JP2002533970A - 安定適応フィルタおよびその方法 - Google Patents

安定適応フィルタおよびその方法

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JP2002533970A JP2000590294A JP2000590294A JP2002533970A JP 2002533970 A JP2002533970 A JP 2002533970A JP 2000590294 A JP2000590294 A JP 2000590294A JP 2000590294 A JP2000590294 A JP 2000590294A JP 2002533970 A JP2002533970 A JP 2002533970A
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    • H03H2021/0052Recursive least squares algorithm combined with stochastic gradient algorithm
    • H03H2021/0054Affine projection

Landscapes

  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 安定適応フィルタおよびその方法が開示される。本発明は、自己相関行列の逆行列処理における誤差蓄積によって引き起こされる、高速アフィン射影適応フィルタに関連する不安定性の問題を解消する。安定FAPは、固有のフィードバック調整によって本質的な動作安定性を有する降下反復法のうちの1つを使用して、その係数が自己相関行列の係数である一次方程式の少なくとも1つの系を解くことにより、適応フィルタ係数を更新する。その解かれた結果は、フィルタ係数を更新するのに使用される。上記の手法は、ゼロから1の範囲にある正規化ステップサイズの任意の値に対して適用可能である。これは、逆自己相関行列を求めることなく、または降下反復法により逆自己相関行列を求めることにより、フィルタ係数の更新部分を直接求めることを可能にする。本発明の第1および第2の実施形態において、正規化ステップサイズは1近くに設定され、一次方程式の系は、最急降下法および共役勾配法によりそれぞれ解かれる。本発明の第3および第4の実施形態は、実質的に1よりも小さい、例えば約0.7よりも小さい正規化ステップサイズに関し、逆自己相関行列を求めることにより、または逆自己相関行列を求めることなく、フィルタ係数をそれぞれ更新する。上記の方法を使用することにより、処理が進むに従い訂正が実行されるので、不可避的な数値誤差が蓄積されることがなくなる。結果として、本発明の方法およびフィルタは、多様なDSPのプラットフォーム、例えば16ビットおよび24ビットの固定小数点、浮動小数点のプラットフォームに適したものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本出願は、1998年12月22日に出願された米国特許出願第09/218
,428号、および1999年7月16日に出願された米国特許出願第09/3
56,041号に関する。本発明は、適応フィルタに関し、より具体的には、動
作の安定性を提供する高速アフィン射影(FAP)適応フィルタ、および安定F
AP適応フィルタリング方法に関する。
【0002】 背景技術 適応フィルタリングは、例えば、エコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャ
ネル(通信路)等化、システム同定などの技術分野、および例えば、ネットワー
ク・エコーキャンセラ、全二重ハンドフリー電話および音声会議システム用の音
響エコーキャンセラ、アクティブ・ノイズ・コントロール(active noise contro
l)、データ通信システム等の製品において広範に使用されるデジタル信号処理技
術である。
【0003】 適応フィルタの特性は、その適応アルゴリズムによって決定される。特定の適
応フィルタリング・システムにおける適応アルゴリズムの選択は、そのシステム
の性能に直接影響を与える。
【0004】 簡単かつ容易に安定性を得るため、LMS(最小二乗平均)アルゴリズムの実
際的な実現であるNLMS(正規化最小二乗平均)適応アルゴリズムが、当業界
において現在最も広範に使用され、ある程度の成功をおさめている。
【0005】 しかしながら、その本質的な欠点のために、NLMSアルゴリズムは、電気通
信などの多くの用途においてよく見られる信号の重要なクラスである音声のよう
な有色トレーニング信号(colored training signal)に関して収束するのが遅い
。NLMS適応フィルタを組み込むシステムの性能は、しばしば、アルゴリズム
の収束が遅いという本質に悩まされている。これまでに提案された他の公知のア
ルゴリズムは複雑でありすぎて、市販される低コストのデジタル信号プロセッサ
(DSP)上に実現することができず、または数値問題に悩まされている。
【0006】 最近、FAP(高速アフィン射影)法が提案され、これは、Steven L
.GayおよびSanjeev Tavathia(Acoustic Res
earch Department、AT&T Bell Laborator
ies)による文献「The Fast Affine Projection
Algorithm」、pp.3023〜3026、Proceedings
of the International Conference on
Acoustics,Speech,and Signal Processi
ng、1995年5月、米国ミシガン州、デトロイトに記載されている。FAP
は、複雑でそのためにあまり実際的でないAP(アフィン射影)アルゴリズムを
簡易化したものである。音声のような有色トレーニング信号に関して、FAPは
、通常NLMSよりも数倍高速に収束するが、実現するにはわずかな複雑性を伴
う。
【0007】 しかしながら、当業界におけるFAPの使用は、安定性の問題から妨げられて
きた。従来技術のFAPの実現は、浮動小数点計算でさえも、短時間内に発振し
てしまう。これは、FAPに付随する逆行列演算処理における有限精度数値誤差
の累積から生ずる。研究者等はこの問題を解こうとしてきたが、これまで満足の
いく回答が得られていない。上記の文献において提案され、Q.G.Liu、B
.ChampagneおよびK.C.Ho(Bell−Northern Re
seach and INRS−Telecommunications、Un
iversite du Quebec)による文献「On the Use
of a Modified Fast Affine Projection
Algorithm in Subbands for Acoustic
Echo Cancellation」、pp.354〜357、Procee
dings of 1996 IEEE Digital Signal Pr
ocessing Workshop、Loen、Norway、1996年9
月において強化された対応策は、古い逆行列演算処理と並列に新しい逆行列演算
処理を周期的に再開し、古いものを置き換え、古いものに累積した数値誤差を取
り除く、というものである。これは、浮動小数点演算プロセッサのような高精度
のDSPでは実現可能な解決策であるが、固定小数点DSPについてはなお適し
ていない。というのは、有限精度数値誤差が非常に速く累積し、再開する周期を
実際的でないくらい小さくしなければならないこととなり、よってアルゴリズム
のこの部分がさらに複雑になることは言うにおよばないからである。
【0008】 したがって、当業界においては、高速な収束および信頼性のある結果を提供し
ながら、動作の安定性を保証する代替的な適応フィルタリング方法が必要とされ
ている。
【0009】 発明の概要 本発明の目的は、上記の問題を解決することのできる適応フィルタ、および適
応フィルタリング方法を提供することである。
【0010】 本発明の1つの側面によると、 (a)適応フィルタ係数を求めるステップと、 (b)正規化ステップサイズを規定するステップと、 (c)フィルタ係数を更新するステップと、 (d)前記ステップ(b)およびステップ(c)を必要な回数だけ繰り返すステ
ップとを含む適応フィルタリング方法であって、 前記ステップ(c)は、 参照入力信号から自己相関行列の係数を求めるステップと、 その係数が前記自己相関行列の係数である一次方程式の少なくとも1つの系を解
くステップとを含み、 一次方程式の系が、動作有安定性を本質的に有する降下反復法を使用して解かれ
、該解かれた結果が、前記フィルタ係数を更新するのに使用され、前記解かれる
一次方程式の系の数が、前記正規化ステップサイズに依存する適応フィルタリン
グ方法が提供される。
【0011】 自己相関行列を求めることは、再帰的に行われるのが有利である。前記正規化
ステップサイズは、用途により、0〜1の任意の値に等しいよう選定されること
ができる。用途の大部分においては、1に近く、または1に等しく設定される。
前記正規化ステップサイズは、約0.9から1.0の範囲内にあることが好都合
である。
【0012】 または、約0.7から1.0の範囲内に正規化ステップサイズを設定すること
が好都合な場合もある。1に近い正規化ステップサイズについて、一次方程式の
少なくとも1つの系を解くステップは、一次方程式の1つの系のみを解くステッ
プを含む。
【0013】 代替的に、用途の中には、例えば、収束後の誤調整を小さく維持する必要があ
るとき、正規化ステップサイズを1よりも実質的に小さく、例えば約0.7より
も小さく設定することが要求されるものがある。この状況において、一次方程式
の少なくとも1つの系を解くステップは、一次方程式のN個の系を解くステップ
を含む。ここで、Nは射影次数(projection order)である。
【0014】 他の公知な方法について本質的である自己相関行列の逆行列を見つける問題は
、本発明の実施形態では、自己相関行列に基づいて一次方程式系を解く問題とな
る。この系が、固有のフィードバック調整により、動作安定性を本質的に提供す
る降下反復法のうちの1つによって解かれる。結果として、必然的だった数値誤
差が累積されることがない。
【0015】 本発明の第1および第2の実施形態において、最急降下法(steepest descent)
と共役勾配法(conjugate gradient)がそれぞれ使用され、正規化ステップサイズ
が1に近いことを考慮して、逆自己相関行列の第1列を求める。本発明の第3の
実施形態においては、最急降下法または共役勾配法が使用され、デクリメントす
る次数を持つ一次方程式のN個の系を再帰的に解くことによって、逆自己相関行
列の係数を求める。これは、正規化ステップサイズが1に近くない場合に対応す
る。本発明の第4の実施形態では、自己相関行列の逆行列を求めることを回避す
る。代わりに、一次方程式の系は共役勾配法を使用して解かれ、共役勾配法は、
フィルタ係数の更新部分を直接求めるのに使用することのできる解決策である。
【0016】 代替的に、他の公知の降下法、例えば最急降下、ニュートン法、PARTAN
、準ニュートン法(quasi-Newton’s method)または他の公知の反復降下法を使用
することもできる。方法のステップを、実数値または複素数値の演算により実行
することが好都合である。
【0017】 上記の方法は、例えば、ネットワーク・エコーキャンセラ、全二重ハンドフリ
ー電話および音声会議システム用の音響エコーキャンセラ、アクティブ・ノイズ
・コントロール・システム、データ通信システムなどの製品において広範に使用
されるエコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャネル等化、システム同定など
の様々な用途に適している。
【0018】 本発明の他の側面によると、適応フィルタ係数によって特徴づけられるフィル
タと、正規化ステップサイズを設定するための手段を有するフィルタ係数を更新
する手段とを備え、該更新手段が、参照入力信号から自己相関行列の係数を求め
る相関器と、その係数が自己相関行列の係数である一次方程式の少なくとも1つ
の系を解く計算器とを備え、該一次方程式の系は、動作安定性を本質的に有する
降下反復法を使用して解かれ、該解かれた結果が、フィルタ係数を更新するのに
使用され、該解かれる一次方程式の系の数が、正規化ステップサイズに依存する
適応フィルタが提供される。
【0019】 計算器は、反復的な計算器であることが好都合である。計算器は、最急降下の
計算機または共役勾配の計算器であることが好ましい。代替的に、ニュートン法
または準ニュートン法を実行する計算器、PARTAN計算器、または動作安定
性を本質的に提供する他の公知の反復降下計算器であることもできる。
【0020】 フィルタおよび更新手段は、実数を演算することができることが好都合である
。代替的に、それらは、複素数を演算することができるものであってもよい。
【0021】 正規化ステップサイズは、用途により、0〜1の任意の値に等しいよう選定さ
れることができる。用途の大部分においては、適応フィルタは、しばしば1に近
い、または1に等しい正規化ステップサイズで設定される。正規化ステップサイ
ズが、約0.9から1.0の範囲内にあることが好都合である。または、約0.
