伝子操作である、NT細胞生成の後に起こり得る。
【0050】 遺伝子改変または遺伝子操作は、細胞内のDNAが組換えDNA技術に供され
る従来の組換えDNA操作技術を含む。例えば、以前に記載された通り、遺伝子
は、選択マーカーを含んでいても含まなくてもよい外因性構築物を用いる、遺伝
子付加、遺伝子標的化、遺伝子ノックアウト、トランスジェネシス(trans
genesis)によって欠失、重複、活性化または改変され得、そしてこれら
は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、ウイルス媒介トラン
スフェクション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈澱のような技術(Lo
vell−Badge、「Introduction of DNA into
embyonic stem cells」Teratocarcinome
rs and Embryonic Stem Cells:A Practi
cal Approach、IRL Press、Oxford、E.J.Ro
bertson編、153−182頁;Molecular Cloning:
A Laboratory Manual、第2巻および第3巻、Cold S
pring Harbor Laboratory Press、Cold S
pring Harbor、Sambrook、FritschおよびMani
atis編、15.3−15.50頁、16.3−16.68頁、1989)に
よって達成され得る。
【0051】 遺伝子操作は、所望の形質を、得られる胚および/またはその胚から生成され
る動物に付与し得る。例えば、不活化、改変または置換された遺伝子を保有する
胚(およびその得られる動物)は、例えば、Zarlingら(USPN 5,
763,240)に記載される通りの標的化された相同組換えを用いて得られ得
る。外因性DNA配列を、内因性の所定のDNA配列に対して標的化することは
、以下によって達成され得る: 1)選択された動物種由来の標的遺伝子のゲノムクローンの適切な領域からの
遺伝子構築物をアセンブリする。所望の場合、特定の変異をこの遺伝子の所望の
領域に導入する; 2)変更された遺伝子構築物と適切なリコンビナーゼ酵素(例えば、E.co
li由来のRecA)とを混合する; 3)核移植によってタンパク質−DNA混合物をレシピエント卵母細胞へ注射
/挿入する; 4)導入遺伝子を含む卵母細胞を、(好ましくは同種の)宿主動物中に移植す
る;および 5)この動物をホモ接合になるように育種して所望の形質を達成する。
【0052】 あるいは、タンパク質−DNA混合物は、ドナー細胞株(例えば、ブタ線維芽
細胞)中に移植され得る。標的化された細胞は、増殖中である(US 5,94
5,577)かまたはG0/G1期(Wilmutら 1997 385:81
0−813)において休止しているかのいずれかであり得る。次いで、正確に標
的化された導入遺伝子配列を含む細胞は、ドナー細胞として用いられ得る。次い
で、ドナー細胞由来の核が、レシピエント卵母細胞への核移植のためのドナー核
として用いられる。
【0053】 ドナー細胞核の標的化された遺伝子操作は、種々の理由(例えば、変異遺伝子
を訂正して機能的遺伝子産物を生成するため、内因性遺伝子または導入遺伝子を
特異的制御下に置くため(例えば、誘導性または抑制性のプロモーターを用いる
調節された発現)、内因性遺伝子を不活化するため、または内因性遺伝子の発現
を異なる種由来の等価な遺伝子で置換するためなど)のために実施され得る。
【0054】 核が遺伝子改変されたトランスジェニック細胞またはドナー細胞を生成するた
めに用いられるDNA構築物はまた、得られる動物または細胞の必要性および所
望の遺伝子型に依存して、種々のエレメント(調節プロモーター、インスレータ
ー(insulator)、エンハンサー、およびリプレッサーを含み、そして
リボザイムおよびアンチセンスDNAまたはRNAをコードする)を含み得る。
【0055】 従って、本発明は、特定のまたは所望の遺伝子型および得られる表現型を有す
る動物を提供するために用いられ得る。治療用ヒトタンパク質または分子を発現
する、トランスジェニック動物またはキメラ動物は、本発明によって入手され得
る。例えば、ヒト様ヘモグロビン遺伝子を発現するトランスジェニック動物が生
成され得る。組換えヒト様ヘモグロビンの例は、米国特許第5,028,588
号;同第5,545,727号;同第5,545,727号;同第5,844,
090号;およびWO 95/03820号に提供される。核移植のためのドナ
ー核は、それらの内在性動物ヘモグロビン遺伝子がヒト様ヘモグロビン遺伝子で
置換されているように変更されている動物細胞から入手され得る。ヒト様遺伝子
