JP2002528517A - ワクチン成分 - Google Patents

ワクチン成分

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Abstract

(57)【要約】 血清群Bの髄膜炎菌に対するワクチン成分であって、血清群Bの髄膜炎菌表面のリポオリゴサッカライドのミモトープを含有するワクチン成分である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は髄膜炎菌に対するワクチン成分、及びこの様な成分を含有するワクチ
ンに関するものである。
【0002】 発明の背景 髄膜炎菌性髄膜炎は、死亡率が約10%の重篤な疾患である。髄膜炎菌性髄膜炎
の生存者には、様々な程度の神経障害が永久に残る可能性がある。英国の、ウェ
ールズのみにおいて、毎年、約1300〜1500の髄膜炎菌による感染症の症例が報告
されている。髄膜炎菌は疾患応答性菌であり、免疫活性に応じて、多数の異なる
血清群に分けられる。このうち血清群A、B、及びCは、世界中の髄膜炎菌症の
約90%の原因となり、なかでも血清群Bは、英国及び多くの他の欧州国において
、50%以上の症例の原因となる。
【0003】 髄膜炎菌に対して有効なワクチンを研究することによって、いくつかの成果が
収められた。各髄膜炎菌はポリサッカライド含有皮膜を有しており、乳児による
臨床試験によって、血清群A及びCでは、T−依存性タンパク質抗原に化学結合
したポリサッカライドが所望の免疫原性データを獲得することが見出されている
。しかしながら、対応するBポリサッカライドに対しては、極く僅かな免疫応答
が誘発されるに過ぎなかった。Bポリサッカライドはヒト細胞表面の炭水化物と
類似しており、その結果、ヒト免疫系で寛容化され得る。髄膜炎菌は、ポリサッ
カライド皮膜の一部として、リポオリゴサッカライド(LOS)成分を含有する。
これは、主要な外膜成分を構成する表面糖脂質であり、シアル酸の末端ガラクト
ースアクセプター部位を有している。
【0004】 イムノタイプBの髄膜炎菌におけるLOSのシアル化は、ヒト免疫応答をうまく
逃れる能力を増強すると考えられている。従って、本研究者らは、血清群Bの髄
膜炎菌表面に別の標的抗原、特に、ヒトの免疫応答を一層誘発し得る種々のタン
パク質抗原を研究してきた。
【0005】 発明の要約 本発明の目的は従来技術の問題点を解決し、血清群Bの髄膜炎菌に対するワク
チン成分を提供することにある。
【0006】 本発明は、血清群Bの髄膜炎菌に対するワクチン成分であって、血清群Bの髄
膜炎菌表面のリポオリゴサッカライドのミモトープを含有するワクチン成分を提
供するものである。
【0007】 驚くべきことに、LOSのミモトープ(コンフォメーションホモログ)はin vivo
で免疫応答を誘発し得ることが見出されている。ミモトープとして好ましいのは
、表面のリポオリゴサッカライドに対して高い親和性を有するモノクローナル抗
体と抗原的に交差反応性を有するものである。典型的には、高い親和力によって
105-1、好ましくは少なくとも106-1の親和定数を有することが示唆される。
この様なモノクローナル抗体として下記タイプが挙げられる。
【0008】
【表2】
【0009】 これらのモノクローナル抗体は、National Institute of Biological Standar
ds and Control, Blanche Lane, South Mimms, Potters Bar, Herts, EN6 3QG,
UKより入手可能であり、或いはECACCを通じて入手することも可能である。
【0010】 LOSに対して高い親和性を有するモノクローナル抗体は、確立されたプロトコ
ール(6)(7)に従い、免疫化及び検出抗原として外膜複合体を用いて調製すれ
ば良い。
【0011】 ミモトープとして好ましいのはペプチドのエピトープを含有するものである。
これは、ペプチドライブラリーをモノクローナル抗体でスクリーニングすること
により同定することができる。代表的にはペプチドライブラリー、好ましくは、
可能性のある全てのアミノ酸配列を有するヘプタペプチドライブラリーを使用す
ることにより、モノクローナル抗体と抗原的な交差反応性を評価し得る膨大な多
様性の潜在的エピトープを提供することができる。典型的には、この様な性質を
有するランダムなペプチドライブラリーが使用される。
【0012】 本発明により、好ましくは、ヘプタペプチドライブラリーは関連のモノクロー
ナル抗体でチャレンジされること、及び下記ペプチド配列が特に有用であること
が見出された。
【0013】
【表3】
【0014】 ヘプタペプチド配列として好ましいのは、SMYGSYNまたはAPARQLPである。
【0015】 本発明によれば、ペプチドのエピトープは、任意のヘプタペプチド配列のサブ
配列を含有しても良いし、或いは、上記ヘプタペプチド若しくはそれらに由来す
るサブ配列の任意の1つを含む一層長いペプチド中に存在しても良い。
【0016】 更なる実施態様では、ミモトープは、オリゴペプチドの直鎖体に比べて構造的
に一層拘束されたオリゴペプチドを含有しても良い。溶液中に遊離して存在する
非置換直鎖状オリゴペプチドは、通常、多数の異なるコンフォメーションをとる
ことが可能である。これに対し、構造的に拘束されたオリゴペプチドは、本発明
のミモトープとして好ましいが、その理由はおそらく1個、または通常2個以上
