JP2002529199A - 陰核治療装置および方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明の実施例による治療装置および方法は、女性の性的機能障害の治療における支援を行うために、陰核の充血を助長しあるいはそれを起こさせる。心収縮期血圧よりも低い負圧を陰核に生成するために、真空が陰核上にを生成され、または吸引が陰核に加えられる。このことは、陰核の充血を促進するように働く。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 １．発明の属する技術分野 この発明は女性の性的機能障害を治療する装置と方法に関する。特に性器の領
域、殊に女性患者の陰核への血流を促進する装置および方法に関する。

【０００２】 ２．関連する先行技術 人の女性の陰核は円筒状の勃起性の器官から成り、最も外側にある陰核亀頭ま
たは頭部と、中間体または本体と、最も内側にある脚部の三つの部分から構成さ
れている。陰核の陰核亀頭は小陰唇から現出する際に視認されるもので、分岐し
て上部前包皮と下部後小帯を形成する。陰核本体は二対の長さが約２ｃｍの海綿
状体から成り、海綿状体の皮下で脚部に伸びている。陰核の脚部は会陰部におけ
る海綿状体の最も手前の部分から分離して形成され、座骨恥骨分枝の恥骨結合部
下表面の両側に結合している。

【０００３】 血管の平滑筋束で囲まれた裂孔内空間の洞様構造とコラーゲン結合組織から成
る本体は、繊維質白膜のシース内にある。人体においては牛や羊等の他の動物と
は違って陰核筋肉の牽引子は存在しないが、支持する懸垂型靭帯が陰核を入口の
領域で保持している。

【０００４】 陰核への主な動脈血の供給は腸骨−下腹部−外陰部の動脈床からである。外陰
部内動脈は内部腸骨動脈の最終分岐である。遠隔では、内部外陰動脈はアルコッ
ク道（Ａｌｃｋｏｃｋ´ｓ ｃａｎａｌ）を横断し、最終的には下肛門および陰
唇に血液供給する組織動脈に動脈血を供給し、この動脈は背面陰核動脈と海綿状
陰核動脈とに分岐する。

【０００５】 正常の女性では、陰核の自律的な遠心性神経系統は骨盤と下腹部の神経から陰
核に通っている。骨盤神経の刺激は陰核の平滑筋を弛緩させ、動脈平滑筋の拡張
をもたらす。これにより、陰核海綿状動脈への血液流入を増大させて陰核の海綿
状部の内部圧力が増大し、陰核亀頭が腫脹状態となって押出される。

【０００６】 陰核の勃起不充分或いは動脈血流低下は種々の要因のなかで、アテローム性動
脈硬化症、糖尿病または老齢化等によって生じるものと考えられる。陰核の動脈
血流低下は海綿状体の繊維症および生理機能低下を招くこともある。動物を対象
にした場合、Ｐａｒｋ等は陰核への動脈血流入が乏しくなると著しいコラーゲン
の蓄積が起こると説明している。Ｐａｒｋ等のこの業績は、コラーゲンの蓄積と
平滑筋の繊維症を防止するための陰核への動脈血流入を維持することの重要性を
論証するものである。（Ｐａｒｋ，Ｋ．，ｅｔ ａｌ．，Ｖａｓｃｌｏｇｅｎｉ
ｃ Ｆｅｍａｌｅ Ｓｅｘｕａｌ Ｄｙｓｆｕｃｎｔｉｏｎ：Ｔｈｅ Ｈｅｍｏ
ｄｙｎａｍｉｃ Ｂａｓｉｓ ｆｏｒ Ｖａｇｉｎａｌ Ｅｎｇｏｒｇｅｍｅｎ
ｔ Ｉｎｓｕｆｆｉｃｉｅｎｃｙ ａｎｄ Ｃｌｉｔｏｒｉａｌ Ｅｒｅｃｔｉ
ｌｅ Ｉｎｓｕｆｆｉｃｉｅｎｃｙ， ＩＪＩＲ，９：２７−３７，１９９７参
照）。

【０００７】 陰核腫脹達成の困難或いは不能は女性の性的感性不全に関する他の徴候に関係
或いは付随するものと信じられている。女性の性的障害に関する国際合意報告書
（Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｏｎｓｅｎｓｕｓ Ｒｅｐｏｒｔ ｏｎ Ｆ
ｅｍａｌｅ Ｓｅｘｕａｌ Ｄｙｓｆｕｃｔｉｏｎ）によれば、女性の性的感性
不全（Ｆｅｍａｌｅ Ｓｅｘｕａｌ Ａｒｏｕｓａｌ Ｄｉｓｏｒｄｅｒ−ＦＳ
ＡＤ）は、「個人的な苦悩に至る、継続的または再現性のある適切な生殖器の滑
らかさ或いは膨脹応答性の不能」と定義している。ＦＳＤＡは「主体的興奮の欠
如または生殖器の（潤滑／膨脹）或いはその他の身体的応答の欠如」と表現して
もよい（ＡＦＵＤ Ｃｏｎｓｅｎｓｕｓ Ｒｅｐｏｒｔ ｏｎ ＦＳＤ，１９９
８）。

【０００８】 Ｔｕｃｋｅｒの米国特許第５，６９３，００２号およびＴａｙｌｏｒの米国特
許第５，７２５，４７３号はいずれも女性の陰核に吸引を適用する装置を開示し
ている。しかしながら、これらの装置は概して初歩的で粗末なもので、例えば臨
床的に使用するには不適当である。開示された装置は真空レベルの調整が行われ
ず、血流値または他のデータによって計測される性的興奮の程度に真空レベルを
較正することもなく、一旦真空を適用すると簡便かつ容易に真空を停止する機構
や、真空圧力を変調して動脈血流を置換（リフレッシュ）する機構およびいかな
る種類のデータ収集機構も存在しないものである。

【０００９】 男性の陰茎に吸引を適用する他の装置も知られている。ＴＯＵＣＨ ＩＩ 真
空勃起システム（Ｍｅｎｔｏｕ Ｕｒｏｌｏｇｙ）として知られているシステム
は、陰茎を覆う円筒に真空を発生させる。陰茎を円筒に挿入した後、ポンプ動作
ボタンを３秒間押して陰茎への血流を支援しその便を図る。活性化された血流を
約１０秒間継続した後、ポンプを約１〜２秒間再び動作させる。完全勃起状態が
達成されるまでこれを繰り返す。陰茎の根元に制止リングを装着して静脈血流を
阻止し、血液を陰茎に捕捉して性交のために勃起を維持させる。その他の代表的
な勃起支援用真空装置類は米国特許第５，４６２，５１４号、および第５，２４
３，９６８号に開示されているが、これら男性用装置類は、それらの大きさ、形
状、吸引レベル、および／または他の要因から女性の構造には概して不適当であ
る。他の代表的な不適当な装置類は、例えば米国特許第４，１１１，１９２号お
よび第５，３３６，１５８号に示されている。

【００１０】 陰核の感覚神経末端に刺激を与えて血流と充血を生じさせる非薬学的な手法は
、ＦＳＡＤを訴えている多くのグループの女性にとって極めて有益である。

【００１１】 発明の概要 発明の態様に準拠する治療装置ならびに方法は、陰核の充血を幇助あるいは充
血せしめて女性の性的な機能障害の治療における支援を行うものである。陰核上
における真空状態の形成、即ち陰核を吸引して心収縮期血圧よりも低い負圧を陰
核に発生させる。このようにすることにより、陰核の充血が促進される。

