JP2002526744A - サンプル分析 - Google Patents

サンプル分析

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JP2002526744A
JP2002526744A JP2000559431A JP2000559431A JP2002526744A JP 2002526744 A JP2002526744 A JP 2002526744A JP 2000559431 A JP2000559431 A JP 2000559431A JP 2000559431 A JP2000559431 A JP 2000559431A JP 2002526744 A JP2002526744 A JP 2002526744A
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quenching
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phosphor
sample
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クリストファー・ジェイムズ・ロイド
デイビッド・ジョン・クラーク
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ザ・ビクトリア・ユニバーシテイ・オブ・マンチエスター
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    • G01N31/22Investigating or analysing non-biological materials by the use of the chemical methods specified in the subgroup; Apparatus specially adapted for such methods using chemical indicators
    • G01N31/229Investigating or analysing non-biological materials by the use of the chemical methods specified in the subgroup; Apparatus specially adapted for such methods using chemical indicators for investigating time/temperature history

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Abstract

(57)【要約】 サンプルの特有サイクル時間を決定するための分析方法である。その方法は、基底状態への弛緩に続いてほぼ直ちに活性要素の少なくともいくつかを励起状態に再励起するように充分な強度でもってサンプル内の活性要素を励起し、検出信号を得るためにサンプル内の活性要素により放出された量子を検出し、特有サイクル時間を導き出すために検出信号を分析する各工程を備えている。上記サンプル内の活性要素の数および上記励起の上記強度は、個々の量子が互いに区別され得るような連続状態で量子が検出されるようにしてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、サンプル分析のための方法および装置に関し、特に、専ら蛍光分析
だけによるものではない。
【0002】 (背景技術) 蛍光分析は、化学者および生物学者の両方にとって重要な実験手段であり、薬
剤研究員とって特に関心があるものである。
【0003】 蛍光分析の公知の方法は、何百もの蛍光物のサンプルをレーザからの光の強い
パルスで励起または刺激することを含む。励起または刺激に続いて所定の遅延で
サンプルによって放出される蛍光の強度が検出される。サンプルは再び励起され
、励起に続く異なる遅延でサンプルから放出される蛍光の強度が検出される。種
々の遅延で一連の測定がなされ、時間に関する蛍光強度の分布を与えるように、
蛍光強度が遅延の関数として作図される。サンプルを構成する蛍光物に特有の上
位状態の持続時間は、(例えば、分布に指数関数減衰曲線を適合させることによ
って)強度分布の勾配から導き出してもよい。
【0004】 特有の蛍光物持続時間の測定する種々の他の方法が知られており、それぞれの
場合、励起信号との比較において検出信号の位相ずれや復調が測定されなければ
ならない(例えば、JR Lacowitz, Principles of Fluorescence Spectroscopy,
Plenum Press, New York & London参照)。しかしながら、現在の方法は比較的
長い平均処理を必要とし、(例えば大処理スクリーニングまたはイメージングに
おける)多くの測定値の現代の高速処理に適していない。
【0005】 上記方法の別の制限は、何百もの蛍光物のサンプルと高強度照明を必要とする
ことにある。100のオーダの蛍光物サンプルは、蛍光測定を可能にするために
、ノイズに対して充分な信号を提供しない。したがって、その方法は、単一蛍光
物または少ない数の蛍光物を含むサンプルまたは光学的に迅速に消光するサンプ
ルによって起こされる結果を測定できない。さらに、その方法は、減衰率のよう
な時間変域蛍光パラメータを測定するために、パルス状レーザ供給源やゲート制
御検出器を使用する必要がある。
【0006】 数変動分光として知られるさらに別の公知の技術は、流体内の粒子の拡散率を
決定するのに使用されてもよい。数変動分光は、粒子が内部および外部に拡散す
ることになる所定量の流体を照明し、それらが所定量の範囲内にあるときに粒子
により散乱される光を検出する工程を含む。検出された拡散光自体の自動相関は
、流体内の粒子の拡散率の関数である特有の周波数を生じる。数変動分光は、粒
子平均拡散率を決定するのに使用でき、粒子サイズの決定に使用できる。
【0007】 WO96/27798は、数変動分光の変形と考えてもよい蛍光相関分光とし
て知られる技術を開示する。その技術は、検出信号に貢献することが要求されな
い他の散乱粒子が流体内にあるときに使用される。重要な粒子は蛍光を発するよ
うに作られ、蛍光は散乱光からスペクトルで分けられ、その結果、重要な粒子の
拡散だけが測定される。蛍光相関分光は、拡散率の決定を可能にするが、蛍光の
持続時間の測定を提供するものではない。
【0008】 (発明の開示) (発明が解決しようとする技術的課題) 本発明の目的は、上記欠点を解消または軽減するサンプル分析の方法および装
置を提供することにある。
【0009】 (その解決方法) 本発明の第1の態様によれば、基底状態への弛緩に続いてほぼ直ちに活性要素
の少なくともいくつかを励起状態に再励起するように充分な強度でもってサンプ
ル内の活性要素を励起し、検出信号を得るためにサンプル内の活性要素により放
出された量子を検出し、特有サイクル時間を導き出すために検出信号を分析する
各工程を備え、上記サンプル内の活性要素の数および上記励起の上記強度は、個
々の量子が互いに区別され得るような連続状態(in a stream)で量子が検出され
るようにしてあることを特徴とするサンプルの特有サイクル時間を決定する分析
方法が提供される。
【0010】 上記特有サイクル時間は、活性要素が励起状態への励起に続いて基底状態に戻
るのにかかる時間として定義される。用語「ほぼ直ちに」は、活性要素が基底状
態に戻るまでに、基底状態からの活性要素の励起から経過した時間より短い時間
の期間を意味することを意図されている。
【0011】 好ましくは、検出信号の分析は、検出信号をそれ自体で相関させることを含む
。ここでの相関は、ファブリー−ペローエタロンを用いてのフーリエ変換や、他
の適当な信号処理を行うことが含まれる。例えば、少なくとも100の検出量子
を含む信号の連続は、信号の連続内での周波数を決定するために、次の等式を用
いてそれ自体で相関(自動相関)される。
【0012】
【数1】 G12(u)=ΣN1(t)N2(t+τ)
【0013】 上記方法は、基底状態への弛緩と次の再励起との間の少なくともいくつかの活
性要素の平均遅延を決定するために較正をさらに含んでいてもよい。これは、平
均遅延が無視できるほどに励起強度が充分であるときは必要ではない。
【0014】 本発明は、サンプルの活性要素により放出された信号を最大化するので好まし
い。活性要素はほぼ連続して循環するように作られているので、それにより一連
の量子を提供することができる(活性要素は効果的に飽和する)。特有サイクル
時間の測定は、本発明を用いて非常に迅速に行える。例えば、(100×特有サ
イクル時間)2以下に対応する期間において1%の実験的正確さが得られる。こ
れは、照明がパルス状で、検出器がゲート制御であり、かつ持続時間を測定する
ために一連の測定のそれぞれについてリセットしなければならない従来の蛍光持
続時間測定と対照をなす。例えば、時間相関単一光子計測として知られる従来技
術の方法は、数分の実験継続を必要とする。
【0015】 本発明と従来技術との重要な相違は、本発明は測定される励起の位相を必要と
しない点である。従来技術の蛍光持続時間測定では、照明のパルスを用いてサン
プルが励起され、蛍光光子が放出されるまでに照明から経過した時間が測定され
る。これを行うために、励起および放出の相対位相が決定されなければならない
。これは、複雑かつ高価な高速電子回路を必要とする。これに対し、本発明の方
法では、励起の位相またはタイミングに関する情報は必要とされない。蛍光物の
サンプルの特有サイクル時間は、サンプルを直に監視することによって測定でき
、励起供給源を監視する必要はない。
【0016】 レーザ照射を用いて蛍光物の特有サイクル時間を測定するのに使用されるとき
、本発明は外面的には蛍光相関分光と似ているように見えるかもしれない。しか
しながら、本発明と蛍光相関分光とはいくつかの重要な相違がある。蛍光相関分
光は粒子の拡散率を決定するのに用いられ、検出された実験信号は照明エリアの
内部または外部に拡散する粒子によって起こされ、その拡散は一般にマイクロ秒
のオーダの時間スケールを有する。照明は、蛍光物の消光を避けるために低強度
に保持され、かつ、強度変動による実験誤差が入るのを避けるために一定強度に
安定させなければならない。これに対し、本発明は、ほぼ連続して循環して一連
の光子を放出するようにサンプルを高強度で照明することによって蛍光物のサン
プルの特有持続時間を測定する。一般にナノ秒のオーダである特有持続時間の測
定は、(100×特有持続時間)2以下に対応する時間スケールに関して例えば
1%の正確さで行える。測定はこのように短い持続時間で行われるので、より長
い持続時間で起こるサンプルの消光は、測定に影響しない。実際、一連の測定を
行うことによって、消光自体の影響を測定することができる。照明強度がサンプ
ルの蛍光物を連続的に循環させるのに充分であれば、照明強度を特定値に安定さ
せて維持する必要はない。
【0017】 好ましくは、本方法は、検出信号の信号対ノイズ比を最大化するために活性要
素の数および励起の強度を選択する工程を備えている。
【0018】 量子の検出は、サンプルの他の特性と相関させてもよい。その特性は、所定の
しきい値より上昇したときに検出されるアナログ信号を与えてもよい。検出信号
は、テスト信号またはデジタルマスクに対して自動相関または相互相関(cross-c
orrelated)されてもよく、または、基準サンプルから検出された信号に対して相
関させてもよい。
【0019】 化学的または物理的手段を含む手段による活性要素の環境の適当な変更によっ
てサンプルの特有サイクル時間が変更されてもよく、この変更された特有サイク
ル時間が決定される。
【0020】 好ましくは、活性要素の少なくともいくつかが励起レベル、放出転移の上位レ
ベルおよび放出転移の下位レベルを有するとともに、放出転移の上位レベルから
放出転移の下位レベルへの弛緩によって検出可能な量子を放出する方法であって
、放出転移の下位レベルまたは放出転移の下位レベルより小さいエネルギーを有
する他のエネルギーレベルの持続時間が活性要素の環境の変更によって影響され
、この影響を決定する。
【0021】 好ましくは、活性要素の少なくともいくつかが活性要素の振動動作を許容する
要素によって基質に結合されており、放出転移の下位レベルまたは放出転移の下
位レベルより小さいエネルギーを有する他のレベルの持続時間が活性要素の電子
環境を変更することによって変えられる。
【0022】 好ましくは、電子環境の変更が、活性要素の電子環境に影響し得る少なくとも
1つの変更部分の存在によって影響される。
【0023】 好ましくは、サイクル時間の変化が、放出転移の下位レベルまたは放出転移の