7から1.0の範囲内に正規化ステップサイズを設定することが好都合である場
合もある。
【0022】 1に近い正規化ステップサイズについては、計算器は、それぞれの時間間隔に
おいて一次方程式系の1つの系の反復的な解を提供する。代替的に、用途の中に
は、例えば収束後の誤調整を小さく維持する必要があるとき、正規化ステップサ
イズを1よりも実質的に小さく、例えば約0.7よりも小さく設定することが要
求されるものがある。この状況において、計算器は、一次方程式のN個の系の解
を提供する。ここで、Nは射影次数である。自己相関行列の対称性のために、逆
自己相関行列を求めることを、デクリメントする次数を持つ一次方程式のN個の
系を解くことにより実行することができる。
【0023】 上記の適応フィルタは、エコーキャンセラ、ノイズキャンセラ、チャネル等化
、システム同定、または適応フィルタリングが必要とされる他の用途のために使
用される。
【0024】 上記の適応フィルタおよびその方法は、動作安定性を提供することにより、公
知のFAP適応フィルタよりも有利である。公知のFAPフィルタにおいて存在
する逆行列演算処理における誤差の累積によって引き起こされる問題は、本発明
においては反復降下法を使用して解決される。第1に、逆行列演算は、自己相関
行列に基づいた一次方程式の対応する系を解くことに変わる。第2に、上記の一
次方程式を解くのに使用される反復降下法は、固有のフィードバック調整のため
に、本来的な動作安定性を提供する。結果として、必然的だった数値誤差は累積
されず、こうして、適応フィルタリングの安定性が提供される。
【0025】 好ましい態様の説明 本発明を、図面を参照して以下に詳細に記載する。
【0026】 A.線形代数の表現の規則 この明細書において、使用される記号を、以下のように取り決める。
【0027】
【数1】
【0028】 すなわち、上記a)で示されるような下線付きの文字は列ベクトルを表し、上
記b)に示されるような太字は行列を表し、上記c)に示されるような表記は、
Nベクトル(n)の上位N−1個の要素から成るN−1ベクトルを表し、上記
d)に示されるような表記は、Nベクトル(n)の下位N−1個の要素から成
るN−1ベクトルを表す。また、上付き文字「T」は、行列またはベクトルの転
置を表す。
【0029】 B.序論 図1は、埋め込み型適応フィルタ100を備える適応エコーキャンセル・シス
テム10のブロック図を示す。エコーキャンセルは、広範な適応フィルタリング
の用途の中からの例示として選定されたものである。デジタル的にサンプリング
された遠端参照入力信号x(n)は、適応フィルタ100およびエコー経路14
に供給され、エコー経路14は、エコー経路14を通ったx(n)のエコーであ
る不所望の信号u(n)を生成する。エコー経路14は、例えば電気通信ネット
ワークにおける遠距離の電気的な経路であり、または例えば室内の音響経路であ
ることもある。エコーキャンセラを、電気通信ネットワーク・スイッチまたはス
ピーカー・ホンとともに使用することができる。
【0030】 不所望信号u(n)は、加算器16において所望の近端信号s(n)と混合さ
れ、応答信号d(n)を生成する。応答信号d(n)は、適応フィルタ100に
よって生成されたエコー推定信号y(n)とともに、別の加算器18に送信され
る。加算器18は、d(n)からy(n)を減算し、遠端に伝送されるべき出力
信号e(n)を生成する。
【0031】 エコー経路がたえず変化しているので、適応フィルタは、新しいエコー経路に
連続的に適合することができなければならない。したがって、できる限りu(n
)に近いエコー推定信号y(n)を生成することが目標であり、信号u(n)が
エコー推定信号y(n)によってほぼキャンセルされ、e(n)がs(n)に最
も良く似るようにする。その後、誤差信号と呼ばれる出力信号e(n)は、遠端
に伝送され、さらに適応フィルタ100にも伝送され、適応フィルタの係数を調
整するのに使用される。
【0032】 特定の用途に従って、用語「遠端」および「近端」を交換する必要がある場合
があることに留意されたい。例えば、電話端末におけるネットワーク・エコーキ
ャンセラでは、図1のx(n)は、実際には遠端に伝送される近端信号であり、
図1のd(n)は、遠端に接続された電話線から受信される信号である。上記で
使用された技術用語は、x(n)が遠端信号であり、d(n)が近端において知
覚された信号であるという仮定に基づくが、このことは便宜上のためにのみそう
されることであって、代わりの技術用語を用いる他の適応フィルタの用途に本発
明を適用することを妨げるものではない。
【0033】 線形代数の表現における次の規則を、本発明の説明を通して使用する。
【0034】
【数2】
【0035】 すなわち、上記a)で示されるような下線付きの文字は列ベクトルを表し、上
記b)に示されるような太字は行列を表し、上記c)に示されるような表記は、
Nベクトル(n)の上位N−1個の要素から成るN−1ベクトルを表し、上記
d)に示されるような表記は、Nベクトル(n)の下位N−1個の要素から成
るN−1ベクトルを表す。また、上付き文字「T」は、行列またはベクトルの転
置を表す。
【0036】 1.NLMS(正規化最小二乗平均(normalized lease mean square))フィル
タ 以下のL次元の列ベクトルが、参照入力ベクトルおよび適応フィルタ係数ベク
トルとしてそれぞれ定義される(式1)。ここで、Lは、適応フィルタの長さで
ある。
【0037】
【数3】 (式1)
【0038】 適応エコーキャンセル・システムの出力を導出する畳み込みおよび減算の部分
を、式2に示す。
【0039】
【数4】 (式2)
【0040】 ここで、上付き文字「T」は、ベクトルまたは行列の転置を表す。システム挙
動の知識に基づいて係数ベクトルを更新する方法の適応部分を、式3に示す。
【0041】
【数5】 (式3)
【0042】 式3において、μ(n)は、係数に対する変化率を制御する適応ステップサイ
ズと呼ばれる。αは、正規化ステップサイズである。δは小さい正の数であり、
参照信号x(n)が全くまたはほとんどない時、μ(n)が大きくなりすぎるの
を防ぐ。
【0043】 NLMSフィルタにおいて必要とされる計算は、1つのサンプリング間隔あた
り2L+2個の積和(MAC)演算および1個の除算を含む。LMS(最小二乗
平均)法についての詳細は、例えば、B.Widrow等の「Adaptive
Noise Cancelling:Principles and App
lications」、Proceedings of the IEEE、V
ol.63、pp.1692〜1716、1975年12月、およびB.Wid
row等の「Stationary and Nonstationary L
earning Characteristics of the LMS A
daptive Filter」、Proceedings of the I
EEE、Vol.64、pp.1151〜1162、1976年8月の代表的な
論文において見つけることができる。
【0044】 2.AP(アフィン射影(Affine Projection))フィルタ アフィン射影法は、NLMS法の一般化である。ここでNは、いわゆる射影次
数(projection order)である。以下の式が定義される。
【0045】
【数6】 (式4)
【0046】 ここで、(n)および(n)はNベクトルであり、行列X(n)は、L×
N行列である。通常、Nは、Lよりもずっと小さく、よって行列X(n)は、「
風景画」形状(すなわち横長)ではなく、「肖像画」形状(すなわち縦長)を有
する。式4の(n)は事前誤差(a priori error)ベクトルであり、e(n−1
)、...、e(n−N+1)の要素のすべては、下記の式5に示されるように
(n)に依存することに留意されたい。
【0047】 この方法の畳み込みおよび減算部分は、以下の式5で表される。
【数7】 (式5)
【0048】 ここで、(n)は式1において定義されている。この方法の更新部分は、式
6に示されるようなステップを含む。
【0049】
【数8】 (式6)
【0050】 ここで、行列IはN×Nの単位行列であり、αおよびδは、式3に関して前述
したのと同様の役割を果たす。αは、0〜1の値を有する正規化ステップサイズ
であり、1を割り当てられることが非常に多い。δは正則化因子(regularizatio
n factor)であり、これは、不良条件(ill-conditioned)または階数落ち(rank-de
ficient)(これらは、この方法の不安定性の要因となる大きすぎる固有値を行列
P(n)が持つ場合に相当する)に自己相関行列R(n)がなるのを防止する。
AP法においては、それぞれのサンプリング間隔におけるN×N行列の逆行列演
算が必要とされることがわかる。
【0051】 AP法は良好な収束特性を示すが、計算量が非常多い。これは、それぞれのサ
ンプリング間隔において2LN+O(N)個のMACを必要とする。例えば、
