JP2002527060A - 多様性を生み出す方法 - Google Patents

多様性を生み出す方法

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    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL

Abstract

(57)【要約】 本発明は、特定の核酸領域の指令された構成的超突然変異が可能な、抗体産生細胞系の調製法に関する。該方法は、a)V遺伝子の多様性についてクローン性細胞集団をスクリーニングし、b)V遺伝子の多様性を示す1個以上の細胞を単離し、選択した細胞のV遺伝子と他の遺伝子における突然変異の蓄積率を比較し、c)V遺伝子の突然変異率が他の遺伝子の突然変異率を上回る細胞を選択することを、含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、抗体産生細胞の天然の体細胞超突然変異能を利用することにより、
遺伝子または遺伝子産物における多様性を生み出す方法、ならびに、特定の遺伝
子産物における多様性を生み出すことができる細胞系に関する。
【0002】 遺伝子産物における多様性を生み出す多くのin vitro手法は、非常に多数の突
然変異体を作製した後、それを強力な選択技法を用いて選択することを基本にし
ている。例えば、ファージ展示法は、展示されたタンパク質の選択を可能にする
媒体を提供することで、大きな成功を納めている(Smith、1985; Bass ら、1990
;McCafferty ら、1990;総説にはClacksonおよびWells、1994を参照のこと)。
同様に、lacリプレッサーであるLac1のC末端に結合したペプチドの大規模のライ
ブラリーを用いるアフィニティー選択により、受容体への結合について特異的な
ペプチドリガンドが選択されている(Cull ら、1992)。該リプレッサータンパク
質は、大腸菌で発現させると、プラスミド上のlacオペレーター配列に結合する
ことにより、物理的にそのリガンドとそれをコードするプラスミドを連結する。
さらには、新生ペプチドがリボソームを介してそれらをコードするRNAに物理的
に結合する完全にin vitroのポリソーム展示システムも公知である(Mattheakis
ら、1994)。
【0003】 in vivoにおいては、免疫グロブリンV、DおよびJの遺伝子セグメントの連
結を含むDNAの再編成過程により、抗体の特異性の主なレパートリーが作られる
。マウスおよびヒトにおいては、抗原との遭遇につづいて、抗原により誘起され
たB細胞の再編成されたV遺伝子は、多様化の第二波を受け、この時には、体細
胞超突然変異によるものである。この超突然変異によって、第二次レパートリー
が生成し、そこから適した結合特異性を選択できるので、液性免疫応答の親和性
の成熟が起こる。
【0004】 これまでの人工的選択システムは、最初の突然変異および選択への比重が大き
く、天然の抗体に起こるV-D-J再編成の最初の段階と、概念としては類似して
おり、遺伝子産物である突然変異体の「固定された」レパートリーが作製され、
そこから、所望の活性を有する遺伝子産物が選択されうる。
【0005】 in vitroにおけるRNAの選択および進化(Ellington およびSzostak, 1990)は、
SELEX(指数的富化によるリガンドの体系的進化; systematic evolution of lig
ands by exponential enrichment)と呼ばれることがあるが(TuerkおよびGold、
1990)、これは結合性および化学的活性の双方に対して選択が可能であるが、た
だし、核酸に関してのみである。結合性についての選択の場合、核酸のプールを
固定化基質とインキュベートする。非結合物を洗い流し、結合物を遊離させ、増
幅させ、より優れた結合配列を富化するために、全工程を反復ステップで繰り返
す。この方法は、触媒性RNAおよびDNAの単離を可能にするように適合させること
もできる(Green およびSzostak、1992;総説はChapmanおよびSzostak、1994;Jo
yce、1994;Goldら、1995;Moore、1995)。このように、SELEXは、所望の活性を
向上させるためにステップの循環が可能であるが、その範囲は核酸の調製に限ら
れる。
【0006】 しかし、天然の免疫系とは異なり、人工的選択システムは、どのような「親和
性の成熟」の形態にも、またはレパートリーの生成および開発の循環的ステップ
にもあまり適していない。その理由の一つには、分子内の所望の領域を狙って突
然変異を起こすことが困難であり、突然変異および選択を続いて繰り返しても、
活性の増大した分子の十分に効率的な単離にはつながらないということが挙げら
れる。
【0007】 天然の抗体産生における親和性の成熟化の際に起こる体細胞超突然変異の過程
についてわかっていることの多くは、in vivoでの超突然変異の際に生じた突然
変異体の解析から得られたものである(総説として、NeubergerおよびMilstein、
1995;WeillおよびRaynaud、1996;Parham、1998を参照のこと)。これらの突然
変異体のほとんどは、段階的に導入された1ヌクレオチド置換物である。それら
は、特有の多発部位は有するものの、再編成されたV領域を超えて散在しており
、該置換は、塩基置換における偏りを示す。胚中心でB細胞が増える際(他の、
B細胞の分化および増殖の段階ではない)に突然変異体が大幅に蓄積して、超突
然変異段階にV遺伝子内にヌクレオチド置換が導入される確率は、1世代あたり1
0-4および10-3/bpと推定される。
【0008】 リンパ球系の細胞系により超突然変異を調べる簡便な系が得られるという可能
性が、以前は考えらていた(CoffinoおよびScharff,1971;Adetugboら、1977;Br
uggemannら、1982)。調査対象の細胞系におけるV遺伝子突然変異の確率が、十
分高く、機能しうるアッセイを提供するだけでなく、突然変異が、腫瘍の多くに
関連する特徴である突然変異率の一般的な増加を反映するのではなく、真に局所
的な抗体の超突然変異機構により生じることを証明できることが重要であるのは
、明らかである。突然変異に関する広範な研究は、マウスプレB細胞系およびプ
ラズマ細胞種細胞系において、VH内の終止コドンの回復(recover)を観察する
ことでなされてきた(Wablら、1985;Chuiら、1995;Zhuら、1995;Greenら、199
8(総説))。他に、発現したV遺伝子を直接配列決定するという方法により、数種
の濾胞性リンパ腫、バーキット(Burkitt)およびホジキン(Hodgkin)リンパ腫では
、最初の形質転換の現象の後VH遺伝子の多様化が持続しうるということが示唆
された(BahlerおよびLevy、1992;Jainら、1994;Chapmanら、1995および1996、
Braeuningerら、1997)。直接配列決定により、クローン化濾胞性リンパ腫細胞系
の低い突然変異発生率も示され、VHの多様化はin vitroにおいても持続すると
いう議論を呼んだ(Wuら、1995)。天然の抗体の多様化に見られる指令された超突
然変異は、V遺伝子に集中しており、異なった系列に由来する多くの腫瘍細胞系
で述べられている一般的な突然変異感受率とは対照的であるが、上記に示した細
胞系における構成的な突然変異に関する報告では、そこで認められた突然変異は
、天然の抗体の多様化に見られる指令された超突然変異の結果であるという証明
を提示するものはない。
【0009】 最近、Denepouxら(1997)によって、細胞を抗免疫グロブリン抗体および活性化
T細胞の存在下で培養することにより、細胞系において超突然変異が誘導された
。しかし、観察された超突然変異は、誘導されたとは述べられたが、構成的とは
述べられていなかった。
【0010】発明の概要 本発明の第一の態様では、標的核酸領域の指令された構成的超突然変異が可能
なリンパ球系の細胞系の調製方法を提供することがあり、進行中の標的配列の多
様化に対して細胞集団のスクリーニングを行い、標的の核酸の突然変異率が他の
核酸の突然変異率を100培以上超えている細胞を選択することを含む。
【0011】 本明細書で用いる、用語「指令された構成的超突然変異」は、内因性DNAまた
はトランスジーンの1つ以上の特定の部分の核酸配列の変換を構成的な様式で、
外部刺激を必要とせずに起こす特定の細胞系の能力をいい、こうした能力は、本
明細書中に記載の実験において初めて観察された。指令された構成的超突然変異
が可能な細胞では、内因性DNAあるいはトランスジーンの特定部分以外の配列は
、バックグランドの突然変異率を上回る突然変異率を示さない。
【0012】 用語「標的核酸領域」とは、指令された構成的突然変異を受ける本発明の細胞
内の核酸配列または領域をいう。標的核酸は、細胞にとって同種または異種であ
りうるような遺伝子産物をコードする1つ以上の転写ユニットを含んでよい。典
型的な標的核酸領域は、免疫グロブリン産生細胞に見られるような免疫グロブリ
ンV遺伝子である。これらの遺伝子は、対象となる遺伝子座への超突然変異を指
令する、超突然変異リクルーティングエレメント(hypermutation-recruiting el
ement;下記にさらに記載)の影響下にある。例えば、超突然変異リクルーティン
グエレメントを含む遺伝子座内のV遺伝子の転写ユニットを所望のほかの転写ユ
ニットと置換するか、または、超突然変異リクルーティングエレメントを含む人
工的な遺伝子を構築することにより、他の標的核酸配列を構築できる。
【0013】 用語「超突然変異」は、バックグラウンドを上回る突然変異率での細胞内の核
酸の突然変異をいう。好ましくは、超突然変異は、1世代あたり10-5と10-3/bpの
間の突然変異率のものをいう。これは、1世代あたり10-9〜10-10/bpのオーダー
であるバックグラウンドの突然変異率(Drakeら、1988)、およびPCRにおいて見ら
れる自然発生的突然変異率を大きく上回る。Pfuポリメラーゼを用いて30サイク
ル増幅すると、PCR産物中には、<0.05X10-3個/bpの突然変異が生じ、そうする
