JP2002531322A - 車両に設けられた拘束手段のための点火装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 静電気の帯電時に点火エレメントの不本意な起動を生ぜしめない点火装置が、モジュールハウジングを有しており、このモジュールハウジング内に点火エレメント（５）と回路手段（４）とが配置されている。モジュールハウジングは複数の接続ピン（２）を有しており、これらの接続ピン（２）は一方では回路手段（４）と接触接続されていて、他方では接続コネクタとの接続のためにモジュールハウジングから導出されている。当該点火装置は、点火カプセル（５）と接触接続された少なくとも１つの導電体（１２）を有しており、この導電体（１２）は、個々の接続ピン（２）に対して、静電気の帯電時に該接続ピン（２）と前記導電体（１２）との間に電圧フラッシュオーバが生じるような、規定された間隔を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、車両に設けられた拘束手段のための点火装置であって、導電性のカ
プセルにより取り囲まれた少なくとも１つの点火エレメントと、有利にはエネル
ギ供給、点火エレメントの制御および／または点火エレメントの診断のための回
路手段（Ｓｃｈａｌｔｕｎｇｓｍｉｔｔｅｌ）とが、１つの共通のモジュールハ
ウジング内に収納されており、該モジュールハウジングが複数の接続ピンを備え
ており、該接続ピンが一方では前記回路手段と接触接続されていて、他方では接
続コネクタとの接続のために前記モジュールハウジングから導出されている形式
のものに関する。

【０００２】 このような形式の点火装置は、ドイツ連邦共和国特許第１９６１０７９９号明
細書に基づき公知である。この公知の点火装置は、これまで使用されていた点火
装置に比べてできるだけ小さな外側寸法を有し、これによりたとえば車両のステ
アリングホイール内にも収納され得るように構想されている。すなわち、従来で
は点火エレメントと、エネルギ供給、点火エレメントの制御および／または点火
エレメントの診断のための複数の回路を内蔵している点火最終段とが、差込み結
合器を介して互いに接触接続可能となる別個のモジュール内に収納されていた。
ドイツ連邦共和国特許第１９６１０７９９号明細書の構成では、１つのモジュー
ルハウジング内に、点火混合物の点火のための熱エネルギを発生させる点火エレ
メントと共に、回路素子、たとえばエネルギ供給、点火エレメントの制御および
／または点火エレメントの診断のための回路素子も配置されている。点火エレメ
ントの下方では、モジュールハウジング内に直方体形の物体が設けられていて、
この直方体形の物体内に点火エレメントのためのコンタクトピンが組み込まれて
おり、そして直方体形の物体の側壁に回路素子が被着されている。この直方体形
の物体は点火エレメントのためのコンタクトピンを固定するために働くと同時に
、接続コネクタとの接触接続のためにモジュールハウジングから導出されている
接続ピンを固定するためにも働く。

【０００３】 自動車への組込みの前または自動車への組込みの間に行われる点火装置のハン
ドリング時では、モジュールハウジング内部に静電気の帯電が生じる恐れがある
。この場合、点火エレメントを起動するために十分となる放電開始電圧もしくは
絶縁破壊電圧（Ｄｕｒｃｈｓｃｈｌａｇｓｐａｎｎｕｎｇ）が生じ得る。また、
点火装置が既に車両に組み込まれている状態でも、やはり点火装置における静電
気の帯電が可能となる。したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の点火
装置を改良して、静電気の帯電に基づく点火エレメントの不本意な起動を阻止す
るような点火装置を提供することである。

【０００４】 発明の利点 上に挙げた課題は、請求項１の特徴部に記載の特徴、すなわちモジュールハウ
ジング内に、点火カプセルと接触接続された少なくとも１つの導電体が設けられ
ており、しかも該導電体は、個々の接続ピンに対して、静電気の帯電時に該接続
ピンと前記導電体との間に電圧フラッシュオーバが生じるような、規定された間
隔を有していることにより解決される。接続ピンは導電体と共に、規定された間
隔を介して火花ギャップを形成しており、電荷量がある一定の値を超過すると、
この火花ギャップを介して放電が生じる。したがって、電荷量が直接に点火エレ
メントにまで流れて、不本意な起動を生ぜしめることが阻止される。

【０００５】 本発明の有利な改良形は請求項２以下に記載されている。

【０００６】 本発明の有利な構成では、導電体が、接続ピンを固定するベースに装着されて
いる。導電体と点火カプセルとの接触接続は、導電体が点火カプセルを収容する
ための切欠きを有することにより行われるか、または点火カプセルがスリーブを
備えていて、このスリーブが導電体に被せ嵌め可能であることにより行われ得る
。この場合、導電体は基板に載置された金属リングであってよく、この金属リン
グは折り曲げられたつばを備えており、このつばに点火カプセルのスリーブが被
せ嵌め可能となる。