Nが5に等しいとき(これは、多くの実際的な用途に対して合理的な選択である
)、APは、NLMSの5倍以上も複雑になる。
【0052】 3.FAP(高速アフィン射影(Fast Affine Projection))フィルタ AP法が計算的に高価であり実際的でないので、簡略化が行われた結果、いわ
ゆるFAP法に到達した。例えば、Gayに対する米国特許第5,428,56
2号を参照することができる。ここで、「fast」の「F」は、高速な収束を
意味するものではなく、計算を節約することを意味することに留意されたい。実
際、これらの簡略化を採用することにより、収束速度も含めて性能指数がわずか
に劣化する。
【0053】 簡潔に述べると、FAP法は以下の2つの部分から成る。 (a)下記の式7に示される近似および計算負荷を減らすための簡略化。式7
における近似はスケールされた事後誤差(posteriori error)を使用し、式4の事
前誤差を置き換える。
【0054】
【数9】 (式7)
【0055】 (b)逆行列演算 逆行列演算は、様々な手法を使用して実行される。それらのうちの1つは、G
ayに対する米国特許第5,428,562号において概説されている、いわゆ
る「スライディング窓型高速再帰最小二乗(FRLS:sliding win
dowed fast recursive least square)」手
法であり、式6の行列P(n)を再帰的に計算するものである。これにより、必
要な計算の合計は2L+14N個のMACおよび5個の除算になる。
【0056】 他の手法では、逆行列の補題(lemma)が、サンプリング間隔nにおいて行列P
(n)を導出するために2回使用される。これについては、例えば、Q.G.L
iu、B.Champagne、およびK.C.Ho(Bell−Northe
rn Research and INRS−Telecommunicati
ons、Universite du Quebec)による「On the
Use of a Modified Fast Affine Projec
tion Algorithm in Subbands for Acous
tic Echo Cancellation」、pp.354〜357、Pr
oceedings of 1996 IEEE Digital Signa
l Processing Workshop、Loen、Norway、19
96年9月を参照することができる。これは、開始する対象となる正確な推定行
列P(n−1)を取得し、行列P(n−1)および新しいデータ(n)の知識
に基づいて行列P(n−1)を修正することにより、行列P(n)を導出する。
そのようなFAP系に対して必要とされる全計算量は、2L+3N+12N個
のMACおよび2個の除算である。「スライディング窓」手法と比較すると、こ
の方法は、行列P(n)についてより正確な推定を与える。というのは、従来の
再帰最小二乗(RLS)アルゴリズムが、不可避的な劣化を伴う高速バージョン
の代わりに使用されるからである。
【0057】 古典的な方法を直接使用して直接的に逆行列問題を解くことが、常に最も正確
で安定な解に達することに留意されたい。しかし、これらの方法は、計算的に高
価でありすぎるので、実時間ベースにおいて実現することができない。したがっ
て、上記のもののような、かなり簡略化された多様な代替的手法が使用される。
【0058】 上記の逆行列方法は、フィードバック調整を持たない。行列P(n)の正確な
推定は、正確な開始点である行列P(n−1)に大きく依存する。行列P(n−
1)が正確な解からはずれた場合でも、アルゴリズムはそれを知る手立てを持た
ず、よって行列P(n−1)および新しい(n)に基づいて行列P(n−1)
を更新し続けてしまう。このことは、行列P(n−1)に誤差があった場合、そ
の誤差が非常に累積されやすくなり、行列P(n)、P(n+1)、P(n+2
)等へ伝搬され、したがってその誤差が永久にその系にとどまることを意味する
。行列P(n)が正確な値からはずれると、式6に示されるように、計算値ε
n)もまたはずれる。結果として、式6の第1の式は、係数ベクトル(n)が
もはや適切に更新されないことを示す。すなわち、(n)は間違った方向に更
新され、結果として適応フィルタリング・システムは失敗する。
【0059】 提案された解決策は、逆行列演算処理(スライディング窓型FRLSまたは従
来のRLSのいずれか)の新しい処理を、該演算処理の古い処理と並列に定期的
に再開し、古いものを置き換えて、該古いものに累積された数値エラーを取り除
くようにするものである。これは、浮動小数点プロセッサのような高精度DSP
については実現可能な解決法であるが、固定小数点DSPについて実現するには
なお適切ではない。というのは、有限精度数値誤差が非常に高速に累積し、周期
の再開を実際的ではないぐらいに短くしなければならないからである。
【0060】 4. 1に近いまたは1に等しい正規化ステップサイズによる安定高速アフィ
ン射影フィルタ(Stable Fast Affine Projection Filter) 通常、最大収束速度を得るために、式6において示される正規化ステップサイ
ズαは、1の値、または1より小さいが非常に1に近い値に設定される。これは
、上記の文献および米国特許第5,428,562号において記載された事例で
ある。この場合、(n)は、1つの有意な要素、すなわち(n)の1番目の
要素e(n)を有することが示されている。したがって、式6のε(n)の計算
は、行列およびベクトルの積から、ベクトルおよびスカラーの積へと変形される
。すなわち、以下の式8のようになる。
【0061】
【数10】 (式8)
【0062】 ここで、(n)は、行列P(n)の先頭、すなわち最も左の列である。典型
的には、αは0.9よりも大きく、1.0以下である。また上記のQ.G.Li
uへの文献では、その範囲よりもわずかに小さな、例えば約0.7のαであって
も、この近似がなお許容可能であることが示されている。このように、必要なの
は、行列P(n)のN個の要素のすべてを計算するのではなく、N個の要素の
みを計算することとなる。
【0063】 上記の観点から、行列P(n)、すなわち自己相関行列の逆行列を見つけると
いう問題は、以下の式10に示されるように、N個の一次方程式を解くというこ
とに相当することとなる。式9には、自己相関行列を示す。
【0064】
【数11】 (式9)
【0065】
【数12】 (式10)
【0066】 ここで、行列R(n)は、その定義式9によると、対称かつ正定値(positive
definite)であり、は、一番先頭のもの(これは、1である)を除いて、その
他の要素がすべてゼロであるNベクトルである。
【0067】 式10は、本来の逆行列問題よりも解くのがかなり簡単になっているが、ガウ
スの消去法のような古典的な方法でこれを行うのは、なお計算コストが高価であ
り、特に除算のコストがかかる。したがって、上記の一次方程式の系は、以下に
詳細に述べるような、本質的な動作安定性を提供し、かつ数値エラーの累積を回
避することができる反復降下法(iterative descending)のうちの1つによって解
かれる。
【0068】 5.一般ステップサイズによる安定高速アフィン射影フィルタ 上記のように、第4節で記載された概念は、比較的大きなα(1に等しい、ま
たは1より小さいが1に非常に近い値)が必要とされる用途に対してのみ適切で
ある。大部分の用途においては大きなαが必要とされるが、より小さい正規化ス
テップサイズによる場合に対応できなければ、適応フィルタリング方法を完璧と
みなすことはできない。
【0069】 例えば、FAPシステムが収束した後、誤調整(定常状態出力誤差)を減らす
1つの方法は、小さなαを使用することである。式6により、フィルタ係数の更
新部分を求めることは、ε(n)を直接解くか(式6の2番目の行の第1の式)
、または(n)のさらなる計算を伴う逆自己相関行列を求める(式6の2番目
の行の第2の式)か、によって実行されることができる。上記のそれぞれの手法
は、自己相関行列に基づいて一次方程式のN個の系を解くことを必要とする。本
発明に従うと、それを行うための有益な手法は、後述されるように、動作の安定
性を提供する降下反復法を使用することである。
【0070】 C.本発明の好ましい実施形態 本発明の第1の実施形態に従う適応フィルタ100において実現される適応フ
ィルタリング方法は、反復「最急降下(steepest descent)」技術を含み、式10
を反復的に解く。
【0071】 一般に、最急降下法は、ある二次関数の極小点を反復的に探求する技術である
。それぞれの反復(この用途では、サンプリング間隔と同じ)において、連続的
に3つのステップをとる。 1.パラメータ・ベクトルが向かうべき方向を見つける。これは、ちょうど現
在点における二次関数の負の勾配である。 2.ステップ1によって指示された方向に沿って極小点に達するように、パラ
