JP2002539223A - ヒト精子表面抗原 - Google Patents

ヒト精子表面抗原

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ジョン シー. ヘア,
ゾーレン ナーバイ−ハンセン,
チャールズ ジェイ. フリッキンガー,
ジャガスパラ シェッティ,
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ユニバーシティ オブ バージニア パテント ファウンデーション
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、精子表面タンパク質および哺乳動物種における受精能を調節するためのそのようなタンパク質の使用に関する。より詳細には、本発明は、精製された精子特異的表面ペプチドエピトープならびにそれらのタンパク質エピトープの誘導体およびそれらのタンパク質エピトープに対する抗体に関する。本発明は、不妊に関連する手順における治療組成物および診断組成物ならびにそれらの組成物を用いる方法に関する。本発明の組成物は、不妊の雄性および雌性の血清において存在する抗精子抗体によって認識される精子細胞表面抗原を含む。本発明はさらに、治療組成物ならびに診断および治療の方法に関する。これらには、不妊を調節する(すなわち、阻害または促進する)組成物および方法が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (米国政府の権利) 本発明は、米国政府の支援で、米国国立衛生研究所による表彰を受けた助成金
番号HD−29099、P30−28934およびD543−TW00654の
もとで行われた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、精子細胞表面抗原に関する。この抗原は、不妊の雄性および雌性の
血清において存在する抗精子抗体によって認識される。より詳細には、本発明は
、精子特異的表面タンパク質/ペプチドのエピトープならびにそれらのタンパク
質のエピトープに対して指向される誘導体および抗体に関する。
【0003】 (発明の背景) 抗精子抗体(ASA)と、説明されない不妊のいくつかの症例との相関は、受
精をブロックするにおけるこれらの抗体についての役割を示唆する。不妊のカッ
プルにおける精子に対する免疫性の発生は、9〜36%であると見積もられる。
対照的に、ASAの一般集団における伝播は、およそ0〜2%である。抗精子抗
体は、精子運動性、子宮頸粘液の精子浸透、受精能獲得または先体を阻害するこ
とによって受精能を欠損させると考えられ、または抗精子抗体は、補体カスケー
ドを惹起して、精子の溶解をもたらし得る。
【0004】 免疫学的不妊の背後の機構の完全な理解ならびに改善された診断および処置は
、機能的に関連する精子抗体の産生を惹起し得る特定の精子抗原の同定の知識に
依存する。例えば、組換え精子表面抗原が入手可能である場合、その抗原は、不
妊を媒介する特定の抗体の存在を検出する、患者血清の免疫アッセイについての
標的として働き得る。さらに、抗精子抗体およびその同族抗体は、産児制限ワク
チンの形態で、不妊の免疫学的制御についての基礎を提供し得る。
【0005】 いくつかの研究は、免疫ブロット技術を用いて、不妊個体からの、全身性およ
び/または局所性の自己抗体およびイソ抗体(isoantibody)によっ
て認識される精子抗原の同定を報告した。しかし、ほとんどの場合、精子抗原と
、妊性個体からの制御血清との反応が記載されておらず、これらの抗体の受精能
における機能的関連性は、不明なままである。さらに、より初期の報告のほとん
どは、精子タンパク質の分離について一次元ゲル電気泳動を使用していた。
【0006】 本発明は、高解像度の2D電気泳動によって同定されたタンパク質に関する。
この精子抗原は、等電点フォーカシングまたは非平衡pH勾配電気泳動のいずれ
かによって第一次元で分離し(酸性および塩基性のタンパク質をスクリーニング
する)続いてPAGEおよび感受性ウェスタンブロット法を行う。さらに、検体
血清は、免疫ビーズ試験(IBT、Bronson R,Cooper G,R
osenfeld D.、Jagiello G and VogeI H(編
),Bioregulators of reproduction,acad
emic press,New York 1981:521−527に記載さ
れるとおり)によって抗精子抗体の存在について最初にスクリーニングし、そし
て抗精子抗体の存在について有意な反応性を示す血清のみを利用して、免疫優性
抗原を同定した。さらに、不妊患者に独特な精子抗原を、2D免疫ブロットのコ
ンピュータ比較を用いて臨床的に不妊の被験体からの血清によって認識される抗
原を除外することによって同定した。銀染されたタンパク質の2Dゲル画像のデ
ータベース(精子プロテオーム)およびベクトル的に標識された精子表面タンパ
ク質のデータベース(精子表面インデックス、Biol Reprod 199
7;56:771−787)は、抗体媒介性の不妊に関連する、精子表面抗原の
サブセットの定義を可能にした。
【0007】 (発明の要旨) 本発明は、不妊に関連する手順における治療組成物および診断組成物ならびに
それらの組成物を用いる方法に関する。本発明の組成物は、不妊の雄性および雌
性の血清において存在する抗精子抗体によって認識される精子細胞表面抗原を含
む。本発明はさらに、治療組成物ならびに診断および治療の方法に関する。これ
らには、不妊を調節する(すなわち、阻害または促進する)組成物および方法が
含まれる。
【0008】 (発明の詳細な説明) 本発明を説明および請求するにおいて、以下の用語を、以下に示す定義に従っ
て用いる。
【0009】 本明細書において用いられる「核酸」、「DNA」および類似の用語はまた、
核酸アナログ(すなわち、ホスホジエステル骨格以外のものを有するアナログ)
を包含する。例えば、いわゆる「ペプチド核酸」(これは、当該分野において知
られ、そして骨格にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する)は
、本発明の範囲内にあるとみなす。
【0010】 本明細書において用いられる「有効量」とは、選択された効果を生成するに十
分な量を意味する。例えば、精子表面タンパク質の有効免疫量とは、ワクチン調
製物が投与される宿主において免疫応答が誘発されるに十分な量である。
【0011】 本明細書において記載される用語「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府もし
くは国の政府の規制当局によって承認されるか、または米国薬局方もしくは動物
における(より詳細にはヒト)における使用について他の一般に認識される薬局
方に記載されることを意味する。
【0012】 本明細書において用いられる用語「キャリア」とは、希釈剤、アジュバント、
賦型剤またはビヒクルであって、それとともに治療剤が投与されるものをいう。
【0013】 本発明は、不妊患者から単離された血清によって認識されるが、臨床的に妊性
被験体から単離された血清によっては認識されない精子表面抗原に関する。本発
明の精子抗原は、不妊患者に独特であり、そしてコンピュータ生成された、2D
免疫ブロットの比較を用いて、臨床的に不妊被験体からの血清によって認識され
た抗原を除外することによって同定された。銀染されたタンパク質の2Dゲル画
像のデータベース(精子プロテオーム)およびベクトル的に標識された精子表面
タンパク質のデータベース(精子表面インデックス、Biol Reprod
1997;56:771−787)は、抗体媒介性の不妊に関連する、精子表面
抗原のサブセットの定義を可能にした。これらの同定された精子表面タンパク質
を、本明細書において、SSPと遺伝子的に称し、そして単離された天然のタン
パク質およびそのフラグメントならびにネイティブタンパク質の組換え誘導体お
よび合成アナログを包含する。
【0014】 SSPタンパク質、そのポリペプチドおよびペプチドフラグメントは、種々の
用途のために調製され得る。例えば、そのような分子は、抗体の生成のため、診
断および治療アッセイにおいて使用するため、精子運動性に関与する他の精子遺
伝子産物の同定のため、または精子運動性を調節する化合物の同定のために使用
され得る。
【0015】 本発明の1つの実施形態は、精子表面ペプチドエピトープおよび薬学的に受容
可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。この薬学的キャリアは、滅菌液体
(例えば、水および油(石油、動物、植物または合成起源の油(例えば、ピーナ
ツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)ならびに緩衝化生理食塩水、デキストロース
、水、グリセロール、滅菌等張性水性緩衝液を含む)ならびにそれらの組合せ)
であり得る。水は、その薬学的組成物が静脈内に投与されるときには好ましいキ
ャリアである。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶
液もまた、液体キャリアとして、特に注射可能な溶液のために使用され得る。
【0016】 本発明の組成物において使用するための適切な薬学的賦型剤としては、デンプ
ン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョ
ーク(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、一ステアリン酸グ
リセロール、滑石、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピ
レン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望される場合、その組
成物はまた、微量の湿潤剤または乳化剤、あるいはpH緩衝化剤を含み得る。こ
れらの組成物は、溶液、懸濁物、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、
徐放性処方物などの形態を採り得る。この組成物は、伝統的な結合材およびキャ
リア(例えば、トリグリセリド)とともに、坐剤として処方され得る。経口処方
物としては、以下のような標準的なキャリアが挙げられ得る:薬学的等級のマン
ニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナト
リウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど。適切な薬学的キャリアの例は、「
Remington’s Pharmaceutical Sciences」
E.W.Martin編に記載される。そのような組成物は、治療的有効量の治
療剤(好ましくは精製形態の)を、適切な量のキャリアとともに含み、その結果
、その患者へ適切な投与のための形態を提供する。その処方物は、投与形態に適
切であるべきである。
【0017】 1つの実施形態に従って、本発明の組成物を含むSSPを使用して、哺乳動物
種における受精能を調節する。この方法は、治療的有効量のSSP抗原を含む組
成物を投与する工程を包含する。1つの好ましい実施形態において、その組成物
は、1つ以上のSSP(またはSSPタンパク質フラグメントあるいはそれらの
アナログ)を含む避妊ワクチンとして処方され、そして哺乳動物種へ投与されて
免疫応答を惹起する。
【0018】 1つの実施形態において、SSP含有組成物を使用して、有効量の精子表面タ
ンパク質もしくはそのフラグメントを投与することによって、受精能関連障害に
ついて被験体を処置する。特に、本発明のSSP組成物は、免疫学的不妊を処置
するための方法において使用され得る。この方法は、免疫学的不妊を示す個体か
ら血清サンプルを入手する工程、その個体血清に存在する抗体によって標的化さ
れる精子表面タンパク質を決定する工程、およびその個体の抗体によって標的化
される、1つ以上のペプチド(またはペプチド誘導体もしくはペプチド模倣物)
を含む組成物を投与する工程を包含する。1つの実施形態において、その組成物
は、雌性に局所的に投与されて、その個体の抗精子抗体に結合し、そして従って
、その雌性の受精能を増強する。
【0019】 別の実施形態に従って、本発明のSSPを使用して、表面タンパク質に結合す
る分子を含む、精子表面タンパク質と相互作用する分子についてスクリーニング
し得る。この方法は、1つ以上の分子と、その精子特異的タンパク質/ペプチド
とを、その精子特異的タンパク質/ペプチドとその分子との間の複合体形成を実
施可能な条件下で接触させる工程、ならびにその精子表面タンパク質/ペプチド
に特異的に結合する分子を回収する工程を包含する。
【0020】 1つの実施形態に従って、本発明は、ポリペプチドならびにそのそれぞれのフ
