JP2002540175A - 糖尿病及び肥満症の経口遺伝子治療 - Google Patents

糖尿病及び肥満症の経口遺伝子治療

Info

Publication number
JP2002540175A
JP2002540175A JP2000607670A JP2000607670A JP2002540175A JP 2002540175 A JP2002540175 A JP 2002540175A JP 2000607670 A JP2000607670 A JP 2000607670A JP 2000607670 A JP2000607670 A JP 2000607670A JP 2002540175 A JP2002540175 A JP 2002540175A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulin
promoter
cells
dnes
vector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000607670A
Other languages
English (en)
Inventor
ドウアリング,マシユー・ジエイ
Original Assignee
ドウアリング,マシユー・ジエイ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ドウアリング,マシユー・ジエイ filed Critical ドウアリング,マシユー・ジエイ
Publication of JP2002540175A publication Critical patent/JP2002540175A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • A61K48/005Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'active' part of the composition delivered, i.e. the nucleic acid delivered
    • A61K48/0058Nucleic acids adapted for tissue specific expression, e.g. having tissue specific promoters as part of a contruct
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/2264Obesity-gene products, e.g. leptin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/28Insulins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • A61K48/0075Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the delivery route, e.g. oral, subcutaneous
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/04Anorexiants; Antiobesity agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system
    • A61P5/48Drugs for disorders of the endocrine system of the pancreatic hormones
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Child & Adolescent Psychology (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、未成熟発現タンパク質を成熟タンパク質に転化すること及び発現タンパク質を体循環中に分泌することができる内分泌細胞を標的とする方法及び組成物を提供する。特に、本発明は、発現したインスリンを次に血液循環中に分泌することができる標的細胞にインスリンを発現するベクターを経口的に投与することにより糖尿病のような疾患を処置する方法及び組成物を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、一般に、代謝性疾患、特に糖尿病及び肥満症を処置する方法及び組
成物の分野である。
【0002】 インスリン依存性糖尿病(IDDM)は、インスリンが一般的に利用できること及び
集中的なインスリン治療が正常血糖を維持し合併症を著しく減らすことができる
という認識にもかかわらず、高い罹病率及び高い死亡率の両方をもたらす一般的
な疾患である。主要な制約は、正常血糖の維持が、血液グルコースをモニターし
、そしてインスリンの用量を適切に投与し且つ合わせるための規格化した方法を
必要とすることである。インスリンの使用は糖尿病の処置に大変革をもたらして
いるが、繰り返される注射の必要性、継続的なモニタリング及びその後の適切な
用量変更は、乏しい患者のコンプライアンス及び適当な24時間制御の欠如につな
がる。
【0003】 糖尿病の別の処置は島細胞移植を含むが、しかしながら、この方法は制約があ
る。詳細には、この移植は、いくらかの侵襲の外科的介入を必要とし、そして免
疫抑制治療を必要とする。さらに、島細胞移植からの結果は、一般に、期待はず
れである。他の方法は、免疫拒絶を回避することができる宿主細胞のエクスビボ
遺伝子治療を含む。エクスビボ遺伝子治療では、細胞が個体から採取され、そし
てこれらの細胞中に遺伝物質を挿入することにより遺伝子操作を受ける。遺伝子
的に操作した細胞は、それらが取り出された個体中に移植して戻される。遺伝物
質は次にインビボで発現される。この方法は、タンパク質の成功したインビボ発
現をもたらしているが、この方法もまた制約があり、例えば、遺伝子的に設計し
た細胞は、潜在的自己免疫疾患により標的とされるか、または制御されない細胞
分裂を受け、それにより腫瘍増殖を誘導するいずれかの可能性がある。
【0004】 糖尿病の処置のための遺伝子導入は、Leibiger et al. (1991) Biochem. Biop
hys. Res. Comm. 174: 1223-1231により記述されているようにカチオンリポソー
ム:DNA複合体を用いて示されている。他の研究は、発現プラスミド:カチオン
リポソーム複合体の静脈注射後の全身的遺伝子発現を示している(Zhu et al., (
1993) Science 261, 209-211)。しかしながら、これらの結果は、トランスフェ
クションの乏しい効率及び継時的な発現の減少を示す。Sugiyama et al.は、ラ
ットインスリンを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)を作製した(Sugiyama et al
. (1997) Horm. & Metab. Res. 29, 599-603)。これらの著者は、インビトロで
一次肝細胞におけるインスリン発現を示し、次いでこのベクターを糖尿病マウス
の肝臓中に直接注入によりインビボで導入できることをさらに示した。この研究
の結果は、5日で血漿グルコースの軽い低下を示した。しかしながら、これらの
結果は、ベクターストックの低い力価(<107/ml)によりもたらされる一時的な効
能、並びに直接的実質内注入後の肝損傷の例、及び低い導入効率を示した。
【0005】 従って、標的細胞が形質導入され、そして標的タンパク質の長期間の調節可能
な発現を与えるインビボ遺伝子治療法の必要性が存在する。
【0006】 発明の要約 本発明は、未成熟(immature)発現タンパク質を成熟タンパク質に転化すること
及び発現タンパク質を体循環中に分泌することができる内分泌細胞を標的とする
方法及び組成物に関する。本発明は、一つには、内分泌細胞、特に散在性(diffu
se)神経内分泌系(DNES)の細胞が、被験体に対する所望の治療効果を有するタン
パク質を発現する核酸分子を取り込むように改変することができるという発見に
基づく。本発明は、未成熟発現タンパク質を成熟タンパク質に転化することがで
きる内分泌細胞を標的とすることを特徴とする。
【0007】 特に、本発明は、所望のタンパク質を発現する核酸分子を取り込むように内分
泌細胞を改変することにより糖尿病及び肥満症のような疾患を処置する方法及び
組成物を特徴とする。発現タンパク質は、当該タンパク質の治療血液レベルを達
成するように体循環中に分泌され、それにより当該タンパク質を必要とする被験
体を処置することができる。形質転換した内分泌細胞は、特定のタンパク質の欠
損または誤調節と関連する疾患の長期間の治療効果を与える。
【0008】 本発明の一つの態様として、インスリンを発現する経口的に投与されるベクタ
ーは、発現したインスリンを次に血液循環中に分泌することができる細胞を標的
とするために用いることができる。より詳細には、腸の特定の細胞、例えばDNES
細胞のような、未成熟タンパク質を成熟タンパク質に転化することができる分泌
細胞を標的とすること。DNES細胞は、これらの細胞がプロインスリンをインスリ
ンに転化することができる酵素、例えば酵素コンバターゼを発現するために、プ
ロインスリンを成熟インスリンにプロセシングすることができる。次にインスリ
ンは門脈循環中に放出され、血液グルコースを下げることができる。
【0009】 本発明は、移植及びエクスビボ遺伝子導入技術の両方より優れたいくつかの利
点を有する直接的インビボ遺伝子治療法を提供する。詳細には、インビボ体細胞
遺伝子導入は、正常な構造を破壊せずに且つ外科的介入の必要性または拒絶を防
ぐための免疫抑制の必要性なしにヒトインスリン遺伝子を宿主細胞中に直接導入
するために用いることができる。継続的な低レベルの内因性インスリンは、血糖
制御の改善に寄与する可能性があり、そして糖尿病の合併症の発症を遅らせるか
または進行を遅くすることができる。さらに、糖尿病にかかっている被験体をケ
トアシドーシスから防ぐと考えられる。
【0010】 従って、本発明は、 未成熟タンパク質を成熟タンパク質に酵素的に転化することができ、そして成熟
タンパク質を細胞から体循環系に分泌することもできる組織を同定すること; 組織特異的プロモーター及び目的のタンパク質をコードする核酸を含んでなるウ
イルスベクターを組織に経口的に投与すること; 発現タンパク質が未成熟タンパク質である場合には、成熟タンパク質を細胞から
体循環系中に分泌する前に組織が未成熟タンパク質を成熟タンパク質に酵素的に
転化するような組織において目的のタンパク質を発現すること、 を含んでなる特定の組織におけるタンパク質の発現を誘導する方法を特徴とする
【0011】 一つの態様として、特定の組織は内分泌組織、例えば、散在性神経内分泌系(D
NES)細胞を含んでなる腸の内層(lining)及び内分泌組織である。目的のタンパク
質は、処置を必要とする疾患に基づいて選択することができる。疾患が糖尿病で
ある場合、目的のタンパク質はインスリンまたはプロインスリンである。
【0012】 一つの態様として、ウイルスベクターはアデノ随伴ベクター、パルボウイルス
ベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター及びレンチウイ
ルスベクターよりなる群から選択される。好ましい態様として、ウイルスベクタ
ーはアデノ随伴ベクターである。
【0013】 別の態様として、組織特異的プロモーターはインスリンプロモーター、グルコ
キナーゼプロモーター、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター、グルカゴンプロモ
ーター、伸長因子1アルファプロモーター及びラットインスリンプロモーターよ
りなる群から選択される。好ましい態様として、組織特異的プロモーターは伸長
因子1アルファプロモーターである。別の好ましい態様として、組織特異的プロ
モーターはラットインスリンプロモーターである。
【0014】 別の態様として、本発明は、インビボで内分泌組織中に核酸構築物を経口的に
投与すること、ここで、核酸構築物は、内分泌組織に特異的なプロモーターに操
作可能に連結された目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでな
る;及び 発現タンパク質が未成熟タンパク質である場合には、未成熟タンパク質を成熟タ
ンパク質に酵素的に転化することができる少なくとも一つの酵素を内分泌組織が
含んでなるような内分泌組織において目的のタンパク質を発現させること、ここ
で、内分泌組織は成熟タンパク質を体循環系中に分泌し、それにより目的のタン
パク質を体循環系中に送達する、 を含んでなる被験体の体循環系に目的のタンパク質を送達する方法を特徴とする
【0015】 好ましい態様として、核酸構築物を経口的に投与する工程は、核酸構築物を腸
に投与することを含んでなる。
【0016】 別の態様として、本発明は、 インビボでDNES細胞中に核酸構築物を経口的に投与すること、ここで、核酸構築
物は、DNES細胞に特異的なプロモーターに操作可能に連結されたインスリンをコ
ードするヌクレオチド配列を含んでなる; 治療的に有効な量の生物学的に活性のインスリンをDNES細胞において発現するこ
と;及び 発現したインスリンを体循環系中に分泌し、それにより糖尿病を処置すること、
を含んでなる糖尿病を処置する方法を特徴とする。
【0017】 別の態様として、本発明は、 インビボでDNES細胞中に核酸構築物を経口的に投与すること、ここで、核酸構築
物は、DNES細胞に特異的なプロモーターに操作可能に連結されたプロインスリン
をコードするヌクレオチド配列を含んでなる; 治療的に有効な量の生物学的に活性のプロインスリンをDNES細胞において発現す
ること; DNES細胞においてプロインスリンをインスリンに転化すること;及び インスリンを体循環系中に分泌し、それにより糖尿病を処置すること を含んでなる糖尿病を処置する方法を特徴とする。
【0018】 一つの態様として、インスリンはDNES細胞において少なくとも3ヶ月間発現さ