メータ・ベクトル更新の最適ステップサイズを見つける。 3.ステップ2で求められたようにしてパラメータ・ベクトルを更新する。
【0072】 上記を反復的に行うことにより、最急降下法は、二次関数の一意の極小点、す
なわち勾配がゼロである点に達し、この極小点が動けば、それを連続的に追跡す
る。最急降下法についての詳細は、例えば、David G.Luenberg
er(スタンフォード大)著の「Linear and Nonlinear
Programming」、Addison−Wesley Publishi
ng Company、1984年の書籍において見つけることができる。
【0073】 適応フィルタリングの用途について、二次の陰関数は以下のように表される。
【0074】
【数13】 (式11)
【0075】 P(n)に対する勾配は、以下の式12で簡単に見つけることができる。
【数14】 (式12)
【0076】 ここで、は、式10において定義されている。最急降下技術が適用可能であ
るためには、行列R(n)が対称かつ正定値でなければならないことに留意され
たい(当該事例のように)。極小点、すなわち勾配がなくなる点を求めることは
、式10を解くことに相当する。また、最急降下法は、定常でない入力信号
n)の場合のように、極小点が移動した場合には、それを追跡することができる
【0077】 上記の議論に基づいて、最急降下技術を使用する安定FAP(SFAP)法は
、次のステップを含む。
【0078】 1)初期化。
【数15】 (式13)
【0079】 2)サンプリング間隔nで適応フィルタ係数を更新する。このステップは、以
下のステップ2.1および2.2を含む。 2.1)以下の式14に従って、自己相関行列を再帰的に求める。
【0080】
【数16】 (式14) ここで、ξ(n)は下記の式23において定義される。
【0081】 2.2)最急降下技術を使用して一次方程式10の系を解くことにより射影
係数を求める。射影係数は、自己相関行列の逆行列の係数である。
【0082】
【数17】
【0083】 3)適応フィルタリングを実行して、フィルタ係数を更新するステップ。
【数18】
【0084】 式15、16および17によって提供されるフィードバック調整は、公知の従
来手法には存在しないことに注目されたい。このことは重要である。従来技術の
FAP手法は、行列P(n−1)および新しく入ってきたデータである行列X(
n)のみに基づいて行列P(n)を求めるものであり、行列Pが行列R−1(n
)に実際にどれくらい十分近似するかは検査されない。したがって、不可避な数
値誤差が累積し、最終的にはこの系を崩壊させることとなる。
【0085】 安定した降下法(本発明において使用される)によって提供されるフィードバ
ックは、式15を使用し、行列P(n−1)またはその必要部分が、行列R−1 (n)またはその対応部分にどれくらい十分近似するかを検査する。その後、式
16および式17によって調整が実行され、行列P(n)またはその必要部分が
導出される。このように、この検査は、式15のg(n)をフィードバック誤差
として評価することにより行われる。
【0086】 式15、16および17において示される3つの式は、上記の最急降下技術の
3つのステップに対応する。(n)は、二次の陰関数(式15)の勾配であり
、β(n)は、式17において行われるパラメータ・ベクトル調整に対する最適
ステップサイズである。
【0087】 以下の表1からわかるように、本発明の第1実施形態による安定FAP法の必
要な全計算は、2L+2N+7N−1個のMACおよび1個の除算である。適
応フィルタリングについて最急降下技術が十分に作用するためには、最急降下が
適応フィルタ係数よりも高速に収束することを確実にするように射影次数Nが選
定されなければならないことに留意されたい。必要な予め決められる値Nは、特
定の適応フィルタリング用途に依存する。
【0088】
【表1】
【0089】 図2は、本発明の第1の実施形態に従う、上記の方法に従って動作する適応フ
ィルタ100を示す。これは、適応フィルタ係数(n)によって特徴づけられ
るフィルタ102、および係数を更新する手段104を備える。更新手段104
は、最大値すなわち1に近い正規化ステップサイズαで設定される。フィルタ1
02は有限インパルス応答(FIR)フィルタであり、参照入力信号x(n)、
および係数を更新するのに使用される補助信号f(n)(下記の式33を参照)
を受信し、仮のエコー推定信号PR(n)(下記の式34を参照)を生成する。
【0090】 更新手段104は相関器106および計算器108を備える。相関器106は
、参照入力信号x(n)に基づいて、自己相関行列係数R(n)の形式で提示さ
れる自己相関信号を再帰的に求め、計算器108は、射影係数(n)を生成す
る。射影係数は、自己相関行列の逆行列の係数の一部である。計算器108は、
上記で詳細に示されたような、動作安定性を本質的に有する反復最急降下法を使
用して、射影係数を規定する。射影係数は、補助フィルタ適応信号f(n)およ
びエコー推定訂正信号EC(n)(下記の式34を参照)を生成するために、更
新手段104内で使用される。エコー推定訂正信号は、エコー推定信号y(n)
を生成するために、仮エコー推定値PR(n)とともに使用される。
【0091】 図2に関する規則として、太線は、行列またはベクトル信号、すなわち2つ以
上の成分の伝搬を表し、細線は、スカラー信号の伝搬を表す。図2において、相
関器106は、現在および過去のx(n)サンプルを使用して、式14に従って
自己相関行列R(n)を求める。「η(n)計算器」110は、図2に示される
ように、式22に基づいてη(n)を計算する。η(n)は、次のサンプリング
間隔まで、更新手段104によって使用されない。フィルタ102は、畳み込み
(n)(n)を生成する。ηN−1(n−1)は、ηN−1(n)を単
位遅延要素111に通して1サンプリング間隔の遅延を与えることにより、η −1 (n)から得られる。その後、ηN−1(n−1)は、乗算器113におい
てステップサイズαと乗算される。結果は、式18において適応フィルタ係数を
更新するのに使用される。
【0092】
【数19】
【0093】 上記[数19]に示されるベクトルは、Dot乗算器(内積器)112によっ
て行列R(n)の一部と内積計算され、その結果は、乗算器114によってさら
にステップサイズαと乗算され、訂正項を形成する。この訂正項は、加算器11
6によって (n)(n)に加算され、フィルタ出力y(n)(式19)を
形成する。加算器18は、式20に従って誤差、すなわち出力e(n)を計算す
る。スカラー・ベクトル乗算器118は、式21に従ってε(n)を導出する。
【0094】 図3は、最急降下計算器108を詳細に示す。太線は、2つ以上の成分を伴う
行列またはベクトル信号の伝搬を表し、細線は、スカラー信号の伝搬を表す。計
算器108において、自己相関行列R(n)と、行列R(n−1)の推定された
逆行列の一部であるベクトル(n−1)とが、行列・ベクトル乗算器130に
おいて乗算される。このベクトル積はさらに、加算器132において定数ベクト
ル[1 0 ... 0]だけ減算され、勾配ベクトル(n)を生成する。
勾配ベクトル(n)は、行列R(n)の推定逆行列としてP(n−1)を使用
することに関するフィードバック誤差情報を含む。この部分は、式15に対応す
る。
【0095】 その後、(n)のノルムの平方は、DOT乗算器134において(n)を
それ自体と内積することにより見いだされる。これは、式16においてβ(n)
を計算する際に分子として使用される。行列・ベクトル乗算器136は、自己相
関行列R(n)および勾配ベクトル(n)のベクトル積を出力する。その後、
このベクトル積は、別のDOT乗算器138において(n)と内積計算され、
式16においてβ(n)を計算する際の分母を生成する。この分母は、逆数器1
40において逆数をとられ、さらに、スカラー乗算器142において上記の分子
とスカラー乗算され、β(n)を生成する。ここが、除算演算が行われる唯一の
場所である。
【0096】 最後に、β(n)は、スカラー・ベクトル乗算器144において勾配(n)
と乗算され、(n−1)に対する訂正項を形成する。その後、この訂正項は、
ベクトル加算器146において(n−1)から減算され、式17に従って
n)を導出する。(n−1)は、1サンプリング間隔の遅延を提供する単位遅
延要素148を使用することにより、(n)から得られる。
【0097】 本発明の第1の実施形態に従う最急降下技術を実現する2つのC言語プロトタ
イプが構築された。1番目のものは浮動小数点モジュールであり、2番目のもの
は、16ビットの固定小数点DSPの実現である。Nortel Networ
ks Corporationによる成功した全二重ハンドフリー電話端末製品
であるVentureのNLMS音声エコーキャンセラ設計をシミュレートする
浮動小数点モジュールと、Q.G.Liu、B.ChampagneおよびK.