と、観察される突然変異の100分の1未満に当たる(Lundbergら、1991)。
【0014】 超突然変異は、免疫グロブリン可変鎖(V)遺伝子の自然発生に関わっている。
従って、本発明において、細胞系は、少なくともひとつの免疫グロブリンV遺伝
子を産生可能な免疫グロブリン産生細胞系が好ましい。V遺伝子は、可変部軽鎖
(V)遺伝子でも、可変部重鎖(VH)遺伝子でもよく、完全な免疫グロブリン分
子の一部として産生される;また、抗体、T細胞受容体、または免疫グロブリン
スーパーファミリーのほかのメンバー由来のV遺伝子でもよい。免疫グロブリン
スーパーファミリーのメンバーは、免疫系(例えば、抗体、T細胞受容体分子、
等)における広範な役割、細胞接着(例えば、ICAM分子)、および細胞内シグナル
伝達(例えば、PDGF受容体のような受容体分子)への関与を含めて、in vivoに
おける細胞性および非細胞性の相互作用の多くの側面に関与している。しかるに
、本発明の好ましい細胞系は、B細胞に由来するものである。本発明においては
、V領域遺伝子に超突然変異を起こす能力を維持しているが他の遺伝子には超突
然変異を起こさない抗体産生B細胞由来の細胞系を単離できることを明らかにし
た。
【0015】 好ましい実施形態においては、本発明の細胞は、in vivoで超突然変異を起こ
す細胞に由来するか、または関係する。in vivoで超突然変異を起こす細胞は、
例えば、B細胞のような、免疫グロブリン発現細胞である。Ig発現細胞性の腫瘍
であるリンパ腫細胞は、本発明の構成的超突然変異を起こす細胞系を単離するた
めの、特に優れた候補である。
【0016】 本明細書に用いる、用語「進行中の標的配列の多様化についてスクリーニング
する」とは、試験する細胞系の標的核酸領域における超突然変異の存在を決定す
ることをいう。これは、直接的配列決定、または、MutSアッセイ(Jollyら、199
7)あるいは免疫グロブリン欠失変異体の生成をモニタリングするなどの間接的
な方法を含む、様々な方法で実施できる。この過程により選択される細胞は、標
的配列の多様化を示す細胞である。
【0017】 本発明の方法による選択に供する細胞集団は、さまざまなタイプの細胞および
/またはさまざまな標的配列を含有する、ポリクローナルな集団でも、あるいは
クローン性の(モノクローナルな)細胞集団でもよい。
【0018】 クローン性の細胞集団は、単一のクローンに由来する細胞から成る集団であり
、細胞は、そこに存在する突然変異を除いては同一である。クローン性の細胞集
団の使用は、V遺伝子の超突然変異を誘導する目的で、ほかの細胞型(活性化T
細胞など)との共培養を排除することが好ましい。
【0019】 本発明の細胞は、超突然変異を起こすための誘導ステップの使用には依らない
【0020】 本発明でスクリーニングされるクローン性の細胞集団は、B細胞から由来する
ことが好ましい。バーキットリンパ腫細胞系、濾胞性リンパ腫細胞系、またはび
まん性大細胞型リンパ腫の細胞系などのリンパ腫細胞系が有利である。
【0021】 好ましくは、本発明の方法はさらに、標的配列の多様化を示す1個以上の細胞
を単離するステップ、および、単離した細胞の標的配列での突然変異の蓄積率を
非標的配列での蓄積率と比較するステップを含む。
【0022】 本発明の特徴は、超突然変異は特定の(標的の)核酸領域にのみ指令され、一
般的にはこれらの領域以外には認められないことである。従って、特異性は、本
発明の方法の一部として、標的配列以外の配列の突然変異率をアッセイすること
によりアッセイできる。特定の超突然変異を受けない他の任意の核酸領域も使用
できるが、自然には超突然変異を受けないC領域遺伝子は、このような技法にお
いて有利に使用できる。超突然変異は配列に依存しないので、比較のために選ば
れる核酸領域の実際の配列は重要ではない。しかし、それが、後述するような超
突然変異を指令する制御配列に支配されてはならない。便利なことに、バックグ
ラウンドの突然変異は、例えばHPRT遺伝子座などでの変動分析により算定できる
(LuriaおよびDelbreck、(1943);CapizziおよびJameson、(1973)参照のこと)
【0023】 標的領域の突然変異が非標的領域の突然変異を上回る細胞は、本発明に従う特
定の核酸領域の指令された構成的超突然変異が可能な細胞である。V領域遺伝子
突然変異が、他の遺伝子の突然変異を上回る係数は様々であるが、一般的には、
少なくとも102、有利には、103、好ましくは104以上のオーダーである。
【0024】 全体的な突然変異率および多様性は、例えば、突然変異原の投与または配列を
修飾する遺伝子(末端デオキシヌクレオチジル転移酵素(TdT)など)の発現によ
り、増加しうる。しかし、このような方法では、超突然変異とバックグラウンド
との差の増大が期待できない。
【0025】 本発明の第二の態様においては、 a)本発明の第一の態様による細胞集団において、超突然変異を指令する核酸に機
能的に連結された、遺伝子産物をコードする核酸を発現させ; b)該細胞集団の中で、所望の活性を有する変異遺伝子産物を発現する1個以上の
細胞を同定し;そして c)ステップb)で同定した細胞から、1種以上のクローン性の細胞集団を確立し、
該クローン性細胞集団から、所望の活性の増大を有する遺伝子産物を発現する細
胞を選択する; ステップを含む、所望の活性を有する遺伝子産物を調製する方法が提供される。
【0026】 上記のa)の細胞集団は、本発明の第一の態様における方法で、V領域遺伝子の
構成的超突然変異が可能であると同定された細胞を含む、クローン性あるいはポ
リクローナルな細胞集団に由来するものである。したがって、その遺伝子産物は
、内因性の免疫グロブリンポリペプチド、操作された内因性遺伝子により発現す
る遺伝子産物、または、体細胞超突然変異を指令する制御配列に機能的に連結さ
れた異種転写ユニットにより発現する遺伝子産物であってよい(下記にさらに記
載する)。
【0027】 本発明の細胞内で発現され、超突然変異を受ける核酸は、内因性V領域のよう
な内因性領域でも、または本発明の細胞系内に挿入された異種領域でもよい。こ
れは、例えば、超突然変異を指令する内因性の制御配列を維持しつつ異種V領域
のような異種の転写ユニットで内因性のV領域を置換するという形態、または、
超突然変異を指令する自身の制御配列の支配下にある異種転写ユニットを、細胞
内に挿入する形態をとりうる。この場合、転写ユニットは、V領域遺伝子または
他の所望の遺伝子産物をコードしてよい。本発明の核酸についてはさらに詳細に
後述する。
【0028】 上記のb)のステップにおいて、細胞を、所望の遺伝子産物の活性についてス
クリーニングする。例えば免疫グロブリンの場合は、これは結合活性でよい。酵
素活性などの他の活性についても、適切なアッセイ方法を用いて測定できる。遺
伝子産物が細胞表面に提示される場合は、細胞表面のその活性を検出する(蛍光
によるか、または該表面遺伝子産物を介する基板への細胞の固定化による、など
)することにより、所望の活性を産生する細胞を単離できる。増殖培地中に活性
が分泌される場合、または、個々の細胞においてではなく、細胞培養物全体にお
いてのみ測定可能な場合は、所望の活性を有する遺伝子産物を分泌する細胞を特
定できる確率を増すために、ステップa)で得たクローン集団を多数、確立してお
くのが得策である。使用する選択システムが細胞の増殖能および突然変異能に影
響しないことが、有利である。
【0029】 好ましくは、この段階(およびステップc)で、より優れた、増大した、また
はより多くの所望の活性を有する遺伝子産物を発現する細胞を選択する。このよ
うな活性とは、例えば、特定のリガンドに対するより高いアフィニティ結合活性
、またはより効果的な酵素活性などである。したがって、該方法は、所望の活性
の定性的および/または定量的な測定に基づく細胞の選択を可能にする。
【0030】 本発明の第三の態様では、所望の活性を有する遺伝子産物の調製における、特
定の核酸領域の、指令された構成的超突然変異が可能である細胞の使用を提供す
る。
【0031】 本発明の使用においては、細胞内で超突然変異を指令する制御配列に、所望の
活性を有する遺伝子産物をコードする核酸を機能的に連結する。従って、細胞は
代々にわたり、その核酸配列の突然変異をもたらし、それを本発明の方法により
スクリーニングし、有利な特性を有する突然変異体を単離する。
【0032】詳細な説明 本発明は、選択された核酸領域に構成的に超突然変異を有する細胞系を初めて
利用可能にするものである。このことにより、天然の抗体産生における親和性の
成熟を反映する技法によって変異遺伝子産物を作製する系を設計することが可能
になる。Ramos Burkitt細胞系は、in vitro培養において、その再編成した免疫
グロブリンV遺伝子において構成的に多様化する。この超突然変異は、活性化T
細胞による刺激、サイトカインの外来性の添加、またはB細胞抗原受容体の維持
も必要としない。
【0033】 突然変異率(1世代あたり0.2〜1X10-4/bpの範囲内にある)が十分高いため、非
選択的な突然変異の大規模なデータベースの累積が容易にできるので、Ramosに
おける超突然変異は、in vivoにおける免疫グロブリンのV遺伝子における超突
然変異に関連する典型的な特性のほとんど(V遺伝子を優先的に突然変異の標的
にする;1ヌクレオチド置換の段階的累積;転移の偏在、特徴的突然変異多発部
位)を示すことが明らかになる。非選択性データベースにおける突然変異の大多
数は、1ヌクレオチド置換であるが、欠失および重複(隣接するヌクレオチドの置
換を伴う場合もある)も検出される。このような欠失および重複は、in vivoにお
ける超突然変異の結果として生じると提唱されてきた(Wilsonら、1998;Goosens
ら、1998;WuおよびKaartinen、1995)。
【0034】 選択された核酸領域に構成的に超突然変異を有する細胞の単離は、B細胞のよ
うな抗体産生細胞由来の細胞系におけるV遺伝子の突然変異のモニタリングに基
づいている。本発明において使用する選択方法は、多くの手段により構成されう
る。
【0035】超突然変異細胞の選択 標的配列の配列決定、発現欠失突然変異による選択、細菌性MutSタンパク質を