での内因性動物ヘモグロビン遺伝子の置換は、例えば、Zarlingら(US
PN 5,763,240号)に記載される通りに標的化された相同組換えを用
いて達成され得る。トランスジェニック動物細胞は、ここで、ヒト様ヘモグロビ
ンを発現する動物を生成するための核移植についてのドナー核の供給源として適
切である。次いで、ヒト様ヘモグロビンは、動物から収集され得、そして精製さ
れて、余分な酸素保有能力を必要とする患者を処置するために有用な薬物を生成
し得る。トランスジェニックブタを生成するためにブタ胚性生殖細胞を用いる方
法は公知であり、そして例えば、PCT公開97/25413に記載される。
【0056】 あるいは、所望の場合、本発明は、胚の核移植において適用されて、所望の治
療用タンパク質をその乳汁中に発現するトランスジェニック動物を生成し得る(
例えば、EPO 264 166、「Transgenic Animals
Secreting Desired Proteins into Milk
」;WO 94/19935、「Isolation of componen
ts of Interest from Milk」;およびWO 95/1
7085「Transgenic Production of Antibo
dies in Milk」に記載される通り)。
【0057】 本発明をまた用いて、トランスジェニック動物(例えば、ブタ)を生成し得る
。このトランスジェニック動物の器官は、心臓または腎臓の必要があるヒト患者
への移植(例えば、「異種移植」として公知の手順)に適切である。異種移植で
は、天然のブタ器官は、超急性拒絶として公知のプロセスによる、ヒトのレシピ
エントの免疫系によって数分〜数時間以内に拒絶される。全てのヒトは、ブタ組
織上の炭水化物抗原に対する「異種反応性抗体(xenoreactive a
ntibody)」を保有するので、超急性拒絶は生じる。この抗原は、gal
エピトープとも呼ばれるガラクトース(α1,3)ガラクトースである。異種移
植レシピエントの異種反応性抗体が、移植されたブタ組織上のgalエピトープ
に結合する場合、ヒト補体カスケードが開始されて、ブタ器官の拒絶および壊死
をもたらす。移植されたブタ器官の超急性拒絶を予防または改善させるために、
galエピトープのレベルを低減させ、そしてまたヒト補体インヒビターを生成
する酵素を発現するトランスジェニックブタが生成され得る(WO 97/12
035)。ブタ器官の超急性拒絶を予防する別の方法は、galエピトープを合
成する内因性酵素(すなわち、gal(α1,3)ガラクトシルトランスフェラ
ーゼ)(米国特許第5,849,991号および同第5,821,117号)を
発現しないトランスジェニックブタを使用することである。相同組換え技術が用
いられ得、ここで、内因性遺伝子を「ノックアウト」または欠失させることが望
ましい。あるいは、内因性遺伝子は、例えば、アンチセンス技術または他の組換
え技術によって不活化され得る。
【0058】 本発明は、ここで以下の非限定的な実施例を参照して記載される。
【0059】 (実施例) 各々の方法についての実施例は、ブタにおける核移植を参照して記載される。
卵母細胞を、過剰排卵したLarge White×Landraceドナーブ
タからhCGの50〜54時間後に収集し、そしてピペッティングおよびヒアル
ロニダーゼ処置によって丘を露出させた。線維芽細胞を、25日目の胎仔から入
手し、そしてDMEM+10% PBS中で培養した。NT胚を、96時間目に
10% FBSを添加して、NCSU23において7日間培養した。
【0060】 最初の実施例では、除核を行わず、そして用いた細胞は、25日目のブタ胎仔
に由来する、ランダムに循環している線維芽細胞集団であった。本発明者らおよ
び他者は、これらの細胞の大多数(60%)がG0/G1にあることを示した。
第2の実施例では、除核を、融合と同時に起きた活性化の4〜6時間後に行った
。胎仔線維芽細胞を、血清枯渇を用いてG0/G1で同調させた(Wilmut
ら 1997 385 810−813)。
【0061】 2つの方法を用いた結果を、表1に示す。卵母細胞が融合の前に除核され、そ
して血清を欠乏させた胎仔線維芽細胞を用いて構築された以前の研究もまた、比
較のために示す(Duら Theriogenology 1995 51 2
01)。
【0062】 (方法1:卵母細胞の非除核) 卵母細胞の帯に、ベベル(beveled)ピペットを用いて突き刺し、そし
て個々の核質を卵黄周囲腔に挿入した。核質−卵母細胞複合体を、NCSU23
培地中で活性化および融合まで培養した。核質−卵母細胞複合体の融合および活
性化を、BTX Electro Cell Manipulator ECM