【００１２】 さらに具体的には、この発明の一つの観点による陰核治療装置は、女性患者の
陰核領域に取付けられるよう構成された吸引容器（アプリケータ）と、吸引アプ
リケータと流体が連通して吸引圧をアプリケータ内部に発生させる吸引源および
、少なくとも吸引源に接続され吸引圧力に関する電気信号を処理する信号処理装
置を含んでいる。信号処理装置はアプリケータ内部に引込まれれる吸引圧力を調
整する構成であって、患者の性的興奮度合いに関連する変数と吸引圧力とを比較
するマイクロプロセッサを含むことができる。

【００１３】 電気信号にはデータ信号が含まれ、信号処理装置は離れた場所にデータ信号を
送信・記憶（ダウンロード）させることができる。信号処理装置はｏｎ／ｏｆｆ
スイッチを備えていてもよい。表示装置は吸引アプリケータに接続して作動する
もので、アプリケータ内部の吸引圧力に関する変数を表示する。吸引アプリケー
タ内部の圧力は少なくとも１個のセンサーにより検知される。

【００１４】 発明の他の態様によれば、女性患者の陰核領域に吸引力を作用させるシステム
は女性患者の陰核領域への装着手段と、これに接続されて作動し装着手段に吸引
力を発生させる手段と、吸引力発生手段に電気的にエネルギーを供給する手段と
を備えることができる。システムは、また装着手段の少なくとも一つならびに吸
引力発生手段に接続され作動する吸引力に関するデータを発生する手段を備える
ことができる。

【００１５】 データ発生手段は少なくとも一つのセンサーを具え、吸引力発生手段を制御す
る手段と、関連する吸引力を所望の変数に対応して制御する手段を備えることが
できる。この「所望の変数」は血流値であってもよく、また患者の性的興奮度に
関するものであっても良い。システムには、システムの動作に関するデータを蓄
えるメモリを含むことができる。

【００１６】 発明の他の態様によれば、女性患者の陰核の充血を助長する方法は患者の陰核
あるいは陰核領域に吸引力を加え、患者の心収縮期血圧以下のレベルまで陰核内
圧力を低下させて充血を助長し、吸引力および患者の血流値からなるグループか
ら選ばれた少なくとも一つの変数を定量する。この値を表示装置に表示すること
ができ、また吸引力を用いる装置に電気エネルギーを供給することができる。さ
らに患者の変数に対して吸引力を自動的に相関させ、吸引力を加えて患者の陰核
上に真空状態を形成することもできる。

【００１７】 発明の別の態様によれば、陰核治療装置はハウジングと、これに流体が連通す
る患者の陰核上に載置する開口を有する真空カップと、真空カップに通じて陰核
に血液を吸引するために真空カップ内の吸引圧力を高める空気流供給装置と、真
空カップと接続されて作動し、真空カップ内の吸引圧力を変化させて陰核内部の
動脈血液の循環を促進する調節器とをそなえている。空気流供給装置はモータを
具備することができる。

【００１８】 真空カップの開口を第一の開口とすると、調節器には第二の開口が設けられて
真空カップと接続されて作動するようにすることができる。第二の開口を真空カ
ップの側壁に設けて指で開閉するようにしてもよい。この態様においては、接続
部材が真空カップをハウジングに接続し第二開口は接続部材に設けられている。
接続部材は一般には筒状である。第二開口はハウジングの壁に設けることもでき
る。モータのハウジングを陰茎形状にすることができ、少なくとも吸引源の一部
はハウジング内に設置する。

【００１９】 発明の別の態様によると、ハウジングが真空カップと結合され、男性の陰茎の
少なくとも一部の形状をなし、真空カップはハウジングと流体が連通し、その開
口は女性患者の陰核上に載置される構造とする。空気流供給装置は真空カップと
流体が連通し、空気流供給装置は真空カップ内の吸引圧力を増大させて女性の陰
核に血液を誘引する。

【００２０】 発明の別の態様によると、モータのカバーは男性陰茎の少なくとも一部の形状
をなし、モータはその中に位置する。モーターカバーには電池収納用の仕切り部
分（コンパートメント）が設けられ、少なくとも１個の電池が収容されている。
真空カップとモーター部とは流体が連通し、モータ部は真空カップを真空に引く
ための真空ポンプを備え、カップには女性の陰核を覆う開口が設けられている。

【００２１】 発明の別の態様によれば、女性患者の陰核領域に吸引操作を適用する一つの方
法は、女性患者の陰核領域に密着する構造の吸引アプリケータを用意し、吸引源
と吸引アプリケータの間を流体により連通させて吸引アプリケータ内に吸引圧力
を生じさせ、女性患者の陰核領域に吸引アプリケータを密着・載置し、吸引源を
動作させて吸引圧力を発生させる。

【００２２】 装置は更に、吸引アプリケータまたは吸引源に接続された、吸引アプリケータ
の近傍の患者の皮膚に局所的な医薬投与を行う手段を備えることもできる。この
手段は吸引アプリケータの収容箇所あるいはアプリケータから離れた位置にあっ
ても良い。

【００２３】 この発明の態様における吸引アプリケータは、患者の皮膚に接触するように構
成された柔らかい部分と柔らかい部分を支持する硬質部分から成る。患者の皮膚
に接する柔らかい部分は凹部とこれに隣接する凸部とを備えていているものでも
よい。吸引アプリケータは女性患者の膣唇を完全に覆うように構成することも可
能である。

【００２４】 発明の一つの態様においては、吸引圧力を変化させる装置は真空カップに連結
作動し、調整器よりもゆっくりとした割合で吸引圧力を調整するもので、ハウジ
ングに付随して回転輪を備えることができる。

【００２５】 発明の他の態様は、この出願に後述する部分から明らかになるであろう。

【００２６】 発明の詳細な説明 陰核の刺激と腫脹は女性の性的興奮に関する重要な観点であることが認められ
ている。腫脹または充血は陰核が血液で満たされた時に起こる。性的興奮の間に
は陰核内部の平滑筋は緩み、動脈壁が膨脹し、これにより血流が増大し腫脹と陰
核亀頭の突出に至る。

【００２７】 膣および陰核の動脈の緊括を生じる身体状況の中には女性の陰核腫脹を妨害ま
たは阻止するものがあるかも知れない。この陰核腫脹到達困難または不能は、欲
望の欠如や高潮の達成困難、膣潤滑不全および性交における痛みなどのような女
性の性的機能障害の一つの徴候であるのかも知れない（この出願の引用文献Ｇｏ
ｌｄｓｔｅｉｎ，Ｉ．ａｎｄ Ｂｅｒｍａｎ，Ｊ．，Ｖａｓｃｕｌｏｇｅｎｉｃ Ｆｅｍａｌｅ Ｓｅｘｔｕａｌ Ｄｙｓｆｕｎｃｔｉｏｎ： Ｖａｇｉｎａｌ Ｅｎｇｏｒｇｅｍｅｎｔ ａｎｄ Ｃｌｉｔｏｒａｌ Ｅｒｅｃｔｉｌｅ Ｉ
ｎｓｕｆｆｉｃｉｅｎｃｙ Ｓｙｎｄｒｏｍｅ． Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｉｍｐｏｔｅｎｃｅ Ｒｅｓｅａｒｃｈ， １０ Ｓ
ｕｐｐｌｅｍｅｎｔ ２， Ｓ８４−Ｓ９０，１９９８参照）。