用いるアッセイ、および遺伝子産物の活性の変化による選択を含む、多く技法に
より、細胞集団から超突然変異細胞を選択しうる。
【0036】 標的核酸における超突然変異の特徴の一つは、該過程が、超突然変異がない場
合に認められる頻度よりかなり高頻度で、標的配列への終止コドンの導入をもた
らすことである。この結果、細胞からの遺伝子産物の産生が失われる。核酸配列
に超突然変異を有する細胞を同定するのに、この消失を利用できる。
【0037】 本発明の好ましい実施形態では、標的核酸は免疫グロブリンをコードする。免
疫グロブリンの欠損は、培養培地中に免疫グロブリンを分泌する細胞、および細
胞表面に免疫グロブリンを提示する細胞の双方において検出可能である。免疫グ
ロブリンが細胞表面に存在する場合は、例えばFACS分析、免疫蛍光による鏡検、
または支持体へのリガンドの固定化などにより、個々の細胞についてその消失を
確認できる。好ましい実施形態では、抗原でコートした磁気ビーズと細胞を混合
して、沈降させて、細胞表面に提示された所望の特異性を持つ免疫グロブリンを
有するすべての細胞を細胞懸濁液から取り出すことができる。
【0038】 抗体、T細胞受容体などを含むあらゆる免疫グロブリン分子に対して、該技法
を拡大適用できる。免疫グロブリン分子の選択は、本発明のアッセイを必要とす
る細胞のクローン性集団の性質に依存するであろう。この過程は処理量を増加さ
せるために自動化してもよい。
【0039】 あるいは、V遺伝子のような標的核酸の配列決定、および配列を比較して突然
変異を検出することにより、本発明の細胞を選択できる。
【0040】 更なる実施形態では、クローン性細胞集団で産生される免疫グロブリンの抗原
結合活性における変化を測定することにより、V遺伝子において超突然変異を有
する細胞を検出できる。たとえば、細胞で産生される特定の結合活性を担持する
免疫グロブリンの比率を決定するために、細胞培地または抽出物の一定単位量あ
たりの結合した抗原の量を評価してもよい。V遺伝子が突然変異しているので、
結合活性は変化しており、特異抗原に結合する、産生された免疫グロブリンの比
率は減少しているであろう。
【0041】 あるいは、類似の方法で、最初は結合しない抗原およびそのような抗原の混合
物に暴露し、超突然変異の結果として結合親和性が生じているかどうかをモニタ
リングするなどにより、新規の結合親和性を発達させる能力に対して細胞を評価
してもよい。
【0042】 更なる実施形態においては、細菌性MutSアッセイを用いて標的核酸における配
列の変化を検出する。MutSタンパク質は、核酸ハイブリッドにおけるミスマッチ
に結合する。親細胞の核酸と突然変異を有する可能性のある子孫細胞の核酸とで
ヘテ二本鎖を形成させて、ミスマッチ形成の程度、すなわち核酸突然変異の程度
を評価できる。
【0043】 標的核酸が免疫グロブリン以外の遺伝子産物をコードする場合、結合以外の機
能の欠失または変化をスクリーニングすることにより、選択は実施できる。たと
えば、酵素活性の欠失や変化をスクリーニング可能である。
【0044】 標的配列の超突然変異を有する細胞を、他の核酸領域における突然変異ついて
評価する。アッセイに好都合な領域は、免疫グロブリン遺伝子の定常(C)領域で
ある。C領域は、本発明の指令された超突然変異を受けない。C領域の評価は、
配列を決定して比較することにより行うのが好ましい。その理由は、この方法が
、突然変異がないことを判定するのに、最も確実な方法であるからである。しか
し、例えば、超突然変異による影響を受けない補体結合などのC領域活性の維持
をモニタリングするというような、他の技法を利用してもよい。
【0045】内因性遺伝子産物の適応 免疫グロブリンV領域遺伝子のような、内因性遺伝子を構成的に超突然変異す
る細胞系を得たことで、本発明は、新規の特性を有する遺伝子産物を産生するた
めに、超突然変異による内因性遺伝子産物の適応を提供する。例えば、新規の結
合特異性または、結合親和性の変化を有する免疫グロブリンの産生を、本発明は
提供する。
【0046】 自然界では、超突然変異の過程によって、免疫グロブリン分子に改良された、
または新規の結合特異性が付与される。したがって、所望の抗原に結合可能な免
疫グロブリンを産生する本発明の細胞を選択した後、さらなる突然変異体の発生
を可能にするために、これらの細胞を増殖させることで、所望の抗原に対する結
合性が改良された免疫グロブリンを発現する細胞を単離できる。
【0047】 所望の特異性を有する突然変異体の単離に、さまざまな選択過程を適用しても
よい。蛍光活性化細胞ソーティング(Fluorescence Activated Cell Sorting)(FA
CS)、磁気粒子を用いた細胞分離、抗原クロマトグラフィー法、およびポリスチ
レンビーズの使用などの他の細胞分離技術がこれらに含まれる。
【0048】 磁気による捕捉を用いる細胞分離は、対象の抗原を磁気粒子または磁気ビーズ
に結合させることにより行う。例えば、Miltenyi Biotec GmbHから供給されてい
るような超常磁性の鉄-デキストラン粒子またはビーズに、抗原が結合できる。
その後、結合したこれらの粒子またはビーズは、多様な表面免疫グロブリンを発
現しうる細胞集団と混合する。特定の細胞がその抗原に結合可能な免疫グロブリ
ンを発現する場合は、この相互作用により磁気ビーズにその細胞が集合する。磁
気粒子を固定化するために、磁場を懸濁液に与え、粒子に共有結合した抗原を介
して結合している細胞を担持させる。ビーズに結合していない非結合細胞は洗い
出され、対象の抗原への結合能力により単離された細胞だけの集団が残る。この
ような単一工程の単離を実施するための試薬およびキットは、様々な供給元から
入手可能である。Dynal Biads (Dynal As; http://www.dynal.no)、MACS-Magnet
ic Cell Sorting (Miltenyi Biotec GmbH; http://www.miltenyibiotec.com.)、
CliniMACS(AmCell;http://www.amcell.com.)、ならびにBiomag Amerlex-M ビー
ズなどがこれに含まれる。
【0049】 蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)は、例えば、表面に提示された免疫グロ
ブリンのような、それぞれ異なる表面分子に基づいて細胞を単離するのに用いら
れる。ソーティングされるサンプルまたは集団の細胞は、細胞表面分子に結合す
る特殊な蛍光試薬で染色する。これらの試薬は、フルオロセイン、テキサスレッ
ド、マラカイトグリーン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、または当技術分野で公知
である他の任意の蛍光団などの蛍光マーカーを、対象の抗原に結合させる(直接
的でも間接的でもよい)。その後、細胞集団をFACS装置の振動フローチャンバー
に入れる。チャンバーから細胞を流出させ、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)のよ
うな液体バッファーの入ったシースに受ける。その流路をレーザー光で照射し、
蛍光標識化抗原の結合を示す蛍光を各細胞について測定する。細胞流路の振動に
より、小さな電荷を帯びた水滴となる。コンピューター制御下の電気偏向板によ
りこれらの水滴の方向が決められ、蛍光標識された抗原に対する親和性によって
、異なる細胞集団が回収される。このようにして、対象の抗原に異なった親和性
を示す細胞集団が、抗原に結合しない細胞から容易に分離できる。FACSに用いる
FACS装置および試薬は、Becton-Dickinsonなどの世界中の供給元、またはArizon
a Research Laboratories (http://www.arl.Arizona.edu/facs/)などのサービス
提供元から、広く入手可能である。
【0050】 細胞表面タンパク質の特定の抗原に対する親和性によって細胞集団を分離する
ために使用できる別の方法は、アフィニティークロマトグラフィーである。この
方法では、適当な樹脂(例:CL-600セファロース、Pharmacia Inc)が適切な抗
原に共有結合する。この樹脂をカラムに充填し、細胞の混成集団をカラムに通す
。適当な時間(例えば、20分)インキュベートした後、結合しない細胞は、(例
えば)PBSバッファーを用いて洗い流す。これにより、対象の抗原に結合した免疫
グロブリンを発現する細胞からなる部分集団のみが残り、これらの細胞を、過剰
量の対象の抗原を用いるか、または酵素的あるいは化学的に樹脂から抗原を切り
離すことにより、カラムから溶出させる。ここでは、ファクターX、スロンビン
、または他の当技術分野で公知の特定のプロテアーゼなど特異的プロテアーゼを
用いて、抗原-樹脂複合体に予め組み込まれている適切な切断部位で抗原をカラ
ムから切り離すことが可能である。あるいはまた、トリプシンのような、非特異
的プロテアーゼを用いて、抗原を樹脂から切り離し、対象の抗原に対する親和性
を呈する細胞集団を遊離できる。
【0051】異種転写ユニットの挿入 所定の任意の抗原に結合できる様々な抗体を迅速に選択できる可能性を最大に
するため、または、免疫グロブリン以外の遺伝子に超突然変異のシステムを利用
するために、多くの技法を用いて本発明の細胞を操作し、該細胞の超突然変異能
を利用できるようにしてよい。
【0052】 最初の実施例では、トランスジーンを本発明の細胞にトランスフェクトして、
該トランスジーンが指令された超突然変異現象の標的となるようにする。
【0053】 本明細書で用いる用語「トランスジーン」は、トランスフェクトまたは形質導
入などにより、細胞内に挿入された核酸分子のことである。例として、「トラン
スジーン」は、上述の異種転写ユニットを含んでもよく、細胞のゲノムの所望の
位置に挿入されうる。
【0054】 細胞へのトランスジーンの送達に用いるプラスミドは、通常の構築により作製
され、プロモーター支配下に所望の遺伝子産物をコードする塩基配列を含む。ポ
リオウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、ウシパピローマウイルス、トリ
サルコーマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルス、およびシ
ミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノム由来のプロモーター、アクチ
ンプロモーターまたは極めて強いプロモーター(例えば、リボゾームタンパク質
プロモーター)などの異種哺乳動物由来のプロモーター、および宿主系と互換性
のあるプロモーターであれば、その異種コード配列と通常結合しているプロモー
ターにより、本発明の細胞内でのベクターからの遺伝子の転写を調節できる。
【0055】 本発明の細胞による異種コード配列の転写は、ベクターへのエンハンサーの導
入により増大しうる。エンハンサーは比較的、方向および位置に関係なく機能す
る。哺乳類遺伝子(例えば、エラスターゼおよびグロビン)由来のエンハンサー配
列が多く知られている。しかし、典型的には、真核細胞ウイルスに由来するエン
ハンサーが用いられるであろう。複製方向性の後期遺伝子側にあるSV40エンハン
サー(bp100〜270)およびCMV初期プロモーターのエンハンサーがその例として挙
げられる。エンハンサーは、コード配列の5’または3’末端の位置でベクターに
連結されうるが、プロモーターから5’側に位置することが好ましい。
【0056】 有利なことに、真核生物発現ベクターは、遺伝子座調節領域(LCR)を含んで
もよい。LCRは、組み込まれた部位とは無関係に、宿主細胞クロマチンに組み込
まれたトランスジーンの高レベルの発現を指令できる。このことは、遺伝子治療
に適用するために設計されたベクターまたはトランスジェニック動物において、
ベクターのクロマチンへの組込まれる恒常的なトランスフェクトを受けた真核細
胞系のもとで異種コード配列を発現する場合に特に重要である。
【0057】 真核細胞発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に不可欠な配列
を含むであろう。このような配列は、通常、真核細胞またはウイルスのDNAある
いはcDNAの5’および3’の非翻訳領域から得られる。これらの領域は、mRNAの非
翻訳部分のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む
【0058】 発現ベクターは、プロモーター領域などの制御配列に機能的に連結した、所望
の遺伝子産物をコードするコード配列の発現が可能である、すなわち、そのよう
なDNAを発現できる、任意のベクターを含む。したがって、発現ベクターとは、
適切な宿主細胞に導入されるとクローン化されたDNAを発現させる組換えDNAまた
はRNA構築物(プラスミド、ファージ、組換えウイルス、または他のベクターな
ど)をいう。適切な発現ベクターは当技術分野では周知であり、真核および/ま
たは原核細胞において複製可能なもの、およびエピソームとして維持されるか、
または宿主細胞ゲノムに組込まれるものを含む。例えば、異種コード配列をコー
ドするDNAは、哺乳動物細胞内でのcDNAの発現に適したベクター(例えばpEVRFな
どのCMVエンハンサーを基にしたベクター (Matthiasら、1989))に挿入される場
合もある。
【0059】 本発明のベクターの構築には、従来のライゲーション技術を用いた。単離した
プラスミドまたはDNA断片を切断し、作りかえて、所望の形で再び連結して、必
要とするプラスミドを作製する。所望の場合は、構築したプラスミド中の配列が
正確であることを確認するための解析を既知の方法で実施する。発現ベクターの
構築方、in vitro転写産物の調製、宿主細胞へのDNAの導入、および遺伝子産物
の発現および機能を調べるための解析の実施における適切な方法は、当技術分野
では公知である。適切に標識化した本明細書に示している配列に基づくプローブ
などを用いて、従来のサザンブロット、mRNAの転写を定量するためのノーザンブ
ロット、ドットブロット(DNAまたはRNAの分析)、またはin situハイブリダイゼ
ーションなどにより、遺伝子の存在、増幅、および/または発現を、サンプル中
で直接測定できる。当技術分野の熟練者は、所望ならば、これらの方法を改変す
る方法を容易に思いつくであろう。
【0060】 第一の実施形態の一つの変法では、本発明のトランスジーンは、超突然変異を
指令する配列も含む。このような配列は、すでに特性解析されており、本明細書
に参照として組込まれるKlixら(1998)、およびSharpeら(1991)において公開され
ている配列を含む。すなわち、遺伝子産物の発現、および遺伝子産物をコードす
る転写ユニットでの超突然変異の指令が可能な遺伝子座全域が、細胞に移入され
る。従って、転写ユニットおよび超突然変異を指令する配列は該細胞にとって外
因性である。しかし、外因性であっても、自身の超突然変異を指令する配列は、
細胞内で自然に見られる超突然変異を指令する配列と、類似または同一でありう
る。
【0061】 第二の実施形態では、例えば、Lox/Creシステムもしくは類似の技術を用いる
相同組換えまたは遺伝子ターゲッティングなどにより、あるいは自然発生的に内
因性V遺伝子を欠失している超突然変異を有する細胞系への挿入により、内因性
V遺伝子またはそのセグメントを、異種V遺伝子に置換できる。あるいはまた、
超突然変異は再編成されたV遺伝子の近傍での二本鎖切断を伴うという知見を利
用して、V領域遺伝子を置換可能である。
【0062】 本発明について、単に例示する目的において、下記の実施例においてさらに記
載する。
【0063】実施例1: 超突然変異細胞の選択 in vitroで超突然変異を有する細胞をスクリーニングするために、数株のヒト
バーキットリンパ腫において、クローンの拡大に伴って蓄積する多様性の程度を
調べる。バーキット細胞系、BL2、BL41、およびBL70は、G.Lenoir (IARC, Lyon,
France)から、およびRamos(Kleinら、1975)はD.Fearon(Cambridge,UK)から、供
与された。再編成されたV遺伝子は、複数のVファミリーのプライマーとJ 共通オリゴヌクレオチドとを用いて、ゲノムDNAからのPCR増幅を行った。Pfu
ポリメラーゼと、主要なヒトVファミリー(Tomlinson、1997)のそれぞれに対
して設計した14個のプライマーのうちの一つ、および6個のヒトJセグメント
全てにアニーリングする、共通なJ逆方向プライマー(JOL48、5'-GCGGTACCTGA
GGAGACGGTGACC-3'、C.Jolly氏より供与された)を用いて、再編成したVセグメ
ントの増幅を行った。ゲノムDNAからのRamos Vの増幅は、オリゴヌクレオチ
ド RVHFOR (5'-CCCCAAGCTTCCCAGGTGCAGCTACAGCAG)およびJOL48を用いて実施した
。発現されるV-CμcDNAの増幅は、RVHFORおよびCμ2BACK (5'-CCCCGGTACCA
GATGAGCTTGGACTTGCGG)を用いて行った。ゲノムのCμ1/2領域は、Cμ2BACKとC
μ1FOR(5'-CCCCAAGCTTCGGGAGTGCATCCGCCCCAACCCTT)とを用いて増幅した。機能性
Cμ対立遺伝子は、Cμ2のヌクレオチド8の位置にCを含有するが、これに対し
て非機能性対立遺伝子ではTを含有する。再編成したVλは5'-CCCCAAGCTTCCCAGT
CTGCCCTGACTCAGおよび5'-CCCCTCTAGACCACCTAGGACGGTCAGCTTを用いて増幅した。P
CR産物は、QIAquick(Qiagen)スピンカラムを用いて精製し、M13にクローニング
した後、ABI377配列決定装置を用いて配列決定した。GAP4アライメントプログラ
ム(Bonfieldら、1995)を用いて突然変異をコンピューターにより算出した。
【0064】 クローン化したPCR産物の配列決定により、BL41ならびにBL2において顕著な異
種性が観察されたが、Ramos細胞系における大規模な多様性(Vにおける変異率
は、2.8X10-3/bp)が明らかになる。図1Aを参照されたい。4種の濾胞性バーキ
ットリンパ腫細胞系における再編成されたV遺伝子の配列多様性を円グラフに
示している。各細胞系における再編成されたV遺伝子は、PCRで増幅して、M13
にクローニングした。個々の細胞系において共通配列は、M13クローンのうちの
最大数、およびヒト免疫グロブリン配列のVBASEデータベース(Tomlinson, 1997)
を用いて最もよく適合するものを基にアサインされた生殖系列の対応配列(各円
グラフの上に示す)との共通配列として選ぶ。本発明に用いたRamosのV共通配
列は、Chapmanら(1996)により決定された配列とは3箇所、Ratech(1992)により
決定された配列とは5箇所、および最も近縁な生殖系列対応配列であるV4(DP
-63)とは6箇所、異なっている。
【0065】 RamosのV多様性の解析は、9回の独立して行ったPCR増幅で得られた産物を
配列決定することにより拡張する。これにより、集団内の突然変異を受けたクロ
ーン間の系統的な関係(dynastic relationship)を推定でき、個々のヌクレオチ
ド置換の独立した反復の推定数を最小化することができる(図1B)。9回の独立
したPCR増幅により得られた315個のM13Vクローンを配列決定した;該系統(dy
nasty)は同定された配列のみを含む(推定の中間物は含まない)。個々の突然変
異は、「C230」という形式で示す。230は、RamosV内のヌクレオチド位置(図3
で番号を付した)で、「C」はその位置における新規な塩基を示す。系統図の推定
に用いる基準は、同一のヌクレオチドの置換が独立して起こる数の最小化である
。枝部分の大多数は、異なったPCR増幅によって生じた個々のメンバーを含む。
稀に見られる欠失および重複は、それぞれ、接頭に「x」「d」をつけて示す。
2つの突然変異(264位における終始コドンを生じる置換、および184位における
重複)を矢印で示しているが、系統図中におけるこれらの位置は、突然変異が続
いて蓄積し、機能的な重鎖の発現が喪失したことを意味する。
【0066】 PCR人工産物は、突然変異のデータベースにわずかしか寄与しないが、ヌクレ
