JP2002542485A - 気道炎症の存在及び重症度を評価するための方法及びテストキット - Google Patents

気道炎症の存在及び重症度を評価するための方法及びテストキット

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ペイヴィ マイシ,
ラス セパー,
カイウ プリク,
サーラ ラウロ,
サリ チカノヤ,
チモ ソルサ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は複雑な実験室設備及び熟練した実験人員がなくとも気道炎症のレベル及び重症度を容易かつ迅速に診断することを可能にする医師及び獣医師用の診断方法及びテストキットに関する。この方法及びテストキットは気道分泌サンプル中のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−RM)の量の偏りのない評価に基づいている。健康な人と比較した気道液中のMMPの量の増大は気道の炎症のレベル、重症度及び/又は組織破壊的活性相の信頼できる指標であり、また医学的治療の効果の追跡を可能にし、並びに感染、炎症及び例えば運動競技に参加する競技者にとっての環境的及び物理的ストレス要因と関連した合併症の危険性の予測を可能にする。例えば競技産業では多額のお金が関与しているので、野外条件で働いている獣医師にとってはあるウマが競技に参加することができるか否かを決定することができるということは重要である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の技術分野 本発明は気道における炎症の存在及び重症度を評価するための方法及びテスト
キットに関する。これらの方法及びキットは炎症性肺組織損傷のレベルを評価す
るために、合併症及び急性炎症が慢性的過程に変化する危険性を予測し予防する
ために、組織破壊を減少させるための治療モダリティーの効果を追跡するために
、及び適用された治療の効力を評価するために用いることができる。診断は肺の
全部及び/又は一部を表すヒト及び/又は動物の気道分泌サンプルを用いて迅速
かつ信頼できるチェアサイドアッセイとして行われることが好ましい。これらの
方法及びテストキットは一種以上の結合物質の使用に基づいており、これらの結
合物質は前記気道分泌サンプルから一種以上のマトリックスメタロプロテイナー
ゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−RM)(単独又は組み合わせ)を特
異的に認識することができる。
【0002】 発明の背景 気道は様々な汚染物質及び空気伝搬される粒子に日常的に暴露されている。こ
れらは呼吸系統の空気伝染病の始まり及び持続の原因であると考えられている。
タバコの煙に個体が暴露すると、喫煙者の気道中への損傷因子の流入が劇的に増
大する。気流制限を伴って生ずる肺疾病には気管支喘息、慢性閉塞肺疾病(CO
PD)、慢性気管支炎及び人間における気管支拡張症が含まれる。
【0003】 閉塞的徴候に加えて、前記肺疾病は気道及び肺組織における慢性炎症の様々な
レベルである共通の特徴とつながりがある。気道における慢性疾病及びすべての
炎症悪化は組織損傷をもたらし、そして結果として肺の構造的又は機能的健全さ
の維持を悪化させる。
【0004】 慢性閉塞肺疾病(COPD)、気管支喘息、気管支拡張症及び慢性気管支炎の
如き慢性炎症性の肺疾病は再発する炎症バーストによって特徴付けられており、
これは増大した粘液生産、上皮損傷及び気管支壁の収縮をもたらす。長く続く炎
症又はいくつかの炎症性バーストは最終的には繊維症及び呼吸系全体の永久的機
能不全をもたらす。代わりに肺炎症及び組織破壊はウイルス、細菌、微生物及び
/又は菌の感染から生じ得る。
【0005】 従来は人間における慢性呼吸疾病の診断は臨床テスト、放射線を用いた発見、
肺機能のテスト、痰又は上皮裏打ち液(ELF)の細胞学並びに気道からのバイ
オプシーの形態に基づいている。
【0006】 ウマの慢性閉塞肺疾病(COPD)の診断は、主に下部気道に関与する感染病
である他の疾病を除外すれば健康である動物における慢性咳又は苦しそうな呼吸
の存在に基づいている。ウマのCOPDにおいては総血球数は同時感染の不在下
においては正常のままである。COPDの初期段階においては下部気道の初期炎
症性変化を確認するためには気管支肺胞洗浄(BAL)によって得られる気道分
泌サンプルが必要である。BALにおける最も一般的な変化は好中球の出現であ
る。しかし、好中球と疾病の重症度及び疾病の予後の過程の間の相関関係は良好
すぎるとはいえない。炎症性細胞(例、好中球)は気管洗浄物又は気管吸引液か
ら炎症変化を検出するために用いられている。
【0007】 ウマのCOPDにおける呼吸機能不全は動脈血ガス分析によって評価すること
ができるが、この方法は高価な設備を必要とする。また胸腔内食道圧差測定によ
っても評価することができるが、この方法は特殊な装置を必要とする。動脈血ガ
ス及び胸腔内食道圧測定の如き肺機能テストにおける明白な変化は明白な臨床的
徴候が存在する場合しか検出されない。軽微な疾病は検出されない。肺のバイオ
プシーもウマのCOPDを診断するために用いられている。しかし、それはひど
い放血を引き起こす。従ってCOPDを診断するためにそれを用いることは日常
的には勧められない。
【0008】 アトロピンの投与の前後での肺機能テストはCOPDの可動性をテストするた
めに用いられているが、アトロピンはひどい副作用を引き起こす。従って診断目
的には勧められない(Lavoie, J.-P., In Current Therapy in Equine Medicine
, Ed. N. E. Robinson. Saunders Company, Philadelphia, Pennsylvania, USA,
pp. 426-437, 1997)。肺機能テストはヒトにおける肺全体の機能能力及び気道
から及び気道への空気の動き速度並びに化学物質の変化する量に対する気管支の
過反応性を測定するために用いられる。
【0009】 一般的に、肺機能テストにおける減少した値は多くの異なる多様な原因による
ものである。例えば気管支狭窄は気道筋肉痙縮、上皮肥大、痰閉塞、又は繊維症
損傷等により気道を狭める。しかし、肺機能テストは気道における炎症の存在及
び/又は重症度のいかなる指標も又は気道疾病過程における活性な進行中の組織
破壊相の指標も与えない。現在では肺における慢性炎症はコルチコステロイド治
療によって主にダウンレギュレートされる。近代肺病学における最も効果的で有
用かつ副作用が少ないステロイド治療法は測定量吸入器を用いることである。ス
テロイドを日常的に使用する目的は慢性肺炎症をカバーし慢性肺炎症の悪化を防
止することである。コルチコステロイドの如き炎症をダウンレギュレートする医
薬、特に吸入される医薬は慢性組織破壊肺疾病の治療及び予防の両方の目的のた
めに推奨される。というのは気道炎症はこれらの疾病を悪化させ進行させる主要
なかつ重要な理由であるということが示されているからである。
【0010】 感染により誘導される又は非感染的に発生する炎症は急性又は慢性呼吸疾病の
治療のための主要な標的となりつつあるので、前記肺炎症の存在及び重症度を評
価するための、及び肺疾病の進行中の組織破壊活性相を同定するための診断材料
及び道具についての要求が増大しており、ヒト及び動物の両方における肺疾病予
防、診断及び治療のための分野において深刻な要請がある。末梢血は循環してい
る媒介因子、特に細胞外タンパク質及びサイトカインを測定することによってこ
の目的のために用いられている。いくつかの媒介因子は尿から測定されている。
一般的に血清及び尿における循環炎症性媒介因子が慢性炎症肺疾病の活性及び/
又は不活性相を特異的に区別することができるのかどうかは不明であるし、どの
ようにして区別することができるのかについても不明である。
【0011】 最近、高張性塩水で誘導される痰からいくつかの炎症性媒介因子(例えばイン
ターロイキン)及び顆粒タンパク質(例えば細胞外タンパク質)を測定するため
のアッセイが導入されている。誘導された痰中に存在する炎症性細胞及び前記炎
症性細胞中の細胞マーカーの測定が有用であり得るということも示唆されている
。最後に、吐き出された空気の濃縮物からの反応性酸素種又はサイトカイン(H 、リューコトリエンス、吐き出されたNO及びIL−5)の如き炎症性媒
介因子は評価の対象となっている。
【0012】 喘息及び慢性気管支炎にかかっている患者の痰中のマトリックスメタロプロテ
イナーゼ(MMP)とマトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIM
P)の間の不均衡と気流制限の間の相関関係がVignola, A.M., 等によって示唆
されている(Am. J. Resp. Crit. Med., 158(6): 1945-1950, 1998)。MM−9
又は他のMMPの活性型が示されなかったという事実は彼らの患者の気道におけ
る進行中の活性及び組織破壊相の欠如を示しているようにみえる。肺結合及び柔
組織並びに基底膜の酵素的分解を伴う慢性肺疾病の活性及び組織破壊相は様々な
構造的及び機能的変化の原因であり、重度の機能的疾病及び/又は機能不全を伴
う肺炎症の構造の不可逆的変化の最も代表的な特徴である。肺柔結合組織及び基
底膜における損傷は肺における炎症の主要な合併症である。かかる炎症並びに組
織及び基底膜損傷は気管支拡張症、慢性閉塞肺疾病、喘息及び他の呼吸疾病の如
き多くの肺炎症疾病における病理学的変化に例えば寄与する。
【0013】 様々な哺乳類の疾病の組織及び基底膜破壊過程におけるMMP及びMMP−R
Mの重要な役割のため、活性破壊疾病過程の部位で病理学的に増大されて活性化
されたMMPを阻害及び/又はダウンレギュレートするためのMMP阻害剤の開
発にかなりの努力が集中されている。肺及び気道疾病の活性及び組織破壊相、及
び気道における炎症性及び組織破壊活性の重症度を評価して同定するための、並
びに肺疾病過程の進行中の活性相を同定するための方法及びテストキットの必要
性についてはほとんど注意が払われていない。また、薬物療法の効果は十分なテ
ストに基づく追跡を必要とする。今までのところ、気道における慢性的及び/又
は感染によって誘導された急性炎症の重症度及び活性組織破壊相を機械的作業に
よって決定して評価することを可能にする成功した迅速で信頼できるチェアサイ
ド方法及び/又はテストキットは開発されていない。
【0014】 しかし、肺疾病の開業医、獣医及び前記分野で働いている他の人々は彼らの日
々の仕事において多数の診断上の問題に遭遇しており、これに対して正確で迅速
で容易に利用できるチェアサイド又はベッドサイド方法及びオンフィールドテス
トキットが緊急に必要とされている。
【0015】 患者が病院の医師又は獣医師の診察室に、診療所に、個人の応接室に、又は動
物収容所にいる場合には、又は現地状況下にある場合には、肺の全部又は一部の
状況の臨床像を与える偏りのないテストシステムを用いて呼吸系における炎症の
重症度及び疾病活性の相を正確に評価することができることが望ましいだろう。
呼吸系の病気にかかった部分と健康な影響を受けていない呼吸系とを区別するこ
とができることが有利であり、慢性又は初期活性相機能的及び破壊的欠損が開始
する前に気道炎症性疾病又は感染の初期段階を検出することが特に重要である。
他の種類の薬物療法又は治療モダリティーを含む医療治療の効果を追跡すること
、即ち選択された治療法及び選択された医薬治療の量が有効で適切かどうか調べ
ることも望ましいであろう。炎症の重症度を示す偏りのないテスト結果は治療費
用の一層正確な予測をも可能にし、特に獣医学で扱う動物においては治療の経済
的採算性を選択することをも可能にする。
【0016】 環境汚染、特に大気汚染の増大のため、及びアレルゲンの発生の増大のため、
天然の攻撃又は個体(単数又は複数)の環境における他の気道刺激物質が気道に
おいて炎症を引き起こすかどうか決定するための、又はアレルゲン又は他の気道
刺激物質での実験的攻撃が気道における炎症を引き起こすかどうかを決定するた
めの容易なモニター及びスクリーニング方法及びそのためのツールに対する多大
な要請がある。更に、推測される攻撃、気道刺激、炎症性及び感染誘導及び/又
は感染の原因となる物質の除去が気道から疾病を除去するのかどうかを評価する
ことができることが有利であろう。感染、アレルギー又は他の刺激要因の場合は
アレルギーの結果を追跡すること、即ち感染性物質、食物又は他の環境変化の除
去も炎症反応及び気道からの応答を除去するのかどうか調査すること、及びアト
ピー性固体が例えばウマ、イヌ又はトリに対して耐えることができるかどうかを
評価することが望ましい。
【0017】 かび又は他の気道刺激又は炎症誘導物質で汚染された家はその家の住人及びそ
の家で働いている人々に対して刺激を引き起こす。かび又は他の気道刺激又は炎
症誘導物質で汚染された家がヒト及び動物にとって住むのに好適かどうか演繹す
る可能性は有利であろう。もし消毒前後の場所における住人の気道の反応を測定
することによって汚染物質の有害効果を評価することができれば特に有利であろ
う。
【0018】 医師又は獣医師にとっては動物収容所内の動物及び動物収容所で働いている人
々にとって動物収容所の好適さを決定することができることは重要である。これ
は小さい空気空間及び不十分な換気しか有しない収容所にとっては特に重要であ
る。現地状況で用いることができる方法及びツールは動物輸送用乗物及び動物の
ために用いられる施設における気道刺激又は炎症誘導状況についての標準の開発
を可能にし、及びその標準が追跡されるようコントロールすることを可能にする
であろう。それは不適当な状況によって引き起こされる損傷の評価をも可能にす
るであろう。
【0019】 現在では医師又は獣医師はある個人又は競走馬が物理的ストレスに暴露するこ
とができるかどうかを決定する必要がしばしばある。かかる状況ではその個人が
運動に参加することが許可されるかどうかを評価し、そして運動に参加した場合
の健康上の危険性を評価するための、及び競走又は競技用動物が軽度の気道炎症
にかかっているかどうかを評価するための偏りのない多かれ少なかれ科学的に信
頼できるツールを有することは有利であるだろう。
【0020】 上述したのはしばしば遭遇される問題のある状況のいくつかの非限定的例であ
る。これに対しては案内して確認する返答がしばしば緊急に必要とされているも