【０００７】 回路手段は基板に配置されていてよく、この場合、この基板に載置されたばね
エレメントは、基板に設けられた回路手段と、点火エレメントのコンタクトピン
トの間の電気的な接続を形成する。

【０００８】 実施例の説明 図１に縦断面図で示した点火装置は以下のように構成されている： 下側の部分にベース１が設けられており、このベース１には複数の接続ピン２
が固定されている。ベース１はプラスチックから成っているか、または金属から
成っている。金属製のベース１では、たとえばガラス溶融体によって接続ピン２
が絶縁されて固定されていなければならない。接続ピン２は一方では点火装置の
モジュールハウジングの内部に突入していて、他方ではたとえばバスコネクタへ
の接続のためにモジュールハウジングから突出している。点火装置には接続ピン
２を介して、たとえばバス線路に接続された中央の制御ユニットから起動信号ま
たは別のデータが伝送される。

【０００９】 ベース１は基板３のための保持装置として働く。この基板３の上面および／ま
たは下面には、複数の回路素子４が配置されている。これらの回路素子４は、た
とえばＳＭＤ構成部分またはフリップチップ技術におけるＡＳＩＣｓである。回
路素子４は、有利にはエネルギ供給回路またはモジュールハウジング内に設けら
れた点火エレメントの制御および／または診断のための回路である。図１では、
点火エレメントに関して、この点火エレメントを取り囲む点火カプセル５と、こ
の点火カプセル５から導出されたコンタクトピン６，７とが見えている。点火エ
レメント自体は、公知先行技術（たとえばドイツ連邦共和国特許第１９６１０７
９９号明細書）に基づき形成されていてよいので、点火エレメント自体について
の詳しい説明は省略する。最も簡単な場合では、点火エレメントが抵抗線材であ
る。その場合、この抵抗線材には、コンタクトピン６，７を介して電流が供給可
能となる。点火カプセル５の内部には、点火装薬が存在しており、この点火装薬
は通電時にコンタクトピン６，７を介して点火される。図示の実施例では、点火
カプセル５の上方に、別のカプセル封入された点火装薬８が配置されている。こ
の別の点火装薬８は、点火装置をたとえばベルトテンショナに使用したい場合に
必要となる。しかし、通常では、点火カプセル５内に存在する点火装薬だけでも
十分となる。

【００１０】 点火エレメントもしくは点火カプセル５のコンタクトピン６，７と、基板３に
設けられた回路素子４との間の電気的な接続は、ばねエレメント９を介して行わ
れる。このばねエレメント９は基板３に載置されていて、基板３に設けられた複
数の導体路と接触接続されている。ばねエレメント９は弾性的なコンタクト舌片
１０，１１を有しており、これらのコンタクト舌片１０，１１が点火カプセル５
のコンタクトピン６，７に接触している。図１ａに示した、図１のＡ−Ａ線に沿
った横断面図から、ばねエレメント９の構成が明らかである。ばねエレメント９
は絶縁性のプラスチックフレームを有しており、このプラスチックフレームは、
基板３を貫通しかつ基板３に設けられた導体路に接触接続された接続ピン２をク
リップ状に取り囲んで把持しており、これによってプラスチックフレームは固定
の位置に保持される。ばねエレメント９のプラスチックフレームには、コンタク
ト舌片１０，１１が懸吊されており、この場合、これらのコンタクト舌片１０，
１１は接続ピン２に対して、点火装置の静電気の帯電時に接続ピン２とコンタク
ト舌片１０，１１との間に電圧フラッシュオーバが発生し得ないような大きさの
間隔を有している。

【００１１】 図１から判るように、ベース１の縁部には、モジュールハウジングの内部で導
電体１２が載置されている。この導電体１２は点火カプセル５のためのホルダと
して働く。導電体１２は点火カプセル５と導電的に接触接続されていて、開口１
３を有している。この開口１３を貫いて、点火エレメントもしくは点火カプセル
５のコンタクトピン６，７がばねエレメント９のコンタクト舌片１０，１１にま
で延びている。図１ｂには、図１のＢ−Ｂ線に沿った横断面図が示されている。
図１ｂでは、開口１３を通じてばねエレメント９が見えている。図１ｂから判る
ように、開口１３の周囲には、導電体１２の縁部１４が延びており、この縁部１
４に点火カプセル５が載置されている。ろう接、溶接、接着または圧入により、
点火カプセル５を導電体１２内に固定することができる。