2001(BTX CA)を用いて誘導した。この複合体を最初に、0.3m
マンニトール/100μm CaCl2/200μm MgSO4/0.01%
ポリビニルアルコールを含有する融合媒体中で洗浄し、次いで、0.1mlの融
合媒体を有する融合チャンバ(450−10WG、BTX、CA)の2つのワイ
ヤ電極(1mmの間隔)の間に配置した。活性化および膜融合を、4V、1MH
zにて各々5秒間のパルス前およびパルス後の交流(AC)場を用いて、2回の
DCパルス(150V/mm、60μs)を5秒間隔で印加することによって同
時に誘導した(同時融合および活性化)。
【0063】 (方法2:融合および/または活性化後の除核) 卵母細胞の帯に、ベベルピペットを用いて突き刺し、そして個々の核質を、各
卵母細胞の卵黄周囲腔に最初の極体の反対側の位置で挿入した。核質−卵母細胞
複合体を、NCSU23培地中で活性化および融合まで培養した。核質−卵母細
胞複合体の融合および活性化を、BTX Electro Cell Mani
pulator ECM 2001(BTX CA)を用いて誘導した。この複
合体を最初に、0.3mマンニトール/100μm CaCl2/200μm
MgSO4/0.01% ポリビニルアルコールを含有する融合媒体中で洗浄し
、次いで、0.1mlの融合媒体を有する融合チャンバ(450−10WG、B
TX、CA)の2つのワイヤ電極(1mmの間隔)の間に配置した。活性化およ
び膜融合を、4V、1MHzにて各々5秒間のパルス前およびパルス後の交流(
AC)場を用いて、2回のDCパルス(150V/mm、60μs)を10秒間
隔で印加することによって同時に誘導した。
【0064】 前核(+任意の維持された極体)の形態の、卵母細胞に由来するクロマチンを
、融合の3〜6時間後に取り出した。同時に融合および活性化されたNT胚を、
細胞骨格インヒビター(サイトカラシンB)の存在下で遠心分離して、細胞質脂
質小滴を分極させ、細胞質における核構造の可視化を可能にした。核質の挿入の
間に作られた帯における孔の近傍の核は、ドナー核である。核質核から離れて位
置する卵母細胞に由来する前核を、7.5μg/mlのサイトカラシンB(Si
gma)を含有するPB1+10%ウシ胎仔血清中のベベルピペット(直径30
〜40μm)を用いて吸引した。
【0065】
【表1】
【0066】 本明細書の全体を通して、文脈からそうでないことが要求されない限り、用語
「含む(comprise)」もしくはバリエーション(例えば、「含む(co
mprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」)または
用語「含む(includes)」もしくはそれらのバリエーションは、示され
た要素もしくは整数または要素もしくは整数の群を含むが任意の他の要素もしく
は整数または要素もしくは整数の群を排除しないことを意味することが理解され
る。このことについて、特許請求の範囲の範囲を解釈する際に、1以上の特徴が
請求項のいずれかに付け加えられる実施態様は、請求される本発明の必須の特徴
がこのような実施態様に含まれるならば、本発明の範囲内にあると考えられるべ
きである。
【0067】 本明細書中の全ての刊行物および特許出願は、本発明が関与する当該分野の当
業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物また
は特許出願が詳細におよび個々に参考として援用されたのと同じ程度に本明細書
中で参考として援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 バーマ, ポール ジョン オーストラリア国 エス.エイ. 5086, グリーンエイカーズ, プリンセス ロ ード 16 Fターム(参考) 4B024 AA10 CA01 CA20 DA02 GA11 4B065 AA90X AA90Y AB01 BA01 CA60

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核の移植のプロセスであって、該プロセスは、レシピエント
    細胞質体からの染色体の除去なしに該レシピエント細胞質体を提供する工程、ド
    ナー細胞または核質体を該レシピエントに移植してNT胚を形成する工程、必要
    に応じて細胞質体染色体を取り出す工程、およびその後、必要に応じてNT胚を
    培養し、1回以上細胞分裂させる工程、を包含する、プロセス。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のプロセスであって、ここで前記核質体がN
    T胚から回収され、そして第二のレシピエント細胞質体に移植されるプロセスで
    あって、該レシピエント細胞質体は、その染色体成分を含み、必要に応じて該細