ラグメントおよびアナログであって、少なくとも以下の1つの活性を有するもの
を提供する:精子が卵と受精する能力を調節し得ること、精子マーカーとして機
能すること、不妊個体から単離された血清と結合する能力を有すること、および
免疫原性であること。1つの好ましい実施形態において、精子表面タンパク質は
、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むヒトタンパク質である: Ile Asn Ser Gln Trp Val Val Pro Leu
Arg(配列番号1); Leu Asn Ser Gln Trp Val Val Pro Leu
Arg(配列番号2); Met Val Asn Ile Met Ile Ile Ile Arg(
配列番号3); Met Val Asn Leu Met Ile Ile Ile Arg(
配列番号4); Met Val Asn Ile Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号5); Met Val Asn Ile Met Ile Leu Ile Arg(
配列番号6); Met Val Asn Ile Met Ile Ile Leu Arg(
配列番号7); Met Val Asn Ile Met Ile Leu Leu Arg(
配列番号8); Met Val Asn Ile Met Leu Leu Ile Arg(
配列番号9); Met Val Asn Ile Met Leu Ile Leu Arg(
配列番号10); Met Val Asn Leu Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号11); Met Val Asn Leu Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号12); Met Val Asn Leu Met Ile Leu Ile Arg(
配列番号13); Met Val Asn Leu Met Ile Ile Leu Arg(
配列番号14); Met Val Asn Leu Met Ile Leu Leu Arg(
配列番号15); Met Val Asn Leu Met Leu Leu Ile Arg(
配列番号16); Met Val Asn Leu Met Leu Ile Leu Arg(
配列番号17); Met Ile Pro Val Ile Glu(配列番号18); Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号19); Met Ile Pro Val Leu Glu(配列番号20); Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号21); His Gly Gln Ser Ala Glu Tyr Glu Phe(
配列番号22);および Phe Gln Gln Asp Gly Gly Ala Ser(配列番号
23)。
【0021】 本発明の1つの局面において、本発明の精子表面ペプチドエピトープを含む組
成物は、避妊ワクチン処方物として投与される。より詳細には、その精子表面ペ
プチドエピトープは、配列番号1〜23からなる群より選択されるアミノ酸配列
を含む、単離されたかまたは組み換えのポリペプチドである。1つの実施形態に
おいて、そのエピトープは、配列番号1〜23から選択される配列からなるペプ
チドである。
【0022】 1つの実施形態に従って、本発明は、哺乳動物種における受精能を調節するた
めの方法を提供する。この方法は、単離されたかまたは組み換えのポリペプチド
の治療有効量を含む組成物を投与する工程であって、そのポリペプチドは、配列
番号1〜23からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、工程を包含する。
【0023】 あるいは、その組成物は、そのポリペプチドのフラグメントまたはそのポリペ
プチドを含み得る。このポリペプチドは、配列番号1〜23からなる群より選択
されるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、その組成物は、配列番号
1〜23からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる配列を有するペプチド
を含む。
【0024】 1つの実施形態において、哺乳動物種における受精能を調節するための組成物
は、ポリペプチド抗原を含む。このポリペプチド抗原は、配列番号1および2か
らなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、この組成
物は、ポリペプチド抗原を含む。このポリペプチドは、配列番号3〜17からな
る群より選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、その組成物は
、ポリペプチド抗原を含む。このポリペプチドは、配列番号18〜21からなる
群より選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、その組成物は、
ポリペプチド抗原を含む。このポリペプチドは、配列番号22のアミノ酸配列を
含む。別の実施形態において、その組成物は、ポリペプチド抗原を含む。このポ
リペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0025】 本発明はまた、配列番号1〜23によって表されるペプチド配列をコードする
核酸配列を包含する。これらのペプチドをコードする核酸配列は、当業者に公知
の標準的な技術を用いて合成され得る。さらに、これらのアミノ酸配列を含む、
全長ポリペプチドをコードする遺伝子配列は、当業者に公知の標準的な技術を用
いて哺乳動物ゲノムを含む真核生物ゲノムから単離され得る。好ましい実施形態
において、そのSSPをコードする核酸配列は、ヒトゲノムに由来する。
【0026】 本発明のSSPは、天然のタンパク質の誘導体を表すタンパク質(すなわち、
上記のアミノ酸配列(配列番号1〜23を含む)内および/もしくは隣接するア
ミノ酸残基の、内部欠失を含む欠失、融合タンパク質を生じる付加を含む付加、
または置換(「サイレント」変化を生じ、その変化が機能的に等価なペプチドを
生成する))を含むタンパク質)を含み得る。アミノ酸置換は、関連する残基の
、極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質における
類似性に基づいて作製され得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、
以下が挙げられる:アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フ
ェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニン;極性中性アミノ酸としては
以下が挙げられる:グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、ア
スパラギンおよびグルタミン;正に荷電した(塩基性)アミノ酸としては以下が
挙げられる:アルギニン、リジンおよびヒスチジン;ならびに負に荷電した(酸
性の)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。
【0027】 あるいは、機能の変更が所望される場合、欠失または非保存的変更がそのSS
Pをコードする核酸配列中に操作されて、変更されたSSP遺伝子産物を生成し
得る。さらに、そのような変更は、選択された宿主細胞における、発現、規模拡
大などのためによりよく適合した産物を生成するために選択され得る。例えば、
1つの実施形態において、システイン残基が欠失または別のアミノ酸残基に置換
されて、ジスルフィド架橋を除去し得る。別の実施形態において、チロシン残基
が欠失または別のアミノ酸残基に置換されて、チロシンリン酸化を除去し得る。
【0028】 SSPタンパク質またはSSPタンパク質の一部(例えば、配列番号1〜23
のアミノ酸配列)が無関連のタンパク質に融合された融合タンパク質もまた、本
発明の範囲内にある。そのようなタンパク質およびペプチドは、配列番号1〜2
3のアミノ酸配列をコードする合成ヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。
融合タンパク質としては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:SSPタ
ンパク質もしくはペプチドを安定化させ、そしてインビボでの半減期を増強する
IgFc融合物;またはその融合タンパク質が細胞膜に固定されること可能にす
る任意のアミノ酸配列に対する融合物;あるいは酵素、蛍光タンパク質、発光タ
ンパク質またはフラグエピトープタンパク質もしくはペプチドであってマーカー
機能を提供するものに対する、SSPタンパク質もしくはペプチドの融合物。
【0029】 本発明のSSPポリペプチドはさらに、以下を含むがそれらに限定されない翻
訳後改変を包含し得る:ステアリル化、ミリスチル化、パルミチン化、グリコシ
ル化、アセチル化、およびリン酸化。ネイティブのSSPは、そのような改変を
可能にする認識モチーフを有しない場合、当業者は、SSP遺伝子産物を生成す
るように酵素認識シグナルのようなモチーフをコードするSSP遺伝子ヌクレオ
チド配列を導入することは、当業者にとって慣用的である。
【0030】 本発明はまた、本明細書において開示されるネイティブタンパク質およびペプ
チドの配列のペプチドおよびペプチドアナログの合成を包含する。そのようなペ
プチドまたはそのアナログは、ペプチドおよびペプチドアナログの調製について
実質的に任意の当該分野において公知の技術を用いて調製され得る。例えば、そ
のペプチドは、従来の溶液または固相のペプチド合成を用いて直鎖形態で調製さ
れ得、そしてその樹脂から切断され得、続いて精製手順を行う(Creight
on,1983,Protein Structures And Molec
ular Principles,W.H.Freeman and Co.,
N.Y.)。本明細書において記載されるペプチドを合成するための適切な手順
は当該分野において周知である。合成ペプチドの組成物は、配列決定のアミノ酸
分析によって確認され得る(例えば、エドマン分解手順および質量分析)。
【0031】 さらに、そのペプチドのアナログおよび誘導体は、化学的に合成され得る。本
発明のペプチドの各アミノ酸の間の連結は、アミド、置換アミドまたはアミドの
等電子配置物であり得る。非古典的アミノ酸またはアミノ酸の化学的アナログが
その配列への置換または付加として導入され得る。非古典的なアミノ酸としては
以下が挙げられるがそれらに限定されない:一般的なアミノ酸のD異性体、α−
アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−
Abu、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロ
ピオン酸、オリニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サル
コシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン
、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、(3−アラニン、フルオロ−ア
ミノ酸、デザイナー(designer)アミノ酸(例えば、β−メチルアミノ
酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸、およびアミノ酸アナログ一
般)。そのアミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0032】 環化ペプチドは、直鎖状ペプチドの末端へのCys残基の付加によって形成さ
れ得る。ジスルフィド結合の形成は、所望される場合、一般的に、緩和な酸化剤
の存在下で行われる。化学的酸化剤が使用され得るか、またはその化合物は、こ
れらの結合をもたらすように雰囲気酸素へ単に暴露され得る。種々の方法が公知
であり、これらには、例えば、以下によって記載されるものが含まれる:Tam
,J.P.ら、1979,Synthesis 955−957;Stewar
tら,1984、SoiidPhase Peptide Synthesis
,第2巻,Pierce Chemical Company Rockfor
d,IL; Ahmedら,1975,J.Bioi.Chem.250:84
77−8482;and Penningtonら,1991 Peptide
s 1990 164−166,Giralt およびAndreu,Eds.