【００１２】 図１から判るように、点火カプセル５と導電体１２とベース１とは、これらの
構成部分を取り囲むように射出成形されたプラスチック射出成形体１５によって
取り囲まれている。さらに、ベース１の下方にはコネクタブシュ１６が設けられ
ている。このコネクタブシュ１６とプラスチック射出成形体１５と別の点火装薬
８とは、外周壁１７（たとえばアルミニウムから成る）によって取り囲まれてい
るので、全体的には閉じられた１つのモジュールハウジングが形成される。

【００１３】 車両内への点火装置の組付け時では、点火装置の静電気の帯電が生じる恐れが
ある。そして、このような静電気の帯電に基づき、場合によってはコンタクトピ
ン６，７を介して極めて高い電流が点火エレメントを通って流れ、この場合、望
ましくない点火が発生してしまう。このような不本意な点火を回避するためには
、点火装置に、コンタクトピン６，７を介して静電気的な電荷が点火エレメント
を通って流れて、かつ点火エレメントを場合によっては起動してしまうことを阻
止する手段が設けられている。この手段は導電体１２から成っている。すなわち
この場合、静電気的な電荷は外部から接続ピン２を介して点火装置内部へ流入す
る恐れがあるので、この接続ピン２が導電体１２に対して規定の間隔ａ（図１、
図１ｂ参照）を有している。導電体１２の開口１３に突入していてかつ導電体１
２に対して間隔ａを維持している接続ピン２は、導電体１２と共に所定の火花ギ
ャップを形成しており、この火花ギャップを介して、電圧フラッシュオーバによ
って静電気的な電荷が減少し得るので、この場合に点火エレメント５に電流が流
れることはない。接続ピン２と導電体１２との間の間隔ａはまさに、不本意な点
火を招く恐れのある電圧においてフラッシュオーバが発生するように設定されて
いる。すなわち、前記導電体１２は点火エレメント５のための保持装置の機能を
有しているだけでなく、点火エレメント５を不本意な点火に対して保護するため
に除電器としても働くわけである。

【００１４】 図２には、点火装置の第２実施例が示されている。この点火装置はやはりベー
ス２０を有しており、このベース２０内には、複数の接続ピン２１が固定されて
いる。ベース２０はこの場合、金属製のベースであり、この金属製のベース内で
接続ピン２１はガラス溶融体２２によって孔内に絶縁固定されている。ベース２
０には、金属リング２３が載置されており、この金属リング２３はベース２０の
縁部を介して下方へ向かって折り曲げられたつば２４を有している。金属製のベ
ース２０と、ろう接または接着により接続ピン２１に結合されて固定された基板
２６との間には、絶縁体２５が嵌め込まれている。基板２６の上面および下面は
、それぞれ複数の回路素子２７を備えている。基板２６に装着されたばねエレメ
ント２８は、一方では基板２６に設けられた導体路と接触接続されていて、他方
ではコンタクト舌片２９，３０を有している。これらのコンタクト舌片２９，３
０は基板２６に設けられた回路素子２７と、点火エレメントのコンタクトピン３
１，３２との間の電気的な接続を形成する。点火エレメントは、既に図１につき
説明したように、点火カプセル３３内に点火装薬と共に収納されている。点火カ
プセル３３は、コンタクトピン３１，３２を超えて突出したスリーブ３４を備え
ており、このスリーブ３４は金属リング２３の、折り曲げられたつば２４に被せ
嵌めることができる。点火カプセル３３のスリーブ３４はろう接、溶接または接
着によって金属リング２３のつば２４に固定される。点火カプセル３３のスリー
ブ３４によって、回路素子２７を収容するための所要スペースが形成され、それ
と同時に点火カプセル３３は点火装置全体の外周壁をも形成する。

【００１５】 金属リング２３はこの場合、既に図１の第１実施例において説明した導電体１
２と同様に、点火カプセル３３のための保持装置として働くと同時に、静電気的
な電荷を導出するため、つまり除電のためにも働く。接続ピン２１は金属リング
２３の傍らを間隔ａを置いて案内されているので、接続ピン２１と金属リング２
３との間には火花ギャップが形成される。

