JP2002534151A - 小さな骨の外科手術用自己圧縮性骨接合ネジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネジ付基端ヘッド２と、ネジ付末端部５を形成する本体４と、ヘッドと末端部との間にある末端部の長さに比べて短い平滑部分６と、一端から他端へ向かって貫通したガイドピンを受けるための縦方向通路８とを有し、末端部のネジ山７のピッチが基端ヘッドのネジ山３のピッチよりも大きい非外傷性かつ自己圧縮骨接合ネジ１の改良。 【解決手段】 骨切断または骨折後の小さな骨または小さな骨片、特に人間の足の５本の中足骨13、14を固定する手段を有する。末端部５のネジ山外径ｄ１が基端ヘッド２のネジ山の谷３の径ｄ２よりもわずかに大きくし、通路８の径を約０．８〜約１．０ｍｍにする。従来のＢａｒｏｕｋネジに比べて小さく。全ての小さな骨および骨片、特に５本の中足骨で従来ネジや自己破壊終片を有する分割可能ネジの代わりに有利に使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】

本発明は外科手術用の非外傷性(atraumatic)かつ自己圧縮のネジ、特に足の小
さな骨または小さな骨片の外科手術用ネジに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

フランス国特許第２，７２２，０８６号（９４ ０８ ４４５）には、ネジ付基
端ヘッドと、ネジ付末端部を形成する本体と、末端部の長さに比べて短いヘッド
と末端部との間の平滑部分とを有するＢａｒｏｕｋネジが記載されている。この
ネジの末端部のネジ山のピッチは基端ヘッドのネジ山のピッチよりも大きく、ガ
イドピンを受けるためにネジ本体の一端から他端へ向けて縦方向通路が形成され
ている。このネジでは２つのネジ山のピッチの差によってねじ込み時に２つの骨
片が互いに対して圧縮される。

【０００３】 この通路付きネジはその縦方向通路のために比較的大きな直径を有している。
そのため、このネジは十分な寸法を有する骨の固定または骨切断、特に「Ｓｃａ
ｒｆ」骨切断術での第１中足骨でしか使用できない。すなわち、このネジのネジ
付ヘッドの径は谷で３ｍｍ近くになる。従って、小さい骨、例えば他の４本の中
足骨の場合には、Ｗｅｉｌ博士の骨切断術で中足骨の余分な長さを矯正するのに
フランス国特許第２，７２１，８１９号（出願番号９４ ０８ ３７３）に記載の
ような寸法の小さいネジを用いる必要がある。このネジの延長部の先端はヘッド
と先端基部との間に形成された破断線によって自動的に折れるようになっている
。しかし、このような寸法の短い分割可能ネジにするにはネジを貫通するピン案
内用縦方向通路を無くさなければならない。

【０００４】 従来のネジはいずれも小さな骨、特に中足骨の骨切断または骨折の固定に常に
使用できるものではなかった。上記のフランス特許第２，７２２，０８６号に記
載のネジの径は第１中足骨以外の４本の中足骨およびその他の小さな骨または骨
片には太過ぎるため、これらの中足骨が破壊することがある。これら４本の外側
中足骨の骨が仮骨の場合には、破断可能な終片を有するネジは小さ過ぎて耐久性
が不十分になる。 また、一部の患者にみられるように、第１中足骨の寸法が小さい場合には、上
記特許に記載のネジ付ヘッドを有する有穴ネジでは骨が破壊する危険がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】

本発明の目的は、小さな骨または小さな骨片の外科手術で使用可能な、上記公
知のネジの代わりに用いることができる上記タイプの骨接合ネジを提供すること
にある。本発明ネジは５本の中足骨の中の任意の骨だけでなく、小さな骨または
小さな骨片の骨切断術のため、さらには、足の外科以外の用途、例えば手の骨の
骨折の固定に用いることができる。

【０００６】

【課題を解決する手段】

本発明の非外傷性かつ自己圧縮ネジは、骨切断または骨折後の小さな骨または
小さな骨片、特に人間の足の５本の中足骨の任意の骨を固定することができる手
段を有する。 本発明ネジは上記2つのネジのように設計された従来のネジすなわち通路を有
する有穴ネジおよび分割可能ネジの代わりに用いるのが有利である。

【０００７】

【実施の形態】

本発明の一実施例では、上記手段は基端ヘッドのネジ山の谷底の径よりもわず
かに大きい径のネジ山を有する末端部で構成され、通路の径は約０．８〜約１．
０ｍｍである。そうすることによって、従来のネジを小型化できるとともに、ネ
ジの両端で開口する縦方向通路も形成でき、それによってピンを用いてネジを定
位置に案内することができる。