C.Ho(Bell−Northern Research and INRS
−Telecommunications、Universite du Qu
ebec)による文献「On the Use of a Modified
Fast Affine Projection Algorithm in
Subbands for Acoustic Echo Cancellat
ion」、pp.354〜357、Proceedings of 1996
IEEE Digital Signal Processing Works
hop、Loen、Norway、1996年9月による従来技術のFAP方式
を繰り返すベンチマークの浮動小数点モジュールが、比較目的のために実現され
た。
【0098】 以下のようなデータ・ファイルが、処理のために準備された。ソース・ファイ
ルは、8KHzでサンプリングされたHarvardセンテンスの音声ファイル(フィ
ルタリングされた、またはフィルタリングされなかった中間リファレンス・シス
テム(Intermediate Reference System))、および白色雑音ファイルである。あ
る測定された1200タップの室内インパルス応答でこのソース・ファイルをフ
ィルタリングすることにより、このソース・ファイルから、あるエコー・ファイ
ルが生成された。これらの2つのファイルのセットは、それぞれ、x(n)およ
びd(n)として働く。
【0099】 主なシミュレーション結果は、次のようなものである。L=1024およびN
=5のベンチマーク従来技術の浮動小数点FAP方式は、音声トレーニング(spe
ech training)では、2’57”(8KHzのサンプリングレートで、2分57
秒の実時間)で不安定になるが、ほんの約25秒後には不健全な兆候が現れる。
これらの兆候は、行列P(n)(行列R(n)の逆行列)の第1列であるベクト
(n)の要素の不適切な偏差が形をなしたものである。不健全な兆候の最初
の出現から、その発散まで(この間、(n)要素の偏差はますます悪くなって
いく)に2分以上かかるという事実は、係数更新アルゴリズムが、行列P(n)
における誤差に対してかなり耐性があることを示す。16ビット実現の−0.5
ビット〜+0.5ビットの間に一様に分布した、シミュレートされたランダムな
量子化雑音が、この逆行列の補題計算にいったん注入されると、従来技術FAP
システムは、0.6秒で発散する。
【0100】 比較のため、最も長いテストケース(7分40秒)の時間内において、同じパ
ラメータ(L=1024とN=5)の場合、(n)を推定する部分、すなわち
本発明の最急降下方式の式15〜17は、常に安定したままである。さらに、7
’40”の期間全体において不適切な偏差のような不健全な可視的兆候はなく、
ベクトル(n)の要素は期待通りに進行する。最急降下の実施形態における出
力e(n)は、ベンチマーク従来技術FAPとほぼ同じ速度で収束し、従来技術
FAPおよびNLMSと同じ定常状態のエコーキャンセルの深さに達する。本発
明の第1の実施形態に従うSFAPは、NLMSフィルタより性能が優れており
、音声トレーニングの場合、SFAPは約1秒で収束するのに対し、NLMSフ
ィルタは、そうするのに約7〜8秒かかる。
【0101】 別の長さL=512のフィルタもまた、SFAP、従来技術のFAPおよびN
LMSに対して構築された。予測通り、それらは、L=1024の場合の速度の
ほぼ2倍の速さで収束する。
【0102】 こうして、適応フィルタリングの安定性を提供する、逆行列係数を求めるため
の最急降下法の計算器を使用する適応フィルタおよびその方法が提供される。
【0103】 本発明の第2実施形態に従う適応フィルタリング方法は、反復「共役勾配」技
術を使用して、式10を反復的に解く。この対応する計算器を、図4に示す。
【0104】 共役勾配もまた、ある二次関数の極小点を反復的に探求する技術である。共役
勾配は、上記の最急降下方式に密接に関連している。共役勾配は、Nを系の次数
とするとき、N個のステップを経ることなく極小に達することが保証されるとい
う点で、最急降下法と異なる。すなわち、共役勾配は、通常、最急降下よりも高
速に収束する。それぞれの反復(この用途では、サンプリング間隔と同じ)にお
いて、共役勾配は、連続的に5つのステップをとる。 1.現在点における二次関数の勾配を見いだす。 2.方向ベクトルを調整するための最適因子を見つける。パラメータ・ベクト
ルに対する調整は、これに沿って行われることとなる。 3.上記のように求められたようにして方向ベクトルを更新する。 4.パラメータ・ベクトル更新のための最適ステップサイズを見いだす。 5.上記のように求められたようにしてパラメータ・ベクトルを更新する。
【0105】 パラメータ・ベクトルの更新方向として二次関数の負の勾配を単に採用する最
急降下アルゴリズムと異なり、共役勾配は、最適化された方向を求めるために負
の勾配を修正する。上記を反復的に行うことにより、この方式は、N個のステッ
プを経ることなく、二次関数の一意的な極小点(ここでは、勾配がゼロである)
に達する。共役勾配技術はまた、定常でない入力信号x(n)の場合のように、
極小点が移動した場合には、それを連続的に追跡する。共役勾配アルゴリズムに
ついての詳細は、例えば、David G.Luenberger(スタンフォ
ード大学)著の書籍「Linear and Non−linear Prog
ramming」、Addison−Wesley Publishing C
ompany、1984に見いだすことができる。
【0106】 適応フィルタリング用途についての、二次の陰関数が式11に示され、(n
)に対するその勾配は式12に示されるとおりである。共役勾配技術を適用する
ためには(この事例のように)、行列R(n)は対称かつ正定値でなければなら
ないことに留意されたい。勾配が消失する所である極小の探求は、式10を解く
ことに相当する。また、共役勾配は、定常でない入力信号(n)の場合のよう
に、極小点が移動した場合には、それを追跡することができる。
【0107】 上記の議論に基づき、共役勾配技術を使用する第2の実施形態に従うSFAP
方法は、以下のステップを含む。
【0108】 1)初期化。
【数20】 (式24) 2)サンプリング間隔nにおいて適応フィルタ係数を更新する。 このステップ2)は、以下のステップ2.1および2.2を含む。 2.1)自己相関行列を再帰的に求める。 2.2)共役勾配技術を使用して、一次方程式10の系を解くことにより、射
影係数を求める。射影係数は、自己相関行列の逆行列の第1列の係数である。こ
こで、自己相関行列は、以下の式25に示されている。
【0109】
【数21】 (式25) ここでξ(n)は、上記の式23で定義される。
【0110】
【数22】 3)適応フィルタリングを実行して、フィルタ係数を更新する。
【0111】
【数23】
【0112】 式26、27、28、31および32において示される5つの式は、上記説明
した共役勾配技法の5つのステップにそれぞれ対応する。(n)は、二次の陰
関数の勾配であり、γ(n)は、方向ベクトル(n)を更新するための最適因
子である。β(n)は、式32において行われるパラメータ・ベクトル調整のた
めの最適ステップサイズである。
【0113】 表2に示されるように、本発明の第2の実施形態に従う安定FAP法に必要な
全計算は、2L+2N+9N+1個のMACおよび1個の除算である。こうし
て、共役勾配が十分速く収束することにより、適応フィルタ係数もまた収束する
、ということが保証される。
【0114】
【表2】
【0115】 本発明の第2の実施形態による適応フィルタは、計算器108が共役勾配技術
に従って動作する(図4では、参照番号208で示されている)ことを除いて、
図2に示される第1の実施形態の適応フィルタと同様である。
【0116】 図4は、第2の実施形態の適応フィルタに埋め込まれた共役勾配計算器208
を詳細に示す。太線は、行列またはベクトル信号、すなわち2つ以上の成分の伝
搬を表し、細線は、スカラー信号の伝搬を表す。
【0117】 計算器208において、自己相関行列R(n)と、行列R(n−1)の推定逆
行列の一部であるベクトル(n−1)が、行列ベクトル乗算器210において
乗算される。結果としてのベクトル積は、加算器212において定数ベクトル[
1 0 ... 0]だけ減算され、勾配ベクトル(n)を生成する。勾配
ベクトル(n)は、行列R(n)の推定逆行列として(n−1)を使用する
ことに関するフィードバック誤差情報を含んでいる。行列ベクトル乗算器210
および加算器212は、上記の式26を実現する。勾配(n)は、DOT乗算
器214において、直近のサンプリング間隔で見いだされた補助ベクトル(n
−1)と内積計算される。結果としてのスカラー積は、乗算器216においてr srs (n−1)と乗算され、因子γ(n)を生成する。因子γ(n)は、
n−1)を調整する方向ベクトルである(n−1)を調整する際に使用される
。rsrs(n−1)は、rsrs(n)を単位遅延要素218に通して1サン
プリング間隔の遅延を与えることにより得られる。同様に、(n−1)は、別
の単位遅延要素220を使用することにより、(n)から得られる。このパラ
グラフにおいて記載された図の部分は、上記の式27を実現する。
【0118】 γ(n)、(n)および(n−1)が利用可能になると、1サンプリング
間隔の遅延を伴う別の単位遅延要素222、および上記の式28において示され
た演算を実現するスカラー・ベクトル乗算器224とベクトル加算器226を使
用することにより、(n−1)は、(n)へと更新される。
【0119】 次に、次のサンプリング間隔で使用される補助ベクトル(n)が、別の行列
ベクトル乗算器230において、行列R(n)および(n)の積として計算さ
れる。これは、上記の式29を実現する。その後、ベクトル(n)は、さらに
別のDOT乗算器232において(n)と内積計算され、そのスカラー積が、
逆数器234において逆数をとられ、rsrs(n)を生成する(式30)。こ
こが、唯一の除算演算の箇所である。さらに別のDOT乗算器236および乗算
器238を使用することにより、(n)および(n)が内積計算され、その
結果(スカラー積である)が、−rsrs(n)と乗算され、β(n)を導出し
、こうして上記の式31を実現する。
【0120】 β(n)が利用可能になると、これが、別のスカラー・ベクトル乗算器240
において(n)と乗算され、(n−1)に対する訂正項を形成する。この訂
正項は、ベクトル加算器242において(n−1)に加算され、(n)を導
出する(上記の式32)。
【0121】 共役勾配計算器208を使用する適応フィルタの構造の残りの部分は、図2お
よび上記説明したものと同様である。
【0122】 共役勾配方式を使用するSFAP用の16ビット固定小数点DSP実現のため
のC言語プロトタイプが構築され、研究された。これは、上記の最急降下のプロ
トタイプと同じパラメータ(L=1024、N=5)で、同じデータ・ファイル
を使用する。これは、その浮動小数点最急降下の対応部分に非常に類似した挙動
を示す。(n)要素の進行状態には観察可能な差異はなく、それらはまた、7
’40”の最も長いテストケースの期間中、安定したままである。
【0123】 共役勾配の実施形態における出力e(n)は、ベンチマーク従来技術FAPと
ほぼ同じ速度で収束し、ベンチマーク従来技術のFAPおよびNLMSと同じ定
常状態エコーキャンセルの深さに達する。本発明の第2の実施形態に従うSFA