下位レベルより小さいエネルギーを有する他のエネルギーレベルから変更部分へ
のエネルギーの転移によるものである。
【0024】 好ましくは、サイクル時間が、変更部分に関する活性要素の構造の変化によっ
て変更される。
【0025】 好ましくは、各活性要素がプローブの一部を構成し、それにより分子またはそ
の溶剤中で起こるものを含む異なる誘電環境間でプローブが移動されるとともに
、プローブの特有サイクル時間が異なる誘電環境間での活性要素の動作の時間ス
ケールによって影響され、動作が次のうちの少なくとも1つを含む変更によって
影響される: (a)プローブの全体サイズの変更; (b)活性要素とプローブの残りのものとの間の距離の変更; (c)活性要素とプローブの残りのものとの間のスペーサ分子の堅さの変更;も
しくは (d)親水性、イオン化、荷電または疎水性の部分をもつプローブまたはその一
部の変更。
【0026】 好ましくは、活性要素が変更部分と周期的に相互作用する種の一部をなし、種
が変更部分と相互作用する間の期間および種が変更部分と相互作用しない間の期
間が測定される。
【0027】 好ましくは、活性要素が、消光部分と周期的に相互作用する種の一部をなし、
それにより静的消光メカニズムによって消光され、種が活性である間の期間およ
び種が不活性である間の期間が測定される。
【0028】 好ましくは、活性要素が、消光部分と周期的に相互作用する種の一部をなし、
それにより衝突消光メカニズムによって消光され、種が活性である間の期間およ
び種が不活性である間の期間が測定される。
【0029】 好ましくは、周期的相互作用の期間が、種または変更部分または消光部分の特
性の適当な変更によって影響される。
【0030】 好ましくは、変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子の長さ、もしく
は変更部分または消光部分が配置されるスペーサ分子の長さを変化させることを
含む。
【0031】 好ましくは、変更が、活性要素が配置されるスペーサ分子の柔軟性、もしくは
変更部分または消光部分が配置されるスペーサ分子の柔軟性を変化させることを
含む。
【0032】 好ましくは、変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子、もしくは変更
部分または消光部分が配置されるスペーサ分子に変更部分を追加することを含む
【0033】 好ましくは、活性要素がスペーサ分子によって結合部に付けられ、変更が結合
部との相互作用に起因する。
【0034】 好ましくは、変更が、活性要素が配置されるスペーサ分子、もしくは変更部分
または消光部分が配置されるスペーサ分子の周期的移動の制限に起因する。
【0035】 好ましくは、活性要素がスペーサ分子によって結合部に付けられ、変更が結合
部に付けられた変更部分との相互作用に起因する。
【0036】 好ましくは、活性要素が第1のスペーサ分子によって第1の結合部に付けられ
るとともに、変更部分または消光部分が第2のスペーサ分子によって第2の結合
部に付けられており、第1および第2の結合部の隔たりが活性要素と変更部分ま
たは消光部分との間の相互作用の周期を決定する。
【0037】 上記結合は、DNA/RNAを相補DNA/RNAに分裂させるようになって
いてもよい。本発明は、直接または間接(拮抗的)に、タンパク質(例えば抗体
、レセプタ、または合成模擬物)へのリガンド(例えば薬物やホルモンなど)の
結合を監視するのに用いられてもよい。
【0038】 好ましくは、活性要素を形成するように周期的に相互作用する第1および第2
の要素、第1および第2の要素が活性要素を形成するように相互作用する間の期
間、ならびに第1および第2の要素が活性要素を形成するように相互作用しない
間の期間が測定される。
【0039】 活性要素と変更部分または消光部分との相互作用の上述した変更はいずれも、
第1および第2の要素の相互作用による活性要素の周期的形成に適用されてもよ
い。これは、活性要素を第1の要素、変更部分または消光部分を第2の要素にそ
れぞれ置き換えることによってなされてもよい。
【0040】 第1および第2の要素によって形成される活性要素は、蛍光共振エネルギー転
移種であってもよい。
【0041】 第1および第2の要素によって形成される活性要素は、エキシマまたは励起錯
体であってもよい。
【0042】 好ましくは、活性要素の基底状態の励起断面(excitation cross section)が周
期的に変化し、その変化の期間が測定される。
【0043】 好ましくは、活性要素が、活性要素を保持する溶液と相互作用する蛍光光子を
放出し、溶液の特性を調節することによって溶液の影響が監視される。
【0044】 好ましくは、本方法は、励起パルスを用いて活性要素を励起し、励起と活性要
素からの量子放出との間の経過時間を決定し、そして特有サイクル時間からその
時間を減ずる各工程をさらに備えている。
【0045】 上記変更はいずれも、例えばDNAプローブ、もしくは抗体またはレセプタを
用いたリガンド結合アッセイ(ligand binding assay)などの標識として使用され
る特有サイクル時間をもつ活性種の生成に使用されてもよい。
【0046】 本発明は、距離/並列変化のような(例えばタンパク質の)構造変化を監視す
るのに使用されてもよい。本発明は、ポリマー(例えば、ペプチドまたはオリゴ
ヌクレオチドまたは少オリゴ糖類の結合合成)に組み込まれている残留物を特定
するのに使用されてもよい。周期的吸収プロセスに起因する光子出力の変動およ
び機械的変動を介して光子により起こされる関連する弛緩は、本発明により測定
されてもよい。
【0047】 サンプルの励起は、他の形態のエネルギー(例えばX線蛍光発光)によるもの
でもよい。サンプルの励起は、化学反応(例えば化学ルミネセンス)によるもの
でもよく、または、他の形態のエネルギー(例えば燐光)を伴ってもよい。化学
励起は、酵素(例えば、生物発光を行わせるATPおよびNADH)でもよい触
媒を含んでもよい。
【0048】 本発明は、特定のバクテリア、ウィルス、化学薬品、族または亜族の分析評価
に使用されてもよい。本発明は、化学薬品、新薬、農業化学薬品、食品汚染、D
NA、RNA、バクテリア、ウィルス、またはこれらのものの存在または活動を
示す副産物のためのスクリーニングに使用されてもよい。このスクリーニングは
、連続的または並行に実行されてもよい。
【0049】 活性要素は、上位励起状態、下位励起状態および基底状態を有するとともに、
上位励起状態から下位励起状態への弛緩によって検出可能な量子を放出してもよ
く、本方法はさらに第2の要素が励起エネルギーを活性要素に転移し、それによ
り活性要素を上位励起状態に励起するように、第2の要素を励起状態に励起する
工程を備えている。第2の要素の使用は、第2の要素が励起を蓄積して遅い時間
でその励起を活性要素に通過させる緩衝物として作用するので有利である。これ
は、パルス状励起または強度が変動する励起によってサンプルが励起されるとき
に特に有利である。緩衝物は、電気信号からの波を平滑にするコンデンサに類似
する方法で、励起信号からの波を平滑にすることになる。
【0050】 好ましくは、多くの第2の要素がそれぞれの活性要素に与えられている。
【0051】 量子の検出は、サンプルの他の検出に相関されてもよい。
【0052】 量子は光子であってもよい。活性要素は蛍光物であってもよい。サンプルは1
00以下の活性要素を備えていてもよい。サンプルは10以下の活性要素を備え
ていてもよい。
【0053】 特有サイクル時間は、10−100ナノ秒の範囲であってもよい。本方法は、
材料を分析評価する生物学材料、またはマルチプロービング(multi-probing)の
生物学材料のためのプローブに使用されてもよい。サンプルの自然の蛍光が使用
されてもよい。
【0054】 本発明の第2の態様によれば、基底状態への弛緩に続いてほぼ直ちに活性要素
の少なくともいくつかを励起状態に再励起するように充分な強度でもってサンプ
ル内の活性要素を励起する手段と、検出信号を得るためにサンプルにより放出さ
れた量子を検出する手段と、特有サイクル時間を導き出すために検出信号を分析
する分析手段とを備え、上記サンプル内の活性要素の数および上記励起の上記強
度は、個々の量子が互いに区別され得るような連続状態で量子が検出されるよう
にしてある、サンプル内の活性要素の特有サイクル時間を決定する分析装置が提
供される。
【0055】 本発明の特定の実施形態が添付図面を参照しつつ例示の方法で次に説明される
【0056】 (発明を実施するための最良の形態) まず、図1を参照すると、蛍光検出装置は、サンプル1と、このサンプル1に
光の連続ビームを照射するように配置されたレーザ2とを備えている。検出器3
は、サンプル1から放出された光子を検出するために設けられている。検出器3
には、レーザ2から放出される光の検出を防止するために、フィルタ(図示せず
)を設けてもよい。自動相関器(auto-correlator)4は、相関関係を与えるよう
に検出信号を相関させ、プロセッサ5は、検出器の出力を処理して、サンプル1
を構成する蛍光物(fluorophores)の特有の持続時間(lifetime)を測定する。プロ
セッサ5の作用については後述する。プロセッサ5および/または自動相関器4
からの出力をモニタ6に表示してもよい。
【0057】 図2は、本発明の作用の原理を示す。図2aは、単一蛍光物に高強度光の連続
ビームを照射した結果を表す。高強度ビームの光子は、蛍光物を励起して励起状
態にすることになり、蛍光物の時間期間特性に続いて蛍光物は光子を放出するこ
とになる(すなわち、蛍光を発することになる)。光子の放出によって、蛍光物
は、あまり活動的でない状態に戻り、続いて基底状態に戻ることになる。蛍光物
は、レーザからの連続的な光子流によって照射されているため、基底状態に一旦
戻って、再びただちに励起状態に励起されることになる。蛍光物は、特有の時間
期間の後、光子を再び放出することになる。このようにして一連の光子が蛍光物
によって放出され、図2に示すように各光子は同じ時間間隔によって先の光子か
ら隔てられる。光子の隔たりは、蛍光物が基底状態からの励起に続いて基底状態
に戻るのにかかる時間に対応する。この期間を蛍光物の特有サイクル期間という
【0058】 図2aにおいて、各光子放出に対応する信号は等間隔に示されている。実際に
は、特有サイクル時間は一定ではなく、中間において変わることになる。しかし
ながら、このような変化は上述した自動相関処理によって考慮される。したがっ
て、図示の目的のためだけに、図2aないし2cは、蛍光物の特有サイクル時間
が一定であるという仮定のもとに準備されている。
【0059】 図2aのグラフは、サンプルが単一蛍光物からなる場合の理想的モデルを示す
。すなわち、蛍光物によって放出されたすべての光子が検出され、蛍光物は非励
起状態に減衰したときに直ちに励起され、蛍光物は励起状態にあるときにはさら
に励起されることはできず、レーザ2からの光は検出されない。
【0060】 図2bは、サンプルが単一タイプの2つの蛍光物からなり、かつ上述した他の
すべの仮定が当てはまる第2のモデルを示す。この場合、各蛍光物は、上述した
のと同様に一連の光子を放出することになる。光子分布の自動相関が蛍光物の特
有サイクル時間に対応する周波数で強いピークを与えるため、蛍光物の特有サイ
クル時間は、連続する光子の隔たりから明らかである。
【0061】 図2cは、図2bに示すものに対応するが、蛍光物によって放出された光子の
すべてが検出されるわけではない第3のケースを示す。放出光子のすべてが検出
されているわけではないが、検出数は充分であり、図2cの信号の自動相関は蛍
光物の特有サイクル時間に対応する周波数でピークを生じることになり、ここで
はその周波数の2倍でさらに別のピーク、その周波数の3倍で1つのピーク等が
ある。
【0062】 このように、蛍光物のサンプルによって放出されたすべての光子が検出される
必要はなく、むしろ検出される光子の数が、自動相関が蛍光物の特有サイクル時
間に対応する周波数の倍数で適度なピークを生じるのに充分であることが要求さ
れる。
【0063】 サンプルに含まれてもよい蛍光物の数には上限がある。例えばサンプルが10
0以上の蛍光物を含んでいて、検出器が蛍光物によって放出されたすべての光子
を検出したならば、光子の数が非常に多くなって検出信号が「疲れきったもの(w
ashed out)」になり、信号から情報を得るのが困難になるであろう。
【0064】 上述したように理想モデルでは、単一蛍光物だけが測定される。しかしながら
実際問題として理想モデルでした仮定は有効ではない。例えば、蛍光物により放
出された光子のすべてを検出することはできないであろう。また、サンプルに含