れる。別の態様として、インスリンはDNES細胞において少なくとも6ヶ月間発現
される。別の好ましい態様として、DNES細胞はコンバターゼ酵素を用いてプロイ
ンスリンをインスリンに転化する。
【0019】 別の態様として、本発明は、インビボでDNES細胞中に核酸構築物を経口的に投
与すること、ここで、核酸構築物は、グルコース応答プロモーターに操作可能に
連結されたインスリンをコードするヌクレオチド配列を含んでなる; 治療的に有効な量の生物学的に活性のインスリンをDNES細胞において発現するこ
と;及び 発現したインスリンを体循環系中に血液グルコースレベルを調節するために十分
な量で分泌すること を含んでなる被験体における血液グルコースレベルを調節する方法を特徴とする
【0020】 一つの態様として、グルコース応答プロモーターはインスリンプロモーター、
グルコキナーゼプロモーター、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター、グルカゴン
プロモーター及びラットインスリンプロモーターよりなる群から選択される。別
の態様として、血液グルコースレベルは正常な血液グルコースレベルまで減少さ
れる。さらに別の態様として、インスリンは高い血液グルコースレベルに応答し
て分泌される。
【0021】 別の態様として、本発明は、組織特異的プロモーター及びインスリンをコード
する核酸を含んでなる、DNES細胞におけるインスリンの発現のためのAAVウイル
スベクターを特徴とする。
【0022】 好ましい態様として、プロモーターはインスリンプロモーターである。
【0023】 本発明は、添付の図面と結びついて取り上げられる以下の詳細な記述からさら
に十分に理解される。
【0024】 発明の詳細な記述 本発明の実施は、他に示されない限り、当該技術分野の技術の範囲内のウイル
ス学、微生物学、分子生物学及び組換えDNA技術の常法を用いる。そのような技
術は文献において十分に説明されている(例えば、Sambrook, et al. Molecular
Cloning: A Laboratory Manual (現行版); DNA Cloning: A Practical Approac
h, Vol. I & II (D. Glover, ed.); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait, ed.
, 現行版); Nucleic Acid Hybridization (B. Hames & S. Higgins, eds., 現行
版); Transcription and Translation (B. Hames & S. Higgins, eds., 現行版)
; CRC Handbook of Parvoviruses, Vol. I & II (P. Tijessen, ed.); Fundamen
tal Virology, 第二版, Vol. I & II (B. N. Fields and D. M. Knipe, eds.)を
参照)。
【0025】 本発明がより明確に理解されるように、以下の用語を定義する: 「被験体」という用語は、本明細書において用いる場合、免疫応答が引き出さ
れるあらゆる生きている生物をさす。この被験体という用語には、ヒト、チンパ
ンジーのような非ヒト霊長類並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ヒツジ、ブタ
、ヤギ及びウマのような農場動物;イヌ及びネコのような飼いならされた哺乳類
;マウス、ラット及びモルモットのような齧歯類を包含する実験動物等が包含さ
れるが、これらに限定されるものではない。この用語は、特定の年齢または性別
を意味しない。従って、成体及び新生の被験体並びに胎児が、オスにせよメスに
せよ包含されるものとする。
【0026】 「体循環系」または「体循環」という用語は、本明細書において用いる場合、
この用語の当該技術分野で既知の使用をさす。体循環系は、体中に血液を輸送す
るように働く。体循環系は、抗原に対する抗体の生産をもたらす抗原を用いて免
疫応答を引き出すために用いることができる。これらの抗体は、体の全体にわた
って存在し、循環し続ける。
【0027】 「門脈循環」という用語は、本明細書において用いる場合、胃及び腸から肝臓
に血液を運ぶ大門脈における循環をさすこの用語の当該技術分野で認められてい
る使用をさす。
【0028】 「内分泌細胞」という用語は、本明細書において用いる場合、その中で発現さ
れたタンパク質を周囲の環境中に分泌することができる細胞をさす。内分泌細胞
の例は、DNES細胞、血管平滑筋、骨格平滑筋、心筋細胞、下垂体前葉細胞、腺下
垂体細胞、L細胞、K細胞及び神経分泌細胞を包含するがこれらに限定されるもの
ではない分泌細胞である。
【0029】 「調節配列」という用語は、当該技術分野で認められており、レシピエント細
胞におけるコーディング配列の複製、転写及び翻訳を集合的に規定する、プロモ
ーター、エンハンサー及び他の発現制御要素(例えばポリアデニル化シグナル)
、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製起点、内部リボソームエントリー部位
(internal ribosome entry sites)(「IRES」)、エンハンサー、エンハンサー配
列、後調節配列(post-regulatory sequences)、例えばウッドチャックB型肝炎後
調節要素(WPRE)等のような制御要素を包含するものとする。選択したコーディン
グ配列を適切な宿主細胞において複製し、転写し、翻訳することができる限り、
これらの調節配列の全てがいつも存在する必要があるわけではない。そのような
調節配列は当業者に既知であり、そしてGoeddel, Gene Expression Technology:
Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記述さ
れている。ウイルスベクターの設計は、トランスフェクションする宿主細胞の選
択及び/または発現するタンパク質の量のような因子により決まり得ることが理
解されるべきである。
【0030】 「プロモーター」という用語は、本明細書において用いる場合、調節配列を含
んでなるヌクレオチド領域の用語の当該技術分野で認められている使用をさし、
ここで、調節配列は、RNAポリメラーゼに結合すること及び下流の(3'の方向)コ
ーディング配列の転写を開始することができる遺伝子から得られる。
【0031】 「操作可能に連結された」という用語は、本明細書において用いる場合、成分
がそれらの通常の機能を果たすように設計されている要素の配置をさす。従って
、コーディング配列に操作可能に連結された制御要素は、コーディング配列の発
現をもたすことができる。制御要素は、それらがコーディング配列の発現を導く
ように機能する限り、コーディング配列と隣接する必要はない。例えば、介在す
る翻訳されないが転写されるものがプロモーター配列とコーディング配列の間に
存在することができ、プロモーター配列はそれでもなおコーディング配列に「操
作可能に連結された」とみなすことができる。
【0032】 「目的の核酸」という用語は、本明細書において用いる場合、目的の核酸によ
りコードされる産物の発現及び哺乳類被験体の血流中へのコードされる産物の送
達のために哺乳類被験体への投与が望ましいポリペプチドまたは他の分子をコー
ドするあらゆるDNAまたはRNA分子をさす。核酸は、一般に、プロモーターのよう
なその発現のために必要とされる他の配列に操作可能に連結される。
【0033】 「構築物」という用語は、本明細書において用いる場合、一般に目的の核酸に
よりコードされるポリペプチドの発現のためにプロモーターに操作可能に連結さ
れた、目的の核酸を含有する核酸分子をさす。「構築物」は、本明細書において
用いる場合、一般に、分泌腺細胞中に導入される核酸によりコードされるポリペ
プチドの発現を促進する核酸分子をさすものとする。
【0034】 「正常血糖」または「正常血糖状態」という用語は、本明細書において用いる
場合、特に高血糖と関連する疾病または症状を有する被験体における血液グルコ
ースのレベルに対して、正常またはほぼ正常である血液グルコースのレベルと関
連する状態をさす。ヒトにおいて、正常血糖は、70mg/dl〜130mg/dlの範囲の血
液グルコースレベルと相関関係にある。
【0035】 本発明は、以下の小節においてさらに詳細に記述される。
【0036】 I. 細胞及びインスリン分泌の調節 本発明は、内分泌細胞中にインスリンをコードする核酸を導入することによる
、糖尿病のような疾患の遺伝子治療の方法及び組成物を提供する。ヒトインスリ
ン遺伝子は、完全な生物活性のためにインスリンにプロセシングされなければな
らないプロインスリンをコードする。プロインスリンは、静脈内に投与した場合
に、ヒトにおけるグルコースの取り込み及び代謝に対して成熟インスリンの活性
の8%しかない(Bergenstal et al. (1984) J. Clin. Endocrinol. Metabol. 58:
973-979)。インスリンへのプロインスリンの転化は、膵臓β細胞及び他の神経内
分泌細胞において効率よく起こる(Seidah & Chretien, 1997)。インスリンへの
プロインスリンのプロセシングは、プロホルモンコンバターゼPC1/PC3及びPC2に
より行われ、これらは主に内分泌細胞において生産される独特なKex2ファミリー
エンドペプチダーゼである(Seidah & Chrietien, 1997)。
【0037】 従って、本発明は、内分泌細胞、特に、膵臓β細胞に類似している細胞中にイ
ンスリンをコードする核酸を導入することによる、糖尿病のような疾患の遺伝子
治療の方法及び組成物を提供する。膵臓β細胞において発現されるタンパク質は
、グルコースレベルに応答することができる。そのようなタンパク質の例には、
GLUT-2輸送体、グルコキナーゼ及びATP-感受性カリウムチャネルが包含されるが
、これらに限定されるものではない。遺伝子治療のために適当な細胞は、細胞外
グルコースの増加に応答してグルコース代謝を増やし、細胞外グルコースのこの
増加を細胞によるインスリン分泌に転化する分泌装置を有するものである。
【0038】 膵臓β細胞に加えて適当な細胞の例には、DNES細胞、血管平滑筋、骨格平滑筋
、心筋細胞、下垂体前葉細胞、腺下垂体細胞、L細胞、K細胞及び神経分泌細胞が
包含されるが、これらに限定されるものではない。神経分泌細胞、すなわち、ニ
ューロン、膵臓β細胞及び腺下垂体細胞、特にソマトトロフ(somatotrophs)は、
ホルモンまたは伝達物質を分泌し、そして/または放出する。腺下垂体細胞は、
膵臓β細胞に類似している薬理学的及び生物物理学的性質を有するので適当な細
胞である(Bernardi et al. (1993) 上記)。他の細胞には、膵臓β細胞と同様の
グルコース感知及びペプチド放出装置を有するL及びK細胞が包含される。遠位回
腸及び近位結腸のL細胞は、腸からの神経体液シグナル下で神経ペプチド、グル
カゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)及びグルカゴン様ペ
プチドアミドを放出する。血漿GLP-1濃度は、混合した食事の摂取後10〜15分以
内に2倍に増加する(Orskov et al, (1996) Scandinavian J. Gastroenterology
31, 665-670)。最近の研究は、ガストリックインヒビトリーペプチド(GIP)はき
わめて重要な内分泌物(incretin)であると思われるが、GIP及びGLP-1分泌の両方
が正常な被験体における3回の食事に応答して著しく増加することを示している
(Orskov et al. (1996) 上記)。これらの研究はまた、インスリン分泌がこれら
の神経ペプチドの増加に対応して増加することも示した。L細胞からのこれらの
内因性神経ペプチドの放出は、これらの細胞からの異所的に発現したインスリン
の分泌を刺激するために用いることができる。
【0039】 好ましい態様として、細胞は散在性神経内分泌系のものである。DNES細胞は、
腸ホルモン、ガストリン、コレシストキニン(CCK)、ガストリックインヒビトリ
ーペプチド(GIP)及びグルカゴン様ペプチド(GLP)を発現し、そして食物の摂取後
にこれらのペプチドは門脈循環中に分泌される(Orskov et al., (1996) 上記; L
imb et al., (1997) Pediatric Res. 41, 364-367; Ensinck & D'Alessio, (199
2) New Engl. J. Med. 326, 1352-1353)。DNES細胞はまた、グルコキナーゼ及び
ATP感受性カリウムチャネルも発現する(Mangel et al., (1994) Peptides 15, 1
565-1566)。さらに、DNES細胞は、プロインスリンをインスリンにプロセシング
することができ、そして経口的に投与した炭水化物に適切に応答することができ
る。
【0040】 ガストリン、CCK及びGIPは、食後期の初期に放出されるホルモンである。ガス
トリンは、腸において主にアミノ酸及びペプチドに応答して放出され、そしてCC
K放出は、脂肪及びタンパク質の混合した食事により誘導される。GIPは、十二指
腸及び空腸粘膜の絨毛及び上陰窩(upper crypts)の上皮に散在するK細胞から生
じ、そして主としてグルコース及び脂質に応答して放出される。インビボでGIP
は、炭水化物摂取後にインスリンの分泌を高める「内分泌物(incretin)」として
作用する(Limb et al., (1997) 上記)。
【0041】 内分泌細胞において生産されたインスリンを体循環中に分泌することができる
。好ましくは、インスリンは、消化の生成物と一緒に門脈循環中に分泌される。
【0042】 別の態様として、インスリンは、別のKex2ファミリーエンドペプチダーゼ、フ
リン(Fuller et al. (1989) Science 246: 482-486)を発現する繊維芽細胞、肝
細胞及び上皮細胞を包含するがこれらに限定されるものではない非内分泌細胞に