Pはまた、収束速度に関してNLMSフィルタより優れている。別の長さL=5
12の共役勾配フィルタもまた構築された。予測した通り、それは、L=102
4の場合の2倍の速さで収束する。
【0124】 本発明の第3の実施形態に従う適応フィルタリング方法は、正規化ステップサ
イズが0〜1の間の任意の値を持つ場合の適応フィルタリングを提供する。それ
は、下記のような方法で、デクリメントする次数を持つ一次方程式のいくつかの
系を反復的に解いて自己相関行列を求めることにより、適応フィルタ係数を更新
する。
【0125】 行列Pが対称行列Rの逆行列であるならば、行列Pもまた対称行列であるこ最
初に証明する。定義により、式38が成立する。
【0126】
【数24】 (式38) 式38を転置することにより、式39をそれぞれ得ることができる。
【0127】
【数25】 (式39) 行列Rおよび行列Iは対称であるので、式39は、式40のように書くことがで
きる。
【0128】
【数26】 (式40) これは、行列Pも、行列Rの逆行列であることを意味する。行列の逆行列は一
意的であるので、式41が唯一の可能性として導き出される。
【0129】
【数27】 (式41) すなわち、行列Pは対称行列である。
【0130】 対称行列の逆行列もまた対称行列であるという理解に基づいて、式42が成立
するようなサンプリング間隔nを考える。ここで必要なのは、N次の正方行列P
(n)を見つけることである。
【0131】
【数28】 (式42) 式42は、スカラー形式で式43のように書き直すことができる。
【0132】
【数29】 (式43) ここで、rik(n)は、行iおよび列kにおける行列R(n)の要素であり、
そしてpkj(n)は、行kおよび列jにおける行列P(n)の要素であり、δ ij は、式44のように規定される。
【0133】
【数30】 (式44)
【0134】 式43においてj=0で定義されたN個の一次方程式のセットを、{pk0
n)、k=0、1、...、N−1}について最初に解く。すなわち、式45を
解く。
【0135】
【数31】 (式45) 式45は、以前に導出され、本発明の第1および第2に実施形態に適用された式
10と一致する。
【0136】
【数32】 (式46)
【0137】 式45または式46の右辺は、(n)が行列P(n)の最も左の列であるこ
とを示し、式41に基づき、 (n)はまた、行列P(n)の最も上の行であ
ることを示す。上記の本発明の第1および第2の実施形態により、この部分は、
最急降下法では「2N+3N」個のMACおよび1個の除算のコストがかかり
、共役勾配法では「2N+5N+2」個のMACおよび1個の除算のコストが
かかる。
【0138】 j=0の場合を処理したので、式43においてj=1で定義されるN個の一次
方程式のセットを、{pk1(n)、k=0、1、...、N−1}について解
くことを始める。すなわち、式47を解くことを始める。
【0139】
【数33】 (式47)
【0140】 行列P(n)は対称行列であるので、p01(n)はp10(n)に等しく、
式47を、式48のように書き直すことができる。
【0141】
【数34】 (式48)
【0142】 これは、なおN個の式を伴うが、解く対象となるのは、N個の未知数ではなくて
、N−1個の未知数、すなわち{pk1(n)、k=1、2、...、N−1}
となる。一般に、これらのN−1個の未知数は、N−1個の式だけで一意的に求
めることができる。したがって、i=0としたときの式48を省略することがで
き、式49が導かれる。
【0143】
【数35】 (式49)
【0144】 式49は、次数が1だけデクリメント(decrement)したことを除き、式45と同
じ形を持つ。また、式49を、上記の2つの手法のいずれかを使用することによ
り解くことができ、ここで「最急降下法では2(N−1)+4(N−1)個の
MACおよび1個の除算」のコストがかかり、「共役勾配法では2(N−1) +6(N−1)+2個のMACおよび1個の除算」のコストがかかる。ここで、
2つの式のそれぞれにおいて付加された「(N−1)」は、式49の右辺を計算
するのに必要な余分の計算のせいである。
【0145】 上記の再帰ステップを繰り返すことにより、問題の次数はそれぞれのステップ
において1だけデクリメントされ、行列P(n)の下側の三角形の部分を完全に
解くことができる。行列P(n)は対称行列であるので、これは、行列P(n)
全体を解くことに相当する。このプロセス全体の式を、式43および上記の概念
から、以下の式50のように導出されることができる。
【0146】
【数36】 (式50)
【0147】 式50の右辺が、それぞれの再帰ステップjにおけるすべてのiに対し、未知
数を全く含まないことに留意されたい。すなわち、{pjk(n)}は、前のス
テップにおいてすでに見いだされており、式45および式49は、式50の特殊
な場合であり、そして再帰ステップjにおいて見いだされた{pkj(n)、k
=j、j+1、...、N−1}は、行列P(n)のj番目の(0≦j≦N−1
)列の下位のN−j個の要素から成る列ベクトル(以下の[数37]に示される記
号で表される)を形成する。
【0148】
【数37】
【0149】 式50のプロセスは、最急降下法については、N個の除算と、式51に示され
る個数のMACを要する。
【0150】
【数38】 (式51) また、共役勾配法については、N個の除算と式52に示される個数のMACを
要する。
【0151】
【数39】 (式52) 式51および式52を導出する際に、以下の式が使用されることに留意されたい
【0152】
【数40】 (式53) この式は、数学的帰納法によって容易に証明される。
【0153】 上記の導出に基づいて、本発明の第3の実施形態によるSFAP法は、以下の
ステップを含む。 1)初期化。
【数41】 (式54)
【0154】 2)サンプリング間隔nにおいて適応フィルタ係数を更新する。このステップ
は、以下の式55に示されるステップを含む。ここで、式55で使用される記号
は、以下のとおりである。ξ(n)は、上記の式23において定義されている。 (n)は、行列R(n)の第1列である。以下の[数42]に示されるa)式
は、Nベクトル(n)の下位のN−1個の要素から成るN−1ベクトルである
。以下の[数42]に示されるb)式は、Nベクトルη(n)の上位のN−1個
の要素から成るN−1ベクトルである。また、式55の第2の式における除算は
、分母がゼロより大きくなければ実行されないことに注意されたい。この場合、
ゼロが商に割り当てられる。
【数42】
【0155】
【数43】 (式55)
【0156】 図5に示される本発明の第3の実施形態に従う適応フィルタ300は、図2の
適応フィルタに類似する。ここで、同様の要素は、図2の参照番号を200だけ
増やして示されている。また、フィルタ300は、フィルタ100とは異なり、
以下の特徴を有する。すなわち、正規化ステップサイズは、0〜1.0の間の任
意の値を有することができる。計算器308は、最急降下技術により逆自己相関
行列の列を連続的に求めるための拡張された構造を備え、(n)計算器320
が追加される。
【0157】 行列P(n)計算器308は、行列計算器であり、図6に示されるフローチャ
ート図400に従って動作する。サンプリング間隔nを開始(ブロック401)
した後、ルーチン402は、初期値を指数jに設定する(ブロック404)。指
数jは、自己相関行列R(n)(ブロック406)とともに、射影係数列計算器
に送り込まれる(ブロック408)。
【0158】 計算器は、指数jの現在値について、式50に従う最急降下反復法を提供し、
こうして、前のサンプリング間隔からの射影係数の対応する列を更新する(ブロ
ック408)。射影係数の更新された列は記憶手段に送信され(ルーチン410
、ブロック412)、行列P(n)の他の列が計算されるまで格納される。指数
jがN−1に等しくなるまで(ブロック416)、その値は1だけ増分される。
すなわち、j+1に等しくされる(ブロック418)。その後、最急降下反復法
が、P(n)の次の列を求めるために繰り返される(ブロック408)。
【0159】 j=0、1、...N−1についてN個の対応する最急降下反復を実行するこ
とにより、逆自己相関行列のすべての列がこうして求められ、組み立て手段にお
いて行列P(n)に組み立てられる(ブロック414)。その後、コマンド/信
号(ブロック420)が、サンプリング間隔nの終了および次のサンプリング間
隔n+1の開始について通知し、ここで、ルーチン400のステップが繰り返さ
れる。図6において、太線は、行列またはベクトル信号、すなわち2つ以上の成
分を有するものの伝搬を表し、細線は、制御の伝搬を表す。
【0160】 この実施形態に対する修正において、最急降下計算器308を、共役計算器で
置き換えることができる。その対応する構造を、図7のフローチャート500に
示す。ここで、図6のブロックと同様のブロックは、図6の参照番号に100だ
け増やした参照番号によって示されている。これは、図6に関する上記のような
方法で動作する。
【0161】 本発明の第4の実施形態に従う適応フィルタリング方法は、正規化ステップサ
イズが0〜1の間の任意の値を有するときの適応フィルタリングを提供する。こ
れは、一次方程式のいくつかの系を反復的に解くことにより適応フィルタ係数を
更新し、本発明の第3の実施形態において実行された明示的な逆行列処理を回避
する。詳細は、以下に記載する。
【0162】 式6のセットにおける第2の式を、便宜上、式56として再度表現する。
【0163】
【数44】 (式56)
【0164】 適応フィルタ計数を更新するのに必要なε(n)を、一次方程式のセットの式
56から直接得ることが可能である。ここで、この式56のセットは、降下反復
法のうちの1つによって解くことができる 例として、共役勾配法を使用してN回の共役勾配反復を行い、正確な解(繰り
返されたものではなく)に達するようにする。このことは、共役勾配法が、Nを
問題の次数とした時、N回の反復を経ることなく解に達することが保証されると
いう事実によって確実にされる(式55を参照)。
【0165】 計算時間を節約するため、それぞれのサンプリング間隔nにおいて反復が開始
する前に、ε(n)=から開始することが好都合である。
【0166】 したがって、本発明の第4の実施形態のSFAP法は、以下のステップを含む
【0167】
【数45】 (式57)
【0168】 次に、第4の実施形態に従う適応フィルタリング方法のステップについて、さ
らに詳細に説明する。 1)初期化
【数46】 (式58)
【0169】 2)サンプリング間隔nにおける処理
【数47】 (式59)
【0170】 ここで、記号は、上記の第1、第2および第3の実施形態に関して記載された
ものと同様である。式56における除算演算は、分母がゼロよりも大きくない場
合には実行されず、この場合、ゼロが商に割り当てられる。
【0171】 図8は、本発明の第4の実施形態に従う適応フィルタ600を詳細に示す。こ
れは、適応フィルタ係数(n)によって特徴づけられるフィルタ602、およ
び係数を更新する手段604を備える。更新手段604は、0から1.0の範囲
の任意の値を有する正規化ステップサイズαで設定される。フィルタ602は有
限インパルス応答(FIR)フィルタであり、これは、参照入力信号x(n)、
および係数を更新するのに使用される補助信号f(n)を受信し、仮エコー推定
信号PR(n)を生成する発生する。
【0172】 更新手段604は、参照入力信号x(n)に基づいて、自己相関行列係数R(