オチド置換の発生率は、対照のPCR増幅で見られた発生率(<0.05X10-3bp-1
を大幅に上回っているだけでなく、独立した増幅において、同一の突然変異クロ
ーン(ならびに系統的に関連したクローン)が認められる。多くの場合、一つの
系統内の世代は1ヌクレオチド置換による差異を有し、一回の突然変異では少数
の置換しか導入されないことを示している。
【0067】 Vλの再編成の解析は、Ramosが、Vλ2.2-16のフレーム内再編成(Chapmanら
、1996に記載のとおり)およびVλ2.2-25のフレーム外再編成を有することを明
らかにする。非機能性対立遺伝子に蓄積する多様性の方が大きいが、再編成され
たVλの双方において突然変異による多様性が存在する(図1C)。
【0068】 抗体の超突然変異の一般的な特徴は、突然変異はV領域に大幅に蓄積するが、
C領域ではほとんど蓄積しないことである。これは、Ramos IgH遺伝子座に蓄積
された突然変異においても明白である(図1D)。V、Cμ1およびCμ2の最
初の87ヌクレオチドに渡るcDNAインサートを含むM13クローンが、最初のRamos
培養物からPCRにより得られる。円グラフ(図1Aに示す)は、Cμ1の最初から
380ヌクレオチド長に渡るCμと比べたときに、341ヌクレオチド長のV内に同
定される突然変異の程度を表している。
【0069】 Ramosにより産生されるIgM免疫グロブリンは、細胞の表面に存在するか、また
は、分泌形態として培養培地内に存在する。培養培地の分析は、Ramosが、約1
μg/mlという非常に高濃度に至るまで免疫グロブリン分子を分泌することを示す
。従ってRamosは、免疫グロブリン産生のために免疫グロブリン遺伝子を発現細
胞系または細菌へ再クローニングする必要がないレベルに至るまで、免疫グロブ
リンを分泌できる。
【0070】実施例2: RamosにおけるVH多様化は構成的である V遺伝子の多様化が進行しているかどうかを知るために、細胞をクローン化し
て、in vitro培養の期間の後、MutSに基づいたアッセイを用いてVH多様性を調べ
た。RamosVはPCRで増幅し、5'末端にビオチン化塩基を含むオリゴヌクレオチ
ドを用いて上記のとおり精製した。変性/再生(99℃3分、75℃90分)の後、ミス
マッチの異種二本鎖材料の、フィルターに結合した細菌性ミスマッチ修復タンパ
ク質MutSへの結合を、すでに公開されているECLによる検出(Jollyら、1997)
を用いて観察することにより、突然変異の程度を調べた。
【0071】 結果は、Vの多様化が実際に進行していることを示す(図2A参照)。限界希
釈クローニングの後1または3ヶ月培養したRamos細胞からDNAを抽出した。再編
成したVは、ビオチン化オリゴヌクレオチドを用いてPCRで増幅し、変性/再生
を行った後、ミスマッチの異種二本鎖は、すでに記載したとおり(Jollyら、1997
)、固定化したMutSへの結合により検出した。再生したDNAの一部は膜に直接結合
させ、マッチしているDNAの吸着(loading)を確認した(全DNAの対照)。比較の
ために、細菌性プラスミド鋳型から増幅させたRamosV、並びに開始時のRamos
培養物から増幅させたRamosVについてのアッセイを含める。
【0072】 V遺伝子は、4週間(Rc1)または6週間(Rc13およびRc14)増殖させたRamos培
養物からPCRで増幅する(図2B)。各クローンの突然変異率を示すが、これらは
、世代時間を24時間とし、これに基づいて推定される細胞分裂の回数で、クロー
ニング後4または6週間目の独立したV突然変異の発生率を除することにより算
出する。該配列は、1世代あたり約0.24X10-4突然変異/bpの突然変異率を有する
段階的な突然変異の蓄積を示す。
【0073】 RamosにおけるVの突然変異率を、他の細胞系におけるVの突然変異率と
直接比較することは簡単ではない。なぜなら、単一の前駆細胞からクローンを拡
大培養した後に得られるV全体に組み込まれた非選択的な突然変異から判定し
た場合、他の細胞系の突然変異率に関する情報が少ないからである。しかし、前
駆細胞であるBL2細胞の50個を2週間拡大培養した後の突然変異発生率は、突然
変異を誘導する条件下で測定されていた(2.7X10-3突然変異/bp、Denepouxら、1
997)。通常の培養条件下でRamosを用いて同様の実験を実施したところ、突然変
異発生率が2.3X10-3突然変異/bpとなる。サイトカイン、ヘルパーT細胞などを
供給して、突然変異率を増大するための多くの試みは、成功を収めなかった。従
って、特殊な誘導により達成されるBL2細胞の突然変異率は、RamosにおけるV の構成的な変異率と同等であることがわかる。
【0074】実施例3: Ramos のV突然変異の特性試験 突然変異現象のデータベースは、開始時のRamos培養中に検出された突然変異
現象(141個の別個の配列に由来する)と、特別な選択を行わない様々な実験で培
養された4つのサブクローン中に見られる突然変異現象(さらに135個の別個の配
列に由来する)とを組み合わせて作成する。個々の変異細胞のクローンの拡大に
より複数回に数えられる特定の突然変異現象を起こさないように、個々の配列の
組み合わせの系統的な関係を構築した(詳細は図1Bの説明に記載する)後に、こ
のデータベースを作成する。異なり、かつ、非選択的であると推定される、340
個の突然変異現象(200個は開始時のRamos培養によるものであり、140個は、拡大
したサブクローンによるものである)からなるこの複合データベースの分析を図
中に記載する。開始時の集団およびサブクローン集団の別々の分析から、同一の
結果が得られる。
【0075】 突然変異のうちの圧倒的多数(340個中333個)は、1ヌクレオチド置換である
。少数の欠失(4個)および重複(3個)が認められるが、鋳型のない挿入は認めら
れない。これらの現象については、さらに後述する。隣接した位置にヌクレオチ
ド置換を有する配列は5つだけであるが、これら5つのうち3つについては、こ
の系統図から、隣接する置換が連続的に組み込まれたことが明らかである。従っ
て、隣接した位置でのヌクレオチド置換の自然発生は、稀な現象である。
【0076】 Vにおける突然変異の分布は、かなり非無作為的である(図3参照)。独立し
て起こる塩基置換を、各ヌクレオチド位置について示している。CDR1および2の
位置を示す。ヌクレオチド位置は7番目のコドンの最初の塩基に当たるヌクレオ
チド位+1を含む配列決定用プライマーの3'末端から番号を付している。コドンは
、Kabatに従って番号をつける。イタリック体で示した突然変異は(ヌクレオチド
位:15、193、195、および237)は、突然変異したサブクローンに起こり、その位
置の配列がここに示している共通配列に復帰した置換である。
【0077】 主な多発部位は、Ser82aのコドンのGおよびCのヌクレオチドであり、他のV 遺伝子の内因性突然変異の主な多発部位として既に同定されており(Wagnerら、1
995;Jollyら、1996)、RGYW共通配列 (RogozinおよびKolchanov、1992;Betzら
、1993) に適合する。多くのV遺伝子において優性の内因性突然変異が集中す
る位置はSer31であるが、このコドンはRamosの共通V配列(または生殖系列相
当配列)には存在せず、かわりにその位置にGlyが存在する。個々のヌクレオチド
置換は、転移への明らかな偏りを示す(無作為には33%であると予測されるのに対
して51%)。また、GおよびCを標的とする傾向が著しく、それらが標的となるヌク
レオチドの82%を占めている(表1)。
【0078】
【表1】 1ヌクレオチド置換は、Vコード鎖に対して算定されており、同定された、独
立の非選択的ヌクレオチド置換の総数(333個)のパーセンテージとして示す。
【0079】実施例4: IgM欠失による超突然変異を有する細胞の選択 Ramos変異体の解析により、不活性化したVを有しているに違いない数種の
突然変異体の存在が明らかとなり(図1B参照)、このことは、細胞がIgMの発現
を消失しても生存能力は維持する可能性を示唆する。その場合、Ig発現の消失は
構成的超突然変異を起こすB細胞系を選択する簡便な手段となりうる。
【0080】 Ramos培養物の解析により、その培養物中に8%の表面IgM-細胞が含まれている
ことがわかる。このようなIgM欠失変異体は、以下に示すような、in vitro培養
の際に生じる。開始時のRamos培養物を、pSV2neoプラスミドでトランスフェクト
し、希釈して96ウェルプレートにまき、選択培地中で増殖するクローンを拡大培
養する。最初のトランスフェクションの後6ヶ月間拡大培養したクローンにおけ
るフローサイトメトリーにより、本明細書中に示す(図4A)2つのクローン集
団(Rc13およびRc14)の16%および18%を占めるIgM欠失変異体の存在を明らかにな
る。1回のソーティングによる富化により、87%(Rc13)および76%(Rc14)の表面Ig
M陰性細胞を含む亜集団が回収される。これらの亜集団中の再編成したV遺伝
子をPCRで増幅した後、配列決定を行うと、クローニングしたVセグメントの7
5%(Rc13)および67%(Rc14)が、解析したVの341ヌクレオチド長内にナンセンス
(stop)、欠失(del)、重複(dup)の突然変異を含んでいることがわかる。クローン
の残りのものは、可能性のあるV不活性化ミスセンス突然変異であるかの識別
は試みていないが、野生型(wt)として記載する。Rc13の集団内で同定された4つ
の欠失および3つの重複は、全て別のものであったが、欠失を有するRc14の7つ
の配列は、4つの別個の突然変異のみによるものであった。欠失および重複の種
類は、図6に示している:各現象は、文字の後ろに番号を付して呼ぶ。文字は、
突然変異の由来を示しており(A、B、およびCは、クローン化したTdT-対照ト
ランスフェクタントであり、D、E、およびFはTdT+トランスフェクタント、そ
してUは開始時の選択していないRamos培養物で同定される現象を示す);番号は
配列鎖内の一つ目のヌクレオチド位を示す。欠失したヌクレオチドは上段に記載
し、付加されたヌクレオチド(重複、または鋳型のない挿入)を下段に記載してい