のの、適切な簡単な解決を今だに欠いている。上述の状況において評価するため
の効果的で迅速なオンフィールド、チェアサイド又はベッドサイド評価を行うた
めの合理的で容易に利用できるテストキット及び方法の欠如は医学及び獣医学専
門家にとっては深刻な障害である。
【0021】 呼吸疾病を診断するための従来方法は急性炎症が重度の慢性過程に変化して結
果として組織損傷をもたらす危険性を示すことについてはいずれも十分に満足で
きるものではない。肺機能テストはすべての種類及び相の肺疾病を検出すること
を可能にするわけではない。臨床上の観察は十分に信頼できるものではない。放
射線写真評価は詳細な臨床上の観察及び肺機能テストと組み合わせる必要がある
。気道からのバイオプシーの形態学的研究はあまりにも小さく局所的であるため
、肺の全部又は一部における状況の明確な臨床像を与えることができない。
【0022】 破損生成物に基づく診断も満足できるものではなかった。というのは破損生成
物の存在は迅速な代謝回転又はコラーゲンの合成を示しているかもしれず、必ず
しもその分解を示さないからである。炎症性媒介因子は研究されているが、十分
に迅速で特異的なテストは設計されていない。いくつかのホスト又は細菌/微生
物由来の酵素活性に基づくテストは開発されているが、それらは幅広い基質特異
性のため特異的ではない。
【0023】 結果として組織損傷を伴う重度の気道疾病は様々な炎症性媒介因子を生産する
ことが知られている好中球の如き特定細胞と関連している。これらのいくつかは
疾病活性の評価における生化学的/免疫学的マーカーとして示唆されている。
【0024】 マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−
RM)を含むタンパク質分解酵素、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ及びセリンプロ
テイナーゼの評価は気道炎症の存在及び重症度を評価するために示唆されている
。しかし、酵素の基質特異性の幅広さのため、示唆された方法のいずれも一種以
上のMMP及び/又はMMP−RMを十分に正確で特異的で迅速な方法で測定し
て気道炎症の重症度を診断するための信頼できるツールを提供することができな
い。酵素的方法は異なるMMP及び/又はMMP−RM活性を区別する能力に欠
ける。それ故、一種以上のMMP及び/又MMP−RMについて特異的な方法は
肺疾病活性に関連して組織破壊現象の過程を扱うのに最適であるだろう。本発明
者はウエスタンブロッティングの結果に基づき特定のコラゲナーゼ又はゼラチナ
ーゼと気道疾病の重症度の間の相関関係を示している。SDS−PAGE後ニト
ロセルロースに移され、ラベルされたポリクローナル抗体で免疫染色することに
より、特異的酵素が同定され、肺疾病の重症度との相関関係を示した。しかし、
これらの方法は手間がかかりすぎ時間もかかるので日常的な研究室での作業にお
いて用いることができない。更に、迅速なチェアサイドテストが電気泳動に基づ
いてなしうるとは考えにくい。
【0025】 従って、一種以上のMMP及び/又は関連分子(MMP−RM)の特異的測定
に基づく気道疾病の重症度を評価する方法については許容可能な方法は今までの
ところ開発されていない。コラゲナーゼを測定するための生化学的方法は多く存
在するが、それらのいずれも信頼できる迅速なチェアサイドテストを設計するの
に十分である(これは成功するテストキットのための先行条件である)とは証明
されていない。ウエスタンブロッティング、ELISA及び上述した他の方法の
如き免疫学的方法は高価な装置及び設備を必要とする。それらは時間がかかる上
、行いにくい。従ってそれらは信頼できる簡単で迅速なチェアサイドテストを提
供しない。
【0026】 上述の通り、MMP及び/又はMMP−RMは結合組織破壊と直接関連してお
り、進行性気道疾病の特異的で敏感な生化学的指標として役立つにちがいない。
気道分泌サンプルからポリクローナル抗MMP及び/又は抗MMP−RM抗体を
用いて行われたウエスタンブロットのデータは気道疾病の存在と重症度を最小の
偽陽性及び偽陰性結果を伴って示す。しかし、ポリクローナル抗MMP又はMM
P−RM抗体は十分特異的でない。それ故、MMP及び/又はMMP−RMを同
定する特異的なモノクローナル抗体を利用したテストが肺疾病の活性を決定する
ためには最適であり、上述した問題を克服するであろう。基質特異性の幅広さの
ため、酵素的決定は異なるMMP及び/又はMMP−RMを区別しない。従って
酵素的テストを用いることは好適でない。酵素的テストは時間がかかり、研究室
の設備を必要とする。歯周炎を診断するために開発されたゼラチンテストスティ
ックでさえも少なくとも半時間の目的達成時間を必要とする。
【0027】 本発明は免疫化学的方法及びテストキットを提供することによってこれらの問
題に対する解決を提供する。これらの方法及びテストキットは十分に特異的かつ
迅速であり、加えて同一サンプルからいくつかのMMP及び/又はMMP−RM
を連続的に又は同時に測定することができ、ヒト並びに動物の気道における炎症
性及び疾病活性状況の効果的で迅速な評価を可能にする。本発明の方法及びテス
トキットはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及びマトリックスメタ
ロプロテイナーゼ関連分子(MMP−RM)の潜在型と活性型の両方を含む総M
MP及び/又はMMP−RMの増大したレベルとして測定されるMMP及び/又
はMMP−RMと上記炎症性及び疾病活性状況の間に特に関連があるという事実
に基づいている。特にそれらの活性型は炎症レベル、炎症の重症度及び特に気道
における活性疾病相を反映している。
【0028】 また、いくつかの種類のMMP及び/又はMMP−RMは特定の呼吸疾病を評
価することについて他のものよりも一層特異的であること、及びヒト及び動物の
様々な呼吸疾病を診断する場合の特異性及び選択性にいくらか差異があるという
ことが示されている。従って本発明の目的は呼吸疾病の間に放出される潜在型及
び活性型MMP及び/又はMMP−RM分子のカスケードを同時に又は種類ごと
に評価し、特異的な診断目的のために最適かつ最も有効なMMP及び/又はMM
P−RMを選択する方法及びそのためのキットを提供することである。特に、テ
ストは前記疾病の活性相を診断することを目標とする。
【0029】 本発明は治療の種類及び必要な治療の効力(regimen)を評価するための極め
て有効な診断ツールを提供する。本発明の方法及びキットは気道炎症の重症度及
び疾病活性の相を評価するための診断ツールをも提供する。同時に前記方法及び
テストキットは追跡研究のための、及び治療、薬物療法又は治療モダリティーの
効力をモニターするための、並びに得られた薬物療法の用量−治療応答をモニタ
ーするための有効な手段を提供する。
【0030】 従って、本発明の目的は初期診断及び予防的治療のための方法及びテストキッ
トを含むシステム及びツールを提供すること;他の薬物療法を含む薬物療法の効
果及び治療の効力を追跡するためのシステム及びツールを提供すること;特に容
易で迅速なチェア又はベッドサイド診断のためのシステム及びツールを提供する
こと;前記肺疾病の活性組織破壊相を診断すること;主要な治療モダリティー及
び薬物療法のタイミング、用量及び効力を評価すること;慢性的機能変化を予防
するための気道炎症の初期診断を提供すること;呼吸系全体における又は呼吸系
の病気の部分における炎症のレベル及び疾病活性の相を評価すること;疾病にか
かっていない呼吸系又は呼吸系の疾病にかかっていない部分の健康を評価するこ
と;気道組織のどの部分が疾病にかかっているかを評価すること;薬物治療及び
薬物療法の効果を追跡すること、即ち選択された治療モダリティー又は治療法が
有効かどうかチェックすること;選択された薬物治療、薬物療法及び治療モダリ
ティーの用量が有効かどうか追跡すること;選択された医薬の用量が適切である
かどうか追跡すること;ある個人が運動をすることができるかどうかを評価する
方法を開発すること;アレルゲン又は他の気道刺激物質に対する実験的攻撃が気
道において炎症を引き起こすかどうか評価する方法を開発すること;個人の環境
における自然の攻撃が気道において炎症を引き起こすかどうか評価する方法を開
発すること;可能性のある攻撃物質(これは非感染源のもの又は感染源のもので
あることができる)の除去が気道から炎症を除去するかどうかを評価すること;
ある動物収容所がこの動物収容所の動物又はこの動物収容所で働く人々の気道に
とって好適であるかどうかを評価すること;かび又は他の気道刺激性又は炎症誘
導性物質で汚染された家がその家の住人に刺激を引き起こすかどうかを決定する
こと;気道刺激性又は炎症誘導性物質の除去が気道から炎症を除去するかどうか
をテストする方法を開発すること;気道を刺激する又は炎症を誘導する状況に動
物を保持する/保持したことによって引き起こされる重症度を評価すること;炎
症及び/又は疾病の徴候を表している競技者/競技用動物が競走又はゲームに参
加する能力を評価するための医師及び/又は獣医師用ツールを開発することであ
る。
【0031】 しかし特に本発明の主目的は一以上のテストストリップを用いて一種以上のM
MP及び/又はMMP−RMを同一サンプルから測定する及び/又は区別するこ
とができしかも容易に利用できるオンフィールド及び/又はチェアサイド又はベ
ッドサイドツールとして使用することができるテストキット及び免疫化学的方法
を提供することである。これらのテストキット及び方法は診察専門の医療又は獣
医学専門家が健康センター内の彼らの事務所、診療所及び病院で並びにオンフィ
ールドの獣医学的診断のために気道疾病の重症度、必要な治療、用量効果を診断
するために並びに様々な疾病を区別するために用いられる。最後に、このテスト
は例えば医師にかかっている喘息患者による自己診断用に用いることができる。
【0032】 発明の概要 本発明の方法及びテストキットの特徴は本発明の特許請求の範囲に規定される
通りである。
【0033】 図面の簡単な説明 図1は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者の誘導された痰のMMP
−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0034】 図2は健康なコントロールと比較した様々な度合いの喘息患者又は喘息が治療
された患者のBAL液のMMP−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の
図を示す。
【0035】 図3は健康なコントロールと比較した気管支炎患者及び慢性閉塞肺疾病(CO
PD)患者のBAL液のMMP−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の
図を示す。
【0036】 図4は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者の誘導された痰のMMP
−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0037】 図5は健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者の誘導された痰のMM
P−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0038】 図6は健康なコントロールと比較した治療前後の気管支喘息患者のBAL液の
MMP−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0039】 図7は健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者のBAL液のMMP−
8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0040】 図8はコントロールに対して気管支拡張症患者及び喘息患者で見られた、MM
P−8特異的モノクローナル抗体を利用したIFMAアッセイによって測定され
たMMP−8量の増大の図を示す。
【0041】 図9は陽性のMMP−8浸漬スティック結果がMMP−8 IFMA値の増大
と強く関連していることを示す。MMP−8浸漬スティック陽性被験者の大部分
は気管支拡張症又は喘息の活性相を有する。
【0042】 図10は健康なコントロールに対する気管支喘息患者、COPD患者及び気管
支拡張症患者のBAL液サンプルからIFMAによって得られた増大したMMP
−8濃度(μg/l)を示す。
【0043】 図11は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者及び気管支拡張症患者
の誘導された痰のMMP−13のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を
示す。
【0044】 図12は健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者の誘導された痰のM
MP−13のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【0045】 図13はMT1−MMP用の定量的ウエスタンブロッティングを用いて分析さ
れた誘導された痰サンプルから得られた結果の図を示す。気管支喘息患者からの
誘導された痰サンプルではMT1−MMP免疫反応性の増大が見出された。
【0046】 図14はNGAL用の定量的ウエスタンブロッティングを用いて分析された誘
導された痰サンプルから得られた結果を表す図を示す。
【0047】 図15は健康なウマ及びCOPDにかかっているウマにおけるTELFのゼラ
チン分解活性(平均+/−sd)を表す図を示す。すべての活性が有意に増大す
る。活性生成物はCOPDウマの気道分泌物のみにおいて検出される。
【0048】 図16はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
9量の濃度測定走査分析の図を示す。
【0049】 図17はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管洗浄液中のMMP−9量の濃度測定走査
分析の図を示す。
【0050】 図18は健康なウマ及びCOPDにかかっているウマの細胞不含有BAL液中
のMMP−9量を表す図を示す。