置換することによって、とり得る可能なコンフォメーションの数を低減させるか
らである。より少ない数のコンフォメーションをとるペプチド、またはロックさ
れたコンフォメーションを有するペプチドは、免疫応答を一層誘発させると考え
られる。何故なら、これらは抗体結合部分に対し、構造的に拘束されたエピトー
プを提示するからである。
【0017】 更にペプチド鎖または分子内結合との共有結合等を置換することは、オリゴペ
プチドを構造的に拘束するものである。例えばオリゴペプチドは、オリゴペプチ
ドのアミノ酸配列を含有する一層長いポリペプチドの一次構造の一部を形成する
ことができる。オリゴペプチドとして好ましいのは、下記の如く更に詳述された
環状ペプチドを含むものである。
【0018】 他の置換として、生物学的及び非生物学的構造を含むマクロ分子構造等の他の
部分との共有結合が挙げられる。生物学的構造の例として、ミモトープの免疫原
性増強を目的とする、以下に記載のキャリアタンパク質が挙げられる。非生物学
的構造の例として、ミセル等の脂質小包等が例示される。
【0019】 好ましい実施態様としては、オリゴペプチドは環状ペプチドを含有するもので
ある。環状ペプチドの使用は、直鎖状ペプチドに比べて優れていると考えられる
。何故なら、環状ペプチドは、直鎖状ペプチドより少ない数のコンフォメーショ
ンをとることができ、従って、構造的に一層拘束されているからである。典型的
には環状ペプチドは環化部分を有しており、この環化部分は、好ましくは末端ア
ミノ酸が共有結合で互いに結合したアミノ酸配列を含むものである。この共有結
合として好ましいのは、例えばシステイン残基の間で見出される様なジスルフィ
ド結合である。この環化部分は、典型的にはヘプタペプチドを含んでいる。この
ヘプタペプチドは、共有結合で結合したアミノ酸が隣接して環化部分を形成する
アミノ酸配列の部分を有することが好ましい。環状ペプチドのN末端として好ま
しいものは、A残基を含有している。
【0020】 このオリゴペプチドは、上記と同じ方法でペプチドライブラリーから得ること
ができる。典型的なオリゴペプチドを図面の図6に示す。
【0021】 環化部分のヘプタペプチドは配列SWXHXPYを有することが好ましい。ここで、
Xは夫々、同じかまたは異なるアミノ酸である。好ましくは、天然アミノ酸であ
る。特に有用な配列は、SWLHMPY、SWMHMPY、SWDHMPY、及びNTIGGYEである。特に
好ましいヘプタペプチド配列はSWLHQPYであり、システイン残基が隣接していて
も良く、好ましくはN末端はA残基で終わっている。N末端のA残基はアセチル化し
ていないことが好ましく、オリゴペプチドの免疫原性を阻害する為、電荷を有し
ていないことが好ましい。
【0022】 ペプチドのエピトープの少なくとも一部は、ヘプタペプチド中に存在すると考
えられる。
【0023】 上記の直鎖状ペプチド及び環状ペプチドに加えて、天然のLアミノ酸由来のペ
プチドの代わりに、逆の順番で並んでいるアミノ酸配列を有する対応のD−アミ
ノ酸含有ペプチドを使用することができる。これらのD−アミノ酸由来のペプチ
ドは通常、レトロペプチドと呼ばれ、免疫原性に優れており、L−アミノ酸成分
に比べてタンパク分解され難いという傾向がある。
【0024】 好ましい実施態様では、免疫原性を増強する目的で、ミモトープにキャリアを
結合させる。この目的の為に多数のキャリアが知られており、ジフテリア毒素(
dtCRM197)または破傷風毒素、及びT細胞ペプチド等の様々な免疫原性タンパク
由来のキャリアが挙げられる。
【0025】 ワクチン成分として、表面のリポオリゴサッカライドのミモトープを多数取り
込むことができるが、各ミモトープは、同じかまたは異なっていても良い。1個
以上のミモトープを有することによって、成分の免疫原性が増強される。多数の
ミモトープは、例えば各ミモトープを結合するポリリジンにより、互いに結合す
ることができる。
【0026】 血清群Bの髄膜炎菌として好ましいのはNeisseria meningitidis(髄膜炎菌)
である。
【0027】 更なる態様では、本発明は、必要に応じて、免疫応答を増強させるアジュバン
トと共に、上記請求項のいずれかに記載した成分を含有するワクチンを提供する
ものである。
【0028】 別の態様では、本発明は、血清群Bの髄膜炎菌に対するワクチン成分を産生す
る方法を提供するものである。この方法は、候補となるミモトープを含むミモト
ープライブラリーを、モノクローナル抗体でスクリーニングする工程、及びモノ
クローナル抗体に対して高い親和性を有するミモトープ候補を少なくとも1つを
選択する工程を包含し、ここで、上記モノクローナル抗体は、血清群Bの髄膜炎
菌表面のリポオリゴサッカライドに対して高い親和性を有するものである。
【0029】 このモノクローナル抗体として好ましいのは上述した通りであり、ミモトープ
は、上記ペプチドのエピトープを含むことが好ましい。ミモトープライブラリー
として好ましいのは、上述した候補となるペプチドを含むペプチドライブラリー
を含有するものである。好ましくは、ペプチドライブラリーは、ペプチドファー
ジ−ディスプレイライブラリーを包含する。
【0030】 添付の図面を参照しながら、本発明を、実施例のみの方法によって更に本明細
書中で詳述する。
【0031】 実施例1 序章 血清群Bの髄膜炎菌のイムノタイプLOS3,7,9は、欧州で観察される細菌性髄膜