n)の形で提示される自己相関信号を再帰的に求める相関器606と、ベクトル ε (n)および(n)の対応する計算のためのε(n)計算器608と、
n)計算器620とを備える。計算器608は、上記で詳細に示されたような、
動作安定性を本質的に有する反復共役勾配法を使用して、ε(n)を規定する。
射影係数は、補助フィルタ適応信号f(n)およびエコー推定訂正信号EC(n
)を生成するため、更新手段604内で使用される。エコー推定訂正信号EC(
n)は、エコー推定信号y(n)を生成するために、仮エコー推定値PR(n)
とともに使用される。
【0173】 図8において、太線は、行列またはベクトル信号、すなわち、2つ以上の成分
を有する信号の伝搬を表し、細線は、スカラー信号の伝搬を表す。図8において
、相関器606は、現在および過去のx(n)サンプルを使用して、式59の第
1の式に従って自己相関行列R(n)を求める。「η(n)計算器」610は、
式59の最後の式に基づいてη(n)を計算し、図8に示されるように、η(n
)は、次のサンプリング間隔まで更新手段104によって使用されない。
【0174】 フィルタ602は、畳み込み和 (n)(n)を生成する。ηN−1(n
−1)は、ηN−1(n)を単位遅延要素611に通して1サンプリング間隔の
遅延を与えることにより、ηN−1(n)から得られる。その後、ηN−1(n
−1)は、乗算器613においてステップサイズαと乗算される。この結果は、
適応フィルタ係数(式59の第2の式)を更新するのに使用される。
【0175】 以下の[数48]に示されるベクトルが、DOT乗算器612によって行列R
(n)の一部と内積計算され、その結果が、さらに乗算器614によってステッ
プサイズαと乗算され、訂正項を形成する。この訂正項は、加算器616によっ
(n)(n)に加算され、フィルタ出力y(n)(式59の第3の式)
を形成する。
【数48】
【0176】 信号y(n)およびe(n)は、さらに(n)計算器620に送信され、式
59の第4および第5の式に従って(n)を求め、その結果は、相関器606
において導出された自己相関行列R(n)とともに、ε(n)計算器608に送
信される。ε(n)計算器608は、共役勾配法により、ε(n)について、式
59の第6の式を解き、こうして、適応フィルタ係数(式6の第1の式)を更新
するのに十分なデータが提供される。
【0177】 図9を参照すると、図8において詳細に示されるε(n)計算器608は、図
4の計算器208に類似する1ステップ計算器708aを備え、同様の要素は、
図4の参照番号にそれぞれ500を増分した番号で参照されている(ただし、 (n−1) およびP(n)は、それぞれε(n−1)およびε(n)で置き換え
られている。)太線は、行列またはベクトル信号、すなわち2つ以上の成分を有
する信号の伝搬を表し、細線は、スカラー信号の伝搬を表す。それぞれのサンプ
リング間隔nにおいて、計算器708aは、k=0、1、...N−1に対応す
るN個のステップを実行し、それぞれのステップは、本発明の第2の実施形態の
フィルタ208によって行われる共役勾配反復と同様のものである。計算器60
8は、さらに、サンプリング間隔の開始において自動的に開き、N回の共役勾配
反復の終了時に自動的に閉じる出力スイッチ754を備える。
【0178】 最初の2つの実施形態に関して記載された修正は、本発明の第3および第4の
実施形態にも等しく適用することができる。
【0179】 本発明の第3および第4の実施形態に従う2つの「C」プロトタイプは、浮動
小数点のPCのプラットフォームで実現された。それらは、本発明の第1および
第2の実施形態の結果と完全に一貫性のある結果を示した。
【0180】 こうして、フィードバック調整に基づく適応フィルタリングの安定性を提供す
る適応フィルタおよび方法が提供される。
【0181】 この方法は、実数で動作するけれども、複素数の採用が必要な場合に対して本
発明を拡張することを妨げるものではない。
【0182】 実施形態をエコーキャンセルを背景として示したが、その結果は、他の適応フ
ィルタリングの用途へも適用可能であることを示している。
【0183】 こうして、本発明の特定の実施形態を詳細に説明してきたが、これらの実施形
態の多数の変形、修正および組合せは、請求の範囲に記載した本発明の範囲内に
入ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】適応エコーキャンセル・システムのブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に従う適応フィルタのブロック図。
【図3】図2のフィルタに埋め込まれた最急降下計算器のブロック図。
【図4】本発明の第2の実施形態に従う適応フィルタに埋め込まれた共役勾配計
算器のブロック図。
【図5】本発明の第3の実施形態に従う適応フィルタのブロック図。
【図6】図5の適応フィルタに埋め込まれた最急降下計算器の動作を示すフロー
チャート。
【図7】図5の適応フィルタに埋め込まれた共役勾配計算器の動作を示すフロー
チャート。
【図8】本発明の第4の実施形態に従う適応フィルタのブロック図。
【図9】図8の適応フィルタに埋め込まれた共役勾配計算器のブロック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),CA,JP 【要約の続き】 に関し、逆自己相関行列を求めることにより、または逆 自己相関行列を求めることなく、フィルタ係数をそれぞ れ更新する。上記の方法を使用することにより、処理が 進むに従い訂正が実行されるので、不可避的な数値誤差 が蓄積されることがなくなる。結果として、本発明の方 法およびフィルタは、多様なDSPのプラットフォー ム、例えば16ビットおよび24ビットの固定小数点、 浮動小数点のプラットフォームに適したものとなる。

Claims (80)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)適応フィルタ係数を求めるステップと、 (b)正規化ステップサイズを規定するステップと、 (c)フィルタ係数を更新するステップと、 (d)前記ステップ(b)およびステップ(c)を必要な回数だけ繰り返すス
    テップとを含み、前記ステップ(c)が、 参照入力信号から自己相関行列の係数を求めるステップと、 その係数が前記自己相関行列の係数である一次方程式の少なくとも1つの系を
    解くステップとを含み、 前記一次方程式の系は、動作安定性を本質的に有する降下反復法を使用して解
    かれ、 前記解かれた結果が、前記フィルタ係数を更新するのに使用され、 前記解かれる一次方程式の系の数が、正規化ステップサイズに依存する、適応
    フィルタリングの方法。
  2. 【請求項2】前記自己相関行列の係数を求めるステップが、該自己相関行列の
    係数を再帰的に計算することを含む請求項1に記載の適応フィルタリングの方法
  3. 【請求項3】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを1に等しくないよう設定することを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  4. 【請求項4】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを実質的に1よりも小さく設定することを含む請求項1に記載の適応
    フィルタリングの方法。
  5. 【請求項5】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを0.7よりも小さく設定することを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  6. 【請求項6】前記一次方程式の少なくとも1つの系を解くステップが、Nを射
    影次数として、一次方程式のN個の系を解くことを含む請求項3に記載の適応フ
    ィルタリングの方法。
  7. 【請求項7】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを1に近い値に設定することを含む請求項1に記載の適応フィルタリ
    ングの方法。
  8. 【請求項8】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを1に等しく設定することを含む請求項1に記載の適応フィルタリン
    グの方法。
  9. 【請求項9】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ステ
    ップサイズを約0.9から1.0の範囲で設定することを含む請求項1に記載の
    適応フィルタリングの方法。
  10. 【請求項10】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを約0.7から1.0の範囲で設定することを含む請求項1に記載
    の適応フィルタリングの方法。
  11. 【請求項11】前記一次方程式の少なくとも1つの系を解くステップが、一次
    方程式の1つの系のみを解くことを含む請求項7に記載の適応フィルタリングの
    方法。
  12. 【請求項12】前記降下反復法によって一次方程式の系を解くステップが、最
    急降下法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  13. 【請求項13】前記降下反復法によって一次方程式の系を解くステップが、共
    役勾配法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  14. 【請求項14】前記降下反復法により一次方程式系を解くステップが、ニュー
    トン法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項1に記載の適応フィル
    タリングの方法。
  15. 【請求項15】前記降下反復法により一次方程式系を解くステップが、PAR
    TAN法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  16. 【請求項16】前記降下反復法により一次方程式系を解くステップが、準ニュ
    ートン法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項1に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  17. 【請求項17】前記適応フィルタリング方法のステップが、実数値の演算によ
    り実行される請求項1に記載の適応フィルタリングの方法。
  18. 【請求項18】前記適応フィルタリング方法のステップが、複素数値の演算に
    より実行される請求項1に記載の適応フィルタリングの方法。
  19. 【請求項19】エコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャネル等化、および
    システム同定から成るグループから選択された用途において使用される請求項1
    に記載の適応フィルタリングの方法。
  20. 【請求項20】前記一次方程式の少なくとも1つの系を解くステップが、射影
    係数を求めることを含み、該射影係数が、逆自己相関行列の係数である請求項1
    に記載の適応フィルタリングの方法。