【0051】 図19はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
8量(平均±SD)を表す図を示す。
【0052】 図20はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
13量(平均±SD)を表す図を示す。
【0053】 発明の詳細な記述 定義 本発明において用いられる用語は人医学及び獣医学及び診断の分野において、
特にチェアサイド又はベッドサイド診断並びに免疫化学においてこれらの用語が
一般的に有する意味を有する。しかし、いくつかの用語はこの発明においてはい
くらか偏った又は広い意味で用いられる。従って不明瞭な意味の用語によって引
き起こされる不確実さを回避するため、この明細書及び特許請求の範囲において
用いられる用語のいくつかは以下でより詳細に規定される。
【0054】 用語「気道炎症」は様々な交替を意味する。これらは重度の肺疾病活性及び肺
組織破壊の開始及び/又は不可逆的に病んだ肺に導く疾病の開始の特徴であり、
重度の構造的及び機能的異常の両方にしばしば関連している。しかしこの用語は
アレルギー性又は感染性鼻炎を含む鼻の粘膜の炎症(鼻炎)をも含む。本発明に
おいては増大した又は高レベルのMMP及びMMP−RMが疾病の重症度と相関
関係にあり、特別な測定が必要であることを医師又は獣医師に示す。肺柔結合組
織及び基底膜に対する損傷及びこれらの組織破壊は炎症応答の主要な合併症であ
り、これはアレルゲンの攻撃又は他の刺激性又はアレルギー誘導物質、微生物、
細菌、ウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、原生動物、菌及び/又は寄生虫
感染(単独又は誘導性又は感染性物質に限定されないいかなる可能な組み合わせ
)によって誘導され得るか又は引き起こされ得る。かかる感染並びに炎症性肺組
織及び基底膜損傷は例えば気管支拡張症、のう胞性繊維症、慢性閉塞肺疾病、ア
レルギー性、微生物起因喘息及び呼吸疾病、症候群、肺気腫、及びHIV陽性肺
疾病の如き多くの肺炎症疾病における病理学的変化に寄与している。これらは肺
結合柔組織及び基底膜の酵素的分解と相関関係がある。肺の細胞外マトリックス
及び基底膜の組織破壊は前記肺疾病の活性相を反映している。
【0055】 本発明における用語「気道炎症」はその最も広い側面においては肺の疾病のみ
ならず鼻道膜の炎症をも含む。この用語は高度の危険性の気道損傷と関連した気
道の進行性の活性炎症性状態を意味する。前記状態は総MMP及び/又はMMP
−RMの増大した量又はレベル又は前記分子の高度の活性化に相関することがあ
り得、それらの濃度は健康な人からの気道分泌サンプル中に見出される濃度より
上である。
【0056】 用語「診断する」は本発明のテストキット又は方法を用いたMMP及び/又は
MMP−RMの決定、測定又は検出に基づいて気道における炎症の疾病活性の重
症度及び相を、記録された結果から判断すること、予測すること、又は評価する
ことを意味する。前記方法及びキットを用いた薬物治療の効力の評価、前記疾病
が進行する危険性の予測、並びに物理的ストレスの危険性の予測もこの用語に含
まれる。
【0057】 用語「気道分泌サンプル(RS)」は肺の全部又は一部を表す気道の上部又は
下部から採取されたサンプルを意味する。換言すれば、それは肺の特異的な小さ
い領域から得られるバイオプシーよりも肺全体における状況の一層描写的な臨床
像を与える。本発明における用語「サンプル採取」は気道又は鼻分泌サンプルを
得るための方法を意味する。気道分泌物(RS)は気管、気管支、細気管支及び
肺胞の上皮表面からの液状物質及び局所ムコイドを通常含み、及びそれらは気管
洗浄又は気管吸引によっても得ることができる。
【0058】 代表的な気道サンプルは例えば下部気管レベルから得られるものであり、標準
量の液体(例、塩水)を洗浄に用いることによる気管上皮裏打ち液(TELF)
を含む。いわゆる気管洗浄液(TFF)はTELF中の物質の量及び下部気管レ
ベルにおけるTELFの量の両方を表す。気道サンプルの典型的な代表例は痰又
は誘導された痰(IS)の如き咳による生成物である。これらは高張性塩水を吸
入した後、咳をして標準的な方法で気道サンプルを採取するという標準的な方法
によって得ることができる。気道サンプルの他の例は気管支肺胞洗浄液(BAL
F)である。これは気管支肺胞レベルから得られる気道サンプルであり、洗浄液
(生理塩水)を用いて気道表面の等しい対応する領域を標準容量で標準的手法で
洗浄することによって得られる。動物、特にウマでは滅菌塩水で洗浄することに
よって気管上皮裏打ち液(TELF)を得ることが最も好ましい採取方法である
【0059】 通常の文脈における用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP、マト
リキシン)」は20種以上の遺伝的に区別できるが構造的に関連したマトリック
スメタロプロテイナーゼのファミリーを意味する。これらのマトリックスメタロ
プロテイナーゼはほとんど全ての細胞外マトリックス(ECM)及び基底膜(B
M)成分、セリンプロテイナーゼ阻害剤(セルピンやプラスミノーゲン活性化因
子阻害剤の如き)、サイトカイン、細胞表面成分、接着分子、及び補体成分を分
解することができる。MMP−ファミリーメンバー及び/又はMMP−RMの数
は新しいメンバーが検出されるにつれて常に増大している。本発明は用語「MM
P」及び「MMP−RM」によってすべての存在する及び将来の新しいMMP−
ファミリーメンバー又はMMP−RMを包含する。前記のZn結合メタロエンド
ペプチダーゼ酵素は有意な構造的相同性及び類似性を有するプロテイナーゼのフ
ァミリーとして統合されるが、同一の酵素特性は有さない。それらの遺伝的に区
別されるしかし構造的に関連する一次構造(これらは一連のサブタイプ及びサブ
グループへのそれらの分類を可能にする)に加えて、前記プロテイナーゼはそれ
らの幅広く異なる基質特異性及びそれらの潜在型からのN末端ペプチドのタンパ
ク質分解的又は非タンパク質分解的除去による活性化に対するそれらの感受性に
よって特徴付けられる。MMPは分子サイズにおけるいかなる変化なしで活性化
することができる(Handbook of Proteolytic Enzymes, Eds, Barrett, A.J. Ra
wlings, N.D. & Wessner, J.F:, pp. 1-1696, Academic Press, 1998; Shapiro,
S.D., Curr. Opin. Cell Biol., 10(5):, 602-608, 1998)。
【0060】 用語「膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MT−MMP)」は従来の又
は細胞外MMPとは実質的に異なる最近発見されたマトリックスメタロプロテイ
ナーゼ又はMMPサブファミリーを意味する。MT−MMPは多くの点で他のM
MPとは異なる。それらの主要な部分はそれらの細胞表面結合に関するそれらの
膜通過ドメインによって説明される(Handbook of Proteolytic Enzymes, Eds,
Barrett, A.J. Rawlings, N.D. & Wessner, J.F:, pp. 1-1696, Academic Press
, 1998; Shapiro, S.D., Curr. Opin. Cell Biol., 10(5):, 602-608, 1998)。
MT−MMPは24アミノ酸の疎水性ドメインを含む。これらは付着、即ち細胞
膜への結合に寄与する。MT−MMPはコラーゲン及びゼラチンを攻撃すること
ができるが、MT−MMPは細胞表面に関連した活性化、特にプロMMP−2の
それにおいて付加的に重要である。
【0061】 用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ関連分子(MMP−RM)」はMM
Pに親密に関連して存在する分子をも含む。この例は好中球ゼラチナーゼ関連リ
ポカリン(NGAL)であり、これは92kDのゼラチナーゼB(MMP−9)
と関連した25kDのリポカリンを含む約120kDの複合体を形成する。
【0062】 用語「MMP及び/又はMMP−RM」はMMP及びMMP−RMのすべての
可能なスプライス変異体を包含する。かかるスプライス変異体はMMP−8につ
いて同定され特性決定されている(Hu, S-H., 等, FEBS Letters, 443: 8-10,
1998)。分泌シグナル配列が欠如しているので、MMP−8並びに他のMMP及
びMMP−RMのスプライス変異体はたぶん分泌タンパク質ではない。それにも
かかわらず、それらは肺組織破壊的疾病と関連した細胞死の間に気道分泌物の如
き体液中に放出されることができる。用語「MMP−RM」はそれらのセリンプ
ロテイナーゼ活性化因子の如き主要なMMP−調節タンパク質を更に包含する。
これらの例はエラスターゼ及びトリプシンである(Sorsa, T., 等,J. Biol. Ch
em., 272(34): 21067-21074, 1997)。本発明において記述される診断テストに
おいてはこれらの分子は単独で及び/又はすべての可能な組み合わせで用いるこ
とができる。
【0063】 他のプロテイナーゼ(セリンプロテイナーゼ、細菌プロテイナーゼ及び他のM
MP)による活性化に加えて、潜在型プロMMPは非タンパク質分解的手段によ
っても活性化されることができる。特に、酸化剤又は反応性酸素種は炎症性疾病
においてはin vivoで重要である(Saari, H., 等,Biochem. Biophys. Res. Com
mun., 171(3), 979-987, 1990)。プロMMPは自己活性化されることもできる
(Sorsa, T., 等,J. Biol. Chem., 272(34): 21067-21074, 1997; Westerlund,
U., 等,J. Dent. Res., 75(8): 1553-1563, 1996; Handbook of Proteolytic
Enzymes, Eds, Barrett, A.J., Rawlings, N.D. & Wessner, J.F, pp. 1-1696,
Academic Press, 1998; Shapiro, S.D., Curr. Opin. Cell Biol., 10(5): 602-
608, 1998)。プロMMP−活性化カスケードを最初に活性化することができる
因子を同定するために、トリプシン−2がプロMMPの活性化及び活性化カスケ
ードにおいて活性化したプロMMPを誘導することができるということが示され
ている(Sorsa, T., 等,J. Biol. Chem., 272(34): 21067-21074, 1997)。
【0064】 結局、「マトリックスメタロプロテイナーゼ」は本発明の最も広い側面におい
て通常の細胞外に放出される「マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)」
のみならず「膜結合マトリックスメタロプロテイナーゼ(MT−MMP)」及び
「マトリックスメタロプロテイナーゼ関連分子(MMP−RM)」(両方ともそ
れらの潜在型及び活性型で)並びに前記MMP、MT−MMP及びMMP−RM
を活性化し阻害することができる物質をも包含する。前記型のすべては本発明に
おいて用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ関連及び/又は関連分子(MM
P−RM)」によって包含される。
【0065】 本発明の最も好ましい実施態様においては用語「マトリックスメタロプロテイ
ナーゼ及び/又は関連分子」はとりわけMMP−2,MMP−8,MMP−9,
MMP−13,MMP−14(MT1−MMP)及び/又はNGALを、特にそ
れらの活性型で含む。
【0066】 用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(M
MP−MP)」は上で規定された分子のみならず様々な起源のそれらのアイソフ
ォーム(単独又はいかなる組み合わせ)をも含む。この用語はすべての掲示され
たMMP−RMをそれらの潜在型又は活性型で又は前記型のいかなる組み合わせ
で並びにそれらの断片化された、短くされた、誘導体化された及び/又は複合体
化された型並びにスプライス変異体を包含する。
【0067】 用語「アイソフォーム」は同一タンパク質の異なる型を意味し、これは異なる
源(例えば異なる動物種)から起源する。本発明においてはこの用語は断片、複
合体及びそれらの誘導体を含む。例えばメタロプロテイナーゼMMP−8の如き
活性コラゲナーゼはプロ酵素の開裂によって活性酵素を形成することによって作
り出される。様々な酵素的及び非酵素的反応、タンパク質分解及び非タンパク質
分解を含む様々な反応が活性酵素を作り出すことができる。これらの様々な反応
はプロ酵素を様々に開裂し、様々な分子種を作り出す。これらも用語「アイソフ
ォーム」のうちに包含される。しかし、MMPはそれらの分子サイズにおけるい
かなる変化なしに活性化され及び自己活性化することができる。
【0068】 いくつかのMMP及び/又はMMP−RMは他のものよりもよく呼吸疾病の重
症度と相関すること、及びいくつかのMMP及び/又はMMP−RMは動物より
もヒトに適用されたときによく相関するということが示されている。かくして、
本発明のより選択的及び/又は特異的実施態様を提供するために選択された診断
目的に最も良く相関するメンバーをMMP及び/又はMMP−RMのグループか
ら選択することが好都合である。例えば本発明はMMP−8はCOPD及び気管
支拡張症の重症度と極めて良く相関することを示している。MT1−MMPはヒ
トにおける気管支喘息の重症度と特に相関する。MMP−9は特にその活性型で
又は活性化を反映する断片として、ウマにおけるCOPDの重症度と良く相関す
る。
【0069】 気道液におけるMMP及び/又はMMP−RMの量は「結合物質」を用いて決
定される。この「結合物質」は結合タンパク質又はペプチド並びにマトリックス
メタロプロテイナーゼを認識する抗体(aMMP)及び/又は関連分子を認識す
る抗体(aMMP−RM)を含む。用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ及
び/又は関連分子を認識する結合物質(aMMP及び/又はaMMP−RM)」
はその最も幅広い側面において本発明の少なくとも一種以上のMMP−RM又は