炎症のうち50%を超える髄膜炎症の原因となるイムノトープである。この研究の
目的は、イムノタイプLOS3,7,9の抗体に結合することによって選択された直鎖状
ペプチドを動物免疫の目的で使用したとき、LOS3,7,9と交差反応する保護抗体を
誘発するかどうかを調べることにある。まず、イムノタイプLOS3,7,9の抗体2個
の結合特性を、共鳴ミラー型(resonant mirror)分析によって研究した。次い
で、LOS抗原に対して最も大きな親和性を有する抗体を、ヘプタペプチドファー
ジディスプレイライブライーを「バイオパン(biopan)」する為に選択した。
【0032】 この様な選択ペプチドをマウスの免疫に使用した場合、NmLOS3,7,9に対して交
差反応性の免疫応答を生じるという証拠が得られる。
【0033】 方法 モノクローナルイムノタイプ抗体:研究した2種類のモノクローナル抗体のイ
ムノタイプ9-2-L379及び4A8-B2(夫々、Zollinger博士及びPoolman博士から懇意
で贈与された)を、標準タンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーによっ
て腹水から精製し、1μMの保存濃度に調製した。
【0034】 へプタペプチドのファージディスプレイライブラリー:New England Biolabs
から入手したM13ペプチドファージディスプレイライブラリー(Ph.D.7)を使用
した。ランダムヘプタペプチドをコードするDNA配列を遺伝子IIIに挿入した。遺
伝子IIIは、ファージの1つのチップで発現した表面タンパク質をコードする。2
1ヌクレオチドの挿入物は、リーダー配列をコードする3’配列であり、その結
果、このペプチドはN末端ではフリーであるが、C末端を通じてタンパク質III
に結合した。
【0035】 バイオセンサーキュベット表面へのNeisseria meningitidis (Nm) LOS3,7,9の
固定化:モノクローナル抗体の結合速度論を調べる為、従来記載されている方法
(2)に基づき、精製したLOSを、単離したK454(B:15:P1.7,16:L379)から調製
した。次いで、Romero及びOutschoorn(3)の方法に従ってLOSをビオチニル化し
た後、IAsys, Plc.に基づき、ストレプトアビジン結合を介して、ビオチンでコ
ーティングしたバイオセンサーのキュベット表面に固定化した。非特異的結合を
低減させる為、最終的にBSAブロック工程を行った。相互作用速度論を行う前に
、LOSでコーティングしたバイオセンサー表面を20mMのHClで処理し、結合の弱い
物質を全て除去すると共に、各抗体の相互作用の後、LOS表面を再生した。両抗
体に関する速度論のデータは全て、同じLOSでコーティングしたバイオセンサー
のキュベットから決定した。
【0036】 バイオセンサーのキュベット表面へのコンセンサスペプチドの固定化:Chiron
Technologies, Ltdによりペプチドをビオチニル化し、ストレプトアビジン結合
を介して、ビオチンコーティングバイオセンサーのキュベットへ固定化させた。
【0037】 共鳴ミラー型バイオセンサー分析:IAsys共鳴ミラー型バイオセンサー(Affin
ity Sensors, Saxon Way, Bar Hill, Cambridge)を用い、固定化NmLOS3,7,9に
対するモノクローナル抗体の結合速度論を決定した。製造業者が記載した方法に
従い、PBS/0.05%(v/v)Tween-20中、25℃における実時間を速度論分析した
。速度論のデータはカーブフィッティングソフトウェア(FASTfit v2.01, Affin
ity Sensors)で分析し、相互作用のプロフィールはFASTplot(登録商標)ソフ
トウェア(Affinity Sensors)で分析した。解離(KOFF)速度は、抗体を高濃
度で相互作用させ、バイオセンサーキュベット内で結合していない抗体濃度を希
釈してゼロにして決定した。KOFF速度及びKASS速度は、様々な時間にわたって
毎秒当たりのアークセコンド(arc second)応答を計算し、平均した。KASS
度は抗体濃度の関数としてプロットし、回帰直線の勾配からKON速度を得た。親
和定数(KA)はKON/KOFFによって、解離平衡定数(KD)はKOFF/KONによ
って、各抗体について計算した。また、KDの概算値は、抗体濃度と抗体の全結
合の程度をフィットさせた曲線によって得た。更にKOFF値の概算値は、KON
と抗体濃度を直線でプロットしたY切片から得た。
【0038】 同様に、ヘプタペプチドライブラリーをバイオパンする為に使用した9-2-L379
の結合速度論は、固定化させたコンセンサスペプチドについて調べた。Tween-20
の濃度はバイオパンニング緩衝液と同じで、PBS中、0.5%(v/v)であった。
【0039】 ヘプタマーペプチドファージ−ディスプレイライブラリーのバイオパンニング
:製造業者(Affinity Sensors)の説明書に従い、スクシンイミドエステル化学
によって、イムノタイプモノクローナル抗体9-2-L379を、カルボキシメチル化デ
キストランでコーティングしたバイオセンサーのキュベット表面に固定化した。
この抗体と反応するペプチドを富化させる為、0.50%(v/v)のTween-20含有PBS
緩衝液中、25℃にて60分間、表面にランダムなヘプタペプチドを発現する2×101 1 個のM13ファージ粒子を固定化抗体と反応させた。表面への非特異的ファージの
