JP2002534987A - 腫瘍の治療のための組成物と方法 - Google Patents

腫瘍の治療のための組成物と方法

Info

Publication number
JP2002534987A
JP2002534987A JP2000595160A JP2000595160A JP2002534987A JP 2002534987 A JP2002534987 A JP 2002534987A JP 2000595160 A JP2000595160 A JP 2000595160A JP 2000595160 A JP2000595160 A JP 2000595160A JP 2002534987 A JP2002534987 A JP 2002534987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
cells
cell
polypeptide
tumor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000595160A
Other languages
English (en)
Inventor
ボッツタイン,デビット.
ゴダード,オードリ.
ローレンス,デビッド,エー.
ペニカ,ダイアン.
ロイ,マーガレット,アン.
ウッド,ウイリアム,アイ.
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Genentech Inc
Original Assignee
Genentech Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Genentech Inc filed Critical Genentech Inc
Publication of JP2002534987A publication Critical patent/JP2002534987A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/24Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against cytokines, lymphokines or interferons
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトを含む哺乳類における腫瘍細胞の成長と増殖への診断と治療の方法及び組成物に関する。本発明は、腫瘍細胞のゲノムにおいて増幅するカルジオトロフィン−1(cardiotrophin-1)遺伝子の同定に基づく。このような遺伝子増幅は、遺伝子産物の過剰発現と関連し、腫瘍形成に助長すると考えられる。従って、増幅遺伝子によってコードされているカルジオトロフィン−1(cardiotrophin-1)ポリペプチドは、ある種の癌の診断及び/又は治療(予防を含む)ための有用な標的であり、腫瘍治療の予後の予言者として振る舞うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、腫瘍の診断及び治療のための組成物及び方法に関する。
【0002】 (発明の背景) 悪性腫瘍(癌)は、米国特許において心臓疾患に続き第2の主要な死亡原因で
ある(Boring等, CA Cancel J. Clin., 43: 7 [1993])。 癌は、正常な組織から誘導されて腫瘍実体を形成する異常な、又は腫瘍形成性
の細胞数の増加、これらの腫瘍形成性腫瘍細胞による隣接組織の侵襲、及び最終
的に血液やリンパ系を介して局所のリンパ節及び離間部位に拡散(転移)する悪
性細胞の生成を特徴とする。癌性状態においては、正常細胞が成長しない条件下
で細胞が増殖する。癌自体は、異なる侵襲及び攻撃性の程度で特徴付けられる広
範な種々の形態で顕現する。 遺伝子発現の交互変化は制御不能な細胞成長及び脱分化に強く関連しており、
全ての癌に共通する特徴である。或る種の良く研究されたゲノムが、通常は腫瘍
抑制遺伝子と呼ばれ、正常には悪性細胞成長又は或る種の優性遺伝子、例えば悪
性成長を促進するように作用するオンコジーンの過剰発現を防止するように作用
する劣性遺伝子発現の現象を示すことが見出された。これらの遺伝子変化は、凝
集して十分な腫瘍形成性フェノタイプを示す形質の幾つかが移入される原因であ
ることが明らかとなった(Hunter, Cell 64: 1129 [1991]; Bishop, Cell 64: 2
35-248 [1991])。
【0003】 癌細胞における良く知られた遺伝子(例えばオンコジーン)の過剰発現のメカ
ニズムは遺伝子増幅である。これは、祖先細胞の染色体において特定遺伝子の多
重コピーが生成されるプロセスである。このプロセスは、遺伝子を含む染色体の
領域の計画性のない複製、次いで複製されたセグメントが染色体へ戻る再組換え
を含む(Alitalo等, Adv. Cancer Res. 47: 235-281 [1986])。遺伝子増幅に平
行する遺伝子の過剰発現は、即ち作成されるコピーの数に比例すると考えられて
いる。 成長因子及び成長因子レセプターをコードするプロトオンコジーンは、乳癌を
含む様々なヒトの悪性腫瘍の原因に重要な役割を担っていることが確認されてい
る。例えば、表皮成長因子レセプター(EGFR)に関連した185-kdの膜貫
通糖タンパク質レセプター(p185HER2、HER2)をコードするヒトE
rbB2遺伝子(erbB2、her2としても知られている、又はc-erbB
-2)は、ヒトの乳癌の約25%〜30%で過剰発現されていることが見出されて
いる(Slamon等, Science 235:177-182[1987];Slamon等, Science 244:707-712[
1989])。
【0004】 プロトオンコジーンの遺伝子増幅は、典型的には癌のより悪性の形態に含まれ
る事象であり、臨床的結果の予言者として作用しうることが報告されている(Sc
hwab等, Genes Chromosome Cancer 1, 181-193 [1990]; Alitalo等, 上掲)。即
ち、erbB2の過剰発現は、特に腋窩のリンパ節を含む一次疾患を持つ患者に
おいて、不完全な予後の前兆と共通して見なされており(Slamon等, [1987]及び
[1989], 上掲; Ravdin及びChamness, Gene 159: 19-27 [1995]; 及びHynes及びS
tern, Biochem Biophys Acta 1198: 165-184 [1994])、ホルモン療法及びCM
F(シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシル)を含む化
学治療薬に対する感受性又は耐性と関連付けられていた(Baselga等, Oncology
11 (3 Suppl 1): 43-48 [1997])。しかしながら、erbB2過剰発現と不完全
な予後との関連にも関わらず、HER2-ポジティブな患者のタキサンでの処理
に臨床的に反応する可能性は、HER2-ネガティブ患者の3倍も大きかった(
上掲)。組換えヒト化抗-ErbB2(抗-HER2)モノクローナル抗体(マウス
抗-ErbB2抗体4D5のヒト化型、rhuMAb HER2又はHerceptin(登
録商標)と呼ばれる)は、広範な従来の抗癌治療を受けたErbB2を過剰発現
する転移性乳癌を持つ患者で臨床的に活性である(Baselga等, J. Clin. Oncol.
14: 737-744[1996])。
【0005】 (発明の概要) 本発明は、ヒトを含む哺乳動物における腫瘍細胞成長及び増殖の診断及び治療
のための組成物及び方法に関する。本発明は、腫瘍細胞のゲノムにおいて増幅さ
れる遺伝子の同定に基づく。このような遺伝子増幅は、遺伝子産物の過剰発現を
伴い、腫瘍形成に寄与すると予測される。従って、増幅された遺伝子にコードさ
れるタンパク質は、或る種の癌の診断及び治療(予防を含む)に有用であると考
えられ、腫瘍治療の予後の予言者として作用する。 遺伝子産物、CT−1が心臓疾患及び/又は末梢神経障害のような神経性傷害
の治療に有用であることは、米国特許5,571,675に開示されている(ここでは、参
照としてそっくりそのまま取り入れられている)。CT−1が肺及び結腸癌のよ
うな腫瘍細胞において増幅と言う驚くべき発見が、ここに開示されている。CT
−1が腫瘍細胞において増幅するという出願者の発見は、腫瘍細胞の治療及びそ
の治療の実施方法の為の組成物のさらなる発見につながった。 一実施態様では、本発明は、CT−1ポリペプチドに結合する単離された抗体
に関する。一態様では、抗体はCT−1ポリペプチドを高発現している細胞の死
を誘導する。他の側面では、抗体はモノクローナル抗体であり、好ましくは非ヒ
ト相補性決定部位(CDR,complementarity determining region)残基及びヒト
枠組み構造領域(FR,framework region)残基を有する。この抗体は、ラベル化
されて固体支持体へ固定化される。さらなる態様においては、抗体は、抗体断片
、一本鎖抗体、又は抗イディオタイプの抗体である。
【0006】 他の実施態様では、本発明は、製薬的に許容される担体と混合されたCT−1
ポリペプチドに特異的に結合する抗体とを含む物質の組成物に関する。一態様で
は、この物質の組成物は抗体の治療的有効量を含有する。他の態様では、この組
成物は、例えば更なる抗体又は細胞毒性又は化学治療薬であってよい更なる成分
を含有する。好ましくは、この組成物は無菌である。 さらなる実施態様では、本発明は、抗-CT−1抗体をコードする核酸分子、
及びそのような核酸分子を含むベクター及び組換え宿主細胞に関する。 またさらなる実施態様では、本発明は抗-CT−1抗体の製造方法に関し、当
該方法は、その抗体をコードする核酸分子で形質転換した宿主細胞を当該抗体を
発現させるのに十分な条件下で培養し、細胞培地から抗体を回収することを含ん
でなる。 さらに本発明は、CT−1ポリペプチドの一つ又は複数の生物学的及び/又は
免疫学的機能或いは活性を阻害するCT−1ポリペプチドのアンタゴニスト及び
アゴニストに関する。 他の実施態様では、本発明は、CT−1ペプチドを含有すると推測される細胞
を抗-CT−1抗体へ曝露することを含んでなるCT−1ポリペプチドの存在の
決定方法、及び抗体の細胞への結合を決定する方法に関する。
【0007】 さらに他の実施態様では、本発明は、哺乳動物において腫瘍を診断する方法に
関し、(a)哺乳動物から得た組織細胞の試験試料中、及び(b)同じ細胞型の
知られた正常組織細胞の対照試料中におけるCT−1をコードする遺伝子の発現
レベルを検出することを含んでなり、対照試料に比較した試験試料における高い
レベルが、当該試験組織細胞を得た哺乳動物における腫瘍の存在を示す。 他の実施態様では、本発明は、哺乳動物において腫瘍を診断する方法に関し、
(a)抗-CT−1抗体を哺乳動物から得た組織細胞の試験試料と接触させ、そ
して(b)抗-CT−1抗体と試験試料中のCT−1ポリペプチドとの間の複合
体の形成を検出することを含んでなり、複合体の形成が前記哺乳動物における腫
瘍の存在を示す。測定は定性的でも定量的でもよく、同じ細胞型の知られた正常
組織細胞の対照試料における複合体形成のモニターと比較して実施してもよい。
試験試料中の複合体形成量の増加が、試験試料を得た哺乳動物における腫瘍の存
在を示す。抗体は、好ましくは検出可能な標識を担持する。複合体形成は、例え
ば、光学顕微鏡、フローサイトメトリー、蛍光定量法、又はこの分野で公知の他
の技術によるモニターが可能である。 試験試料は通常、腫瘍性細胞成長又は増殖(例えば癌性細胞)を有すると推測
される個体から得る。
【0008】 他の実施態様では、本発明は、抗-CT−1抗体及び担体(例えばバッファー
)を適切な包装内に含んでなる癌診断用キットに関する。このキットは、好まし
くは、当該抗体をCT−1ポリペプチドを検出するために用いるという説明書を
具備する。 さらに他の実施態様では、CT−1ポリペプチドを高発現する腫瘍細胞を、C
T−1ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する薬剤の有効量に暴露するこ
とを含む本発明は腫瘍細胞の成長を阻害する方法に関する。この薬剤は、好まし
くは抗-CT−1抗体、小さな有機及び無機分子、ペプチド、ホスホペプチド、
アンチセンス又はリボザイム分子、又は三重螺旋分子である。特別な態様では、
薬剤、例えば抗-CT−1抗体は細胞死を誘発する。さらなる態様では、腫瘍細
胞には、放射線処理及び/又は細胞毒性薬又は化学治療薬がさらに施される。 さらなる実施態様においては、本発明の製造品は: 容器; 当該容器上のラベル;及び 当該容器内に収容された活性剤を含有する組成物とを具備する製造品に関し、
当該組成物は腫瘍細胞の成長を阻害するのに有効であり、容器上のラベルは当該
組成物はCT−1ポリペプチドの過剰発現を特徴とする状態の治療に有効である
ことを表示し、そして当該組成物中の活性剤はCT−1ポリペプチドの発現/又
は活性を阻害する薬剤である。好ましい態様では、活性剤は抗-CT−1抗体で
ある。 CT−1ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害することのできる化合物を
同定する方法は、候補化合物とCT−1ポリペプチドが相互作用するのに十分な
条件及び時間の下で両成分を接触させることを含む。特別な態様では、候補化合
物又はCT−1ポリペプチドが固定支持体へ固定化される。その他の態様では、
非固定化成分は検出可能なラベルを保有する。
【0009】 (発明の詳細な説明) I.定義 「遺伝子増幅」及び「遺伝子複製」なる語句は交換可能に用いられ、遺伝子又
は遺伝子断片の複数のコピーが特定の細胞又は細胞系で生成されるプロセスを意
味する。複製された領域(増幅されたDNAの伸展)は、しばしば「単位複製配
列」と呼ばれる。通常は、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量、
即ち遺伝子発現レベルも、発現された特定遺伝子の作成されたコピー数に比例し
て増加する。 ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞
成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。 「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴と
する、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに
限定されるものではないが、腺癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含
まれる。このような癌のより特定の例には、乳癌、前立腺癌、大腸癌、扁平上皮
細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸
管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、結腸直腸癌、子宮体癌、唾液腺癌、
腎臓癌、肝臓癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌及び様々な種類の頭部及び頸部の癌
が含まれる。 「治療」とは、疾患の病理の進展阻止又は変更の本発明で実施される介入であ
る。従って、「治療」は治療的処置及び予防的又は保護的手段の両方を指す。治
療が必要なものは、既に疾患に罹っているもの並びに疾患が防止されるべきもの
を含む。腫瘍(例えば、癌)治療では、治療薬は直接的に腫瘍細胞の病理を低下
させてもよいし、又は腫瘍細胞を他の治療媒介物、例えば放射線及び/又は化学
治療に対してより敏感にしてもよい。 癌の「病理」は、患者の良好な生存を危うくさせる全ての現象を含む。これは
、限定されるものではないが、異常又は制御不能な細胞成長、転移、隣接細胞の
正常機能の阻害、サイトカイン又は他の分泌生成物の異常レベルでの放出、炎症
又は免疫反応の抑制又は悪化などを含む。
【0010】 治療の目的とされる「哺乳動物」は、哺乳類に分類される任意の動物を意味し
、ヒト、家畜用及び農場用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイ
ヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒト
である。 ここで用いられる「担体」は製薬的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤
を含み、それらは、用いられる用量及び濃度でそれに暴露される細胞又は哺乳動
物に対して非毒性である。生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である
ことが多い。生理学的に許容される担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他
の有機酸バッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基
未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または
免疫グロブリン;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタ
ミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノ
ース又はデキストラン等の単糖類、二糖類及び他の炭水化物;EDTA等のキレ
ート化剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の自
己形成対イオン;及び/又はTWEEN(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG
)、及びPLURONICS(商標)等の非イオン性界面活性剤を含む。 一又は複数のさらなる治療薬「と組み合わせて」の投与は、同時(一時)及び
任意の順序での連続投与を含む。 ここで用いられる「細胞毒性薬」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制する
及び/又は細胞破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位体(例え
ば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学治療薬、及び細菌、真
菌、植物又は動物由来の酵素的活性毒素といった毒素、又はその断片を含むとさ
れる。
【0011】 「化学治療薬」は、癌の治療に有用な化合物である。化学治療薬の例は、アド
リアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、シトシ
ンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルフ
ァン、サイトキシン、タキソイド、例えばパクリタキセル(Taxol, Bristol-Mye
rs Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxotere, Rhone-P
oulenc Rorer, Antony, France)、トキソテール、メトトレキセート、シスプラ
チン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォス
ファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレル
ビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミ
ノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許
第4,675,187号)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェンマスタード
を含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナプリストンな
どの腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン様薬剤で
ある。 ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の
遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長を、インビトロ又はインビボで阻害する化合
物又は組成物を意味する。即ち、成長阻害剤は、S期でそのような遺伝子を過剰
発現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周
期を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1期停止又はM期停止を誘発
する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビ
ンブラスチン)、タキソール、及びトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エ
ピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。G1期
停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤
、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シ
スプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。
さらなる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編,
Chapter 1, 表題「Cell cycle reguration, oncogene, and antineoplastic dr
ugs」, Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特にp13に見出すこ
とができる。 「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの
完全な化学名は、(8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-
L-リキソヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,
11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタ
センジオンである。
【0012】 「サイトカイン」なる用語は、1つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞
間メディエータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイト
カインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモン
である。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン
、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン
;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;レラキシン;プロレラキシン
;糖タンパク質、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(T
SH)、及び黄体化ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽成長因子;プロラ
クチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害因子;マウ
ス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因
子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子
;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング成長因子
(TGF);インシュリン様成長因子-I及びII;エリスロポエチン(EPO
);骨誘発因子;インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;
コロニー刺激因子(CSFs)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);
顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CS
F);インターロイキン(ILs)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、I
L-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、
IL-12;腫瘍壊死因子、例えばTNF-α及びTNF-β;及びLIF及びキ
ットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用いられる際
、用語サイトカインは、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク質
を含み、天然配列サイトカインの生物学的な活性等価物である。
【0013】 この出願で用いられる用語「CT−1」ポリペプチドは、天然由来のCT−1
ポリペプチドに一致するのと同じアミノ酸配列を有する天然配列ポリペプチド,
及びそれと同じ天然配列ポリペプチドの断片を有する天然配列ポリペプチドを含
むポリペプチドについて言及する為に使用する。そのような天然配列CT−1ポ
リペプチドは、天然又は各々の断片とともに単離が可能であり、組み換え法及び
/又は合成法での生産が可能である。この用語は、特に、天然発生切断又は分泌
型(例えば、細胞外ドメイン配列)、天然発生変異体(例えば、選択的スプライス
型)及びCT−1ポリペプチドの天然発生突然変異体を含む。本発明の一実地態
様においては、天然配列CT−1は、全長天然プレ配列又はFig1(配列番号
:3)に示されているCT−1の成熟型である。この出願の各々の天然ポリペプ
チドの断片は、限定されるものではないが、次の切断(分泌)型が天然において生
じるかどうかに関係なく、N−末端のシグナル配列が全て又は部分的に欠損した
、或いは他の配列に置換されたポリペプチド変異体型,及び各々の天然配列の細
胞外ドメインを含む。 「単離された」CT−1ポリペプチドをコードする核酸分子は、CT−1核酸
の天然源に通常は伴っている少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離さ
れた核酸分子である。単離されたCT−1核酸分子は天然に見出される形態ある
いは様相以外のものである。 ゆえに、単離されたCT−1核酸分子は、天然の
細胞中に存在するCT−1核酸細胞とは区別される。例えば、核酸分子が天然の
細胞の場合とは異なった染色体位置にあるCT−1を通常発現する細胞に含まれ
るCT−1核酸分子を含む。 「コトロール配列」という表現は、特定の宿主生物において機能的に関連付け
られたコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に
好適な対照配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、リボソーム
結合部位、更には今のところ十分には解明されていない他の配列を含む。真核生
物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを使用す
ることが知られている。
【0014】 核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用的に関連付けられて
いる」。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分
泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならそのポリペプチドのDN
Aに機能的に関連付けられている;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転
写に影響を及ぼすならばコード配列に機能的に関連付けられている;又はリボソ
ームの結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならコード配
列と機能的に関連付けられている。一般的に、「機能的に関連付けられる」とは
、関連付けられたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接して
おり読みフェーズにある。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけで
はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのよう
な部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成されたオリゴヌクレ
オチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0015】 ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、当業者によって容易に決定され、一般
的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に
、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブ
が短くなると温度は低くなる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的ストラン
ドがその融点より低い環境に存在する場合に変性DNAが再アニールする能力に
依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度
が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は
、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。ハイブリッ
ド形成反応の緊縮性の更なる詳細と説明は、Ausubel等, Current Protocols in
Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。 ここで定義される「緊縮性条件」又は「高緊縮性条件」は、(1)洗浄のため
に低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリ
ウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウ
ムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中にホルムアミド等の変性剤、例えば
、42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/
0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5
のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMの
クエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミ
ド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)
、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウ
ム、5xデンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1
%のSDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC
(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%のホル
ムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮
性洗浄を用いるものによって特定される。
【0016】 「中程度の緊縮性条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory
Manual (New York: Cold Spring Harbor Press, 1989)に記載されているように
特定され、上記の緊縮性より低い洗浄溶液及びハイブリッド形成条件(例えば、
温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度の緊縮性条件の例は、2
0%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三
ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート液、
10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む
溶液中の37℃での終夜のインキュベーションに、1xSSC中約37−50℃
でのフィルターの洗浄が続くといったものである。当業者であれば、プローブ長
などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調
節するかは認識するであろう。
【0017】 ここで用いられる場合の「エピトープタグ」という用語は、「タグポリペプチ
ド」に融合したCT−1ポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチドを意味す
る。タグポリペプチドは抗体がそれに対して生成されるか、ある他の薬剤によっ
て同定することができるエピトープを提供するのに十分であるが、CT−1ポリ
ペプチドの活性を妨害しないように十分に短い残基を有する。タグポリペプチド
はまた好ましくは抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないようにかなり
独特である。好適なタグポリペプチドは一般に少なくとも6のアミノ酸残基、通
常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは、約10〜約20残基)を有する
。 CT−1ポリペプチド(又はそれらのコード化配列)に基づいて同定された分
子という状況での「活性な」又は「活性」とは、天然又は天然に生じるCT−1
ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するポリペプチド(例え
ば抗体)又は有機或いは無機小分子、ペプチドなどに相当する。 この出願に開示したスクリーニングアッセイ(例えば有機又は無機小分子、ペ
プチド、など)による同定が可能な抗体やその他の分子という面においての「生
物活性」は、そのような分子のこの出願において同定された増幅遺伝子によって
コードされているポリペプチドと結合又は複合体を形成する、或いはコード化さ
れたポリペプチドのと他の細胞タンパク質との相互作用を妨害する能力に言及す
るために使用される。好ましい生物活性は、標的腫瘍細胞の成長阻害である。そ
の他の好ましい生物活性は、標的腫瘍細胞の死を招く細胞傷害性活性である。
【0018】 「免疫学的特性」なる語句は、CT−1ポリペプチドの少なくとも1つのエピ
トープとの免疫学的交差反応性を意味する。 ここで用いられる「免疫学的交差反応性」とは、候補ポリペプチドが、この活
性を持つCT−1ポリペプチドの定性的生物学的活性を、周知の活性CT−1ポ
リペプチドに対して生じたポリクローナル抗血清と競合的に阻害できることを意
味する。そのような抗血清は、例えばヤギ又はウサギに、完全フロイントアジュ
バント中の周知の活性類似物を皮下注射し、次いで不完全フロイント中で腹膜内
又は皮下に追加免疫することにより従来の方法で調製される。免疫学的交差反応
性は好ましくは「特異的」であり、これは同定される免疫学的交差反応性分子(
例えば抗体)のCT−1ポリペプチドに対する結合親和性が、その分子の他の任
意の知られた天然ポリペプチドに対する結合親和性より有意に高い(好ましくは
少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約4倍、さらにより好ましくは少
なくとも約6倍、最も好ましくは少なくとも約8倍高い)ことを意味する。 「アンタゴニスト」という用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示する天
然CT−1ポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中
和する任意の分子を含む。同様の方法で、「アゴニスト」という用語は最も広い
意味で用いられ、ここに開示する天然CT−1ポリペプチドの生物学的活性に類
似する任意の分子を含む。適したアゴニスト又はアンタゴニスト分子は、特にア
ゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然ポリペプチドの断片又はア
ミノ酸配列変異体、ペプチド、小有機分子などを含む。
【0019】 ここで、「小分子」は、約500ダルトン未満の分子量を持つと定義される。 「抗体」(Ab)と「免疫グロブリン」(Ig)は同じ構造的特徴を有する糖タ
ンパク質である。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示すものであるが、免
疫グロブリンは、抗体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含むものであ
る。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系により低レベルで、骨髄腫に
より増加したレベルで産生される。「抗体」という用語は最も広い意味において
使用され、特に、限定がなく、少なくとも二つの無傷の抗体、ポリクローナル抗
体、少なくとも二つの無傷の抗体から形成される多特異性抗体(例えば二重特異
性抗体)、及び所望する生物活性を示す限りの抗体断片を対象とする。 「天然抗体」及び「天然免疫グロブリン」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及
び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タ
ンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合してお
り、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の中
で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド結合を有
している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(V)を一端に有
する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を、他端に定常ドメインを有し;軽
鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重
鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ド
メイン間の界面を形成すると考えられている。
【0020】 「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲
に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使
用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイ
ンにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高
頻度可変領域又は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮
される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)
と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、あ
る場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つのCDRにより連結
されたβシート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のC
DRは、FRにより近接して結合せしめられ、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗
原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, NIH Publ. No.91-3242, Vol.I, 647
-669頁[1991]を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連
しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞障害
活性への抗体の関与を示す。 「抗体フラグメント」には、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結
合又は可変領域が含まれる。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(
ab')及びFvフラグメント;ダイアボディー(diabodies);直鎖状抗体(Zapa
taら, Protein Eng. 8(10):1057-1062[1995]);単鎖抗体分子;及び抗体フラグ
メントから形成される多重特異性抗体が含まれる。 抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれ、各々単一の抗原結合部位
を持つ2つの同一な抗原結合断片、及び残りの「Fc」断片、その名称は容易に
結晶化する能力を反映している、を生成する。ペプシン処理により、2つの抗原
結合部位を有するが、交差結合抗原であり得るF(ab')断片が生成される。
【0021】 「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領
域は、緊密に非共有的に結合した1つの重鎖と1つの軽鎖の二量体からなる。こ
の配置では、V−V二量体の表面における抗原結合部位を決定するために各
可変領域の3つのCDRが相互作用する。正確には、6つのCDRが抗体に抗原
結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原特異的な3つのC
DRしか含まないFvの半分)でさえも抗原を認識し結合する能力を持つが、結
合部位全体よりは親和性が低い。 また、Fab断片は軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH
1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを
含む重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端における数個の残基の付加によりF
ab断片と相違する。Fab'-SHは、ここにおいて、定常ドメインのシステイ
ン残基が遊離のチオール基を持つFab'の記号である。F(ab')抗体断片は
、元々、それらの間にヒンジシステインを持つFab'断片の対として生成され
た。抗体断片の他の化学的結合も知られている。 任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常
ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる
1つ又は2つの明らかに異なる型に分類できる。 それら重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、免疫グロブリンは異な
るクラスに分けられる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD
、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらの幾つかは、更にサブクラス(ア
イソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びI
gA2に分けられる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメイ
ンは、各々α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリン
のサブユニット構造及び三次元配置は良く知られている。
【0022】 ここで用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の
集団、即ち、集団を構成する個々の抗体が少量で存在する自然に起こりうる突然
変異以外は同一である集団から得られる抗体を意味する。モノクローナル抗体は
高度に特異的であり、単一の抗原部位に向けられている。さらに、典型的に異な
る決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含む従来の(ポリクロ
ーナル)抗体とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対し
て向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリ
ドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンに汚染されない点において有
利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得
られ、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とするとは解釈されない抗体の
特徴を示す。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler
等, Nature, 256: 495 [1975]によって最初に記載されたハイブリドーマ法によ
り作成してもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)
により作成してもよい。また、「モノクローナル抗体」は、ファージ抗体ライブ
ラリから、例えば、Clackson等, Nature, 352: 624-628 [1991]及び Marks等, J
. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)に記載された技術を用いて単離してもよい
【0023】 ここで、モノクローナル抗体は特に、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含
み、それは、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導された又は特定の抗
体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、
鎖の残りの部分は他の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに
属する抗体の対応する配列と同一又は相同である抗体、並びにそれらが所望の生
物学的活性を示す限りにおいてそれらの抗体の断片である(米国特許第4,816,56
7号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 [1984])。
【0024】 非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形は、キメラ免疫グロブリン、免疫
グロブリン鎖、あるいはそれらの断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab'
)あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由
来する最小配列を含むものである。大部分においてヒト化抗体はレシピエントの
相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特
異性、親和性及び能力を有する非ヒト(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換
されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫
グロブリンのFvFR残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。更
に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくは読み取り
枠配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に
洗練し、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質
的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実
質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ
、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適に
は免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリ
ンの定常領域又はドメインの少なくとも一部を含んでなる。さらなる詳細につい
ては、Jones等, Nature, 321: 522-525 (1986); Reichmann等, Nature, 332: 32
3-329 [1988];及び Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-696 (1992)を参
照のこと。ヒト化抗体は、抗体の抗原結合部位が対象とする抗原で免疫化したマ
カクザルによって生成された抗体から誘導されたPRIMATIZED(商標)抗体を含む。
【0025】 「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は抗体のV及びVドメインを含み
、これらのドメインは一本鎖ポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリ
ペプチドはV及びVドメインの間にポリペプチドリンカーを更に含み、sF
vを結合させて抗原結合に望ましい構造を形成してもよい。sFvの概説につい
ては、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol.113, Rosenburg and
Moore 編., Springer-Verlag, New York, pp.269-315 (1994)のPluckthunを参照
されたい。 「ダイアボディ」なる用語は、2つの抗原結合部位を持つ小さな抗体断片を意
味し、これらの断片は同じポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(V)に結合
した重鎖可変領域(V)を含む(V−V)。同じ鎖における2つのドメイ
ン間に対を形成するには短すぎるリンカーを用いると、ドメインは他の鎖の相補
的ドメインと強制的に対をなし、2つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディ
は、例えばEP404,097; WO 93/11161; 及び Hollinger等, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 90: 6444-6448 (1993)により完全に記載されている。
【0026】 「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又
は回収されたものを意味する。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治
療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他の非タンパク質様溶
質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法に
よって決定した場合95重量%以上の、最も好ましくは99重量%の抗体まで、
(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも1
5のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるい
は(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件
下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、組
換え細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくと
も1つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体
は少なくとも1つの精製工程により調製される。 「標識」という語は、ここで用いられる場合、抗体に直接的又は間接的に結合し
て「標識化」抗体を生成する検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識はそ
れ自身によって検出可能でもよく(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)、
あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変換
を触媒してもよい。
【0027】 「固相」とは、本発明の抗体が接着できる非水性マトリクスを意味する。ここ
に包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、孔の制御された
ガラス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリス
チレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む。或る実
施態様では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェル;その他で
は精製用カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィカラム)を含むことがで
きる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されたような別々の粒
子の不連続な固体相も含む。 「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(CT−1ポリペプチド又はそれらに対
する抗体、場合によっては化学治療薬)の送達に有用な、脂質、リン脂質及び/
又は界面活性剤を含む種々の型の小さな小胞である。リポソームの成分は、通常
は生物学的メンバーの脂質配列に類似した2層構造に配列される。 ここで用いるように、「イムノアドヘシン」という用語は、免疫部ロブリン定
常ドメインのエフェクター機能を持つ異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合
特異性を付与した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは抗体の抗
原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を持つアミノ酸配列(即ち「異種」
)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物である。イムノアドヘシン分子
のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位
を含む近接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイ
ン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、Ig
A(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の
免疫グロブリンから得ることができる。
【0028】 II.本発明の組成物及び方法 1.CT−1ポリペプチドの調製 本発明は、成長阻害化合物(例えば腫瘍化合物)を同定するスクリーニング方
法の調製のみならず腫瘍細胞を阻害する化合物の生産の為のCT−1ポリペプチ
ドをコードするDNA58125の使用に関する方法を提供する。特に,CT−
1をコードするcDNAである。単純化の為に、現在の詳説では、前記のCT−
1ポリペプチドの定義に含まれているさらなる天然同族体及び変異体と同様に、
「DNA58125」と呼ばれている核酸によってコードされているタンパク質
は、それらの起源や発現様式に関係なく、「CT−1」ポリペプチドと呼ばれて
いる。 以下の説明は、主として、CT−1をコードする核酸を含むベクターによって
形質転換又はトランスフェクトされた細胞を培養してCT−1ポリペプチドを生
産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を
用いてCT−1ポリペプチドを調製することはできると考えられる。例えば、C
T−1ポリペプチド配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成
によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis
, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. S
oc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク
質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・
ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施しても
よい。CT−1ポリペプチドの種々の部分は、別々に化学的に合成され、化学的
又は酵素的方法を用いて結合させて全長CT−1を生産してもよい。
【0029】 i.CT−1ポリペプチドをコードするDNAの合成と単離 CT−1、その同族体、変異体、又はそれらの一部分をコードするDNAは、
標準的な核酸合成技術を使用した直接DNA合成による生産が可能である[Gait,
M.J. Oligonucleotide Synthesis, IRL Press, Oxford, 1984 を参照のこと]。
インビトロDNA合成は、手動技術又は自動化を使用することによって実施する
ことができる。自動化オリゴヌクレオチド合成は、例えば、標準的技術を使用す
ることによって達成できる。CT−1コード化核酸配列の各々の部分は、分離さ
れて化学的に合成され,そして全長CT−1コード化配列を生産する為の化学的
又は酵素的方法を使用して結合される。 代わりに、CT−1をコードするDNAは、CT−1mRNAを有し、これを
検出可能なレベルに発現すると思われる組織から調製されるcDNAライブラリ
ーから得られる。従って、ヒトCT−1DNAは、実施例に記載のようなヒト組
織から調製されるcDNAライブラリーより都合良く得ることができる。CT−
1をコードする遺伝子は、ゲノムライブラリーから又はオリゴヌクレオチド合成
よって得られる。 ライブラリーは(CT−1ポリペプチドに対する抗体又はおよそ20−80基
からなるオリゴヌクレオチド等の)対象となる遺伝子あるいはその遺伝子からコ
ードされた蛋白質を特定する目的のプローブによって選別される。選択されたプ
ローブによるcDNA又はゲノムライブラリーの選別は、例えばSambrook ほか,
Molecular Cloning: A laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor La
boratory Press, 1989)に記載さている標準的な方法で行うことができる。CT
−1をコードする遺伝子を単離する他の方法は、PCR法による方法である(Sam
brook ほか,上掲;Dieffenbachほか., PCR Primer: A laboratory Manual (Cold
Spring Harbor Laboratory Press, 1995)。
【0030】 下記の実施例は、cDNAライブラリーのスクリーニングに関する技術を記載
している。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、偽陽性が最小
化されるよう十分な長さと十分に明白さがあるべきである。オリゴヌクレオチド
は、選別されるライブラリー中のDNAへのハイブリダイゼーションによって検
出されるように、好ましくはラベルされる。ラベルする方法は、当該技術分野に
おいて良く知られており、32P-ラベル化ATP、ビオチン又は酵素標識のよ
うな放射能標識の使用を含む。中程度の緊縮条件及び高い緊縮条件を含むハイブ
リダゼーション条件は、Sambrook ほか,上掲より提供されている。 このようなライブラリースクリーニング方法で同定された配列は、GenBankの
ような公的データーベース又は他の民間の配列データーベースに寄託され、そこ
からの入手が可能な他の既知の配列との比較及び整列が可能である。分子の一定
の領域又は全長配列を通しての配列同一性(アミノ酸又は核酸レベルで)は、A
LIGN、DNAstar、及び相同性を測定する種々のアルゴリズムを用いる
INHERITのようなコンピューターソフトウェアを使用した配列の整列を通
して決定が可能である。 タンパク質をコードする配列を有する核酸は、この出願で初めて開示される推
論されたアミノ酸配列を使用する選択されたcDNA又はゲノムライブラリーの
スクリーニング、及び、必要ならば、cDNAへ逆転写されないmRNAの前駆
体やRNAプロセシングの中間体を検出するためのSambrook ほか,上掲に記載さ
れているような常套的なプライマー伸張法の使用によって得られる。
【0031】 ii.宿主細胞の選択と形質転換 宿主細胞を、ここに記載したCT−1生成のための発現又はクローニングベク
ターでトランスフェクト又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を
選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された
常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば媒質、温度、pH等々は、過度の
実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最
大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotech
nology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrook等
, 上掲に見出すことができる。 トランスフェクションの方法、例えば、CaPO及びエレクトロポレーショ
ンは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適
した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された
塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、原核生
物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して用いられる。アグロバクテリ
ウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawほか, Gene, 23:315 (1983)及び
1989年6月29日公開の国際特許出願第WO89/05859号に記載され
たように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない
哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52: 456 -457 (
1978)のリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の
一般的な態様は米国特許第4399216号に記載されている。酵母中への形質
転換は、典型的には、Van solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。し
かしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェ
クション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポ
リブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いること
もできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等,
Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:34
8-352 (1988)を参照のこと。
【0032】 ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な
宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物は
、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体
、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公衆に利用可能で
あり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(
ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635
)である。 原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、CT−1をコー
ドするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセ
ス・セレヴィシアは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。 グリコシル化CT−1の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される
。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9
等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より詳細な例は
、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);
ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞
、Grahamほか,J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細
胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216
(1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1
980))ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及び
マウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATTC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択
は、この分野の技術常識内にある。
【0033】 iii.複製可能なベクターの選択と使用 CT−1をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニ
ング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々
なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミ
ド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が
、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知
の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分
としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル
配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プ
ロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当な
ベクターの形成には、当業者に知られた標準的な連結技術を用いる。 CT−1ポリペプチドは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく
、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的
切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチド
としても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクタ
ーに挿入されるCT−1コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えば
アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロト
キシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母
の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、α因子リー
ダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子
リーダーを含み、後者は米国特許第5010182号に記載されている)、又は
酸ホスフォターゼリーダー、カンジダアルビカンス(C.albicans)グルコアミラー
ゼリーダー(1990年4月4日発行のEP362179)、又は1990年11
月15日に公開された国際特許出願第WO90/13646号に記載されている
シグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は
、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイル
ス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0034】 発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞におい
てベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、
酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来す
る複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は
酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイ
ルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用
である。 発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される
選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン
、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒
素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシリに対す
るD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子のような、複合培地から得られな
い重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
【0035】 哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの他の例は、DHFRあるいはチミジン
キナーゼのように、CT−1核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定するこ
とのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urla
ub 等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されている
ようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である
。酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtr
p1遺伝子である[Stinchcombら, Nature, 282:39(1979);Kingsmanら, Gene,
7:141(1979);Tschemperら, Gene, 10:157(1980)]。trp1遺伝子は、例
えば、ATCC第44076号あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内
で成長する能力を欠く酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jone
s, Genetics,85:12 (1977)]。 発現及びクローニングベクターは、通常、CT−1コード化核酸配列に作用可
能に関連付けられ、mRNA合成を制御するプロモーターを含む。多種の可能な
宿主細胞により認識される好適なプロモーターが知られている。原核生物宿主で
の使用に好適なプロモーターはβラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[
Chang等, Nature, 275:615 (1978); Goeddel等, Nature, 281:544 (1979)]、
アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucl
eic Acids Res.,8:4057 (1980); EP 36,776]、及びハイブリッドプロモーター
、例えばtacプロモーター[deBoer ほか, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:
21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたCT−1をコードす
るDNAと作用可能に関連付けられたシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する
【0036】 酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリ
セラートキナーゼ[Hitzeman ほか, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他
の糖分解酵素[Hess ほか, J. Adv. Enzyme Reg.,7:149 (1968);Holland, Bioc
hemistry, 17:4900(1987)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン
酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホ
フルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレー
トムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコ
ースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。 他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効
果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチ
トクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネ
イン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガ
ラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母での発現に好
適に用いられるベクターとプロモータは欧州特許第73657号に更に記載され
ている。 哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのCT−1転写は、例えば、ポリオ
ーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK 2,211,504)、アデ
ノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス
、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス
40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動
物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター
、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロ
モーターは宿主細胞系に適合し得る限り制御される。
【0037】 より高等の真核生物による本発明のCT−1ポリペプチドをコードしているD
NAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され
得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用
してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物の遺伝子由来の
多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブ
ミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核
細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点
の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィル
ス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー
及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、CT−1コード
配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロ
モーターから5'位に位置している。 真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生