おいて発現される。インスリンへのプロインスリンのプロセシングは、内分泌細
胞に発現が限定される独特なKex2ファミリーエンドペプチダーゼであるプロホル
モンコンバターゼPC1/PC3及びPC2により行われる(Seidah et al. (1997) Curr.
Opin. Biotech. 8: 602-607)。フリンを発現するものを包含する非内分泌細胞を
用いることができる。フリンは、その切断のためにプロホルモンにより認識され
る特定の共通配列を有する。ヒトプロインスリンはこの共通配列を含有せず、従
って、フリンを発現する非PCI/PC3、非PC2発現細胞におけるプロインスリンの発
現はプロインスリンを効率よくプロセシングしない。一つの態様として、B鎖とC
ペプチドの間及びCペプチドとA鎖の間に遺伝子的に設計したフリンエンドプロテ
アーゼ切断部位を含有するヒトプロインスリンDNA構築物を用いる。改変した切
断部位によりインスリンを遍在するエンドプロテアーゼフリンでプロセシングす
ることができる。
【0043】 本発明はまた、特定の内分泌細胞において機能するプロモーターを含んでなる
ベクターを用いることによる内分泌細胞及び非内分泌細胞におけるインスリンの
調節放出の方法及び組成物も提供する。非内分泌細胞中にインスリンをコードす
る核酸を導入することは、典型的に、プロインスリンの生産及び放出を導く。プ
ロインスリンは、グルコースの取り込み及び代謝をもたらすことができるが、イ
ンスリン受容体に対してインスリンより低い親和性及びグルコース代謝に関して
12倍低い効能を有する。非内分泌細胞からのプロインスリンの放出は、血液グル
コース濃度の低い基礎の調節されていない制御を与える。血液グルコース濃度の
制御は、内分泌細胞により発現され分泌されるインスリンにより調節して高める
ことができる。従って、本発明は、非内分泌細胞及び内分泌細胞の両方を用いて
グルコース濃度を調節する方法を提供する。非内分泌細胞は、遅い安定した放出
反応速度論でプロインスリンを放出し、一方、内分泌細胞は、インスリンに転化
されるプロインスリンを発現し、そしてインスリンを体循環中に分泌し、血液グ
ルコース濃度を制御する二重の調節方法を提供する。
【0044】 本発明はまた、特定の分泌細胞において機能するプロモーターを含んでなるベ
クターを用いることによる分泌細胞におけるインスリンの調節放出の方法及び組
成物も提供する。一つの態様として、インスリン放出の調節は、腸組織、膵臓β
細胞、DNES細胞、血管平滑筋、骨格平滑筋、心筋細胞、下垂体前葉細胞、腺下垂
体細胞及び神経分泌細胞を包含するがこれらに限定されるものではない細胞及び
組織においてインスリンを発現することができるプロモーターにより導かれる。
適当なプロモーターには、インスリンプロモーター、グルコキナーゼプロモータ
ー、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター及びグルカゴンプロモーターが包含され
るが、これらに限定されるものではない。他の適当なプロモーターには、伸長因
子1アルファプロモーター及びラットインスリンプロモーターが包含される。
【0045】 別の態様として、インスリンの調節放出は、グルコースに応答する調節要素を
用いてインスリンをコードする核酸の転写制御により成し遂げられる。グルコキ
ナーゼ(Liang et al. (1994) Diabetes 43: 1138-1145)及びピルビン酸キナーゼ
のL-アイソフォーム、LPK(Ogier et al. (1987) Eur. J. Biochem. 166: 365-37
0); Cuif et al. (1997) FEBS Letters 417: 81-84)並びにインスリン自体(Good
ison et al. (1992) Biochem. J. 285: 563-568及びMelloul et al. (1993) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 90:3865-3869)を包含する、摂食またはグルコース投与で
アップレギュレーションされる多数の遺伝子がある。そのような遺伝子、例えば
グルコキナーゼ及びLPKから得られる調節要素は、遺伝子発現を調節するために
適している。例えば、細胞外グルコースレベルが正常より高い場合にインスリン
遺伝子の発現のスイッチを入れる、プロモーターのような調節要素。インスリン
をコードする核酸の転写調節は、摂食及び/またはインスリンの生産及び放出を
調節するグルコース応答性プロモーターを用いることにより成し遂げることがで
きる。
【0046】 調節要素の影響及びグルコースに対するそれらの影響を試験するために、イン
ビトロSTC-1モデルを用いることができる。STC-1細胞系は、「漏れやすい」イン
スリンプロモーターがSV40 T抗原に操作可能に連結されているトランスジェニッ
クマウスから得られ、そして腸STC-1細胞において発現されるものと同じ遺伝子
を含んでなる。このSTC-1細胞系はGIPも発現し、インビトロベクター特性化の適
当なモデルを提供する(Kieffer et al. (1995) Am. J. Physiol. 269: E316-322
)。
【0047】 II. ベクター及び送達系 目的の核酸の送達のためのベクターは、ウイルス、非ウイルスまたは生のDNA
のいずれかであることができる。一つの態様として、ベクターは、組換えアデノ
随伴ウイルス(AAV)のようなウイルスベクターである。ウイルスベクターは、送
達する核酸分子、標的とする細胞及び処置する疾患に基づいて選択される。例え
ば、糖尿病では、グルコース輸送体、グルコキナーゼ、プロホルモンコンバター
ゼ、アミリン及びATP感受性カリウムチャネルは考慮してもよい追加の遺伝子で
あるが、インスリン遺伝子が主要な遺伝子である。好ましい態様として、ヒトプ
ロインスリン(hIns)遺伝子をヒトインスリンの生産に用いる。hInsのDNAは約5kb
の長さであり、AAV粒子中に容易にパッケージングすることができる。
【0048】 AAVベクターは、転写開始領域、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド
配列及び転写終結領域を含む制御要素の操作可能に連結された成分を与えるため
に既知の技術を用いて構築することができる。制御要素は、標的細胞において機
能できるように選択される。操作可能に連結された成分を含有する得られた構築
物は、5'及び3'領域で機能性AAV ITR配列と隣接することができる。
【0049】 他のAAV血清型を本発明において用いることができるが、好ましいAAVは、Koti
n et al. (1994) Human Gene Therapy 5: 793-801; Berns "Parvoviridae and t
heir Replication" Fundamental Virology中, 第二版 (B. N. Fields and D. M.
Knipe, eds.)により記述されているようなAAV-2である。他のAAV血清型の例に
は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAVX7等が包含されるが、これらに限
定されるものではない。
【0050】 制御配列は、多くの場合、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイ
ルス及びシミアンウイルス40のようなウイルスから得られる一般的に用いられる
プロモーターから提供することができる。タンパク質の発現を導くためのウイル
ス調節要素の使用は、様々な宿主細胞におけるタンパク質の高レベルの構成的発
現を与えることができる。例えば、初期サイトメガロウイルスプロモーター(Bos
hart et al. (1985) Cell 41:521-530)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HS
V-TK)プロモーター(McKnight et al. (1984) Cell 37: 253-262)、β-アクチン
プロモーター(例えば、Ng et al. (1985) Mol. Cell Biol. 5: 2720-2732によ
り記述されているようなヒトβ-アクチンプロモーター)及びコロニー刺激因子-
1(CSF-1)プロモーター(Ladner et al. (1987) EMBO J. 6: 2693-2698)を包含す
る遍在的に発現するプロモーターもまた用いることができる。あるいはまた、組
織特異的プロモーターのような組織特異的調節要素を用いることができる。
【0051】 プロモーターは、食物及び炭水化物消費に対する調節放出を保有する特定の細
胞、例えば腸のL及びK細胞を標的とすることにより調節を成し遂げるために用い
ることができる。好ましい態様として、周囲のグルコースレベルに応答するプロ
モーター要素を用いる。好ましいプロモーターは、インスリンプロモーター自体
である。別のプロモーターには、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター、グルカゴ
ンプロモーター及びグルコキナーゼプロモーターが包含される。
【0052】 転写後調節要素(PRE)は、発現タンパク質の生産を増やすために用いることが
できる。PRE配列は、一般的に、逆転写により複製するウイルス、特にスプライ
シングされていない転写産物からタンパク質産物が翻訳されるウイルスに存在す
る。これらの配列は、スプライシングされていないウイルス転写産物の細胞核か
らそれらが発現される細胞質への輸送を調節する。PRE配列が同定されているウ
イルスの例には、ヒト及びネコ免疫不全ウイルス(HIV及びFIV)のようなレトロウ
イルス(例えばCullen et al. (1991) J. Virol. 65: 1053; 及びCullen et al.
(1991) Cell 58: 423-426を参照)及びB型肝炎ウイルス、例えばウッドチャック
転写後調節要素(例えばHuang et al. (1995) Molec. and Cell Biol. 15: 3864-
3869; Huang et al. (1994) J. Virol. 68: 3193-3199, Huang et al. (1993) M
olec. and Cell Biol. 13: 7476-7486を参照)が包含される。
【0053】 AAV粒子を生産するために、AAVベクターをトランスフェクションのような既知
の技術を用いて適当な宿主細胞中に導入する。多数のトランスフェクション技術
が、当該技術分野において一般的に既知である。例えば、Graham et al. (1973)
Virology, 52: 456, Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, a laborato
ry manual, Cold Spring Harbor Laboratories, N. Y., Davis et al. (1986) B
asic Methods in Molecular Biology, Elsevier, and Chu et al. (1981) Gene
13: 197を参照。特に適当なトランスフェクション法には、リン酸カルシウム共
沈殿(Graham et al. (1973) Virol. 52: 456-467)、培養細胞中への直接微量注
入(Capecchi (1980) Cell 22: 479-488)、電気穿孔(Shigekawa et al. (1988) B
ioTechniques 6: 742-751)、リポソームによる遺伝子導入(Mannino et al. (198
8) BioTechniques 6: 682-690)、脂質による形質導入(Felgner et al. (1987) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417)及び高速ミクロ発射体(microprojec
tiles)を用いる核酸送達(Klein et al. (1987) Nature 327: 70-73)が包含され
る。
【0054】 AAV粒子を生産するために適当な宿主細胞には、外来核酸分子のレシピエント
として用いることができるかまたは用いられている微生物、酵母細胞、昆虫細胞
及び哺乳類細胞が包含されるが、これらに限定されるものではない。従って、「
宿主細胞」は、本明細書において用いる場合、一般に、外来核酸分子でトランス
フェクションされている細胞をさす。宿主細胞には、細胞または細胞系が、発現
するタンパク質、選んだ選択系または用いる発酵系と不適合でない限り、あらゆ
る真核細胞または細胞系が包含される。限定しない例には、CHO dhfr-細胞(Urla
ub and Chasin (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216-4220)、293細胞(
Graham et al. (1977) J. Gen. Virol. 36: 59)またはSP2もしくはNS0のような
骨髄腫細胞(Galfre and Milstein (1981) Meth. Enzymol. 73(B): 3-46)が包含
される。
【0055】 一つの態様として、安定なヒト細胞系、293(例えば、受託番号ATCC CRL1573
でATCCを通じて容易に入手可能)からの細胞は、本発明の実施において好ましい
。特に、アデノウイルス5型DNAフラグメント(Graham et al. (1977) J. Gen. Vi
rol. 36: 59)で形質転換されており、そしてアデノウイルスE1a及びE1b遺伝子(A
iello et al. (1979) Virology 94: 460)を発現するヒト胚腎臓細胞系であるヒ
ト細胞系293。293細胞系は容易にトランスフェクションされ、そしてその中でAA
V粒子を生産するために特に都合のよい基盤を提供する。
【0056】 AAVベクターを含有する宿主細胞は、好ましくは、AAV ITRが隣接する外来核酸
分子を複製し包膜化してAAV粒子を生産するためにAAVヘルパー機能を与えること