結合を低減させる為、高濃度Tweenを使用した。同じPBS/0.5%のTween緩衝液で
、キュベット表面を6回洗浄した。Tris-グリシン緩衝液(pH2.2)を添加し、残
存する結合ファージをキュベット表面から溶出させた。10分後、滅菌済エッペン
ドルフチューブで緩衝液を注意深くピペッティングし、1MのTrisで中和した。回
収したファージ粒子をEscherichia coliに感染させて増幅させ、滴定した。次い
で、第1回のバイオパンに由来する2×1011個のファージ粒子を、前述と同様に
して固定化抗体と反応させた。次いで、第2回目のバイオパンニングに由来する
ファージを増幅させて滴定し、第3回目では、2×1011個のファージ粒子をバイ
オパンニングした。
【0040】 合計3回のバイオパンによりファージを全て単離し、ヘプタペプチドを発現す
るDNA挿入物の領域を配列決定した。
【0041】 ペプチド合成:コンセンサスペプチド配列を同定し、M13ファージタンパク質I
II(Chiron Technologies, Ltd)と付着位置が同じで、C末端位でシステイン結
合を有する1個のペプチド(#12)を合成した。これにより、イムノアッセイ用
のスルフィドリルコーティングELISAプレートへの付着、または動物免疫用キャ
リアタンパク質であるジフテリア毒素CRM197への結合、若しくは共鳴ミラー型バ
イオセンサーキュベット表面へ固定化する為のビオチンへの結合が可能になった
【0042】 マウスの免疫:BALB/cマウス10匹を夫々2つのグループに分け、20μgのコ
ンセンサスペプチド#12;CRM197キャリアに結合させたペプチド;コンセンサス
ペプチドを提示する全M13ファージ;コントロールとして適切な緩衝液+/−CR
M197を用い、皮下投与により免疫した(4週間目に追加免疫した)。免疫はアジ
ュバントを用い、またはアジュバントを用いずに行った。アジュバントとして、
フロイトの完全アジュバント(CFA)を用いるときは第一次免疫で使用し、フロ
イトの不完全アジュバントを用いるときは追加免疫で使用した。4週間後に、免
疫したマウス10匹のうち5匹を放血させ、血清サンプルを得た。残りのマウス5
匹は追加免疫し、6週間目に放血させた。
【0043】 抗体アッセイ:Verheulら(4)の方法に従い、37℃で一晩、精製したNmLOS3,7
,9(2)をコーティングしたマイクロタイタープレート(Nunc, Roskilde,デンマ
ーク)を用い、プールした(マウス5匹)血清サンプルまたは個々の血清サンプ
ル中における交差反応性の抗NmLOS3,7,9の抗体活性を固相イムノアッセイによっ
て決定した。二次抗体(1:2000に稀釈)は、ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウ
スIgGであった。LOS3,7,9に応答する交差反応性血清抗体の量は、log10 OD450
プロットを2倍して得られる幾何学平均値、及び血清稀釈の逆数により算出した
。log10 OD450が−1.0のときの、免疫マウスとコントロールマウスとの間の抗lo
g10血清稀釈の逆数の比は、応答の大きさを表す。
【0044】 競合実験:固定化NmLOS3,7,9と相互反応させる前に、室温で3時間、様々な濃
度の非結合コンセンサスペプチド#12を150nMの9-2-L379抗体とインキュベート
した。ペプチドと固定化LOSが非特異的に相互作用するときのコントロールとし
て、ペプチド#12を9-2-L379とプレインキュベートして観察される相互作用プロ
フィールから、ペプチド#12の結合相互作用プロフィールを引算した。引算は、
Fastplot(登録商標)ソフトウェア(Affinity Sensors)を用いて行った。
【0045】 結果 イムノタイプモノクローナル抗体の結合速度論:4A8-B2及び9-2-L379の親和定
数は4.0×106-1及び1.3×108M-1であり、後者の抗体は、44倍速いKON速度を
有している(5)。9-2-L379はLOS3,7,9に比べて大きな親和性を有するので、本
発明者らは、ランダムなバイオパンニング用ヘプタペプチドライブイラリーとし
て選択した。
【0046】 バイオパンニング実験:バイオパンニング実験のデータにより、いくつかのコ
ンセンサスペプチド配列の存在が明らかになった(表Iを参照のこと)。最初の
研究では、コンセンサスペプチド#12 S~M~Y~G~S~Y~Nに焦点を絞った。
【0047】 コンセンサスペプチド結合の速度論:図1に、固定化コンセンサスペプチド#
12と9-2-L379の結合相互作用を示す。ストレプトアビジン結合を介して、ビオチ
ン結合コンセンサスペプチド#12をビオチンコーティングバイオセンサーのキュ
ベットに固定化した。PBS/0.5%(v/v)のTwen-20中、25℃にて、様々な濃度
のモノクローナル抗体9-2-L379を固定化ペプチドと反応させた。解離(KOFF
速度を決定する為、抗体を固定化ペプチドと相互作用させた後、抗体をゼロ希釈
まで稀釈した。図1中、エラーバーは標準偏差(S.D.)である。共鳴ミラー型分
析で実時間の結合速度論を分析すると、9-2-L379抗体は、3.1(±0.3)×104- 1-1のKON速度、及び0.013(±0.0003)のKOFF速度でコンセンサスペプチド
#12に結合することが明らかになった(図1)。その結果、ペプチド#12に結合