物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終結及びmRNA
の安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDN
A又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの
領域は、CT−1をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片
として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。 組換え脊椎動物細胞培養でのCT−1の合成に適応化するのに適切な他の方法
、ベクター及び宿主細胞は、Gethingほか, Nature,293:620-625 (1981); Mantei
ほか, Nature, 281:40-46 (1979); 欧州特許第117060号; 及び欧州特許第
117058号に記載されている。
【0038】 iv.遺伝子増幅/発現の検出 遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識
されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写
を定量化するノーザンブロット法[Thomas,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:520
1-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインシトゥハイブリッ
ド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。また、DNA二本
鎖、RNA二本鎖及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク
二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる
。ついで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面
に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した
抗体の存在を検出することができる。 あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な
方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のア
ッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又
はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意
の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列CT−1ポリ
ペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチ
ドに対して、又はCT−1DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外
因性配列に対して調製され得る。
【0039】 v.ポリペプチドの精製 CT−1ポリペプチドの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収すること
ができる。CT−1が膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X1
00)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。CT−1の発現に用
いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤
などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。 CT−1を、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望まし
い。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち、イオン交
換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹
脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SD
S-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲ
ル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及びC
T−1のエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分
野で知られ、例えば、Deutcher, Methodes in Enzymology, 182 (1990);Scopes
, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New Yo
rk (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ば
れる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産されるCT−1の性
質に依存する。
【0040】 2.CT−1ポリペプチドをコードする遺伝子の主要素式及び細胞系での増幅 この発明は癌細胞で増幅される遺伝子の同定及び特徴付けに基づいている。 原核生物及び真核生物ゲノムに2つの見掛け上は矛盾する要件を課した。一方
は、遺伝情報としてのDNAのその最初の形態での保存及び繁殖であり、複数の
世代を通して安定な遺伝を確保する。他方では、細胞又は生物が最近の環境変化
を採用しなければならない。適応メカニズムは遺伝子物質の質的又は量的改変を
含みうる。質的改変は、コード化配列が変化して構造的及び/又は機能的に異な
るタンパク質を生ずるDNA変異を含む。遺伝子増幅は量的改変であり、それに
より実際の完全なコード化配列、即ち遺伝子の数が増加し、転写に利用できるテ
ンプレート数の増加、翻訳可能な転写物の数の増加、及び最終的には増幅された
遺伝子にコードされるタンパク質の量の増加をもたらす。 遺伝子増幅の現象及びそこにあるメカニズムは、幾つかの原核及び真核生物細
胞培養系でインビトロ実験されている。遺伝子増幅の最も特徴づけられた例は、
種々の濃度の細胞毒性薬メトトレキセート(MTX)を含有する培地での真核生
物細胞の培養を含む。MTXは葉酸類似物であり酵素デヒドロフォレートレダク
ターゼ(DHFR)のブロックによりDNA合成を妨害する。低濃度のMTXに
最初に暴露すると殆どの細胞(>99.9%)が死亡する。少量の細胞は生き残り、
多量のDHFR-RNA及びタンパク質を生産することによりMTX濃度を増加
させても成長できる。この過剰生産の基礎は単一のDHFR遺伝子の増幅である
。遺伝子のさらなるコピーは、小さく過剰な染色体(二重微小)の形態で染色体
外コピーとして、又は一体化染色体コピーとして見られる。
【0041】 遺伝子増幅は、細胞毒性薬(最近に対する抗生物質及び真核生物に対する化学
治療薬)への耐性の進行及び腫瘍形成性形質転換において最も普通に起こる。自
発的事象としての又はウイルス又は化学/環境侵襲による真核生物の形質転換は
典型的にその細胞の遺伝物質における変化を伴う。ヒト悪性収容で観察される最
も通常の遺伝的変化はp53タンパク質の突然変異である。p53は、定常(G
1)から複製(S)期への細胞の転移を制御し、DNA損傷の存在下でこの転移
を防止する。言い換えれば、p53変異不全の主な結果の一つは、DNA損傷の
蓄積及び成長、即ち遺伝的変化である。腫瘍形成細胞における遺伝的変化の通常
の型は、点変異に加えて、増幅及び全体、構造的改変、例えば転位置である。 DNA配列の増幅は、DHFR実験系で例示したように特定の機能的要件を示
す。従って、悪性におけるある種のオンコジーンの増幅は悪性形質転換及び形質
転換フェノタイプの維持のプロセスにおけるこれらの遺伝子の原因となる役割を
示す。この仮説が最近の研究で支持されている。例えば、bcl-2タンパク質
はある型の非ホジキンリンパ腫において増幅されることが見いだされた。このタ
ンパク質はアポトーシスを阻害して腫瘍形成細胞の蓄積を進行させる。成長因子
レセプターの遺伝子ファミリのメンバーが種々の型の癌で増幅されることが見い
だされ、これらのレセプターの過剰発現が、腫瘍細胞の制限された量の利用可能
な成長因子に対する感受性を低下させる。例としては、アンドロゲン欠乏治療の
間の再発前立腺癌におけるアンドロゲンレセプターの増幅、及び乳癌における成
長因子レセプター相同体ERB2の増幅を含む。最近、細胞間シグナル伝達及び
細胞周期進行に含まれる遺伝子が悪性形質転換の間に増幅を受けうる。これは、
種々の上皮及びリンパ腫瘍形成におけるbcl-I及びras遺伝子の増幅によ
って例示される。 これらの初期の研究は、これらの方法が悪性形質転換に重要な遺伝子の同定が
可能であるため、腫瘍形成において増幅されたDNA配列の同定の可能性を例示
する。ERB2の場合も、形質転換タンパク質が腫瘍治療のための新規で特異的
な標的を示すので、治療的立場からの可能性を示す。
【0042】 増幅されたゲノム配列を示すのに幾つかの異なる技術を使用できる。癌細胞か
ら調製した染色体展開の古典的な細胞発生分析は、転位置、欠失及び変換といっ
た全体構造変化を同定するには十分である。増幅ゲノム領域は、それらが高いコ
ピー数を含むか染色体外物質として存在する場合にのみ可視化される。細胞発生
は特定の腫瘍形成を持つ特定の染色体変化の一貫した関係を示すための第1の技
術だが、管理可能なDNA配列の同定及び単離には不十分である。より最近に開
発された技術の競合ゲノムハイブリッド形成(CGH)は腫瘍形成におけるゲノ
ム増幅の広範な現象を例示する。腫瘍及び正常DNAは正常細胞の分裂中期に同
時にハイブリッド形成し、腫瘍に高頻度で存在するDNA配列についての画像分
析で全ゲノムをスクリーニングする(WO 93/18,186; Gray等, Radiation Res. 1
37: 275-289 [1994])。スクリーニング法として、このタイプの分析は、種々の
ヒト腫瘍における再発アンプリコン(増幅DNAの伸展)の多数を明らかにした
。CGHは古典的細胞発生分析よりDNAの増幅伸展の同定において感度が高い
が、それは標準的な遺伝子技術によりアンプリコン内のコード化配列の迅速な同
定及び単離ができない。 遺伝子増幅の検出に最も感度の良い方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベ
ースのアッセイである。これらのアッセイは極めて少量の腫瘍DNAを出発材料
として用い、精巧で感度が良く、配列決定などの更なる分析に利用できるDNA
を提供し、高容量スループット分析に適している。 上記のアッセイは相互に排他的ではなく、腫瘍形成における増幅の同定にしば
しば組み合わせて使用される。細胞発生分析及びCGHは増幅領域の全ゲノムの
概観のためのスクリーニング法を代表し、PCRベースのアッセイはコード化配
列、即ち増幅領域の遺伝子を最終的に同定するのに最も適している。
【0043】 本発明により、このような遺伝子は定量的PCR(S. Gelmini等, Clin, Chem
. 43: 752 [1997])により、乳、肺、結腸、前立腺、脳、肝臓、腎臓、膵臓、脾
臓、精巣、卵巣、子宮など、腫瘍、又は腫瘍細胞系を含む種々の一次腫瘍からの
DNAを健常ドナーからのプールしたDNAと比較することにより同定される。
定量的PCRは、Taqman装置(ABI)を用いて実施された。遺伝子特異的プライ
マー及び蛍光発生プローブは、DNAのコード化配列に基づいて設計される。 ヒト肺癌細胞系は、A549(SRCC768)、Calu-1(SRCC769
)、Calu-6(SRCC770)、H157(SRCC771)、H441(SR
CC772)、H460(SRCC773)、SKMES-1(SRCC774)及び
SW900(SRCC775)を含み、全てATCCからである。一次ヒト肺腫瘍
細胞は通常は腺癌、扁平上皮細胞癌、大細胞癌、非-小細胞癌、小細胞癌、及び
気管支肺胞癌から誘導され、例えば、SRCC724(「SqCCa」と略記さ
れる扁平上皮細胞癌)、SRCC725(「NSCCa」と略記される非-小細胞
癌)、SRCC726(「AdenoCa」と略記される腺癌)、SRCC727(
腺癌)、SRCC728(扁平上皮細胞癌)、SRCC729(腺癌)、SRCC
730(腺/扁平上皮細胞癌)、SRCC731(腺癌)、SRCC732(扁平上
皮細胞癌)、SRCC733(腺癌)、SRCC734(腺癌)、SRCC735(
気管支肺胞癌、「BACと略記」)、SRCC736(扁平上皮細胞癌)、SR
CC738(扁平上皮細胞癌)、SRCC739(扁平上皮細胞癌)、SRCC74
0(扁平上皮細胞癌)、SRCC740(肺細胞癌、「LCCa」と略記)を含む。
【0044】 大腸癌細胞系は、例えば、ATCC細胞系SW480(腺癌、SRCC776)
、SW620(大腸腺癌のリンパ節転移、SRCC777)、COLO320(腺
癌、SRCC778)、HT29(腺癌、SRCC779)、HM7(癌,SR
CC780)、CaWiDr(腺癌、srcc781)、HCT116(癌、SR
CC782)、SKCO1(腺癌、SRCC783)、SW403(腺癌、SRCC
784)、LS174T(癌、SRCC785)、及びHM7(ATCC大腸腺癌細
胞系LS174Tの高ムシン産生変異体、Robert Warren博士, UCSFから得た)を
含む。一次大腸腫瘍は、ColT2(SRCC742)、ColT3(SRCC7
43)、ColT8(SRCC744)、ColT10(SRCC745)、Col
T12(SRC746)、ColT14(SRCC747)、ColT15(SRC
C748)、ColT17(SRC750)、ColT1(SRCC751)、Co
lT4(SRCC752)、ColT5(SRCC753)、ColT6(SRC
C754)、ColT7(SRCC755)、ColT9(SRCC756)、C
olT11(SRCC757)、ColT18(SRCC758)及びDcR3、
BACrev、BACfwd、T160、そしてT159と命名された結腸腺癌
を含む。 ヒト乳癌細胞系は、例えば、HBL100(SRCC759)、MB435s(
SRCC760)、T47D(SRCC761)、MB468(SRCC762)、
MB175(SRCC763)、MB361(SRCC764)、BT20(SRC
C765)、MCF7(SRCC766)、SKBR3(SRCC767)を含む
【0045】 3.組織分布 ここでの遺伝子増幅アッセイの結果は、種々のヒト組織でのmRNA発現の測
定などのさらなる実験により確認できる。 上記したように、種々の組織における遺伝子増幅又は遺伝子発現は、mRNA
の転写の定量化のための従来のサザンブロット、ノーザンブロット(Thomas, Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 5201-5205 [1980])、ドットブロット(DNA
分析)、又はインサイツハイブリッド形成により、ここに提供する配列にもとづ
いて適切な標識プローブを用いて測定できる。あるいは、DNA二重鎖、RNA
二重鎖、及びDNA-RNAハイブリッド二重鎖又はDNA-タンパク質二重鎖を
含む特定の二重鎖を認識する抗体を用いてもよい。 あるいは、種々の組織における遺伝子発現は、遺伝子産物を直接定量化するた
めの、組織断片及び細胞培地又は体液の免疫組織学的染色などの免疫的方法によ
っても測定できる。免疫組織学的染色又は試料液のアッセイに有用な抗体は、モ
ノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の動物から調製される。都合良
く、抗体は天然配列CT−1ポリペプチドに対して、又はここに提供するDNA
配列に基づく合成ペプチドに対して、又はCT−1DNAに融合し、そして特異
的抗体エピトープをコードする細胞外配列に対して調製される。抗体を生成する
一般的技術、及びノーザンブロット及びインサイツハイブリッド形成のプロトコ
ールは以下に提供する。
【0046】 4.染色体マッピング 与えられた遺伝子の増幅が機能的に関連する場合は、その遺伝子は、腫瘍生存
に重要でない隣接ゲノム領域より多く増幅すべきである。これを試験するために
、例えば放射性ハイブリッド分析により、遺伝子を特定染色体にマッピングでき
る。次いで、増幅レベルを特定した位置及び隣接ゲノム領域において測定する。
遺伝子がマッピングされたゲノム領域での選択的又は優先的増幅は、観察された
遺伝子増幅が腫瘍成長又は生存を促進する可能性と一致する。染色体マッピング
はフレームワーク及びエピセンターマッピングの両方を含む。さらなる詳細は、
例えば、Stewart等, Genome Research 7, 422-433 (1997)を参照。
【0047】 5.抗体結合部位 遺伝子増幅実験の結果は、腫瘍(癌)細胞上でのCT−1ポリペプチドの発現
を阻害する抗-CT−1の能力が試験される抗体結合実験によって更に確認でき
る。例示的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、
及びへテロ抱合体抗体を含み、その調製は如何に記載する。 抗体結合実験は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドウィッチアッセイ
、及び免疫沈降アッセイなどの既知のアッセイ法で実施してよい。Zola, Monocl
onal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 19
87)。 競合的結合アッセイは、標識標準物の、限られた量の抗体との結合について試
験分析物と競合する能力による。試験試料中の(腫瘍細胞で増幅された遺伝子に
コードされる)標的タンパク質の量は、抗体に結合し始める標準物の量に逆比例
する。結合し始める標準物の量の測定を促進するために、抗体は好ましくは競合
の前又は後に固定化し、抗体に結合した標準品及び分析物が未結合で残っている
標準物及び分析物から容易に分離できるようにする。 サンドウィッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、各々が検出すべきタンパ
ク質の異なる免疫原部分、又はエピトープに結合できる。サンドウィッチアッセ
イにおいて試験試料分析物は固体支持体上に固定化された第1の抗体に結合し、
その後第2の抗体が分析物に結合し、よって不溶性の3成分複合体が形成される
。例えば米国特許第4,376,110号参照。第2の抗体は検出可能部分で標識され(
直接サンドウィッチアッセイ)、あるいは検出可能部分で標識された抗-免疫グ
ロブリン抗体を用いて測定してもよい(間接サンドウィッチアッセイ)。例えば
、サンドウィッチアッセイの一形態はELISAアッセイであり、この場合の検
出可能部分は酵素である。 免疫組織学のために、腫瘍試料は新鮮でも凍結したものでもよく、パラフィン
に包埋して、例えばホルマリン等の保存剤で固定してもよい。
【0048】 6.細胞ベースの腫瘍アッセイ 細胞ベースアッセイ及び腫瘍(例えば、癌)の動物モデルを用いて、遺伝子増
幅アッセイに発見を確認し、ここでの遺伝子増幅と腫瘍形成細胞成長の進行及び
病理との関係をさらに理解することができる。ここで同定する遺伝子産物の腫瘍
又は癌の進行及び病理における役割は、ここで遺伝子を増幅すると同定された一
次腫瘍細胞又は細胞系を用いて試験することができる。このような細胞は、例え
ば、上記した乳、結腸及び肺癌細胞及び細胞系を含む。 異なる方法では、特定の腫瘍に含まれることが知られた細胞型の細胞をここの
cDNAで形質移入し、これらのcDNAの過剰成長誘発能力を分析する。適当
な細胞は、例えば、B104-1-1(neuプロトオンコジーンで形質移入され
た安定なNIH-3T3細胞液)及びras-形質移入NIH-3T3細胞等の安
定な腫瘍細胞系を含み、これらは所望の遺伝子で形質移入し、そして腫瘍形成的
成長を監視できる。このような形質移入細胞系は、次いで、形質転換細胞の成長
に対する細胞分裂停止又は細胞毒性活性の発揮により、又は抗体依存性細胞性細
胞毒性(ADCC)の媒介により、ポリ−又はモノクローナル抗体又は抗体組成
物の腫瘍形成細胞成長を阻害する能力を試験するのに使用できる。ここに同定し
た遺伝子のコード化配列で形質移入した細胞は、さらに、癌治療用の候補薬の同
定に使用できる。 さらに、トランスジェニック動物(下記)の腫瘍から誘導された一次培地は、
ここでの細胞ベースアッセイに使用できるが、安定な細胞系が好ましい。トラン
スジェニック動物から連続細胞系を誘導する技術はこの分野で良く知られている
(Small等, Mol. Cell. Biol. 5, 642-648 [1985]参照)。
【0049】 7.動物モデル 腫瘍の進行及び原因におけるここに同定される遺伝子の役割を更に理解する
ために、そして抗体、及び小分子アゴニストを含む天然ポリペプチドの他のアゴ
ニストを含む候補治療薬の有効性を試験するために、種々の良く知られた動物モ
デルが使用できる。これらのモデルのインビボ性質により、特にヒト患者におけ
る反応を予測できる。腫瘍及び癌(例えば、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌など
)の動物モデルは、非組換え及び組換え(トランスジェニック)動物の両方を含
む。非組換え動物モデルは、例えば、齧歯類、例えばマウスモデルを含む。この
ようなモデルは、標準的な技術、例えば、皮下注射、尾部静脈注射、脾臓移植、
腹膜内移植、腎被膜下移植、又はオルトピン(orthopin)移植、例えば結腸組織に
移植された大腸癌細胞により、腫瘍細胞を同系マウスに導入することにより作成
される。(1997年9月18日に発行されたPCT公報WO 97/33551参照。) 癌遺伝子の研究におそらく最もしばしば用いられる動物種は、免疫不全マウス
、特にヌードマウスである。ハイポ/形成不全を持つヌードマウスがヒト腫瘍異
種移植の宿主として行動するという観察は、この目的のための広い用途を導いた
。常染色体劣性nu遺伝子が、例えば、ASW、A/He、AKR、BALB/
c、B10.LP、C17、C3H、C57BL、C57、CBA、DBA、D
DD、I/st、NC、NFR、NFS、NFS/N、NZB、NZC、NZW
、P、RIII及びSJLを含むヌードマウスの極めて多数の異なる共通遺伝子
系統に導入された。さらに、遺伝的な免疫不全を持つヌードマウス以外の広範な
他の動物が生育され、腫瘍異種移植のレシピエントとして用いられた。さらなる
詳細については、The Nude Mouse in Oncology Research, E. Boven 及び B. Wi
nograd 編, CRC Press, Inc., 1991を参照。
【0050】 これらの動物に導入される細胞は、周知の腫瘍/癌細胞系、例えば上記列挙し
た腫瘍細胞系、及び、例えばB104-1-1細胞系(neuプロトオンコジーン
で形質移入された安定NIH-3T3細胞系);ras-形質移入NIH-3T3
細胞:Caco-2(ATCC HTB-37)、中程度に良く分化したグレードIIヒ大結
腸腺癌細胞系、HT-29(ATCC HTB-38)から、あるいは腫瘍及び癌から誘導す
ることができる。腫瘍又は癌細胞の試料は、手術を受けている患者から、液体窒
素中での凍結及び保存を含む標準的な条件を用いて得ることができる(Karmali
等, Br. J. Cancer 48, 689-696 [1983])。 腫瘍細胞は、ヌードマウスなどの動物に、種々の手法によって導入できる。マ
ウスの皮下(s.c.)空間は、腫瘍移植に非常に好ましい。腫瘍は、固体ブロ
ックとして、トロチャー(trochar)を用いてニードル生検として、細胞懸濁物と
してs.c.移植できる。固体ブロック又はトロチャー移植のために、適切な大
きさの腫瘍組織断片がs.c.空間に導入される。細胞懸濁物は、原発腫瘍又は
安定な腫瘍細胞系から新たに調製され、皮下注射される。また腫瘍細胞は、皮下
植え込みとして注射することもできる。この位置において、種菌が皮膚結合組織
の下層とs.c.組織との間に析出される。Boven及びWinograd (1991), 上掲。 乳癌の動物モデルは、例えば、神経芽腫細胞(それからneu癌遺伝子が最初
に単離される)、又はneu形質移入NIH-3T3細胞をヌードマウスに移植
することにより、基本的にはDrebin等, PNAS USA 83, 9129-9133 (1986)に記載
されているように生成される。
【0051】 同様に、大腸癌の動物モデルは、大腸癌細胞を動物、例えばヌードマウスに継
代し、これらの動物における腫瘍の発現を導くことにより生成される。ヌードマ
ウスにおけるヒ大腸癌の同所性移植モデルは、例えば、Wang等, Cancer Researc
h 54, 4726-4728 (1994)及びToo等, Cancer Research 55, 681-684 (1995)に記
載されている。このモデルは、いわゆるAntiCancer, Inc. (SanDiego, Californ
ia)から市販の「METAMOUSE」に基づく。 動物に生じた腫瘍は、取り出してインビトロで培養することができる。インビ
トロ培地からの細胞は、次いで動物に継代することができる。これらの腫瘍は、
さらなる試験及び薬物スクリーニングの標的として提供され得る。あるいは、継
代から得られる腫瘍は単離でき、継代前細胞及び1又はそれ以上の継代後に単離
した細胞のRNAを、対象とする遺伝子の識別可能な発現について分析する。こ
のような継代技術は、周知の腫瘍又は癌細胞系で実施することができる。 例えば、Meth A、CMS4、CMS5、CMS21、及びWEHI-16
4がBALB/c雌マウスの線維肉腫に導入され(DeLeo等, J. Exp. Med. 146,
720 [1977])、それは、種々の抗原の抗-腫瘍活性の研究のための高度に制御可
能なモデル系を提供する(Palladino等, J. Immunol. 138, 4023-4032 [1987])
。簡便には、腫瘍細胞は細胞培地中でインビトロで成長させる。動物に注射する
前に、細胞系は洗浄してバッファー中に約10x10から10x10細胞/
mlの細胞密度で懸濁する。次いで動物を10から100μlの細胞懸濁物で皮
下感染し、腫瘍が現れるまで1から3週間放置する。
【0052】 さらに、最も完全に研究された実験的腫瘍の一つであるマウスのルイス肺(3
LL)癌腫は、研究用腫瘍モデルとして用いることができる。この腫瘍モデルに
おける有効性は、肺の小細胞癌腫(SCCL)と診断されたヒト患者の治療にお
ける有利な効果と相関していた。この腫瘍は、影響を受けたマウスからの腫瘍断
片又は培地に残った細胞の注射に際して正常マウスに導入でき(Zupi等, Br. J.
Cancer 41, suppl. 4, 309 [1980])、証拠は、腫瘍がたった一つの細胞の注射
から開始され、感染した腫瘍細胞の極めて高い集団が生存することを示している
。この腫瘍モデルに関する更なる情報については、Zacharski, Haemostasis 16,
300-320 [1986]を参照のこと。 移植された腫瘍の動物モデルにおける試験化合物の有効性を評価する一つの方
法は、治療前後での腫瘍の大きさを測定することである。伝統的に、移植した腫
瘍の大きさは、二又は三次元のスライドキャリパーで測定される。二次元に制限
された測定は、腫瘍の大きさを正確に反映せず、従って、通常は数式を用いて対
応する容積に換算される。しかしながら、腫瘍の大きさの測定は極めて不正確で
ある。候補薬の治療効果は、治療-誘発性の成長遅延及び特異的な成長遅延とし
てより良く記述できる。腫瘍成長の記述における他の重要な変数は、腫瘍容積倍
加時間である。Rygaard及びSpang-Thomsen, Proc. 6th Int. Workshop on Immun
e-Deficient Animals, Wu及びSheng編, Basel, 1989, 301によって報告されたプ
ログラムなどの、腫瘍成長の計算及び記述のためのコンピュータプログラムも利
用可能である。しかし、腫瘍に続く壊死及び炎症反応が実際には少なくとも初期
に腫瘍の大きさを増大させ得ることを注記しておく。従って、これらの変化は、
形態学的方法及びフローサイトメトリー分析を組み合わせて、注意深く監視する
必要がある。
【0053】 組換え(トランスジェニック)動物モデルは、ここに同定された遺伝子のコー
ド部分を、トランスジェニック動物作成のための標準的技術を用いて、対象とす
る動物のゲノムに導入することにより加工できる。トランスジェニック動物は、
「導入遺伝子」又は動物自体又は動物の祖先に出生前段階(例えば胚段階)でゲ
ノムに導入された遺伝物質を有するものである。トランスジェニック操作の標的
として提供できる動物は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモッ
ト、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及び非-ヒト霊長類、例えばヒヒ、チンパンジー及び
サルを含む。これらの動物に導入遺伝子を導入するのにこの分野で知られた技術
は、全核マイクロインジェクション(Hoppe及びWanger, 米国特許第4,873,191号
);胚系列へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(例えば、Van der Putten等, Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-615 [1985]);胚性肝細胞での遺伝子標的
化(Thompson等, Cell 56, 313-321 [1989]);胚のエレクトロポレーション(L
o, Mol. Cel. Biol. 3, 1803-1814 [1983]);精子媒介遺伝子転移(Lavitrano
等, Cell 57, 717-73 [1989])を含む。概説のためには、例えば、米国特許第4,
736,866号を参照のこと。 本発明の目的のために、トランスジェニック動物は、その一部にのみ導入遺伝
子を有するもの(「モザイク動物」)を含む。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子
として、又はコンカテマー、例えば頭部と頭部又は頭部と尾部の直列型として組
み込まれる。特定の細胞型への導入遺伝子の選択的導入も、例えば、Lasko等, P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-636 (1992)の技術に従って可能である。
【0054】 トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現は、標準的技術によって監
視できる。例えば、導入遺伝子の組み込みの確認にサザンブロット分析又はPC
R増幅が用いられる。次いで、mRNA発現のレベルは、インサイツハイブリッ
ド形成、ノーザンブロット分析、PCR、又は免疫組織化学などの技術を用いて
分析できる。動物は、腫瘍又は癌発生の徴候についてさらに試験される。 あるいは、この出願で同定されたCT−1ポリペプチドをコードする欠損又は
改変遺伝子を有する「ノックアウト」動物は、ポリペプチドをコードする内在性
遺伝子と動物の胚性細胞に導入された同じポリペプチドをコードする改変ゲノム
DNAの間の相同的組換えの結果として作製が可能である。例えば、特定のCT
−1ポリペプチドをコードするcDNAは、確立された技術に従い、CT−1ポ
リペプチドをコードするゲノムDNAのクローン化に使用できる。CT−1ポリ
ペプチドをコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するた
めに使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換する
ことができる。典型的には、ベクターは数キロベースの無変化のフランキングD
NA(5’と3’末端の両方)を含む[例えば、相同的組換えベクターについては
Thomas及びCapecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹
細胞系に(例えばエレクトロポレーション等によって)導入し、導入されたDNA
が内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Li等, Cell,
69: 915(1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の
胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcino
mas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed.
(IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊
娠の雌性育成動物に移植し、胚を期間をおいて「ノックアウト」動物につくりあ
げる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は、標準的な技術によ
り同定され、動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させ
るのに利用することができる。ノックアウト動物は、例えば、ある種の病理的状
態に対する防御能力及びcT−1ポリペプチドが不在であることによるその病理
的状態の発達によって特徴付けられる。
【0055】 自然発生した動物腫瘍の治療におけるここに同定されるポリペプチドに特異的
に結合する抗体、及び他の候補薬の有効性も試験できる。このような研究のため
の適切な標的は、ネコ口腔扁平上皮癌(SCC)である。ネコ口腔SCCは高度
に侵襲的な悪性腫瘍で、ネコに最も通常の口腔悪性腫瘍であり、この種に報告さ
れる口腔腫瘍の60%以上を占める。それは、離れた部位には殆ど転移しないが
、この転移の低い発生率は単にこの腫瘍を持つネコの短い生存期間を反映してい
るにすぎない。これらの腫瘍は通常手術できないが、主にネコの口腔の解剖学的
形状による。現在では、この腫瘍の有効な治療法は存在しない。研究に入る前に
、各々のネコに完全な臨床検査、生体組織検査を施し、コンピュータ断層撮影(
CT)によりスキャンした。舌下口腔扁平上皮細胞腫瘍を持つと診断されたネコ
は研究から排除した。舌はこの腫瘍のために麻痺し始め、治療がこの腫瘍を殺し
た後でも、動物は自分で餌を取ることができないであろう。各々のネコを長期に
渡って繰り返し治療する。腫瘍の写真を治療期間中の毎日及び引き続く再チェッ
クの時点で撮影した。治療の後、各ねこに再度CTスキャンを施した。CTスキ
ャン及びラジオグラフは、その後8週間ごとに評価した。データは、対照群と比
較した生存数、反応性及び毒性における相違について評価した。陽性反応は、腫
瘍の縮小、好ましくは生存の質の向上又は生存期間の延長を必要とする。 さらに、他の自発的動物腫瘍、例えばイヌ、ネコ、及びヒヒの線維肉腫、腺癌
、リンパ腫、クロンドローマ(chrondroma)、平滑筋肉腫も試験できる。これらの
イヌ及びネコでの乳腺癌は、その発現及び挙動がヒトのものに極めて類似してい
るので、好ましいモデルである。しかし、このモデルの使用は動物におけるこの
型の腫瘍の発生比率によって制限される。
【0056】 8.候補薬についてのスクリーニングアッセイ 候補薬のスクリーニングアッセイは、ここで同定される遺伝子にコードされる
ポリペプチドと結合又は抱合する化合物、あるいはコード化ポリペプチドと他の
細胞性タンパク質との相互作用を阻害する化合物を同定するために設計される。
このようなスクリーニングアッセイは、特に小分子候補薬の同定に適したものに
する、化学的ライブラリの高スループットスクリーニングに従うアッセイを含む
。小分子とは、抗体合成有機又は無機化合物を含むと考え、それらは、ペプチド
、好ましくは可溶性ペプチド、(ポリ)ペプチド-免疫グロブリン融合体、特に
、限定されないが、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、一本鎖抗体、
抗-イディオタイプ抗体、及びそれらの抗体又は断片のキメラ又はヒト化形、並
びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。アッセイは、種々の形式で
実施でき、この分野で良く特徴付けられたタンパク質-タンパク質結合アッセイ
、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ及び細胞ベースのアッセイ
を含む。 全てのアッセイは、それらが候補薬をここで同定される核酸にコードされるポ
リペプチドと、それら2成分が相互作用するのに十分な時間接触させることで共
通している。
【0057】 結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離され
るか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここに同定された
遺伝子にコードされるポリペプチドのレセプター即ち候補薬が、共有又は非共有
結合により固相、例えばマイクロタイタープレートに固定化される。非共有結合
は、一般的に固体表面をポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成
される。あるいは、固定化すべきペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノク
ローナル抗体を、そのペプチドを固体表面に固着させるために用いることができ
る。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標
識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応
が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複
合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面
に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化
成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特
異的に結合する標識抗体によって検出できる。
【0058】 候補化合物がここで同定される遺伝子にコードされる特定のCT−1ポリペプ
チドと相互作用するが結合しない場合、その相互作用は、タンパク質−タンパク
質相互作用を検出するために良く知られた方法によってアッセイすることができ
る。そのようなアッセイは、架橋、同時免疫沈降、及び勾配又はクロマトグラフ
ィカラムを通す同時精製などの伝統的な手法を含む。さらに、タンパク質−タン
パク質相互作用は、Fields及び共同研究者等[Fiels及びSong, Nature(London)
340, 245-246 (1989); Chien等, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88, 9578-9582 (1
991)]に記載された酵母菌ベースの遺伝子系を用いることにより、Chevray及びN
athans[Proc.Natl. Acad. Sci. USA 89, 5789-5793 (1991)]に開示されている
ように監視することができる。酵母菌GAL4などの多くの転写活性化剤は、2
つの物理的に別個のモジュラードメインからなり、一方はDNA結合ドメインと
して作用し、他方は転写活性化ドメインとして機能する。以前の文献に記載され
た酵母菌発現系(一般に「2-ハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性の長
所を利用して、2つのハイブリッドタンパク質を用い、一方では標的タンパク質
がGAL4のDNA結合ドメインに融合し、他方では、候補となる活性化タンパ
ク質が活性化ドメインに融合している。GAL1-lacZリポーター遺伝子の
GAL4活性化プロモーターの制御下での発現は、タンパク質-タンパク質相互
作用を介したGAL4活性の再構成に依存する。相互作用するポリペプチドを含
むコロニーは、β-ガラクトシダーゼに対する色素生産性物質で検出される。2-
ハイブリッド技術を用いた2つの特定なタンパク質間のタンパク質-タンパク質