る;1ヌクレオチド置換は、新しい塩基を示しこれを丸で囲っている。V由来
の重複セグメントには下線を付している;鋳型のない挿入は太字で記載している
。数個の欠失または重複により、隣に起源の不明な1ヌクレオチドを有する事例
がある。そのような隣接変化は、ヌクレオチド置換によりよく起こりうる(鋳型
のない挿入にはない)、従って、これらの現象は別々に分類した;1塩基置換(丸
で囲んでいる)が欠失/重複のどちらかの端に指定されるかは任意の場合が多い。
【0081】 IgM-細胞は、PCR増幅およびそれらのVセグメントのクローニングに先立っ
て1回ソーティングして富化する。多種多様な不活性化突然変異は、クローンの
拡大培養を6週間だけ行った後にソーティングしたIgM欠失変異体においても明ら
かであるが(図5)、かなりの範囲のV不活性化突然変異(終止コドンまたは
フレームシフト)(図4)が、配列から明らかにされる。図5Aでは、3つのpSV
-pβG/TdTのRamosのトランスフェクタントと、3つの対照のRamosのトランスフ
ェクタントとにおいて、TdTの発現を、核タンパク質抽出物のウェスタンブロッ
ト分析により比較した。Nalm6(TdT陽性ヒトプレB細胞リンパ腫)およびHMy2(TdT
陰性成熟ヒトBリンパ腫)を対照に用いた。
【0082】 図5Bにおいて、IgM欠失突然変異体をもたらす独立した突然変異現象を円グ
ラフに示している。クローニング後6週間培養した、3つのTdT+トランスフェク
タントおよび3つのTdT-対照トランスフェクタントをソーティングすることによ
り、IgM-変異体(集団の1〜5%を構成する)を得る。ソーティングされた亜集団の
領域をPCRで増幅して、配列決定する。円グラフは、V不活性化を起こす
突然変異のタイプを、別々にプールされたTdT+およびTdT-のIgM-亜集団から得ら
れたデータと合わせて表示している。略語は図4Aと同様の意味である。ただし
、「ins」は鋳型のないヌクレオチド挿入を明らかに含むクローンを示す。欠失
または重複を複数のヌクレオチドの鋳型のない挿入と共に有するクローンは、円
グラフの「ins」セグメントにのみ含まれる。明らかに別の突然変異現象のみ計
算している。従って、TdT+のIgMを欠失している亜集団内に同定された77個の別
個のV不活性化突然変異のうち、30個の別個の終止コドン突然変異が同定され
ている;単一のRamosトランスフェクタントに由来するIgMを欠失している集団の
中で、同一の終止コドンが生成された場合には、下線を付して示されたはずであ
る。
【0083】 終止コドンは様々な位置で生じる(図4B)が、無作為に位置づけられているわ
けではない。図4BはRc13およびRc14のIgMを欠失している集団で観察された終
止コドンの種類についてまとめたものである。少なくとも8つの独立の突然変異
現象が、Rc13のデータベースにおける27個の非機能的V配列のうち20個を占め
るナンセンス突然変異をもたらす;少なくとも10個の独立の突然変異現象が、Rc
14のデータベースにおける22個の非機能的V配列のうち15個を占めるナンセン
ス突然変異をもたらす。各終止コドンの後のかっこ内の数字は、関係する終止コ
ドンを有するデータベース中の配列の数と、その後ろに、さらなる突然変異を基
にして識別すると明らかに異なるこれらの配列の数を示している。4つの他のク
ローン集団から選択したIgM欠失変異体中の終止コドンの解析により、V内の
さらに5カ所で終止コドンが生じていることがわかる。6つの独立した実験から
得られたデータにおいて、終止コドンの発生は、それが可能な39個の部位のうち
の16個に限られており;これらの偏向を持つ部位のDNA配列は、(コード鎖、非コ
ード鎖のどちらかにおいて)RGYW共通配列に偏っている。
【0084】 驚くべきことではないが、欠失および挿入は、選択していないRamos培養物中
の突然変異のわずかな割合しか占めないが(上記参照)、V不活性化突然変異に
注目すると、より大きく寄与するものである。V自身の中の終止コドン/フレ
ームシフト突然変異が、IgM欠失変異体の大きな割合を占めていることは注目す
べきである。このことは、さらに、Ramosにおける超突然変異が、免疫グロブリ
ンCドメインや、また当然ながら、突然変異すると表面IgM-表現型をもたらす他
の遺伝子(Igα/Igβシース(sheath)など)より、明らかに免疫グロブリンVドメ
インを優先的に標的とするという仮説を指示する。また、RamosVが、その生
産的に再編成されたVλより高頻度で超突然変異に対する標的となることはもっ
ともなことであり、開始時の培養物中の突然変異のパターンにより支持される結
論(図1C)である。
【0085】 Ig欠失変異体の検出による細胞の選択は、特にその変異体が復帰可能な場合、
即ち、それらが内因性Ig発現能を再び獲得できる場合、特に有用である。早期に
確立された系統(図1B)はIgM欠失細胞が生じうることだけでなく、さらなる
突然変異が生じうることも示唆する。これを確かめるために、Rc13からソーティ
ングしたIgM欠失変異体を、限界希釈によりクローニングした。クローニングの
3週間後に、IgM-サブクローン中のIgM+復帰変異体の存在について、細胞質免疫
蛍光分析により5X104個の細胞をスクリーニングする;その発生率を示す(図4
C)。これらのIgM+復帰変異体を、続いて1回ソーティングすることにより富化
し、クローン性IgM-変異体のV配列をIgM+復帰変異体の子孫のV配列と比較
する。
【0086】 10個の拡大培養したクローン集団の細胞質免疫蛍光法により、IgM+復帰変異体
が様々な発生率で存在することがわかり(0.005%〜1.2%;図4C)、突然変異率が
、1世代当たり1X10-4突然変異/bpと変動分析により計算される。これは、選択
していない突然変異体の直接解析により計算した比率(1世代当たり0.25X10-4
突然変異/bp;上記参照)より多少高いが、一部には、おそらく、異なったIgM欠
失クローンの復帰の比率が、破壊突然変異の性質に依存して異なることを反映し
ているのであろう。事実、Rc13のIgM欠失誘導体の終止コドン付近の配列から、T
AG32は、内因性突然変異多発部位の中で大きな割合を占めるRGYW共通領域(R=プ
リン、Y=ピリミジン、およびW=AまたはT;RogozinおよびKolchanov,1992)とよく
適合し、TAA33およびTGA36は適合しないことが明らかである(図4D)。
【0087】実施例5: 新規Ig結合活性の選択 新規の結合親和性の発達を証明するために設計した実験において、後述するRa
mos細胞系のほとんどのメンバーが、Ramos表面IgMに対して特異的に生じる抗イ
ディオタイプ抗体(抗Id1および抗Id2)と結合する膜IgM分子を発現することに注
目する。しかし、少数の細胞は表面IgMを担持していても、抗イディオタイプ抗
体と結合しない。これは、表面IgM分子の結合親和性が変化して、抗体に結合で
きなくなっているためである。表面IgMを発現するが抗体に結合できない細胞を
、本発明の細胞ソーティングを1回行うことで選択できる。
【0088】 これは、抗Id2への結合能は失っているが表面IgMを担持するμ陽性/id 陰性ク
ローンをELISAにより単離することで実証される。該クローンを配列決定し、6つ
の独立のクローンにおいて、Vの保存されている残基であるK70が、以下のと
おり、N,M,またはRに突然変異していることがわかる。
【0089】 クローン 突然変異体 2 K70N AAG-AAC S77N AGC-AAC 4 K70M AAG-ATG 9 S59R AGT-AGG K70N AAG-AAC 10 K70N AAG-AAC 12 K70N AAG-AAC 13 K70R AAG-AGG 軽鎖では突然変異は認められなかった。したがって、産生されるIg分子が親ク
ローンのものに対して1塩基対の変異を有する突然変異体を、Ramos細胞系から
選択できることは明らかである。
【0090】 抗Id1抗体を利用して、Igμ定常部の発現は維持しているが抗イディオタイプ
抗体への結合性は消失している細胞の類似集団を単離する。これらの細胞を、ソ
ーティングサイトメトリーで富化し、Vの配列を決定する(図7)。これによ
り、開始時の集団の共通配列と比較すると、6つの突然変異が明らかとなる。こ
れらの突然変異のうちの2つは、CDR3の付近のアミノ酸配列の変化をもたらす(95
番目でR->T、および98番目でP->H)。従って、結合性の消失に対するアッセイを
行うことにより、免疫グロブリン分子のより微妙な変化の選択が可能である。
【0091】 さらなる実験では、本発明の超突然変異を有する細胞を洗浄し、PBS/BSAに懸
濁し(0.25ml中に細胞を108個)、抗原でコーティングした磁気ビーズを10%(v/v)
含む、等量のPBS/BSAに混合する。本明細書中の実験では、ストレプトアビジン
でコートした磁気ビーズ(Dynal)を用いる。ローラー上で30分間4℃で混合させた
後、ビーズをPBS/BSAにて3回洗浄し、各回ごとに磁石を用いてビーズを沈降させ
、結合していない細胞を除く。続いて残存する細胞を96ウェルプレートにまき、
細胞108個まで拡大培養して、さらなる選択を行う。細胞の拡大培養(永続的に進
行する超突然変異を伴う)と選択を、回を重ねて実施する。ビーズに結合する細
胞の割合は、開始時には0.02%のバックグランドレベルであるか、またはそれに
近い値であるが、選択回数を重ねると、上昇し始める。
【0092】 4回の選択の後、ストレプトアビジンに結合する細胞の富化が見られる。これ
に5回目の選択を繰り返す(図8)。回収率が低いのは、ビーズが細胞で飽和してい
ることを反映しているといえる。なぜなら、細胞:ビーズの比率を大過剰から1:2
に変えると、5回目のストレプトアビジン結合細胞からの回収率が約20%になるか
らである(図9)。このことから、選択を4回繰り返すことで超突然変異を起こすR
amos細胞系からの新規の結合特異性の選択が達成されることが実証される。
【0093】 ストレプトアビジン結合細胞からの重鎖および軽鎖のヌクレオチド配列決定し
、開始時の集団の共通配列と比較すると、VCDR3で1アミノ酸が変化しており
、VLで4アミノ酸が変化(FR1で1個、CDRで2個、およびCDR2で1個)していること
が推測できる(図11)。