まれる蛍光物のすべてが活性であるわけではない。検出信号の信号対ノイズ比を
最大化するために、サンプルサイズとレーザ照射強度との最適な組み合わせを選
択することができる。その選択は、使用される特定の光学装置次第であり、例え
ば光子の検出効率や蛍光サンプルの量子効率により影響されることになる。した
がって、使用されるべき蛍光物の数は、所定の実験条件において検出信号の信号
対ノイズ比を最大化することよって実験的に決められる。理想的な信号レベルは
、本質的には、理想モデルにおける単一蛍光物の観察に対応するであろうが、こ
れは約5ないし50の蛍光物の放出の割合を検出する必要があるであろう。
【0065】 図3は、(検出光の強度に関する)上限に近い本発明の作用を示す。多数(例
えば50)の蛍光物のサンプルにより放出された光子を検出するために図1に示
すような装置を使用したならば、図3に示すような検出信号が得られる。時間遅
延により隔てられる個々の光子を検出するよりはむしろ、蛍光物の数は、検出さ
れる蛍光の強度が決してゼロまで落ちないようになっている。検出信号はランダ
ムに現れるが、信号の自動相関が蛍光物の特有サイクル時間に対応する周波数の
倍数である一連のピークを生じ、これにより蛍光物を特徴づけることができるこ
とが上記のことから理解されるであろう。このことは、検出信号がランダムに現
れている図3bを参照することによっても示される。図3aおよび3bもシンボ
ル(symbols)が導き出されるサンプルが同数の蛍光物を含むと仮定すると、図3
bに示す信号は、図3aの信号に示される特有サイクル時間の10倍にあたる特
有サイクル時間をもつ蛍光物に対応する。図3aおよび3bは共にランダムな信
号を表しているが、信号がその平均値を横切る時間の数値から、図3bで検出さ
れるサンプルの特有サイクル時間は図3aで検出されるサンプルのそれよりも短
いことは明らかである。
【0066】 上述した実施形態では、サンプルに入射する光の強度は、所定の蛍光物が基底
状態に一旦戻ったら直ちに励起状態に刺激されるのに充分であると仮定される。
これは、これらの条件の下で検出された信号が蛍光物の特有サイクル時間だけの
関数になるので、最適な実験状況(set-up)になる。弱い強度の入射光を用いれば
、所定の蛍光物から放射される光子の隔たりは、蛍光物の特有サイクル時間と蛍
光物に衝突する光子間に経過する時間の関数になる。光子衝突の比率は、所定の
レーザ強度および実験状況では一定になり、特有サイクル時間を得るために適し
た較正(calibration)によりサイクル時間を測定することで、最適強度より弱い
入射光の影響を除去できる。
【0067】 図1に示すレーザは、サンプルに光の連続ビームを照射するように構成されて
いると説明されている。これは、連続波(CW)レーザが安価で広く用いられて
いることから、好ましい構成である。しかしながら、パルス状の光を用いてサン
プルを照射してもよいことが理解されるであろう。例えば、サンプル蛍光物の特
有サイクル時間と同程度またはそれより小さいパルス間(interpulse)の隔たりを
有する光である。パルス間の隔たりがこれより大きくなると、非励起状態の各蛍
光物によって費やされる時間の量が検出信号にノイズをもたらすことになり、そ
の結果、蛍光物の持続時間測定の質を低下させることになる。
【0068】 蛍光物のサンプルは、そのサンプルを構成する蛍光物の特有サイクル時間より
長い持続時間(duration)をもつパルスで照明されてもよい。例えば、1ナノ秒オ
ーダの蛍光物の特有サイクル時間を測定するために、Qスイッチレーザで発生さ
せた10マイクロ秒のパルスを用いてもよい。これは、パルスがサイクル時間よ
りも10,000倍長く、これにより、得られることになる特有サイクル時間の
測定のための所定の励起パルス間に充分な光子が放出されることから、可能であ
る。励起パルスの持続時間が(100×τ)2(τは測定される蛍光物の特有サ
イクル時間)に等しいければ、ノイズが1%程度の最大限に可能な信号を得るこ
とが可能になる。パルスの持続時間は、有効な測定を行うために、測定される特
有サイクル時間よりも少なくとも大きいオーダでなければならない。
【0069】 単一パルスを用いての特有の蛍光物サイクル時間の測定は、特有の蛍光物の寿
命(lifetime)を測定するのに何千もの照明パルスを使用する従来の蛍光物分析と
対照をなすものである。
【0070】 蛍光物の特有サイクル時間は、信号分析器、アナログ相関器、記憶およびソフ
トウェア相関、またはフーリエ変換などを使用する場合を含むいくつかの方法で
検出された信号から導き出されてもよい。
【0071】 本発明は、蛍光物の量子効率を調べるために用いられてもよい。量子効率は、
その蛍光物により「吸収される」光子数に関する、蛍光物により放出される光子
数の測定値である。
【0072】 一般に、光子は、蛍光物による吸収によって、光子の放出(これが蛍光である
)でより低い状態に弛緩している状態から蛍光物を励起する。しかしながら、蛍
光物のいくつかの励起状態では光子の放出を起こさず、励起は他の方法、例えば
熱として放散される。「非蛍光」励起状態は、さらなる光子の吸収によって、さ
らなる「蛍光」励起状態に励起され得るかもしれないし、できないかもしれない
。公知の先行技術の蛍光検出装置は、多くの蛍光物からなるサンプルを必要とす
るが、「非蛍光」状態に対する励起の影響はサンプル内のすべての蛍光物につい
て平均化されるために、所定のタイプの蛍光物の量子効率の充分な調査を行うこ
とはできない。本発明は、非常に少ない数の蛍光物を含むサンプルについての調
査を可能にするもので、それにより「非励起」状態の詳細な調査が可能になる。
【0073】 図4は、単純な蛍光物のエネルギー状態を概略的に示す。蛍光物は、基底状態
7で始まり、外部供給源からのエネルギーにより放出転移(emission transition
)の上位レベル8に励起され、そして放出転移の上位レベル8から放出転移の下
位レベル9に減衰して、同時に光子を放出する。それから蛍光物は、放出転移の
下位レベル9から基底状態7へと減衰して戻る。
【0074】 蛍光物寿命の従来の測定では、(集団内の)蛍光物を基底状態7から放出転移
の上位レベル8に励起するために入射レーザパルスが使用され、蛍光物から放出
される光子が放出されるまでに経過した時間を測定していた。測定された時間期
間は、放出転移が起こるまでの基底状態7から励起への時間である。本発明は、
基体状態7で費やされる時間がゼロになるように継続的に励起される蛍光物から
放出される一連の光子の検出を可能にする。本発明を用いて測定される特有サイ
クル時間は、放出転移の上位レベル8および放出転移の下位レベル9の持続時間
の合計である。放出転移の下位レベル9の持続時間は、従来の蛍光物検出を用い
た測定での期間には含まれないので、本発明を用いて測定された特有サイクル時
間から従来の蛍光物検出を用いて測定された持続時間を減することによって下位
レベル9の持続時間を決定することができる。
【0075】 放出転移の下位レベル9の持続時間は、蛍光物の特有サイクル時間が本発明に
よる方法を用いて測定可能になるように、例えば、従来の蛍光測定を可能にする
パルス状発光を生成してから連続光を生成するように形成されたレーザを用いて
も測定可能である。検出装置は、放出転移の下位レベル9の持続時間の測定値を
与えるように、特有サイクル時間から従来の測定された特有の蛍光物寿命を自動
的に減ずるように形成されてもよい。或るケースでは、蛍光物についての従来の
測定された蛍光持続時間は既に公知になっているかもしれず、その場合、放出転
移の下位レベル9の持続時間はサイクル時間から公知の持続時間を減ずることに
よって決定されてもよい。
【0076】 ほぼ連続する励起サイクルに図4の蛍光物を維持することは好ましい。基底状
態からの蛍光物の励起の最適比率より小さいことの影響は、測定される特有サイ
クル時間に含まれ、サイクル時間測定値の精度を低下させることになる。この影
響は、実験的較正を用いて低減可能である。
【0077】 図5は、要求される連続励起を与えるのに好ましい方法を示す。蛍光物Xを含
むサンプルには、分子Zが与えられている。分子Zは、入射する照明によって、
基底状態10から励起状態11に励起される。蛍光物Xは、分子Zとの衝突によ
って放出転移の上位レベル12に励起され、発光放出を介して放出転移の下位レ
ベル13に弛緩し、それから基底状態10に弛緩する(基底状態10は、Xおよ
びZの両方について共通である)。分子Zの励起レベル11は、蛍光物Xの放出
転移の上位レベル12よりも長い持続時間を有する。したがって分子Zは、蛍光
物Xにエネルギーを伝える前には、緩衝物として機能し、励起レベル11でエネ
ルギーを蓄える。分子Zの使用は、電気エネルギーを蓄えて回路に放出する電気
回路のコンデンサに類似する。蛍光物Xは、図5に示すように、時として、放出
転移の上位レベル12に直接励起されてもよい。
【0078】 基底状態10に減衰しているときに相互に作用して蛍光物Xを放出転移の上位
レベル12に励起することを確実にするため、非常に多くの分子Zを各蛍光物X
のために与えるべきである。この構成がパルス状照明によって起こされる脈動を
回避するために使用されるのであれば、分子Zはパルス間の隔たり時間より大き
な持続時間の励起レベル11を有しなければならない。
【0079】 各蛍光物Xのために多くの分子Zが与えられている場合、大部分の照明は、蛍
光物Xを直に励起するよりはむしろ分子Zをを励起することになる。もし蛍光物
Xが照明により直に励起されると、そのときは短い時間で所定の蛍光物Xに吸収
される2つの励起光子が発生する可能性が高く、その結果、蛍光物は非常に高い
エネルギーレベルに励起されることになる。これとは反対に、分子Zは照明によ
り限られた量のエネルギーが与えられ、蛍光物Xを非常に高い状態に励起するこ
とはできない。したがって、分子Zの使用は、蛍光物Xが励起し過ぎて消光して
しまう可能性を低減する。
【0080】 分子Zを介しての蛍光物Xの励起の例は、蛍光共振エネルギー伝達(FRET
)であり、それでは第1の蛍光物が第2の蛍光物に双極子−双極子(dipole-dipo
le)相互作用によってエネルギーを伝達する。FRETのメカニズムは詳細に後
述される。FRETが緩衝物として機能するため、多くのドナー分子(第1の蛍
光物)が各アクセプター分子(第2の蛍光物)のために必要とされる。リジンツ
リー(lysine tre)は、アクセプターから始めてツリーの残りの部分にドナーを配
置するように構成されてもよい。
【0081】 蛍光物が放射転移の下位レベルより下か、または放出転移の上位レベルより上
の重大なエネルギー状態を有する場合、それらのエネルギーレベルからの減衰の
間にかなりの局部加熱(localised heating)が発生する。局部加熱は、アナログ
信号として現れるいくらかの低エネルギー光子を発生させる。この加熱の影響は
、例えば直接温度測定、局部圧力差測定および屈折率変化などのいくつかの方法
で測定可能である。本発明の方法は、光子が検出されて局部加熱の状態が所定の
状態を超えたら事象を記録するように変更されてもよい。または、(局部加熱が
デジタル数で表されるようにするために)検出された光子の到達流れと局部温度
とを相互に相関させてもよい。アナログ信号と本発明で検出された信号との組み
合わせは、他の適当な適用において使用されてもよい。さらに、周期的な吸収プ
ロセスから生じる光子出力の減衰、および機械的な減衰を介して光子により起こ
される関連した弛緩は、本発明により測定可能であることが理解されるであろう
【0082】 本発明により励起された蛍光物のサンプルによって放出された光子は、或る程
度は可干渉性であると考えてもよい。このコヒーレント蛍光は、うなり信号(bea
t signal)を与えるために、第2の供給源(例えば励起供給源、それはレーザで
もよい)からのコヒーレント光と混合されてもよい。うなり信号は、サンプルで
構成される蛍光物のサイクル時間に対応する周波数より低い周波数を有するので
、有用である。もし励起信号の一部が放出信号と共に検出器に向けられたら、う
なりは検出器で見ることができ、そのうなりは励起パルスと特有サイクル時間の
各周波数間の相違に対応する周波数を有する。
【0083】 別の構成では、コヒーレント光の第1および第2の供給源が、単一サンプル内
の第1および第2のタイプの蛍光物であってもよい。うなり周波数の使用は、蛍
光物の特有サイクル時間における小さい変化を検出するのに適している。例えば
、サンプルは100ナノ秒の単一の特有サイクル時間を有する単一タイプの蛍光
物を含んでいてもよい。もしそのサンプルの半分の特性が、サンプルのその半分
の特有サイクル時間を95ナノ秒に僅かに変えるように、僅かに変更されたら、