,ESCOM Leiden,The Netherlands。さらなる代替
は、以下により記載される:Kamberら,1980,Helv Chim−
Acta 63:899−915。固体支持体において行われる方法は、以下に
より記載される:Albericio,1985,Int.−J.Peptid
e Protein Res.26:92−97。これらの任意の方法が、本発
明のペプチドにおけるジスルフィド結合を形成するために使用され得る。
【0033】 そのペプチドが遺伝子コードされるアミノ酸(例えば、配列番号1〜23)の
全体が構成されるか、またはその部分がそのように構成される場合、そのペプチ
ドもしくはその関連部分は、従来の組み換え遺伝子操作技術を用いて合成され得
る。組み換え産生のために、そのペプチドの直鎖状形態をコードするポリヌクレ
オチド配列が合成され得、そして適切な発現ビヒクル(すなわち、挿入されたコ
ード配列の転写および翻訳について必要なエレメントを含むベクター、またはR
NAウイルスベクターの場合、複製および翻訳に必要なエレメントを含むベクタ
ー)中へと挿入され得る。次いで、その発現ビヒクルは、適切な標的細胞へとト
ランスフェクトされる。この細胞は、そのペプチドを発現する。次いで、使用さ
れる発現系に依存して、その発現ペプチドは、当該分野において十分に確立され
た手順によって単離される。組み換えタンパク質およびペプチドの産生のための
方法は、当該分野において周知である(例えば、以下を参照のこと:Mania
tisら,1989,Molecular Cloning A Labora
tory Manual,Cold Spring Harbor Labor
atory,N.Y.;およびAusubelら,1989,Current
Protocols in Molecular Biology,Green
e Publishing Associates and Wiley In
terscience,NY)。本明細書における開示に基づくアンタゴニスト
性ペプチドをコードさせるために、ネイティブ配列に対してコドン置換を導入す
るための方法は、当業者に周知である。SSP遺伝子産物、そのペプチドフラグ
メントおよびその融合タンパク質は、当該分野における周知の技術を用いた組み
換えDNA技術によって産生され得る。
【0034】 1つの実施形態に従って、本発明のSSPは、精子表面タンパク質に対して指
向される抗体の存在に関連する受精能に関連する障害の存在、またはその障害を
発症することについての素因について、診断またはスクリーニングする方法にお
いて使用される。より詳細には、1つの実施形態において、その方法を使用して
、配列番号1〜23から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する抗
体の存在を検出することによって免疫学的な不妊について、診断またはスクリー
ニングする。この方法は、個体から血液サンプルを入手する工程、その血清を単
離する工程、その血清サンプルに、精子表面抗原を含む組成物を接触させる工程
、ならびにその精子表面抗原に特異的に結合する、血清サンプルにおける抗体の
存在を決定する工程を包含する。そのような抗体の存在は、受精能に関連する障
害の素因の存在を示す。
【0035】 精子表面抗原に対して特異的に結合する血清サンプルにおける抗体の検出は、
当業者に公知の標準的な技術(例えば、移動度シフトアッセイおよび標識された
成分の使用)を用いて実施され得る。例えば、そのSSPは、不活性の固体支持
体に共有結合され得、そしてそのサンプル血清に接触され得る。次いで、そのS
SPを洗浄して任意の未結合および非特異的に結合した血清成分を除去する。次
いで、そのSSPに、その血清サンプルを提供した生物の抗体に対して特異的な
標識された二次抗体(すなわち、その血清サンプルがヒトである場合、その表紙
期された二次抗体は、抗ヒト抗体である)を接触させる。
【0036】 SSPは、種々の固体支持体(例えば、アガロース、Sepharose、ポ
リスチレンまたは他のクロマトグラフィービーズ)に、当業者に利用可能なプロ
トコルを用いて結合され得る。例えば、一級アミンが、NHS、シアノゲンブロ
ミド活性化樹脂またはマレイミド活性化樹脂に結合され得る。これらの樹脂の多
くは、市販されている(例えば、Pharmacia Corporation
’の活性化Sepharose)。あるいは、SSPは、そのカルボン酸残基を
通じて、例えば、市販の樹脂PharmaciaEAH−活性化Sepharo
seによって連結される。
【0037】 本発明の1つの実施形態に従って、本発明の精子表面タンパク質は、ヒトおよ
び非ヒト動物におけるワクチンとして使用される。より詳細には、本発明は、避
妊のためのSSPベースのワクチンの使用を含む。本発明の1つの局面において
、SSPは、被験体に対して送達されて、能動的免疫応答を惹起し、受胎の一時
的または反転のアンタゴニストとして作用し得る。例えば、そのようなワクチン
は、被験体の能動的免疫のために使用されて、卵への精子の運動性もしくはアク
セスを一過的にブロックする抗体応答を惹起し得る。本発明の1つの局面におい
て、抗原は、月の特定の期間で、例えば、排卵期の間に投与されて、雌性被験体
の抗精子抗体力価を惹起して受精能をブロックし得る。
【0038】 本発明の別の実施形態において、SSPは、被験体の恒久的不妊化のためのワ
クチンとして有用である。そのようなワクチンを使用して、不可逆的不妊化のた
めの方法として有用である、精子細胞に対するT細胞媒介性攻撃を惹起し得る。
T細胞特異的応答を生成するための方法(例えば、養子免疫治療)は、当該分野
において周知である(例えば、以下を参照のこと:Vaccine Desig
n,Michael F.Powell and Mark J.Newman
Eds.,Plenum Press,New York,1995,pp
847−867)。そのような技術は、獣医学的避妊または不妊化の目的のため
に特に有用であり得る。この場合、単回投与ワクチン接種が所望され得る。
【0039】 精子表面タンパク質抗原は、大量に生産され得、そしてワクチン調製物におけ
る使用のために精製され得る。本発明のその精子表面タンパク質はまた、免疫ア
ッセイにおける以下の有用性を有する:例えば、その抗原のための抗体の存在を
、ワクチン接種された被験体からの体液のサンプルにおいて検出もしくは測定す
ること、ならびに従って、その被験体の免疫応答を診断および/またはモニター
すること、続いてワクチン接種をすること。免疫原性ポリペプチドを、活性成分
として含むワクチンの調製物は、当業者に公知である(例えば、以下を参照のこ
と:Vaccine Design,Michael F.Powell an
d Mark J.Newman Eds.,Plenum Press,Ne
w York,1995,pp 821−902)。
【0040】 精子表面タンパク質抗原の免疫賦活性は、免疫後の試験動物における免疫応答
を精子表面タンパク質抗原を用いてモニターすること、または当該分野において
公知の任意の免疫アッセイの使用によって、決定され得る。体液性(抗体)応答
の生成および/または細胞媒介製麺液の生成は、免疫応答の指標として採用され
得る。試験動物としては、マウス、ハムスター、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、チ
ンパンジー等が挙げられ得、そして最終的にヒト被験体であり得る。
【0041】 ワクチンを導入する方法は、経口、膣内、皮内(intradennal)、
筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻内、および乱切を介すること(皮膚の上層を
通すようにひっかくこと(例えば、分岐(bifurcated)針を用いる)
、あるいは任意の他の標準的な免疫の標準的な経路を含み得る。試験被験体の免
疫応答は、以下のような種々のアプローチによって分析され得る:卵タンパク質
抗原に対する得られた免疫血清の応答性(これは、以下の公知の技術によってア
ッセイされる:例えば、免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロット、放射
性免疫沈降など、または卵タンパク質抗原が抗原性もしくは免疫原性を提示する
場合、免役された宿主における受精能に対する免役された宿主の保護による)。
【0042】 精子表面タンパク質ワクチンの適切な動物試験の一例として、本発明のワクチ
ンは、精子表面タンパク質抗原に対する抗体応答を惹起する能力についてウサギ
において試験され得る。雄性特異的病原体皮含有(SPF)若年成体New Z
ealand Whiteウサギが使用され得る。この試験群は各々、固定され
た濃度のワクチンを受ける。コントロール群は、精子表面タンパク質抗原のない
1 mM Tris−HCl pH 9.0の注射を受ける。
【0043】 血液サンプルは、1または2週間ごとにそのウサギから採取され得、そして血
清が精子表面タンパク質に対する抗体について分析され得る。この抗原に対して
特異的な抗体の存在は、例えば、ELISAを用いてアッセイされ得る。本発明
のワクチンの有効用量(免疫量)は、動物モデル試験系に由来する用量応答曲線
から外挿され得る。
【0044】 そのようなワクチンの適切な調製物としては、注射可能物(液体溶液または懸
濁物のいずれかとして);注射内の液体、その中の懸濁物またはその前の液体に
適切な固体形態もまた、調製され得る。この調製物はまた、乳化され得るか、ま
たはそのポリペプチドは、リポソーム中にカプセル化され得る。活性な免疫原性
成分は、しばしば、賦型剤と混合される。この賦型剤は、活性成分に対して薬学
的に受容可能かつ適合性である。適切な賦型剤は、例えば、水、生理食塩水、デ
キストロース、グリセロール、エタノールなどおよびそれらの組合せである。さ
らに、所望される場合、そのワクチン調製物はまた、微量の補助物質(例えば、
湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝化剤、および/またはアジュバントであって、
ワクチンの効力を増強するもの)を含み得る。
【0045】 有効であり得るアジュバントの例としては、以下が挙げられるがそれらに限定
されない:水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D
−イソグルタミン(thr、MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−ア
ラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソ
グルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L
−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロ
キシホスホリルオキシ)−エチルアミン、ならびにリゾレシチン、プルロニック
ポリオールのような表面活性化物質;ポリアニオン;ペプチド;油エマルジョン
;ミョウバン;およびMDP。アジュバントの抗力は、卵表面タンパク質ポリペ
プチドエピトープを含む免疫原性ポリペプチドに対して指向される抗体の誘導を
測定することによって決定され得る。この抗体は、ワクチンにおけるこのポリペ
プチドの投与から生じる。このワクチンはまた、種々のアジュバントから構成さ
れる。
【0046】 この免疫原は、配列番号1〜23のアミノ酸配列を含む1つ以上のポリペプチ
ドを含み得る。さらに、その免疫原はまたリポソーム中へと取り込まれ得、また
はワクチン処方物中における使用のためのポリサッカリドおよび/もしくは他の
ポリマーと結合体化され得る。組み換え抗原がハプテン(すなわち、同族抗体に
選択的に反応し得るということにおいて抗原性であるが、それが免疫応答を惹起
し得ないという点で免疫原性ではない分子)である場合において、そのハプテン
は、キャリアに共有結合され得るか、または免疫原性分子であり得る;例えば、
血清アルブミンのような大タンパク質は、それに対して結合したハプテンに対す
る免疫原性を付与する。ハプテンキャリアは、ワクチンとしての使用について処
方され得る。
【0047】 そのポリペプチドは、中性または塩の血清へと処方され得る。薬学的に受容可
能な塩としては、以下が挙げられる:酸付加塩(ペプチドの有利アミノ基ととも
に形成される)、および無機酸(例えば、塩酸もしくはリン酸)または有機酸(
例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸など)と形成される酸付加塩。遊離
カルボキシ基と形成される塩はまた、無機塩基(例えば、リン酸ナトリウム、ア
ンモニウム、カルシウム、または塩化鉄(III))、および有機塩基(例えば
、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒス
チジン、プロカインなど)に由来し得る。
【0048】 本発明のワクチンは、多価または一価であり得る。多価ワクチンは、1つを超
える抗原の発現を指向させる組み換えウイルスから作製される。そのワクチンが
投与される患者は、好ましくは、哺乳動物であり、そして好ましくはヒトである
が、以下を含むがそれらに限定されない非ヒト動物でもあり得る:ウシ、ウマ、
ヒツジ、ブタ、鳥類(例えば、ニワトリ)、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、マ