【0094】 ストレプトアビジンの結合性は、表面免疫グロブリンの発現に依存しているこ
とを確認するために、ストレプトアビジン結合細胞の免疫グロブリン陰性変異体
をソーティングサイトメトリーにより富化する。これにより、過剰なビーズを用
いたストレプトアビジン結合細胞の収率が顕著に減少する。実際、ソーティング
された陰性細胞からDynal-ストレプトアビジンビーズにより回収された細胞は、
Igμ陽性であり、免疫グロブリン陰性のソーティングされた細胞集団に混入して
いるIgμストレプトアビジン結合細胞の最も効率的な回収を示すと考えられる。
【0095】 予備的なデータは、ビーズ上のストレプトアビジンの濃度が下がるにつれて、
回収効率が低下することを示唆する(図9)。このことを、一定範囲内の濃度のス
トレプトアビジンとインキュベートしたしたビーズでストレプトアビジン結合細
胞の収率をアッセイして確かめる(図10)。結合した集団からの回収率は、細胞
に対するビーズの比率によって決定される。係る実験では、その比率を、<1:1
ビーズ:細胞とする。
【0096】 さらなる一連の実験においては、さらに2回選択を行い、全部で7回実施する
。これは、ビーズに結合したストレプトアビジンの濃度を5回目では50μg/mlで
あるが、7回目では10μg/mlまで減らして実施した。IgMの分泌レベルは、4回目
から7回目までの選択で得た集団について比較でき(図12)、ELISAにより測定
したストレプトアビジン結合性は、4回目に比べて、6回目および7回目で明ら
かに大幅に増進している(図13)。
【0097】 このことを、ストレプトアビジンでコーティングしたBiaCoreチップを用いる
表面プラスモン共鳴により結合を測定して確認する(図14)。7回目の上清を
チップのA点で注入してチップを横切って流し、B点で止める。C点で、抗ヒトI
gMを注入し、ストレプトアビジンに結合した材料がIgMであることを実証する。A
-B間の勾配は、結合定数を示し、B-C間の勾配は、解離定数を示す。BiaCoreによ
る追跡により、6回目の上清が、4回目の集団から単離した上清、または選択し
ていないRamos細胞の上清より優れた結合特性を示すことが証明される。
【0098】 6回目の選択過程から得た抗体も、4回目の選択過程から得たものに対して、
結合性の増大を示す。図15に示すように、蛍光団をビオチン化タンパク質とプ
レインキュベートすることにより形成するストレプトアビジン-FITCの凝集物へ
の、6回目の選択から得た細胞の結合は、FACSにより視認できる。4回目の集団
、選択していないRamos細胞、またはIgM陰性Ramosへの結合は見られず、このこ
とは、ストレプトアビジン結合性の成熟を示している。
【0099】 凝集していないストレプトアビジン-FITCを使用すると、6回目の細胞の大部
分は結合せず、同様の結果は得られない。これは、ELISAのデータと一致し、ス
トレプトアビジンへの結合が、一価の親和性というよりはむしろ、整列した抗原
への抗体の結合活性に起因することを示唆する。高親和性の結合体は、凝集して
いないストレプトアビジン-FITCへの結合におけるソーティングにより単離され
うる。
【0100】 4回目の細胞を上回る6回目の細胞に見られる結合性の増加を担っている突然
変異体を特定するために、軽鎖および重鎖の抗体遺伝子をPCRにより増幅し、続
いて配列決定した。4回目の細胞と比較すると、重鎖の遺伝子には変化は見られ
ず、R103Sの突然変異は保存されている。軽鎖でも、V23FおよびG24Cの突然変異
は保存されているが、位置46にさらなる突然変異が存在する。野生型Ramosは、
この位置にはアスパラギン酸を有しているが、6回目の細胞は、アラニンを持っ
ている。この位置での変化は、抗原結合性に影響すると推定される。この領域の
残基は軽鎖のCDR2に関与しているからである(図16)。D46Aの突然変異が、6回
目の細胞に見られるストレプトアビジンへの結合において認められる増大を担っ
ていると考えられる。
【0101】実施例6: 超突然変異を指令する配列を含むトランスジーンの構築 Ig遺伝子座の特定のエレメントはin vivoでの超突然変異現象の指令に必要で
あることが知られている。例えば、イントロンエンハンサーおよびマトリックス
結合領域、Ei/MARは、重要な役割を果たしていることが証明されている(Betsら
、1994)。さらに、3'エンハンサーであるE3'が重要であることが知られている(G
oyenecheaら、1997)。しかし、本発明の発明者らは、これらのエレメントは、ト
ランスジーンの超突然変異を指令するのに必要であるが、十分ではないことを示
した。
【0102】 対照的に、超突然変異能を付与するためには、Ei/MARおよびE3'を、さらに Jκ-CκイントロンDNAおよびCκとともに提供することで十分である。βG-C κ トランスジーンは、0.96 KbのPCR産物であるKpnI-SpeIβ-グロビンフラグメン
ト(β-グロビンの転写開始部位に関して-104から+863にまで渡っており、その
両端に人工的なKpnIおよびSpeI制限部位を有する)を、Maxら(1981)に記載の配
列のヌクレオチド2314からEi/MAR、Cκ、およびE3'に渡り、3'Fl欠失を含むL
κΔ[3'Fl](Betzら、1994)のサブフラグメントに繋いで構築する。
【0103】 超突然変異は、Pfuポリメラーゼを用いてPCRで増幅されるトランスジーンのセ
グメントを配列決定して調べる。増幅された領域は、転写開始部位のちょうど上
流からJκの下流300ヌクレオチドまでに渡る。
【0104】 このキメラトランスジーンは、通常のIgκトランスジーンで認められるヌクレ
オチド置換と同様の頻度で蓄積するヌクレオチド置換による突然変異において、
格好の標的となる。効率よく超突然変異を集積するものとしていままでに記載さ
れている中では、このトランスジーンは最も小さく、その結果から、Cκを含む
領域、およびCκに隣接する領域内のどこかに位置する複数の配列が協調して、
β-グロビン/Igκキメラ体の5'末端に超突然変異を集積させることを示唆する。
【0105】 従って、超突然変異の集積は、単に、超突然変異ドメインの3'末端方向にある
配列によってのみ指令されうる。しかし、プロモーター近傍の正常Ig遺伝子内の
突然変異ドメインの5'境界は、転写開始部位のほぼ100〜200ヌクレオチド下流に
ある。βグロビン遺伝子がプロモーターおよび大量の突然変異ドメインの双方を
提供する場合、βG-Cκにおいても、この開始部位における突然変異ドメインの
5'境界の位置は維持されている。これらの結果は、プロモーター自身の位置が突
然変異ドメインの5'境界を規定するということを示唆する、他のトランスジーン
から得られた見解と一致する。
【0106】 κ調節エレメントの全てではなくてもいくつかが突然変異の集積に寄与する方
法に対する最も簡単な説明としては、突然変異起爆因子(hypermutation priming
factor)を転写開始複合体に導くことによって、それらが作用するということが
提唱されている。転写調節エレメントとしてのエンハンサー群に関する従来の研
究から類推すると、Igκエンハンサーは、位置および方向性に無関係な様式で超
突然変異の調節因子として作用しているのかもしれない。事実、βG-Cκトラン
スジーンにおいて得られたデータは、E3'がCκの近くへ移動したという以前の
結果(Betzら、1994)と共に、E3'の超突然変異を促進する活性が、突然変異ドメ
インにおけるその位置および方向性に対して、特に感受性が高い訳ではないこと
がわかる。
【0107】 Ei/MARは、通常、突然変異ドメインの3'末端方向に存在する。Ei/MARの欠失は
、突然変異のターゲッティングの効率を大幅に低下させるが、プロモーターの上
流の位置(従って、転写される領域の外側)に戻すと、突然変異を一部レスキュー
するが、突然変異ドメインの5'境界の位置には明白な影響は与えない。これらの
結果における独自の確証は、2つめのトランスジーンであるtk-neo::Cκを用い
たトランスジェニックマウスにおいて得られる(Zouら、1995)。該マウスでは
、胚幹細胞における遺伝子ターゲッティングによりneo転写ユニット(HSVtkプロ
モーターの支配下にある)が、Cκのエキソンに導入されている。このマウスに
おいては、Vκ-Jκの連結に続いて、IgκのEi/MARの両側(すなわちV遺伝子の
上流およびtk-neoの下流)は、転写ドメインにより挟まれている。ソーティング
した、neoの挿入についてホモ接合性のマウスの胚中心B細胞から、tk-neo遺伝
子をPCRで増幅する。
【0108】 増幅される領域は、tk-neo::Cκマウスのtk-neoの挿入における607〜1417残
基(プラスミドpMCNeo(GenBank寄託番号U43611)における番号)に渡り、ヌクレオ
チド配列の位置629から1329までと特定されている。tk-neo::Cκマウスの内因
性VJκ再編成の突然変異頻度は、Meyerら、1996に記載のものと同様の手法で
決定する。内因性VJκ5再編成は、VκFR3共通順方向プライマー(GGACTGCAGT
CAGGTTCAGTGGCAGTGGG)、および、Jκクラスターの下流から後方にプライムする
オリゴヌクレオチドLκFOR(Gonzalez-Fernandez およびMilstein、(1993) PNAS
(USA) 90:9862-9866)を用いて増幅する。
【0109】 tk-neoの突然変異レベルは低く、同一の細胞集団の再編成されたVκ遺伝子の
3'隣接領域より突然変異の標的となる確率は確かに低いが、正常V遺伝子と同様
に、neo遺伝子インサートにおける突然変異ドメインは、Ei/MARはプロモーター
の上流にあるという事実にも関わらず、転写開始部位の100ヌクレオチドあまり
下流で始まることが分かる。
【0110】 従って、構成的超突然変異を起こす細胞系における超突然変異を指令すること
のできるトランスジーンは、Ei/MAR、E3'およびJκの下流に認められる、本明
細書中に定義した、調節エレメントを用いて構築できる。さらに、トランスジー
ンは、tk::neoCκマウスの場合と同じく、内因性V遺伝子内の置換またはそこ