そのときにはサイクル時間変化を示す500kHzのうなり周波数が検出される
ことになる。
【0084】 本発明は、化学ルミネセンス種(すなわち、化学的に刺激されて、低い状態で
の弛緩の間に光子を放出する種)の特有サイクル時間の測定を可能にする。この
場合、測定される寿命は、蛍光物の減衰よりはむしろ触媒(酵素であってもよい
)のロールオーバ(roll-over)である。充分な量の触媒または酵素が与えられた
場合、化学ルミネセンス種は基底状態でほぼゼロまたは比較的短い時間を費やし
てもよいが、放出転移の上位レベルに連続的に回帰して、その種が基底状態から
放出転移の上位レベルに励起され、それから基底状態に弛緩して戻るのにかかる
時間に対応する期間によって隔てられた光子を放出する。同様に、本発明はまた
、バイオルミネセンス種の寿命の測定も可能である。
【0085】 化学ルミネセンスおよびバイオルミネセンスの種の寿命は、従来の蛍光寿命測
定技術を用いては容易に測定できない。これは、従来の技術が既知の時間で起こ
る種の励起を必要とし、その結果、その励起に続く光子放出までの時間が測定可
能になるためである。特定の所定時間での化学ルミネセンスおよびバイオルミネ
センスのサンプルの励起を容易に与えることはできない。
【0086】 酵素誘発化学ルミネセンスの分析評価の例は、生存能力のあるバクテリアの存
在を示すアデノシン三燐酸(ATP)のための分析評価である。ルシフェラーゼ
酵素は、基質ルシフェリンと共に試験においてサンプルに加えられる。ATPの
存在でルシフェリンが活性化され、活性化されたルシフェリンは酸素の存在でル
ミネセンス出力を発生する。
【0087】
【数2】 ルシフェリン+ATP+O2⇒(ルシフェラーゼ+Mg++の存在) ⇒酸素ルシフェリン+AMP+Ppi+ CO2+光子(560ナノメートル)
【0088】 本発明による方法では、ATP/ルシフェリン接触間の平均遅延に依存する時
間サイン、酸素/ルシフェリン接触間の平均遅延、ルシフェラーゼ酵素触媒作用
の反転に必要な時間(効果的には酵素寿命)、および酸素存在中でのルシフェリ
ンの上位状態寿命を測定する。2つの接触遅延の時間スケールは、各化学薬品(c
hemical present)の量によって変更してもよい。これは、特有寿命であって各化
学薬品の量に依存しない反転時間および上位状態寿命と対照をなす。
【0089】 化学ルミネセンスの場合、上述したような連続検出方法を用いて測定された特
有サイクル時間は、触媒と相互に作用し、新しい形態に変わるとともに光子を放
出し、それから新しい相互作用を始めることを可能にする触媒から離れるように
移動する化学薬品のために、化学反応を含んでいてもよい。
【0090】 本発明は、止流(stopped-flow)蛍光測定値を得るのに使用されてもよい。止流
測定値は、速い時間スケールで起こる蛍光プローブとサンプル間の相互作用を測
定するために用いられる。蛍光プローブは連続的に励起され、これによりプロー
ブとサンプル間の混合に励起を同期させる必要を回避する。この方法は、同期問
題を回避するので好ましく、相互作用を監視できる時間期間が制限されないとい
う別の利点もある。
【0091】 図4を参照すると、蛍光物の特有サイクル時間は、放出転移の上位レベル8の
持続時間または放出転移の下位レベル9の持続時間を変えることによって変更さ
れてもよい。
【0092】 図6は、図4に示す単純な蛍光物よりも複雑な活性種の概略図である。図6に
示す活性種は、基底状態14と励起レベル15のグループとを含む。励起レベル
15は、振動拡大(vibrational broadening)のような影響により接近した間隔の
レベルのグループに広げられた励起状態を構成する。活性種は、励起レベル15
の1つに一旦励起されると、励起レベル15のうちでより小さいエネルギーの1
つに弛緩してもよい。
【0093】 活性種は、励起レベル15のグループから放出転移の上位レベル16に減衰す
ることになる。そして、活性種は、発光放出を介して放出転移の下位レベル17
に減衰することになる。放出転移の下位レベル17よりも僅かに小さいエネルギ
ーをもつ別のレベル18をポスト(post)放出レベル18と呼ぶ。活性種は、基底
レベル19に減衰する前に、ポスト放出レベル18の1つまたはそれ以上に弛緩
することができる。
【0094】 基底レベル19は、例えば活性種の構造的変化を表すために、基底状態14と
は異なるように示される。活性種は、励起レベル15に励起される前に、特定の
構造配列状態になければならないとすることができる。ポスト放出レベル18か
ら基底レベル19への弛緩によって、活性種は、必要とされる構造配列状態にな
く、そのため励起されることができない。基底レベル19を基底状態14に連結
する矢印20によって表される活性種の構造変化の後に、活性種は励起されるこ
とができる。
【0095】 基底レベル19および基底状態14の各用語は、構造配列を区別するために使
用される。活性種が2つの部分からなるのであれば、活性種の構造変化が起こっ
てもよい。他の変化は、例えば消光部分(quenching moiety)に対して向かうか離
れるような蛍光物の周期的移動のために起こる基底状態14からの励起の可能性
の周期的変化を含んでもよい(蛍光物および消光部分は共に活性種を構成する)
。これは、有効に、活性種の励起断面(excitation cross-section)の周期的変化
であるが、図6には表されていない。
【0096】 図6に示すレベル14−19はそれぞれ持続時間を有する。持続時間のいくつ
かは、活性種の性質から他のものよりも長くてもよい。活性種の特有サイクル時
間は、基底状態14からの活性種の励起と基底状態14からの活性種の次の励起
までの間に経過した時間である。
【0097】 特有サイクル時間は、上述したレベルのいずれかの持続時間を変えることによ
って変更してもよい。これは、励起レベル15と放出転移の上位レベル16の持
続時間だけを含む、活性種の従来の測定された持続時間と対照をなすものである
。したがって、特有サイクル時間の測定は、活性種の特有の時間を変更すること
に関して大きな柔軟性を与える。その変更は、一般に、活性種の特有サイクル時
間の増大につながる。放出転移の下位レベル17の持続時間およびポスト放出レ
ベル18の持続時間は、いくつかの方法で変更されてもよい。これらは、活性種
を含む溶液の温度、pH、圧力、イオン強度の変化、または磁界または電界の適
用など、局所環境の変化を含む。持続時間はまた、活性種の構造変化によって変
えられてもよい。励起レベル15および放出転移の上位レベル16の持続時間を
変更するための多くの方法が、従来技術において知られている。これらの方法は
また、放出転移の下位レベル17の持続時間およびポスト放出レベル18の持続
時間の変更にも用いられる。
【0098】 ポスト放出レベル18の持続時間は、多くの持続時間の組み合わせでもよく、
例えば電磁気的な発光、振動、回転によるエネルギー散逸、もしくは他の要素を
介しての消滅した持続時間または転移によるエネルギー散逸などである。
【0099】 活性種の特有サイクル時間の測定の間には、基底状態14への活性種の弛緩と
それに続く基底状態からの励起との間に遅延があってもよい。この遅延は、最適
条件より低い励起強度によるものでもよい。それでも、遅延は活性種の特有サイ
クル時間の一部として記録されることになる。遅延の影響は、実験的較正によっ
て、特有サイクル時間の測定から除去できる。遅延は、例えば基底状態14の励
起断面の周期的変化によるものでもよい。ここでもまた、この遅延は特有サイク
ル時間の測定に含まれる。この遅延は、活性種の特性であるため、実験的較正に
よっては除去されないことになる。
【0100】 上述したように、特有サイクル時間の意味ある測定値を得るために、活性種が
基底状態14にある経過時間は、他のレベル15−18(活性種が上述したよう
な基底レベル19を含むときには15−19)の持続時間の合計より小さくなけ
ればならない。もし基底状態14の励起断面が重要な物質の存在により影響され
ると、基底状態14の持続時間はその物質が存在するときに変わることになる。
これは、検出される特有サイクル時間の変化をもたらす。したがって、基底状態
の持続時間は、マーカーアッセイ(marker assay)として使用されてもよい。一般
に、基底状態14の持続時間を変えるすべての影響は、変更の前後両方での基底
状態14の持続時間が他のレベル15−18(または15−19)の持続時間の
合計に等しいかそれより小さいことを与える、本発明による方法を用いて監視で
きる。
【0101】 活性種は、単純な蛍光物を構成してもよい。または、活性種は、例えば蛍光物
、消光部分、およびそれらをつなぐ別の要素などの要素の組み合わせであっても
よい。言い換えれば、蛍光物は光子を発生する活性種の一部であるが、重要な特
有サイクル時間を生じさせる(化学薬品や粒子などの)部分の集合が活性種と呼
ばれる。「活性種」の特有サイクル時間は、対応する単純な蛍光物のそれとは異
なってもよい。特有サイクル時間は例えば消光部分によって影響されてもよい。
【0102】 消光部分は、いくつかの異なる方法で消光を与えるように構成されてもよい。
例えば、いわゆる「静的消光」構成では、蛍光物および消光部分が、光子を放出
するようには励起され得ない非活性錯体(分子)を形成するように化合してもよ
い。図6を参照すると、非活性錯体が分解したときに、蛍光物は励起されること
ができる。合成/分解の周期性は後述するように本発明によって測定可能である
【0103】 消光部分は、蛍光物に対して周期的に接近および後退するように、蛍光物に近
接して保持されてもよい。非活性錯体を形成するように化合する消光部分および
蛍光物の可能性は、この動作につれて周期的に変化する。非活性錯体が形成され
る前に経過した時間は、蛍光物および消光部分の配置の特性を示している。非活
性錯体の形成に続いて、非活性錯体は、その成分すなわち蛍光物および消光部分
に分解して戻ることになる。
【0104】 本発明は、蛍光物が活性である期間、および蛍光物が消光部分の影響により非
活性である期間を測定するのに用いられてもよい。蛍光物は、連続的に励起され
るので、蛍光物の特有サイクル時間だけ隔てられた一連の蛍光光子を放出するこ
とになる。蛍光物は、消光部分を用いて非活性錯体を形成するまで光子を放出し
続ける。非活性錯体がその成分に分解して戻るまでは、さらなる光子は放出され
ないことになる。検出された光子の相関または適当な変換は、光子が放出された
期間および光子が放出されなかった期間を示す成分を生じさせる。
【0105】 単一の蛍光物を考えるとき、蛍光物が活性であった期間または蛍光物が非活性
であった期間を従来の蛍光持続時間測定を用いて測定するのは可能ではないこと
は明らかである。これは、従来の測定で用いられる連続励起パルスが時間的に広
く間隔があいているからである。従来の測定は、単一の蛍光物の測定、すなわち
蛍光物の基底状態から蛍光光子の放出までの励起の間に経過した時間の測定がで
きるだけである。
【0106】 静的消光を達成し得る1つの構成を図7aに示す。蛍光物21aは、柔軟なス
ペーサ分子22aによって結合部分23aに付けられている(一緒に外せるこれ
らの要素はプローブとして説明されることができる)。結合部分23aは、所定
の分子内の所定の結合部24aに結合されるように形成されている。蛍光物21
aの上にある曲線は、スペーサ分子22aの曲がりによる蛍光物21aの周期的
動作を表示する。
【0107】 消光部分25aは、結合部24aに付けられている。蛍光物21aが消光部分
25aに接近するので、蛍光物21aおよび消光部分25aが結合して非活性錯
体を形成する可能性が高くなる。非活性錯体が形成されると(図示せず)、非活
性錯体は特有の時間の間は存在して残り、その後、蛍光物21aは消光部分25
aによって影響されなくなり、スペーサ分子22aの曲がりを介しての周期的な
移動が再び自由になる。
【0108】 衝突消光として知られる消光の第2の公知形態では、放出転移(すなわち図6
のレベル16)の上位レベルに励起されている蛍光物が消光部分に衝突する。消
光部分との衝突により、エネルギーが蛍光物から消光部分に転移され、それによ
り蛍光物は光子を放出することなく基底状態(図6のレベル14)に弛緩する。
蛍光物は消光部分により再び基底状態に直ちに弛緩させられることになるので、
蛍光部が消光部分に近接するときには、蛍光物は放出転移(図6のレベル16)
の上位レベルに励起されるのが防止される。消光部分は、活性ではない蛍光物の
第2形態であってもよい(エネルギーは双極子−双極子相互作用により転移され
る)。
【0109】 蛍光物は光子を放出することなく基底状態に戻る(動的消光としても知られる
)衝突消光と、蛍光物および消光部分により錯体が形成されて蛍光物が基底状態