【００１６】 図３に示した点火装置の第３実施例は、図２に示した第２実施例に比べて、次
の点でのみ異なっている。すなわち、第３実施例ではベース２０が、絶縁性のプ
ラスチックから成っており、それゆえにベース２０と基板２６との間の絶縁手段
を不要にすることができる。さらに、金属リング２３は上方へ向かって折り曲げ
られたつば３５を有しており、このつば３５に点火エレメント３３のスリーブ３
４が被せ嵌められている。その他の点で、この金属リング２３は図２の第２実施
例において既に説明したものと同じ機能、つまり火花ギャップとしての機能を有
している。点火カプセル３３のスリーブ３４は、このスリーブとベース２０とを
取り囲むように射出成形されたプラスチック射出成形体３６によって取り囲まれ
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例による点火装置の縦断面図である。

【図１ａ】 図１のＡ−Ａ線に沿った点火装置の横断面図である。

【図１ｂ】 図１のＢ−Ｂ線に沿った点火装置の横断面図である。

【図２】 第２実施例による点火装置の縦断面図である。

【図３】 第３実施例による点火装置の縦断面図である。

【符号の説明】

１ ベース、 ２ 接続ピン、 ３ 基板、 ４ 回路素子、 ５ 点火カプ
セル、 ６，７ コンタクトピン、 ８ 点火装薬、 ９ ばねエレメント、
１０，１１ コンタクト舌片、 １２ 導電体、 １３ 開口、 １４ 縁部、
１５ プラスチック射出成形体、 １６ コネクタブシュ、 １７ 外周壁、
２０ ベース、 ２１ 接続ピン、 ２２ ガラス溶融体、 ２３ 金属リン
グ、 ２４ つば、 ２５ 絶縁体、 ２６ 基板、 ２７ 回路素子、 ２８
ばねエレメント、 ２９，３０ コンタクト舌片、 ３１，３２ コンタクト
ピン、 ３３ 点火カプセル、 ３４ スリーブ、 ３５ つば、 ３６ プラ
スチック射出成形体

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１２年１０月７日（２０００．１０．７）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラルフ ハウザー ドイツ連邦共和国 ディッツィンゲン レ ンツハルデ 12 (72)発明者 マーティン ツィヴィーツ ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスブルク アステルンヴェーク 11 Ｆターム(参考） 3D054 DD28 FF16

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両に設けられた拘束手段のための点火装置であって、導電
   性のカプセルにより取り囲まれた少なくとも１つの点火エレメント（５，３３）
   と、有利にはエネルギ供給、点火エレメントの制御および／または点火エレメン
   トの診断のための回路手段（４，２７）とが、１つの共通のモジュールハウジン
   グ内に収納されており、該モジュールハウジングが複数の接続ピン（２，２１）
   を備えており、該接続ピン（２，２１）が一方では前記回路手段（４，２７）と
   接触接続されていて、他方では接続コネクタとの接続のために前記モジュールハ
   ウジングから導出されている形式のものにおいて、点火カプセル（５，３３）と
   接触接続された少なくとも１つの導電体（１２，２３）が設けられており、しか
   も該導電体（１２，２３）は、個々の接続ピン（２，２１）に対して、静電気の
   帯電時に該接続ピン（２，２１）と前記導電体（１２，２３）との間に電圧フラ
   ッシュオーバが生じるような、規定された間隔（ａ）を有していることを特徴と
   する、車両に設けられた拘束手段のための点火装置。
2. 【請求項２】 前記導電体（１２）が、接続ピン（２，２１）を固定するベ
   ース（１，２０）に装着されており、前記導電体（１２）が、点火カプセル（５
   ）を収容するための切欠き（１３，１４）を有している、請求項１記載の点火装
   置。
3. 【請求項３】 前記導電体（２３）が、接続ピン（２１）を固定するベース
   （２０）に装着されており、点火カプセル（３３）がスリーブ（３４）を備えて
   おり、該スリーブ（３４）が前記導電体（２３）に被せ嵌め可能である、請求項
   １記載の点火装置。
4. 【請求項４】 前記導電体が、前記ベース（２０）に載置された金属リング
   （２３）として形成されており、該金属リング（２３）が、折り曲げられたつば
   （２４，３５）を備えており、該つば（２４，３５）に点火カプセル（３３）の
   スリーブ（３４）が被せ嵌め可能である、請求項３記載の点火装置。
5. 【請求項５】 前記回路手段（４，２７）が１つの基板（３，２６）に配置
   されており、該基板（３，２６）に載置されたばねエレメント（９，２８）が、
   前記基板（３，２６）に設けられた回路手段（４，２７）と、点火エレメントに
   設けられたコンタクトピン（６，７，３１，３２）との間の電気的な接続を形成
   している、請求項１記載の点火装置。