ができるようにする。AAVヘルパー機能は、一般に、増殖性AAV複製のために次に
トランスに機能するAAV遺伝子産物を与えるために発現することができるAAV由来
のコーディング配列である。AAVヘルパー機能は、AAVベクターから欠けている必
要なAAV機能を補足するために本発明において用いられる。従って、AAVヘルパー
機能には、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、すなわち、rep及びc
apコーディング領域の一方もしくは両方、またはその機能性相同物が包含される
【0057】 「AAV repコーディング領域」という用語は、本明細書において用いる場合、
複製タンパク質Rep78、Rep68、Rep52及びRep40をコードするAAVゲノムの当該技
術分野で認められている領域をさす。これらのRep発現産物は、AAVのDNA複製起
点の認識、結合及びニッキング(nicking)、DNAヘリカーゼ活性及びAAV(または
他の外来)プロモーターからの転写の調節を包含する多数の機能を有することが
示されている。Rep発現産物は、AAVゲノムを複製するために集合的に必要とされ
る。AAV repコーディング領域の記述は、例えば、Muzyczka (1992) Current Top
ics in Microbiol. And Immunol. 158: 97-129;及びKotin (1994) Human Gene T
herapy 5: 793-801を参照。AAV repコーディング領域の適当な相同物には、AAV-
2 DNA複製をもたらすことも知られているヒトヘルペルウイルス(HHV-6)rep遺伝
子が包含される(Thomson et al. (1994) Virology 204: 304-311)。
【0058】 「AAV capコーディング領域」という用語は、本明細書において用いる場合、
キャプシドタンパク質VP1、VP2及びVP3またはその機能性相同物をコードするAAV
ゲノムの当該技術分野で認められている領域をさす。これらのcap発現産物は、
ウイルスゲノムをパッケージングするために集合的に必要とされるパッケージン
グ機能を供給する。AAV capコーディング領域の記述は、例えば、Muzyczka(上
記)を参照。AAVヘルパー機能は、AAVベクターのトランスフェクションの前また
はそれと同時に宿主細胞をAAVヘルパー構築物でトランスフェクションすること
により宿主細胞中に導入することができ、従って、AAVヘルパー構築物は、増殖
性AAV感染のために必要な欠けているAAV機能を補足するようにAAV rep及び/また
はcap遺伝子の少なくとも一時的な発現を与えるために用いられる。AAVヘルパー
構築物はAAV ITRを欠き、それら自体を複製することもパッケージングすること
もできない。
【0059】 これらのヘルパー構築物は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミ
ド、ウイルスまたはビリオンの形態であることができる。Rep及びCap発現産物の
両方をコードする一般的に用いられるプラスミドpAAV/Ad及びpIM29+45のような
多数のAAVヘルパー構築物が記述されている(例えば、Samulski et al. (1989) J
. Virol. 63: 3822-3828;及びMcCarty et al. (1991) J. Virol. 65: 2936-2945
を参照)。Rep及び/またはCap発現産物をコードする多数の他のベクターが記述さ
れている。例えば、米国特許第5,139,941号を参照。
【0060】 ヘルパーウイルスでの宿主細胞の感染の結果として、AAV Rep及び/またはCap
タンパク質が生産される。Repタンパク質は、AAVゲノムを二倍にするためにも働
く。発現したCapタンパク質はキャプシドに組み立てられ、そして組換えAAVゲノ
ムはキャプシド中にパッケージングされる。これはAAV複製をもたらし、そしてD
NAはAAV粒子中にパーケージングされる。組換えAAV複製の後に、CaCl勾配のよう
な様々な通常の精製方法を用いて宿主細胞からAAV粒子を精製することができる
。得られたAAV粒子は、次に様々な細胞タイプへのDNA送達のためにいつでも使用
することができる。
【0061】 別の態様として、本発明のベクターは、ウイルス核酸中に導入した核酸分子の
発現を与える、アデノ随伴ウイルス以外のウイルスであることができる。例えば
、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス及びレンチウイルスを用いること
ができる。組換えレトロウイルスを製造するプロトコル及びそのようなウイルス
をインビトロまたはインビボで細胞に感染させるプロトコルは、Current Protoc
ols in Molecular Biology, Ausubel et al. (eds.) Greene Publishing Associ
ates, (1989), 9. 10-9. 14節及び他の標準的な実験マニュアルに見出すことが
できる。適当なレトロウイルスの例には、当業者に周知であるpLJ、pZIP、 pWE
及びpEMが包含される。アデノウイルスのゲノムは、それが目的のタンパク質を
コードし発現するが、通常の溶解(lytic)ウイルス生活環において複製するそ
の能力の点で不活性化されるように操作することができる。例えば、Berkner et
al. (1988) BioTechniques 6:616; Rosenfeld et al. (1991) Science 252:431
-434;及びRosenfeld et al. (1992) Cell 68:143-155を参照。アデノウイルス株
Ad 5型dl324またはアデノウイルスの他の株(例えばAd2、Ad3、Ad7等)に由来す
る適当なアデノウイルスベクターは当業者に周知である。
【0062】 送達系には、ベクターのインビトロ、インビボ及びエクスビボ送達の方法が包
含される。一般に、ベクターは、経口投与により、好ましくは口腔胃(orogastri
c)を用いて腸に送達することができ、従って、門脈内静脈注入または遺伝子的に
改変した細胞の移植または直接実質内注入のいずれかによる侵襲アクセスの問題
を除く。インビボ送達には、ベクターを製薬学的に許容しうる担体中で被験体に
投与することができる。「製薬学的に許容しうる担体」という用語は、本明細書
において用いる場合、本発明のベクターのインビボ投与のためのあらゆる生理学
的に許容しうる担体をさす。そのような担体は、組成物を与えられた個体に有害
な免疫応答を誘導せず、そしてIII節において説明される。一つの態様として、
ベクターは特定の部位、例えば腸組織及びDNES細胞に局所的に送達することがで
きる。好ましい態様として、ベクターは口腔胃チューブを用いて腸に経口的に送
達される。
【0063】 別の態様として、所望のタンパク質、例えばインスリンをコードする核酸は、
非ウイルス送達系を用いて送達することができる。これには、例えば、高分子複
合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、並びに水中油滴型エマルジョン
、ミセル、混合ミセル及びリポソームを包含する脂質に基づく系を含むコロイド
分散系における標的組織への所望のタンパク質をコードする核酸の送達が包含さ
れる。
【0064】 例えば、糖尿病のための遺伝子導入は、カチオンリポソーム:DNA複合体を用
いて示されている。Leibiger et al. (1991)は、リポソーム被包化DNAを用いて
インビボで肝細胞中に遺伝子を直接導入した(Leibiger et al. (1991) 上記を参
照)。他の研究は、発現プラスミド:カチオンリポソーム複合体の静脈注射後の
全身的遺伝子発現を示している(Zhu et al., (1993) Science 261, 209-211)。
【0065】 リポソームは、インビトロ及びインビボで送達媒体として有用な人工膜小胞で
ある。リポソームが効率のよい遺伝子導入媒体であるためには、以下の特性が存
在すべきである:(1)生物学的活性を弱めずに高い効率での遺伝物質の被包化;(
2)非標的細胞に比較して標的細胞への優先的且つ実質的結合;(3)高い効率での
標的細胞細胞質への小胞の水性内容物の送達;及び(4)遺伝情報の正確で且つ有
効な発現(Mannino et al. (1988) Biotechniques, 6: 682)。適当な脂質リポソ
ーム生成の例には、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホス
ファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミンのようなホスファチジル化
合物、スフィンゴ脂質、セレブロシド及びガングリオシドが包含される。脂質の
さらなる例には、ポリリシン、プロタミン、硫酸塩及び3β-[N-(N',N'ジメチル
アミノエタン)カルバモイル]コレステロールが包含されるが、これらに限定され
るものではない。
【0066】 一つの態様として、遺伝子銃を用いる粒子による送達は、標的細胞に目的の核
酸を導入する方法として用いることができる。遺伝子銃に基づく送達のために適
当な粒子には、目的の核酸で被覆されている金粒子が包含される。一つの態様と
して、目的の核酸は、発現ベクターなしに生のDNAとして送達することができる
。別の態様として、目的のタンパク質をコードするDNAは、発現プラスミド中に
挿入することができる。遺伝子銃に基づく送達は、例えば、Braun et al. (1999
) Virology 265: 46-56; Drew et al. (1999) Vaccine 18: 692-702; Dega no e
t al. (1999) Vaccine 18: 623-632;及びRobinson (1999) Int J Mol Med 4: 54
9-555;Lai et al. (1998) Crit Rev Immunol 18: 449-84により記述されている
;例えば、Accede et al. (1991) Nature 332: 815-818;及びWolff et al. (199
0) Science 247: 1465-1468; Murashatsu et al., (1998) Int. J. Mol. Med. 1
: 55-62; Agracetus et al. (1996) J. Biotechnol. 26: 37-42; Johnson et al
. (1993) Genet. Eng. 15:225-236 を参照。
【0067】 III. 製薬学的組成物及び製薬学的投与 本発明のベクターは、被験体への投与のために適当な製薬学的組成物中に導入す
ることができる。典型的に、製薬学的組成物は、本発明のベクター及び製薬学的
に許容しうる担体を含んでなる。本明細書において用いる場合、「製薬学的に許
容しうる担体」には、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒質、コーティン
グ、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が包含される。製薬学的に許
容しうる担体の例には、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリ
セロール、エタノール等の一つまたはそれ以上並びにその組み合わせが包含され
る。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールの
ようなポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい
。製薬学的に許容しうる担体は、抗体または抗体部分の貯蔵寿命または効果を高
める、湿潤剤または乳化剤、防腐剤またはバッファーのような微量の補助物質を
さらに含んでなることができる。
【0068】 本発明の組成物は、様々な形態であることができる。これらには、例えば、液
状溶液(例えば、注入可能な不融性の溶液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤
、散剤、リポソーム及び座薬のような、液体、半固体及び固体の剤形が包含され
る。好ましい剤形は、意図される投与形態及び治療用途により決まる。典型的な
好ましい組成物は、ヒトの受動免疫に用いられるものと同様の組成物のような、
注入可能なまたは不融性の溶液の形態である。一つの態様として、投与の形態は
、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。別の態様として、
投与の形態は静脈内注入または注射による。別の態様として、投与の形態は、筋
肉内または皮下注射による。最も好ましい態様として、投与の形態は、例えば口
腔胃チューブを用いて、経口である。
【0069】 治療組成物は典型的に無菌でなければならず、そして製造及び貯蔵の条件下で
安定でなければならない。組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、分散液、リポ
ソーム、または高い薬剤濃度に適当な他の規則構造として調合することができる
。滅菌した注入可能な溶液は、必要に応じて、上に挙げた成分の一つまたは組み
合わせと共に適当な溶媒中に必要な量の活性化合物(すなわち、抗原、抗体また
は抗体部分)を導入し、続いて濾過滅菌により調製することができる。 一般に、分散剤は、基本分散媒質及び上に挙げたものからの必要な他の成分を含
有する滅菌した賦形剤中に活性化合物を導入することにより調製される。滅菌し
た注入可能な溶液の調製のための滅菌した凍結乾燥粉末の場合、好ましい調製方
法は、あらゆる追加の所望の成分を加えた有効成分の粉末を先に滅菌濾過したそ
の溶液から生じる減圧乾燥及び噴霧乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば
、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒度の