する9-2-L379の親和定数(KA)は2.6(±0.3)×106-1であり、LOS3,7,9イデ
ィオタイプのKAは1.3×108-1であった。
【0048】 競合アッセイ:図2に、抗体9-2-L379を固定化NmLOS3,7,9と相互作用させたと
きの結合を実時間で示す。バイオセンサーキュベット表面に固定化させたLOS3,7
,9と相互作用させる前に予め、室温にて3時間、抗体9-2-L379(130nM)を、50n
M( )、25nM(−)のコンセンサスペプチド#12、または緩衝液(−)のいず
れかとインキュベートした。50nM及び25nMのペプチド#12が相互作用した結合プ
ロフィールを、各9-2-L379+ペプチドの結合プロフィールから引算した。コンセ
ンサスペプチド#12は、固定化NmLOS379に対する9-2-L379抗体の結合相互作用と
競合した(図2)。上記ペプチドと固定化LOSの間にも緩やかな相互作用が見ら
れ、LOS表面で凝集することが明らかになった為、抗体+ペプチドの相互作用プ
ロフィールから引算した。
【0049】 免疫データ:本発明者らは、BALB/cマウスを用いて種々の免疫手法を試みた
が、NmLOS3,7,9に対する有意な交差反応性応答は、フロイトのアジュバント中で
投与されたCRM197結合ペプチド#12で免疫したマウスのみに見られた(図3及び
4)。図3に示す通り、マウスを0日目及び28日目に免疫し、28日目及び42日目
におけるプール血清中のNmLOS3,7,9に対する免疫活性を測定した(左側の図)。
免疫応答の大きさを算出する為、log10プロットを2倍して幾何学平均値を計算
した(右側の図)。記号は以下の通りである。PBS+Adj=リン酸緩衝生理食塩水
+フロイトのアジュバント;CRM+Adj=CRM197+フロイトのアジュバント;pep1
2−DT+Adj=dtCRM197結合ペプチド#12+フロイトのアジュバント;M13-pep12
=表面にペプチド#12を発現するM13ファージ。得られた幾何学平均値を用い、
本発明者らはペプチド及びコントロール(緩衝液+アジュバント)のプール血清
について、同じOD450値を得るのに必要な血清稀釈の逆数を算出した。OD450−1.
0 log10の比は2630:603=4.4であった。ジフテリア毒素(CRM197)+アジュバ
ントで免疫したマウスの場合、NmLOS3,7,9に対する交差反応性の応答は小さく、
有意差はなかった。しかしながら、幾何学平均値は、免疫ペプチドまたはコント
ロール血清のいずれについてもパラレルでなかった(図3、右側の図)。図4は
、2つの実験群におけるプール血清の免疫データを平均したものである。マウス
は、PBS+アジュバント(コントロール)、または20μgのペプチド#12−DTT
+アジュバントのいずれかで免疫した。log10を2倍してプロットすると直線状
データが得られたので幾何学平均値を決定した。エラーバーは平均値の範囲を示
す。
【0050】 図5に、PBS(コントロール;n=7)、またはジフテリア毒素結合ペプチド
#12のいずれか若しくは両方を用い、フロイトのアジュバント存在下で免疫化し
た2つの実験群における各マウス血清の免疫応答を示す。マウスを4週間追加免
疫した後、6週間後に放血させた。バーは各グループの平均値を示す。上記図に
、コントロール、及びペプチド#12−ジフテリア毒素+アジュバントで免疫した
群のマウスから採取し、1:100に稀釈した血清を夫々示す。試験に供した全動物
において、ペプチド#12−DT+アジュバントで免疫感作したときの抗体応答は一
定であり、固相イムノアッセイによる反応性の差は有意に高かった(p<0.0001
):0.19±0.01(平均±SEM;n=7)コントロール;0.35±0.02(平均±SEM;
n=10)。更に4週間追加免疫すると免疫交差反応性は上昇し、コンセンサスペ
プチド#12に対して反応性が増加したのと同じ比率(24%)であった(データは
示さず)。
【0051】 考察 NmLOS3,7,9に対するモノクローナル抗体とバイオパンニングすることにより、
いくつかのコンセンサスペプチドを単離した。この抗体におけるペプチド#12(
S〜M〜Y〜G〜S〜Y〜N)に対する親和定数は2.6×106-1であった。これは、結
合のもっと弱いイムノタイプ抗体4A8-B2の結合(4.0×106-1)に匹敵するもの
である。フロイトのアジュバントの存在下、免疫原としてジフテリア毒素結合ペ
プチド#12を使用すると、NmLOS3.7.9に対する交差反応性ポリクローナル抗体の
応答が有意に見られた。この応答は、試験に供した全ての動物で一定であり、放
血6週間間にわたって維持されており、24%まで上昇した。
【0052】 表I.抗NmLOS3.7.9モノクローナル抗体9-2-L379に対してバイオパンニングを
3ラウンド行った後、M13ファージに提示されるヘプタペプチド
【0053】
【表4】
【0054】 実施例2 序章 実施例1では直鎖状ペプチドについて実験したが、本実施例では、髄膜炎菌LO
Sの構造模倣物(ミモトープ)として作用する環状ペプチドの可能性について研
究した。ランダムな環化ヘプタペプチドを提示するファージライブラリーは、図
6に示す様に2つのシステイン残基間がジスルフィド結合して構造的に拘束され
ているが、このペプチドが、直鎖状ペプチドに比べて優れたミモトープとなるか
どうかを確認する為、バイオパンニングを行った。
【0055】 方法及び結果 環状ペプチドファージ−ディスプレイライブラリーのバイオパンニング:PIII