【００２８】 この発明の態様は陰核の血流を増大させて女性の陰核充血状態達成を支援する
ように設計され、女性の性的な障害の治療と診断に適用される。これらの態様に
おいては、陰核の周辺に一種の真空状態を形成することにより血流を増大させる
。装置は一例として電池で動作する真空ポンプと使い捨ての真空カップを含むこ
とができる。真空カップを陰核の上に載置しポンプを稼働して真空状態を形成し
、陰核内に血液を流入させて充血状態を生じさせる。真空カップは真空ポンプに
取り付けられ、真空ポンプ或いはハウジングに設けられたボタンまたはスイッチ
を用いて稼働状態となる。例えば、真空ポンプ或いはハウジングの対向する側に
取付られた制御バルブは、用いられる真空量を制御する。真空カップは発明の一
つの態様によれば殺菌されずに供給されて、石鹸と水等で清浄にすることができ
る。

【００２９】 一つの態様によると装置は夫々の患者一人一人に使用され、医師の指示によっ
てのみ提供される。装置は非薬剤治療法ならびに平滑筋を治癒して正常な血流と
陰核の充血を回復する長期治療に用いられる可能性がある。発明のさらなる態様
はこの記述の残りの部分から明らかとなろう。

【００３０】 この発明による陰治療装置の一つの特定の態様は図１〜３に示されている。装
置１０はハウジング２０を含み、このハウジングはｏｎ／ｏｆｆスイッチ３０、
取付随意の真空開放部４０および可撓性を有する所定長の管またはその他の流体
輸送装置が取り外し可能に接続された真空接続装置５０を含んでいる。ハウジン
グ２０から遠い側の管５０の端部は真空または吸引アプリケータ６０そ支持して
いる。好適な一態様によれば、アプリケータ６０は使い捨ての真空または吸引カ
ップで陰核および／または陰核領域に適用する特別な形に形成されていることが
望ましい。真空カップ６０は開口６５において管５５と取り外し可能に取付けら
れ、例えば患者の間での部品互換性を図ることができる。発明の好ましい態様に
おいてアプリケータは図示のように楕円形で、柔らかで柔軟であることが好まし
い。図２はアプリケータ６０の平面図である。

【００３１】 図３は発明の一つの態様による装置１０の内部構成成分を示している。ｏｎ／
ｏｆｆスイッチ３０は機械的に、電気的に、またはその他の方法で対応する随意
の制御電子回路８０のｏｎ／ｏｆｆ動作部７０に接続されている。電子回路８０
は１個或いは複数の電気信号、例えばデータ信号を処理する信号処理装置から構
成され、図１の矢印９５および図３の矢印１００に示すような真空または吸引流
を形成する真空ポンプ／モータ装置９０に、動作可能に結合する。使用可能なポ
ンプ／モーター装置９０は、小型のダイアフラムポンプで、米国Ｃｏｌｏｒａｄ
ｏ州Ｃｏｌｏｒａｄｏ Ｓｐｒｉｎｇｓ のＶｉｒｔｕａｌ Ｉｎｄｕｓｔｒｉ
ｅｓ，Ｉｎｃ．から入手できる。真空開放装置４０は真空接続装置５０および／
またはハウジングの真空ポンプ／モーター装置９０と動作可能に結合され、望む
ように抜き口１１０から真空状態を開放する。

【００３２】 装置１０は好ましくは、例えば２個の１．５ボルトの電池１２０によって電気
的に運転される。しかし、交流駆動またはその他の電池構成も考えられる。更に
、一方向バルブを備えた搾り球を一例とする手動吸引または真空発生装置をポン
プ／モーター装置９０の代りに使用しても良い。

【００３３】 電子回路８０は好適には１個或いは複数の例えばマイクロプロセッサのような
処理装置１２５を含み、陰核または陰核領域に適用される真空または吸引圧力を
検知する検知装置１３０と動作可能に結合する。センサ１３０は、例えばポンプ
／モーター９０、真空カップ１３０、真空接続装置５０に、或るいはその他の位
置に設けられる。真空レベルに関するデータは連続的にまたは断続的に発生し、
監視されそして／または電子回路８０のメモリ１３５に記憶されて、後に或いは
実質的に同時に表示、ダウンロードおよび／または分析される。更に電子回路８
０は、ポンプ／モーター９０或いはその他の装置によって性的興奮状態（例えば
超音波或いはインピーダンス血量測定法を用いた骨盤、膣、陰核、陰唇および／
またはその他の血流測定装置或いは他の適当な装置によって監視される）まで流
れる真空または吸引の量を自動的に相関させる真空制御プロトコルを含むことが
できる。真空と興奮の程度の相関は、一例として特定の患者の生理学的特徴に準
拠して選択される。更に真空／吸引および／または興奮のデータは、比較標準ま
たは他の患者のデータと比較することができる。装置１０は、しばしば女性の性
的興奮障害の原因となる血流不全の診断に使用することができる。

【００３４】 別法として、電子回路８０は実質的に省略して、或いは実質上ｏｎ／ｏｆｆス
イッチ７０のみに変形してポンプ／モーター９０を動作させることができる。こ
の場合スイッチ７０は実質的に単独で、発生する吸引圧力に最終的に関連する電
気信号を処理する信号処理装置である。スイッチ７０はその開放状態において吸
引圧力を自動的に開放するように構成することができる。

【００３５】 使用に際しては、アプリケータ６０は女性の陰核または陰核領域に載置され、
ｏｎ／ｏｆｆスイッチ３０を作動させるとポンプ・モーター装置９０または他の
装置を介してアプリケータ６０内に真空または吸引が開始される。所望量のデー
タが読み取られ、および／または刺激が得れれると、ｏｎ／ｏｆｆスイッチ３０
が再び作動し真空開放装置４０が押し下げられ、適用されていた真空は大気また
は周囲圧力に開放される。他の態様では、ｏｎ／ｏｆｆスイッチの開放またはこ
れに引続く作動によって適用真空は開放される。

【００３６】 図４〜８は発明のさらなる特定の態様を例示する図である。陰核治療装置２０
０は、手で心地よく簡易に把握できるように一般に曲線状の外側ケーシング２１
０を有し、一つの態様によれば標準的な技法を用いて射出成型されたものであり
、例えば第６級の医用グレードのＡＢＳ樹脂からなるのが好ましい。一つの態様
によれば、ケーシング２１０はＭＡＧＵＮＵＭ ９５５５と呼ばれるＤｏｗ Ｃ
ｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙ のＡＢＳ樹脂で形成されている。患者の皮膚
に接して載置した際に不都合な皮膚反応を生じないことを保証するため、生体適
合材料が極めて好ましい。

【００３７】 一つの態様では、ケーシング２１０は長さが約４．２インチ、最大幅は２．４
インチである。もちろんその他の寸法も考えらる。

【００３８】 ケーシング２１０の外側は好ましくは溌水性または耐水性で、会社名や装置名
称またはロゴ（例えば貼付ラベルまたは除去可能な成型挿入片類を使用して）を
備えるのに適した領域を有し、美的で快い色彩（例えばパステルカラー）と感触
（例えば軽度の粗面）を有するものが好ましい。美的理由から設けられている窪
みは、これを親指で押さえてケーシング２１０をよりよく把持できるようにする
。ケーシング２１０は以降に記載する種々の内部部品を備えるために充分なサイ
ズになっている。