相互作用を同定するための完全なキット(MATCHMAKER(商標名))は、Clontechか
ら商業的に入手可能である。この系は、特定のタンパク質相互作用に含まれるタ
ンパク質ドメインのマッピング、並びにこの相互作用にとって重要なアミノ酸残
基の特定にも拡張することができる。
【0059】 ここで同定されるCT−1のコード化配列と他の細胞外成分との相互作用を阻
害する化合物は、次のように試験することができる:通常は、増幅された遺伝子
の生成物及び細胞内又は外成分を含む反応混合物を、条件下で2つの生成物が相
互作用及び結合する時間に渡って調製する。試験化合物が結合を阻害する能力を
試験するために、反応は試験化合物有り又は無しで実施する。さらに、第3の反
応混合物にプラシーボを添加してポジティブ対照としてもよい。混合物中に存在
する試験化合物と細胞内又は外成分との結合(複合体形成)は上記のように監視
する。対照反応において複合体が形成され、試験化合物を含む反応混合物ではし
ないことは、試験化合物が試験化合物とその反応パートナーとの相互作用を妨害
する事を示す。
【0060】 9.腫瘍治療のための組成物及び方法 ここで同定した遺伝子の増幅を伴う腫瘍の治療に有用な組成物は、限定されな
いが、抗体、小有機及び無機分子、ペプチド、ホスホペプチド、アンチセンス及
びリボザイム分子、トリプルヘリックス分子などを含み、標的遺伝子産物の発現
又は活性を阻害する。 例えば、アンチセンスRNA及びRNA分子は、標的mRNAにハイブリッド
形成してタンパク質翻訳を防止することによりmRNAの翻訳を直接阻止する。
アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位、例えば標的遺伝子ヌクレ
オチド配列の−10から+10位置の間から誘導されるオリゴデオキシリボヌク
レオチドが好ましい。 リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リ
ボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリッド形成、次いでヌクレ
オチド鎖切断的切断により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切
断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、Rossi, Current B
iology 4: 469-471 (1994)及びPCT公報、番号WO 97/33551(1997年9月18日発
行)を参照。 転写阻害に用いられるトリプルヘリックス形成における核酸分子は一本鎖でデ
オキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、フー
グスティーン塩基対則を介するトリプルヘリックス形成を促進するように設計さ
れ、それは一般に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのサイズ変更可能
な伸展を必要とする。さらなる詳細は、例えば、PCT公報、番号WO 97/33551, 上掲を参照。 これらの分子は上記のスクリーニングアッセイの任意のもの又は任意の組み合
わせにより、又は当業者に知られた他のスクリーニング技術により同定できる。
【0061】 9.1 抗体 本発明の幾つかの最も有望な候補薬は、抗体及び抗体断片であり、それらはこ
こに同定される遺伝子の遺伝子生産又は産物を阻害し及び/又は遺伝子産物の活
性を低下させる。
【0062】 i.ポリクローナル抗体 ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポ
リクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを
、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤
又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免
疫化剤は、CT−1ポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤
を免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させ
るのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが
、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン
及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例に
は、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリ
ル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコ
ールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
【0063】 ii.モノクローナル抗体 あるいは、抗-CT−1抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクロ
ーナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されている
ようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドー
マ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫化剤に
より免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは
生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化すること
もできる。 免疫化剤は、典型的にはCT−1ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む
。一般にヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用
され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節
細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いて
リンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding
, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986)
pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に
齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの
骨髄腫株化細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不
死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培
養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルト
ランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、
典型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地
」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
【0064】 好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による
安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性
のものである。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例
えばカリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Cente
rやヴァージニア州マナサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(
ATCC)より入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト
骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も開示されている[Kozbor, J. Immu
nol., 133:3001 (1984)、Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniq
ues and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]
。 次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、CT−1に対するモノク
ローナル抗体の存在について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によっ
て生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッ
セイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によ
って測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem
., 107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定することができ
る。
【0065】 所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程によりサ
ブクローニングし、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。
この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及び
RPMI-1640倍地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物
においてインビボで腹水として成長させることもできる。 サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA
−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳
動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン
精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製される。 また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567
号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体
をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び
軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使
用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細
胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら、DNA
は発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞
、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク
質を生成などしない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクロ
ーナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列
に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[US
. Patent No.4,816,567;Morrison等, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列
に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合するこ
とにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、
本発明の抗体の定常ドメインの代わりに置換するか、本発明の抗体の一つの抗原
結合部位の可変ドメインの代わりに置換し、キメラ性二価抗体を産生することが
できる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメ
インに置換でき、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに
置換でき、キメラ性二価抗体を生成する。
【0066】 抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく
知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現
を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意のポイン
トで切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換
するか欠失させて架橋を防止する。 一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その
断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使
用して達成できる。
【0067】 iii.ヒト及びヒト化抗体 本発明の抗-CT−1抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(
例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖
あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の
他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を
含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が
、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非
ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レ
シピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレーム
ワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体
は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも
見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほ
とんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは
ほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、
少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化
抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブ
リンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525
(1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op S
truct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0068】 非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト
化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒト
アミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移
入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト
抗体の該当する配列を置換することによりウィンター(winter)及び共同研究者[
Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1
988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類
CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実施され
る。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的
に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4
,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及
び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によ
って置換されたヒト抗体である。 また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリー[Hoogenboom及びWinter, J. M
ol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含
むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等
及びBoerner等の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができ
る[Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77
(1985)及びBoerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991) ]。同様に、ヒト抗
体はヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロ
ブリン遺伝子は部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産
生することができる。投与の際に、あらゆる観点においてヒトに見られるものに
非常に類似しているヒト抗体の生産が観察される。このアプローチ法は、例えば
米国特許第5545807号、同第5545806号、同第5569825号、
同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号、及び次
の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg等, Natur
e 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwild等, N
ature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 1
4, 826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)
に記載されている。
【0069】 iv.二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有する
モノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合
において、結合特異性の一方はCT−1ポリペプチドに対してであり、他方は任
意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサ
ブユニットに対してである。 二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的に
は、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免
疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature,
305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため
、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合
物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精
製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の
手順が1993年5月13日公開の国際公開93/08829号、及びTrauneck
er等, EMBO J.,10:3655-3659 (1991)に開示されている。 所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロ
ブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ部
、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのもの
である。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常
領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードする
DNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入
し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を作成するための更な
る詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210(1986)を
参照されたい。
【0070】 v.ヘテロ抱合体抗体 ヘテロ抱合抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロ抱合抗体は、2つの共有結
合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対
してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染
の治療のために[WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089]提案されている。こ
の抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を
使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフ
ィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒
素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオ
レート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第467
67980号に開示されているものが含まれる。
【0071】 vi.エフェクター機能の工学 本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、抗体の効能を増強すること
が望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に導入して、鎖間ジスルヒド結
合の形成を許容する。このようにして産生されたホモダイマー抗体は改善された
インターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞死滅及び抗体依存
性細胞障害活性(ADCC)を有しうる。Caronら, J.Exp.Med. 176:1191-1195 (1
992)及びShopes,B. J.Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照されたい。増強さ
れた抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体は、Wolffら, Cancer Research 53:2560
-2565 (1993) に記載されたようにしてヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製す
ることができる。別法として、二重Fc領域を有し、よって増強された補体溶解
及びADCC能を有する抗体を設計することができる。Stevensonら, Anti-canc
er Drug Design 3:219-230 (1989)を参照のこと。
【0072】 vi.免疫複合体 本発明はまた、化学治療薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の
酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞毒性薬、あるいは放射性同位体(即ち
、放射性抱合)に複合された抗体を含む免疫複合体にも関する。 このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬は上記した。用いることので
きる酵素活性毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活
性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン
(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fo
rdii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカー
ナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)
、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(
curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria ofici
nalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリ
クトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomyci
n)及びトリコテセン(tricothecene)を含む。様々な放射性ヌクレオチドが放射性
抱合抗体の生成に利用可能である。例として、212Bi、131I、131
n、90Y及び186Reを含む。 抗体及び細胞毒性薬の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、
例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(S
PDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチ
ルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等
)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジ
ドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジ
アゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2
,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-
2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は
、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されたように調製することがで
きる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン
トリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合の
ためのキレート剤の例である。WO 94/11026参照。 他の実施態様では、腫瘍の予備標的化で使用するために、抗体は「レセプター
」(ストレプトアビジン等)に抱合されてもよく、抗体-レセプター複合体は患
者に投与され、次いで清澄化剤を用いて未結合複合体を循環から除去し、次に細
胞毒性薬(例えば、放射性ヌクレオチド等)に抱合された「リガンド」(アビジ
ン等)を投与する。
【0073】 viii.免疫リポソーム また、ここに開示する抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を
含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985)
; Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,
485,045号及び第4,544,545号に記載されたような、この分野で知られた方法で調
製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開
示されている。 特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG
-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆
相蒸発法によって生成される。リポソームは、所定サイズの孔のフィルターを通
して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のF
ab'断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されてい
るように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。化学治療
薬(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizo
n等, J. National Cancer Inst. 81(19) 1484 (1989)参照。
【0074】 10.製薬組成物 ここで同定される増幅遺伝子の産物に特異的に結合する抗体、並びに上記に開
示したスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、上記及び下記に記した
種々の疾患の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。 増幅遺伝子にコードされているタンパク質が細胞内であり、全抗体が阻害剤と
して用いられる場合、内在化抗体が好ましい。しかし、リポフェクション又はリ
ポソームも抗体、又は抗体断片を細胞に導入するのに使用できる。抗体断片が用
いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片
が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結
合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学
的に合成でき、及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。例えば、Mara
sco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 (1993)を参照。 抗体の治療用製剤は、所望の程度の純度を持つ抗体を、任意の製薬的に許容さ
れる担体、賦形剤又は安定化剤と(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16t
h Edition, Osol., A., Ed., (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合
することにより貯蔵のために調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定化
剤は、用いられる投与量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸塩、クエン酸
塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防
止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化
ヘキサメチオニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼチオニウム;フェノー
ル、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンのようなアル
キルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3−ペンタ
ノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血
清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピ
ロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチ
ジン、アルギニン、又はリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又は
デキストロースを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレー
ト剤;シュークロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖
アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はTweenTM、P
lutonicsTM、又はポリエチレングリコール(PEG)等の界面活性剤
を含む。
【0075】 本発明のスクリーニングアッセイで同定された非-抗体化合物は、同様の方式
で、この分野で知られた標準技術を用いて製剤される。 ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1以上の活性化合物、
好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的仮性を持つものも含んでよい。ある
いは、又はそれに加えて、組成物は、細胞毒性薬、サイトカイン又は成長阻害剤
を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合
わせで存在する。 また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により
調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼ
ラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中
、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマ
ルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括
されていてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Science 16t
h edition, Osol, A. Ed. [1980]に開示されている。 インビボ投与に使用される製剤は無菌でなけらばならない。これは、滅菌濾過
膜を通した濾過により容易に達成される。
【0076】 徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体
疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、
例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの例は
、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレー
ト)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号)
、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメート、非分解性エチレン-酢酸ビ
ニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロ
リドの注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリD-(
−)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール
酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種の
ヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体
が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又
は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもた
らす。合理的な方法は、含まれる機構に依存する安定化について工夫することが
できる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を通した分子間S−S結合
形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液か
らの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマ
トリクス組成物の開発によって達成されうる。
【0077】 11.治療方法 本発明の抗体及び他の抗腫瘍化合物は、この出願で同定された増幅遺伝子の過
剰発現及び/又は活性化によって特徴付けられるものを含む種々の状態の治療に
用いてもよいと考えられる。本発明の抗体など及び限定されないが小有機及び無
機化合物、ペプチド、アンチセンス分子などを含む他の化合物で治療される状態
又は疾患の例としては、良性又は悪性腫瘍(例えば、腎臓(renal)、肝臓、腎臓(
kidney)、膀胱、乳房、胃、卵巣、結腸直腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、胸腺
、肝癌(hepatic carcinoma)、肉腫;膠芽細胞腫;及び種々の頭部及び頸部の腫
瘍);白血病及びリンパ悪性疾患;ニューロン、グリア、星状、視床下部及び腺
、マクロファージ、上皮、間質及び胞胚腔の疾患;及び炎症、脈管形成及び免疫
学的疾患が含まれる。 本発明の抗腫瘍剤、例えば抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトに、周知の方法
、例えば、ボーラスとして又は所定時間に渡る連続注入による静脈内投与、筋肉
内、腹膜内、脳脊髄内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入経