維持により、そして界面活性剤の使用により保つことができる。注入可能な組成
物の遷延吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチン
を組成物中に含むことによりもたらすことができる。
【0070】 本発明のベクターは、当該技術分野において既知の様々な方法により投与する
ことができる。当業者により認識されるように、投与の経路及び/または形態は
、所望の結果により変わる。ある態様として、活性化合物は、移植片、経皮パッ
チ及びマイクロカプセル化送達系を包含する、制御放出製剤のような、迅速な放
出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニ
ル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ
乳酸のような生物分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。そのよう
な製剤の多数の調製方法は特許を得ているかまたは当業者に一般に既知である。
例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Ro
binson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照。
【0071】 ある態様として、本発明のベクターは、例えば、不活性希釈剤または吸収でき
る可食性担体を用いて、経口的に投与することができる。化合物(及び必要に応
じて他の成分)はまた、硬質または軟質シェルゼラチンカプセル中に封入するか
錠剤に圧縮するか、または被験体の食事に直接導入することもできる。経口治療
投与のためには、化合物を賦形剤と混合し、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠
剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤等
の形態で使用することができる。非経口投与以外により本発明の化合物を投与す
るためには、その不活性化を防ぐ物質で化合物を被覆するかまたはそれと化合物
とを共投与することが必要である可能性がある。
【0072】 本発明のベクターは、疾病を処置するために単独でまたは組み合わせて使用す
ることができる。例えば、ベクターは、単独でまたは追加の薬剤、例えば治療組
成物に有益な特性を与える薬剤、例えば組成物の粘性をもたらす薬剤と組み合わ
せて使用することができる。組み合わせはまた、生成した組成物がその意図され
る機能を果たすことができるような組み合わせである場合、1つより多くの追加
の薬剤、例えば2または3つの追加の薬剤を含むこともできる。
【0073】 本発明の製薬学的組成物は、「治療的に有効な量」または「予防的に有効な量
」の本発明のベクターを含むことができる。「治療的に有効な量」は、所望の治
療結果を得るために、必要な投薬量及び期間で、有効な量をさす。ベクターの治
療的に有効な量は、個体の疾病状態、年齢、性別及び体重、並びに個体において
所望の応答を引き出すベクターの能力のような因子により変わる可能性がある。
治療的に有効な量はまた、治療的に有益な作用がベクターのあらゆる有毒なまた
は有害な作用に勝るものでもある。「予防的に有効な量」は、所望の予防結果を
得るために、必要な投薬量及び期間で、有効な量をさす。典型的に、予防用量は
疾病のより初期段階の前またはより初期段階で被験体において用いられるので、
予防的に有効な量は治療的に有効な量より少ない。
【0074】 投薬計画は、最適の所望の応答(例えば治療または予防応答)を与えるように
調整することができる。単位剤形は、本明細書において用いる場合、処置する哺
乳類被験体に単位投薬量として適当な物理的に分離している単位をさし;各単位
は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果を生じるように計算された予
め定められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は、(a)活性
化合物の独特な特性及び得られる特定の治療または予防効果、並びに(b)個体に
おける感受性の処置のためにそのような活性化合物を調合する当該技術分野に固
有の制約により決定され、そしてそれらに直接依存する。
【0075】 投薬値は、軽減される症状のタイプ及び重さに従って変わる可能性があること
が認識されるべきである。さらに、あらゆる特定の被験体に対して、特定の投薬
計画が、個々の必要性及び組成物を投与するかまたはその投与を管理する人の専
門的判断により継時的に調整されるべきであること、並びに本明細書に記述する
投薬量の範囲は単に例としてであり、請求した組成物の範囲または実施を限定す
るものではないことが理解されるべきである。
【0076】 IV. 使用 グルコースのレベル、例えば高レベルのグルコースが有害である疾病または疾
患は、グルコース濃度の調節が疾患の症状及び/または進行を軽減すると予想さ
れる疾患である。インスリンまたはプロインスリンをコードする核酸を含有する
本発明のベクターは、疾患を改善するか、減らすか、軽減するかもしくは助ける
かまたは少なくとも部分的に治すために適当な量で被験体に導入し、発現するこ
とができる。疾患の軽減は、例えば、糖尿病マウスの血液または血漿におけるグ
ルコースレベルの減少により明白に示すことができる(実施例6を参照)。
【0077】 本発明の方法及び組成物により処置または改変することができる他の疾患には
、肥満症が包含される。肥満症のマウスモデル、例えば、Jackson Laboratories
(Bar Harbor, Me)からの肥満-糖尿病マウス(ob/ob)及び肥満-糖尿病(db/sb)マウ
スは、当該技術分野において既知である(例えば、Collins et al. (1996) J Bio
l Chem 271: 9437-9440; Darling (1996) Curr Opin Genet Dev 6: 289-294; An
dersson (1996) Ann. Med. 28: 5-7; Van Heek et al. (1997) J. Clin. Invest
99: 385-390を参照)。これらの動物モデルは、食欲不振誘発性ペプチド、例え
ば肥満症に対するレプチンの効果を評価するために用いることができる。
【0078】 当業者は、上記の態様に基づいて本発明のさらなる特徴及び利点を理解する。
従って、本発明は、添付の請求項により示されることを除いて、特に示され記述
されていることにより限定されるものではない。本明細書に引用される全ての公
開及び参考文献は、引用することによりそれら全部が本明細書に明白に組み込ま
れる。
【0079】 実施例 例1:AAVクローニングプラスミドおよびpAAウイルスの構築 この実施例は、インスリンもしくはプロ−インスリンcDNAを含んでなるA
AVベクターの構築を記述する。ヒト・プロ−インスリンcDNAを、伸長因子
1α(EF)プロモーター(2.5kbフラグメント)ならびにWoodchu
ck Hepatitis Post Regulatory Element
(WPRE)およびSV40ポリアデニル化シグナルが続くポリリンカーを含有
するAAVクローニングプラスミド中にクローン化した。プロモーター解析研究
において、EFプロモーターは、他の構成性プロモーターよりも強い発現を与え
、そしてこの発現は、WPRE要素の使用によって約10倍増強された。得られ
る発現カセットは、pAAV−EF−hIns−WPREプラスミドと呼ばれ、
AAVウイルス粒子を産生するために使用された。他の構築物もまた、特定のプ
ロモーター、例えばラット・インスリンプロモーター(RIP)およびB鎖とC
ペプチド間、およびCペプチドとA鎖間に遺伝子工学的に工作されたフューリン
(furin)エンドプロテアーゼ切断部位を含有するヒト・プロ−インスリン
cDNA構築物を用いて作成された。これらのフューリン構築物は、EFプロモ
ーターおよびRIPプロモーターを用いて構築され、そしてそれぞれpAAV−
EF−fur−hInsおよびpAAV−RIP−fur−hInsと呼ばれる
【0080】 このpAAV−EF−hIns−WPREプラスミドは、ヘルパープラスミド
、pDG(Dr.Jurgen Kleinschmidt,Heidelbe
rgより贈与された)を用いてパッケージされて高タイターのrAAVhIns
ウイルス粒子を生成した。ヘルパープラスミドは、両repおよびcap読み枠
、ならびにヘルパー機能に必要なアデノウイルス遺伝子の最小セットを含有する
。ベクターは293細胞中への両プラスミドのリン酸カルシウム・トランスフェ
クションを用いて作成された。ベクターストックは、硫酸アンモニウムを用い、
次いで二重セシウム結合を用いて精製された。ウイルス粒子を含有するバンドは
、塩化セシウム調製および適当なバッファーへの透析によって単離された。
【0081】 粒子タイターは、インタクト粒子を認識するA20モノクローナル抗体を使用
する市販のELISAアッセイキット(Progen,Inc.)を用いて決定
された。典型的には、濃度1013粒子が、日常的に293細胞の標準ペトリ皿1
個から得られた。パッケージングおよび精製方法は、Xiao et al.(
1998)J.Virol.72:2224−2232、およびGrimm e
t al.(1999)Hum Gene Ther 10,2745−276
0によって記述されたような改変を含むDuring et al.,(199
8)Nature Med.4:1131−1135によって詳細に記述されて
いる。
【0082】 例2:ストレプトゾトシン(STZ)処理された糖尿病ラットの作成 糖尿病はWistar雄ラット、250−280グラムにおいて誘導された。
ラットは、0.9%生理食塩水中に溶解されたストレプトゾトシン(STZ)を
用量100mg/kg体重において腹腔内に注入された。ラットは個々のケージ
に4−6日間維持され、次いで同用量におけるストレプトゾトシンを再注入され
た。
【0083】 糖尿病の誘導は、BeckmanグルコースアナライザーILを用いて3日毎
にSTZラットの血液グルコースレベルを測定することによって確認された。血
液グルコースレベルが20mmol/Lを超えた(>360mg/dl)ラット
が、STZ糖尿病ラットと認定され、そしてさらなる研究のために使用された。
【0084】 例3:イン・ビボのベクター投与 ラット(STZで誘導された糖尿病ラットまたは対照ラット)のイン・ビボ感
染は、軽度の麻酔下(ケタミン100mg/mlおよびキシラジン20mg/m
lの容量で2:1比の、用量1ml/kgにおける腹腔内注射)で行われた。2
0g経口フィーディングチューブが各ラットの口から胃に通され、そしてベクタ
ーが、rAAVhInsの109、1010および1011ELISA単位において
水200μlにおいて投与された。rAAV−EF−fur−hInsは5x1
11/mlの100μlおよび200μlにおいて投与され、そしてpAAV−
RIP−fur−hInsは2x1012/mlにおいて投与された。ラットは作
業前12時間絶食され、そしてベクター投与後24時間は水のみ与えられた。食
塩水およびAAVlacを投与された動物は対照として使用された。
【0085】 例4:組織標本 ラットは腹腔内に注射された過剰用量の抱水クロラールによって屠殺され、そ
してPBS中2%パラホルムアルデヒドを潅流された。組織サンプルは凍結され
る前に1%ホルムアルデヒド、15%および30%スクロース中で連続して保存
され、そして切片(厚さ40ミクロン)に処理された。
【0086】 組織学的分析のために切片は、免疫蛍光検出による特異的な抗ヒト・インスリ
ンおよびプロ−インスリン一次抗体(Chemicon)を用いる免疫細胞化学
によってインスリン発現を検査された(During et al.,(199
8)前出および図1参照)。
【0087】 例5:AAVベクターの経口投与に続くラットDNESにおけるインスリン遺 伝子の安定な発現 経口胃チューブを通してのrAAVhIns投与に続いて、遺伝子発現が3時
間目(n=4)、6時間目(n=12)、3日目(n=15)、1か月目(n=
4)および3か月目(n=3)の多時点において測定された。免疫組織化学によ
る分析は、インスリンの発現は3時間目においては観察されないが、ロバスト(
robust)発現は感染後6時間目において得られることを明らかにした。さ
らに、発現は少なくとも3カ月間安定に持続した。インスリン発現のパターンは
、DNES細胞および固有層細胞、特に十二指腸および空腸における成功裏の形
質導入を示した。低レベルの発現は胃および回腸において観察された(図1)。
約109/ml導入ユニットのベクターストック40μlの注射により、小腸近
位の50%を超える上皮細胞が形質導入され、そして18%の固有層細胞が3日
目に形質導入された。この発現レベルは、固有層において1カ月および6カ月時
点で17−19%において持続性であった。また、形質導入された細胞の総数は
この期間にわたって8−13x106において安定していた。これらの数は、投
与されたベクター用量に基づいて消化管において25%の全形質導入効率をもた
らした。ベクターは、肺、生殖腺、腎臓、心臓および脳のPT−PCR解析によ
って決定されるようにGI系を越えては分散しなかった。
【0088】 かくして、経口的遺伝子送達アプローチは、管腔の(luminal)腸細胞
におけるインスリンの持続性発現を生じた。またデータは、遺伝子発現が消化管
の上皮細胞または有糸分裂後の、末期に分化されたDNES細胞のいずれにおい
ても持続できることを示唆している。このことは、上皮細胞は典型的には3−5
日毎に回転するので、したがってこの細胞集団において持続する発現のためには
、陰窩に存在している始原細胞集団が形質導入されねばならないであろう。6時
間目および3日目の動物は、陰窩における若干の発現を含む全領域の絨毛におけ
る発現を示した。1カ月目では、この細胞集団における発現は、固有層における
発現の維持とは反対に減少した。しかしながら、DNES細胞のように共焦点上
に現れる末期に分化された管腔細胞の大多数は安定的に形質導入される。これら