【００３９】 ケーシング２１０から吸引アプリケータ２２０が伸びている。図に例示された
態様において、アプリケータ２２０は真空カップ２４０に達する頚部２３０を含
んでいる。別の態様では、アプリケータ２２０はカップのみを含むことがてき、
頚部２３０は実質的に短縮されているか或いは全く存在しない。一つの態様にお
いてはアプリケータ２２０の長さは約２インチである。更にアプリケータ２２０
は、例えば内径１／８インチ、外径１／４インチの管により延長することができ
る。そのような管は、一例として長さが約１２インチで、アプリケータ２２０と
一体であるか、または着脱可能に或いは取り外し不能に接続されている。

【００４０】 真空カップ２４０は、好適には二つの部分で形成され、即ち、頚部２３０を有
する場合、これに永久に或いは取り外し可能に連結された硬質部２４３と、軟質
の皮膚接触部２４５である。一つの態様では、硬質部２４３は生体適合性のポリ
エチレンまたはポリプロピレンで形成するのが好都合である。軟質の皮膚接触部
２４５はシリコーン樹脂材料或いはＣｏｎｓｏｌｉｄａｔｅｄ Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙから入手可能な熱可塑性エラストマーＣ−ＦＬＥＸなど
の生体適合材料から形成されるのが好ましい。皮膚接触部２４５は、一つの態様
によるとデュロメータ硬度４Ａで、真空用密封シールとなるに充分な柔軟性及び
／あるいは成型性を持っていなければならない。

【００４１】 アプリケータ２２０は、少なくとも患者の皮膚に非接触な部分は一般に半透明
または透明である。そしてまた、アプリケータ２２０または少なくとも真空カッ
プ２４０は使い捨て可能な材料から構成されていることが極めて望ましい。使用
の都度および／または患者ごとに捨てて、例えば相互汚染を防止し、清潔を保つ
ことが推奨される。その他のアプリケータ２２０の特徴を以下に記述する。

【００４２】 ケーシング２１０には電池用のドア２６０が設けられ、後記する電池室に出入
することが可能である。言うまでもなく、配線等の適当な機構によってケーシン
グ２１０および内部構成部品と動作可能に接続される例えば交流または直流のよ
うな代替エネルギー源も考えられる。

【００４３】 ケーシング２１０からｏｎ／ｏｆｆスイッチ２７０が延出されている。スイッ
チ２７０は、低ノイズで軽く接触するだけで良い装置で、患者または患者のパー
トナーが手または指で容易に使用できる位置に配置されているものが好ましい。
スイッチ２７０は、例えばスライド式や回転輪、押しボタン式等多くの公知の形
式のものを採用することができる。

【００４４】 同様に、好適には回転輪形状のエアブリードバルブ調整装置２８０がケーシン
グ２１０から突出している。このエアブリードホイール２１０は、真空圧力を例
えば０〜１０ｉｎ．Ｈｇ（水銀柱でインチ単位）の範囲に次に記述するような方
法で調整可能である。ホイール２８０は、回転を容易にするために溝付き表面組
織を有していることが好ましい。回転輪形式の動作素子の代りに、スライドスイ
ッチやその他の機構も考えられる。

【００４５】 真空調整器２９０もまたケーシング２１０の外側に突出し、ケーシング２１０
の内部と流体が連通する開孔をそなえている。この開孔を例えば患者またはその
パートナーが指で開閉することにより、陰核領域の刺激を促進するために、必要
ならば急激に、吸引アプリケータ内の吸引圧力を変化させることができる。さら
に、吸引圧力の調整は陰核内の動脈血流リフレッシュに役立つ。陰核を通過する
動脈血の循環により、血液はより良くコラーゲンを捕捉しその除去を加速する。
コラーゲンの堆積と平滑筋の繊維質の除去がこのようにして容易となり促進され
る。その他の真空調整の態様を以下に記述する。

【００４６】 図９〜１０はケーシング２１０の内部構成を示している。発明のこの態様は図
４〜８の態様に対して言えば、エアブリードホイール２８０と真空調整器２９０
の位置が入れ代わり、ｏｎ／ｏｆｆスイッチ２７０の位置調整も行われている。
言うまでもなく、これらのスイッチ類及び制御器はケーシング２１０の外周に沿
う所望の位置に設けることができる。

【００４７】 真空ポンプ／モーター組立て体３００は、アプリケータ２２０が動作可能に流
体で連通する真空取り入れ口３１０を通して空気を吸い込む。ポンプ／モーター
組立て体３００は取り入れ口３１０と流管３１５で連結されている。この態様に
よると、一般に流管３１５と対向する方向に、例えば真空開放管３２０がＴ字接
続部３２５から伸びて、エアブリードホイール２８０に流体流通して動作可能に
なっている。排気管３３０はポンプ／モーター組立て体３００を排気部３４０に
接続する。

【００４８】 真空ポンプ／モーター組立て体３００は、好適には例えば真空度０〜１０ｉｎ
．Ｈｇ（水銀柱インチ単位）で真空引きするもので、円滑で静かに運転するよう
に構成し調整されている。ポンプ／モーター組立て体３００の運転速度はエアブ
リードシステム２８０に適合する。Ｆｌｏｒｉｄａ州Ｃｌｅａｒｗａｔｅｒの
Ｓｅｎｓｉｄｙｎｅ，Ｉｎｃ．から入手可能なＯＥＭ Ｍｉｃｒｏ Ａｉｒ Ｐ
ｕｍｐは、この発明で使用可能なポンプ／モーターの一例で、その寸法は約１．
８３×０．６８×１．２２インチで、重量は約１．２オンス、最高吸引圧力は約
１３ｉｎ．Ｈｇである。装置２００の内部に設置した時、一つの態様においてポ
ンプ／モーター組立て体３００は最高圧力が約９．８ｉｎ．Ｈｇで吸引する。

【００４９】 図９はまた、アプリケータ２２０に接続されたデジタル表示装置３６０付きの
ゲージ３５０を例示している。一つの態様によれば、ゲージ３５０は真空圧力を
水銀柱のインチ単位で表示する真空圧力ゲージである。管３７０は直接ゲージ３
５０およびアプリケータ２２０と流体連通結合する。圧力トランスジューサまた
は他の感知素子を、前記の態様の場合のように、アプリケータ２２０、管３７０
或いはゲージ３５０自身に対して相対的な所望位置に設けることができる。

【００５０】 図１０および１１に示されるように、１個または複数個の電池３８０が電池ド
ア２６０の後方に位置している。一つの態様によると、装置２００は、好適には
アルカリ型の、２１．５ボルトのＡＡＡ電池で３〜５時間稼働する。電池３８０
に接触する端子とスプリングは腐食抵抗性であることが好ましい。適切な電池挿
入には明確に位置を示し、取り出し容易でしかも充分に接触していることが好ま
しい。

【００５１】 図１２〜１３は、前述のように硬質部２４３と軟質部２４５を有するアプリケ
ーター２２０のカップ２４０を例示している。カップ２４０は特に患者の陰核に
適用するために構成され調整された接触表面３９０を備えている。接触表面３９
０には、図１３の側面図における接触表面３９０の下縁部に示されている凹部３
９５と、上縁部に示されている凸部４００とがある。接触表面３９０の、軟質部
２４５とその下部にあって軟質部２４５を支持している硬質部２４３の組み合わ
せは、女性患者の陰核領域との接触についての有利な様式を提供する。