路などにより投与される。静脈内投与が好ましい。
【0078】 他の治療的養生法を本発明の抗癌剤の投与に組み合わせてもよい。例えば、こ
のような抗癌剤で治療される患者は放射線治療を受けてもよい。あるいは、又は
それに加えて、患者に化学治療薬を投与してもよい。このような化学治療薬の調
製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実
務者により経験的に決定される。そのような化学治療に対する調製法及び用量ス
ケジュールはまたChemotherapy Service M.C. Perry編, Williams & Wilkins, B
altimore, MD (1992)にも記載されている。化学治療薬は、本発明の抗腫瘍剤の
投与に先立って、又は続いて投与してもよく、あるいはそれらと同時に投与して
もよい。本発明の抗癌剤は、タモキシフェンなどの抗エストロゲン化合物又はオ
ナプリストンなどの抗プロゲステロン(EP 616812参照)の、これらの分子につ
いて知られた用量と組み合わせてもよい。 また、腫瘍関連抗原に対する抗体、例えばErbB2、EGFR、ErbB3
、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)に結合する抗体を投与することも
好ましい。これに代わって、或いは加えて、ここに開示されているのと同じ抗原
又は二つ或いは二つ以上の異なる抗原へ結合する二つ又は二つ以上の抗体を患者
へ共同投与してもよい。時には、患へサイトカインを投与することも有益である
。好ましい実施態様では、ここの抗癌剤は、成長阻害剤と同時投与される。例え
ば、まず成長阻害剤を投与し、続いて本発明の抗癌剤を投与する。しかしながら
、同時投与、又は本発明の抗癌剤を最初に投与することも考えられる。成長阻害
剤についての適切な用量は現在用いられている量であるが、成長阻害剤とこの抗
体との組み合わせ(相乗)効果により減少させ得る。
【0079】 疾患の防止又は治療のための、抗腫瘍剤の適切な用量、例えばここでの抗体は
、上記で定義したような治療される疾患の型、疾患の重篤さ及び経過、防止又は
治療目的で薬剤が投与されるか否か、従前の治療、患者の臨床履歴及び薬剤に対
する反応、及び主治医の裁量に依存する。薬剤は、患者に、一回又は一連の治療
に渡って適切に投与される。 例えば、疾患の型及び重篤さに応じて、約1μg/kgから15mg/kg(
例えば、0.1−20mg/kg)の抗腫瘍剤が、例えば、1又はそれ以上の別
々の投与あるいは連続注入により患者に投与するための最初の候補用量である。
典型的な1日の用量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/
kg以上であろう。数日以上に渡る繰り返し投与のためには、状態に応じて、疾
患の徴候に所望の抑制が現れるまで治療が続けられる。しかしながら、他の用量
計画が有用であることもある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによ
って容易に監視される。
【0080】 12.製造品 本発明の他の実施態様では、上記の疾患の診断又は治療に有用な物質を含む製
造品が提供される。この製造品は容器とラベルとを含んでなる。好適な容器は、
例えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプ
ラスチックなどの材料から形成されてよい。容器は、状態を診断し治療するのに
有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下
注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであって
よい)。組成物中の活性剤は、通常、本発明で同定されている遺伝子産物の活性
を阻害することができる抗-腫瘍剤、例えば抗体である。容器上又は添付される
ラベルは、組成物が選択した状態の診断又は治療のために使用されることを示す
。製造品はさらに、リン酸緩衝塩水、リンガー液及びデキストロース溶液などの
製薬的に許容されるバッファーを含む第2の容器を具備してもよい。さらに、他
のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を付けた
パッケージ挿入物を含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んで
もよい。
【0081】 13.腫瘍の診断及び予知 或る種の腫瘍で過剰発現される成長レセプター等の細胞表面タンパク質は候補
薬剤又は腫瘍(例えば、癌)治療の優れた標的であるが、同じタンパク質は腫瘍
細胞で増幅された遺伝子にコードされる分泌タンパク質とともに腫瘍の診断及び
予知に用途が見出される。例えば、腫瘍細胞で増幅された遺伝子のタンパク質産
物に対する抗体は腫瘍診断又は予知として使用できる。 例えば、抗体断片を含む抗体は、増幅された遺伝子にコードされるタンパク質
(「マーカー遺伝子産物」)の発現の定性的又は定量的検出に用いることができ
る。抗体は、好ましくは検出可能な、例えば蛍光標識を備え、結合は光学顕微鏡
、フローサイトメトリー、フルオロメトリー、又はこの分野で知られた他の技術
によって監視できる。これらの技術は、増幅された遺伝子が細胞表面タンパク質
、例えば成長因子をコードする場合に特に好ましい。このような結合アッセイは
、上記5節に実質的に記載されたように実施される。 マーカー遺伝子産物に結合する抗体のインサイツ検出は、例えば、免疫蛍光又
は免疫電子顕微鏡によって実施できる。この目的のために、組織学的試料を患者
から取り出し、好ましくは生物学的試料に抗体を被せることにより、標識抗体を
それに適用する。この手法はまた、試験される組織におけるマーカー遺伝子産物
の分布も決定できるようにする。当業者には、インサイツ検出のために広範な組
織学的方法が容易に利用できることは明らかであろう。
【0082】 以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を
決して限定することを意図するものではない。 本明細書で引用した全ての特許及び文献の全体を、出典明示によりここに取り
込む。 (実施例) 実施例で言及されている全ての他の市販試薬は、特に示さない限りは製造者の
使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体
を通して特定されている細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション、マナッサス、VAである。特に記さない限り、本発明は上記及び以下
の教科書に記載されたもののような組換えDNA技術の標準的な手法を用いた:
Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor P
ress N.Y., 1989; Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Gree
n Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y., 1989; Innis等, PCR
Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc., N
.Y.., 1990; Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbo
r Press, Cold Spring Harbor, 1988; Gait. M.J., Oligonucleotide synthesis
, IRL Press, Oxford, 1984; R.I. Freshney, Animal Cell Culture, 1987; Col
igan等, Current Protocols in Immunology, 1991。
【0083】 実施例1:遺伝子増幅 この実施例は、CT−1コード化遺伝子が或る種のヒト肺及び大腸癌細胞系の
ゲノムで増幅されることを示す。増幅は遺伝子産物の過剰発現を伴い、大腸、肺
、乳及び他の癌といった或る種の癌において、CT−1タンパク質が治療的処置
の有用な標的であることを示している。治療薬は、CT−1コード化遺伝子産物
のアンタゴニスト、例えばCT−1ポリペプチドに対するマウス−ヒトキメラ、
ヒト化又はヒト抗体であってよい。 スクリーニングの出発物質は種々の癌から単離したゲノムDNAである。DN
Aは、例えば蛍光的に正確に定量化される。ネガティブ対照として、10の正常
健常個体からDNAを単離し、それをプールして健常個体における遺伝子コピー
のアッセイ対照として使用した(示さず)。5' ヌクレアーゼアッセイ(例えば
TaqMan(商品名))及び実時間定量的PCR(例えば、ABI Prizm 7700 Sequenc
e Detection System(商品名)(Perkin Elmer, Applied Biosystems Division, Fo
ster City, CA))を、或る種の癌で潜在的に増幅される遺伝子の発見に使用した
。結果は、CT−1をコードするDNAがスクリーニングした原発性肺又は大腸
癌又は癌細胞系又は乳癌細胞系で過剰表現されるか否かの決定に使用した。原発
肺癌は、表1に示した型及び段階の腫瘍を持つ個体から得た。表1に列挙した原
発性腫瘍及びこの実施例を通して参照される細胞系の表示に使用した略語の説明
は上記に与えた。TaqMan(商品名)の結果はデルタ(Δ)Ct単位で報告される。1
単位は1PCRサイクル又は正常に対して約2倍の増幅に相当し、2単位は4倍
、3単位は8倍増幅等々に相当する。定量化はプライマー及びCT−1-コード
化遺伝子から誘導したTaqMan(商品名)蛍光プローブを用いて得た。最も独特の核
酸配列を含むと思われ、最もスプライシングされたイントロンを持たないと思わ
れるCT−1の領域が、プライマー及びプローブ誘導、例えば3'-非翻訳領域の
ために好ましい。CT−1遺伝子増幅分析に使用されるプライマー及びプローブ
(正、逆及びプローブ)の配列は次の通り: CT−1(DNA58125): 58125.tm.fl 5' −TTCCCAGCCTCTCTTTGCTTT−3' (配列番号:4)
58125.tm.rl 5' −TCAGACGGAGTTACCATGCAGA−3'(配列番号:5)
58125.tm.pl 5' −TGCCCCGTTCTCTTAACTCTTGGACCC−3' (配列番号:6)
【0084】 5' ヌクレアーゼアッセイ反応は蛍光PCRベースの技術であり、実時間での
増幅監視のためのTaqDNAポリメラーゼ酵素の5' エキソヌクレアーゼ活性
を使用する。PCR反応に典型的な単位複製配列の生成には、2つのオリゴヌク
レオチドプライマーが使用される。第3のオリゴヌクレオチド、又はプローブは
、2つのPCRプライマーの間に位置する核酸配列を検出するために設計される
。プローブはTaqDNAポリメラーゼ酵素により非伸展性であり、レポーター
蛍光染料及び消光剤蛍光染料で標識される。2つの染料がプローブ上に接近して
位置する場合、レポーター染料からのレーザー誘導発光は消光染料によって消光
される。増幅反応の間、プローブはTaq DNAポリメラーゼ酵素によりテン
プレート依存的方式で切断される。得られたプローブ断片は溶液中に解離し、放
出されたレポーター染料からのシグナルは第2のフルオロホアからの消光効果を
受けない。レポーター染料の一分子は、新たに合成された各分子について標識さ
れ、非消光レポーター染料の検出がデータの定量的解釈の基礎を提供する。 5' ヌクレアーゼ法は、ABI Prism 7700(商品名)配列検出などの実時間定量
的PCR装置で実施される。系は温度サイクル器、レーザー、電荷結合装置(C
CD)カメラ及びコンピュータからなる。系は温度サイクル器上で96-ウェルで
の試料を増幅させる。増幅中に、レーザー誘導蛍光シグナルは光ファイバーケー
ブルで96ウェルに集められ、CCDで検出される。系は装置の実行及びデータ
の分析のためのソフトウェアを含む。 5' ヌクレアーゼアッセイデータは、最初はCt又は境界サイクルで表現され
る。これは、レポーターシグナルが蛍光のバックグラウンドを越えて蓄積される
サイクルとして定義される。ΔCt値は、癌DNAの結果をヒトDNAの結果と
対比する際の核酸試料における特定の標的配列の出発コピー相対数の定量的尺度
として使用される。 表1は、本発明のCT−1化合物のスクリーニングに用いた種々の原発性腫瘍
の段階(stage)、T段階及びN段階を記載する。
【0085】
【0086】 DNA調製: DNAは培養した細胞系、原発性腫瘍、正常ヒト血液から調製した。単離は、
全てQuiagenからの、精製キット、バッファーセット及びプロテアーゼを用い、
製造者の指示と下記に従って実施した。 細胞培養溶解: 細胞を洗浄し、チップ当たり7.5x10の濃度でトリプシン化し、4℃で5分間
1000rpmで遠心分離してペレット化し、次いで1/2容量のPBS再遠心で洗浄した
。ペレットを3回洗浄し、懸濁細胞を回収して2xPBSで洗浄した。次いで細胞
を10mLのPBSに懸濁させた。バッファーC1を4℃で平衡化させた。Quiagen
プロテアーゼ#19155を6.25mlの冷ddHOで最終濃度20mg/mlまで希釈して4
℃で平衡化させた。10mLのG2バッファーを、QuiagenRNAseAストック(1
00mg/ml)を200μg/mlの最終濃度まで希釈して調製した。 バッファーC1(10ml、4℃)及びddHO(40ml、4℃)を、次いで10ml
の細胞懸濁物に添加し、反転させて混合し、氷上で10分間インキュベートした
。細胞核をBeckmanスイングバケットロータで4℃において2500rpmで15分間遠
心分離することによりペレット化した。上清を捨て、核をボルテックスしながら
2mlのバッファーC1(4℃)及び6mlのddHOに懸濁し、1秒後に4℃にお
いて2500rpmで15分間遠心分離した。次いで核を残りのバッファー中にチップ
当たり200μlを用いて再懸濁した。G2バッファー(10ml)を懸濁した核に添加
しながら緩いボルテックスを適用した。バッファー添加が完了したら、強いボル
テックスを30秒間適用した。Quiagenプロテアーゼ(200μl上記のように調製
)を添加し、50℃で60分間インキュベートした。インキュベーション及び遠
心分離を、溶解物が透明になるまで繰り返した(例えば、さらに30-60分間イン
キュベートし、4℃で10分間3000xgでペレット化する)。
【0087】 固体ヒト腫瘍試料の調製及び溶解: 腫瘍試料を秤量し50mlのコニカル管に配して氷上に保持した。加工は調製当た
り250mgの組織未満に制限した(1チップ/調製)。プロテアーゼ溶液を6.25ml
の冷ddHO中に最終濃度20mg/mlまで希釈することにより新たに調製して4
℃で貯蔵した。DNaseAを最終濃度200mg/mlまで希釈することによりG2バ
ッファー(20ml)を調製した(100mg/mlのストックから)。エアロゾルの吸入を
避けるために層流TCフード内でポリトロンの大きなチップを用いて、腫瘍組織
を19mlのG2バッファー中で60秒間均一化し、室温に保持した。試料間で、各
々2LのddHOで2x30秒間、次いでG2バッファー(50ml)でスピンさせ
ることによりポリトロンを透明化した。組織がジェネレータチップ上に存在する
場合は、装置を分解して清浄化した。 Quiagenプロテアーゼ(上記の用に調製、1.0ml)を添加し、次いでボルテック
スして50℃で3時間インキュベートした。インキュベーション及び遠心分離を
、溶解物が透明になるまで繰り返した(例えば、さらに30-60分間インキュベー
トし、4℃で10分間3000xgでペレット化する)。 ヒト血液調製及び溶解: 健常なボランティアから標準的な感染薬プロトコールを用いて血液を採りだし
、チップ当たり10mlの試料にクエン酸化した。Quiagenプロテアーゼを6.25mlの
冷ddHO中に最終濃度20mg/mlまで希釈することにより新たに調製して4℃
で貯蔵した。RNaseAを100mg/mlのストックから最終濃度200μg/mlまで希
釈することによりG2バッファー(20ml)を調製した。血液(10ml)を50mlのコ
ニカル管に配し、10mlのC1バッファー及び30mlのddHO(ともに4℃で平
衡化したもの)を添加し、反転させて混合して氷上に10分間保持した。Beckma
nスイングバケットローターで、4℃において2500rpmで15分間核をペレット化
し、上清を捨てた。ボルテックスしながら、核を2mlのC1バッファー(4℃)
及び6mlのddHO(4℃)中に懸濁させた。ボルテックスはペレットが白く
なるまで繰り返した。次いで核を残りのバッファー中に200μlチップを用いて懸
濁させた。G2バッファー(10ml)を懸濁核に添加しながら緩くボルテックスし
、次いで30秒間強くボルテックスした。Quiagenプロテアーゼを添加(200μl
)し、50℃で60分間インキュベートした。インキュベーション及び遠心分離
を、溶解物が透明になるまで繰り返した(例えば、さらに30-60分間インキュベ
ートし、4℃で10分間3000xgでペレット化する)。
【0088】 透明化溶解物の精製: (1)ゲノムDNAの単離: ゲノムDNAを10mlのQBTバッファーで平衡化した(最大チップ調製当たり
1試料)。QF溶離バッファーを50℃で平衡化した。試料を30秒間ボルテッ
クスし、次いで平衡化チップに負荷して重力により排液した。チップを2x15mlの
QCバッファーで洗浄した。DNAを、30mlのシラン化したオートクレーブ30ml
Corex管に15mlのQFバッファー(50℃)で溶離した。イソプロパノール(10.
5ml)を各試料に添加し、管をパラフィンで被覆し、DNAが沈殿するまで繰り
返し反転させて混合した。試料を、SS-34ロータで4℃において15,000rpmで10
分間遠心分離してペレット化した。ペレット位置をマークして上清を捨て、10ml
の70%エタノール(4℃)を添加した。試料を、SS-34ロータで4℃において10,0
00rpmで10分間遠心分離して再度ペレット化した。ペレット位置をマークして
上清を捨てた。次いで管を乾燥棚の各面に置き、37℃で10分間乾燥させたが
、使用の過剰乾燥には注意した。 乾燥後、ペレットを1.0mlのTE(pH8.5)に溶解し、50℃に1−2時間置い
た。試料を4℃に終夜保持して溶解を続けた。次いでDNA溶液を、ツベルクリ
ンシリンジ上に26ゲージの針を具備する1.5ml管に移した。DNAを剪断する
ために移行を5x繰り返した。次いで試料を50℃に1−2時間置いた。
【0089】 ゲノムDNAの定量及び遺伝子増幅アッセイのための調製: 各管のDNAレベルを1:20希釈(5μlDNA+95μlddHO)での標準的
なA260、A280分光分析により、Beckman DU640分光光度計の0.1ml石英キ
ュベットを用いて定量した。A260/A280比率は1.8-1.9の範囲であった
。次いで各DNA試料をTE(pH8.5)中に約200ng/mlまで希釈した。最初の材
料が高濃度(約700ng/μl)である場合、材料を50℃に再懸濁するまで数時間
置いた。 次いで、希釈した材料(20-600ng/ml)に対して、製造者の指示を以下のよう
に改変して蛍光DNA定量化を実施した。これは、Hoeffer DyNA Quant 200蛍光
計を約15分間暖めて実施した。Hoechst染料作業溶液(#H33258、10μl、使用
の12時間以内に調製)を100mlの1xTNEバッファーに希釈した。2mlキュベッ
トを蛍光計溶液で満たし、機械に配し、機械をゼロ調節した。pGEM3Zf(
+)(2μl、ロット#360851026)を2mlの蛍光計溶液に添加して200単位で校正し
た。次いで、さらに2μlのpGEM3Zf(+)DNAを試験し、400±10単位で
読みを確認した。次いで各試料を少なくとも3回読んだ。3試料が互いに10%以
内であることが見られたとき、それらの平均をとり、この値を定量化値として用
いた。 次いで、蛍光測定で決定した濃度を、各試料をddHO中に10ng/μlまで希
釈するのに用いた。これは、1回のTaqMan(商品名)プレートアッセイについて
全てのテンプレート試料について同時に行い、500-1000アッセイを実施するのに
十分な材料で行った。試料は、Taqman(商品名)プライマー及びプローブで3回試
験し、B-アクチン及びGAPDHともに正常なヒトDNAを持ちテンプレート
対照を持たない単一のプレート上にある。希釈した試料を用いたが、試験DNA
から減算した正常ヒトDNAのCt値は±1Ctであった。希釈した、ロット定
性化したゲノムDNAを、1.0mlアリコートで−80℃において保存した。続い
て遺伝し増幅アッセイに使用するアリコートは、4℃で保存した。各1mlのアリ
コートは、8-9プレート又は64試験に十分である。
【0090】 遺伝子増幅アッセイ: 本発明のCT−1(カルジオトロフィン−1)化合物を以下の原発性腫瘍でスク
リーニングし、得られたΔCt値を表2に報告する。
【0091】
【0092】 CT−1: CT−1(カルジオトロフィン−1、DNA58125)は、上記の初期表示
から選択された腫瘍を使用し、フレームワーク及びエピセンターマッピングによ
って再試験された。Fig3−8及び表3−5は、肺及び大腸腫瘍のフレームワ
ークマーカーの第16番染色体マッピングの結果を提供している。フレームワー
クマーカーは、およそ20メガベースごとに配置され、増幅度の決定のためのコ
ントロールとして使用された。表6−8及びFig9−12DNA58125近
くのエピセンターマーカーの第16番染色体マッピングの結果を示す。
【0093】
【0094】 上記に示されたCT−1に関する第16番染色体に沿ったフレームワークマー
カーのΔCt値は、各々表4及び5の選択された肺及び大腸癌のために示されて
いる。
【0095】
【0096】 Fig3及び4は、各々、表4、パネル1及びパネル2のデータの三次元グラ
フ表示を提供する。肺癌は、X軸に沿って描かれ、マーカー及びDNA5812
5はZ軸に沿って描かれ、第16番染色体のマーカー領域の相対的増幅は、棒線
の高さによってy軸に沿って表示されている。Fig5は、DNA58125の
為に表4のデータを要約した二次元棒線グラフであり、CT−1をコードしてい
る染色体DNAが幾つかの肺腫瘍において増幅していることを示している(ΔC
t平均値が1.0以上は、下線、そして2.0以上は二重下線)。
【0097】
【0098】 Fig6及び7は、各々、表5、パネル1及び2のデータの三次元グラフ表示
を提供する。大腸癌は、x軸に沿って描かれ、マーカー及びDNA58125は
z軸に沿って描かれ、第16番染色体のマーカー領域の相対的増幅は、棒線の高
さによってy軸に沿って表示されている。Fig8は、DNA58125の為に
表5のデータを要約した二次元棒線グラフであり、CT−1をコードしている染
色体DNAが幾つかの大腸腫瘍において増幅していることを示している(ΔCt
平均値が1.0以上は、下線、そして2.0以上は二重下線)。 表6は、CT−1(DNA58125)との関連で用いられているエピセンタ
ーマーカーを示している。これらのマーカーは、DNA58125のかなり近く
に位置し、DNA58125が位置している第16番染色体の領域の増幅状況の
評価に使用される。個々のマーカー間の距離は、二つのマーカー間の切断がおよ
そ1%の確率に等しい放射線切断単位であるセンチレイ(centirays)で測定され
る。1cRは、かなりおおざっぱに20キロベースに等しい。SHGC−361
23マーカーは、DNA58125が最も近くに位置する第16番染色体の位置
に一番近くにあるとして見つけられたマーカーである。しかし、Taqman(
商品名)プライマー及びSHGC−2726のためのプライマーは、PCRに関
する技術的困難さのために我々の検定では機能しなかった。
【0099】
【0100】 表7は肺腫瘍におけるDNA58125に関するエピセンターマッピングの結
果であるΔCt値を示し、第16番染色体に沿ったDNA58125の実際の位
置により近い領域での相対的増幅を示す。
【0101】
【0102】 表8は肺腫瘍におけるDNA58125に関するエピセンターマッピングの結
果であるるΔCt値を示し、第16番染色体に沿ったDNA58125の実際の
位置により近い領域での相対的増幅を示す。
【0103】
【0104】 (議論) 種々の肺及び大腸腫瘍におけるDNA58125(Ct−1)についてのΔC
t値が、Fig3−12のみならず、表2(最初のスクリーン)、4及び5(第1
6番染色体上のマーカーに関するフレームワーク分析による増幅の表示)、7及
び8(DNA58125が位置している染色体の領域にあるマーカーに関するエ
ピセンター分析による増幅の表示)に報告されている。ΔCt値>1(一本線下
線の数値)は、典型的に増幅評点化の閾値として用い、これは2倍の遺伝子コピ
ーを表す。表4は、原発肺腫瘍LT3、LT12、LT13、LT15、LT1
7、及びLT18の有意な増幅を示す。肺腫瘍の平均ΔCt値は、各々、1.0
2、1.00、1.33、1.83、1.03、1.08であった。これは、正
常組織に対して、肺腫瘍の遺伝子コピーにおいて、各々、およそ2.0、2.0
、2.5、3.6、2.0及び2.1倍の増加を表す。 表5は、原発性大腸腫瘍ColT2、ColT3、ColT8、ColT10
、ColT12、ColT14、ColT15、ColT1、ColT4、Co
lT5、ColT6、ColT11、及びColT18において生じたDNA5
8125の有意な増幅を示す。大腸腫瘍の平均ΔCt値は、各々、2.27、1
.34、1.23、1.74、1.13、1.74、1.30、1.08、1.
13、2.17、1.41、2.24及び1.04であった。これは、正常組織
に比較した肺腫瘍の遺伝子コピーにおいて、各々、およそ4.8、2.5、2.
3、3.3、2.2、3.3、2.5、2.1、2.2、4.5、2.6、4.
7及び2.0倍の増加を表す。 対照的に、最も近接する既知のマーカーは(表7、及び8)、DNA58125
よりもより大きく増幅していない。DNA58125へ最も近接したマーカーの
増幅は、DNA58125の増幅よりもより大きく生じない。これは、DNA5
8125が第16染色体の特定の領域の増幅の原因の遺伝子であることを強く示
唆している。 DNA58125(CT−1)の増幅は種々の腫瘍において生じるため、DN
A58125は腫瘍形成又は成長において有意な役割を担うと思われる。その結
果として、DNA58125(CT−1)にコードされているタンパク質に対し
て向けられるアンタゴニスト(例えば抗体)は、癌療法において有用であると期待
される。
【0105】 実施例2:インサイツハイブリダイゼーション インサイツハイブリッド形成は、細胞又は組織調製物内での核酸配列の検出及
び局在化のための強力で多用途の技術である。それは、例えば、遺伝子発現部位
の同定、転写物の組織分布の分析、ウイルス感染の同定及び局在化、特定mRN
A合成及び染色体マッピングにおける追跡に有用である。 ヒト組織におけるカルジオトロフィン-1の組織分布の研究は、関連する19
94年8月5日に出願された米国特許出願08/286,304で評価され、現
在は1996年11月5日に公開の米国特許No.5,571,893となって
おり、この出願においては、参考としてそのまま取り入れられている。そのよう
な研究は、又、Pennica, D.他,によってCytokine 8(3):183-9(1996)にも記載さ
れ、この出願においては、参考としてそのまま取り入れられている。幾つかのヒ
ト組織からのポリ(A)RNAは、マウスCT−1cDNAクローンからのプロ
ーブを使用してスクリーニングされた。最後は52℃で2xSSCによる洗浄で
ある、20%のホルムアルデヒド、5xSSC中での180塩基対のマウスCT
−1プローブ(19塩基対の5'の開始ATGから50番目のアミノ酸まで)によ
るブロットハイブリダイゼーション。1.7キロベースCT−1mRNAが大人
ヒト心臓、骨格筋、卵巣、大腸、前立腺、及び精巣及び胎児の腎臓と肺において
発現することが示された。
【0106】 インサイツハイブリッド形成は、Lu及びGillett, Cell Vision 1: 169-176 (1
994)のプロトコールの最適な変形に従って、PCR生成33P-標識リボプロー
ブを用いて実施される。簡単には、ホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト組織を
切片化し、脱パラフィンし、プロテイナーゼK(20g/ml)で15分間37℃で脱
タンパクし、さらに上掲のLu及びGillettに記載されたようにインサイツハイブ
リッド形成する。[33-P]UTP-標識アンチセンスリボプローブをPCR産
物から生成し、55℃で終夜ハイブリッド形成する。スライドをKodak NTB2核ト
ラックエマルションに浸漬して4週間露出する。 33P-リボプローブ合成 6.0μl(125mCi)の33P-UTP(Amersham BF 1002, SA<2000 Ci/mmol)
をスピード真空乾燥させた。乾燥33P-UTPを含む管に以下の成分を添加し
た: 2.0μlの5x転写バッファー 1.0μlのDTT(100mM) 2.0μlのNTP混合物(2.5mM: 10μ; 10mMのGTP, CTP,ATP+10μlのH2O) 1.0μlのUTP(50μM) 1.0μlのRnasin 1.0μlのDNAテンプレート(1μg) 1.0μlのHO 1.0μlのRNAポメラーゼ(PCR産物についてT3=AS, T7=S,通常) 管を37℃で1時間インキュベートし、1.0μlのRQ1 DNaseを添加し、次
いで37℃で15分間インキュベートした。90μlのTE(10mMトリスpH7.6/1m
MのEDTApH8.0)を添加し、混合物をDE81紙にピペットした。残りの溶液をMi
crocon-50限外濾過ユニットに負荷し、プログラム10を用いてスピンさせた(6
分間)。濾過ユニットを第2の管に変換し、プログラム2を用いてスピンさせた
(3分間)。最終回収スピンの後、100μlのTEを添加した。1μlの最終生成物
をDE81紙にピペットし6mlのBiofluor IIで数えた。 プローブをTBE/尿素ゲル上で走らせた。1-3μlのプローブ又は5μlのRN
A MrkIIIを3μlの負荷バッファーに添加した。加熱ブロック上で95℃
に3分間加熱した後、ゲルを即座に氷上に置いた。ゲルのウェルをフラッシング
し、試料を負荷し、180-250ボルトで45分間走らせた。ゲルをサランラップでラ
ップし、−70℃冷凍機内で補強スクリーンを持つXARフィルムに1時間から
終夜露出した。
【0107】33 P-ハイブリッド形成 A.凍結切片の前処理 スライドを冷凍機から取り出し、アルミニウムトレイに配置して室温で5分間
解凍した。トレイを55℃のインキュベータに5分間配置して凝結を減らした。
スライドを蒸気フード内において4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定し、0.
5xSSCで5分間室温で洗浄した(25ml 20xSSC + 975ml SQ H2O)。0.5μg/ml
のプロテイナーゼK中、37℃で10分間の脱タンパクの後(250mlの予備加熱
RNase無しRNaseバッファー中の10mg/mlストック12.5μl)、切片を0.
5xSSCで10分間室温で洗浄した。切片を、70%、95%、100%エタノール中、
各2分間脱水した。 B.パラフィン包埋切片の前処理 スライドを脱パラフィンし、SQ HO中に配置し、2xSSCで室温におい
て各々5分間2回リンスした。切片を20μg/mlのプロテイナーゼK(250mlの
RNase無しRNaseバッファー中10mg/mlを500μl;37℃、15分間)
−ヒト胚又は8xプロテイナーゼK(250mlのRNaseバッファー中100μl、
37℃、30分間)−ホルマリン組織で脱タンパクした。続く0.5xSSCでの
リンス及び脱水は上記のように実施した。 C.プレハイブリッド化 スライドをBoxバッファー(4xSSC、50%ホルムアミド)−飽和濾紙で列
を作ったプラスチックボックスに並べた。組織を50μlのハイブリッド形成バッ
ファー(3.75gデキストラン硫酸+6mlSQ HO)で被覆し、ボルテックスし
、キャップを外して2分間マイクロ波で加熱した。氷上で冷却した後、18.75ml
のホルムアミド、3.75mlの20xSSC及び9mlのSQ HOを添加し、組織を
良くボルテックスし、42℃で1-4時間インキュベートした。 D.ハイブリッド形成 スライド当たり1.0x10cpmのプローブ及び1.0μlのtRNA(50mg/mlスト
ック)を95度で3分間加熱した。スライドを氷上で冷却し、スライド当たり48
μlのハイブリッド形成バッファーを添加した。ボルテックスの後、50μlの33 P混合物をスライド上のプレハイブリッド50μlに添加した。スライドを55℃
で終夜インキュベートした。 E.洗浄 洗浄は、2x10分間、2xSSC、EDTAで室温で実施し(400mlの20xSSC+
16mlの0.25M EDTA、V=4L)、次いでRNaseA処理を37℃で30分間
行った(250mlRNaseバッファー中10mg/mlを500μl=20μg/ml)。スライ
ドを2x10分間、2xSSC、EDTAで室温において洗浄した。緊縮性洗浄条
件は次の通り:55℃で2時間、0.1xSSC、EDTA(20mlの20xSSC+16ml
のEDTA、V=4L)。
【0108】 実施例3:ハイブリダイゼーションプローブとしてのCT−1の使用 以下の方法は、CT−1をコードする核酸配列のハイブリダイゼーションプロ
ーブとしての使用を記載する。 CT−1のコード配列(Fig1、配列番号:1及び2に示す)を含むDNA
は、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同
種DNA(CT−1の天然発生変異体など)のスクリーニングのためのプローブ
として用いられる。 いずれかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及
び洗浄は、以下の高い緊縮条件で実施した。放射標識CT−1誘導プローブのフ
ィルターへのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアルデヒド、5xSSC
、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム
、pH6.8、2xデンハード溶液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で、
42℃において20時間行った。フィルターの洗浄は、0.1xSSC及び0.
1%SDSの水溶液中、42℃で行った。 次いで、全長天然配列CT−1をコードするDNAと所望の配列同一性を有す
るDNAは、この分野で知られた標準的な方法を用いて同定できる。
【0109】 実施例4:大腸菌におけるCT−1の発現 この実施例は、大腸菌における組み換え発現による非グリコシル化CT−1の
調製を例示する。 CT−1をコードするDNA配列(配列番号:1)は、最初に選択されたPC
Rプライマーを用いて増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターの制限
酵素部位に対応する制限酵素部位を持たなければならない。種々の発現ベクター
が用いられる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌から誘導されたも
の;Bolivar等, Gene, 2:95 (1977))であり、アンピシリン及びテトラサイクリ
ン耐性についての遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で消化され、そして脱リ
ン酸される。PCR増幅した配列は、次いで、ベクターに結合される。ベクター
は、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、polyhisリーダー(
最初の6つのSTIIコドン、polyhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を
含む)、CT−1コード領域、ラムダ転写終結区、及びargU遺伝子を含む。 ライゲーション混合物は、次いで、選択した大腸菌のSambrook等, 上掲に記載
された方法を用いた形質転換に使用される。形質転換体は、それらのLBプレー
トで成長する能力により同定され、次いで抗生物質耐性クローンが選択されるプ
ラスミドDNAが単離され、制限分析及びDNA配列分析で確認される。 選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培地で終夜
成長させることができる。終夜培地は、続いて大規模培地の播種に用いられる。
次に細胞を最適密度で成長させ、その間に発現プロモーターが作動する。 更に数時間の培養の後、細胞を採集して遠心分離した。遠心分離で得られた細
胞ペレットは、この分野で知られた種々の試薬を用いて可溶化され、可溶化CT
−1タンパク質は金属キレート化カラムを使用するタンパク質の緊密な結合を可
能にする条件下での精製が可能である。
【0110】 CT−1は、以下の手法を用いて、大腸菌においてポリHisタグ形態で発現
される。CT−1をコードするDNAは、選択したPCRプライマーを用いて最
初に増幅される。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応
する制限酵素部位、及び効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムで
の迅速な精製、及びエンテロキナーゼでのタンパク質分解的除去を与える他の有
用な配列を含む。次いでPCR増幅されたポリ-Hisタグ配列を発現ベクター
に結合させ、それを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) cllpP
(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用する。形質転換体は、最初に50m
g/mlのカルベニシリンを含有するLB中、30℃で振盪しながら3−5のO.D
.600に達するまで成長させる。ついで培地をCRAP培地(3.57gの(NH
SO、0.71gのクエン酸ナトリウム・2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifc
o酵母抽出物、500mL水中の5.36gのShefield hycase SF、並びに110mMのMPOS
、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSOの混合で調製
)中に50-100倍希釈し、30℃で振盪させながら約20-30時間成長させる。SD
S-PAGEによる発現の確認ために試料を取り出し、そしてバルク培地を遠心
分離して細胞のペレットとした。細胞細胞ペレットを精製及び再折りたたみまで
凍結させる。
【0111】 0.5から1Lの発酵(6-10gペレット)からの大腸菌ペーストを、7Mのグアニジン
、20mMのトリス、pH8バッファー中で10容量(w/v)で再懸濁する。固体硫酸
ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを添加して最終濃度を各々0.1M及び0.
02Mとし、溶液を4℃で終夜撹拌した。この工程により、亜硫酸によりブロック
されたシステイン残基を持つ変性タンパク質がもたらされる。溶液をBeckman Ul
tracentrifuge中で40,000rpmで30分間遠心分離機で分離する。上清を金属キレ
ートカラムバッファー(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)の3-5容量で希
釈し、0.22ミクロンフィルターを通して濾過して透明化する。透明化抽出物を、
金属キレートカラムバッファーで平衡化させた5mlのQiagen Ni-NTA金属キレート
カラムに負荷する。カラムを50mMのイミダゾール(Calbiochem, Utrol grade)
を含む添加バッファー、pH7.4で洗浄する。タンパク質を250mMのイミダゾールを
含有するバッファーで溶離する。所望のタンパク質を含有する画分をプールし、
4℃で保存する。タンパク質濃度は、そのアミノ酸配列に基づいて計算した吸光
係数を用いて280nmにおけるその吸収により見積もる。
【0112】 試料を、20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシス
テイン、20mMのグリシン及び1mMのEDTAからなる新たに調製した再折りたた