その一部を特異的に認識して結合することができるいかなる物質をも意味する。
かかる物質は例えばMMP及び/又はMMP−RMに特異的に結合することがで
きるレセプター又は結合タンパク質又はペプチドであるが、とりわけそれらは一
種以上のMMP及び/又はMMP−RM(単独又はいかなる組み合わせ)を特異
的に認識することができる抗体を意味する。その抗体はポリクローナル及び/又
はモノクローナル抗体の両方並びにそれらの断片又は誘導体を含む。必要条件は
結合物質は少なくとも一種の上述のMMP及び/又はMMP−RM又は部分、例
えばそれらの活性部位又はエピトープ(単独又はいかなる組み合わせ)を特異的
に認識することができるということである。
【0070】 前記「aMMP」及び「aMMP−RM」は「抗原」として作用することがで
きるいかなるMMP及び/又はMMP−RM、それらのアイソフォーム並びにそ
れらの断片、誘導体及び複合体を用いて生産することができる。従って用語「a
MMP及び/又はaMMP−RM」はいかなる組成物又は材料、特に前記MMP
及び/又はMMP−RM組成物又は材料に対する特異的応答として誘発された抗
体を意味する。前記抗体はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を生産す
るための従来技術によって生産することができる。モノクローナル抗体を調製す
るための方法はハイブリドーマ技術を含む。抗体断片又は特異的結合ペプチドの
如き他の結合タンパク質はファージディスプレイ技術によって開発することがで
き、組み換えDNA技術によって生産することができる。これらの方法は全て当
該技術分野の当業者には周知であり、実験室の手引き書に記述されている。
【0071】 用語「免疫アッセイ」はMMP又はMMP−RMの如き物質を検出及び/又は
測定することができる方法又は手順を意味し、そこでは活性で特異的な試薬は前
記物質に特異的に結合することができる少なくとも一種の抗体を含む。免疫アッ
セイの周知の例は放射免疫アッセイ(RIA)、放射免疫測定アッセイ(IRM
A)、蛍光免疫測定アッセイ(IFMA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、酵素
連結免疫溶媒アッセイ(ELISA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、ルミネセ
ンス免疫アッセイ、免疫凝集アッセイ、比濁分析免疫アッセイ等である。これら
の方法は全て当該技術分野の当業者には周知であり、実験室の手引き書に記述さ
れている。免疫アッセイの基本的なタイプはとりわけ「サンドイッチアッセイ」
を含む。この用語は以下で規定する。
【0072】 用語「サンドイッチアッセイ」はサンプル中の抗原又は抗体の量を検出又は定
量することができる少なくとも2種の抗体を用いる免疫アッセイを意味する。こ
のアッセイにおいては抗原上の二つの異なる重複しない(競合しない)エピトー
プに結合することができる二つの異なる抗体が用いられる。以下に述べるように
様々なタイプの「サンドイッチアッセイ」が存在する。
【0073】 用語「側流(Lateral Flow)技術」は免疫クロマトグラフィーの原理を用いた
免疫アッセイを意味する。これは液体形態のサンプル又はテスト用液がテストス
トリップに沿って動くテストにとって一般的である。これとは対照的に「フロー
スルー(Flow Through)技術」ではテスト用液はテスト装置中の膜を通って流動
させられる。
【0074】 用語「フロースルー技術」はサンドイッチ技術にしばしば基づく免疫アッセイ
を意味する。サンプル又はテスト溶液を含む抗原はスポットとして適用され、装
置中の膜を通って拡散させられる。
【0075】 「チェアサイド又はベッドサイド並びにオンフィールドアッセイ」はいかなる
実験室設備を用いずとも及び熟練した実験室人員を必要とすることなしに行われ
る手順又はテストを意味する。「チェアサイドテスト」は患者が医師を訪問して
いる間に医師によって行うことができる。一方、「ベッドサイドアッセイ」は医
師が患者のベッドサイドに日常的に訪問している間に行うことができる。「オン
フィールドアッセイ」は例えば動物収容所における現場条件下で獣医師によって
行われるテストを意味する。またいわゆる「自己テスト」も含まれる。これは医
師と親密な協力にある患者が患者自身でテストを行うものである。「チェアサイ
ド又はベッドサイドアッセイ及びオンフィールドアッセイ」はテストストリップ
のような「固体支持体」上で行うことが好ましい。様々なMMP及び/又はMM
P−RMを同一スティック上で同時に検出することができる。
【0076】 本発明の一般的説明 従来、肺の機能的能力及び気道からの及び気道への空気の速度並びに化学物質
の増大量に対する気管支の過剰反応性を測定するためには肺機能テストが用いら
れてきた。気管支喘息及び慢性閉塞肺疾病(COPD)の如き初期閉塞性呼吸疾
病においては、炎症は肺機能の変化を進行させる。肺機能テストにおける値の減
少は気管支狭窄、つまり痰閉塞及び/又は上皮肥大による気道の狭窄によるもの
であることがあり得るが、気道における慢性的変化の徴候としての繊維損傷の結
果でもあり得る。しかし、肺機能テストは肺機能の悪化の間接的証拠を示すにす
ぎず、慢性的炎症過程の原因、段階及び重症度の直接的評価は与えない。それは
気道における炎症の存在又はレベルを測定しない。
【0077】 慢性的に病気の患者における活性で進行中の炎症の現状及び段階を予後するこ
とは常に医師及び獣医師のゴールであった。気道における感染性又は非感染性起
源の慢性炎症の開始の初期診断は、活性炎症と関連した閉塞徴候の開始又は悪化
を防止する可能性を与える。同時に、気道の疾病及び増大する大気汚染と関連す
る疾病においてみられるようなアレルギー発病率の増大は、気道の疾病と関連し
た健康リスクを評価するための方法及びツールに対する要請を作り出した。
【0078】 マトリックスメタプロテイナーゼ(MMP)は細胞外マトリックス(ECM)
、上皮、内皮及び基底膜(BM)の分解に、それらのタンパク質構成成分のほと
んど全てを開裂させることによって参加することが知られている(Handbook of
Proteolytic Enzymes. Eds Barrett, A.J., 等,pp. 1-1696, Acad. Press., 19
98)。呼吸疾病の病原におけるMMPの関与についての研究はMMPの病原的側
面に集中している。しかしながら、肺疾病の活性相の臨床診断におけるMMPの
利用は完全に未研究のままに滞まっている。生理的状況における再モデル化に参
加すること以外に病理学的に増大したレベルのMMPは肺炎症状況(例えば肺気
腫、気管支拡張症、喘息及び慢性閉塞肺疾病(COPD)、HIV感染に関連し
た肺疾病及び呼吸疾病並びにのう胞性繊維症)の間に組織破壊を引き起こすかも
しれない。病気の洗浄液、痰などの如きすべての液体サンプルにおいては、MM
Pが活性化された場合、実際の疾病過程は肺組織破壊に関して活性相にあるとい
うことが示されている。
【0079】 ウマにおいてはゼラチン分解性及びコラーゲン分解性であるが免疫反応性では
ないMMP活性が、COPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF
)において増大しかつ活性化されていることが示されている。これらのゼラチン
分解性及びコラーゲン分解性活性の基質特異的が幅広いため、どのゼラチン分解
性及びコラーゲン分解性活性が重度の気道炎症において増大しているかを同定す
ることは不可能であり、観察に基づいて正確かつ迅速で特異的なチェアサイドツ
ールを開発することは不可能であった。
【0080】 MMP及び/又はMMP−RM(単独又はいかなる組み合わせ)の量の増大は
感染源ありでの又は感染源なしでの炎症の存在を反映しているが、病理学的に増
大した度合いのMMPの活性化のみが活性相、つまり炎症部位で実際に進行しつ
つある組織破壊疾病過程と直接的に関連する証拠である。たとえタンパク質合成
及び細胞外及び細胞表面結合MMPの放出並びに身体の主要なMMP阻害剤(α
−2−マクログロブリン及びMMPの組織阻害剤(TIMP)の如き)による阻
害がMMPのレベルに影響しても、進行する肺組織破壊及びその活性相に関する
主要な制御ステップはマトリックスメタロプロテイナーゼの潜在的プロ型(プロ
MMP)単独及び/又はMMP−RM(いかなる組み合わせで)の活性化である
【0081】 MMP及び/又はMMP−RMの活性は主に炎症部位で通常増大することが見
出されているが、一般的な循環MMPレベルの増大は気道炎症過程の関連では検
出されていない。このことは気道サンプルを用いることの重要性を示唆する。そ
れ故、MMPは肺の全部又は一部を表す組織液(例えば上皮裏打ち液(ELF)
、気管支肺胞洗浄液(BALF)、誘導された痰(IS)及び痰)から測定され
る必要がある。
【0082】 肺の全部又は一部を表す気道分泌サンプル中のMMP及び/又はMMP−RM
レベルは様々な既知の方法によって評価されている。本発明者は健康な及び病気
のヒト及び動物からの肺の全部を表す気道分泌サンプル並びに部分的な肺サンプ
ル中の潜在型及び活性型MMP及び/又はMMP−RMのレベルをザイモグラフ
を用いた方法、IFMA及び特異的抗体を用いたウエスタンブロットによって推
定した。
【0083】 異なるMMP及び/又はMMP−RMもウエスタンブロッティングによって同
定されている。酵素、調製物のSDS−PAGE後、バンドはニトロセルロース
上に移され、前記MMP及び/又はMMP/MMP−RMに対して特異的なポリ
クローナル抗体を用いて染色することによって特徴付けられた(Lauhio, A., 等
,Clin Exp Immunol 1994, 98: 21-28; Sorsa, T., 等,Ann. N.Y. Acad. Sci.,
732:112-131, 1994; Westerlund, U., 等,J. Dent. Res., 75(8): 1553-1563,
1996)。このような方法を用いると疾病の重症度とMMP及び/又はMMP−
RMの病理学的に増大したレベルの活性化の度合いとの相関関係を示す特異的結
果が得られたが、前記方法は日常的に用いるにはあまりにも面倒で時間がかかる
。更に、いかなる種類のものであれ電気泳動に基づいた迅速なチェアサイドテス
トを開発することは現時点では不可能である。しかし、重度の呼吸炎症は獣医師
によって動物収容所内で診断されるべきであり、分子的に同定されるべきである
。それ故、適切な治療を適切な時に与えることを可能にするため並びに抗炎症、
抗組織破壊及び抗コラーゲン分解治療の効果をモニターするため、診断は肺組織
破壊を表す気道サンプルから炎症の度合い、及びその重症度及び疾病の活性相を
評価することを目標とすべきである。炎症レベルの測定に加えて、増大したMM
P及び/又はMMP−RMレベルは肺疾病の重症度と関連した組織破壊の度合い
、治療モダリティーを含む治療の結果、並びに疾病の予後についての情報を与え
るべきである。MMP及び/又はMMP−RMのレベルが高いほど、それは組織
破壊のレベルが大きいということを、及び一層用心深い予後、本発明で示される
ような有用な治療モダリティー及び薬物治療の選択が必要となるということを意
味する。特定治療法の効力は疾病の重症度及び実際の活性と関連している。
【0084】 常住性肺結合組織細胞(繊維芽細胞)及び気道裏打ち上皮及び腺細胞並びに浸
潤性炎症細胞(好中球単球、マクロファージ及び形質細胞)によって放出される
プロテアーゼは活性炎症性応答と関連した肺組織及び基底膜損傷及び破壊におい
て主要な役割を果たしていると示唆されている。少なくとも二つのクラスのプロ
テアーゼが炎症性肺組織損傷に関連していた。即ち、マトリックスメタロプロテ
イナーゼ(MMP、マトリキシン)及びセリンプロテイナーゼ(エラスターゼ、
トリプシン、キモトリプシン等)である。前記酵素群は様々なしかし部分的に重
複し並びに補完する基質特異性を示し、破壊活動のモードはカスケードを形成す
ると示唆されている。そこではセリンプロテイナーゼが初めに潜在型プロMMP
を活性化し(Sorsa, T., 等,J. Biol. Chem., 272(34): 21067-21074, 1997)
、in vivoの炎症の活性相の部位で触媒的に競合するようにさせる。
【0085】 MMP及び/又はMMP−RMの増大した触媒活性に導く活性化の量及び度合
いは炎症部位で主に増大するが、一般的な循環マトリックスメタロプロテイナー
ゼレベルの増大は気道炎症過程では検出できないという事実に基づき、本発明者
は肺の全部又は一部における状況を表す気道分泌サンプルからMMP及び/又は
MMP−RMを測定することができる方法及びテストキットを開発した。かかる
液体サンプルは上皮裏打ち液(ELF)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、誘導
された痰(IS)及び痰である。本発明者は痰、誘導された痰又は気管支肺胞洗
浄液(BAL)が材料の獲得の時点の気道の状況を表すのに用いることができる
ということを示すことができた。MMP及び/又はMMP−RMをテストするた
めにこれらの気道分泌材料を用いて、本発明者は気道制限疾病の重度の悪化を予
測することが可能であること、及び悪化の過程及び適用された治療の結果を追跡
することが可能であることを示すことができた。
【0086】 上述の通り、MMPは幅広く多岐にわたる基質特異的及び活性を有し、これら
はそれらの構造に加えて一連のサブタイプへのそれらの分類を可能にする。コラ
ゲナーゼは間質コラーゲンI、II及びIIIの三重ヘリックス領域を特異的に分解
する能力によって特徴付けられる間質コラゲナーゼ1(MMP−1)、好中球コ
ラゲナーゼ又はコラゲナーゼ2(MMP−8)及びコラゲナーゼ3(MMP−1
3)を含む。ゼラチナーゼはゼラチン及び生のタイプIVコラーゲン、エラスチン
及び他の基質を特異的に開裂する能力によって特徴付けられるゼラチナーゼA及
びB(それぞれ72kDのタイプIVコラゲナーゼ(MMP−2)及び92kDの
タイプIVコラゲナーゼ(MMP−9))を含む。ストロメリシン(MMP−3、
MMP−10及びMMP−11)はアグレカン、フィブロネクシン、ラミニン、
多数のコラーゲンタイプを含む様々な基質を特徴的に分解し、他の潜在型プロM
MPの活性化において、役割を果たす。MMPファミリーはコラゲナーゼ、ゼラ