ウスおよびラット。
【0049】 本発明のワクチン処方物は、有効免疫量の精子表面タンパク質および薬学的に
受容可能なキャリアを含む。ワクチン調製物は、有効免疫量の1つ以上の抗原お
よび薬学的に受容可能なキャリアを含む。このキャリアは、好ましくは無菌であ
る。その組成物はまた、所望される場合、微量の湿潤剤または乳化剤、あるいは
pH緩衝化剤を含み得る。この組成物は、液体溶液、懸濁物、エマルジョン、錠
剤、丸剤、カプセル、徐放性処方物または散剤であり得る。経口処方物は、標準
的なキャリア(例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ス
テアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウ
ムなど)を含み得る。その処方物は、投与形態に適切であるべきである。
【0050】 一般に、その成分は、単位投薬量形態(例えば、活性薬剤の量を示すアンプル
またはサシェのような密封封入された容器中の乾燥凍結乾燥粉末または無水濃縮
物)で別個にまたはともに混合されるかのいずれかで供給される。その組成物が
注射で投与される場合、滅菌希釈物のアンプルが提供され得、その結果、その内
容物は、投与の前に混合され得る。本発明はまた、本発明のワクチン処方物の1
つ以上の成分を含む1つ以上の容器を含む、薬学的パックまたはキットを提供す
る。
【0051】 本発明の1つの局面は、SSPに結合する抗体(モノクローナルまたはポリク
ローナル)に関する。特に、配列番号1〜23からなる群より選択されるアミノ
酸配列を含むポリペプチドに免疫特異的に結合するこれらの抗体。1つの好まし
い実施形態においてこの抗体は、モノクローナル抗体である。本発明のSSP抗
原に対して生成された抗体は、授精に対するワクチン接種、不妊、診断免疫アッ
セイ、受動免疫アッセイおよび抗イディオタイプ抗体の生成における潜在的使用
を有する。従って、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび抗精子表面タ
ンパク質抗体の、授精を阻害するに充分な量を含む薬学的組成物を包含する。免
疫手順において、しようされる免疫減の量および免疫スケジュールは、当業者に
よって決定され、そして被験体の免疫応答および抗体力価を参酌することによっ
て投与される。
【0052】 1つの実施形態に従って、避妊抗血清を調製するための方法が提供される。こ
こで、この抗血清は、精子表面抗原に対する抗体を含む。好ましい実施形態にお
いて、その精子表面抗原は、雄性配偶子、より詳細には精子に特有のタンパク質
である。この方法は、精子表面タンパク質またはその免疫原性フラグメントで動
物を免疫する工程、その免疫された動物から血清サンプルを入手する工程、血清
表面タンパク質(またはその免疫原性フラグメント)に結合する能力についてそ
の血清をスクリーニングする工程、およびその精子表面タンパク質に結合するそ
の能力に基づいて血清を回収する工程、を包含する。得られる血清は、ポリクロ
ーナル抗体を含み得、または1つ以上のモノクローナル抗体を含み得る。あるい
は、抗体スクリーニング細胞は、免疫された動物から入手され得、そしてそれら
の細胞は、不死化され得、そして標準的な技術を用いて精子表面タンパク質に結
合する抗体を分泌する細胞についてスクリーニングされ得る。精子表面タンパク
質に結合する抗体を分泌する細胞が単離され得、そしてこれを用いて抗体を産生
し得る。
【0053】 生成された抗体は、当該分野において公知の標準的な技術(例えば、免疫アフ
ィニティークロマトグラフィー、遠心分離、沈降など)によって単離され得、そ
して診断免疫アッセイにおいて用いられ得る。これらの抗体を用いて処置および
/または疾患進行をモニターし得る。当該分野において公知の免疫アッセイ系は
、以下を含むがそれらに限定されないこの目的のために用いられ得る:以下のよ
うな技術を用いる競合性アッセイおよび非競合性アッセイ:放射免疫アッセイ、
ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、沈
降素反応、ゲル核酸沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定ア
ッセイ、免疫放射測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイ
および免疫電気泳動アッセイ。
【0054】 本発明のワクチン処方物はまた、受動免疫治療における使用のための抗体を産
生するために用いられ得る。ここで、宿主の短期保護は、異種生物に対して思考
される予備形成された抗体の投与によって達成され得る。
【0055】 本発明のワクチン処方物によって産生された抗体はまた、抗イディオタイプ抗
体の産生において使用され得る。次いで、この抗イティオタイプ抗体は、免疫の
ために使用されて、病原体微生物の初期抗原に結合する抗体亜集団を産生し得る
(Jerne,1974,Ann Immunol.(paris) 125c
:373; Jerne,ら,1982,EMBO J.1:234)。
【0056】 種々の送達系が公知であり、そしてそれを使用して本発明の治療剤を投与し得
る(例えば、リポソーム、微粒子、微小カプセル中へのカプセル化、その治療剤
を発現し得る組換え細胞、レトロウイルスもしくは他のベクターの部分としての
治療剤核酸の構築物など)。導入の方法は以下を含むがそれらに限定されない:
皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口の経路。この
化合物は、例えば、注射またはボーラス注射により、上皮裏打ちまたは粘膜裏打
ち(例えば、経口粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を通じた吸収により、任意
の簡便な経路によって投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤とともに投
与され得る。投与は、全身性または局所性であり得る。肺投与もまた、吸入器ま
たはネブライザ、およびエアゾール化剤を有する処方物の使用によって、用いら
れ得る 特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物を処置が必要な領域に局所的
に投与することが所望され得る。これは、例えば、限定ではなく、局所塗布、注
射、カテーテルの手段、坐剤の手段、またはインプラントの手段によって達成さ
れ得る。このインプラントは、多孔性、非多孔性またはゼラチン性材料であり、
これには、膜(例えば、シアル性(sialastic)膜)または繊維が含ま
れる。
【0057】 別の実施形態において、その治療剤は、ベシクル、特にリポソーム中で送達さ
れ得る(以下を参照のこと:Langer,Science 249:1527
−1533(1990);Treatら,Liposomes in the
Therapy of Infectious Disease and Ca
ncer,Lopez−Berestein and Fidler(編),L
iss,New York,pp.353−365(1989);Lopez−
Berestein,同上、pp.317−327;一般的に、同上を参照のこ
と)。
【0058】 さらに別の実施形態において、その治療剤は、制御された放出系で送達され得
る。1つの実施形態において、ポンプが使用され得る(以下を参照のこと:La
nger,前出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.
Eng.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 8
8:507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321
:574(1989))。別の実施形態において、重合性材料が使用され得る(
以下を参照のこと:Medical Applications of Con
trolled Release,Langer and Wise(編),C
RC Pres.,Boca Raton,Florida(1974);Co
ntrolled Drug Bioavailability,Drug P
roduct Design and Performance,Smolen
およびBall(編),Wiley,New York(1984);Rang
er and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev. Ma
cromol.Chem.23:61(1983);以下もまた参照のこと:L
evyら,Science 228:190(1985);During ら,
Ann.Neurol.25:351(1989);Howardら,J.Ne
urosurg.71:105(1989))。さらに別の実施形態において、
制御された放出系が、治療標的の近傍、すなわち精巣に配置され得る。従って、
全身性容量の一部のみが必要となる(例えば、以下を参照のこと:Goodso
n,1984,in Medical Applications of Co
ntrolled Release,前出,vol. 2,pp.115−13
8)。
【0059】 本発明はまた、薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、治療有効
量の治療剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。好ましい実施形態にお
いて、その組成物は、ヒトへの静脈投与のために適合された薬学的組成物として
、慣用手段に従って処方される。代表的に、静脈内投与のための組成物は、滅菌
等張性水性緩衝液中の溶液である。必要である場合、この組成物はまた、可溶化
剤および局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)を含んで、その注射の部位での疼
痛を緩和する。一般に、成分は、別個または単位投薬量形態(例えば、活性薬剤
の量を示す、アンプルまたはサシェのような密封封入容器中の乾燥凍結乾燥粉末
または無水濃縮物)で一緒に混合して供給される。その組成物が注入により投与
されるべきとき、滅菌薬学的等級の水または生理食塩水を含む注入瓶を用いて分
配され得る。その組成物が注射によって投与される場合、注射のための滅菌水ま
たは生理食塩水のアンプルが提供され得、その結果、その成分は、投与前に混合
され得る。
【0060】 特定の処置または状態において有効である本発明の治療剤の量は、その障害ま
たは状態の性質に依存する。そして、それは、標準的な臨床的技術によって決定
され得る。さらに、インビトロアッセイが、必要に応じて使用されて、最適な投
薬量範囲が同定されるに役立ち得る。処方物において使用されるべき正確な用量
は、投与の経路に依存し、そして担当医の判断および各患者の環境に従って判定
されるべきである。しかし、静脈投与のための適切な投薬量範囲は、一般に、1
kg体重あたり、20〜500μgの活性成分である。坐剤は一般に、0.5重
量%〜10重量%の範囲内の活性成分を含む;経口処方物は、好ましくは10%
〜95%の活性成分を含む。鼻内投与のための適切な投薬量範囲は、約0.01
pg/kg体重〜1 mg/kg体重である。有効用量は、インビトロまたは
動物モデルの試験系から誘導される用量応答曲線から外挿され得る。
【0061】 (実施例1) (材料) (ヒト血清) 血清を、「説明がつかない」不妊を有する不妊の男性および女性から得た。不
妊の被験体は彼らの不妊について、以前に診断されたホルモン性、感染性、また
は理学的な原因を何ら有しなかった。男性被験体は、精管切除を受けていなかっ
た。
【0062】 (免疫ビーズ結合) 不妊女性患者の血清における抗精子抗体を、以下に記載されるように、間接的
な免疫ビーズ結合によって検出した:Manual of clinical
laboratory immunology,第4版,American s
ociety for microbiology,Washington,D
.C 1992;1013−1017。男性患者の精子に結合した抗精子抗体を
、直接免疫ビーズ結合によって検出した。すべての血清および血清サンプルを、
IgG、IgMおよびIgA特異的な抗精子抗体の存在について試験し、そして
18人の不妊男性被験体、9人の不妊女性被験体、5人の妊性男性被験体および
5人の妊性女性被験体を含ませた。
【0063】 (ウェスタンブロット分析のための血清を選択するための基準) 高IBTスコア(すなわち、60%を超える精子がビーズに結合することが観
察され、これは、IgGおよび/またはIgM特異的な抗精子抗体の指標である
)に基づいてさらなる研究のための血清を選択した。選択されたすべての血清は
、精子ヘッドまたは精子全体に対して指向される抗体を含んでいた。ウェスタン
ブロット分析のために合計15の精子サンプルを不妊男性について選択し、6つ
の血清サンプルを不妊女性から選択した。
【0064】 (精子抗原の調製) 精液検体を、正常な精子品質を有する妊性ドナーから得た。正常な精液特性を
有する射精液のみを、本研究で用いた。精液の液化の後、成熟した精子を精漿(
seminal plasma)、未熟な生殖系細胞および非精子細胞(主に白