に戻るのが防止される静的消光とを区別することは重要である。
【0110】 衝突消光が起こる比率は、本発明を用いて測定されてもよい。衝突消光が、図
7aに示すように、蛍光物21aおよび消光部分25aの構成でもって起こるよ
うにしてもよい。構成は静的消光に関して上述したのと同一であり、主な違いは
、消光部分25aが蛍光物21aをもつ分子を形成しないように選ばれているこ
とである。蛍光物21aは、スペーサ分子22aが曲がるために、周期的に移動
し、その結果、蛍光物21aは消光部分25aに対して接近したり遠のいたりす
る。蛍光物21aが消光部分25aに充分に接近しているとき、エネルギーが蛍
光物21aから消光部分25aに転移され、蛍光物は光子を放出することなく基
底状態に弛緩する。
【0111】 衝突消光が起こる比率は、本発明を用いて測定可能である。例えば、蛍光物2
1aの特有サイクル時間が、柔軟なスペーサ分子22aによる蛍光物21aの振
動の期間に比べて短いならば、蛍光物21aは衝突消光が起こる前に例えば9つ
の蛍光光子を放出することができる。したがって、蛍光物21aは一連の光子を
規則的な間隔で放出し、すべての10番目の光子はその一連の放出には無い。光
子は本発明により検出され、相関または他の適当な変換を用いて変換される。変
換されたデータは、衝突消光の発生比率を表すサインを含む。
【0112】 光子検出効率が蛍光物により放出されたすべての光子を検出するのに充分では
ない場合であっても、衝突消光の発生比率は本発明を用いて測定されてもよい。
これは、実験的制限のために検出されない光子はランダムに分布するのに対し、
衝突消光は一連の光子に規則的な間隔のあいたギャップを与え、検出データが変
換されるときにそのギャップがサインを与えることになるからである。
【0113】 単一の蛍光物を考えるとき、蛍光持続時間を測定する従来技術の方法では、衝
突消光の発生比率を測定することができない。それは、蛍光物が光子を放出でき
る以上の期間、または蛍光物が消光する以上の期間を実際に測定するメカニズム
を提供しない。
【0114】 別の形態の衝突が衝突消光に関係する。この場合、蛍光物および消光部分は実
際には衝突せず(すなわちエネルギー転移が起こるのに充分に接近する)、代わ
りにそれらが単に充分に接近し、消光部分が蛍光物のレベル(図6の14−18
)のエネルギーおよび持続時間に関する影響をもつ。蛍光持続時間を測定する従
来技術の方法は、励起レベル15および放出転移の上位レベル16の持続時間に
関する消光部分の影響を測定することができる。本発明は、蛍光物のすべてのレ
ベル(図6の14−18)の持続時間に関する消光部分の影響を測定できるので
有利である。
【0115】 図7aを考慮するとき、もしスペーサ分子22aが堅いとしたならば、消光部
分25aの影響は一定になり、動的ではないであろう(すなわち周期的に変化し
ないであろう)。この状況では、従来技術の方法で測定されたものとしての蛍光
物21aの特有持続時間は、指数関数として現れるであろう。しかしながら、も
し消光部分25aとの相互作用が周期的であるようにスペーサ分子が柔軟(また
は長い)ければ、従来技術の方法で測定される特有持続時間は単なる指数関数で
はないであろう。蛍光物21aと消光部分25aとの相互作用がより複雑になる
ので、従来技術の方法は特有持続時間の意味のある測定をすることができなくな
る。これに対し、本発明は顕微鏡分析を提供し、蛍光物の個々の弛緩を見ること
を可能にする。
【0116】 明らかな消光の形態は、蛍光物を保持する媒体が蛍光物からの観察される蛍光
出力を減じるほどに充分に濃いか、または視覚的に濃いときに起こる。もし媒体
の屈折率の実際または仮想の部分に調節が適用されれば、本発明はこの調節を検
出するために使用されてもよい。
【0117】 蛍光物は、消光部分ではない変更部分と相互作用してもよい。例えば、部分と
の衝突の間にエネルギーが放出転移の下位レベル(図6のレベル17)から転移
されてもよい。これは、変更部分がない場合よりも速く蛍光物を基底状態(図6
のレベル14)に戻す効果を有し、これにより蛍光物の特有サイクル時間を短く
できる。
【0118】 蛍光物の特有サイクル時間は、それが存在する誘電環境に影響されることにな
る。例えば、図7a−7cを参照すると、蛍光物21a−21cが結合部の外に
延びる程度が、結合部の内側および外側の両方の誘電力の結果として、その特有
サイクル時間に影響することになる。スペーサ分子22a−22cは縮んだり延
びたりしてもよく(典型的な振動動作)、これは蛍光物21a−21cの特有サ
イクル時間の期間変化を起こすことができる。
【0119】 ほとんどの蛍光物は、例えばフルオレセインのような高濃度で与えられるとき
には、自ら消光することになる。自己消光が起こるように充分な数の蛍光物を非
常に近接した状態にするため、構造を集合させてもよい。自己消光は、例えばフ
ルオレセインおよびカルセインなどの近接した蛍光物間、または異なる蛍光物分
子間で起こってもよい。その技術は、例えばS.Tyagi and F.R.Kramer, Nature B
iotechnology, 1998, 14, 303, D.P.Bratu and F.R.Kramer, Nature Biotechnol
ogy, 1998, 16, 49およびL.G.Kostrikis et al, Sience, 279, 1228に説明され
るように、分子ビーコン(Molecular Beacons)の使用に最も普通に適用される。
通常、分子ビーコンプローブは、消光物(quencher)の近くに蛍光物を有し、その
結果、プローブが目標分子と相互作用するとき、蛍光物と消光物が隔てられ、結
果として蛍光放出が増加する。
【0120】 自己消光を起こすように充分な数の蛍光物を非常に近接した状態に集合させた
構造の形態は、本発明を用いて測定可能な自己消光の調節を可能にするように構
成されてもよい。
【0121】 消光部分の使用はよく知られており、多くの消光部分がその技術分野において
公知である。いくつかの気体が消光物であり、(例えば、ペリレン(perylene)や
エチジウム臭化物のような多くの蛍光物の)著名な分子酸素だけでなく、キセノ
ン、窒化酸化物および窒化メタンもまたそうである。これらのガス消光物は、通
常、蛍光物および消光物の集合に送り込まれることはなく、ガス結合または介在
構造(例えば、フッ素を多量に含む酸化カーボン(oxygen perfluorcarbons)は
多くの蛍光物の近傍の酸素レベルを調節するために使用可能である。自由分子ガ
スの場合、蛍光物とガス分子間の衝突頻度は本発明を用いて測定可能であるのに
対し、従来の持続時間における平均ずれは減衰の母集団のばらつきとして測定可
能である。
【0122】 芳香族および脂肪族のアミンは、最も置換できない蛍光物の効果的な消光物で
ある。例えば、アントラセン蛍光物はジエチアニリン(diethyaniline)部分の近
傍で消光され、消光メカニズムは錯体形成間の変化転移(change transfer)であ
り、励起状態の蛍光物はアミンから電子を受け取る。イオン化していない溶液で
は、形成される錯体は、それ自体が蛍光物であってもよい。溶液がイオン化して
いる場合には、蛍光光子の放出はおそらく非常に少ないであろう。
【0123】 衝突消光を与える他の消光部分は、(ブリーチング効果をももたらす)過酸化
水素および過酸化部分、アクリルアミド、トリプトファン、N−アセチル−L−
トリプトファンアミド、臭素酸塩、ヨー化物、窒化酸化物(nitroxides)、オレフ
ィン、および原子の空間的配置に関して妨害された飽和炭化水素(sterically hi
ndered saturated hydrocarbons)などを含む。例えば、アルファ−シアンナフタ
リン(alpha-cyanonaphthelene)は、蛍光励起錯体を通常形成するいくらかのオレ
フィンによって消光される。ハロゲン(クロロホルム、トリクロロエタノール、
ブロモベンゼン、メチル塩化物(methyl mecuric chloride))は衝突消光物とし
て作用し、1つ以上の原子を生じる変化が消光物として通常は作用する。大きな
ハロゲン変化による消光は、励起(一重項)状態の蛍光物およびハロゲンのスピ
ン電子軌道結合(spin-orbit coupling)によって促進される励起三重項状態を横
切るインターシステム(intersystem)の結果であってもよい。三重項状態からの
放出は遅いので、通常は、その後の他のプロセスによって消光される。
【0124】 インドール、カルバゾールおよびそれらの誘導体は、塩素処理された炭化水素
による消光、および蛍光物から消光物への電子の寄贈を含む電子スカベンジャ(s
cavenger)(ヒスチジン、システイン、フマル酸塩、銅、鉛、カドミウムおよび
マンガンのイオン)による消光に対して敏感である。インドール、トリプトファ
ンおよびその誘導体は、スクシニミド(succinimide)、ジクグロロアセトアミド(
dicgloroacetamide)、ピリジウム塩酸塩、イミダゾリウム(imidazolium)塩酸塩
、メチオニン、ユーロピウム、銀、およびセシウムのイオンによって消光される
【0125】 プリン、ピリミジン、N−エチルニシトンアミド(N-ethyl nicitonamide)、N
−アルキルピリジニウム(N-alkyl pyridinium)およびピコリニウム(picolinium)
の塩類は消光物である。例えば、フラビンおよび還元されたニクトンアミド(red
uced nictonamide)はアデニン部分によって消光され、10−メチルアクリジニ
ウム(10-metylacridiniumI)はグアノシン−5−モノ燐酸塩によって消光される
【0126】 図7を参照すると、蛍光物および消光部分が互いに接近する割合が変更された
種々の構成が示されている。図7a−7gのそれぞれでは、蛍光物が円形ディス
ク21a−21gとして表され、消光部分が楕円形ディスク25a−25g,2
6gとして表されている。柔軟なスペーサ分子22b−22g、結合部分23b
−23gおよび結合部24b−24gは図7aにおけるのと同じ方法で表されて
いる。
【0127】 図7a−7cは、柔軟なスペーサ分子22a−22cの延びを表す。スペーサ
分子が延びているので、蛍光物21a−21cと消光部分25a−25cとの連
続する相互作用間の時間期間を増大させることになる。
【0128】 スペーサ分子はまた、結合部の誘電環境に影響し、その結果蛍光物の特有サイ
クル時間に影響する変更部分を含んでもよい。図7d−7eは、結合部24e内
での蛍光物21eの形成に関する変更部分26eの1つの可能な影響を示す。こ
の場合、変更部分は消光部分25eに対して蛍光物21eを接近させ、それによ
り蛍光物21eおよび消光部分25eの連続する相互作用間の期間を短縮する。
【0129】 図7f−7gは蛍光物21f、21gが結合部24f,24gに直に付けられ
ている場合を示し、プローブ分子は柔軟なスペーサ分子22f,22gおよび結
合部分23f,23gによって結合部24f,24gに付けられた消光部分25
f,25gからなる。蛍光物21f,21gおよび消光部分25f,25gの連
続する相互作用間の期間は、上述したように柔軟なスペーサ分子22f,22g
により影響される。変更部分26gは、柔軟なスペーサ分子22gに付けられて
もよい。
【0130】 図7に概略的に示される構造は、上述した蛍光物および消光部分を用いて構成
されてもよい。多くの蛍光物はそれらの取り付けを構造上の枠組み(frameworks)
とするところの化学的に変更可能なグループを与えることがよく知られている(
商業的に入手可能な蛍光物の詳細なリストが、Molecular Probes., 4849 Pitchf
ord Avenue, OR, 97402-9165 USAによって発行されたカタログに掲載されている
)。分子モデリングおよび核磁気共鳴(NMR)がそのような構造をデザインす
るのに用いらている技術としてよく知られている。
【0131】 図7に示されるシステムは、結合部で蛍光アミノ酸を構成するタンパク質また
はペプチドに結合する薬物であってもよい。そのような例はペプチド配列VCD
WWGWGICによって与えられる。これは、薬物発散タンパク質のP−糖タン
パクによる薬物の結合の模擬として知られている。P−糖タンパクは直線配列ま
たは環状配列として形成されてもよく、その本来のトリプトファン蛍光は一連の
薬物(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ゲニステイン、シクロスポリン、ア
デニン(A)、エリトロマイシン、ベラパミル、コルヒチン、レセルピン、ジゴキ
シン、ノボビオシン、ジアゼパム、メルファラン)によって消光される