の細胞の共焦点像が図1において示される。インスリン免疫組織化学による二重
標識、蛍光検出(Cy5、青)およびヨウ化プロピジウム(赤)は、ラットの経
口的に投与されたAAVhInsの空腸近位からの固有層および管腔細胞層を示
す。形質導入された(青)細胞は、固有層ならびに多くの管腔DNES細胞内に
見いだされる。
【0089】 例6:rAAVhInsを用いるSTZラットにおける糖尿病の表現型矯正 糖尿病ラットは、基礎血液絶食性グルコースレベルが達成された時点で投与さ
れるストレプトゾトシン(65mg/kg i.p.)を用いて作成された。連
続的血液測定は、尾静脈を通して採取され、前述のようにグルコースについて分
析された(During et al.,(1995)J.Clin.Inve st .95:2403−2408)。7日目に、ラットは、AAVlac(対照
)またはAAVhInsのいずれかをProgen ELISAキットによって
定められたように用量109、1010および1011ビリオン粒子において投与さ
れた。尾静脈の血液サンプルは、3,7,14,56および72日を含む反復間
隔において採取された。このグループの動物は1年間維持された後、遺伝子発現
の研究がベクターDNAおよびmRNA発現の持続性に関してPCRおよびRT
−PCRを用いて実施された。
【0090】 これらの研究の結果は図1−6に示される。図1は、DNES細胞が安定的に
形質導入されることを示している。図2は、STZラットにおいて0日から80
日目まで、109、1010および1011ELISA単位におけるrAAVhIn
sを用いて、血液グルコース濃度に及ぼすインスリン発現の影響を示す。データ
は、rAAVhInsの109ELISA単位によっては血液グルコースレベル
における低下を、そしてrAAVhInsの1010および1011ELISA単位
によっては正常まで戻る低下を示している。
【0091】 図3は、経口グルコースチャレンジに続いてAAVhInsにより処置された
ラットの血漿グルコースレベルを示す。データは、グルコースレベルが、AAV
hInsにより処置されなかったSTZ糖尿病ラット(円)において高く留まる
ことを示している。しかしながら、AAVhInsで処置されたSTZ糖尿病ラ
ット(四角)では、血液におけるグルコース濃度は急速に減少し、そして6時間
内に正常な基礎濃度に戻った。
【0092】 AAVhInsよる産生されるインスリンの調節が図4に示される。データは
、経口グルコースチャレンジ後約20分に0.5単位から2.0単位までのイン
スリン生産における4倍増加を例証し、そしてチャレンジ後400分間まで約1
.5単位のインスリン生産の定常的維持を例証している。これらのラットは、2
0%デキストロース溶液1mlによる急性グルコースチャレンジ3カ月前にAA
VhInsにより処置された。
【0093】 図5は、AAVhInsベクターによるインスリン生産に及ぼす種々のプロモ
ーターの効果を示す。データは、構成性EFプロモーターに比較して、1012
子ベクターストックの250μl(n=4)および100μl(n=6)におい
てRIPプロモーターを含有するAAVhInsベクターを用いて、血液グルコ
ースレベルにおけるより効果的な低下を示している。データは、構成性EFプロ
モーターがDNES細胞を標的にするRIPプロモーターよりもむしろ、インス
リン上皮細胞を一層発現する可能性を例証している。EFプロモーターベクター
のロブスト上皮発現は、図5に示されるように血液グルコースにおける急激な(
1日)低下に反映されている。上皮細胞は約3日毎に脱落されるので、基礎グル
コース濃度に対する逆戻りは、ベクターが上皮細胞とともに除去される可能性が
もっとも強いことを示している。これに対して、RIPプロモーターはDNES
中で機能し、そしてインスリンを発現し続け、そして遺伝子伝達後少なくとも1
80日間血液グルコース濃度を低下させる。図6は、RIPを含むフューリン・
インスリン構築物を用いる血液グルコース濃度における定常状態の低下を示して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 腸散在性神経内分泌細胞の形質導入を示すAAVInsベクター投与の1ヶ月後の腸
におけるインスリン遺伝子発現の図である。
【図2】 109、1010、1011(ELISAにより決定した場合)でAAVInsベクター粒子の3用量
の経口投与後及びコントロールの食塩水で処置したラットの血液グルコース濃度
を示すグラフである。これらのラットには、0日にストレプトゾトシン(STZ)を全
身に送達し、そして7日目にベクターを投与した。
【図3】 正常コントロールラット(ひし形)に比較して、STZで処置したラット(丸)
における血漿グルコース濃度、AAVInsベクターで処置したラット(真四角)にお
ける血漿グルコース濃度の減少を示すグラフである。
【図4】 血漿におけるインスリン放出の調節を実証する、AAVInsベクターで処置したラ
ットにおける血漿ヒトインスリンレベルを示すグラフである。
【図5】 伸長因子1アルファプロモーター(EF)またはラットインスリンプロモーター(RI
P)のいずれかを有するAAVInsベクターの経口投与後の血液グルコース濃度に対す
る影響を示すグラフである。
【図6】 ラットインスリンプロモーター(RIP)を有するAAVfurInsの経口投与後の血液グ
ルコース濃度に対する影響を示すグラフである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 インスリンがDNESにおいて少なくとも6ヶ月間発現される請
求項7の治療薬。
【請求項】 プロモーターが伸長因子1アルファプロモーターである請求
8に記載の使用。
【請求項10】 プロモーターがラットインスリンプロモーターである請求
8に記載の使用。
【請求項11】 インスリンがDNESにおいて少なくとも6ヶ月間発現される
請求項8に記載の使用。
【請求項13】 インスリンが高い血液グルコースレベルに応答して分泌さ
れる請求項8に記載の使用。
【請求項14】 組織特異的プロモーター及びインスリンをコードする核酸
を含んでなる、DNES細胞におけるインスリンの発現のためのAAVウイルスベクタ
ー。
【請求項15】 プロモーターがインスリンプロモーターである請求項14
ベクター。
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】 組織学的分析のために切片は、免疫蛍光検出による特異的な抗ヒト・インスリ
ンおよびプロ−インスリン一次抗体(Chemicon)を用いる免疫細胞化学
によってインスリン発現を検査された(During et al.,(199
8)前出--参照)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】 例5:AAVベクターの経口投与に続くラットDNESにおけるインスリン遺 伝子の安定な発現 経口胃チューブを通してのrAAVhIns投与に続いて、遺伝子発現が3時
間目(n=4)、6時間目(n=12)、3日目(n=15)、1か月目(n=
4)および3か月目(n=3)の多時点において測定された。免疫組織化学によ
る分析は、インスリンの発現は3時間目においては観察されないが、ロバスト(
robust)発現は感染後6時間目において得られることを明らかにした。さ
らに、発現は少なくとも3カ月間安定に持続した。インスリン発現のパターンは
、DNES細胞および固有層細胞、特に十二指腸および空腸における成功裏の形
質導入を示した。低レベルの発現は胃および回腸において観察された。約109
/ml導入ユニットのベクターストック40μlの注射により、小腸近位の50
%を超える上皮細胞が形質導入され、そして18%の固有層細胞が3日目に形質
導入された。この発現レベルは、固有層において1カ月および6カ月時点で17
−19%において持続性であった。また、形質導入された細胞の総数はこの期間
にわたって8−13x106において安定していた。これらの数は、投与された
ベクター用量に基づいて消化管において25%の全形質導入効率をもたらした。
ベクターは、肺、生殖腺、腎臓、心臓および脳のPT−PCR解析によって決定
されるようにGI系を越えては分散しなかった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】 かくして、経口的遺伝子送達アプローチは、管腔の(luminal)腸細胞
におけるインスリンの持続性発現を生じた。またデータは、遺伝子発現が消化管
の上皮細胞または有糸分裂後の、末期に分化されたDNES細胞のいずれにおい
ても持続できることを示唆している。このことは、上皮細胞は典型的には3−5
日毎に回転するので、したがってこの細胞集団において持続する発現のためには
、陰窩に存在している始原細胞集団が形質導入されねばならないであろう。6時
間目および3日目の動物は、陰窩における若干の発現を含む全領域の絨毛におけ
る発現を示した。1カ月目では、この細胞集団における発現は、固有層における
発現の維持とは反対に減少した。しかしながら、DNES細胞のように共焦点上
に現れる末期に分化された管腔細胞の大多数は安定的に形質導入される。インス
リン免疫組織化学による二重標識、蛍光検出(Cy5、青)およびヨウ化プロピ
ジウム(赤)は、ラットの経口的に投与されたAAVhInsの空腸近位からの
固有層および管腔細胞層を示す。形質導入された(青)細胞は、固有層ならびに
多くの管腔DNES細胞内に見いだされる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】 これらの研究の結果は図1−に示される。DNES細胞が安定的に形質導入
されることを示している。図は、STZラットにおいて0日から80日目まで
、109、1010および1011ELISA単位におけるrAAVhInsを用い
て、血液グルコース濃度に及ぼすインスリン発現の影響を示す。データは、rA
AVhInsの109ELISA単位によっては血液グルコースレベルにおける
低下を、そしてrAAVhInsの1010および1011ELISA単位によって
は正常まで戻る低下を示している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】 図は、経口グルコースチャレンジに続いてAAVhInsにより処置された
ラットの血漿グルコースレベルを示す。データは、グルコースレベルが、AAV
hInsにより処置されなかったSTZ糖尿病ラット(円)において高く留まる
ことを示している。しかしながら、AAVhInsで処置されたSTZ糖尿病ラ
ット(四角)では、血液におけるグルコース濃度は急速に減少し、そして6時間
内に正常な基礎濃度に戻った。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】 AAVhInsよる産生されるインスリンの調節が図に示される。データは
、経口グルコースチャレンジ後約20分に0.5単位から2.0単位までのイン
スリン生産における4倍増加を例証し、そしてチャレンジ後400分間まで約1
.5単位のインスリン生産の定常的維持を例証している。これらのラットは、2
0%デキストロース溶液1mlによる急性グルコースチャレンジ3カ月前にAA
VhInsにより処置された。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】 図は、AAVhInsベクターによるインスリン生産に及ぼす種々のプロモ
ーターの効果を示す。データは、構成性EFプロモーターに比較して、1012
子ベクターストックの250μl(n=4)および100μl(n=6)におい
てRIPプロモーターを含有するAAVhInsベクターを用いて、血液グルコ
ースレベルにおけるより効果的な低下を示している。データは、構成性EFプロ
モーターがDNES細胞を標的にするRIPプロモーターよりもむしろ、インス
リン上皮細胞を一層発現する可能性を例証している。EFプロモーターベクター
のロブスト上皮発現は、図に示されるように血液グルコースにおける急激な
(1日)低下に反映されている。上皮細胞は約3日毎に脱落されるので、基礎グ
ルコース濃度に対する逆戻りは、ベクターが上皮細胞とともに除去される可能性
がもっとも強いことを示している。これに対して、RIPプロモーターはDNE
S中で機能し、そしてインスリンを発現し続け、そして遺伝子伝達後少なくとも
180日間血液グルコース濃度を低下させる。図は、RIPを含むフューリン
・インスリン構築物を用いる血液グルコース濃度における定常状態の低下を示し
ている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図面の簡単な説明】
【図】 109、1010、1011(ELISAにより決定した場合)でAAVInsベクター粒子の3用量
の経口投与後及びコントロールの食塩水で処置したラットの血液グルコース濃度
を示すグラフである。これらのラットには、0日にストレプトゾトシン(STZ)を全
身に送達し、そして7日目にベクターを投与した。
【図】 正常コントロールラット(ひし形)に比較して、STZで処置したラット(丸)
における血漿グルコース濃度、AAVInsベクターで処置したラット(真四角)にお
ける血漿グルコース濃度の減少を示すグラフである。
【図】 血漿におけるインスリン放出の調節を実証する、AAVInsベクターで処置したラ
ットにおける血漿ヒトインスリンレベルを示すグラフである。
【図】 伸長因子1アルファプロモーター(EF)またはラットインスリンプロモーター(RI
P)のいずれかを有するAAVInsベクターの経口投与後の血液グルコース濃度に対す
る影響を示すグラフである。
【図】 ラットインスリンプロモーター(RIP)を有するAAVfurInsの経口投与後の血液グ
ルコース濃度に対する影響を示すグラフである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA01 CA04 CA11 DA03 EA02 FA02 GA11 4C084 AA13 CA53 CA56 DC01 MA52 NA14 ZA701 ZC351 4C087 AA01 AA02 BB65 BC83 MA52 NA14 ZA70 ZC35