チナーゼ及びストロメリシンサブファミリーには適合しない他のMMPをいくつ
か含む。マトリリシン(MMP−7;PUMP−1)は他のMMPファミリーメ
ンバーには共通するC末端ドメインを欠失しているという点で構造的に実質的に
異なる。メタロエラスターゼ(MMP−12)はエラスチンを分解するその能力
によって特徴付けられる。MMP−20(エナメリシン)はアメロゲニンを分解
することができ、歯の発育に関与していることが示されているが(Llano, E.,
等,Biochemistry, 36(49):15101-08, 1997)、がんの進行にも関与しているこ
とが示されている(Salo, T., 等,J. Dent. Res., 77:879, Abstr 1978, 1997
)。膜型MMPは細胞表面で単独に発現され、がん及び転移形成に特に関連して
いると従来考えられていた。前記MMP及び/又はMMP−RMは全て本発明の
範囲に組み入れられる。
【0087】 前記MMP及び/又はMMP−RMは様々な体の組織バリヤー及び膜を通って
細胞が侵入して移行する能力に本質的であるが、追加的にそれらは細胞外膜(E
CM)及び基底膜(BM)タンパク質構成成分に対する直接的分解作用によって
も特徴付けられる。加えて、MMPはセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)、
接着分子、細胞表面要素及びサイトキシン並びに前炎症性媒介因子及び補体成分
を分解して不活性化する。かくしてMMPは正常な再構築されつつある更新状況
においては低レベルで体細胞及び組織によって発現され合成されるが、異常な状
況(例えば炎症性の病気にかかった肺組織と関連する状況)においてはMMP及
び/又はMMP−RMは増大したMMP及び/又はMMP−RM活性化としばし
ば関連した病理学的に増大したレベルで発現される。これはカスケードで生じか
つ作用することができ、体自身の内在性抗プロテイナーゼシールドを克服する。
最後に述べた特徴は本発明においては特に例証され利用される。そこでは様々な
MMP及び/又はMMP−RMの発現レベルの増大は病気にかかった気道分泌サ
ンプルにおけるそれらの活性化の度合いの増大と通常関連しており、一方触媒的
に不競合の潜在的プロ型のMMP及び/又はMMP−RMの低レベルは持続的に
存在する。特にMMP及び/又はMMP−RMはそれらの潜在的プロ型からのN
末端プロペプチドのタンパク質分解的除去による活性化に対するそれらの感受性
によって他のプロテイナーゼとは区別される。活性化に加えてプロMMP、つま
り潜在的プロ型はそれらの細胞外調節において主要なステップである。MMPは
転写レベル、タンパク質合成及び放出レベルで更に調節される。特に、複合体化
された又は誘導体化されたMMP型(MMP−RM)、内在性阻害剤(即ちMM
Pの組織阻害剤(TIMP)及びα−2−マクログロブリン(α−2M)によっ
てトラップされた又は結合されたMMP型(MMP−RM)は疾病の部位でin v
ivo活性化されたMMP及び/又はMMP−RMを表す(Handbook of Proteolyt
ic Enzymes, Eds., Barrett, A.J. 等,pp. 1-1696, Academic Press, 1998)。
【0088】 異なる型のMT−MMPが細胞外炎症性体液中に発現されて放出されるのかど
うかは今までのところ明らかにされていなかった。本発明において初めて得られ
て記述された結果は活性な/活性化された型の可溶性MT1−MMPのレベルの
増大がヒトの気管支喘息のような肺疾病の誘導された咳/BAL液中に存在し、
活性MT1−MMP型は病気の咳中のみに生ずるということを示す。また、MM
P−2は同一サンプル中で活性化された。このことはヒトの気管支喘息の如き肺
疾病におけるこのMT1−MMP−MMP−2カスケードの潜在的な関与を示唆
する。
【0089】 肺疾病、肺炎症及び/又は肺組織破壊の活性相はMMP−2,MMP−8,M
MP−9,MMP−13,MMP−14及びNGALの如きMMP及び/又はM
MP−RMを記録することによって評価される。MMP−RM免疫反応性は気道
サンプル(RS)、TELF(気管気管支上皮裏打ち液)、BALF(気管支肺
胞洗浄液)、S(痰)及びIS(誘導された痰)から測定される。気管気管支上
皮裏打ち液(TELF)は内視鏡のバイオプシーチャネルを通して挿入されたカ
テーテルを通して吸引される。気管気管支洗浄液も内視鏡のバイオプシーチャネ
ルを通して挿入されたカテーテルを通してNaClで洗浄することによって得る
ことができるし、又は気管洗浄によって得られた気管気管支洗浄液として得るこ
とができる(Roberts, C.A., Equine Vet. Educ., 4: 266-268, 1992)。気管支
肺胞洗浄液(BALF)はファイバー内視鏡を用いることによって得られ(Baug
ham, R.P., Bronchoalveolar Lavage, Mosby Year Book, Inc., 1992)、及び誘
導された痰は高張性NaClの吸入によって得られる(Kips, J.C., 等,Eur. R
espir. J., Suppl.,26:9s-12s, 1998; Kips, J.C., 等,Eur. Respir. J., 11(3
):529-533, 1998)。気道呼気の空気濃縮物はしかるべくして得られる。
【0090】 かくして本発明においては合成されて続いて細胞外環境に放出されたマトリッ
クスメタロプロテイナーゼに加えて膜タイプのマトリックスメタプロテイナーゼ
(MT−MMP)(これは細胞表面及び/又は細胞膜に結合するのみであると従
来信じられていた)も実際にはヒトの気管支喘息及び気管支拡張症患者の気管支
肺胞洗浄液/誘導された痰上澄み中に見出されるということが初めて示された。
前記の増大したレベルのMT−MMPは病気の液体において活性化されもするが
、健康な液体細胞中に見出される低レベルは不活性のままである。かくして、本
発明によって明らかに示されたように、ヒトの気管支喘息患者の誘導された痰/
BAL液における及び肺液体サンプルにおける膜タイプのマトリックスメタロプ
ロテイナーゼ(MT−MMP)の増大されて活性化されたレベルは他のMMP及
び/又はMMP−RMと同様に診断テストにおいて単独で又はいかなる組み合わ
せで用いることができる。
【0091】 対応する観察がいわゆる「マトリックスメタロプロテイナーゼ関連分子」の代
表(即ち好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)であり、これは92k
DのゼラチナーゼB(MMP−9)と関連する25kDのリポカリンを含む約1
20kDの複合体を形成する)と関連して行われた。健康なコントロールに対す
るモノマー、マルチマー及び/又は断片化されたNGAL免疫反応性の増大した
レベルは気管支喘息及び気管支拡張症患者の誘導された痰の上澄み液中に観察さ
れた。従って、NGALの如きMMPに関連した及び/又はMMP調節分子(M
MP−RM)は本発明の診断的チェアサイドテスト装置において用いることがで
きる。
【0092】 マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−
RM)に対して誘導された抗体であってそれらを特異的に認識することができる
抗体がヒト及びウマから得られた気道分泌サンプルの免疫ブロット分析において
本発明者によって用いられた。示された結果は、それぞれの遺伝的に区別される
細胞外及び膜型メンバーのMMP及び/又はMMP−RMはそれらの活性型及び
/又は潜在型、スプライス変異体のみならず、それらの誘導体化され、複合体化
され、断片化され、トラップされ及び/又は短くされた形態でも、活性化された
MMP(これらはα−2−マクログロブリン(α−2M)、MMPでの組織阻害
剤(TIMP)及びNGALの如きそれらの阻害剤及び他の調節タンパク質に結
合及び/又はトラップされている)を反映することを明らかに示した。細胞外及
び膜型MMP及び関連分子の誘導体化され、断片化され及び/又は短くされた形
態並びにスプライス変異体も気道における重度の炎症及び組織破壊によって引き
起こされるMMP活性化及び/又はMMP活性化カスケードを反映する。RSサ
ンプルの如き体液中の細胞内スプライス変異体生成物の放出及び存在は肺の炎症
/疾病部位での細胞死を反映していることがあり得る。
【0093】 以下に掲げるMMP及び/又はMMP−RMを認識するポリクローナル及びモ
ノクローナル抗体の様々な代表例は本質的に既知の方法によって生産することが
できるが、これらは以下の供給源からも例えば商業的に入手することができる。
【0094】
【外1】
【0095】
【外2】
【0096】 本発明のモノクローナル抗体はKoehler及びMilsteinのオリジナル技術(Natur
e 256, 495, 1975)に従って生産された。MMP−8を特にその活性型で認識す
る前記抗体の生産方法は米国特許第5736341号に記載されている。これは
参考文献としてここに組み入れる。同様に、他のマトリックスメタロプロテイナ
ーゼ関連分子を認識するモノクローナル抗体は当該技術分野の当業者によって生
産されることができる。MMP−RMを認識する結合物質の代表例としてはNG
ALを認識する結合物質を挙げることができる。それらの検出及び生産方法は米
国特許第5866432号に記載されている。これも参考文献としてここに組み
入れる。
【0097】 抗体はMMP及び/又はMMP−RM(単独又は組み合わせ)の存在又は不在
を記録可能にすることができるラベル又はマーカー分子を所望により取り付けら
れることができる。様々なラベル、マーカー又はタグ又はいわゆるトレーサーが
抗体又はそれぞれの抗原との組み合わせで知られており、文献、実験室の手引き
書及び特許文献に記載されている。かかるラベル又はマーカーは例えば着色ラテ
ックス粒子、蛍光色素、リポソーム、金属コロイド等である。しかし、かかるラ
ベル及びマーカーは必ずしも用いる必要がないということに注意すべきである。
例えば比濁分析アッセイでは一種類のポリクローナル抗体のみが用いられ、これ
が抗原に結合するとサンプル溶液は混濁する。この混濁は反応中に形成した抗体
−抗原集合体によって生ずる。前記集合体は可視的に検出することができる。
【0098】 得られた結果及び利用可能な抗体に基づき、本発明者は炎症状況及び組織破壊
状況の有効かつ迅速で信頼できる評価を行うための、並びにヒト及び動物の気道
における疾病活性の相を同定するための新規の方法及びテストキットを開発した
。本発明の方法及びテストキットはMMPの活性化(これはMMP−2,MMP
−8,MMP−9,MMP−13,MMP−14,MT1−MMP及びNGAL
の如き総MMP、特にそれらの活性化型から例えば測定される)と気道における
炎症、組織破壊の重症度及び疾病活性の相との間に特に関連があるという事実に
基づいている。肺疾病の部位での細胞死はMMP及び/又はMMP−RMスプラ
イス変異体を分析することによって測定することができる。また、特定のMMP
及び/又はMMP−RM(単独又はいかなる組み合わせ)は他のものよりも特定
肺疾病を評価することにおいて一層特異的であること、及びヒトと動物では特異
性及び選択性においていくらか差異があることが示されている。従って、多数の
MMP及びMMP−RM(単独又は組み合わせ)を同一のテストストリップ上で
又は別々のテストストリップ上で同時に測定することができるキットを開発する
ことが有利である。好ましい実施態様においては、特定の診断目的にとって最も
好適又は有効であることが示されているMMP及び/又はMMP−RM(単独又
はいかなる組み合わせ)がテストキット用に選択された。
【0099】 実験で得られた様々な数値結果はテスト条件において結合物質又は抗体の様々
な組み合わせを使用したこと及び他の変化を反映している。しかし、活性MMP
及び/又はMMP−RMについて疾病の人と健康な人の間の比はほぼ同じであり
、定性的、半定量的又は定量的テストでさえも気道における疾病の重症度のチェ
アサイド又はベッドサイド評価用に開発することができるということに注意する
ことは重要である。結果は記録可能な結合反応を行うことができる基質を加える
ことによって直接的に又は間接的に装置によって又は可視的に記録することがで
きる。
【0100】 これらの発見は総、つまり潜在型及び活性型MMP又はMMP−RM(単独又
は組み合わせ)の両方を測定するモノクローナル抗体を用いる免疫クロマトグラ
フィーテストが呼吸疾病活性を診断するために十分満足できるということを示す
。本明細書に開示された発明は必要な治療の種類及び治療法の効力を正確に評価
するための高度に有効な診断ツールを提供する。本発明の方法及びキットは気道
炎症の重症度及び前記疾病に関連して感染及び/又は物理的ストレスによって生
ずる危険性を評価するための代替的なチェアサイド又はベッドサイド及びオンフ
ィールド診断ツールをも提供する。同時にその方法及びテストキットは治療法の
効力並びに得られた用量治療応答の研究を追跡するための有効なツールを提供す
る。
【0101】 これらの発見に基づき、気道における炎症のレベル及び/又は重症度並びに肺
組織破壊疾病過程の活性相を診断するための、及び薬物治療、他の治療モダリテ
ィー、他の薬物療法の効力を評価するための、及び/又は前記疾病が進行する危
険性を予測するための方法及びテストキットであって、検出が感染によって誘導
された又は誘導されていない気道分泌サンプルから一種以上のMMP及び/又は
MMP−RM、及び膜型MMP(MT−MMP)、MMP活性化因子(MMP−
RMに含まれる)及びMMP−又はMMP−RMスプライス変異体(単独及び/
又は組み合わせ)を特異的に測定することによる、気道分泌サンプルを用いる迅
速かつ信頼できる免疫学的チェアサイドアッセイとして行われる方法及びテスト
キットが開発された。
【0102】 MMPを測定するための本発明のテストキットの調製及び開発は米国特許第5
736341号に記載されており、これは参考文献としてここに組み入れる。た
とえ前記特許がMMP−8の活性部位を認識する結合物質の助けによって歯周病
を診断するためのテストキットの開発に制限されているとしても、当業者はその
情報を本発明のMMP−RMを測定するための対応するテストキットを開発する
ために使用できる。チェアサイド又はベッドサイドキットとして有用な及びオン
フィールドテストキットとして適用できる他の方法及びテストキットは以下に示