膜タンパク質(Phd C7C, Biolabs)の遊離N末端でランダムな環状ヘプタペプチ
ドを提示するM13バクテリオファージライブラリーを、マイクロタイターウェル
にコーティングした抗NmLOS mAb 9-2-L379に対してバイオパンニングした。M13
プラークは、抗NmLOS3,7,9 mAb 9-2-L379で4ラウンド富化させ、増殖したE.col
iから採取した。DNAを標準手順で調製し、ファージライブラリーキット(Ph.D-C
7C, New England Biolabs)より提供されたプライマーから配列決定した。各ラ
ウンドのバイオパンニングでは、1011個のファージを固定化mAbと相互作用させ
た。非特異的ファージは、0.5%のTween-20含有中性リン酸緩衝生理食塩水中で
6回リンスして除去した。pH2.2のTris−グリシン緩衝液を添加し、相互作用す
るファージを採取した。Tris(pH8.8)で中和した後、ファージを滴定した後、E
. coli(ER 3257;New England Biolabsによって供給された)をトランスフェク
ションして増幅させた。最初の3ラウンドでマイクロタイターウェルをコーティ
ングする為、50μg/mlのmAb 9-2-L379を使用した。第4ラウンドでは示す通り
、1011個のファージを、mAb濃度を低減させながら相互作用させた。このペプチ
ド配列は、M13ファージのPIIIタンパク質N末端で発現する。図6に、第4ラウ
ンドの富化後に得られた関連性の高い配列(C10)を模式的に示す。残基SWLHQPY
はファージによりランダムに提示されるが、他のものは不変である。システイン
残基間の線はジスルフィド結合をつなぐ共有結合である。
【0056】 表IIに、富化されたファージクローンのペプチド配列を示す。
【0057】
【表5】
【0058】 表II.富化されたファージクローンのペプチド配列 速度論の解析:速度論の解析は、製造業者(Affinity Sensors, Saxon Way, B
ar Hill, Cambridge)が記載した方法に従い、25℃にて、共鳴ミラー型バイオセ
ンサーを用いて行った。具体的にはまず、ストレプトアビジンを、ビオチンでコ
ーティングしたバイオセンサーのキュベットに捕捉し、ビオチニル化ペプチドま
たはNmLOS3,7,9を固定化させた。速度論の解析で使用した緩衝液は0.5%(v/v
)のTween-20含有PBSであり、バイオパンニング用緩衝液と同じである。速度論
のデータはカーブフィッティングソフトウェア(FASTfit v2.01, Affinity Sens
ors)により分析した。KOFF速度(毎秒当たりのアークセコンド応答)は、バイ
オセンサーキュベット中の様々な濃度のmAb 9-2-L379をゼロ濃度まで稀釈するこ
とによって決定した。次に解離平衡定数(Kdiss)は、KOFF速度を平均して算
出した。会合速度定数(Kass)は、mAb濃度の関数としてKON速度をプロット
し、回帰直線の勾配を分析して決定した。図7に、共鳴ミラー型バイオセンサー
で実施した速度論の分析結果を示す。会合速度定数(Kass)は、mAb 9-2-L379
濃度に対するKON速度の勾配から計算した。毎秒当たりの結合相互作用はルーチ
ン的に3回モニターし、このデータを、結合相互作用の一次単相部分(initial
monophasic part)間で平均した。次いで、回帰直線を分析し、データをベスト
フィットさせた。エラーバーは標準偏差を示す。解離平衡定数(KD)はKdiss
/Kassから計算した。表IIIに、天然のLOS3,7,9抗原、及びmAbで同定したコン
センサス環状ペプチド及び直鎖状ペプチドに対する抗NmLOS3,7,9 mAb 9-2-L379
の結合親和定数(KD)を示す。
【0059】
【表6】
【0060】 ファージ粒子の回収:上記方法で、マイクロタイタープレートウェルを抗NmLO
S3,7,9モノクローナル抗体9-2-L379でコーティングした。室温にて60分間、1011 個のファージ粒子を固定化mAbと相互作用させた。相互作用していないファージ
を、0.5%のTween-20含有pH7のリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。次いで、1mg
/mlのBSA含有Tris−グリシン緩衝液(pH2.2)を添加し、相互作用するファージ
を回収した。対数(log)稀釈したファージ懸濁液でE.coli細胞をトランスフェ
クトし、増殖したE.coliのプラーク形成単位を計測することにより、回収したフ
ァージの数を決定した。この結果を図8に示す。
【0061】 ファージ結合アッセイ:環状ヘプタペプチドを発現する抗NmLOS mAb 9-2-L379
で4ラウンド、バイオパンニングした後、C10,B5、C19、B11、及びC22を富化さ
せた。ネガティブコントロールとして、スクリーニングしていないファージライ
ブラリーから環状ペプチドをランダムに採取した(RC)。ファージ結合アッセイ
では、1011個のファージを、抗NmLOS mAb 9-2-L379またはネガティブコントロー
ルのP1.7サブタイプに特異的な抗NmPorin mAbのいずれかと、またはBSAと相互作
用させた。mAbs及びBSAは共に50μg/mlの濃度に調整し、マイクロタイターウェ
ルをコーティングする為に使用した。室温(〜23℃)で60分間、ファージを反応