血球および上皮細胞)からPercoll(Pharrnacia Biote
ch,Uppsala,Sweden)密度遠心分離(以下により記載される:
Naaby−Hansenら(Biol Reprod 1997;56:77
1−787))によって分離した。最後の遠心分離の前に、その細胞を計数し、
そしてすべてのサンプルは、90%を超える運動性を示した。8〜12の個体か
ら得られた精子をプールし、そしてさらなる使用まで即座に凍結した。すべての
サンプルを、University of Virginia Human I
nvestigation Committeeによって承認された形式を用い
てインフォームドコンセントのもとに入手した。
【0065】 (放射性ヨウ素化) 放射性ヨウ素化を、Naaby−Hansenら、(Biol Reprod
1997;56:771−787)によって適合させられそして標準化された
手順に従って行った。パーコール(percoll)で精製した精子を、20×
106個/mlの最終濃度に、Ham’s F−10培地中に懸濁した。洗浄し
たヨウ素ビーズ(Pierce Chemical Co.,Rockford
、IL)(8×106個の精子あたりに1個のビーズ)およびキャリアを有さな
125I−Na(10μCi/106個の精子)を、サンプルに添加した。放射性
標識は、サンプルを振盪しているテーブル上で20℃で10分間、インキュベー
トすることによって行った。細胞を、ピペッティングによってヨウ素−ビーズか
ら取り除き、そしてすぐに第2回目のパーコール密度勾配遠心分離に供した。そ
の後、Ham’s F−10培地中で3回洗浄した。本明細書中で研究した「表
面」タンパク質は、主に、射精された精子上の外部標識に接近可能である、血漿
膜タンパク質である。これらは、使用する調製方法に従って、アクロソーム反応
を受けないほぼ完全な細胞から構成される。細胞を、最後の洗浄の前に計数し、
そして得られたペレットを精子タンパク質の抽出のために使用した。オートラジ
オグラフィーを、以下の順で成分のサンドイッチを使用して行った:増感スクリ
ーン、ブロット、2層のフィルム、および増感スクリーン。X線フィルムは、通
常3週間暴露した。
【0066】 (可溶化手順) 精子を、100mMのジチオスレイトール(DTT)、尿素(9.8M)、お
よびプロテアーゼインヒビター(2mMのPMSF、5mMのヨードアセトアミ
ド、5mMのEDTA、3mg/mlのL−1−クロル−3−(4−トシルアミ
ド)−7−アミノ−2−ヘプタノン−ハイドロクロライド(TLCK)、1.4
6mMのペプスタチンA、および2.1mMのロイペプチン)を含有している2
%のオクチル−β−グルコ−ピラノシド(OBG)を含有している溶解緩衝液中
に可溶化させた。1mlあたり5×108個の細胞を、4℃で45分間絶えず振
盪することによって可溶化させた。不溶性の物質を、10,000×gで2分間
の遠心分離によって除去し、そして上清を、一次元電気泳動に供した。
【0067】 (電気泳動) 等電点電気泳動を、以前に記載されているようなゲル組成物(Naaby−H
ansenら、Biol Reprod 1997;56:771−787)を
使用して行った。キャリアアンホリン(ampholine)組成物は、20%
のpH5〜7、20%のpH7〜9、および60%のpH3.5〜10であった
。65μlの精子抽出物(約0.15mgのタンパク質)を、1本のロッド当た
りに適用した。チューブを、5%のNP−40、1%のアンホリン(pH3.5
〜10)、8Mの尿素、および100mMのDTTを含有している緩衝液を用い
てサンプルを穏やかに重層することによって満たした。等電点電気泳動を、段階
的な電圧を使用して全部で17,700ボルト−hで行った:200vで2時間
、500vで5時間、800vで11時間、そして2000ボルトで3時間。
【0068】 非平衡pH勾配電気泳動(NEPHGE)を、Celisら、Electro
phoresis、1992;13:893−959)およびNaaby−Ha
nsenら(Biol Reprod 1997;56:771−787)によ
って記載されているゲル組成物を使用して、14×0.15cmのアクリルアミ
ドロッド中で行った。キャリアアンホリン組成物は、13% pH3.5〜10
、37% pH5〜8、13% pH6.5〜9、そして37% pH8〜10
.5であった。55μl(約0.13mgのタンパク質)の精子抽出物を1つの
ロッド当たりに適用した。電気泳動を、400ボルトで5時間、そして550ボ
ルトで3時間を使用する、全部で8600ボルト−hで行った。
【0069】 二次元SDS−PAGEを、0.15cmの厚みの、16×16cmのスラブ
ゲル中で、Protean II xi Multi−cell装置(Bio−
Rad、Richmond,CA)(Biol Reprod 1997;56
:771−787)中で直線状の勾配ゲルを使用して行った(T=9〜15%;
T=ゲル中のアクリルアミドの濃度)。ニトロセルロース膜への電気的な移動を
、Biol Reprod 1997;56:771−787に記載されている
ように行った。
【0070】 (イムノブロッティング分析) 2−Dで分離したポリペプチドの電気的な移動の後、膜をPBS(pH7.4
)中で5分間、2回リンスし、そして過剰な結合部位を、5%の粉ミルクおよび
0.05%のTween20を含有しているPBS(pH7.4)中で室温で1
時間インキュベーションすることによってブロックした。ブロットを、絶えずゆ
っくりとした振盪下で、4℃で一晩、1:2000希釈の血清とともにインキュ
ベートした。いくつかの場合においては、所定のブロットを、1つ以上の血清と
ともにインキュベートした。これらの例においては、ブロットを、第1の血清と
の4℃で一晩のインキュベーション後に、0.05%のTween20を含有し
ているPBS(pH7.4)中で洗浄し、そして上記と同じ条件下で別の血清と
ともにインキュベートした。不妊男性に由来する15個の血清を分析し、そして
不妊女性に由来する6個の血清を分析した。これらは、IBTによって示されて
いるような抗精子抗体を含んだ。二次酵素結合抗体(Jackson Immu
noResearch Lab.,WestGrove,PA)(ヤギ抗ヒトI
gG+IgM)を、0.05%のTween20を含有しているPBS中で1:
5000に稀釈し、そしてブロットを20℃で1時間インキュベートした。二次
抗体は単独では、ブロットされたヒトの精子タンパク質に結合しなかった(デー
タは示さない)。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体を、製造業者のプロトコー
ル(Amersham Corp.,U.K.)を使用して増強された化学発光
(ECL)によって可視化した。
【0071】 (スキャンおよびコンピューター分析) 化学発光調製物によるX線フィルムおよび放射性ヨウ素化実験によるオートラ
ジオグラムを、Kodakカメラ(Eastman Kodak,Roches
ter,NY)を用いてスキャンした。得られた2−D画像を、Bio Ima
ge「2D分析装置」バージョン6.1(Bio Image,Ann Arb
or,MI)を使用して分析した。このソフトウェアは、2Dゲルによって分離
されたタンパク質のスポットの同定、定量、および比較を自動的に行う。両方の
性別の妊性の被験体によって認識された凝集タンパク質のスポットを示している
複合画像を、参照点または「アンカー」としてそれぞれの画像について共通であ
るタンパク質のスポットを使用することによって、妊性の男性および女性の個体
に対応する、ECLブロットのコンピュータースキャン画像を適合させた後に得
た。アンカーは、電気泳動の移動度、タンパク質のスポットの座位、およびスポ
ットの形状に基づいて選択した。不妊の被験体によって認識されたタンパク質の
スポットから妊性の被験体によって認識されたタンパク質のスポットを引き算す
るために、分離されたタンパク質のスポットの得られた複合画像を比較し、そし
て不妊の男性および女性のグループに対応する画像と適合させた。このようにし
て、不妊の被験体によって特有に認識される主要な自己抗原およびイソ抗原を同
定する。
【0072】 精子の表面タンパク質(精子の表面のエンサイクロペディア)のデータベース
を、表面の放射性ヨウ素化後に得られたオートラジオグラムの適合に従って作製
した。一貫して標識されたこれらのスポットのみを含むように、注意を払った。
自己抗原およびイソ抗原を含むコンピューターによって作製された画像を、表面
の自己抗原およびイソ抗原を同定するために、精子の表面のエンサイクロペディ
アと適合させた。
【0073】 (結果) 実験した全ての不妊の血清(15人の男性および6人の女性)は、IgGおよ
び/またはIgM抗精子抗体を含み、IBT中で60%より多くの精子がビーズ
に結合した。妊性の個体(5人の男性および5人の女性)に由来する使用したコ
ントロール血清は、IBTについては陰性であり、10%未満の精子が免疫ビー
ズによって結合された。
【0074】 非イオン性界面活性剤/尿素で可溶化したヒトの精子のタンパク質の銀染色2
−Dゲル(16×15cm)によって、IEF/PAGEおよびNEPHGE/
PAGEによる1300より多くのタンパク質のスポットが決定された。これら
のゲルは、10人の個体の精子のプールから得られたタンパク質のスポットのレ
パートリーを示す。タンパク質のパターンは、再現性が高いが、ドナーの間の少
ないバリエーションが、相対的な豊富さおよび同じタンパク質の電荷に関して観
察された(これらは、個々のサンプルをコンピューター分析によって比較した場
合に、変化することが見出された)。主要なタンパク質のスポットのいくつかの
同一性を、個々のスポットを微量配列決定することによって、または特異的なタ
ンパク質に対する抗血清を用いたイムノブロッティングによって、同定した。例
えば、異なる熱ショックタンパク質のファミリーのメンバーを決定した。これら
のタンパク質は、精子の膜上で豊富である。PH−20(精子のヒアルロニダー
ゼ)は、膜結合タンパク質であり、3個の53kDaのイソ型によって提示され
る。主要な細胞質性のタンパク質である、α−チューブリンおよびβ−チューブ
リンをもまた、ヒトの精子のカルレティキュリンであるとして検出した。
【0075】 IEFまたはNEPHGEによって決定した精子タンパク質の2Dウェスタン
ブロットを、妊性の男性被験体に由来する血清を用いて、または不妊男性被験体
に由来する血清を用いて、プローブした。不妊の被験体に由来する血清は、妊性
の被験体よりもいくつかのスポットに対してより強力な免疫反応性を示したが、
強度におけるこのような差異の重要性は、現在は理解されていない。さらに、酸
性タンパク質および塩基性タンパク質の両方の中の多数の抗原性スポットが、不
妊の血清と反応性であったが、妊性の血清とは反応性ではなかった。同様に、不
妊女性の血清でプローブしたウェスタンブロットを妊性の女性の血清と反応性で
あるものと比較することによって、免疫学的な反応性における差異が注目された
;不妊の被験体の血清は、より多くの抗原性のスポットを認識し、そしてまた、
妊性の女性に由来する血清よりもいくつかのスポットに対して強力な反応性を示
した。
【0076】 (酸性抗原の分析) 個々の不妊の血清の分析は、認識された特異的タンパク質の範囲における顕著
な可変性を示したが、いくつかの抗原が種々の個体について共通であることもま
た実証した。認識された精子抗原の範囲のこの観察は、ヒトの男性における抗精
子抗体のレパートリーにおける相当な多様性を暗に意味する。一方、特定の精子
抗原についての免疫反応性のパターンにおける類似性にしばしば注目した。コン
ピューターによる分析、ならびに不妊および妊性の血清と反応したブロットの比
較により、約60kDaで4個のタンパク質のスポットが、妊性の被験体によっ
ては認識されないタンパク質のサブセットに属する両方の不妊の個体によって認
識されたことを示された。
【0077】 両方の性別に由来する妊性および不妊の血清によって認識された免疫反応性の
精子タンパク質のレパートリーの広範囲の外観を、各々のグループの被験体に由
来する5個の血清とともに、ブロットを連続してインキュベートすることによっ
て得た(図1Aから1D)。不妊の被験体に由来する血清を、それらの高い免疫
反応性、免疫反応性における不均質性、および血清の個々のウェスタンブロット
分析後の特定のタンパク質スポットの特有の認識に基づいて選択した。図1Aお
よび1Bは、5人の妊性の男性(A)および5人の妊性の女性(B)の被験体に
由来する血清によって結合された精子タンパク質のレパートリーを示す。妊性の
男性(A)および妊性の女性(B)の被験体によって認識された精子抗原の比較
によって、2つの性別の間でのレパートリーにおける顕著な全体的な類似性を明
らかにしたが、妊性の男性の血清は、妊性の女性の血清よりも多数の抗原を認識
した。図1Cおよび1Dは、それぞれ、5人の不妊男性(C)および5人の不妊
女性被験体(D)に由来する血清で連続してプローブしたウェスタンブロットを
示す。妊性の患者の血清でプローブしたウェスタンブロットと不妊患者の血清で
プローブしたウェスタンブロット(図1のA+B対C+D)の比較は、いくつか
の異なる精子抗原が、不妊患者によって認識されたことを示す(矢印)。男性患
者によって特有に認識された顕著なタンパク質スポットの分子量は、34kDa
(pI 4.2)、42kDa(pI 4.3)、88.5kDa(pI 4.