みバッファー中に徐々に希釈することによりタンパク質を再折りたたませる。リ
フォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50〜100マイクログラム/ml
となるように選択する。リフォールディイング溶液を4℃で12−36時間ゆっ
くり撹拌する。リフォールディング反応はTFAを採取濃度0.4%(約3のpH)
で添加することにより停止させる。タンパク質をさらに精製する前に、溶液を0.
22ミクロンフィルターを通して濾過し、アセトニトリルを最終濃度2-10%で添加
する。再折りたたみされたタンパク質を、Poros R1/H逆相カラムで、0.1%TFA
の移動バッファーと10〜80%のアセトニトリル勾配での溶離を用いてクロマトグ
ラフにかける。A280吸収を持つ画分のアリコートをSDSポリアクリルアミドゲ
ルで分析し、相同な再折りたたみされたタンパク質を含有する画分をプールする
。一般的に、殆どのタンパク質の正しく再折りたたみされた種は、これらの種が
最もコンパクトであり、その疎水性内面が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されて
いるので、アセトニトリルの最低濃度で溶離される。凝集した種は通常、より高
いアセトニトリル濃度で溶離される。タンパク質の誤って折りたたまれた形態を
所望の形態から除くのに加えて、逆相工程は試料からエンドトキシンも除去する
。 所望の折りたたまれたCT−1タンパク質を含有する画分をプールし、溶液に
向けた窒素の弱い気流を用いてアセトニトリルを除去する。タンパク質を、透析
又は調製バッファーで平衡化したG25 Superfine(Pharmacia)樹脂でのゲル濾過
及び滅菌濾過により、0.14Mの塩化ナトリウム及び4%のマンニトールを含む20mM
のHepes、pH6.8に調製する。
【0113】 実施例5:哺乳動物細胞におけるCT−1の発現 この実施例は、哺乳動物細胞における組み換え発現によるグリコシル化CT−
1の調製を例示する。 発現ベクターとしてpRK5(1989年3月15日発行のEP 307,247参照)を用い
る。場合によっては、CT−1コード化DNAを選択した制限酵素を持つpRK
5に結合させ、Sambrook等, 上掲に記載されたような結合方法を用いてCT−1
DNAを挿入させる。得られたベクターは、pRK5−CT−1と呼ばれる。
【0114】 一実施態様では、選択された宿主細胞は293細胞とすることができる。ヒト
293細胞(ATCC CCL 1573)は、ウシ胎児血清及び場合によっては
滋養成分及び/又は抗生物質を添加したDMEMなどの媒質中で組織培養プレー
トにおいて成長し集密化する。約10μgのpRK5−CT−1DNAを約1μg
のVA RNA遺伝子コード化DNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982))]
と混合し、500μlの1mMトリス-HCl、0.1mMEDTA、0.22
7MCaClに溶解させる。この混合物に、滴状の、500μlの50mMH
EPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPO
添加し、25℃で10分間析出物を形成させる。析出物を懸濁し、293細胞に
加えて37℃で約4時間定着させる。培養培地を吸引し、2mlのPBS中20
%グリセロールを30分間添加する。293細胞は、次いで無血清培地で洗浄し
、新鮮な培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートする。 形質移入の約24時間後、培養培地を除去し、培養培地(のみ)又は200μ
Ci/ml35S−システイン及び200μCi/ml35S−メチオニンを含
む培養培地で置換する。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し
、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに添加する。処理したゲルを乾
燥させ、CT−1ポリペプチドの存在を現す選択された時間にわたってフィルム
にさらす。形質転換した細胞を含む培地は、更なるインキュベーションを施し(
無血清培地で)、培地を選択されたバイオアッセイで試験する。 これに代わる技術において、CT−1DNAは、Somparyac等, Proc. Natl. A
cad. Sci., 12:7575 (1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて293細
胞に一過的に導入される。293細胞は、スピナーフラスコ内で最大密度まで成
長させ、700μgのpRK5−CT−1DNAを添加する。細胞は、まずスピ
ナーフラスコから遠心分離によって濃縮し、PBSで洗浄される。DNA−デキ
ストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートする。細胞を20%グ
リセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/
mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナ
ーフラスコへ再度導入される。約4日後に、条件培地を遠心分離して濾過し、細
胞及び細胞片を除去する。そして、発現されたCT−1を含む試料は、透析及び
/又はカラムクロマトグラフィー等の選択した方法による濃縮及び精製が可能で
ある。
【0115】 他の実施態様では、CT−1をCHO細胞で発現させることができる。pRK
5−CT−1ベクターは、CaPO又はDEAE−デキストランなどの公知の
試薬を用いてCHO細胞に形質移入することができる。上記したように、細胞培
地をインキュベートし、培地を培養培地(のみ)又は35S-メチオニン等の放
射性標識を含む培地に置換することができる。CT−1の存在を同定した後、培
養培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベ
ートし、次いで条件培地を収集する。次いで、発現されたCT−1を含む培地を
濃縮して、選択した方法にとって精製することができる。 また、エピトープタグCT−12は、宿主CHO細胞において発現させてもよ
い。CT−1はpRK5ベクターからサブクローニングしてもよい。サブクロー
ン挿入物は、次いで、PCRを施してバキュロウイルス発現ベクター中のポリ-
hisタグ等の選択されたエピトープタグを持つ枠に融合できる。ポリ-His
タグCT−1ポリペプチド挿入物は、次いで、安定なクローンの選択のためのD
HFR等の選択マーカーを含むSV40誘導ベクターにサブクローニングできる
。最後に、CHO細胞をSV40誘導ベクターで(上記のように)形質移入する
ことが可能である。発現を確認するために、上記のように標識化を行ってもよい
。発現されたポリ-hisタグCT−1を含む培養培地は、次いで濃縮し、Ni
2+−キレートアフィニティクロマトグラフィー等の選択された方法により精製
できる。
【0116】 CT−1は、一過性及び安定な発現方法によってCHO細胞中に発現された。
CHO細胞における安定な発現は以下の方法を用いて実施された。タンパク質は
、各々のタンパク質の可溶化形態及び/又はポリ-Hisタグ形態のコード化配
列(例えば、細胞外ドメイン)がIgG1のヒンジ、CH2及びCH2ドメイン
を含む定常領域配列に融合したIgG作成物(イムノアドヘシン)として発現さ
れた。 PCR増幅に続いて、DNA58125を、Ausubel等, Current Protocols o
f Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載されたよ
うな標準的技術を用いてCHO発現ベクターにサブクローニングした。CHO発
現ベクターは、対象とするDNAの5' 及び3' に適合する制限部位を有し、c
DNAの便利なシャトル化ができるように作成される。ベクターは、Lucas等, N
ucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載されたようにCHO細胞での
発現を用い、対象とするcDNA及びジヒドロフォレートレダクターゼ(DHF
R)の発現の制御にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHF
R発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持のための選択を可能にする。 所望のプラスミドDNAの12マイクログラムを、市販の形質移入試薬Superf
ect(登録商標)(Quiagen), Dosper(登録商標)及びFugene(登録商標)(Boehringer
Mannheim)約一千万のCHO細胞に導入した。細胞は、上掲のLucas等に記載さ
れているように成長させた。約3x10−7細胞を、下記のような更なる成長及
び生産のためにアンプル中で凍結させた。
【0117】 プラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配して解凍し、ボルテックスにより
混合した。内容物を10mLの媒質を含む遠心管にピペットして、1000rpmで5分間
遠心分離した。上清を吸引して細胞を10mLの選択培地(0.2μm濾過PS20、5%
の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清を添加)中に懸濁させた。次いで細胞を90mLの選
択培地を含む100mlスピナーに分けた1−2日後、細胞を150mLの選択培地を満た
した250mLスピナーに移し、37℃でインキュベートした。さらに2−3日後、2
50mL、500mL及び2000mLのスピナーを3x10細胞/mLで播種した。細胞培地を
遠心分離により新鮮培地に交換し、生産培地に再懸濁させた。任意の適切なCH
O培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に公布の米国特許第5,122,469
号に記載された生産培地を使用した。3Lの生産スピナーを1.2x10細胞/mLで播
種した。0日目に、細胞数とpHを測定した。1日目に、スピナーをサンプルし
、濾過空気での散布を実施した。2日目に、スピナーをサンプルし、温度を33
℃に変え、500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35%ポリジメチル
シロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)の30mLと
した。生産を通して、pHは7.2近傍に調節し維持した。10日後、又は生存率
が70%を下回るまで、細胞培地を遠心分離で回収して0.22μmフィルターを通して
濾過した。濾過物は、4℃で貯蔵するか、即座に精製用カラムに負荷した。
【0118】 ポリ-Hisタグ作成物について、タンパク質はNi-NTAカラム(Qiagen)を用い
て精製した。精製の前に、イミダゾールを条件培地に5mMの濃度まで添加した
。条件培地を、0.3MのNaCl及び5mMイミダゾールを含む20mMのHepes, p
H7.4バッファーで平衡化した6mlのNi-NTAカラムに4-5ml/分の流速で4℃におい
てポンプ供給した。負荷後、カラムをさらに平衡バッファーで洗浄し、タンパク
質を0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーで溶離した。高度に精製されたタ
ンパク質は、続いて10mMのHepes、0.14MのNaCl及び4%のマンニトール
を含む貯蔵バッファー中で25mlのG25 Superfine(Pharmacia)を用いて脱塩し、
−80℃で貯蔵した。 同様に、CT−1は、一過性発現法によりCOS細胞で、標準技術を使用して
CHO細胞で発現させてもよい。
【0119】 実施例6:酵母菌でのCT−1の発現 以下の方法は、酵母菌中でのCT−1の組換え発現を記載する。 第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのPROの細胞内生産又は分
泌のための酵母菌発現ベクターを作成する。CT−1をコードするDNA及びプ
ロモーターを選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してCT−1の細
胞内発現を指示する。分泌のために、CT−1をコードするDNAを選択したプ
ラスミドに、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然CT
−1シグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母菌
アルファ因子又はインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要なら
ば)CT−1の発現のためのリンカー配列とともにクローニングすることができ
る。 酵母菌株AB110等の酵母菌は、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し
、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリク
ロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGEによる分離で分析し、次いでクマシーブ
ルー染色でゲルの染色をすることができる。 続いて組換えCT−1は、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、
次いで選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって
単離及び精製できる。CT−1を含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラ
フィー樹脂を用いてさらに精製してもよい。
【0120】 実施例7:バキュロウイルス感染昆虫細胞でのCT−1の発現 以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞中におけるPROの組換え発現
を記載する。 CT−1をコードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピ
トープタグの上流に融合させた。このようなエピトープタグは、ポリ-hisタ
グ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)を含む。pVL1393(
Navogen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種
々のプラスミドを用いることができる。簡単には、CT−1又はCT−1コード
化配列の所定部分、例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列
又はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列などが、
5' 及び3' 領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5' プラ
イマーは、隣接する(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生産物
は、次いで、選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローニング
される。 組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGold(商品名)ウイル
スDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC
CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時形質移入す
ることにより作成される。28℃で4-5日インキュベートした後、放出されたウイ
ルスを回収し、更なる増幅に用いる。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Re
illey等, Baculovirus expression vectors: A laboratory Manual, Oxford: Ox
ford University Press (1994)に記載されているように実施する。 次に、発現
されたポリ-HisタグCT−1は、例えばNi2+−キレートアフィニティク
ロマトグラフィーにより次のように精製される。抽出は、Rupert等, Nature, 36
2:175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組み換えSf9細
胞から調製される。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(
25mMのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl;0.1mM EDTA;10%グリセ
ロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超
音波処理する。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50
mMリン酸塩、300mMのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45
μmフィルターで濾過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市
販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡
化する。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに負荷する。カラムを、分
画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄する
。次に、カラムを、結合タンパク質を非特異的に溶離する二次洗浄バッファー(
50mMリン酸塩;300mMのNaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄する。A
80のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から5
00mMイミダゾール勾配で展開する。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び
銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に複合したNi2+−NTAでの
ウェスタンブロットで分析する。溶離したHis10−タグCT−1を含む画分
をプールして負荷バッファーで透析する。 あるいは、IgGタグ(又はFcタ
グ)CT−1の精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマト
グラフィーを含む公知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
【0121】 CT−1の発現が0.5−2Lの規模でおこなわれる一方で、CT−1の発現
は容易にさらに大きな規模にすることができる(例えば8L)。CT−1は、さら
にIgG構成物(イムノアドヘジン)として発現され、タンパク質の細胞外領域
はヒンジ部、CH2及びCH3ドメイン及び/又はポリ−Hisタグ形態を含有
するIgG1定常部領域配列へ融合している。 PCR増幅に続いて、対応するコード化配列をバキュロウイルス発現ベクター
(IgG融合物に対するpb.PH.IgG及びポリHisタグに対するPH.
His.c)にサブクローニングし、そのベクター及びBaculogold(登録商標)バ
キュロウイルスDNA(Pharmingen)を105スポドプテラグルヒペルダ(Spod
optera frugiperda)(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)にリポフェクチン(
Gibco BRL)を用いて同時形質移入する。pb.PH.IgG及びPH.His
.cは、市販のバキュロウイルス発現ベクターpV1393(Pharmingen)の修
飾物であり、His又はFcタグ配列を含むように修飾されたポリリンカー領域
を持つ。細胞を、10%のFBS(Hyclone)を添加したHinkのTNM-FM培地で
成長させた。細胞は、28℃で5日間インキュベートする。上清を回収し、続い
て10%FBSを添加したHinkのTNM-FH培地におけるSf9細胞感染による約
10の感染効率(MOI)での最初のウイルス増幅に用いる。細胞を28℃で3
日間インキュベートする。上清を回収し、バキュロウイルス発現ベクターにおけ
る作成物の発現を、1mlの上清の25mLのヒスチジンタグタンパク質用のNI-NT
Aビーズ(QIAGEN)又はIgGタグタンパク質用のプロテインAセファロースCL
-4Bビーズ(Pharmacia)へのバッチ結合、次いでクマシーブルー染色により周知
の濃度のタンパク質標準と比較するSDS−PAGE分析により測定する。 第1の増幅ウイルス上清をESF-921培地(Expression System LLC)で
成長させたSf9細胞のスピナー培地(500ml)の約0.1のMOIでの感染に
使用する。細胞は28℃で3日間インキュベートする。上清を回収して濾過した
。バッチ結合及びSDS−PAGEを、スピナー培地の発現が確認されるまで、
必要に応じて繰り返す。
【0122】 形質移入細胞からの条件培地(0.5〜3L)を、遠心分離により細胞を除去し
0.22ミクロンフィルターを通して濾過することにより回収する。ポリ-His
タグ作成物については、タンパク質作成物をNi-NTAカラム(Qiagen)を用
いて精製する。精製前に、イミダゾールを条件培地に5mMの濃度まで添加する。
条件培地を、0.3MのNaCl及び5mMイミダゾールを含む20mMのHepes
, pH7.4バッファーで平衡化した6mlのNi−NTAカラムに4-5ml/分の流
速で4℃においてポンプ供給する。負荷後、カラムをさらに平衡バッファーで洗
浄し、タンパク質を0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーで溶離する。高
度に精製されたタンパク質は、続いて10mMのHepes、0.14MのNaCl
及び4%のマンニトールを含む貯蔵バッファー, pH6.8中で25mlのG25 Supe
rfine(Pharmacia)を用いて脱塩し、−80℃で貯蔵する。 タンパク質のイムノアドヘシン(Fc含有)作成物を以下のようにして条件培
地から精製する。条件培地を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー, pH6.8
で平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)に負荷する。負荷後、カ
ラムを平衡バッファーで強く洗浄した後、100mMのクエン酸, pH3.5で溶離
する。溶離したタンパク質は、1mlの画分を275mlの1Mトリスバッファー, p
H9を含む管に回収することにより即座に中性化する。高度に精製されたタンパ
ク質は、続いてポリ-Hisタグタンパク質について上記した貯蔵バッファー中
で脱塩する。タンパク質の均一性はSDSポリアクリルアミドゲル(PEG)電
気泳動及びエドマン(Edman)分解によるN-末端アミノ酸配列決定により評価され
る。
【0123】 実施例8:CT−1に結合する抗体の調製 この実施例は、CT−1に特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例
示する。 モノクローナル抗体の生産のための技術は当該分野で知られており、例えば、
Goding,上掲に記載されている。用いられる免疫原は、精製CT−1、CT−1
を含む融合タンパク質、細胞表面に組換えCT−1を発現する細胞を含む。免疫
原の選択は、当業者が過度の実験をすることなく行うことができる。 BAlb/cなどのマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化し、皮下又
は腹膜内に1−100マイクログラムで注入したCT−1免疫原で免疫化する。
あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Resear
h, Hamilton, MT)に乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。免疫化したマウ
スは、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免
疫原で追加免疫する。その後、数週間、マウスをさらなる免疫化注射でまた追加
免疫してもよい。CT−1抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するた
めに、レトロオービタル出血によって血清試料をマウスから周期的に採取しても
よい。 適当な抗体力価が検出された後、抗体に「陽性」な動物に、CT−1の最後の
静脈内注射の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓を
取り出された。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、
ACTTから番号CRL 1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択
したマウス骨髄腫株化細胞に融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が生成
され、次いで、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの
増殖を阻害するために、それをHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及び
チミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートにまくことができる。
【0124】 ハイブリドーマ細胞は、CT−1に対する反応性に関するELISAでスクリ
ーニングされる。所望のCT−1に対するモノクローナル抗体を分泌する「陽性
」ハイブリドーマ細胞の決定は当該分野の技量の範囲内である。 陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹膜内注入し、抗DN
A19355モノクローナル抗体を含む腹水を生成できる。あるいは、ハイブリ
ドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる
。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、そ
れに続くゲル排除クロマトグラフィを用いて行うことができる。あるいは、抗体
のプロテインA又はプロテインGへの結合性に基づくアフィニティクロマトグラ
フィーを用いることもできる。
【0125】 材料の寄託 下記に示すCT−1をコードするプラスミド(米国連番No.08,286,304に開示さ
れ、1994年8月5日に出願、現在は1996年11月5日に公布された米国
特許No.5,571,893)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 University Blvd., Manassas, VA,20110-2209, USA(ATCC)に寄託された: 材料 ATCC寄託番号 寄託日 pBSS+.huCT1.h5 74,841 1994年7月26日 この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条
約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付
から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。
寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の
合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうと
も、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄
託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法
第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の3
7CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定し
た者に後代を入手可能とすることを保証するものである。 本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に
死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に
取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政
府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであると
みなされるものではない。 上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十
分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として
意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため
、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの
物質の寄託は、文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側
面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが
表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。
実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記
の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るも
のである。
【図面の簡単な説明】
【Fig1】 Fig1(配列番号:1及び2)は、天然配列カルジオトロフ
ィン−1(CT−1)をコードするcDNAのDNA58125の核酸配列を示
す。配列番号:1は、DNA58125をコードするストランドであり、そして
配列番号:2は、DNA58125の相補的なストランドである。配列番号:3
は、天然配列カルジオトロフィン−1(CT−1、)のアミノ酸配列から派生し
たものである。
【Fig2】 第16番染色体の図であり、DNA58125及び種々のプ
ローブがハイブリダイズする領域を示す。マーカープローブ(P7,P55,P
99,P154,及びP208)は、およそ20メガベースごとに第16染色体
上に位置し、遺伝子増幅の測定の為のコントロールとして使用される。DNA5
8125は、長腕の動原体とマーカープローブP99の間の領域にハイブリダイ
ズする。
【Fig3】 肺腫瘍パネル1のDNA58125(カルジオトロフィン−
1)のフレームワーク分析の結果の三次元表示。試験された原発性肺癌はX軸に
沿って示されている;マーカープローブ及びDNA58125は、Z軸に沿って
示されている;そして、各々のマーカープローブの区域の相対的な遺伝子増幅は
、棒線でY軸上に示されている。棒線は、健康な組織のDNA58125に対し
て増幅した遺伝子領域の為にゼロ水準の上へ突き抜け、又はゼロ水準の下へ突き
抜けてその領域の遺伝子数量が減少したことを示す。
【Fig4】 肺腫瘍パネル2のDNA58125(カルジオトロフィン−
1)のフレームワーク分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig3に記載さ
れたのと同じように配列されている。
【Fig5】 Fig3及び4からのDNA58125の結果の二次元棒グ
ラブの概要。各々の試験された肺腫瘍系統の平均ΔC値が示されている。
【Fig6】 大腸腫瘍パネル1のDNA58125(カルジオトロフィン
−1)のフレームワーク分析の結果の三次元表示。試験された原発性大腸癌はX
軸に沿って示されている;マーカープローブ及びDNA58125は、Z軸に沿
って示されている;そして、各々のマーカープローブの区域の相対的な遺伝子増
幅は、棒線でY軸上に示されている。棒線は、健康な組織のDNA58125に
対して増幅した遺伝子領域の為にゼロ水準の上へ突き抜け、又はゼロ水準の下へ
突き抜けてその領域の遺伝子数量が減少したことを示す。
【Fig7】 大腸腫瘍パネル2のDNA58125(カルジオトロフィン
−1)のフレームワーク分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig6に記載
されているのと同じように配列されている。
【Fig8】 Fig6及び7からのDNA58125の結果の二次元棒グ
ラブの概要。各々の試験された大腸腫瘍の測定された平均ΔC値が示されてい
る。
【Fig9】 肺腫瘍パネル1のDNA58125(カルジオトロフィン−
1)のエピーセンター分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig3に記載さ
れているのと同じように配列されている。
【Fig10】 肺腫瘍パネル2のDNA58125(CT−1)のエピー
センター分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig3に記載されているのと
同じように配列されている。
【Fig11】 大腸腫瘍パネル1のDNA58125(CT−1)のエピ
ーセンター分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig6に記載されているの
と同じように配列されている。
【Fig12】 大腸腫瘍パネル2のDNA58125(CT−1)のエピ
ーセンター分析の結果の三次元表示。棒グラフは、Fig6に記載されているの
と同じように配列されている。
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月24日(2001.7.24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】 材料の寄託 下記に示すCT−1をコードするプラスミド(米国連番No.08,286,304に開示さ
れ、1994年8月5日に出願、現在は1996年11月5日に公布された米国
特許No.5,571,893)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 University Blvd., Manassas, VA,20110-2209, USA(ATCC)に寄託された: 材料 ATCC寄託番号 寄託日 pBSS+.huCT1.h5 75,841 1994年7月26日 この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条
約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付
から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。
寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の
合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうと
も、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄
託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法
第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の3
7CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定し
た者に後代を入手可能とすることを保証するものである。 本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に
死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に
取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政
府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであると
みなされるものではない。 上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十
分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として
意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため
、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの
物質の寄託は、文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側
面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが
表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。
実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記
の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 4C085 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 33/566 33/53 33/574 A 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/574 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ゴダード,オードリ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94131, サン フランシスコ,コンゴ ストリート 110 (72)発明者 ローレンス,デビッド,エー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94122, サン フランシスコ,トゥエルブス アヴ ェニュー 1659 (72)発明者 ペニカ,ダイアン. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94010, バーリンゲイム,ヘール ドライブ 2417 (72)発明者 ロイ,マーガレット,アン. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94123, サン フランシスコ,ウェブスター スト リート 4号室 2960 (72)発明者 ウッド,ウイリアム,アイ. アメリカ合衆国 カルフォニア 94010, ヒルズボロー,サウスダウン コート 35 Fターム(参考) 2G045 AA16 AA40 DA36 DA78 FB02 FB03 4B024 AA01 AA12 CA03 CA07 CA09 CA20 DA02 DA03 DA06 DA12 EA04 GA11 GA13 GA19 HA03 HA13 HA14 4B063 QA01 QA19 QQ08 QQ53 QR08 QR42 QR56 QR62 QS16 QS25 QS34 QX02 4B065 AA26X AA72X AA90X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA05 BD14 CA24 CA44 CA46 4C084 AA17 NA14 ZB26 4C085 AA13 AA14 BB01 BB11 DD62 EE01