【００５２】 アプリケータ２２０および／または真空カップ２４０は、特に典型的な女性の
陰核に適合する寸法に合わせてある。実際の寸法区分はさまざまで意図する患者
の解剖学的な構造に直接依存するけれども、特定の真空カップ２４０の態様では
外径が約０．９インチ、内径は約０．７５インチである。他方、頚部２３０は、
この態様に従えば外径約０．１５インチ、内径は約０．０６インチである。

【００５３】 図１４はアプリケータ２２０を一例として清浄にするため、または捨てるため
に、装置２００に挿入或いは、装置２００から取り出す場合を例示している。ア
プリケータ２２０は、装置２００のケーシング２１０と同様に、例えば石鹸と水
で清浄にすることができる。アプリケータ２２０は、装置２００に再び連結する
際には完全に乾燥しておかなければならない。

【００５４】 使用する際、アプリケータ２２０を例えば図１４に示されているようにケーシ
ング２１０の真空取り込み口３１０に取り付ける。患者またはパートナーはｏｎ
／ｏｆｆスイッチ２７０を操作して装置２００を稼働させ、ポンプ／モータ組立
て体３００を動かして、これにより空気をアプリケータ２２０を通して引き込む
。この時に患者はエアブリードホイール２８０を回して真空度を最低の設定値に
なるようにすると良い。一つの態様によれば、アプリケータ２２０の方向にホイ
ール２８０を回すと真空圧力が減少し、アプリケータ２２０から離れる方向に回
すと真空圧力は増大する。

【００５５】 大陰唇（外皮）を穏やかに開いて陰核を露出させ、真空カップ２４０を陰核上
に載置する。軽く圧力を加えると図１５に示されるように、軟質部２４５が硬質
部２４３と陰核領域４１０の間で圧縮され、陰核のまわりにシール部を形成する
。エアブリードホイール２８０を回転し所望の真空レベルを得る。

【００５６】 真空調整器２９０を用いて図１６に示されるように真空レベルを脈動させる。
患者または患者のパートナーは、指を調整器２９０の開孔にかぶせて真空レベル
を上昇させたり、指を開孔から取り除いて真空度を低下させたりする。調整器２
９０はエアブリードホイール２８０を最高真空度よりも低くセットする時に最も
効果的である。図１６はまた、装置２００が手４２０で容易に把持される状態を
例示している。

【００５７】 装置２００により加えられる真空は陰核を充血、即ち血液で満たす。真空レベ
ルと調整機能とを、必要ならば患者または患者のパートナーが調整して、充血を
維持することができる。このように、この発明の態様においては、調整器２９０
を用いて例えば交流の調整と同様な手法で急速に調整することもでき、また同時
に、直流の場合と同様な手法で、真空圧力を実質上一定のレベルでより平均的に
維持したり、或いは、例えばホイール２８０を回転させて真空圧力を徐々に変化
させることもできる。この二元的な交流又は直流に対応する機能は、従来技術に
はない実質的な利点を提供する。

【００５８】 図１７は、この発明のパッケージの一つの態様である。箱体４３０はカードボ
ード又は他の適当な材料からなり大略の寸法は７．５×７．５×２．５インチで
ある。言うまでもなく、これ以外の寸法であっても良い。挿入体４４０は箱体４
３０の内側に収められ、例えば２ポンド密度のポリウレタン、発砲ゴム、或いは
他の衝撃吸収性材料およびクッション生の性の材料で非圧縮時には形状を持つも
のである。挿入体４４０には１個或いは複数個の窪み４５０を備え真空カップ４
５０を収容し、窪み４６０はケーシング２１０を収容し、さらに１個或いは複数
の窪み４７０には電池３８０が収容される。患者向けのインストラクションマニ
ュアルおよび／又は文献は、挿入体４４０の上に載置される。

【００５９】 図１８は他のアプリケータ５００の態様を例示する図で、アプリケータ５００
は１個またはそれ以上の調整ポート５１０と随意の頚部５２０とからなる。調整
ポート５１０は真空カップ５０５の壁を通って延びでおり、前述の態様と同じく
指で覆ったり開放したりする。このようにしてカップ５０５内の吸引圧力を変化
させて、前記のように陰核の刺激と充血を促進し、コラーゲンの堆積を除去し繊
維症の軽減を促進する。

【００６０】 手持ちハウジングの側面に位置する代りに真空カップの壁から外に調節ポート
を設けることにより、いくつかの利点が得られる。即ち、真空度の指による調節
が簡単かつ効果的に行われ、製造時の複雑さを解消してコストを低減する。これ
に加えて、患者の指或いはパートナーの指が調節孔の上に置かれる時、手または
指は自動的に好位置に置かれて、陰核領域の手動による刺激を援助することとな
る。それにも係わらず、ハウジングの調節ポートの位置決めの煩わしさが、特に
患者のパートナーにとって軽減される。

【００６１】 真空度の調節はポンプ／モータ組立て体３００にモーター速度可変機構を組み
込むことによっても、或いはエアーブリードホイール２８０を迅速に回転させる
ことによっても達成することができる。

【００６２】 図１９も真空延長チューブ５３０に対して真空カップ５０５の頚部５２０を装
着した状態におけるアプリケータ５００を例示している。真空延長チューブ５３
０はアプリケータ５００とモータ組立て体５４０とを連携させ、真空カップ５０
５の移動と位置決め性を強化し簡素化する。一つの態様においては、延長チュー
ブ５３０は真空カップ５０５と同じ材料で造られ両者を一体成型しても良いし、
或いは別体として連結することもできる。

【００６３】 モーター組立て体５４０にはスリーブまたはカバー５５０が設けられている。
スリーブ５５０は好適には陰茎形状で、軸部５６０、部分５７０と先端部５８０
が形成されている。スリーブ５５０の陰茎の形状は興奮を促して或る患者の場合
には陰核の充血の維持を支援する。スリーブ５５０も真空を適用すると共に手動
刺激に用いることもできる。スリーブ５５０は耐水性の生体適合構成体で形成し
、例えばコンドームのように、流体の浸透・通過を回避するのが好ましい。

【００６４】 図１９〜２４はスリーブ５５０内に設けられたハウジング５５５を例示してい
る。図によると、ハウジング５５５の一部はスリーブ５５０の端部から延出して
電池用ドア５９０および排気ポート６００を備えている。電池室６１０は電池用
ドア５９０の直後方に設けられ、適宜の接点、スプリングなどを備え、例えば２
ＡＡＡのような電池が収納されている。モータ／ポンプ組立て体用の仕切り６２
０の内部にはモーター／ポンプ組立て体が収容され、その一部分は符号６２５で
示す位置に配置されている。

【００６５】 ハウジング５５５の内部でハウジングに沿って管路または流通経路が設けられ
ている。管路網（ネットワーク）６３０の部分６４０において排気管６６０と真
空取り入れ管６７０とが近接する。配線または電線路６８０により電池室６１０
とモーター／ポンプ室６２０が接続される。管６７０、５３０、および真空カッ
プ５０５を経由してモーター／ポンプ組立て体により真空引きされ、空気は排気
管６６０と排気ポート６００を通って排気される。

【００６６】 スリーブ５５０は省略することができ、ハウジング５５５を実質的に陰茎形状
または他の所望の形状に直接形成できることに注意されたい。しかし、スリーブ
５５０はハウジング５５５が流体あるいは他の異物によって汚されたり汚染され
る機会を最低限とし、そのためいくつかの利点を備えている。