  21. 【請求項21】前記自己相関行列の係数を求めるステップが、該自己相関行列
    の係数を再帰的に計算することを含む請求項20に記載の適応フィルタリングの
    方法。
  22. 【請求項22】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを1に等しくないよう設定することを含む請求項20に記載の適応
    フィルタリングの方法。
  23. 【請求項23】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを実質的に1よりも小さく設定することを含む請求項20に記載の
    適応フィルタリングの方法。
  24. 【請求項24】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを約0.7よりも小さく設定することを含む請求項20に記載の適
    応フィルタリングの方法。
  25. 【請求項25】前記一次方程式の少なくとも1つの系を解くステップが、Nを
    射影次数として、一次方程式のN個の系を解くことを含む請求項22に記載の適
    応フィルタリングの方法。
  26. 【請求項26】一次方程式のN個の系を解くステップが、デクリメントする次
    数を持つ一次方程式のN個の系を解くことを含む請求項25に記載の適応フィル
    タリングの方法。
  27. 【請求項27】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを1に近い値に設定することを含む請求項20に記載の適応フィル
    タリングの方法。
  28. 【請求項28】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを1に等しく設定することを含む請求項20に記載の適応フィルタ
    リングの方法。
  29. 【請求項29】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、該正規化ス
    テップサイズを約0.9から1.0の範囲で設定することを含む請求項20に記
    載の適応フィルタリングの方法。
  30. 【請求項30】前記正規化ステップサイズを規定するステップが、正規化ステ
    ップサイズを約0.7から1.0の範囲で設定することを含む請求項20に記載
    の適応フィルタリングの方法。
  31. 【請求項31】前記一次方程式の少なくとも1つの系を解くステップが、一次
    方程式の1つの系のみを解くことを含む請求項27に記載の適応フィルタリング
    の方法。
  32. 【請求項32】前記射影係数を求めることが、逆自己相関行列係数の第1列の
    係数を計算することを含む請求項31に記載の適応フィルタリングの方法。
  33. 【請求項33】前記降下反復法により一次方程式の系を解くステップが、最急
    降下法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項20に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  34. 【請求項34】前記降下反復法により一次方程式の系を解くステップが、共役
    勾配法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項20に記載の適応フィ
    ルタリングの方法。
  35. 【請求項35】前記降下反復法により一次方程式の系を解くステップが、ニュ
    ートン法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項20に記載の適応フ
    ィルタリングの方法。
  36. 【請求項36】前記降下反復法により一次方程式の系を解くステップが、PA
    RTAN法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項20に記載の適応
    フィルタリングの方法。
  37. 【請求項37】前記降下反復法により一次方程式の系を解くステップが、準ニ
    ュートン法を使用して一次方程式の系を解くことを含む請求項20に記載の適応
    フィルタリングの方法。
  38. 【請求項38】前記ステップが、実数値の演算により実行される請求項20に
    記載の適応フィルタリングの方法。
  39. 【請求項39】前記ステップが、複素数値の演算により実行される請求項20
    に記載の適応フィルタリングの方法。
  40. 【請求項40】エコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャネル等化およびシ
    ステム同定から成るグループから選択された用途において使用される請求項20
    に記載の適応フィルタリングの方法。
  41. 【請求項41】適応フィルタ係数によって特徴づけられたフィルタと、 正規化ステップサイズを設定するための手段を含むフィルタ係数を更新する手
    段とを備えた適応フィルタであって、該更新手段は、 参照入力信号から自己相関行列の係数を求める相関器と、 その係数が前記自己相関行列の係数である一次方程式の少なくとも1つの系を
    解く計算器とを有し、 前記一次方程式の系は、動作安定性を本質的に有する降下反復法を使用して解
    かれ、該解かれた結果が、前記フィルタ係数を更新するのに使用され、該解かれ
    る一次方程式の系の数が、前記正規化ステップサイズに依存する適応フィルタ。
  42. 【請求項42】前記相関器が、再帰的相関器である請求項41に記載の適応フ
    ィルタ。
  43. 【請求項43】前記正規化ステップサイズが1に等しくない請求項41に記載
    の適応フィルタ。
  44. 【請求項44】前記正規化ステップサイズが、実質的に1よりも小さい請求項
    41に記載の適応フィルタ。
  45. 【請求項45】前記正規化ステップサイズが、約0.7よりも小さい請求項4
    1に記載の適応フィルタ。
  46. 【請求項46】前記計算器が、Nを射影次数として、一次方程式のN個の系を
    解く手段を有する請求項43に記載の適応フィルタ。
  47. 【請求項47】前記正規化ステップサイズが1に近い請求項41に記載の適応
    フィルタ。
  48. 【請求項48】前記正規化ステップサイズが1に等しい請求項41に記載の適
    応フィルタ。
  49. 【請求項49】前記正規化ステップサイズが約0.9から1.0の範囲内にあ
    る請求項41に記載の適応フィルタ。
  50. 【請求項50】前記正規化ステップサイズが約0.7から1.0の範囲内にあ
    る請求項41に記載の適応フィルタ。
  51. 【請求項51】前記計算器が、一次方程式の1つの系の解を提供する請求項4
    7に記載の適応フィルタ。
  52. 【請求項52】前記計算器が、最急降下法により一次方程式の系の解を提供す
    る計算器である請求項41に記載の適応フィルタ。
  53. 【請求項53】前記計算器が、共役勾配法により一次方程式の系の解を提供す
    る計算器である請求項41に記載の適応フィルタ。
  54. 【請求項54】前記計算器が、ニュートン法により一次方程式の系の解を提供
    する計算器である請求項41に記載の適応フィルタ。
  55. 【請求項55】前記計算器が、PARTAN法により一次方程式の系の解を提
    供する計算器である請求項41に記載の適応フィルタ。
  56. 【請求項56】前記計算器が、準ニュートン法により一次方程式の系の解を提
    供する計算器である請求項41に記載の適応フィルタ。
  57. 【請求項57】実数値の演算を実行することができる請求項41に記載の適応
    フィルタ。
  58. 【請求項58】複素数値の演算を実行することができる請求項41に記載の適
    応フィルタ。
  59. 【請求項59】エコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャネル等化およびシ
    ステム同定から成るグループから選択された用途において使用される請求項41
    に記載の適応フィルタ。
  60. 【請求項60】前記計算器が、射影係数を求める手段を有し、該射影係数が、
    逆自己相関行列の係数である請求項41に記載の適応フィルタ。
  61. 【請求項61】前記相関器が再帰的相関器である請求項60に記載の適応フィ
    ルタ。
  62. 【請求項62】前記正規化ステップサイズが1に等しくない請求項60に記載
    の適応フィルタ。
  63. 【請求項63】前記正規化ステップサイズが実質的に1よりも小さい請求項6
    0に記載の適応フィルタ。
  64. 【請求項64】前記正規化ステップサイズが約0.7よりも小さい請求項60
    に記載の適応フィルタ。
  65. 【請求項65】前記計算器が、Nを射影次数として、一次方程式のN個の系を
    解くことができる請求項62に記載の適応フィルタ。
  66. 【請求項66】前記計算器が、デクリメントする次数を持つ一次方程式のN個
    の系を解くことができる請求項65に記載の適応フィルタ。
  67. 【請求項67】前記正規化ステップサイズが1に近い請求項60に記載の適応
    フィルタ。
  68. 【請求項68】前記正規化ステップサイズが、1に等しい請求項60に記載の
    適応フィルタ。
  69. 【請求項69】前記正規化ステップサイズが、約0.9から1.0の範囲内に
    ある請求項60に記載の適応フィルタ。
  70. 【請求項70】前記正規化ステップサイズが、約0.7から1.0の範囲内に
    ある請求項60に記載の適応フィルタ。
  71. 【請求項71】前記計算器が、一次方程式の1つの系を解くのに適切である請
    求項67に記載の適応フィルタ。
  72. 【請求項72】前記射影係数を求める手段が、逆自己相関行列係数の第1列の
    みの係数の計算を提供する請求項71に記載の適応フィルタ。
  73. 【請求項73】前記計算器が、最急降下法により一次方程式の系の解を提供す
    る計算器である請求項60に記載の適応フィルタ。
  74. 【請求項74】前記計算器が、共役勾配法により一次方程式の系の解を提供す
    る計算器である請求項60に記載の適応フィルタ。
  75. 【請求項75】前記計算器が、ニュートン法により一次方程式の系の解を提供
    する計算器である請求項60に記載の適応フィルタ。
  76. 【請求項76】前記計算器が、PARTAN法により一次方程式の系の解を提
    供する計算器である請求項60に記載の適応フィルタ。
  77. 【請求項77】前記計算器が、準ニュートン法により一次方程式の系の解を提
    供する計算器である請求項60に記載の適応フィルタ。
  78. 【請求項78】実数値の演算を実行することができる請求項60に記載の適応
    フィルタ。
  79. 【請求項79】複素数値の演算を実行することができる請求項60に記載の適
    応フィルタ。
  80. 【請求項80】エコーキャンセル、ノイズキャンセル、チャネル等化、および
    システム同定から成るグループから選択された用途において使用される請求項6
    0に記載の適応フィルタ。
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