【0132】 図7hはペプチド配列VCDWWGWGICへの結合を示すグラフである。こ
のグラフにおいて、最上部の線は、アドリアマイシンを使わずに280nmで励
起された、0.1M Tris pH7.5内におけるペプチドVCDWWGW
GIC 10−mer(49.1μM,2.9ml)を示す(消光の程度は999
.99に標準化されている)。ペプチド:アドリアマイシンの化学量論比でのア
ドリアマイシンの滴定(titration)は、最上部から2番目の線から最下部の線ま
で次のように連続して示される−1:0.1(917.99); 1:0.2(
835.53); 1:0.3(769.34); 1:0.4(704.25
); 1:0.5(633.91); 1:0.6(594.31); 1:0
.7(547.73); 1:0.8(498.54); 1:0.9(457
.70); 1:1(415.96); 1:1.1(390.24)。各滴定
に続くカッコ内の数は、消光の程度を示す、359.25nmでのピークの相対
強度である。
【0133】 芳香族炭化水素のレセプタの結合部への他の生体異物(概して二次元の芳香族
炭化水素)の結合は、同様に測定可能である。一方、蛍光化合物(例えばアドリ
アマイシン)の結合は、それらの結合部にある消光部分によるその部への結合に
関するそれらの消光によって測定されてもよい。同様に、結合部分が消光物また
は蛍光物でない場合、結合部分は蛍光物または消光物に付けられてもよく、その
結果、変更された結合剤が別の結合剤と競争し、本発明による測定可能な信号を
発生させる。例えば、後者の構成は、抗体へのリガンドの結合を測定するために
用いられてもよい。タンパク質および酵素へのリガンドまたは基質の結合の測定
が本発明によって同様に達成され得ることが当業者により理解されるであろう。
【0134】 蛍光物と消光部分の種々の接近距離は、ペプチド構造を用いて実現してもよい
。これは、蛍光物のシステイン類似化合物を形成して、蛍光物(蛍光物−消光部
分)の対をシスチン二硫化物ブリッジの形成のために非常に接近した状態にする
のと同様に簡単である。ポリグルタミン酸オリゴペプチドもまた、所望の距離で
側鎖に相互作用部分を付けるのに使用可能である。3から9の間のnをもつN5
−(2−ハイドロキシレチル(hydroxylethel))−L−グルタミン残基の繰り返
し単位もまた、流体溶媒中で柔軟であって、鎖が流体中でゆるんでいるときに端
部距離(end distance)に変異性端部を与えるポリペプチド鎖について相互作用の
単位を分離するために使用可能である。一方、(L−プロリン)nを用いて堅い
螺旋構造が形成されてもよく、1.2nm(n=1)から4.6nm(n=2)
までによって相互作用構造が分離される。蛍光物または消光部分は、種々の長さ
のスペーサ鎖、典型的には長さC4からC16の炭化水素によってそのような基
幹に付けられてもよい。飽和した炭化水素は柔軟な鎖を形成するのに対し、増加
した堅さおよび/または配向が、シス形およびトランス形(cis and trans)の未
飽和鎖の使用によって実現可能である。炭化水素の基幹についてのサイドグルー
プ(side groups)は、結合または原子の空間的配置に関する妨害または鎖間(例
えば、芳香族化合物、カーボキシル、アミノ、ニトロ、塩素など)の相対的程度
をつくるために使用されてもよい。
【0135】 また、上述した構造上の枠組みとともに上述した蛍光物および消光部分は、図
8および9の配置を構成するために使用されてもよい。
【0136】 図8は、蛍光物と消光部分間の連続する相互作用間の期間を変更することによ
る第2の方法を示す。図8aを参照すると、蛍光物30aは幾分柔軟なスペーサ
分子31aにより付けられている。消光部分32aは、スペーサ分子31aの反
対側端部に付けられている。蛍光物30aおよび消光部分32aは、スペーサア
ーム31aが曲がるので、互いに接近したり離れたりするように周期的に移動す
る。蛍光物30aと消光部分32aが充分に接近したときに、静的消光または衝
突消光のいずれかの消光が起こることになる。
【0137】 図8a−8cにおいて、蛍光物30a−30cは、それぞれ異なる消光部分3
2a−32cの近傍に示されている。各場合において、蛍光物30a−30cお
よび消光部分32a−32cは、同じ長さのスペーサアームを有する。しかしな
がら、消光部分32はそれ自体、異なる特性を有する。例えば、静的消光の場合
、蛍光物と消光部分が錯体を形成する間の特有期間は、異なる消光部分を使用す
ることによって変えられてもよい。
【0138】 図8d−8fでは、蛍光物30d−30fが異なる長さのスペーサ分子31d
−31fによって消光部分32d−32fから隔てられている。スペーサ分子3
1d−31fの長さが短くなるにつれて、蛍光物30d−30fと消光部分32
d−32fとの連続する相互作用間の時間も対応して短くなる。
【0139】 図8g−8iでは、消光部分32g−32iが変わることによるスペーサ分子
31g−31iのその部分の柔軟性が消光部分32g−32iの消光動作に影響
する。スペーサ分子31d−31fの柔軟性が増大するにつれて、蛍光物30d
−30fと消光部分32d−32fとの連続する相互作用間の時間も対応して長
くなる。例えば図8gに示すようにスペーサ分子の柔軟性が低い場合、蛍光物3
0d−30fと消光部分32d−32fとが充分に接近して要求されるような相
互作用を起こすことを保証するように、スペーサ分子31gが形成されてもよい
。スペーサ分子の構造(すなわちその形成)もまた、変えられてもよい。
【0140】 図8j−8lでは、スペーサアーム31j−31lの長さおよび柔軟性の両方
が変えられている。図8jでは、蛍光物31jと消光部分32jとは中間距離だ
け離れて保持されており、蛍光物30jおよび消光部分32jの上に位置する曲
線の長さによって示されるように、中間の柔軟性を有する。これに対し、図8k
では、蛍光物30kおよび消光部分32kはより大きな堅さをもって互いに接近
して保持されている。蛍光物30kおよび消光部分32kの隔たりと移動の変化
は、蛍光物30kと消光部分32kとの連続する相互作用間の期間の減少をもた
らすことになる。図8lは、図8jに示されるものよりも大きな隔たりと大きな
柔軟性をもって保持される蛍光物30lおよび消光部分32lを示す。これは、
蛍光物30lと消光部分32lとの連続する相互作用間の期間を長くすることに
なる。
【0141】 図8m−8oでは、別の部分33m−33o,34m−34oがスペーサ分子
31m−31o上に設けられている。その別の部分の影響は、例えば原子の空間
的配置に関する妨害(steric hindrance)を含む、その技術分野で知られている特
性に依存する。
【0142】 目標分子への結合によって、蛍光物と消光部分との相互作用は、結合部と蛍光
物および消光部分のいずれか一方または両方との相互作用により影響されてもよ
い。
【0143】 図9には、スペーサ分子によって結合部に付けられた蛍光物間の相互作用が、
分子結合部に付けられた状態になることによってどのように変わるかが示されて
いる。典型例として上記のものを参照することによって、トリプトファンおよび
生体異物消光物(例えば薬物)が適当なスペーサと予め組み合わされてもよく、
その結果、生体異物(例えば薬物)結合部への薬物部分の結合に関し、結合上で
のプローブアセンブリまたは活性種の束縛が、未結合のアセンブリに比べて異な
る消光期間を生じるように変えられることになる。この方法では、未結合および
結合アセンブリの割合が測定されてもよい。
【0144】 図9aを参照すると、上記のケースおよび一般的なケースでは、蛍光物40a
は、第1の柔軟なスペーサ分子41aによって結合部分42aに付けられている
。消光部分43aは、第2の柔軟なスペーサ分子44aによって結合部分42a
に付けられている。蛍光物40aおよび消光部分43aは共に、スペーサ分子4
1a,44aの柔軟性のために、周期的な方法で移動する。
【0145】 図9aに示されるアセンブリ全体がプローブであると考えてもよい。図9bは
、目標分子45b内の結合部にあるプローブ40a−44aを示す。目標分子は
消光部分43aと相互作用して、その特性を変える。例えば、静的消光の場合、
蛍光物40aが消光部分43aに付いた状態で留まるのを超える期間が、結合部
45bによって変更されてもよい。
【0146】 図9c−9dは、第1のスペーサ分子41dに付いた蛍光物40cが結合部4
5dと相互作用し、それにより蛍光部の特性を変更するような構成を示す。その
変更は、蛍光物のいくつかのエネルギーレベル(図6のレベル14−18)のエ
ネルギーまたは持続時間の変化であってもよい。
【0147】 図9c−9fは、第2のスペーサ分子44c,44eに付けられた消光部分4
3c,43eの移動の範囲が、結合部45d,45fによってどのように影響さ
れるかを示す。図示された例では、蛍光物40c,40eと消光部分43c,4
3eとの連続する相互作用間の期間が減少する。
【0148】 図9gは、第1のスペーサ分子41gによって第1の結合部分46gに付けら
れた蛍光物40gと、第2のスペーサ分子44gによって第2の結合部分47g
に付けられた消光部分43gとを示す。目標分子48gには、結合部分46g,
47gが結合部に位置するときに蛍光物40gおよび消光部分43gが所定の隔
たりをもつように間隔をあけられた第1および第2の結合部が設けられている。
結合部の間隔を変えることは、蛍光物40gと消光部分43gとの連続する相互
作用間の期間を変えることになる。
【0149】 図9hでは、第1のプローブは、第1の柔軟なスペーサ分子41hによって結
合部分42hに付けられた蛍光物40hと、第2の柔軟なスペーサ分子44hに
よって結合部分42hに付けられた消光部分43hとを備える。第1プローブの
結合部分42hは、目標分子49h内の第1の結合部に位置するように配置され
ている。第1プローブと同様の構成を有する第2および第3のプローブには、目
標分子49h内の第2および第3の結合部に位置するように配置された異なる結
合部分50h,51hが設けられている。第1の消光部分43hは、第2プロー
ブの一部をなす蛍光物52hと周期的に相互作用することになる。第2プローブ
の一部をなす第2消光部分53hは、第3プローブの一部をなす第3蛍光物と相
互作用することになる。このように、図9hに示される3つのプローブは、それ
ぞれの結合部に位置する3つのプローブの各々に依存する蛍光出力を与えること
になる。この方法は、整理に有用であり、組み合わされた成分に対応するサイン
はそれらの隣接物の位置およびタイプを示す信号を与えるように配列されてもよ
い。
【0150】 図9g,9hに示すアセンブリは、どの残基が結合合成(combinatorial synth
esis)において互いに隣り合って組み合わされているかを特定する手段を与える
。従来技術では、これらは分離されて分析されなければならないのに対し、本発
明を用いれば、異なる蛍光物および消光物とともに識別された残基の近接を特定
することができる。
【0151】 蛍光共振エネルギー転移(FRET)は、第1の蛍光物(ドナー)のエネルギ
ーが第2の蛍光物(アクセプタ)によって吸収されるような2つの蛍光物の配置
をいう。エネルギー転移が起こるメカニズムは、主として、光子の出現を伴わな
いいわゆる無発光エネルギー転移と呼ばれる双極子−双極子相互作用の結果であ
るが、発光に基づく転移もまた本発明により測定可能である。転移が共振するた
めには、アクセプタのエネルギーがドナーのエネルギーよりも僅かに小さくなけ
ればならない。すなわち、エネルギー転移の割合は、ドナーの放出スペクトルと
アクセプタの吸収スペクトルとの部分的重複の程度に依存する。この説明で使用
される用語において、活性種は、FRETが起こるのに充分にそれらが接近して
いるときの2つの蛍光物である。換言すれば、図6に示すエネルギーレベルは、
FRETが起こるのに充分にそれらが接近しているときだけの2つの蛍光部を説
明する。
【0152】 FRET活性種を構成する2つの蛍光物は、それらを適当に形成されたスペー
サ分子に付けることによって周期的に一緒になる(come together)ように構成さ
れてもよい。このような構成の例が図10aに示されており、第1蛍光物60a
および第2蛍光物61aはスペーサ分子62aによって隔てられ、それらが振動
してFRETが起こるのに充分なほどに周期的に接近するように構成されている
【0153】 本発明は、FRETが起こるのに充分なほどに蛍光物が接近している間の期間
の測定を可能にする(活性種のサイクル時間が充分に速ければ、この期間に多く
の光子が活性種により放出されることができる)。蛍光物が隔てられているとき