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)哺乳類から得られた組織細胞の試験試料、及び(b)同
    型細胞の既知の正常な組織細胞のコントロール試料からカルジオトロフィン−1
    (CT−1)ポリペプチドをコードする遺伝子の発現のレベルを検出することを含
    んでなり、試験試料における高い遺伝子の発現のレベルが、試験試料が得られた
    哺乳類に腫瘍が存在していることを示す哺乳類の腫瘍を診断する方法。
  2. 【請求項2】 (a)抗-CT−1抗体を哺乳類から得られた組織細胞の試験
    試料と接触せしめること、及び(b)試験試料中の抗-CT−1とCT−1ポリペ
    プチド間の複合体の形成を検出することを含んでなる哺乳類の腫瘍を診断する方
    法。
  3. 【請求項3】 前記試料が腫瘍細胞の成長及び増殖を有すると疑われる個人
    から得られた請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 抗-CT−1抗体及び適切な包装体に含まれる容器を含んで
    なる癌診断用キット。
  5. 【請求項5】 CT−1ポリペプチドの検出のための前記抗体の使用に関す
    る指示書をさらに含んでなる請求項4のキット。
  6. 【請求項6】 CT−1ポリペプチドを高発現する細胞を、CT−1ポリペ
    プチドの発現及び/又は活性を阻害するのに効果的な量の薬剤に曝露することを
    含んでなる腫瘍細胞の成長を阻害する方法。
  7. 【請求項7】 前記薬剤が抗-CT−1抗体である請求項6の方法。
  8. 【請求項8】 前記腫瘍細胞が、さらに放射線療法又は細胞毒性或いは化学
    療法剤に曝露された請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 容器; 容器上のラベル;及び容器に含まれている活性剤を含有する組成物を含んでな
    る製造品;組成物が腫瘍細胞の成長を阻害するのに効果的であり、容器上のラベ
    ルは組成物がCT−1ポリペプチドの高発現を特徴とする症状の治療に使用可能
    であることを示し、組成物中の活性剤はCT−1ポリペプチドの発現及び/又は
    活性を阻害する薬剤。
  10. 【請求項10】 前記活性剤が抗-CT−1抗体である請求項9に記載の製
    造品。
  11. 【請求項11】 CT−1ポリペプチドの発現又は活性を阻害することが可
    能な化合物を同定する方法であって、候補化合物とCT−1ポリペプチドを、こ
    れら両化合物が相互に作用し合うのに十分な時間と条件下で接触せしめることを
    含んでなる方法。
  12. 【請求項12】 前記候補化合物又は前記CT−1ポリペプチドが固体支持
    体へ固定化された請求項11の方法。
  13. 【請求項13】 非固定化構成成分が検出可能なラベルを保有する請求項1
    2の方法 。
  14. 【請求項14】 (a)Fig1A(配列番号:3)のアミノ酸配列を有するカ
    ルジオトロフィン−1(CT−1)ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(
    b)(a)のDNA分子の補体に対して少なくとも80%配列同一性を有する単離
    された核酸分子。
  15. 【請求項15】 Fig1A及び1B(配列番号:1)の配列を含んでなる請
    求項14の単離された核酸分子。
  16. 【請求項16】 Fig1A及びFig1B(配列番号:2)の配列を含んで
    なる請求項14の単離された分子。
  17. 【請求項17】 Fig1A及びFig1B(配列番号:1)又は(配列番号
    :2)の配列を有する核酸分子の補体とハイブリダイゼーションをするDNAを
    含んでなるCT−1ポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
  18. 【請求項18】 請求項14の核酸分子を包含するベクター。
  19. 【請求項19】 ベクターで形質転換された宿主によって認識されるコント
    ロール配列と実施可能に連結した請求項18のベクター。
  20. 【請求項20】 請求項18のベクターを含む宿主細胞。
  21. 【請求項21】 前記細胞がCHO細胞である請求項20の宿主細胞。
  22. 【請求項22】 前記細胞が大腸菌である請求項20の宿主細胞。
  23. 【請求項23】 前記細胞が酵母細胞である請求項23の宿主細胞。
JP2000595160A 1999-01-21 2000-01-19 腫瘍の治療のための組成物と方法 Pending JP2002534987A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US23473099A 1999-01-21 1999-01-21
US09/234,730 1999-01-21
PCT/US2000/001441 WO2000043790A2 (en) 1999-01-21 2000-01-19 Compositions and methods for the diagnosis and treatment of tumor