0)、106kDa(pI 4.2)、41.8kDa(pI 5.3、pI
5.4、pI 5.5)、61.5kDa(pI 5.62)、60.4kDa
(pI 5.75)、ならびに60kDa(pI 6.6および6.7)である
。不妊女性によって認識される主要なイソ抗原は、60kDa(pI 6.2、
pI 6.4、pI 5.82、pI 5.88)、32.3kDa(pI 6
.7、pI 6.8、pI 6.85)、および41.2kDa(pI 5.1
)の分子量である。
【0078】 (男性患者の血清と女性患者の血清との間での免疫反応性における変化) イムノブロットのコンピューター画像分析は、不妊男性患者の血清によっては
、全部で310個の抗原が認識され、一方、205個の抗原が不妊女性患者の血
清によって認識されたことを示した。この結果は、不妊男性によって示された精
子抗原に対する免疫反応性が、おそらく、不妊女性のものよりも高いことを示唆
する。さらに、免疫反応性のパターンにおける異なる変化が2つの性別の間で識
別可能であり、これらのグループのそれぞれが、タンパク質の異なるセットに対
する特異性を示し(図1Cおよび1D)、なお、両方の被験体のグループに対し
て共通であるタンパク質が注目された。
【0079】 不妊男性のグループによって認識された抗原の全体のレパートリーからの、男
性および女性の両方の妊性の被験体によって認識された抗原の、コンピューター
を援用する引き算により、86個のタンパク質抗原が明らかとなった。これらは
、妊性の被験体と比較して、不妊男性被験体(図2A)だけによって認識された
。不妊男性患者だけによって認識されたこれらの86個の抗原のうち、72個が
、不妊男性患者の血清に対してのみ特異的であり、そしてこれらは、不妊女性の
血清によっては認識されなかった。2−Dブロットの同様のコンピューターを援
用する分析により、不妊女性被験体について特有である26個のタンパク質スポ
ットが生じた(図2B)。これらの抗原のうちの12個が、不妊女性患者に対し
てのみ特異的であり、そして不妊男性患者によっては認識されなかった。不妊患
者の血清(男性および女性の両方)によってのみ認識された精子抗原の中で、1
4個の抗原が、男性および女性の両方の患者の血清によって共通して認識された
(矢印)。
【0080】 (ASA陽性患者によってのみ認識される精子の表面抗原) 図3は、ベクトルによって(vectorially)ヨウ素化した精子タン
パク質の2D IEF−PAGEによって得たオートラジオグラムのコンピュー
ターによるスキャンの後で得た、ヒトの精子の表面タンパク質のコンピューター
によって作製した複合画像を示す(Biol Reprod 1997;56:
771−787)。103個のタンパク質を、この方法によって精子の表面上で
同定した。精子の表面タンパク質の複合画像を用いる、精子の自己抗原およびイ
ソ抗原のコンピューターを援用する適合によって、精子表面の自己抗原およびイ
ソ抗原のサブセットの同定を提供した。6個の精子の表面の自己抗原およびイソ
抗原の位置を、図3に示す(矢印)。顕著なものは、6.2および6.4のpI
を有する2つの60kDaのタンパク質であり、これらは、2つの不妊女性の血
清によって認識された。不妊男性の血清によって認識された精子抗原の中の2つ
の血清は、4.0のpIを有する88.2kDaの精子の表面タンパク質を認識
した。2つの血清はまた、両方とも4.2のpIの34kDaおよび38kDa
の分子量の2つの精子の表面タンパク質を認識した。表1は、精子表面のイソ抗
原および自己抗原の質量およびpIを列挙する。
【0081】
【表1】 (ウェスタンブロットの結果とIBTの結果との相関関係) 種々の表面ドメインに対する結合についての免疫ビーズ試験において高いスコ
アを生じたこれらの血清が、ウェスタンブロット上の精子の表面タンパク質を認
識するための、2D分析において示された抗体を含んだことに注目することは、
興味深かった。表1にはまた、これらの被験体の血清の免疫ビーズパターンをも
記載した。これらの血清の各々が、IgGおよび/またはIgM特異的抗体に対
するIBT反応性を示した。抗体は、精子の頭部または全体の表面に対して指向
された。
【0082】 (考察) 特異的な精子タンパク質が、抗精子抗体陽性の不妊の被験体に由来する血清に
よって、2−Dゲル上で認識され、そして同定された。これらの抗原はおそらく
、免疫不妊を生じることにおいて有意な役割を果たし、そして受精のカスケード
の事象において役割を果たし得る。一次元ゲルのウェスタンブロッティングを使
用して過去に行われた多くの研究は、抗精子抗体を含有している精子によって認
識される精子の抗原の分子量に関して種々の結果を生じた。これらの研究のほと
んどは、不妊の個体について行われ、そして妊性のコントロール血清を用いる精
子抗原の反応は、しばしば評価されなかった。さらに、反応性の精子の抗原の分
子量に関する矛盾した報告は、精子の抽出手順における変化に起因し得る。本発
明においては、二次元電気泳動を、一次元での個々のタンパク質の等電点に基づ
くタンパク質の分離のため、および二次元での分子量に基づくタンパク質の分離
のために使用した。これによって、タンパク質のより良好な解析を提供し得、そ
してこれは、微量配列決定に対する前置きとして作用し得る。
【0083】 高解像度の2−Dゲル技術(これは、精子タンパク質の分離に最適である)は
、抗精子抗体に対する血清のスクリーニングに適切である。IBTによる精子の
表面抗体の存在についての不妊患者に由来する血清の最初のスクリーニングによ
って、抗精子抗体を含有している血清に対して注意を向けることによって、さら
なる焦点を提供した。これらは、凝集、細胞毒性、または精子表面におけるブロ
ッキングの、抗体媒介の事象に関連し、そして従って、不妊に機能的に関連する
【0084】 個々の血清のイムノブロット分析は、抗精子イムノグロブリンのレパートリー
において相当の多様性が存在することを暗に意味する。多くの患者が同じセット
の抗原を認識しなかったという本研究における知見は、精子の構築の複雑さおよ
び自己免疫応答に関連する抗原の多様性に、一部起因し得る。これらの患者にお
ける不妊の機構およびパターンが異なり得ることもまた、おそらく示唆される。
異なる精子の表面タンパク質を認識する抗体は、不妊プロセスの異なる段階で作
用することによって受精に対する精子の能力に影響を与え得る。抗体のレパート
リーにおける差異はまた、免疫化の態様における差異にも関連し得る。以前の研
究は、抗精子IgA抗体のサブクラスが、精子に対する自己免疫を有するヒトに
おいて変化することを示した(Bronsonら、Human sperm a
ntibodies and their detection:Manual
of clinical laboratory immunology、第
4版、American society for microbiology
,Washington,D.C.1992;1013−1017)。
【0085】 ウェスタンブロットのデータ(図1Aおよび1Bを参照のこと)は、妊性の個
体および不妊の個体の両方の高い割合において、精子の自己抗体の存在を確認す
るが、妊性の個体は、ずっと少ない精子抗原を認識し、そして相対的な反応性の
強度は、不妊の個体と比較してより弱かった。これらのデータは、これらの血清
のそれぞれが免疫ビーズ試験において抗精子抗体について陰性であったので、妊
性の血清によって認識される精子抗原のほとんどが、内性であることを暗に意味
する。これらの細胞内抗原のいくつかは、微量配列決定されており、そして線維
鞘および外部の密度の高い線維のような精子の特異的な構造の成分として同定さ
れている。本発明においては、これらの抗原のサブセットの系統的な同定は、精
子抗原(これは、機能的に関連するおよび/または無関係な抗体の産生を誘発し
、そしてこの抗体は、再生機能の損傷において役割を有し得る)の同定を補助す
る。
【0086】 コンピューターによる分析と組合せたイムノブロッティングのための血清の連
続的なインキュベーションは、不妊患者に対して特有の主要な自己抗原およびイ
ソ抗原についての情報を提供することに成功した。男性の血清は、女性の血清よ
りも多くの抗原を認識した(310対205)が、より多い数の女性被験体由来
のサンプルを用いた広範囲の評価が、結果を統計学的に有効にするためには必要
とされる。男性患者の中の免疫システムに対する精子タンパク質のより長い一定
の暴露は、男性の中でのより高い反応性を説明し得る。さらに、男性患者と女性
患者との間での免疫反応性のパターンにおける明らかな差異は、識別可能であっ
た。男性患者の血清は、いくつかの酸性のタンパク質に対して反応性であり(p
I 4.0から5.0)、これらは、女性に由来する分析された血清のいずれに
よっても認識されなかった(図1Cおよび1Dを参照のこと)。逆に、6.0か
ら7.5のpIの範囲で女性のタンパク質によって認識された主要なイソ抗原は
、男性患者に由来する血清に対する反応性が低かった(図1Cおよび1D)。
【0087】 精子の抗原に関連する妊性を同定するための合理的な基準は、細胞の表面上に
存在するこれらの抗原の同定による。従って、精子の表面抗原に対する免疫性と
精子の内部抗原に対する免疫性の間を区別することが特に重要である。この理由
のために、固定された精子の精子表面タンパク質(これは、損傷した膜を有し、
それによって内部タンパク質の標識を可能にする)を標識するよりもむしろ、生
存している精子の表面タンパク質を標識した。精子の表面タンパク質を、125
で放射標識し、続いてIEF/PAGE、ならびにNEPHGE/PAGE分離
を行った(Naaby−Hansenら、Biol Reprod 1997;
56:771−787を参照のこと)。コンピューター分析を利用して、IEF
/PAGEゲル中の103個の表面の標識されたタンパク質から構成される複合
画像を得た。このコンピューター画像は、免疫不妊において役割を果たし得る6
個の精子の表面抗原のサブセットを分類することが可能であった。これらの抗原
のうちの1つは、2人の男性の不妊患者によって認識された、4.0のpIで8
8.2kDaのタンパク質である。Naaby−Hansenら(Biol R
eprod 1997;56:771−787)は、チロシン残基でリン酸化さ
れた精子の表面タンパク質であるとしてこのタンパク質を、以前に示した。興味
深いことに、2人の女性の血清は、免疫反応性において著しい類似性を示し、こ
れらは6.2および6.4のpIで60kDaの同じタンパク質のスポットを認
識した。これらの精子タンパク質の両方は、放射活性な125Iを有する精子の表
面の標識によって実証されるように、精子の表面上に存在することが見出された
。さらに、両方の血清が、免疫ビーズ試験によって示されるように、精子の頭部
に対して指向されたIgG抗体を含んだ。このことによって、これらの抗原が、
精子の表面上に曝されていること、おそらく精子の頭部に配置されることが確認
された。2人の男性患者の血清は、精子の表面上で同定された34kDaおよび
38kDaの2つのタンパク質のスポットを強く認識した。
【0088】 精子に対する免疫性を診断するためのIBTおよびウェスタンブロッティング
の両方に基づく血清の現在の分析は、抗精子抗体の存在を検出することおよび精
子の表面上の同種抗原を同定することが可能であるが、これらの抗体が指向する
エピトープの同定は、この分析の信頼度を改善するはずである。妊性において潜
在的な役割を有するようである複数の抗原の認識は、共通のエピトープに起因し
て生じ得る。
【0089】 以前の報告は、同じイソ型であるが精子の頭部に存在する異なる抗原に対して
指向されたモノクローナル抗体が、透明帯または有精卵(sperm−egg)
の膜融合体に対する精子の接着をブロックし得ることを、示した。さらに、同じ
精子の表面抗原の異なるエピトープに対して指向された抗体もまた、異なる方法
で精子の受精能力に影響を与え得る。
【0090】 表面標識された精子タンパク質の2−Dゲルパターンについての情報のコンピ
ューターによるデジタル化は、抗精子抗体の診断における新しいツールの可能性
、および抗体媒介の不妊の処置の可能性を開く。精子のプロテオーム(prot
eome)および精子の表面タンパク質の指標に基づいて、患者の血清での2−