、活性種から光子は放出されない(そのときにはFRET活性種は存在しない)
。光子が活性種から放出されている間の時間および光子が活性種から放出されて
いない間の時間は、本発明により得られるデータの2つの隔たった成分として見
られることになる。
【0154】 本発明とは対照的に、従来技術の蛍光測定方法は、上述したサイクルを監視す
ることができない。励起が起こるときに蛍光物が充分に接近すれば、FRETだ
けが見られることになる。従来技術の方法は、2つの蛍光物によるFRET活性
種の連続形成の間の期間を決定することができない。
【0155】 蛍光物が隔てられているとき、各蛍光物は独立した活性種として光子を吸収お
よび放出してもよい。本発明を用いて測定がなされる場合、これらの光子はそれ
らの隔たり(すなわち蛍光物の特有サイクル時間)として認められる。
【0156】 図10は、2つの蛍光物によるFRET活性種の連続形成の間の経過時間が変
更され得る多くの構成を示す。図10a−10cでは、2つの蛍光物60a−6
0c,61a−61cを連結するスペーサ分子62a−62cの長さが変更され
ている。これは活性種の連続形成間の期間を変化させることになり、より長いス
ペーサ分子62a−62cはより長い期間を与える。
【0157】 図10d−10fに示すように、スペーサ分子の柔軟性もまた変更されてもよ
い。これもまた、活性種の連続形成間の期間を変えることになり、より柔軟なス
ペーサ分子62d−62fはより長い期間を与える。
【0158】 図10g−10iでは、変更部分63g−63hがスペーサ分子62g−62i
に追加されている。これもまた、活性種の連続形成間の期間に影響し、その影響
は変更部分63g−63hの特性により決定される。
【0159】 2つの蛍光物には結合部分を設けてもよく、各結合部分は所定の分子内の所定
の結合部に結合するように形成されてもよい。この場合、2つの結合部は、2つ
の蛍光物が所望の特性を有するFRETを与える距離によって隔てられることに
なるように選択された所定の隔たりをもって位置する。例えば、図10j−10
lでは、第1および第2の蛍光物60j,61jが第1および第2のスペーサ分
子64j,65jによって第1および第2の結合部分66j,67jに付けられ
ている。結合部分は、所望の特性を有するFRET活性種を与える隔たりをもっ
て目標分子68j内の結合部に位置するように構成される。
【0160】 図10k,10lでは、結合部の隔たりが増大しており、それに対応してFR
ET活性種の連続形成間の期間も増加する。図10m−10oは、蛍光物が保持
されるスペーサ分子64m−64o,65m−65oの柔軟性の変化を示す。図
10p−10rは、スペーサ分子に変更部分66p−66rを追加したことの影
響を示す。
【0161】 図11aを参照すると、FRET活性種は、第1および第2の蛍光物70a,
71aによって形成される。各蛍光物は、スペーサ分子72a,73aによって
結合部分74a,75aに付いている。各結合部分74a,75aにはまた、ス
ペーサ分子78a,79aによって結合部分74a,75aに付けられた消光部
分76a,77aが設けられている。結合部分は、蛍光物71a,72aが所望
の特性を有するFRET活性種を周期的に形成することになるように隔てられた
目標分子80a内の結合部に結合するように構成されている。消光部分76a,
77aは、FRET活性種の形成を生じる相互作用を変更するように選択される
【0162】 FRETを用いた典型例では、5−[2−(ヨードアセチル)アミノエチル]
−5−アミノナフタレン−1−サルホニック酸およびヨードアセトアミドフルオ
レセインを、タンパク質の形成の変化についての隔たりの変化を調査するために
タンパク質分子に結合または標識付け(label)し、特に(regiospecifically)、異
なる隔たりを得るために(例えば隔たりの明確な距離を得るための上記のプロリ
ン構造を用いて)異なる長さのペプチド鎖に結合または標識付けする。図10j
−10rによって示される別の例では、よく知られた手続きにしたがって、しば
しばスプリットDNAプローブと言われる単一らせん構造のDNAの相補領域(c
omplimentary regions)の近接位置にDNAプローブによってドナーおよびアク
セプタの蛍光物を結合する。そして、スプリットプローブおよび目標のDNAの
近接結合および相補(complimentarity)の程度は、本発明によって測定可能であ
る。
【0163】 図11bは、蛍光物70b,71bのうちの1つだけに消光部分77bが設け
られている点を除けば、図11aに対応する。
【0164】 図11cは、目標分子80cが蛍光物70c,71cおよび消光部分77cを
強制的に移動させるように構成されている点を除けば、図11bに対応する。
【0165】 図12aでは、FRET活性種が、第1および第2の蛍光物90a,91aに
よって形成される。各蛍光物はスペーサ分子92a,93aによって結合部分9
4a,95aに付いている。結合部分は、所望の特性を有するFRET活性種を
蛍光物91a,92aが周期的に形成することになるように隔てられた目標分子
96内の結合部に結合するように構成されている。目標分子96aの形状は、第
1および第2の蛍光物90a,91aが目標分子96aと相互作用して、FRE
T活性種の特性を変更するようになっている。図12aでは、FRET活性種の
連続形成間の期間は、目標分子96aとの相互作用によって変わることになる。
【0166】 図12bは、変更部分97bがスペーサ分子92bの一方に付いている点を除
けば、図12aに対応する。変更部分97bは目標分子96bと相互作用して、
スペーサ分子92bの移動の期間を減少させる。これに対応して、FRET活性
種の連続形成間の期間も減少する。
【0167】 図12cは、変更部分97c,98cが各スペーサ分子92c,93cに付い
ている点を除けば、図12bに対応する。変更部分97c,98cは目標分子9
6cと相互作用して、スペーサ分子92c,93cの移動の期間を減少させる。
これに対応して、FRET活性種の連続形成間の期間も減少する。
【0168】 ドナー−アクセプタ対の典型例としては、フルオレセイン−テラメチルローダ
ミン、IAEDANS−フルオレセイン、EDANS−DABCYLがある。こ
れらまたは他のドナー−アクセプタ対は、Molecular Probes Inc., 4849 Pitchf
ord Avenue, OP, 97402-9165 USAから入手できるとともに、その会社により発行
されたカタログに記載されている。上記構造は、上述した構造上の枠組みととも
に、公知のドナー−アクセプタ対を用いて作られてもよい。
【0169】 蛍光物を与える1つ以上の部分間のエキシマまたは励起錯体の構造の形成は、
その技術分野において知られており、例えばピレン二量体およびピレンDMAで
ある。エキシマ/励起錯体の構造を形成するために組み合わせる分子は、独立し
た蛍光物であってもよい。この場合、エキシマまたは励起錯体の形成は、(蛍光
共振エネルギー転移(FRET)について見られるように)放出される蛍光の赤
方偏移(ストークス偏移)を生じる。エキシマおよび励起錯体は、一般に、それ
らが生物学上のプローブとして使用されるときにFRET分子よりも大きな特異
性を示す。他の蛍光材料の場合と同様に、エキシマおよび励起錯体の特有持続時
間は一般に知られており、例えばそれらの誘電環境を変えることによって同じよ
うに影響され得る。
【0170】 エキシマと励起錯体との組の間の連続する相互作用間の期間は、次のいずれか
の方法によって変更されてもよい:エキシマまたは励起錯体の組が保持されてい
るスペーサ分子の一方または両方の長さを変える;エキシマまたは励起錯体の組
が保持されているスペーサ分子の一方または両方の柔軟性を変える;親水性、イ
オン化、荷電または疎水性の部分をもつプローブまたはその一部の変更;および
エキシマまたは励起錯体の組の部分の一方の変更。
【0171】 エキシマまたは励起錯体の形成における組間の相互作用の変更は、連続する相
互作用間の期間の操作を可能にする。その相互作用の変更はまた、エキシマまた
は励起錯体の持続時間を変化させることができる。また、エキシマまたは励起錯
体の分子の連続する相互作用間の期間は、目標分子への構成分子の結合によって
影響されることになる。
【0172】 図10ないし12に図示され、かつFRET活性種に関して説明された構成は
、エキシマまたは励起錯体の特性を変更するために同じように機能する。
【0173】 ピレン、ペリレンおよびそれらの誘導体は、相互作用する対に組み込むのに適
している。例えば、1−ピレン−酢酸およびその琥珀酸(succinimidyl)エステル
、1−ピレン酪酸、1−ピレン−ブタノール、N−(1−ピレン−ブタノイル(b
utanoyl))システイック酸(cysteic acid)およびその琥珀酸エステル、1−ピレ
ンカルボキシル酸、1−ピレンヘキサン酸、N−(1−ピレン)−ヨードアセト
アミド、N(1−ピレン)マレイミド、1−ピレンーメチルアミンなどである。
【0174】 励起錯体は、ペリレン、ピレン、N,N−ジメチルアニリンから、およびチオ
シアニン(thiocyanine)およびアクリジンオレンジ間で種々に形成してもよい。
【0175】 上記説明は主として蛍光に焦点を当てたが、本発明は燐光またはルミネセンス
の測定に使用してもよい。燐光またはルミネセンスの生成および/または変更に
必要な構成要素および構造は、上記説明の光の技術分野の当業者にとって明らか
であろう。
【0176】 上記説明は、蛍光物および消光部分、または蛍光物と相互作用するように配置
された他の部分を含む構造からの蛍光の発生を論じているが、同様の効果は溶液
中での蛍光物および変更部分の拡散によって上記構造を使用せずとも得られるこ
とが理解されるであろう。衝突消光の場合、蛍光物の容量およびそれらが消光部
分をもつ衝突間に移動する距離は、測定される蛍光強度に影響することになる。
長い特有持続時間を有する蛍光物の場合、拡散はかなりの距離を超えており、一
般に、特定の消光物の濃度および拡散率についてより多くの消光を生じさせる。
より短い持続時間を有する蛍光物の場合、同じ程度の消光は、消光部分の濃度が
大きいか、または拡散率が大きいければ、その場合だけに見られることになる。
【0177】 蛍光物は、蛍光物と相互作用するように配置された緩衝物を含む溶液中にあっ
てもよい。この場合の活性種は、実際上は、蛍光物と、相互作用する緩衝物のそ
の部分との合計である。
【0178】 蛍光物の特有サイクル時間はまた、蛍光物の特性の物理的変更、例えば電磁気
、磁気、音波または温度のエネルギーの変更によって変化させてもよい。これら
の変更のいくつかは、上記に説明されている。他の適当な変更は、その技術分野
の当業者にとって明らかであろう。
【0179】 適当な材料の特有サイクル時間は、超音波照射によって変更されてもよい。そ
の材料は、超音波照射がそれらの中および間の機械的および温度―機械的な相互
作用を変更することになるように選択されなければならない。
【0180】 蛍光物と分子間の相互作用は、蛍光物と分子との間に光活性族を導入すること
によって達成されてもよい。そのような分子の例としてスチルベンがある。その
ような分子によるエネルギーの周期的吸収は、温度エネルギーにおける局部的な
周期変化をつくることによって蛍光放出の特有サイクル時間を変更することにな
り、その結果、特徴として蛍光物と分子間の相互作用に極性を与える。同様に、
例えば液状水晶アセンブリに活性種を付けることによって達成され得るように、
本発明により活性種間の相互作用を変更するために電界が使用されてもよい。
【0181】 上述した本発明の特定の実施形態は、入射光または触媒を用いてのサンプルの
連続励起に言及するが、本発明はこれらのタイプの励起に限定されるものではな
く、他の適当なタイプの励起、例えばアルファ放射、ベータ放射、化学薬品の添
加、加熱、振動、電界または磁界などを含む。入射光は、発光ダイオード(LE
D)、スーパ発光ダイオード、サーマルランプまたはスペクトルランプによって
与えられてもよい。
【0182】 上記に説明した本発明の特定の例は光子の放出および検出に言及するが、本発
明は、例えば電子、中性子、音子などのいかなる適当な量子の放出および検出に
適用されてもよい。いくつかの適用では、本発明を使用可能にするために、アナ
ログ信号を量子に変換可能にするしきい値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による蛍光検出装置の概略表示である。
【図2】 非常に少数の蛍光物についての本発明の作用を示すグラフのセッ
トである。
【図3】 多数の蛍光物についての本発明の作用を示すグラフのセットであ
る。