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNES細胞に特異的なプロモーターに操作可能に連結されたイ
    ンスリンをコードするヌクレオチド配列を有する核酸構築物を含んでなるウイル
    スベクターを含んでなる治療薬であって、ここで、治療薬は経口投与のために調
    合され、そして核酸構築物は治療的に有効な量の生物学的に活性のインスリンを
    DNES細胞において発現し、それによりベクターを感染させたDNES細胞は発現した
    インスリンを体循環系中に分泌する治療薬。
  2. 【請求項2】 ウイルスベクターがアデノ随伴ベクター、パルボウイルスベ
    クター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター及びレンチウイル
    スベクターよりなる群から選択される請求項1の治療薬。
  3. 【請求項3】 プロモーターがインスリンプロモーター、グルコキナーゼプ
    ロモーター、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター、グルカゴンプロモーター、伸
    長因子1アルファプロモーター及びラットインスリンプロモーターよりなる群か
    ら選択される請求項1の治療薬。
  4. 【請求項4】 プロモーターが伸長因子1アルファプロモーターである請求
    項1の治療薬。
  5. 【請求項5】 プロモーターがラットインスリンプロモーターである請求項
    1の治療薬。
  6. 【請求項6】 処置が: インビボでDNESの細胞中に核酸構築物を経口的に投与すること、ここで、核酸構
    築物は、DNES細胞に特異的なプロモーターに操作可能に連結されたインスリンを
    コードするヌクレオチド配列を含んでなる;及び 治療的に有効な量の生物学的に活性のインスリンをDNES細胞において発現するこ
    と、ここで、ベクターを感染させたDNES細胞は、発現したインスリンを体循環系
    中に分泌し、それにより糖尿病を処置する、 を含んでなる糖尿病の処置の薬剤の製造のためのDNES細胞における発現のための
    インスリンをコードするヌクレオチド配列を有する核酸構築物を含んでなる治療
    薬ウイルスベクターの使用。
  7. 【請求項7】 プロモーターが伸長因子1アルファプロモーターである請求
    項6に記載の使用。
  8. 【請求項8】 プロモーターがラットインスリンプロモーターである請求項
    6に記載の使用。
  9. 【請求項9】 インスリンがDNESにおいて6ヶ月間発現される請求項6に記
    載の使用。
  10. 【請求項10】 処置が:インビボでDNES細胞中に核酸構築物を経口的に投
    与すること、ここで、核酸構築物は、DNES細胞に特異的なプロモーターに操作可
    能に連結されたプロインスリンをコードするヌクレオチド配列を含んでなる; 治療的に有効な量の生物学的に活性のプロインスリンをDNES細胞において発現す
    ること;及び DNES細胞においてプロインスリンをインスリンに転化すること、それによりDNES
    細胞はインスリンを体循環系中に分泌し、それにより糖尿病を処置する、 を含んでなる糖尿病の処置の薬剤の製造のためのDNES細胞における発現のための
    インスリンをコードするヌクレオチド配列を有する核酸構築物を含んでなる治療
    薬ウイルスベクターの使用。
  11. 【請求項11】 プロモーターが伸長因子1アルファプロモーターである請
    求項10に記載の使用。
  12. 【請求項12】 プロモーターがラットインスリンプロモーターである請求
    項10に記載の使用。
  13. 【請求項13】 プロインスリンをインスリンに転化する工程がコンバター
    ゼ酵素を使用することを含んでなる請求項10に記載の使用。
  14. 【請求項14】 インスリンがDNES細胞において6ヶ月間発現される請求項
    10に記載の使用。
  15. 【請求項15】 処置が:インビボでDNES細胞中に核酸構築物を経口的に投
    与すること、ここで、核酸構築物は、グルコース応答プロモーターに操作可能に
    連結されたインスリンをコードするヌクレオチド配列を含んでなる;及び 治療的に有効な量の生物学的に活性のインスリンをDNES細胞において発現するこ
    と、ここで、DNES細胞は、発現したインスリンを体循環系中に血液グルコースレ
    ベルを調節するために十分な量で分泌する、 を含んでなる糖尿病の被験体における血液グルコースレベルを調節する薬剤の製
    造のためのDNES細胞における発現のためのインスリンをコードするヌクレオチド
    配列を有する核酸構築物を含んでなる治療薬ウイルスベクターの使用。
  16. 【請求項16】 グルコース応答プロモーターがインスリンプロモーター、
    グルコキナーゼプロモーター、L-ピルビン酸キナーゼプロモーター、グルカゴン
    プロモーター及びラットインスリンプロモーターよりなる群から選択される請求
    項15に記載の使用。
  17. 【請求項17】 血液グルコースレベルが正常な血液グルコースレベルまで
    減少される請求項15に記載の使用。
  18. 【請求項18】 インスリンが高い血液グルコースレベルに応答して分泌さ
    れる請求項15に記載の使用。
  19. 【請求項19】 組織特異的プロモーター及びインスリンをコードする核酸
    を含んでなる、DNES細胞におけるインスリンの発現のためのAAVウイルスベクタ
    ー。
  20. 【請求項20】 プロモーターがインスリンプロモーターである請求項19の
    ベクター。
JP2000607670A 1999-02-19 2000-02-22 糖尿病及び肥満症の経口遺伝子治療 Pending JP2002540175A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12097599P 1999-02-19 1999-02-19
US60/120,975 1999-02-19
PCT/US2000/040069 WO2000057921A2 (en) 1999-02-19 2000-02-22 Peroral gene therapy of diabetes and obesity