【０００８】 基端ヘッドのネジ山の谷の径は約２．２〜約２．７ｍｍであり、末端部のネジ
山の外径は約２．５〜約３．０ｍｍである。こうすることによって、中間の中足
骨のような小さな骨を破壊する恐れなしに、骨切断または骨折後に固定すること
ができき、フランス国特許第２，７２２，０９６号に記載のネジより大幅に寸法
の小さいネジにすることができ、しかも、このネジは使用中に受ける応力に耐え
るのに十分な強度を保持している。 本発明の上記以外の特徴および利点は添付図面を参照した以下の説明からより
良く理解できよう。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。

【０００９】 図１〜図３は本発明の小さな骨または小さな骨片の外科用骨接合ネジ１を示し
ている。このネジ１はネジ山３を有する基端部のヘッド２と、ネジ付末端部５を
形成する本体４とで構成されている。ヘッド２と末端部５との間には末端部５の
長さに比べて相対的に短い平滑部分６が形成されている。 末端部５のネジ山７のピッチｐ１は基端ヘッド２のネジ山３のピッチｐ２より
も大きい。ネジ１にはその一端から他端へ軸線方向に延びた縦方向通路８が形成
されている。この通路８はネジの両端で開口しており、ガイドピン（図示せず）
を受けるようになっている。末端部５の端部には２つの自己タップ用切欠部９が
形成されている。ヘッド２では上記の軸線方向通路８が拡大されて収容部１１を
規定している。この収容部１１の壁は六角形凹部１２を構成し、対応するネジ込
み具（図示せず）を受けるようになっている。

【００１０】 末端部５のネジ山７の外径ｄ１はヘッド２のネジ山３の谷１０の径ｄ２よりも
わずかに大きい。従って、ネジ山３の高さを考慮に入れると、径ｄ２が２．２ｍ
ｍで、径ｄ１が２．６ｍｍの場合、ネジ山３の外径ｄ３は約３．１ｍｍにするこ
とができる。この３．１ｍｍという外径ｄ３は４本の外側中足骨に許容可能な最
大値であり、最小寸法のネジを必要とする第１中足骨にも適している。 ネジ山３は骨を確実に固定するのに十分な最大深さを有するが、六角形凹部１
２の壁には達しない。

【００１１】 末端部のネジ山７の頂きの径ｄ１をネジ山３の谷の径ｄ２よりわずかに大きく
してこの末端部のネジ山が骨の穴の入口を傷つけないようにする。そうしないと
、基端部のネジ山３がピッチの異なる末端部のネジと干渉する。これは骨の十分
な固定には望ましくないことは明らかである。 例えば、２．２ｍｍの径ｄ２に対して末端部のネジ山７の外径ｄ１が２．６ｍ
ｍである場合は、穴の入口における骨の壁の中でのネジ山３の半径方向幅は０．
２ｍｍになる。ネジ３の嵌入をこのように低い値にすることによって、骨の損傷
をかなり防ぐことができる。十分な骨の固定が確実に行えなくなるので、末端ネ
ジ山７の外径ｄ１を過度に小さくすることはできないことも注意すべきである。

【００１２】 異なる断面形状を有する凹部に関して、壁１２の断面形状が六角形でかつ六角
形壁１２の対向する２つの面１２ａの間の距離ｅが約１．３〜約１．７ｍｍであ
るときに最高の結果が得られることも見出した。このような凹部の場合は、径が
例えば０．９ｍｍの有穴ネジ回しと組み合わせることによって、ネジ回しが六角
形壁１２上で「すべる」ことなく、ネジ１に大きいねじりモーメントを加えるこ
とができる。

【００１３】 複数の試験から、末端ネジ山７の外径ｄ１は約２．３〜約２．８ｍｍに、径ｄ
２は約２．０ｍｍ〜約２．５ｍｍに、基端ネジ山３の外径ｄ３は約２．８ｍｍ〜
約３．５ｍｍにしなければならないことがわかった。ネジの長さは１０〜２２ｍ
ｍである。これは任意の形態型に適用することができ、種々の厚さの中足骨に広
く対応している。 〔表１〕は従来のＢａｒｏｕｋネジの特徴の例と、本発明の非外傷性自己圧縮
ネジの実施例とを示している。