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002534987A true JP2002534987A (ja) 2002-10-22

Family

ID=22882563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000595160A Pending JP2002534987A (ja) 1999-01-21 2000-01-19 腫瘍の治療のための組成物と方法

Country Status (9)

Country Link
EP (1) EP1145011B1 (ja)
JP (1) JP2002534987A (ja)
AT (1) ATE295963T1 (ja)
AU (1) AU776063C (ja)
CA (1) CA2354375A1 (ja)
DE (1) DE60020213T2 (ja)
ES (1) ES2242597T3 (ja)
IL (2) IL143055A0 (ja)
WO (1) WO2000043790A2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2200646B1 (es) * 2001-09-21 2005-05-01 Fundacion Para La Investigacion Medica Aplicada Uso de la cardiotrofina en enfermedades hepaticas.
EP3067422B1 (en) * 2015-03-13 2024-07-31 Sabanci Üniversitesi Ct-1 inhibitors

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997030146A2 (en) * 1996-02-14 1997-08-21 Genentech, Inc. Cardiotrophin and uses therefor
JPH09512427A (ja) * 1994-04-25 1997-12-16 ジェネンテク・インコーポレイテッド カルジオトロフィンおよびその使用

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5534615A (en) * 1994-04-25 1996-07-09 Genentech, Inc. Cardiac hypertrophy factor and uses therefor
JP2002507125A (ja) * 1997-06-30 2002-03-05 ヒューマン ジノーム サイエンシーズ,インコーポレイテッド カルジオトロフィン様サイトカイン

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09512427A (ja) * 1994-04-25 1997-12-16 ジェネンテク・インコーポレイテッド カルジオトロフィンおよびその使用
WO1997030146A2 (en) * 1996-02-14 1997-08-21 Genentech, Inc. Cardiotrophin and uses therefor

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6009039818, Cytokine, (1996), vol.8, no.12, p.920−926 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2000043790A3 (en) 2000-11-30
EP1145011A3 (en) 2002-09-11
CA2354375A1 (en) 2000-07-27
EP1145011A2 (en) 2001-10-17
ES2242597T3 (es) 2005-11-16
EP1145011B1 (en) 2005-05-18
DE60020213T2 (de) 2006-02-02
WO2000043790A9 (en) 2001-09-13
AU776063C (en) 2005-05-19
IL143055A (en) 2010-06-30
ATE295963T1 (de) 2005-06-15
AU2512400A (en) 2000-08-07
AU776063B2 (en) 2004-08-26
DE60020213D1 (de) 2005-06-23
IL143055A0 (en) 2002-04-21
WO2000043790A2 (en) 2000-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4260778B2 (ja) 腫瘍の治療のための組成物と方法
JP5897300B2 (ja) 腫瘍治療のための組成物と方法
WO1999014327A2 (en) Genes amplified in tumours, antibodies against the proteins coded thereby, and their use in diagnosis and treatment of cancer
JP2004520003A (ja) 腫瘍治療のための組成物及び方法
JP2005531491A (ja) 癌の治療のための組成物と方法
JP2003519491A (ja) 新規なstra6ポリペプチド
JP2003525585A (ja) 腫瘍治療のための組成物及び方法
JP2003524380A (ja) 腫瘍治療のための組成物及び方法
JP2006519774A (ja) 癌の治療のための組成物と方法
JP2003524390A (ja) 腫瘍治療のための組成物及び方法
US6472585B1 (en) Cardiotrophin-1 defective mouse
AU776063C (en) Compositions and methods for the treatment of tumor
US7258983B2 (en) Cardiotrophin-1 compositions and methods for the treatment of tumor

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20091125

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100316