Dイムノブロッティングは、ここでは、細胞表面で接近可能なタンパク質抗原に
対する抗体を有するそのような患者をつきとめるため、それによって、自己抗体
もしくはイソ抗体の患者のレパートリーについてのより特異的な情報を得るため
に使用され得る。これらのデータベースが、さらなる自己抗原またはイソ抗原の
同定を用いて拡大し、そして微細な配列情報およびクローニングに基づく微細な
配列が、関連するタンパク質の特徴を提供するので、定義された天然または組換
えの精子抗原を使用する、抗体媒介の不妊の免疫治療のための合理的な基準につ
いての可能性が、明らかになり得る。さらに、抗体媒介の不妊の診断は、患者の
血清での2−Dイムノブロットを使用して、そして表面抗原のデータベースにつ
いての結果を参照することによって、単純化され得る。
【0091】 (実施例2) 2つの2Dゲルバンドの配列分析。ヒアルロン酸結合タンパク質(ペプチド番
号1、表1)の同定 (方法:) 上部および下部のバンドは、4.4のpIで約36kDaで移動した。バンド
を、過剰なポリアクリルアミドを可能な限り最少にするように接近してゲルから
切りだし、多数のより小さい断片に分け、そして洗浄し、そして500μLの5
0%メタノール中で一晩脱色した。ゲルの断片を、アセトニトリル中で脱水し、
50μLの0.1Mの重炭酸アンモニウム中の10mMのジチオスレイトール中
で再水和し、そして55℃で1時間還元した。DTT溶液を除去し、そしてサン
プルを、50μLの50mMのヨードアセトアミド/0.1Mの重炭酸アンモニ
ウム中で、室温の暗所で1時間アルキル化した。試薬を除去し、そしてゲルの断
片を、100μLの0.1Mの重炭酸アンモニウムで洗浄し、そして100μL
のアセトニトリル中で5分間脱水した。アセトニトリルを除去し、そしてゲルの
断片を、100μLの0.1Mの重炭酸アンモニウム中で再水和した。断片を、
100μLのアセトニトリル中で再水和し、アセトニトリルを除去し、そして断
片を、減圧遠心分離によって完全に乾燥させた。ゲルの断片を、50mMの重炭
酸アンモニウム中の12.5ng/μLのトリプシン中で再水和し、そして氷上
で45分間インキュベートした。全ての過剰のトリプシン溶液を除去し、そして
20μLの50mMの重炭酸アンモニウムを添加した。サンプルを、37℃で一
晩消化し、そして形成されたペプチドを、2つの200μLの50%のアセトニ
トリル/5%のギ酸中のポリアクリルアミドから抽出した。これらの抽出物を混
合し、そしてLC−MS分析のために<20μLまで蒸発させた。
【0092】 LC−MSシステムは、10cm×75μmのid POROS 10 RC
逆相キャピラリーカラムに接続された電子噴霧イオン供給源を備えた、Finn
igan−MAT TSQ7000システムから構成された。1μLの容量の抽
出物を注射し、そしてペプチドを、アセトニトリル/0.1%の酢酸勾配によっ
て、0.6μL/分の流速でカラムから溶出した。電子噴霧イオン供給源を、7
0%のメタノール/30%の水/0.125%の酢酸の、1.2μL/分の同軸
の鞘の液体流(sheath liquid flow)、および最適な感受性
のために必要とされる場合に調節された、同軸の窒素流(nitrogen f
low)を用いて、4.5kVで操作した。消化物を、消化物中に存在するペプ
チドの分子量を測定するために、キャピラリーLC電子噴霧質量スペクトル分析
によって分析した。検出したペプチドについてのペプチド配列を、衝突ガスとし
てアルゴンを用いる、LC−電子噴霧直列型質量スペクトル分析を使用して、衝
突して活性化した解離によって決定した。
【0093】 (結果:) これらの2つの消化物の、LC−MS分析によって決定した分子量、およびペ
プチドのLC−直列型MSによって決定したアミノ酸配列を、表2に示す。6個
のペプチドを、より暗く染色されたバンドLB3−83−2(Anne、下部)
において検出し、そして4個のこれらの同じペプチド(ペプチド#2、3、4、
および5)を、より明るく染色されたバンドLB−3−83−1(Anne、上
部)において検出した。配列情報を、6個のペプチドのうちの5個について得た
。CADスペクトルの情報を使用するデータベース検索(SEQUEST)およ
び部分的なペプチド配列を使用するデータベース検索(BLAST)によって、
ヒトのヒアルロン酸結合タンパク質のデータベース配列中の2つのペプチドを同
定し、3および4と番号付けした(NCBInr.6.8.97登録番号730
772、計算したMW=31.4kDa、計算したpI=4.3)。他のペプチ
ドは、このデータベース配列においても、任意の他のデータベース配列において
も見出せなかった。
【0094】 まとめると、両方のバンドは、同様の系列のペプチドを生じる。両方のバンド
が2つのペプチドを含み、これらは、ヒトのヒアルロン酸結合タンパク質のデー
タベース配列に適合する。両方のバンドがさらなるペプチドを含み、これらは、
任意のデータベースのペプチドに対して適合し得ず、従ってこれらは、第2の未
知のタンパク質に由来するようである。
【0095】
【表2】 1Xは、IまたはLを示す。これらは、低エネルギーのCADによっては識別し
得ない。Moは、酸化されたMを示す。小文字は、試験的な割り当てを示す。_
は、単一の未知のアミノ酸を示す、−−−は、未知の数の未知のアミノ酸を示す
。略号は、以下の通りである:「X」=IleまたはLeu; SVXXSXKは、以下のアミノ酸配列を示す: Ser Val Ile Leu Ser Leu Lys(配列番号24)、 Ser Val Leu Ile Ser Leu Lys(配列番号25)、 Ser Val Leu Leu Ser Ile Lys(配列番号26)、 Ser Val Ile Ile Ser Leu Lys(配列番号27)、 Ser Val Ile Ile Ser Ile Lys(配列番号28)、 Ser Val Ile Leu Ser Ile Lys(配列番号29)、
および Ser Val Leu Leu Ser Leu Lys(配列番号30); VYTSは、以下のアミノ酸配列を示す: Val Tyr Thr Ser(配列番号31); GGWEXEXNGTEAKは、以下のアミノ酸配列を示す; Gly Gly Trp Glu Ile Glu Ile Asn Gly
Thr Glu Ala Lys(配列番号32)、 Gly Gly Trp Glu Ile Glu Leu Asn Gly
Thr Glu Ala Lys(配列番号33)、 Gly Gly Trp Glu Leu Glu Ile Asn Gly
Thr Glu Ala Lys(配列番号34)、および Gly Gly Trp Glu Leu Glu Leu Asn Gly
Thr Glu Ala Lys(配列番号35); AFVDFXSDEXKEERは、以下のアミノ酸配列を示す Ala Phe Val Asp Phe Ile Ser Asp Glu
Ile Lys Glu Glu Arg(配列番号36)、 Ala Phe Val Asp Phe Ile Ser Asp Glu
Leu Lys Glu Glu Arg(配列番号37)、 Ala Phe Val Asp Phe Leu Ser Asp Glu
Ile Lys Glu Glu Arg(配列番号38)、および Ala Phe Val Asp Phe Leu Ser Asp Glu
Leu Lys Glu Glu Arg(配列番号39);ならびに SGGWELELNGTEAKは、以下のアミノ酸配列を示す; Ser Gly Gly Trp Glu Leu Glu Leu Asn
Gly Thr Glu Ala Lys(配列番号40)。
【0096】 (実施例3) 3つのCM染色した2Dゲルのバンドの配列分析(ペプチド番号2、表1) (方法:) ゲルの断片を、シリコナイズしたチューブに移し、そして洗浄し、そして20
0μLの50%のメタノール中で一晩脱色した。ゲルの断片を、アセトニトリル
中で脱水し、0.1Mの重炭酸アンモニウム中の30μLの10mMのジチオス
レイトール中で再水和し、そして0.5時間室温で還元した。DTT溶液を除去
し、そしてサンプルを、0.1Mの重炭酸アンモニウム中の30μLの50mM
のヨードアセトアミド中で、0.5時間室温でアルキル化した。試薬を除去し、
そしてゲルの断片を、100μLのアセトニトリル中で脱水した。アセトニトリ
ルを除去し、そしてゲルの断片を、100μLの0.1Mの重炭酸アンモニウム
中で再水和した。断片を100μLのアセトニトリル中で脱水し、アセトニトリ
ルを除去し、そして断片を、減圧遠心分離によって完全に乾燥させた。ゲルの断
片を、50mMの重炭酸アンモニウム中の20ng/μLのトリプシン中で、氷
上で10分間再水和した。任意の過剰のトリプシン溶液を除去し、そして20μ
Lの50mMの重炭酸アンモニウムを添加した。サンプルを37℃で一晩消化し
、そして形成したペプチドを、2つの30μLの50%のアセトニトリル/5%
のギ酸のアリコート中のポリアクリルアミドから抽出した。これらの抽出物を混
合し、そしてLC−MS分析のために25μLまで蒸発させた。
【0097】 LC−MSシステムは、自己梱包された(self−packed)8cm×
75μmのid Phenomenex Jupiter 10μm C18逆
相キャピラリーカラムに接続されたProtanaナノスプレーイオン供給源を
備えた、Finnigan LCQイオントラップ質量スペクトル分析システム
から構成された。0.5〜5μLの容量の抽出物を注射し、そしてペプチドを、
アセトニトリル/0.1%の酢酸勾配によって、0.25μL/分の流速でカラ
ムから溶出した。ナノスプレーイオン供給源を、2.8kVで操作した。消化物
を、ペプチドの分子量を測定するためのフルスキャン質量スペクトルおよび連続
的なスキャンの中のアミノ酸配列を測定するための生成物イオンスペクトルを取
得する機器の、2倍の実行能力を使用して分析した。分析のこの態様によって、
数桁の大きさを超える量の範囲で、約400のCADスペクトルのイオンを生じ
る。必ずしも全てのCADスペクトルが、ペプチドに由来するわけではない。
【0098】 データを、SEQUEST検索アルゴリズムを使用してデータベース検索によ
って分析した。このアルゴリズムによっては適合しなかったペプチドを、手作業
によって解釈し、そしてSEQUESTアルゴリズムを使用してESTデータベ
ースに対して検索した。
【0099】 (結果:) 表3に示すペプチドを、バンドC48中で検出した。これらのペプチドのいず
れもが、任意のタンパク質またはEST項目と適合しなかった。このペプチドは
、完全に新規のものであるようである。
【0100】
【表3】 1IおよびLは、低エネルギーのCADによっては識別不可能であるが、データ
ベース配列によって推測される。M(o)は、酸化されたMを示す。Cは、Ca
(アクリルアミド)として記載されていない限りは、カルバミドメチルで改変さ
れている。_は、単一の未知の残基を示す。−−−は、未知の数の未知の残基を
示す。略号は、以下の通りである:「X」=IleまたはLeu; XQQTは、以下のアミノ酸配列を示す; Ile Gln Gln Thr(配列番号41)および Leu Gln Gln Thr(配列番号42); XNSQWVVPLRは、以下のアミノ酸配列を示す; Ile Asn Ser Gln Trp Val Val Pro Leu
Arg(配列番号1);および Leu Asn Ser Gln Trp Val Val Pro Leu
Arg(配列番号2); MVNXMXXXRは、以下のアミノ酸配列を示す; Met Val Asn Ile Met Ile Ile Ile Arg(
配列番号3)、 Met Val Asn Leu Met Ile Ile Ile Arg(
配列番号4)、 Met Val Asn Ile Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号5)、 Met Val Asn Ile Met Ile Leu Ile Arg(
配列番号6)、 Met Val Asn Ile Met Ile Ile Leu Arg(
配列番号7)、 Met Val Asn Ile Met Ile Leu Leu Arg(
配列番号8)、 Met Val Asn Ile Met Leu Leu Ile Arg(