す特許公報の非限定的なリストに記載されている:US 5591645,US
5712170,US 5602040,US 5622871,US 56
56503,EP 149168,US 4552839,US 436153
7,US 4373932,WO 86/04683,EP 154749,E
P 7654,WO 86/03839,EP 191640,EP 2125
99,US 4552839,EP 158746,EP 225054。
【0103】 気道炎症の重症度を診断するために並びに疾病の進行及び医学治療の効果を縦
方向又は横方向にスクリーニングするためにいかなる免疫化学テスト方法も原則
として用いることができる。しかし、可視的な凝集、フロースルー及び免疫クロ
マトグラフィー方法が迅速なチェアサイド又はベッドサイドテストには最も適し
ている。いくつかの異なる抗体を別々のゾーンに含むテストスティック又はテス
トストリップを調製することが可能であり、それを用いていくつかのMMP及び
/又はMMP−RMを同時に検出することが可能である。
【0104】 本発明の特異的な実施態様では、医師又は獣医師は吸収性ストリップ又は対応
する固体支持体を内視鏡装置及び/又はカテーテルに配置することによって肺の
全部又は一部を表す気道分泌サンプルの標本を採取することができる。テストス
トリップは気道から液体を好ましくは標準化された時間の間吸収させられる。最
後に、浸漬スティックタイプのテスト装置はテスト装置中に直接吸収されたサン
プル源と接触して配置される吸収端を含むように設計されることができる。
【0105】 本発明の方法及びテストキットの実行可能性及び適用性は行われた実験及びそ
の結果を記述する以下の実施例において記述される。
【0106】 実施例1 ヒトにおけるサンプル採取方法 a.BALの実行及びBALF処理 BALは局所麻酔下で光ファイバー気管支鏡を介して行われた。五つの20m
lの0.9% NaClは37℃に温められ、分節気管支に注入され、直ちに各
量が吸引によって戻された。未処理の/未遠心分離のBALFから50μlがTr
ypanブルー染色のために用いられてBALF細胞のサーベイランスが評価された
。そして3mlが細胞遠心分離(cyto-centrifuge)調製のために用いられた。
残りのBALFは500gで15分間遠心分離され、上澄みは分離され、500
μlずつ−70℃で保存された。細胞ペレットは細胞遠心分離調製物として−7
0℃で保存された。
【0107】 b.誘導された痰 超音波噴霧器(そのレシーバーは100ml滅菌3%塩水で満たされた)が用
いられた。口をすすいだ後、痰の誘導は溶液を患者が5分間〜30分間吸入する
ことによって行われた。患者は彼らの痰サンプルを50mlの滅菌チューブに採
取した。このチューブはサンプル採取中氷上に保持されていた。誘導された材料
は次のようにして分離された:(i)等量のジチオトリエトール10%(Sputol
ysin; Behring Diagnostics Inc., Somerville, NY)がサンプルに添加され、溶
液は室温で15分間渦によって混合された。500gで20分間遠心分離した後
、上澄みは分離され、−70℃で保存された。細胞ペレットはPBS中に懸濁さ
れ、細胞遠心分離された。代わりに、以下のサンプル採取プロトコールも用いる
ことができる。痰サンプルの一部は50000gで4℃で60分間遠心分離され
、上澄みの分離相は少量ずつ−70℃で保存された。一方、細胞ペレットは上述
したのと同じ処理に供された。
【0108】 c.痰 気道からの天然の非強制的材料としての痰は口をすすいだ後患者が咳をするこ
とによって得られた。採取された痰サンプルは上述した誘導された痰と同様に処
理された。
【0109】 実施例2 ウマにおけるサンプル採取方法 気管上皮裏打ち液(TELF)は内視鏡のバイオプシーチャネルを通して挿入
されたカテーテルを用いて滅菌生理塩水(10ml)で気道の気管気管支壁を洗
浄することによって採取された(Raulo, S.M. 等,AJVR, 59(7): 818-823, 1998
)。下部気管における洗浄によって形成されたプールは完全に吸引された。血清
中及び気管洗浄液中の尿素濃度は平行的に分析され、塩水の希釈効果が修正され
た(Rennard, S.I., 等,J. Appl. Physiol., 60(2):532-538, 1986)。この方
法によって未希釈の気管上皮裏打ち液(TELF)中の活性及び濃度が測定でき
た。またそのままのTELFも代わりにカテーテル又は他のサンプリング装置を
用いて吸引された。
【0110】 気管洗浄液(TFF)はTELFと同様に洗浄することによって得られた。尿
素修正をしていない生の気管洗浄液が分析に用いられ、それは気道におけるTE
LFの量及びTELF中の酵素量の両方を表す。もし上述のサンプリング方法が
用いられると、60−90cmの下部気管床がサンプルされる。酵素的組織破
壊に対する気道上皮表面の特定領域の傾向はTELFの質(TELF中の分解酵
素の作用)及びTELFの量の両方に依存する。
【0111】 気管支肺胞洗浄液(BALF)は気道の鎮静及び局所麻酔下で2.5m長の内
視鏡を用いて採取された。内視鏡は気管支に入り込み、そして0.8cmの直径
の気管支から生ずる肺葉は300mlの滅菌塩水で洗浄された。細胞は遠心分離
によって分離され、上澄みが分析のために用いられた。細胞は懸濁され、臨床診
断のために細胞遠心分離された。
【0112】 実施例3 健康なコントロール及び病気の個体における誘導された痰(IS)中のMMP−
9の発現 誘導された痰(IS)サンプルは実施例1で上述した方法に従って採取され、
標準化された。MMP−9は健康なコントロール(n=14)及び気管支喘息の
患者(n=19)からウエスタンブロッティングによって同定され、定量された
(Sorsa, T., 等,Ann. N.Y. Acad. Sci., 732: 112-131, 1994; Westerlund, U
., 等,J. Dent. Res., 75(8): 1553-1563, 1996)。分子型の率は画像分析及び
処理システム(Bio-Rad Model GS-700)を用いて定量され、任意単位として表さ
れた。
【0113】 図1は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者の誘導された痰のMMP
−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。総MMP−9免疫反
応性の量の増大がコントロールと比較して重度及び軽度の喘息患者の痰において
みられる。喘息の痰においては病理学的に増大したMMP−9が一貫して活性化
されていることは注目に値する。
【0114】 実施例4 健康なコントロール及び病気の個体におけるBAL液中のMMP−9の発現 健康なコントロール(n=14)及び気管支喘息患者(n=45)、COPD
患者(n=23)及び気管支炎患者(n=48)の気管支肺胞洗浄液(BALF
)が上述の方法に従って得られた。MMP−9は実施例3に従ってウエスタンブ
ロッティングを用いて同定され定量された。分子型は画像分析及び処理システム
(Bio-Rad)を用いて定量され、任意単位として表わされた。
【0115】 図2及び3は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者、気管支炎患者及
び慢性閉塞肺疾病患者のBAL液のMMP−9のウエスタンブロットの濃度測定
走査分析の図を示す。総MMP−9免疫反応性の量の増大が喘息(図2)、気管
支炎及びCOPD(図3)のBALFにおいてみられる。病理学的に増大したM
MP−9が一貫して活性化されている。更に、コルチコステロイドを用いた喘息
治療が成功して病理学的に増大したMMP−9量を減少させ、その活性化度合い
は健康なコントロールにおいてみられる値に近い(図2)。
【0116】 実施例5 健康なコントロール及び病気の個体における誘導された痰(IS)中のMMP−
8の発現 誘導された痰(IS)サンプルは実施例1に従って採取された。MMP−8/
コラゲナーゼ2は健康なコントロール(n=14)から及び気管支喘息患者(n
=19)及び気管支拡張症患者(n=8)からウエスタンブロッティングによっ
て同定され定量された(Sorsa, T., 等,Ann. N.Y. Acad. Sc., 732: 112-131,
1994; Golub, L. M., 等,Infl. Res., 46(8): 310-329, 1997; Lauhio, A., 等
,Clin. Exp. Immunol., 98(1): 21-28, 1994)。分子型は画像分析及び処理シ
ステム(Bio-Rad)を用いて定量され、任意単位として表わされた。
【0117】 図4及び5は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者及び気管支拡張症
患者の誘導された痰のMMP−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図
を示す。MMP−8/コラゲナーゼ2の量の増大がコントロールと比較して喘息
患者(図4)及び気管支拡張症患者(図5)の痰でみられた。病理学的に増大し
たMMP−8が一貫して活性化されていることは注目に値する。
【0118】 実施例6 健康なコントロール及び病気の個体におけるBAL液中のMMP−8の発現 健康なコントロール(n=14)及び気管支喘息患者(n=45)及び気管支
拡張症患者(n=48)の気管支肺胞洗浄液(BALF)は実施例1に従って採
取され、実施例5に従って定量的ウエスタンブロットが行われた。
【0119】 図6及び7は健康なコントロールと比較した治療前後の気管支拡張症患者及び
気管支喘息患者のBAL液のMMP−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分
析の図を示す。MMP−8の量の増大がコントロールと比較して喘息患者(図6
)及び気管支拡張症患者(図7)のBALFで見られた。注目に値する病理学的
に増大したMMP−8は一貫して活性化され、コルチコステロイドを用いた喘息
治療が成功して病理学的に増大したMMP−8を減少させ、その活性化度合いは
健康なコントロールにおいてみられる値に近い。
【0120】 実施例7 免疫蛍光測定アッセイによるヒトMMP−8の測定 気管支喘息患者(n=16)、気管支拡張症患者(n=4)及び健康なコント
ロール(n=9)から実施例1に記述のようにして採取された誘導された痰サン
プル中のMMP−8の量はヒトMMP−8に対する二つのモノクローナル抗体8
706及び8708を用いる時間分析免疫蛍光測定アッセイ(IFMA)によっ
て分析された(Medix Biochemica, Kauniainen, Finland; Hanemaaijer, R., 等
,J. Biol. Chem., 272(50): 31504-31509, 1997)。8708はマクロティトレ
ーションウエル上に被覆され、ユーロピウムキレートでラベルされた8706(
Hemmilae, I., 等,Anal. Biochem., 137: 335-343, 1984)がトレーサーとして
用いられた。サンプル及びアッセイ緩衝液(20mM Tris−HCl、pH
7.5、0.5M NaCl、5mM CaCl、50nm ZnCl
び0.5%ウシ血清アルブミン)は被覆されたウェル中で1時間インキュベート
され、その後、ウェルは洗浄されてトレーサー抗体を含むアッセイ緩衝液100
μlを満たされた。更に1時間インキュベートした後、ウェルは洗浄され、10
0μlの強化溶液(Wallac, Turku, Finland)が各ウェルに添加された。蛍光は
5分後1234 Delfia Research Fluorometer (Wallac, Turku, Finland)を用い
て測定され、サンプルは標準の既知の濃度と比較された。MMP−8レベルはn
g/ml又はμg/lで表された。
【0121】 図8はコントロールに対して気管支拡張症患者及び喘息患者で見られた、MM
P−8特異的モノクローナル抗体を利用したIFMAアッセイによって測定され
たMMP−8量の増大の図を示す。
【0122】 IFMAによって健康なコントロールと比較して気管支拡張症患者及び喘息患
者の痰中に検出されたMMP−8の量の増大(実施例7中、及び図8に示される
)は実施例8において記述される浸漬スティックテストキットを用いて得られた
結果と比較された。
【0123】 実施例8 健康な個体及び病気の個体における誘導された痰中のMMP−8の陽性度を示す
浸漬スティック結果 誘導された痰(IS)サンプルは上述の方法に従って採取されて標準化された
。MMP−8/コラゲナーゼ2の増大したレベルの存在は健康なコントロール(
n=9)及び気管支喘息患者及び気管支拡張症患者から浸漬スティックテストに
よって決定された。
【0124】 浸漬スティックは以下のようにして調製された: ニトロセルロースストリップ(ストリップ1、約60×250mm)の狭い領
域がMMP−8に対するモノクローナル抗体(クローン8706、Oy Medix Bio
chemica Ab)で被覆された。着色されたラテックス粒子が別のMMP−8抗体(
クローン8708、Oy Medix Biochemica Ab)で被覆された。被覆されたラテッ
クス粒子は吸収性ポリエチレン材料のストリップ(ストリップ2、約60×30
0mm)の中央の領域に乾燥された。ラテックス粒子の直径は両方のストリップ
材料中の孔をそれらが自由に流れて通り抜けることができるほど十分小さかった
。二つのストリップは互いに接触するようにプラスチック裏打ち(約60×10
00mm)上に取り付けられた。これによりストリップ2の端が液体中に浸漬さ
れた場合にストリップ2からストリップ1へのサンプル液の毛細管流動が可能に
なる。過剰の液体を吸収するため、濾紙のパッドがストリップ2の反対側のスト
リップ1と接触して取り付けられた。構築された浸漬スティックは以下の指示に
従って迅速なMMP−8テストを行うために用いられた。
【0125】 免疫クロマトグラフィーMMP−8テストの実行: 1.サンプルは緩衝液(50mM HEPES、200mM NaCl、1m
M CaCl×2HO、0.1% アルブミン、pH 7.5)で1:10
に希釈された。
【0126】 2.浸漬スティックの一端(ストリップ2の端)がサンプル液中に浸漬され、
液の最前線がストリップ1に到達するまで放置され、そしてサンプルから除去さ