【００１４】

【表１】

【００１５】 本発明のネジは全ての寸法が大幅に縮小されていることがわかる。寸法を縮小
しても、ネジの破開力およびねじりモーメントは同じ外径のヘッドを有する分割
可能なまたは「ねじ切り」ネジよりはるかに大きく維持される。 図４、図５は本発明の非外傷性自己圧縮ネジ１を外反母趾の治療に用いた場合
の概念図である。

【００１６】 ５本の中足骨１３、１４の中の第１中足骨１４が内側方向へ変形し（矢印３お
よび破線で示す位置１４ａ）、中足内反になっている。この中足内反の外科治療
では、簡単に言えば、中足骨１４を縦方向面１５とこの縦方向面１５に対して６
０°傾斜した横方向面１６とに沿って縦方向に切断する。その次に、外科医は下
側骨片１４ｂを外側すなわち中骨１３へ向かって移動させた後、固定ネジ１を挿
入して２つの骨片１４ｂと１４ｃを閉じ、互いに圧着させる。最後に、骨片１４
ｂから突出した内側突出部を形成している骨の一部１７を切断する。

【００１７】 図６は本発明のネジ１をヴァイル（Weil）骨切断術で用いる第２実施例を示し
ている。この実施例では初めに中足骨１３を２つの部分１３ａ、１３ｂに縦方向
に切断し、所望の位置へ位置決めした後に、足底部１３ｂを固定するためにネジ
１を使用する。 ネジ１のピッチは約１ｍｍであり、大きな従来のＢａｒｏｕｋネジのピッチと
ほぼ同じである。これによって骨(大抵は仮骨または寸法の小さい骨)でのネジの
耐久力が強くなる。ネジは適当な任意の生体適合材料、例えばチタン合金で作る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の骨接合ネジの実施例の縦方向拡大側面図。

【図２】 図１の矢印Ｆ１方向から見たネジの端面図。

【図３】 図１の矢印Ｆ２方向から見たネジの端面図。

【図４】 本発明ネジを用いて矯正できる第１指節骨の外反母趾と第１中足骨
の中足内反とを有する人間の足の骨の平面図。

【図５】 治療すべき中足骨の縦方向および横方向切除線を示す、図４の第１
中足骨の縦方向拡大側面図。

【図６】 中間の中足骨のヴァイル骨切断術に本発明ネジを用いた時の縦方向
拡大側面図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ， ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，Ｃ Ｒ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ， ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者 クランジュ，ヴァンサン フランス国 69100 ヴィレールバンヌ アヴニュ アントワーヌ デュトリヴォ ３ ビス (72)発明者 ゴーム，ジャン−ミシェル フランス国 42300 ロアンヌ リュ ボ リュ １ Ｆターム(参考） 4C060 LL15

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ネジ付基端ヘッド（２）と、ネジ付末端部（５）を形成する本
   体（４）と、ヘッド（２）と末端部（５）との間にある末端部の長さに比べて短
   い平滑部分（６）と、ガイドピンを受ける一端から他端へ向かって延びた縦方向
   通路（８）とを有し、末端部のネジ山（７）のピッチが基端ヘッドのネジ山（３
   ）のピッチよりも大きい、非外傷性かつ自己圧縮骨の接合ネジ（１）において、 骨切断または骨折後に小さな骨または小さな骨片、特に人間の足の５本の中足
   骨（１３，１４）の中の任意の１本を固定する手段を有する接合ネジ。
2. 【請求項２】 上記手段が基端ヘッド（２）のネジ山（３）の谷の径（ｄ２）
   よりもわずかに大きい外径（ｄ１）の末端部（５）のネジ山（７）で構成され、
   通路（８）の径が約０．８〜約１．０ｍｍである請求項１に記載の接合ネジ。
3. 【請求項３】 基端ヘッド（２）内にねじ込み具のための六角形壁を有する凹
   部（１２）が形成され、この凹部の対抗する２つの面（１２ａ）の間の距離（ｅ
   ）が約１．３ｍｍ〜約１．７ｍｍである請求項１または２に記載の接合ネジ。
4. 【請求項４】 末端部（５）のネジ山（７）の外径（ｄ１）が約２．３〜約２
   ．８ｍｍであり、基端ヘッド（２）のネジ山（３）の谷の径（ｄ２）が約２．０
   ｍｍ〜約２．５ｍｍであり、ヘッドのネジ山の外径（ｄ３）が約２．８ｍｍ〜約
   ３．５ｍｍである請求項１〜３のいずれか一項に記載の接合ネジ。