【００６７】 図１９に戻って、アプリケータ５００（或いはこの出願に記述されているアプ
リケータのいずれのものでも）は、局所的な投薬、軟膏、潤滑剤またはその他の
そのような物質を、好ましくは前記の真空治療と共に、陰核領域に給配するため
に使用することができる。一つの態様においては、投薬剤或いはその他の物質は
カップ５０５の内壁または外壁の表面に患者に対する使用前に塗布して置く。別
の態様では、カップ５０５に、或いはカップ５０５から離して受容器にそれらの
物質を収容しておく。そのような受容器は符号７１０（器内の遠隔位置）、７２
０（器外の遠隔位置）および７３０（器外のカップに）を用いて図１９に例示さ
れている。しかし、実際にはそのような受容器は１個が好ましい。カップ５０５
の内表に受容器ライニングを施すことも考えられる。

【００６８】 投薬剤または他の物質を受容器から手で圧搾したり、或いは排気ポート６００
または排気管６６０からの正圧を引いたり、或いはその他の方法で受容器本体を
圧縮することにより、給配することができる。受容器が遠くに位置する場合には
、図示しない補助チューブを実質的に管５３０に平行におよび／または取り付け
て、投薬剤またはその他の物質をカップ５０５の内外部或いはその他の局所に適
用するための所望の位置に給配することができる。カップ５０５の内部または外
部に受容器を設置するのが最も簡単な方策と考えられ、例えば給配を開始する際
にシールを破って使用する。カップに受容器を取り付ける場合は、清潔さを促進
するために受容器は再使用しないことを推奨する。

【００６９】 この発明による医療と真空治療の組み合わせは、これまで先行技術において未
知の技術と信じられてきた方法で陰核充血の促進と維持に具体的な相乗的効果を
発揮する。もしも陰核に流入し通過する血液が、この発明の装置と方法によりさ
らに増大するとすると、例えば、血流の増加している領域に局所投薬された薬剤
はより速やかに吸収され、このため大きな相乗効果を生じる。

【００７０】 これに加えて、真空カップ自身および／またはモーターハウジング或いはケー
シングに振動を起こして振動効果を生じさせることができる。例えば、カップお
よび／またはハウジングの少なくとも一部に、バイモルフ型ピエゾ材料またはそ
れと同等な材料を装着或いは創設し、そして／或いはカップ近傍にそのような材
料あるいは同等材料を配置する。ピエゾ材料は電気的に活性化される。別法によ
り、あるいは付加的に、電気装置をカップおよび／またはハウジングの整調と脈
動に使用することもできる。カップの態様では実質的に可撓性であるため、手動
の誘導振動も組織に痛みを与えることなしに効果的に行うことができる。そのよ
うな態様もまた前述のどの態様とも、或いは全ての態様とも共に用いることがで
きる。振動するハウジングの場合には、アプリケータ５００の長さが短くそして
／またはハウジングにより直接連結されていると、ハウジングの振動はカップに
特に良好に伝達される。

【００７１】 加えて、この出願に開示された態様と共に、例えば楕円形またはその他の形状
の結束リングを用いて、陰核をとり囲んで結束し血流を妨げることができる。発
明の態様に基づく他のカップサイズとしては、膣あるいは膣部／陰唇の全体を覆
うに充分な大きさが考えられる。

【００７２】 図２５は本発明の態様の分解図であり、その多くの部分は既述の通りである。
電池カバー７００と電池用ガスケット７０５は、図２５には示していない電池３
８０の上に設けられる。電池３８０は、単一もしくはダブルの電池用端子７１０
、７１５によって保持され且つ電気的に接触している。ラベル７２０には適切に
記された、例えば一つ或いは複数の商標、特許警告、電池に関する情報、消費者
あるいは法規制等の指標を含むことができる。平頭ネジのようなファスナ７２５
により、中カバー７３０を基底カバー７３５の位置に係止する。ポンプ／モータ
ー組立て体３００、調整ポート２９０、調整ホイール２８０およびｏｎ／ｏｆｆ
スライド式スイッチ２７０に関しては前述の通りである。

【００７３】 発明の診断への可能性は多い。例えば、陰核の順応性は適用真空レベルと対比
することができ、例えば繊維症の程度の決定等、装置の使用方法を最適化して効
果を最大限に発揮することができる。超音波または他の血流測定装置と組み合わ
せて、例えば陰核や膣において、発明の態様はそれらの応答特性を血流速度増加
値で定量化するために用いることができる。発明はまた、膣の潤滑度試験と組み
合わせて陰核の充血による反射応答性の評価に用いることができる。

【００７４】 さらに、適当な「投薬量」レベルを、すなわち、最大効果を得るように処方す
べき真空のレベルおよび時間の量を判断するために、真空レベルおよびオルガス
ム到達時間の変化は、単一の患者に及び／又は複数の患者に複数回使用して測定
し且つ比較することができる。そのようなレベルおよび変化は、ＦＳＡＤの程度
を決定するために、患者間での量的な比較を容易にする。データは、上述したよ
うにユニット内のマイクロプロセッサによって処理することができ、及び／又は
外部マイクロプロセッサか他の計算装置に記憶（ダウンロード）させることがで
きる。

【００７５】 このように、発明の態様は女性患者の陰核領域に吸引力を加えて充血を促進す
るものである。陰核上に真空状態を造り出すことにより、或いは陰核または陰核
領域に吸引力を加えることにより、心臓収縮周期に伴う血圧よりも低い負圧を創
出して陰核を充血させる。もし継続使用すれば、発明の態様は繊維症と同類の症
状を低減し、その結果、陰核の生理学的機能を低減することとなろう。

【００７６】 これに加えて、発明の態様によれば正常な生理学的陰核機能の回復を図ること
が考えられる。陰核の平滑筋壁からのコラーゲン除去を強化・支援することによ
って、そのような態様による装置と方法を用いて正常な血流／充血と反射応答性
を回復するであろう。

【００７７】 発明の態様はまた、例えば容易に掌に入るまたは手持ち式の小型で軽量な装置
である。入手可能なポンプと電子装置の技術の進歩に伴って、望むなら更に小型
の装置が考えられる。

【００７８】 実施例Ｉおよびその結果 本発明の最初のテストは、日々の満足度をモニターするために６人の性的正常
女性患者について実施された。各個人はテストの一晩の間、アプリケータ２２０
付きの装置２００を使用した。これらの各個人から報告されたデータは図２６の
表に表示されている。

【００７９】 実施例ＩＩ ボストン大学、マサチューセッツ州ボストン市、およびメトロポリタン泌尿器
科専門家団体、ミネソタ州セントポール市、における患者の研究が、各センター
の協会検討委員会からの承認と告知された患者の同意の下に行われた。この研究
の目標は、ＦＳＡＤを用いて、および用いずに、婦人の性的興奮の自覚的パラメ
ータを強化するために、本発明の実施例による装置の安全性と効用を評価するこ
とであった。これらの性的興奮パラメータは、性器感覚、腟潤滑性、オルガスム
到達能力および性的満足度を含んでいた。

【００８０】 骨盤検査を含む完全な医学的履歴および身体的検査が、各患者に実施された。
総ての閉経患者は、血清エストラジオールと測定されたＦＳＨレベルを持ってお
り、およびもし彼女等が少なくとも１２ヶ月間自然発生的な月経の欠乏があり、
またはエストラジオール＜２０ｎｇであり且つＦＳＨ＞４０ｎｇであるならば、
閉経と考えられた。研究への登録に先立って、総ての被検者から性療法士によっ
て簡単な精神性的履歴が取られた。鬱病、性的悪習、低活動性的欲望障害、糖尿
病、異常性感症または或る他の危険因子を持つ患者は、研究から除外された。