させた後、非結合ファージを0.5%のTween-20含有pH7のリン酸緩衝生理食塩水
で洗浄した。次いで、1mg/mlのBSA含有Tris−グリシン緩衝液(pH2.2)を添加
し、相互作用するファージを回収した。次に酸性ファージの懸濁液を1MのTris
緩衝液(pH8.8)で中和した。回収したファージの数は、対数稀釈したファージ
でE. coliをトランスフェクションした後、プラーク形成単位を計測することに
よって決定した。エラーバーは標準偏差を示す(n=3)。その結果を図9に示す
【0062】 考察 本実施例において、本発明者らは、髄膜炎菌LOSの構造模倣物(ミモトープ)
として作用する環状ペプチドの可能性を研究した。一連の実験では、ランダムな
環化ヘプタペプチド[これらは、2個のシステイン残基間のジスルフィド結合で
構造的に拘束されている(図6)]を提示するファージライブラリーを、抗NmLO
S mAb 9-2-L379で4ラウンド、バイオパンニングした。各バイオパンニングのラ
ウンド終了後、回収したファージ粒子の数を観察すると増加していた(図8)。
この結果は、9-2-L379 mAbと相互作用する富化されたファージと一致している。
回収したファージクローンのアミノ酸配列は、これまで同定された直鎖状ペプチ
ドよりも大きなコンセンサスペプチドの頻度を示していた。ファージ集団の56%
までもが、一個のペプチド配列:Ala-Cys-Ser-Tryp-Leu-His-Gln-Pro-Tyr-Cys-
(C10;青色のアミノ酸残基はファージDNAでコードされており、ペプチドの環化
を可能にする)で富化されており、他のいくつかのペプチドは、1つまたは2つ
の位置でのみ1個のアミノ酸が置換することにより、コンセンサスペプチドと相
違するだけである(表II)。また、C10配列の頻度が増加したが、これは第4ラ
ウンドで、9-2-L379 mAbの濃度が50μg/mlから0.5μg/mlまで減少し、バイオ
パンニングのストリンジェンシーが上昇した為である(表II)。コンセンサスペ
プチドの特異性を評価する為、ファージの結合を分析した。コンセンサスペプチ
ドを発現するファージクローンを増幅し、1011個のファージ粒子を、固定化9-2-
L379 mAbまたはネガティブコントロールの髄膜炎菌Porinタンパク抗原P1.7に特
異的なサブタイプmAb、またはBSAのいずれかと60分間相互作用させた。更にネガ
ティブコントロールとして、もとのファージライブラリーからファージクローン
をランダムに採取し、mAb9-2-L379、P1.7、またはBSAのいずれかと相互作用させ
た。相互作用していないファージ粒子を中性のpH緩衝液で洗浄し、除去した。次
いで、緩衝液のpHを2.2まで下げて溶出させ、ファージ粒子の数を決定した。コ
ンセンサスペプチドを発現する108から109個のファージ粒子が9-2-L379 mAbと結
合したが、P1.7 mAb及びBSAでは104〜106であった(図9)。同様にランダムな
ペプチドを発現するファージクローンを、mAb 9-2-L379, P1.7抗体、またはBSA
のいずれかと反応させると、約105のファージ力価が得られた(図8)。C10ペプ
チドに対するmAb 9-2-L379の実時間を速度論分析すると、結合親和性は、天然LO
S抗原との親和性と同じであることが明らかになった(図7及び表III)。更に、
環状ペプチドを拘束するジスルフィド結合を低減させると、mAb 9-2-L379との結
合親和性が劇的に低減した(データは示さず)。P1.7サブタイプのmAbでは、測
定可能な結合が観察されなかった。
【0063】 上記ファージの富化、ファージの結合、及び速度論データの結果により、構造
的に拘束されているペプチドは直鎖状ペプチドに比べ、極めて優れたミモトープ
であるという可能性が示唆された。 References 1.Westerink, M.A., Giardina, P., Apicella, M.A., and Kieber-Emmons, T
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7-32
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、モノクローナル抗体と本発明ペプチドワクチン成分の相互作用速度論
の実時間をグラフ化したものである。
【図2】 図2は、モノクローナル抗体がNeiseria meningitidis(髄膜炎菌)の固定化L
OSタンパク質と結合相互作用したときの実時間をグラフ化したものである。
【図3】 図3は、LOS 3,7,9に対するマウス血清の免疫応答を示す。
【図4】 図4は、LOS 3,7,9に対するマウス血清の更なる免疫応答を示す。
【図5】 図5は、LOS 3,7,9に対する各マウス血清の免疫応答を示す。
【図6】 図6は、M13ファージ膜タンパク質PIIIの遊離N末端における環状ヘプタペプ
チドの模式図を示す。
【図7】 図7は、本発明ペプチドがモノクローナル抗体9-2-L379に結合する一次速度定
数を示す。
【図8】 図8は、各ラウンドをモノクローナル抗体でバイオバンニングした後、回収し
たファージ粒子を棒グラフで示す。
【図9】 図9は、様々な環状ヘプタペプチドを用いたファージ結合アッセイで結合した