【図4】 蛍光物のエネルギー状態の概略図である。
【図5】 蛍光物のエネルギー状態および分子のエネルギー状態の概略図で
ある。
【図6】 活性種のエネルギー状態の概略図である。
【図7】 活性種の種々の構成の概略図および消光を示すグラフである。
【図8】 活性種の種々の構成の概略図である。
【図9】 活性種の種々の構成の概略図である。
【図10】 活性種の種々の構成の概略図である。
【図11】 活性種の種々の構成の概略図である。
【図12】 活性種の種々の構成の概略図である。
【符号の説明】
1…サンプル、2…レーザ、3…検出器、4…自動相関器、5…プロセッサ、6
…モニタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9827910.2 (32)優先日 平成10年12月19日(1998.12.19) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 デイビッド・ジョン・クラーク イギリス、イーダブリュー11・1ワイビ ー、チェシャー、サンドバック、フィール ズ・ドライブ6番 Fターム(参考) 2G043 AA03 BA16 BA17 CA03 EA01 FA03 JA01 JA02 KA08 KA09 LA01 MA04 NA01 NA04 2G045 DA12 DA13 DA14 DA36 FB12 GC15

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基底状態への弛緩に続いてほぼ直ちに活性要素の少なくとも
    いくつかを励起状態に再励起するように充分な強度でもってサンプル内の活性要
    素を励起し、検出信号を得るためにサンプル内の活性要素により放出された量子
    を検出し、特有サイクル時間を導き出すために検出信号を分析する各工程を備え
    、上記サンプル内の活性要素の数および上記励起の上記強度は、個々の量子が互
    いに区別され得るような連続状態で量子が検出されるようになっていることを特
    徴とする、サンプルの特有サイクル時間を決定する分析方法。
  2. 【請求項2】 上記検出信号の上記分析は上記検出信号をそれ自体で相関さ
    せることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 化学的または物理的手段を含む手段による上記活性要素の環
    境の適当な変更によって上記サンプルの上記特有サイクル時間が変更され、この
    変更された特有サイクル時間が決定されることを特徴とする請求項1または2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 上記活性要素の少なくともいくつかが励起レベル、放出転移
    の上位レベルおよび放出転移の下位レベルを有するとともに、上記放出転移の上
    位レベルから上記放出転移の下位レベルへの弛緩によって検出可能な量子を放出
    する方法であって、上記放出転移の下位レベルまたは上記放出転移の下位レベル
    より小さいエネルギーを有する他のエネルギーレベルの持続時間が上記活性要素
    の環境の変更によって影響され、この影響を決定することを特徴とする請求項1
    から3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記活性要素の少なくともいくつかが上記活性要素の振動動
    作を許容する要素によって基質に結合されており、上記放出転移の下位レベルま
    たは上記放出転移の下位レベルより小さいエネルギーを有する他のレベルの持続
    時間が上記活性要素の電子環境を変更することによって変えられることを特徴と
    する請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 上記電子環境の変更が、上記活性要素の上記電子環境に影響
    し得る少なくとも1つの変更部分の存在によって影響されることを特徴とする請
    求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 サイクル時間の変化が、上記放出転移の下位レベルまたは上
    記放出転移の下位レベルより小さいエネルギーを有する他のエネルギーレベルか
    ら上記変更部分へのエネルギーの転移によるものであることを特徴とする請求項
    6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 上記サイクル時間が、変更部分に関する上記活性要素の構造
    の変化によって変更されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 各活性要素がプローブの一部を構成し、それにより分子また
    はその溶剤中で起こるものを含む異なる誘電環境間で上記プローブが移動される
    とともに、上記プローブの上記特有サイクル時間が異なる誘電環境間での活性要
    素の動作の時間スケールによって影響され、上記動作が次のうちの少なくとも1
    つを含む変更によって影響されることを特徴とする請求項3から8のいずれかに
    記載の方法: (e)プローブの全体サイズの変更; (f)上記活性要素と上記プローブの残りのものとの間の距離の変更; (g)上記活性要素と上記プローブの上記残りのものとの間のスペーサ分子の堅
    さの変更;もしくは (h)親水性、イオン化、荷電または疎水性の部分をもつ上記プローブまたはそ
    の一部の変更。
  10. 【請求項10】 上記活性要素が変更部分と周期的に相互作用する種の一部
    をなし、上記種が上記変更部分と相互作用する間の期間および上記種が上記変更
    部分と相互作用しない間の期間が測定されることを特徴とする請求項3から8の
    いずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記活性要素が、消光部分と周期的に相互作用する種の一
    部をなし、それにより静的消光メカニズムによって消光され、上記種が活性であ
    る間の期間および上記種が不活性である間の期間が測定されることを特徴とする
    請求項3から8のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記活性要素が、消光部分と周期的に相互作用する種の一
    部をなし、それにより衝突消光メカニズムによって消光され、上記種が活性であ
    る間の期間および上記種が不活性である間の期間が測定されることを特徴とする
    請求項3から8のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 上記周期的相互作用の期間が、上記種または上記変更部分
    または上記消光部分の特性の適当な変更によって影響されることを特徴とする請
    求項10から12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 上記変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子の長
    さ、もしくは上記変更部分または上記消光部分が配置されるスペーサ分子の長さ
    を変化させることを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 上記変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子の柔
    軟性、もしくは上記変更部分または上記消光部分が配置されるスペーサ分子の柔
    軟性を変化させることを含むことを特徴とする請求項13または14に記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 上記変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子、も
    しくは上記変更部分または上記消光部分が配置されるスペーサ分子に変更部分を
    追加することを含むことを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 上記活性要素がスペーサ分子によって結合部に付けられ、
    上記変更が上記結合部との相互作用に起因することを特徴とする請求項13から
    16のいずれかに記載の方法。
  18. 【請求項18】 上記変更が、上記活性要素が配置されるスペーサ分子、も
    しくは上記変更部分または上記消光部分が配置されるスペーサ分子の周期的移動
    の制限に起因することを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の方法
  19. 【請求項19】 上記活性要素がスペーサ分子によって結合部に付けられ、
    上記変更が上記結合部に付けられた変更部分との相互作用に起因することを特徴
    とする請求項13から18のいずれかに記載の方法。
  20. 【請求項20】 上記活性要素が第1のスペーサ分子によって第1の結合部
    に付けられるとともに、変更部分または消光部分が第2のスペーサ分子によって
    第2の結合部に付けられており、上記第1および第2の結合部の隔たりが上記活
    性要素と上記変更部分または上記消光部分との間の相互作用の周期を決定するこ
    とを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の方法。
  21. 【請求項21】 上記活性要素を形成するように周期的に相互作用する第1
    および第2の要素、上記第1および第2の要素が上記活性要素を形成するように
    相互作用する間の期間、ならびに上記第1および第2の要素が上記活性要素を形
    成するように相互作用しない間の期間が測定されることを特徴とする請求項3か
    ら8のいずれかに記載の方法。
  22. 【請求項22】 上記活性要素が蛍光共振エネルギー転移種であることを特
    徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 上記活性要素がエキシマまたは励起錯体であることを特徴
    とする請求項21に記載の方法。
  24. 【請求項24】 活性要素の基底状態の励起断面が周期的に変化し、その変
    化の期間が測定されることを特徴とする上記いずれかの請求項に記載の方法。
  25. 【請求項25】 上記活性要素が、上記活性要素を保持する溶液と相互作用
    する蛍光光子を放出し、上記溶液の特性を調節することによって上記溶液の影響
    が監視されることを特徴とする上記いずれかの請求項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 励起パルスを用いて上記活性要素を励起し、励起と上記活
    性要素からの量子放出との間の経過時間を決定し、そして上記特有サイクル時間
    からその時間を減ずる各工程をさらに備えたことを特徴とする上記いずれかの請
    求項に記載の方法。
  27. 【請求項27】 上記サンプルの励起が化学反応によるものであることを特
    徴とする上記請求項1から20のいずれかに記載の方法。
  28. 【請求項28】 上記活性要素が、上位励起状態、下位励起状態および基底
    状態を有するとともに、上記上位励起状態から上記下位励起状態への弛緩によっ
    て検出可能な量子を放出し、本方法はさらに第2の要素が励起エネルギーを上記
    活性要素に転移し、それにより上記活性要素を上記上位励起状態に励起するよう
    に、上記第2の要素を励起状態に励起する工程を備えたことを特徴とする上記い
    ずれかの請求項に記載の方法。
  29. 【請求項29】 基底状態への弛緩に続いてほぼ直ちに活性要素の少なくと
    もいくつかを励起状態に再励起するように充分な強度でもってサンプル内の活性
    要素を励起する手段と、検出信号を得るためにサンプルにより放出された量子を
    検出する手段と、特有サイクル時間を導き出すために検出信号を分析する分析手
    段とを備え、上記サンプル内の活性要素の数および上記励起の上記強度は、個々
    の量子が互いに区別され得るような連続状態で量子が検出されるようなっている
    ことを特徴とするサンプル内の活性要素の特有サイクル時間を決定する分析装置
  30. 【請求項30】 添付図面を参照して実質的に説明されるような分析方法。
  31. 【請求項31】 添付図面を参照して実質的に説明されるような分析装置。
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