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002540175A true JP2002540175A (ja) 2002-11-26

Family

ID=22393646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000607670A Pending JP2002540175A (ja) 1999-02-19 2000-02-22 糖尿病及び肥満症の経口遺伝子治療

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6503887B1 (ja)
EP (1) EP1153131B1 (ja)
JP (1) JP2002540175A (ja)
AT (1) ATE374251T1 (ja)
AU (1) AU777988B2 (ja)
CA (1) CA2364417C (ja)
DE (1) DE60036537T2 (ja)
WO (1) WO2000057921A2 (ja)

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2222574A1 (en) * 1995-06-07 1996-12-19 Yale University Oral delivery of adeno-associated viral vectors
EP1274464B1 (en) 2000-03-13 2011-09-21 Engene, Inc. Compositions and methods for regulated protein expression in gut
AU2002230773A1 (en) * 2000-12-18 2002-07-01 Wyeth Promoters and recombinant expression constructs
WO2002089855A1 (en) * 2001-04-27 2002-11-14 Auckland Uniservices Limited Peroral transduction of hepatocytes in the treatment of disease
US20050026859A1 (en) * 2002-11-12 2005-02-03 John Hilfinger Methods and compositions of gene delivery agents for systemic and local therapy
US20080026077A1 (en) * 2002-11-12 2008-01-31 John Hilfinger Methods and compositions of gene delivery agents for systemic and local therapy
FR2852247A1 (fr) * 2003-03-11 2004-09-17 Centre Nat Rech Scient Utilisation de ligands peptidiques de recepteurs de la membrane plasmique et de leurs analogues pour moduler l'activite des mitochondries
WO2004100890A2 (en) * 2003-05-09 2004-11-25 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Rage g82s-related methods and compositions for treating inflammatory disorders
JP2007063225A (ja) * 2005-09-01 2007-03-15 Takeda Chem Ind Ltd イミダゾピリジン化合物
WO2007061923A2 (en) * 2005-11-18 2007-05-31 Takeda San Diego, Inc. Glucokinase activators
US8034822B2 (en) 2006-03-08 2011-10-11 Takeda San Diego, Inc. Glucokinase activators
WO2008020318A2 (en) 2006-03-30 2008-02-21 Engene, Inc. Non-viral compositions and methods for transfecting gut cells in vivo
JP5386350B2 (ja) * 2006-05-31 2014-01-15 タケダ カリフォルニア インコーポレイテッド グルコキナーゼ活性剤としての、インダゾールおよびイソインドール誘導体
EP2091947A2 (en) 2006-12-20 2009-08-26 Takeda San Diego, Inc. Glucokinase activators
WO2008116107A2 (en) * 2007-03-21 2008-09-25 Takeda San Diego, Inc. Piperazine derivatives as glucokinase activators
US20140112895A1 (en) * 2010-10-08 2014-04-24 Universiti Putra Malaysia Glp-1 promoter mediated insulin expression for the treatment of diabetes
US10696946B2 (en) 2013-02-22 2020-06-30 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois T-REG cell expansion
EP3233131A1 (en) * 2014-12-16 2017-10-25 Board of Regents of the University of Nebraska Gene therapy for juvenile batten disease
US20180320135A1 (en) 2015-11-06 2018-11-08 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Ox40l-jagged-1 chimeric polypeptides and uses thereof
AU2017281469B2 (en) 2016-06-22 2023-08-31 David Klatzmann Genetically modified T lymphocytes
WO2018127702A1 (en) 2017-01-06 2018-07-12 Stabilitech Biopharma Ltd Virus

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996030050A1 (en) * 1995-03-24 1996-10-03 The Regents Of The University Of California Gene therapy by secretory gland expression
WO1996040954A1 (en) 1995-06-07 1996-12-19 Yale University Oral delivery of adeno-associated viral vectors
WO1998011779A1 (en) * 1996-09-19 1998-03-26 The Regents Of The University Of California Delivery of therapeutic gene products by intestinal cell expression
WO1998041240A1 (en) * 1997-03-14 1998-09-24 The Children's Hospital Of Philadelphia Methods and compositions for use in gene therapy for treatment of hemophilia

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5837693A (en) 1995-03-24 1998-11-17 The Regents Of The University Of California Intravenous hormone polypeptide delivery by salivary gland expression
FR2732978B1 (fr) * 1995-04-14 1997-05-30 Inst Nat Sante Rech Med Vecteur viral recombinant, composition pharmaceutique le contenant et cellules transformees correspondantes
US5646034A (en) * 1995-06-07 1997-07-08 Mamounas; Michael Increasing rAAV titer
US6087129A (en) * 1996-01-19 2000-07-11 Betagene, Inc. Recombinant expression of proteins from secretory cell lines

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996030050A1 (en) * 1995-03-24 1996-10-03 The Regents Of The University Of California Gene therapy by secretory gland expression
WO1996040954A1 (en) 1995-06-07 1996-12-19 Yale University Oral delivery of adeno-associated viral vectors
WO1998011779A1 (en) * 1996-09-19 1998-03-26 The Regents Of The University Of California Delivery of therapeutic gene products by intestinal cell expression
WO1998041240A1 (en) * 1997-03-14 1998-09-24 The Children's Hospital Of Philadelphia Methods and compositions for use in gene therapy for treatment of hemophilia

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010016697; DONELLO,J.E. et al: 'Woodchuck hepatitis virus contains a tripartite posttranscriptional regulatory element' J Virol Vol.72, No.6, 1998, p.5085-92 *
JPN6013035725; Nature Medicine Vol.4, No.10, 199810, p.1492-1500
JPN6013035726; Blood Vol.84, No.5, 19940901, p.1492-1500
JPN6013037576; The Journal of Biological Chemistry Vol.269, No.5, 19940204, p.3641-3654

Also Published As

Publication number Publication date
EP1153131B1 (en) 2007-09-26
US6503887B1 (en) 2003-01-07
ATE374251T1 (de) 2007-10-15
WO2000057921A3 (en) 2001-01-04
DE60036537T2 (de) 2008-06-19
WO2000057921A2 (en) 2000-10-05
CA2364417C (en) 2013-11-05
DE60036537D1 (de) 2007-11-08
EP1153131A2 (en) 2001-11-14
CA2364417A1 (en) 2000-10-05
AU777988B2 (en) 2004-11-11
AU3774700A (en) 2000-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6503887B1 (en) Peroral gene therapy of diabetes and obesity
US6608038B2 (en) Methods and compositions for treatment of diabetes and related conditions via gene therapy
US5962313A (en) Adeno-associated virus vectors comprising a gene encoding a lyosomal enzyme
EP1927660A2 (en) Methods for delivering DNA to muscle cells using recombinant adeno-associated virus virions
US6967018B2 (en) Adiponectin gene therapy
JP2005509409A (ja) 糖尿病および他の血糖疾患の治療方法
US20120142760A1 (en) Compositions and methods for regulated protein expression in gut
WO2006102072A2 (en) Use of a pa131 polypeptide in treatment of atherosclerosis
KR20080036015A (ko) 글루코오스 유도성 인슐린 발현 및 당뇨병 치료 방법
EP3833746B1 (en) Mini-gde for the treatment of glycogen storage disease iii
WO2005037226A2 (en) Genetically engineered enteroendocrine cells for treating glucose-related metabolic disorders
EP2709653B1 (en) Aav mediated exendin-4 gene transfer to salivary glands to protect subjects from diabetes or obesity
Tasyurek et al. GLP-1-mediated gene therapy approaches for diabetes treatment
US20240010699A1 (en) Viral vectors encoding canine insulin for treatment of metabolic diseases in dogs
US20230313152A1 (en) C-terminal truncated gde for the treatment of glycogen storage disease iii
US20040143104A1 (en) Methods of treating diabetes and other blood sugar disorders
EP1889914A1 (en) Compositions for gene therapy of diabetes
US20050107318A1 (en) Methods of treating diabetes and other blood sugar disorders
Voutetakis et al. Utilizing endocrine secretory pathways in salivary glands for systemic gene therapeutics
US20220354969A1 (en) Enhancing viral vector-based gene therapy
CA3206590A1 (en) Gene therapy for monogenic diabetes
WO2023114835A1 (en) Gene therapies for metabolic disorders
WO2024079658A1 (en) Bdnf gene therapy
WO2002089855A1 (en) Peroral transduction of hepatocytes in the treatment of disease

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20040323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040323

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070221

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100406

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100706

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101006

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110408

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111026

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120120

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130123

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130128

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130222

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130228

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130325

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130329

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131106

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131111

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131206

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131211

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131227

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140206