ファージ粒子を棒グラフで示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年12月29日(2000.12.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C085 AA03 AA38 BA16 BB21 CC07 DD33 DD86 FF13 4H045 AA11 AA30 BA14 BA32 DA86 EA29 EA52

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血清群Bの髄膜炎菌に対するワクチン成分であって、血清群
    Bの髄膜炎菌表面のリポオリゴサッカライドのミモトープを含有するワクチン成
    分。
  2. 【請求項2】 前記ミモトープは、表面のリポオリゴサッカライドに対して
    高い親和性を有するモノクローナル抗体と抗原的に交差反応するものである請求
    項1に記載の成分。
  3. 【請求項3】 前記ミモトープは、ペプチドのエピトープを含有するもので
    ある請求項1または2に記載の成分。
  4. 【請求項4】 前記ペプチドのエピトープは、ペプチドライブラリーを請求
    項2に記載のモノクローナル抗体とスクリーニングすることによって得られるも
    のである請求項3に記載の成分。
  5. 【請求項5】 前記ペプチドのエピトープはヘプタペプチド中に存在するも
    のである請求項3または4に記載の成分。
  6. 【請求項6】 前記ヘプタペプチドは、下記より選択されるものである請求
    項5に記載の成分。 【表1】
  7. 【請求項7】 前記ヘプタペプチドは、SMYGSYNまたはAPARQLPである請求項
    6に記載の成分。
  8. 【請求項8】 前記ミモトープは、オリゴペプチドの非置換直鎖体に比べ、
    構造的に一層拘束されたオリゴペプチドを含有するものである請求項3または4
    に記載の成分。
  9. 【請求項9】 前記オリゴペプチドは環状ペプチドを含有するものである請
    求項8に記載の成分。
  10. 【請求項10】 前記環状ペプチドは、アミノ酸末端が共有結合で互いに結
    合したアミノ酸配列を含む環化部分を含有するものである請求項9に記載の成分
  11. 【請求項11】 前記環化部分はヘプタペプチドを含有するものである請求
    項10に記載の成分。
  12. 【請求項12】 前記ヘプタペプチドは配列SWXHXPYを有し、ここでXは夫
    々、同じかまたは異なるアミノ酸である請求項11に記載の成分。
  13. 【請求項13】 前記ヘプタペプチドは配列SWLHQPYを有するものである請
    求項12に記載の成分。
  14. 【請求項14】 前記オリゴペプチドはACSWLHQPYCを含有するものである請
    求項13に記載の成分。
  15. 【請求項15】 免疫原性を増強する為に、ミモトープにキャリアが結合し
    ている請求項1〜14のいずれかに記載の成分。
  16. 【請求項16】 前記キャリアは免疫原性タンパク質を含有するものである
    請求項15に記載の成分。
  17. 【請求項17】 前記表面のリポオリゴサッカライドのミモトープは多数存
    在し、各ミモトープは同じかまたは異なるものである請求項1〜16のいずれか
    に記載の成分。
  18. 【請求項18】 前記多数のミモトープは互いに結合している請求項17に
    記載の成分。
  19. 【請求項19】 前記血清群Bの髄膜炎菌はNeisseria meningitidis(髄膜
    炎菌)である請求項1〜18のいずれかに記載の成分。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれかに記載の成分及びアジュバント
    を含有するワクチン。
  21. 【請求項21】 血清群Bの髄膜炎菌に対するワクチン成分を生産する方法
    であって、該方法は、 候補となるミモトープを含むミモトープライブラリーを、モノクローナル抗体
    でスクリーニングする工程、及び モノクローナル抗体に対して高い親和性を有する少なくとも1つのミモトープ
    候補を選択する工程を包含し、 ここで、該モノクローナル抗体は、血清群Bの髄膜炎菌表面のリポオリゴサッ
    カライドに対して高い親和性を有するものである方法。
  22. 【請求項22】 前記ミモトープはペプチドのエピトープを含有するもので
    ある請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記ミモトープライブラリーは、候補となるペプチドを含
    むペプチドライブラリーを含有するものである請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 候補となる各ペプチドはヘプタペプチドである請求項23
    に記載の方法。
  25. 【請求項25】 候補となる各ペプチドは環状ペプチドを含有するものであ
    る請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 免疫原性を増強する為、更に、モノクローナル抗体に対し
    て高い親和性を有するミモトープ候補の少なくとも一つにキャリアを結合させる
    工程を包含するものである請求項21〜25のいずれかに記載の方法。
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