配列番号9)、 Met Val Asn Ile Met Leu Ile Leu Arg(
配列番号10)、 Met Val Asn Leu Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号11)、 Met Val Asn Leu Met Leu Ile Ile Arg(
配列番号12)、 Met Val Asn Leu Met Ile Leu Ile Arg(
配列番号13)、 Met Val Asn Leu Met Ile Ile Leu Arg(
配列番号14)、 Met Val Asn Leu Met Ile Leu Leu Arg(
配列番号15)、 Met Val Asn Leu Met Leu Leu Ile Arg(
配列番号16)、 Met Val Asn Leu Met Leu Ile Leu Arg(
配列番号17)。
【0101】 (実施例4) バンド2によるペプチドを、実施例3および4に記載するように単離した。表
4に示すペプチドを、バンド2消化物中で検出した。そしてこれは、任意のデー
タベース配列とは適合し得なかった。ペプチドは、あまり豊富ではなく、そして
消化物は、多数のより豊富なペプチドを含み、これらの全てがケラチン配列と適
合した。
【0102】
【表4】 1IおよびLは、低エネルギーのCADによっては識別不可能であるが、データ
ベース配列によって推測される。Moは、酸化されたMを示す。Cは、特に記載
されていない限りは、カルバミドメチルで改変されている。_は、単一の未知の
残基を示す。−−−は、未知の数の未知の残基を示す。2+2イオンについての
分子量は、単一同位体(monoisotopic)の分子量であり、>+3イ
オンの分子量については平均の分子量である。略号は、以下の通りである:「X
」=IleまたはLeu; PXSSは、以下のアミノ酸配列を示す: Pro Ile Ser Ser(配列番号43)、および Pro Leu Ser Ser(配列番号44); MXPVXEは、以下のアミノ酸配列を示す: Met Ile Pro Val Ile Glu(配列番号18) Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号19) Met Ile Pro Val Leu Glu(配列番号20)、および Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号21); HGQSAEYEFは、以下のアミノ酸配列を示す: His Gly Gln Ser Ala Glu Tyr Glu Phe(
配列番号22)。
【0103】 FQQDGGASは、以下のアミノ酸配列を示す: Phe Gln Gln Asp Gly Gly Ala Ser(配列番号
23)。
【0104】 バンド3。表5に示すペプチドを、バンド3消化物中で検出した。このデータ
の分析は、消化したタンパク質があまり豊富ではなかったので複雑であった。ペ
プチド4および6を、ヒトのB7タンパク質のデータベース配列中で同定した(
NCBI.nr.01.04.99登録番号1732415、計算したMW=3
6.1kDa、計算したpI 5.0)。ペプチド3を、bacillus I
型のシグナルペプチダーゼのデータベース配列中で同定した(NCBI.nr.
01.04.99登録番号126186、計算したMW=21.0kDa、計算
したpI 9.4)。任意の他のペプチドについて適合するデータベースは見出
せず、そしてこれらのペプチドの全てが、ESTデータベースと適合し得なかっ
た。発明者らはまた、バンド3中のペプチド8および9のいずれもが、バンド2
中のペプチド2および3と同じであることに注目し得る。
【0105】
【表5】 1IおよびLは、低エネルギーのCADによっては識別不可能であるが、データ
ベース配列によって推測される。Moは、酸化されたMを示す。Cは、特に記載
されていない限りは、カルバミドメチルで改変されている。_は、単一の未知の
残基を示す。−−−は、未知の数の未知の残基を示す。2+2イオンについての
分子量は単一同位体の分子量であり、>+3イオンの分子量については平均の分
子量である。略号は、以下の通りである:「X」=IleまたはLeu; YIGEFDRは、以下のアミノ酸配列を示す; Tyr Ile Gly Glu Phe Asp Arg(配列番号45); SLQYLNLRは、以下のアミノ酸配列を示す; Ser Leu Gln Tyr Leu Asn Leu Arg(配列番号
46); DNQIDTSLGFSRは、、以下のアミノ酸配列を示す; Asp Asn Gln Ile Asp Thr Ser Leu Gly
Phe Ser Arg(配列番号47); MXPVXEは、以下のアミノ酸配列を示す; Met Ile Pro Val Ile Glu(配列番号18)、 Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号19)、 Met Ile Pro Val Leu Glu(配列番号20)、および Met Leu Pro Val Ile Glu(配列番号21); HGQSAEYEFは、以下のアミノ酸配列を示す; His Gly Gln Ser Ala Glu Tyr Glu Phe(
配列番号22)。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜1Dは、妊性雄性(図1A)および妊性雌性(図1B)からの5つの
血清を、5つの不妊雄性(図1C)および不妊雌性(図1D)と比較した、単純
ブロットの系列インキュベーションによるウェスタンブロット分析(希釈率1:
2000)を表す。主要な自己抗原およびイソ抗原(矢印)であって、不妊被験
体によって特有に認識されるものが認められる。
【図2】 図2A〜2Bは、不妊血清によって認識される、主要な自己抗原(図2A)お
よびイソ抗原(図2B)を示すコンピュータ生成画像を表す。ウェスタンブロッ
トのコンピュータ走査画像を、アンカーとして2つの画像にわたり共通するタン
パク質スポットを用いて妊性群と不妊群とを比較した。妊性被験体(雄性および
雌性の両方)血清によって認識されるタンパク質スポットを、不妊の雄性および
雌性の被験体を表す画像から引き、そして不妊雄性(図2A)および不妊雌性(
図2B)によって特有に認識されるすべての抗原を表す画像を生成した。イソ抗
原よりも多くの自己抗原が存在すること、および異なるパターンの免疫反応性が
性間で存在することが認められる。矢印は、雄性および雌性の両方の被験体によ
って認識されるタンパク質スポットを示す。
【図3】 図3は、二次元IEF/PAGEのベクトル的にヨウ素化したヒト精子タンパ
ク質のコンピュータ生成複合画像を表す。この精子を、実施例1に記載されるよ
うに、放射標識し、そして溶解し、そしてIEF/PAGEによる二次元電気泳
動によって分離した。この複合画像は、ニトロセルロース膜に固定した表面タン
パク質の自己放射線画像を走査し、そして自己抗原およびイソ抗原の位置に対し
てその画像を比較した後に生成した(図1)。矢印は、免疫優性表面の自己抗原
およびイソ抗原の位置を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/16 A61P 15/18 15/18 C07K 16/28 C07K 16/28 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 J 33/50 Z 33/53 D 33/53 33/543 501A 33/543 501 C07K 14/705 // C07K 14/705 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (72)発明者 ナーバイ−ハンセン, ゾーレン イギリス国 エヌダブリュー7 1ディー イー ロンドン, グランツ クローズ 70 (72)発明者 フリッキンガー, チャールズ ジェイ. アメリカ合衆国 バージニア 22903, シャルロッツビル, メドウブルック ロ ード 2009 (72)発明者 シェッティ, ジャガスパラ アメリカ合衆国 バージニア 22903, シャルロッツビル, ペイトン コート 287 Fターム(参考) 2G045 AA27 AA40 CA25 CA26 DA36 FB03 FB07 4C084 AA02 BA17 CA36 MA66 NA14 ZA81 4C085 AA03 AA14 BB11 CC13 DD32 DD62 EE01 EE06 FF24 GG02 4H045 AA11 AA30 BA14 BA15 CA40 DA75 DA86 EA20 EA54 FA74

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1から配列番号22、および配列番号23からなる群
    より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたかまたは組換えのポリペプチド
  2. 【請求項2】 前記アミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号18
    から配列番号22、および配列番号23からなる群より選択される、請求項1に
    記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 以下の工程を包含する、免疫学的な不妊を診断する方法: 個体から血清サンプルを得る工程; 該サンプルを精子の表面抗原を含有している組成物と接触させる工程;および 抗原/抗体反応についてスクリーニングする工程。
  4. 【請求項4】 前記抗原/抗体反応についてスクリーニングする工程が、標識
    された二次抗体の使用を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記精子の表面抗原が、固体基板に結合されている、請求項4
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記精子の表面抗原が、不妊患者から単離された血清によって
    認識されるタンパク質であり、そしてここで、該タンパク質は、妊性の患者に由
    来する血清によっては認識されない、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記精子の表面抗原が、配列番号1〜配列番号22、および配
    列番号23からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、
    請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成
    物であって、該ペプチドが、配列番号1から配列番号22、および配列番号23
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、薬学的組成物。
  9. 【請求項9】 アジュバントをさらに含む、請求項8に記載の薬学的組成物。
  10. 【請求項10】 哺乳動物種に対して、薬学的に受容可能なキャリア、ならび
    に配列番号1から配列番号22、および配列番号23からなる群より選択される
    治療有効量のアミノ酸配列を含有している組成物を投与する工程を包含する、哺
    乳動物種において受精能を調節するための方法。
  11. 【請求項11】 前記組成物が、さらにアジュバントを含む、請求項10に記
    載の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物が、静脈内注射によって投与される、請求項10
    に記載の方法。
  13. 【請求項13】 配列番号1から配列番号22、および配列番号23からなる
    群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに免疫特異的に結合する、抗
    体。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の抗体および薬学的なキャリアを含有して
    いる、避妊用組成物。
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