への挿入により構築でき、また、βG-Cκトランスジーンの場合のように、Jκ イントロンに所望のコード配列を連結することによっても、構築できる。
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【図面の簡単な説明】
【図1】 バーキット系におけるVH多様性を示す。 (A)4種の散発性バーキットリンパ腫細胞系の再編成したVH遺伝子における配
列の多様性を、円グラフとして示す。それぞれの細胞系について配列解析を行っ
たM13クローンの数を円グラフの中央に示す。異なるセグメントのサイズは、0
個、1個、2個(など)の突然変異(指示のとおり)によって共通配列から区別さ
れる配列の割合を示す。 (B)最初のRamos培養中に同定されたVH突然変異体の推定される系統的な関
係を示す。それぞれの円(突然変異の程度が高いほど、色が濃い)は円内に記した
数の蓄積した突然変異を有する別個の配列を示す。 (C)再編成したVλ遺伝子における突然変異発生率を示す。2種のVλ再編成
物がRamos内に同定された。生殖系の起源の多様性および割合は図1Aに記載のと
おりに示す。 (D)最初のRamos培養のVHおよびCμ領域における突然変異発生率の比較を
示す。円グラフは図1Aに記載のとおりに示す。
【図2】 Ramosにおける構成的なVHの多様化を示す。 (A)MutSアッセイによって多様化を評価した。直接クローニングおよび配列決
定により推論される、それぞれの集団内の突然変異発生率が示される。 (B)3種の独立したRamosクローンの子孫から推論した系統的な関係を示す。
【図3】 RamosVH上の選択されていないヌクレオチド置換の分布を示す。
【図4】 Ramosにおける超突然変異により多様な復帰可能なIgM消失変異体が生じること
を示す。 (A)IgM消失変異体の単離を示す模式図である。 (B)複数のナンセンス突然変異がVHの不活性化の原因となりうることを示す表
である。これら2つの集団に観察されるそれぞれの終止するVHコドンの位置を列
記す。 (C)IgM消失変異体の復帰率の表である。 (D)IgM消失変異体の終始コドン付近の配列を示す。
【図5】 TdTを発現するRamosトランスフェクタントのIgM消失変異を示す。 (A)Ramosの3種のpSV-pβG/TdTおよび3種の対照トランスフェクタントにおける
TdTの発現についてのウェスタンブロット分析を示す。 (B)IgM消失変異体を生じる独立した突然変異現象を示す円グラフである。
【図6】 1ヌクレオチド置換以外のVHの突然変異をまとめた配列表である。
【図7】 抗イディオタイプ(抗Id1)結合特異性を失ったRamos細胞のVH遺伝子から単離
した配列の比較を示す。開始時の集団の共通配列とは異なるヌクレオチド置換を
、太字で示す。推定されるアミノ酸の変化も太字で示す。
【図8】 5回にわたって反復して選択した新規結合特異性を有する免疫グロブリンの産
生についての、Ramos細胞の富化を示す棒グラフである。
【図9】 ビーズ:細胞の比率を増やすことにより、新規の特異性(ストレプトアビジン
)に結合するRamos細胞の収率の増大を示す棒グラフである。
【図10】 標的抗原濃度の増加に伴う、新規結合特異性を有するRamos細胞の収率の増加
を示す図である。
【図11】 ストレプトアビジン結合性Ramos細胞由来のVH配列を示す。開始時の集団のV H 配列との比較において確認されたヌクレオチドの変化、および推定されるアミ
ノ酸の変換を太字で示した。
【図12】 対照の培地および選択していないRamos細胞の上清に対する、4,6、および
7回目のストレプトアビジンの結合性における選択過程で選択された細胞の上清
中のIgMの量を示す。
【図13】 図12の上清から得たIgMのストレプトアビジン結合性を示す。
【図14】 表面プラスモン共鳴により解析した、4回目および6回目のストレプトアビジ
ンの結合性における選択で得られた上清のストレプトアビジンの結合性をを示す
【図15】 4回目および6回目で選択された細胞のストレプトアビジン-FITCへの結合のF
ACS解析を示す。
【図16】 6回目に選択されたIgMのVHおよびVLの配列を示す。
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Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 進行中の標的配列の多様化について細胞集団をスクリーニン
    グすること、および、標的核酸の突然変異率が他の核酸の突然変異率を100倍以
    上超えている細胞を選択することを含む、標的核酸領域の指令された構成的超突
    然変異が可能なリンパ球系の細胞系を調製する方法。
  2. 【請求項2】 リンパ細胞系が免疫グロブリンを発現する細胞に由来する、
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 リンパ球系の細胞系が、in vivoで超突然変異する細胞型に
    由来または関連する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前期細胞系が、バーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma)、濾
    胞性リンパ腫、またはびまん性大細胞型リンパ腫の細胞系である、請求項3に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 標的配列の多様化を示す1個以上の細胞を単離するステップ
    、および、単離された細胞における標的配列内の突然変異の蓄積率を非標的配列
    内の突然変異の蓄積率と比較するステップをさらに含む、請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 標的配列が免疫グロブリンV遺伝子の配列である、請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 発現される免疫グロブリンの消失を調べることにより、細胞
    をスクリーニングする、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 標的配列を直接配列決定して、突然変異率を調べることによ
    り、細胞をスクリーニングする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 免疫蛍光法により、細胞をスクリーニングする、請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 突然変異原の導入、または配列を修飾する遺伝子産物の発
    現により、細胞内の突然変異率を調節する、請求項1〜9のいずれか1項に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 所望の活性を有する遺伝子産物の調製方法であって、 a) 請求項1に記載の細胞集団において、超突然変異を指令する配列に機能的に
    連結された、遺伝子産物をコードする核酸を発現させ、 b) 細胞集団内の、所望の活性を有する突然変異遺伝子産物を発現する1個以上
    の細胞を特定し、そして、 c) ステップ(b)で特定された1個以上の細胞から、1種以上のクローン性細胞集
    団を確立し、該クローン性集団から、増大した所望の活性を有する遺伝子産物を
    発現する1個以上の細胞を選択する、 ステップを含む方法。
  12. 【請求項12】 前記1個以上の細胞が内因性V遺伝子座に構成的超突然変
    異を指令する、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】
  14. 【請求項14】 超突然変異を指令する制御配列がJ遺伝子クラスターの下
    流に存在する配列から選択される、請求項12または請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 制御配列が、Klixら、(1998)Eur J. Immunol. 28:317-326
    により定義されるエレメントEi/MAR、Cκプラス隣接領域およびE3'を含む、請求
    項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 超突然変異を指令する制御配列に機能的に連結された核酸
    領域が、前記1個以上の細胞に挿入された外因性配列である、請求項11〜15
    のいずれか1項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 外因性配列が、超突然変異を指令する前記1個以上の細胞
    に相同性のある制御配列に機能的に連結された異種コード配列を含む、請求項1
    6に記載の方法。
  18. 【請求項18】 内因性V領域コード配列が異種コード配列で置き換えられ
    る、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 遺伝子産物が免疫グロブリンである、請求項11〜18の
    いずれか1項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 遺伝子産物がDNA結合タンパク質である、請求項11〜1
    9のいずれか1項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 所望の活性が結合活性である、請求項11〜20のいずれ
    か1項に記載の方法。
  22. 【請求項22】 遺伝子産物が酵素である、請求項11〜18のいずれか1
    項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 ステップb)およびc)を反復して繰り返す、請求項11〜2
    2のいずれか1項に記載の方法。
  24. 【請求項24】
  25. 【請求項25】 所望の活性を有する遺伝子産物の調製における、特定の核
    酸領域の指令された構成的超突然変異が可能な細胞の使用。
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