【００８１】 各患者は、潤滑性、感覚、オルガスム、および性的満足度の変化の自覚的報告
を測定する基準線の治療前女性介入効能指数（ＦＩＥＩ）、５項目の質問表（Ｃ
ｈｒｏｎｂａｃｈのアルファ係数０．８１）を書き入れた。ＦＩＥＩは、Ｊｅｎ
ｎｉｆｅｒ Ｂｅｒｍａｎ医学博士とＬａｕｒａ Ｂｅｒｍａｎ哲学博士によって
開発された合法的質問表である。

【００８２】 研究への登録に続いて、女性看護婦が装置の使用についての指導を与えた。患
者は真空を彼女等個々の快適レベルに如何に調整し、および調節するかが示され
た。患者は次いで検査室で５から１０分間、装置を使用して実施することを求め
られた。この簡単なセッションに続いて、女性看護婦または医師は、如何なる質
問にも答えおよび性器の簡単な外部検査を行うために部屋に戻った。

【００８３】 患者はパートナーと共に、またはパートナーなしで彼女等の家の私生活の中で
装置を使用するように求められた。最初の３セッションの間、患者は装置を彼女
等の陰核の上に置き、彼女等自身の満足度と興奮に基づいた時間に亘って真空レ
ベルを調節した。彼女等は、５〜１５分間のコースに亘って真空の作動と解放を
繰り返した。ホームセッション（１〜３）の度に、各患者は陰核および陰唇の充
血、オルガスムおよび膣潤滑性を含めて、性的喜びにおける如何なる変化もＦＩ
ＥＩに書き留めるように求められた。次の３回のホームセッション（４〜６）の
間、患者は不快感が生じた時間の長さを測定し、そしてその時真空を解放するた
めにストップウォッチを利用した。彼女等はまた、彼女等が性的喜びおよび／ま
たはオルガスムを経験するまで経過した時間を記録するように求められた。これ
らの時間と事象は、次いで患者の日記に記録された。

【００８４】 使用の進行状況、如何なる否定的な影響または潜在的な問題をもチェックする
ために、週毎の電話インタビューが患者と主調査者、看護婦または研究コーディ
ネータ間で行われた。

【００８５】 二回目の医局訪問が６回のホームセッション完了時で、かつ研究開始の３ヶ月
以内に必要であった。この訪問の間、患者は性的興奮の各測定面について基準線
と処理後応答を比較するために、６セッションについての装置使用後、再度ＦＩ
ＥＩを書き入れるように求められた。外部性器検査が、各患者に行われた。質問
表と患者の日記が集められ、如何なる質問も回答された。

【００８６】 結果−実施例ＩＩ 両研究センターでの１４人の患者からのＦＩＥＩ質問表の結合された研究結果
が、分析された。１４人の患者はＦＳＡＤの病訴を持つ７人の患者と、性的機能
のない病訴を持つ７人の患者を含んでいた。潤滑性、感覚、オルガスムおよび性
的満足度についての変化の自覚的報告が当該各集団について作表され、これは図
２７の表に提出してある。

【００８７】 図２７から明らかなように、この装置は、ＦＩＥＩ自己評価質問表への患者の
返答によって確定される低減性器感覚、減少膣潤滑性、低減性的満足度および減
少膣潤滑性を含むＦＳＡＤの症状の治療に効果的であった。研究中の患者の何れ
にも最終の身体的検査の間、陰核外傷、打撲傷または過敏症の徴候は見られなか
った。

【００８８】 結論 本発明は特定の実施例に関して記述されたが、本発明はここに図示され、およ
び記述された特定の実施例に決して限定されるものではない。本発明の実施例は
、陰核上に実質的な真空を生成すること、および／または陰核上に吸引力を加え
ること（または陰核領域でのその両者）を意図しており、一方または両者を適当
に含むと解釈されるべきである。更に、用語“吸引圧力”または“真空圧力”は
大気または環境よりも低い周囲圧力レベルとして解釈されるべきである。色々な
実施例の項で記述された本発明の部分は、何か別の部分と共に使用することがで
きる、−例えばここに開示された真空カップ実施例の何れも如何なる収納器また
は容器によっても使用することができ、局所の薬物治療の調節および／または適
用は如何なる実施例によっても使用することができる、等など。他の色々な変形
および変更が本明細書から容易に認識でき、かつ習熟した人々には明らかであろ
う。

【図面の簡単な説明】

発明の態様は図面に関連して記述され、図面中の同じ参照符号は同一の要素部
分を意味している。

【図１】 発明の一態様による陰核治療装置の外観図である。

【図２】 図１の態様における真空を適用する機構の平面図である。

【図３】 図１の陰核治療装置の構成図である。

【図４】 この発明の一態様による陰核治療装置の平面図である。

【図５】 図４の装置の側面図である。

【図６】 図４の装置の底面図である。

【図７】 図４の装置の背面図である。

【図８】 図４の装置の正面図である。

【図９】 図４の装置の平断面図で、付随する圧力ゲージの構成図を含む。

【図１０】 図４の装置の側断面図である。

【図１１】 電池カバー部分を外した状態の図４の装置を示す図である。

【図１２】 図４の装置の真空カップの底面図である。

【図１３】 図１１の真空カップの側面図である。

【図１４】 図４の装置の上方斜視図である。

【図１５】 図１４の装置の使用状態を示す図である。

【図１６】 発明の一態様による真空調整器の使用状態を示す図である。

【図１７】 発明の一態様によるパッケージを示す図である。

【図１８】 発明の一態様による真空カップを示す図である。

【図１９】 発明の一態様によるハウジングと連結した図１８の真空カップ
を示す図である。

【図２０】 図１９のハウジング内部の断面図である。

【図２１】 図２０における線２１−２１に沿う断面図である。

【図２２】 図２０における線２２−２２に沿う断面図である。

【図２３】 図２０における線２３−２３に沿う断面図である。

【図２４】 図２０における線２４−２４に沿う断面図である。

【図２５】 発明の一態様による分解図である。

【図２６】 臨床データを示す表である。

【図２７】 臨床データを示す追加された表である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＡＵ，ＣＡ，Ｊ Ｐ，ＫＲ (72)発明者 カーティス・イー・オルソン アメリカ合衆国55106ミネソタ州セント・ ポール、エトナ・ストリート445番、スウ ィート56 (72)発明者 ジェローム・エイチ・エイブラムズ アメリカ合衆国55106ミネソタ州セント・ ポール、エトナ・ストリート445番、スウ ィート56 Ｆターム(参考） 4C074 AA01 BB05 CC18 EE01 FF01 4C100 AB00 AB03 AB07 BA01 BA10 BB05 BC11 DA20