れた。
【0127】 3. 5分間のインキュベーション中、サンプルはストリップ中を移行し、ラ
テックス粒子は抗体被覆領域を越えて浸漬スティックの他の端まで液体と共に移
動した。
【0128】 4.ストリップ1が観察された。もし着色領域が形成されたなら、結果は陽性
として解釈された。検出限界は約40μg/lの希釈サンプル中のMMP−8で
あった。
【0129】 モノクローナル抗体ベースのMMP−8浸漬スティックテストによって得られ
たデータはMMP−8 IFMA分析と比較された;MMP−8の増大したレベ
ルはMMP−8浸漬スティック分析とよく相関していた(図9)。500μg/
lのMMP−8周辺のカットオフ領域がコントロールから活性肺疾病を区別する
ために調整された。陽性浸漬スティック結果は気管支拡張症及び気管支喘息と強
く/大部分関連していた。これらの患者は病理学的に増大したMMP−8 IF
MA値を有していた(図8)。
【0130】 実施例9 健康なコントロール及び病気の個体におけるBALF液サンプル中のMMP−8
の濃度 健康なコントロール(n=9)及び気管支喘息患者(n=26)、COPD患
者(n=17)及び気管支拡張症患者(n=9)の気管支肺胞洗浄液(BALF
)は実施例1に従って採取された。MMP−8/コラゲナーゼ2の濃度はIFM
Aによって測定された(実施例7参照)。
【0131】 図10は健康なコントロールに対する気管支喘息患者、COPD患者及び気管
支拡張症患者のBAL液サンプル中の増大したMMP−8濃度(μg/l)を示
す。
【0132】 実施例10 健康なコントロール及び病気の個体における誘導された痰(IS)中のMMP−
13の発現 誘導された痰(IS)サンプルは実施例1に記載されるようにして採取された
。MMP−13/コラゲナーゼ3は健康なコントロール(n=14)及び気管支
喘息患者(n=19)からウエスタンブロッティングによって同定され定量され
た(Golub, L. M., 等,Infl. Res., 46(8): 310-329, 1997)。分子型は画像分
析及び処理システム(Bio-Rad)を用いて定量され、任意単位として表わされた
【0133】 図11及び12は健康なコントロールと比較した気管支喘息患者及び気管支拡
張症患者の誘導された痰のMMP−13のウエスタンブロットの濃度測定走査分
析の図を示す。増大したMMP−13量は喘息患者から誘導された痰においてみ
られた。注目に値することに、病理学的に増大したMMP−13は一貫して活性
化されている。
【0134】 実施例11 誘導された痰からウエスタンブロッティングによって測定されたMT1−MMP 実施例1に記載されるようにして採取された誘導された痰サンプルはMT1−
MMPについて実施例3に記載されるように定量的ウエスタンブロッティングを
用いて分析された。増大したMT1−MMP免疫反応性は健康なコントロール(
n=6)と比較して気管支喘息患者(n=4)から誘導された痰サンプル中に示
されている。増大されたMT1−MMPの可溶型は喘息患者サンプルにおいて一
貫して活性化されていた。
【0135】 図13。誘導された痰サンプルは定量的ウエスタンブロッティングを用いてM
T1−MMPについて分析された。増大したMT1−MMP免疫反応性は健康な
コントロール(n=6)と比較して気管支喘息患者(n=4)から誘導された痰
サンプル中に存在した;増大したMT1−MMPの可溶型は喘息患者サンプルに
おいて一貫して活性化されていた。
【0136】 実施例12 誘導された痰からウエスタンブロッティングによって測定されたNGAL 実施例1に記載されるようにして採取された誘導された痰サンプルはNGAL
について実施例3に記載されるように定量的ウエスタンブロッティングを用いて
分析された。増大したNGAL免疫反応性は健康なコントロール(n=6)と比
較して気管支喘息患者(n=4)から誘導された痰サンプル中に見出された。
【0137】 図14。誘導された痰サンプルは定量的ウエスタンブロッティングを用いてN
GALについて分析された。増大したNAGL免疫反応性は健康なコントロール
(n=6)と比較して気管支喘息患者(n=4)から誘導された痰サンプル中に
存在していた。
【0138】 実施例13 COPDにかかっているウマにおけるTELF中のゼラチン分解活性 健康な個体及び病気の個体における気管上皮裏打ち液(TELF)中のゼラチ
ンザイモグラフィーによるゼラチン分解活性の発現。健康なウマ(n=15)及
びCOPDにかかっているウマ(n=17)の気道の気管気管支領域からの上皮
裏打ち液(TELF)は内視鏡のバイオプシーチャネルを通してカテーテルを用
いて洗浄することによって採取され、本発明者によって以前に用いられている方
法に従って調製された(Raulo, S.M., 等、A.V.J.R. 59(7): 818-823, 1998)。
【0139】 TELFは10mlの生理的滅菌塩水を用いて内視鏡の可視コントロール下で
洗浄することによって採取された。下部気管において洗浄することによって形成
されたプールは完全に吸引して戻された。血清中及び気管洗浄液中の尿素濃度は
平行して分析され、塩水の希釈効果が修正された(Rennard, S.I. 等、J. Appl.
Physiol., 60: 532-538, 1986)。この方法によって未希釈の上皮裏打ち液中の
ゼラチン分解活性が測定できた。ザイモグラフィーはゼラチンを基質として用い
ることによって行われた(Sepper, R., 等、Chest, 106(4):1129-1133, 1994)
。TELFサンプル(尿素方法によって評価されるように1:6希釈)は1mg
/mlのブタ皮膚ゼラチンを基質として含む8−10%架橋ゲルを用いてドデシ
ル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で分離
された(Sorsa, T., 等、J. Biol. Chem., 272: 21067-21074, 1997)。電気泳
動後、ゲルは洗浄されてSDSが除去され、その後Ca2+及びZn2+富化緩
衝液中で37℃で16時間インキュベートされた。インキュベート中、ゼラチン
はゼラチン分解酵素によって分解され、様々な分子量領域における分解はクーマ
シーブリリアントブルーを用いて可視化された。分解は青色の背景に対して明る
いバンドとして可視化された。分解のレベルは画像分析及び処理システム(Crea
m(商標), Kem-En-Tek, Copenhagen, Denmark)を用いて濃度測定的に定量され
た。各サンプルのゼラチン分解活性は同一電気泳動の標準の活性と比較された。
ゼラチン分解活性は同一電気泳動内の標準(ウマの好中球MMP−9)と比較し
て表され、濃度測定単位として表された。すべてのゼラチナーゼ活性は健康な及
び病気のウマと比較してCOPDにおいては有意に増大する。ゼラチナーゼ生成
物の活性型はCOPDウマの気道分泌物からの増大された量においてのみ検出さ
れる。
【0140】 図15は健康なウマ及びCOPDにかかっているウマにおけるTELFのゼラ
チン分解活性(平均+/−sd)を表す図を示す。すべての活性が有意に増大す
る。活性生成物はCOPDウマの気道分泌物のみにおいて検出される。複合体=
ゼラチン分解活性を有する複合化されたMMP−RM;プロ=プロMMP−9;
活性型=活性化されたゼラチン分解性MMP−9及び他の活性化されたゼラチン
分解MMP。
【0141】 実施例14 健康な個体及び病気の個体における気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
9の発現 気管上皮裏打ち液は実施例2で記載した方法に従って採取され標準化された。
MMP−9は健康なウマ(n=12)及びCOPDにかかっているウマ(n=1
3)のTELFからウエスタンブロティングによって同定され定量された(Sors
a, T., 等、J. Biol. Chem., 272(34): 21067-21074, 1997)。分子型の強度は
画像分析及び処理システム(Cream(商標), Kem-En-Tek, Copenhagen, Denmark
)を用いて濃度測定的に定量された。MMP−9の活性化を反映する活性化され
たMMP−9断片はCOPDにおいて検出されたのみである。総免疫反応性及び
MMP−9の全断片の免疫反応性はCOPDのTELFでは有意に増大する(p
<0.05−P<0.001)。活性化を反映する断片は最も有意に増大した。
【0142】 図16はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
9量の濃度測定走査分析の図を示す。複合体=MMP−9の複合体;プロ=プロ
MMP−9;活性型=活性なMMP−9;断片=活性化を反映するMMP−9の
断片。
【0143】 実施例15 健康なコントロール及び病気の個体における気管洗浄液(TFF)中のMMP−
9の発現 気管洗浄液は実施例2と同様にして採取された。生の気管洗浄液(TFF)は
下部気管床の60−90cmのRSの総プールを反映する。このTFFは肺の
気管支及び肺胞領域に由来する。肺疾病においては上皮裏打ち液の量は増大し、
かくしてオリジナルの洗浄液の酵素活性はTELF中の活性及び気道中のTEL
Fの量の両方を表す。酵素的分解に関する上皮表面の特定領域の傾向は質(TE
LF中の分解酵素の活性)及びTELFの量の両方に依存する。
【0144】 ウエスタンブロッティングによるMMP−9濃度は実施例14と同様にして同
一プロトコールを用いて評価された。健康なウマ及びCOPDにかかっているウ
マの結果は図17に示されている。活性化されたMMP−9量はCOPDにおい
て検出される。総免疫反応性及びMMP−9の全断片の免疫反応性はCOPDの
TFFにおいて有意に増大する(p<0.05−P<0.001)。
【0145】 図17はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの生の気管洗浄液中のMMP−9量の濃度測定
走査分析の図を示す。複合体=MMP−9の複合体;プロ=プロMMP−9;活
性型=活性なMMP−9;断片=活性化を反映するMMP−9の断片。
【0146】 実施例16 健康な個体及び病気の個体における気管支肺胞洗浄(BALF)液中のMMP−
9免疫反応性 気管支肺胞洗浄液は健康なウマ及びCOPDにかかっているウマからの気道の
鎮静及び局所麻酔下で2.5m長の内視鏡を用いて採取された。内視鏡は気管支
に入り込み、0.8cmの直径の気管支から生ずる肺葉は300mlの滅菌塩水
を用いて洗浄された。細胞は遠心分離によって分離され、上澄みのMMP−9免
疫反応性は実施例14に記載されるようにウエスタンブロティングによって測定
された。活性化されたMMP−9断片の総量(p<0.001)及び分離された
活性MMP−9免疫反応性断片(p<0.01)は健康なコントロールと比較す
るとCOPDにおいて有意に増大する。
【0147】 図18は健康なウマ及びCOPDにかかっているウマの細胞不含有BAL液中
のMMP−9量を表す図を示す。活性化されたMMP−9及びMMP−9の活性
化から生ずるMMP−9断片の総量は健康なコントロールと比較してCOPDで
増大する。
【0148】 実施例17 健康なコントロール及び病気の個体におけるTELF中のMMP−8の発現 気管上皮裏打ち液は実施例2に記載の方法に従って採取され標準化された。M
MP−8は健康なウマ(n=8)及びCOPDにかかっているウマ(n=11)
のTELFからウエスタンブロッティングによって同定され定量された(Golub,
L. M., 等、Infl. Res., 46(8): 310-329, 1997)。分子型の強度は画像分析及
び処理システム(Cream(商標), Kem-En-Tek, Copenhagen, Denmark)を用いて
定量された。繊維芽細胞型(p<0.001)及び多形核白血球型(p<0.0
5)MMP−8の両方において明らかな増大がウマCOPDのTELFにおいて
検出された。最も明らかな増大(p<0.001)はMMP断片又は分子量の小
さい種において検出された。最後の結果は繊維芽細胞及びPMN型MMP−8の
両方の活性化を反映する。
【0149】 図19はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
8量の(平均±SD)を表す図を示す。図中、プロPMN−8は多形核白血球型
MMP−8を示し;プロFB−8は繊維芽型MMP−8を示し、活性型FB−8
は活性型繊維芽型MMP−8を示し、断片はMMP−8の活性化による分解生成
物を意味する。ウマTELFにおけるMMP−8のプロ及び活性型の明らかな増
大は健康なコントロールと比較してCOPDについて検出可能であった。最も顕
著なものは健康なTELFと比較してCOPDのTELFにおけるMMP−8の
活性化から生ずる断片化生成物の増大であった。
【0150】 実施例18 健康な個体及び病気の個体におけるTELF中のMMP−13の発現 気管上皮裏打ち液は実施例2に記載の方法に従って採取され標準化された。M
MP−13は健康なウマ(n=9)及びCOPDにかかっているウマ(n=11
)からウエスタンブロッティングを用いて同定され定量された(Golub, L. M.,
等,Infl. Res., 46: 310-317, 1997)。分子型の強度は画像分析及び処理シス
テム(Cream(商標), Kem-En-Tek, Copenhagen, Denmark)を用いて定量された
。プロMMP−13(p<0.01)及びMMP−13の分解断片(p<0.0
5)の両方における明らかな増大が健康なTELFと比較してウマのCOPDの
TELFから検出された。
【0151】 図20はウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウ
マとCOPDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−
13量(平均±SD)を表す図を示す。図中、プロMMP−13はMMP−13
のプロ型であり、断片はMMP−13の活性化に関する/活性化を反映する分解
生成物を意味する。プロMMP−13における明らかな増大及びMMP−13の
活性化から生ずる活性化/断片化生成物における一層の増大が健康なTELFと
比較してCOPDのTELFにおいて検出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 健康なコントロールと比較した気管支喘息患者の誘導された痰のMMP−9の
ウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図2】 健康なコントロールと比較した様々な度合いの喘息患者又は喘息が治療された
患者のBAL液のMMP−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示
す。
【図3】 健康なコントロールと比較した気管支炎患者及び慢性閉塞肺疾病(COPD)
患者のBAL液のMMP−9のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示
す。
【図4】 健康なコントロールと比較した気管支喘息患者の誘導された痰のMMP−8の
ウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図5】 健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者の誘導された痰のMMP−8
のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図6】 健康なコントロールと比較した治療前後の気管支喘息患者のBAL液のMMP
−8のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図7】 健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者のBAL液のMMP−8のウ
エスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図8】 コントロールに対して気管支拡張症患者及び喘息患者で見られた、MMP−8
特異的モノクローナル抗体を利用したIFMAアッセイによって測定されたMM
P−8量の増大の図を示す。
【図9】 陽性のMMP−8浸漬スティック結果がMMP−8 IFMA値の増大と強く
関連していることを示す。
【図10】 健康なコントロールに対する気管支喘息患者、COPD患者及び気管支拡張症
患者のBAL液サンプルからIFMAによって得られた増大したMMP−8濃度
(μg/l)を示す。
【図11】 健康なコントロールと比較した気管支喘息患者及び気管支拡張症患者の誘導さ
れた痰のMMP−13のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図12】 健康なコントロールと比較した気管支拡張症患者の誘導された痰のMMP−1
3のウエスタンブロットの濃度測定走査分析の図を示す。
【図13】 MT1−MMP用の定量的ウエスタンブロッティングを用いて分析された誘導
された痰サンプルから得られた結果の図を示す。
【図14】 NGAL用の定量的ウエスタンブロッティングを用いて分析された誘導された
痰サンプルから得られた結果を表す図を示す。
【図15】 健康なウマ及びCOPDにかかっているウマにおけるTELFのゼラチン分解
活性(平均+/−sd)を表す図を示す。
【図16】 ウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウマとCO
PDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−9量の濃
度測定走査分析の図を示す。
【図17】 ウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウマとCO
PDにかかっているウマの気管洗浄液中のMMP−9量の濃度測定走査分析の図
を示す。
【図18】 健康なウマ及びCOPDにかかっているウマの細胞不含有BAL液中のMMP
−9量を表す図を示す。
【図19】 ウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウマとCO
PDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−8量(平
均±SD)を表す図を示す。
【図20】 ウエスタンブロットを走査することによって評価される通り健康なウマとCO
PDにかかっているウマの気管上皮裏打ち液(TELF)中のMMP−13量(
平均±SD)を表す図を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年7月11日(2001.7.11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項32】 MMP及び/又はMMP−RMが前記分子を特異的に認識
する結合物質を調製するために、及び免疫クロマトグラフィーテストストリップ
上での単一ステップで気道炎症の重症度を評価することを可能にするチェアサイ
ド又はベッドサイドテストキットを調製するために用いられる請求項29−31
記載の使用方法。
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月23日(2001.10.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 プリク, カイウ エストニア, 2400 タルト, ペートリ カツ 86/1 (72)発明者 ラウロ, サーラ フィンランド, エフアイエヌ−00170 ヘルシンキ, マウリンカツ 16 エー 10 (72)発明者 チカノヤ, サリ フィンランド, エフアイエヌ−00100 ヘルシンキ, ヴェイネモイセンカツ 29 ビー 24 (72)発明者 ソルサ, チモ フィンランド, エフアイエヌ−00200 ヘルシンキ, ラウネイスヴェイレ 17

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感染源ありでの又は感染源なしでの気道炎症の存在及び重症
    度及び肺組織損傷のレベルを評価するための、合併症の危険性を予測して予防す
    るための、急性炎症が慢性的過程に変化する危険性を予測するための、感染源あ
    りでの又は感染源なしでの組織破壊を減少させるための治療モダリティー及び薬
    物療法の効果を追跡するための、及び適用された治療の効力を評価するための方
    法であって、検出が以下のステップを含む免疫化学的アッセイとして行われる方
    法: a)肺の全部又は一部を表す気道分泌サンプルを得る; b)前記サンプルを、一種以上の潜在型及び/又は活性型マトリックスメタロ
    プロテイナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−RM)並びに活性化剤
    、スプライス変異体、阻害剤断片、誘導体、それらの複合体を単独で又は組み合
    わせで直接的又は間接的に認識することができる一種以上の結合物質と接触させ
    る; c)ステップb)の一種以上の結合物質(これらはMMP及び/又はMMP−
    RMの存在又は不在を記録することができるラベルを所望により付けられている
    )を用いて、一種以上の気道潜在型及び/又は活性型マトリックスメタロプロテ
    イナーゼ(MMP)及び/又は関連分子(MMP−RM)並びに断片、スプライ
    ス変異体、誘導体又はそれらの複合体の存在を単独で又は組み合わせで記録する
    ;及び d)ステップc)で記録されたMMP及び/又はMMP−RMが健康なコント
    ロールのヒト又は動物からのサンプル中の量よりも本質的に高い量で存在するか
    どうかを評価する。
  2. 【請求項2】 決定されるべきMMP及び/又はMMP−RMがマトリック
    スメタロプロテイナーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ、及びそれら
    の活性化剤、調節剤、スプライス変異体及び/又は阻害剤の如き気道分泌サンプ
    ル中に存在するマトリックスメタロプロテイナーゼ関連分子からなる群から選択
    される請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 決定されるべきMMP及び/又はMMP−RMが潜在型及び
    /又は活性型MMP−2,MMP−8,MMP−9,MMP−13,MMP−1
    4,MT1−MMP,NGAL、それらのアイソフォーム並びに断片、スプライ
    ス変異体、誘導体及び/又はそれらの複合体からなる群から選択される請求項1
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 MMP−RMが一種以上のマトリックスメタロプロテイナー
    ゼ及び/又は関連分子のそれらの潜在型での総量に基づいて決定される請求項1
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 潜在型及び/又は活性型MMP−RMが一種以上のMMP及
    び/又はMMP−RMのそれらの活性型での総量に基づいて決定される請求項1
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 ステップd)の評価が免疫クロマトグラフィーテストストリ
    ップ上での単一ステップのチェアサイド又はベッドサイドテストとして行われる
    請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1−5記載の方法を用いて気道炎症の存在及び重症度
    及び肺組織損傷のレベルを評価するための、合併症の危険性を予測して予防する
    ための、急性炎症が慢性的過程に変化する危険性を予測するための、感染源あり
    での又は感染源なしでの組織破壊を減少させるための治療モダリティー及び薬物
    療法の効果を追跡するための、及び適用された治療及び薬物療法の効力を評価す
    るためのテストキットであって、前記テストキットが肺の全部又は一部を表す気
    道分泌サンプルから一種以上の潜在型及び/又は活性型MMP及び/又はMMP
    −RM、それらのアイソフォーム並びに断片、スプライス変異体、誘導体又はそ
    れらの複合体を単独で又は組み合わせで特異的に認識することができる一種以上
    の結合物質並びに一種以上の所望の基質及び/又は担体を含むテストキット。
  8. 【請求項8】 結合物質が抗体であり、その抗体が気道分泌サンプル中に存
    在するマトリックスメタロプロテイナーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナ
    ーゼ、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ関連分子からなる群から選択され
    る潜在型及び/又は活性型MMP及び/又はMMP−RMを特異的に認識するこ
    とができる請求項7記載のテストキット。
  9. 【請求項9】 結合物質が抗体であり、その抗体がMMP−2,MMP−8
    ,MMP−9,MMP−13,MMP−14,(MT1−MMP)及びNGAL
    並びに、それらの活性化剤、スプライス変異体、調節剤及び/又は阻害剤、それ
    らのアイソフォーム並びに断片、誘導体及び/又はそれらの複合体からなる群か
    ら選択されるマトリックスメタロプロテイナーゼ及び/又は関連分子を特異的に
    認識することができる請求項7記載のテストキット。
  10. 【請求項10】 前記結合物質が結合ペプチド、ポリクローナル抗体、モノ
    クローナル抗体及び/又はポリクローナル又はモノクローナル抗体の断片である
    請求項7記載のテストキット。
  11. 【請求項11】 テストキットが少なくとも一種の潜在型及び/又は活性型
    MMP及び/又はMMP−RMを特異的に認識するモノクローナル抗体である第
    一結合物質に加えて少なくとも一種の第二結合物質を含み、その第二結合物質が
    最初に言及したMMP及び/又はMMP−RMとは異なる同一のMMP及び/又
    はMMP−RMの他の部分を認識する請求項7記載のテストキット。
  12. 【請求項12】 MMP及び/又はMMP−RMを特異的に認識することが
    できる結合物質の少なくとも一種がマーカーを与えられており、そのマーカーが
    MMP及び/又はMMP−RMの濃度が健康なコントロールからのサンプル中の
    濃度よりも上である場合にのみ陽性信号を与えるように適合されている請求項7
    記載のテストキット。
  13. 【請求項13】 テストキットが免疫クロマトグラフィーテストストリップ
    として構成されており、その上で記録及び評価がチェアサイド又はベッドサイド
    テストとして単一ステップで行うことができる請求項7記載のテストキット。
  14. 【請求項14】 気道炎症のレベル、重症度及び/又は疾病活性相を診断し
    、モニターし、及び/又はスクリーニングするための、薬物療法、治療モダリテ
    ィーの効果を追跡するための、前炎症性媒介因子、感染因子並びに生理的及び/
    又は環境的ストレス要因によって生ずる危険性を予測するための一種以上のMM
    P及び/又はMMP−RMを認識する結合物質の使用方法。
  15. 【請求項15】 気道炎症のレベル、重症度及び/又は疾病活性相を診断す
    るための、治療モダリティーの効果を追跡するための、前炎症性媒介因子、感染
    因子並びに生理的及び/又は環境的ストレス要因によって生ずる危険性を予測す
    るためのテストキットを製造するための一種以上のMMP及び/又はMMP−R
    Mを認識する結合物質の使用方法。
  16. 【請求項16】 気道炎症のレベル、重症度及び/又は疾病活性相を診断す
    るための、治療モダリティー及び薬物療法の効果を追跡するための、危険群個体
    に対する生理的ストレス及び/又は環境要因によって生ずる危険性を予測するた
    めのマーカーとしての一種以上のMMP及び/又はMMP−RMの使用方法。
  17. 【請求項17】 MMP及び/又はMMP−RMが前記分子を特異的に認識
    する結合物質を調製するために、及び免疫クロマトグラフィーテストストリップ
    上での単一ステップで気道炎症の重症度を評価することを可能にするチェアサイ
    ド又はベッドサイドテストキットを調製するために用いられる請求項14−16
    記載の使用方法。
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