    胞質体染色体を取り出され、そして必要に応じて該核移植された細胞質体を培養
    し、一回以上の細胞分裂を可能であるようにする、プロセス。
  3. 【請求項3】 前記ドナー細胞の移植が細胞質体とドナー細胞との間の細胞
    融合から生じる、請求項1に記載のプロセス。
  4. 【請求項4】 活性化が融合と同時に生じるかまたは引き続いて生じる、請
    求項1に記載のプロセス。
  5. 【請求項5】 前記細胞質体染色体が前記NT胚から取り出されていない、
    請求項1に記載のプロセス。
  6. 【請求項6】 前記細胞質体染色体がNT胚から取り出されている、請求項
    2に記載のプロセス。
  7. 【請求項7】 動物のクローン作製のためのプロセスであって、該プロセス
    は、レシピエント細胞質体から染色体の除去なしに該レシピエント細胞質体を提
    供する工程、該細胞質体にドナー細胞または核質体を移植し、NT胚を得る工程
    、および必要に応じてインビトロにおいてNT胚を培養し、一回以上細胞分裂さ
    せ1つ以上のNT胚を得る工程、ならびにその後、妊娠期間の終わりに1つ以上
    のクローンの子孫を生じるレシピエント雌性動物に複数のNT胚を移植する工程
    、を包含する、プロセス。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項により生成されたNT胚。
  9. 【請求項9】 前記ドナー細胞または核質体がブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、
    およびウサギから選択される動物由来のトランスジェニック細胞を含む、請求項
    8に記載のNT胚。
  10. 【請求項10】 前記トランスジェニック細胞がヒト様ヘモグロビン、ヒト
    補体阻害因子、および異種反応性抗原のレベルをマスクするかまたは減じる酵素
    から選択されるタンパク質をコードするDNA配列を含む、請求項9に記載のN
    T胚。
  11. 【請求項11】 内因性タンパク質をコードするDNA配列が不活性である
    かまたは欠失している、請求項8に記載のNT胚。
  12. 【請求項12】 動物のクローン作製のためのプロセスであって、該プロセ
    スは、レシピエント細胞質体から染色体を除去することなく該レシピエント細胞
    質体を提供する工程、該細胞質体にドナー細胞または核質体を移植し、NT胚を
    得る工程、該胚から細胞体質染色体を除去する工程、必要に応じてインビトロに
    おいてNT胚を培養し、一回以上細胞分裂させ、複数のNT胚を得る工程、なら
    びにその後、妊娠期間の終わりに1つ以上のクローンの子孫を生じるレシピエン
    ト雌性動物に1つ以上の胚を移植する工程、を包含する、プロセス。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか1項により生成されたNT胚か
    ら産生された動物。
  14. 【請求項14】 一回以上の細胞分裂後、前記NT胚が、二分割され、引き
    続き分割および発達し得る複数のNT細胞を生じる、請求項1に記載のプロセス
  15. 【請求項15】 前記ドナー細胞または核質体が、レシピエント細胞質体へ
    の移植の前に遺伝子改変に供される、請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記遺伝子改変が、前記ドナー細胞または核質体染色体成
    分へ1つ以上の核酸配列を挿入する工程を包含する、請求項15に記載のプロセ
    ス。
  17. 【請求項17】 前記遺伝子改変が、前記ドナー細胞または核質体染色体成
    分から1つ以上の核酸配列を欠失させる工程を包含する、請求項15に記載のプ
    ロセス。
  18. 【請求項18】 前記NT胚が遺伝子改変に供される、請求項14に記載の
    プロセス。
  19. 【請求項19】 前記1つ以上の核酸配列がヒトヘモグロビンをコードする
    請求項16に記載のプロセス。
  20. 【請求項20】 前記1つ以上の核酸配列が内因性ヘモグロビンをコードす
    る請求項17に記載のプロセス。
  21. 【請求項21】 前記遺伝子改変が、NT胚細胞染色体成分から1つ以上の
    核酸配列を欠失させる工程を包含する、請求項15に記載のプロセス。
  22. 【請求項22】 前記遺伝子改変が、NT胚細胞染色体成分へ1つ以上の核
    酸配列を挿入する工程を包含する、請求項15に記載のプロセス。
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