Claims (43)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 女性患者の陰核領域に取付けられるように構成された吸引ア
   プリケータ、 吸引圧を吸引アプリケータ内部に生成するために吸引アプリケータと流体連通
   する吸引源、および、 少なくとも吸引源に操作可能に接続され、吸引圧力に関する電気信号を処理す
   る信号処理装置を有する、陰核治療装置。
2. 【請求項２】 信号処理装置はアプリケータ内部に引込まれる吸引圧力を調
   整するように構成されている、請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 信号処理装置はマイクロプロセッサを有する、請求項１に記
   載の装置。
4. 【請求項４】 マイクロプロセッサは吸引圧力を患者の性的興奮度合いに関
   連する変数と比較する、請求項３に記載の装置。
5. 【請求項５】 信号処理装置はｏｎ／ｏｆｆスイッチを有する、請求項１に
   記載の装置。
6. 【請求項６】 吸引アプリケータに操作可能に接続され、吸引アプリケータ
   内部の吸引圧力に関する変数を表示する表示装置を有する、請求項１に記載の装
   置。
7. 【請求項７】 電気信号はデータ信号を有し、更に信号処理装置はデータ信
   号を離れた場所にダウンロードするように構成されている、請求項１に記載の装
   置。
8. 【請求項８】 吸引アプリケータ内部の圧力を検知する少なくとも一個のセ
   ンサーを有する、請求項１に記載の装置。
9. 【請求項９】 患者の陰核領域への装着手段、 装着手段に操作可能に接続され、装着手段に吸引力を生成する手段、および 吸引力生成手段に電気的にエネルギーを供給する手段を有する、女性患者の陰
   核領域に吸引を加えるシステム。
10. 【請求項１０】 更に装着手段および吸引力生成手段の少なくとも一つに操
    作可能に接続された、吸引力に関するデータを発生する手段を有する、請求項９
    に記載のシステム。
11. 【請求項１１】 更に前記データ処理する手段を有する、請求項１０に記載
    のシステム。
12. 【請求項１２】 データ発生手段は少なくとも一つのセンサーを有する、請
    求項１０に記載のシステム。
13. 【請求項１３】 更に吸引力生成手段を調節する手段と、関連する吸引力を
    望ましい変数に調節する手段を有する、請求項９に記載のシステム。
14. 【請求項１４】 望ましい変数は血流変数である、請求項１３に記載のシス
    テム。
15. 【請求項１５】 望ましい変数は患者の性的興奮度に関する、請求項１３に
    記載のシステム。
16. 【請求項１６】 更にシステムの動作に関するデータを蓄えるメモリを有す
    る、請求項９に記載のシステム。
17. 【請求項１７】 患者の陰核あるいは陰核領域に吸引力を加え、 充血を助長するために患者の心収縮期血圧以下のレベルまで陰核内圧力を低下
    させ、および 吸引力および患者の血流値からなるグループから選ばれた少なくとも一つの変
    数を計量することを有する、女性患者の陰核の充血を助長する方法。
18. 【請求項１８】 更に表示装置上に計量された変数を表示することを有する
    、請求項１７に記載の方法。
19. 【請求項１９】 吸引力を加えるために吸引装置に電気エネルギーを供給す
    ることを有する、請求項１７に記載の方法。
20. 【請求項２０】 患者変数に対して吸引力を自動的に相関させることを有す
    る、請求項１７に記載の方法。
21. 【請求項２１】 吸引力は患者の陰核上に真空状態を生成する、請求項１７
    に記載の方法。
22. 【請求項２２】 ハウジングと、 ハウジングと流体連通し、女性患者の陰核上に置くように構成された開口部を
    持つ真空カップと、 真空カップと流体連通し、女性陰核に血液を引き込むために真空カップ内の吸
    引圧力を高める空気流装置と、そして 真空カップ内の吸引圧力を変化させ、そして陰核内の動脈血液の循環を促進す
    るために、真空カップと操作可能に接続された調節器とを有する、陰核治療装置
    。
23. 【請求項２３】 空気流装置はモータを有する、請求項２２に記載の陰核治
    療装置。
24. 【請求項２４】 真空カッブの開口部は第一開口部であり、更に調節器は真
    空カップと操作可能に接続された第二開口部を有する、請求項２２に記載の陰核
    治療装置。
25. 【請求項２５】 第二の開口部は人間の指によって手動で覆い、および覆い
    を外すように真空カップの壁に配置されている、請求項２４に記載の陰核治療装
    置。
26. 【請求項２６】 更に真空カップをハウジングに接続する接続部材を有し、
    更に第二開口部は接続部材に配置されている、請求項２４に記載の陰核治療装置
    。
27. 【請求項２７】 接続部材は一般的な筒状部材である、請求項２６に記載の
    陰核治療装置。
28. 【請求項２８】 第二開口部はハウジングの壁に配置されている、請求項２
    ４に記載の陰核治療装置。
29. 【請求項２９】 吸引源の少なくとも一部がその内部に配置された、陰茎形
    状のモータハウジングをさらに有する、請求項１に記載の陰核治療装置。
30. 【請求項３０】 男性陰茎の少なくとも一部の形状をなしたハウジングと、 ハウジングと流体連通し、女性患者の陰核上に置かれるように構成された開口
    部を持つ真空カップと、そして 真空カップと流体連通し、女性陰核中に血液を引き込むために真空カップ内の
    吸引圧力を増大させる空気流装置との組合せ。
31. 【請求項３１】 男性陰茎の少なくとも一部の形状をなしたモータカバーと
    、そして モータカバー内部に配置されたモータとの組合せ。
32. 【請求項３２】 少なくとも１個の電池を受け入れそしてそれに適応するた
    めにモータカバー内部に配置された電池収納用コンパートメントをさらに含む、
    請求項３１に記載の組合せ。
33. 【請求項３３】 モータと流体連通する真空カップを有し、モータは真空カ
    ップを真空に引くための真空ポンプさらに含む、請求項３１に記載の組合せ。
34. 【請求項３４】 真空カップには女性陰核の上に置くように構成された開口
    部を持つ、請求項３１に記載の組合せ。
35. 【請求項３５】 女性患者の陰核領域に密着するように構成された吸引アプ
    リケータを設け、 吸引アプリケータ内に吸引圧力を生成するために吸引アプリケ一タを吸引源と
    の流体連通状態に置き、 女性患者の陰核領域に密着して吸引アプリケータを置き、および 前記吸引圧力を生成するために吸引源を作動させることを有する、女性患者の
    陰核領域に吸引を加える方法。
36. 【請求項３６】 更に吸引アプリケータまたは吸引源に接続された、吸引ア
    プリケータの近傍の患者の皮膚に局所の薬物治療を適用する手段をさらに有する
    、請求項１に記載の装置。
37. 【請求項３７】 上記適用手段は吸引アプリケータに貯蔵器を有する、請求
    項３６に記載の装置。
38. 【請求項３８】 上記適用手段は吸引アプリケータから遠方に貯蔵器を有す
    る、請求項３６に記載の装置。
39. 【請求項３９】 吸引アプリケータは、患者の皮膚に接触するように構成さ
    れた柔軟部分と柔軟部分を支持するように構成された硬直部分を有する、請求項
    １に記載の装置。
40. 【請求項４０】 患者の皮膚に接する柔軟部分は凹形状と、該凸形状に隣接
    する凸形状とを有する、請求項１に記載の装置。
41. 【請求項４１】 吸引アプリケータは女性患者の膣唇を完全に覆うように構
    成されている、請求項１に記載の装置。
42. 【請求項４２】 調整器よりも緩やかな割合で吸引圧力を調節するために真
    空カッブに操作可能に連結された吸引圧力変更装置をさらに有する、請求項２２
    に記載の装置。
43. 【請求項４３】 吸引圧力変更装置はハウジングと関連する回転輪を有する
    、請求項２２に記載の装置。